説明

トナー残量検知センサ及びそれを備えたトナー収容容器

【課題】トナーの種類に関係なくトナー残量を高精度に検知することができ、センサ面や検知窓の清掃機構も不要で組み立て性や耐久性にも優れたトナー残量検知センサ及びそれを備えたトナー収容容器を提供する。
【解決手段】トナー残量検知センサ35は、ゴム部材40と、アクチュエータ41と、透過型センサ42と、上記の各部材が装着されるホルダ部材43とで構成される。ゴム部材40にトナー圧がかかると、ゴム部材40のトナー検知部40aがアクチュエータ41の圧検知部41aを持ち上げることにより透過型センサ42の光路を開放してトナーを検知する。トナー圧の減少に伴いアクチュエータ41はゴム部材40側に揺動し、トナー圧が無い状態ではアーム部41aから突出するリブ41dがホルダ部材43の開口43aの周縁部と当接するためトナー検知部40aと圧検知部41bとが接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に備えられる現像装置、中間ホッパー等のトナー収容容器に関し、特にトナー収容容器内のトナー残量を検知するトナー残量検知センサにするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置においては、画像形成装置の現像部(現像装置)にトナー補給口からトナーを補給するトナーコンテナ等のトナー補給装置が備えられている。そして、トナー補給装置から現像装置にトナーを安定して補給するためには、トナー補給装置内のトナー残量を精確に検知することが重要である。トナー残量を検知するセンサとしては、圧電センサ、透磁率センサ、光学式センサ等が用いられる。
【0003】
圧電センサは、検知面に圧力が加わったことを電気信号として取り出すもので、小型、軽量、高感度という特長を有する。また、検知精度を維持するためにはセンサ面を十分に清掃する必要がある。例えば特許文献1、2には、清掃部材を用いて圧電センサのセンサ面を清掃する技術が開示されている。
【0004】
透磁率センサは、現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を出力するものである。この透磁率センサをトナー補給装置内のトナー残量の検知に用いる場合、磁性一成分トナーには使用可能であるが、非磁性一成分トナーや二成分現像剤に添加する非磁性トナーには使用することができない。
【0005】
光学式センサには、反射型光学式センサと透過型光学式センサがある。例えば特許文献3には、反射型光学式センサの発光部からの光を複数の現像装置毎に異なる光に変換して受光部に与えることにより、1つのトナー残量センサを用いて各色のトナー残量を検知可能としたカラー画像形成装置が開示されている。また、特許文献4には、透過型光学式センサの検知窓へのトナー付着を防止する清掃部材を設けて検知精度を高める方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献5には、トナーの回収によって回動する検知フィラと、検知フィラの回動によって光路を開放または遮断される検知センサ(フォトインタラプタ)と、検知フィラの動作空間へのトナー漏れを防止するゴムシートとを有する回収トナー量検知センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−250301号公報
【特許文献2】実公平1−23148公報
【特許文献3】特開2006−284747号公報
【特許文献4】特開2008−102478号公報
【特許文献5】特開平2−96195号公報(第19図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、圧電センサは高価である上、特許文献1、2のようにセンサ面の清掃機構を設けるとトナー補給装置の構成が複雑化し、コストアップにも繋がってしまう。
【0009】
また、特許文献3、4のような反射型光学式センサは光源(発光部)に対する反射板の傾きが重要であり、発光方向と反射板の取付位置の精度が要求される。透過型光学式センサにおいても発光側センサと受光側センサが別体となっている場合は、各センサの位置関係が重要となる。従って、組み立て作業が煩雑化し作業性が低下するとともに、部品の公差によってセンサ感度にばらつきが生じるおそれもある。さらに、特許文献4のように検知窓の清掃機構を設けた場合は組み立て作業性の低下や部品点数の増加によるコストアップを招いてしまう。
【0010】
