説明

データバックアップシステム

【課題】 低消費電力状態を取り得る電子機器に用いられるデータバックアップシステムであって、電源からの電力供給が停止されたときにメモリをバックアップする二次電池の残容量をより正確に把握でき、メモリのバックアップをより確実に行うことが可能なデータバックアップシステムを提供する。
【解決手段】 メインCPU20は、主電源30からの電力供給が停止された時刻をSRAM23に格納し、電力供給が再開されたときに、そのときの時刻と格納されている電力供給停止時刻とから、電力供給が停止されていた時間を求める。メインCPU20は、電力供給停止時間に応じて二次電池33の残容量を示すカウンタ値を減算するとともに、電力供給が行なわれている時間に応じて、カウンタ値をインクリメントする。メインCPU20は、省電力モードへの移行要求が発生したときに、カウンタ値がしきい値未満の場合には省電力モードへの移行を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データバックアップシステムに関し、特に、低消費電力状態を取り得る電子機器に用いられるデータバックアップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量削減などの観点から、電子機器の低消費電力化が社会的に求められている。例えばLANなどのネットワークに接続して使用されるネットワークプリンタにおいては、待機時にプリンタコントローラ、プリンタエンジンなどへの電力供給を停止する低消費電力状態(省エネルギー状態)に移行することにより機器の省電力化を図ったものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなネットワークプリンタなどでは、画像データなどを記憶するメモリとして、例えば、比較的安価で大容量のDRAMなどが好適に用いられている。ここで、DRAMなどの揮発性のメモリを用いる場合、電力の供給が停止される低消費電力状態において、記憶されている画像データ等を保持するため、二次電池などを用いたメモリのバックアップが行われる。
【0004】
ところで、ネットワークプリンタなどでは、待機状態、すなわち低消費電力状態が長く続くことが起こりうる。そのため、二次電池からメモリに電力が供給される放電状態が、電源からメモリに電力が供給されるとともに二次電池が充電される状態と比較して長くなることが起こり得る。その結果、二次電池の充電量よりも放電量の方が多くなり、すなわち二次電池の充放電バランスが崩れ、二次電池の残容量が低下し、電源からの電力供給が停止されたときに、メモリをバックアップできなくなるおそれがある。
【0005】
ここで、特許文献2には、バックアップ用電源(例えばニッケルカドニウム電池)の電圧を検知し、電圧が低くなっているときには、メインスイッチの切断操作が行われたときにもバックアップ用電源への給電を継続させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−213029号公報
【特許文献2】特開平4−336745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電圧値だけでは二次電池の残容量を正確に検知することは困難である。すなわち、二次電池では無負荷の状態では電圧が出ていたとしても、負荷がかかったときに電圧がドロップすることが起こり得る。よって、電圧は出ているが二次電池の充電が充分ではないときに電力供給が停止されると、メモリをバックアップすることができず、メモリに記憶されていたデータが消失してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、低消費電力状態を取り得る電子機器に用いられるデータバックアップシステムであって、電源からの電力供給が停止されたときにメモリをバックアップする二次電池の残容量をより正確に把握でき、メモリに記憶されているデータのバックアップをより確実に行うことが可能なデータバックアップシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るデータバックアップシステムは、異なる電力供給ラインを通して電源から電力が供給される、第1ユニット、第2ユニットを少なくとも備え、電源から第1ユニット及び第2ユニットに電力が供給される第1電力状態と、第2ユニットのみに電力が供給される第2電力状態とを取り得る電子機器に用いられるデータバックアップシステムであって、第1ユニットに含まれ、データを記憶する揮発性の第1記憶手段と、第1ユニットに含まれ、電源から第1ユニットへの電力供給が停止されているときに、第1記憶手段に電力を供給する二次電池と、第1ユニットに含まれ、電源から第1ユニットに電力が供給されているときに、二次電池を充電する充電手段と、常時稼働し、時刻を計時する計時手段と、電源から第1ユニットに対する電力供給が停止される際に、計時手段から取得される時刻を電力供給停止時刻として記憶する、不揮発性の、又は常時バックアップされている第2記憶手段と、第1ユニットに含まれ、電源を制御して第1電力状態から第2電力状態へ電力状態を切替える制御手段とを備え、該制御手段が、第1ユニットに対する電力供給が開始されたときに、計時手段から電力供給開始時刻を取得し、該電力供給開始時刻と第2記憶手段に記憶されている電力供給停止時刻とから第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間を求め、該電力供給停止時間に応じて二次電池の残容量を示すカウンタ値を減算するとともに、第1ユニットに対して電力供給が行なわれているときに、電力が供給されている電力供給時間に応じてカウンタ値を加算し、かつ、第1電力状態から第2電力状態への移行要求が発生したときに、カウンタ値がしきい値以上の場合には、第2電力状態へ移行するように電源を制御し、カウンタ値がしきい値未満の場合には、第2電力状態への移行を禁止することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るデータバックアップシステムによれば、第1ユニットに対する電源からの電力供給が停止されるときに、電力供給停止時刻が第2記憶手段に記憶される。一方、第1ユニットに対する電力供給が開始されたときに、計時手段から電力供給開始時刻が取得され、該電力供給開始時刻と第2記憶手段に記憶されている電力供給停止時刻とから第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間が求められる。そして、求められた電力供給停止時間(すなわち、二次電池の放電時間)に応じて、二次電池の残容量を示すカウンタ値が減算される。一方、第1ユニットに対して電力供給が行なわれているときに、電力が供給されている電力供給時間(すなわち、充電手段により二次電池が充電されている時間)に応じて、カウンタ値が加算される。そのため、カウンタ値から二次電池の残容量を正確に把握することができる。そして、第1電力状態から第2電力状態への移行要求が発生したときに、カウンタ値がしきい値以上の場合には、第2電力状態へ移行し(すなわち、電源を制御して第1ユニットに対する電力供給を停止し)、カウンタ値がしきい値未満の場合には、第2電力状態への移行が禁止される。よって、二次電池の残容量が充分でないときには、第1ユニットに対する電力供給が維持され、二次電池に対する充電が継続される。以上の結果、電源からの電力供給が停止されたときに第1記憶手段をバックアップする二次電池の残容量をより正確に把握でき、第1記憶手段に記憶されているデータのバックアップをより確実に行うことが可能となる。
