説明

ソレノイド電流制御装置およびソレノイド電流制御方法

【課題】ソレノイドの通電電流値を簡単な回路構成で高精度に検出するソレノイド電流制御装置を提供する。
【解決手段】ソレノイドの通電電流値がセンス抵抗を介してV/F変換器に入力され、V/F変換器からの出力パルスがカウンタ回路で計数されてパルス計数値が得られる。このパルス計数値はソレノイド電流の積分値に相当し、このパルス計数値を用いてPWM信号のデューティ比のフィードバック制御を行うことにより、ソレノイドの電流制御におけるソレノイドの平均電流値検出の精度を高めることが可能となる。また、電流値をパルス計数値に変換して制御する方式としたため、簡単な回路構成でソレノイド電流制御装置が実現可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソレノイド電流制御装置およびソレノイド電流制御方法に関し、特に、電磁弁の開度や車両変速機の油圧回路の駆動制御に用いるリニアソレノイドに流れる電流を制御する電流制御装置および電流制御方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の変速機などに使用されるリニアソレノイドの電流制御装置は、ソレノイドに流れる電流値を検出して、これが所望の電流値に一致するようにパルス幅変調信号(以下、PWM(Pulse Width Modulation)信号という。)を用いたフィードバック制御を行っている。
図4は、従来のソレノイド電流制御装置(例えば、特許文献1参照。)の一例を示すブロック図である。
図4のソレノイド電流制御装置は、MOSトランジスタM0に与えられるPWM信号のデューティ比を制御して、ソレノイドL0の平均通電電流値が指定電流値IDとなるようにするものである。制御回路30がPWM信号出力回路40にPWM信号のデューティ比を指示し、PWM信号出力回路40はその指示に従ってPWM信号を生成してMOSトランジスタM0に出力する。MOSトランジスタM0はソレノイドL0と直流電源Vbatの間に接続され、PWM信号に応じてオン・オフしてソレノイドL0と直流電源Vbatとを接続・遮断する。MOSトランジスタM0のオフ期間には、ソレノイドL0のフライホイール電流がダイオードD0を介してGNDに流れる。ソレノイドL0の通電経路には電流検出用のセンス抵抗R0が挿入され、通電電流に比例した電圧がセンス抵抗R0の両端に発生する。センス抵抗R0の両端電圧が増幅器50より増幅され、ノイズ除去用のフィルタ回路90を介してA/D変換器60に入力されることにより、ソレノイドL0の通電電流値がデジタル値に変換される。この変換値はRAM(記憶装置)70に記憶される。制御回路30は、A/D変換器60を介して随時RAM70に記憶された通電電流値(の変換値)を読み取る。制御回路30は、読み取った通電電流値と指定電流値IDとを比較演算処理することによりPWM信号のデューティ比に関する指令値を補正し、補正されたデューティ比をPWM信号出力回路40に指示する。
【0003】
図5は、図4におけるソレノイドL0の通電電流値の検出動作を説明するタイミングチャートである。図5において、(A)はPWM信号の波形、(B)はソレノイドの電流波形、を示す。
図5(A)において、PWM信号がHレベルの期間でMOSトランジスタM0がオンとなり、Lレベルの期間でMOSトランジスタM0はオフとなる。PWM信号の周期TにおけるMOSトランジスタM0のオン期間の比率をPWM信号のデューティ比という。このデューティ比でMOSトランジスタM0のオン期間を調整し、ソレノイドL0の通電電流量を制御する。
図5(B)において、MOSトランジスタM0が時刻t1でオンすると、ソレノイドL0は直流電源Vbatに接続され、その電流は最小電流値ILから増加する。一方、MOSトランジスタM0が時刻t2でオフすると、ソレノイドL0は直流電源Vbatから遮断され、その電流は最大電流値IHから減少する。
【0004】
このソレノイドL0の平均電流値の算出方法として、特許文献1では以下が開示されている。
PWM信号が立ち上がるt1時点の最小電流値をIL、PWM信号が立ち下がるt2時点の最大電流値をIHとして、平均の通電電流値Iを次式で算出する。
【0005】
【数1】

