説明

ダイシング・ダイボンドフィルム

【課題】ワークが薄型の場合にも、ワークをダイシングする際の保持力と、ダイシングにより得られるチップ状ワークをそのダイボンドフィルムと一体に剥離する際の剥離性とのバランス特性に優れるダイシング・ダイボンドフィルムを提供する。
【解決手段】基材上に粘着剤層を有するダイシングフィルムと、ダイシングフィルム上に設けられたダイボンドフィルムとを有するダイシング・ダイボンドフィルムであって、粘着剤層は、10〜30mol%のヒドロキシル基含有モノマーを含むアクリル系ポリマーに、ヒドロキシル基含有モノマーに対し70〜90mol%の範囲内のラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を付加反応させたポリマーと、ヒドロキシル基に対し反応性を示す官能基を分子中に2個以上備え、かつ、ポリマー100重量部に対し含有量が2〜20重量部の架橋剤を含み、ダイボンドフィルムはエポキシ樹脂を含み構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状ワーク(半導体チップ等)と電極部材とを固着するための接着剤を、ダイシング前にワーク(半導体ウエハ等)に付設した状態で、ワークのダイシングに供するダイシング・ダイボンドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
回路パターンを形成した半導体ウェハ(ワーク)は、必要に応じて裏面研磨により厚さを調整した後、半導体チップ(チップ状ワーク)にダイシングされる(ダイシング工程)。ダイシング工程では、切断層の除去のため半導体ウェハを適度な液圧(通常、2kg/cm程度)で洗浄するのが一般的である。次いで、前記半導体チップを接着剤にてリードフレームなどの被着体に固着(マウント工程)した後、ボンディング工程に移される。前記マウント工程においては、接着剤をリードフレームや半導体チップに塗布していた。しかし、この方法では接着剤層の均一化が困難であり、また接着剤の塗布に特殊装置や長時間を必要とする。このため、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、マウント工程に必要なチップ固着用の接着剤層をも付与するダイシング・ダイボンドフィルムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のダイシング・ダイボンドフィルムは、支持基材上に接着剤層を剥離可能に設けてなるものである。すなわち、接着剤層による保持下に半導体ウェハをダイシングしたのち、支持基材を延伸して半導体チップを接着剤層とともに剥離し、これを個々に回収してその接着剤層を介してリードフレームなどの被着体に固着させるようにしたものである。
【0004】
この種のダイシング・ダイボンドフィルムの接着剤層には、ダイシング不能や寸法ミスなどが生じないように、半導体ウェハに対する良好な保持力と、ダイシング後の半導体チップを接着剤層と一体に支持基材から剥離しうる良好な剥離性が望まれる。しかし、この両特性をバランスさせることは決して容易なことではなかった。特に、半導体ウェハを回転丸刃などでダイシングする方式などのように、接着剤層に大きな保持力が要求される場合には、上記特性を満足するダイシング・ダイボンドフィルムを得ることは困難であった。
【0005】
そこで、このような問題を克服するために、種々の改良法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、支持基材と接着剤層との間に紫外線硬化が可能な粘着剤層を介在させ、これをダイシング後に紫外線硬化して、粘着剤層と接着剤層との間の接着力を低下させ、両者間の剥離により半導体チップのピックアップを容易にする方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、この改良法によっても、ダイシング時の保持力とその後の剥離性とをうまくバランスさせたダイシング・ダイボンドフィルムとすることは困難な場合がある。例えば、10mm×10mm以上の大型の半導体チップを得る場合には、その面積が大きいことから、一般のダイボンダーでは容易に半導体チップをピックアップすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−57642号公報
【特許文献2】特開平2−248064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、基材上に粘着剤層を有するダイシングフィルムと、当該粘着剤層上に設けられたダイボンドフィルムとを有するダイシング・ダイボンドフィルムであって、半導体ウェハが薄型の場合にも、当該薄型ワークをダイシングする際の保持力と、ダイシングにより得られる半導体チップをそのダイボンドフィルムと一体に剥離する際の剥離性とのバランス特性に優れるダイシング・ダイボンドフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、ダイシング・ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、ダイシングフィルムの粘着剤層中に含まれる架橋剤の添加量を制御することにより引張弾性率を調整し、これによりダイシングの際の保持力を維持しつつ、ピックアップの際の剥離性を向上させることができることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、前記の課題を解決する為に、基材上に粘着剤層を有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルム上に設けられたダイボンドフィルムとを有するダイシング・ダイボンドフィルムであって、前記粘着剤層は、10〜30mol%のヒドロキシル基含有モノマーを含むアクリル系ポリマーに、前記ヒドロキシル基含有モノマーに対し70〜90mol%の範囲内のラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を付加反応させたポリマーと、ヒドロキシル基に対し反応性を示す官能基を分子中に2個以上備え、かつ、前記ポリマー100重量部に対し含有量が2〜20重量部の架橋剤とを含み、前記ダイボンドフィルムはエポキシ樹脂を含み構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明のダイシングフィルムにおいては、ヒドロキシル基に対し反応性を示す官能基を分子中に2個以上備えた架橋剤を必須成分として含有しており、この架橋剤の添加量を制御することにより、ダイシングの際の保持力を維持しつつ良好なピックアップ性が可能になる様に引張弾性率を調整するものである。即ち、本発明の架橋剤は、前記ポリマー100重量部に対し含有量が2重量部以上含むので、紫外線照射後の架橋が不十分となるのを抑制し、ダイシングの際に粘着剤層上に貼り付けられるダイシングリングに対し、糊残りが発生するのを防止する。また、半導体チップのピックアップ性が低下するのを防止する。その一方、前記含有量は20重量部以下であるので、ダイシングの際のチップ飛びを防止することができる。
