説明

トナー回収ユニット、およびこれを備えた画像形成装置

【課題】本体装置に装着してから貯留部の本体装置への固定動作に連動してトナーを排出する排出口に貯留部を連通させることで本体装置への取り付け作業を容易に行なうことができるトナー回収ユニット、および、これを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー回収ユニット30は、画像形成装置100に着脱自在に装着され、廃トナー貯留タンク33、フレーム38、開閉部材36、37、移動部材35を備える。フレーム38は排出口4Eおよび導管65Aの排出口と廃トナー貯留タンク33を連通させる排出通路SPを形成する。開閉部材36、37は導管65Aの排出口および排出口4Eを排出通路SPに連通させる開位置と連通させない閉位置に回転する。移動部材35は移動に伴い先端部35Aが固定ノブ40Cに係合しない係合解除位置から固定ノブ40Cに係合する係合位置へ移動すると伴に開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に着脱自在に装着されるトナー回収ユニット、およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、転写処理に使用して劣化したトナーを回収するトナー回収ユニットを備えている。このようなトナー回収ユニットは、本体装置に着脱自在に装着され、回収したトナーが一定量に達した場合や、メンテナンスを行なう場合に本体装置から脱着して交換される。
【0003】
このようなトナー回収ユニットの中には、廃トナー回収容器(貯留部)と、固定レバーと、本体装置の廃トナー排出孔(排出口)の開閉を切り替えるシャッタと、シャッタを開位置から閉位置側へ付勢する付勢ばねとを備えたものもある。廃トナー回収容器が閉位置から開位置側へ押し込まれるときに、付勢ばねの移動に伴い廃トナー回収容器に付勢されシャッタ(第2開閉部材)を閉位置から開位置まで移動させる。そして、本体装置の廃トナー排出孔に廃トナー回収容器の受入孔が面する位置で、廃トナー回収容器は固定レバーによって本体装置に固定される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−77513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に示すトナー回収ユニットでは、本体装置への装着動作に伴い付勢ばねの付勢力に抗して廃トナー回収容器を本体装置の開位置側へ押し込み固定レバーで廃トナー回収容器を固定しなければならず取り付け難いという問題があった。また、受入孔にはシャッタ(第1開閉部材)が設けられていないため本体装置から廃トナー回収容器を取り外したときに廃トナー回収容器の受入孔からトナーが零れ易いという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、本体装置に装着してから貯留部の本体装置への固定動作に連動してトナーを排出する排出口に貯留部を連通させることで本体装置への取り付け作業を容易に行なうことができるトナー回収ユニット、および、これを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のトナー回収ユニットは、トナーを排出する排出口およびトナー回収ユニットに係合する係合部が設けられた本体装置に着脱自在に装着されたトナー回収ユニットであって、貯留部、フレーム部材、第1開閉部材、係合手段、移動手段を備えている。貯留部は、トナーを貯留する。フレーム部材は、排出口を貯留部に接続する排出通路を形成する。第1開閉部材は、排出口を排出通路に連通させる開位置と、排出口を排出通路に連通させない閉位置との間で変位する。係合手段は、係合部に係合する係合位置と、係合部に係合しない係合解除位置との間で移動可能に支持されている。移動手段は、移動手段の移動に伴って、係合手段を係合解除位置から係合位置へ付勢するとともに第1開閉部材を閉位置から開位置へ変位させる。
【0007】
この構成では、本体装置に装着された状態で移動手段の移動に伴って排出口を貯留部に連通させるとともに貯留部を本体装置に係合して固定する。このため、排出口を貯留部に連通させる動作と貯留部を本体装置に固定する動作を連動して1つの動作で行なうことができる。一方、本体装置に装着されていない状態で、第1開閉部材を閉位置に変位させて貯留部に貯留されているトナーが零れることも防止することができる。
【0008】
なお、移動手段は係合手段を係合位置へ付勢した後に第1開閉部材を閉位置から開位置へ変位させるものとすることが好ましい。これにより、貯留部を本体装置に固定した後に、排出口を貯留部に連通させることができる。
【0009】
さらに、本体装置に装着されていないときにフレーム部材に係合して移動手段の移動を規制し、本体装置に装着されるときに本体装置に付勢されフレーム部材との係合が解除される規制部をさらに備えるものとすることが好ましい。これにより、トナー回収ユニットが本体装置から取り外されているときに、移動手段の移動を規制することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、本体装置に装着してから1つの動作で貯留部を排出口に連通させるとともに本体装置に固定し取り付け作業を容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の一実施形態に係る画像形成装置(本体装置)100について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は、画像形成装置100の全体構成を模式的に示す図である。
