説明

ターボチャージャーの可変ノズル制御装置

【課題】モータに対する連続通電により、モータが焼損してしまうことを防止することができるターボチャージャーの可変ノズル制御装置を提供する。
【解決手段】モータの回転軸の回転角度を検出する角度センサと、エンジン制御装置から出力される目標位置信号をモータの回転角度に変換する角度変換手段と、角度センサの出力値と角度変換手段の出力値とを比較して得られる偏差に基づいて、PID制御によりモータの回転角度を制御するモータ制御手段と、偏差を時間で積分した値を累計し、該累計値が所定値を超えた場合に、偏差を時間で積分した値をリセットしてPID制御を行うことにより、モータに対する連続通電を回避する積分項リセット手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されたターボチャージャーの可変ノズルのベーンの開度をエンジン制御装置からの制御信号によって、電子制御アクチュエータで制御するターボチャージャーの可変ノズル制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術に於ける一例としては特許文献1に開示された内燃機関の可変ノズルターボチャージャー制御装置が知られている。図4は、従来技術による可変ノズルターボチャージャー制御装置の構成を示す図である。図4において、1はターボチャージャーであって、センターハウジング、コンプレッサハウジング及びタービンハウジングを備えている。ターボチャージャー1には、空気が導入される吸気入口1aと、ターボチャージャー1によって圧縮された空気をエンジン2に供給する圧縮空気供給孔1bとが設けられ、更に、エンジン2から排気が供給される排気ガス吸入口1cと、排気ガスを排出する排出口1dとが設けられている。ターボチャージャー1内に備えられた可変ノズル(図示せず)は、センターハウジングとタービンハウジングとの間に配設されている。
【0003】
3はステッピングモータであり、このステッピングモータ3の駆動により操作片4が操作され、可変ノズルに備えたリングプレートを同方向に押圧し、相互の可変ノズルのベーン間の隙間の大きさを調整し、タービンホイールへ吹き付けられる排気ガスの流速が調節される。5はエンジンのECU(電子制御ユニット)であり、エンジンに設けられた各種のセンサの検出出力を入力し、これらの検出出力に基づいて、エンジンの運転状態を識別してステッピングモータ3を駆動制御し、これによって、可変ノズルの各ノズルのベーンの開度を開閉制御し、タービンホイールへ吹き付けられる排気ガスの流速を調節し、併せて、燃焼のために強制的に送り込まれる空気の量も調整される。6はラジエターであり、エンジン2に接続され、エンジン2の冷却水が該ラジエター6を循環して冷却される。
【0004】
この従来技術によれば、内燃機関の可変ノズルターボチャージャー制御装置の異常発生時又は冷間始動時、若しくはアイドル時には、可変ノズルの全開位置を可変ノズルの初期位置として設定することにより全開位置近傍での各ノズルベーンの位置制御を行なうことができる。
【0005】
また、電子制御アクチュエータの出力軸に外乱となる振動等が加わると出力軸の実位置は、外乱振幅に従い変化するので、電子制御回路部に於ける演算に用いる偏差も追従して振幅し、出力軸の振幅を増大させ最終的には制御が発散してしまうという問題を解決することができるターボチャージャーの可変ノズル制御装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。このターボチャージャーの可変ノズル制御装置は、出力軸に加わった振動がPID演算部に入力されるが、角度センサからの実出力軸の角度信号と角度信号変換手段からの出力軸の目標角度信号とを比較して、出力軸の実角度信号が目標角度信号近傍に到達したと判断された場合、PID演算に用いる微分項利得を制限し、モータ駆動出力に与える振動成分の影響を低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−107738号公報
【特許文献2】特開2007−085281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2に示すターボチャージャーの可変ノズル制御装置は、何らか影響でPID制御による目標位置の制御が達成できない状態が発生した場合、モータが焼損しないようにモータへの通電を停止して保護するようになっている。
【0008】
