説明

ズームレンズ及びそれを有する撮像装置

【課題】 広画角で、全ズーム領域において高い光学性能を有したズームレンズをえること。
【解決手段】 物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含む後群を有し、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、第1、第2のフォーカス群を適切に設定したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ及びそれを有する撮像装置に関し、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルム用カメラ等の撮影系に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、負の屈折力のレンズ群が先行する(最も物体側に位置する)所謂ネガティブリード型のズームレンズが知られている。ネガティブリード型のズームレンズは、近接撮影距離が比較的短くなり、広画角化が比較的容易であり、バックフォーカスを長くすることが容易である。このため、広画角用の撮影レンズとして多く用いられている。
【0003】
ネガティブリード型のズームレンズとして、物体側から像側へ順に少なくとも負、正、負、正の4つの屈折力のレンズ群を有するズームレンズが知られている(特許文献1〜3)。
【0004】
特許文献1では、物体側より像側へ順に、負、正、負、正の屈折力の第1〜第4レンズ群より成り、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行い、フォーカシングは、第3レンズ群と第4レンズ群の双方を移動させて行なうズームレンズを開示している。
【0005】
特許文献2は、物体側より像側へ順に負、正、負、正、負、正の屈折力の第1〜第6レンズ群より成り、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行い、フォーカシングは、第5レンズ群を移動させて行なうズームレンズを開示している。
【0006】
特許文献3では、物体側から像側へ順に負、正、負、正の屈折力の4つのレンズ群より成り、各レンズ群間を変化させてズーミングを行っている。そして第1レンズ群を負の屈折力の前群と、負の屈折力の後群に分けてフォーカシングは後群を移動させて行うズームレンズを開示している。
【0007】
この他、物体側より像側へ順に、負、負、正、負、正の屈折力の第1〜第5レンズ群より成り、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行い、フォーカシングは、第1レンズ群を移動させて行なうズームレンズが知られている(特許文献4)。
【特許文献1】特開平6−175023号公報
【特許文献2】特開2004−198529号公報
【特許文献3】特開平7−261084号公報
【特許文献4】特開平5−313066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、デジタルカメラ用のズームレンズには、レンズ系全体が小型であること、更に撮影画角が広画角で撮影される像が高画質であることが強く求められている。
【0009】
特に白色光源において色にじみ具合や像の解像感を左右する色収差の補正が、広角端から望遠端の全ズーム領域及び物体遠無限から至近距離物体までの物体距離全般にわたり良好に行われていることが求められている。
【0010】
ネガティブリード型のズームレンズでは、物体距離が変化すると諸収差、特に色収差の変動が大きくなってくる。
【0011】
特にネガティブリード型のズームレンズにおいて、撮影領域の拡大のため高ズーム比化を図ると、すなわち広角端の焦点距離をより短く望遠端の焦点距離はより長くすると広角側において倍率色収差が望遠側において倍率色収差及び軸上色収差が多く発生してくる。
【0012】
さらに物体距離が無限遠物体において色収差の補正を十分に行なっても、物体距離が至近になると色収差が悪化してくる。そのためネガティブリード型のズームレンズでは、フォーカシング(フォーカス)による色収差の変動を小さくすることが撮影領域全般に渡って高画質な像性能を得るために重要な要素になってくる。
【0013】
更に詳しく述べると、イメージサークル(有効画面)の長さに近い焦点距離、いわゆる標準の焦点距離を含む高ズーム比のズームレンズでは、多くの場合、広角端において倍率色収差がプラスの方向に発生する。
【0014】
すなわち、設計波長の結像位置に比べて像高の高い方向に極長波長及び極短波長の光が結像する傾向がある。
【0015】
反対に、望遠側において倍率色収差がマイナスの方向に発生する。すなわち、設計波長の結像位置に比べて像高の低い方向に極長波長及び極短波長の光が結像する傾向がある。
【0016】
また、ズームレンズのフォーカシングは、レンズ全系の一部のレンズ群を光軸方向に移動させて行なうのが一般的である。
【0017】
この場合、無限遠物体にピントが合った状態のレンズ全系の焦点距離と至近距離物体にピントが合った状態のレンズ全系の焦点距離は異なった長さとなる。無限遠物体にピントが合った状態の焦点距離に対し、至近距離物体にピントが合った状態の焦点距離が短い場合は、無限遠物体に比べ至近距離物体において倍率色収差がプラスの方向に発生する。
【0018】
すなわち、設計波長の結像位置に比べて像高の高い方向に極短波長の光が結像する。逆に、無限遠物体にピントが合った状態の焦点距離に対し、至近距離物体にピントが合った状態の焦点距離が長い場合は、無限遠物体に比べ至近距離物体において倍率色収差がマイナスの方向に発生する。すなわち、設計波長の結像位置に比べて像高の低い方向に極短波長の光が結像する。
【0019】
従来より、フォーカスの際の収差変動を少なくする方法として、複数のレンズ群を互いに独立して移動する、所謂フローティング方式を用いることが行われている。
【0020】
このフローティング方式はフォーカスの際の収差変動を少なくするのに大変有効である。しかしながらネガティブリード型のズームレンズは、レンズ構成の非対称性が顕著であるため、単にフローティング方式を用いても、物体距離が変化したときの色収差を良好に補正することが難しく、物体距離全般にわたり高い光学性能を得るのが大変困難であった。
【0021】
本発明は広画角で、全ズーム領域で高い光学性能を有したズームレンズの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含む後群を有し、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、該第2のフォーカス群は正レンズと負レンズとを各々1以上有しており、
該第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、
該第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とし、
該第1のフォーカス群のみで無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを行なった際の無限遠物体でのg線の結像位置に対する至近距離物体でのg線の結像位置が画面周辺から画面中心へと変化するときをΔg=1、
画面中心から画面周辺へと変化するときをΔg=2、
該第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1、
物体側から像側へ移動するときをΔX2=2とおいたとき、
(−1)Δg×(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 > 0
なる条件式を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、広画角で、全ズーム領域において高い光学性能を有したズームレンズが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含む後群を有している。そして、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行っている。
【0026】
又、フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有している。
【0027】
そして、第1、第2のフォーカス群を適切に移動させてフォーカスを行い、物体距離全般にわたり収差変動(特に色収差の変動)が少なくすることにより高い光学性能を得ている。
【0028】
図1は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図である。
【0029】
図2、図3はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端,望遠端(長焦点距離端)における無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0030】
図4、図5はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端、望遠端における至近距離物体に合焦したときの収差図である。
【0031】
図6は本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【0032】
