説明

トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤、及びこれらの使用方法

セロトニン媒介性の疾患及び障害を治療する化合物、組成物及び方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、多環式化合物、該化合物を含む組成物、並びに疾患及び障害の治療、予防及び管理におけるこれらの使用に関する。
【0002】
本願は、2008年10月3日付けで出願された米国仮出願第61/102,391号(その全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2. 背景
神経伝達物質セロトニン[5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)]は、複数の中枢神経ファセットの気分調整、並びに睡眠、不安、アルコール依存、薬物乱用、食物摂取、及び性行動の調節に関与する。末梢組織において、セロトニンは、血管緊張、腸運動性、一次止血及び細胞媒介性免疫応答の調節に関与することが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
酵素トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)は、セロトニンの生合成の律速工程を触媒する。TPHの2つのアイソフォーム、すなわち末梢(主に胃腸(GI)管)において発現されるTPH1、及びセロトニンニューロンにおいて発現されるTPH2が報告されている(同上)。アイソフォームTPH1はtph1遺伝子によりコードされ、TPH2はtph2遺伝子によりコードされる(同上)。
【0005】
tph1遺伝子が遺伝的に欠損したマウス(「ノックアウトマウス」)が報告されている。報告によると、1つのケースでは、このマウスは古典的なセロトニン作動性の脳領域では正常な量のセロトニンを発現したが、末梢ではセロトニンをほとんど欠いていた(同上)。別のケースでは、ノックアウトマウスが異常な心臓の活動を示し、このことは末梢セロトニンの欠失に起因していた(非特許文献2)。
【0006】
TPHを阻害する化合物、及び該化合物の使用方法が開示されている。例えば特許文献1及び特許文献2を参照されたい。セロトニンは非常に多くの生化学的プロセスに関与するため、末梢セロトニンに媒介される疾患及び障害を治療するさらなる化合物及び方法に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第11/638,677号
【特許文献2】米国特許出願第11/954,000号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Walther, D. J., et al., Science 299:76 (2003)
【非特許文献2】Cote, F., et al., PNAS 100(23): 13525-13530 (2003)
【発明の概要】
【0009】
3. 発明の概要
本発明は、1つには、式:
【0010】
【化1】