しかしながら、モータへの通電を完全に停止してしまうと、目標位置の制御が達成できない状態が一時的なものであり、通常の制御動作を行うことができる状態に復帰した場合、本来の目標位置の制御が行えないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、モータに対する連続通電により、焼損してしまうことを防止するとともに、目標位置の制御が達成できない状態が一時的なものであり、通常の制御動作を行うことができる状態に復帰した場合、本来の目標位置の制御動作に速やかに戻ることができるターボチャージャーの可変ノズル制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、可変ノズルを持つターボチャージャーを備えたエンジンの駆動を制御するエンジン制御装置からの制御信号に基づいてモータの回転軸の回転角度を制御することにより前記ターボチャージャーが備える可変ノズルのベーンの開度を制御する電子制御アクチュエータを備えたターボチャージャーの可変ノズル制御装置であって、前記モータの回転軸の回転角度を検出する角度センサと、前記エンジン制御装置から出力される目標位置信号を前記モータの回転角度に変換する角度変換手段と、前記角度センサの出力値と前記角度変換手段の出力値とを比較して得られる偏差に基づいて、PID制御により前記モータの回転角度を制御するモータ制御手段と、前記偏差を時間で積分した値を累計し、該累計値が所定値を超えた場合に、前記偏差を時間で積分した値をリセットして前記PID制御を行うことにより、前記モータに対する連続通電を回避する積分項リセット手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記積分項リセット手段により前記偏差を時間で積分した値をリセットする動作が連続して所定回数実施された場合に、前記モータ制御手段は、前記モータに対する通電を制限することを特徴とする。
【0012】
本発明は、可変ノズルを持つターボチャージャーを備えたエンジンの駆動を制御するエンジン制御装置からの制御信号に基づいてモータの回転軸の回転角度を制御することにより前記ターボチャージャーが備える可変ノズルのベーンの開度を制御するために、前記モータの回転軸の回転角度を検出する角度センサを有する電子制御アクチュエータを備えたターボチャージャーの可変ノズル制御装置上で動作する可変ノズル制御プログラムであって、前記エンジン制御装置から出力される目標位置信号を前記モータの回転角度に変換する角度変換ステップと、前記角度センサの出力値と前記角度変換手段の出力値とを比較して得られる偏差に基づいて、PID制御により前記モータの回転角度を制御するモータ制御ステップと、前記偏差を時間で積分した値を累計し、該累計値が所定値を超えた場合に、前記偏差を時間で積分した値をリセットして前記PID制御を行うことにより、前記モータに対する連続通電を回避する積分項リセットステップとをコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記積分項リセットステップにより前記偏差を時間で積分した値をリセットする動作が連続して所定回数実施された場合に、前記モータ制御ステップは、前記モータに対する通電を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、モータに対する連続通電状態が継続する事態を回避することができるため、モータが焼損してしまうことを防止することができる。また、目標位置の制御が達成できない状態が一時的なものであり、通常の制御動作を行うことができる状態に復帰した場合、本来の目標位置の制御動作に速やかに戻ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示す電子制御アクチュエータ13の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すマイコン130の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】ターボチャージャーの可変ノズル制御装置の従来例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態によるターボチャージャーの可変ノズル制御装置を説明する。図1は同実施形態の構成を示す構成図である。この図において、8はターボチャージャーであって、エンジンへの吸入空気を過給するシステムであり、コンプレッサホイールを有するコンプレッサ及び該コンプレッサと同軸上にロータシャフトにより結合されて、排気ガスにて回転駆動される該ターボチャージャー8のタービンホイールを有するタービンが設けられている。該ターボチャージャー8の空気通路7にはエンジンの吸入空気の吸気圧力、つまり、ブースト圧を検出する圧力センサ9をホース10を介して接続している。また、ターボチャージャー8のタービン内には、タービンホイールを取巻くように、可変ノズル部材が配置されている。可変ノズル部材には、ノズル内を流れる流体の流量を制御するために、開閉するベーンが備えられている。可変ノズル制御装置は、このベーンの開閉を制御するものである。
【0017】