【0011】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、第2記憶手段が、主電源スイッチがオフされた際、又は、第1電力状態から第2電力状態へ移行する際に、計時手段から取得される電力供給停止時刻を記憶し、制御手段が、主電源スイッチがオンされた際、又は、第2電力状態から第1電力状態へ復帰した際に、計時手段から電力供給開始時刻を取得し、該電力供給開始時刻と第2記憶手段に記憶されている電力供給停止時刻とから第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間を求め、該電力供給停止時間に応じて上記カウンタ値を減算することが好ましい。
【0012】
この場合、主電源スイッチがオフされたとき、又は、第2電力状態へ移行する際に、電力供給停止時刻が第2記憶手段に記憶される。一方、主電源スイッチがオンされたとき、又は、第2電力状態から第1電力状態へ復帰した際に、電力供給開始時刻が取得され、該電力供給開始時刻と第2記憶手段に記憶されている電力供給停止時刻とから第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間が求められる。よって、第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間を正確に求めることができ、二次電池の放電量を正確に把握することが可能となる。
【0013】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、上記しきい値が、二次電池が満充電であることを示す値に設定されていることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、二次電池が満充電されるまで、第2電力状態への移行が禁止され、二次電池への充電が継続される。よって、二次電池が満充電されるように制御することができる。
【0015】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、カウンタ値が、満充電を示す値に達した場合に、制御手段が、二次電池に供給される充電電流を低減するように充電手段を制御することが好ましい。
【0016】
この場合、二次電池が満充電となった場合に充電電流が低減されるため、二次電池の過充電を防止し、二次電池の劣化を防止することが可能となる。
【0017】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、上記第2ユニットが、補助制御手段を備え、第2電力状態にあるときに、補助制御手段が、所定の復帰条件が成立するか否かを監視するとともに、該所定の復帰条件が成立したときに、第2電力状態から第1電力状態への復帰信号を電源へ出力し、復帰信号に基づいて、電源が、第1ユニットに対する電力供給を開始することが好ましい。
【0018】
この場合、第2電力状態にあるときに、第2電力状態においても電力が供給される補助制御手段により、所定の復帰条件が成立するか否かが監視され、所定の復帰条件が成立したときに、第2電力状態から第1電力状態への復帰信号が電源へ出力される。そして、電源からの第1ユニットに対する電力供給が開始される。よって、適確に第1電力状態に復帰することが可能となる。
【0019】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、上記電子機器が、画像データを用紙に印刷する印刷装置であることが好ましい。この場合、低消費電力状態を取り得る印刷装置において、第1記憶部に記憶されている画像データのバックアップを確実に行うことができる。
【0020】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、上記電子機器が、画像データを送受信するファクシミリ装置であることが好ましい。この場合、低消費電力状態を取り得るファクシミリ装置において、送受信される画像データのバックアップを確実に行うことができる。
【0021】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、上記電子機器が、原稿を読み取って画像データを生成し、該画像データを印刷する複写装置であることが好ましい。この場合、低消費電力状態を取り得る複写装置において、原稿を読み取って生成された画像データのバックアップを確実に行うことができる。
【0022】
本発明に係るデータバックアップシステムでは、上記電子機器が、ネットワークを介してデータを送受信するネットワーク端末であることが好ましい。この場合、低消費電力状態を取り得るネットワーク端末において、ネットワークを介して送受信されるデータのバックアップを確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、低消費電力状態を取り得る電子機器に用いられるデータバックアップシステムにおいて、電源からの電力供給が停止されたときにメモリをバックアップする二次電池の残容量をより正確に把握でき、メモリに記憶されているデータのバックアップをより確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係るデータバックアップシステムが用いられたネットワーク複合機の外観を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るデータバックアップシステムが用いられたネットワーク複合機の正面断面図である。
【図3】実施形態に係るデータバックアップシステムが用いられたネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るデータバックアップシステムが用いられたネットワーク複合機の電力供給系統を示す図である。
