説明

トグル式電動型締装置

【課題】設定型締力を変更しても、型開力を制御可能とした、トグル式電動型締装置を提供する。
【解決手段】トグル機構27におけるクロスヘッド32の位置xと、可動盤25の位置yとに基づく、トグル機構27のトグル倍率から、設定型締力に対応した型開き位置でのトグル倍率を把握して、このトグル倍率に基づいて型締めモータのトルクリミットを制御することで、型開力の上限値を制御するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トグル式電動型締装置において、設定型締力を変更しても、型開力の上限を自動的に制御可能とした、トグル式電動型締装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機などの型締装置においては、電動方式のものが広く用いられている。
このような電動式の型締装置としては、例えば図5に示すようなトグル式電動型締装置1がある。このトグル式電動型締装置1は、基盤2上に固設された固定盤3と、固定盤3と対向して配設し、進退動可能に配設した可動盤4を具備する。
この固定盤3から所定の距離離隔した位置には、基盤2に対して移動可能に配設されたリンクハウジング5とを備えている。また、固定盤3と可動盤4間には、固定金型6a及び可動金型6bとからなる金型6が図6、図7のように、ダイクランプaや取付ねじbを介して取り付けられている。そして、可動盤4とリンクハウジング5との間にトグル機構7を設けて、リンクハウジング5の後端にはトグル機構7を作動させる型締モータ8を図示せぬ取付部品によって配設している。
トグル機構7は、駆動軸であるねじシャフト9にナット部材10を介して取り付けたクロスヘッド11、このクロスヘッド11に揺動可能に取り付けた第1トグルリンク12、リンクハウジング5に揺動可能に取り付けた第2トグルリンク13、及び、可動盤4に揺動可能に取り付けた第3トグルリンク14を具備している。
以上のような構成において、型締モータ8を駆動してねじシャフト9を回転し、ナット部材10を介してクロスヘッド11を前進させることでトグル機構7を作動させ、可動盤4が前進して型締めを行う構成である。この場合、型締モータ8によるクロスヘッド11の推進力より大きな型締力を発生させることができ、金型6に大きな型締力を負荷することが可能となる。
【0003】
また、金型6毎の厚さ(ダイハイト)に対応させるため、リンクハウジング5の後端面に装着されている可動ナット4bを図示せぬダイハイト装置によって回転させる。すると、可動ナット4bと連動するリンクハウジング5は、前後(図の左右)に動作し、リンクハウジング5と連結するトグル機構7及び可動盤4も連動し、金型毎の厚さの違いにも対応することができる。
【0004】
オペレータが所望する設定型締力に対応させるため、さらにダイハイト調整が行われる。金型6を固定盤3及び可動盤4に装着後、まず、ダイハイト装置を駆動してリンクハウジング5を後退させて金型6を充分に開き、その後型締モータ8を駆動してトグル機構7を作動させて、第2トグルリンク13と第3トグルリンク14を一直線に伸ばす。
次に、再度ダイハイト装置を駆動してリンクハウジング5、トグル機構7、及び可動盤4を前進させて、固定型6aと可動型6bをタッチさせる。その後、型締モータ8を駆動して、トグル機構7を屈曲させる。
最後に、ダイハイト装置を駆動し、可動ナット4bおよびリングハウジング5を設定型締力に対応した送り込み量だけ前進させる。この送り込み量は、所望する型締力を発生させるためのタイバー4の伸び量であり、設定型締力及びタイバー4の長さと断面積と弾性係数から算出することができる。
【0005】
このように、設定型締力に対応したダイハイト調整が完了した後、クロスヘッド11を作動して可動盤4を前進させて、金型6を図5のようにタッチさせ、さらにクロスヘッド11を前進させて型締力を負荷する(この時、第2トグルリンク13と第3トグルリンク14は一直線上になる)。
金型6に型締力が負荷されている状態で、図示せぬ射出装置より、溶融状態の樹脂あるいは金属が金型6のキャビティ内に高圧で射出充填される。そして、樹脂や金属が冷却固化した後、クロスヘッド11を後退して型締力を除去し、そして金型を開いて成形された製品を取り出す。
