説明

ディスプレイの調整、及び光フィードバックを用いる画像処理により改善された表示画質を提供するシステム及び方法

本発明は、表示パラメータを最適化するためにセンサを用いることによって、ディスプレイの挙動にわたる粗制御を得るために1つ又は複数のディスプレイの特性を調整することにより作成される、改善されたディスプレイシステム及び方法を提供する。ディスプレイは、ディスプレイを選択的に駆動し、生成された光画像を検出することにより、表示マップを作成することにより更に改善される。更に、センサを使用して、結果としての最適化されたディスプレイが、場合によっては周囲条件を考慮に入れながら目標画質の測定値を経時的に満たすことを保証する。システムは、その状態についてレポートし、システムがもはや画質目標を満たすことがなくなる時点を予測することができる。システム及び方法は、ディスプレイシステムを最適化し、当該システムが最適化された状態を経時的に維持することができる。ディスプレイシステムを有する個々のディスプレイは、互いに整合された動作ポイントを有することができる。改善されたディスプレイシステムの性能を与えるための入力画像信号に対する補正は、最小限にされることができ、従って、これら変更の望ましくないアーチファクトが最小限に抑えられ得る。ディスプレイが時間と共にドリフトする場合、これら動作ポイントは更新され得る。周囲条件が変化して、新たな動作ポイントが望まれる場合、新たな動作ポイントは自動的に選択され得る。ディスプレイシステムに対して最低レベルの画質(例えば、最低照度レベル)しか必要としないディスプレイのオペレータは、確実にディスプレイがこれらの要件を満たすようにすることができる。また、これらのオペレータには、システムメンテナンスが必要となる時点、画質が達成目標を下回る時点について事前に警告を発することができる。システム及び方法は、e-mailでの送出、恐らくはグラフの形式での送出のような、システムの画質情報の送出方法を提供する。或いは、システム及び方法によって、画質目標が満たされなくなる時点の予測が可能になる。予測は、プロジェクターの電球(光源)の交換のようなメンテナンスを行なう時点を知る必要があるディスプレイシステムのオペレータにとって有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグラフィカルディスプレイに関し、具体的には一つ又は複数のディスプレイにおける画質の向上に関する。
【0002】
発明の背景
人々は、彼らの周りの全てを動画として見ることを好む。これらのディスプレイは、より大きく、より明るく、解像度がより高く、そしてより安価なほど良い。今日、これは、迫真の視覚体験を提供するデジタル映画、及び没入型仮想現実システムに変わっている。これらのシステムを現実のものとするために必要な計算能力を今日では広く利用することができるが、必要とされる非常に高画質のディスプレイは利用することができない。
【0003】
ディスプレイは一般に、一つ又は複数の光源からなり、光を空間変調する方法を採用する。例えば、多くのディスプレイは、一つ又は複数の光源(LED、レーザ、高圧水銀ランプ、キセノンランプなどのような)、及びLCDチップ、LCOSチップ、マイクロメカニカルミラーチップ(テキサスインスツルメント社のDLPのような)、幾つかの数のレンズ及び/又はミラーなどのような一つ又は複数の空間光学変調器(単数または複数)を有する。他のディスプレイは、放射型ディスプレイであり、プラズマパネル又はLCDパネルのように各ピクセルに一つの光源を効果的に有する。
【0004】
幾つかのプロジェクションディスプレイ(「プロジェクター」)は、一つの又は複数の可動ミラー、又は等価な態様を使用して光を操向する。ミラーは時間とともに移動して、光を空間的に操向する。この場合、光源を同時に変調して、各目標位置が異なる量の光を受け取るようにする。このタイプのプロジェクターは多くの場合、レーザで構築される。光の移動が十分に迅速である場合、眼は、光線がラスタライズされていることを実感することはない。
【0005】
他のタイプのディスプレイはCRTディスプレイプロジェクターを含み、このプロジェクターは電子ビームを変調することにより、電子ビームが変調光に変換される。別の場合では、スクリーン、又はスクリーンに非常に近接した領域がパターン化される。パターンの変化は、パターン化された液晶に見られるように、光を選択的に阻止する、又は透過させる。
【0006】
一般に、現在利用可能なディスプレイタイプには、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、DLPディスプレイ、レーザディスプレイ、LCOSディスプレイ、及び他のディスプレイが含まれる。全てのこれらのディスプレイは、工場内で発生する欠陥および工場出荷後に発生する欠陥の異なる種類の欠陥を呈する。従って、所与のディスプレイの能力が与えられた場合に、ユーザが望むと思われる最高画質のディスプレイを提供する必要がある。必要とされる補正のタイプは、ディスプレイの周囲の周囲照明のような、又は複数のディスプレイの中での当該ディスプレイの位置のような、ディスプレイの環境に依存することが多い。これについては、Rajeev J. Suratiらによる「SUPER-RESOLUTION DISPLAY」と題する米国特許第6,456,339号を参照されたい。この特許文献の教示は、特に参照により本明細書に組み込まれる。以下に更に説明されるように、この特許は、複数のプロジェクターから生成される投影画像をシームレスに互いにステッチングする新規の手法が説明されており、各プロジェクターは一つのソース(供給源)(例えば、PC)から供給される画像全体の一部を処理する。全体画像をモニタリング(監視)するカメラは、情報をPC、及び当該カメラのオンボード画像処理アプリケーションに返し、当該カメラを使用して、隣接するプロジェクターからの個々の部分的に重なる画像を適切に配置し、位置合わせし、且つ平滑化する。これにより、正しく位置合わせされ、かつ色及び照度がほぼ均一な全体画像が生成される。しかしながら、このような構成において、画質を更に向上させることが特に望ましい。
【0007】
最先端のマルチプロジェクターディスプレイは、A. K. Peters社によって出版されたMajunder及びBrownによる「Practical Multi-Projector Display Design」と題する刊行物(コピーライト2007)に明確に要約されている。当該刊行物では、Majunder及びBrownは、プロジェクターに入ってくる複数のソース画像がスクリーン上で完璧に見えるように、これらの画像を修正するための方法を提供するための種々の方法を説明している。これらの修正には、結果が均一に見える(又は、ほぼ均一に見える)ように、画像の一部の色及び照度を異なる色/照度にワープさせてマッピングすることが含まれる。Majunder及びBrownは、ワーピング関数又は品質関数を計算して最大にすることにより、マルチプロジェクターシステムが眼に均一に見えるようにする多くの方法に焦点を当てている。しかしながら、彼ら、又は彼らが参照する多くの論文のいずれも、実際には、コントラスト、輝度、及びレンズシフトのようなプロジェクター内の操作可能な粗パラメータを変更することを企図していない。
【0008】
最先端のマルチプロジェクターディスプレイでは、プロジェクターへの入力信号を修正する場合が多いが、個々のディスプレイを工場で較正することにより一般に、入力信号を修正することなく、ディスプレイにおける総体的な設定のみを変更している。更に、多くのディスプレイを連動させる場合、これらディスプレイのそれぞれの総体的な設定は一般に、互いに首尾一貫するように変更されない。
【0009】
現在のシステムは、多くの欠点、及び動作に関する課題を呈する。互いに連動されるディスプレイの総体的な設定は個々に設定され、一般に、互いに整合するように設定されない。互いに連動されるディスプレイが互いに対して首尾一貫した見え方を提供することが望ましい。また、ディスプレイの特性は時間が経つにつれてドリフトするので、これらの設定を更新して表示画質を維持することが望ましい。幾つかのディスプレイシステムは、当該システムが設置された当日に直ぐに達成されないが、達成する必要がある画質目標を有する。これらのディスプレイのオペレータは、画質目標が達成されている時点、及び/又はメンテナンスが必要になる時点を示す定期的なフィードバックから大きな恩恵を受ける。そして更に、オペレータは、メンテナンスが必要となる時点が事前に通知されることにより恩恵を受ける。入力信号を修正することにより、リサンプリングアーチファクトのような望ましくないアーチファクト、又はシステムのダイナミックレンジの減少が生じる。これらの影響を最小限に抑えることが望ましい。周囲条件の変化は、ディスプレイの動作に影響を与える場合があり、これらの変化に自動的に適応することが望ましい。更に、ディスプレイに当たる光のような周囲の変化は、より明るいディスプレイシステムが、色精度の低下を伴ないながらも一層望ましくするであろう。システムが自動的に当該システム自体を調整できることが望ましい。概して、ディスプレイシステムに関する種々の懸案事項を解決することが望ましい。
【0010】
本発明の概要
本発明は、従来技術の欠点を、改善されたディスプレイシステム及び方法を提供することにより克服し、そのディスプレイシステム及び方法は、一つ又は複数のディスプレイの特性を調整してディスプレイの挙動にわたる粗制御を達成することにより、及びセンサを使用して表示パラメータを最適化することにより行われる。ディスプレイは、ディスプレイを選択的に駆動して、生成される光画像を検出することにより表示マップを作成することによって更に改善される。更に、センサを使用して、結果としての最適化されたディスプレイが、場合によっては周囲条件を考慮に入れながら目標画質尺度を経時的に満たすことを確実にする。更に、システムは、当該システムの状態についてレポートし、システムがもはや画質目標を満たさなくなる時点を予測することができる。
【0011】
総じて、例示的なシステム及び方法は、ディスプレイシステムを最適化し、当該システムが最適化された状態を経時的に維持することができる。ディスプレイシステムを有する個々のディスプレイは、互いに整合された動作ポイントを有することができる。改善されたディスプレイシステムの性能を伝えるための入力画像信号に対する補正は、最小限に抑えることができ、従って、これらの変更による望ましくないアーチファクトを最小限に抑えることができる。更に、時間が経つにつれてディスプレイがドリフトする場合、これらの動作ポイントを更新することができる。周囲条件が変化して、新たな動作ポイントが望まれる場合、新たな動作ポイントが自動的に選択され得る。ディスプレイシステムに対して最低レベルの画質(例えば、最低照度レベル)しか必要としないディスプレイのオペレータは、ディスプレイがこれらの要件を満たすことを確実にすることができる。また、オペレータには、システムのメンテナンスが必要となる可能性がある時点、画質が達成目標を下回る時点について予め警告することができる。
【0012】
例示的な実施形態では、システム及び方法は、ディスプレイシステムへの入力信号の修正(ピクセル補正機能を使用する)、及びディスプレイの動作ポイントの修正(表示画質補正機能を使用してディスプレイの可変OMTEパラメータを変更する)の両方を自動的に行なうことを可能にする。総合すれば、ディスプレイシステムは、ディスプレイへの入力信号を修正することにより生じる可能性があるアーチファクト(ダイナミックレンジの減少、及びリサンプリングアーチファクトのような)を最小限に抑えながら、画質尺度を最適化することができる。
【0013】