図7、図8はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端、望遠端における無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0033】
図9、図10はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端、望遠端における至近距離物体に合焦したときの収差図である。
【0034】
図11は本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【0035】
図12、図13はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端、望遠端における無限遠物体に合焦したときの収差図である。
【0036】
図14、図15はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端、望遠端における至近距離物体に合焦したときの収差図である。
【0037】
図16は、本発明のズームレンズを備える一眼レフカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
【0038】
各実施例のズームレンズはビデオカメラやデジタルカメラそして銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影レンズ系(光学系)である。レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。レンズ断面図において、iは物体側からのレンズ群の順番を示し、Liは第iレンズ群である。Sは開口絞り、SSはフレアーカット絞りである。LRは1以上のレンズ群を有する後群である。
【0039】
IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面に、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する。
【0040】
矢印は広角端から望遠端へのズーミングにおける各レンズ群の移動軌跡を示している。
【0041】
収差図において、d、g、Fは順にd線、g線、F線である。ΔM、ΔSはd線でのメリディオナル像面、サジタル像面である。倍率色収差はg線によって表している。fnoはFナンバー、ωは半画角である。
【0042】
尚、以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍用レンズ群が機構上光軸上を移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0043】
各実施例のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、1以上のレンズ群を含む後群LRを有している。そして各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行っている。フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、第1、第2のフォーカス群はいずれも正レンズと負レンズとを各々1以上有している。
【0044】
このとき各実施例では次の条件式(1)、(2)のうち、少なくとも1つを満足している。
【0045】
第1のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN1、第1のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP1とする。
【0046】
第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とする。
【0047】
第1のフォーカス群のみで無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを行なった際の無限遠物体でのg線の結像位置に対する至近距離物体でのg線の結像位置が画面周辺から画面中心へと変化するときをΔg=1とおく。画面中心から画面周辺へと変化するときをΔg=2とおく。
【0048】
第1のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX1=1とおく。物体側から像側へ移動するときをΔX1=2とおく。
【0049】
第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1とおく。物体側から像側へ移動するときをΔX2=2とおく。
【0050】
無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に第1のフォーカス群と第2のフォーカス群が光軸上同方向へ移動するときをΔh1=2とおく。光軸上逆方向へ移動するときをΔh1=1とおく。
【0051】
このとき
(−1)Δg×(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 > 0 ・・・(1)
なる条件式(1)を満足することである。又は、
(−1)ΔX1×(−1)Δh1×(νN1−νP1)×
(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 < 0 ・・・(2)
なる条件式(2)を満足することである。
【0052】
又、各実施例のズームレンズが、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4を有している。そして各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うときは、次の条件式を満足している。
【0053】
第3レンズ群L3は負の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bとを有し、
第3bレンズ群L3bは正レンズと負レンズを有している。
【0054】
フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有している。
【0055】
このとき第3bレンズ群L3bは第2のフォーカス群を構成している。iを物体側から数えたレンズ群の順番とし、広角端及び望遠端において第iレンズ群と第i+1レンズ群の空気間隔を各々Diw、Ditとする。
【0056】
第1のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN1、第1のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP1とする。
【0057】
第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とする。
【0058】
第1のフォーカス群のみで無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを行なった際の無限遠物体でのg線の結像位置に対する至近距離物体でのg線の結像位置が画面周辺から画面中心へと変化するときをΔg=1とおく。画面中心から画面周辺へと変化するときをΔg=2とおく。
【0059】
第1のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX1=1とおく。物体側から像側へ移動するときをΔX1=2とおく。
【0060】
第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1とおく。物体側から像側へ移動するときをΔX2=2とおく。
【0061】
無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に第1のフォーカス群と第2のフォーカス群が光軸上同方向へ移動するときをΔh1=2とおく。光軸上逆方向へ移動するときをΔh1=1とおく。 このとき
D1w > D1t ・・・(7)
D2w < D2t ・・・(8)
D3w > D3t ・・・(9)
(−1)Δg×(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 > 0 ・・・(1)
なる条件式を満足することである。又は、
D1w > D1t ・・・(7)
D2w < D2t ・・・(8)
D3w > D3t ・・・(9)
(−1)ΔX1×(−1)Δh1×(νN1−νP1)×
(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 < 0 ・・・(2)
なる条件式を満足することである。
【0062】
又、各実施例が物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4を有するとき、次の諸条件のうち1以上を満足するのが良い。
【0063】
第3レンズ群L3と第3bレンズ群L3bの焦点距離を各々f3、f3bとする。このとき
0.1 < f3/f3b < 0.5 ・・・(3)
なる条件式を満足するのが好ましい。
【0064】
又、第1、第2、第3レンズ群L1、L2、L3の焦点距離を順にf1、f2、f3、広角端と望遠端における全系の焦点距離を各々fw、ftとする。このとき
【0065】
【数1】

