説明

デバイス製造方法および基板

電磁放射線を用いた一回の露光プロセスでT−ゲートを製造する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス製造方法および該方法で使用する基板に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、基板のターゲット部分上に所望のパターンを付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において用いることができる。そのような場合、ICの個々の層に対応する所望の回路パターンを生成するためにパターン形成装置が用いられることがあり、このパターンは、放出線感応性材料(レジスト)の層でコーティングされた基板(シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又はそれ以上のダイを含む)上に結像させることができる。
【0003】
一般に、単一の基板は、順次露光される隣接したターゲット部分のネットワークを含む。既知のリソグラフィ装置には、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパ、および、投影ビームによって所定の方向(「走査」方向)パターンを走査するとともに、これに同期させてこの方向に平行または逆平行に基板を走査することにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナが含まれる。
【0004】
例えば、電気通信のような様々な適用例において、そのような装置により作製されたICは、「T−ゲート(T-gate)」で構成されることがある。T−ゲートは一般に、0.4μm未満のゲートサイズを有することが必要とされる。例えば、GaAsFETの性能は、ゲート構造の短寸法であるゲート幅に依存する。ゲート長が短くなると、ゲート断面積が減少し、よってゲート抵抗は増大する。この増大した抵抗は、デバイス性能に悪影響を及ぼす。
【0005】
従って、ゲート抵抗を減少させつつ短いゲート長を保つべく、追加的なゲート材料がゲート機構上に付加され、それによって「T」の形状が作り出される。これにより、ゲート構造の短手寸法を増大させることなく総断面積は増加する。このため、T−ゲートは、「マッシュルームゲート(mushroom gate)」と呼ばれることもある。T−ゲートの典型的な寸法は、底部寸法が0.15〜0.25μm、上部寸法が0.45〜0.75μmである。
【0006】
現在、T−ゲートの製造には、高いコストがかかる。図2(a)に例示したように、T−ゲートは、電子ビームの放射に対して異なる感度を有する3層のポリメチルメタクリレートで基板1をコーティングする電子ビームプロセスにより製造できる。ここでは、中間層102の感度が最も高く、上部層103、基板に最も近い底部層101の順でそれに続く。
【0007】
電子ビームPBがこれらの層に衝突し(図2(b))、そして現像プロセスが終了すると、図2(c)に示したように、中間層に最大の欠損部分(ギャップ)120が生じ、上部層にはそれよりも若干小さな欠損部分130が生じ、よって上部層は中間層のギャップ上方に張り出す(オーバーハングする)。その一方で、底部層には最小の欠損部分110が生じる。次に、基板上に金属層140を設けることにより、T−ゲート形状50が形成される(図2(d))。中間層のギャップ120が上層のギャップ130よりも大きいので、第2層102と、この第2層102と同じレベルに堆積された金属140との間には空間が生じる。これにより、溶媒中での溶解による3層の電子線感応性層の除去(いわゆる「リフトオフ(lift-off)」)が可能になる。
【0008】
残念なことに、電子ビームリソグラフィは高価であり、またイメージを書き込む必要があることから、電子ビームリソグラフィのスループットは一般的に低い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中で具体化されかつ広く記載される本発明の原理は、光リソグラフィを用いてT−ゲートを製作する方法に備えるものである。1つの実施形態において、デバイス製造方法は、基板を準備するステップと、該基板上に放射線感応性材料の第1の層を設けるステップと、該放射線感応性材料の第1の層上に、第1の層とは異なる材料の放射線感応性材料の第2の層を設けるステップステップとを含む。この方法は、照明システムを用いて電磁放射線ビームを提供するステップと、パターン形成装置を使用して放射線ビームの断面に所望のパターンを付与するステップと、パターン化された放射線ビームを放射線感応性材料の第1および第2の層のターゲット部分に投影するステップとを含んでもよい。
【0010】
従って、このデバイス製造方法を用いれば、電磁放射線を用いて2つの放射線感応性材料の層が同時に露光され、1つのデバイスが1回の露光および処理サイクルで形成され得る。パターン形成装置が用いられるので、多くのデバイスが一度に結像でき、電子ビームT−ゲート製造に比べてスループットが大幅に向上される。