【0012】
また、ヒドロキシル基含有モノマーの含有量を10mol%以上にすることにより、紫外線照射後の架橋が不足するのを抑制する。その結果、例えばダイシングの際に粘着剤層上に貼り付けられるダイシングリングに対し、糊残りが発生するのを防止できる。その一方、前記含有量を30mol%以下にすることにより、粘着剤の極性が高くなりダイボンドフィルムとの相互作用が高くなることにより剥離が困難になりピックアップ性が低下するのを防止することができる。
【0013】
更に、本発明に於いては、多官能性モノマーに代えてラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を採用するので、その多官能性モノマーがダイボンドフィルム中に物質拡散をすることがない。その結果、ダイシングフィルムとダイボンドフィルムの境界面が消失するのを防止し、一層良好なピックアップ性を可能にする。
【0014】
前記ヒドロキシル基含有モノマーは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、及び(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも何れか1種であることが好ましい。
【0015】
前記ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート又は2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの少なくとも何れかであることが好ましい。
【0016】
更に、前記粘着剤層はアクリル酸を含まないことが好ましい。これにより、粘着剤層とダイボンドフィルムの反応や相互作用を防止することができ、ピックアップ性の一層の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の一形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る他のダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図3】前記ダイシング・ダイボンドフィルムに於けるダイボンドフィルムを介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(ダイシング・ダイボンドフィルム)
本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。図2は、本実施の形態に係る他のダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。但し、説明に不要な部分は省略し、また、説明を容易にする為に拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0019】
図1に示すように、ダイシング・ダイボンドフィルム10は、基材1上に粘着剤層2が設けられたダイシングフィルムと、該粘着剤層2上にダイボンドフィルム3を有する構成である。また本発明は、図2に示すように、半導体ウェハ貼り付け部分にのみダイボンドフィルム3’を形成した構成であってもよい。
【0020】
前記基材1は紫外線透過性を有し、かつダイシング・ダイボンドフィルム10、11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0021】
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。
【0022】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
【0023】
前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材1には、帯電防止能を付与する為、前記の基材1上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材1は単層あるいは2種以上の複層でもよい。
【0024】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0025】
前記粘着剤層2は紫外線硬化型粘着剤を含み構成されている。紫外線硬化型粘着剤は、紫外線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、図2に示す粘着剤層2の半導体ウェハ貼り付け部分に対応する部分2aのみを紫外線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることもできる。
【0026】
また、図2に示すダイボンドフィルム3’に合わせて紫外線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aにダイボンドフィルム3’が貼付けられる為、粘着剤層2の前記部分2aとダイボンドフィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、紫外線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。
【0027】
前述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いて、未硬化の紫外線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bはダイボンドフィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に紫外線硬化型粘着剤は、半導体チップを基板等の被着体に固着する為のダイボンドフィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2に於いては、前記部分2bがダイシングリングを固定することができる。ダイシングリングは、例えばステンレス製などの金属からなるものや樹脂製のものを使用できる。
【0028】
