説明

センサシステム

【課題】物理量(温度、圧力等)の検出からこの検出データの送信完了までの時間を短縮して精度良く補正後の検出データを求める。
【解決手段】読み取り装置20から供給された電源電力が、非接触の磁界結合を介して、検出対象物に装着された検出ユニット10へ、伝送される。ユニット10内のセンサ素子11、検出回路12及び制御回路14により、検出対象物の物理量が検出される。素子11、回路12,14では、2つの発振回路の相対的な周波数の変化から物理量を検出しているので、この検出結果のオフセット調整及びフルスケール調整が出来、更に、発振回路特性のばらつきを、2つの発振回路によりキャンセル出来る。このような調整後の検出結果と、メモリ13に格納されたセンサ素子特性の補正データとは、非接触の磁界結合を介して、装置20へ送信され、検出結果に対する補正データのセンサ素子特性の補正演算が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する検出対象物の物理量(例えば、温度、圧力、応力、変位、加速度、電気量等)を、その検出対象物に装着したセンサにて検出し、この検出結果を非接触で読み取って検出誤差等を補正するセンサシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動する検出対象物の物理量を検出するセンサシステムとして、例えば、下記の特許文献1、2、3に記載された技術が知られている。この特許文献1〜3に記載されたセンサシステムでは、センサ素子及び送信機を有する検出ユニットを車両のタイヤ側に装着し、その検出ユニットによりタイヤの空気圧や温度を検出してこの検出結果を無線で送信し、この送信信号を車両本体側の受信機で受信してタイヤに異常が生じているか否かを判定して車両の安全性を向上させるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−161113号公報
【特許文献2】特開2003−291615号公報
【特許文献3】特開平10−104103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のセンサシステムでは、次の(A)、(B)のような課題があった。
【0005】
(A) 検出結果の無線伝送による課題
従来は、センサ素子及び送信機を有する検出ユニットを車両のタイヤ側に装着し、タイヤの空気圧や温度を検出してこの検出結果を無線で車両本体側の受信機へ送信する構成になっているが、検出ユニット内に電源電力供給用の電池が設けられているので、電池消耗に対する保守点検が必要になり、不利不便であった。
【0006】
又、特許文献1の段落0028に記載されているように、車両の走行中にはタイヤの回転に伴ってこれに装着された検出ユニットも回転するので、この検出ユニットの回転角度によって車両本体側の受信機の受信感度が変化し、ある回転角度の範囲において受信機で受信が出来ない点(この点を「ヌルポイント」ともいう。)が生じる。これを防止するためには、送信電波の電力を大きくすればよいが、電波法の規制や混信等の問題が生じるので、そのような対策がとれない。そこで、特許文献lの技術では、ヌルポイントを避けたタイヤの回転角度の範囲(例えば、180°±60°の範囲)で、送信機から検出データを受信機へ無線送信するようにしている。
【0007】
しかし、このような構成では、タイヤの1回転中の限られた回転角度範囲の短時間内に検出データを伝送しなければならないので、検出ユニットが動作して検出データの送信を完了するまでの時間が長いと、データ伝送が途中で遮断されてしまう。これを回避するために、短時間にデータ伝送を完了させようとすると、データ伝送レートを高くしなければならないが、データ伝送レートを高くすると、無線通信に要する帯域が広がって通信回線の信号対雑音比(S/N比)を許容値以上に確保することが難しくなるという問題が生じる。
【0008】
(B) 検出結果の補正についての課題
センサ素子の特性には製造ばらつきがあるので、従来は、例えば、センサ素子及び送信機を有する検出ユニットの製造時に、この検出ユニットを動作させて要求される検出精度に応じた補正量を求めておき、センサ素子の検出値に対して補正演算等を行って、補正された検出結果を検出ユニットから出力する構成になっている。しかし、このような構成の検出ユニットをタイヤ側に装着して使用すると、補正演算等のために、検出ユニットが動作して検出データの送信を完了するまでの時間が長くなり、前記(A)で説明したような、データ伝送が途中で遮断されるといった問題が生じるので、センサ素子の検出値に対する補正が困難になり、検出精度を向上させることが難しいという課題があった。又、特性の異なる種類のセンサ素子に対しては、異なる補正演算等を行う補正機能を検出ユニット内に設けなければならず、不利不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセンサシステムは、移動する検出対象物に装着された検出ユニットと、前記検出ユニットから離間して設置され、前記検出ユニットに対して非接触で、電源電力が重畳された信号を前記検出ユニットへ送信し且つ前記検出ユニットからの信号を受信する読み取り装置とを備えている。
【0010】
前記検出ユニットは、前記電源電力が重畳された前記信号を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段で受信した前記信号から前記電源電力を抽出して前記検出ユニットの内部回路に供給する電源手段と、前記検出対象物における物理量の変化に対応して電気的な特性値が変化するセンサ素子と、前記物理量の変化に対して電気的な特性値が前記センサ素子とは異なる基準素子と、前記センサ素子の電気的な特性値に基づいて決まる周波数で発振する第1の発振回路と、前記基準素子の電気的な特性値に基づいて決まる周波数で発振する第2の発振回路と、前記第1及び第2の発振回路の相対的な周波数変化を求めて前記物理量の変化を検出して検出データを出力する検出回路と、前記センサ素子の電気的な特性値を補正するための補正データが格納されたデータ格納手段と、前記検出データ及び前記データ格納手段内の前記補正データを前記読み取り装置へ送信する第1の送信手段とを有している。