【0006】
ここで、Kdutyは以下の式に根拠を持つ値としている。
【0007】
【数2】

【0008】
なお、Kdutyは「0」から「1.0」の間の数値で、PWM信号のデューティ比や直流電源電圧VbatおよびソレノイドL0の抵抗値の変動に基づいて変化するため、数値をテーブル化しておき、演算時に検索する方式としている。
この算出されたソレノイドL0の通電電流値Iと外部から入力される指定電流値IDとの偏差を求め、それにPID制御則によるフィードバックゲインKFBを乗じて補正値ICを算出しフィードバック制御を行う。
しかし、この方式では、次のような問題点がある。
ソレノイドL0の実際の通電電流Iは、MOSトランジスタM0のオン・オフ動作に従い以下のように増減する。
まず、MOSトランジスタM0がオンの場合、ソレノイド電流Iは次式に従い増加する。
【0009】
【数3】

【0010】
但し、tは時間、Vbatは直流電源Vbatの電圧値(説明の簡素化のために、電源名と電圧値に同じ符号を付す。)、R01はMOSトランジスタM0のオン抵抗値とソレノイドL0の抵抗値とセンス抵抗R0の抵抗値の総和、LはソレノイドL0のインダクタンスである。また、ILはt=t1におけるソレノイド電流である。
また、MOSトランジスタM0がオフの場合、ソレノイド電流Iは次式に従い減少する。
【0011】
【数4】

【0012】
但し、R02はダイオードD0の抵抗値とソレノイドL0の抵抗値およびセンス抵抗R0の抵抗値の総和である。また、IHはt=t2におけるソレノイド電流である。
なお、数値計算を行う場合、簡単のためにダイオードD0のオン抵抗は無視してもよい。
上記(3)式、(4)式および図5に示したように、ソレノイド電流Iは、直線的ではなく指数関数的に変化しながら増減するため、最小値ILや最大値IHなどサンプリングした2箇所の検出電流値を用いて平均電流値を算出する方式(図5(B)の実線で示すソレノイド電流Iのカーブを一点差線で示す直線で近似する方式)では、実際の電流値との差異が大きく発生するという問題点がある。
また、ソレノイド電流Iは、(3)式や(4)式に示すように、直流電圧VbatやソレノイドL0などの関数となっている。ソレノイドL0の抵抗値は、周囲温度で変化することが知られており、電源電圧の変動やPWM信号のデューティ比の変動を含めた演算式の定数(Kduty)管理が非常に複雑になるという問題点がある。さらに、制御するソレノイド数が多くなると、定数(Kduty)管理はさらに大規模で煩雑となり、演算処理が間に合わなくなるなどの問題点も発生する。
【0013】
図6は、このような問題を改善し得る別の従来のソレノイドの電流制御装置(例えば、特許文献2参照。)の一例を示すブロック図である。
図6の回路構成における図4からの変更箇所は、A/D変換器60のデータ受け渡し用のRAM70とPWM信号のデータ受け渡し用のRAM80をそれぞれ独立に設けたことだけであり、図4と同じ機能の部位には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
制御方法に関する図6の図4に対する相違点は、平均電流値の算出方法である。すなわち、PWM信号の周期Tよりも短いA/D変換周期tm(但し、T/tmは整数)毎に、ソレノイドL0の電流値をデジタル値に変換し(周期T毎に2n個の変換値が得られる。)、データ受け渡し用RAM70に記憶する。この周期tm毎に記憶されたデジタル値を、PWM信号の周期T分取り込み算術平均し、ソレノイドL0の平均電流値Iaveを算出する。この平均電流値Iaveと指定電流値IDとの偏差EVを算出し、1回前の偏差をEVoldとする。そして、予め設定した制御ゲイン(比例ゲイン:KP、積分ゲイン:KI)をパラメータとする次式に基づき、PWM信号のデューティ比の補正値(補正されたデューティ比)Ddutyを求める。
【0014】
【数5】