前記紫外線硬化型粘着剤は、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合等の紫外線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを使用する。紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤に、紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の紫外線硬化型粘着剤を例示できる。アクリル系粘着剤はアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤であり、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点で好ましい。
【0029】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステルなどのアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステルなど)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなど)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマーなどがあげられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0030】
前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル酸エステルと共重合可能なヒドロキシル基含有モノマーを必須成分として含む。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
前記ヒドロキシル基含有モノマーの含有量は、アクリル酸エステルに対し10〜30mol%の範囲内であることが好ましく、15〜25mol%の範囲内であることがより好ましい。含有量が10mol%未満であると、紫外線照射後の架橋が不足し、ダイシングの際に粘着剤層上に貼り付けられるダイシングリングに対し、糊残りが発生する場合がある。その一方、含有量が30mol%を超えると、粘着剤の極性が高くなり、ダイボンドフィルムとの相互作用が高くなることにより剥離が困難になる。
【0032】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上を使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。但し、前記カルボキシル基含有モノマーの場合、そのカルボキシル基とダイボンドフィルム3中のエポキシ樹脂におけるエポキシ基とが反応することにより、粘着剤層2とダイボンドフィルム3との境界面が消失し、両者の剥離性が低下することがある。従って、カルボキシル基含有モノマーの使用量は、全モノマー成分の0〜3重量%以下が好ましい。その他、ヒドロキシル基含有モノマーやグリシジル基含有モノマーも、エポキシ樹脂におけるエポキシ基と反応し得るので、カルボキシル基含有モノマーの場合と同様にするのが好ましい。また、これらのモノマー成分のうち、本発明の粘着剤層2はアクリル酸を含まない方が好ましい。アクリル酸はダイボンドフィルム3と反応したり相互作用することにより剥離性を低下する場合があるからである。
【0033】
ここで、前記アクリル系ポリマーは、共重合用モノマー成分として多官能性モノマーを含まない。これにより、多官能性モノマーがダイボンドフィルムに物質拡散をすることがなくなり、粘着剤層2とダイボンドフィルム3の境界面が消失することによるピックアップ性の低下を防止することができる。
【0034】
また、前記アクリル系ポリマーは、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を必須成分として含む。前記イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
前記ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物の含有量は、ヒドロキシル基含有モノマーに対し含有量が70〜90mol%の範囲内であることが好ましく、75〜85mol%の範囲内であることがより好ましい。含有量が70mol%未満であると、紫外線照射後の架橋が不足し、ダイシングの際に粘着剤層上に貼り付けられるダイシングリングに対し、糊残りが発生する。その一方、含有量が90mol%を超えると、粘着剤の極性が高くなり、ダイボンドフィルムとの相互作用が高くなることにより剥離が困難になる。
【0036】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは35万〜100万、更に好ましくは45万〜80万程度である。
【0037】
また、本発明の粘着剤層2は、ヒドロキシル基に対し反応性を示す官能基を分子中に2個以上備えた架橋剤を含む。ヒドロキシル基に対し反応性を示す官能基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、グリシジル基等が挙げられる。その様な官能基を有する架橋剤としては、より具体的には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。
【0038】
前記イソシアネート系架橋剤としては、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されず、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記エポキシ系架橋剤としては、分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記アジリジン系架橋剤としては、分子中にアジリジン基を2個以上有するものであれば、特に限定されない。例えば、ω−アジリジニルプロピオン酸−2,2−ジヒドロキシメチル−ブタノール−トリエステル、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−sym−トリアジン、1,6−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ヘキサン等が好適に用いられる。これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記架橋剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対し2〜20重量部の範囲内であることが好ましく、4〜15重量部の範囲内であることがより好ましい。含有量が2重量部未満であると、紫外線照射後の架橋が不十分となり、引張弾性率が低下する。その結果、半導体ウェハのダイシングの際には、粘着剤層上に貼り付けられるダイシングリングに対し糊残りが発生し、半導体チップのピックアップの際には、剥離力が大きくなり過ぎてピックアップ性が低下する。その一方、含有量が20重量部を超えると引張弾性率が大きくなりすぎ、その結果ダイシングの際にチップ飛びが発生する。尚、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0042】