例示的な実施形態では、システム及び方法は、センサからのデータの供給、及び当該データから導出される量のサードパーティへの供給を可能にする。当該データは、サードパーティに、当該ディスプレイシステムが実際に、所望の画質目標を満たすという情報を提供する。更に、例示的なシステム及び方法は、センサからのデータ、及び当該データから導出される量を供給するだけでなく、当該データを使用して、画質目標がもはや満たされなくなる時点を予測する。従って、ディスプレイシステムのオペレータに、光源を取り換える必要がある時点、又は他のシステムメンテナンスが必要になる時点について、予め警告することができる。
【0014】
また、例示的なシステム及び方法は冗長性も提供する。センサは、複数のディスプレイの中の一つのディスプレイが十分に機能しておらず、別のディスプレイをオンにして、その十分に機能していないディスプレイを置き換える、大部分置き換える、又は強化する時点を検出することができる。システム及び方法は更に、連動される複数のディスプレイにおける各ディスプレイの動作ポイント(OMTEパラメータ/表示補正機能)を整合させるためにセンサの使用を可能にする。従って、工場で行なうことができるように各ディスプレイを較正して標準に合わせるのではなく、これらのディスプレイを互いに対して較正して、ディスプレイシステムが、別個に較正されるディスプレイよりも高い画質を有するようにする。
【0015】
システム及び方法は更に、ピクセル補正機能及び表示画質補正機能(OMTEパラメータ)の格納を可能にする。これらの機能を格納することにより、システムが多数の動作ポイントを望む際に、多数の動作ポイントを与える。
【0016】
システム及び方法は更に、周囲条件の検出を可能にする。従って、ディスプレイの動作ポイントは、周囲条件に基づくことができる。これを望ましとすることができる理由の一例としては、一つの動作ポイントは、降り注ぐ太陽光がディスプレイ表面に当たる時点でシステムを最適化することができ、別の動作ポイントはシステムを夜間に最適化することができる。また、場合によっては、周囲条件はディスプレイの性能に影響を与え、これは、ディスプレイの異なる動作ポイントが異なる周囲条件で望ましいことを意味する。更に、動作ポイントは格納され得るので、システム及び方法は更に、異なる周囲条件において異なる動作ポイントを呼び戻すことを可能にする。
【0017】
システム及び方法は更に、個別のディスプレイ及び複数のディスプレイからなるシステムに同じ機能を提供する。一般に、複数のディスプレイを使用して全体的なディスプレイを生み出す(例えば、多数のディスプレイにわたる大きな画像、又は同時に表示される多数の独立した画像)。
【0018】
システム及び方法は更に、ディスプレイシステムへの入力信号を修正することにより被ったアーチファクトを低減する能力を提供する。システム及び方法は、表示画質補正機能を使用することによりそのようにする。更に、システム及び方法によって、アーチファクトの低減は、ピクセル補正機能を空間的に変化させることを可能にすることにより可能になる。これが望ましい理由の一例として、システムの一つの領域がテキストを表示している場合の、連動される複数のプロジェクターを検討する。ピクセル補正機能におけるテキストのリサンプリングの影響は許容できないので、特定の領域におけるリサンプリングを回避することが望ましい可能性がある。代案として、その領域における鮮鋭化フィルタは、テキストの画質を向上させることができる。
【0019】
システム及び方法の代替の実施形態では、OMTEパラメータを自動的に設定することができない無能力が存在する可能性がある。この場合、システム及び方法によって更に、サードパーティのオペレータ(人間のような)がOMTEパラメータを手動で修正することを可能にする。
【0020】
更に、システム及び方法は、システムに関する重要なデータをサードパーティに供給する能力を提供する。そのデータは、ディスプレイがどの程度明るいか、又は誰かがOMTEパラメータを不適切に変更した場合のような画質の測定基準を含むことができる。システム及び方法は、e-mailにおいて、恐らくはグラフの形式においてのような、システムの画質の送出方法を提供する。或いは、システム及び方法によって、画質目標が満たされなくなる時点の予測が可能になる。予測は、プロジェクターの電球(光源)を取り換えるようなメンテナンスを行なうべき時点を知る必要があるディスプレイシステムのオペレータにとって有用である。
【0021】
以下の本発明の説明は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一般化された実施形態による例示的なディスプレイシステムのブロック図である。
【図2a】ピクセル補正機能手順の前の表示画質補正機能手順の実行順序を表わす簡易フロー図である。
【図2b】表示画質補正機能手順の前のピクセル補正機能手順の実行順序を表わす簡易フロー図である。
【図2c】進行中のピクセル補正機能手順および表示画質補正機能手順の実行を表わす簡易フロー図である。
【図3】本発明の一実施形態による表示画質補正機能を導出するための手順のフロー図である。
【図4】本発明の代替の実施形態による表示画質補正機能を繰り返し導出する、図3の手順における代替のステップを表わすフロー図である。
【図5】本発明による補正アプリケーションソフトウェア及び/又はハードウェアを有するPCの制御下で、複数の別個の画像から部分的に重なった画像をディスプレイ表面に形成する、連動される投影装置のアレイの略図である。
【図6】データをサードパーティに供給すること、及びサードパーティが実行する動作を示すブロック図である。
【図7】本発明による補正アプリケーションソフトウェア及び/又はハードウェアを有するPCの制御下で、全体的な画像を形成している連動される内蔵型ディスプレイのアレイの略図である。
【0023】
詳細な説明
A.センサ
更なる背景として、画像の品質に関する情報を取得するために、本発明のシステムは、一つ又は複数の光センサを利用する。センサは種々の態様で定義されることができ、カメラ、光センサの線形アレイ、及びフォトダイオードのような、固有の空間情報を有さない光センサを含む多くの異なるタイプのうちの一つとすることができる。場合によっては、システムは、多くのセンサを必要とし、場合によっては、システムはセンサを一つしか必要としない。センサ(単数または複数)は、狭波長帯域又は広波長帯域のいずれかの帯域の赤外線、紫外線、又は可視光を検出することができる。センサ(単数または複数)は、撮像カメラのように、位置に対して敏感とすることがきるか、又は単一の光量検出フォトダイオードのように、位置に対して鈍感とするができる。カメラ(単数または複数)のような幾つかのセンサは、システムの3次元形状の検出を行なうことができる。
【0024】
非常に簡単な光センサでも、ディスプレイ/プロジェクターと連係して使用され、且つ一つ又は複数のプロジェクターに投影される画像を制御する機能と組み合わせる場合には、色情報、照度情報、及び空間情報を含むかなりの量の情報を提供することに留意されたい。特に、システムは、ディスプレイ/プロジェクター及び光センサを同時に制御して検出することができる。単一のフォトダイオードを使用して、ディスプレイ内の隣接するピクセルを漸進的にオン及びオフし、どのピクセルが当該ダイオードを照らしているかを判断することにより、空間情報を取得することができる。部分的なヒットは、全ヒットよりも低い照度として現われる。この技術を使用して、システムは空間情報を取得する。プロジェクターの照度は、単一のダイオードを使用して、当該ダイオードを2つのプロジェクターの光路に位置決めし、各プロジェクターを順次にオンにすることにより比較することができる。例示的なシステムは、ダイオードを各プロジェクターからの有色光で照明して、検出される光強度を比較することにより、2つのプロジェクターの色性能を整合(一致)させることができる。同様に、2つの光センサの性能は、同じディスプレイからの光を複数のセンサで捕捉することにより一致させることができる。
【0025】
B.ディスプレイ
システムは一般に、光センサ(単数または複数)及びディスプレイ/プロジェクター(単数または複数)フィードバックシステム(これらに必ずしも限定しない)に適合される。これらのシステムは、一般に一つ又は複数のディスプレイ、及び一つ又は複数の光センサからなるシステムである。これらの光センサは、フィードバックを行なってディスプレイへの入力を制御し、所望の結果を達成する。「ディスプレイ」とは、ユーザが閲覧することができる視覚画像を供給する任意のシステムを意味することに留意されたい。「連動型ディスプレイ」とは、互いに対して近接して配置され、関連画像または同じ画像の構成要素を一般に表示する複数のディスプレイを意味する。同様に、「内蔵型」ディスプレイという用語は、所定のスクリーン表面を含むディスプレイ(プラズマディスプレイ、LCDフラットパネル、及びリアプロジェクションテレビのような)を指す。これらのタイプのディスプレイは、これらのスクリーン表面が接する状態で、又はこれらのスクリーン表面の間に隙間がある状態で傾斜させることができる。また、「分離した」スクリーン表面を有するディスプレイも指す。スクリーンは専用構造とする必要はなく、投影画像を閲覧することができる任意の表面である。分離したスクリーンを有するこれらのディスプレイは一般に、プロジェクターであり、これらのディスプレイの重なり部分を含むことができる。
【0026】
C.システム
本発明の教示に従って採用され得る係るシステム100の例示的な実施形態が、図1に示され、大部分において、上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号に記載されているシステムに対応する。概して、ディスプレイ装置102(プロジェクターアレイなど)は、光路103を介して画像をディスプレイ表面104に伝える。表示画像は、カメラ又は他の形態の内部又は外部撮像センサ106により検査される。検出された画像データは計算装置108に伝えられ、計算装置108は、画像の様々な部分を分析して、全体画像の様々な領域における相対的なピクセル特性を求める。このデータを光線画像ソース110からのデータと比較し、画像の様々な部分に対する適切な補正が達成される。補正された画像部分は、所定のプロジェクターの別個の画像の全てに、又は部分的に重なる部分に対応することができる。図示されたように、画像ソース、計算装置、及び/又はピクセル補正装置112は、単一のプロセッサ/回路(ボックス114)の一部とすることができるか、又は個々の相互接続された部品へと分離され得る。結果としての補正されたピクセル入力115は図示されたように、ディスプレイ装置102に供給される。ディスプレイ装置102の補正も、本発明に従って、ディスプレイ装置116の動作を支配する内因性及び/又は外因性の光学パラメータ、電子パラメータ、機械パラメータ、又は熱パラメータ(Optical, Mechanical, Thermal or Electronic :OMTEパラメータ)によって容易に行なうことができる。この新規の補正機能について以下に更に説明する。
【0027】
ディスプレイに対する光センサの位置、及び向きは、大きく変えることができるが、それでも適切に機能することができることは留意されたい。 リアプロジェクションテレビの場合、光センサは、ユーザが位置することになるディスプレイの前方にあることができる。また、当該センサは、ディスプレイの内部に配置されることもでき、これにより、ユーザが見る物を背後から検査するか(これは、ユーザが見る物の非常に歪んだバージョンとなり得る、例えば、フレネルスクリーンを使用する)、又はユーザが見ることができないピクセルを検査することができる。センサは、ディスプレイ表面に対して非常に鋭角で配置され得る。
【0028】
幾つかの実施形態において、ディスプレイ表面とディスプレイ装置との間の光路長は、放射型ディスプレイの場合には、ほぼゼロとすることができ、LCDディスプレイの場合には、比較的短くすることができ、フロント又はリアプロジェクションディスプレイの場合には、数メートルとすることができることに留意されたい。
【0029】
