説明

ドーパミン作動薬の非経口製剤

本発明は、代謝障害又はそのキー要素の治療に有用なドーパミン作動薬と末梢作用剤とを含む非経口投与用の安定な医薬組成物に関する。この非経口投与形態物は、有効期間が長く安定であり、特徴的な薬物動態を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年6月23日出願の先行米国特許出願第12/144,620号の一部継続出願であり、2008年1月14日出願の米国仮特許出願第61/020,930号の優先権を主張するものである。上述の各出願の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ドーパミン作動薬を単独で含むか、又は代謝障害の治療に有用な末梢作用剤と組合わせて含む医薬用非経口投与製剤、このような製剤を調製するためのプロセス、及びこのような製剤を用いた治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ドーパミン作動薬は、偏頭痛やパーキンソン病、末端肥大症、高プロラクチン血症、プロラクチノーマ、乳漏症、無月経症、代謝障害等の各種疾患の治療に有用である。ドーパミン作動薬は錠剤やカプセル剤の形態で投与するのが通常好ましいとされている。しかし、ドーパミン作動薬を経腸投与すると幾つかの問題が生じることがある。
【0004】
胃腸(GI)管の胃粘膜や腸粘膜によって吸収されたドーパミン作動薬は、例えば、通常内臓(主に肝臓)による広範囲の「初回通過」代謝や分解を経た結果、体循環に到達するのは投与された量に対して非常に少ない割合となる。初回通過代謝は、経口投与された薬物が腸や肝臓内で不活性化されることに起因し、その後、薬物は体循環に到達し、体内の他の器官や組織へ送達される。従って、医薬用途の初回通過代謝を受ける医薬用途の化合物の経口用量は、実質的な最初の薬物損失を補うのに十分な程に高くして、十分量の薬物が体循環に到達し、治療効果が得られるようにする必要がある。
【0005】
また、胃粘膜や腸粘膜によるドーパミン作動薬の吸収は、ドーパミン作動薬やその代謝物が望ましくない副作用(例えば、吐き気や嘔吐、腹痛、便秘、下痢)を生じさせる場合があるので問題となり得る。治療有効性を得るために初回通過代謝を補う上で必要な投与量の増加によって、望ましくないGI副作用の可能性が高まる。
【0006】
初回通過代謝や内臓曝露は、胃粘膜及び/又は腸粘膜以外の経路によるドーパミン作動薬の投与や実質的な吸収をもたらす非経口薬物投与形態物によって実質的に回避することができる。また、非経口薬物投与形態物の場合、初回通過代謝を克服する必要がないため、治療用ドーパミン作動薬の投与全量を低減させるためのメカニズムをもたらす点でも有益である。
【0007】
しかし、麦角誘導体ドーパミン作動薬を含む安定な非経口製剤の製造は、麦角誘導体が光や水に対して非常に不安定であるため特に困難である。従って、麦角誘導体は、光を避け、水和を防止するように処方する必要がある。
【0008】
また、代謝障害やそのキー要素(key elements)を治療するのに有用な製剤の場合、各種ホルモンレベルの日常の変動を考慮に入れた特定の薬物動態プロファイルを作成する必要がある。即ち、代謝障害に関与するホルモンの多くは、血清中レベルが変動する日常の概日リズムを示す。このようなホルモンとしては、例えば、糖質コルチコステロイド(特に、コルチゾール)やプロラクチン(下垂体によって分泌されるホルモン)等の副腎ステロイドが挙げられる。これら日常のリズムは、代謝疾患を把握し治療する上での有用な指標を提供する。例えば、痩せた動物と肥えた動物の場合、プロラクチンの濃度ピークが現れる時間は一日の内でも異なる。
【0009】
健常なヒトの場合、正常な日常のプロラクチンレベルプロファイルは規則性が高く、再現性があり、その特徴としては、日中はレベルが低くて比較的一定であるが、その後、夜間にはピークが鋭くなり、また、日中には低レベルに戻る。米国特許第5,679,685号を参照のこと(尚、該特許の内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。代謝障害やそのキー要素を有する被験体のプロラクチンプロファイルを種と性別が同じ健常な被験体のプロラクチンプロファイルに類似させるように変更することによって、被験体に対する治療効果を得ることができる。ドーパミン作動薬は、代謝疾患及び/又は代謝疾患のキー要素を治療するための有用な剤であり、これを用いて、代謝疾患を有する、及び/又はそのキー要素を示す被験体における日常のプロラクチンプロファイルを健常なヒトのプロラクチンプロファイルにリセットすることができる。
【0010】
投与されたドーパミン作動薬は中枢に作用し、代謝疾患を有する被験体の末梢代謝を制御する異常な神経内分泌イベントを「正常」な方向に再調整することができる。従って、ドーパミン作動薬療法は、代謝障害(例えば、肥満、2型糖尿病、糖尿病前症、心血管代謝リスク及び/又はメタボリックシンドロームに関連するものが挙げられるが、これらに限定されない)の発生や維持における病因論的因子に影響を及ぼし得る。この療法は、その特有の中枢作用メカニズムのため、ドーパミン作動薬療法では十分に軽減できない代謝疾患の特定の要素を明らかにする上で有効な特定の末梢生化学を標的とする様々な末梢作用剤(例えば、血漿コレステロールの上昇を抑えるHMGCoAレダクターゼ阻害剤や、ドーパミン作動薬療法とは異なるメカニズムで血圧を低下させる降圧剤、ドーパミン作動薬の糖代謝に対するリセット作用を増強する糖尿病治療剤(食後インスリン分泌促進物質やインスリン自身、抗炎症剤、抗凝固剤等))と組合わせるのが有効となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当該技術分野においては、ドーパミン作動薬を投与するため(特に、代謝疾患を治療するため)の改良製剤が必要である。従って、本明細書に開示の非経口ドーパミン作動薬を投与するのに適した改良製剤によって問題が回避され、先行技術製剤に関連する代謝疾患を効果的に治療するための方法が改良される。本明細書に開示の製剤によって、例えば、薬物の経口摂取に起因する初回通過代謝や望ましくない副作用の発生、有効性への影響等の問題が回避される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、ドーパミン作動薬を投与するための製剤(例えば、一以上のドーパミン作動薬と一以上の末梢作用剤を含む製剤)、及びこのような製剤を用いて代謝障害を治療する方法に関する。
【0013】
本発明はその一実施形態において、一以上のドーパミン作動薬を含む有効剤と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む投与形態物であって、非経口投与に適しており、次の薬物動態プロファイル、即ち、血漿Tmaxが投与後約1〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式(first order elimination kinetics)に近似したプロファイルを示す投与形態物を提供する。
【0014】
本発明は他の実施形態において、代謝障害又はその少なくとも一キー要素を治療するための方法であって、一以上のドーパミン作動薬を含む有効剤と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む投与形態物の治療有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法において、前記投与形態物は、非経口投与に適しており、次の薬物動態プロファイル、即ち、血漿Tmaxが投与後約1〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似したプロファイルを示す方法を提供する。
【0015】
本発明は他の実施形態において、血漿中ノルエピネフリンレベルの上昇を抑制する方法であって、一以上のドーパミン作動薬を含む有効剤と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む投与形態物の治療有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法において、前記投与形態物は、非経口投与に適しており、次の薬物動態プロファイル、即ち、血漿Tmaxが投与後約1〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似したプロファイルを示す方法を提供する。
【0016】
本発明は他の実施形態において、日中の血漿中プロラクチンレベルに対する夜間の血漿中プロラクチンレベルの上昇を維持しながら日中の血漿中プロラクチンレベルを低下させる方法であって、一以上のドーパミン作動薬を含む有効剤と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む投与形態物の治療有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法において、前記投与形態物は、非経口投与に適しており、次の薬物動態プロファイル、即ち、血漿Tmaxが投与後約1〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似したプロファイルを示す方法を提供する。
【0017】
本発明は他の実施形態において、心血管関連炎症因子又は心血管疾患又は心血管疾患のキー要素の増大を抑制するための方法であって、一以上のドーパミン作動薬を含む有効剤と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む投与形態物の治療有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法において、前記投与形態物は、非経口投与に適しており、次の薬物動態プロファイル、即ち、血漿Tmaxが投与後約1〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似したプロファイルを示す方法を提供する。
【0018】
本発明はその一実施形態において、一以上のドーパミン作動薬を含む有効剤と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む投与形態物であって、非経口投与に適しており、次の薬物動態プロファイル、即ち、血漿Tmaxが投与後約5〜約90分であり、Cmax後レベルがCmaxの約半分となるのがTmaxの約30〜約150分以内であり、Cmax後レベルがCmaxの約半分を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似したプロファイルを示す投与形態物を提供する。
【0019】
本発明は他の実施形態において、一以上のドーパミン作動薬を含む非経口投与形態物の投与によって代謝障害又はそのキー要素を治療するための方法であって、血漿中ノルエピネフリンレベル及び血漿中プロラクチンレベルの上昇を抑制すると共に、新しく得られた平均日中循環プロラクチンレベルに対して夜間の血漿中プロラクチンレベルを上昇させる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、ドーパミン作動薬を投与するための本発明に係る非経口投与製剤の薬物動態プロファイルを示すグラフである。
【図2】図2は、ドーパミン作動薬を投与するための本発明に係る非経口投与製剤の他の薬物動態プロファイルを示すグラフである。
【図3】図3は、SHRラットモデルにおいて34Gel製剤(10mg/kg)で7日間非経口処理した際のインスリン抵抗性(HOMA−IR)に及ぼす作用を示すグラフである。
【図4】図4は、SHRラットモデルにおいて34Gel製剤(10mg/kg)で7日間非経口処理した際の血漿インスリンレベルに及ぼす作用を示すグラフである。
【図5】図5は、SHRラットモデルにおいて34Gel製剤(10mg/kg)で7日間非経口処理した際の血圧に及ぼす作用を示すグラフである。
【図6】図6は、SHRラットモデルにおいて34Gel製剤(10mg/kg)で7日間非経口処理した際の体重変化に及ぼす作用を示すグラフである。
【図7】図7は、SHRラットモデルにおいて34Gel製剤(10mg/kg)で7日間非経口処理した際の体重に及ぼす作用を示すグラフである。
【図8】図8は、SHRラットモデルにおいて34Gel製剤(10mg/kg)で7日間非経口処理した際のエンドセリン−1レベルに及ぼす作用を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書に開示の非経口投与形態物は、例えば、一以上のドーパミン作動薬を単独で投与するか、又は一以上の抗高血圧剤、抗高コレステロール血症剤、抗高トリグリセリド血症剤、抗炎症剤、抗凝固剤又は抗高血糖剤と組合わせて投与するのに適している。該投与形態物は、生理学的特性(例えば、一定の神経内分泌作用を誘導し、代謝障害及び/又はそのキー要素の治療を可能とする薬物動態プロファイル)を示す。該投与形態物は有効剤と一以上の賦形剤とを含む。
【0022】
該投与形態物は、代謝障害及び/又は該障害のキー要素(例えば、2型糖尿病や糖尿病前症(空腹時高血糖や耐糖能障害)、メタボリックシンドロームやその指標(キー要素)(腹囲の増加や空腹時血漿グルコースの増加、空腹時血漿トリグリセリドの増加、空腹時高密度リポタンパク質レベルの低下、血圧の上昇)、インスリン抵抗性、高インスリン血症、心血管疾患(又はそのキー要素、例えば、動脈硬化や冠動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患)、うっ血性心不全、肥満、血漿ノルエピネフリンの増加、心血管関連炎症因子の増加、高リポ蛋白血症、アテローム性動脈硬化、過食症、高血糖症、高脂血症、高血圧症(血圧上昇)、食後血漿トリグリセリド又は遊離脂肪酸レベルの上昇、細胞酸化ストレス又はその血漿指標の増加、循環高凝固状態の増加、腎疾患(例えば、腎不全)等が挙げられるが、これらに限定されない)の治療に特に好適である。
【0023】
ドーパミン作動薬と末梢標的剤とを含む該投与形態物は、必要に応じて特定の患者群に適用することができ、例えば、高コレステロール血症の2型糖尿病患者に対してはドーパミン作動薬+HMGCoAレダクターゼ製剤、非常に高血圧の2型糖尿病患者に対してはドーパミン作動薬+降圧薬、更にはその他の組合わせが挙げられる。また、ドーパミン作動薬+末梢標的剤療法の組合わせは、各成分を適切に投与することのできる単一製剤の範囲であれば、更に特有な価値や有用性を有するであろう。実際、このような製剤は、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム及び/又は心血管代謝リスクの一般の代謝疾患に関連する多発奇形を1日1回の薬物の単回投与で治療するために医学界や薬学界が捜し求めてきた「ポリピル(poly pill)」となり得るであろう。非経口製剤によって、本明細書に記載のドーパミン作動薬の用量を最適化し、低減させることができると共に、ある実施形態においては、HMGCoAレダクターゼ阻害剤も初回通過肝代謝を経ることができる。
【0024】
また、本発明に係る組合わせ非経口製剤によって、個々の患者基準での必要に応じ、全体的代謝疾患(高血圧症、脂質異常症及び高血糖症)に向けられた中枢作用「リセット」成分と共に特定の代謝疾患標的(高血圧症、脂質異常症又は高血糖症)に向けられた数種の末梢作用剤のいずれかを含む代謝疾患療法を被験体に合わせることができる。また、同時に、本発明に係る組合わせ非経口製剤によって、ドーパミン作動薬及び/又は末梢作用剤の投与量を少なくすることもできるため、ドーパミン作動薬や末梢作用剤の投与に伴って生じ得る副作用を軽減又は完全に回避することができる。例えば、ドーパミン作動薬投与から数時間後に末梢抗高血圧剤の濃度がピークに達するようにすることによって、起立性低血圧や失神、意識喪失の可能性を低減又は回避することができる。他の例においては、HMGCoAレダクターゼ阻害剤と併用した場合、ドーパミン作動薬及びHMGCoAレダクターゼ阻害剤はいずれも初回通過肝代謝を経る(即ち、麦角関連ドーパミン作動薬の場合、両方とも代謝用に同一のシトクロムP450−3A経路を実際に利用する)ため、用いるドーパミン作動薬及びHMGCoAレダクターゼ阻害剤の両方の投与量を少なくすることができる。HMGCoAレダクターゼ阻害剤がドーパミン作動薬の後に放出され、肝臓における代謝用競合的相互作用の機会が少なくなった場合、このような有利な状況によって、各化合物の循環用量を更に良く予測することができる。これによって、これらの剤の各々で見られる筋肉痛に対する潜在的な副作用が抑制される。更なる例においては、ドーパミン作動薬をインスリン分泌促進剤(例えば、継続的、又は好ましくは、食後インスリン分泌促進剤)と併用した場合、このような製剤によって、投与を1日1回で済ませることができる。即ち、本発明に係る製剤によって、インスリンが容易に即座に放出され、その4時間後には更にインスリンが放出され、こうして、朝食及び昼食後の適切な時間におけるインスリン放出が容易に行われ、それと同時に、低血糖症(即ち、あらゆる抗糖尿病薬を用いた場合の重要な考慮要件)のリスクが最小限に抑えられる。
【0025】
本明細書に開示の非経口投与形態物は経口投与形態物に比べて望ましい特性を有するが、その例としては、代謝疾患及び/又は代謝疾患のキー要素を治療する上での送達薬物の有効性の向上や、治療効果を得るために投与されるドーパミン作動薬の量の低減、薬物の活性代謝物の循環レベルの低減、代謝物に対する薬物の循環レベル比の増大、治療指数(即ち、薬物の作用/薬物の副作用)の向上、初回通過代謝の排除、腸内のドーパミン作動薬結合部位との薬物相互作用に起因する胃腸副作用の回避が挙げられる。更に、本明細書に開示の投与形態物は、医師の厳重な管理下になくても患者が自ら投与できる点で有利である。
【0026】
本明細書に記載の組成物を用いて代謝疾患を治療した場合、等量のドーパミン作動薬を経口投与した場合と比べてより良い結果が得られる。一様相においては、非経口製剤の投与量を少なくしても、同一のドーパミン作動薬から成る経口製剤の投与量を多くした場合と同等の効果を得ることができる。他の様相においては、ドーパミン作動薬の投与量を少なくすることによってドーパミン作動薬代謝物の量を低減させる(特に、麦角関連ドーパミン作動薬の場合)。更に他の様相においては、非経口製剤を投与することにより、同じ量の有効剤を有する経口製剤を投与する場合と比べて、親化合物の活性に対抗する生物学的活性を有すると考えられる代謝物の産生が抑制される。また、本願の発明者らは、驚くべきことに、代謝疾患の治療に用いるドーパミン作動薬は、本明細書に記載のように適切な投与量で一日の所定の時間に用いると、活性代謝物レベルが低下した場合により効果的であることを見出した。このように、非経口投与形態物は、等モル循環濃度の経口投与形態物と比べて治療有効性が高いが、この理由としては活性代謝物の相対レベルが低いことが挙げられる。
【0027】
従って、ドーパミン作動薬の経口製剤と同等のTmaxレベルが得られるドーパミン作動薬の非経口投与形態物によって、血液循環における親ドーパミン作動薬/代謝物の相対比を増大させ、経口投与されたドーパミン作動薬の同等のTmaxレベルに対し、代謝疾患を治療する上でのドーパミン作動薬の有効性を向上させることができる。例えば、代謝疾患治療用の経口投与形態物によって投与されるドーパミン作動薬の治療有効量は1mg/日であり、血液循環において100μgの作動薬と900μgの代謝物(初回通過代謝に起因)が産生する。これに対し、非経口投与形態物の場合、薬物の初回通過代謝が殆ど又は全く無く、約20μgの代謝物のみが経時的に産生するため、120μgのドーパミン作動薬の投与で同じ「有効」用量のドーパミン作動薬が血液循環において得られる。従って、薬物/代謝物の比は、経口投与の場合は100/900であり、非経口製剤の場合は100/20である。このように、親化合物の代謝活性に対する代謝物の反作用効果は、特に本明細書に記載のように投与した場合に低下する。
【0028】
他の様相においては、本明細書に開示の投与形態物は安定であり、長期間保存に亘る投与に適している。本明細書に開示の投与形態物における不可逆的凝集は、数ヶ月間保存した場合でも排除又は抑制される。
【0029】
本明細書に開示の投与形態物に含有させる有効ドーパミン作動剤としては、例えば、非麦角誘導体や麦角関連誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。有効ドーパミン作動剤としては、D1ドーパミン受容体作動薬及び/又はD2ドーパミン受容体作動薬が挙げられる。ある実施形態においては、治療を必要とする被験体にD1ドーパミン作動薬を投与する。他の実施形態においては、治療を必要とする被験体にD2ドーパミン作動薬を投与する。本発明の更に他の実施形態においては、治療を必要とする被験体にD1ドーパミン作動薬を投与すると共にD2ドーパミン作動薬を投与する。
【0030】
本明細書に開示の投与形態物に含有させる活性末梢作用剤としては、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗凝固剤、抗高コレステロール血症剤、抗高トリグリセリド血症剤及び/又は抗高血糖剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、活性末梢作用剤はHMGCoAレダクターゼ阻害剤である。
【0031】
本明細書に開示の投与形態物は、D1ドーパミン受容体作動薬を含む(又は、本質的にD1ドーパミン受容体作動薬から成る、或いはD1ドーパミン受容体作動薬を含有する)ことができるが、D1ドーパミン受容体作動薬は単独で、又はD2ドーパミン受容体作動薬と組合わせて含むことができ、更に必要に応じて、一以上の活性末梢作用剤と組合わせることもできる。
【0032】
本明細書において、「同席(conjoined)」治療や投与、又は「併用」治療や投与とは、少なくとも第1の有効剤の第1の量と第2の有効剤の第2の量とを被験体に投与することを意味する。有効剤は単一の製剤又は投与形態物で投与してもよく、別々の投与形態物で投与してもよい。別々の投与形態物で有効剤を投与する場合、投与を同時に行ってもよく、異なる時間に行ってもよい。例えば、D1作動薬とD2作動薬の投与を同時に(同一の投与形態物又は二以上の分割投与形態物によって)行ってもよく、異なる時間に異なる投与形態物で逐次的に行ってもよい。
【0033】
ヒトや脊椎動物にD1作動薬のみ(D2作動薬を併用しない)を非経口で投与する場合の治療有効量は通常、約1.0μg/kg/日〜約10.0mg/kg/日の範囲内である。好ましくは、ヒトや脊椎動物にD1作動薬のみを投与する場合の治療有効量は通常、約1.0μg/kg/日〜約7.0mg/kg/日の範囲内である。より好ましくは、ヒトや脊椎動物にD1作動薬のみを投与する場合の治療有効量は通常、約1.0μg/kg/日〜約5.0mg/kg/日の範囲内である。最も好ましくは、ヒトや脊椎動物にD1作動薬のみを投与する場合の治療有効量は通常、約2.0μg/kg/日〜約3.0mg/kg/日の範囲内である。
【0034】
ヒトや脊椎動物にD2作動薬のみ(D1作動薬を併用しない)を非経口で投与する場合の治療有効量は通常、約0.5μg/kg/日〜約300μg/kg/日の範囲内である。好ましくは、ヒトや脊椎動物にD2作動薬のみを投与する場合の治療有効量は通常、約0.5μg/kg/日〜約250μg/kg/日の範囲内である。より好ましくは、ヒトや脊椎動物にD2作動薬のみを投与する場合の治療有効量は通常、約0.5μg/kg/日〜約200μg/kg/日の範囲内である。最も好ましくは、ヒトや脊椎動物にD2作動薬のみを投与する場合の治療有効量は通常、約1.0μg/kg/日〜約150μg/kg/日の範囲内である。
【0035】
ヒトや脊椎動物に治療有効量のD1作動薬とD2作動薬を併用して非経口で投与する場合、用いるD1作動薬及びD2作動薬の各々を約15%少なくすることができる。好ましくは、ヒトや脊椎動物に治療有効量のD1作動薬とD2作動薬を併用して非経口で投与する場合、用いるD1作動薬及びD2作動薬の各々を約17%少なくする。より好ましくは、ヒトや脊椎動物に治療有効量のD1作動薬とD2作動薬を併用して非経口で投与する場合、用いるD1作動薬及びD2作動薬の各々を約20%少なくする。最も好ましくは、ヒトや脊椎動物に治療有効量のD1作動薬とD2作動薬を併用して非経口で投与する場合、用いるD1作動薬及びD2作動薬の各々を少なくとも約25%少なくする。
【0036】
非コロイド形態のドーパミン作動薬は通常、約5〜175μmの範囲の粒径(d90)に調製する。好ましくは、非コロイド形態のドーパミン作動薬は約5〜150μmの範囲の粒径に調製する。より好ましくは、非コロイド形態のドーパミン作動薬は通常、約5〜125μmの範囲の粒径に調製する。最も好ましくは、非コロイド形態のドーパミン作動薬は約10〜100μmの粒径に調製することができる。
【0037】
コロイド形態のドーパミン作動薬は通常、約0.1〜5.0μmの範囲の粒径に調製する。好ましくは、コロイド形態のドーパミン作動薬は通常、約0.1〜3.0μmの範囲の粒径に調製する。より好ましくは、コロイド形態のドーパミン作動薬は通常、約0.1〜2.0μmの範囲の粒径に調製する。最も好ましくは、コロイド形態のドーパミン作動薬は通常、約0.1〜1.0μmの範囲の粒径に調製する。
【0038】
1ドーパミン作動薬は、D1ドーパミン受容体又はD1様受容体(例えば、D1及びD5ドーパミン受容体)を活性化又は増強する。また、D1作動薬は、D2受容体よりもD1受容体に対して選択的な作動薬でもある(即ち、D1作動薬は、D2受容体に比べてD1受容体に対するKiやEC50が低い)。一実施形態においては、D1作動薬は弱い作動薬である(例えば、Ki又はEC50が1μM又は1mMを超える)か、部分作動薬である(D2部位に対する内因性ドーパミンと比べて結合親和性が低い)か、又はD2作動薬ではない(例えば、Ki又はEC50が10mMを超える)。
【0039】
1ドーパミン受容体を活性化又は増強することが可能なD1ドーパミン作動薬は当該技術分野ではよく知られている。D1作動薬の例としては、ドーパミンやアポモルヒネ、SKF38393、ジヒドレキシジン、SKF75670、SKF82957、SKF81297、SKF82958、SKF82598、A77636、A68930、SKF82526(フェノルドパム)、ラセミトランス−10,11−ジヒドロキシ5,6,6a、7,8,12b−ヘキサヒドロ及び関連するベンザゼピン類似体、本明細書に引用した文献に開示のD1作動薬が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいD1ドーパミン作動薬はSKF38393又はアポモルヒネである。例えば、米国特許第6,855,707号参照のこと(尚、該特許の内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。
【0040】
2ドーパミン作動薬は、D2ドーパミン受容体(例えば、D2受容体や短D2受容体、長D2受容体、D4受容体及びD4ドーパミン受容体)を活性化又は増強する。一実施形態においては、D2作動薬は、D1受容体よりもD2受容体に対して選択的な作動薬である。更なる実施形態においては、D2作動薬は弱いD1作動薬であるか、又はD1作動薬ではない。D2ドーパミン作動薬の例は当該技術分野ではよく知られている。
【0041】
麦角関連D2作動薬としては、例えば、2−ブロモ−α−エルゴクリプチン(ブロモクリプチン)やテルグリド、ジヒドロエルゴトキシン(ヒデルギン)、エルフォトキシン、6−メチル8β−カルボベンジルオキシ−アミノエチル−10−α−エルゴリン、8−アシルアミノエルゴリン、6−メチル−8−α−(N−アシル)アミノ−9−エルゴリン、リスリド、ジヒドロ−α−エルゴクリプチン、ジヒドロ−α−エルゴトキシン、6−メチル−8−α−(N−フェニル−アセチ)アミノ−9−エルゴリン、エルゴコルニン、9,10−ジヒドロエルゴコルニン、いずれかのD−2−ハロ−6−アルキル−8−置換エルゴリン、D−2−ブロモ−6−メチル−8−シアノメチルエルゴリンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの内、ブロモクリプチン、リスリド、又はセロトニン5HT2B受容体作動薬活性を殆ど又は全く有しない麦角関連化合物が最も好ましい。
【0042】
非麦角関連ドーパミンD2作動薬の例としては、ロピニロールやピリベジル、アポモルヒネ、キネロラン、タリペキソールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