一方、特許文献5の構成では、トナーの圧力により残量を検知するため検知面の清掃は不要となるが、クリーニングケース(トナー回収容器)側にゴムシート及び検知フィラが配置され、装置本体側に検知センサが配置されるため、クリーニングケースの取り付け状態によっては検知フィラと検知センサの位置関係が変化し、センサ感度にばらつきが生じるおそれがあった。また、装置本体から着脱しないトナー収容容器に適用した場合でも、検知フィラと検知センサの取付位置の精度が要求されるため、組み立て作業が煩雑化し作業性が低下するという問題点があった。
【0011】
また、特許文献5に記載されているゴムシートは断面三角形状であり、且つ非対称な形状であるため、トナーの圧力が加わる方向によってゴムシートの変形度合いが変化し、センサ感度が低下する可能性がある。クリーニングケース(トナー回収容器)の満杯を検知する目的であれば高い検知精度は要求されないが、現像装置内のトナー残量やトナーを補給する中間ポッパー内のトナー残量は画像品質に影響を及ぼすため、トナー残量を精度良く検知する必要があった。さらに、検知精度を高めるために変形し易い薄膜状のゴムシートを用いた場合、検知フィラがゴムシートを押圧してゴムシートが破損するおそれもあった。
【0012】
なお、ここでは現像装置にトナーを補給するトナー補給装置のトナー残量検知を例に挙げて説明したが、現像装置内のトナー若しくは現像剤の残量検知についても同様の問題点があった。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑み、トナーの種類に関係なくトナー残量を高精度に検知することができ、センサ面や検知窓の清掃機構も不要で組み立て性や耐久性にも優れたトナー残量検知センサ及びそれを備えたトナー収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、トナーを貯留するトナー収容容器の内側に面して配置され、前記トナー収容容器内のトナーの圧力変化により弾性変形する薄膜状のゴム部材と、該ゴム部材を挟んで前記トナー収容容器の外側に配置され、前記ゴム部材の弾性変形に応じて往復移動するアクチュエータと、発光部と受光部とから成る光検知部を有し、前記アクチュエータの往復移動により前記光検知部の光路が開放若しくは遮断されるように配置される透過型センサと、前記ゴム部材と、前記アクチュエータと、前記透過型センサとを一体に保持するホルダ部材と、を備え、前記アクチュエータは、前記ゴム部材に前記トナー収容容器内のトナーの圧力が作用するときは前記透過型センサが前記トナー収容容器内のトナー残量が所定量以上であると検知する第1の位置に移動し、前記ゴム部材に前記トナー収容容器内のトナーの圧力が作用しないときは前記透過型センサが前記トナー収容容器内のトナー残量が所定量未満であると検知する第2の位置に移動するように前記ホルダ部材に支持されており、前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記アクチュエータの一部が前記ホルダ部材に当接することにより前記アクチュエータと前記ゴム部材との間に隙間が形成されるトナー残量検知センサである。
【0015】
また本発明は、上記構成のトナー残量検知センサにおいて、前記ゴム部材は、前記トナー収容容器の内側を凸面とする球面状且つ薄膜状のトナー検知部と、前記ホルダ部材の開口縁に固定されるフランジ状且つ前記トナー検知部よりも肉厚のホルダ貼付部とを有し、前記トナー検知部の凸面側には前記ホルダ貼付部との境界に環状の段差が形成されることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成のトナー残量検知センサにおいて、前記アクチュエータは、自重により前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成のトナー残量検知センサにおいて、前記アクチュエータを前記第2の位置方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成のトナー残量検知センサが搭載されたトナー収容容器である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の構成によれば、ゴム部材、アクチュエータ、及び透過型センサがホルダ部材により一体に保持されてユニット化されているため、ホルダ部材に装着される各部材の位置関係を容易に調整することができる。従って、トナー残量検知センサの組み立て時やメンテナンス時の作業性が向上する。また、アクチュエータが第2の位置にあるとき、ゴム部材とアクチュエータとの間には隙間が形成されるため、アクチュエータが薄膜のゴム部材を突き破るおそれがなく、トナー残量検知センサの長寿命化にも有利となる。