11はエンジンECUであって、エンジンに設けられた各種センサ、例えばエンジン水温を検出するための水温センサ、エンジンの回転数を検出するためのものであって、一定のクランク角度毎にパルス信号を出力する回転数センサ、エアフローメーターによる吸入空気量やドライバーのアクセルペダルの踏込み操作量を検出して負荷量を算出するアクセルセンサから、それぞれ水温信号、回転信号及び負荷信号の検出出力を導入する。なお、図1には示していないが、その他、排気ガスの酸素濃度に応じて異なる電圧信号を出力する酸素センサ、エンジン燃焼室内の圧力を検出するための筒内圧センサを備えることもある。
【0018】
電子制御アクチュエータ13は、制御信号線を介してエンジンECU11に接続されている。エンジンECU11は、検出出力に基づいてエンジンの運転状態を識別して、制御信号線を介して、電子制御アクチュエータ13を駆動制御する。電子制御アクチュエータ13は、レバー19及びロッド20を連結しており、その動作により、ターボチャージャー8に備えたベーンの開閉を制御するために、各ベーンに連結されたベーン操作片21の動作を制御する。
【0019】
なお、電子制御アクチュエータ13は、例えば、ターボチャージャー8に取付けられる。また、電子制御アクチュエータ13の構成を図1、図2を参照して説明するに際して、電子制御アクチュエータ13が普通に有する公知の機能・構成については、本発明の説明に直接関わりがない限り、その説明及び構成の図示を省略する。
【0020】
次に、図2を参照して、図1に示す電子制御アクチュエータ13の詳細な構成を説明する。図2は、図1に示す電子制御アクチュエータ13の詳細な構成を示すブロック図である。図2において、130は、電子制御アクチュエータ13の動作を統括して制御するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)である。14は、マイコン130から出力する駆動信号に基づいて、ステッピングモータ(以下、モータという)15を駆動するモータドライバである。モータ15は、モータドライバ14から出力する信号に基づいて回転角度が制御されるステッピングモータである。16は、モータ15の回転軸に接続され、モータの回転軸を減速するギヤである。17は、ギヤ16によって減速された出力軸である。18は、出力軸17の回転角度を検出して出力する角度センサである。角度センサ18の出力は、マイコン130へ入力する。
【0021】
131は、エンジンECU11から出力されるベーンの目標位置(開度)信号を入力し、この目標位置信号をマイコン130内で扱う角度信号に変換して出力する角度信号変換部である。132は、角度信号変換部131が出力する目標位置の角度信号と、角度センサ18が出力する角度信号(現在のベーンの角度(開度))とを比較して、比較結果信号を出力する角度信号比較部である。133は、角度信号比較部132が出力する比較結果信号を入力して、モータに与えるべき信号のデューティ比を演算によって求めて出力するモータ駆動Duty演算部である。134は、モータ駆動Duty演算部133が出力するデューティ比の信号を入力して、モータに与えるべきロジック信号を求めて出力するモータ駆動ロジック生成部である。135は、角度センサ18が出力する角度信号をエンジンECU11へ送信するための通信信号に変換して出力する通信信号変換部である。通信信号変換部135が出力する角度の情報が現在のベーンの実位置情報となる。
【0022】
136は、目標位置への制御が達成できたか否かを判定するために、制御対象のベーンの位置(開度)は目標位置に到達したか否かを判定する目標位置到達判定部である。137は、モータ駆動Duty演算部133が出力する積分項の値の累積値を演算によって求める累積値演算部である。138は、目標位置への制御が達成できない状態を解除するために繰り返し制御動作を実行するリトライ制御部である。139は、目標位置への制御が達成できない状態が解除されない場合に、モータ15に対する通電を制限するための信号を出力する焼損防止制御信号生成部である。
【0023】
次に、図2を参照して、図2に示す電子制御アクチュエータ13の基本動作を説明する。エンジンECU11から目標位置信号が出力されると、角度信号変換部131は、目標位置信号をマイコン130内で扱う角度信号に変換して出力する。角度信号比較部132は、角度信号変換部131が出力する目標位置の角度信号と、角度センサ18が出力する角度信号(現在のベーンの角度)とを比較して、現在のベーンの角度を目標位置にするべくモータ駆動のデューティを演算によって求めて出力する。これを受けて、モータ駆動ロジック生成部134は、モータ駆動Duty演算部133が出力するデューティの信号を入力して、モータドライバ14に与えるべきロジック信号(モータ駆動信号)を求めて出力する。
【0024】