更に、幾つかの実施形態では、光路内に、又はディスプレイ装置自体の中に、故意に物体を挿入して、信号を光学的に減衰させることができることに留意されたい。このために、これら物体の位置及び特性は、システムによって制御可能な光学パラメータ(例えば、位置)であると考えられるべきである。場合によっては、エッジブレンドプレート(edge blend plates)として知られ、ディスプレイ装置の一部であると見なされ得るこれらの物体は、プロジェクターのほとんどの黒が実際には真の黒色ではないという問題を解決しようとする。即ち、それは、光を減衰させるために使用されている透過型LCDパネル、又はエッジに挿入される濃度フィラー、或いは光をエッジで減衰させる機械的技術または光学的技術とすることができる。別の例は、ディスプレイ全体の照度を調整する絞りである。この場合、修正されるべき機械特性は、開口の直径である。他のパラメータと同様に、機械パラメータは、フィードバック制御による自動調整、及びディスプレイからのサードパーティビューアのフィードバックを使用した、又はディスプレイシステムにより供給される一組のデータを使用した手動調整の両方を受けることができる。
【0030】
幾つかの具現化形態では、障害物が、ディスプレイの或る部分又は一部分を光センサから遮っている。場合によっては、これは、建物の柱がプロジェクターの一部分を遮る場合におけるように、意図的ではない。この種類の障害は、遮られていないプロジェクターによって補償され得る。場合によっては、障害は意図的である。例えば、プロジェクターの考えられる最も暗い出力は、それでも見ることができる場合が多い。2つのプロジェクターが同様の暗いレベルでもって部分的に重なる場合、部分的に重なるエリアの暗い領域は、重なっていないエリアの2倍の明るさであり、境界をよく見えるようにする。カスタマイズされたバッフル、勾配濃度フィルタ、レーク(rakes)などを導入して、黒レベルが観察者に更に均一に見えるようにする。
【0031】
幾つかの具現化形態では、ピクセル補正装置108はディスプレイ装置102の一部として組み合わされる。ピクセル補正装置は、チップ、例えば画像をワープするための専用チップで実現され得るので、当該チップはディスプレイ装置に容易に含められ得る。代案として、ピクセル補正装置は、汎用コンピューティングプラットフォームで実行されるソフトウェアとして実現されることができ、当該ソフトウェア及びプラットフォームは、ディスプレイ装置に容易に含められ得る。例えば、SanyoTM Corporationは、Silicon OptixTM(カリフォルニア州サンノゼ市)から入手することができるワーピングチップ(warping chip)を含むオプションカード付きのLCDプロジェクターを提供している。これとは別に、Silicon Optix社は、プロジェクターの外側に置かれているボックス内にほぼ同じチップを有するImage AnyplaceTM boxを製造している。
【0032】
幾つかの具現化形態では、計算装置はディスプレイ装置の一部である。例えば、電子看板業界では、装置の一部である汎用コンピュータを有するディスプレイ装置を出荷することが標準である。当該コンピュータは、計算装置として使用され得る。
【0033】
幾つかの具現化形態では、画像ソースはディスプレイ装置の一部である。例えば、記憶装置をディスプレイ装置の一部として含む場合、画像ソースはディスプレイ装置に包含され得る。やはり、電子看板業界では、記憶装置をディスプレイ装置の一部として有することが一般的である。
【0034】
幾つかの具現化形態では、画像ソースは光学特性、機械特性、熱特性および/または電子特性(OMTE特性)を有することができ、これらの特性は、ディスプレイ装置のOMTE特性に効果的に含まれ得る。アンテナを介して捕捉される放送テレビジョン信号の例では、当該アンテナはディスプレイ装置の一部とすることができるか(IEEE 802.11対応信号により伝送されるテレビジョン信号又はビデオ信号の場合におけるように)、又は単にディスプレイ装置に接続(恐らく、間接的に)され得る。アンテナは、制御可能なOMTE特性を有することができ、これらの特性によって、より大きい又はより小さいノイズを有する(例えば、アンテナが指す方向)、ディスプレイへの画像ソースが生成される。撮像センサは、信号がディスプレイ表面に如何にして現われるかを検出することができ、アンテナのOMTE特性を調整することができる。別の例は、ディスプレイ装置に入力するアナログビデオ信号である。ディスプレイ装置のOMTE特性は、信号検出器の位相及びクロック(並びに、他のパラメータ)を含み、位相及びクロックは、最適な画像がディスプレイ表面に現われるように調整され得る。しかし、入力信号自体の位相又はクロック(又は、他のパラメータ)は、ディスプレイ表面の画像を最適化するように提供されることもできる。更に別の例は、プロジェクターに入力する前に色が修正され得る入力ビデオ信号である。
【0035】
幾つかの具現化形態では、ピクセル補正装置は画像ソースに併合され得る。例えば、コンピュータグラフィックスを使用して生成される画像ソースは、多数のメッシュ状オブジェクトをその中に有することができる。プロジェクターに送信される結果としてのコンピュータ生成画像が必要に応じてディスプレイ表面に現われるように、メッシュ内の頂点の位置及び色を事前に補正することが可能である。
【0036】
幾つかの代替の具現化形態では、恐らくは、一つのセンサではディスプレイの全てを検査することができないなどの理由により、複数の光センサを用いて表示画質を完全に再構成する必要がある。更に、計算装置(108)は、画像プロジェクションシステムを駆動するために用いられるパーソナルコンピュータとすることができる。代案として、計算装置は、複数のPCとして実現されることができ、場合によっては、計算装置はFPGA又はカスタムASICである。同様に、ピクセル補正機能(112)は、以下に限定されないが、パーソナルコンピュータ(PC)、FPGA、カスタムASIC、又は別のデータ処理チップ又はデバイスで実現され得る。当該ピクセル補正機能は、グラフィックス処理ユニット(GPU)のテクスチャマッピング部分、又はGPUの内部に実現されるソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアベースのアルゴリズムとして実現され得る。当該ピクセル補正機能は、記憶空間(118)のような適切な場所に格納され得る。そのような場合、ピクセル補正機能は、テーブル内のように、明示的に格納され得る。
【0037】
更に、当該システムの一具現化形態におけるディスプレイ表面104は平坦でなくてもよい。実際には、ディスプレイ表面は、人物のような3次元の物体、又は波打つ旗のように見える波動スクリーンとすることができる。場合によっては、ディスプレイ表面は、船の帆のように動いている。場合によっては、ディスプレイ表面は、動いている振り子にプロジェクターが投影するように、既知のパターンで動いており、この場合、ディスプレイ表面が正しい位置になるようにセンサデータのタイミングをディスプレイ表面に合わせる必要がある。代案として、ディスプレイスクリーンは霧、煙、又は単なる空気とすることができる。ほとんどの場合、ディスプレイ表面は固定される。ディスプレイ表面は多くの場合、特定の形状になるように設計されるが、或る許容範囲内でのみ、その目標を達成する。即ち、ディスプレイ表面はほぼ円筒形、ドーナツ形、楕円形、又は球形とすることができる。場合によっては、ディスプレイ表面は、リアプロジェクションテレビの内部のフレネルスクリーンのように、光を特定方向に導くように設計される。
【0038】
OMTEパラメータ(116)は多くの形態で到来する。これらのパラメータの幾つかの具現化形態には、多くのディスプレイにおいて、各色の照度に影響を与える「輝度」及び「コントラスト」が含まれる。幾つかのディスプレイは、レンズをプロジェクター内で機械的に移動させるためにレンズシフトを有し、幾つかのディスプレイは、プロジェクター自体を移動させるためにパラメータが調整され得る機械式ポジショナーを含む。幾つかのディスプレイは、光源の電圧、又はディスプレイに達する電力を制御する別のパラメータを制御することを可能にする。幾つかのディスプレイは、カラールックアップテーブルを設定して、微妙な色相を補正することを可能にする。場合によっては、これらのルックアップテーブルは空間的に変化する。幾つかのディスプレイは、より正確な入力/出力曲線を得るために、ピクセル値から比べて出力照度を制御するテーブルを有する。或いは、幾つかのディスプレイは、選択するために種々の係るテーブルを有する。幾つかのディスプレイは、動作温度が設定可能な温度制御ユニットを有する。幾つかのディスプレイは、焦点を合わせる、又は焦点をぼかす、或いはズームインすることができるレンズを有する。幾つかのディスプレイは、余分のピクセルを有し、入力信号全体を右又は左にわずかにシフトさせるかどうかを設定することができる。多くのディスプレイは、アナログ信号に正しく同期するという問題を蒙り、これらのディスプレイは、入力信号をディスプレイに正しく同期させるように設定され得る位相及びタイミングを有する。適切な制御装置またはインターフェースを介して設定され得る、本明細書で言及されていないパラメータが更に多く存在する。この説明のために、ディスプレイ装置のパラメータは概して、2つのカテゴリーに分類される。即ち、自動的に制御され得るパラメータ(例えば、シリアルポートコマンドを介して、図1の121)、及び手動設定を必要とするパラメータ(図1の123)である。大部分について、例示的な実施形態は、自動制御可能なパラメータ(121)に関する。
【0039】
I.ピクセル補正
OMTEパラメータを設定する、ピクセル補正機能及び表示補正機能の導出について次に、更に詳細に説明する。ピクセル補正機能の導出を更に参照すると、上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号には、如何にしてピクセルの有無を検出し、マッピングを形成し、ピクセル補正機能を導出して適用するかに関する方法が詳細に説明されている。他の特許文献、及び学術論文には、マッピングを形成する他の技術または他の態様が説明されている。これらの多くは、Aditi Majumder及びMichael S. Brown著、「Practical Multi-Projector Display Design」に説明されて参照される。背景として、ピクセル補正機能を導出するプロセスについて簡単に復習すると、次のようになる。また、上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号の図4b、図5、及び図6、並びに添付の記述も参照する。一般に、ピクセル補正機能を導出するプロセスは、スクリーンに表示される一つのテストパターンから始まり、当該テストパターンは光センサによって検出される。ドットパターン、六角形パターン、ガウス分布パターン、正弦波パターン、及びストライプパターンを含むピクセルを検出するために、多くのパターンが学術論文および特許文献において使用されていることに留意されたい。場合によっては、重要なのは、ピクセルが投影されない箇所を検出することであり、特にピクセルの欠けを検出することである。場合によっては、パターンを他のコンテンツに埋め込むことができる。これらのパターンは、人間が見るのは困難であり、電子透かしと呼ばれることが多い。或いは、これらのパターンは、カメラで観測することはできるが、観察者は見ることができないスクリーンの部分に投影することができる。場合によっては、ユーザが表示しているコンテンツは、テストパターンとして直接的に使用され得る。
【0040】