末梢作用剤の例としては、抗高血圧作用、抗炎症作用、抗高コレステロール血症作用、抗高トリグリセリド血症作用及び/又は抗高血糖作用を示す物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
抗高血圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤やアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)、カルシウムチャネル遮断剤、β−遮断剤、α−遮断剤、利尿剤である剤が挙げられるが、これらに限定されない。抗高血圧剤の例としては、ブメタニドやエタクリン酸、フロセミド、トルセミド、クロルタリドン、エピチジド、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、インダパミド、メトラゾン、アミロライド、トリアムテレン、スピロノラクトン、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、ドキサゾシン、フェントラミン、インドラミン、フォノキシベンザミン、プラゾシン、テラゾシン、トラゾリン、ブシンドロール、カルベジロール、ラベタロール、クロニジン、メチルドパ、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドプリル、ベンザプリル、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、スピロノラクトン、ニトロプルシドナトリウム、グアナベンズ、グアネチジン、レセルピン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
抗高コレステロール血症剤としては、例えば、HMGCoAレダクターゼ阻害剤(スタチン類)やコレステロール吸収を遮断する剤が挙げられるが、これらに限定されない。抗高コレステロール血症剤の例としては、アトルバスタチンやセリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、コレスチラミン、シトステロール、エゼチミブ、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ニコチン酸、コレスチポール、コレセベラム等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいスタチン剤は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンである。
【0046】
抗高トリグリセリド血症剤としては、例えば、フィブラート類が挙げられるが、これに限定されない。抗高トリグリセリド血症剤の例としては、ゲムフィブロジルやクロフィブラート、ベザフィブラート、クルミ油等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
抗高血糖剤としては、例えば、ビグアナイド類やインスリン分泌促進物質、インスリン抵抗性改善剤が挙げられるが、これらに限定されない。抗高血糖剤の例としては、インスリンやスルホニル尿素系薬剤、メトホルミン、レパグリニド、ナテグリニド、グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン類、GLP−1類似体、DPP IV阻害剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
投与形態物には、血流内での薬物の放出を速く又は遅くするように処方されたドーパミン作動薬を含有させることができる。投与形態物は固形又は自由流動性である。
【0049】
本明細書において「固形」とは、室温で固形又は半固形の物質を意味する。従って、本明細書における「固形」物質は、例えば、体温では液体になることもある。
【0050】
ある実施形態においては、投与形態物は、有効成分が二相性放出(例えば、高速放出(a/k/a即時放出)相及び低速放出(a/k/a遅延放出)相)するように処方することができる。有効剤の高速放出及び低速放出は、異なる組成を有する成分(各成分は高速又は低速溶解によって特徴付けられる)を分割することによって物理的に分けることができる。他の実施形態においては、高速及び低速放出相は、例えば、高速溶解で特徴付けられる外層と低速溶解で特徴付けられる内層とを含み得る単一の併用投与形態物において得られる。
【0051】
他の実施形態においては、高速溶解を特徴とする溶解ドーパミン作動薬と低速溶解を特徴とするドーパミン作動薬のコロイド懸濁液とを投与形態物に含有させることができる。小さい粒径(約0.02〜約5.0μm)のドーパミン作動薬をコロイド懸濁液に含有させることによって、高速の溶解及び吸収が促進される。しかし、コロイド懸濁液中の小さい粒径(約0.02〜約5.0μm)のドーパミン作動薬の高速の溶解及び吸収は、溶液中に既に存在するドーパミン作動薬に比べて遅い。小粒径ドーパミン作動薬は約0.1〜約3.0μmであるのが好ましい。小粒径ドーパミン作動薬は約0.1〜約2.0μmであるのがより好ましい。小粒径ドーパミン作動薬は約0.1〜約1.0μmであるのが最も好ましい。
【0052】
大きい粒径(d90)(約5.0μm超)のドーパミン作動薬を含有させることによって、低速の溶解及び吸収が促進される。約5μm超〜150μmの大粒径(d90)のドーパミン作動薬を含有させて低速の溶解及び吸収を促進するのが好ましい。約5μm超〜125μmの大粒径(d90)のドーパミン作動薬を含有させて低速の溶解及び吸収を促進するのがより好ましい。約10μm超〜100μmの大粒径(d90)のドーパミン作動薬を含有させて低速の溶解及び吸収を促進するのが最も好ましい。
【0053】
ある実施形態においては、小粒径及び大粒径のドーパミン作動薬粒子が製剤中に約50/50の比で存在する。小粒径及び大粒径のドーパミン作動薬粒子が約60/40の比で存在するのがより好ましい。小粒径及び大粒径のドーパミン作動薬粒子が約70/30の比で存在するのが最も好ましい。
【0054】
ある実施形態においては、錠剤や他の固形投与形態物内で小粒径成分は1.0μmであり、大粒径は1〜100μmである。
【0055】
哺乳類被験体(特にヒト)の日中プロラクチンレベルが異常に高い(種と性別が同じ被験体の正常な日中レベルのいずれと比べても少なくとも1標準誤差(SEM)高い)場合には、プロラクチン阻害剤(ブロモクリプチン等)を該被験体に24時間中の所定時間に投与することができる。投与及びそのタイミングは、該被験体の異常に高い日中プロラクチンレベルを低下させるように設定する。しかし、該被験体の夜間プロラクチンレベルが異常に低い場合には、プロラクチン刺激剤を24時間中の異なる所定時間に投与して、夜間プロラクチンレベルを好ましくは、同じ性別の正常な夜間プロラクチンレベルをほぼ下回らないように上昇させる必要もあり得る。また、プロラクチン阻害剤とプロラクチン刺激剤の両方を同一の被験体に異なる時間に投与し、日中プロラクチンレベルを低下させると共に夜間プロラクチンレベルを上昇させることが必要な場合もあり得る。
【0056】
投与製剤には次の成分、即ち、賦形剤、非水系溶媒、薬学的に許容し得る懸濁媒体、担体又は希釈剤、界面活性化合物、浸透圧調整用調節剤、生体接着剤、ポリマー、浸透化剤、安定剤、無水粘膜組織刺激抑制剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯味剤及び甘味剤、ゲル化剤、不活性ガス、酸化防止剤、防腐剤、湿潤剤、界面活性剤、放出制御剤、色素、結合剤、懸濁剤及び分散剤、着色剤、フィルム形成剤、可塑剤、又は上述の二以上のいずれかの組合わせ(尚、成分はこれらに限定されない)の一以上を更に含有させることができる。
【0057】
投与形態物に用いる賦形剤は、非経口投与形態物の種類に応じて変わる。投与形態物に適した賦形剤は当業者にはよく知られており、有効剤や投与様式、有効剤の望ましい放出プロファイルに応じて変わる。製剤に用いるのに適した賦形剤の非限定的な例については後述する。
【0058】
「薬学的に許容し得る賦形剤」とは、それ自体が治療作用及び/又は予防作用を実質的に有しないという意味で不活性な如何なる物質をも示すことを意図する。このような賦形剤は、許容し得る技術的特性を有する医薬組成物が得られることを目的に添加する。
【0059】
非水系溶媒の例としては、プロピレングリコールやグリセロール、短鎖置換又は非置換アルコール(例えば、エタノールやイソプロパノール、プロパノール)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、非水系溶媒として各種グリコール及び/又はアルコールを単独で、或いは組合わせて用いることができるが、それには限定されず、治療用量に含まれる無毒性溶媒の量が例えば、0.02〜0.5mLとなるようにする。
【0060】
薬学的に許容し得る懸濁媒体又はマトリックスの例としては、合成油、半合成油又は天然油(好ましく用いることのできるのは、カルボン酸部分の鎖長がC8〜C10の中鎖長トリグリセリド)、大豆油、ゴマ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ココナッツ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、上述の油の少なくとも二種の混合物又は対応する硬化油、ベントナイト、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース又はその誘導体、植物ゴム、各種サイズのポリエチレングリコール、メタ水酸化アルミニウム、寒天−寒天及びトラガカントゴム、ゼラチン、上述の物質の二以上の混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
薬学的に許容し得る分散剤及び懸濁剤の例としては、合成ゴム及び天然ゴム(例えば、植物ゴムやトラガカントゴム、アラビアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
好適な薬学的に許容し得る担体又は希釈剤の例としては、エタノールや水、グリセロール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ビタミンA及びE油、鉱油、PPG2プロピオン酸ミリスチル、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、二酸化ケイ素、植物油(例えば、ヒマシ油やその誘導体)、植物ゴム、ゼラチン、動物油、ソルケタール、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、プレゼラチン化デンプン、スクロース、糖等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
界面活性化合物の例としては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、エキレンオキシド、プロピレンオキシドブロックコポリマー)、リン脂質、飽和又は不飽和脂肪アルコール又は脂肪酸とポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール)とのエーテルやエステル、ポリソルベート(例えば、飽和又は不飽和脂肪酸(特に好ましくは、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸又はステアリン酸)とソルビトール及び/又はその無水物とのモノエステルやジエステル、トリエステル(これらの各々はソルビトール又は無水物1モル当り最大20モルのエチレンオキシドユニットを有し得る))(好ましくは、20個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノラウレート、4個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノラウレート、20個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノパルミテート、20個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノステアレート、4個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノステアレート、20個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタントリステアレート、20個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノオレエート、5個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタンモノオレエート又は20個のエチレンオキシドユニットを有するポリエトキシソルビタントリオレエート)、上述の界面活性化合物の少なくとも2種の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
浸透圧調整用調節剤の例としては、水溶性の生理学的耐性化合物(例えば、無機塩(アルカリ金属塩等、好ましくは塩化ナトリウム)や、糖類(例えば、スクロースやデキストロース)、糖アルコール(例えば、マンニトール)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、好ましくは、分子量が1,000〜8,000g/モルのもの))が挙げられるが、これらに限定されない。また、浸透圧調整用調節剤の異なるクラスを代表する少なくとも2種の混合物、又は調節剤の1クラスを代表する少なくとも2種の混合物を用いることもできる。
【0065】
生体接着剤は、例えば、粘着性錠剤や溶液、コロイド懸濁液、ゲル、軟膏、パッチ剤、フィルム剤、ペースト剤、薬用ドロップに含有させる。生体接着剤の例としては、Benecel(登録商標)MP814やKollidon、キトサン、セルロース誘導体、Carbopol 934P、Carbopol 974P、lVeveouAA-1、Carbopol樹脂、カルボマー、キサンタンガム、不活性希釈剤や活性成分と結合させたポリカルボフィルやポリエチレンオキシド、イオン性多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。分子量や置換度が異なる数種類の合成及び半合成生体接着ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。このような生体接着製剤の粘膜接着は、生体接着製剤の水和した親水コロイド鎖と口腔粘膜の糖タンパク質鎖との相互浸透に基づく。
【0066】
好適なフィルム形成剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやエチルセルロース、ポリメタクリレート類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
好適な可塑剤の例としては、分子量の異なる(例えば、200〜8000Da)ポリエチレングリコールや植物ゴム、プロピレングリコール、クエン酸トリエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
浸透化剤の例としては、胆汁塩や脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールのラウリン酸、ミリスチン酸及びステアリン酸モノエステル)、エナミン誘導体、α−ケトアルデヒド類、コール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)、アプロチニン、アゾン、5−メトキシサリチル酸ナトリウム、1−オレイルアザシクロヘプタン−2−オン、及び/又は水系溶媒に対する親和性が高いシリカ(例えば、商標SyloidRでよく知られている沈降シリカ)、マルトデキストリン、β−シクロデキストリン、界面活性剤、キレート剤、シクロデキストリン、キトサン、低級アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
安定剤の例としては、クエン酸やアスコルビン酸、オレイン酸、カプリル酸、カプリン酸、ポリビニルピロリドン、ワックス、ブロックコポリマー、ポロキサマー、ポロキサマー188及び407、ポロキサミン類、ポロキサミン908、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、多糖、ヒアルロン酸、キトサン、キトサン誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体、ポリカルボフィル、セルロース誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、糖エステル類、サッカロースモノステアレート、クエン酸ナトリウム単独、脂肪酸、脂肪アルコール、アルコール、長鎖脂肪酸エステル、長鎖エーテル、脂肪酸の親水性誘導体、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、炭化水素、疎水性ポリマー、吸湿性ポリマー、また、その組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
無水粘膜組織刺激抑制剤の例としては、植物油(例えば、オリーブ油やコーン油、鉱油)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
充填剤の例としては、ミクロセルロース(例えば、プロソルブ)やPharmaburst、カボシル、糖類(例えば、マンニトールやラクトース、キシリトール、その混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
好適な結合剤の例としては、スクロースやゼラチン、グルコース、デンプン、セルロース材料、ポリエチレングリコール、ポビドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、寒天、アルギン酸及びアルギン酸塩、カラギーナンカルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ポリエチレングリコール、グアガム、多糖酸、ベントナイト、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシメチルポリビニルピロリドン、ポリメタクリレート(Eudragit等)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標))、エチルセルロース(Ethocel(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プレゼラチン化デンプン(National(商標)1511やStarch1500等)、スクロース、ラクトース、デンプンペースト、ポビドン、ポリエチレングリコール、プルラン及びコーンシロップ、ワックス、天然及び合成ゴム(例えば、アラビアゴムやトラガカントゴム、植物ゴム)、ヒマシ油、微結晶セルロース、デキストリン、液体グルコース、グアガム、ペクチン、PEG、ポビドン、プレゼラチン化デンプン等(これらは単独で又は組合わせて用いる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
好適な崩壊剤としては、デンプン(トウモロコシデンプンや米デンプン)や架橋N−ビニル−2−ピロリドン(CLPVP)、アルギン酸又はアルギン酸塩、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及び他のセルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポララクリリンカリウム、デンプン、プレゼラチン化デンプン、Pharmablast(登録商標)カルボキシメチルデンプン(例えば、Primogel(登録商標)やExplotab(登録商標)(デンプングリコール酸ナトリウムやカルボキシメチルデンプンナトリウム))、デンプングリコール酸ナトリウム、ホルムアルデヒドカゼインが挙げられるが、これらに限定されない。発泡性崩壊剤としては、例えば、デンプンや重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムとクエン酸や酒石酸との組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤は粒子内崩壊剤又は粒子外崩壊剤として存在する。
【0074】
好適な潤滑剤の例としては、オレイン酸ナトリウムやステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸カルシウムや他のステアリン酸金属塩、タルク、ワックス、グリセリド、軽鉱油、PEG、ベヘン酸グリセリル、コロイダルシリカ、硬化植物油、コーンスターチ、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、硫酸アルキル、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
好適な矯味剤の例としては、メントールやペパーミント、バニラ、果実風味剤、甘味剤(例えば、アスパルテームやサッカリン酸ナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
ゲル化剤の例としては、ポリビニルピロリドンやヒドロキシプロピルメチルセルロース、植物ゴム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
好適な不活性ガスの例としては、窒素やヘリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
更なる添加物の例としては、ソルビトールやタルク、ステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
好適な酸化防止剤の例としては、クエン酸やアスコルビン酸、パルミチン酸アスコビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピルガレート、トコフェロール賦形剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
好適な湿潤剤の例としては、ポリソルベートやラウリル硫酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
好適な放出制御剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
界面活性剤の例としては、アニオン性及び非イオン性界面活性剤が挙げられ、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムやポロキサマー(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのコポリマー)、天然又は合成レシチン、ソルビタンと脂肪酸のエステル(例えば、Span(登録商標)、シグマ−アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)から市販)、ポリオキシエチレンソルビタンと脂肪酸のエステル(例えば、Polysorbates又はPolysorbate(登録商標)、スペクトラル・ケミカル社(カリフォルニア州ガーディナ)から市販)、ステアリン酸ポリオキシエチレン(例えば、Myrj(登録商標)、ユニケマ社(デラウェア州ニューキャッスル)から市販)、ポリエトキシル化脂肪酸(例えば、ポリエチレングリコールの脂肪酸モノエステル又はジエステル又はその混合物、例えば、ポリエチレングリコールとラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸とのモノエステル又はジエステルであって、ポリエチレングリコールは、PEG4、PEG5、PEG6、PEG7、PEG8、PEG9、PEG10、PEG12、PEG15、PEG20、PEG25、PEG30、PEG32、PEG40、PEG45、PEG50、PEG55、PEG100、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1000、PEG2000、PEG3000、PEG4000、PEG5000、PEG6000、PEG7000、PEG8000、PEG9000、PEG1000、PEG10,000、PEG15,000、PEG20,000、PEG35,000から選択される)、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル(即ち、上述の様なエステルであるが、個々の脂肪酸のグリセリルエステルの形態をしているもの)、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、PEG、植物油(例えば、硬化ヒマシ油やアーモンド油、パーム核油、ヒマシ油、アプリコット核油、オリーブ油、ピーナッツ油、硬化パーム核油等)等とのソルビトールエステル、ポリグリセリン化脂肪酸等(例えばステアリン酸ポリグリセロールやオレイン酸ポリグリセロール、リシノール酸ポリグリセロール、リノール酸ポリグリセロール)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸プロピレングリコールやリシノール酸プロピレングリコール等)、モノ−及びジ−グリセリド等(例えば、モノオレイン酸グリセリルやジオレイン酸グリセリル、モノ−及び/又はジ−オレイン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル等)、ステロール及びステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル(PEG−ソルビタン脂肪酸エステル)(例えば、上述の各種分子量を有するPEGエステル、及び種々のTween(R)シリーズ(ICI America社)、ポリエチレングリコールアルキルエーテル(例えば、PEGオレイルエーテル及びPEGラウリルエーテル)、糖エステル等(例えば、モノパルミチン酸スクロースやモノラウリン酸スクロース)、ポリエチレングリコールアルキルフェノール等(例えば、Triton(R)X又はNシリーズ(ユニオンカーバイドケミカル&プラスチックテクノロジー社)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(例えば、Pluronic(R)シリーズ(BASF Aktiengesellschaft)やSynperonic(R)シリーズ(ICI America社)、Emkalyx、Lutrol(R)(BASFアクチーエンゲゼルシャフト)、Supronic等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
界面活性剤として作用する化合物の量はこのような目的で用いる際に調整し、ドーパミン作動薬の溶解性や浸透性、バイオアベイラビリティを適度にする。界面活性剤とドーパミン作動薬との質量比は約0.001:1〜約1:1であるのが好ましく、約0.005:1〜約0.6:1であるのがより好ましく、約0.01:1〜約0.25:1であるのが最も好ましい。
【0084】
好適な潤滑剤及び/又は流動促進剤(glidant)の例としては、ベヘン酸グリセリル(Compritol(商標)888)やステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸ナトリウム、その他の長鎖脂肪酸塩)、ステアリン酸、硬化植物油(例えば、Sterotex(商標))、タルク、ワックス、Stearowet(商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム及び酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL−ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax(商標)4000及びCarbowax(商標)6000)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(商標))、ラウリル硫酸マグネシウムが挙げられる(尚、これらは単独又は組合わせて用いられる)が、これらに限定されない。
【0085】