【0066】
なる条件式のうち1以上を満足するのが好ましい。
【0067】
ここでフォーカスの際に移動するフォーカス群の移動方向の正、負の符号は次のとおりである。
【0068】
物体側から像側へ移動するときを正、像側から物体側へ移動するときを負としている。
【0069】
第1のフォーカス群L1のみで無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを行った際の無限遠物体でのg線の結像位置に対する至近距離物体でのg線の結像位置の変化方向の正、負の符号は次のとおりである。
【0070】
画面周辺から画面中心へと変化するときを負、画面中心から画面周辺へと変化するときを正としている。
【0071】


これらの正、負の符号は条件式において、数式(−1)を用いてXの値が1のとき負となり、Xの値が2のとき正となるように設定している。
【0072】
次に瞳近軸光線について、座標を用いて説明する。光軸をX軸とし、光の進行方向をプラス方向とする。光軸に垂直かつ紙面上方向をY軸とし、光軸より紙面上側をプラス方向、紙面下側をマイナス方向とする。瞳近軸光線は、X軸方向プラス側に進行し、Y軸方向マイナス側よりレンズ第1面に入射する。そして絞り中心を通って、Y軸方向プラス側に進み、像面上でY軸方向プラス側に到達するものとする。
【0073】
アッベ数の平均値とはフォーカス群に1つのレンズしかないときは、その1つのレンズの値である。
【0074】
次に前述した各条件式の技術的意味について説明する。
【0075】
条件式(1)、(2)はどちらも、フォーカシング時(フォーカス時)、第1のフォーカス群で発生する倍率色収差の変動を第2のフォーカス群で補正するための条件式である。
【0076】
又、条件式(1)、(2)は、第2のフォーカス群を構成する正レンズ、負レンズの材料のアッベ数を考慮しつつ、フォーカスの際のレンズ群の繰り出し量の方向の関係を適切に規定するものである。
【0077】
条件式(1)又は条件式(2)を外れると、いずれもフォーカスの際、倍率色収差の変動が大きくなってくるので良くない。
【0078】
条件式(3)は、第3レンズ群L3の焦点距離と第3bレンズ群L3bすなわち、第2のフォーカス群の焦点距離の関係を規定する条件式である。条件式(3)の下限値を越えて第3レンズ群L3の屈折力に対して、第3bレンズ群L3bの屈折力が弱くなると第3bレンズ群L3bによる収差補正の効果が少なくなる。又、上限値を越えて第3レンズ群L3の屈折力に対して、第3bレンズ群L3bの屈折力が強くなると第3bレンズ群L3bで発生する諸収差を小さくするためにレンズ枚数を増加させねばならず、この結果、レンズ全長が長くなってくるので良くない。
【0079】
各実施例のズームレンズは、像面側にクイックリターンミラーやローパスフィルター、赤外カットフィルター等の部材を配置することを想定している。従って、所定の長さのバックフォーカスを確保する必要がある。
【0080】
条件式(4)は広角端における全系の焦点距離と望遠端における全系の焦点距離の積の平方根に対する第1レンズ群L1の焦点距離の範囲を規定するものである。条件式(4)の下限値を超えて第1レンズ群L1の負の屈折力が強くなるとバックフォーカスの確保には有利であるが、第1レンズ群L1で発生する諸収差が大きくなりそれを他の群で補正することが困難となる。条件式(4)の上限値を超えて第1レンズ群L1の負の屈折力が弱くなると、所定のバックフォーカスを得るのが困難となる。
【0081】
条件式(5)は広角端における全系の焦点距離と望遠端における全系の焦点距離の積の平方根に対する第2レンズ群L2の焦点距離の範囲を規定するものである。条件式(5)の下限値を超えて第2レンズ群L2の正の屈折力が強くなるとレンズ系の小型化には有利な方向であるが、第2レンズ群L2で発生する諸収差が大きくなりこれを他のレンズ群でバランス良く補正することが困難となる。
【0082】
条件式(5)の上限値を超えて第2レンズ群L2の正の屈折力が弱くなると収差補正には有利であるが、レンズ系が大型化するので良くない。
【0083】
条件式(6)は広角端における全系の焦点距離と望遠端における全系の焦点距離の積の平方根に対する第3レンズ群L3の焦点距離の範囲を規定するものである。条件式(6)の下限値を超えて第3レンズ群L3の負の屈折力が強くなるとレンズ系の小型化には有利であるが、第3レンズ群で発生する諸収差が大きくなりそれを他のレンズ群で補正することが困難となる。条件式(6)の上限値を超えて第3レンズ群L3の負の屈折力が弱くなるとレンズ系が大型化してくるので良くない。
【0084】
各実施例において更に好ましくは条件式(3)〜(6)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0085】
0.15 < f3/f3b < 0.40 ・・・(3a)
【0086】
【数2】