【0020】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のトナー残量検知センサにおいて、ゴム部材に球面状且つ薄膜状のトナー検知部を形成することにより、トナーの圧力が弱い場合でも変形し易く、トナーの圧力が加わる方向によって変形の度合いが変化しないためセンサの検知感度が安定する。また、ゴム部材にフランジ状且つトナー検知部よりも肉厚のホルダ貼付部を設けることにより、ゴム部材をホルダ部材に対し強固に且つ安定して固定できる。また、トナー検知部の凸面側とホルダ貼付部との境界に段差を形成することで、トナーの圧力によるトナー検知部の反転が容易となって検知感度がより高くなる。
【0021】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成のトナー残量検知センサにおいて、アクチュエータが自重により第1の位置から第2の位置に移動することにより、アクチュエータが第1の位置へ移動する際に抗力として作用するのが重力のみとなるため、トナーの圧力を一層精度良く検知することができる。
【0022】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1又は第2の構成のトナー残量検知センサにおいて、アクチュエータを第2の位置方向に付勢する付勢手段を設けることにより、アクチュエータを第2の位置に確実に戻して誤検知を防止することができる。
【0023】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成のトナー残量検知センサを搭載することにより、簡易且つ低コストな構成で内部のトナー残量を精度良く検知できるトナー収容容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る中間ホッパーが搭載された画像形成装置の概略構成を示す図
【図2】中間ホッパーからトナーが補給される現像装置の概略構成を示す側面断面図
【図3】トナーコンテナ及び中間ホッパーの側面断面図
【図4】本発明の一実施形態に係るトナー残量検知センサをセンサ室側から見た斜視図
【図5】トナー残量検知センサの側面断面図
【図6】トナー残量検知センサに用いられるゴム部材を凸面側から見た平面図
【図7】トナー残量検知センサに用いられるゴム部材の側面断面図
【図8】図7における破線円S内の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るトナー補給装置を搭載した画像形成装置の内部構成を示す概略図である。画像形成装置(ここではデジタル複合機)100では、コピー動作を行う場合、複合機本体2内の画像形成部3において、帯電ユニット4により図中のA方向に回転する小径の感光体ドラム5が一様に帯電され、画像読取部6で読み取られた原稿画像データに基づく露光装置(レーザ走査ユニット等)7からのレーザビームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像装置8により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。この現像装置8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から中間ホッパー30を介して行われる。
【0026】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、用紙が給紙機構10から用紙搬送路11及びレジストローラ対12を経由して画像形成部3に搬送され、この画像形成部3において転写ローラ13により感光体ドラム5の表面におけるトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム5から分離され、定着ローラ対14aを有する定着部14に搬送されてトナー像が定着される。定着部14を通過した用紙は、複数方向に分岐した用紙搬送路15に送られて、用紙搬送路15の分岐点に設けられた複数の経路切換ガイドを有する経路切換機構20a、20bによって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、用紙搬送路16に送られて両面コピーされた後に)、第1排出トレイ17a、第2排出トレイ17bから成る用紙排出部に排出される。
【0027】