この型締力を除去した後の固定型6aと可動型6bを開く瞬間に型開力が必要となる。これは冷却固化した樹脂や金属が固定型6aと強く接触しているためであり、それらを引き離すために要する力である。
この型開力は、正常な成形状態では、あまり大きな力ではないが、射出充填が過剰に行われ、金型6内でバリが発生した場合には、大きな力となる。
【0006】
かかる状態で、無理やりに過大な力で型開きを続行すると、金型6や、金型取付手段であるダイクランプa、取付ねじb等の金型メカニズムの破損を招く虞がある(図6、7参照)。
そこで、金型メカニズムの破損を防ぐため(金型メカニズムの保護のため)、型開き行程中には電動サーボモータの出力トルクを制限することが多い。すなわち、型開き行程中には電動サーボモータにトルクリミットをかけて、これにより、型開閉機構に過大な力が作用することを抑止して、金型メカニズムの破損を防止するようにしていた。
【0007】
その一例として、特許文献1においては、型開き行程における金型メカニズムの破損を防止できると共に、型開き行程の加減速性能を損なわず、ハイサイクル成形が可能な成形機を提供することを目的として、少なくとも型開き行程における型開閉機構の負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段が検出した型開き行程における型開閉機構の実測負荷と予め設定された許容範囲とを対比し、実測負荷が許容範囲を外れた場合には、型開閉駆動源の動作を停止させるように制御する手段を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−59467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の制御手法では、型締めモータのトルクを制御することで、型開力の制御が可能となるが、加工対象が変わると、金型の交換が必要となり、これにより、適正な型締力も異なってくる。このため、その金型に対応した適正な型締力 (以下、設定型締力)を変えると、トグル機構の特性として型開き位置でのトグル倍率(クロスヘッドを駆動する力と、リンク機構により増大された可動盤が動作する力の倍率)が変わるため、型締めモータのトルクが同じでも、その金型を開くための型開力が異なってくるため、適切な制限が困難となる。
本発明は、以上のような不都合を改善するために提案されたものであって、トグル式電動型締装置において、設定型締力を変化させても、トグル倍率を自動認識して、型開力の上限を制御可能とした、トグル式電動型締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、リンクハウジング(23)と固定盤(22)とをタイバー(24)で連結すると共に、タイバー(24)を案内としてリンクハウジング(23)と固定盤(22)との間に、往復動可能に配設した可動盤(25)をトグル機構(27)を介して作動させると共に、リンクハウジング(23)を、設定型締力に応じて予め型厚調整すべくタイバー(24)に沿って移動調整して、型締め、型開きを行うトグル式電動型締装置において、トグル機構(27)におけるクロスヘッド(32)の位置(x)と、可動盤(25)の位置(y)とに基づく、トグル機構(27)のトグル倍率から、設定型締力に対応した型開き位置でのトグル倍率を把握して、このトグル倍率より型締めモータのトルクリミットを設定し、型開力の上限値を制御する制御手段を具備してなることを特徴とする。
【0011】
これにより、成形すべき加工対象を変えて、対応する設定型締力を変えても、設定型締力に対応した型開き位置でのトグル倍率と、型締めモータのトルクリミットとから、型開力を適正な大きさに制御することができ、金型や、機構の破損を招くようなことはない。
【0012】
請求項2に記載の発明では、制御手段は、Tm=(1/2π)・ε・L・Fo・(1/fz)なる演算に基づいて、型締めモータのトルクリミットを算出する[ただし、Tmは型締めモータのトルクリミット、εはベルトプーリの減速比、Lはクロスヘッド用ボールねじのリード、Foは型開力の上限値、Zは設定型締力、fzは設定型締力がZkNのときの金型タッチ位置(型開き位置)でのトグル倍率]ことを特徴とする。
【0013】
これにより、制御手段において、設定型締力に対応した型開き位置でのトグル倍率fzに基づいて、自動的に演算により求められた型締めモータのトルクリミット(Tm)を制御することで、型開力の上限値(Fo)を制御することができる。