【0087】
条件式(7)、(8)、(9)は少なくとも負、正、負、正の屈折力の第1〜第4レンズ群を有するズームレンズにおいて、ズーミングに際して各レンズ群間隔の増減を適切に設定し、高いズーム比を効果的に得るためのものである。
【0088】
条件式(7)、(8)、(9)のいずれが外れても高いズーム比を効果的に得るのが難しくなってくる。
【0089】
以上のように各実施例では、物体側より像側へ順に少なくとも負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群を有し、第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を備えている。そして各レンズ群を前述の如く構成することで、広角端から望遠端、さらに無限遠物体から至近距離物体に渡って良項に色収差が補正された高い光学性能を有する広角域を含む高ズーム比のズームレンズを達成することが出来る。
【0090】
尚、後述する実施例において、第1のフォーカス群は次のとおりである。
【0091】
第4レンズ群L4の像側にズーミングに際して移動する負の屈折力の第5レンズ群L5と、ズーミングに際して不動の正の屈折力の第6レンズ群L6を有しているときは、第5レンズ群L5が第1のフォーカス群を構成している。
【0092】
物体側から像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4より成るときは、第1レンズ群L1が第1のフォーカス群を構成している。
【0093】
又は第1レンズ群L1が負の屈折力の第1aレンズ群L1aと負の屈折力の第1bレンズ群L1bを有し、ズーミングに際して双方が独立して移動するときは、第1bレンズ群L1bが第1のフォーカス群を構成している。
【0094】
次に各実施例の具体的な構成について説明する。
【実施例1】
【0095】
図1の実施例1は、物体側より像側へ順に負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、負の屈折力の第5レンズ群L5、正の屈折力の第6レンズ群L6より構成されている。
【0096】
第3レンズ群L3は負の屈折力の第3aレンズ群L3a、負の屈折力の第3bレンズ群L3bより構成されている。
【0097】
広角端から望遠端へのズーミングに際し、条件式(7)から条件式(9)を満足させつつ、第1レンズ群L1は像面側へ移動している。更に第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、第5レンズ群L5は各々のレンズ群に挟まれた空気間隔を変化させつつ物体側へ移動している。第6レンズ群L6は像面に対し不動である。
【0098】
実施例1では、各レンズ群に変倍を分担することで少ない移動量で所定の変倍比を達成し、レンズ系をコンパクトにしている。
【0099】
また、第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズG11はレンズ中心からレンズ周辺にいくに従って正の屈折力が強くなる形状の非球面を有している。これにより、特に広角側において歪曲を良好に補正している。
【0100】
第5レンズ群L5は第1のフォーカス群であり、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシング時に、矢印F1の如く像面側へ移動する。第5レンズ群L5は、同一物体距離へのフォーカシングのための移動量が焦点距離(ズーム位置)により異なっており、広角端に比べ望遠側の方が繰り出し量が大きくなる。
【0101】
負の屈折力の第3レンズ群L3を負の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bに分割し、第3bレンズ群L3bを第2のフォーカス群としている。無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシング時に、矢印F2の如く像面側へ移動させている。これによって倍率色収差のフォーカシングによる変動を小さくしている。第3bレンズ群L3bは、同一物体距離へのフォーカシングのための移動量は焦点距離によらず一定である。
【0102】
このように同一物体距離へのフォーカシングのための移動量を焦点距離によらず一定とした方が鏡筒構造を簡単にできる。但し鏡筒構造の簡素化よりも収差補正を優先して、同一物体距離へのフォーカシングのための移動量が焦点距離によって変化するようにしても良い。
【0103】
尚、実施例1において至近距離物体とは、後述する数値実施例をmm単位で表わしたとき広角端と望遠端における物体距離が380mmのときである。
【0104】
又、結像倍率で示すと広角端と望遠端における結像倍率βw、βtが
βw=0.162
βt=0.287
のときである。
【実施例2】
【0105】
図6の実施例2は、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4より構成されている。また、第1レンズ群L1は負の屈折力の第1aレンズ群L1aと負の屈折力の第1bレンズ群L1bとに分割されている。
【0106】
第3レンズ群L3は負の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bより構成されている。
【0107】
広角端から望遠端へのズーミングに際し、条件式(7)から条件式(9)を満足させつつ、第1レンズ群L1全体としては像面側へ移動させている。更に、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4は各々のレンズ群に挟まれた空気間隔を変化させつつ物体側へ移動している。