検出されるテストパターンからの情報を用いて、検出されたピクセルからセンサへのマッピングを求めることができる。場合によっては、そのマッピングは十分である。しかし、多くの場合、測定される表示画質は、ディスプレイ表面に対して表され、例えば、結果として表示される画像がディスプレイ表面のどの箇所に現われるべきかに関する仕様である。この場合、次のステップは、ディスプレイ表面と光センサとのマッピングを、色、照度、及び位置に関して設定することである。このマッピングを支配する変換は知られている。或いは、このマッピングは、基準マーク、及び/又は既知のスクリーン形状、及び/又はカメラを使用する標準的なコンピュータビジョンのステレオアルゴリズムを通じて設定され得る。コンピュータビジョンのステレオアルゴリズムは情報を必要としないが、多くの場合、ディスプレイ表面の適切な位置及び向きが既知であることを指摘しておく価値がある。当該ディスプレイ表面は単に平坦な壁として指定されることができるか、又はその大まかな幾何学的構造を知っている任意の3次元物体の平坦な壁として指定され得る。恐らくは、ディスプレイ表面は、半径及び高さを有する円筒のような基本形状であるか、又は(例えば)三角形の面により表わされるディスプレイ表面の3次元形状のような更に複雑な或る形状である。
【0041】
ピクセル補正機能を提供するための幾つかの方法は、スクリーン表面を明示的に生成して、ピクセルマッピング及び/又はセンサ対検出ピクセルマッピングを表示することに留意されたい。他の方法は、これらのマッピングを明示的に生成しないが、最先端分野において専門知識を持つ誰かが、このようなマッピングへ容易に変換できるような量を使用する(例えば、以下に限定しないが、周波数空間から位置空間へのフーリェ変換を使用する)。導出された量を使用するこれらのマッピングは、暗黙的マッピングと呼ばれ得る。
【0042】
一般に、センサからディスプレイ表面への既知のマッピング、又は導出されたマッピング、及び検出されたピクセルからセンサへのマッピングを使用して、検出されたピクセルとディスプレイ表面との間の結果としてのマッピングを求めることができる。このステップについては、上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号に詳細に説明されている。
【0043】
次に、当該マッピングの補正、及びディスプレイ表面に現われるべき所望の色の補正を行なうことができ(上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号においてのように)、これらの補正がピクセル補正機能をほぼ形成する。以下に限定しないが、ピクセル補正機能を提供する方法についての説明を続ける。
【0044】
一旦、適切なマッピングが達成されると、目的の機能を設定して、観察者が望む表示画質を提供することができる。多くの場合、目的の機能は、考慮されるべき色の均一性、位置、及びラインの真直度などを考慮に入れる。多くの場合、当該機能は空間的に変化する許容範囲、又は人がディスプレイ表面に沿って移動する際に量がゆっくり変化することを可能にする許容範囲を有する。例えば、光入力の逐語的な解釈では、眼の平滑性の寛容さをモデル化することができ、不均一な照度出力を人間の眼の視点から均一に見えるようにすることが可能である。
【0045】
このように、ピクセル補正機能は、入力信号の所望の変換として定義されることができ、この変換には、以下に限定しないが、入力の色および照度の変換、入力信号のワーピング、入力信号のリサンプリングが含まれる。例えば、各ピクセルの赤(R)、緑(G)、及び青(B)のピクセル照度、及び照度の乗数アルファ(R、G、B、Alpha)を計算して、ディスプレイ表面で見られる画質を最大にすることができる。更に複雑なピクセル補正機能は、マトリクス又はルックアップテーブル、或いは他の技術を使用して入力信号色(R、G、B)を異なる入力信号色(R、G、B)に変換する。入力信号をワープさせて、当該信号がディスプレイ表面の正しい部分に位置するようにすることができる。ワープさせる場合、空間的に変化することができるリサンプリング方法を選択し、この方法は以下で更に説明される。
【0046】
II.表示画質補正
図3は、表示画質補正機能を導出して適用するための例示的な手順300を表わす。少なくとも一つのOMTEパラメータ(116)を変更し、ディスプレイ上の結果をセンサ106により検出する。表示画質補正機能は、センサ測定を異なるOMTE設定で繰り返し行なうことにより導出される。表示画質補正機能は多くの異なる方法で導出され得る。一つの例は、図3に示された所定回数の測定を行なうことである。代替の手法は、少なくとも一つのOMTE設定を、画質の測定基準が最大になるまで繰り返し変更することであり、それは図4に示される。
【0047】
図3に示されるように、手順300はまず、導出プロセスにおいて使用されるべきピクセルを選択する(ステップ310)。ピクセル補正機能の導出と同様に、選択されたピクセル(選択ピクセルと称す)からセンサへのマッピングを求める。選択ピクセルをステップ312で使用して、表示画質補正機能を以下のように導出する。まず、少なくとも一つのOMTE設定が、その現在の値からサブステップ314において変更される。次いで、ディスプレイ(102)の変更されたOMTE設定に基づいて、選択ピクセルを、サブステップ316で検出する。ステップ314及び316は、異なるセットのOMTEパラメータ(即ち、異なる設定レベル、又は異なる動作ポイント)を使用して、所定回数だけ繰り返される。表示画質補正機能は、表示画質の測定基準(即ち、ディスプレイが、その最高品質を達成する場合の動作ポイント)を最大にすることにより選択される。次いで、手順ステップ318では、この導出された表示画質補正機能は、ディスプレイのOMTEパラメータをステップ312で定義されたものに基づいて設定することにより適用される。OMTEパラメータは必要に応じて、ステップ320において格納され、以下で説明されるように、格納されたパラメータを、種々の方法で使用することにより、ディスプレイ性能を更に最適化することができる。一組のOMTE設定がディスプレイの一つの動作ポイントを形成する。反復の方法では、ステップ312を図4のステップ410に置き換える。このステップでは、ディスプレイのピクセルを検出し(ステップ412)、検出された出力は、最高表示画質が達成されているかどうかについての判定を受ける(判定ステップ414)。画質が最高になっていなかった場合、手順ステップ410からステップ416に分岐し、このステップ416では、表示画質補正機能が、現在のOMTEパラメータを変更することにより適用される。OMTEパラメータのこの変更は、階調勾配(gradient ascent)のような標準の非線形最大化技術に基づくことができる。変更OMTEパラメータが与えられる場合、ピクセルは再び、ステップ412で検出され、判定ステップ414は再び、画質が最高になっているかどうかを判断する。最高画質が達成されている場合、ステップ410が完了し、そして上述のステップ318及び320(任意)を実行することができる。
【0048】
III.表示画質補正およびピクセル補正
表示画質補正機能およびピクセル補正機能は、任意の順序で、又は並行して導出され得る。多くの場合、表示画質補正機能を最初に提供することが最適である。即ち、OMTE設定をまず最適化し(従って、最良の表示を生成することが可能になる)、次いでピクセル補正機能で更に最適化することにより、結果として得られる補正された表示の画質を最高にすることができる。しかしながら、場合によっては、これらの補正機能を逆の順番で導出することが好ましい場合もある。実際、両方の機能を同時に導出するように、OMTEパラメータ及びピクセルテストパターンを同時に変更することができる。
【0049】
本発明の教示を更に示すために、図2a、図2b、及び図2cはそれぞれ、本発明の補正手順に関する実施形態の基本フローチャートを提供する。ピクセル補正機能の一実施形態(「シェーダ補正機能」とも呼ばれ得る)を示す上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号の図4Aを特に更に参照する。この機能手順又は同様の機能手順が、図2a、図2b 及び図2cのそれぞれにおいて、ピクセル補正機能210を設定するステップとして示される。これらの図のそれぞれに示されるように、本発明は、所定のOMTEパラメータに対する表示画質補正機能を設定する上述のステップをステップ220として考察する。独自に、本発明は、両方のステップを組み合わせて、所定のディスプレイシステム(一つ又は複数の別個のディスプレイ装置からなる)の限界内で優れた画質を達成する。図2aでは、矢印230は、システムが最初に、OMTEステップ(単数または複数)を各パラメータに対して実行し(ステップ220)、次いでピクセル補正機能を設定する(ステップ210)ことを示す。これは1度だけ行なうことができる。同様に、図2bでは、最初にピクセル補正機能を設定し(ステップ210)、次いで(矢印232に従って)、表示画質補正機能(ステップ220)を実行する。
【0050】
図2cでは、一旦、手順が始まると、2つの方向の矢印234及び236で示されるように、ステップ210及び220を継続的に実行し続ける。このように、ピクセル補正機能および表示画質補正機能は、現時点で検出される画像データに基づいて、常に更新される。
【0051】
図1を再度参照すると、画像ソース(110、入力信号とも呼ばれる)は、表示されることが望ましいコンテンツである。当該画像ソースがピクセル補正装置(112)(これは、ピクセル補正機能を適用する)を通過させられる。その装置の結果は、ディスプレイ装置(102)への入力として送信され、このディスプレイ装置のOMTEパラメータは設定されている(図1の119、及び図3のステップ318)。当該ディスプレイを補正されたピクセルデータで駆動することは、入力115として定義され、ピクセル補正装置(112)の結果をディスプレイ(102)の入力に送信している。
【0052】
IV.補正機能及び動作ポイントの格納
ピクセル補正機能および/または表示画質補正機能は、ルックアップテーブルのような種々の構造で格納され得る(図1の例示的な記憶位置118に、及び図3の任意のステップ320に従って)。ルックアップテーブルは、種々の形式で構成される。幾つかの実行可能なものは、三角形のメッシュ上でワーピング又はカラーバリエーションを表わす数字のテーブルを含む(OpenGLテクスチャマッピングの意味において)。ルックアップテーブルは、多項式に使用されてピクセルをワープするための、又は入力ピクセルのカラーを修正するための係数を含むことができる。この場合、数字は、一つのテーブルの中に存在することができる。別の代替案において、これらの数字は、小グループに分割され、これらのグループはそれぞれ、ピクセル補正機能全体の小部分を表わす(例えば、ワーピングチップは、少ない一組の数字を局所的に使用して、局所的なワープを表わすことができる)。場合によっては、ルックアップテーブルは、乗数またはカラーのオフセットのような一つの値を有する。場合によっては、ルックアップテーブルは、一つ又は複数の値を入力として有し、一つ又は複数の値を出力として有する。例えば、カラー変換用のルックアップテーブルは、3つのカラーのピクセル値を入力として有し、3つのカラーのピクセル値を出力として有する。
【0053】
ディスプレイを取り囲む、又はディスプレイの内部の周囲条件は、ディスプレイの動作および/または所望の特性に重要である可能性がある。例えば、ディスプレイに直接的に降り注ぐ周囲照明(太陽光のような)は、色を正確に表示するディスプレイではなく、明るいディスプレイを有することが望ましい状態を生み出すことができる。また、ディスプレイは一般に、機械部品および/または電子部品から構成されるので、周囲温度および/または湿度(装置の内部又は外部のいずれかにおける)は、ディスプレイの性能に影響を与える可能性がある。同じセンサ、又は追加のセンサを使用して、周囲条件を検出することができる。更に、複数セットのOMTEパラメータ、及びピクセル補正機能は、これらの異なる周囲条件に使用するために格納されることができ、これにより種々の別個の動作ポイントを導出することができる。データを収集するいずれのセンサも、ディスプレイシステムが使用中の間にデータを収集することができる。或いは、ディスプレイシステムは、センサにより検出されるべき特殊なピクセルを受け取って表示することができる。例示的な実施形態によれば、周囲条件は、ディスプレイシステムが使用中の間に適応され得る。