【0011】
更に、前記読み取り装置は、前記電源電力が重畳された前記信号を前記検出ユニットへ送信する第2の送信手段と、前記検出ユニットから送られてくる前記検出データ及び前記補正データを受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段で受信した前記検出データに対して、前記第2の受信手段で受信した前記補正データの補正演算を行って補正済みの検出データを求める演算手段とを有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読み取り装置から電源電力を非接触で、検出ユニットへ供給する構成になっているので、従来のような検出ユニット内の電池の消耗に対する保守点検が不要になり、使い勝手が向上する。検出ユニットでは、第1及び第2の発振回路の相対的な周波数の変化から物理量を検出しているので、この検出データのオフセット調整及びフルスケール調整が出来、更に、発振回路特性のばらつきを、第1及び第2の発振回路によりキャンセル出来る。このような調整後の検出データと、データ格納手段に格納された補正データとを、非接触で読み取り装置へ送信し、この読み取り装置内の演算手段により、検出データに対する補正データの補正演算を行ってセンサ素子特性の補正を行うので、検出ユニットから読み取り装置へ短時間でデータ伝送が可能になり、低消費電力で、精度良く、検出結果の読み取りと補正を行うことが出来る。しかも、通信が途中で途切れて通信の後半の補正データの伝送にたとえ失敗しても、例えば、前回の補正データを用いてセンサ素子特性の補正を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
センサシステムは、移動する検出対象物に装着された検出ユニットと、前記検出ユニットから離間して設置され、前記検出ユニットに対して非接触で、電源電力が重畳された信号を前記検出ユニットへ送信し且つ前記検出ユニットからの信号を受信する読み取り装置とを備えている。前記検出ユニットと前記読み取り装置とは、非接触の磁界結合により信号の授受を行う。
【0014】
前記検出ユニットは、第1の受信手段、電源手段、センサ素子、基準素子、第1、第2の発振回路、検出回路、データ格納手段、及び第1の送信手段を有している。
【0015】
前記第1の受信手段は、前記電源電力が重畳された前記信号を受信する。前記電源手段は、前記第1の受信手段で受信した前記信号から前記電源電力を抽出して前記検出ユニットの内部回路に供給する。前記センサ素子は、前記検出対象物における物理量の変化に対応して電気的な特性値が変化する。前記基準素子は、前記物理量の変化に対して電気的な特性値が前記センサ素子とは異なるものであり、例えば、前記物理量の変化に対して前記電気的な特性値が一定の素子により構成されている。
【0016】
前記第1の発振回路は、前記センサ素子の電気的な特性値に基づいて決まる周波数で発振する。前記第2の発振回路は、前記基準素子の電気的な特性値に基づいて決まる周波数で発振する。前記検出回路は、前記第1及び第2の発振回路の相対的な周波数変化を求めて前記物理量の変化を検出して検出データを出力する。前記データ格納手段は、前記センサ素子の電気的な特性値を補正するための補正データが格納されている。前記第1の送信手段は、前記検出データ及び前記データ格納手段内の前記補正データを前記読み取り装置へ送信する。
【0017】
更に、前記読み取り装置は、第2の送信手段、第2の受信手段、及び演算手段を有している。
【0018】
前記第2の送信手段は、前記電源電力が重畳された前記信号を前記検出ユニットへ送信する。前記第2の受信手段は、前記検出ユニットから送られてくる前記検出データ及び前記補正データを受信する。前記演算手段は、前記第2の受信手段で受信した前記検出データに対して、前記第2の受信手段で受信した前記補正データの補正演算を行って補正済みの検出データを求める。
【実施例1】
【0019】
(図1、図2の構成)
図1は、本発明の実施例1を示すセンサシステムの概略の構成図である。図2は、図1のセンサシステムが適用される車両のタイヤを示す斜視図である。
【0020】
図1に示すセンサシステムは、移動する検出対象物として、例えば、図2に示す車両のタイヤ1の圧力とこの圧力に密接に関連する温度を検出するものであり、タイヤ1の例えば側部内に埋設される検出ユニット10と、この検出ユニット10から離間して車両本体側に取り付けられ、該検出ユニット10に対して非接触の磁界結合で電源電力の供給及びデータの送受信を行う読み取り装置20とを備えている。
【0021】
検出ユニット10は、タイヤ1の温度を検出する温度検出用センサ素子11A及びタイヤ1の圧力を検出する圧力検出用センサ素子11Bを有するセンサ素子11を備え、このセンサ素子11に、温度用検出回路12A及び圧力用検出回路12Bを有する検出回路12が接続されている。
【0022】
例えば、センサ素子11を構成する温度検出用センサ素子11Aは、温度依存性の大きなサーミスタ抵抗素子等で構成され、圧力検出用センサ素子10Bは、外圧によって静電容量値が変化する可変コンデンサ等で構成されている。検出回路12を構成する温度用検出回路12Aは、温度検出用センサ素子11Aで検出された温度検出値をディジタル信号からなる温度検出データに変換する等の機能を有する回路、圧力用検出回路12Bは、圧力検出用センサ素子11Bで検出された圧力検出値をディジタル信号からなる圧力検出データに変換する等の機能を有する回路である。