【0014】
上記の本発明の説明において、カッコ()内の記号又は数字は、以下に示す実施の形態との対応を示すために添付される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設定型締力が変更されても、対応するトグル倍率より型締めモータのトルクリミットを算出することから、型開力の上限が制御可能で、金型や、型締めメカニズムの破損を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかるトグル式電動型締装置の一実施形態において、クロスヘッドの後退限界位置を示す模式的な側面説明図である。
【図2】図1に示すトグル式型締装置において、トグル機構を作動させて、可動盤を前進させたところを示す、模式的な側面説明図である。
【図3】図1に示すトグル式型締装置において、トグル機構を作動させて、固定金型に可動金型を接触させた金型タッチ位置(型開き位置)を示す、模式的な側面説明図である。
【図4】クロスヘッドの位置と、可動盤の位置との関係と、クロスヘッドの位置と、可動盤の位置から求められるトグル倍率を示した、グラフである。
【図5】従来におけるトグル式電動型締装置の一例を示す、模式的な側面説明図である。
【図6】金型装置の固定手段の一例を示した、模式的な要部側面図である。
【図7】金型装置の固定手段の別例を示した、模式的な要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1、図2、図3に、トグル式電動型締装置20の一例を模式的に示す。
トグル式電動型締装置20は、基盤21上に固設された固定金型支持装置としての固定盤22と、この固定盤22から所定の距離離隔した位置において、基盤21に対して移動可能に配設されたリンクハウジング23とを備えている。なお、かかる固定盤22とリンクハウジング23との間には複数、例えば、四本のタイバー24を配設している。
【0018】
また、基盤21上には、固定盤22と対向して配設し、タイバー24に沿って進退動(図における左右方向に移動)可能に配設した可動金型支持装置としての可動盤25を具備している。
さらに、固定盤22と可動盤25間には、金型装置26を配設している。かかる金型装置26は、固定金型26a及び可動金型26bとからなる。固定金型26aは、固定盤3における可動盤25と対向する金型取付面に取り付ける一方、可動金型26bは、可動盤25における固定盤22と対向する金型取付面に取り付けている。固定金型26aと可動金型26bの間には、溶融状態の樹脂や金属を充填するための空間であるキャビティが形成される。
【0019】
そして、以上のような可動盤25とリンクハウジング23との間にはトグル機構27を設け、リンクハウジング23の後端にはトグル機構27を作動させる型締用駆動源としての型締モータ28を配設している。
型締モータ28は、図示せぬ取付部品によりリンクハウジング23に固設され、伝達手段であるベルト29、プーリ30を介して、回転運動を往復運動に変換するボールねじ機構31に動力を伝達するようになっている。
ボールねじ機構31は、駆動軸であるねじシャフト31aにナット部材31bを螺着したもので、ナット部材31bに取り付けたクロスヘッド(後述)を進退動(図における左右方向に移動)させることによって、トグル機構27を作動させるようにしている。なお、型締モータ28は、サーボモータであることが望ましい。
【0020】
ここで、トグル機構27を説明すると、トグル機構27は、駆動軸であるねじシャフト31aにナット部材31bを介して取り付けたクロスヘッド32、このクロスヘッド32に揺動可能に取り付けた第1トグルリンク33、リンクハウジング23に揺動可能に取り付けた第2トグルリンク34、及び、可動盤25に揺動可能に取り付けた第3トグルリンク35を具備している。
そして、第2トグルリンク34と第1トグルリンク33と、並びに、第2トグルリンク34と第3トグルリンク35とは、それぞれ、リンク結合している。
【0021】
以上のような構成において、型締モータ28を駆動して、ナット部材31bを介して被駆動部材としてのクロスヘッド32を進退させることで、トグル機構27を作動させることができる。この場合、クロスヘッド32を前進(図中、右方向に移動)させると、可動盤25が前進して型締めを行う構成である。そして、型締モータ28によるクロスヘッド32の推進力よりも大きな型締力を発生させることができ、型締を行う構成である。