配合する前記紫外線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また紫外線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0043】
また、紫外線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の紫外線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の紫外線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の紫外線硬化型粘着剤は、低分子量成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる為好ましい。
【0044】
前記ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0045】
前記アクリル系ポリマーへのラジカル反応性炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計の点で容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーにヒドロキシル基を有するモノマーを共重合した後、このヒドロキシル基と反応しうるイソシアネート基及びラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合の紫外線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。イソシアネート基及びラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、前記に例示したものが挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
【0046】
前記内在型の紫外線硬化型粘着剤は、前記ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。紫外線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0047】
前記紫外線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0048】
また紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0049】
紫外線硬化型の粘着剤層2の形成は、基材1上に紫外線硬化型の粘着剤層2を形成してもよく、あるいはセパレータ上に設けた粘着剤層2を基材1上に転写することにより行ってもよい。
【0050】
ダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いては、前記部分2aの粘着力<その他の部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を紫外線照射してもよい。即ち、基材1の少なくとも片面の、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに紫外線硬化型の粘着剤層2を形成した後に紫外線照射して、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作製することができる。また、紫外線照射積算光量は、50〜500mJ/cmであることが好ましい。積算光量を前記範囲内にすることにより、ダイシングの際には半導体チップのチップ飛びの発生を防止できる程度の粘着性を保持すると共に、ピックアップの際には良好なピックアップ性が得られる。これにより、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
【0051】
尚、紫外線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、紫外線硬化型の粘着剤層2の表面から酸素(空気)を遮断するのが望ましい。その方法としては、例えば粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の紫外線の照射を行う方法等が挙げられる。
【0052】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。
【0053】
ダイボンドフィルム3は、例えば接着剤層の単層のみからなる構成とすることができる。また、ガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂、熱硬化温度の異なる熱硬化性樹脂を適宜に組み合わせて、2層以上の多層構造にしてもよい。尚、半導体ウェハのダイシング工程では切削水を使用することから、ダイボンドフィルム3が吸湿して、常態以上の含水率になる場合がある。この様な高含水率のまま、基板等に接着させると、アフターキュアの段階で接着界面に水蒸気が溜まり、浮きが発生する場合がある。従って、ダイ接着用接着剤としては、透湿性の高いコア材料をダイ接着剤で挟んだ構成とすることにより、アフターキュアの段階では、水蒸気がフィルムを通じて拡散して、かかる問題を回避することが可能となる。かかる観点から、ダイボンドフィルム3はコア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造にしてもよい。
【0054】
前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
【0055】
本発明に係るダイボンドフィルム3は、エポキシ樹脂を主成分として含み構成される。エポキシ樹脂は、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ない点で好ましい。前記エポキシ樹脂としては、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
【0056】
また、ダイボンドフィルム3は、適宜必要に応じてその他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を併用させることができる。前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂が好ましい。
【0057】
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0058】
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