好適な抗粘着剤(anti-adherents)や流動促進剤の更なる例としては、タルクやコーンスターチ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸金属塩が挙げられる(尚、これらは単独又は組合わせて用いられる)が、これらに限定されない。
【0086】
防腐剤の好適な例としては、クエン酸やビタミンC、ビタミンE、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロパノール、フェニルエチルアルコール、ソルビン酸、ベンジルアルコール、アルキル部分の鎖長がC8〜C18のアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、m−クレゾール、アルキル−4−ヒドロキシベンゾエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書において「非経口投与形態物」とは、GI管の胃粘膜及び/又は腸粘膜以外の経路で十分量の薬物が吸収される薬物投与形態物を意味する。
【0088】
非経口投与の経路としては、口腔や舌下、皮下、経鼻、経口、耳、眼、直腸、膣、上気道粘膜、皮膚、肺が挙げられるが、これらに限定されない。従って、投与形態物としては、注射剤や経口、耳、眼又は経鼻用噴霧剤や滴剤、舌下及び/又は口腔用噴霧剤、滴剤、錠剤、溶液剤、コロイド懸濁剤、及び/又は軟膏、硬カプセル剤及び軟カプセル剤、錠剤、被覆錠剤、サシェ剤、ドロップ、フィルム剤、チューインガム、チュアブル錠剤、液状うがい薬、皮膚用パッチ剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、吸入剤、エアロゾル、直腸用又は膣用坐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
投与形態物は注射によって投与することができる。注射は、例えば、皮下、皮内及び/又は腹腔内で行うことができる。
【0090】
本発明の溶液又は溶剤系投与形態物のpHは3〜9の範囲に調整して、細胞損傷や組織損傷の更なるリスクを回避するのが好ましい。
【0091】
以下の投与形態物を非限定的例として示す。経鼻投与用投与形態物としては、鼻用噴霧剤及び/又は滴剤及び/又は鼻用軟膏の塗布が挙げられる。舌下又は口腔投与用投与形態物としては、経口噴霧剤、滴剤、溶液剤、コロイド懸濁剤、錠剤、軟膏、ドロップ、フィルム剤チューインガム、チュアブル錠剤及び/又は液状うがい薬が挙げられる。耳又は眼投与用投与形態物としては、噴霧剤、滴剤、軟膏、ローション剤及び/又はクリーム剤が挙げられる。直腸投与用投与形態物としては、坐剤、噴霧剤、滴剤、軟膏、ローション剤及び/又はクリーム剤が挙げられる。膣投与用投与形態物としては、坐剤、噴霧剤、滴剤、軟膏、ローション剤及び/又はクリーム剤が挙げられる。上気道粘膜又は肺投与用投与形態物としては、吸入剤(例えば、ネブライザー)が挙げられる。経皮投与用投与形態物としては、皮膚用パッチ剤、皮膚用噴霧剤、滴剤、軟膏、ローション剤及び/又はクリーム剤が挙げられる。
【0092】
固形非経口投与形態物は好ましくは、ドーパミン作動薬(好ましくは、麦角アルコール誘導体、最も好ましくは、ブロモクリプチン)と、非アクリル系の粘膜付着剤(例えば、PVPやBenecel(登録商標)、Carbopol(登録商標))と、ドーパミン作動薬の安定性を増加させ、その放出を促進するクエン酸とを含む。クエン酸の非存在下では、APIはアクリル系溶液中で不安定であった(薬物の50%が90分後に分解した)。クエン酸によってドーパミン作動薬製剤の安定性が増した。
【0093】
好ましい投与経路は皮下注射、口腔、舌下、経鼻及び経皮である。より好ましい投与経路は口腔、舌下及び経鼻である。特に好ましい投与形態物としては、皮下注射剤、舌下又は口腔投与形態物、及び皮膚用パッチ剤が挙げられる。
【0094】
投与形態物を液状担体によって注射又は投与する場合(例えば、舌下投与の場合)、2種類の溶液用に2種類の媒体を1個のシリンジで用いて投与することができる。このようなシリンジは2個の容器及び出入口(各々が2種の溶液に対応)を有することができる。或いは、2種類の溶液を1個の容器にまとめることもできる。
【0095】
非経口投与が皮下の場合、注射に適した形態には疎水性又は親水性懸濁媒体を含有させることができる。
【0096】
従って、本明細書に開示の製剤の一実施形態においては、活性成分の塩を疎水性の薬学的に許容し得る懸濁媒体に懸濁させることを含む。この疎水性懸濁媒体は、薬学的に許容し得る合成、半合成又は天然油、又はこのような油の少なくとも2種の混合物に基づくのが好ましい。
【0097】
懸濁媒体は、懸濁媒体に基づく10〜90重量%の量で提供するのが好ましい。
【0098】
また、生理学的に耐性のある親水性懸濁媒体によって投与形態物を用いることも可能であり、その場合、活性成分はD1作動薬及び/又は非麦角関連D2作動薬の塩である。親水性懸濁媒体は水に基づくのが好ましい。
【0099】
浸透圧を調整するための一以上の調節剤に加えて、投与形態物には他の上述の賦形剤を代表する一以上を更に含有させることができる。
【0100】
細胞損傷や組織損傷のリスクを最小限に抑えるか、又は完全に排除するため、浸透圧(即ち、非経口で投与する本発明の水性投与形態物(これを使用する場合には)の張性)を生理学的浸透圧と同等、又は少なくともほぼ同等となるように調整するのが好ましい。従って、非経口で投与し得る本発明の投与形態物の浸透圧は、250〜400mOsm/kgの範囲に調整するのが好ましく、特に好ましくは260〜320mOsm/kgの範囲であり、非常に特に好ましくは280〜300mOsm/kgの範囲である。
【0101】
また、必要に応じて、投与形態物の異なる特性を調整する調節剤を用いることもできる。例えば、界面活性化合物を用いて投与環境(例えば、舌下又は口腔領域)の浸透圧を調整することもできる。
【0102】
投与形態物には、一以上の生理学的耐性界面活性化合物を更に含有させることができる。
【0103】
非経口投与形態物は通常、約0.01〜0.75mLの量を投与する。非経口投与量は好ましくは約0.01〜約0.5mLであり、より好ましくは約0.01〜約0.3mLであり、最も好ましくは約0.01〜約0.2mLである。
【0104】
投与形態物を経口投与する場合、投与形態物は、口腔粘膜による薬物の口腔又は舌下投与に適しているのが好ましい。投与形態物は、口腔粘膜による薬物の投与に適した舌下型であるのがより好ましい。
【0105】
通常、口腔投与形態物は歯茎と頬との間の口腔に提供され、そこで被験体の唾液によって溶解し、口腔粘膜の毛細血管床に近い口腔内に薬物が放出される。舌下投与形態物は舌の下部に提供され、そこで唾液によって溶解し、口腔粘膜の毛細血管床の近くで薬物が放出され、経粘膜吸収される。
【0106】
このような経口投与形態物の薬効剤は拡散によって毛細血管床内の血液に入り、粘膜組織を通り血流によって体の他の部分に分布する。有効剤が体内に供給される速度は、特に投与形態物が口内で溶解する速度に依存する。投与形態物の物性によって粘膜組織との接触度合いが決まり、その結果、薬物の吸収効率が決まる。
【0107】
経口投与によって非経口投与が為される場合、GI管の胃粘膜及び/又は腸粘膜へのドーパミン作動薬の導入を防止及び/又は抑制する生体接着剤や浸透化剤、安定剤等の成分を製剤に用いることによって、胃粘膜及び/又は腸粘膜による吸収を実質的に防止することができる。
【0108】
ある実施形態においては、経口投与(舌下又は口腔投与)される非経口投与形態物は、口腔内に導入した際に単一投与形態物又は投与アプリケーター内で2種の異なる製剤として機能する高速溶解成分と低速溶解成分の両方を含む。
【0109】
固形経口投与形態物(高速及び低速吸収成分を含む)は、そのインビトロでの溶解時間によって特徴付けることができる。固形経口投与形態物(高速及び低速吸収成分を含む)は通常、約10秒〜約100分の溶解時間を示す。経口投与形態物は約10秒〜約50分の溶解時間を示すのが好ましい。経口投与形態物は約10秒〜約30分の溶解時間を示すのがより好ましい。経口投与形態物は約10秒〜約20分の高速溶解時間を示すのが最も好ましい。
【0110】
ある実施形態においては、経口投与形態物はフィルム剤(例えば、口腔フィルム剤)である。フィルム剤の機械的特性、生体接着性及び膨潤特性は口腔投与に適するように制御する。口腔投与用フィルム剤は、しなやかで、弾力があり、柔らかい一方、解包装等の操作や口の動きによる応力に起因する破損に耐えるのに十分な強度をすると共に、口内で所望の時間保持されるように良好な生体接着性を示すのが好ましい。フィルム剤の膨潤は回避又は抑制して、不快感をなくすのが好ましい。
【0111】
ある実施形態においては、経口投与形態物は舌下投与形態物である。
【0112】
製剤の薬物動態プロファイルは賦形剤によって制御する。ある実施形態においては、固形投与製剤は、少なくとも1種のドーパミン作動薬(高速吸収及び低速吸収の両方)と、充填剤(好ましくは、マンニトールやラクトース、キシリトール、その混合物)又は溶媒マトリックスと、2種類の大きさのドーパミン作動薬粒子の一方又は両方に対する結合剤(例えば、Kollidon)と、崩壊剤とから成る。
【0113】
用いる結合剤の量は最小限に抑えて、投与形態物の「高速」及び「低速」溶解様相の各々について不必要に溶解速度が低下しないようにするのが好ましい。水に溶解する結合剤が好ましい。好ましい結合剤はポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルポリビニルピロリドンであり、ゼラチンを用いることもできる。
【0114】
崩壊剤の割合は顆粒の0.1〜75%であることができるが、1〜60%が好ましく、1〜40%がより好ましい。
【0115】
潤滑剤の割合は最小限に抑えるのが好ましく(例えば、1%以下)、約0.8%が好ましい。投与形態物の疎水性を最小限に抑えるために、更に粒状の潤滑剤のみを用いるのが好ましい。
【0116】
錠剤には従来の賦形剤を通常、全重量の約10%となるように含有させることができる。このような賦形剤としては矯味剤を挙げることができる。矯味剤を用いる場合は通常、錠剤全体に対して最大で約0.5〜5重量%となるようにする。また、甘味剤及び更なる賦形剤としては、着色剤や防腐剤、充填剤を挙げることもできる。
【0117】
好ましい充填剤は多糖類から選択される。マンニトール、ラクトース、キシリトール及びその混合物は、その溶解性のため、特にラクトースの含水量にかかわらず好ましい。マンニトールは20〜40%w/w存在するのが好ましく、20〜30%w/w存在するのがより好ましい。ラクトースは30〜60%w/w存在するのが好ましい。好ましい充填剤は無水である。
【0118】
ある経粘膜実施形態においては、特定の粒径の第1の有効剤と第2の剤(例えば、組織、細胞又は血流内への有効剤の浸透を促進する剤)とで複合体を形成するか、又はこれらの剤を一緒に投与する。一実施形態においては、有効剤を浸透増強剤と共に提供する。
【0119】
細胞内への有効剤の取り込みを増強させる剤の例としては、脂肪酸や脂肪酸誘導体、脂質、脂質の複合体、脂質を含む複合体(例えば、リポソーム)が挙げられる。リポソームとは、細胞膜を構成する脂質と同様に配置された脂質から成る中空の球状小胞である。リポソームは、水溶性化合物を捕捉するための内部水性空間を有し、直径が0.05〜数ミクロンの範囲である。例えば、元々研究ツールとして設計されたリポソーム送達媒体であるリポフェクタミンは、細胞に無傷分子を送達することが分かっている。リポソームは幾つかの利点を有する。即ち、組成において無毒性且つ生分解性であり、循環半減期が長く、認識分子がリポソームの表面に容易に付着し組織を標的にすることができる。脂質凝集体は、例えば、カチオン性脂質単独で又は他の脂質や両親媒性物質(ホスファチジルエタノールアミン等)を含んで用いて高分子で形成することができる。カチオン性脂質を含むリポソームは負に帯電した分子の送達に有利である。
【0120】
用いることのできる他の薬物送達媒体としては、ヒドロゲルやシクロデキストリン、生分解性ポリマー(外科用インプラントやナノカプセル)、生体接着性マイクロスフェアが挙げられる。
【0121】
また、剤を徐放メカニズムと共に提供することもできるが、徐放メカニズムとしては、例えば、ポリマーマイクロスフェアや、剤の放出速度を変える当業者に公知の他のメカニズムが挙げられる。従って、有効剤は、少なくとも1種の浸透増強剤又は浸透性増強剤と共に提供することができ、及び/又は必要に応じて、少なくとも1種の徐放メカニズム及び/又は少なくとも1種の生体接着剤を含むことができる。浸透増強剤の例としては、脂肪酸やカビトロン、チオマー、メントール、ポリオキシエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
投与形態物が経皮パッチ剤である場合、ドーパミン作動薬は微粒子化又は溶媒和させ、皮膚用送達系(例えば、長期間(時間)に亘る徐放薬物送達のための医薬用「パッチ剤」に通常用いられている系)に添加することができる。
【0123】
一実施形態においては、一以上のドーパミン作動薬を含むゲル組成物を代謝疾患を有するか、又はそれに関連するキー要素を示すヒトの皮膚に塗布する。経口組成物をローション剤や軟膏として測定量塗布することができる。このような組成物は、例えば、治療対象の被験体に付着させる好適な接着手段を提供する投与形態物を形成する裏打ち層に塗布することができる。例えば、塗布したゲル状ドーパミン作動薬組成物の側面周りに裏打ち層を形成した後、水平方向に伸ばすことができる。こうして形成した外周環の下側に好適な接着層を塗布し、投与ユニットを治療対象被験体の皮膚に付着させることができる。
【0124】
皮膚用パッチ剤は、接着剤内薬物単一層、接着剤内薬物多層、リザーバー又はマトリックス型パッチ剤であり得る。接着剤内薬物単一層パッチ剤は、一以上のドーパミン作動薬も含有する接着層を含む。この種のパッチ剤においては、接着層は、各種層を互いに付着させると共に系全体を皮膚に付着させるだけでなく、ドーパミン作動薬の放出メカニズムにも関与している。接着層は一時的なライナーや裏打ちで包囲されている。接着剤内薬物多層パッチ剤は、両方の接着層もドーパミン作動薬の放出メカニズムに関与している点で単一層系と類似している。しかし、多層系は、通常膜によって分離している(但し、全ての場合ではない)他の接着剤内薬物層を添加する点で異なっている。この種のパッチ剤も一時的なライナー層と永久的な裏打ちを有する。リザーバーパッチ剤は、リザーバー経皮系がドーパミン作動薬を含む別の薬物層を有し、皮膚への送達が2種類の異なる速度で行われる点で単一層系や多層系とは異なる。薬物層は、接着層によって分離された薬物溶液又は懸濁液を含有する液状の仕切りである。この種のパッチ剤は裏打ち層を有することができる。マトリックスパッチ剤は、ドーパミン作動薬溶液又は懸濁液を含有する半固形マトリックスの薬物層を有する。この種のパッチ剤の接着層は薬物層を包囲しており、部分的に覆っていることもある。
【0125】
経皮パッチ剤はゲル化剤を含むことができるが、選択されたドーパミン作動薬で飽和又は非常に飽和されているのが好ましい。選択されるゲル化剤は生体適合性があり、ドーパミン作動薬と適合し、ドーパミン作動薬を経皮的に吸収させることができる。
【0126】
また、ゲル化剤の代わりに、又はゲル化剤に加えて、ドーパミン作動薬を含む均一混合物をドーパミン作動薬の吸収が可能な吸収材に添加することもできる。好適な吸収材は、脱脂綿、生体適合性があり好適な合成繊維材料(例えば、スパンボンド材料や当業者が思いつく他の吸収材等)から選択することができる。ゲル化剤や吸収材を添加後の最終的なドーパミン作動薬組成物は、経皮的治療に用いるのに適した粘度を有する。
【0127】
投与形態物がエアロゾル製剤の場合、1個の容器内で2種の異なる溶液用の2種の媒体を用いて投与することができる。このような容器は、2個の器及び出入口(各々が2種の溶液に対応)を有することができる。或いは、2種類の溶液を1個の容器にまとめることもできる。
【0128】
「代謝障害」としては、ある種の全身のグルコース、脂質及び/又はタンパク質の代謝異常に関連する障害や、それから生じた病理学的結果が挙げられる。このような代謝障害は、プロラクチン分泌の日常のレベル(及び変動)におけるパターンの異常と関連することもあり、関連しないこともある。
【0129】
このような代謝障害の「キー要素」としては、2型糖尿病や糖尿病前症(空腹時高血糖や耐糖能障害)、メタボリックシンドロームやその指標(キー要素)(腹囲の増加や空腹時血漿グルコースの増加、空腹時血漿トリグリセリドの増加、空腹時高密度リポタンパク質レベルの低下、血圧の上昇)、インスリン抵抗性、高インスリン血症、心血管疾患(又はそのキー要素、例えば、動脈硬化や冠動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患)、うっ血性心不全、肥満、血漿ノルエピネフリンの増加、関連心血管関連炎症因子の増加、血管内皮機能障害を増強させる血漿因子の増加、高リポ蛋白血症、動脈硬化又はアテローム性動脈硬化、過食症、高血糖症、高脂血症、高血圧症(血圧上昇)、食後血漿トリグリセリド又は遊離脂肪酸レベルの上昇、細胞酸化ストレス又はその血漿指標の増加、循環高凝固状態の増加、腎疾患(腎不全や腎機能不全等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本明細書に記載の「溶解プロファイル」とは、経時的な剤の溶解を意味する。溶解は、経時的に溶解する剤の相対量、溶解した剤の量、又は所定時間に溶解した剤の濃度として測定することができる。溶解速度を求める好ましい方法は、USPバスケット法(100RPM、900mLの水性バッファー、0.01NのHCl、37℃)である。或いは、USPパドル法や当業者に公知の他の好適な方法等も同様に用いることができる。
【0131】
本明細書において「薬学的に許容し得る」とは、インビボでの使用に対して生物学的又は薬理学的に適合性のある薬物成分を意味し、好ましくは、連邦又は州政府の規制当局によって承認されている薬物成分や、米国薬局方や他の動物(特にヒト)における使用に対して一般的に認識された薬局方に記載されている薬物成分を意味する。
【0132】
「バイオアベイラビリティ」とは、ドーパミン作動薬が投与製剤から生体系内に吸収され、生物学的作用部位において有効となる速度や程度を意味する。
【0133】
本明細書において「治療有効量」とは、代謝疾患及び/又は代謝疾患のキー要素を治療するのに十分な有効剤の量を意味する。
【0134】
薬物動態プロファイルとプロラクチン
健常(正常)な被験体(即ち、代謝疾患及び/又はそのキー要素に罹患していない種の痩せたメンバー)の場合、日常のプロラクチン放出プロファイルは十分に予測可能である。ヒトの場合、このような放出プロファイルは、起きている時間(日中)はプロラクチンレベルが低く比較的一定であり、それに続いて睡眠中(夜間)はピークまで鋭く上昇した後、朝までには起きている時間のレベルまで徐々に低下することによって特徴付けられる。一以上のドーパミン作動薬をそれを必要とする被験体に投与して日常プロラクチンレベルリズムの異常を修正し、種及び性別が同じ痩せた若い健常なメンバーの正常な日中血漿プロラクチンレベルリズムと位相(phase)や振幅(amplitude)が類似するか又はより近似するようにすることができる。例えば、米国特許第5,468,755号、5,496,803号、5,344,832号、5,585,347号、5,830,895号及び6,855,707号、及びPCT出願US93/12701号及びUS95/09061号を参照のこと(尚、該特許の開示内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。このようなプロラクチンリズムの調節によって、2型糖尿病や肥満、インスリン抵抗性、高インスリン血症又は高血糖症、高リポ蛋白血症、過食症、肥満、インスリン抵抗性(耐糖能障害)、高脂血症等の治療が行われている。
【0135】
本発明の非経口投与形態物により、異常に上昇した日中の血漿プロラクチンレベルを低い正常な日中レベル内まで低下させながら、得られる血漿プロラクチンレベルが夜間(即ち、睡眠時間)まで等しく及ばないように調整する(即ち、日中と夜間で血漿プロラクチンレベルが同等にならないようにする)ことによって患者の血漿プロラクチンプロファイルを構築するのに有効なドーパミン作動薬の特定の薬物動態プロファイルを得ることができ、その結果、このようなプロラクチン分泌障害を有する被験体における代謝障害及び/又は代謝障害のキー要素の治療を増強することができる。しかし、理解すべき点は、プロラクチン概日リズムの「標準化(normalization)」が必ずしもドーパミン作動薬誘導によって代謝自身を改善する上での必要条件ではなく、このような「標準化」活性がドーパミン作動薬誘導による代謝疾患やそのキー要素の改善を増強するのに機能し得ることである。
【0136】
また、本発明の非経口投与形態物によって、ドーパミン作動薬を日中の血液循環内に存在させずに上昇した血漿ノルエピネフリン濃度のレベルを低下させる上で有効な特定の薬物動態プロファイルを得ることもできる。このような非経口投与形態物の作用は、代謝疾患に対する活性の必要条件ではないが、代謝疾患やそのキー要素の改善を増強する。
【0137】
製剤は有効剤の有効性を増強する薬物動態プロファイルを有するのが望ましい。
【0138】
薬物動態プロファイルは有効剤の吸収や処分を示し、主要な薬物動態パラメータ(例えば、TmaxやCmax、AUC、tlag)を評価するのに用いる血漿中濃度データによって定めることができる。Tmaxはピーク濃度までの時間である。Cmaxはピーク濃度である。AUCは曲線下面積(AUC)である。tlagは吸収遅延時間である。
【0139】
吸収プロセスは、系内に導入された化合物や薬物xの量の増加として見ることができる。吸収の研究においては、薬物xの投与速度(dx/dt)を定めようとする。例えば、薬物の一定の注入速度(R)を1mg/hrとすることができる一方、dx/dtの経時積分を薬物投与量x(t)(即ち、特定の時間tまでに投与された薬物xの全量)とする。投与形態物から薬物を制御放出、持続放出、遅延放出又は徐放することによって複合吸収プロファイルを作成することができる。
【0140】
処分に関しては、薬物の吸収、分配、代謝及び排除(又は排泄)の研究に更に分けられ、これらをADMEと総称する。
【0141】
処分プロセスは、薬物の除去や廃棄として見ることができる。一般に、処分プロセスにおいては、薬物を系内に分配し、薬物を転化又は代謝させ、尿や便、汗、呼気を通すか又は他の排除経路によって薬物又は薬物の代謝物を排除する。
【0142】
一実施形態においては、本発明の非経口投与形態物によって、肥満/インスリン抵抗性患者や2型糖尿病患者における血漿プロラクチンレベルの夜間の上昇(神経内分泌の生理学的イベント)が維持される。
【0143】
ADME判断基準は組織への薬物曝露のレベルや動態に影響を及ぼすため、薬物の性能や薬理活性に影響を及ぼす。有効剤は、組織内で薬理学的作用を示し得る前に、血流内で吸収する必要がある。その後、有効剤は、そのエフェクター部位に(多くの場合、血流によって)分配されなければならない。有効剤は体内に入るとすぐに代謝され始める。化合物やその代謝物は、体内から排泄によって(通常、腎臓(尿)又は便によって)排除する必要がある。排泄が終了しなければ、異物の蓄積が正常な代謝に悪影響を及ぼし得る。
【0144】
一実施形態においては、投与形態物は、Tmaxが投与後約1〜約90分又は約5〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0145】
他の実施形態においては、投与形態物は、Tmaxが投与後約1〜約90分又は約5〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約180〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0146】
他の実施形態においては、投与形態物は、Tmaxが投与後約1〜約90分又は約5〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの約70〜100%を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0147】
好ましい実施形態においては、投与形態物は、Tmaxが投与後約1〜約90分又は約5〜約90分であり、血漿中薬物濃度がCmaxの少なくとも70〜100%を持続する時間が約180〜約360分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0148】
他の実施形態においては、投与形態物は、Tmaxが投与後約1〜約90分又は約5〜約90分であり、Cmax後レベルがCmaxの約35〜65%となるのがTmax後約30〜150分以内であり、その後、Cmax後レベルがCmaxの約半分となるのが約60〜420分間であり、その後、血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0149】
maxが投与後約15〜約90分であり、Cmax後レベルがCmaxの約35〜65%となるのがTmax後約30〜90分以内であり、その後、Cmax後レベルがCmaxの約半分となるのが約60〜360分間であり、その後、血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルが好ましい。
【0150】
他の実施形態においては、投与形態物は、血漿Tmaxが投与後約15〜約60分であり、Cmax後レベルがCmaxの約半分となるのがTmaxの約30〜約150分以内であり、その後、Cmax後レベルがCmaxの約半分を持続する時間が約90〜約360分間であり、且つその後、血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0151】
更に他の実施形態においては、投与形態物は、血漿Tmaxが投与後約10〜約60分であり、Cmax後レベルがCmaxの約半分となるのがTmaxの約30〜約150分以内であり、Cmax後レベルがCmaxの約半分を持続する時間が約90〜約240分間であり、且つ血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示す。
【0152】
一実施形態においては、投与形態物は、血漿Tmaxが投与後約5〜約60分、血漿Tmaxが投与後10〜60分、血漿Tmaxが投与後10〜90分、血漿Tmaxが投与後15〜90分、又は血漿Tmaxが投与後15〜60分である薬物動態プロファイルを示す。
【0153】
一実施形態においては、投与形態物は、Cmax後レベルの終了から約240〜約480分以内に有効剤の90%が血漿から除去される薬物動態プロファイルを示す。
【0154】
一実施形態においては、投与形態物は、血漿プラトーの終了後約5時間以内に実質的の全ての有効剤が血漿から除去される薬物動態プロファイルを示す。
【0155】
一実施形態においては、投与形態物は、Cmax後プラトーが約2〜約8時間持続する薬物動態プロファイルを示す。
【0156】
一実施形態においては、投与形態物の有効剤全量の約10%超が血漿内に吸収される。他の実施形態においては、投与形態物の有効剤全量の約35%超が血漿内に吸収される。
【0157】
一実施形態においては、投与形態物の一部分に浸透性増強剤を組合わせると共に、投与形態物の他の部分には徐放メカニズムを組合わせて、急速なピークを得た後に製剤の薬物動態プロファイルの「テール」を持続させることができる。
【0158】
上述の薬物動態プロファイルによって血液循環内へのドーパミン作動薬のピークを得ることが可能となり、これを用いて、脳内の概日神経オシレーター系(例えば、視交叉上核)に衝撃を与え、脳内の他の代謝調節中枢よりも出力制御によってその代謝調節に良い影響を及ぼすことができ、これによって、末梢代謝が即座に改善され、その後、血液循環内への低レベルのドーパミン作動薬の徐放が所定時間行われ、脳内の他の代謝調節中枢に直接影響を及ぼして代謝を改善することができる。
【0159】
上述の薬物動態プロファイルの一部によって血液循環内へのドーパミン作動薬のパルスピークを得ることが可能となり、これを用いて、脳内の概日神経オシレーター系(例えば、視交叉上核)に衝撃を与えることができ、その後、血液循環内への低レベルのドーパミン作動薬の徐放が所定時間行われる。
【0160】