【0023】
センサ素子11A,11Bは、非線形の電気的特性値を有しているので、これを線形に補正するための補正データ(この補正データの中には補正演算式に関するデータ等も含まれる。)を予め格納しておくデータ格納手段(例えば、メモリ)13が設けられている。これらの検出回路12及びメモリ13には、温度用制御回路14A及び圧力用制御回路14Bを有する制御回路14が接続されている。制御回路14は、検出ユニット10の全体を制御する回路であり、例えば、中央処理装置(以下「CPU」という。)、或いは個別回路等により構成されている。
【0024】
制御回路14には、電源手段(例えば、整流回路)15、第1の受信手段(例えば、受信回路)16、及び第1の送信手段(例えば、送信回路)17が接続され、これらの回路15,16,17等が、非接触で電源電力及び信号の授受を行うアンテナコイル18に接続され、更に、このアンテナコイル18がバーアンテナ19に巻装されている。アンテナコイル18には図示しないコンデンサが接続され、これらのアンテナコイル18及びコンデンサが、読み取り装置20から供給される交流磁界の周波数に同調している。
【0025】
整流回路15は、アンテナコイル18に誘導される交流起電圧を整流して検出ユニット駆動用の直流電源電圧を生成し、これを制御回路14等に与える回路である。受信回路16は、アンテナコイル18に誘導される交流起電圧に重畳された読み取り装置20からの制御信号を受信し、この制御信号を復調等してコマンド(命令)やデータを制御回路14に与える回路である。送信回路17は、制御回路14から与えられる検出データ及び補正データの変調等を行って送信信号を生成し、この送信信号をアンテナコイル18の磁界結合を介して読み取り装置20へ伝送させる回路である。
【0026】
読み取り装置20は、アンテナコイル18と磁界結合されるループアンテナ21と、電源電力用のキャリア(例えば、125KHzの搬送波)を発振する発振回路22と、この発振回路22に接続された変調回路23と、この変調回路23とループアンテナ21の間に接続された第2の送信手段(例えば、送信回路)24と、ループアンテナ21に接続された第2の受信手段(例えば、受信回路)25と、この受信回路25に接続された復調回路26とを有している。更に、変調回路23及び復調回路26には、演算手段によるデータ補正処理機能付きの制御回路27、及びインタフェース28を介して、センサシステム全体を制御するコンピュータで構成された上位コントローラ29が接続されている。
【0027】
変調回路23は、発振回路22から与えられる電源電力用のキャリアにより、制御回路27から出力されるコマンドやデータを変調する回路である。送信回路24は、変調回路23で変調された変調信号を送信信号に変換し、この送信信号をループアンテナ21を介して検出ユニット10へ伝送させる回路である。受信回路25は、検出ユニット10からループアンテナ21を介して送られてくる検出データ及び補正データを受信する回路である。復調回路26は、受信回路25で受信した検出データ及び補正データを復調して制御回路27へ出力する回路である。制御回路27は、復調回路26からの検出データ及び補正データを入力し、該検出データに対して演算手段により該補正データの補正演算を行って補正済みの検出データを求め、この検出データをインタフェース28を介して上位コントローラ29へ送る回路である。
【0028】
(図3の構成)
図3は、図1中の温度検出用センサ素子11A、温度用検出回路12A及び温度用制御回路14Aの構成例を示す回路図である。
【0029】
センサ素子11Aは、例えば、温度によって抵抗値Rthが変化する温度依存性の大きなサーミスタ抵抗素子で構成され、このセンサ素子11Aに検出回路12Aが接続されている。検出回路12Aは、例えば、CR発振回路の発振周波数を決める静電容量素子及び抵抗素子からなる時定数回路の内の抵抗素子を用いて温度を検出する回路であり、この検出回路12Aに制御回路14Aが接続されている。制御回路14Aは、検出回路12Aを制御するための各種の制御信号及び温度検出データ(例えば、カウント数N1,N2)を出力する制御部や、演算部、データ記憶部等を有しており、CPU等で構成されている。
【0030】
検出回路12Aは、基準となる固定抵抗値Rrefを有する基準素子(例えば、基準抵抗素子)31Aと、センサ素子11Aに接続された第1の発振回路32−1Aと、基準抵抗素子31Aに接続され、第1の発振回路32−1Aと同一特性の第2の発振回路32−2Aとを有している。第1の発振回路32−1Aは、センサ素子11Aと共にCR発振回路を構成し、制御回路14Aの制御信号により動作して、センサ素子11Aの抵抗値に対応した周波数で発振してクロック信号を出力する回路である。第2の発振回路32−2Aは、基準抵抗素子31Aと共にCR発振回路を構成し、制御回路14Aの制御信号により動作して、基準抵抗素子31Aの抵抗値に対応した周波数で発振してクロック信号を出力する回路である。
【0031】
この検出回路12Aには、制御回路14Aの制御信号により動作してカウント(計数)回数である設定回数(例えば、設定値)M1を設定する第1のメモリ33−1Aと、制御回路14Aの制御信号により動作して設定値M2を設定する第2のメモリ33−2Aと、基準のクロック信号からなる基準周波数信号frefを出力する水晶発振回路等で構成された基準信号源35Aとが設けられている。第1のメモリ33−1Aの出力側には、第1の計数手段(例えば、第1のカウンタ)34−1Aが接続され、第2のメモリ33−2Aの出力側にも、第1のカウンタ34−1Aと同一特性の第2の計数手段(例えば、第2のカウンタ)34−2Aが接続されている。