【0015】
このデューティ比の補正値Ddutyが受け渡し用RAM80を介してPWM信号出力回路40に出力される。平均電流値Iaveからデューティ比の補正値Ddutyまでの算出とフィードバック制御処理を周期tm毎に継続的に実行することで、平均電流値を指定電流値に一致させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3085132号公報
【特許文献2】特許第4091163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図4に示す従来のソレノイド電流制御装置では、サンプリングした特定箇所の検出電流値を用いて平均電流値を算出しているため、ソレノイドに流れる正確な平均電流値を検出できないという問題点があった。また、平均電流値を算出する際に適用する演算式の定数(Kduty)管理が非常に複雑になるという問題点もあった。
また、図6に示す別の従来のソレノイド電流制御装置では、検出する平均電流値の精度は向上するが、平均電流値を実電流値へ近づけるためには、A/D変換周期tmをより短い周期に設定する必要がある。しかし、逆にA/D変換のデジタル値は膨大なデータ量となり、格納するRAM容量や制御回路が大規模になってしまうという問題点があった。さらに、制御するソレノイド数が多くなるとCPUの負荷も大きくなり、高速処理のCPUが必要になるという問題点もあった。
【0018】
本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記の問題を解決し、ソレノイドに流れる平均電流値を高精度に検出し、かつ、簡単な回路構成で実現できるソレノイド電流制御装置とソレノイド電流制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決する為に、請求項1記載のソレノイド電流制御装置によれば、ソレノイド、直流電源、スイッチ素子および前記ソレノイドに流れる電流を検出するためのセンス抵抗が直列に接続された直列回路と、前記スイッチ素子がオフしたときに前記直列回路の電流経路を確保するための還流素子と、一定周期のパルス信号であるPWM信号を前記スイッチ素子に与えて前記スイッチ素子のオン・オフを制御するPWM信号出力回路と、前記センス抵抗の両端電圧に対応して周波数が変化するパルス信号を出力するV/F変換器と、前記V/F変換器の出力パルス数を予め定めた期間で計数するカウンタ回路と、前記カウンタ回路のパルス計数値を用いて前記ソレノイドの平均電流値が指定電流値と一致するように前記PWM信号のデューティ比を制御する制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項2記載のソレノイド電流制御装置によれば、前記還流素子がダイオードであることを特徴とする。
また、請求項3記載のソレノイド電流制御装置によれば、前記還流素子が同期整流を行うスイッチ素子であることを特徴とする。
また、請求項4記載のソレノイド電流制御装置によれば、前記カウンタ回路のパルス計数期間を、前記PWM信号の一周期、あるいは、その整数倍とすることを特徴とする。
また、請求項5記載のソレノイド電流制御方法では、ソレノイドに流れる電流を一定周期のパルス信号であるPWM信号によりスイッチ素子をオン・オフして前記ソレノイドに流れる電流を制御するソレノイド電流制御方法であって、前記ソレノイドの電流値を該電流値に対応した周波数のパルス信号に変換するステップと、前記パルス信号を予め定めた期間で計数するステップと、前記パルス計数値を用いて前記ソレノイドの平均電流値が指定電流値と一致するように前記PWM信号のデューティ比を制御するステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ソレノイドの通電電流値がセンス抵抗を介してV/F変換器とカウンタ回路でパルス計数値に変換され、このパルス計数値で指定電流値と一致するようにPWM信号のデューティ比の補正をフィードバック制御することで、ソレノイドの平均電流値を高精度に検出し電流制御が可能となる。また、電流値をパルス計数値に変換して制御する方式としたため、簡単な回路構成で高精度のソレノイド電流制御装置が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態に係るソレノイド電流制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】この発明の実施の形態に係るソレノイド電流制御装置の回路構成で、スイッチ回路に同期整流型を適用した場合を示す回路である。