【0011】
を有する化合物に関し、その置換基は本明細書中で規定される。本発明は、式:
【0012】
【化2】

【0013】
を有する化合物も包含し、その置換基は本明細書中で規定される。式:
【0014】
【化3】

【0015】
を有する化合物も包含され、その置換基は本明細書中で規定される。
【0016】
本発明の特定の化合物(すなわち、本明細書中に記載される化合物)は、TPH(例えばTPH1)活性を阻害する。
【0017】
本発明は、様々な疾患及び障害を治療、予防及び管理する薬学的組成物及び方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
4. 詳細な説明
本発明は、TPH(例えばTPH1)を阻害し、末梢セロトニンにより媒介される疾患及び障害を治療、管理又は予防するために使用することができる化合物の発見に基づく。
【0019】
4.1. 定義
特に明示のない限り、「アルケニル」という用語は、2個〜20個(例えば2個〜10個又は2個〜6個)の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分岐鎖及び/又は環式の炭化水素を意味する。代表的なアルケニル部分としては、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル及び3−デセニルが挙げられる。
【0020】
特に明示のない限り、「アルキル」という用語は、1個〜20個(例えば1個〜10個又は1個〜4個)の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖及び/又は環式(「シクロアルキル」)の炭化水素を意味する。1個〜4個の炭素原子を有するアルキル部分は「低級アルキル」と称される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルが挙げられる。シクロアルキル部分は単環式又は多環式であってもよく、例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチルが挙げられる。アルキル部分のさらなる例は直鎖部分、分岐鎖部分及び/又は環式部分(例えば1−エチル−4−メチル−シクロヘキシル)を有する。「アルキル」という用語は飽和炭化水素、並びにアルケニル部分及びアルキニル部分を含む。
【0021】
特に明示のない限り、「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味する。アルコキシ基の例としては、−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(シクロペニル(cyclopenyl))及び−O(CHCHが挙げられる。
【0022】
特に明示のない限り、「アルキルアリール」又は「アルキル−アリール」という用語は、アリール部分に結合したアルキル部分を意味する。
【0023】
特に明示のない限り、「アルキルヘテロアリール」又は「アルキル−ヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール部分に結合したアルキル部分を意味する。
【0024】
特に明示のない限り、「アルキル複素環」又は「アルキル−複素環」という用語は、複素環部分に結合したアルキル部分を意味する。
【0025】
特に明示のない限り、「アルキニル」という用語は、2個〜20個(例えば2個〜20個又は2個〜6個)の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素を意味する。代表的なアルキニル部分としては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル及び9−デシニルが挙げられる。
【0026】
特に明示のない限り、「アリール」という用語は、炭素原子及び水素原子から構成される、芳香環、又は芳香環若しくは部分芳香環の系を意味する。アリール部分は共に結合又は縮合した複数の環を含んでいても良い。アリール部分の例としては、アントラセニル、アズレニル、ビフェニル、フルオレニル、インダン、インデニル、ナフチル、フェナントレニル、フェニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン及びトリルが挙げられる。
【0027】
特に明示のない限り、「アリールアルキル」又は「アリール−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合したアリール部分を意味する。
【0028】
特に明示のない限り、「生加水分解性(biohydrolyzable)アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」及び「生加水分解性ホスフェート」という用語は、それぞれ、1)化合物の生物活性を妨げず、取り込み、作用の持続時間、若しくは作用の開始等のin vivoでの有利な特性を化合物に付与することができる、又は2)生物学的に不活性であるがin vivoで生物学的に活性な化合物に変換される、或る化合物のアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド又はホスフェートを意味する。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル及びコリンエステルが挙げられる。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド及びアルキルアミノアルキル−カルボニルアミドが挙げられる。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミン及び複素芳香族アミン並びにポリエーテルアミンが挙げられる。
【0029】
特に明示のない限り、「末梢セロトニンにより媒介される疾患又は障害」及び「末梢セロトニンにより媒介される疾患及び障害」という語句は、その重症度が末梢セロトニンレベルの影響を受ける1つ又は複数の症状を有する疾患及び/又は障害を意味する。
【0030】
特に明示のない限り、「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。
【0031】
特に明示のない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えばN、O又はS)に置き換えられているアルキル部分(例えば直鎖、分岐鎖又は環式の)を表す。
【0032】
特に明示のない限り、「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えばN、O又はS)に置き換えられているアリール部分を意味する。例としては、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾキナゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、イミダゾリル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル及びトリアジニルが挙げられる。
【0033】
特に明示のない限り、「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアリール−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合したヘテロアリール部分を意味する。
【0034】
特に明示のない限り、「複素環」という用語は、炭素、水素、及び少なくとも1つのヘテロ原子(例えばN、O又はS)から構成される、芳香族、部分芳香族又は非芳香族の単環式又は多環式の環又は環系を表す。複素環は、共に縮合又は結合した複数(すなわち2つ以上)の環を含んでいてもよい。複素環はヘテロアリールを含む。特定の複素環は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を含有する5員複素環〜13員複素環である。他の複素環は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個〜4個のヘテロ原子を含有する5員複素環〜10員複素環である。複素環の例としては、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、シンノリニル、フラニル、ヒダントイニル、モルホリニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル及びバレロラクタミルが挙げられる。
【0035】
特に明示のない限り、「複素環アルキル」又は「複素環−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合した複素環部分を表す。
【0036】
特に明示のない限り、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、非芳香族の複素環を表す。
【0037】
特に明示のない限り、「ヘテロシクロアルキルアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル−アルキル」という用語は、アルキル部分(moeity)に結合したヘテロシクロアルキル部分を表す。
【0038】
特に明示のない限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」及び「管理(management)」という用語は、既に特定の疾患若しくは障害に罹患した患者において、疾患若しくは障害の、若しくはその症状の1つ若しくは複数の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害に罹患している患者が寛解を保つ時間を長期化することを包含する。これらの用語は、疾患若しくは障害の閾値、発症及び/若しくは継続期間を調節すること、又は患者の疾患若しくは障害に対する応答の仕方を変化させることを包含する。
【0039】
特に明示のない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基(無機酸及び無機塩基並びに有機酸及び有機塩基を含む)から調製される塩を表す。好適な薬学的に許容される塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から生成される金属塩、又はリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから生成される有機塩が挙げられる。好適な非毒性の酸としては、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸及びp−トルエンスルホン酸等の無機酸及び有機酸が挙げられる。特定の非毒性酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及びメタンスルホン酸が挙げられる。したがって、特定の塩の例としては、塩酸塩及びメシル酸塩が挙げられる。他のものが当該技術分野において既知である。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing, Easton PA: 1990)及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy(第19版、Mack Publishing, Easton PA: 1995)を参照されたい。
【0040】
特に明示のない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、疾患若しくは障害の、又はその症状の1つ若しくは複数の重症度を抑制又は低減する、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に行われる行為を意図する。これらの用語は予防法を包含する。
【0041】
特に明示のない限り、「プロドラッグ」という用語は、本明細書中で開示される化合物の薬学的に許容されるエステル、カーボネート、チオカーボネート、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第3級アミンの第4級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、金属塩及びスルホン酸エステルを包含する。プロドラッグの例としては、生加水分解性部分を含む化合物(例えば生加水分解性アミド、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性エステル、生加水分解性ホスフェート又は生加水分解性ウレイド類似体)が挙げられる。本明細書中で開示される化合物のプロドラッグは当業者により容易に構想及び調製される。例えば、Design of Prodrugs(Bundgaard, A. Ed., Elseview, 1985)、Bundgaard, hours.著 Design and Application of Prodrugs(A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-Larsen and hours. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p. 113-191)及びBundgaard, hours.著 Advanced Drug Delivery Review(1992, 8, 1-38)を参照されたい。
【0042】
特に明示のない限り、化合物の「予防的に有効な量」は、疾患若しくは病態、若しくは疾患若しくは病態に関連した1つ若しくは複数の症状を予防する、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的に有効な量は、疾患の予防において予防的利益をもたらす、単独の又は他の薬剤と組み合わせた治療剤の量である。「予防的に有効な量」という用語は、予防法を全体的に改善する、又は別の予防剤の予防的な有効性を高める量を包含し得る。
【0043】
特に明示のない限り、化学反応を受ける分子の一部分を表すのに使用される場合、「保護性基(protecting group)」又は「保護基(protective group)」という用語は、この化学反応の条件下で反応性を有さず、これらの条件下で反応性を有する部分をもたらすために取り除くことができる化学的部分を意味する。保護性基は当該技術分野で既知である。例えば、Greene, T. W. and Wuts, P.G.M.著Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、John Wiley & Sons: 1999)、Larock, R. C.著Comprehensive Organic Transformations(第2版、John Wiley & Sons:1999)を参照されたい。幾つかの例としては、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、Cbz、Boc、Fmoc、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及びフタルイミドが挙げられる。
【0044】
特に明示のない限り、化合物の「立体異性体的に豊富な組成物」という用語は、特定の化合物をその立体異性体(複数可)よりも多く含有する、特定の化合物とその立体異性体(複数可)との混合物を表す。例えば、(S)−ブタン−2−オールの立体異性体的に豊富な組成物は、例えば約60/40、約70/30、約80/20、約90/10、約95/5及び約98/2の比の(S)−ブタン−2−オールと(R)−ブタン−2−オールとの混合物を包含する。
【0045】
特に明示のない限り、「立体異性体混合物」という用語は、ラセミ混合物、及び立体異性体的に豊富な混合物を包含する(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)。
【0046】
特に明示のない限り、「立体異性体的に純粋な」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つの立体中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、その化合物の反対の立体異性体を実質的に含まない。2つの立体中心を有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性体的に純粋な化合物は、約80重量%を超える化合物の1つの立体異性体と約20重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約90重量%を超える化合物の1つの立体異性体と約10重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約95重量%を超える化合物の1つの立体異性体と約5重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約97重量%を超える化合物の1つの立体異性体と約3重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、又は約99重量%を超える化合物の1つの立体異性体と約1重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含む。
【0047】
特に明示のない限り、「置換された」という用語は、化学的な構造又は部分を記載するために使用する場合は、その構造又は部分の誘導体であって、その水素原子の1つ又は複数が、アルコール、アルデヒド、アルコキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、t−ブチル)、アルキニル、アルキルカルボニルオキシ(−OC(O)アルキル)、アミド(−C(O)NH−アルキル−又は−アルキルNHC(O)アルキル)、アミジニル(−C(NH)NH−アルキル又は−C(NR)NH)、アミン(アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ等の第1級、第2級及び第3級のアミン)、アロイル、アリール、アリールオキシ、アゾ、カルバモイル(−NHC(O)O−アルキル−又は−OC(O)NH−アルキル)、カルバミル(例えば、CONH、並びにCONH−アルキル、CONH−アリール、及びCONH−アリールアルキル)、カルボニル、カルボキシル、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、シアノ、エステル、エポキシド、エーテル(例えばメトキシ、エトキシ)、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル(例えば−CCl、−CF、−C(CF)、ヘテロアルキル、ヘミアセタール、イミン(第1級及び第2級)、イソシアネート、イソチオシアネート、ケトン、ニトリル、ニトロ、オキソ、ホスホジエステル、スルフィド、スルホンアミド(例えばSONH)、スルホン、スルホニル(アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びアリールアルキルスルホニルを含む)、スルホキシド、チオール(例えばスルフヒドリル、チオエーテル)並びに尿素(−NHCONH−アルキル−)等(しかしこれらに限定されない)の化学的部分又は官能基で置換されている、誘導体を表す。特定の置換基は、アルキル、アルキル−カルバミル、アルコキシ、アミノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、スルホニル(例えばメチルスルホニル、トシル)及びチオールである。
【0048】
特に明示のない限り、化合物の「治療的に有効な量」は、疾患若しくは病態の治療若しくは管理において治療的利益をもたらすのに、又は疾患若しくは病態に関連した1つ若しくは複数の症状を遅延させる若しくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療的に有効な量は、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利益をもたらす、単独の又は他の療法と組み合わせた治療剤の量である。「治療的に有効な量」という用語は、療法全体を改善するか、疾患若しくは病態の症状若しくは原因を低減若しくは回避するか、又は別の治療剤の治療的有効性を高める量を包含し得る。
【0049】
特に明示のない限り、「TPH阻害剤」という用語は、約10μM未満のTPH1_IC50又はTPH2_IC50を有する化合物を表す。特定のTPH阻害剤は、約5μM未満、約1μM未満、約0.5μM未満、約0.1μM未満又は約0.05μM未満のTPH1_IC50を有する。
【0050】
特に明示のない限り、「TPH1_IC50」という用語は、以下の実施例に記載されるin vitro阻害アッセイを使用して決定されるようなTPH1に対する化合物のIC50である。
【0051】
特に明示のない限り、「TPH2_IC50」という用語は、以下の実施例に記載されるin vitro阻害アッセイを使用して決定されるようなTPH2に対する化合物のIC50である。
【0052】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、疾患若しくは障害、若しくは1つ若しくは複数のその症状の重症度を低減するか、又は疾患若しくは障害の進行を遅延若しくは減速させる、患者が特定の疾患又は障害に罹患している時に行われる行為を意図する。
【0053】
特に明示のない限り、「挙げられる(include)」という用語は、「挙げられる(include)」と同じ意味を有し、「挙げられる(includes)」という用語は、「挙げられるが、これらに限定されない」と同じ意味を有する。同様に、「等(such as)」という用語は、「等(しかしこれらに限定されない)」という用語と同じ意味を有する。
【0054】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、名詞の各々を修飾するものとして解釈される。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル(alky)、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「必要に応じて置換されたアルキル(alky)、必要に応じて置換されたアリール、又は必要に応じて置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0055】
より大きな化合物の一部分を形成する化学的部分は、該部分が単一分子として存在する場合に一般的に与えられる名称、又はそのラジカルに一般的に与えられる名称を使用して本明細書中に記載され得ることに留意すべきである。例えば、「ピリジン」及び「ピリジル」という用語には、他の化学的部分と結合している部分を記載するのに使用する場合に、同じ意味が与えられる。したがって、「XOH(式中、Xはピリジルである)」及び「XOH(式中、Xはピリジンである)」という2つの語句には同じ意味が与えられ、化合物ピリジン−2−オール、ピリジン−3−オール及びピリジン−4−オールを包含する。
【0056】
構造又は構造の一部分の立体化学が例えば太線又は破線で示されない場合、その構造又は構造の一部分はその全ての立体異性体を包含すると解釈されることにも留意すべきである。同様に、その中心の立体化学が特定されていない1つ又は複数のキラル中心を有する化合物の名称は、その純粋な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。さらに、図で示された原子価が満たされていない任意の原子は、この原子価を満たすのに十分な水素原子と結合していると推測される。さらに、一本の破線に平行した一本の実線で示された化学結合は、原子価が許容する場合、単結合及び二重結合の両方(例えば芳香族結合)を包含する。
【0057】
4.2. 化合物
本発明は、とりわけ、式I:
【0058】
【化4】

【0059】
(式中、XはC又はNであり、Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Lは−(CR−であり、Rは、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、mは0又は1である)を有する化合物、及びその薬学的に許容される塩を包含する。
【0060】
特定の化合物は、式:
【0061】
【化5】

【0062】
(式中、各Rは独立して、必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環又はヘテロアルキル−複素環であり、nは0〜4である)を有する。
【0063】
本明細書中において上で及び他の箇所で示される様々な式に関して、特定の化合物は、Rが水素であるようなものである。特定の化合物では、Rが水素である。幾つかの化合物では、少なくとも1つのRがアルコキシである。幾つかの化合物ではmが0であり、他の化合物ではmが1である。
【0064】
特定の化合物は、式:
【0065】
【化6】

【0066】
を有する。
【0067】
幾つかの化合物は、式:
【0068】
【化7】

【0069】
(式中、XはN、NR、O、CHR又はCRであり、XはN、NR、O、CHR又はCRであり、XはN、NR、O、CHR又はCRであり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環若しくはヘテロアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環若しくはヘテロアルキル−複素環である)を有する。
【0070】
本明細書中において上で及び他の箇所で示される様々な式に関して、特定の化合物は、XがOであり、X及びXが両方ともCHRであるようなものである。幾つかの化合物では、Rが水素である。幾つかの化合物では、XがNであり、XがNRであり、XがCHRである。幾つかの化合物では、Rが必要に応じて(optinally)置換されたアルキル又はヘテロアルキルであり、Rが、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルである。
【0071】
特定の化合物は、式:
【0072】
【化8】

【0073】
(式中、XはN又はCRであり、XはN又はCRであり、XはN又はCRであり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環若しくはヘテロアルキル−複素環である)を有する。
【0074】
特定の化合物は、式:
【0075】
【化9】