【図5】実施形態に係るデータバックアップシステムによる、通常モードから省電力モードへの移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係るデータバックアップシステムによる、主電源がオフされたときのオフ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係るデータバックアップシステムによる、主電源がオンされたとき又は省電力モードから通常モードへ復帰するときの復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係るデータバックアップシステムによる、待機モードから通常モードへの復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係るデータバックアップシステムによる、二次電池の充放電制御を説明するための図である。
【図10】二次電池の放電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。なお、ここでは、実施形態に係るデータバックアップシステムをネットワーク複合機(MFP)に適用した場合を例にして説明する。まず、図1〜図4を併せて用いて、データバックアップシステム2が用いられたネットワーク複合機1の全体構成について説明する。図1は、データバックアップシステム2が用いられたネットワーク複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は、ネットワーク複合機1の正面断面図である。また、図3は、データバックアップシステム2を含むネットワーク複合機1の構成を示すブロック図であり、図4は、データバックアップシステム2を含むネットワーク複合機1の電力供給ラインを示す図である。
【0026】
ネットワーク複合機1は、待機時などに低消費電力状態(待機モード、省電力モード、詳細は後述する)を取り得るネットワーク複合機である。ネットワーク複合機1は、LANを介して接続されているパーソナルコンピュータなどから受信したプリントデータを用紙に記録するPCプリント機能、原稿を読み取り画像データを生成するスキャナ機能、読み取り生成した画像データを用紙に記録するコピー機能、及びファクシミリ通信により受信した画像データを用紙に記録するFAX受信機能を備えている。また、ネットワーク複合機1は、読み取った画像データをファクシミリ送信するFAX送信機能に加え、外部のパーソナルコンピュータなどから受信した画像データをファクシミリ送信するPC−FAX機能を備えている。さらに、ネットワーク複合機1は、電子メールを利用してIP網経由で画像データを送受信するインターネットFAX(IFAX)機能等も有している。
【0027】
これらの各機能を実現するためにネットワーク複合機1は、パネル部10、スキャナ部11、プリンタ部12、ネットワーク部13、モデム14、NCU15、システムLSI16、及び、画像/符号メモリ17を備えている。
【0028】
また、ネットワーク複合機1は、プログラムに従って演算・処理を実行するメインCPU20、メインCPU20に各処理を実行させるためのプログラム、データ等を記憶する不揮発性メモリであるROM21、起動時にROM21からロードされるプログラム等を記憶する揮発性の高速メモリであるメインメモリ22、演算結果、電力停止時刻等の各種データを一時的に記憶するSRAM23、時刻を計時するRTC(Real Time Clock)24、及び、省電力モードからの復帰トリガとしてのFAX着呼、省電力モードキー入力、PCプリントデータ受信などを監視するとともに、いずれかの復帰トリガが検知されたときに復帰信号(復帰トリガ信号)を出力するサブCPU25等を備えている。なお、上記各部はバス40などの通信路で相互に通信可能に接続されている。また、メインCPU20は、メインメモリ22にロードされ記憶されているプログラムを実行することにより、データバックアップシステム2を含むネットワーク複合機1を統合的に制御し、各機能を実現する。
【0029】
また、ネットワーク複合機1は、DC24V,DC5V,DC3.3Vの3つの電力供給ラインを通してネットワーク複合機1を構成する各ユニットに電力を供給する主電源30を備えている。主電源30は、AC100VからDC24Vを生成するAC−DCコンバータと、AC−DCコンバータにより生成されたDC24VからDC5Vを生成するDC−DCコンバータ(レギュレータ)と、DC5VからDC3.3Vを生成するDC−DCコンバータ(レギュレータ)とを備え、3チャンネルの直流電圧(24V,5V,3.3V)を出力する。
【0030】
さらに、ネットワーク複合機1は、SRAM23及びRTC24に対して主電源30からの電力供給が停止されたとき(後述する省電力モード時、主電源オフ時)にSRAM23及びRTC24に電力を供給する一次電池31、主電源30からの電力が供給されているとき(後述する通常モード時、待機モード時)に二次電池33を充電する充電回路32、及び、画像/符号メモリ17に対する主電源30からの電力供給が停止されたとき(後述する省電力モード時、主電源オフ時)に画像/符号メモリ17に電力を供給してデータのバックアップを行う二次電池33等を備えている。
【0031】
図4に示されるように、上述したネットワーク複合機1を構成する各ユニット(構成要素)は、DC24Vの電力が供給される24V系ユニット、DC5Vの電力が供給される5V系ユニット(特許請求の範囲に記載の第1ユニットに相当)、及び、DC3.3Vの電力が供給される3.3V系ユニット(特許請求の範囲に記載の第2ユニットに相当)に分けられる。24V系ユニットには、例えば、各種ローラを駆動する電動モータ、帯電ワイヤ、及び現像ローラ等が含まれる。5V系ユニットには、上述した各モジュール10〜15、システムLSI16、画像/符号メモリ17、メインCPU20、ROM21、メインメモリ22、SRAM23、RTC24、及び充電回路32等が含まれる。また、3.3V系ユニットには、サブCPU25が含まれる。
【0032】
DC24V、DC5V、及びDC3.3Vの電力を供給する3つの電力供給ラインは、それぞれ独立して電力の供給/停止が制御できるように構成されている。また、ネットワーク複合機1は、3つの電力状態(モード)、すなわち、3.3V系ユニット、5V系ユニット、24V系ユニットすべてに電力が供給される通常モード(NORMAL MODE)、24V系ユニットへの電力供給が停止される(3.3V系ユニット、5V系ユニットに電力が供給される)待機モード(LIGHT SLEEP MODE、特許請求の範囲に記載の第1電力状態に相当)、及び、24V系ユニットに加え5V系ユニットへの電力供給も停止される(すなわち、3.3V系ユニットのみに電力が供給される)省電力モード(DEEP SLEEP MODE、特許請求の範囲に記載の第2電力状態に相当)を取り得るように構成されている。以下、ネットワーク複合機1を構成する構成要素(モジュール)について詳細に説明する。
【0033】