【0013】
画像形成装置100は、主として、画像形成部110と、自動原稿読取部120と、画像形成部110を格納する筐体130とを備え、画像データに応じて用紙に多色及び単色の印刷処理を行なう。
【0014】
自動原稿読取部120は、画像形成部110の上部に配置されており、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿台92を有し、原稿台92上に原稿を自動搬送して原稿画像の読み取りを行う。
【0015】
画像形成部110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、トナー回収ユニット30、位置決めユニット40、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有している。画像形成部110は、用紙に印刷処理を行なう。
【0016】
現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のカラー画像に応じた4つの画像ステーションにそれぞれ配置されている。各ステーションでは、各色に応じた4種類の潜像を形成する。
【0017】
クリーナユニット4は、トナーを排出する搬送スクリューと、搬送スクリューが配設された導管4Aとを備え、感光体ドラム3周面に残留したトナーを回収し、導管4Aを経由して排出する。
【0018】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるチャージャ型の帯電器である。
【0019】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。
【0020】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上方に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を有している。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルトクリーニングユニット65は、トナーを排出する搬送スクリューが配設された導管65Aを備え、中間転写ベルト61に残留しているトナーを導管65A経由で排出する。
【0021】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙が積層されており、画像形成部110の露光ユニット1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する用紙を置くことができる。画像形成部110の上方に設けられている排紙トレイ91は、画像形成部110で画像形成処理を行なった用紙を集積するためのトレイである。
【0022】
画像形成部110には、給紙カセット81または手差し給紙カセット82の用紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由して排紙トレイ91に送る用紙搬送路Lが設けられている。用紙搬送路Lは、給紙カセット81乃至手差し給紙カセット82から排紙トレイ91に至る搬送路である。用紙搬送路Lは、ピックアップローラ11A、11B、搬送ローラ対12A、レジストローラ対13、転写ローラ10、定着ユニット7,搬送ローラ対12Bが上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0023】
ピックアップローラ11Aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lに供給する。ピックアップローラ11Bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lに供給する。
【0024】
レジストローラ対13は、用紙搬送路Lに沿って搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を上流側の中間転写ベルト駆動ローラ62および転写ローラ10から成るローラ対へ搬送する。
【0025】
中間転写ベルト駆動ローラ62および転写ローラ10から成るローラ対は、用紙を狭持搬送して中間転写ベルト駆動ローラ62上に担持されているトナー像を用紙の印刷面に転写するローラ対である。
【0026】
定着ユニット7は、転写ローラ10の直上方に配置されており、ヒートローラ71および加圧ローラ72から成るローラ対を有し、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧して用紙表面にトナー像を定着させる。
【0027】