【0076】
(式中、Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Cは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Lは−(CR−であり、Lは−(CR−であり、Rは、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、各mは独立して0又は1である)を有する。幾つかの化合物は、式:
【0077】
【化10】

【0078】
(式中、Dは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Lは−(CR−又は−O−であり、各mは独立して0又は1である)を有する。
【0079】
本発明の一実施形態は、式II:
【0080】
【化11】

【0081】
(式中、Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Cは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Dは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、各Rは独立して、ハロ、ヒドロキシル又は低級アルキルであり、Lは結合又は−(CH−であり、Lは結合又は−(CH−であり、mは0〜4であり、各nは独立して0〜2である)を有する化合物、及びその薬学的に許容される塩を包含する。
【0082】
本明細書中において上で及び他の箇所で示される様々な式に関して、特定の化合物は、Aが必要に応じて置換されたイミダゾールであるようなものである。幾つかの化合物では、Bが必要に応じて置換されたフェニルである。幾つかの化合物では、Cが必要に応じて置換されたフェニルである。幾つかの化合物では、Dが必要に応じて置換されたフェニルである。
【0083】
特定の化合物は、式:
【0084】
【化12】

【0085】
(式中、各Rは独立して、ハロ、ヒドロキシル又は低級アルキルであり、各Rは独立して、ハロ、ヒドロキシル又は低級アルキルであり、pは0〜5であり、qは0〜5である)を有する。
【0086】
本発明の特定の化合物は、TPH阻害剤である。
【0087】
本発明は、それらの立体異性体的に純粋な化合物、及び立体異性体的に豊富な組成物を包含する。立体異性体は、キラルカラム、キラル分割剤又は酵素分割等の標準的な技法を使用して非対称的に合成又は分割され得る。例えば、Jacques, J., et al.著Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen, S. hours., et al.著Tetrahedron(33: 2725(1977))、Eliel, E. L.著Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw Hill, NY, 1962)及びWilen, S. hours.著Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions, p. 268(E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0088】
4.3. 化合物の合成
本発明の化合物を、当該技術分野において既知の方法により、及び本明細書中に記載される方法により、調製することができる。例えば、式Iの化合物を、以下のスキーム1に示すアプローチに従って調製することができる。
【0089】
【化13】

【0090】
このアプローチにおいては、アルデヒド化合物1及びアミン置換複素環ハライド2を典型的な還元的アミノ化条件下で反応させて化合物3を得る。好適な溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、メタノール及びオルトギ酸トリメチルが挙げられる。好適な還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素ナトリウムが挙げられ、好適な酸触媒としては、酢酸及びトリフルオロ酢酸が挙げられる。その後、化合物3を鈴木カップリング条件下で所望のボロン酸4とカップリングさせ、式Iの化合物を得る。従来の加熱及びマイクロ波照射の両方を、カップリング反応に使用することができる。この反応のための好適な触媒としては、Pd(PPhCl、PdCl、Pd(dppf)、Pd(dba)、Pd(OAc)及びPd−EnCat、Pd(PPhが挙げられる。好適な塩基としては、NaCO、NaHCO、KCO、KOAc及びCsCO、KFが挙げられ、好適な溶媒としては、DMF、DMSO、エタノール、MeOH、1,4−ジオキサン、THF、CHCN及び水が挙げられる。
【0091】
式Iの化合物を、上に記載したものと同様の反応条件を使用して、スキーム2において以下に示すアプローチにより調製することもできる。
【0092】
【化14】

【0093】
一般的には式IIの化合物を、スキーム3において以下に示すアプローチを使用して、調製することができる。
【0094】
【化15】

【0095】
このアプローチにおいては、置換ピペリジン(piperdine)10をアミド結合形成条件(condtions)下でカルボン酸11とカップリングさせて、式IIの化合物を得る。典型的なカップリング試薬としては、N,N’−ジシクロ(dicylo)ヘキシルカルボジイミド(DCC)/1−ヒドロキシルベンゾトリアゾール(HOBt)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/HOBt、ポリマー結合DCC/HOBt、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBroP)/ヒューニッヒ塩基、PyBOP/ヒューニッヒ塩基及びO−(7−アザベノトリアゾール(Azabenotriazol)−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)が挙げられる。
【0096】
当該技術分野で既知の方法を使用して、本明細書中に記載される合成アプローチは、広範な化合物を得るように容易に修正される。例えば、キラルクロマトグラフィ及び当該技術分野で既知の他の技法を、最終生成物の立体異性体を分離するために使用することができる。例えば、Jacques, J., et al.著Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen, S . hours., et al.著Tetrahedron(33: 2725 (1977))、Eliel, E. L.著Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw Hill, NY, 1962)及びWilen, S. hours.著Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions, p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。さらに、合成にキラル出発物質を利用して、立体異性体的に豊富な生成物、又は立体異性体的に純粋な生成物を得ることができる。
【0097】
4.4. 使用方法
本発明は、TPHを阻害する方法であって、TPHを本発明の化合物(すなわち、本明細書中で開示される化合物)と接触させることを含む、方法を包含する。特定の一方法では、TPHはTPH1である。別の方法では、TPHはTPH2である。特定の一方法では、阻害はin vitroのものである。別の方法では、阻害はin vivoのものである。
【0098】
本発明は、末梢セロトニンにより媒介される疾患及び障害を治療、予防及び管理する方法であって、このような治療、予防又は管理を必要とする患者に、治療的に有効な量又は予防的に有効な量の本発明の化合物を投与することを含む、方法を包含する。
【0099】
特定の疾患及び障害は、胃腸(GI)管に関連する。特定の疾患及び障害の例としては、不安症、胆汁酸下痢症、カルチノイド症候群、セリアック病、クローン病、うつ病、糖尿病、甲状腺の髄様癌に関連した下痢症及び/又は腹痛症、エンテロトキシン誘導性分泌性下痢症、機能性腹痛症、機能性消化不良、突発性便秘症、便秘症及び/又は下痢症の医原性の原因、突発性下痢症(例えば突発性分泌性下痢症)、過敏性腸症候群(IBS)、乳糖不耐症、I型及びII型MEN、オギルビー症候群、膵臓コレラ症候群、膵不全症、褐色細胞腫(pheochromacytoma)、強皮症、身体化障害、旅行者下痢症、潰瘍性大腸炎、並びにゾリンジャー・エリソン症候群が挙げられる。他の例としては、機能性肛門直腸障害、機能性鼓腸症、並びに機能性胆嚢障害及びオディ括約筋障害が挙げられる。
【0100】
他の例は、急性及び慢性の高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺塞栓症(例えば気管支収縮、及び肺塞栓症後の肺高血圧)、肺高血圧(例えば門脈圧亢進症に関連した肺高血圧)、並びに放射線肺炎(肺高血圧を発症させる又は肺高血圧に寄与するものを含む)等の心血管系及び肺の疾患及び障害である。
【0101】
さらなる他の例としては、腹性片頭痛、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、カルチノイドクリーゼ、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道機能不全、強指症、毛細血管拡張症)、ジルベール症候群、嘔気、セロトニン症候群、及びくも膜下出血が挙げられる。
【0102】
4.5. 薬学的組成物
本発明は、1つ又は複数の本発明の化合物を含む薬学的組成物を包含する。或る特定の薬学的組成物は、患者への経口投与、経粘膜(例えば鼻、舌下、膣、頬側又は直腸)投与、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)投与又は経皮投与に好適な単一の単位剤形である。剤形の例としては、限定されるものではないが、錠剤;キャプレット;軟ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ(cachets:カプセル);トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば鼻用スプレー又は吸入器);ジェル;懸濁液(例えば水性若しくは非水性の液体懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン)、溶液及びエリキシルを含む患者への経口投与又は経粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに再構成して患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供することができる無菌固体(例えば結晶性又は非結晶性の固体)が挙げられる。
【0103】
配合物は、投与方式に合わせる必要がある。例えば、胃で分解しやすい化合物の経口投与は、腸溶性コーティングを使用して達成され得る。同様に、配合物は作用部位への活性成分(複数可)の送達を容易にする成分を含有し得る。例えば、化合物は、分解酵素から該化合物を保護し、循環系における輸送を容易にし、細胞膜を通るこれらの送達を達成するために、リポソーム配合物で投与され得る。
【0104】
同様に、難溶性化合物は、シクロデキストリン(例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、Captisol(登録商標)及びEncapsin(商標)(例えば、Davis and Brewster, Nat. Rev. Drug Disc. 3: 1023-1034 (2004)を参照されたい))、Labrasol(登録商標)、Labrafil(登録商標)、Labrafac(登録商標)、cremafor等(しかしこれらに限定されない)の可溶化剤、乳化剤及び界面活性剤、並びにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、生体適合性油(例えば綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物(例えばDMSO:トウモロコシ油)等(しかしこれらに限定されない)の非水性溶媒を用いて、液体剤形(及び再構成に最適な剤形)中に組み込むことができる。
【0105】
難溶性化合物は、当該技術分野で既知の他の技法を使用して懸濁液中に組み込むこともできる。例えば、化合物のナノ粒子を液体に懸濁し、ナノ懸濁液を提供することができる(例えば、Rabinow, Nature Rev. Drug Disc. 3: 785-796 (2004)を参照されたい)。本明細書に記載の化合物のナノ粒子形態は、米国特許出願公開第2004−0164194号、同第2004−0195413号、同第2004−0251332号、同第2005−0042177号、同第2005−0031691号、及び米国特許第5,145,684号、同第5,510,118号、同第5,518,187号、同第5,534,270号、同第5,543,133号、同第5,662,883号、同第5,665,331号、同第5,718,388号、同第5,718,919号、同第5,834,025号、同第5,862,999号、同第6,431,478号、同第6,742,734号、同第6,745,962号(これらの各々の全体が参照により本明細書に援用される)に記載の方法により調製することができる。一実施形態では、ナノ粒子形態は、平均粒径が約2000nm未満、約1000nm未満、又は約500nm未満である粒子を含む。
【0106】
剤形の組成、形状及び種類は、典型的には用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性治療に使用される剤形は、該剤形に含まれる活性成分の1つ又は複数を、同じ疾患の慢性治療に使用される剤形よりも大量に含有し得る。同様に、非経口剤形は、該剤形に含まれる活性成分の1つ又は複数を、同じ疾患を治療するために使用される経口剤形よりも小量含有し得る。このような差異を明らかにする方法は、当業者には明らかである。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990))を参照されたい。
【0107】
4.5.1. 経口剤形
経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、錠剤(例えばチュアブル錠)、キャプレット、カプセル及び液体(例えば香り付きシロップ)等(しかしこれらに限定されない)の個別の剤形として提供することができる。このような剤形は所定量の活性成分を含有し、当業者に既知の製薬法により調製することができる。一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990))を参照されたい。
【0108】
典型的な経口剤形は、従来の薬学的配合技法に従い、密接な混和物中で活性成分(複数可)を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることにより調製する。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態に応じて広範な形態を取ることができる。
【0109】
投与のしやすさのため、錠剤及びカプセルが最も有利な経口単位剤形である。必要に応じて、錠剤は、標準的な水性又は非水性の技法によりコーティングすることができる。このような剤形は、従来の製薬法により調製することができる。一般に、薬学的組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微粉固体担体又は両方と均一かつ密接に混和し、次に生成物を必要に応じて所望の形に形成することにより調製する。崩壊剤は、固体剤形に組み込んで、迅速な溶解を容易にする(facility)ことができる。また、滑沢剤を組み込んで、剤形(例えば錠剤)の製造を容易にすることができる。
【0110】
4.5.2. 非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内及び動脈内を含む様々な経路により患者に投与することができる。典型的にはそれらの投与は汚染物質に対する患者の自然の防御を迂回するため、非経口剤形は特に無菌であるか、又は患者に投与する前に滅菌することができるものである。非経口剤形の例としては、すぐに注入できる溶液、注入のために薬学的に許容されるビヒクルにすぐに溶解又は懸濁することができる乾燥産物、すぐに注入できる懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。
【0111】
本発明の非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に既知である。例としては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンゲル液等の水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等の水混和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジル等の非水性ビヒクルが挙げられる。
【実施例】
【0112】
5. 実施例
5.1. 3−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)ベンゾニトリルの合成
【0113】
【化16】