また、図示しないが、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置がクリーニング装置18と帯電ユニット4との間に設けられている。さらに、給紙機構10は、複合機本体2に着脱自在に取り付けられ、用紙を収納する複数の給紙カセット10a、10bと、その上方に設けられる手差し給紙機構(バイパスユニット)10cとを備えてなり、これらは用紙搬送路11によって感光体ドラム5及び現像装置8等からなる画像形成部3に繋がっている。画像読取部6の上端にはコンタクトガラス上に載置される原稿を押さえて保持する開閉可能なプラテン(原稿押さえ)21が設けられている。
【0028】
用紙搬送路15は、具体的には、定着ローラ対14aの下流側において、まず左右二股に分岐し、一方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は第1排出トレイ17aに連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は搬送ローラ対19を経由して上下に分岐し、一方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は第2排出トレイ17bに連通するように構成されている。これに対し、他方の経路(図1では下方向に分岐する経路)は用紙搬送路16に連通するように構成されている。
【0029】
次に、現像装置について図2に基づいて説明する。図2は画像形成装置100に用いられる現像装置の概略構成を示す断面側面図である。現像装置8は、磁性一成分トナーを収容する現像容器22と、このトナーを攪拌する攪拌スクリュー23、24と、現像ローラ27、及び規制部材28とを備えている。
【0030】
現像容器22の上部には、トナー補給口22aが設けられる。現像容器22内のトナーが消費され少なくなると、新たなトナーが中間ホッパー30(図1参照)からトナー補給口22aを介して現像容器22内に補給される。
【0031】
現像容器22は、仕切壁22bによって第1攪拌室22cと第2攪拌室22dに区画されており、第1攪拌室22cには攪拌スクリュー23が、第2攪拌室22dには攪拌スクリュー24がそれぞれ回転可能に配設されている。仕切壁22bの長手方向(紙面表裏方向)の両端部には現像剤通過路(図示せず)が形成されており、攪拌スクリュー23、24は、現像容器22内のトナーを攪拌、循環させて、現像ローラ27に供給する。
【0032】
現像ローラ27は、固定磁石体25と現像スリーブ26とを備える。現像スリーブ26は、円筒状の非磁性材からなり、攪拌スクリュー24に隣接する位置で現像容器22に回転可能に支持される。固定磁石体25は、現像スリーブ26内に固設される永久磁石からなり、現像スリーブ26に向けて磁界を発生する。また、現像ローラ27は、現像容器22の開口から露出し、像担持体である感光体ドラム5に一定の間隔を隔てて対向している。この対向領域は、現像スリーブ26上に担持されているトナーを感光体ドラム5に向けて供給するための現像領域Dとなっている。さらに、現像スリーブ26には直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印加する現像バイアス電源29が接続されている。
【0033】
規制部材28は、現像スリーブ26表面に担持されるトナーを所定の層厚に規制するものであり、現像スリーブ26の略上方(現像スリーブ26の回転方向に対し現像領域Dの上流側)で現像スリーブ26表面との間に所定間隔を隔てて、現像容器22に取り付けられる。
【0034】
現像スリーブ26内の固定磁石体25の磁力により、攪拌部材24から供給されたトナーが現像スリーブ26表面に担持される。担持されたトナーは、規制部材28により所定の層厚に規制され、現像スリーブ26の回転(図2の矢印方向の回転)により、現像領域Dに向けて搬送される。現像スリーブ26には現像バイアス電源29から現像バイアスが印加されることにより、現像領域Dにおいて現像スリーブ26と感光体ドラム5との間に電位差が発生し、現像スリーブ26上のトナーは感光体ドラム5に供給され、感光体ドラム5上の静電潜像はトナー像に現像される。
【0035】
次に、中間ホッパーについて図3に基づいて説明する。図3は現像装置8にトナーを補給する中間ホッパーとトナーコンテナの概略構成を示す側面断面図である。
【0036】
トナーコンテナ9は、トナーを中間ホッパー30に供給する補給口90aが形成された未使用のトナーを貯留するコンテナ容器90と、補給口90aの開閉状態を切り換えるシャッター部材91と、コンテナスクリュー92と、攪拌パドル93とを備えている。また、トナーコンテナ9は中間ホッパー30に対して着脱自在に取り付けられる。