【0011】
好ましくは、放射線感応性材料の第1の層は、放射線感応性材料の第2の層のドーズサイズ(dose size)の少なくとも1.5倍、好ましくは2.0倍、最も好ましくは2.5倍の大きさの露光量サイズを有する。このようにして、照射済みの放射線感応性材料層をエッチングした後、基板上にT−ゲートを設けることができるように、第1および第2の放射線感応性材料層中にT形状の空間が形成される。T−ゲートの正確な形状(geometry)を形成するには、第1の層が第2の層よりも薄いことが有利である。好ましくは、第1の層の厚さを100nm〜500nm、第2の層の厚さを500nm〜1500nmとする。
【0012】
放射線感応性材料の第1および第2の層は多少混合し得るが、異なる放射線感度を有する別個の層を基板上に設けるには、第1および第2の材料が実質的に混ざり合わないことが望ましい。
【0013】
第1および第2の材料が同じまたは類似の溶媒をベースとするのであれば、電磁放射線感応性層は互いに干渉せず、共存できることが分かっている。適切な溶媒としては、バルキーアセタールポリマー(bulky-acetal polymer)がある。第1および第2の材料が異なる溶媒(ただし双方ともバルキーアセタールポリマーをベースとする)を有するのであれば、これら2つの層は、類似の(ただし同じではない)溶媒(おそらく一般的溶媒)を持ち、互いに溶解せずかつ互いに干渉することがなくなる。適切な材料としては、第1の層についてGKRS 6202、第2の層についてARCH 8250がある。これらの材料は、ベルギー国ズウェインドレヒト(Zwijndrecht)のARCH Chemicals N.V.から入手可能である。これらの材料は両方ともポジティブフォトレジストである。
【0014】
露光後は、放射線感応性材料層の露光部分を現像除去できる。現像除去される第1の層の部分は第2の層の部分よりも小さいことが好ましく、その結果T−ゲート形状のギャップが残される。現像後、第2の層のエッジが第1の層の上方にオーバーハングしていることが有利である。もしこのように構成できれば、単一の金属を基板上に堆積させるだけで、T−ゲートを、第2の放射線感応性材料層とこれに隣接する金属層との間に溶媒用ギャップを設けて形成することができる。
【0015】
もう一つの手法としては、第2および必要に応じて第3の金属層を基板上に堆積させることができる。各連続する金属層は、上述したギャップを形成できるように、1つ前の層よりもわずかに多くオーバーハングする。好ましくは、チタンの層が最初に堆積され、続いて白金の層が堆積され、最後に金の層が堆積される。
【0016】
第2の材料に張り出しがなかったとしても、単一の金属層のみの堆積でT−ゲートを形成することもできる。これは、蒸着(evaporation)により達成でき、金の例では、第2の層と金属との間で第2の層のレベルにギャップが形成されるように、金は、材料の最上層上に堆積するにつれて自らの上方に張り出す。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、電磁リソグラフィ投影装置において使用する基板が提供され、この基板は、表面に付着させた電磁放射線感応性材料の第1の層およびこれに付着させた第2の電磁放射線感応性材料層を有し、前記放射線感応性材料の第1の層は、前記放射線感応性材料の第2の層とは異なる材料となっている。
【0018】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用が具体的に参照されることがあるが、ここに説明されるリソグラフィ装置には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造のような、他の適用例が含まれてもよいことを理解されたい。そのような他のアプリケーションに照らした場合、本明細書における用語「ウェーハ」または「ダイ」の使用は、それぞれより一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」と同義であるとみなし得ることが当業者には理解されよう。本明細書中で言及される基板は、例えば、トラック(典型的には、基板にレジスト層を塗布し、露光されたレジストを現像するツール)内、または計測(metrology)もしくは検査(inspection)ツール内で、露光前または露光後に処理されてもよい。該当する場合には、本明細書の開示内容は、そのような基板処理ツールおよびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、例えば多層ICを生成するために基板が複数回処理されることがあるので、本明細書で用いられている用語「基板」は、複数の処理済層をすでに含む基板を意味することもある。
【0019】