【0114】
ジクロロエタン(dicholoroethane)(20mL)中における3−アミノ−5−ブロモピリジン(0.64g、3.7mmol)及び3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンズアルデヒド(0.97g、4.4mmol)の混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.56g、7.35mmol)及び酢酸(0.3mL)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。塩化メチレン(100mL)を反応混合物に添加し、該混合物をそれぞれ1N NaOH及びブラインで洗浄した。塩化メチレン層を分離し、MgSOで乾燥させた。溶媒の除去により1.29gの淡黄色固体を粗生成物として得て、該粗生成物をさらなる精製を行うことなく次の工程に使用した。
【0115】
上記の粗生成物(43.2mg、0.115mmol)、3−シアノフェニルボロン酸(16.8mg、0.115mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(4mg、0.006mmol)、CHCN(2mL)及び水(1.78mL)を、マイクロ波支援反応用のバイアル中で混合した。炭酸ナトリウム(0.22mL、1M水溶液)を混合物に添加し、Personal Chemistryのマイクロ波反応器において150℃で5分間該混合物に照射した。粗反応混合物を検査し(worked up)、分取HPLCにより精製して、9.5mgの3−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)ベンゾニトリルを得た(収率:21%)。
【0116】
H NMR(300MHz、CDOD)δ(ppm):8.27(s,1H);8.08(m,1H);7.99(m,2H);7.86(m,2H);7.73(t,1H,J=9Hz);6.95(m,3H);4.79(m,1H),4.44(s,2H);3.80(s,3H);1.80(m,6H);1.61(m,2H)。HPLC:カラム=Shim−pack ODS 4.6mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH中における0.1%TFA;B(%):流量=3ml/分で4分かけて20%から90%へ。UV検出器:220nm及び254nm;RT=2.74分。ESI−MS:(M+H)=400。
【0117】
5.2. N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンの合成
【0118】
【化17】

【0119】
酢酸(900mg、15mmol)を、30mLジクロロエタン中における3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンズアルデヒド(1.1g、5mmol)、5−ヨードピリジン−2−アミン(1.1g、5mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.4g、6.6mmol)の溶液に室温で添加した。得られた混合物を60℃で4時間加熱した。反応混合物を水で急冷した。生成物をジクロロメタン(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させて乾燥させた。粗生成物をSiOカラムクロマトグラフィにより精製して、1.2gのN−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−5−ヨードピリジン−2−アミンを得た。収率:64%。
【0120】
マイクロ波バイアル(2mL)に、N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−5−ヨードピリジン−2−アミン(42mg、0.1mmol)及びピリジン−3−イルボロン酸(12mg、0.1mmol)を投入した。その後アセトニトリル(1mL)、水(0.8mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.2ml、1M)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)を混合物中に添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を検査し、分取HPLCにより精製して8mgのN−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンを得た。
【0121】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):9.00(s,1H),8.73(s,1H),8.17(m,2H),8.00(m,1H),7.78(m,1H),6.86(m,5H),4.80(m,1H),4.54(s,2H),3.83(s,3H),1.91(m,6H),1.60(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm、5um;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2.0ml/分で5分かけて0%から100%へ。RT=2.232分。ESI−MS:m/z(M+H)=376。
【0122】
5.3. N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−3,3’−ビピリジン−5−アミンの合成
【0123】
【化18】

【0124】
酢酸(414mg、6.9mmol)を、室温で30mlのDCE中における3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンズアルデヒド(508mg、2.3mmol)、5−ブロモピリジン−3−アミン(400mg、2.3mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.65g、3.1mmol)の溶液に添加した。形成した混合物を60℃まで加温し、4時間撹拌した。反応混合物を水で急冷した。生成物をDCM(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させて乾燥させた。粗生成物をSiOカラムクロマトグラフィにより精製して350mgの5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミンを得た。収率:41%。
【0125】
マイクロ波バイアル(2mL)に、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(38mg、0.1mmol)及びピリジン−3−イルボロン酸(13mg、0.1mmol)を投入した。その後、アセトニトリル(1mL)、水(0.8mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.2mL、1M)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)を混合物に添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を検査し、分取HPLCにより精製して、8mgのN−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−3,3’−ビピリジン−5−アミンを得た。
【0126】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):8.88(s,1H),8.76(s,1H),8.38(m,2H),8.18(s,1H),8.03(m,1H),7.65(m,1H),7.28(s,1H),6.86(m,2H),4.77(m,1H),4.42(s,2H),3.84(s,3H),1.91(m,6H),1.60(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm、5um;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2.0ml/分で5分かけて0%から100%へ。RT=2.358分。ESI−MS:m/z(M+H)=376。
【0127】
5.4. N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−6’−モルホリノ−3,3’−ビピリジン−5−アミンの合成
【0128】
【化19】

【0129】
マイクロ波バイアル(2mL)に、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(38mg、0.1mmol)及び6−モルホリノピリジン−3−イルボロン酸(20mg、0.1mmol)を投入した。その後、アセトニトリル(1mL)、水(0.8mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.2mL、1M)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)を混合物中に添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を検査し、分取HPLCにより精製して6mgのN−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−6’−モルホリノ−3,3’−ビピリジン−5−アミンを得た。
【0130】
H NMR(300MHz、CDOD)δ(ppm):8.43(s,1H),8.26(s,1H),8.13(d,J=7.91Hz,1H),7.97(s,1H),7.84(s,1H),7.24(d,1H),6.96(m,3H),4.82(m,1H),4.45(s,2H),3.85(m,4H),3.68(m,4H),3.31(s,3H),1.81(m,6H),1.63(s,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm、5um;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2.0ml/分で5分かけて0%から100%へ。RT=2.568分。ESI−MS:m/z(M+H)=461。
【0131】
5.5. N−(3,4−ジイソプロポキシベンジル)−5−(1H−ピロール−3−イル)ピリジン−3−アミンの合成
【0132】
【化20】

【0133】
酢酸(360mg、6mmol)を、室温で30mlのDCE中における3,4−ジイソプロポキシベンズアルデヒド(444mg、2mmol)、5−ブロモピリジン−3−アミン(346mg、2mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.84g、4mmol)の溶液に添加した。形成した混合物を、60℃まで加温し、4時間撹拌した。反応混合物を水で急冷した。生成物をDCM(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させて乾燥させた。粗生成物をSiOカラムクロマトグラフィにより精製して、250mgの5−ブロモ−N−(3,4−ジイソプロポキシベンジル)ピリジン−3−アミンを得た。収率:34%。
【0134】
マイクロ波バイアル(2mL)に、5−ブロモ−N−(3,4−ジイソプロポキシベンジル)−ピリジン−3−アミン(38mg、0.1mmol)及び1H−ピロール−3−イルボロン酸(11mg、0.1mmol)を投入した。その後、アセトニトリル(1mL)、水(0.8mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.2mL、1M)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)を、混合物中に添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を分取HPLCにより精製して、6mgのN−(3,4−ジイソプロポキシベンジル)−5−(1H−ピロール−3−イル)ピリジン−3−アミンを得た。
【0135】
H NMR(300MHz、CDOD)δ(ppm):7.96(s,1H),7.68(s,1H),7.13(s,1H),7.09(s,1H),7.02(s,1H),6.95(s,1H),6.78(s,1H),6.38(s,1H),4.52(m,2H),4.31(s,2H),1.31(t,12H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 4.6mm×33mm、5um;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=3.0ml/分で5分かけて0%から100%へ。RT=2.826分。ESI−MS:m/z(M+H)=366。
【0136】
5.6. N−(3,4−ジイソプロポキシベンジル)−5−(フラン−3−イル)ピリジン−3−アミンの合成
【0137】
【化21】