【0032】
第1のカウンタ34−1Aは、制御回路14Aの制御信号により動作し、第1のメモリ33−1Aに設定された設定値M1の回数だけ、発振回路32−1Aの出力クロック信号の数をカウントするものであり、この出力側に第3の計数手段(例えば、第3のカウンタ)34−3Aが接続されている。第2のカウンタ34−2Aは、制御回路14Aの制御信号により動作し、第2のメモリ33−2Aに設定された設定値M2の回数だけ、発振回路32−2Aの出力クロック信号の数をカウントするものであり、この出力側に第4の計数手段(例えば、第4のカウンタ)34−4Aが接続されている。
【0033】
第3のカウンタ34−3Aは、制御回路14Aの制御信号により動作し、第1のカウンタ34−1Aが設定値M1の回数だけカウント動作を行っている期間に、基準信号源35Aから出力される基準周波数信号frefのクロック数をカウントし、このカウント数N1を制御回路14Aに記憶させる。第4のカウンタ34−4Aは、第3のカウンタ34−3Aと同一特性であり、制御回路14Aの制御信号により動作し、第2のカウンタ34−2Aが設定値M2の回数だけカウント動作を行っている期間に、基準信号源35Aから出力される基準周波数信号frefのクロック数をカウントし、このカウント数N2を制御回路14Aに記憶させる。カウント数N1は、設定値M1に対応し、カウント数N2は、設定値M2に対応している。
【0034】
(図4の構成)
図4は、図1中の圧力検出用センサ素子11B、圧力用検出回路12B、及び圧力用制御回路14Bの構成例を示す回路図であり、図3中の要素(数字+A)と共通の要素には、共通の符号(同一数字+B)が付されている。
【0035】
図4の回路では、図3のサーミスタ抵抗からなるセンサ素子11A、及び基準抵抗素子31Aに代えて、容量式のセンサ素子11B、及び基準容量素子31Bを設け、そのセンサ素子11Bを用いてタイヤ1の圧力を検出するようになっている。
【0036】
この図4の回路では、各回路ブロックを制御するための各種の制御信号及び圧力検出データD14Bを出力する制御回路14Bと、この制御回路14Bの制御信号により動作してセンサ素子11Bの容量値Csで決まる発振周波数で発振する第1の発振回路32−1Bと、制御回路14Bの制御信号により動作して基準容量素子31Bの固定の容量値Crefで決まる発振周波数で発振する第2の発振回路32−2Bと、制御回路14Bの制御信号により動作してカウント回数である設定値M1を設定する第1のメモリ33−1Bと、制御回路14Bの制御信号により動作して設定値M3を設定し、これに対応するカウント数N3を制御回路14Bへ与える第3のメモリ33−3Bとを有している。
【0037】
第2の発振回路32−2B及び第1のメモリ33−1Bの出力側には、第2のカウンタ34−2Bが接続されている。第2のカウンタ34−2Bは、制御回路14Bの制御信号により動作し、第1のメモリ33−1B内の設定値M1の回数だけ第2の発振回路32−2Bの出力クロック信号数をカウントするものであり、この出力側に第1のカウンタ34−1Bが接続されている。第1のカウンタ34−1Bは、制御回路14Bの制御信号により動作して、第2のカウンタ34−2Bがカウント動作している間に、第1の発振回路32−1Bの出力クロック信号数をカウントしてこのカウント数N1を制御回路14Bへ出力するものである。制御回路14Bは、各種の制御信号及び圧力検出データ(例えば、カウント数N1,N3)を出力する機能を有している。
【0038】
(実施例1の動作)
図5は、図1の検出データの伝送及び補正方法の動作を示すタイムチャートである。この図5の横軸は、時間である。
【0039】
先ず、図1の読み取り装置20内の上位装置29から、検出ユニット10を動作させるためのコマンドやデータが出力されると、このコマンドやデータが、インタフェース28を介して制御回路27へ送られ、この制御回路27の制御により、読み取り装置20が動作モードへ移行する。読み取り装置20が動作モードに移行すると、変調回路23が動作し、キャリア発振回路22から出力される電源源力用のキャリアにより、制御回路27からの制御信号が変調される。この変調信号が送信回路24で送信信号に変換され、ループアンテナ21へ送られと、このループアンテナ21から交流磁界が発生する。
【0040】
タイヤ1の側部内に埋設された検出ユニット10がタイヤ1と共に回転し、この検出ユニット10のアンテナコイル18がループアンテナ21に近接すると、このループアンテナ21に交流起電圧が誘導される。誘導された交流起電圧は、整流回路15で整流されて直流電源電圧が生成され、この直流電源電圧が制御回路14へ供給され(パワーリング)、検出ユニット10が動作モードへ移行する。動作モードに移行すると、アンテナコイル18に誘導された交流起電圧が受信回路16で受信されて復調され、この復調された読み取り装置20からのコマンドやデータが制御回路14へ送られ、この制御回路14内の図3の温度用制御回路14A、温度用検出回路12A及び温度検出用センサ素子11Aと、図4内の圧力用制御回路14B、圧力用検出回路12Bび圧力検出用センサ素子11Bとが、次の(1)、(2)のように動作する。
【0041】
(1) 図3の動作
先ず、第1の発振回路32−1Aが、制御回路14Aの制御信号により、センサ素子11Aの抵抗値Rthに対応する周波数で発振すると共に、第2の発振回路32−2Aが、制御回路14Aの制御信号により、基準抵抗素子31Aの抵抗値Rrefに対応する周波数で発振する。制御回路14Aの制御信号により、第1のメモリ33−1A内の設定値M1が第1のカウンタ34−1Aにロードされると共に、制御回路14Aの制御信号により、第2のメモリ33−2A内の設定値M2が第2のカウンタ34−2Aにロードされる。制御回路14Aの制御信号により第1、第2のカウンタ34−1A,34−2Aが動作し、第1のカウンタ34−1Aにより、第1の発振回路32−1Aから出力されるクロック信号の数がカウントされると共に、第2のカウンタ34−2Aにより、第2の発振回路32−2Aから出力されるクロック信号の数がカウントされる。