代謝疾患を有する個体において適切な投与量で一日の所定時間に用いた場合、上述の薬物動態プロファイルは、同じ種の健常で正常な個体の脳内の代謝制御中枢における脳ドーパミンの自然の日常パターンを模倣することができ、これによって代謝疾患を改善することができる。
【0161】
このように、本発明に係る投与形態物は、血漿Tmaxの後、長時間に亘ってCmax後レベルが少なくとも70〜100%となり、その後、血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示し得る(例えば、図1参照)。或いは、本発明に係る投与形態物は、血漿Tmaxの後、Cmax後レベルがCmaxの約半分まで経時的に低下し、低下したレベルが長時間持続し、その後、血漿中レベルの低下が一次排出速度式に近似した薬物動態プロファイルを示し得る(例えば、図2参照)。
【0162】
一以上のドーパミン作動薬を末梢作用剤と共に投与した場合、一以上のドーパミン作動薬と末梢作用剤は、同一の薬物動態プロファイル又は実質的に同様の(又は同様の)薬物動態プロファイル(例えば、上述の薬物動態プロファイルのいずれか)を有し得る。或いは、一以上のドーパミン作動薬を末梢作用剤と共に投与した場合、一以上のドーパミン作動薬と末梢作用剤は異なる薬物動態プロファイルを有することもある。ある実施形態においては、例えば、一以上のドーパミン作動薬は上述の薬物動態プロファイルを有し、末梢作用剤は、Tmaxが0〜90分で、Tmaxの時間からTmax後12時間に亘って血漿中濃度がCmaxの約25%以上である薬物動態プロファイルを有する。
【0163】
本発明に係る投与形態物によって得られる特定の薬物動態プロファイルは、投与製剤に含まれる有効剤の量に基づいて一部変わり得る。
【0164】
ある実施形態においては、投与形態物は、有効剤としてブロモクリプチンを含有し、上述の一薬物動態プロファイルを示す(より好ましくは、Cmaxが25〜400pg/mL)。
【0165】
また、当業者であれば、本発明の即時放出又は制御放出組成物の使用に際し、ドーパミン作動薬の一以上の形態を選択する、即ち、一以上の塩形態、結晶形態(一以上の多型形態を含む)又は非結晶形態を選択することによって所望のインビトロ溶解速度、及び/又は経時的なインビボでの血漿中ドーパミン作動薬濃度が得られ得ることを理解するであろう。
【0166】
投与
患者に投与するドーパミン作動薬の量は、例えば、患者の重量や代謝疾患又はそのキー要素の性質や重症度に応じて変わり得る。ドーパミン作動薬の有効量は、一以上の投与形態物において同時に投与しても異なる時間に投与してもよく、また、ドーパミン作動薬は他のドーパミン作動薬と別々に投与しても一緒に投与してもよい。
【0167】
投与形態物の投与に際しては、有効剤として約0.01〜約50.0mgを1日1回投与するのが好ましい。好ましくは、有効剤として0.02〜50mgの範囲であり、より好ましくは、有効剤として0.02〜25mgの範囲であり、最も好ましくは、有効剤として0.1〜25mgの範囲である。
【0168】
一以上のドーパミンD1作動薬と一以上のD2作動薬を併用投与することによって、グルコースや脂質の代謝に関連する一以上の代謝指標の改善において相乗効果が得られ、グルコース及び脂質代謝の少なくとも1種の変更や調節が改善する。
【0169】
2作動薬の投与は時間を定めるのが好ましい。D2作動薬は所定の時間に投与することができる。
【0170】
1作動薬の投与は時間を定めるのが好ましい。D1作動薬は所定の時間に投与する。
【0171】
1作動薬は併用するD2作動薬の作用を増幅するため、併用するD2作動薬の投与と同じ時間又はその前後の時間にD1作動薬を投与して、治療被験体の血流内でのD1作動薬の活性時間が併用するD2作動薬の活性時間と重なるようにする(実際は、できるだけ多く重なるのが好ましい)のが有利である。D1作動薬のTmax後血漿プラトーレベルの持続は、D2作動薬の場合と比べて長い時間続くことがある。投与を簡便にし、被験体のコンプライアンスを促進するため、D1作動薬を併用するD2作動薬と同時に投与することができる。
【0172】
投与形態物は1日1回投与するのが好ましい。投与形態物は1日1回、朝に投与するのがより好ましい。投与形態物は、1日1回、血漿プロラクチンレベルのピーク後、朝のバイオアベイラビリティのための所定時間に投与するのが最も好ましい。
【0173】
投与形態物は朝の4:00頃〜12:00頃に投与するのが好ましい。投与形態物は朝の5:00頃〜12:00頃に投与するのがより好ましい。投与形態物は朝の5:00頃〜10:00頃に投与するのが最も好ましい。
【0174】
脊椎動物を治療する場合、ドーパミン作動薬の投与は通常、約10日間〜約180日間、又はそれより長い期間(例えば、1年以上)に亘って行う。しかし、患者(例えば、特に健康状態の悪い患者)や高齢者の場合、より長期間の治療(或いは継続治療)が必要なこともある。必要でなくても、6ヶ月を超える治療や継続治療が望ましい場合もある。
【0175】
1及びD2作動薬の投与によって通常、代謝疾患を示す少なくとも一の状態や指標が改善される。従って、ある実施形態においては、D1及びD2作動薬の投与によって、代謝障害及び/又はそのキー要素(例えば、体脂肪蓄積や体重、血漿グルコース又は血糖、循環インスリン、血漿トリグリセリド(TG)、血漿遊離脂肪酸(FFA)、心血管代謝リスク因子(例えば、心血管関連炎症因子)、血管内皮機能障害の増強物質、凝固性亢進物質(例えば、PAI−1やフィブリノゲンが挙げられるが、これらに限定されない)、血液凝固速度や能力、インスリン抵抗性を増強する神経内分泌因子、血圧、腎機能不全及び/又は腎不全、摂取量)の一以上が抑制される。
【0176】
他の実施形態においては、本発明の非経口投与形態物によって、メタボリックシンドローム、肥満、肥満/インスリン抵抗性、糖尿病前症又は2型糖尿病の被験体において以下の代謝生理学的イベント、即ち、(1)高血糖症、高グリセリド血症、空腹時高血糖、耐糖能障害又はインスリン抵抗性の改善、(2)高血圧症の改善、(3)心血管炎症、内皮機能障害、凝固亢進又は血液凝固の生理学的指標の低下、及び/又は(4)体脂肪蓄積又は体重、或いはその両方の低下、(5)腎機能の改善、又は(6)心機能の改善の一以上が得られる。
【0177】
ある実施形態においては、このようなドーパミン作動薬の医薬製剤の早朝投与(治療)を開始してから少なくとも6ヵ月後に測定した際、この非経口投与形態物によって、夜間(2:00〜6:00)の血漿プロラクチンが該ホルモンの日中(7:00〜19:00)の平均循環レベルに比べて少なくとも35%高くなる。
【0178】
ある実施形態においては、血漿ノルエピネフリンレベルの上昇(同じ種及び性別の正常な健常個体の平均よりも少なくとも15%高い)がこのような治療によって少なくとも10%抑制される。一実施形態においては、血漿ノルエピネフリンレベルの上昇は少なくとも15%抑制される。
【0179】
ある実施形態においては、このようなドーパミン作動薬治療の開始から6ヶ月後に測定した際に、夜間の血漿プロラクチンレベルは、日中循環プロラクチンレベルの平均よりも少なくとも35%高くなる。
【0180】
ある実施形態においては、治療集団の15%超において、非経口投与形態物による有害なGI作用(例えば、吐き気、嘔吐、腹痛、便秘及び/又は下痢)は生じなかった。
【0181】
ある実施形態においては、投与形態物はブロモクリプチンと他の麦角誘導体を含有するが、代謝物の循環濃度は、ブロモクリプチン(又は他の麦角誘導体)の循環レベルが同じになるようにブロモクリプチン(又は他の麦角誘導体)を経口投与した際の代謝物濃度の約50%以下となる。
【0182】
投与形態物の調製
水や光は、光酸化や光還元、水を伴う酸化還元反応(例えば、過剰な水や湿気へ曝露した際のブロモクリプチンからブロモクリプチニンへの分解)によって麦角型化合物の分解を促進し得る。従って、麦角関連ドーパミン作動薬を含有する安定な非経口投与製剤の調製は、光への曝露や水の吸収を最小限に抑えて行う必要がある。
【0183】
非経口投与し得る本発明の投与形態物の製造を無菌状態で行わなかった場合、最終的な滅菌は、当業者に公知の従来法(例えば、オートクレーブ法や滅菌ろ過)によって行うことができる。非経口投与し得る本発明の懸濁剤は無菌状態で製造するのが好ましい。
【0184】
他の処方技法は当該技術分野でよく知られた技術を用いて行うことができる。以下に挙げるこのような技法の例は説明のためであり、これらに限定されるものではない。
【0185】
ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸は最後に製剤に添加し、2分間混合する必要がある。マグネシウムは麦角関連ドーパミン作動薬製剤の安定性を大きく低下させるため、該製剤の調製にはマグネシウムを避ける必要がある。
【0186】
特定の投与形態物は、当該技術分野で周知の手順によって調製することができる。全ての実施形態において、各成分は全重量に対するパーセンテージで示す。ある種の投与形態物を調製するための非限定的な指針を以下に述べる。
【0187】
注射用又は液状投与形態物
ドーパミン作動薬は容器1では非水系溶媒に溶解させるか又は小さい凝集径のコロイド懸濁液とし、容器2では液状担体において容器1の場合よりも凝集径が大きいコロイド懸濁液(例えば、微粒化ドーパミン作動薬が挙げられるが、必ずしもこれに限定されない)して全量を0.02〜50.0mgとする。
【0188】
容器1には、様々な量(10〜50μL)の非水系溶媒(例えば、エタノールやイソプロパノール、プロパノール)を含めることができる。この溶液には、少量(溶液体積の約25%)の植物油等の無水粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油やコーン油、鉱油が挙げられるが、これらに限定されない)を添加する。
【0189】
必要に応じて、容器1内の溶液は、無水浸透化剤、生体接着剤、ポリマー及び/又は安定剤(例えば、クエン酸やアスコルビン酸等の酸化防止剤)と併用して溶液の最終体積を100μL以下とする。
【0190】
容器2には、水系溶媒又は非水系溶媒(例えば、エタノールやイソプロパノール、プロパノール)(10〜50μL)を含めることができる。
【0191】
この溶液には、少量(溶液体積の約25%)の植物油等の無水粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油やコーン油、鉱油が挙げられるが、これらに限定されない)を添加する。
【0192】
必要に応じて、容器2内の溶液は、無水浸透化剤、生体接着剤、ポリマー及び/又は安定剤(例えば、クエン酸やアスコルビン酸等の酸化防止剤)と併用して溶液の最終体積を100μL以下とする。
【0193】
エアロゾル投与形態物
エアロゾル投与形態物は一般に、液状投与形態物に不活性ガス(例えば、窒素)を添加して調製することができる。
【0194】
エアロゾル投与形態物
ドーパミン作動薬は低湿度環境下で非水系溶媒(例えば、無水エタノール)に可溶化し、必要に応じて粘膜組織刺激抑制剤と混合した後、不活性ガス(例えば、窒素)で加圧した金属製又は硬プラスチック製キャニスタの一チャンバ内に入れる。キャニスタには、エアロゾル噴霧形態等において1回の投与当り5〜100μLの範囲で定量噴霧するためのメカニズムが設けられている。必要に応じて、上述のエタノールへの可溶化後、ドーパミン作動薬を粘膜投与部位から体循環へ容易に粘膜送達するのに当該技術分野で公知の浸透化剤(例えば、胆汁塩や界面活性剤、脂肪酸及び誘導体、キレート剤、シクロデキストリン、キトサン、低級アルコール)、生体接着剤(例えば、Carbopol 934PやCarbopol 974P、lVeveouAA-1、ポリビニルピロリドン)、及び/又は安定剤(例えば、ポリエチレングリコール)をドーパミン作動薬溶液に添加する。更に、溶質成分の溶解性を改善し、エタノール濃度を低下させるための一定量の無水ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)をドーパミン作動薬−エタノール溶液に添加する。
【0195】
同じキャニスタの第2の別のチャンバにおいては、ドーパミン作動薬を微粒化し、適切な溶媒媒体(例えば、ポリエチレングリコール)に添加してコロイド懸濁液を形成する。このようなコロイド懸濁液に、媒体に溶解するかコロイド懸濁液を形成することが当該技術分野で公知の浸透化剤、生体接着剤及び/又は安定剤を添加する。このようなドーパミン作動薬懸濁液は、不活性ガス加圧下で噴霧投与用金属製又は硬プラスチック製キャニスタ内に入れる。
【0196】
エアロゾル投与形態物
ドーパミン作動薬は、水系溶媒又は非水系溶媒(例えば、エタノール)の約10〜50μLに対し0.1〜5.0mgの濃度で溶媒に添加する。この溶液に、少量(溶液体積の25%)の粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)を添加する。必要に応じて、この混合物に粘膜取り込み増強剤(例えば、遊離脂肪酸)及び/又は生体接着剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加する。ドーパミン作動薬が十分に溶解するまで溶液を混合した後、不活性ガス(例えば、窒素)で加圧されていると共に、1回の投与当り10〜100μL(ドーパミン作動薬の用量:0.1〜5.0mg)で定量噴霧するためのメカニズムが設けられた遮光性デバイス内に溶液を入れる。
【0197】
同じデバイスの第2の別のチャンバにおいては、ドーパミン作動薬を低湿度環境下で水系溶媒又は非水系溶媒(例えば、無水エタノール)に添加し、エタノール約5〜25μL当りの濃度を0.1〜50.0mgとする。ドーパミン作動薬が溶媒に十分に溶解した際に、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、長鎖脂肪酸又は植物油(例えば、オリーブ油やコーン油、鉱油)を添加してエタノール/他の剤の約70/30溶液を生成し、この製剤のドーパミン作動薬の吸収速度がキャニスタの他のチャンバの製剤と異なる(遅くなる)ように調整する。溶液に少量(溶液体積の25%)の粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)を添加する。この溶液に粘膜取り込み増強剤(例えば、遊離脂肪酸)及び/又は生体接着剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加する。ドーパミン作動薬が十分に溶解するまで、又はコロイド懸濁液として調製されるまで溶液を混合した後、不活性ガス(例えば、窒素)で加圧されていると共に、1回の投与当り10〜50μL(ドーパミン作動薬の用量:0.1〜50.0mg)で定量噴霧するためのメカニズムが設けられた遮光性デバイス内に溶液を入れる。
【0198】
エアロゾル又は液状投与形態物
ドーパミン作動薬を直径が0.1〜1.0μmとなるまで微粒化した後、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、脂肪酸又は植物油(例えば、鉱油等)に添加して、媒体10〜50μL当りドーパミン作動薬が0.1〜5.0mgのコロイド懸濁液を形成する。懸濁液に少量(懸濁液体積の25%)の粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)を添加する。この懸濁液に粘膜取り込み増強剤(例えば、遊離脂肪酸)及び/又は生体接着剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加する。不活性ガス(例えば、窒素)で加圧されていると共に、1回の投与当り10〜100μL(ドーパミン作動薬の用量:0.1〜5.0mg)で定量噴霧するためのメカニズムが設けられた遮光性デバイス内に懸濁液を入れる。
【0199】
同じデバイスの第2の別のチャンバにおいては、ドーパミン作動薬を低湿度環境下で水系溶媒又は非水系溶媒(例えば、無水エタノール)に添加し、エタノール約5〜25μL当りの濃度を0.1〜50.0mgとする。ドーパミン作動薬が溶媒に十分に溶解した際に、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、長鎖脂肪酸又は植物油(例えば、オリーブ油やコーン油、鉱油)を添加してエタノール/他の剤の約70/30溶液を生成し、この製剤のドーパミン作動薬の吸収速度がキャニスタの他のチャンバの製剤と異なる(遅くなる)ように調整する。溶液に少量(溶液体積の25%)の粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)を添加する。この溶液に粘膜取り込み増強剤(例えば、遊離脂肪酸)及び/又は生体接着剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加する。ドーパミン作動薬が十分に溶解するまで、又はコロイド懸濁液として調製されるまで溶液を混合した後、不活性ガス(例えば、窒素)で加圧されている(又は加圧されていない)と共に、1回の投与当り10〜100μL(ドーパミン作動薬の用量:0.1〜50.0mg)で定量噴霧するためのメカニズムが設けられた遮光性デバイス内に溶液を入れる。
【0200】
固形投与形態物
本発明の固形で安定な非経口投与形態物は次のように調製する。(1)小さい粒径と低速溶解及び吸収用の比較的大きな粒径とを有する0.02〜50.0mgのドーパミン作動薬を酸化防止剤(例えば、クエン酸)と混合し、(2)混合物を担体(例えば、マンニトール)と混合した後、崩壊剤及び生体接着剤(例えば、BenecalやKollidon CL)、及び結合剤としての無水ポリマー(例えば、セルロースやセルロース類似体)、ポリエチレングリコール、脂肪酸又は植物油と混合し、(3)必要に応じて、少量の無水粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)、及び(4)必要に応じて、更に無水浸透化剤、生体接着剤及び/又は安定剤を添加した後、潤滑剤(例えば、ステアリン酸塩やヒマシ油)を添加して最終重量を200mg以下とし、ドーパミン作動薬(最終用量:0.02〜50.0mg)が高速及び低速で持続的に吸収される高速溶解固形投与形態物を得る。これらの成分はこの順序で混合物に添加するのが好ましい。
【0201】
固形投与形態物
本発明の固形で安定な非経口投与形態物は次のように調製する。(1)直径が(a)0.1〜5.0μm及び(b)10〜200μmの微粒化ドーパミン作動薬(全量:0.02〜50.0mg)を酸化防止剤(例えば、クエン酸)と混合し、(2)混合物を担体(例えば、マンニトール)と混合した後、崩壊剤及び生体接着剤(例えば、Kollidon CL)、及び結合剤としての無水ポリマー(例えば、セルロースやセルロース類似体)、ポリエチレングリコール、脂肪酸又は植物油と混合し、(3)必要に応じて、少量の無水粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)、及び(4)必要に応じて、更に無水浸透化剤、生体接着剤及び/又は安定剤を添加した後、潤滑剤(例えば、ステアリン酸塩やヒマシ油)を添加して最終重量を250mg以下とし、ドーパミン作動薬(最終用量:0.02〜50.0mg)が高速及び低速で持続的に吸収される高速溶解固形投与形態物を得る。これらの成分はこの順序で混合物に添加するのが好ましい。
【0202】
固形投与形態物
ドーパミン作動薬を低湿度環境下で水系溶媒又は無水溶媒(例えば、エタノール)に添加し、溶媒約50〜250μL当りの濃度を0.1〜50.0mgとする。ドーパミン作動薬が溶媒に十分に溶解した際に、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、脂肪酸又は植物油を添加して溶媒/他の剤の約70/30溶液を生成する。溶液に少量(溶媒体積の25%)の粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)を添加する。この溶液に粘膜取り込み増強剤(例えば、遊離脂肪酸)及び/又は生体接着剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加する。次いで、ドーパミン作動薬−溶液を高速溶解をもたらす結合剤やマトリックス(例えば、植物ゴムやゼラチン、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒマシ油)と混合することができ、乾燥後、粘膜送達用固形投与形態物の一部分(投与1回当り0.1〜50.0mg)とする。
【0203】
固形投与形態物の第2の部分は次のように調製する。(1)直径が0.1〜5.0μmの微粒化ドーパミン作動薬又は小さい粒径(10〜200μm)のドーパミン作動薬(全量:0.02〜50.0mg)を酸化防止剤(例えば、クエン酸)と混合し、(2)混合物を担体(例えば、マンニトール)と混合した後、崩壊剤及び生体接着剤(例えば、Kollidon CL)、及び結合剤としての無水ポリマー(例えば、セルロースやセルロース類似体)、ポリエチレングリコール、脂肪酸又は植物油と混合し、(3)必要に応じて、少量の無水粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)、及び(4)必要に応じて、更に無水浸透化剤、生体接着剤及び/又は安定剤を添加した後、液状マトリックス剤(例えば、ポリビニルピロリドンやゼラチン、植物ゴム)を添加、乾燥して最終重量を250mg以下とし、ドーパミン作動薬(最終用量:0.02〜50.0mg)が高速及び低速で持続的に吸収される高速溶解固形投与形態物を得る。これらの成分はこの順序で混合物に添加するのが好ましい。投与形態物のこれらの2部分はアニールし、アルミニウム箔でくるんで包装して湿気が入らないようにする。或いは、これらの2部分を一方が他方の内部になるように組合わせて、送達の際に高速吸収とより低速の持続的吸収がもたらされるようにする。
【0204】
固形投与形態物
ドーパミン作動薬を直径が0.1〜1.0μmとなるまで微粒化した後、無水ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、脂肪酸又は植物油に添加して、媒体10〜25μL当りドーパミン作動薬が0.1〜1.0mgのコロイド懸濁液を形成する。懸濁液に少量(懸濁液体積の25%)の粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)を添加する。この懸濁液に粘膜取り込み増強剤(例えば、遊離脂肪酸)及び/又は生体接着剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加する。次に、ドーパミン作動薬懸濁液を結合剤又はマトリックス(例えば、植物ゴムやゼラチン、マンニトール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸塩)と混合する。次いで、ドーパミン作動薬−コロイド懸濁液を高速溶解をもたらす結合剤やマトリックス(例えば、植物ゴムやゼラチン、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸塩、ヒマシ油)と混合することができ、乾燥後、粘膜送達用固形投与形態物の一部分(投与1回当り0.1〜50.0mg)とする。
【0205】
固形投与形態物の第2の部分は次のように調製する。(1)小さい粒径(10〜200μm)のドーパミン作動薬(全量:0.02〜50.0mg)を酸化防止剤(例えば、クエン酸)と混合し、(2)混合物を担体(例えば、マンニトール)と混合した後、崩壊剤及び生体接着剤(例えば、Kollidon CL)、及び結合剤としての無水ポリマー(例えば、セルロースやセルロース類似体)、ポリエチレングリコール、脂肪酸又は植物油と混合し、(3)必要に応じて、少量の無水粘膜組織刺激抑制剤(例えば、オリーブ油や鉱油)、及び(4)必要に応じて、更に無水浸透化剤、生体接着剤及び/又は安定剤を添加した後、液状マトリックス剤(例えば、ポリビニルピロリドンやゼラチン、植物ゴム)を添加、乾燥して最終重量を250mg以下とし、ドーパミン作動薬(最終用量:0.02〜50.0mg)が高速及び低速で持続的に吸収される高速溶解固形投与形態物を得る。これらの成分はこの順序で混合物に添加するのが好ましい。投与形態物のこれらの2部分はアニールし、アルミニウム箔でくるんで包装して湿気が入らないようにする。或いは、これらの2部分を一方が他方の内部になるように組合わせて、送達の際に高速吸収とより低速の持続的吸収がもたらされるようにしてもよい。
【0206】
固形錠剤投与形態物
一実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約3〜50%)と、流動促進剤(約0.5〜10%)と、溶解性増強剤(約70%以下)と、生体接着性増強剤(約25%以下)と、浸透増強剤(約30%以下)と、崩壊剤(約95%以下)と、充填剤(約95%以下)と、発泡剤(約65%以下)とを含む。
【0207】
他の実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約3〜20%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約30%以下)と、生体接着性増強剤(約10%以下)と、浸透増強剤(約20%以下)と、崩壊剤(約85%以下)と、充填剤(約80%以下)と、発泡剤(約45%以下)とを含む。
【0208】
好ましい実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約7〜15%)と、流動促進剤(約0.5〜2.5%)と、溶解性増強剤(約2〜20%)と、生体接着性増強剤(約2〜8%)と、浸透増強剤(約15%以下)と、崩壊剤(約82%以下)と、充填剤(約75%以下)と、発泡剤(約45%以下)とを含む。
【0209】
更なる実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約5〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜2%)と、溶解性増強剤(約1〜5%)と、生体接着性増強剤(約2〜8%)と、浸透増強剤(約15%以下)と、崩壊剤(約12%以下)と、充填剤(約75%以下)とを含む。
【0210】
他の実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約5〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜2%)と、溶解性増強剤(約1〜5%)と、生体接着性増強剤(約2〜8%)と、浸透増強剤(約15%以下)と、崩壊剤(約12%以下)と、充填剤(約75%以下)とを含む。
【0211】
一実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約5〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜2%)と、溶解性増強剤(約1〜5%)と、生体接着性増強剤(約2〜8%)と、崩壊剤(約75〜85%)と、浸透増強剤(約15%以下)と、充填剤(約75%以下)とを含む。
【0212】
他の実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約3〜20%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約0.5〜10%)と、生体接着性増強剤(約2〜15%)と、崩壊剤(約3〜25%)と、浸透増強剤(約30%以下)と、充填剤(約3〜85%)とを含む。
【0213】
他の実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約5〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜2%)と、溶解性増強剤(約1〜5%)と、生体接着性増強剤(約2〜8%)と、崩壊剤(約60〜80%)と、浸透増強剤(約15%以下)とを含む。
【0214】
更なる実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約3〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約1〜6%)と、生体接着性増強剤(約2〜6.5%)と、崩壊剤(約60〜90%)と、浸透増強剤(約30%以下)とを含む。
【0215】
他の実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約3〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約1〜10%)と、生体接着性増強剤(約2〜10%)と、崩壊剤(約60〜90%)と、浸透増強剤(約30%以下)とを含む。