パネル部10は、ネットワーク複合機1の動作状態及び/又は各種設定内容等を表示するLCD等の表示装置を有している。また、パネル部10には、ネットワーク複合機1の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、テンキー、短縮キー、スタートキー、ストップキー、及び各種のファンクションキー等が設けられている。さらに、パネル部10には、省電力モードへの移行/復帰を行うための省電力モード移行キー、及び、主電源30のオン/オフを行う主電源スイッチ35が設けられている。
【0034】
スキャナ部11は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、画像データを生成する。
【0035】
より詳細には、図1,2に示されるように、スキャナ部11の上部には、原稿トレイ1100が設けられている。原稿トレイ1100にセットされた原稿は、自動原稿送り装置(ADF)1101によって搬送される。より具体的には、原稿トレイ1100にセットされた原稿は、ピックアップローラ1102によりピックアップされ、分離ローラ1103によって1枚ずつ分離された後、駆動ローラ1104へ搬送される。駆動ローラ1104の周囲には2つの従動ローラ1105,1106が配置されており、これらのローラ対によって、原稿は、駆動ローラ1104外周の湾曲した搬送路に沿って搬送される。搬送された原稿は、搬送路の下側に配置された読取装置1107によって読み取られた後、排出ローラ対1108によって原稿排出トレイ1109へ排出される。読み取られて生成された画像データは、システムLSI16を介してプリンタ部12、又は画像/符号メモリ17へ出力される。なお、各ローラを駆動するための電動モータはDC24Vで駆動される。一方、原稿を読み取るための読取装置1107はDC5Vで稼働する。
【0036】
プリンタ部12は、電子写真方式のプリンタであり、スキャナ部11で読み取られた画像データの他、パーソナルコンピュータなどから入力される画像データ、及びFAX、IFAX等で受信された画像データを用紙にプリントアウトする。
【0037】
より詳細には、図1,2に示されるように、プリンタ部12には、用紙に画像を記録する記録装置1200と、記録装置1200へ用紙を供給する給紙装置1201が設置されている。給紙装置1201は、用紙を収容する用紙カセット1202を備えている。用紙カセット1202内に載置された用紙1203は、用紙カセット1202の上方に配置されたピックアップローラ1204によって搬送路1205上にピックアップされる。そして、ピックアップされた用紙は、駆動ローラ1207と従動ローラ1208とからなる給紙ローラ対1206によってレジストローラ対1209に向けて搬出される。
【0038】
プリント処理が行われる際には、給紙装置1201から給紙された用紙1203が、レジストローラ対1209によって一旦レジストされた後、所定のタイミングで記録装置1200へ搬送される。記録装置1200は、搬送路1205に沿って配置された画像形成ユニット1210と定着ユニット1211とを有している。
【0039】
画像形成ユニット1210は、感光体ドラム1212の周囲に配置された帯電ローラ1213、LEDユニット1214、現像ローラ1215、及び転写ローラ1216によって構成されている。画像形成ユニット1210では、まず、感光体ドラム1212が帯電ローラ1213によって一様に帯電された後、LEDユニット1214によって感光体ドラム1212に静電潜像が形成される。そして、トナー室1217内のトナーを保持した現像ローラ1215から感光体ドラム1212の静電潜像上にトナーが移転されることにより、感光体ドラム1212上にトナー画像が形成される。続いて、感光体ドラム1212と、電圧が印加された転写ローラ1216とによって、搬送されて来た用紙を挟むことにより、感光体ドラム1212上のトナー画像が用紙に転写される。
【0040】
定着ユニット1211は、ヒートローラ1218及びプレスローラ1219によって構成されている。トナー画像が転写された用紙をヒートローラ1218とプレスローラ1219とによって挟んで搬送することにより、トナー画像が形成された用紙は加熱されると共に加圧され、トナーが用紙に定着し、プリント処理が完了する。画像がプリントされた用紙は、排出ローラ対1220によって排紙トレイ1221上へ排紙される。なお、各ローラを駆動するための電動モータ、帯電電圧、現像電圧、転写電圧などにはDC24Vが供給される。一方、LEDユニット1214などはDC5Vで稼働する。
【0041】
ネットワーク部13は、各種通信プロトコルの送受信制御処理、及び各種通信プロトコル上のデータ解析処理及びデータ作成処理を行なうネットワークインターフェースを有している。なお、待機モード時、省電力モード時であっても、例えばPCプリントデータ等を待ち受けるために、ネットワーク部13の受信回路等には電力が供給される。また、ネットワーク部13は、インターネット環境を利用したIFAX機能を司る。ネットワーク部13は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に従って電子メールを送信する機能、及び、POP(Post Office Protocol)に従って電子メールを受信する機能を有している。ネットワーク部13は、送信原稿をTIFF形式等の画像データとして電子メールに添付し、メールアドレス(SMTPサーバ)宛てに送信する。また、ネットワーク部13は、設定された時間毎にPOPサーバから電子メールを受信して添付ファイルをプリントアウトする。
【0042】
モデム(変復調器)14は、ディジタル信号とアナログ信号との間の変復調を行なう。また、モデム14は、ディジタル命令信号(DCS)等の各種機能情報の発生及び検出を行なう。NCU(Network Control Unit)15は、モデム14と接続されており、モデム14と公衆交換電話網(PSTN)との接続を制御する。また、NCU15は、送信先のファクシミリ番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0043】
システムLSI16は、画像処理などを専門に実行する専用LSIである。システムLSI16は、スキャナ部11及びプリンタ部12等と接続されており、例えば、スキャナ部11で読み取られた画像データに対して、所定の画像処理を施した後に、プリンタ部12に出力する。
【0044】
システムLSI16には、画像/符号メモリ17が接続されている。画像/符号メモリ17は、揮発性のメモリであるDRAM等で構成されており、コーデックで符号化圧縮された画像データ、FAX受信された画像データ、及び、外部のパーソナルコンピュータ等から受信されて符号化圧縮された画像データ等を記憶する。画像/符号メモリ17は、特許請求の範囲に記載の第1記憶手段に相当する。画像/符号メモリ17には、通常モード、待機モードでは、主電源30からダイオードD3を介して電力が供給される(図4の一点鎖線参照)。一方、主電源オフ時及び省電力モードでは、二次電池33からダイオードD4を介して画像/符号メモリ17に電力が供給される(図4の二点鎖線参照)。なお、通常モード、待機モードでは、充電回路32により二次電池33が充電される(図4の一点鎖線参照)。