【図4】従来のソレノイド電流制御装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す従来の実施例の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】従来のソレノイド電流制御装置の回路構成の別の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るソレノイド電流制御装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明に係るソレノイド電流制御装置の回路構成例を示すブロック図である。図4に示す従来回路例と同じ部位には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
ソレノイドL0を通電する直流電源VbatとGND電源間に、MOSトランジスタM0とダイオードD0が直列に接続され、スイッチ回路を構成している。スイッチ回路は、PWM信号出力回路40によりそのオン・オフ動作が制御されて、ソレノイドL0に流れる電流の平均値が指定電流値IDになるように機能する。ソレノイドL0の電流経路には電流検出用のセンス抵抗R0が挿入され、抵抗R0の両端に電流値に比例した電圧値が生成される。このセンス抵抗R0の両端電圧はV/F変換器10に入力され、入力電圧、すなわちソレノイドL0に流れる電流に応じた周波数のパルス信号を出力する。このパルス信号はカウンタ回路20へ入力され、PWM信号の1周期Tのパルス数を計数する。パルス計数値Ncは制御回路30へ入力され、制御回路30はこの入力値と指定電流値IDとの比較演算を行ってPWM信号のデューティ比の補正値(補正されたデューティ比)を算出する。この補正値は、PWM信号出力回路40を介しスイッチ回路へフィードバックされ、ソレノイドL0の平均通電電流値が指定電流値IDと一致するように制御する。また、制御回路30は、PWM信号の周期Tに同期したリセット信号Resetをカウンタ回路20に出力し、パルス信号の計数動作を制御する。
【0024】
図2は、図1に示す実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。図2において、(A)はPWM信号の波形、(B)はソレノイドの電流波形、(C)はV/F変換器のパルス信号出力波形、(D)はカウンタ回路のパルス計数動作の概要、(E)はカウンタ回路のリセット信号波形である。図2を参照して、本発明における電流制御方法について説明する。
図2(A)、(B)は、従来技術で説明した図5(A)、(B)と同じであり、詳細な説明は省略する。
なお、図2(B)において、ソレノイドの電流波形は、センス抵抗R0の両端電圧の波形と同一となる。このセンス抵抗R0の両端電圧がV/F変換器10に入力され、V/F変換器10は入力電圧に応じた周波数のパルス信号を出力する。
【0025】
図2(C)に示すように、MOSトランジスタM0が時刻t1でオンするとV/F変換器10の入力電圧は最小電圧VLから上昇し、出力パルス信号の周波数は最低周波数fLから次第に高くなる。一方、MOSトランジスタM0が時刻t2でオフするとV/F変換器10の入力電圧は最大電圧VHから下降し、出力パルス信号の周波数は最高周波数fHから次第に低くなる。このV/F変換器10の出力周波数特性を、次の(6)式で示すように、ソレノイド電流に比例して増減するように設定する。
なお、変数および定数を次のように設定する。
ソレノイド電流:I[A]、V/F変換器の出力周波数:fout[Hz]、カウンタ回路の出力:Nc、PWM信号の周期:T[sec]、ソレノイド電流の最大値:Imax[A]、カウンタ回路のビット数:N[bit]。
【0026】
【数6】