【0054】
V.ピクセル補正機能の副次的な悪影響を最小限に抑える
幾つかのアプリケーションでは、ピクセル補正機能を使用して入力信号を修正すると、望ましくない副次的な悪影響を受ける可能性がある。一つの考えられる例として、入力信号をワープさせてリサンプリングすることは、高い空間周波数を犠牲にする可能性がある。別の例は、入力信号を減衰させることによりプロジェクターの照度を低くすることが、ダイナミックレンジを犠牲にすることである。OMTEパラメータを変更することにより、プロジェクターへの入力信号に加える必要がある変更を最小限に抑える、又は潜在的に無くすことができ、従って、望ましくない副次的な悪影響を低減することができる。
【0055】
幾つかのアプリケーションでは、入力信号の修正による望ましくない副次的な悪影響は、画像の幾つかの領域では許容できない。一例では、画像がテキストを含み、テキストは、リサンプリングに良好に応答することができないかもしれない(例えば、テキストは、ピクセルの完全に直線的なグリッドに対して設計され、直線的なグリッドは、入力信号が修正される際にゆがめられる場合が多い)。従って、修正をこの領域に適用することは望ましくない可能性がある。例示的な実施形態では、ピクセル補正装置(112)は、入力信号のうち、テキストを含む領域を含む部分を無視するように命令され得る。或いは、システムは、異なるリサンプリングフィルタをこれらの領域に適用することができる。一例では、鮮鋭化フィルタを使用して、リサンプリングされる可能性のあるテキストの画質を向上させることができる。一般に、総合的な画質の測定基準は、空間的に変化するフィルタをディスプレイへの入力信号に使用することにより改善され得る。
【0056】
VI.手動制御可能なパラメータ
場合によっては、OMTEパラメータは自動制御可能でなくてもよく、これらのパラメータは手動制御可能である(図1の123を参照)。これらの状況では、これらのパラメータを手動で修正するために、フィードバックループに外部オペレータを有することが望ましい。以下に限定しないが、外部オペレータは人間、又は1本のソフトウェア、或いは機械装置とすることができる。例えば、投影される信号がスクリーン全体に及ぶように、オペレータに命じて、プロジェクターを一つの方向に移動させることができる。
【0057】
VII.冗長なディスプレイ(単数または複数)
図5を参照すると、本発明の一実施形態による連動型プロジェクターアレイ500の例が、更に詳細に示される。この例について、以下で更に詳細に説明する。複数のオンラインプロジェクター(520、522、524など)に加えて、アレイ500は、一つ又は複数の冗長なディスプレイ550を含む。即ち、これらオンラインプロジェクターのうちの一つが極めて薄暗くなる、又は動作不能になった場合に使用されるように、余分のディスプレイが利用可能である。センサデータを処理することにより、特定のディスプレイが極めて薄暗いことが見出される場合、又は結果としてのシステム表示画質が閾値を下回る場合、冗長なディスプレイ550を自動的にオンにして、元のディスプレイを置き換えることができる(問題のディスプレイは、センサ対ディスプレイマッピングと連係して測定されるセンサによって識別される)。内蔵型ディスプレイの場合、元のディスプレイを正確に置き換えることができない恐れがあり、その理由は、元の内蔵型ディスプレイが依然として残ることになるからである。プロジェクターの場合、新たにオンになったプロジェクターからの光が、古いプロジェクターからの光に取って代わることができる。場合によっては、一つのオンラインプロジェクター当たり一つの冗長なプロジェクターが存在する。別の実施形態では、冗長なプロジェクターの光は、既存の一群のプロジェクターの光に加えられて、性能の低下したプロジェクターがシステムから取り外されることはない。この場合、冗長なプロジェクターは、少なくとも或る量の光が問題のあるディスプレイから置き換えられ得る少なくとも或る量の光となることができるように、多数のプロジェクターの出力光に重なるように予め配置される。
【0058】
D.表示画質の維持
多くの場合において、ディスプレイは、或る画質レベルを時間と共に維持することが期待される。較正中に、ディスプレイシステムの動作中に、及びディスプレイシステムが、センサによって検出されるように設計された特殊なピクセルを表示している間に取得されるセンサデータは、ディスプレイが画質目標を達成することを検証するために、サードパーティにとって極めて有用である。サードパーティは、以下に限定しないが、人間又はモニタリングシステムとして定義され得る。図6を参照すると、線図600は、サードパーティに利用可能にする種々の形態のデータを説明する。場合によっては、センサデータを直接的に供給することが有用となる場合がある(ブロック620)。更に一般的には、データをセンサから抽出してサードパーティに供給することが有用である(ブロック622)。供給される情報(分岐624)は、以下に限定しないが、生のセンサデータ(ブロック620)、グラフ、ヒストグラム、及びプロットのようなセンサデータの派生物(ブロック622)、環境データ(ブロック626)、OMTEパラメータ(ブロック628)自体、又はピクセル補正機能(ブロック630)を含むことができる。このデータの全ては、一つの時点から、又はデータを時間と共に集めることにより導出できる。
【0059】
以下は、ディスプレイを維持するために有用となり得るデータの例示的な例である。これは、設定されていないと推測される場合に手動で設定されている表示設定のような、又はユーザがディスプレイを移動させている(恐らく、偶発的に)というような情報、或いは光源が交換を必要とする情報を供給することを含む。また、選択されたディスプレイ測定基準でディスプレイにわたる画質を示すためにプロット又はグラフを供給することも、非常に有用となることができる。また、画像を供給することも有用となることができる。
【0060】
一般に、サードパーティに供給されるデータは、電子メッセージ(632)の形態で送信される(分岐624)。それは、以下に限定されないが、ページ、電子メール、テキストメッセージ、自動電話コール、コンピュータモニタ上のポップアップウィンドウ、又はモニタリングシステムにおける情報メッセージを含むことができる。
【0061】
場合によっては、経時的なセンサデータから、ディスプレイがもはや、その画質目標を達成することができない時点を予測することができる。時間と共に変化するデータを供給することは、極めて重要な特徴となることができる。システムは、光源が十分に明るくない時点、カラーレンジが極めて狭くなる時点、他の重要な尺度の様々な画質尺度が閾値に達することになる時点を直接的に予測することができる。サードパーティは一般に、このメッセージを使用して(ブロック632)、システムのメンテナンスを必要に応じて実行する。また、サードパーティは、システムが許容可能な画質レベルを満たさないという理由でシステムを停止させることもできる(ブロック634)。
【0062】
E.例
以下は、本明細書において本発明の概念の教示を用いることができる具現化形態の特定の例である。
【0063】
背景および更なる説明のために、代表的なディスプレイシステムが物理的に取り付けられて構成される(例えば、一つの表面を指すプロジェクターのアレイ、又は内蔵型ディスプレイのアレイ)。これらのディスプレイは、最初に工場において或る動作ポイントに較正される(即ち、OMTEパラメータの所定の設定)。また、センサも適切な位置に取り付けられる。例えば、複数のカメラは、その集合がディスプレイの全体を観測することができるように配置される。較正が実行され、その較正は、ピクセル補正機能および表示画質補正機能が、上述した態様で導出されることを意味する。これらのセンサは、周囲照明およびディスプレイの画質(通常、全体輝度、照度の均一性、及び色均一性)を記録することができる。次いで、ディスプレイを動作状態にする。次いで、センサがディスプレイに関するデータを連続的に記録し、ディスプレイがメンテナンス又は再較正を必要とするかもしれない場合に、サードパーティに警告することができる。再較正は必要に応じて定期的に、又はユーザの命令で行なうことができる。幾つかの例示的なシステムでは、種々の補正は、上述したように、通常動作中に、センサデータ及び周囲条件の測定値に従って行なう。
【0064】
一例では、ディスプレイはLCDディスプレイとすることができ、調整され得る電子パラメータ(OMTEパラメータの一部)はシェーダ補正単位を含むことができ、シェーダ補正単位は、DCオフセットを20×20のグリッドの各セクションに対して設定して均一性を提供し、撮像センサは、工場内較正システムの一部である。この粗調整に続いて、局所的な色歪みは、導出されたピクセル補正機能で補正される。当該システムの目標は、均一な色及び照度のディスプレイを提供することである。
【0065】
別の例では、複数の内蔵型ディスプレイ(710、712、714、716、718、720、...、722、724、726)が、図7に示されるようにM×Nのビデオ壁(この例では、M=3)として構成される。パーソナルコンピュータ740又は他の処理装置(適切なビデオインターフェース742を有する)は、計算およびピクセル補正装置(図1の108、112を参照)を形成する。この場合も先と同様に、カメラ730又は複数のカメラのような撮像センサは、各ディスプレイの全体的な色および輝度を補正して隣接するディスプレイとほぼ同様にすることができる。この新規のステップは、別々に、即ち一度に一つずつではなくて、複数のディスプレイを互いに対して較正する。OMTEパラメータは、各ディスプレイの色チャネルごとの輝度およびコントラストである。更に、可能な場合には、シェーダ補正を使用して最適化し、構成された内蔵型ディスプレイにわたる均一性を提供することができる。必要に応じて、ピクセルレベルの補正を行なうことにより、残りの色欠陥を修正することができる。このシステムの目標は、色及び照度がこれらの内蔵型ディスプレイの全てにわたって均一になるディスプレイを提供することである。
【0066】
同じ例では、シミュレーション業界において望ましいように、複数のLCDパネルの配列が、円筒のような曲線の形状を画定することができる。この場合、入力信号は、視野錐台(frustum view)と呼ばれる所望の視点の透視画を補正する必要がある。カメラ(単数または複数)730は、各内蔵型ディスプレイの正確な位置を求めることができ、ピクセル補正機能は、所望の視点から適切に見えるようにするための入力信号のワープを含む。その入力信号はPC740に格納されるか、又は実行時間中に生成される。
【0067】
別の例では、撮像センサは、大きいダイナミックレンジの撮像に最適化されているLCDパネルを検査することができ、この場合、1000個の個別LEDから構成されるバックライトを設けることができ、これらのLEDの光出力は、個別的に、コンテンツに基づいて変調されて、LCDの不透過率により提供されるコントラストを超える、及びそれよりも高い輝度解像度を提供することができる。工場内のシステムは、変化する照度レベル(OMTEパラメータ)の均一性を較正することができ、より微細な粒子の色補正を、全ての残りの光学的不均一性に対して行なうこともできる(ピクセル補正機能)。
【0068】
別の実施形態では、ディスプレイはプロジェクターであり、ディスプレイ表面は、前方投影又は後方投影される平坦なスクリーンであり、OMTE表示パラメータは、色温度、コントラスト、及び輝度である。ピクセル補正機能は、画像をスクリーンの輪郭に位置合わせし、更に、色補正を行なって、スクリーン内の全ての色欠陥または幾何学的欠陥を除去する。このシステムの目標は、直線をグリッドパターンで供給して、当該パターンをディスプレイ表面の境界に位置合わせし、均一な色及び照度をディスプレイ表面にわたって提供することである。
【0069】