モータドライバ14は、モータ駆動ロジック生成部134から出力されるモータ駆動信号に基づいてモータ15を駆動する。モータの回転軸は、ギヤ16によって減速されて、出力軸17に伝達する。出力軸17の回転運動は、レバー19、ロッド20を介して、ベーン操作片21へ伝達する。ベーン操作片21が、出力軸17と連動して動作することにより、ノズルベーンの開閉制御動作が行われることになる。一方、角度センサ18が検出した出力軸17の回転角度の情報は、通信信号変換部135を経由して、エンジンECU11へ通知される。エンジンECU11は、この出力軸の回転角度(ノズルベーンの開度)情報を参照して、ターボチャージャー8の動作の制御を行う。
【0025】
このように、角度センサ18により可変ノズルのベーンに連結された出力軸17の回転角度を検出して出力軸17の実角度信号を出力し、角度信号変換部131によりエンジンECU11からの可変ノズルのベーンの開度指示(目標位置信号)を出力軸17の目標角度信号に変換し、この両信号を比較して該両信号の差に応じて、出力軸17の回転角度を制御することにより、可変ノズルのベーンが目標位置になるように制御されることになる。
【0026】
次に、図3を参照して、図2に示すマイコン130がモータに対する連続通電状態が継続する事態を回避する動作を説明する。図3は、図2に示すマイコン130がモータに対する連続通電状態が継続する事態を回避する動作を示すフローチャートである。まず、目標位置到達判定部136は、角度信号比較部132が出力する偏差の信号を入力し、この偏差の値を参照して、目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS1)。この判定の結果、目標位置に到達していれば、waitフラグ、焼損防止フラグ、リトライカウンタをリセットする(ステップS2)。一方、目標位置に到達していなければ、モータ駆動Duty演算部133は、目標位置に到達するようにモータ駆動のデューティを演算によって求めてモータ駆動ロジック生成部134へ出力する。これと並行して、累積値演算部137は、積分項(偏差を時間で積分した値;I項)の累積計算を行う(ステップS3)。
【0027】
次に、リトライ制御部138は、焼損防止フラグが0(リセット状態)であるか否かを判定する(ステップS4)。この判定の結果、焼損防止フラグが0であれば、リトライ制御部138は、累積値演算部137が出力する積分項の累積値が最大値であるか否かを判定する(ステップS5)。この判定の結果、積分項の累積値が最大値でなければ、リトライ制御部138は、waitフラグを0にする(ステップS6)。一方、積分項の累積値が最大値であれば、リトライ制御部138は、5秒間待機した(ステップS7)後に、waitフラグを1(セット状態)にする(ステップS8)。
【0028】
次に、リトライ制御部138は、waitフラグが1であるか否かを判定し(ステップS9)、waitフラグが1であれば、waitフラグを0にして(ステップS10)、累積値演算部137内に保持されている積分項の累積値をリセットする(ステップS11)。そして、リトライ制御部138は、リトライカウンタが3であるか否かを判定し(ステップS12)、リトライカウンタが3でなければリトライカウンタの値をインクリメント(+1)する(ステップS13)。一方、リトライカウンタが3であれば、リトライ制御部138は、焼損防止フラグを1にして(ステップS14)、リトライカウンタをリセットする(ステップS15)。
【0029】
次に、リトライ制御部138は、ステップS4において焼損防止フラグが0でなければ、累積値演算部137内に保持されている積分項の累積値をリセットする(ステップS16)。そして、リトライ制御部138は、焼損防止フラグが1であるか否かを判定する(ステップS17)。この判定の結果、焼損防止フラグが1でなければ、ステップS1に戻って、前述した処理動作を繰り返す。一方、焼損防止フラグが1であれば、リトライ制御部138は、焼損防止制御信号生成部139に対して、モータに対する通電を制限する指示する信号を出力する。これを受けて、焼損防止制御信号生成部139は、モータ駆動ロジック生成部134に対して、モータに対する通電を制限する(例えばDutyを10%に制限する)信号を出力する(ステップS18)。モータ駆動ロジック生成部134は、モータに対する通電を制限する信号を受けると、モータドライバ14に対して、常にDutyが例えば10%になるように通電を行う駆動信号を出力する。これにより、モータ15に対する通電が制限されることになる。そして、ステップS1に戻って、前述した処理動作を繰り返す。
【0030】
このように、目標位置制御が達成できなかった場合に、偏差を時間で積分した値である積分項が最大値になるまで待って、最大値になった時点で、この積分項をリセットするようにしたため、目標位置制御を達成するためにモータ15に対して連続通電されてしまうことを防止することができる。また、積分項をリセットする動作を数回繰り返しても目標位置制御が達成できない状態が続いた場合には、モータ15に対する通電を制限するようにしたため、モータ15が焼損してしまうことを防止することができる。
【0031】