本明細書で用いられる用語「放射線」および「ビーム」は、(例えば、365、248、193、157または126nmの波長を有する)紫外(Ultra Violet:UV)線、および(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)極端紫外(Extreme Ultra-Violet:EUV)線を含むあらゆるタイプの電磁放射線を包含する。
【0020】
本明細書で用いられる用語「パターン形成装置」は、基板のターゲット部分にパターンを形成するために、投影ビームの横断面にパターンを付与することに使用できる手段を指すものとして、広義に解釈されるものとする。ここで、投影ビームに付与されたパターンは、基板のターゲット部分における所望とするパターンとは正確に対応しない場合があることに留意されたい。一般的には、投影ビームに付与されたパターンは、集積回路のような、ターゲット部分内に作成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0021】
パターン形成装置は、透過型、反射型のいずれであってもよい。パターン形成装置の例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィ分野において周知であり、バイナリ型、alternating位相シフト(alternating phase-shift)、および減衰型位相シフト(attenuated phase-shift)、および種々のハイブリッドマスクタイプが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように各々を個別に傾斜できる小型ミラーのマトリックス配列があり、このようにして、反射されたビームがパターン形成される。パターン形成装置の各実施例においては支持構造がフレームまたはテーブルであってよく、それらは、たとえば、必要に応じて固定されていてもよいし移動可能となっていてもよく、またパターン形成装置が例えば投影システムに対して所望の位置となることを確保できる。本明細書おける用語「レチクル」または「マスク」のいかなる使用も、より一般的な用語「パターン形成装置」と同義とみなすことができる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「投影システム」は、例えば使用されている露光放射、あるいは液浸液または真空の使用のような他の要因に対して適切である、屈折光学系、反射光学系、および反射屈折光学系を含む、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されるすべきである。本明細書中の用語「レンズ」のいかなる使用も、より一般的な用語「投影システム」と同義であると見なすことができる。
【0023】
照明システムも、放射線投影ビームの誘導、成形、または制御を行うための、屈折、反射、および反射屈折光学部品を含む様々なタイプの光学部品を包含していてもよく、以下そのような部品も、まとめてまたは単独で「レンズ」と呼ぶことがある。
【0024】
リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するものであってもよい。そのような「マルチステージ」装置では、追加されたテーブルを並行して用いることができ、あるいは1つ又はそれ以上の別のテーブルを露光に用いながら1つ又はそれ以上のテーブルに対して予備ステップを施すことができる。
【0025】
リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を満たすべく、比較的高い屈折率を有する液体、例えば水に、基板が浸されるタイプであってもよい。液浸のための液体は、リソグラフィ装置中の他の空間、例えば、マスクと投影システムの第1要素との間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるとして周知である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
ここで本発明のいくつかの実施形態を、対応する参照符号が対応する部分を示している添付の概略図を参照して、例示のみを目的として説明する。
【0027】
図1は、本発明の特定の実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示している。この装置は以下のものを備えている:
照明システム(イルミネータ)IL:放射線(例えばUV放射線またはDUV放射線)の投影ビームPBを提供する。
第1の支持構造(例えばマスクテーブル/ホルダ)MT:パターン形成装置(例えばマスク)MAを支持するためのものであり、アイテムPLに対してパターン形成装置を正確に位置決めするために第1位置決め機構PMに接続されている。
基板テーブル/ホルダ(例えばウェーハテーブル)WT:基板(例えばレジストコートされたウェーハ)Wを保持するためのものであり、アイテムPLに対して基板を正確に位置決めするべく第2位置決め機構PWに接続されている。