【0216】
他の実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約10〜20%)と、流動促進剤(約0.5〜2%)と、溶解性増強剤(約15〜25%)と、生体接着性増強剤(約8〜15%)と、崩壊剤(約6〜12%)と、発泡剤(約35〜45%)とを含む。
【0217】
更なる実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、一以上の有効剤と、放出マトリックス(約5〜35%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約10〜40%)と、生体接着性増強剤(5〜25%)と、崩壊剤(約3〜25%)と、発泡剤(約10〜65%)とを含む。
【0218】
更なる実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、有効剤(約0.5〜5%)と、放出マトリックス(約3〜20%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約0.5〜10%)と、生体接着性増強剤(2〜15%)と、崩壊剤(約3〜25%)と、充填剤(約40〜95%)と、必要に応じて浸透増強剤(約5〜30%)とを含む。
【0219】
更なる実施形態においては、固形舌下錠剤投与形態物は、有効剤(約0.5〜4.5%)と、放出マトリックス(約3〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約1〜6%)と、生体接着性増強剤(約2〜6.5%)と、崩壊剤(約60〜90%)と、必要に応じて浸透増強剤(約5〜30%)とを含む。
【0220】
他の実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、有効剤(約1〜6%)と、放出マトリックス(約3〜10%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約1〜10%)と、生体接着性増強剤(約2〜10%)と、崩壊剤(約60〜90%)と、必要に応じて浸透増強剤(約5〜30%)とを含む。
【0221】
更なる実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、有効剤(約0.5〜5%)と、放出マトリックス(約5〜35%)と、流動促進剤(約0.5〜5%)と、溶解性増強剤(約10〜40%)と、生体接着性増強剤(5〜25%)と、崩壊剤(約3〜25%)と、発泡剤(約10〜65%)とを含む。
【0222】
上述の投与形態物の場合、好ましい放出マトリックス成分はCarbopol 974、Bebecel、キサンタンガム又はその混合物であり、好ましい流動促進剤はステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸であり、好ましい溶解性増強剤はクエン酸及びアスコルビン酸であり、好ましい生体接着性増強剤はポリビニルピロリドンであり、好ましい崩壊剤はPharmaburst及びExplotab(登録商標)(デンプングリコール酸ナトリウム及びカルボキシメチルデンプンナトリウム)であり、好ましい充填剤はカボシル、粒状マンニトール及び微結晶セルロース(例えば、プロソルブ)であり、好ましい発泡剤はEffersoda-12である。
【0223】
上述の投与形態物の場合、より好ましい放出マトリックス成分はベベセルであり、より好ましい流動促進剤はステアリン酸であり、より好ましい溶解性増強剤はクエン酸であり、より好ましい生体接着性増強剤はポリビニルピロリドンであり、より好ましい崩壊剤はPharmaburstであり、より好ましい充填剤は粒状マンニトール及び微結晶セルロース(例えば、プロソルブ)であり、より好ましい発泡剤はEffersoda-12である。
【0224】
好ましい一実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜5%)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(約3〜20%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約0.5〜10%)と、PVP(約2〜15%)と、デンプングリコール酸ナトリウム及びカルボキシメチルデンプンナトリウム(約3〜25%)と、マンニトール(約40〜80%)と、プロソルブ(約3〜25%)とを含む。
【0225】
他の好ましい実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜5%)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(約3〜20%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約0.5〜10%)と、PVP(約2〜15%)と、デンプングリコール酸ナトリウム及びカルボキシメチルデンプンナトリウム(約3〜25%)と、マンニトール(約40〜80%)と、プロソルブ(約3〜25%)と、シクロデキストリン(約5〜30%)とを含む。
【0226】
他の好ましい実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜4.5%)と、HPMC(約3〜10%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約1〜6%)と、PVP(約2〜6.5%)と、Pharmaburst(約60〜90%)とを含む。
【0227】
更に好ましい実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜4.5%)と、HPMC(約3〜10%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約1〜6%)と、PVP(約2〜6.5%)と、Pharmaburst(約60〜90%)と、シクロデキストリン(約5〜30%)とを含む。
【0228】
更に好ましい実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約1〜6%)と、HPMC(約3〜10%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約1〜10%)と、PVP(約2〜10%)と、Pharmaburst(約60〜90%)とを含む。
【0229】
更に好ましい実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約1〜6%)と、HPMC(約3〜10%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約1〜10%)と、PVP(約2〜10%)と、Pharmaburst(約60〜90%)と、シクロデキストリン(約5〜30%)とを含む。
【0230】
更に好ましい実施形態によると、固形舌下錠剤投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜5%)と、HPMC(約5〜35%)と、ステアリン酸(約0.5〜5%)と、クエン酸(約10〜40%)と、PVP(約5〜25%)と、Pharmaburst(約3〜25%)と、Effersoda-12(約10〜65%)とを含む。
【0231】
経皮ゲル投与形態物
本発明の経皮ゲル製剤は、安定剤(例えば、クエン酸やアスコルビン酸等の酸化防止剤)を界面活性剤(例えば、ラウリン酸やオレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ポリエチレングリコール)に溶解して調製する。更に非水系溶媒(例えば、プロピレングリコールやグリセロール、短鎖置換又は非置換アルコール(例えば、エタノールやイソプロパノール、プロパノール))を添加して超音波処理する。必要に応じて、超音波処理の前に生体接着剤/活性作動薬放出マトリックスを非水系溶媒に添加することができる。浸透化剤(例えば、胆汁酸塩や脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪酸エステル、エナミン誘導体、α−ケトアルデヒド、コール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)、アプロチニン、アゾン、5−メトキシサリチル酸ナトリウム、1−オレイルアザシクロヘプタン−2−オン、及び/又は水系溶媒に対する親和性が高いシリカ(例えば、商標Syloid(登録商標)でよく知られている沈降シリカ)、マルトデキストリン、β−シクロデキストリン、界面活性剤、キレート剤、シクロデキストリン、キトサン、低級アルコール)を手動撹拌及び超音波処理を利用して溶液に徐々に添加する。
【0232】
得られたスラリーは、ステンレス40メッシュ篩を通して押し出す。乳状(クリーム状)懸濁液(その後、冷蔵庫で数日間貯蔵後にゆっくりと分離する貯蔵液)をポリプロピレン混合物に添加し、5分間超音波処理する。手動撹拌及び超音波処理を利用して浸透化剤を徐々に溶液に添加する。
【0233】
経皮ゲル投与形態物
一実施形態によると、経皮ゲル投与形態物は、一以上の有効剤と、溶媒(約5〜95%)と、増粘剤(約1〜30%)と、安定剤(0.5〜10%)と、生体接着性増強剤(約35%以下)とを含む。
【0234】
他の実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、一以上の有効剤と、溶媒(約5〜90%)と、増粘剤(約5〜12%)と、安定剤(0.5〜1.5%)とを含む。
【0235】
更なる実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、一以上の有効剤と、溶媒(約5〜90%)と、増粘剤(約3〜25%)と、生体接着性増強剤(約0.5〜30%)と、安定剤(0.5〜5%)とを含む。
【0236】
更なる実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、一以上の有効剤と、溶媒(約5〜90%)と、増粘剤(約3〜25%)と、安定剤(0.5〜5%)とを含む。
【0237】
更なる実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、有効剤(約0.5〜10%)と、溶媒(約50〜95%)と、増粘剤(約3〜25%)と、安定剤(0.5〜5%)とを含む。
【0238】
更なる実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、有効剤(約0.5〜10%)と、溶媒(約50〜95%)と、増粘剤(約3〜25%)と、生体接着性増強剤(約1.5〜30%)と、安定剤(0.5〜5%)とを含む。
【0239】
上述の経皮ゲル投与形態物の場合、好ましい溶媒はプロピレングリコール及びグリセロールであり、好ましい増粘剤はシリカ200であり、好ましい安定剤は無水クエン酸であり、好ましい生体接着剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンである。
【0240】
好ましい実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜0%)と、PEG(約5〜40%)と、グリセロール(約45〜85%)と、シリカ(約3〜25%)と、クエン酸(約0.5〜5%)とを含む。
【0241】
他の好ましい実施形態においては、経皮ゲル投与形態物は、ドーパミン作動薬(約0.5〜10%)と、PEG(約5〜40%)と、グリセロール(約45〜85%)と、シリカ(約3〜25%)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(約1〜15%)と、PVP(約0.5〜15%)と、クエン酸(約0.5〜5%)とを含む。
【0242】
経皮パッチ投与形態物
本発明の固形で安定な非経口投与形態物は、(1)単一又は二種の異なる粒径(0.02〜5.0μm)を有する溶解状態のドーパミン作動薬と、(2)エタノールやイソプロパノール、プロパノール等の無毒性の有機溶媒(5〜100μL)とを含むように調製し、必要に応じて、無水浸透化剤(例えば、ポリエチレングリコールや脂肪酸、植物油)を添加する。
【0243】
上述の製剤はその後、経皮ドラッグデリバリーシステムに添加する。
【0244】
経皮ドラッグデリバリーシステムは、(1)ポリエチレン、ポリウレタン、PVC、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル、ポリスチレン、ポリアミド及びその誘導体、セルロース、セルロース誘導体、及び上述のものの組合せから成る速度制御マトリックス膜(その厚さや多孔性の調整は、リザーバーからの薬物の拡散速度を調整するように行うことができる)と、(2)送達系から皮膚への薬物の放出を物理的に遮断しないように皮膚へ薬物マトリックスを付着させるための接着剤と、(3)光や水分、湿気、送達系の内容物を透過させない裏打ち層と、(4)光や水分、湿気、送達系の内容物を透過させない除去可能なフロント層とを含む。送達系は更に、皮膚組織への(又は皮膚組織からの)送達速度を遅く又は速くすることによって体内への吸収速度を遅く又は速くすることができることによって特徴付けられる。
【0245】
ドーパミン作動薬+末梢作用剤の経上皮併用製剤
ドーパミン作動薬製剤の低速放出成分に末梢作用剤を添加することができる。その際、末梢作用剤は製剤からゆっくりと放出され、投与から約4〜12時間に亘って持続的に放出される。望ましいある場合には、末梢作用剤をドーパミン作動薬製剤の高速放出成分に添加して、末梢作用剤を速く放出することもできる。更に他の場合には、末梢作用剤をドーパミン作動薬製剤の低速放出成分及び高速放出成分の両方に添加し、血漿内で急速に上昇させた後、約4〜12時間に亘ってピークレベル又は近ピークレベルを持続させることができる。
【0246】
経粘膜フィルム投与形態物
ドーパミン作動薬の舌下又は口腔投与用の固形で安定なフィルム剤は、ポリビニルピロリドンやポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテートコポリマーを用いて調製する。このようなポリマーを用いることによって、水ではなく非水系溶媒のみを製剤用溶媒として用いることができる。これは、水中で不安定な麦角関連化合物等の特定のドーパミン作動薬を用いる際には重要である。
【0247】
また、更なる浸透増強剤(例えば、脂肪酸)や生体接着剤をフィルム製剤に添加することによって、バイオアベイラビリティを高め、本発明の望ましいピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線を得ることができる。また、味覚増強剤をフィルム製剤に添加して好ましい味覚を得ることもできる。
【0248】
経粘膜フィルム投与形態物
ベース組成物の調製は、ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon 90FやKollidon VA64)及び界面活性剤(例えば、ラウリン酸やオレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、リシノール酸、ポリエチレングリコール)を非水系溶媒(例えば、無水エタノール)に添加して行う。必要に応じて、更なる非水系溶媒(例えば、プロピレングリコールやグリセロール、短鎖置換又は非置換アルコール(例えば、エタノールやイソプロパノール、プロパノール)をベース組成物に添加することができる。ベース組成物は、ガラスロール瓶内で室温にて中速で24時間混合する。
【0249】
必要に応じて、合成及び半合成生体接着ポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標)LF))や浸透化剤(例えば、胆汁酸塩や界面活性剤、脂肪酸及び誘導体、キレート剤、マロデキストリン、シクロデキストリン、キトサン)を混合したベース組成物に添加することができる。この工程を行う場合には、再度ベース組成物をガラスロール瓶内で室温にて中速で24時間混合する。
【0250】
最終製剤の調製は、低湿度環境下で安定剤(例えば、クエン酸やアスコルビン酸等の酸化防止剤)を非水系溶媒(例えば、無水エタノール)に溶解して行う。この溶液にドーパミン作動薬を添加する。ドーパミン溶液をベース組成物に添加して、フィルムキャスティングに用いるゲルを形成する。必要に応じて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースや非水系溶媒(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、短鎖置換又は非置換アルコール(例えば、エタノールやイソプロパノール、プロパノール))等の生体接着剤/活性作動薬放出マトリックスを最終製剤に添加することができる。
【0251】
フィルム剤の形成は、ガラスプレート等の固体表面に固定されたフィルム離型ライナーに最終製剤をキャストして行う。フィルム剤は、表面温度を約60〜70℃に保ちながら粘着性を有し十分に形作られるまで乾燥させる。
【0252】
フィルム投与形態物
一実施形態によると、フィルム投与形態物は、一以上の有効剤と、フィルム形成剤(約0.5〜10%)と、安定剤(約5〜20%)と、生体接着性増強剤(約10〜95%)と、溶解性増強剤(約50%以下)とを含む。
【0253】
他の実施形態によると、フィルム投与形態物は、一以上の有効剤と、フィルム形成剤(約1〜6%)と、安定剤(約5〜10%)と、生体接着性増強剤(約50〜85%)と、溶解性増強剤(約0.5〜20%)とを含む。
【0254】
他の実施形態においては、フィルム投与形態物は、一以上の有効剤と、フィルム形成剤(約1〜5%)と、安定増強剤(約5〜10%)と、生体接着性増強剤(約50〜70%)と、溶解性増強剤(約15〜20%)とを含む。
【0255】
更なる実施形態においては、フィルム投与形態物は、一以上の有効剤と、フィルム形成剤(約0.5〜10%)と、安定増強剤(約2〜20%)と、生体接着性増強剤(約10〜65%)と、溶解性増強剤(約3.8〜45%)とを含み、場合によってはオレイン酸(1〜5%)を含む。
【0256】
更なる実施形態においては、フィルム投与形態物は、有効剤(約2〜20%)と、フィルム形成剤(約0.5〜10%)と、安定増強剤(約2〜20%)と、生体接着性増強剤(約20〜95%)と、溶解性増強剤(約3.8〜45%)とを含み、場合によってはオレイン酸(1〜5%)を含む。
【0257】
上述のゲル投与形態物の場合、好ましいフィルム形成剤はKollidon VA64であり、好ましい安定剤はクエン酸であり、好ましい生体接着性増強剤はKollidon 90F、フルセル及びヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、好ましい溶解性増強剤はPEG400、グリセロール及びシクロデキストリンである。
【0258】
上述のフィルム投与形態物の場合、より好ましいフィルム形成剤はKollidon VA64であり、より好ましい安定剤はクエン酸であり、より好ましい生体接着性増強剤はKollidon 90F及びFLUCELであり、より好ましい溶解性増強剤はPEG400、グリセロール及びシクロデキストリンである。
【0259】
好ましい実施形態によると、フィルム投与形態物は、ドーパミン作動薬(約2〜20%)と、Kollidon 90F(約10〜55%)と、Kollidon VA64(約0.5〜10%)と、PEG400(約0.3〜5%)と、Klucel(登録商標)(約10〜55%)と、グリセロール(約0.5〜10%)と、クエン酸(2〜20%)と、シクロデキストリン(約3〜30%)とを含み、場合によってはオレイン酸(1〜5%)を含む。
【0260】
皮下投与形態物
有効剤は40メッシュ篩を通して乳化剤に懸濁させる。この溶液に媒体又はマトリックス(例えば、合成油、半合成油又は天然油(好ましく用いることのできるのは、カルボン酸部分の鎖長がC8〜C10の中鎖長トリグリセリド)、大豆油、ゴマ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ココナッツ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、上述の油の少なくとも二以上の混合物又は対応する硬化油、ベントナイト、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース又はその誘導体、植物ゴム、各種サイズのポリエチレングリコール、メタ水酸化アルミニウム、寒天−寒天及びトラガカントゴム、ゼラチン、上述の物質の二以上の混合物)を添加する。得られる透光性で均一な有効剤エマルジョンは、一旦滅菌フィルターを通過させてから非経口投与に用いることができる。投与直前にはエマルジョンを十分に振るとよい。
【0261】
皮下投与形態物
一実施形態によると、皮下投与形態物は、一以上の有効剤と、乳化剤(約5〜20%)と、医薬用媒体(約80〜95%)とを含む。
【0262】
更なる実施形態においては、皮下投与形態物は、一以上の有効剤と、乳化剤(約5〜10%)と、医薬用媒体(約90〜95%)とを含む。
【0263】
上述の皮下投与形態物の場合、より好ましい乳化剤はポリソルベート80であり、より好ましい媒体はゴマ油である。
【0264】
更なる実施形態においては、一以上の有効剤と、ブロモクリプチン(約0.01〜0.1)と、ポリソルベート80(5〜10%)と、ゴマ油(約90〜95%)とを含む。
【0265】
後述する実施例から、非経口ドーパミン作動薬製剤の各成分に対して操作を行うことによって、ピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線プロファイルの予測可能な変化を得ることができ、また、非経口で投与した際に、インビボで望ましいピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線を示すことが分かる。望ましいピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線を示すドーパミン作動薬製剤を日常的に適切な時間に非経口投与することによって、代謝疾患が十分に確立された動物モデルにおいて代謝障害が抑制される(実施例18〜21及び図3〜8参照)。また、これらの非経口ドーパミン作動薬製剤を標準的なサンプルボトリング条件下で熱や湿気に対して安定になるようにすることができる(実施例22参照)。
【0266】
数種の賦形剤は有効剤の溶解プロファイルに対して影響を及ぼし得る。例えば、プロソルブ(ミクロセルロース充填剤)やBenecel(登録商標)(生体接着剤/活性作動薬放出マトリックス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の賦形剤は濃度を上昇させると、有効剤の溶解速度を低下させるように作用する。これに対し、クエン酸やPharmaburstの賦形剤はそれぞれ、ドーパミン作動薬の初期溶解速度及び全溶解速度を促進させる。更にクエン酸を添加し、Benecel(登録商標)レベルを低下させると、ドーパミン作動薬の全溶解速度において所望の初期高速溶解プロファイルが維持された後、低速で一定の溶解が行われる。クエン酸レベルを更に上昇させると(後述の製剤11S錠剤参照)、驚くべきことに、最初の30分以内の初期バースト放出(burst-release)が顕著に約40%高まり、その後、210分間に亘って低速で一定の放出が続く。シクロデキストリンを添加して、この放出プロファイルを改善しながら、製剤の吸収特性を高めることができる(後述の製剤12S参照)。
【0267】
Explotab(登録商標)(デンプングリコール酸ナトリウム及びカルボキシメチルデンプンナトリウム)崩壊剤に代えてPharmaburstを用いた場合、崩壊時間も促進される(約15分から5分)。このような崩壊の促進は、非経口錠剤投与にとって望ましい特性である。また、Pharmaburstを用いることによって、製剤の全溶解プロファイルも促進される。更に、Pharmaburstに対するExplotab(登録商標)の比を変更すると共に錠剤中のBenecel(登録商標)やプロソルブのレベルを調整することによって、ドーパミン作動薬の中間放出プロファイルが得られることも理解し得る。このようなハイブリッド製剤によって、所望のドーパミン作動薬製剤の「微調整」が可能となり、所望のPKプロファイルを得ることができる。PharmaburstにEffersodaを添加することによって、ドーパミン作動薬製剤の崩壊時間及び溶解時間が更に促進される。
【0268】
また、このような非経口製剤において生体接着剤のレベルをその最高値まで調整し、有効剤の生体接着を支持しながら、有効剤の急速なバースト溶解を行うことができる。生体接着剤のレベルを上昇させることによって有効剤の溶解時間が短縮するが、生体接着剤レベルを低下させても溶解時間には影響を及ぼさない。従って、生体接着剤、有効剤及び他の成分の相対量を最適化して所望のピーク−プラトーバイオアベイラビリティプロファイルを得ることができる。更に、錠剤当りの有効剤を1mgから3mgに増加させても錠剤の溶解特性は変化しないため、非経口ドーパミン作動薬の様々な投与強度が得られることも示し得る。しかし、生体接着剤と共にシクロデキストリンや他の浸透化剤を含む製剤において有効剤のレベルを錠剤当り1mgから3mgまで増加させる際、シクロデキストリン/生体接着剤レベルに対する有効剤のレベルを上昇させることによって有効剤の放出を促進することができる。このコンテクストにおいては、より強力な生体接着剤(例えば、キサンタンガム)に換えることによって錠剤内での有効剤の放出プロファイルを抑制することができる。
【実施例】
【0269】
実施例
手順
錠剤の硬度は、硬度試験機(Model #PAH01、500N、Pharma Alliance Group)を用いて試験することができる。限界点における力を錠剤の硬度(即ち、錠剤の破砕強度)として記録した。4kgを超える値は一般に許容可能であると見なした。
【0270】
脆さ試験は、KeyFT−400モデル脆さ試験機を用い、USP<1216>指針に従って行うことができる。最小5個の錠剤の重量を計測し、タンブラー内に入れる。錠剤を25RPMで約4分間回転させる(100回転)。許容条件は、重量損失が全重量の1%以下であることを要求するUSP許容基準に対応させた。
【0271】
崩壊試験は、VanKel崩壊試験機(Model 10-91171B)(30rpmで運転)及びLauda M6循環槽を用い、37℃でUSP<701>指針に従って行うことができる。錠剤を観察シリンダー内に入れ、バスケットアセンブリを試験装置に装着する。脱イオン水を浸漬媒体として用いる。
【0272】
溶解試験は、Distek 2100B溶解システムを用い、37℃でUSP<711>指針に従って行うことができる。各製剤に対し、13個の錠剤について全450mLの浸漬媒体で溶解試験を行う。HPLC解析においては、100μLのアリコートを各観察時点で用いる。薬物の濃度は、検量線を用い、APIのHPLCピーク面積の定量によって求めた。リン酸バッファー(pH6.8)(即ち、唾液環境を模倣する溶解研究用の標準品)中のAPIの不安定性に関するNATの知見のため、クエン酸バッファー(pH6.0)中で溶解試験を行うのが好ましい。
【0273】
HPLC
通常、サンプルは全て調製/回収直後に解析してAPIの分解を抑制した。以下の条件によって逆相HPLC解析を行った。
セットアップ:Waters 484MS調整可能吸光度検出器及びWaters 600E多溶媒送達システムを設けたWISPサンプル冷却ユニットを有するWISP712自動注入システム(Waters)、Eppendorf CH-30カラムヒータ/TC−50コントローラ、及びShodex溶媒脱気ユニット(Model KT-375)
HPLCカラム:Waters Symmetry Shield RP-18、4.6×150mm、3.5μM
検出波長:300nm
分析方法:A相は水95%/アセトニトリル5%、0.1%TFA;B相はアセトニトリル、0.1%TFA;B相の20〜35%勾配が5分間、それに続くB相の35〜40%勾配が15分間。APIの保持時間は約12.3minであった。
検量線:APIの0.1%クエン酸溶液
【0274】
実施例1:アクリル系製剤
固形非経口投与形態物1S〜3Sは以下のように調製した。
【0275】
【表1】