【0045】
ここで、画像/符号メモリ17をバックアップするデータバックアップシステム2について説明する。データバックアップシステム2は、二次電池33の残容量を正確に把握して充放電を制御し、主電源30からの電力供給が停止されたときに、画像/符号メモリ17に記憶されている画像データ等のバックアップを確実に行うものである。そのため、データバックアップシステム2は、上述した5V系ユニットに含まれる、メインCPU20、ROM21、メインメモリ22、SRAM23、RTC24、主電源30、一次電池31、充電回路32、二次電池33、及び、3.3V系ユニットに含まれるサブCPU25を有して構成されている。これらの構成要素は、上述したネットワーク複合機1の各機能に加えて、データバックアップ機能を実現する。
【0046】
ROM21には、図5〜8に示される各処理(詳細は後述する)のプログラム等が記憶されている。ROM21に記憶されているプログラム等は、起動時にDRAM等で構成されるメインメモリ22にロードされる。メインCPU20は、メインメモリ22にロードされたプログラムに従って各処理を実行する。メインCPU20は、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。
【0047】
SRAM23は、主電源30からの電力供給が停止されるとき、すなわち、主電源30がオフされたとき、又は省電力モードへの移行時にRTC24から読み出された電力停止時刻、及び、二次電池33の残容量を示すカウンタ値等のデータを一時的に記憶する。SRAM23は、特許請求の範囲に記載の第2記憶手段として機能する。SRAM23には、通常モード時、待機モード時には、電源30からダイオードD1を介して電力が供給される。一方、電源30からの電力供給が停止される電源オフ時及び省電力モード時には、SRAM23には、一次電池31からダイオードD2を介して電力が供給されデータがバックアップされる。
【0048】
RTC24は、常時稼働し、時刻を計時する。RTC24は、特許請求の範囲に記載の計時手段として機能する。RTC24には、通常モード時、待機モード時には、電源30からダイオードD1を介して電力が供給される。一方、電源30からの電力供給が停止される電源オフ時及び省電力モード時には、一次電池31からダイオードD2を介して電力が供給され駆動される。
【0049】
上述したように、主電源30は、DC24V,DC5V,DC3.3Vの3つの電力供給ラインを通してネットワーク複合機1を構成する各ユニットに電力を供給する。一次電池31は、主電源30からDC5V系への電力供給が停止されたとき(省電力モード時、主電源オフ時)にSRAM23及びRTC24に電力を供給する。充電回路32は、主電源30からの電力が供給されているとき(通常モード時、待機モード時)に二次電池33を充電する。充電回路32は、特許請求の範囲に記載の充電手段として機能する。なお、充電回路32は、メインCPU20によって、充電の実行/停止、及び充電電流値などが制御される。
【0050】
二次電池33は、主電源30からDC5V系への電力供給が停止されたとき(省電力モード時、主電源オフ時)に画像/符号メモリ17に電力を供給してデータのバックアップを行う。二次電池33としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などが好適に用いられる。なお、本実施形態では、100mA×36hで満充電となる充電特性を有する二次電池を使用した。また、二次電池33の放電特性を図10に示す。図10の横軸は放電時間(h)であり、縦軸は二次電池33の電圧値(V)である。また、図10では、放電量を二点差線で示し、二次電池33の電圧値を実線で示した。図10に示されるように、二次電池33は、放電が進み残容量が一定値未満となるまでは、略一定の電圧値(例えば5V)を出力し、残容量が上記一定値を下まわると出力電圧が急激に低下する特性を有している。
【0051】
メインCPU20は、主電源30がオフされたとき、又は、省電力モードへの移行時に、RTC24から電力供給停止時刻を取得してSRAM23に格納するとともに、二次電池33の残容量を示すカウンタ値をSRAM23に格納する(図9中のt2,t4参照)。また、メインCPU20は、主電源30からの電力供給が開始されたとき、すなわち、主電源スイッチ35がオンされた際、又は、通常モードへ復帰した際に、RTC24から時刻(電力供給開始時刻)を取得し、該電力供給開始時刻とSRAM23に格納されている電力供給停止時刻とから、電力供給が停止されていた電力供給停止時間を求める(図9中のt3参照)。
【0052】
メインCPU20は、求められた電力供給停止時間、すなわち二次電池33の放電時間に応じて、二次電池33の残容量を示すカウンタ値を減算する(図9中のt3参照)。一方、メインCPU20は、主電源30からの電力供給が行なわれているとき(すなわち通常モード、待機モードにあるとき)、電力が供給されている電力供給時間、すなわち充電回路32により二次電池33が充電されている時間に応じて、カウンタ値をインクリメントする(図9中のt1〜t2、t3〜t4参照)。
【0053】
そして、メインCPU20は、省電力モードへの移行要求が発生したとき、例えば、省電力モード移行キーが押された場合、省電力モード移行タイマーがタイムアップした場合に、上記カウンタ値がしきい値以上(例えば255)の場合には、省電力モードへ移行するように主電源30に対して制御信号を出力する(図9中のt2,t4参照)。一方、メインCPU20は、省電力モードへの移行要求が発生したときに、カウンタ値が上記しきい値未満の場合には、待機モードへ移行するように主電源30を制御し、充電回路32への電力供給を維持する。なお、本実施形態では、カウンタ値は、0−255(FFH)の値を取り、255が満充電を示す。また、本実施形態では、上記しきい値として、二次電池33が満充電であることを示す値(255)に設定した。ただし、上記しきい値は、二次電池33が満充電であることを示す値に限られることなく、任意に設定することができる。
【0054】
さらに、メインCPU20は、カウンタ値が満充電を示す値(本実施形態では255)に達した場合、二次電池33に供給される充電電流を低減して、自然放電を補う程度の電流値となるように充電回路32を制御する。
【0055】
サブCPU25は、省電力モードにおいても稼働され、省電力モードからの復帰トリガとしてのFAXの着呼、省電力モードキーの入力操作、PCプリントデータの受信などを監視するとともに、いずれかの復帰トリガが検知されたときに主電源30へ復帰信号(復帰トリガ信号)を出力する。サブCPU25は、特許請求の範囲に記載の補助制御手段として機能する。主電源30は、サブCPU25から出力された復帰信号を受けて、DC24V系ユニット及びDC5V系ユニットへの電力供給を再開し、省電力モードから通常モードへ電力状態を遷移させる。なお、待機モード中に、パネル部10からのキー入力又はタッチパネル入力があったとき、又は、プリントジョブなどのジョブ要求があった場合には、DC24V系ユニットへの電力供給が再開され、待機モードから通常モードへの移行が行われる。