【0138】
マイクロ波バイアル(2mL)に、5−ブロモ−N−(3,4−ジイソプロポキシ−ベンジル)ピリジン−3−アミン(38mg、0.1mmol)及び1H−ピロール−3−イルボロン酸(11mg、0.1mmol)を投入した。その後、アセトニトリル(1mL)、水(0.8mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.2mL、1M)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)を混合物に添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を分取HPLCにより精製して、5mgのN−(3,4−ジイソプロポキシベンジル)−5−(フラン−3−イル)ピリジン−3−アミンを得た。
【0139】
H NMR(300MHz、CDOD)δ(ppm):7.85(s,1H),7.79(s,1H),7.70(s,1H),7.46(s,1H),7.02(s,1H),6.90(s,1H),6.83(s,2H),6.63(s,1H),4.40(m,2H),4.21(s,2H),1.16(t,12H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm、5um;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2.0ml/分で5分かけて0%から100%へ。RT=3.02分。ESI−MS:m/z(M+H)=367。
【0140】
5.7. N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル(nemzyl))−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−アミンの合成
【0141】
【化22】

【0142】
酢酸(600mg、10mmol)を、室温で30mLのジクロロエタン中における3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンズアルデヒド(440mg、2mmol)、6−クロロピラジン−2−アミン(258mg、2mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.2g、5.6mmol)の溶液に添加した。得られた混合物を60℃まで加温し、4時間撹拌した。反応混合物を水で急冷した。生成物をDCM(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させて乾燥させた。粗生成物をSiOカラムクロマトグラフィにより精製して、100mgの6−クロロ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピラジン−2−アミンを得た。収率:15%。
【0143】
マイクロ波バイアル(2mL)に、6−クロロ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピラジン−2−アミン(40mg、0.1mmol)、フラン−3−イルボロン酸(11mg、0.1mmol)、アセトニトリル(1mL)、水(0.8mL)及び炭酸ナトリウム水溶液(0.2mL、1M)を投入した。その後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)を混合物中に添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を検査し、分取HPLCにより精製して、1.9mgのN−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−アミンを得た。
【0144】
H NMR(300MHz、CDOD)δ(ppm):7.96(m,3H),7.80(d,J=8.06Hz,1H),7.74(t,J=7.91Hz,1H),7.63(t,J=8.06Hz,1H),7.41(d,J=8.3Hz,2H),7.21(m,1H),6.69(s,1H),3.87(m,1H),3.34(m,1H),1.17(t,1H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm、5um;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=3.0ml/分で5分かけて0%から100%へ。RT=3.635分。ESI−MS:m/z(M+H)=366。
【0145】
5.8. N−((9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)メチル)−5−(2−メチルベンゾ[d]チアゾール−5−イル)ピラジン−2−アミンの合成
【0146】
【化23】

【0147】
アセトニトリル/水(3:1)溶液(2.5mL)中における(5−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(9−エチル−9H−カルバゾール(carazol)−3−イルメチル)−アミン(50mg、0.13mmol)の溶液に、2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゾチアゾール(36mg、0.13mmol)、ジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(5mg、0.007mmol)及び炭酸ナトリウム(28mg、0.26mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLC(10%から95% MeOH(0.1% NHOAcを含む)により精製して、所望の生成物を得た(11mg、19%)。
【0148】
H NMR(400MHz、MeOD)δ(ppm):1.41(t,J=7.20Hz,3H),2.86(s,3H),4.45(q,J=7.33Hz,2H),4.79(s,2H),7.16〜7.22(m,J=8.08,7.07,1.26Hz,1H),7.42〜7.47(m,J=8.08,7.07,1.26Hz,1H),7.50(d,J=8.34Hz,2H),7.54(dd,J=8.34,1.52Hz,1H),7.93(dd,J=8.59,1.77Hz,1H),7.97(t,J=8.08Hz,1H),8.10(dd,J=4.55,3.28Hz,2H),8.15(s,1H),8.39(d,J=1.26Hz,1H),8.57(d,J=1.26Hz,1H)。ESI−MS;m/z(M+H)=450.0。
【0149】
5.9. N−(3−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)フェニル)メタンスルホンアミドの合成
【0150】
【化24】

【0151】
マイクロ波バイアルに、5−ブロモピリジン−3−アミン(1.0g、5.78mmol)、3−(メチルスルホンアミド)フェニルボロン酸(1.49g、6.94mmol)、CHCN(10mL)、CsF(1.69g、11.56mmol)、Pd(dppf)Cl(0.85g、1.16mmol)を添加し、混合物を180℃で15分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、濃縮し、溶媒としてメタノール中における1%〜5%のジクロロメタンを使用するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィにより分離して、N−(3−(5−アミノピリジン−3−イル)フェニル)メタンスルホンアミドを得た(1.14g、収率76%)。
【0152】
3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンズアルデヒド(0.046g、0.212mmol)、N−(3−(5−アミノピリジン−3−イル)フェニル)メタンスルホンアミド(0.056g、0.212mmol)、酢酸(0.025g、0.42mmol)、ジクロロエタン(5mL)、NaBH(OAc)(0.089g、0.42mmol)を10mL容丸底フラスコ中に取り、25℃で6時間撹拌した。反応の完了後、混合物を濃縮し、分取HPLCにより分離して、5mgのN−(3−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)フェニル)を得た。
【0153】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):8.10(m,2H),7.30(m,5H),6.80(m,3H),4.70(m,1H),4.30(s,2H),3.76(s,3H),2.97(s,3H),1.76(m,5H),1.52(m,3H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 4.6mm×50mm、5um;溶媒A=メタノール10%−水90%中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=メタノール90%−水10%中における0.1%TFA。B(%):流量=3ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.560分。ESI−MS:m/z(M+H)=468。
【0154】
5.10. N−{3−[5−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシベンジルアミノ)−ピリジン−3−イル]−ベンジル}−メタンスルホンアミドの合成
【0155】
【化25】

【0156】
窒素下で50mL容丸底フラスコに、20mlのジクロロエタン中における5−ブロモピリジン−3−アミン(346mg、2mmol)及び3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(440mg、2mmol)を添加した。溶液を室温で10分間撹拌し、その後酢酸(240mg、228ul、4ミリモル)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(424mg、2mmol)を添加した。得られた溶液を室温で終夜撹拌した。反応が終了した後、溶液を水で急冷し、1N水酸化ナトリウムで中和し、塩化メチレンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後真空中で濃縮した。ヘキサン/酢酸エチルを使用するISCOのSiOクロマトグラフィにより粗生成物を精製して、320mgの純粋な化合物を得た。収率:43%。
【0157】
5mL容マイクロ波反応容器に、アセトニトリル/水(4mL)中における5−ブロモ−N−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(50mg、0.132mmol)、3−アミノメチルフェニル)ボロン酸塩酸塩(28mg、0.146mmol、1.1当量)、PdCl(PPh(3mg、4.27μモル、0.032当量)及び炭酸ナトリウム(42mg、0.398mmol、3当量)の溶液を添加した。容器を封止し、混合物をマイクロ波照射下155℃で5分間加熱した。その後混合物を水/塩化メチレンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。その後溶媒を除去することにより42mgの粗生成物を得て、該粗生成物をさらなる精製を行うことなく次の工程に使用した。収率:79%。
【0158】
[5−(3−アミノメチル)フェニル)−N−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(20mg、49.7μモル)を10mlのジクロロメタンに溶解した。塩化メタンスルホニル(6.8mg、59.7μモル、1.2当量)及びピリジン(10μl、99.4μモル、2当量)を添加した。反応混合物を50℃で終夜撹拌した。その後反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、4.2mgの生成物を得た。収率:17%。
【0159】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.21(s,1H);7.94(s,1H);7.84(s,1H);7.68(s,1H);7.59(m,1H);7.54(m,2H);6.98(m,3H);4.80(m,1H);4.22(s,2H);4.18(s,2H);3.81(s,3H);2.93(s,3H);1.80(m,6H);1.61(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=3.21分。ESI−MS:m/z(M+H)=482。
【0160】
5.11. (3−シクロペンチルオキシ)4−メトキシベンジル)−[5−(3−メチルスルホニル)フェニル))ピリジン−3−アミンの合成
【0161】
【化26】