【0276】
50mLのチューブミキサーにブロモクリプチンとカボシルを投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。1Sの場合には、クエン酸を添加し、15分間混合した。Carbopolを添加し、15分間混合した後、マンニトールを添加し、更に30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0277】
【表2】

【0278】
【表3】

【0279】
実施例2:ヒドロキシプロピルメチルセルロース/ポリビニルピロリドン系固形製剤
ヒドロキシプロピルメチルセルロース/ポリビニルピロリドン系固形製剤投与形態物(4S、5S)は以下のように調製した。
【0280】
【表4】

【0281】
50mLのチューブミキサーにブロモクリプチンを投入し、必要に応じてカボシルを投入した(4S)。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。IPVPを添加して15分間混合した後、Benecel(登録商標)を添加し、更に20分間混合した。次に、マンニトールを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0282】
実施例3:溶解試験におけるクエン酸バッファー
リン酸バッファーの代わりにクエン酸バッファーを用い、製剤6Sの溶解速度について試験した。製剤6Sは最初の2時間以内にブロモクリプチンの50%を放出した後、ブロモクリプチン濃度が低下した。この濃度低下はブロモクリプチンの分解に起因するものではなかった。
【0283】
【表5】

【0284】
50mLのチューブミキサーにブロモクリプチンとPVPを投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。カボシルを添加して15分間混合した後、Benecel(登録商標)を添加し、更に20分間混合した。次に、マンニトールを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0285】
【表6】

【0286】
【表7】

【0287】
実施例4:他のHPMC/PVP系製剤
本発明の固形非経口投与形態物(7S〜10S)を調製した。製剤7Sは実験の範囲内で良好な安定性を示した。製剤7Sは4時間後には薬物の50%、6時間後には薬物の70%を放出し、優れた全放出プロファイルを示した。また、この製剤によって、かなりの流動特性や均一性を有すると共に脆さが抑制された高品質の錠剤を製造することができた。7Sに基づいて更なる実験を行い、APIの放出速度を若干上昇させ、4時間での目標値を>80%までにするための他の戦略について検討した。しかし、微結晶セルロースのレベルを上昇させると放出時間が短縮したため、これを用いてドーパミン作動薬の口腔製剤の放出を抑制させることができた。次の反復ラウンドにおいては、製剤9S及び10Sをクエン酸によって増強させ、ステアリン酸マグネシウムに代わりに流動促進剤としてステアリン酸を含有させた(分解抑制のため)。7Sと比べて、9Sではクエン酸を1.4%含むため、APIの放出が促進され、3時間で86%、4時間で100%となった。10Sは7Sと比べて含有するHPMCが少なく、APIの放出は3時間で70%、4時間で95%であった。9S及び10Sは両方とも安定性が良好で、優れた錠剤を形成し、13〜15分の範囲内で崩壊時間が短縮した。
【0288】
【表8】

【0289】
50mLのチューブミキサーにブロモクリプチンとポリビニルピロリドン(PVP)を投入し、必要に応じてクエン酸(9S)を投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。Explotab(登録商標)を添加して10分間混合した後、プロソルブと共にBenecel(登録商標)を添加し、15分間混合した。次に、マンニトールを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0290】
【表9】

【0291】
【表10】

【0292】
実施例5:バースト放出製剤
次の実験ラウンドにおいては、クエン酸のレベルを上昇させた製剤11Sを調製し、浸透増強剤(シクロデキストリン)によって製剤12Sを補足した。製剤11S(クエン酸増加、9Sに対して2.9%)は、「バースト放出」特性を示すことが分かった。クエン酸レベルをこの量まで増大させた結果、ドーパミン作動薬製剤に関してこれまで記載されておらず、予期されなかった作用が得られる。
【0293】
製剤11S及び12Sは、(1)ドーパミン作動薬(メシル酸ブロモクリプチン)、(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(3)ポリビニルピロリドン(PVP)、(3)レベルを増大させたクエン酸、及び(4)必要に応じて浸透増強剤(12S)を含むように調製した。製剤11S(9Sに比べて2.9%のクエン酸)は、先の製剤と比べて、「バースト放出」を示すことが分かった。全放出時間は9Sの場合と非常に類似している(〜4時間)が、初期の時点でより多くの11Sが放出された(30分以内に36%も放出され、その後60分までに46%が放出された)。高レベルのクエン酸を次の製剤(即ち、シクロデキストリンファミリー由来の浸透増強剤を有する12S)に用いた。12S製剤(9Sと比べて、2.5%のクエン酸と14%のシクロデキストリン)は、更に顕著な「バースト放出」挙動の作用を示した。具体的には、40%のブロモクリプチンが30分で放出された後、低速放出が続いた(1時間で52%、2時間で71%、3時間で91%、最終的に4時間の時点で完全な放出が見られた)。
【0294】
【表11】

【0295】
50mLのチューブミキサーにブロモクリプチン、クエン酸及びポリビニルピロリドン(PVP)を投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。Benecel(登録商標)を添加し、10分間混合した。次に、Explotab(登録商標)を添加して10分間混合した後、プロソルブ(1750mg)を添加し、15分間混合した。製剤12Sの場合には、ボールミルを用いてCavitronを分散、添加し、20分間混合した。次に、マンニトールを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0296】
【表12】

【0297】
【表13】

【0298】
実施例6:ドーパミン作動薬とコレステロール低下剤との併用錠剤
コレステロール低下剤であるシンバスタチンを製剤11Sに添加し、製剤20Sを生成した。11S製剤には、ドーパミン作動薬の放出プロファイルをさほど変えることなくスタチンファミリー由来の剤を更に配合できることが分かった。
【0299】
シンバスタチンは静電荷を得ることが可能な綿毛状の粉末であるため、混合物にシンバスタチンを添加することによって流動特性が大幅に低下した。また、シンバスタチンは水に対する溶解性も非常に低い。溶解試験においては、測定可能なシンバスタチン濃度が約6%に過ぎなかったが、これは、恐らく水に対する溶解性の低さに起因する。このことは、親油性可溶化剤を添加することによって克服することができる。より重要なのは、シンバスタチンによってブロモクリプチンの放出プロファイルがさほど変わらなかったことである。
【0300】
【表14】

【0301】
製剤の調製は11Sの場合と同様であるが、シンバスタチンを混合物に300rpmで10分間混合した後に追加工程を行った。
【0302】
【表15】

【0303】
【表16】

【0304】
【表17】

【0305】
実施例7:ドーパミン作動薬と抗高血圧剤又はコレステロール低下剤との併用錠剤
抗高血圧剤であるラミプリルを製剤11Sに添加し、製剤21Sを生成した。11S製剤には、ドーパミン作動薬の放出プロファイルをさほど変えることなくアンジオテンシン変換酵素阻害剤ファミリー由来の剤を更に配合できることが分かった。
【0306】
【表18】

【0307】
製剤の調製は11Sの場合と同様であるが、ラミプリルを混合物に300rpmで10分間混合した後に追加工程を行った。
【0308】
【表19】

【0309】
【表20】

【0310】
【表21】

【0311】
実施例8:ドーパミンD2受容体作動薬とドーパミンD1受容体作動薬との併用錠剤
製剤22Sは、ドーパミンD1受容体作動薬であるブロモクリプチンとドーパミンD2受容体作動薬であるSKF−38393の組合せであり、この2種類の有効剤と共に11Sのベース製剤を用いた。各ドーパミン作動薬の放出プロファイルは非常に類似しており、11S製剤と非常に類似した溶解プロファイルを示した。短期研究を行いSKF−38393の安定性を確実にした。酸で緩衝した水中では12時間以内には分解が生じないことが分かった。これに対し、アルコール溶液中では、APIは急速に分解し、最初の1時間以内に>5%のAPIが既に消失した。多量のSKF−38393を用いたにも関わらず、この製剤は良好な流動特性を示し、良質の錠剤が得られた。
【0312】
【表22】

【0313】
製剤の調製は11Sの場合と同様であるが、SKF−38393を混合物に300rpmで10分間混合した後に追加工程を行った。
【0314】
【表23】

【0315】
【表24】

【0316】
【表25】

【0317】
実施例9:バースト放出を促進させた製剤
11S及び12S製剤の結果に基づき、次の製剤シリーズ(23S、24S)を調製し、ドーパミン作動薬製剤の錠剤崩壊時間と溶解時間の両方を更に促進させた。これは、Explotab(登録商標)R崩壊剤の代わりにPharmaburst(登録商標)崩壊剤を用いることによって効果的に行うことができ、崩壊時間が13〜15分から約5分に短縮し、100%溶解に要する溶解時間は約4時間から約1.0〜2.0時間へと促進された。製剤23S及び24Sは優れた流動特性を示し、崩壊時間が速く非常に強固で硬い錠剤が得られたが、24Sの方が23Sに比べて若干速く崩壊した。これらの知見は、Cavitronが崩壊時間を短縮させるという先の結果(例えば、11S対12S)と一致した。
【0318】
【表26】

【0319】
50mLのチューブミキサーにブロモクリプチン、クエン酸及びポリビニルピロリドン(PVP)を投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。Benecel(登録商標)を添加し、10分間混合した。製剤24Sの場合には、Cavitronを添加し、10分間混合した。次に、Pharmaburstを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0320】
【表27】

【0321】
【表28】

【0322】
実施例10:ドーパミン作動薬のピーク−プラトー溶解プロファイル用二重層錠剤
23Sと24Sの中間の放出プロファイルを得るために二重層錠剤30DLを設計した。錠剤はCarverプレスを用いて製造し、予想された放出特性を示した。この実験によって、二重層錠剤を用いて他の製剤を微調整し、ドーパミン作動薬の所望のピーク−プラトー放出プロファイルを得る(また、ピークまでの時間を速め、テールプラトー時間を短縮させて該放出プロファイルを変更する)可能性を確認する。
【0323】
錠剤(70mg)は、予め計量した二成分A及びB(各35mg)を用い、2000Psiの圧力で卓上20トンCarverプレス上の5mmダイ内に1個ずつパンチした。押圧を加える前に、製剤混合物を手動で2工程により予備圧縮した。各錠剤において、目に見える凹凸や成分Aに黄色染料を添加して分かり易くした界面層の性質について検討した。
【0324】
【表29】

【0325】
50mLのチューブミキサーに250mgのブロモクリプチン、クエン酸及びポリビニルピロリドン(PVP)を投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。Benecel(登録商標)と必要に応じてレーキ顔料(A)を添加し、10分間混合した。成分Bの場合には、Cavitron(2500mg)を添加し、10分間混合した。次に、Pharmaburstを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。
【0326】
【表30】

【0327】
【表31】

【0328】
実施例11:12S製剤へのエルゴクリプチンの配合
製剤25Sにおいては、製剤12Sのブロモクリプチンの代わりにドーパミン作動薬であるエルゴクリプチンを用いた。各ドーパミン作動薬の放出プロファイルは非常に類似しており、12S製剤と非常に類似した溶解プロファイルを示した。
【0329】
【表32】

【0330】
この製剤は製剤12Sで上述したように調製し、ブロモクリプチンの代わりにエルゴクリプチンを用いた。
【0331】
【表33】

【0332】
【表34】

【0333】
実施例12:ゲルドーパミン作動薬製剤
良好な製品安定性(即ち、有効期間)を有し、ドーパミン作動薬の粘膜投与、経皮投与及び/又は皮下投与に用いる一連のゲル製剤(26S、31Gel及び34Gel)を構築した。アクリル系製剤はドーパミン作動薬(特に麦角ファミリーの作動薬)を分解するため、アクリル成分を用いずに許容し得るピーク及びプラトーの薬物動態プロファイルが得られる別の製剤を構築した。
【0334】
経皮、経粘膜ブロモクリプチン製剤26Sは非水系グリセロール含有組成物に基づいた。プロピレングリコール(PEG)はブロモクリプチン等のドーパミン作動薬の溶解性が高く、また、FDAやcGMP指針に準拠した実績のある経皮浸透増強剤でもある。米国特許第4,366,145号によると、高レベルのグリセロールやプロピレングリコールを含有するブロモクリプチン組成物は安定性が高い。更に、クエン酸を導入してAPIドーパミン作動薬の安定性を高めた。最後に、シリカ(即ち、無機材料)を用いて粘度を制御したが、これは、アクリル酸誘導体に基づく増粘剤や更には、麦角関連ドーパミン作動薬の分解を促進することが分かっているPEGとは違ってシリカが安定性に影響を及ぼす可能性が低いためである。
【0335】
生体接着剤系においては、ヒドロキシプロピルセルロース(Benecel(登録商標))とクロスポビドン(比率は2:1)の混合物を錠剤製剤に添加した。この生体接着剤の組合せによってAPI安定性が良好なゲルが得られることが予想される。短期間の安定性研究から、冷蔵庫内で4℃にてゲルを貯蔵してから72時間以内には分解が生じないことが分かった。
【0336】
グリセロールやプロピレングリコールを含有する非水系に基づく製剤26Sを用いてゲル製剤31Gelを調製し、シリカを添加して粘度を制御した。予備実験後、HPMC/PVP生体接着剤をこのゲルの組合せに添加した。アエロジルシリカによって安定性を効果的に制御することができ、貯蔵1週間後に良好な均一性を示すゲルが得られる。また、5℃で貯蔵した場合、3日後にブロモクリプチンの分解は検出されなかった。生体接着剤成分を添加しているため、ゲル製剤26Sと比べると、同様の増粘作用を得るのに必要なシリカは少なくて済んだ。
【0337】
ゲル製剤34Gelは26Sと同様であったが、有効剤の量は1%ではなく3%とした。
【0338】
これらの製剤は安定であり、麦角関連ドーパミン作動薬の分解を促進することが知られているアクリル系成分を含んでいない。これらのゲルの粘度やバイオアベイラビリティ特性の調整は、バイオアベイラビリティプロファイルを維持しながら製剤からの有効剤の吸収レベルを増大させることができる方法によって行うことができる。
【0339】
これらの製剤は、経皮的、皮下的又は経粘膜的に適用して非経口吸収に影響を及ぼすことができる。
【0340】
【表35】

【0341】
製剤26S及び34Gelの場合には、100mLのスクリューキャップ瓶において、クエン酸をプロピレングリコール中で10分間超音波処理し、透明無色の溶液を得た。ブロモクリプチンを添加し、10分間超音波処理して若干不透明な液体を得た。グリセロールを添加し、混合物を更に10分間超音波処理した。手動撹拌及び超音波処理を利用してシリカを徐々に溶液に添加した。添加後の初期には非常に粘性の高い不均一なスラリーが得られたが、徐々に透き通ってきた。
【0342】
31Gelの場合には、Benecel(登録商標)及びポビドン29/32をグリセロールに添加し、得られた懸濁液をポリトロンホモジナイザーによって5,000rpmで5分間ホモジナイズした。得られたスラリーはその後、ステンレス40メッシュ篩を通して押し出し、集塊状粒子を確実になくした。乳状(クリーム状)懸濁液(その後、冷蔵庫で数日間貯蔵後にゆっくりと分離する貯蔵液)をポリプロピレン混合物に添加し、5分間超音波処理した。手動撹拌及び超音波処理を利用して6gのシリカを溶液に徐々に添加した(2×3g)。添加後の初期には非常に粘性の高い不均一なスラリーが得られたが、徐々に透き通ってきた。ゲル製剤26Sと比べると、同様の増粘作用を得るのに必要なシリカは少なくて済んだ。
【0343】
かなりの量の気泡がトラップされたため、ゲル製剤を冷蔵庫内で5℃にて24時間エージングした後、最終製剤を真空デシケーター内で6時間脱気し、透明で若干黄色いゲルを得た。この最終ゲルはエアレスポンプを備えた丸い瓶内に詰めた。
【0344】
実施例13:錠剤中の生体接着剤系のレベルが溶解及び崩壊プロファイルに及ぼす影響
この実施例においては、製剤23SにおけるHPMC/PVP生体接着剤の量を変更した。製剤27Sに含まれるHPMC/PVP生体接着剤系の量は23Sに比べて20%多い。23Sの場合と比べて、27Sは実質的に遅い放出を示し、薬物の放出は1時間で60%、2時間で94%であった。高レベルの生体接着剤成分を用いることは、ドーパミン作動薬の急速なピークとそれに続く低速放出を得るための戦略としては不適切に思われる。
【0345】
一方、製剤28FにおいてはHPMC/PVP生体接着剤が製剤23Sと比べて50%少ない。しかし、放出プロファイルは23Sと非常に類似した。27Sの放出データを考慮に入れると、これらの結果から、23Sで選択した生体接着剤成分比は、生体接着剤を高レベルにした際のドーパミン作動薬の最初の低速放出(即ち、最初の急速な溶解ピークの消失)への推移の変曲点に近いことが分かった。
【0346】
【表36】

【0347】
この製剤は23Sで記載したのと同様に調製した。
【0348】
【表37】

【0349】
【表38】

【0350】
実施例14:生体接着剤系としてのキサンタンガムの使用
製剤29SではHPMCに代えてキサンタンガムを、他の錠剤成分に対する割合を23Sの場合と同様にして配合し、このようなゴムが錠剤の崩壊やドーパミン作動薬溶解プロファイルに及ぼす影響について検討した。この変更によってドーパミン作動薬の放出が有意に抑制された。従って、キサンタンガムは、単独では低レベルでHPMC/PVP系の代替として考慮することができ、或いは、低レベルで「超高速」崩壊錠剤(後述の製剤40SuF参照)と組み合わせてピーク−プラトー溶解曲線を得ることができる。
【0351】
【表39】

【0352】
この製剤は製剤23Sで上述のように調製したが、Benecel(登録商標)の代わりにキサンタンガムを生体接着剤として用いた。
【0353】
【表40】

【0354】
【表41】

【0355】
実施例15:生体接着剤に対する有効剤の比の増大
錠剤製剤中の生体接着剤に対するドーパミン作動薬の比を増大させる作用について検討した。組成物32F及び33Sはそれぞれ、23S及び24S製剤の類似体として調製したが、生体接着剤系に対するドーパミン作動薬の比は、約2.5/10対1/10とした。予想通り、32F製剤は23Sと同様の放出プロファイルを示した。新しい組成物33Sは24Sに比べて3倍多くブロモクリプチンを有するが、24Sと比べて有意に異なる放出プロファイルを示した。実際、33Sの放出プロファイルは24Sよりも23Sの方に類似しており、全ての薬物は約120分で放出された。生体接着剤系に対する有効剤の比を増大させると共にシクロデキストリンを添加することによって薬物リザーバーに過負荷をかけたと思われ、その結果、より多くの薬物が初期に放出された。この製剤は、薬物を高速で送達した後、シクロデキストリン等の浸透増強剤の添加によって低速放出を行うのに有用となり得る。シクロデキストリン含有製剤においては、薬物の初期放出がシクロデキストリンとの相互作用の因子ではないように製剤中のシクロデキストリンに対する薬物の比を単に増大させることによって、初期の薬物送達速度を調整することができる。シクロデキストリンと相互作用する薬物の割合を低下させることによって、錠剤からの薬物の初期放出を促進することができる。
【0356】
【表42】