【0056】
次に、図5〜8を併せて用いて、ネットワーク複合機1に用いられたデータバックアップシステム2によるバックアップ処理について説明する。まず、図5を参照しつつ、データバックアップシステム2による、通常モードから省電力モードへの移行処理について説明する。図5は、データバックアップシステム2による、通常モードから省電力モードへの移行処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、メインCPU20によって、所定のタイミングで実行される。
【0057】
まず、ステップS100では、ジョブが終了したか否かについての判断が行われる。なお、ジョブには、PCプリント、コピーやFAX受信などのプリントジョブを伴うもの、Scan to Folder、Scan to E−mail、FAX送信などのスキャンジョブを伴うもの、機器設定などの入力操作を伴うものが挙げられる。ここで、ジョブが終了したと判断された場合には、ステップS102に処理が移行する。一方、ジョブがまだ終了していないときには、そのジョブが終了するまで、ステップS100が繰り返して実行される。
【0058】
ステップS102では、ジョブが終了してからの経過時間を計測するための省電力モード移行タイマーが起動される。続くステップS104では、省電力モード移行キーが操作されたか否かについての判断が行われる。ここで、省電力モード移行キーが操作された場合には、ステップS108に処理が移行する。一方、省電力モード移行キーが操作されていないときには、ステップS106に処理が移行する。
【0059】
ステップS106では、省電力モード移行タイマーがタイムアップしたか否か、すなわち、ジョブが終了してから例えば10分経過したか否かについての判断が行われる。ここで、省電力モード移行タイマーがタイムアップした場合には、ステップS108に処理が移行する。一方、省電力モード移行タイマーがまだタイムアップしていないときにはステップS104に処理が移行し、省電力モード移行キーが操作されるか、又は、省電力モード移行タイマーがタイムアップするまで、上述したステップS104及びステップS106の処理が繰り返して実行される。
【0060】
省電力モード移行キーが操作されるか、又は、省電力モード移行タイマーがタイムアップした場合、ステップS108では、二次電池33の残容量を示すカウンタ値がしきい値(例えば満充電を示す値である255)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、残容量を示すカウンタ値がしきい値以上の場合には、ステップS110に処理が移行する。一方、残容量を示すカウンタ値がしきい値未満のときには、ステップS114に処理が移行する。
【0061】
ステップS110では、RTC24から時刻が読み出されるとともに、該時刻が、電力供給が停止される電力供給停止時刻としてSRAM23に格納される。続いて、ステップS112では、24V系及び5V系の電力供給が停止され、通常モードから省電力モードへ電力状態が移行する。そして、メインCPU20が停止する。また、二次電池33への充電が停止するとともに、二次電池33から画像/符号メモリ17への電力供給が開始される(図9中のt2,t4参照)。その後、本処理が終了する。
【0062】
残容量を示すカウンタ値がしきい値未満の場合、ステップS114では、24V系の電力供給が停止され、通常モードから待機モードへ電力状態が移行する。そして、電動モータなどの駆動系が停止されるとともに、操作キー及び液晶表示画面などが消灯される。その後、ステップS108に処理が移行し、上述した、ステップS108以降の処理が再度実行される。
【0063】
次に、図6を参照しつつ、データバックアップシステム2による、主電源30がオフされたときのオフ処理について説明する。図6は、データバックアップシステム2による、主電源30がオフされたときのオフ処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、メインCPU20によって、所定のタイミングで実行される。
【0064】
まず、ステップS200では、主電源30がオフされたことが検知されたか否かについての判断が行われる。なお、主電源30のオフ検知は、例えば、主電源30を構成する、5Vから3.3Vを生成するDC−DCコンバータの出力電圧が2.9V以下になったか否かで行うことができる。ここで、主電源30がオフされた場合には、ステップS202に処理が移行する。一方、主電源30がオフされていないときには、主電源30がオフされるまで、本処理が繰り返して実行される。
【0065】
ステップS202では、RTC24から時刻が読み出されるとともに、該時刻が、電力供給が停止される電力供給停止時刻としてSRAM23に格納される。その後、本処理が終了する(図9中のt2参照)。
【0066】
次に、図7を参照しつつ、データバックアップシステム2による、主電源30がオンされたとき又は省電力モードから通常モードへ復帰するときの復帰処理について説明する。図7は、データバックアップシステム2による、主電源30がオンされたとき又は省電力モードから通常モードへ復帰するときの復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、サブCPU25及びメインCPU20によって、所定のタイミングで実行される。
【0067】
まず、ステップS300では、主電源30がオンされたか否かについての判断が行われる。ここで、主電源30がオンされた場合には、ステップS304に処理が移行する。一方、主電源30がオンされていないときには、ステップS302に処理が移行する。
【0068】
ステップS302では、省電力モードからの復帰トリガが検知されたか否かについての判断が行われる。なお、省電力モードからの復帰トリガとしては、例えば、FAXの着呼、省電力モードキーの入力操作、USBケーブル又はLANを介してのPCプリントジョブの入力などが挙げられる。ここで、復帰トリガが検知された場合には、ステップ304に処理が移行する。一方、復帰トリガが検知されていないときには、ステップS300に処理が移行し、主電源30がオンされるか、又は復帰トリガが検知されるまで、上述したステップS300,S302の処理が繰り返して実行される。
【0069】
主電源30がオンされるか、又は復帰トリガが検知された場合、ステップS304では、メインCPU20を含むシステムの初期化動作が実行される(図9中のt1,t3参照)。なお、このシステムの初期化動作には、メインCPU20が充電回路32を制御して、二次電池33の充電を開始する動作が含まれる。続いて、ステップS306では、RTC24から時刻が読み出されるとともに、該時刻が、電力供給が開始される電力供給開始時刻としてSRAM23に記憶される。