【0059】
前記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―アクリル酸共重合体、エチレン―アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
【0060】
前記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、へキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
【0061】
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。
【0062】
ダイボンドフィルム3の接着剤層には、予めある程度架橋をさせておく為、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのが好ましい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図る。
【0063】
尚、ダイボンドフィルム3の接着剤層には、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0064】
ダイボンドフィルム3の厚さは特に限定されないが、例えば、5〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
【0065】
ダイシング・ダイボンドフィルム10、11には、帯電防止能を持たせることができる。これにより、その接着時及び剥離時等に於ける静電気の発生やそれによるワーク(半導体ウェハ等)の帯電で回路が破壊されること等を防止することができる。帯電防止能の付与は、基材1、粘着剤層2乃至ダイボンドフィルム3へ帯電防止剤や導電性物質の添加する方法、基材1への電荷移動錯体や金属膜等からなる導電層の付設等、適宜な方式で行うことができる。これらの方式としては、半導体ウェハを変質させるおそれのある不純物イオンが発生しにくい方式が好ましい。導電性の付与、熱伝導性の向上等を目的として配合される導電性物質(導電フィラー)としては、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル、導電性合金等の球状、針状、フレーク状の金属粉、アルミナ等の金属酸化物、アモルファスカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、前記ダイボンドフィルム3、3’は、非導電性であることが、電気的にリークしないようにできる点から好ましい。
【0066】
前記ダイシング・ダイボンドフィルム10、11のダイボンドフィルム3、3’は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルム3、3’を保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、更に、粘着剤層2にダイボンドフィルム3、3’を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイシング・ダイボンドフィルムのダイボンドフィルム3、3’上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0067】
(ダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法)
次に、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法について、ダイシング・ダイボンドフィルム10を例にして説明する。先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0068】
次に、基材1上に粘着剤を含む組成物を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層2を形成する。塗布方式としては、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、塗布は直接基材1上に行ってもよく、表面に剥離処理を行った剥離紙等に塗布後、基材1に転写してもよい。
【0069】
次に、ダイボンドフィルム3を形成する為の形成材料を剥離紙上に所定厚みとなる様に塗布し、更に所定条件下で乾燥して塗布層を形成する。この塗布層を前記粘着剤層2上に転写することにより、ダイボンドフィルム3を形成する。また、前記粘着剤層2上に形成材料を直接塗布した後、所定条件下で乾燥することによってもダイボンドフィルム3を形成することができる。以上により、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルム10を得ることができる。
【0070】
(半導体装置の製造方法)
本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10、11は、ダイボンドフィルム3、3’上に任意に設けられたセパレータを適宜に剥離して、次の様に使用される。以下では、図3を参照しながらダイシング・ダイボンドフィルム11を用いた場合を例にして説明する。
【0071】
先ず、ダイシング・ダイボンドフィルム11に於けるダイボンドフィルム3’上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(マウント工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。
【0072】
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシング・ダイボンドフィルム10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、ダイシング・ダイボンドフィルム10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
【0073】
ダイシング・ダイボンドフィルム10に接着固定された半導体チップを剥離する為に、半導体チップ5のピックアップを行う。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシング・ダイボンドフィルム10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0074】