【0037】
コンテナスクリュー92は、回転軸の外周面に一定のピッチで螺旋羽が形成されたものであり、コンテナ容器90内の底部に沿って配置され、軸方向の一端部に設けられた補給口90aに対向している。コンテナスクリュー92が軸周りに回転すると、攪拌されたトナーが補給口90aに向かって搬送される。そして、補給口90aを塞いでいるシャッター部材91が補給口90aを開放すると、コンテナ容器90内のトナーは補給口90aを介して中間ホッパー30に供給される。トナーを中間ホッパー30に供給する補給口90aが形成されている。
【0038】
攪拌パドル93は、回転軸と、回転軸から径方向の両側に延び、且つ軸方向に所定の幅を有するパドル状の攪拌羽根とで構成され、攪拌羽根の回転によってコンテナ容器90内のトナーを攪拌する。
【0039】
トナーコンテナ9から中間ホッパー30にトナーが供給され、コンテナ容器90内のトナーを使い切ると、そのトナーコンテナ9は中間ホッパー30から取り外され、新たなトナーコンテナ9が中間ホッパー30に装着される。
【0040】
中間ホッパー30は、トナーを貯留するホッパー容器31を有し、ホッパー容器31にはトナーコンテナ9から供給されるトナーを受け入れる受け入れ口31aと、ホッパー容器31内のトナーを現像装置8に送出する送出口31bとが形成されている。また、中間ホッパー30は、送出口31bの開閉状態を切り換えるシャッター部材32と、搬送部材33と、第1及び第2攪拌部材34a、34bと、トナー残量検知センサ35とを備えている。
【0041】
受け入れ口31aは、ホッパー容器31の上部で、トナーコンテナ9の補給口90aに対向する位置に形成されている。送出口31bは、ホッパー容器31の底部で軸方向の一端部に形成され、現像装置8のトナー補給口22a(図2参照)に対向している。
【0042】
搬送部材33は、回転軸の外周面に一定のピッチで螺旋羽が形成されたものであり、ホッパー容器31内の底部に沿って配置され、軸方向の一端部に設けられた送出口31bに対向している。搬送部材33が軸周りに回転すると、攪拌されたトナーは送出口31bに向かって搬送される。
【0043】
第1及び第2攪拌部材34a、34bは、ホッパー容器31内に回転自在に支持された回転軸と、回転軸から径方向に延び、且つ軸方向に所定の幅を有する攪拌羽根とで構成される。第1及び第2攪拌部材34a、34bの攪拌羽根の先端部は、それぞれ回転方向に屈曲している。
【0044】
第2攪拌部材34bは、ホッパー容器31内で受け入れ口31aの略下方に配設されており、受け入れ口31aから第2攪拌部材34bにトナーが落下することになる。第2攪拌部材34bは、図3の反時計回りに回転してホッパー容器31内のトナーを攪拌する。
【0045】
第2攪拌部材34bの攪拌羽根の外径は第1攪拌部材34aと比較して大きく、第2攪拌部材34bが回転したときに攪拌羽根が通過する領域の回転軸と直交する方向の面積S2(図3の破線内の範囲)も比較的に大きくなり、ホッパー容器31内の多量のトナーが攪拌されることになる。そして、第2攪拌部材34bは攪拌したトナーを第1攪拌部材34a側に搬送する。
【0046】
第1攪拌部材34aは、第2攪拌部材34bの右下側において第2攪拌部材34bに対向配置され、更に、搬送部材33の略上方において搬送部材33に対向配置されている。第1攪拌部材34aは、図3の時計回りに回転して第2攪拌部材34bから搬送されたトナーを攪拌する。
【0047】
第1攪拌部材34aの攪拌羽根の外径は第2攪拌部材34bと比較して小さく、第1攪拌部材34aが回転したときに羽根部分が通過する領域の回転軸と直交する方向の面積S1(図3の破線内の範囲)も面積S2と比較して小さくなる。具体的には、現像装置8に1回当たり補給するトナー量が攪拌されることになる。そして、第1攪拌部材34aは攪拌したトナーを搬送部材33側に搬送する。第1攪拌部材34aが回転したときに攪拌羽根が通過する領域の面積S1は、第2攪拌部材34bが回転したときに羽根部分が通過する領域の面積S2に対して1/3〜1/5である。
【0048】
トナー残量検知センサ35はホッパー容器31内のトナー量を検知するものであり、この検知結果に応じて、トナーコンテナ9から中間ホッパー30にトナーが供給される。トナー残量検知センサ35はセンサ室31cに収納される。センサ室31cはホッパー容器31の、第1攪拌部材34aの上側と第2攪拌部材34bの右側との空間に形成され、ホッパー容器31から突出することなく配置される。なお、トナー残量検知センサ35の詳細な構成については後述する。