【0070】
次に、ステップS308では、ステップS306で取得された電源供給開始時刻から、SRAM23に格納されている電源供給停止時刻が差し引かれることにより、電源供給が停止されていた電源供給停止時間が求められる(図9中のt3−t2参照)。続くステップS310では、ステップS308で求められた電源供給停止時間に応じて、二次電池33の残容量を示すカウンタの減算値が求められる。なお、カウンタの減算値は、例えば、電源供給停止時間が10分で「1」と設定される。そして、求められた減算値が、カウンタの値から減算される(図9中のt3参照)。
【0071】
次に、ステップS312では、所定時間毎に残容量を示すカウンタに所定値が加算(例えば、10分毎に「1」加算)される。なお、電源供給停止時間(放電時間)と減算値、電源供給時間(充電時間)と加算値は、二次電池33の充放電特性、充電電流、放電電流等に基づいて設定される。
【0072】
続くステップS314では、残容量を示すカウンタの値が満充電を示す値(例えば255)であるか否かについての判断が行われる。ここで、カウンタ値が満充電を示す値である場合には、ステップS316に処理が移行する。一方、カウンタ値が満充電を示す値に達していないときには、ステップS312に処理が移行し、カウンタ値が満充電を示す値に達するまで、上述したステップS312,S314の処理が繰り返して実行される。
【0073】
カウンタ値が満充電を示す値である場合には、ステップS316において、二次電池33の過充電を防止するために、充電回路32が制御され、二次電池33に供給される充電電流が、例えば自然放電を補う程度の電流値に低減される。その後、本処理を終了する。
【0074】
次に、図8を参照しつつ、データバックアップシステム2による、待機モードから通常モードへの復帰処理について説明する。図8は、データバックアップシステム2による、待機モードから通常モードへの復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、メインCPU20によって、所定のタイミングで実行される。
【0075】
まず、ステップS400では、キー又はタッチパネルの操作入力が検知されたか否かについての判断が行われる。ここで、キー又はタッチパネルの操作入力が検知された場合には、ステップS404に処理が移行する。一方、キー及びタッチパネルの操作入力が検知されていないときには、ステップS402に処理が移行する。
【0076】
ステップS402では、例えばPCプリントジョブなどのジョブ要求があったか否かについての判断が行われる。ここで、ジョブ要求があった場合には、ステップS404に処理が移行する。一方、ジョブ要求がないときには、ステップS400に処理が移行し、キー又はタッチパネルの操作入力が検知されるか、ジョブ要求があるまで、上述したステップS400,S402の処理が繰り返して実行される。
【0077】
ステップS400又はS402が肯定された場合、ステップS404では、待機モードから通常モードへ電力状態が移行する。そして、24V系への電力供給が再開される。その後、本処理が終了する。
【0078】
本実施形態によれば、5V系ユニットに対する主電源30からの電力供給が停止されるときに、電力供給停止時刻がSRAM23に記憶される。一方、5V系ユニットに対する電力供給が開始されたときに、RTC24から電力供給開始時刻が取得され、該電力供給開始時刻とSRAM23に記憶されている電力供給停止時刻とから5V系ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間が求められる。そして、求められた電力供給停止時間(すなわち、二次電池33の放電時間)に応じて、二次電池33の残容量を示すカウンタ値が減算される。一方、5V系ユニットに対して電力供給が行なわれているときに、電力が供給されている電力供給時間(すなわち、充電回路32により二次電池33が充電されている時間)に応じて、カウンタ値がインクリメントされる。そのため、カウンタ値から二次電池33の残容量を正確に把握することができる。そして、通常モードから省電力モードへの移行要求が発生したときに、カウンタ値がしきい値以上の場合には、省電力モードへ移行し(すなわち、電源30を制御して5V系ユニットに対する電力供給を停止し)、カウンタ値がしきい値未満の場合には、省電力モードへの移行が禁止される。よって、二次電池33の残容量が充分でないときには、5V系ユニットに対する電力供給が維持され、二次電池33に対する充電が継続される。以上の結果、電源30からの電力供給が停止されたときに画像/符号メモリ17をバックアップする二次電池33の残容量をより正確に把握でき、画像/符号メモリ17に記憶されているデータのバックアップをより確実に行うことが可能となる。
【0079】
また、本実施形態によれば、主電源スイッチ35がオフされたとき、又は、省電力モードへ移行する際に、電力供給停止時刻がSRAM23に記憶される。一方、主電源スイッチ35がオンされた際、又は、省電力モードから通常モードへ復帰した際に、電力供給開始時刻が取得され、該電力供給開始時刻とSRAM23に記憶されている電力供給停止時刻とから5V系ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間が求められる。よって、5V系ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間を正確に求めることができ、二次電池33の放電量を正確に把握することが可能となる。
【0080】
本実施形態によれば、上述したしきい値が、二次電池33が満充電であることを示す値に設定されているため、二次電池33が満充電されるまで、省電力モードへの移行が禁止され、二次電池33への充電が継続される。よって、二次電池33が満充電されるように制御することができる。
【0081】
本実施形態によれば、二次電池33の残容量を示すカウンタ値が満充電を示す値に達した場合、すなわち、二次電池33が満充電となった場合に充電電流が低減されるため、二次電池33の過充電を防止し、二次電池33の劣化を防止することが可能となる。
【0082】
本実施形態によれば、省電力モードにあるときに、サブCPU25によって、省電力モードからの復帰トリガとしてのFAXの着呼、省電力モードキーの入力操作、PCプリントデータの受信などが監視される。そして、いずれかの復帰トリガが検知されたときに、省電力モードから通常モードへの復帰トリガ信号が主電源30へ出力される。そして、主電源30から5V系ユニットに対する電力供給が開始される。よって、適確に通常モードに復帰することが可能となる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、データバックアップシステム2を、ネットワーク複合機1に適用したが、適用対象はネットワーク複合機に限られることなく、例えば、単機能のプリンタ、コピー機、ファクシミリ装置に適用することもできる。また、ネットワーク端末などの電子機器に用いることもできる。