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型である為、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2のダイボンドフィルム3aに対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップを損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。例えば、紫外線照射積算光量で、50〜500mJ/cmであることが好ましい。前記積算光量の範囲内であっても、本発明のダイボンドフィルムは紫外線照射による架橋が進行し過ぎて剥離が困難になることもなく、良好なピックアップ性を示す。また、紫外線照射に使用する光源としては、前述のものを使用することができる。
【0075】
ピックアップした半導体チップ5は、ダイボンドフィルム3aを介して被着体6に接着固定する(ダイボンド)。被着体6はヒートブロック9上に載置されている。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
【0076】
前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0077】
ダイボンドフィルム3が熱硬化型の場合には、加熱硬化により、半導体チップ5を被着体6に接着固定し、耐熱強度を向上させる。尚、半導体ウェハ貼り付け部分3aを介して半導体チップ5が基板等に接着固定されたものは、リフロー工程に供することができる。その後、基板の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続するワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップを封止樹脂8で封止し、当該封止樹脂8をアフターキュアする。これにより、本実施の形態に係る半導体装置が作製される。
【実施例】
【0078】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、各例中、部は特記がない限りいずれも重量基準である。
【0079】
(実施例1)
<ダイシングフィルムの作製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「2EHA」という。)86.4部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」という。)13.6部、過酸化ベンゾイル0.2部及びトルエン65部を入れ、窒素気流中で61℃にて6時間重合処理をし、アクリル系ポリマーAを得た。前記HEAは、20mol%とした。
【0080】
このアクリル系ポリマーAに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」という。)14.6部(HEAに対し80mol%)を加え、空気気流中で50℃にて48時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーA’を得た。
【0081】
次に、アクリル系ポリマーA’100部に対し、ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)8部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)5部を加えて、粘着剤溶液を作製した。
【0082】
前記で調製した粘着剤溶液を、PET剥離ライナーのシリコーン処理を施した面上に塗布し、120℃で2分間加熱架橋して、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。次いで、当該粘着剤層面に、厚さ100μmのポリオレフィンフィルムを貼り合せた。その後、50℃にて24時間保存をした後、本実施例に係るダイシングフィルムを作製した。
【0083】
<ダイボンドフィルムの作製>
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、商品名;パラクロンW−197CM)100部に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)59部、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)53部、フェノール樹脂(三井化学(株)製、商品名:ミレックスXLC−4L)121部、球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;SO−25R)222部をメチルエチルケトンに溶解して、濃度23.6重量%となる様に調製した。
【0084】
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナー(セパレータ)としてシリコーン離型処理した厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムを作製した。更に、ダイボンドフィルムを前述のダイシングフィルムにおける粘着剤層側に転写して、本実施例に係るダイシング・ダイボンドフィルムを得た。
【0085】
(実施例2〜9)
各実施例2〜9については、下記表1に示す組成及び含有量に変更したこと以外は、前記実施例1と同様にしてダイシング・ダイボンドフィルムを作製した。
【0086】
【表1】

【0087】
尚、表1、及び後述の表2中に記載する略称の意味は次の通りである。
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート
C/L:ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)
C2030:商品名「コロネート2030」、日本ポリウレタン(株)社製)
【0088】
(比較例1〜6)
各比較例1〜6については、下記表2に示す組成及び含有量に変更したこと以外は、前記実施例1と同様にしてダイシング・ダイボンドフィルムを作製した。
【0089】
【表2】

【0090】
(ダイシング)
各実施例及び比較例のそれぞれダイシング・ダイボンドフィルムを用いて、以下の要領で、実際に半導体ウェハのダイシングを行い、各ダイシング・ダイボンドフィルムの性能を評価した。
【0091】
半導体ウェハ(直径8インチ、厚さ0.6mm)を裏面研磨処理し、厚さ0.15mmのミラーウェハをワークとして用いた。ダイシング・ダイボンドフィルムからセパレータを剥離した後、そのダイボンドフィルム上にミラーウェハを40℃でロール圧着して貼り合わせ、更にダイシングを行った。また、ダイシングは1mm角のチップサイズとなる様にフルカットした。切断後の半導体ウェハ及びダイシング・ダイボンドフィルムについて、チップ飛びの有無を確認した。チップ飛びは、半導体チップが一つでも飛散した場合を×とし、飛散しなかった場合を○とした。ウェハ研削条件、貼り合わせ条件及びダイシング条件については、後述する。
【0092】
<ウェハ研削条件>