【0049】
搬送部材33と第1及び第2攪拌部材34a、34bは、図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動される。駆動源が回転駆動すると、第1攪拌部材34aと搬送部材33は単位時間当たりの回転数が同じになるように連動されている。なお、搬送部材33は、第1攪拌部材34aより単位時間当たり大きな回転数で回転するように、第1攪拌部材34aに連動して駆動させてもよい。
【0050】
一方、第1攪拌部材34aと第2攪拌部材34bとの間には、図示しない減速歯車列が噛合し、第2攪拌部材34bが単位時間当たり所定の回転数で回転すると、第1攪拌部材34aは第2攪拌部材34bより単位時間当たり大きい回転数で回転する。第1攪拌部材34aの単位時間当たりの回転数は第2攪拌部材34bの単位時間当たりの回転数に対して3〜5倍である。
【0051】
従って、駆動源からの駆動力によって、第2攪拌部材34bは第1攪拌部材34aよりも低速で回転し、ホッパー容器31内の多量のトナーが緩やかに攪拌される。一方、第1攪拌部材34aは第2攪拌部材34bよりも高速で回転し、現像装置8へ補給するのに必要な量のトナーが迅速に攪拌される。第1攪拌部材34aによって攪拌されたトナーは搬送部材33側に搬送される。
【0052】
そして、搬送部材33が回転すると、攪拌されたトナーが送出口31bに向かって搬送される。そして、送出口31bを塞いでいるシャッター部材32が送出口31bを開放すると、ホッパー容器31内のトナーは送出口31bを介してトナー補給口22a(図2参照)から現像装置8に補給される。
【0053】
図4は、図3におけるトナー残量検知センサ35をセンサ室31c側から見た斜視図であり、図5は、トナー残量検知センサ35の側面断面図である。トナー残量検知センサ35は、ホッパー容器31とセンサ室31cとを仕切るゴム部材40と、ゴム部材40のセンサ室31c側に配置されたアクチュエータ41と、アクチュエータ41の下方に配置された透過型センサ42と、上記の各部材が装着されるホルダ部材43とで構成される。
【0054】
ゴム部材40は、ホルダ部材43の中央部に形成された円形の開口43aにホッパー容器31の内側(図5の左側)が凸面となるように固定されており、センサ室31cへのトナーの進入を防止するとともに、ホッパー容器31内のトナーの圧力(以下、トナー圧という)により弾性変形してアクチュエータ41を押圧する。
【0055】
図6は、ゴム部材40を凸面側から見た平面図、図7は、ゴム部材40の側面断面図、図8は、図7における破線円S内の部分拡大図である。図6〜図8に示すように、ゴム部材40は、球面状のトナー検知部40aと、トナー検知部40aの周囲に一体形成されたフランジ状のホルダ貼付部40bとで構成されている。また、ホッパー容器31の内側に面するゴム部材40の凸面側には、トナー検知部40aとホルダ貼付部40bとの境界に環状の段差40cが形成されている。
【0056】
トナー検知部40aは弱いトナー圧でも変形し易いように薄膜に形成され、トナー圧が加わる方向によって変形の度合いが変化しないように球面状に形成されている。ホルダ貼付部40bはホルダ部材43に強固に且つ安定して固定できるようにトナー検知部40aに比べて厚肉となっている。トナー検知部40aの厚みは0.1〜0.2mm、ホルダ貼付部40bの厚みは0.5〜2mm程度が適当である。また、トナー検知部40aとホルダ貼付部40bとの境界に段差40cを形成することで、トナー検知部40aの周縁部の厚肉化を防止している。従って、トナー圧によるトナー検知部40aの反転が容易となりトナー圧の検知感度が高くなる。
【0057】
アクチュエータ41は、ホルダ部材43の支点43bに揺動自在に支持されるアーム部41aと、ゴム部材40のトナー検知部40aに凹面側から近接する圧検知部41bと、透過型センサ42のON及びOFFの切り換えを行う遮光板41cと、アーム部41aから水平方向に突出するリブ41dとを有する。また、アーム部41aの上端部には、アクチュエータ41を矢印A′方向に付勢するバネ部材44が配置されている。バネ部材44は、図に示すようなコイルバネの他、板バネやねじりコイルバネ等を使用することもできる。バネ部材44の付勢力は、トナー圧によりアクチュエータ41が第1の位置へ移動できる程度の弱い付勢力としておく必要がある。
【0058】