【0108】
尚、第1aレンズ群L1aと第1bレンズ群L1bは空気間隔を変化させて移動している。このため実施例2のズームレンズは全体として5のレンズ群より成るズームレンズとして取り扱うこともできる。
【0109】
第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズG11はレンズ中心からレンズ周辺にいくに従って正の屈折力が強くなる形状の非球面を有している。
【0110】
第1bレンズ群L1bは、第1のフォーカス群であり、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシング時、矢印F1の如く物体側へ移動する。同一物体距離へのフォーカシングのための移動量は焦点距離によらず一定である。
【0111】
負の屈折力の第3レンズ群L3を負の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bに分割し、第3bレンズ群L3bを第2のフォーカス群としている。
【0112】
無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシング時に矢印F2の如く像面側へ移動させている。これによって倍率色収差のフォーカシングによる変動を小さくしている。
【0113】
第3bレンズ群L3bは、同一物体距離へのフォーカシングのための移動量は焦点距離によらず一定である。このように同一物体距離へのフォーカシングのための移動量を焦点距離によらず一定とした方が鏡筒構造を簡単にできる。
【0114】
但し鏡筒構造の簡素化よりも収差補正を優先して、同一物体距離へのフォーカシングのための移動量が焦点距離によって変化させても良い。
【0115】
尚、実施例2において至近距離物体とは、後述する数値実施例をmm単位で表わしたとき広角端と望遠端における物体距離が500mmのときである。
【0116】
又、結像倍率で示すと広角端と望遠端における結像倍率βw、βtが
βw=0.083
βt=0.183
のときである。
【実施例3】
【0117】
図11の実施例3は、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4より構成されている。
【0118】
第3レンズ群L3は負の屈折力の第3aレンズ群L3a、負の屈折力の第3bレンズ群L3bより構成されている。
【0119】
広角端から望遠端へのズーミングに際し、条件式(7)から条件式(9)を満足させつつ、第1レンズ群L1は像面側へ、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4は各々のレンズ群に挟まれた空気間隔を変化させつつ物体側へ移動している。
【0120】
第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズG11はレンズ中心からレンズ周辺にいくに従って正の屈折力が強くなる形状の非球面を有している。
【0121】
第1レンズ群L1は第1のフォーカス群であり、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシング時に矢印F1の如く物体側へ移動する。同一物体距離へのフォーカシングのための移動量は焦点距離によらず一定である。
【0122】
負の屈折力の第3レンズ群L3を負の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bに分割し、第3bレンズ群L3bを第2のフォーカス群としている。無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシング時は矢印F2の如く像面側へ移動させている。これにより倍率色収差のフォーカシングによる変動を小さくしている。同一物体距離へのフォーカシングのための移動量は焦点距離によらず一定である。このように同一物体距離へのフォーカシングのための移動量を焦点距離によらず一定とした方が鏡筒構造を簡単にできる。但し、鏡筒構造の簡素化よりも収差補正を優先して、同一物体距離へのフォーカシングのための移動量が焦点距離によって変化させても良い。
【0123】
尚、実施例3において、至近距離物体とは、後述する数値実施例をmm単位で表わしたとき広角端と望遠端における物体距離が500mmのときである。
【0124】
又、結像倍率で示すと広角端と望遠端における結像倍率βw、βtが
βw=0.082
βt=0.179
のときである。
【0125】
尚、以上の各実施例において、一部のレンズ群、例えば第3aレンズ群L3aを光軸と垂直方向の成分を持つように移動させて、手ぶれ等による画像のブレを補正するようにしても良い。
【0126】
又、第1レンズ群L1の物体側又は/及び最終レンズ群の像側にコンバーターレンズやアフォーカルレンズ群等の屈折力のあるレンズ群が位置していても良い。
【0127】
以下に実施例1〜3に対応する数値実施例1〜3を示す。各数値実施例においてiは物体側からの面の順番を示す。
【0128】
数値実施例においてRiは物体側より順に第i番目のレンズ面の曲率半径、Diは物体側より順に第i番目のレンズ厚及び空気間隔、Niとνiは各々物体側より順に第i番目のレンズの材料の屈折率とアッベ数である。
【0129】
fは焦点距離、FNoはFナンバー、ωは半画角である。非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正とし、rを近軸曲率半径、各非球面係数をB、C、D、Eとしたとき
【0130】
【数3】