投影システム(例えば屈折投影レンズ)PL:パターン形成装置MAにより投影ビームPBに付与されたパターンを基板Wにおける(例えば1つ以上のダイを含む)ターゲット部分C上に結像させるためのものである。
【0028】
ここに示されるように、本装置は透過型のものである(例えば透過性マスクを適用する)。しかし、代替案として、本装置が反射型のものであってもよい(例えば上述したタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する)。
【0029】
イルミネータILは、放射線源SOから放射ビームを受け取る。この放射線源が、例えばエキシマレーザである場合、放射線源およびリソグラフィ装置は別個の構成要素とすることができる。そのような場合には、放射線源はリソグラフィ装置の一部を形成しているものとは見なされず、放射線ビームは、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダーを備えたビーム送達システムBDを使用して放射線源SOからイルミネータILに渡される。別の例で、例えば放射線源が水銀ランプである場合には、放射線源はリソグラフィ装置と一体のものとしてもよい。放射線源SOおよびイルミネータILは、もし必要とされるならばビーム送達システムBDと共に、放射線システムと呼ぶことができる。
【0030】
イルミネータILは、ビームの角度強度分布(angular intensity distribution)を調整するための調整機構AMを備えていてもよい。一般的に、少なくとも、イルミネータの瞳面における強度分布の外部および/または内部の半径範囲(一般にそれぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調整可能である。加えて、イルミネータILは、一般に、インテグレータINおよびコンデンサCOのような他の様々な構成要素を具備していてもよい。イルミネータは、投影ビームPBと称される、その断面において所望の均一性および強度分布を有するように調整された放射線ビームを提供する。
【0031】
この投影ビームPBは、マスクテーブルMT上に保持されているマスクMAに入射する。マスクMAを通り抜けた投影ビームPBは、ビーム焦点を基板Wのターゲット部分Cに合せるレンズPLを通過する。第2位置決め機構PWおよび位置センサIF(例えば干渉計測装置)を用いて、例えば、ビームPBの経路内に異なるターゲット部分Cの位置を合わせるように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。
【0032】
同様に、第1位置決め機構PMや別の位置センサ(図1には明示的に図示されていない)を使用して、例えば、マスクライブラリから機械的に検索した後に、あるいは走査中に、ビームPBの経路に対してマスクMAを正確に位置合わせすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMTおよびWTの動きは、位置決め機構PMおよびPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを用いて実現できる。しかしながら、ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されていても、あるいは固定されていてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して整列させることができる。
【0033】
図示される装置は、以下に記載する好適なモードで用いることができる:
【0034】
ステップモード:投影ビームに付与されたパターン全体がターゲット部分Cに一度に投影される間、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTが、原則として静止状態に保たれる(すなわち、一回の静的な露光)。その後、別のターゲット部分Cを露光するため、基板テーブルWTが、Xおよび/またはY方向にシフトされる。ステップモードでは、露光フィールド(exposure field)の最大サイズに応じて、一回の静的な露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0035】
スキャンモード:投影ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTが同期して走査される(すなわち、一回の動的な露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの拡大(縮小)特性および像反転特性によって決定される。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズに応じて、一回の動的な露光におけるターゲット部分の(非走査方向の)幅が制限され、一方で走査の移動長に応じてターゲット部分の(走査方向の)高さが決定される。