筐体130は、トナー回収ユニット30と面する前面パネル131を有している。前面パネル131は、長手方向の両下端を基点にして前面側へ開閉可能に支持されている。これにより、前面パネル131を開いてトナー回収ユニット30を画像形成部110へ着脱することができる。なお、前面パネル131は、長手方向と交差する方向の側端部を基点にして前面側へ開閉可能に支持されるものとしても良い。
【0028】
図2は、前面パネル131を取り外した状態における画像形成装置100全体の構成を示す斜視図である。図3は、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40から取り外した状態を示す拡大図である。
【0029】
開閉部材(第2開閉部材)50は、導管4Aの前面側の先端に回転可能に挿嵌されており、導管4Aの開閉状態を切り替える。開閉部材(第2開閉部材)65Bは、導管65Aの前面側の先端に回転可能に挿嵌されており、導管65Aに設けられた排出口の開閉状態を切り替える。開閉部材50および開閉部材65Bは、トナー回収ユニット30を取り外した状態では各導管4A、導管65Aを閉じた状態に保持する閉位置に位置している。なお、本実施形態では、開閉部材50、65Bが各導管4A、65Aに取り付けられているが、開閉状態を切り替える必要が無い場合には開閉部材50、65Bは設けなくても良い。
【0030】
位置決めユニット40は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトクリーニングユニット65の前面側に長手方向の両下端部を基点として前面側へ回転可能に支持されている。位置決めユニット40には、係止穴40A、固定ノブ40B、固定ノブ(係合部)40C、突起部40Dが設けられている。係止穴40A、固定ノブ40B、40Cは、前面側に取り付けられるトナー回収ユニット30を係止して位置決めする部材である。
【0031】
図4は、位置決めユニット40に取り付けられたトナー回収ユニット30の前面側の構成を示す斜視図である。図5は、位置決めユニット40に取り付けられたトナー回収ユニット30の前面側の内部構成を示す斜視図である。図6は、図5に示す移動部材35周辺の構成を示す図である。図7は、位置決めユニット40に取り付けられたトナー回収ユニット30の背面側の構成を示す斜視図である。
【0032】
トナー回収ユニット30は、カバー31、操作部32、廃トナー貯留タンク33、移動部材35、開閉部材(第1開閉部材)36、37、フレーム38を備え、位置決めユニット40に着脱自在に装着されている。
【0033】
フレーム38は、操作部32、移動部材35、が前面側に取り付けられている。フレーム38の下部には、廃トナー貯留タンク33が設けられている。フレーム38は、背面側の長手方向の両端部に係合部39B、39Cが設けられている。トナー回収ユニット30を位置決めユニット40に取り付けるときには、係合部39B、39Cをそれぞれ固定ノブ40B、40Cに前面側から係止させ、トナー回収ユニット30を各導管4Aおよび導管65Aが各開閉部材37、開閉部材36に接続される所定の装着位置に装着する。これにより、各導管4Aおよび導管65Aが各開閉部材37、開閉部材36にそれぞれ接続された状態でトナー回収ユニット30を位置決めユニット40に支持させることができる。なお、本実施形態ではトナー回収ユニット30が開閉部材を複数備えているが、トナー回収ユニット30は開閉部材を少なくとも1つ備えているものであれば良い。
【0034】
開閉部材36は、係合部39C近傍の上方位置に前面側から背面側へフレーム38が形成する排出通路SPを貫通して回転可能に支持されている。開閉部材36は、導管65Aを排出通路SPに連通させる開位置と連通させない閉位置との間で回転可能に支持されている。
【0035】
開閉部材37は、開閉部材36に隣接する位置から長手方向に沿って4つ配設されている。開閉部材37は、開閉部材36と同様に排出通路SPを貫通して回転可能にフレーム38にそれぞれ支持されている。開閉部材37は、導管4Aを排出通路SPに連通させる開位置と連通させない閉位置との間で回転可能に支持されている。
【0036】
廃トナー貯留タンク33は、開閉部材36および各開閉部材37を経由して排出されるトナーを貯留する貯留部である。廃トナー貯留タンク33の長手方向の両端には突出部33Aが設けられている。位置決めユニット40の前面側の下方両端には、係止部130A、130Bがそれぞれ配置されている。係止部130A、130Bには、突出部33Aをそれぞれ係止する弧状の窪みがその上面に設けられている。これにより、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40に取り付けたときに下端部を係止部130A、130Bに支持させることができる。なお、図2では、係止部130A、130Bの図示を省略して示している。
【0037】
なお、廃トナー貯留タンク33の両端に突出部33Aを設けることにより、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40から取り外して持ち運ぶ際に作業者がトナー回収ユニット30を持ち易くするという効果を得ることもできる。
【0038】