更に別の例では、ディスプレイは、エッジブレンドされる(例えば、投影される複数の信号の境界が部分的に重なる)複数のプロジェクターであり、ディスプレイ表面は任意である。ここで、図5の例を更に詳細に参照すると、補正された画像データをPC526から受信するプロジェクター(1−N)520、522、524は、ほぼ完全に重なり(積み重なり)、ディスプレイ表面528に対して軸外に配置され得る。各プロジェクター520、522、524のそれぞれの視野530、532、及び534が、それらの間に小さい重なり領域536及び538を表示する。この領域は、これらの投影画像のブレンディング(混合)を示す。同様に、これらの投影画像のそれぞれは、他の画像に対して回転させることができ、色、コントラスト、及び輝度に関して変化させることができ、サイズ/形状に関して、スクリーン528に対して画像を投射する相対角度に起因して異ならせることができる。軸外カメラ540は、画像領域全体を見て(破線542)、スクリーン全体から現時点で見られる画像データをPC526に返送して処理する。その処理の結果、OMTE表示パラメータを変更して、最高の解像度、並びに色およびピクセル補正機能の色調整を各プロジェクター520、522、及び524に提供して、最高画質のディスプレイを提供する。
【0070】
特に、OMTEパラメータは、色温度及び輝度、並びにコントラストを含むことにより、光源間の差異、これらのプロジェクターの位置及び向き、及び光バッフルの配置を補償して、重なる領域における黒レベルを更に弱めることによりコントラスト比を高める。ピクセル補正機能は、更に洗練された輝度および色の均一性を達成する。黒レベルに関して、これは、ペデスタルイコライゼーション(pedestal equalization)と呼ばれるが、任意の照度において、人は均一な照度を確保することを望むであろう。
【0071】
同じ例では、ピクセル補正機能および/または表示補正機能の測定は、バッフルを所定位置に配置することなく行なわれる場合があり、係るバッフルは後で追加される。この手順は、これらの補正機能の測定を、検出信号の信号対ノイズ比を大きくすることにより更に確実にする。この場合、機能の選択は、バッフルの予想される効果に基づいて行われ得る。或いは、バッフルを所定の位置に配置した後、更に多くのセンサデータを収集して、バッフルの影響を明らかにすることができる。
【0072】
同じ例では、較正プロセスを支援するために、物体(オブジェクト)が較正中に一時的に追加され得る。例えば、カメラがプロジェクターと同じスクリーン側に位置する状態で後方投影されるシステム、及び最少量の光をカメラの方へ逆方向に反射するように設計されたディスプレイ表面について考察する。この場合、カメラは、光をほとんど検出することができず、従って、確実に較正するのが困難となるであろう。補正機能の測定を改善するために、物体を一時的にディスプレイの前面側に追加することができ、この物体が、光をカメラの方へ戻すように導く。一実施形態では、スクリーンを有効に覆う紙は、カメラが観測するための十分な光を提供する。
【0073】
図5の別の実施形態では、ディスプレイ表面は平坦であり、かつ左右に周期動作して動いている。ディスプレイ表面の動きが分かっている場合、センサデータが、その動作の適切な時点で収集され、プロジェクター対ディスプレイ表面のマッピング、又はプロジェクター対センサのマッピングが導出される。
【0074】
図5のシステムに関連する更に別の実施形態では、関心のあるOMTEパラメータは、レンズシフトである。カメラを使用して、これらプロジェクターの全てを、互いに対して正しい相対位置にレンズシフトさせる。結果として形成された画像は、各プロジェクターの構成要素画像により画定される。一つの可能な目標は、これら投影画像の全てを互いの上に位置合わせすることである。別の可能な目標は、これらの投影画像を、或る量のピクセルの組だけ部分的に重ねることである。必要に応じて、プロジェクターへの入力ピクセルを更にワープさせて、更に改善された位置合わせを達成する。
【0075】
別の例は、ディスプレイの寿命を増大させる能力を提供する。OMTEパラメータは、これらの光源(電球/LED/レーザ/など)のそれぞれに供給される電圧レベルを含む。場合によっては、電圧レベルを0ボルトに設定して、光源をオフ状態に設定する。この場合、OMTEパラメータによって、システムは、光源の強度を減らして、より長い寿命をもたらすことが可能である。光源の強度を減らす決定は、光センサを通じて測定される周囲光条件に基づく。
【0076】
プロジェクターを用いる更に別の例では、重要な関心事は焦点である。幾つかのプロジェクションディスプレイは液体レンズを使用し、液体レンズは、OMTEパラメータを用いて調整することができる焦点を有する。焦点は、画像の中心に対して、又は画像の外側に対して最適化され得る。OMTEパラメータは、所望の画質尺度(これは一般に、中心における最高の焦点である)に自動的に調整され得る。必要に応じて、入力信号を更にワープさせて調整することにより、レンズの樽型歪、又は糸巻型歪、或いは他の歪みのいずれも補正することができる。
【0077】
同じシステムの更なる例では、各プロジェクターは、それに埋め込まれるワーピングチップ及び/又はカラーローテーションチップ(color rotation chip)を有するので、ピクセル補正装置が各プロジェクターの一部である。
【0078】
システムの具現化形態の更なる例では、M×Nグリッドの後方投影プロジェクターは、スクリーンに、及び互いにほぼ完全に重なるように光を当てる。この場合、目標は立体表示を生成することであり、一つの特定方向から観測することにより、一つの画像が主として一つのプロジェクターから生じる。スクリーンを含むこの全体システムは筐体内に配置されることができ、そのためイメージセンサ、計算装置、ピクセル補正装置、(全体システム)の全てが一体型の単一ユニットからなる。
【0079】
光出力がスクリーンに適用されるプロジェクターグループの別の例では、スクリーンは、既知の高さ及び半径、及び300度の範囲を有する円筒形スクリーンである。この場合、各カメラは一つのプロジェクターと一緒になってステレオペアを形成する。センサと選択された複数のピクセルとの間のマッピングを求める間、プロジェクターとカメラとの間の対応関係を求める。この情報から、スクリーンの位置は、標準的なステレオコンピュータビジョンのアルゴリズムを用いて求められ得る。円筒形スクリーンの場合、高さ及び角度の曖昧さが存在し、これら曖昧さは、検出されるスポットをスクリーン上のスポットに限定することを含む幾つかの方法によって解決され得る。スクリーン上の基準マーク、又はユーザ選択ポイントを追加して、マシンビジョンのアルゴリズムを支援することができる。スクリーンが所望の許容範囲に位置するまで、又は新たなスポットに関する追加情報が、所望の許容範囲内のスクリーンの求めた位置を変更しなくなるまで、ますます多くのスポットを投影して検出することができる。
【0080】
同じシステムは複数のカメラと共に使用され得る。この場合、一つのプロジェクターからの同じピクセルを観測することができる各カメラペアが一つのステレオペアを形成する。次いで、幾何学的補正が、上記で示唆したように行われ得る。また、複数のプロジェクター/複数のカメラが一つのステレオペアを形成する。カメラ及び他の光センサは、装置内の温度および他の電子ドリフトに起因して、時間的にわずかにドリフトする可能性があることに留意されたい。従って、複数のカメラペアに一つのプロジェクターからの同じピクセルを検出させることは有用である。システムは、両方のカメラにより検出される情報を使用して、一つのカメラの色空間から隣のカメラの色空間に変換することができる。全ての情報が一つの共通の色空間に変換され得るように、カメラが配置されている場合、プロジェクターは、その共通の色空間から較正され得る(背景として、このタイプの手順に関する変形例は、Ilie及びWelch著、「Ensuring Color Consistency across Multiple Cameras」、ノースカロライナ大学のTechnical Report TR05-011に記載されている)。システムの目標は、色均一性及びディスプレイ表面への幾何学的位置合わせを得ることである。
【0081】
光出力がスクリーンに適用されるプロジェクターグループの別の例では、スクリーンの幾何学的形状は「ほぼ」円筒(円柱)である。即ち、考えられる欠陥または収差を有する円筒である。この場合、ステレオコンピュータビジョンのアルゴリズムを、上の段落で説明したように使用して、スクリーンを正確にマッピングする。この場合、カメラを用いてスクリーン内の全ての欠陥を正確にマッピングするように十分な量のデータを収集するために、プロジェクターが多くのスポットパターンを投影することが有利であるかもしれない。この場合、予測子/修正子タイプのアルゴリズムを使用することができ、カメラ内のスポットの測定位置を使用して、将来のスポットが発見される場所を予測する。将来のスポットが予測位置の許容範囲内で発見される場合、カメラとプロジェクターとの間の十分な対応関係を求めることにより、システムがスクリーン内の全ての欠陥を補正することが可能になる。これは、ピクセル補正機能を求めるための反復方法である。同じ目標を達成するための異なる態様は、ストライピング方法を使用することである。この方法では、黒ピクセル及び白ピクセルからなり、交互に徐々に細くなるストライプを水平方向(次いで、垂直方向)に投影して検出し、最終結果として、各プロジェクター及び各カメラにおけるピクセルごとのマッピングが明らかになるようにする。この場合、スクリーンに正確にマッピングし、並びにプロジェクターに必要である、全ての対応関係の情報が収集されている。
【0082】
図5に関する別の例では、プロジェクターのアレイ、及び一つ又は複数のカメラを用いることにより、所望の結果としてのディスプレイは、「視野錐台(view frustum)」と呼ばれることが多い、特定の透視の視点に補正される画像を提供する。スクリーンの幾何学的形状が既知ではない場合、コンピュータステレオビジョンに基づく方法を使用して、スクリーンの幾何学的形状を測定することができる。この場合、入力信号はシミュレートされたシーンであることが多く、このシーンは、例えばOpenGLを使用してレンダリングされる。ピクセル補正は、特定の位置から眺める観察者が、当該シーンの透視図を見るように行なわれる。この目標は、三角法を使用し、及び適切な視野錐台を実現するように各シミュレートされるピクセルが何処にあるべきかを計算して達成され得る。
【0083】
上記の例では、カメラ及びプロジェクターのレンズは歪みを示す可能性がある。即ち、これらのレンズは、簡単なピンホールモデルによって正確にモデル化されない。これらの歪みを処理するための標準的なマシンビジョンのステレオアルゴリズムは、十分に堅牢でないかもしれない。歪み(半径方向歪みのような)を、非線形最小化(レーベンバーグ・マルカート(Levenberg−Marquart)アルゴリズムのような)でパラメータ化することにより、システムは、カメラ及びプロジェクターの位置及び向き、カメラ及びプロジェクターのレンズ歪み特性、及びスクリーンの形状を求めることができる。非線形最小化は、係るモデルの予測値とカメラの対応関係および基準マークの測定値との二乗差を最小にすることにより行なう。多くの場合、最小化を導入するための初期ステップは、歪みを無視する、又はカメラ及びプロジェクターの初期位置及び向きを発見的に求める。一旦、導入されると、アルゴリズムは反復して、歪みパラメータ、及びカメラとプロジェクターの位置及び向きに関する解に収束する。
【0084】
表示画質に影響を及ぼす重要な問題は、ビデオ信号タイミングとの誤った同期であることに留意されたい。センサはジッタ、欠けピクセル、モアレパターン、色ずれ、及び誤ったタイミングにより生じる他の問題を観測することができる。上記で定義されたように、ビデオタイミングはOMTEパラメータであり、本明細書で説明される表示補正機能を使用して補正され得る。