透過型センサ42は、平面視コ字型の対向する内面に発光部及び受光部から成る光検知部42aが設けられたPI(フォトインタラプタ)センサである。この光検知部42aをアクチュエータ41の遮光板41cが通過して光路を遮断若しくは開放することにより、光検知部42aの受光信号レベルがLOW又はHIGHに切り換わり、ホッパー容器31内のトナー圧、即ちトナー残量を検知可能となっている。
【0059】
次に、図4及び図5を参照しながらトナー残量検知センサ35の動作について説明する。ホッパー容器31内のトナーが消費され、トナーレベルがゴム部材40よりも下にある場合は、ゴム部材40(トナー検知部40a)にトナー圧が掛からないため、図5に示すようにアクチュエータ41はバネ部材44の付勢力によりアーム部41aを垂直下向きにして静止している。この状態では、遮光板41cが光検知部42aに配置されており、発光部から受光部への光路を遮光することで受光信号がLOWレベル(センサOFF状態)となっている。
【0060】
トナーコンテナ9からホッパー容器31内にトナーが補給されると、トナー圧によりゴム部材40のトナー検知部40aが弾性変形し、センサ室31c側が凸となるように反転する。その結果、トナー検知部40aに近接して配置されているアクチュエータ41の圧検知部41bが押圧され、アクチュエータ41はバネ部材44の付勢力に抗して支点43bを中心に矢印A方向に揺動する。
【0061】
アクチュエータ41の揺動に伴い、透過型センサ42の光検知部42aを遮光していた遮光板41cが上方に移動して光路を開放する(第1の位置)。このとき透過型センサ42の受光信号がLOWからHIGHレベル(センサON状態)に切り換わる。そして、透過型センサ42から制御部(図示せず)に検知信号が送信され、制御部は中間ホッパー30内にトナーが所定量以上充填されていると判断する。
【0062】
この状態から再びホッパー容器31内のトナーが消費されていくと、アクチュエータ41はトナー圧の減少に伴いバネ部材44の付勢力により徐々に矢印A′方向に揺動する。そして、ホッパー容器31内のトナーレベルがトナー検知部40aを下回ったとき、図5に示すように遮光板41cが光検知部42aを遮光する(第2の位置)。このとき透過型センサ42の受光信号がHIGHからLOWレベル(センサOFF状態)に切り換わり、透過型センサ42から制御部(図示せず)に検知信号が送信され、制御部はトナー残量が所定量未満になったものと判断する。また、トナー検知部40aは復元力によりホッパー容器31側が凸の状態に戻る。
【0063】
その後、制御部からの制御信号によりトナーコンテナ9から中間ホッパー30へトナー補給動作を行い、透過型センサ42がON状態に切り換わらない場合はトナーコンテナ9が空であると判断してコンテナの交換を促す。
【0064】
上記の構成によれば、従来の圧電センサに比べて簡易且つ低コストな構成でホッパー容器31内のトナー残量を精確に検知することができる。また、トナー圧を利用して残量を検知するため、トナーの種類や色に関係なく検知が可能となり、トナー検知部40aにトナーが付着しても検知精度に影響を及ぼさないため清掃機構も不要となる。
【0065】
また、ゴム部材40、アクチュエータ41、及び透過型センサ42がホルダ部材43により一体に保持されてユニット化されているため、ホルダ部材43に装着される各部材の位置関係を容易に調整することができる。従って、トナー残量検知センサ35の組み立て時やメンテナンス時の作業性が向上する。また、アクチュエータ41を矢印A′方向に付勢するバネ部材44を設けることにより、トナー圧が減少したときアクチュエータ41が確実に第2の位置に移動して透過型センサ42の光路を遮断する。従って、トナー残量が減少したときアクチュエータ41が第2の位置に移動せず、トナー残量有りと判断する誤検知を防止することができる。
【0066】
そして、バネ部材44の付勢力によりアクチュエータ41が第2の位置に移動したとき、アーム部41aから突出するリブ41dがホルダ部材43の開口43aの周縁部と当接するため、アクチュエータ41はそれ以上矢印A′方向に揺動しない。このとき、ゴム部材40のトナー検知部40aとアクチュエータ41の圧検知部41bとの間には隙間が形成されており、トナー検知部40aと圧検知部41bとが接触しない構成となっている。従って、圧検知部41bが薄膜のトナー検知部40aを突き破るおそれはない。
【0067】
なお、ここではトナー圧の減少に伴いアクチュエータ41がバネ部材44の付勢力により第2の位置に移動する構成としたが、アクチュエータ41が自重により第2の位置に戻る構成とすることもできる。この場合、アクチュエータ41が第1の位置へ移動する際にバネ部材の付勢力が抗力として作用しないため、トナー圧の検知感度がより高くなる。