また、本実施形態では、突出部33Aのうち一方が操作部32の直下方近傍に配置されている。このため、作業者が突出部33Aを持ちながら位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を取り付けてから直上方に配置されている操作部32をすぐに回転操作することができる。この結果、トナー回収ユニット30の取り付け作業をよりスムーズなものとすることができるという効果もある。
【0039】
本実施形態では、トナー回収ユニット30に突出部33Aが設けられている例を挙げて説明しているが、トナー回収ユニット30の仕様に応じて突出部33Aを設けないものとしても良い。また、突出部33Aをいずれ一方にだけ設けるものとしても良い。
【0040】
排出通路SPは、開閉部材36、37を廃トナー貯留タンク33へ連通させる隙間であり、上方に位置する開閉部材36および各開閉部材37周辺から下方に位置する廃トナー貯留タンク33の間にトナー回収ユニット30のほぼ全幅にわたって形成されている。これにより、開閉部材36、開閉部材37を経由して排出されるトナーを廃トナー貯留タンク33へ貯留することができる。
【0041】
操作部32は、実線で示す第1操作位置と破線で示す第2操作位置との間で回転可能にフレーム38に支持されている円筒状の操作ノブである。操作部32は、前面側から背面側へフレーム38を貫通して配置されている。操作部32の背面側先端には、X-Y面内に突出する係止部32Aが設けられている。
【0042】
係止部32Aは、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40に装着するときに係止穴40AにZ方向に挿脱可能に嵌合し、さらに操作部32が第1操作位置から第2操作位置へ回転操作されると係止穴40Aに係合する。これにより、トナー回収ユニット30の脱落を防止することができる。
【0043】
移動部材35は、開閉部材36、37の直下方に配置され、操作部32の回転移動に伴ってX方向に移動する。移動部材35は、図5に示す第1操作位置に操作部32が位置している状態では先端部(係合手段)35Aが固定ノブ40Cに係合しない係合解除位置に位置している。一方、移動部材35は図5に破線で示す第2操作位置へ操作部32が回転すると、先端部35Aが固定ノブ40Cの係合穴40Hに係合する係合位置へX方向に移動する。また、移動部材35は先端部35A寄りの位置に規制部35Dが設けられている。操作部32が第1操作位置に位置しているときに規制部35Dに対向する位置のフレーム38には排出通路SPを貫通する貫通孔38Aが設けられている。移動部材35は、長手方向上面に沿って開閉部材36、37にそれぞれ対応しギア35Gが設けられている。一方、開閉部材36、37の周縁には各ギア35Gと離合可能に噛合するギア36G、37Gがそれぞれ設けられている。
【0044】
各ギア35Gは、固定ノブ40Cに設けられた係合穴40Hに先端部35Aが係合しない状態ではギア36G、37Gに噛合しない位置にそれぞれ設けられている。移動部材35の係合解除位置から固定ノブ40C側への移動に伴い固定ノブ40Cに係合する係合位置まで先端部35Aが移動した後、さらに、移動部材35は固定ノブ40C側へ移動しギア36G、37Gに各ギア35Gが噛合する。ギア36G、ギア37Gに噛合した各ギア35Gは、開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させる。これにより、トナー回収ユニット30の位置決めユニット40への固定動作と、開閉部材36、37の開閉動作を移動部材35の移動動作に連動させて1つの動作で行なうことができる。
【0045】
このように、移動部材35の固定ノブ40C側への移動に伴い、先端部35Aが固定ノブ40Cに係合して固定された後に、開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させることができる。このため、移動部材35が開閉部材36、37に付勢されて撓んでも固定ノブ40Cに移動部材35が既に係合しているため、移動部材35と固定ノブ40Cとの係合状態を保持しつつ開閉部材36、37を開位置まで回転させることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、移動部材35は、固定ノブ40C側への移動に伴い係合穴40Hに係合した後に開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させる例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させるときの移動部材35の撓みが少なく係合穴40Hに先端部35Aをスムーズに係合させることができるのであれば、移動部材35に開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させつつ移動部材35を係合穴40Hに係合させるものとしても良い。また、開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させた後に、移動部材35を係合穴40Hに係合させるものとしても良い。
【0047】