【0085】
上述されたように、基準マークを使用することにより、センサからディスプレイ表面までのマッピング、又はカメラからディスプレイ表面までのマッピングの形成が、より確実に、且つより正確に行なわれる。基準マークは、ディスプレイ表面に埋め込まれるLED、又はディスプレイ表面に投影される赤外線マーク又はUVマークを含む多くの形態を採る。また、例示的な基準マークは、3次元表面上に既知の位置を有するレーザ照射スポットの形態を採ることもできる。また、場合によっては、特定の色、又は反射率を有する可視基準マークを使用することもできる。例えば、ディスプレイスクリーンの周りの反射性パッチはカメラで容易に検出され得る(プロジェクターの光が衝突する場合、これらのパッチは有用な基準マークを提供する効果的な技術である)。これらの基準マークはパターンを形成され得るか、又は彩色され得るか(例えば、周囲のスクリーンに対して異なる反射率/透過率スペクトルを有する)、或いは形状により識別可能である。フロント及びリアプロジェクションディスプレイ装置の両方に関して、ドーム形の物体が特に有効な基準マークを提供するが、その理由は、ほとんどの方向から受光される光が、多くの方向に反射され、それ故に容易に観測することができるからである。また、基準マークはディスプレイ上に所定位置に一時的に配置し(テンプレートのように)、較正後に取り外すこともできる。
【0086】
例示的な実施形態による例示的なピクセル補正手順について説明してきたが、以下では、フィードバックを含む、色および照度補正について更に詳細に説明する。
【0087】
背景として、或るディスプレイ技術(例えば、LCDパネル)の特徴は、表示領域にわたる光出力の照度にかなりの不均一性が存在することである。更に、場合によっては、多くの光源が設けられ、各光源は、時間又は温度とともにその性能を別々に変化させる。更に、ほとんどのプロジェクションディスプレイは、光学系における照度の減少を示し、それにより投影画像の光学中心から離れて行くにつれて、輝度が徐々に低下するという結果になる。理論的には、光強度は一般に、軸の角度の余弦の4乗に従って低下する。この低下によって生じる照度変化は、口径食(vignetting:けられ)として知られている。また、センサは、その光学系内で口径食を蒙る可能性がある。従って、本発明は、照度補正システムを提供して、これらの難題に対処する。当該システムは、口径食を補正する2つの方法、即ち「開ループ」法および「閉ループ」法を意図する。閉ループ法は、ピクセル補正機能および表示画質補正機能を更新し、その更新の影響を測定し、次いで、両方の補正機能を再度修正するという点で反復的である。開ループ法では、センサ測定によって、補正機能が直接的に測定される。
【0088】
1.開ループ法(フィードバック無し)
一般に、本方法は、2つのプロジェクターの重なり領域における口径食を補償するために、適切な重み付け関数を適用することを意図する。重み付け関数については、上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号に詳細に記載されている。
【0089】
シームレスマルチプロジェクターシステムでは、照度がブレンド領域にわたって均一に見えるべきである場合には、ディスプレイ出力の非線形性だけでなく、プロジェクターにおける口径食の影響を補償する必要がある。ディスプレイの非線形性は一般に、出力照度=(入力照度)γの形式のべき法則を用いてモデル化され、この場合、γの代表値は2.5である。口径食を無視する場合には、部分的に重なる2つのプロジェクターの入力は、w(x)=x1/γ及びw(x)=(1−x)1/γの形式の補正済み重み付け関数を用いてブレンドされることができ、この場合、xはブレンド領域にわたって0から1まで変化する。
【0090】
口径食が生じる場合、ブレンド領域のエッジが顕著に暗くなることが多いが、その理由は、照度がプロジェクターのエッジで低下するからである。開ループ法は、エッジ近傍のプロジェクターの光の寄与率を、w(x)=F(x)1/γ及びw(x)=(1−F(x))1/γの形式の重み付け関数を使用することによって強調しない、この場合、F(x)は以下の最小特性を有する:
F(0)=0,F(1)=1
F’(0)=0,F’(1)=1。
【0091】
ゼロの1次導関数は、エッジ近傍の重みが小さいことを保証する。これらの基準を満たす2つの関数は(a)エルミート多項式:F(x)=x(3−2x)、及び(b)正弦関数:F(x)=(1−cos(πx))/2である。また、全体的な基準を満たす他の関数を使用することもできる。
【0092】
2.閉ループ法(フィードバック付き)
閉ループ法では、システムは、マルチプロジェクターディスプレイの照度をカメラフィードバックに基づいて繰り返し補正することにより、非常に広い範囲の様々な空間照度変化を補償する。閉ループ法をエッジブレンドディスプレイシステムに適用する場合、システムは、
(a)ひとたび照度補正手順が適用されれば、合成されたプロジェクター出力がカメラにどのように見えるべきかを判断する。これは、個々のプロジェクター出力のカメラ画像に基づいてカメラの視点からの目標画像を形成することを含む。目標画像形成プロセスは、カメラにおける口径食の影響を考慮する必要があり、プロジェクター出力が部分重みを使用して合成される際に、目標画像が実際に達成され得ることを保証する必要がある。
(b)これらのプロジェクターのそれぞれに適用される重み付け関数を、これらのプロジェクターからの合成出力(カメラにより観測される)がステップ(a)で形成される目標画像に一致するまで繰り返す。繰り返しのたびに、重み付け関数は一つ又は複数の以下の制約条件を満たす必要がある。即ち、
i.重み付け関数は0(最低照度)から1(最高照度)まで、急激に変化することなく単調に増加する必要がある。
ii.これらプロジェクターの全てに対する重み付け関数の和が1になる必要がある。
iii.開ループ法の場合と同じように、平坦性条件(ゼロの導関数)を重み付け関数に課すことができる。
【0093】
閉ループ法の特定の例は、γの正確な数値が先験的にわかっていない場合にエッジブレンドを行うことである。この場合、手順は、照度を低く見積もるために知られているブレンド関数、例えばw(0)(x)=F(x)(ここで、γ=1を設定する)から始まる。ここで、システムは、γが常に1よりも大きいという事実に依存し、そのためF(x)がF(x)1/γを超えない。k回の繰り返しでは、重み付け関数w(k)(x)は、w(k)(x)=[w(k−1)(x)]1/Δの形式のべき法則を用いて、前の繰り返しから得られ、この場合、Δは1と代表的なγ値、Γとの間の数値である。実際、ΔはΓのN次平方根となるように選択される場合、N回の繰り返しの後の重み付け関数は、w(N)(x)=F(x)1/Γとなり、この関数は、Γの先験的な情報を与えられる場合に、所望の重みとなる。実際、対数サーチにより、所望の重み付け関数が数回の繰り返しのみで生じる。
【0094】
照度補正用の閉ループフィードバックシステムは、1次元ブレンド関数に限定されない。また、本方法は、2Dでも適用することができ、ブレンド領域に限定される必要はない。当該方法のこのような拡張により、システムのフィードバック照度補正方法が、LCDパネルに見られるような、空間的非均一性を補正するためにも使用されることを可能にする。
【0095】
閉ループシステムの例示的な実施形態が、均一な照度及び色の白色ベタ画像を表示しようとしているM×Nグリッドのプロジェクターにより例証された。システムは、開ループ法を使用して、各ディスプレイの巨視的なOMTE表示特性(表示画質補正機能)をどのようにして設定するかについての初期推定を行ない、次いで、スクリーン上の表示信号が、実際に均一で非常に濃い色になるまで、入力信号uに対する変更を繰り返し行う(ピクセル補正機能)。
【0096】
フィードバックシステムの別の実施形態は、プロジェクターの黒レベルのデジタル補正に使用される。黒レベルは、プロジェクターが生成することができる最も低い光強度を意味するので、この方法における重要な違いは、任意の減衰する重み付け関数を適用することができる前に、黒レベルを僅かに上げるべきであるということである。
【0097】
この方法に対する更なる改良は、プロジェクターの間の特定の色バランスを目標にすることであり、それにより構成要素の色強度の差異に対処する。例えば、全ての赤ピクセルの照度を全てのプロジェクターにわたって均衡させる。
【0098】
更に、パラメータを上記のように変更することに関連して、米国特許第5,381,349号(その教示は参照により本明細書に明確に組み込まれる)に説明されているようなカラーバランスに関する同様な手法に従うことができ、上記で組み込まれた米国特許第6,456,339号におけるのと同様に、この米国特許第5,381,349号では、システムが複数のパッチを目立たせて測定する。ここで、例示的な実施形態のシステムは、赤のコントラスト、赤の輝度、緑のコントラスト、緑の輝度、青のコントラスト、青の輝度のような色に関連する表示OMTEパラメータを変更する。更なる改良は、米国特許第7,038,727号(この教示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる)に説明されているように、光度の目的関数と連係して、このRGB輝度およびコントラストの変化量を使用することであり、これらプロジェクターの動作ポイントを出来る限り近付けて設定して、ピクセル補正機能の更なる微調整を行なう。
【0099】
係る具現化形態では、光センサを標準的な較正ソースに対して較正することが望ましい。一実施形態では、システムは、遠く離れて位置する非集束ハロゲンランプ点光源により照明されるカメラ撮像装置を使用し、この点光源は、均一光源の様相を有する。
【0100】
上記は、本発明の例示的な実施形態に関する詳細な説明であった。種々の修正および追加は、本発明の思想及び範囲から逸脱せずに行なうことができる。上述した種々の実施形態のそれぞれは、他の説明された実施形態と組み合わされて、多くの特徴を提供することができる。更に、上記では、本発明の装置及び方法に関する多数の別個の実施形態が説明されてきたが、本明細書で説明してきた内容は、本発明の原理の応用形態を単に例示しているに過ぎない。例えば、更なる補正ステップが、本明細書に記載されたステップ以外に使用され得る。これらステップは特に、採用されるディスプレイ装置およびディスプレイ表面のタイプに基づくであろう。更に、本明細書において記載される手順および機能のいずれもが、ハードウェア、プログラム命令からなるコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現化され得ることは明確に意図されている。従って、本記述は、単なる例としてのみ解釈されることを意図しており、本発明の範囲を制限することを意図していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための方法であって、
a.光学、機械、熱、及び電子(OMTE)表示パラメータを含むディスプレイにピクセルを選択的に表示する表示ステップであって、これらのOMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つが可変である、表示ステップと、
b.表示されたピクセルのうちの少なくとも一つ、及び表示されたピクセルの欠けを検出するステップと、
c.検出されたピクセルとディスプレイとの間のマッピング、又は検出されたピクセルとセンサとの間のマッピングを明示的に、又は暗黙的に導出するステップと、
d.前記マッピングに基づいてピクセル補正機能を導出するステップと、
e.前記検出されたピクセルに基づいて表示画質補正機能を導出するステップと、
f.前記OMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つを設定することにより、前記表示画質補正機能を適用するステップと、