【0131】
で与えるものとする。
【0132】
数値実施例2、3において最終面r30は設計上用いた平面(ダミー面)である。
【0133】
又前述の各条件式と数値実施例の関係を(表−1)に示す。
【0134】

数値実施例1
f= 35.4〜67.9 FNo=1:2.9 2ω=62.9°〜35.3°
r 1= 109.671(非球面)d 1= 3.00 n 1=1.65160 ν 1=58.5
r 2= 32.249 d 2= 10.26
r 3= -115.127 d 3= 2.50 n 2=1.80400 ν 2=46.6
r 4= 78.676 d 4= 1.67
r 5= 70.460 d 5= 4.88 n 3=1.60342 ν 3=38.0
r 6= 392.151 d 6= 可変
r 7= 306.685 d 7= 3.52 n 4=1.83481 ν 4=42.7
r 8= -203.929 d 8= 2.00 n 5=1.74077 ν 5=27.8
r 9= 55.613 d 9= 6.51 n 6=1.83481 ν 6=42.7
r10= -102.842 d10= 0.15
r11= 76.148 d11= 3.28 n 7=1.80400 ν 7=46.6
r12= 376.318 d12= 0.15
r13= 44.370 d13= 3.84 n 8=1.69680 ν 8=55.5
r14= 133.715 d14= 可変
r15= -520.702 d15= 3.00 n 9=1.69350 ν 9=53.2
r16= -535.738 d16= 1.20 n10=1.80400 ν10=46.6
r17= 44.095 d17= 2.50
r18= 0.000(絞り) d18= 2.40
r19= -80.023 d19= 1.30 n11=1.81554 ν11=44.4
r20= 38.267 d20= 4.59 n12=1.80518 ν12=25.4
r21= -130.916 d21= 0.47
r22= 0.000 d22= 可変
r23= 161.296 d23= 1.30 n13=1.84666 ν13=23.9
r24= 27.277 d24= 6.15 n14=1.43875 ν14=95.0
r25= -49.033 d25= 0.15
r26= 67.340 d26= 2.67 n15=1.63854 ν15=55.4
r27= 189.142 d27= 0.15
r28= 37.261 d28= 5.58 n16=1.69680 ν16=55.5
r29= -102.956 d29= 可変
r30= -135.435 d30= 3.02 n17=1.84666 ν17=23.9
r31= -45.728 d31= 0.15
r32= -53.262 d32= 1.20 n18=1.77250 ν18=49.6
r33= 28.626 d33= 2.50
r34= 121.291 d34= 1.80 n19=1.86300 ν19=41.5
r35= 65.041 d35= 可変
r36= 64.599 d36= 8.10 n20=1.48749 ν20=70.2
r37= -54.407 d37

焦点距離 35.36 48.65 67.93
可変間隔
d 6 33.52 15.53 2.40
d 14 3.67 8.98 17.34
d 22 18.58 13.27 4.91
d 29 1.88 3.38 5.44
d 35 4.94 8.68 10.90
skinf 39.97 39.97 39.97

非球面係数
第1面 b c d e f
1.415629e-06 7.781292e-10 -1.691302e-12 1.625214e-15 -6.459461e-19

数値実施例2
f=29.1〜68.0 FNo=1:2.9 2ω=73.2°〜35.3°
r 1= 79.614(非球面)d 1= 3.00 n 1=1.71300 ν 1=53.8
r 2= 33.214 d 2= 可変
r 3= -171.539 d 3= 2.35 n 2=1.80400 ν 2=46.6
r 4= 44.737 d 4= 0.52
r 5= 44.819 d 5= 5.02 n 3=1.84666 ν 3=23.9
r 6= 150.832 d 6= 可変
r 7= 64.113 d 7= 3.07 n 4=1.77250 ν 4=49.6
r 8= 466.563 d 8= 1.80 n 5=1.84666 ν 5=23.9
r 9= 31.819 d 9= 6.55 n 6=1.64850 ν 6=53.0
r10= -244.677 d10= 0.15
r11= 98.761 d11= 3.68 n 7=1.65160 ν 7=58.5
r12= -382.031 d12= 0.15
r13= 46.544 d13= 4.42 n 8=1.80610 ν 8=41.0
r14= 231.728 d14= 可変
r15= 0.000(絞り) d15= 1.50
r16= -357.828 d16= 2.96 n 9=1.75550 ν 9=25.1
r17= -39.011 d17= 1.40 n10=1.80400 ν10=46.6
r18= 52.827 d18= 3.26
r19= -65.790 d19= 2.03 n11=1.80518 ν11=25.4
r20= -35.787 d20= 1.40 n12=1.48749 ν12=70.2
r21= 210.178 d21= 1.00
r22= 0.000 d22= 可変
r23= 242.523 d23= 5.82 n13=1.51633 ν13=64.2
r24= -25.187 d24= 1.40 n14=1.66446 ν14=35.8
r25= -37.987 d25= 0.15
r26= 74.493 d26= 5.10 n15=1.65160 ν15=58.5
r27= -50.434 d27= 2.79
r28= -36.178 d28= 1.40 n16=1.84666 ν16=23.9
r29= -226.295 d29= 可変
r30= 0.000 d30