【0357】
これらの調製は製剤23S及び24Sで上述したように行った。
【0358】
【表43】

【0359】
【表44】

【0360】
実施例16:錠剤製剤におけるアスコルビン酸によるクエン酸の置換
製剤35Fは、錠剤当りの有効剤が1mgである23Sの類似体であり、クエン酸の代わりにアスコルビン酸を用いた。
製剤36Sは、錠剤当りの有効剤が3mgである23Sの類似体であり、クエン酸の代わりにアスコルビン酸を用いた。
製剤37Fは、錠剤当りの有効剤が1mgである24Sの類似体であり、クエン酸の代わりにアスコルビン酸を用いた。
製剤38Sは、錠剤当りの有効剤が3mgである24Sの類似体であり、クエン酸の代わりにアスコルビン酸を用いた。
【0361】
全ての場合において、アスコルビン酸によるクエン酸の置換によって薬物放出及び錠剤崩壊時間が遅くなったため、この置換は、錠剤の安定性を低下させずにこのような遅延を生じさせる方法として用いることができる。
【0362】
【表45】

【0363】
製剤の溶解は製剤23S及び24Sで上述したように行った。
【0364】
【表46】

【0365】
【表47】

【0366】
実施例17:超高速崩壊錠剤
超高速放出錠剤製剤(40SuF)は発泡型崩壊剤を用いて調製した。製剤40SuFにおいては、生体接着剤系のレベルを2倍とした(全HPMC/PVPの約25%とした)。この製剤によって錠剤が急速に崩壊し(4分)、非常に望ましい「バースト」放出と、それに続くほぼ直線形の低速放出の「テーリング」が生じた。
【0367】
【表48】

【0368】
この製剤は製剤23Sで上述のように調製したが、クエン酸を添加する時にEffersodaを添加した。
【0369】
【表49】

【0370】
【表50】

【0371】
実施例18:固形非経口ドーパミン作動薬製剤を用いたインビボバイオアベイラビリティ研究
本発明の非経口投与形態物をシリアンハムスターに投与し、ドーパミン作動薬のインビボバイオアベイラビリティについて示した。シリアンハムスターの大きな食物貯蔵嚢は、化合物や医薬製剤の粘膜輸送を研究するには理想的な生物学的組織である。また、シリアンハムスターは、医薬製剤の経皮輸送の研究に用いることのできる皮膚組織も有する。本発明のドーパミン作動薬医薬製剤を麻酔したシリアンハムスターに投与した(各群n=2〜9)。血液サンプルの採取は、薬物投与前と投与後30分、60分、90分、120分及び180分、また、必要に応じて投与後240分及び300分に行い、血漿中のブロモクリプチン(即ち、これらの製剤中のドーパミン作動薬)のレベルを測定した。ブロモクリプチンは血漿から抽出し、サンプルの解析はHPLC法により標準に対して行った。バイオアベイラビリティデータはCmaxの%で表す。
【0372】
血漿ブロモクリプチン抽出法
250μLの血漿を125μLの0.5M NHClバッファー(pH9.2)及び900μLのヘキサン/1−ブタノール(5/1)と混合した。この混合物をボルテックスし(3分間)、遠心分離した(1000×g、3分間)。上清を新しいチューブ一式に移した後、250μLの0.025M H2SO4をチューブに添加した。混合物を再度ボルテックスし(3分間)、遠心分離した(1000×g、3分間)。上部有機相を吸引した後、500μLのジクロロメタンと150μLのNDClバッファーを添加し、その後ボルテックス及び遠心分離を行った。上部水層を吸引除去し、底部層を55℃で濃縮した。乾燥後、残渣はHPLCで解析を行うまで−70℃で保存した。
【0373】
後述のように、本発明の非経口投与形態物によって、動物モデル系においてピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線が得られた。更に、このバイオアベイラビリティの例からは、予想通りに、医薬製剤の特定の成分を操作することによってバイオアベイラビリティ曲線の形状が操作可能であることが分かった。
【0374】
HPLC解析
上述の抽出物を50μLの50%エタノールに溶解した。10又は15μLを注入し、HPLC解析を行った。
条件:
移動相:0.1Mリン酸二カリウム(pH7.5):アセトニトリル(1:1)
流量:0.4mL/分
カラム:C183ul、100×2mm
検出器:UV(300nm)
実行時間:2×ブロモクリプチンの保持時間
【0375】
バイオアベイラビリティデータ解析
バイオアベイラビリティはCmaxの%で表す。データは処理群当りで得た最適曲線を示す。
【0376】
製剤23S及び24Sと組合せ30DLのバイオアベイラビリティ結果
23S製剤のバイオアベイラビリティは、薬物の粘膜投与から30分以内の血漿中ドーパミン作動薬レベルのピークと、その直後の血漿中レベルの低下によって特徴付けられた。シクロデキストリンを23S製剤に添加し、生体接着性と浸透性を向上させて24S製剤を調製した場合、そのバイオアベイラビリティは、薬物の粘膜投与から30分以内に血漿中ドーパミン作動薬レベルのピークが現れた後、ドーパミン作動薬レベルがCmax濃度の約>50%となるプラトーが2.5〜4.5時間続くことによりCmaxが23S製剤と比べて2〜3倍大きいピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線が得られることによって特徴付けられた。
【0377】
30DL製剤は錠剤であり、23S製剤の半分と24S製剤の半分を一緒にして単一投与製剤としたものである。この「ハイブリッド」は、23Sとよく似たバイオアベイラビリティを示したが、これは、ドーパミン作動薬に対するシクロデキストリンの比が低すぎてドーパミン作動薬の生体接着性や組織浸透性が得られなかったためだと思われる。
【0378】
【表51】

【0379】
製剤32F及び33Sのバイオアベイラビリティ結果
32F製剤のバイオアベイラビリティは、粘膜投与後30〜90分以内に血漿中ドーパミン作動薬レベルのピークが現れた後、血漿中ドーパミン作動薬レベルがCmaxの約≧50%となるプラトーが最大3.5時間続くことによって特徴付けられた。この製剤は、23Sと24Sとの間のバイオアベイラビリティ曲線を示したが、これは、生体接着剤に対するドーパミン作動薬の比(32F対23S)に起因してこれらの製剤のインビトロ溶解プロファイルや成分特性から予想した通りであった。
【0380】
33S製剤(即ち、32F製剤+シクロデキストリン)のバイオアベイラビリティ曲線は、粘膜投与から60〜90分以内に血漿中ドーパミン作動薬レベルのピークが現れた後、血漿中ドーパミン作動薬レベルがCmaxの約≧50%となるプラトーがTmax後に最大3.5時間続くことによって特徴付けられた。また、33S製剤においては、Cmaxが32F製剤と比べて2〜3倍上昇した。このような知見は、製剤内へのシクロデキストリン配合の作用(即ち、インビトロでの錠剤溶解の遅延、及びインビボでの有効剤の組織浸透の増大)と再度一致した。
【0381】
【表52】

【0382】
製剤35F及び40SuFのバイオアベイラビリティ結果
35F製剤のバイオアベイラビリティは、血漿中ドーパミン作動薬レベルのピークが粘膜投与後180分で現れ、Cmaxの約>50%であるレベルのプラトーがその後60分間続いた後、血漿中ドーパミン作動薬レベルが低下することによって特徴付けられた。35F製剤においては、a)生体接着剤に対する有効剤の比を増大させると共に、b)23S製剤からクエン酸をアスコルビン酸によって置換した。23S製剤に対するこれらの操作の各々は、本願で上述したように、インビトロでの有効剤の溶解速度を遅らせることが分かった(即ち、35Fのバイオアベイラビリティ曲線はそのインビトロでの溶解特性と一致した)。35F製剤内でのこのような操作は、インビボでの有効剤の放出や吸収を過度に促進させ得る23S製剤に対する他の如何なる追加事項にも対抗するように為すことができ、そのバイオアベイラビリティは23S製剤の約2倍であった。
【0383】
40SuF製剤は、薬物の粘膜投与から30分以内の急速なドーパミン作動薬レベルのピークと、その直後の血漿中レベルの急激な低下(即ち、レベルのプラトーが存在しない)によって特徴付けられた。40SuF製剤のバイオアベイラビリティは23S製剤と比べて約3〜5倍高かった。40SuF製剤を用いて、Tmaxに達する時間は遅れるが、それ以外はドーパミン作動薬のピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線や治療効果を得る上で好ましい製剤のインビボTmaxを低下させることができる。
【0384】
【表53】

【0385】
実施例19:粘膜、経皮及び皮下投与送達経路に関して試験した製剤34gel
34gel製剤のバイオアベイラビリティは、ドーパミン作動薬レベルのピークがその非経口投与(粘膜、経皮又は皮下投与)後60〜90分以内で現れた後、Cmaxの約≧50%である血漿中レベルのプラトーが最大1.5〜3時間続いたことによって特徴付けられた。この製剤は、粘膜投与、経皮投与又は皮下投与であっても、ピーク−プラトーバイオアベイラビリティプロファイルを示す。また、このブロモクリプチン製剤は、1日の適切な時間に非経口投与を行うと、以前に同じ動物モデル系において代謝障害の治療に用いた従来のブロモクリプチン製剤(実施例30〜31参照)と比べて、非常に望ましく、驚くほど効果的に代謝障害の改善をもたらした。この以前の製剤は、幾つかの理由(例えば、安定性が非常に悪く、投与部位で厄介な副作用が生じるため、治療には使用できない等)から医薬用途には不適切であった。
【0386】
【表54】

【0387】
実施例20:肥満、耐糖能障害及びインスリン抵抗性の動物モデルにおける非経口製剤からのブロモクリプチンの血中レベル
エタノール−水溶媒(30:70)に溶解したブロモクリプチンをシリアンハムスターのインスリン抵抗性状態を抑制するために先に示した用量(5mg/kg)で腹腔内投与した際の血漿中レベルを、本発明の上述した製剤を非経口(粘膜、経皮又は皮下)投与後の同じ動物モデルにおける血漿中ブロモクリプチンレベルと比較した。本発明のブロモクリプチン製剤(特に、32F、33S、26S、34Gel、35F及び40SuF製剤)をシリアンハムスターに粘膜、経皮又は皮下投与(10〜20mg/kg)すると、血中ブロモクリプチンレベルは、先の製剤(エタノール/水媒体に溶解)を動物に腹腔内投与(5mg/kg)した場合と同様であった。従って、本発明の製剤を非経口経路で送達し、代謝疾患を有する動物モデルの代謝障害を抑制するのに必要なドーパミン作動薬の治療有効用量を得ることができる。
【0388】
実施例21:16週齢SHRラットにおける体重増加、血漿インスリンレベル、インスリン感受性及び血圧に及ぼす34Gelのインビボ作用
16週齢の雄性自発性高血圧ラット(SHR)の処理を毎日、製剤34Gelと30%エタノール媒体の非経口注入(10mg/kg体重)(n=100)又は30%エタノール媒体(n=10)によって7日間、これらのラットにおける日常の自発運動活性の開始時(最初の消灯時)に行った。血圧、血漿グルコースレベル及び血漿インスリンレベルを測定し、血漿グルコースレベル及び血漿インスリンレベルからインスリン感受性を求めた。媒体対照に対し、34Gel処理によって、インスリン抵抗性(HOMA−IR)が12から2.65に低下し(図1)、高インスリン血症が抑制され(2.4〜0.5ng/mL)(図2)、収縮期血圧及び拡張期血圧が低下し(各々25mmHg低下)(図3)、体重がベースラインから50g変化し(対照ラットの場合、18gの増加)(図4及び5)、血漿エンドセリン−1レベルが47%低下した(図6)。これらの結果から、1日の所定時間に34Gelを非経口投与することによって、血漿中レベルのピークが90分以内で現れた後、Cmaxの≧50%である血漿中レベルが少なくとも60〜90分間続くブロモクリプチンのバイオアベイラビリティ曲線が得られ、代謝疾患が十分に確立されたSHRラットモデルにおいて代謝障害が改善(抑制)されることが分かった。
【0389】
本願で上述した理想的なピーク−プラトー曲線をもたらさない製剤と比べて、34Gelの場合、同じ代謝疾患の動物モデルに1日の同じ時間に非経口投与すれば、等しい投与量で高インスリン血症、インスリン抵抗性及び体重増加に対してより大きく作用した(Diabetes 57Suppl 1, A176、2008)。ピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線をもたらすドーパミン作動薬製剤を毎日所定時間に非経口投与することによって、SHRラットにおいて心血管疾患の複数の危険因子(例えば、高インスリン血症やインスリン抵抗性、血圧、体重増加、血漿エンドセリン−1レベル)を同時に抑制することができる。これらの結果は、心血管疾患の治療(抑制)における上述の療法の役割を支持する。
【0390】
実施例22:非経口ブロモクリプチン製剤の安定性
水分吸収用乾燥剤を含む低密度ポリエチレン容器内にブロモクリプチン製剤を入れ、50℃、相対湿度60%で5日間保った。次に、この製剤をHPLC解析用に用意し、ブロモクリプチン及びブロモクリプチニン(即ち、ブロモクリプチンの主な分解物)量の解析をブロモクリプチン及びブロモクリプチニンの標準試料に対して行った。
【0391】
上述のように50℃/60%相対湿度環境に5日間曝露させた後、24S、32F及び33S製剤中のブロモクリプチニンレベルは全て2%未満であった。4℃の場合、これらの製剤におけるブロモクリプチニンの生成は1%未満であった。ブロモクリプチンは熱や湿気に対して非常に不安定であるため、このような条件下では通常、その分解が誘導され、得られるブロモクリプチニンのレベルが上昇する。上述の50℃、60%相対湿度におけるブロモクリプチン製剤安定性試験の結果から、これらの製剤が室温(25℃)及び湿度条件下で長期間に亘って安定である可能性があることが分かる。
【0392】
錠剤製剤についての考察
口腔ドーパミン作動薬製剤の溶解プロファイルに対する数種類の賦形剤の影響については、様々な口腔/舌下/粘膜用錠剤製剤(7S〜24S製剤)の溶解曲線を以下のように比較することによって容易に理解することができる。先ず、急速(短い)Tmax(約1〜90分)の後にCmaxの50%〜100%でプラトーが持続(約60〜360分間)するインビボ薬物動態プロファイル(望ましいピーク−プラトーPKプロファイル)を得るため、製剤によって(スロープAの)高速溶解(及び吸収)の後に(スロープ<Aの)低速で一定の溶解(及び吸収)(望ましい放出プロファイル)を行うことができる。プロソルブ(ミクロセルロース充填剤)やBenecel(登録商標)(生体接着剤、ドーパミン作動薬放出マトリックス)の賦形剤の錠剤中レベルを上昇させて(初期及び後期の)溶解速度を低下させる。これに対し、クエン酸やPharmaburstの賦形剤によって、ドーパミン作動薬の初期溶解速度及び全溶解速度がそれぞれ促進される。このような状況下で、7S製剤にクエン酸を添加し、そのBenecel(登録商標)レベルを低下させると、9Sのように、ドーパミン作動薬の全溶解速度が上昇しながら、望ましい初期高速溶解とそれに続く低速の一定溶解が維持されることを示した。また、錠剤中のプロソルブレベルを上昇させると、全溶解速度は実質的に低下する(8S製剤)。10Sのようにシクロデキストリンを9S製剤に添加すると、この望ましい放出プロファイルを更に向上させながら、製剤の吸収特性を高めることができる。11S製剤のように9S錠剤中のクエン酸レベルを更に上昇させると、製剤の初期バースト放出が顕著に高まって最初の30分で約40%が放出し、その後、210分間に亘って低速で一定の放出が続く。この望ましい放出プロファイルは、12Sのようにシクロデキストリンを添加することによって更に向上し、また、製剤の吸収特性も向上する。Explotab(登録商標)崩壊剤の代わりにPharmaburstを用いた場合、崩壊時間は促進される(約15分から5分)。この崩壊促進は、患者の使用のコンプライアンスに追加し、また、それを容易にする錠剤の口腔/舌下/粘膜投与に関する望ましい特性である。また、Pharmaburstを用いることによって、製剤の全溶解プロファイルも促進される。ドーパミン作動薬の初期高速放出に続いて低速放出が持続する一般的な特性に従う正確な所望の放出プロファイルは、上述の放出速度(初期の高速放出や二次的な持続的低速放出)に影響を及ぼし、それを調節する賦形剤に対してわずかに調整を行って得られることが分かり得る。プロソルブ(ミクロセルロース充填剤)やBenecel(登録商標)(生体接着剤、ドーパミン作動薬放出マトリックス)の賦形剤の錠剤中レベルを上昇させて(初期及び後期の)溶解速度を低下させる。これに対し、クエン酸やPharmaburstの賦形剤によって、ドーパミン作動薬の初期溶解速度及び全溶解速度がそれぞれ促進される。11S及び12S製剤は所望の製剤放出プロファイルを示す。更に、この製剤によって、ドーパミン作動薬の同時併用(例えば、単一錠剤製剤内のドーパミンD1及びD2受容体作動薬)の状況下においても複数のドーパミン作動薬の溶解が非常に類似し得ることが分かった。また、このドーパミン作動薬製剤に他の代謝障害治療剤を添加することが可能である。このような添加の場合、後述の方法を用いてドーパミン作動薬放出プロファイルを改善又は促進するためにベース製剤に対する調整が必要なこともあるし、必要でないこともある。
【0393】
23S及び24S製剤も11S及び12S製剤とは異なるが、望ましい放出プロファイルを示す。11S及び12S製剤と比べて、23S及び24S製剤はそれぞれ、崩壊時間が短縮するという有益な特性を示すが、これは言い換えると、日中の望ましい投与時間帯における生物学的吸収表面(例えば、粘膜外層や細胞膜)に対する有効剤の利用能が上昇し、従って、この時間におけるバイオアベイラビリティが上昇する。崩壊時間が更に速くなると、患者の薬物投与のコンプライアンスも向上する。また、Pharmaburstに対するExplotab(登録商標)の比を変えると共に、錠剤中のBenecel(登録商標)及びプロソルブのレベルを調整することによって、11S/12S製剤と23S/24S製剤の中間のドーパミン作動薬放出プロファイルが得られることが分かり得る。このようなハイブリッド製剤によって、所望のドーパミン作動薬製剤の「微調整」を行うことができ、所望のPKプロファイルを得ることができる。
【0394】
23S及び24S製剤を用いて更に検討した結果、これらの錠剤製剤内の生体接着剤レベルをその最高レベルで最適化して有効剤の生体接着性を支持しながらも、有効剤の急速なバースト放出が可能であることが分かった。このレベル(全錠剤重量に基づく割合)を上昇させると有効剤の溶解時間が遅くなるが、レベルの低下は溶解時間に影響を及ぼさない。従って、23S及び24S製剤の生体接着剤、有効剤及び他の成分の相対量を最適化して所望のピーク−プラトーバイオアベイラビリティプロファイルや粘膜生体接着性を得て、組織吸収を促進させる。更に、23S錠剤内で有効剤レベルを錠剤当り1mgから3mgに増大させても錠剤の溶解特性は変化しないため、この23Sバックグラウンド製剤において非経口ドーパミン作動薬の様々な投与強度が得られることも示し得る。しかし、24S製剤において有効剤のレベルを錠剤当り1mgから3mgまで増大させる際、溶解プロファイルは促進される。生体接着剤と共にシクロデキストリンや他の浸透化剤を含む製剤(33S)においては、シクロデキストリン/生体接着剤レベルに対する有効剤のレベルを上昇させることによって有効剤の放出を促進することができる。また、この新しい製剤(33S)は幾つかの望ましい特性を示すが、例えば、錠剤の崩壊が速く、最適量の生体接着剤が存在するため、有効剤が所望の吸収部位に局在し(例えば、腸に存在する経口−非経口投与製剤用有効剤が低減)、有効剤が急速に放出された後、直線的な低速放出が続き(ピーク−プラトー溶解曲線)、浸透化剤の存在によって有効剤の組織吸収が増大する。このコンテクストにおいては、より強力な生体接着性を有する異なる崩壊剤(例えば、キサンタンガム)に換えることによって錠剤内での有効剤の放出プロファイルを抑制することができる。
【0395】
製剤内の有効剤の放出を更に促進させるために、崩壊剤としてPharmaburstの代わりに発泡剤/Pharmaburst組合せ形成成分を用いながら、他の成分は23S製剤と同様にして錠剤を構築した。この特定の製剤においては、Pharmaburst比較製剤(23S)と比べて、錠剤の崩壊時間が促進されると共に、錠剤からの有効剤の溶解時間が促進された。従って、11S製剤の崩壊剤を調整することによって、高速バーストピークに続いて有効剤が低速放出される所望のバイオアベイラビリティプロファイルを有する錠剤製剤の崩壊時間及び溶解時間が調整可能であることが分かり得る。11Sの崩壊剤(Explotab(登録商標))をPharmaburst(23Sの場合)に換えると、崩壊時間及び溶解時間は促進され、また、Pharmaburst崩壊剤をEffersoda/Pharmaburstの組合せに換えると(40SuFの場合)、崩壊時間及び溶解時間は更に促進される。崩壊時間及び溶解時間を促進させる他の方法は、製剤にクエン酸を添加することである。製剤の崩壊時間及び溶解時間を促進させる更に第3の方法は、製剤のシクロデキストリン成分に対する有効剤の比を増大させることである。これに対し、より多くのシクロデキストリン成分を製剤に添加するか、又は製剤内でクエン酸をアスコルビン酸に換えるか、又は崩壊剤/生体接着剤系においてBenecel(登録商標)−PVPからキサンタンガムに換えることによって製剤からの有効剤の溶解時間を抑制することができる。
【0396】
このような製剤の場合、ドーパミン作動薬の所望のピーク−プラトー放出プロファイルが得られ、非経口であるため、初回通過代謝が排除されると共に胃腸ドーパミン受容体への最初の結合が排除されることによってGI副作用が抑制され、また、長期(例えば、12〜24時間)の徐放製剤ではないため、ドーパミン作動薬の所定時間投与に用いることができ、適切に投与すれば代謝疾患の治療に用いることができ、医薬として実用し得る程に安定である。これらの検討から得た基本的な知見は、上述の製剤変更手段によって特定の製剤の溶解プロファイルに為される変更は、言い換えれば、有効剤のインビボ薬物動態プロファイルの変更であるということである。例えば、インビトロ溶解において有効剤の放出が促進又は抑制された場合、インビボでの有効剤の吸収もそれぞれ促進又は抑制される等である。全体においては、上述の実施例によって、製剤の溶解プロファイルや崩壊時間を調整しながら、望ましい急速なバースト溶解ピークとそれに続く製剤からの有効剤の低速で直線的な放出を維持する手段が提供される。このような上述の方法を用いて、製剤の他の成分(例えば、有効剤の吸収を促進又は抑制することによって製剤のバイオアベイラビリティプロファイルに影響を与えるために用いる他の浸透化剤)の作用を補償するのに必要となり得る製剤の溶解及び崩壊パラメータにおける調整を行うことができる。また、上述の実施例によって、インビトロでの所望の有効剤の溶解とインビボでの有効剤の薬物動態プロファイルをもたらす他の製剤を構築し調製するために用いることのできる製剤内における基本的な製剤要素や物理科学原理、特定の成分に対する操作が教示されることが分かり得る。換言すれば、上述の実施例には、有効剤(ドーパミン作動薬)の急速バーストピークの時間や大きさを調整すると共に、製剤から低速で放出される溶解相を調整するための方法が記載されている。
【0397】
実施例23:メントール増強錠剤
メントール増強錠剤(46T)の製造は、33Sベース製剤を用い、味覚増強剤及び浸透増強剤としてメントールを添加して行った。メントールの添加によって、ドーパミン作動薬であるブロモクリプチンの薬物放出速度が33S製剤と比べて低下した。しかし、インビボにおいては、この低速溶解がメントールの浸透増強特性で相殺され、33S製剤で見られた所望のピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線が得られると共に、ドーパミン作動薬の吸収が増強されるという付加価値が得られた。
【0398】
【表55】