【0162】
5mL容マイクロ波反応容器に、(5−ブロモ−N−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(50mg、0.13ミリモル)、3−メチルスルホニルフェニルボロン酸(27mg、0.13mmol、1当量)、PdCl(PPh(4mg、0.006mmol、0.044当量)、炭酸ナトリウム(28mg、0.36mmol、2当量)及びアセトニトリル/水(1:1)(4mL)を添加した。封止した容器をマイクロ波照射下145℃で5分間加熱した。その後反応混合物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLCにより精製して8.4mgの生成物を得た。収率:13%。
【0163】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.21(s,1H),7.94(s,1H),7.84(s,1H),7.68(s,1H),7.59(m,1H),7.54(m,2H),6.98(m,3H),4.80(m,1H),4.22(s,2H),3.81(s,3H),2.93(s,3H),1.80(m,6H),1.61(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.751分。ESI−MS:m/z(M+H)=453。
【0164】
5.12. N−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−(5−フラン−3−イル)ピリジン−3−アミンの合成
【0165】
【化27】

【0166】
5mL容マイクロ波反応容器に、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(50mg、0.132mmol)、フラン−3−イル(yll)ボロン酸(18mg、0.159mmol、1.2当量)、PdCl(PPh(4mg、0.006mmol、0.044当量)、炭酸ナトリウム(28mg、0.265mmol、2当量)及びアセトニトリル/水(1:1)(4mL)の溶液を添加した。バイアルをマイクロ波照射下155℃で7分間加熱した。その後混合物を塩化メチレンで抽出し、水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLCにより精製して14.1mgのN−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−(5−フラン−3−イル)ピリジン−3−アミンを得た。収率:29%。
【0167】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):8.19(s,1H);8.11(s,1H);7.81(s,1H);7.55(s,1H);7.35(s,1H);7.28(s,1H);6.88(m,2H);6.61(s,1H);4.80(m,1H);4.38(s,2H);3.85(s,3H);1.88(m,6H);1.61(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=3.55分。ESI−MS:m/z(M+H)=365。
【0168】
5.13. N−(3−シクロペンチルオキシ)4−メトキシベンジル)−(1H−ピロール)ピリジン−3−アミンの合成
【0169】
【化28】

【0170】
5mL容マイクロ波反応容器に、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(50mg、0.13mmol)、1−(トリイソプロピルシリル)1H−ピロール−3−イルボロン酸(49.5mg、0.19mmol、1.5当量)、PdCl(PPh(4mg、0.006mmol、0.044当量)、炭酸ナトリウム(28mg、0.26mmol、2当量)及びアセトニトリル/水=1/1(4ml)を添加した。封止した容器をマイクロ波照射下155℃で7分間加熱した。その後混合物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。その後有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLCにより精製して8.02mgの所望の生成物を得た。収率:17%。
【0171】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.05(s,1H);7.65(s,1H);7.55(s,1H);7.24(s,1H);6.98(s,1H);6.95(m,2H);6.82(m,1H);6.45(s,1H);4.80(m,1H);4.39(s,2H);3.81(s,3H);1.80(m,6H);1.61(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.860分。ESI−MS:m/z(M+H)=364。
【0172】
5.14. N−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−5−(1−(トシル−1H−インドール−3−イル)ピリジン−3−アミンの合成
【0173】
【化29】

【0174】
5mL容マイクロ波反応容器に、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(50mg、0.13mmol)、1−トシル−1H−インドール−3−ボロン酸(54mg、0.172ミリモル、1.3当量)、PdCl(PPh(4mg、0.006mmol、0.044当量)、炭酸ナトリウム(28mg、0.26mmol、2当量)及びアセトニトリル/水(1/1)(4ml)を添加した。封止した容器をマイクロ波照射下155℃で7分間加熱した。その後溶液を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLCにより精製して9.12mgの所望の生成物を得た。収率:12%。
【0175】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.18(s,1H);8.10(s,1H);8.05(d,2H);7.89(d,2H);7.65(m,2H);7.40(s,1H);7.35(m,1H);7.15(m,2H);6.95(m,3H);4.75(m,1H);4.44(s,2H);3.81(s,3H);2.36(s,3H);1.75(m,6H);1.53(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=3.818分。ESI−MS:m/z(M+H)=568。
【0176】
5.15. 3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−5−(3−メタンスルホニル−フェニル)−ピリジン−1−オールの合成
【0177】
【化30】

【0178】
10mlのクロロホルム中における5−ブロモ−N−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(100mg、0.265mmol)の溶液に、mCPBA(150mg、0.53mmol、2当量)を添加した。溶液を室温で終夜撹拌した。反応の完了後、混合物を水で急冷し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、その後硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより101mgの生成物を得て、該生成物をさらなる精製を行うことなく次の工程に使用した。収率:97%。
【0179】
5ml容マイクロ波反応容器に、3−ブロモ−5−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−ピリジン−1−オール(50mg、0.127mmol)、3−(メチルスルホニル)フェニルボロン酸(28mg、1.40mmol、1.1当量)、PdCl(PPh(4mg、0.006mmol)、炭酸ナトリウム(28mg、0.26mmol)及びアセトニトリル/水(1/1)マイクロ波バイアル(4mL)を添加した。バイアルを145℃で5分間加熱した。その後溶液を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLCにより精製して8.12mgの所望の生成物を得た。収率:13.7%。
【0180】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.11(s,1H),8.05(d,1H),7.99(s,1H),7.95(d,1H),7.769(m,2H),7.62(m,1H),7.55(m,1H),6.95(m,2H),4.79(m,1H),4.38(s,2H),3.81(s,3H),3.19(s,3H),1.80(m,6H),1.61(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.978分。ESI−MS:m/z(M+H)=469。
【0181】
5.16. 5−(3−メチルスルホニル)フェニル−N−ナフタレン−2−イルメチル(methy))ピリジン−3−アミンの合成
【0182】
【化31】

【0183】
5−ブロモピリジン−3−アミン(346mg、2mmol、1当量)をナフトアルデヒド(312mg、2mmol、1当量)と20mLのDCE中において10分間混合し、酢酸(240μL、4mmol、2当量)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(422mg、2mmol、1当量)を添加し、溶液を室温で終夜撹拌した。その後混合物を水で急冷し、塩化メチレンで抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、ヘキサン/酢酸エチルを使用するISCOのSiOカラムクロマトグラフィにより該組成物を精製して、320mgの所望の生成物を得た。収率:51%。
【0184】
5mL容マイクロ波反応容器に、(5−ブロモ−N−(ナフタレン(naphtalen)−2−イルメチル)ピリジン−3−アミン(50mg、0.16mmol)、3−メチルスルホニルフェニルボロン酸(32mg、0.16mmol)、PdCl(PPh(4mg、0.006mmol)、炭酸ナトリウム(34mg、0.32mmol)及びアセトニトリル/水(1:1)(4mL)を添加した。バイアルをマイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。その後溶液を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトを通して濾過した。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該組成物を分取HPLCにより精製して8.4mgの生成物を得た。収率:11%。
【0185】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.18(d,1H);7.95(m,3H);7.79(m,2H);7.61(m,4H);7.45(d,1H);7.38(m,3H);4.60(s,2H);3.10(s,3H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−3mm×50mm、5um;溶媒A=水中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(95/5)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=3.87分。ESI−MS:m/z(M+H)=469。
【0186】
5.17. N−(ビフェニル−2−イルメチル)−5−(1H−ピラゾール−4−イル)ピラジン−2−アミンの合成
【0187】
【化32】

【0188】
ビフェニル−2−カルボキシアルデヒド(2.0g、10.98mmol)及び5−ブロモピラジン−2−アミン(1.59g、9.15mmol)を酢酸(2.0mL)及びDCE(5.0mL)に溶解した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.91g、13.72mmol)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、1.0N NaOH及びブラインのそれぞれで洗浄した。その後有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。粗物質をSiOカラムクロマトグラフィにより精製して、1.5gのN−(ビフェニル−2−イルメチル)−5−ブロモピラジン−2−アミンを得た。収率:48%。
【0189】
N−(ビフェニル−2−イルメチル)−5−ブロモピラジン−2−アミン(50mg、0.147mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−H−ピラゾール(34mg、0.176mmol)、パラジウムトリフェニルホスフィンジクロリド(6mg、0.0088mmol)、炭酸ナトリウム(34mg、0.323mol)、アセトニトリル(1.5mL)及びHO(1.5mL)を5mL容マイクロ波バイアル中に投入し、その後マイクロ波装置中で撹拌しながら150℃で5分間加熱した。混合物を冷却し、シリンジフィルターを通して濾過し、濃縮した。粗物質を分取HPLC(溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):12分かけて0%から100%へ;Sunfire 30mm×50mm;UV:220nm)により精製して、1.5mgの標題の化合物、N−(ビフェニル−2−イルメチル)−5−(1−H−ピラゾール−4−イル)ピラジン−2−アミンを得た。収率:3.1%。
【0190】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.2(s,1H),8.01(s,2H),7.86(s,1H),7.5(m,1H),7.39(m,7H),7.28(m,1H),4,47(s,2H)。HPLC:カラム=ShimPack VP ODS−4.6mm×50mm;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=3.5ml/分で2分かけて0%から100%へ。RT=2.76分。ESI−MS:m/z(M+H)=328。
【0191】
5.18. N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−5−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−アミンの合成
【0192】
【化33】