【0036】
他のモード:マスクテーブルMTはプログラマブルパターン形成装置を原則として静止状態に保持し、投影ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、基板テーブルWTは移動され、また走査される。このモードでは、一般的にパルス放射線源が使用され、プログラマブルパターン形成装置は、基板テーブルWTの各々の移動の後、または走査中の連続放射線パルスの間、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述したタイプのプログラマブルミラー配列のような、プログラマブルパターン形成装置を利用したマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
【0037】
上述した使用モードの組合せおよび/または変形例、あるいは全く異なる使用モードも使用できる。
【実施例】
【0038】
図3は、本発明による基板1を例示している。基板は、例えば、GaAs、Si、GaN、InP、SiGa等であってよい。電磁放射線感応性材料の第1の層10が、基板1の上部表面に設けられている。第1の層10は、この層が確実に均一にコーティングされるために、基板1の上部表面に高速でスピンコーティングされ得る。コーティングの後、基板はベーキングされる。第1の層10の厚さは、好ましくは200nmであるが、どのような厚さであってもよい。ここでは、厚さ100〜500nmの範囲が好ましい。
【0039】
電磁放射線感応性材料の第1の層10の上に、電磁放射線感応性材料の第2の層20が設けられている。好適には、第2の層の厚さは700nmである。他の厚さも当然用いることができ、好ましい範囲は、厚さ500〜1500nmである。第2の層は、第1の層10が基板1に塗布されるのと同じ方法で第1の層10に塗布される。
【0040】
電磁放射線感応性材料の第1の層10および第2の層20は両方とも、好ましくは、DUV放射線、すなわち約248nm以下の波長の放射線に対する感応性を有する。好ましくは、両層はポジティブレジストであり、放射線に露光される領域が現像時に除去され得ることを意味する。代替例として、両層がネガティブレジストであってもよい。
【0041】
放射線感応性材料の第1の層10と第2の層20との間には、混合がほとんどないことが好ましい。勿論、それら2つの層の間には、わずかな混合層が存在するかもしれない。しかしながら、相互に溶解しないが相互に付着するという2つの材料を見出すことは困難である。当然、以下で見られるように、ブロッキング層を使うことはできない。なぜならば、放射線が第1の層および第2の層の両方を一回で露光することが必要だからである。
【0042】
電磁放射線感応性材料の第1の層10および第2の層20が、同一ではないが類似する溶媒、例えば同一の一般的溶媒を有する場合には、所望とする特性が達成されることが分かっている。好適であると分かっている一例が、バルキーアセタールポリマー(bulky acetal polymer)をベースとする材料である。第1および第2の層10、20の各々で異なるバルキーアセタールポリマーが用いられれば、所望とする特性が得られる。
【0043】
ひとたび基板が準備されると、この基板は、電磁放射線PBのパターン化ビームに露光される。この放射線は、第1の層および第2の層20を一回の露光ステップ(図4)で露光するのに効果的である。
【0044】
第1の層および第2の層の材料は、それらの層が電磁放射線に対して異なる感度を有するように選択される。例えば、電磁放射線の第2の層20は、好ましくは、30MJの閾値またはドーズサイズ(dose size)を有するのに対して、第1の層10の閾値またはドーズサイズ(dose size)線量は100MJにすぎない。って、ドーズサイズ比(dose size ratio)は、1.5、2.0または少なくとも2.5が好適である。その選択は、ある程度、所望とするT−ゲートの形状(geometry)に依存する。
【0045】
第1の層10に好適な材料にはGKRS6202が、電磁放射線感応性材料の第2の層20に好適な材料にはARCH8250がある。これらの材料は両方とも、ベルギー国ズウェインドレヒト(Zwijndrecht)のARCH Chemicals N.V.より入手可能である。
【0046】
電磁放射線PBによる露光がなされた後、基板は、例えばTMAH OPD 4262において現像される。露光された部分は除去される。結果として得られる外形の典型的なものが、図5〜図7に例示されている。図5に示されているように、現像液によって除去された第2の層20の部分は、第1の層10から除去された部分15と比較してより大きく、とりわけより広い。どちらの場合(図5および図7)も、底部寸法は約200nm幅であり、これはT−ゲートの底部においておおむね好ましい幅である。
【0047】