【0042】
第1のカウンタ34−1Aが設定値M1回のカウント動作を行っている期間に、制御回路14Aの制御信号により第3のカウンタ34−3Aが動作し、基準周波数信号frefのクロック数がカウントされ、このカウント数N1が制御回路14Aに記憶される。同時に、第2のカウンタ34−2Aが設定値M2回のカウント動作を行っている期間に、制御回路14Aの制御信号により第4のカウンタ34−4Aが動作し、基準周波数信号frefのクロック数がカウントされ、このカウント数N2が制御回路14Aに記憶される。
【0043】
(2) 図4の動作
先ず、制御回路14Bの制御信号により、第1のメモリ33−1B内の設定値M1が第2のカウンタ34−2Bにロードされると共に、制御回路14Bの制御信号により、第1の発振回路32−1Bがセンサ素子11Bの容量値Csで決まる発振周波数で発振し、第2の発振回路32−2Bが基準容量素子31Bの容量値Crefで決まる発振周波数で発振する。制御回路14Bの制御信号により動作する第2のカウンタ34−2Bによって、第2の発振回路32−2Bから出力されるクロック信号の数がカウントされる。
【0044】
第2のカウンタ34−2Bが設定値M1回のカウント動作を行っている期間に、制御回路14Bの制御信号により第1のカウンタ34−1Bが動作し、第1の発振回路32−1Bから出力されるクロック信号の数がカウントされ、このカウント数N1が制御回路14Bに記憶される。
【0045】
このような(1)、(2)の動作が終了すると、図3の制御回路14Aの制御信号により第3、第4のカウンタ34−3A,34−4Aがリセットされると共に、図4の制御回路14Bの制御信号により、第1のカウンタ34−1Bがリセットされる。そして、制御回路14Aに記憶された図3のカウント数N1,N2及び図4のカウント数N1からなる検出データと、メモリ13に格納された補正データ(この補正データの中には補正演算式に関するデータ等も含まれる。)とが、送信回路17によって例えば次のような送信信号に変換される。
送信信号=同期信号+スタート信号+
検出データ+誤り検出訂正コード+補正データ+エンド信号
【0046】
この送信信号において、同期信号、スタート信号、及びエンド信号は、データ伝送のために付加される信号である。又、非接触で動作する検出ユニット10から読み取り装置20へのデータ伝送は、動作条件により外乱の影響で不安定になったりすることがあるので、これを訂正するために、誤り検出訂正コードが付加されている。このような送信信号は、アンテナコイル18及びループアンテナ21の電磁結合を介して読み取り装置20側へ送られる。
【0047】
読み取り装置20側へ送られた送信信号は、受信回路25で受信され、復調回路26により、元の図3のカウント数N1,N2及び図4のカウント数N1と補正データとに復調され、制御回路27へ送られる。制御回路27において、図3のカウント数N2からN1の減算が行われ、減算結果(N2−N1)である温度検出データD14Aが算出される。この温度検出データD14A(=N2−N1)は、センサ素子11Aの抵抗値Rth(即ち、検出温度)に対応しているので、タイヤ1の温度が検出されたことになる。更に、制御回路27において、図4のカウント数N3が、カウント数N1から減算され、減算結果(N1−N3)の圧力検出データD14Bが算出される。この圧力検出データD14B(=N1−N3)は、センサ素子11Bの容量値Cs(即ち、圧力)に対応しているので、タイヤ1の圧力が検出されたことになる。
【0048】
これらの検出された温度及び圧力の値に対して、センサ素子11A,11Bの非線形を補正するために、制御回路27により、補正データを用いた補正演算が実行され、補正済みの検出データを得る。
【0049】
図5に示すように、検出ユニット10から読み取り装置20への1回の動作(41)は、(検出動作(41a)+通信動作(41b,41c))であり、読み取り装置20から検出ユニット10への電源電力供給(パワーリング)の持続時間が十分長いときには(40−1)、2回の動作(41,41)が行われ、パワーリングの持続時間が短いときには(40−2)、1回の動作(41)が行われる。又、パワーリングの持続時間が短すぎて1回の動作(41)が完了しなかったときでも(40−3)、予め、少なくとも検出データ(41a,41b)の伝送可能な伝送レートに設定され、且つ、この場合には補正データ(41c)として前回送られたものを再利用する構成に設定されているので、補正演算が実行され、補正済みの検出データが得られる。
【0050】
(実施例1の効果)
図6〜図9は、本発明の実施例1の効果を示す特性図である。この内、図6は本実施例1による補正をしないときの検出データの特性図、図7は本実施例1によるオフセット調整及びフルスケール調整後の検出データの特性図であり、横軸は温度(℃)、縦軸は検出データである。図8は補正データの特性図であり、横軸は温度(℃)、縦軸は補正データである。図9はオフセット調整、フルスケール調整、及び補正データによる補正後の検出データの特性図であり、横軸は温度(℃)、縦軸は補正済みの補正データである。
【0051】
本実施例1では、次の(A)〜(C)のような効果がある。
(A) 図3の効果(A1)〜(A7)
(A1) センサ素子11Aと発振回路32−1Aの組み合わせ、及び、基準抵抗素子31Aと発振回路32−2Aの組み合わせで、タイヤ1の温度を検出しているので、初期状態での発振周波数がばらついても、所定の条件(カウント数N1=N2)に初期調整(即ち、オフセット調整)できる。