焦点距離 29.12 50.22 68.04
可変間隔
d 2 19.24 19.50 19.24
d 6 41.68 11.81 2.12
d 14 3.30 11.80 17.61
d 22 18.54 10.04 4.23
d 29 -0.33 8.02 15.88
skinf 39.99 39.99 39.99

非球面係数
第 1面 b c d e
9.615046e-07 5.204449e-10 -4.958848e-13 2.584752e-16

数値実施例3
f=29.1〜68.1 FNo=1: 2.9 2ω=73.2°〜35.3°
r 1= 91.221(非球面)d 1= 3.00 n 1=1.71300 ν 1=53.8
r 2= 31.445 d 2= 可変
r 3= -409.043 d 3= 2.35 n 2=1.80400 ν 2=46.6
r 4= 48.264 d 4= 0.53
r 5= 43.866 d 5= 5.78 n 3=1.84666 ν 3=23.9
r 6= 117.648 d 6= 可変
r 7= 66.782 d 7= 3.39 n 4=1.77250 ν 4=49.6
r 8= 246.504 d 8= 1.80 n 5=1.84666 ν 5=23.9
r 9= 29.679 d 9= 6.92 n 6=1.64850 ν 6=53.0
r10= -487.891 d10= 0.15
r11= 103.836 d11= 3.88 n 7=1.65160 ν 7=58.5
r12= -582.969 d12= 0.15
r13= 47.114 d13= 4.70 n 8=1.80610 ν 8=41.0
r14= 556.008 d14= 可変
r15= 0.000(絞り) d15= 1.50
r16= -402.171 d16= 3.23 n 9=1.75550 ν 9=25.1
r17= -36.737 d17= 1.40 n10=1.80400 ν10=46.6
r18= 54.934 d18= 3.38
r19= -60.679 d19= 2.08 n11=1.80518 ν11=25.4
r20= -34.487 d20= 1.40 n12=1.48749 ν12=70.2
r21= 166.187 d21= 1.00
r22= 0.000 d22= 可変
r23= 177.454 d23= 6.53 n13=1.51633 ν13=64.2
r24= -23.640 d24= 1.40 n14=1.66446 ν14=35.8
r25= -37.936 d25= 0.15
r26= 77.901 d26= 5.54 n15=1.65160 ν15=58.5
r27= -47.123 d27= 2.90
r28= -36.199 d28= 1.40 n16=1.84666 ν16=23.9
r29= -191.098 d29= 可変
r30= 0.000 d30

焦点距離 29.12 50.21 68.06
可変間隔
d 2 12.83 12.83 12.83
d 6 43.18 12.96 3.02
d 14 3.19 11.60 17.31
d 22 17.74 9.34 3.62
d 29 -0.41 7.98 15.88
skinf 42.17 42.17 42.17