図5に例示されている状況では、第2の層20から除去された部分25は、第2の層20の基板1から見て最も遠い部分が基板上にオーバーハングするような、くさび形の形状を成している。リソグラフィ関連分野では、このような形状をネガティブスロープ(negative slope)と称しており、特定のレジストを用いることで形成されるものである。このタイプのレジストを使用する利点は、T−ゲートが一回の堆積ステップで形成できることにある。
【0048】
図6に例示されるように、図5に例示される構造上に金属層30が設けられると、T−ゲート50が基板1上に形成される。ここで留意したいのは、放射線感応性材料の第2の層20と同じレベルにあるT−ゲートの最も厚い部分の側面と、第2の層20の残存部分の側面との間に空間が生じているということである。従って、金属層30と第2の層20との間に側方ギャップ(lateral gap)が存在する。ここで、堆積後のリフトオフの間に溶媒が第1の層10を攻撃可能となるので、ラテラルギャップ35は重要である。まさに、現像された第2の層20に形成されたネガティブスロープのおかげで、このギャップ35が存在する。リフトオフの後、第2の層上に設けられた金属層30、第2の層20および第1の層10が取り除かれ、図2(e)に示されるようにT−ゲート50が基板1上に現れる。
【0049】
電磁放射線感応性材料の第2の層20がネガティブスロープを有さない場合、現像後に残る構造は、図7に例示されるものである。この構造を用いる場合であっても、単純に基板1上に1つの金属層を設けることが可能である。例えば、蒸着(evaporation)により実行された場合には、T−ゲート50の頂部と第2の層20との間に側方ギャップ35が残される。金が堆積するにつれ、除去された部分25の上方に金が張り出すからである。上述のとおり、そのようなギャップ35なしに、電磁放射線感応性材料の第1の層10を除去することはできない。
【0050】
図8に例示されるように、2段階、好ましくは3段階の金属堆積ステップが実行されてもよい。好ましくはチタンまたは白金である、厚さ百〜数百Åの第1の金属層41が基板1上に堆積される。この層41は、電磁放射線感応性材料の第2の層20の除去された部分25の上方にわずかに張り出している。この層41が設けられた後、基板1上に第2の層を設けることができる。第1の金属層41や第2の金属層42が張り出すという性質のおかげで、層43が電磁放射線感応性材料の第2の層20の側面に接触することは無く、側方ギャップ35が形成される。
【0051】
好ましくは、第2の層42は、白金または金で構成される。最も好ましくは、第1および第2の層の次に、基板上に第3の金属層43が堆積されることである。最終層42、43は、好ましくは金である。チタンおよび白金は、T−ゲートのための第1および第2の金属層として、基板に対する良好な付着性を含む適切な特性を有している。最初にTi層、次いでPt層そして最後にAu層を含む3層の金属構造が好適である。溶解のために溶媒が通過するのに十分な広さのギャップが金属と第2の層との間に残されるように、(例えば蒸着により)堆積された金属層全体の厚さは、少なくとも放射線感応性材料の第1の層10の厚さを有し、かつ放射線感応性材料の第1の層10および第2の層20の合計厚よりは薄い、好ましくは少なくとも25%薄いものであるべきである。
【0052】
図8では、構造の最終段階として、リフトオフプロセスが成功した状態が示されている。なぜならば、T−ゲートの頂部が放射線感応性材料の第2の層20と側面で接触していないからである。この場合、適切な溶媒はNMPである。
【0053】
以上、本発明の特定の実施例を説明してきたが、説明した以外の実施形態でも本発明を実施し得ることは理解できよう。従って、上述の説明は、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の構成、操作および動作は、本明細書中に存在する詳細な説明を考慮すれば、実施形態の変更および変型が可能であるという考えのもとに記載されている。従って、上述の詳細な説明は、いずれの方法であっても本発明を限定することを意味または意図するものではなく、むしろ本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を実行するために使用可能なリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】T−ゲートを作るための従来の電子ビーム製造プロセスを例示する図である。
【図3】本発明による露光前の基板を例示する図である。
【図4】露光中の基板を例示する図である。
【図5】本発明による現像後の基板を例示する図である。
【図6】金属層の堆積後の図5の基板を例示する図である。
【図7】本発明による現像後の別の基板を例示する図である。
【図8】本発明の堆積ステップ後の図7の基板を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス製造方法であって、