研削装置:ディスコ社製 DFG−8560
半導体ウェハ:8インチ径(厚さ0.6mmから0.15mmに裏面研削)
【0093】
<貼り合わせ条件>
貼り付け装置:日東精機製、MA−3000II
貼り付け速度計:10mm/min
貼り付け圧力:0.15MPa
貼り付け時のステージ温度:40℃
【0094】
<ダイシング条件>
ダイシング装置:ディスコ社製、DFD−6361
ダイシングリング:2−8−1(ディスコ社製)
ダイシング速度:80mm/sec
ダイシングブレード:
Z1;ディスコ社製2050HEDD
Z2;ディスコ社製2050HEBB
ダイシングブレード回転数:
Z1;40,000rpm
Z2;40,000rpm
ブレード高さ:
Z1;0.215mm(半導体ウェハの厚みによる(ウェハ厚みが75μmの場合、0.170mm))
Z2;0.085mm
カット方式:Aモード/ステップカット
ウェハチップサイズ:1.0mm角
【0095】
(ピックアップ)
各実施例及び比較例のそれぞれダイシング・ダイボンドフィルムを用いて、以下の要領で、実際に半導体ウェハのダイシングを行った後にピックアップを行い、各ダイシング・ダイボンドフィルムの性能を評価した。
【0096】
半導体ウェハ(直径8インチ、厚さ0.6mm)を裏面研磨処理し、厚さ0.075mmのミラーウェハをワークとして用いた。ダイシング・ダイボンドフィルムからセパレータを剥離した後、そのダイボンドフィルム上にミラーウェハを40℃でロール圧着して貼り合わせ、更にダイシングを行った。また、ダイシングは10mm角のチップサイズとなる様にフルカットした。
【0097】
次に、各ダイシング・ダイボンドフィルムに対し紫外線照射を行い、それらを引き伸ばして、各チップ間を所定の間隔とするエキスパンド工程を行った。更に、各ダイシング・ダイボンドフィルムの基材側からニードルによる突き上げ方式で半導体チップをピックアップしピックアップ性の評価を行った。具体的には、400個の半導体チップを連続してピックアップし、後述の条件A及びBで行ったときの成功率が共に100%の場合を◎とし、条件Aで行ったときの成功率が100%であり、かつ、条件Bで行ったときの成功率が100%でなかった場合を○とし、条件A及びB共に成功率が100%でなかった場合を×とした。
【0098】
<ウェハ研削条件>
研削装置:ディスコ社製 DFG−8560
半導体ウェハ:8インチ径(厚さ0.6mmから0.075mmに裏面研削)
【0099】
<貼り合わせ条件>
貼り付け装置:日東精機製、MA−3000II
貼り付け速度計:10mm/min
貼り付け圧力:0.15MPa
貼り付け時のステージ温度:40℃
【0100】
<ダイシング条件>
ダイシング装置:ディスコ社製、DFD−6361
ダイシングリング:2−8−1(ディスコ社製)
ダイシング速度:80mm/sec
ダイシングブレード:
Z1;ディスコ社製2050HEDD
Z2;ディスコ社製2050HEBB
ダイシングブレード回転数:
Z1;40,000rpm
Z2;40,000rpm
ブレード高さ:
Z1;0.170mm(半導体ウェハの厚みによる(ウェハ厚みが75μmの場合、0.170mm))
Z2;0.085mm
カット方式:Aモード/ステップカット
ウェハチップサイズ:10.0mm角
【0101】
<紫外線の照射条件>
紫外線(UV)照射装置:日東精機(商品名、UM−810製)
紫外線照射積算光量:300mJ/cm
尚、紫外線照射はポリオレフィンフィルム側から行った。
【0102】
<ピックアップ条件>
ピックアップ条件については、下記表3に示す条件A及び条件Bによりそれぞれ行った。
【0103】
【表3】

【0104】
(ダイシングリングの糊残り)
ダイシングフィルムをダイシングリングから剥がし、ダイシングリングに糊残りが発生しているか否かを目視により確認した。糊残りが確認されたものを×とし、確認されなかったものを○とした。
【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【符号の説明】
【0107】
1 基材
2 粘着剤層
3 ダイボンドフィルム
4 半導体ウェハ
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
9 ヒートブロック
10、11 ダイシング・ダイボンドフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に粘着剤層を有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルム上に設けられたダイボンドフィルムとを有するダイシング・ダイボンドフィルムであって、
前記粘着剤層は、10〜30mol%のヒドロキシル基含有モノマーを含むアクリル系ポリマーに、前記ヒドロキシル基含有モノマーに対し70〜90mol%の範囲内のラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を付加反応させたポリマーと、ヒドロキシル基に対し反応性を示す官能基を分子中に2個以上備え、かつ、前記ポリマー100重量部に対し含有量が2〜20重量部の架橋剤とを含み、
前記ダイボンドフィルムはエポキシ樹脂を含み構成されることを特徴とするダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項2】
前記ヒドロキシル基含有モノマーは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、及び(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも何れか1種であることを特徴とする請求項1に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項3】
前記ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート又は2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項4】
前記粘着剤層はアクリル酸を含まないことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−212704(P2010−212704A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93454(P2010−93454)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【分割の表示】特願2007−314907(P2007−314907)の分割
【原出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】