【0193】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(97mg、0.46mmol)を、2mLの1,2−ジクロロエタン(ethtane)(DCE)中における3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンズアルデヒド(50mg、0.23mmol)及び5−ブロモピリジン−3−アミン(39mg、0.23mmol)の溶液に添加した。酢酸(18mg、0.29mmol)を添加した。混合物を終夜室温で撹拌し、その後10mLのDCEを添加した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより、60mgの粗5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミンを得て、これをさらなる精製を行うことなく次の工程に使用した。
【0194】
5ml容マイクロ波バイアルに、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(30mg、0.08mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(15.4mg、0.08mmol)及びアセトニトリル(1mL)を投入した。炭酸ナトリウム水溶液(0.16mL、1M)及び水(0.84mL)を上記の溶液に添加し、その後5mol%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(2.8mg、0.004mmol)を添加した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を検査し、分取HPLCにより精製して、3.2mgのN−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−5−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−アミンを得た。
【0195】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.23(s,1H),8.16(s,2H),7.84(s,1H),7.80(s,1H),6.99(s,1H),6.96(s,2H),4.42(s,2H),3.81(s,3H),1.82(m,6H),1.62(m,2H)。HPLC:YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.57分。ESI−MS:m/z(M+H)=365。
【0196】
5.19. 2−(4−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミドの合成
【0197】
【化34】

【0198】
5ml容マイクロ波反応バイアルに、5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(30mg、0.08mmol)、2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミド(20mg、0.08mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(2.8mg、0.004mmol、5mol%)、アセトニトリル(1mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.16mL、1M)及び水(0.84mL)を投入した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を検査し、分取HPLCにより精製して、6mgの2−(4−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミドを得た。
【0199】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.23(s,1H),8.19(s,1H),8.00(s,1H),7.79(s,2H),6.97(s,1H),6.95(s,2H),4.94(s,2H),4.84(m,1H),4.41(s,2H),3.80(s,3H),1.82(m,6H),1.62(m,2H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.39分。ESI−MS:m/z(M+H)=422。
【0200】
5.20. 5−(フラン−3−イル)−N−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)ピリジン−3−アミンの合成
【0201】
【化35】

【0202】
1−(ナフタレン−2−イル)エタノール(200mg、1.16mmol)を5mlのジクロロメタンに溶解し、トリエチルアミン(351mg、3.48mmol)を添加し、その後塩化メタンスルホニル(198mg、1.74mmol)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、形成したトリエチルアミン塩を濾過により除去した。濾液を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより270mgの粗1−(ナフタレン−2−イル)エチルメタンスルホネートを得て、これをさらなる精製を行うことなく次の工程に使用した。
【0203】
5−ブロモピリジン−3−アミン(69mg、0.4mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)中における水素化ナトリウム(33mg、鉱油中60%、0.8mmol)の懸濁液に添加し、混合物を30分間撹拌し、その後THF(2mL)中における1−(ナフタレン−2−イル)エチルメタンスルホネート(100mg、0.4mmol)の溶液を添加した。得られた混合物を70℃で2時間加熱した。冷却後、水2滴を添加して反応を停止した。テトラヒドロフランを真空中で蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより100mgの5−ブロモ−N−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)ピリジン−3−アミンを得た。収率:73%。
【0204】
マイクロ波反応バイアルに、5−ブロモ−N−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)ピリジン−3−アミン(20mg、0.06mmol)、フラン−3−イルボロン酸(14mg、0.12mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(5mol%)、アセトニトリル(1mL)、炭酸ナトリウム水溶液(0.24mL、1M)及び水(0.76mL)を投入した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発させて乾燥させた。残渣を2.5mLのメタノールに溶解し、分取HPLCにより精製して、1.6mgの5−(フラン−3−イル)−N−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)ピリジン−3−アミンを得た。
【0205】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):8.07(s,1H),7.90(s,2H),7.88(s,1H),7.84(s,1H),7.82(s,1H),7.76(m,1H),7.65(m,2H),7.56(s,1H),7.47(m,2H),6.80(s,1H),1.70(d,J=8,3H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=3.08分。ESI−MS:m/z(M+H)=315。
【0206】
5.21. 5−(フラン−3−イル)−N−(4−メチルベンジル)ピリジン−3−アミンの合成
【0207】
【化36】

【0208】
20mL容マイクロ波バイアルに、5−ブロモピリジン−3−アミン(346mg、2mmol)、フラン−3−イルボロン酸(440mg、4mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(70mg、0.1mmol)、アセトニトリル(6mL)、炭酸ナトリウム(6mL、1M)及び水(0.76mL)を投入した。反応容器を封止し、マイクロ波照射下150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を水で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより粗生成物を得て、該粗生成物をISCOのSiOカラムクロマトグラフィにより精製して、200mgの5−(フラン−3−イル)ピリジン−3−アミンを得た。収率62%。
【0209】
ナトリウムトリアセトキシル(triacetoxyl)−ボロヒドリド(66mg、0.31mmol)を、1mLの1,2−ジクロロエタン中における5−(フラン−3−イル)ピリジン−3−アミン(25mg、0.156mmol)及び4−メチル−ベンズアルデヒド(19mg、0.156mmol)の溶液に添加した。酢酸(9mg、0.156mmol)を添加した。混合物を終夜室温で撹拌し、その後5mLのDCEを添加した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーター(rotovap)により除去し、残渣を分取HPLCにより精製して、4.4mgの5−(フラン−3−イル)−N−(4−メチルベンジル)ピリジン−3−アミンを得た。
【0210】
H NMR(400MHz、CDOD)δ(ppm):2.26(s,3H),4.38(s,2H),6.83(d,J=0.98Hz,1H),7.13(d,J=7.82Hz,2H),7.24(d,J=7.82Hz,2H),7.62(t,J=1.37Hz,1H),7.72(d,J=1.37Hz,1H),7.78(d,J=1.95Hz,1H),8.06(s,1H),8.11(s,1H)。HPLC:カラム=YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.70分。ESI−MS:m/z(M+H)=265。
【0211】
5.22. 5−(フラン−3−イル)−N−(4−イソプロポキシ−3−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミンの合成
【0212】
【化37】

【0213】
ナトリウムトリアセトキシル−ボロヒドリド(66mg、0.31mmol)を、1mlの1,2−ジクロロエタン中における5−(フラン−3−イル)ピリジン−3−アミン(25mg、0.156mmol)及び4−イソプロポキシ−3−メトキシベンズアルデヒド(31mg、0.156mmol)の溶液に添加した。酢酸(9mg、0.156mmol)を添加した。混合物を終夜室温で撹拌し、その後5mlのDCEを添加した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーターにより除去し、残渣を分取HPLCにより精製して、11mgの5−(フラン−3−イル)−N−(4−イソプロポキシ−3−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミンを得た。
【0214】
H NMR(300MHz、CDOD)δ(ppm):1.31(d,J=6Hz,6H),3.84(s,3H),4.43(s,2H),4.53(m,1H),6.92(d,J=3Hz,1H),6.96(s,2H),7.05(s,1H),7.7(s,1H),7.82(s,1H),7.88(d,J=3Hz,1H),8.18(s,1H),8.22(s,1H)。HPLC:YMC Pack ODS−AQ 3.0mm×50mm;溶媒A=水/MeOH(90/10)中における0.1%TFA(トリフルオロ酢酸);溶媒B=MeOH/水(90/10)中における0.1%TFA;B(%):流量=2ml/分で4分かけて0%から100%へ。RT=2.68分。ESI−MS:m/z(M+H)=339。
【0215】
5.23. 1−(4−((1H−イミダゾール−1−イル)メチル)−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2,2−ジフェニルエタノンの合成
【0216】
【化38】

【0217】
THF(10ml)中における4−(1H−イミダゾール−1−イル)メチル)−4−フェニルピペリジン(80mg、0.288mmol、1.0当量)、2,2−ジフェニル酢酸(0.288mmol、61mg、1当量)、ポリマー結合DCC(234mg、負荷量(loading):1.23mmol/g、3当量)及びHOBt(0.144mmol、19.5mg、0.5当量)の混合物を、50℃で終夜撹拌した。反応の完了後、ポリマー試薬を濾過し、THF(5ml)で洗浄した。濾液を濃縮して粗生成物を得て、該粗生成物を分取HPLCにより精製して、45mgの1−(4−((1H−イミダゾール−1−イル)メチル)−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2,2−ジフェニルエタノンを得た。収率:36%。
【0218】
NMR:H−NMR(400MHz、CDOD):δ1.5(m,1H),1.8(m,1H),2.2(d,1H),2.4(d,1H),2.9(m,1H),3.1(m,1H),4.0(d,1H),4.3(s,2H),4.5(d,1H),5.5(s,1H),7.0(s,1H),7.1〜7.5(m,16H),8.1(s,1H)。分析HPLC:RT2.93、(純度99%)M+1:436(RT:1.56)。ESI−MS:m/z(M+H)=436。
【0219】
5.24. in vitro阻害アッセイ
ヒトTPH1、TPH2、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PH)を全て、それぞれ以下のアクセッション番号を有する遺伝子を使用して生成した:X52836、AY098914、X05290及びU49897。
【0220】
ヒトTPH1の全長コード配列を細菌発現ベクターpET24(Novagen, Madison, WI, USA)中にクローニングした。発現ベクターを保有するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを50mlのLブロス(LB)−カナマイシン培地に接種し、振盪しながら37℃で終夜増殖させた。その後培養物の半分(25ml)を、1.5%の酵母抽出物、2%のBacto Peptone、0.1mMのトリプトファン、0.1mMの硫酸第一鉄アンモニウム、及び50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を含有する3Lの培地中に移し、酸素を40%で供給し、pHを7.0に維持し、グルコースを添加して37℃でOD600=6となるまで増殖させた。25℃で10時間かけて15%のD−ラクトースを用いてTPH1の発現を誘導した。細胞を遠沈し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄した。
【0221】
プテリンとの結合に基づき、アフィニティクロマトグラフィにより、TPH1を精製した。細胞ペレットを、50mMのTris−Cl(pH7.6)、0.5MのNaCl、0.1%のTween−20、2mMのEDTA、5mMのDTT、プロテアーゼ阻害剤混合物(Roche Applied Science, Indianapolis, IN, USA)、及び1mMのフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)を含有する溶解緩衝液(100ml/20g)に再懸濁し、細胞をミクロフルイダイザーで溶解した。溶解物を遠心分離し、50mMのTris(pH8.0)、2MのNaCl、0.1%のTween−20、0.5mMのEDTA、及び2mMのDTTを含有する緩衝液で平衡化したプテリン結合セファロース4Bカラム上に上清を装荷した(loaded)。カラムを50mlのこの緩衝液で洗浄し、30mMのNaHCO(pH10.5)、0.5MのNaCl、0.1%のTween−20、0.5mMのEDTA、2mMのDTT、及び10%のグリセロールを含有する緩衝液でTPH1を溶出した。溶出した酵素を、200mMのKHPO(pH7.0)、0.5MのNaCl、20mMのDTT、0.5mMのEDTA、及び10%のグリセロールで即座に中和し、−80℃で保存した。
【0222】
ヒトのII型トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH2)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)を、増殖中にTHに関してはチロシンを、及びPAHに関してはフェニルアラニンを細胞に供給したことを除いて本質的に同じ方法で発現させ精製した。
【0223】
50mMの4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)(pH7.0)、60μMのトリプトファン、100mMの硫酸アンモニウム、100uMの硫酸第一鉄アンモニウム、0.5mMのTris(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、0.3mMの6−メチルテトラヒドロプテリン、0.05mg/mlのカタラーゼ、及び0.9mMのDTTを含有する反応混合物において、TPH1活性及びTPH2活性を測定した。TPH1を7.5nMの最終濃度まで添加することにより、反応を開始させた。360nm(励起波長=300nm)での蛍光の変化を追跡することにより、反応の初速度を決定した。様々な化合物濃度でのこれらの活性を測定することにより、TPH1及びTPH2の阻害を決定し、式:
【0224】
【数1】