【0052】
(A2) センサ素子11Aと発振回路32−1Aの組み合わせで、所定の温度の変化を加えたときの温度検出データ(カウント値)を所定の値(=N2−N1)に調整(即ち、フルスケール調整)できる。
【0053】
(A3) 調整は、発振回路32−1A,32−2Aの発振周波数を調整せずに、周りのロジック回路のデータ(例えば、メモリ33−1A,33−2Aへの設定値M1,M2)にて調整できる。即ち、発振回路32−1A,32−2Aの発振周波数を調整するのではなく、ばらついたままの状態で動作させて良く、発振周波数を決める抵抗Rの調整をしないで良い。しかも、所定の最大の温度の変化を加えたときの温度検出データ(カウント値)を所定の値(=N2−N1)に調整(即ち、フルスケール調整)できるので、発振回路32−1A,32−2Aとの組み合わせで検出特性にばらつきがあっても、調整にて合わせられるので、コストの削減が可能である。
【0054】
(A4) 設計上、要求される検出能力に応じて設定値M1,M2を大きくしていけば、検出に要する時間は延びるが、分解能力を向上できる。この際、ロジック回路での調整の1ステップ分が十分小さくなるように、設定値M1,M2は大きい値を選ぶことになる。
【0055】
(A5) センサ素子11Aによる発振と、基準抵抗素子31Aによる発振とに、同一特性の発振回路32−1A,32−2Aを使い、発振周波数の変化を相対的に検出しているので、発振回路32−1A,32−2Aの特性変動が原因で発振周波数が同じ割合で変化しても、キャンセルされて影響を与えないので、発振回路32−1A,32−2Aのばらつきや変動の影響を受け難い。
【0056】
(A6) 第1の発振回路32−1A、第1のカウンタ34−1A、及び第3のカウンタ34−3Aの動作と、第2の発振回路32−2A、第2のカウンタ34−2A、及び第4のカウンタ34−4Aの動作とを、同時に実行できる。そのため、検出時間が短く、且つ、第1、第2の発振回路32−1A,32−2Aに印加される電源電力が不安定であっても、この電源電力が第1、第2の発振回路32−1A,32−2Aに共通に同時に印加されることで、その不安定性の影響を減少できる。この際、第1、第2の発振回路32−1A,32−2Aの特性が揃っていることが望ましいので、例えば、同一チップ上に隣接配置して集積回路化することが望ましい。
【0057】
(A7) 図6に示すように、本実施例1による補正をしないときの温度検出データの特性は、系列1〜7は右上がりであるが、基準温度での値が「0」になっていない(オフセット調整がずれている)し、最大温度での値が一定の値になっていない(フルスケール調整されていない)。系列8〜10は、変化カーブが逆で右下がりになっている例である。これに対し、図7に示すように、本実施例1による補正をしたときは、系列1〜10のいずれも、基準温度での値が「0」になっており(オフセット調整されている)、最大温度での値が一定の値になっている(フルスケール調整されている)。系列8〜10に対しては、読み取り装置20側の制御回路27での引き算の極性を反転させることで、右上がりに統一している。この図6及び図7から明らかなように、本実施例1では、従来に比べて顕著な効果がある。
【0058】
(B) 図4の効果
図3の回路とほぼ同様の効果がある。
【0059】
(C) 図1、図2の効果
図5中の参考例の動作シーケンスでは、例えば、検出ユニット10内の制御回路14により、センサ素子11A,11Bで検出された検出データ(42a)に対して、メモリ13内の補正データを用いてセンサ素子11A,11Bの非線形特性を線形特性に補正するための補正演算(42b)を行い、補正済みの検出データ(42c)をアンテナコイル18及びループアンテナ21による電磁結合を介して読み取り装置20側へ送信する例が示されている。
【0060】
センサ素子11A,11Bは、製造ばらつき等によって種々の非線形特性を有するので、これを線形特性に補正するための補正データも、図8の系列1〜10に示すように、種々の曲線特性になる。このような補正データを予め検出ユニット10内のメモリ13に格納しておき、上記のようなオフセット調整及びフルスケール調整後の検出データに対して、例えば、検出ユニット10内の制御回路14により補正演算を行えば、図9に示すように、検出データが線形特性に補正される。この補正済みの検出データは、参考例の動作シーケンスでは、アンテナコイル18及びループアンテナ21を介して読み取り装置20側へ伝送されることになる。このような参考例の動作シーケンスでは、検出ユニット10から読み取り装置20への通信データが、補正済みの検出データだけで良いので、データ量を短くできる利点がある。しかしその反面、次のような欠点がある。
【0061】
検出ユニット10内でセンサ素子特性の補正演算を行うので、消費電力が大きくなる。補正演算に時間が掛かる。予めセンサ素子11の特性ばらつきの範囲を想定して補正演算処理ルーチンを用意するので、組み合わせるセンサタイプに応じて検出ユニット10内の演算式を変える必要がある。このような自由度を持たせるために、より高性能の演算機能が必要で動作電力の制限がある用途には向かない。複数の特性の異なるセンサ素子11A,11Bと組み合わせる場合には、補正演算式を予め内臓しておく必要があり、特性の異なるセンサ素子11A,11Bへ切り替えるには、検出ユニット10内の演算処理を変更する必要があるため、検出ユニット10の仕様変更に要するコストが高くなる。
【0062】
又、参考例の動作シーケンスでは、図5に示すように、1回の動作(42)が(検出動作(42a)+補正演算(42b)+通信動作(42c))となる。ここで、通信動作(42c)は、例えば、