【0022】
なお、リンクハウジング23の後端(図における左端)には、固定盤22に対するリンクハウジング23の位置を調整するために、詳細な説明および図示は省略するが型締位置調整手段(ダイハイト装置)を配設している。
ここで、リンクハウジング23には、図示されないタイバー挿通孔を複数、例えば、四つ形成し、タイバー24の図における左端を、それぞれのタイバー挿通孔に挿通し、可動ナット24bにより連結している。
タイバー24の図示されない右端は、固定ナット24aによって固定盤22に固定している。
【0023】
そして、リンクハウジング23の後端における上方部には、型締位置調整手段の駆動源としての型厚調整モータ(図示省略)を配設している。かかる型厚調整モータを駆動して可動ナット24bを作動させることで、リンクハウジング23を所定の距離だけ進退させることができる。
【0024】
図1は、クロスヘッド32および可動盤25が後退限に位置する状態を表わし、それぞれの位置をx=0、y=0とする。図2は、型閉動作または型開動作の途中の状態を表わす。さらに、図3は、固定型26aと可動型26bがタッチした瞬間、あるいは型締力が除去され、固定型26aと可動型26bが開き出す瞬間の状態を表わす。
図3の状態から、クロスヘッド32が前進(右方向へ)すると、第2トグルリンク34と第3トグルリンク35が一直線上に伸びて金型に大きな型締力が負荷される。
【0025】
ところで、型開力に上限を設ける際、型締めモータのトルクリミット(Tm)は以下のように算出することができる。なお、型開力の上限値{Fo(kN)}は、金型メカニズムが破損する型開力を安全率で除することにより求める。
設定型締力をZ(kN)とし、設定型締力がZ(kN)のときの金型タッチ位置(型開き位置)でのトグル倍率をfz{=1/(dy/dx)}とし、クロスヘッド用ボールねじのリードをL(mm)とし、ベルトプーリの減速比をε(例えば1/3)とし、型締モータのトルクリミットをTm(N・m)とし、クロスヘッドの推力をFc(kN)とし、クロスヘッド用ボールねじの回転トルクをTc(N・m)
とすると、
Fo=Fc×fz……(1)
(Fc×1000)×(L×1/1000)=2π×Tc……(2)
Tc=(1/ε)×Tm……(3)
(1)、(2)、(3)式より、FcとTcを消去すると、
Tm=(1/2π)・ε・L・Fo・(1/fz)
となり、型締めモータのトルクリミット(Tm)を算出することができる。
【0026】
以上のように構成されたトグル式電動型締装置20において、次に、一連の型締め動作、型開き動作について説明する(図4参照)。
かかる一連の動作を行うために、このトグル式電動型締装置20では、トグル機構27におけるクロスヘッド32の位置(x)と、可動盤25の位置(y)との幾何学的関係から、トグル機構27のトグル倍率{1/(dy/dx)}(yをxで微分した値の逆数)を求め、設定型締力(ZkN)に対応した型開き位置でのトグル倍率fz{=1/(dy/dx)}を把握して、かかるトグル倍率fzと型締モータ28のトルクリミットTm(Nm)とから、型開力の上限値Foを制御するようにした制御手段(図示省略)を具備している。
すなわち、制御手段には、前述した知見に基づいて、Tm=(1/2π)・ε・L・Fo・(1/fz)なる演算を実行するソフトウェアが格納されている。また、ソフトウェアには、設定型締力に対応する金型タッチ位置(型開位置)でのトグル倍率fzを把握するためのデータも格納されている。
【0027】
ここで、図4にクロスヘッド32の位置xと、可動盤25の位置yとの関係を示したグラフと、そのクロスヘッド32の位置に対応するトグル倍率fz、すなわち1/(dy/dx)についてのグラフを示す。
かかるグラフにより、型締め完了位置近くになると、トグル倍率は急激に増大し、型締め完了位置で無限大となることがわかる。
型締め動作において、例えば設定型締力8000kNにより、型締め動作を行うには、型締め開始位置(金型タッチ位置)、すなわちクロスヘッド32の位置xaは、設定型締力4000kNの型締め開始位置(金型タッチ位置)、すなわちクロスヘッド32の位置xbに比較して、型開き限界位置に近い位置にあり、より大きな型締力を設定するには、型締め開始から型締め完了位置までの送り込み量をより大きくとる必要があることがわかる。