【0027】
図2(D)、(E)に示すように、カウンタ回路20は、PWM信号の1周期Tの期間毎に、V/F変換器10の出力パルス信号数を計数する。なお、カウンタ回路20のパルス計数動作は、PWM信号の周期Tに同期してリセットされる。このカウンタ回路20のパルス計数値であるカウンタ出力Ncは、次式のようになる。
【0028】
【数7】

【0029】
すなわちカウンタ出力Ncは、ソレノイドL0の通電電流IをPWM信号の1周期に渡り積分した値に比例する数値となる。例えば、ソレノイド電流IがImax(最大電流)で直流であった場合は、以下のようにカウンタ出力Ncはフルになる。
【0030】
【数8】

【0031】
上述のように、V/F変換器10の出力パルス信号を計数したカウンタ回路20のカウンタ出力Ncは、ソレノイドL0の通電電流IをPWM信号の1周期のT期間積分した値に比例した数値となる。これにより、ソレノイドL0の平均電流値Iaveは、次式に示すように算出が可能となる。
【0032】
【数9】

【0033】
上記(9)式に従い制御回路30は、カウンタ出力値Ncより平均電流値Iaveを算出し、指定電流値IDと平均電流値Iaveとの偏差をPID則により適宜演算処理し、その結果をPWM信号のデューティ比の補正値としてPWM信号出力回路40を介してMOSトランジスタM0にフィードバックして、ソレノイドL0の平均通電電流値が指定電流値IDと一致するように制御する。
以上説明したように本発明によれば、従来技術で課題であったソレノイドの平均電流値を正確に検出できない、また、検出精度を上げるには大規模な回路構成が必要となる、あるいは、平均電流値の算出方法が非常に複雑となる、などを解決するソレノイド電流検出装置を実現できる。すなわち本発明は、V/F変換器10とカウンタ回路20を設けることにより、PWM信号の1周期間のソレノイドL0の通電電流の積分量をパルス計数値に変換して検出する。これにより本発明は、非常に簡単な回路構成で正確な平均電流値が検出可能となり、高精度なフィードバック制御が実現できる。
【実施例2】
【0034】
つぎに、こうしたソレノイド電流制御装置として、スイッチング素子に同期整流方式を適用した場合の実施例とその動作について説明する。
図3は、本実施例のソレノイド電流制御装置の構成を示すブロック図である。
ソレノイドL0を通電する直流電源VbatとGND電源間に、MOSトランジスタM0とMOSトランジスタM1が直列に接続され、スイッチ回路を構成する。スイッチ回路は、PWM信号出力回路40により制御され、MOSトランジスタM0とM1は相補的にオン・オフ動作し(一方がオンの時、他方はオフする。)、ソレノイドL0の平均電流値が指定電流値になるようにソレノイドL0の通電を制御する。本実施例のMOSトランジスタM1は、実施例1のダイオードD0の順方向電圧ドロップによる電力損を対策するために、ダイオードD0に換えて設けられたものである。MOSトランジスタM1は、MOSトランジスタM0と相補的にオン・オフすることにより、ダイオードD0と同じ機能を果たす。以下、ソレノイドL0の通電電流の検出と制御方法については実施例1と同じであり省略する。
【0035】
さらに、実施の形態に係るソレノイド電流制御装置の回路構成例として示した図1から図3においては、パルス計数動作をPWM信号の1周期T期間としたが、PWM信号周期Tの整数倍の期間に設定してもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 V/F変換器(電圧周波数変換器)
20 カウンタ回路
30 制御回路(CPU)
40 PWM信号出力回路(周波数変調信号出力回路)
50 増幅器(オペアンプ)
60 A/D変換器(アナログデジタル変換器)
70、80 RAM(記憶装置)
90 フィルタ回路
D0 ダイオード
GND 接地電源端子
I、Iave、ID、IL、IH ソレノイドの電流値
L0 ソレノイド
M0、M1 スイッチ素子(MOSトランジスタ)
Nc カウンタ回路の出力信号
Reset カウンタ回路のリセット信号
R0 抵抗
T PWM信号の周期
Vbat 直流電源またはその電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイド、直流電源、スイッチ素子および前記ソレノイドに流れる電流を検出するためのセンス抵抗が直列に接続された直列回路と、
前記スイッチ素子がオフしたときに前記直列回路の電流経路を確保するための還流素子と、
一定周期のパルス信号であるPWM信号を前記スイッチ素子に与えて前記スイッチ素子のオン・オフを制御するPWM信号出力回路と、
前記センス抵抗の両端電圧に対応して周波数が変化するパルス信号を出力するV/F変換器と、
前記V/F変換器の出力パルス数を予め定めた期間で計数するカウンタ回路と、
前記カウンタ回路のパルス計数値を用いて前記ソレノイドの平均電流値が指定電流値と一致するように前記PWM信号のデューティ比を制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とするソレノイド電流制御装置。
【請求項2】
前記還流素子がダイオードであることを特徴とする請求項1記載の電流制御装置。
【請求項3】
前記還流素子が同期整流を行うスイッチ素子であることを特徴とする請求項1記載のソレノイド電流制御装置。
【請求項4】
前記カウンタ回路のパルス計数期間を、前記PWM信号の一周期、あるいは、その整数倍とすることを特徴とする請求項1ないし3記載のソレノイド電流制御装置。
【請求項5】
ソレノイドに流れる電流を一定周期のパルス信号であるPWM信号によりスイッチ素子をオン・オフして前記ソレノイドに流れる電流を制御するソレノイド電流制御方法であって、
前記ソレノイドの電流値を該電流値に対応した周波数のパルス信号に変換するステップと、
前記パルス信号を予め定めた期間で計数するステップと、
前記パルス計数値を用いて前記ソレノイドの平均電流値が指定電流値と一致するように前記PWM信号のデューティ比を制御するステップと、
を備えたことを特徴とするソレノイド電流制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−258146(P2010−258146A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105093(P2009−105093)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】