同期信号+スタート信号+補正済みデータ+誤り検出訂正コード+エンド信号
となる。回転するタイヤ1に装着した検出ユニット10からの1回の伝送で通信が成立する期間が限られる用途では、1回の動作(42)に要する所要時間が長いと、データ伝送が途中で切れてしまう。特に、検出精度の要求が高くて補正データ量が多い場合は、通信時間が長くなってしまい、データ伝送が途中で切れてしまい、不利不便である。
【0063】
本実施例1では、このような不都合を解消し、補正精度を確保しながら、1回の動作時間(41)を短くし、消費電力を減らし、通信が途中で途切れて通信の後半の補正データ(41c)の伝送にたとえ失敗しても、検出データを正しく補正するために、検出データ及び補正データを読み取り装置20へ送り、この読み取り装置20側でセンサ素子特性の補正演算を行う構成にしている。これにより、次の(C1)〜(C4)のような効果がある。
【0064】
(C1) 検出ユニット10側でセンサ素子特性の補正演算を行わないので、データ送信開始までの時間が短い。検出ユニット10側で消費電力の大きなセンサ素子特性の補正演算処理を行わないので、読み取り装置20側からのパワーリングが容易である。しかも、読み取り装置20から電源電力を非接触で、検出ユニット10へ供給する構成になっているので、従来のような検出ユニット10内の電池の消耗に対する保守点検が不要になり、使い勝手が向上する。
【0065】
(C2) データ通信の途中で通信が途絶えても、検出データの補正ができる。即ち、検出ユニット10から読み取り装置20への1回の通信(41)では、データとして、例えば、(同期信号+スタート信号+検出データ+誤り検出訂正コード+補正データ+エンド信号)を送るが、少なくとも(同期信号+スタート信号+検出データ+誤り検出訂正コード)までデータを送ることが出来れば、通信が途中で途絶えても、前回の補正データを用いてセンサ素子特性の補正演算が可能である。補正データは、製造時にメモリ13に格納されたものであり、タイヤ1を交換するまでは、常に同じ補正データが毎回読み取り装置20側へ送られるので、車両の走行速度が低速で比較的余裕のあるときに、補正データも含めて通信が完全に出来ればそれで十分である。タイヤ1は交換されることもあるので、通信が最後まで出来るときに、補正データを確認すれば良い。
【0066】
(C3) 検出データを補正するために、伝送する補正データ量を減らしても実質の補正の細かさは維持出来る。
【0067】
例えば、検出レンジ内の設定した温度及び圧力に対して、基準条件を所定の条件数印加して検出された値を基に、補正量のマップを作って検出値を基に補正を掛けて読み取る。この際、製造時に補正量を求めた値から補正曲線を演算で求めて使う。
【0068】
精度を上げるには、基本的には補正データを増やすことになるが、補正のためのデータ量、補正演算を簡単にして且つ必要な精度は確保したい要求がある。この方法として、読み取り装置20側に予め補正曲線の種類を複数用意しておき、補正データには、どの補正曲線の種類を適用するのかを選択するデータと、該当する補正曲線を適用するのに使うパラメータとで構成することで、読み取り装置20側に予め補正のために備えておくべきデータ量は多くなるが、伝送しなければならない補正データ量を減らすことが出来き、このようにしても実質の補正の細かさは維持出来る。相対的に見て、読み取り装置20側に持たせておくべきデータ量が増えてしまっても、伝送しなければならない補正データ量を減らせる方が都合が良い。
【0069】
読み取り装置20側に複数もたせておく補正曲線の例としては、
特性の種類分け
変化特性の極性区分
ヒステリシスの有無
直線性からの外れ方
【0070】
パラメータとしては、
各補正曲線に応じて定義することが出来る。
【0071】
このように、本実施例1によれば、センサ素子11と検出回路12の組み合わせで、検出可能な範囲にあり、補正対象の範囲で特性曲線が単調性を示し、ヒステリシスが無ければ、図9に示すように、直線的(リニア)な特性曲線に補正が可能である。
【0072】
(C4) 新規補正特性の設定が容易である。即ち、データ補正は読み取り装置20側で行うので、動作電力、必要とするメモリ量、演算装置に対する制約が緩く、高級言語で処理が出来る等、設計の自由度が高く、新規補正特性の追加、変更が容易である。
【実施例2】
【0073】
図10は、本発明の実施例2を示すセンサシステムの他の適用例を示す概略の斜視図である。
【0074】
この適用例では、回転するコンベア50上に製品51を載せて搬送する装置において、温度検出用の検出ユニット10がコンベア50に装着され、このコンベア50の近傍に読み取り装置20が配設され、検出ユニット10で検出されたコンベア50の検出温度データ及び補正データが非接触で読み取り装置20へ送信され、この読み取り装置20側で温度算出とセンサ素子特性の補正演算が行われる。このようなセンサシステムにおいても、実施例1とほぼ同様の効果が得られる。
【0075】
なお、本発明は、図示の実施例1、2に限定されず、種々の変形や利用形態が可能である。この変形や利用形態としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0076】
(a) 検出ユニッ10及び読み取り装置20は、図示以外の他の回路構成に変更出来る。例えば、図3、図4では、基準素子として、物理量の変化に対して電気的な特性値が一定の基準抵抗素子31Aや基準容量素子31Bを用いているが、これに代えて、物理量の変化に対して電気的な特性値がセンサ素子11A,11Bとは異なる他の素子を用い、これに対応して図3、図4の回路構成を変更しても良い。又、図3、図4では、第1の発振回路32−1A,32−1Bと第2の発振回路32−2A,32−2Bの2つの発振回路を用いているが、これに代えて、1つの共通発振回路を設け、これを切り替え手段で切り替えて使用する構成に変更しても良い。