【0225】
(式中、vは所定の化合物濃度Cでの初速度であり、vはC=0のときのvであり、bはバックグラウンドシグナルであり、Dはヒルの傾き(およそ1に等しい)であり、IC50は最大の酵素活性の半分を阻害する化合物の濃度である)を使用して、所定の化合物の効力を算出した。
【0226】
ヒトのTH活性及びPAH活性を、それぞれL−[3,4−H]−チロシン及びL−[4−H]−フェニルアラニンを使用して生成されたOの量を測定することにより決定した。初めに酵素(100nM)を0.1mMのその基質と共に約10分間インキュベートし、50mMのMOPS(pH7.2)、100mMの硫酸アンモニウム、0.05%のTween−20、1.5mMのTCEP、100uMの硫酸第一鉄アンモニウム、0.1mMのチロシン又はフェニルアラニン、0.2mMの6−メチルテトラヒドロプテリン、0.05mg/mlのカタラーゼ、及び2mMのDTTを含有する反応混合物に添加した。反応を10分間〜15分間進行させ、2MのHClを添加することにより停止させた。その後混合物を活性炭を通して濾過し、濾液の放射活性をシンチレーション計測により決定した。TH及びPAHに対するLX1031の活性を、このアッセイを使用して決定し、TPH1及びTPH2に対する場合と同じ方法で算出した。
【0227】
5.25. 細胞ベースの阻害アッセイ
2つの種類の細胞株をスクリーニングに使用した:RBL2H3は、TPH1を含有し自発的に5−ヒドロキシトリプタミン(trypotamine)(5HT)を産生するラット肥満細胞腫細胞株であり、BONは、TPH1を含有し5−ヒドロキシトリプトファン(5HTP)を産生するヒトカルチノイド細胞株である。CBAを96ウェルプレート形式で行った。HPLCで使用した移動相は、100mMの酢酸ナトリウム(pH3.5)を97%、及びアセトニトリルを3%含有するものであった。WatersのC18カラム(4.6mm×50mm)をWatersのHPLC(モデル2795)と共に使用した。多チャンネル蛍光光度計(モデル2475)を使用して、励起波長として280nm、及び発光波長として360nmを設定することにより、通過液をモニタリングした。
【0228】
RBL CBA:細胞を3時間〜4時間完全培地(5%のウシ血清を含有する)で増殖させ、細胞をプレートウェル(7K細胞/ウェル)に接着させた。その後化合物を0.016μM〜11.36μMの濃度範囲で各ウェルに添加した。対照は、化合物が全く存在しない完全培地中の細胞であった。37℃で3日間のインキュベート後に細胞を回収した。化合物が存在しない場合の細胞の集密度は95%を超えていた。培地をプレートから除去し、細胞を等量の0.1NのNaOHで溶解した。細胞溶解物の大部分を等量の1MのTCAと混合することにより処理した後、ガラス繊維を通して濾過した。5HT濃度を分析するために、濾液を逆相HPLCに装荷した。また、細胞溶解物をごくわずか採取して、使用した濃度での化合物の細胞毒性を反映する細胞のタンパク質濃度を測定した。BCA法を使用することにより、タンパク質濃度を測定した。
【0229】
化合物で処理していない細胞における平均5HTレベルを、上記の式に従ったIC50導出において最大値として使用した。5HTの最小値は、0に設定されるか、又は細胞毒性がない最大濃度の化合物で処理した細胞から求められる。
【0230】
BON CBA:5%ウシ血清を含む等量のDMEM及びF12K中において3時間〜4時間細胞を増殖させ(20K細胞/ウェル)、化合物を0.07μM〜50μMの濃度範囲で添加した。細胞を37℃で終夜インキュベートした。その後50μMの培養上清を5HTP測定のために採取した。上清を等量の1MのTCAと混合した後、ガラス繊維を通して濾過した。5HTP濃度測定のために、濾液を逆相HPLCに装荷した。PromegaのCelltiter−Glo発光細胞生存率アッセイで残存細胞を処理することにより、細胞生存率を測定した。その後RBL CBAと同じ方法で化合物の効力を算出した。
【0231】
上記で開示された全ての刊行物(例えば特許及び特許出願)はその全体が、参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
XはC又はNであり、
Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
は−(CR−であり、
は、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
mは0又は1である)
を有するTPH阻害剤、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式:
【化2】

(式中、
各Rは独立して、必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環又はヘテロアルキル−複素環であり、
nは0〜4である)
を有する、請求項1に記載のTPH阻害剤。
【請求項3】
が水素である、請求項2に記載のTPH阻害剤。
【請求項4】
が水素である、請求項2に記載のTPH阻害剤。
【請求項5】
少なくとも1つのRがアルコキシである、請求項2に記載のTPH阻害剤。
【請求項6】
mが0である、請求項2に記載のTPH阻害剤。
【請求項7】
mが1である、請求項2に記載のTPH阻害剤。
【請求項8】
式:
【化3】

を有する、請求項2に記載のTPH阻害剤。
【請求項9】
式:
【化4】

(式中、
はN、NR、O、CHR又はCRであり、
はN、NR、O、CHR又はCRであり、
はN、NR、O、CHR又はCRであり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環若しくはヘテロアルキル−複素環であり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環若しくはヘテロアルキル−複素環である)
を有する、請求項8に記載のTPH阻害剤。
【請求項10】
がOであり、X及びXが両方ともCHRである、請求項9に記載のTPH阻害剤。
【請求項11】
が水素である、請求項10に記載のTPH阻害剤。
【請求項12】
がNであり、XがNRであり、XがCHRである、請求項9に記載のTPH阻害剤。
【請求項13】
が必要に応じて(optinally)置換されたアルキル又はヘテロアルキルであり、Rが、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルである、請求項10又は11に記載のTPH阻害剤。
【請求項14】
式:
【化5】

(式中、
はN又はCRであり、
はN又はCRであり、
はN又はCRであり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、複素環、アルキルアリール、ヘテロアルキル−アリール、アルキル−複素環若しくはヘテロアルキル−複素環である)
を有する、請求項8に記載のTPH阻害剤。
【請求項15】
式:
【化6】

(式中、
Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Cは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
は−(CR−であり、
は−(CR−であり、
は、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
各mは独立して0又は1である)
を有するTPH阻害剤、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
式:
【化7】

(式中、
Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Cは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Dは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
は−(CR−であり、
は−(CR−であり、
は−(CR−又は−O−であり、
は、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
各mは独立して0又は1である)
を有するTPH阻害剤、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
式:
【化8】

(式中、
Aは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Bは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Cは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
Dは必要に応じて置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
各Rは独立して、ハロ、ヒドロキシル又は低級アルキルであり、
は結合又は−(CH−であり、
は結合又は−(CH−であり、
mは0〜4であり、
各nは独立して0〜2である)
を有するTPH阻害剤、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
Aが必要に応じて置換されたイミダゾールである、請求項17に記載のTPH阻害剤。
【請求項19】
Bが必要に応じて置換されたフェニルである、請求項17に記載のTPH阻害剤。
【請求項20】
Cが必要に応じて置換されたフェニルである、請求項17に記載のTPH阻害剤。
【請求項21】
Dが必要に応じて置換されたフェニルである、請求項17に記載のTPH阻害剤。
【請求項22】
式:
【化9】

(式中、
各Rは独立して、ハロ、ヒドロキシル又は低級アルキルであり、
各Rは独立して、ハロ、ヒドロキシル又は低級アルキルであり、
pは0〜5であり、
qは0〜5である)
を有する、請求項17に記載のTPH阻害剤。

【公表番号】特表2012−504642(P2012−504642A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530229(P2011−530229)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059229
【国際公開番号】WO2010/039957
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】