また、各ギア35Gの係合部39C側には、所定の間隔を挟んで当接部35Bがそれぞれ設けられている。ここで、所定の間隔は、操作部32の第2操作位置から第1操作位置側への回転に伴い、各ギア35Gとギア36G、37Gが離合したときに当接部35Bが係止部36H、37Hにそれぞれ当接し、移動部材35が係合解除位置まで移動すると開閉部材36、37を閉位置へ付勢する位置に設定されている。これにより、操作部32の第2操作位置から第1操作位置への移動に伴って移動部材35を介して開閉部材36、37を開位置から閉位置まで回転させることができる。なお、本実施形態では、移動部材35はギアを介して開閉部材36、37を回転駆動する例を挙げて説明しているが、移動部材35は開閉部材36、37を摺動する摺動部を介して回転駆動するものとしても良い。
【0048】
移動部材35は、先端部35Aと離間した端部側の下端に沿ってギア35Hが設けられている。操作部32の周面には、ギア35Hと噛合するギア32Gが設けられている。これにより、操作部32の第1操作位置と第2操作位置との間での回転に伴って移動部材35をX方向に移動させることができる。なお、本実施形態では、操作部32の回転操作に伴って移動部材35をX方向に移動させる例を挙げて説明しているが、操作部32を用いずに移動部材35を直接X方向に付勢するものとしても良い。
【0049】
また、本実施形態では、操作部32と開閉部材36、37とは、移動部材35の移動方向であるX方向と交差するY方向に移動部材35を挟んでそれぞれ配置されている。これにより、操作部32の回転操作に伴い移動部材35が上方へ付勢されても開閉部材36、37によって移動部材35の上方への移動を規制しつつ移動部材35をX方向にスムーズに移動させることができる。
【0050】
本実施形態では、移動部材35の先端部35Aを固定ノブ40Cに係合して移動部材35を固定ノブ40Cに係合させているが、例えば、先端部35Aと移動部材35とを別々の部材によって構成するものとしても良い。
【0051】
カバー31は、トナー回収ユニット30の前面側の廃トナー貯留タンク33および操作部32を除く全面を密閉するように被覆している。これにより、開閉部材36、37周辺からトナーが外部に漏れるのをより確実に防止することができる。なお、本実施形態では、カバー31を用いる例を挙げて説明しているが、トナー回収ユニット30の仕様によってはカバー31を用いなくとも良い。
【0052】
図8(A)は、トナー回収ユニット30が位置決めユニット40に装着された状態で操作部32が第1操作位置に位置しているときの開閉部材37および開閉部材50周辺の構成を示す図である。図8(B)は、トナー回収ユニット30が位置決めユニット40に装着された状態で操作部32が第2操作位置に位置しているときの開閉部材37および開閉部材50周辺の構成を示す図である。図8(A)、(B)では、移動部材35の図示を省略している。図9(A)は、A-A断面における断面を示す図である。図9(B)は、B-B断面における断面を示す図である。ここで、開閉部材36および開閉部材65B周辺の構成は、開閉部材37および開閉部材50周辺の構成とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0053】
導管4Aの周面下部には、排出口4Eが設けられている。開閉部材37は、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態で排出口4Eと同軸上に位置する周面に1点鎖線で示す開口部37Aが設けられている。
【0054】
開閉部材50は、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態で排出口4Eと同軸上の周面に図9(A)に破線で示す開口部50Aが設けられるとともに、円状を成す前面部分に直方体状を成す突出部50Bが設けられている。一方、開閉部材37の突出部50Bに面する位置には突出部50Bに嵌合する嵌合部37Bが設けられている。嵌合部37Bおよび突出部50Bは、開閉部材37および開閉部材50の開閉位置が揃っている状態でのみZ方向に挿脱可能に形成されている。これにより、開閉部材37の開閉状態が開閉部材50の開閉状態と一致している場合にのみ、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40に装着することができる。また、開閉部材50の開閉動作を開閉部材37の開閉動作に連動させることができる。
【0055】
図8(A)に示すように、開閉部材37、50が突出部50Bの長手方向がY方向と平行を成す閉位置では、開口部37A、50Aは排出口4Eおよび排出通路SPに面しない固定ノブ40B側に位置している。これにより、排出口4Eおよび排出通路SPをそれぞれ遮蔽し、導管4Aを排出通路SPに連通させない状態に保持することができる。一方、図8(B)に示すように、開閉部材37、50は、突出部50Bの長手方向がX方向と平行を成す開位置では開口部37A、50Aは排出口4Eに面する下方へ回転する。これにより、排出口4Eを開放し、導管4Aを排出通路SPに連通させることができる。
【0056】