g.補正されたピクセルデータを生成するために、入力画像ピクセルデータを変更することにより、前記ピクセル補正機能を適用するステップと、
h.前記ディスプレイを前記補正されたピクセルデータで駆動するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記表示されたピクセルを検出するステップが、前記ディスプレイの周りの周囲環境を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択的に表示する表示ステップが、少なくとも一つのプロジェクターで、別個の投影表面にピクセルを表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択的に表示する表示ステップが、ピクセルを内蔵型ディスプレイに表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択的に表示する表示ステップが、連動型ディスプレイを提供するように構成された複数の内蔵型ディスプレイにピクセルを表示することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ピクセル補正機能を格納するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ピクセル補正機能を格納するステップが、前記ピクセル補正機能をルックアップテーブルとして格納することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記表示画質補正機能を導出するステップが、前記表示画質補正機能をルックアップテーブルとして格納することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記選択的に表示する表示ステップが、連動型ディスプレイを提供するように、複数のプロジェクターで、別個の投影表面にピクセルを表示することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ピクセル補正機能を導出するステップが、表示画質全体を向上させるように、異なるようにリサンプリングされるべき領域を選択的に選択することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記検出するステップからのデータを外部オペレータに供給することを更に含み、前記表示画質補正機能を導出するステップ、及び前記表示画質補正機能を適用するステップのうちの少なくとも一つが、前記ディスプレイに関する前記OMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つを前記外部オペレータにより設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記外部オペレータが、人間のオペレータ及び外部データ処理アプリケーションのうちの一方からなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
後で使用するために、前記検出するステップからの少なくとも幾つかのデータを供給するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも幾つかのデータを供給するステップが、前記データを使用して、(a)システム較正又は較正検証機能を遠隔的に実行すること、(b)システムの画質尺度をレポートすること、(c)ディスプレイが画質目標の許容範囲内にあることを検証すること、(d)ディスプレイ照度に基づいてディスプレイ光源の性能をレポートすること、(e)前記ディスプレイの輝度、位置、幾何学的形状、及び照度の品質を判断すること、(f)前記OMTEパラメータの変更をレポートすること、(g)周囲条件を測定してレポートすること、(h)前記ディスプレイの達成可能な色空間を求めること、(i)ディスプレイ入力信号に対して色変換を行なった後にディスプレイ入力信号のダイナミックレンジを導出すること、(j)前記ディスプレイの設定の変更を検出してレポートすること、及び(k)前記ディスプレイが所定の位置範囲の外に移動したことを判断することのうちの少なくとも一つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも幾つかのデータを供給するステップが、電子メッセージ及びメッセージのうちの少なくとも一つを専用ディスプレイに表示することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも幾つかのデータが、表示画質目標に関連する情報を含み、その情報が、(a)プロジェクターの電球性能、(b)表示輝度レベル、(c)表示色空間サイズ、及び(d)較正を行なう必要があることのうちの少なくとも一つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも幾つかのデータが、英数字テキスト、ウェブページの画像、グラフ、及びプロットのうちの少なくとも一つに基づいて提示される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも幾つかのデータを供給するステップは、表示画質目標が所定の閾値未満に低下するタイミングに関する予測情報を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記予測情報は、ディスプレイの光源が交換を必要とする予測時間に関する情報を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記検出するステップが、検出されるデータを時間と共に取得し、前記OMTEパラメータ及び前記補正されたピクセルデータのうちの少なくとも一つを、測定された、又は予測された周囲条件に従って変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記周囲条件が、前記ディスプレイの領域における周囲照明、温度、及び湿度のうちの少なくとも一つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定された、又は予測された周囲条件が、前記OMTEパラメータ及び前記ピクセル補正機能のうちの少なくとも一つに基づいた複数の格納された動作ポイントに対応する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記表示画質補正機能を導出するステップ、及び前記ピクセル補正機能を導出するステップのうちの少なくとも一つがそれぞれ、繰り返し行なわれる、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記表示画質補正機能を適用するステップ及び前記ピクセル補正機能を適用するステップのうちの少なくとも一つの後に、人間のオペレータによって、かつ補正機能付き前記ディスプレイを見る前記人間のオペレータに基づいて、前記ディスプレイの前記OMTEパラメータのうちの少なくとも一つに対して更なる調整を行なう、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記検出するステップによる、前記ディスプレイが所定の表示画質目標未満に低下したという判断に応答して、前記ディスプレイが受け持つ領域の少なくとも一部分に重なる冗長ディスプレイを起動することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
画像を表示するための方法であって、
a.連動構成の複数のディスプレイにピクセルを選択的に表示する表示ステップであって、前記複数のディスプレイのそれぞれが、個々の光学、機械、熱、及び電子(OMTE)表示パラメータを含み、これらのOMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つが可変である、表示ステップと、
b.表示されたピクセルのうちの少なくとも一つ、及び表示されたピクセルの欠けを前記複数のディスプレイ上で検出するステップと、
c.前記検出されたピクセルに基づいて表示画質補正機能を導出するステップと、
d.前記OMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つを前記複数のディスプレイのうちの少なくとも一つに設定することにより、前記表示画質補正機能を適用するステップとを含む、方法。
【請求項27】
ディスプレイを調整するための方法であって、
前記ディスプレイの選択されたピクセルをセンサで検出するステップと、
前記検出されたピクセルを前記ディスプレイに、又は前記センサにマッピングするステップと、
前記検出するステップに基づいて前記ディスプレイの性能に関するデータを時間と共に取得し、性能に関する前記データを使用して、前記ディスプレイの動作パラメータを変更すること、及び前記ディスプレイの性能に関係する情報をサードパーティに供給することのうちの少なくとも一つを行なうステップとを含む、方法。
【請求項28】
周囲条件に関するデータを時間と共に取得し、周囲条件に関する前記データを使用して、前記ディスプレイの動作パラメータを変更すること、及び周囲条件に関係する情報をサードパーティに供給することのうちの少なくとも一つを行なうステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ディスプレイが、連動構成の複数のディスプレイからなる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
画像を表示するためのシステムであって、
ピクセルを選択的に表示するディスプレイであって、前記ディスプレイのOMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つが可変である、ディスプレイと、
表示されたピクセル、又は検出されたピクセルの欠けを検出するセンサと、
前記検出されたピクセルと前記ディスプレイとの間、又は前記検出されたピクセルと前記センサとの間をマッピングするマッピングプロセスと、
前記検出されたピクセルに基づいて、前記OMTE表示パラメータのうちの少なくとも一つを設定する表示画質補正機能と、
前記マッピングプロセスに基づいて入力画像ピクセルデータを修正して、補正されたピクセルデータを生成することにより、前記ディスプレイを前記補正されたピクセルデータに基づいて駆動するピクセル補正機能とを含む、システム。
【請求項31】
前記ディスプレイの周りの周囲環境を検出して、周囲環境データを供給するセンサを更に含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ディスプレイが、少なくとも一つのプロジェクター、及び別個の投影表面からなる、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記ディスプレイが内蔵型ディスプレイからなる、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記ディスプレイが、互いに対して連動構成に構成された複数のディスプレイからなる、請求項30に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−521705(P2010−521705A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553654(P2009−553654)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/003486
【国際公開番号】WO2008/115464
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509258511)スケーラブル ディスプレイ テクノロジーズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】