【0028】
また、設定型締力が8000kNの時の金型タッチ位置でのトグル倍率f(8000)と、4000kNの時の金型タッチ位置でのトグル倍率f(4000)に違いがあることがわかる。本発明では、この違いを考慮することにより、型開力の上限を制御することが可能となる。
【0029】
そして、型締め動作、射出充填、冷却固化が完了すると、型締力の除去と型開き動作を開始するわけであるが、金型への加工対象材である、溶融樹脂や溶融金属の充填量が過剰であったような場合、型開きに必要な型開力が増大することがある。
しかしながら、制御手段において、設定型締力に対応した型開き位置でのトグル倍率fzが把握できるため、Tm=(1/2π)・ε・L・Fo・(1/fz)なる演算から、型開中の型締モータ28のトルクを監視し、トルクリミットTmに達した場合、非常停止することにより、型開力をFo以下に制御することができる。
【0030】
以上のように、設定型締力(ZkN)に対応した型開き位置でのトグル倍率fzを考慮することにより、たとえ、設定型締力(ZkN)を変えても、対応するトグル倍率fzより型締めモータのトルクリミットTmを求めることができ、型開力Foの上限を制御することができる。
よって、大きなバリが発生して型開力が大きくなり、型締モータのトルクがTmまで達すると、制御手段は、即座に型開動作を非常停止することにより、金型や金型メカニズムの破損を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、以上の例に挙げた射出成形機におけるトグル式電動型締装置に限られない。ダイカストマシン等の他の成形装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
20 トグル式電動型締装置
21 基盤
22 固定盤
23 リンクハウジング
24 タイバー
24a 固定ナット
24b 可動ナット
25 可動盤
26 金型装置
26a 固定金型
26b 可動金型
27 トグル機構
28 型締モータ
29 ベルト
30 プーリ
31 ボールねじ機構
31a ねじシャフト
31b ナット部材
32 クロスヘッド
33 第1トグルリンク
34 第2トグルリンク
35 第3トグルリンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクハウジング(23)と固定盤(22)とをタイバー(24)で連結すると共に、前記タイバー(24)を案内として前記リンクハウジング(23)と前記固定盤(22)との間に、往復動可能に配設した可動盤(25)をトグル機構(27)を介して作動させると共に、前記リンクハウジング(23)を、設定型締力に応じて予め型厚調整すべく前記タイバー(24)に沿って移動調整して、型締め、型開きを行うトグル式電動型締装置において、
前記トグル機構(27)におけるクロスヘッド(32)の位置(x)と、前記可動盤(25)の位置(y)とに基づく、前記トグル機構(27)のトグル倍率から、設定型締力に対応した型開き位置でのトグル倍率を把握して、このトグル倍率より型締めモータのトルクリミットを設定し、型開力の上限値を制御する制御手段を具備してなることを特徴とするトグル式電動型締装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
Tm=(1/2π)・ε・L・Fo・(1/fz)なる演算に基づいて、型締めモータのトルクリミットを算出する[ただし、Tmは型締めモータのトルクリミット、εはベルトプーリの減速比、Lはクロスヘッド用ボールねじのリード、Foは型開力の上限値、Zは設定型締力、fzは設定型締力がZkNのときの金型タッチ位置(型開き位置)でのトグル倍率]ことを特徴とする請求項1に記載のトグル式電動型締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−162805(P2010−162805A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8185(P2009−8185)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】