非球面係数
第 1面 b c d e
9.386768e-07 4.510339e-10 -4.965978e-13 2.585553e-16

【0135】
【表1】

【0136】
次に実施例1〜3に示したズームレンズを撮像装置に適用した実施例を図16を用いて説明する。
【0137】
図16は一眼レフカメラの要部概略図である。図16において、10は実施例1〜3のズームレンズ1を有する撮影レンズである。ズームレンズ1は保持部材である鏡筒2に保持されている。
【0138】
20はカメラ本体であり、撮影レンズ10からの光束を上方に反射するクイックリターンミラー3、撮影レンズ10の像形成位置に配置された焦点板4より構成されている。更に、焦点板4に形成された逆像を正立像に変換するペンタダハプリズム5、その正立像を観察するための接眼レンズ6などによって構成されている。
【0139】
7は感光面であり、CCDセンサやCMOSセンサ等の像を受光する固体撮像素子(光電変換素子)や銀塩フィルムが配置される。撮影時にはクイックリターンミラー3が光路から退避して、感光面7上に撮影レンズ10によって像が形成される。
【0140】
実施例1〜3にて説明した利益は、本実施例に開示したような撮像装置において効果的に享受される。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明数値実施例1のレンズ断面図
【図2】本発明の数値実施例1の広角端における無限遠物体のときの諸収差図
【図3】本発明の数値実施例1の望遠端における無限遠物体のときの諸収差図
【図4】本発明の数値実施例1の広角端における至近距離物体のときの諸収差図
【図5】本発明の数値実施例1の望遠端における至近距離物体のときの諸収差図
【図6】本発明数値実施例2のレンズ断面図
【図7】本発明の数値実施例2の広角端における無限遠物体のときの諸収差図
【図8】本発明の数値実施例2の望遠端における無限遠物体のときの諸収差図
【図9】本発明の数値実施例2の広角端における至近距離物体のときの諸収差図
【図10】本発明の数値実施例2の望遠端における至近距離物体のときの諸収差図
【図11】本発明数値実施例3のレンズ断面図
【図12】本発明の数値実施例3の広角端における無限遠物体のときの諸収差図
【図13】本発明の数値実施例3の望遠端における無限遠物体のときの諸収差図
【図14】本発明の数値実施例3の広角端における至近距離物体のときの諸収差図
【図15】本発明の数値実施例3の望遠端における至近距離物体のときの諸収差図
【図16】本発明の撮像装置の要部概略図
【符号の説明】
【0142】
S 光彩絞り
SS フレアーカット用副絞り
d d線
g g線
S.C 正弦条件
ΔS サジタル像面
ΔM メリディオナル像面
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
L6 第6レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含む後群を有し、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、該第2のフォーカス群は正レンズと負レンズとを各々1以上有しており、
該第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、
該第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とし、
該第1のフォーカス群のみで無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを行なった際の無限遠物体でのg線の結像位置に対する至近距離物体でのg線の結像位置が画面周辺から画面中心へと変化するときをΔg=1、
画面中心から画面周辺へと変化するときをΔg=2、
該第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1、
物体側から像側へ移動するときをΔX2=2とおいたとき、
(−1)Δg×(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 > 0
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1以上のレンズ群を含む後群を有し、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、
該第1、第2のフォーカス群はいずれも正レンズと負レンズとを各々1以上有しており、
該第1のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN1、
該第1のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP1とし、
該第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、
該第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とし、
該第1のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX1=1、物体側から像側へ移動するときをΔX1=2、
該第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1、物体側から像側へ移動するときをΔX2=2
無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に該第1のフォーカス群と該第2のフォーカス群が光軸上同方向へ移動するときをΔh1=2、光軸上逆方向へ移動するときをΔh1=1とおいたとき
(−1)ΔX1×(−1)Δh1×(νN1−νP1)×
(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 < 0
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項3】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群を有し、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
該第3レンズ群は負の屈折力の第3aレンズ群と負の屈折力の第3bレンズ群とを有し、
該第3bレンズ群は正レンズと負レンズを有しており、
フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、
該第3bレンズ群は該第2のフォーカス群を構成しており、iを物体側から数えたレンズ群の順番とし、広角端及び望遠端において第iレンズ群と第i+1レンズ群の空気間隔を各々Diw、Dit、
該第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、
該第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とし、
該第1のフォーカス群のみで無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを行なった際の無限遠物体でのg線の結像位置に対する至近距離物体でのg線の結像位置が画面周辺から画面中心へと変化するときをΔg=1、画面中心から画面周辺へと変化するときをΔg=2、
該第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1、物体側から像側へ移動するときをΔX2=2とおいたとき
D1w > D1t
D2w < D2t
D3w > D3t
(−1)Δg×(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 > 0
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項4】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群を有し、各レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
該第3レンズ群は負の屈折力の第3aレンズ群と負の屈折力の第3bレンズ群とを有し、
該第3bレンズ群は正レンズと負レンズを有しており、
フォーカスの際に互いに独立して移動する第1のフォーカス群と第2のフォーカス群を有し、
該第3bレンズ群は該第2のフォーカス群を構成しており、iを物体側から数えたレンズ群の順番とし、広角端及び望遠端において第iレンズ群と第i+1レンズ群の空気間隔を各々Diw、Dit、
該第1のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX1=1、物体側から像側へ移動するときをΔX1=2、
該第2のフォーカス群が無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に像側から物体側へ移動するときをΔX2=1、物体側から像側へ移動するときをΔX2=2
該第1のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN1、
該第1のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP1とし、
該第2のフォーカス群中の負レンズの材料のアッベ数の平均値をνN2、
該第2のフォーカス群中の正レンズの材料のアッベ数の平均値をνP2とし、
無限遠物体から至近距離物体へフォーカスする際に該第1のフォーカス群と該第2のフォーカス群が光軸上同方向へ移動するときをΔh1=2、光軸上逆方向へ移動するときをΔh1=1とおいたとき
D1w > D1t
D2w < D2t
D3w > D3t
(−1)ΔX1×(−1)Δh1×(νN1−νP1)×
(νN2−νP2)×(−1)ΔX2 < 0
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項5】
前記第3レンズ群と前記第3bレンズ群の焦点距離を各々f3、f3bとするとき
0.1 < f3/f3b < 0.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項3又は4に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第1、第2、第3レンズ群の焦点距離を順にf1、f2、f3、広角端と望遠端における全系の焦点距離を各々fw、ftとするとき
【数1】


なる条件式を満足することを特徴とする請求項3、4又は5に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第4レンズ群の像側にズーミングに際して移動する負の屈折力の第5レンズ群と、ズーミングに際して不動の正の屈折力の第6レンズ群を有しており、該第5レンズ群は前記第1のフォーカス群を構成していることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項のズームレンズ。
【請求項8】
前記第1レンズ群は第1のフォーカス群を構成していることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群は負の屈折力の第1aレンズ群と負の屈折力の第1bレンズ群を有し、該第1bレンズ群は前記第1のフォーカス群を構成していることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項のズームレンズ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項のズームレンズと、該ズームレンズによって形成された像を受光する固体撮像素子を有していることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−169051(P2009−169051A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6535(P2008−6535)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】