基板上に電磁放射線感応性材料の第1の層を設けるステップと、
前記放射線感応性材料の第1の層上に、該第1の層とは異なる材料の放射線感応性材料の第2の層を設けるステップと、
照明システムを用いて電磁放射線のビームを提供するステップと、
パターン形成装置を使用して前記放射線のビームの断面に所望のパターンを付与するステップと、
前記放射線のパターン化ビームを前記放射線感応性材料の第1および第2の層のターゲット部分に投影するステップとを含む、デバイス製造方法。
【請求項2】
前記放射線感応性材料の第1の層は、前記放射線感応性材料の第2の層のドーズサイズの約1.5倍〜2.5倍のドーズサイズを有する、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項3】
前記第1の層は前記第2の層より薄い、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項4】
前記第1の層は、厚さが100〜500nmであり、前記第2の層は、厚さが500〜m〜1500nmである、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項5】
前記第1および第2の材料は実質的に混合しない、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項6】
前記第1および第2の材料は、類似の一般的溶媒をベースとする、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項7】
前記第1および第2の材料は、バルキーアセタールポリマーをベースとする、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項8】
前記第1および第2の材料は、異なる溶媒を有する、請求項7に記載のデバイス製造方法。
【請求項9】
前記第1の層材料は、GKRS6202を含み、前記第2の層材料はARCH8250を含む、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項10】
前記第1および第2の層材料は、ポジティブに放射線感応性である、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項11】
露光された部分を除去するために、前記放射線感応性材料の第1および第2の層を現像するステップをさらに含む、請求項1に記載のデバイス製造方法。
【請求項12】
前記第1の層の前記除去部分は、前記第2の層の前記除去部分より小さい、請求項11に記載のデバイス製造方法。
【請求項13】
前記第2の層は現像後に前記第1の層の上方に張り出す、請求項11に記載のデバイス製造方法。
【請求項14】
第1の金属層を前記基板上に堆積させるステップをさらに含む、請求項11に記載のデバイス製造方法。
【請求項15】
前記基板上にT−ゲートを残すために、前記放射線感応性材料の第1および第2の層をリフトオフさせるステップをさらに含む、前記基板前記請求項14に記載のデバイス製造方法。
【請求項16】
前記リフトオフステップの前に、前記基板上に第2の金属層を堆積させるステップをさらに含む、請求項14に記載のデバイス製造方法。
【請求項17】
前記第1の金属層はTiまたはPtを含み、前記第2の層はPtまたはAuを含む、請求項16に記載のデバイス製造方法。
【請求項18】
前記基板上に第3の金属層を堆積させるステップをさらに含む、請求項16に記載のデバイス製造方法。
【請求項19】
前記第3の金属層はAuを含む、請求項18に記載のデバイス製造方法。
【請求項20】
電磁リソグラフィ装置において使用するための基板であって、
表面に付着させた電磁放射線感応性材料の第1の層と、
前記電磁放射線感応性材料の第1の層に付着させた放射線感応性材料の第2の層とを含み、
前記放射線感応性材料の第1の層は、前記放射線感応性材料の第2の層とは異なる材料である、基板。
【請求項21】
前記放射線感応性材料の第1の層は、前記放射線感応性材料の第2の層のドーズサイズの大きさの約1.5倍〜2.5倍のドーズサイズを有する、請求項20に記載の基板。
【請求項22】
前記第1および第2の材料は、類似の一般的溶媒をベースとする、請求項20に記載の基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2007−525029(P2007−525029A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553565(P2006−553565)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001836
【国際公開番号】WO2005/081299
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】