【0068】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態においては、トナー残量検知センサ35を中間ホッパー30のトナー残量検知に用いた例に挙げて説明したが、例えば現像装置8内のトナーの残量検知に用いることもできる。
【0069】
また、アクチュエータ41やホルダ部材43の形状、透過型センサ42の配置等についても一例であり、トナー残量検知の対象である中間ホッパー30や現像装置8の仕様に応じて適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では遮光板41cが光検知部42aの光路を開放したとき(センサON状態)トナー残量が所定量以上と検知するようにしたが、遮光板41cが光検知部42aの光路を遮断したとき(センサOFF状態)トナー残量が所定量以上と検知するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に備えられる現像装置や、現像装置にトナーを補給する中間ホッパー等のトナー残量検知に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
8 現像装置
9 トナーコンテナ
22 現像容器(トナー収容容器)
30 中間ホッパー
31 ホッパー容器(トナー収容容器)
31c センサ室
35 トナー残量検知センサ
40 ゴム部材
40a トナー検知部
40b ホルダ貼付部
40c 段差
41 アクチュエータ
41a アーム部
41b 圧検知部
41c 遮光板
41d リブ
42 透過型センサ
42a 光検知部
43 ホルダ部材
43a 開口
44 バネ部材(付勢手段)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを貯留するトナー収容容器の内側に面して配置され、前記トナー収容容器内のトナーの圧力変化により弾性変形する薄膜状のゴム部材と、
該ゴム部材を挟んで前記トナー収容容器の外側に配置され、前記ゴム部材の弾性変形に応じて往復移動するアクチュエータと、
発光部と受光部とから成る光検知部を有し、前記アクチュエータの往復移動により前記光検知部の光路が開放若しくは遮断されるように配置される透過型センサと、
前記ゴム部材と、前記アクチュエータと、前記透過型センサとを一体に保持するホルダ部材と、を備え、
前記アクチュエータは、前記ゴム部材に前記トナー収容容器内のトナーの圧力が作用するときは前記透過型センサが前記トナー収容容器内のトナー残量が所定量以上であると検知する第1の位置に移動し、前記ゴム部材に前記トナー収容容器内のトナーの圧力が作用しないときは前記透過型センサが前記トナー収容容器内のトナー残量が所定量未満であると検知する第2の位置に移動するように前記ホルダ部材に支持されており、
前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記アクチュエータの一部が前記ホルダ部材に当接することにより前記アクチュエータと前記ゴム部材との間に隙間が形成されるトナー残量検知センサ。
【請求項2】
前記ゴム部材は、前記トナー収容容器の内側を凸面とする球面状且つ薄膜状のトナー検知部と、前記ホルダ部材の開口縁に固定されるフランジ状且つ前記トナー検知部よりも肉厚のホルダ貼付部とを有し、前記トナー検知部の凸面側には前記ホルダ貼付部との境界に環状の段差が形成されることを特徴とする請求項1に記載のトナー残量検知センサ。
【請求項3】
前記アクチュエータは、自重により前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトナー残量検知センサ。
【請求項4】
前記アクチュエータを前記第2の位置方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトナー残量検知センサ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のトナー残量検知センサが搭載されたトナー収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−197089(P2011−197089A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61023(P2010−61023)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】