【0084】
また、上記実施形態では、ネットワーク複合機1が3つの電力供給ラインを有し、それぞれ電圧値が異なる電力を供給する構成とされていたが、電力供給ラインの数は3つに限られることなく、また、供給される電力の電圧値は必ずしも異なっている必要はない。
【0085】
上記実施形態では、一次電池31によりバックアップされたSRAM23を用いたが、SRAMに代えて、書込み・消去可能な不揮発性のメモリ、例えばEEPROM、フラッシュメモリなどを用いてもよい。また、メインCPU20によって、充電回路32から出力される充電電流をダイナミックに制御する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ネットワーク複合機
2 データバックアップシステム
10 パネル部
11 スキャナ部
12 プリンタ部
13 ネットワーク部
14 モデム
15 NCU
16 システムLSI
17 画像/符号メモリ
20 メインCPU
21 ROM
22 メインメモリ
23 SRAM
24 RTC
25 サブCPU
30 主電源
31 一次電池
32 充電回路
33 二次電池
35 主電源スイッチ
40 バス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる電力供給ラインを通して電源から電力が供給される、第1ユニット、第2ユニットを少なくとも備え、前記電源から前記第1ユニット及び前記第2ユニットに電力が供給される第1電力状態と、前記第2ユニットのみに電力が供給される第2電力状態とを取り得る電子機器に用いられるデータバックアップシステムであって、
前記第1ユニットに含まれ、データを記憶する揮発性の第1記憶手段と、
前記第1ユニットに含まれ、前記電源から前記第1ユニットへの電力供給が停止されているときに、前記第1記憶手段に電力を供給する二次電池と、
前記第1ユニットに含まれ、前記電源から前記第1ユニットに電力が供給されているときに、前記二次電池を充電する充電手段と、
常時稼働し、時刻を計時する計時手段と、
前記電源から前記第1ユニットに対する電力供給が停止される際に、前記計時手段から取得される時刻を電力供給停止時刻として記憶する、不揮発性の、又は常時バックアップされている第2記憶手段と、
前記第1ユニットに含まれ、前記電源を制御して前記第1電力状態から前記第2電力状態へ電力状態を切替える制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1ユニットに対する電力供給が開始されたときに、前記計時手段から電力供給開始時刻を取得し、該電力供給開始時刻と前記第2記憶手段に記憶されている前記電力供給停止時刻とから前記第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間を求め、該電力供給停止時間に応じて前記二次電池の残容量を示すカウンタ値を減算するとともに、前記第1ユニットに対して電力供給が行なわれているときに、電力が供給されている電力供給時間に応じて前記カウンタ値を加算し、かつ、前記第1電力状態から前記第2電力状態への移行要求が発生したときに、前記カウンタ値がしきい値以上の場合には、前記第2電力状態へ移行するように前記電源を制御し、前記カウンタ値が前記しきい値未満の場合には、前記第2電力状態への移行を禁止することを特徴とするデータバックアップシステム。
【請求項2】
前記第2記憶手段は、主電源スイッチがオフされた際、又は、前記第1電力状態から前記第2電力状態へ移行する際に、前記計時手段から取得される電力供給停止時刻を記憶し、
前記制御手段は、主電源スイッチがオンされた際、又は、前記第2電力状態から前記第1電力状態へ復帰した際に、前記計時手段から電力供給開始時刻を取得し、該電力供給開始時刻と前記第2記憶手段に記憶されている前記電力供給停止時刻とから前記第1ユニットへの電力供給が停止されていた電力供給停止時間を求め、該電力供給停止時間に応じて前記カウンタ値を減算することを特徴とする請求項1に記載のデータバックアップシステム。
【請求項3】
前記しきい値は、前記二次電池が満充電であることを示す値に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータバックアップシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記カウンタ値が満充電を示す値に達した場合に、前記二次電池に供給される充電電流を低減するように前記充電手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータバックアップシステム。
【請求項5】
前記第2ユニットは、補助制御手段を備え、
前記補助制御手段は、前記第2電力状態にあるときに、所定の復帰条件が成立するか否かを監視するとともに、該所定の復帰条件が成立したときに、前記第2電力状態から前記第1電力状態への復帰信号を前記電源へ出力し、
前記電源は、前記復帰信号に基づいて、前記第1ユニットに対する電力供給を開始することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータバックアップシステム。
【請求項6】
前記電子機器は、画像データを用紙に印刷する印刷装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータバックアップシステム。
【請求項7】
前記電子機器は、画像データを送受信するファクシミリ装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータバックアップシステム。
【請求項8】
前記電子機器は、原稿を読み取って画像データを生成し、該画像データを印刷する複写装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータバックアップシステム。
【請求項9】
前記電子機器は、ネットワークを介してデータを送受信するネットワーク端末であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータバックアップシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−34294(P2012−34294A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173937(P2010−173937)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】