例えば、図1に示すレバー19、ロッド20及びベーン操作片21で構成するリンク構造のどこかに異物が挟まって、ノズルベーンの位置制御が行えない場合などに、前述した処理動作を実施することにより、モータ15が焼損してしまうことを防止することができる。リンク構造のどこかに異物が挟まった状態で、ノズルベーンの位置制御が行えない場合に、モータ15に対する通電を完全に停止してしまうと、自動車の走行中に振動等によって異物が除去されても通常の位置制御に復帰することができない。しかし、前述したように、本発明によれば位置制御が達成できない場合であってもモータ15が焼損しない程度で通電しておくことにより、位置制御が達成できない原因がなくなった場合に、通常の位置制御動作に速やかに復帰することができる。
【0032】
なお、図2に示すマイコン130の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより可変ノズル制御処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0033】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
11・・・エンジンECU、13・・・電子制御アクチュエータ、130・・・マイクロコンピュータ(マイコン)、131・・・角度信号変換部、132・・・角度信号比較部、133・・・モータ駆動Duty演算部、134・・・モータ駆動ロジック生成部、135・・・通信信号変換部、136・・・目標位置到達判定部、137・・・累積値演算部、138・・・リトライ制御部、139・・・焼損防止制御信号生成部、14・・・モータドライバ、15・・・モータ、16・・・ギヤ、17・・・出力軸、18・・・角度センサ、19・・・レバー、20・・・ロッド、21・・・ベーン操作片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変ノズルを持つターボチャージャーを備えたエンジンの駆動を制御するエンジン制御装置からの制御信号に基づいてモータの回転軸の回転角度を制御することにより前記ターボチャージャーが備える可変ノズルのベーンの開度を制御する電子制御アクチュエータを備えたターボチャージャーの可変ノズル制御装置であって、
前記モータの回転軸の回転角度を検出する角度センサと、
前記エンジン制御装置から出力される目標位置信号を前記モータの回転角度に変換する角度変換手段と、
前記角度センサの出力値と前記角度変換手段の出力値とを比較して得られる偏差に基づいて、PID制御により前記モータの回転角度を制御するモータ制御手段と、
前記偏差を時間で積分した値を累計し、該累計値が所定値を超えた場合に、前記偏差を時間で積分した値をリセットして前記PID制御を行うことにより、前記モータに対する連続通電を回避する積分項リセット手段と
を備えたことを特徴とするターボチャージャーの可変ノズル制御装置。
【請求項2】
前記積分項リセット手段により前記偏差を時間で積分した値をリセットする動作が連続して所定回数実施された場合に、前記モータ制御手段は、前記モータに対する通電を制限することを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャーの可変ノズル制御装置。
【請求項3】
可変ノズルを持つターボチャージャーを備えたエンジンの駆動を制御するエンジン制御装置からの制御信号に基づいてモータの回転軸の回転角度を制御することにより前記ターボチャージャーが備える可変ノズルのベーンの開度を制御するために、前記モータの回転軸の回転角度を検出する角度センサを有する電子制御アクチュエータを備えたターボチャージャーの可変ノズル制御装置上で動作する可変ノズル制御プログラムであって、
前記エンジン制御装置から出力される目標位置信号を前記モータの回転角度に変換する角度変換ステップと、
前記角度センサの出力値と前記角度変換手段の出力値とを比較して得られる偏差に基づいて、PID制御により前記モータの回転角度を制御するモータ制御ステップと、
前記偏差を時間で積分した値を累計し、該累計値が所定値を超えた場合に、前記偏差を時間で積分した値をリセットして前記PID制御を行うことにより、前記モータに対する連続通電を回避する積分項リセットステップと
をコンピュータに行わせることを特徴とする可変ノズル制御プログラム。
【請求項4】
前記積分項リセットステップにより前記偏差を時間で積分した値をリセットする動作が連続して所定回数実施された場合に、前記モータ制御ステップは、前記モータに対する通電を制限することを特徴とする請求項3に記載の可変ノズル制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−223036(P2010−223036A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69665(P2009−69665)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】