図10(A)は、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30が取り付けられていない状態で、操作部32が第1操作位置に位置して場合における規制部35D周辺のX-Z面内における構成を示す図である。図10(B)は、図10(A)に示す状態から位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を取り付けた状態を示す図である。
【0057】
規制部35Dは、フレーム38側へ突き出して移動部材35に設けられた板状の部材である。図10(A)に示すように、規制部35Dは操作部32が第1操作位置に位置している状態ではフレーム38に設けられた係止部38Bに係止されている。このため、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着していない状態で移動部材35がX方向に移動するのを防止することができる。これにより、位置決めユニット40からトナー回収ユニット30を取り外しているときに、開閉部材36、37をそれぞれ閉位置に保持することができる。この結果、位置決めユニット40からトナー回収ユニット30を取り外しているときに、開閉部材36、開閉部材37がそれぞれ閉位置から開位置に回転して廃トナー貯留タンク33に貯留されているトナーが零れるのを防止することができる。
【0058】
一方、規制部35Dは位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態では、貫通孔38Aを前面側へ突き出す位置決めユニット40の突起部40Dに係止部38Bと係合しない位置まで前面側へ付勢される。これにより、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を取り付けるとともに、係止部38Bと規制部35Dとの係合を解除することができる。このため、トナー回収ユニット30の位置決めユニット40への装着動作に伴って、移動部材35とフレーム38との係合を解除することができる。
【0059】
ここで、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態で、操作部32を回転操作した際のトナー回収ユニット30の固定動作について説明すると以下の通りである。
【0060】
位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態で、操作部32を第1操作位置から第2操作位置へ回転させると係止穴40Aに係止部32Aが係合されるとともに固定ノブ40Cに先端部35Aが係合される。これにより、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40に固定することができる。さらに、操作部32を第2操作位置から第1操作位置へ回転させると、係止部32Aと係止穴40Aとの間の係合が解除されるとともに固定ノブ40Cと先端部35Aとの間の係合が解除される。これにより、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40から取り外すことができる。
【0061】
この結果、操作部32が第2操作位置に回転した状態でトナー回収ユニット30が位置決めユニット40から取り外されるのを防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、移動部材35に規制部35Dを設けているが、トナー回収ユニット30が位置決めユニット40に装着されていない状態で移動部材35が移動しても良いのであれば規制部35Dを設けなくても良い。
【0063】
図11は、側面視における前面パネル131を開放した状態の画像形成装置100の構成を示す概略図である。図12は、前面パネル131を閉じた状態における当接部131Aおよび操作部32の位置関係を示す図である。
【0064】
前面パネル131は、閉じたときに操作部32に面する位置に当接部131Aが設けられている。当接部131Aは、図12に実線で示す第2操作位置に操作部32が位置している場合には操作部32の窪み部分と対向し、且つ、操作部32の窪み部分と当接しない長さに形成されている。これに対し、図12に破線で示すように、操作部32が第2操作位置以外の位置に回転している場合には、当接部131Aは操作部32の径方向に沿って直線状に形成されたつまみ部分と当接する。このため、操作部32を第2操作位置へ回転させていない状態で前面パネル131を閉じることができない。これにより、操作部32の第2操作位置への回転操作を行なわずに前面パネル131が閉じられるのを防止することができる。この結果、開閉部材36、37を開位置へ回転させることなく前面パネル131が閉じられるのを防止することができる。なお、本実施形態では、前面パネル131に当接部131Aを設ける例を挙げて説明しているが、前面パネル131の開閉動作を操作部32の開閉状態によって規制する必要がない場合には当接部131Aは設けなくとも良い。
【0065】
図1〜12において、断面表記は適宜省略して示している。
【0066】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の正面視における全体の構成を示す図である。