【0077】
(b) 検出ユニット10と読み取り装置20とは、磁界結合により電力及び信号の授受を行う構成にしているが、電波結合等の他の非接触結合方式に変更しても良い。
【0078】
(c) 図1では、センサ素子11として、温度検出用センサ素子11A及び圧力検出用センサ素子11Bを使用し、図10では、温度検出用の検出ユニット10Aを使用しているが、移動する検出対象物の物理量としては、温度や圧力以外に、応力、変位、加速度、電気量等の種々のものが適用出来る。
【0079】
(d) 本発明のセンサシステムは、車両のタイヤ1やコンベア50以外に、読み取り装置20に対して検出ユニット10側が循環運動をして通信が繰り返されるような種々の装置やシステムに適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1を示すセンサシステムの概略の構成図である。
【図2】図1のセンサシステムが適用される車両のタイヤを示す斜視図である。
【図3】図1中の温度検出用センサ素子11A、温度用検出回路12A及び温度用制御回路14Aの構成例を示す回路図である。
【図4】図1中の圧力検出用センサ素子11B、圧力用検出回路12B、及び圧力用制御回路14Bの構成例を示す回路図である。
【図5】図1の検出データの伝送及び補正方法の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本実施例1による補正をしないときの検出データの特性図である。
【図7】本実施例1によるオフセット調整及びフルスケール調整後の検出データの特性図である。
【図8】本実施例1による補正データの特性図である。
【図9】本実施例1によるオフセット調整、フルスケール調整、及び補正データによる補正後の検出データの特性図である。
【図10】本発明の実施例2を示すセンサシステムの他の適用例を示す概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 タイヤ
10 検出ユニット
11,11A,11B センサ素子
12,12A,12B 検出回路
13 メモリ
14,14A,14B,27 制御回路
15 整流回路
16,25 受信回路
17,24 送信回路
18 アンテナコイル
20 読み取り装置
21 ループアンテナ
50 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する検出対象物に装着された検出ユニットと、
前記検出ユニットから離間して設置され、前記検出ユニットに対して非接触で、電源電力が重畳された信号を前記検出ユニットへ送信し且つ前記検出ユニットからの信号を受信する読み取り装置とを備えたセンサシステムであって、
前記検出ユニットは、
前記電源電力が重畳された前記信号を受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段で受信した前記信号から前記電源電力を抽出して前記検出ユニットの内部回路に供給する電源手段と、
前記検出対象物における物理量の変化に対応して電気的な特性値が変化するセンサ素子と、
前記物理量の変化に対して電気的な特性値が前記センサ素子とは異なる基準素子と、
前記センサ素子の電気的な特性値に基づいて決まる周波数で発振する第1の発振回路と、
前記基準素子の電気的な特性値に基づいて決まる周波数で発振する第2の発振回路と、
前記第1及び第2の発振回路の相対的な周波数変化を求めて前記物理量の変化を検出して検出データを出力する検出回路と、
前記センサ素子の電気的な特性値を補正するための補正データが格納されたデータ格納手段と、
前記検出データ及び前記データ格納手段内の前記補正データを前記読み取り装置へ送信する第1の送信手段とを有し、
前記読み取り装置は、
前記電源電力が重畳された前記信号を前記検出ユニットへ送信する第2の送信手段と、
前記検出ユニットから送られてくる前記検出データ及び前記補正データを受信する第2に受信手段と、
前記第2の受信手段で受信した前記検出データに対して、前記第2の受信手段で受信した前記補正データの補正演算を行って補正済みの検出データを求める演算手段とを有することを特徴とするセンサシステム。
【請求項2】
前記検出ユニットと前記読み取り装置とは、非接触の磁界結合により信号の授受を行うことを特徴とする請求項1記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記検出対象物に装着された前記検出ユニットは、前記読み取り装置に対して循環運動をして通信が繰り返されることを特徴とする請求項1又は2記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記第1及び第2の発振回路は、切り替え手段で切り替えて使用する1つの共通発振回路により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記基準素子は、前記物理量の変化に対して前記電気的な特性値が一定の素子により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記物理量には、温度、圧力、応力、変位、加速度、電気量が含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−200079(P2007−200079A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18685(P2006−18685)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】