【図2】前面パネルを取り除いた状態における画像形成装置全体の構成を示す斜視図である。
【図3】トナー回収ユニットを位置決めユニットから取り外した状態を示す図である。
【図4】トナー回収ユニット前面側の構成を示す斜視図である。
【図5】トナー回収ユニット前面側の内部構成を示す斜視図である。
【図6】操作部が第1操作位置に位置しているときの移動部材周辺の構成を示す図である。
【図7】トナー回収ユニット背面側の構成を示す斜視図である。
【図8】(A)は、第1操作位置に操作部が回転している状態の開閉部材周辺の構成を示す図である。(B)は、第2操作位置に操作部が回転している状態の開閉部材周辺の構成を示す図である。
【図9】(A)は、A-A断面における構成を示す図である。(B)は、B-B断面における構成を示す図である。
【図10】(A)は、位置決めユニットにトナー回収ユニットが取り付けられていない状態で操作部が第1操作位置に位置している場合における規制部35D周辺の構成を示す図である。(B)は、(A)に示す状態から位置決めユニットにトナー回収ユニットを取り付けた状態を示す図である。
【図11】前面パネルを開放した状態における画像形成装置の側面視における構成を示す図である。
【図12】正面視において前面パネルを閉じたときの操作部と当接部の位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
4A 導管
4E 排出口
30 トナー回収ユニット
33 廃トナー貯留タンク
35 移動部材(移動手段)
35A 先端部(係合手段)
36 開閉部材(第1開閉部材)
37 開閉部材(第1開閉部材)
38 フレーム
40C 固定ノブ(係合部)
65A 導管
100 画像形成装置(本体装置)
SP 排出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを排出する排出口およびトナー回収ユニットに係合する係合部が設けられた本体装置に着脱自在に装着された前記トナー回収ユニットであって、
トナーを貯留する貯留部と、
前記排出口を前記貯留部に接続する排出通路を形成するフレーム部材と、
前記排出口を前記排出通路に連通させる開位置と、前記排出口を前記排出通路に連通させない閉位置との間で変位する第1開閉部材と、
前記係合部に係合する係合位置と、前記係合部に係合しない係合解除位置との間で移動可能に支持された係合手段と、
その移動に伴って、前記係合手段を前記係合解除位置から前記係合位置へ付勢するとともに前記第1開閉部材を前記閉位置から前記開位置へ変位させる移動手段と、
を備えたトナー回収ユニット。
【請求項2】
前記移動手段は、前記係合手段を前記係合位置へ付勢した後に前記第1開閉部材を前記閉位置から前記開位置へ変位させる、
請求項1に記載のトナー回収ユニット。
【請求項3】
前記本体装置に装着されていないときに前記フレーム部材に係合して前記移動手段の移動を規制し、前記本体装置に装着されるときに前記本体装置に付勢され前記フレーム部材との係合が解除される規制部をさらに備えた、
請求項1または2に記載のトナー回収ユニット。
【請求項4】
前記貯留部は、長手方向の両端に突出部がそれぞれ設けられている、
請求項1から3のいずれかに記載のトナー回収ユニット。
【請求項5】
前記移動手段に移動力を付与して移動させる操作部をさらに備え、
前記操作部は、前記移動手段が前記係合手段を前記係合解除位置へ付勢する第1操作位置と、前記移動手段が前記係合手段を前記係合位置へ付勢する第2操作位置との間で変位可能に支持されている、
請求項1から4のいずれかに記載のトナー回収ユニット。
【請求項6】
トナーを用いて画像形成処理を行ない画像形成処理後に残留したトナーを排出する排出口が設けられた画像形成装置であって、
請求項1から5のいずれかに記載のトナー回収ユニットと、
前記排出口が設けられたトナーを搬送する導管と、
前記排出口を開く開位置と前記排出口を閉める閉位置との間で変位可能に前記導管に挿嵌され且つ前記トナー回収ユニットを装着したときに互いの開閉位置が一致している場合にのみ前記第1開閉部材と嵌合可能に形成され前記第1開閉部材に連動して変位する第2開閉部材と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
トナーを用いて画像形成処理を行ない画像形成処理後に残留したトナーを排出する排出口が設けられた画像形成装置であって、
請求項5に記載のトナー回収ユニットと、
前記トナー回収ユニットが装着されているときに前記トナー回収ユニットを被覆する遮蔽位置と前記トナー回収ユニットを被覆しない開放位置との間で変位可能に支持され、前記遮蔽位置へ変位するときに前記操作部が前記第2操作位置に位置している場合にのみ前記操作部と当接しない当接部が設けられた外装部材と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−32656(P2010−32656A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192937(P2008−192937)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】