【0399】
50mLのチューブミキサーにメントールとクエン酸を投入した。この混合物を300rpmで10分間攪拌した。ブロモクリプチンを10分間混合した後、ポリビニルピロリドンを添加した。Benecel(登録商標)を添加し、10分間混合した。Cavitronを添加し、10分間混合した。次に、Pharmaburstを添加し、30分間混合した。この混合物とステアリン酸マグネシウムを別々に40メッシュ篩から押し出した後、2分間互いに混合した。TDPプレス(4,000Psi)を用い、乾燥顆粒混合物をプレスして均一な錠剤とした(5mmダイ、70〜75mg)。
【0400】
【表56】

【0401】
【表57】

【0402】
経粘膜フィルム製剤例
実施例24:ヒドロキシプロピルセルロースのエタノール溶解性形態(Klucel(登録商標)LF)を用いたポリビニルピロリドン系経粘膜フィルム製剤
ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンコポリマーを用いてドーパミン作動薬の経粘膜投与用フィルム剤を調製した。フィルム剤の生体接着性を高めるため、Klucel(登録商標)LFを用いた。Klucel(登録商標)LFを用いたポリビニルピロリドン系経粘膜フィルム投与形態物(41フィルム、42フィルム)は以下のように調製した。
【0403】
【表58】

【0404】
ベース組成物の調製は、シールスクリューキャップを有する2Lの目盛付きパイレックス(登録商標)瓶内でKollidon 90F、Kollidon VA64及びPEG400をエタノールに添加して行った。これらの成分は、Stovallロープロファイルローラーを用い、室温にて中速で24時間混合した。この手順によって透明で均一な粘性溶液が得られ、これを貯蔵液として4℃で保存した。
【0405】
シールスクリューキャップを有する200mLの目盛付きパイレックス(登録商標)瓶内でKlucel(登録商標)をベース組成物に添加した。42フィルムの場合には、グリセロールとシクロデキストリンを更に添加した。これらの成分は、Stovallロープロファイルローラーを用い、室温にて中速で24時間混合した。この手順によって透明で均一な粘性溶液が得られ、これを貯蔵液として4℃で保存した。
【0406】
最終製剤の調製は、エタノールにクエン酸を溶解し、溶液を簡単に加熱及び超音波処理することによって行った。クエン酸溶液にブロモクリプチンを添加し、この溶液を5分間超音波処理して白色スラリーを得た。スラリーをベース組成物に添加し、10分間超音波処理して透明な流動ゲルを得て、これをフィルムキャスティングに用いた。
【0407】
Scotchpack 1022 3M離型ライナーをガラスプレート(約8×12インチ)に固定した。ライナーは水と洗浄剤で予備洗浄してフィルムの脱湿潤を調節した。Flow Scientific層流ボックス内でGARDCOマニュアルアプリケータを用い、20ミル(0.51mm、湿潤厚さ)のフィルムをライナー上にキャストした。フィルムを20分間セット、緩和させた後、エアフローを行った。エアフローは30分間行った。約1時間後、フィルムが粘着性はまだ非常に高いが十分に形作られている間に、送風機を用いて温風を30分間流した。表面温度が約60〜70℃となるように送風機を調整し、ブロモクリプチンの加熱や起こり得る分解を最小限に抑えた。その後の乾燥は、Drierite(登録商標)で満たした真空デシケーター内にフィルムを入れて48時間行った。
【0408】
【表59】

【0409】
HPLCによってパッチ剤サンプルの短期安定性試験(24時間及び5〜10日間)を行った結果、ブロモクリプチン製剤の安定性が高く、分解物が生じないことが分かった。
【0410】
【表60】

【0411】
実施例25:高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Benecel(登録商標)MP844)を用いたポリビニルピロリドン系経粘膜フィルム製剤
本実施例においては、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)LF)の代わりにBenecel(登録商標)MP844(即ち、高分量グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース)を生体接着剤として用いた。Benecel(登録商標)MP844を用いたポリビニルピロリドン系経粘膜フィルム投与形態物(43フィルム〜45フィルム)は以下のように調製した。
【0412】
【表61】

【0413】
ベース組成物の調製は、シールスクリューキャップを有する2Lの目盛付きパイレックス(登録商標)瓶内でKollidon 90F、Kollidon VA64及びPEG400をエタノールに添加して行った。45フィルムの場合には、グリセロールも添加した。これらの成分は、Stovallロープロファイルローラーを用い、室温にて中速で24時間混合した。この手順によって透明で均一な粘性溶液が得られ、これを貯蔵液として4℃で保存した。
【0414】
最終製剤の調製は、エタノールにクエン酸を溶解し、溶液を簡単に加熱及び超音波処理することによって行った。クエン酸溶液にブロモクリプチンを添加し、この溶液を5分間超音波処理して白色スラリーを得た。スラリーをベース組成物に添加し、10分間超音波処理して透明で不安定なゲルを得た。Benecel(登録商標)をゲルに添加し、10分間超音波処理した。得られたスラリーをポリトロンホモジナイザーによって5,000rpmで3分間ホモジナイズし、その後直ちにキャスティングに用いた。
【0415】
Scotchpack 1022 3M離型ライナーをガラスプレート(約8×12インチ)に固定した。ライナーは水と洗浄剤で予備洗浄してフィルムの脱湿潤を調節した。Flow Scientific層流ボックス内でGARDCOマニュアルアプリケータを用い、20ミル(0.51mm、湿潤厚さ)のフィルムをライナー上にキャストした。フィルムを20分間セット、緩和させた後、エアフローを行った。エアフローは30分間行った。約1時間後、フィルムが粘着性はまだ非常に高いが十分に形作られている間に、送風機を用いて温風を30分間流した。表面温度が約60〜70℃となるように送風機を調整し、ブロモクリプチンの加熱や起こり得る分解を最小限に抑えた。その後の乾燥は、Drierite(登録商標)で満たした真空デシケーター内にフィルムを入れて48時間行った。
【0416】
【表62】

【0417】
HPLCによってパッチ剤サンプルの短期安定性試験(24時間及び5〜10日間)を行った結果、ブロモクリプチン製剤の安定性が高く、分解物が生じないことが分かった。
【0418】
【表63】

【0419】
実施例26:動物モデルにおける経粘膜製剤由来ブロモクリプチンの血中レベル
本発明の経粘膜投与形態物(41フィルム〜45フィルム)をシリアンハムスターに投与し、ドーパミン作動薬のインビボバイオアベイラビリティについて示した。シリアンハムスターの大きな食物貯蔵嚢は、化合物や医薬製剤の粘膜輸送を研究するには理想的な生物学的組織である。各シリアンハムスター(1群当りn=8)に4mgのブロモクリプチンを投与した。血液サンプルの採取は、フィルム剤投与前と投与後30〜300分の所定の時間間隔で行い、血漿中ブロモクリプチンレベルを測定した。実施例18に記載のように、ブロモクリプチンは血漿から抽出し、サンプルの解析はHPLC法により標準に対して行った。バイオアベイラビリティデータはCmaxの%で表す。データは1処理群当りで得た最適曲線を表す。
【0420】
製剤41フィルム〜45フィルムのバイオアベイラビリティ結果
経粘膜フィルム製剤のバイオアベイラビリティは、薬物の粘膜投与から30分以内の血漿中ブロモクリプチンレベルのピークと、その直後の血漿中レベルの低下によって特徴付けられた。41フィルム、42フィルム、43フィルム、44フィルム及び45フィルム製剤のCmax値はそれぞれ、15.2、36.1、3.8、17.6及び10.7ng/mL血漿であった。シクロデキストリン型分子を42フィルムに添加した。シクロデキストリン型分子によってドーパミン作動薬であるブロモクリプチンの吸収が高まった一方で、驚くべきことに、41フィルム(即ち、シクロデキストリン型分子を含んでいないことを除けば42フィルムと同様の製剤)では240分であったTmaxが60分に短縮された。一般にシクロデキストリン型分子を錠剤製剤に添加するとドーパミン作動薬の放出が抑制されるため、この結果は驚くべきことである。
【0421】
本発明の経粘膜フィルム剤によって、望ましいドーパミン作動薬のピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線が動物モデルにおいて得られた。特に42フィルム及び43フィルム製剤の場合には、望ましいブロモクリプチンのピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線が得られた。このようなバイオアベイラビリティの例からは、予想通りに、フィルム製剤の特定の成分を操作することによってバイオアベイラビリティ曲線の形状が操作可能であることが分かる。Kollidonに対するKlucel(登録商標)の比の変更やフィルム製剤へのシクロデキストリン型分子の添加(即ち、42フィルム製剤に為された調整)によってドーパミン作動薬のバイオアベイラビリティを調整し、ドーパミン作動薬レベルのピークを90分以内にすると共にドーパミン作動薬レベルのプラトーを約60〜240分間持続させることができる。このようなバイオアベイラビリティ曲線は代謝疾患の治療に有用である。
【0422】
また、吸収を抑制するためにBenecel(登録商標)をKlucel(登録商標)/シクロデキストリン製剤(42フィルム)に添加し、44フィルムや45フィルムに対してBenecel(登録商標)が行ったようにドーパミン作動薬の吸収ピーク後のプラトー時間を拡大することによって、フィルム製剤におけるドーパミン作動薬のインビボバイオアベイラビリティを調整することも可能である。更に、浸透増強剤(例えば、脂肪酸)や生体接着剤を本発明のフィルム製剤に添加することによって、バイオアベイラビリティを高め、本発明の望ましいピーク−プラトーバイオアベイラビリティ曲線を得ることができる。
【0423】
【表64】

【0424】
実施例27:オレイン酸を用いたポリビニルピロリドン系経粘膜フィルム製剤
42フィルム製剤にオレイン酸を浸透増強剤として添加し、47フィルムを形成した。オレイン酸を添加しても42フィルムの薬物放出特性はさほど変化しなかった。
【0425】
【表65】

【0426】
製剤42フィルムで記載したように調製を行ったが、超音波処理工程の前に最終製剤へオレイン酸を添加した。
【0427】
【表66】

【0428】
HPLCによってパッチ剤サンプルの短期安定性試験(24時間及び5〜10日間)を行った結果、ブロモクリプチン製剤の安定性が高く、分解物が生じないことが分かった。
【0429】
【表67】

【0430】
実施例28:リスリド及び/又はSKF−38393を用いたポリビニルピロリドン系経粘膜フィルム製剤
ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンコポリマーを用いてリスリド及び/又はSKF−38393の経粘膜投与用フィルム剤を調製した。フィルム剤の生体接着性を高めるため、Klucel(登録商標)LFを用いた。この新しい製剤の薬物放出特性は、ドーパミン作動薬としてブロモクリプチンを含む42フィルムと本質的に同じであった。
【0431】
【表68】

【0432】
リスリド及びSKF−38393の一方又は両方をブロモクリプチンの代わりに添加した以外は、製剤42フィルムで記載したように調製を行った。
【0433】
【表69】

【0434】
HPLCによってパッチ剤サンプルの短期安定性試験(24時間及び5〜10日間)を行った結果、ブロモクリプチン製剤の安定性が高く、分解物が生じないことが分かった。
【0435】
【表70】

【0436】
実施例29:皮下油性製剤
50mgのブロモクリプチンを40メッシュ篩を通過させ、20mLのシンチレーションバイアル内に入れ、1gのポリソルベート80に懸濁させた。この懸濁液を15分間超音波処理し、定期的にバイアルを手で振って壁への付着物を溶解させるようにした。ブロモクリプチンは徐々に溶解して透明な溶液となり、凝集物は殆ど残らなかった。この溶液にゴマ油を添加し、溶液を10分間超音波処理した。得られた半透明で均一なブロモクリプチンエマルジョン(約0.05%)は、一旦滅菌フィルターを通過させてから非経口投与に用いることができた。
【0437】
投与直前にはエマルジョンを十分に振るとよい。0.5mgのブロモクリプチンを送達させるには約100mgのエマルジョンの投与を必要とする。文献密度データによると、ゴマ油は0.9g/cm3、ポリソルベート80は1.08g/cm3であり、これは約110μLの体積に相当する。この調製液にクエン酸を添加して、ドーパミン作動薬の安定性及びその血液循環内への吸収を高めることができる。
【0438】
組成物VS−49SCは約10%のポリソルベート80を含む。
【0439】
安定性の研究
調製直後に顕微鏡検査を行ったが、油とポリソルベート80の分離相の液滴は観察されなかった。観察限界は約5ミクロンであった。しかし、室温で2〜3日間静置させた後、エマルジョンは二成分層に分離した。手で激しく振るか、又は超音波処理することによって見かけ上の均一化を行うことができる。
【0440】
本発明の範囲は本明細書に記載の具体的な実施形態では限定されない。実際、本明細書に記載した以外の本発明の様々な変更は、上述の説明や添付図面から当業者には明らかであろう。このような変更は添付された特許請求の範囲内にあるものとする。
【0441】
また、全ての値は概数値であり、説明のために提供されたものであることは理解されるであろう。本明細書に引用され論じられた全ての参考文献は、各参考文献が個々に援用されたかのように、その全内容を同程度に本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のドーパミン作動薬と薬学的に許容し得る賦形剤とを含む安定な非経口投与形態物であって、次の薬物動態プロファイル、即ち、
a)Tmaxが非経口投与形態物の投与後約1〜約90分であり、
b)血漿中薬物濃度プラトーがCmaxの少なくとも50%を持続する時間が約90〜約360分間であるプロファイルを示す非経口投与形態物。
【請求項2】
前記血漿中薬物濃度プラトーの約240〜約480分以内に血漿からドーパミン作動薬の少なくとも約90%が除去される薬物動態プロファイルを示す、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項3】
前記Tmaxは非経口投与形態物の投与後約5〜約90分である、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項4】
前記Tmaxは該投与形態物の投与後約5〜約90分であり、前記プラトーにおいてCmax後レベルがCmaxの約半分となるのがTmaxの約30〜約150分以内である薬物動態プロファイルを示す、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項5】
前記Tmaxは該投与形態物の投与後約5〜約90分であり、前記プラトーにおいてCmax後レベルがCmaxの約半分となるのがTmaxの約90〜約360分以内である薬物動態プロファイルを示す、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項6】
1ドーパミン作動薬、D2ドーパミン作動薬、又はD1ドーパミン作動薬とD2ドーパミン作動薬の組合せを含む、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のドーパミン作動薬は、麦角誘導体又は非麦角誘導体の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項8】
前記D2ドーパミン作動薬は、ブロモクリプチン、リスリド、テルグリド、ジヒドロエルゴトキシン(ヒデルギン)、ロピノロールやピリベジル、アポモルヒネ、キネロラン、タリペキソール、麦角アルカロイド誘導体及びエルゴリン誘導体から成る群から選択される、請求項6に記載の非経口投与形態物。
【請求項9】
前記麦角アルカロイド誘導体は、ジヒドロ−α−エルゴクリプチン、ジヒドロ−α−エルゴトキシン、エルゴコルニン及び9,10−ジヒドロエルゴコルニンから成る群から選択される、請求項8に記載の非経口投与形態物。
【請求項10】
前記1種以上のドーパミン作動薬はブロモクリプチンを含む、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項11】
前記D1作動薬は、ドーパミン、アポモルヒネ、フェノルドパム、SKF38393、SKF75670、SKF82957、SKF81297、SKF82958、SKF82598、A77636、A68930及びベンザゼピン類似体から成る群から選択される、請求項6に記載の非経口投与形態物。
【請求項12】
経鼻、舌下、口腔、経皮又は皮下投与形態物である、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のドーパミン作動薬を合計で約0.02〜約50.0mg含む、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項14】
代謝障害又はそのキー要素を治療する方法であって、その治療を必要とする被験体に請求項1に記載の非経口投与形態物を投与して前記代謝障害又はそのキー要素を治療することを含む方法。
【請求項15】
前記代謝障害又はそのキー要素は、2型糖尿病、糖尿病前症、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高インスリン血症、心血管疾患、肥満、血漿ノルエピネフリンの増加、心血管関連炎症因子又は血管内皮障害増強物質の増加、高リポ蛋白血症、アテローム性動脈硬化、過食症、高血糖症、高脂血症、高血圧症、血圧上昇、メタボリックシンドローム、血漿ノルエピネフリンの増加、心血管関連炎症因子の増加及び高血圧症から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キー要素は、空腹時高血糖、耐糖能障害、腹囲の増加、内臓脂肪量の増加、空腹時血漿グルコースの増加、空腹時血漿トリグリセリドの増加、空腹時血漿遊離脂肪酸の増加、空腹時血漿高密度リポタンパク質レベルの低下、収縮期血圧又は拡張期血圧の上昇、食後血漿トリグリセリド又は遊離脂肪酸レベルの上昇、細胞酸化ストレス又はその血漿指標の増加、循環高凝固状態の増加、動脈硬化、冠動脈疾患、末梢血管疾患、うっ血性心不全、腎不全等の腎疾患、脂肪肝及び脳血管疾患から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
被験体は、2型糖尿病、肥満、糖尿病前症、メタボリックシンドローム及び心血管関連炎症因子の増加から選択される少なくとも1種の病態に罹患している、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記非経口投与形態物を投与して心血管関連炎症因子の増加、心血管疾患又は心血管疾患のキー要素を抑制することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
非経口投与形態物の投与においては、前記少なくとも1種のドーパミン作動薬を合計で約0.02〜約50.0mg含む用量を1日1回投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
非経口投与形態物を1日の所定時間に投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記1日の所定時間は、前記被験体と種及び性別が同じ健常な個体の血漿プロラクチンレベルの概日リズムにおける中枢ドーパミン作動性ニューロン活性の概日リズムのほぼ自然1日ピーク時である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
非経口投与形態物は4:00頃〜12:00頃に投与する、請求項21の方法。
【請求項23】
前記投与形態物はブロモクリプチンを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
血漿ノルエピネフリンレベルの上昇を抑制する方法であって、それを必要とする被験体に請求項1に記載の非経口投与形態物を投与して前記血漿ノルエピネフリンレベルの上昇を抑制することを含む方法。
【請求項25】
抗高血圧剤、抗炎症剤、抗凝固剤、抗高コレステロール血症剤、抗高トリグリセリド血症剤、抗高血糖剤又はHMGCoAレダクターゼ阻害剤を更に含む、請求項1に記載の非経口投与形態物。
【請求項26】
代謝障害又はそのキー要素を治療する方法であって、その治療を必要とする被験体に請求項25に記載の非経口投与形態物を投与して前記代謝障害又はそのキー要素を治療することを含む方法。
【請求項27】
非経口投与形態物を1日の所定時間に投与する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記1日の所定時間は、前記被験体と種及び性別が同じ健常な個体の血漿プロラクチンレベルの概日リズムにおける中枢ドーパミン作動性ニューロン活性の概日リズムのほぼ自然1日ピーク時である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
非経口投与形態物は4:00頃〜12:00頃に投与する、請求項28の方法。
【請求項30】
前記投与形態物はブロモクリプチンを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
0.5〜20重量%の有効剤と、3〜50重量%の放出マトリックスと、0.5〜10重量%の流動促進剤と、70重量%以下の溶解性増強剤と、25重量%以下の生体接着性増強剤と、30重量%以下の浸透増強剤と、95重量%以下の崩壊剤と、95重量%以下の充填剤と、65重量%以下の発泡剤とを含む舌下錠剤投与形態物。
【請求項32】
0.5〜10重量%の有効剤と、3〜20重量%の放出マトリックスと、0.5〜5重量%の流動促進剤と、30重量%以下の溶解性増強剤と、10重量%以下の生体接着性増強剤と、20重量%以下の浸透増強剤と、85重量%以下の崩壊剤と、80重量%以下の充填剤と、45重量%以下の発泡剤とを含む、請求項31に記載の舌下錠剤投与形態物。
【請求項33】
0.5〜5重量%の有効剤と、7〜15重量%の放出マトリックスと、0.5〜2.5重量%の流動促進剤と、2〜20重量%の溶解性増強剤と、2〜8重量%の生体接着性増強剤と、15重量%以下の浸透増強剤と、82重量%以下の崩壊剤と、75重量%以下の充填剤と、45重量%以下の発泡剤とを含む、請求項31に記載の舌下錠剤投与形態物。
【請求項34】
0.5〜5重量%のドーパミン作動薬と、2〜15重量%のポリビニルピロリドンと、3〜20重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、3〜25重量%のデンプングリコール酸ナトリウム及びカルボキシメチルデンプンナトリウムと、3〜25重量%のプロソルブと、0.5〜10重量%のクエン酸と、0.5〜5重量%のステアリン酸と、40〜80重量%のマンニトールとを含み、必要に応じて5〜30重量%のシクロデキストリン型分子を含む、請求項31に記載の舌下錠剤投与形態物。
【請求項35】
0.5〜4.5重量%のドーパミン作動薬と、2〜6.5重量%のポリビニルピロリドンと、3〜10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、1〜6重量%のクエン酸と、0.5〜5重量%のステアリン酸と、60〜90重量%のPharmaburstとを含み、必要に応じて5〜30重量%のシクロデキストリン型分子を含む、請求項31に記載の舌下錠剤投与形態物。
【請求項36】
1〜6重量%のドーパミン作動薬と、2〜10重量%のポリビニルピロリドンと、3〜10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、1〜10重量%のクエン酸と、0.5〜5重量%のステアリン酸と、60〜90重量%のPharmaburstとを含み、必要に応じて5〜30重量%のシクロデキストリン型分子を含む、請求項31に記載の舌下錠剤投与形態物。
【請求項37】
0.5〜5.0重量%のドーパミン作動薬と、5〜25重量%のポリビニルピロリドンと、5〜35重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、10〜40重量%のクエン酸と、0.5〜5重量%のステアリン酸と、3〜25重量%のPharmaburstと、10〜65重量%の重炭酸ナトリウムとを含む、請求項31に記載の舌下錠剤投与形態物。
【請求項38】
1〜3重量%の有効剤と、5〜95重量%の溶媒と、1〜30重量%の増粘剤と、0.5〜10重量%の安定剤と、35重量%以下の生体接着剤とを含む経皮ゲル投与形態物。
【請求項39】
0.5〜10重量%のドーパミン作動薬と、5〜40重量%のポリエチレングリコールと、45〜85重量%のグリセロールと、3〜25重量%のシリカと、0.5〜5重量%のクエン酸とを含む、請求項38に記載の経皮ゲル投与形態物。
【請求項40】
0.5〜10重量%のドーパミン作動薬と、5〜40重量%のポリエチレングリコールと、45〜85重量%のグリセロールと、3〜25重量%のシリカと、0.5〜5重量%のクエン酸と、1〜15重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、0.5〜15重量%のポリビニルピロリドンとを含む、請求項38に記載の経皮ゲル投与形態物。
【請求項41】
5〜20重量%の有効剤と、1〜10重量%のフィルム形成剤と、5〜20重量%の安定化増強剤と、10〜95重量%の生体接着性増強剤と、0〜50重量%の溶解性増強剤とを含み、必要に応じて1〜10重量%のオレイン酸を含む経粘膜フィルム投与形態物。
【請求項42】
2〜20重量%のドーパミン作動薬と、10〜55重量%のKollidon 90Fと、0.5〜10重量%のKollidon VA64と、0.3〜5重量%のポリエチレングリコールと、10〜55重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、0.5〜10重量%のグリセロールと、3〜30重量%のシクロデキストリンと、2〜20重量%のクエン酸とを含み、必要に応じて1〜5重量%のオレイン酸を含む、請求項41に記載の経粘膜フィルム投与形態物。
【請求項43】
0.01〜0.10重量%の有効剤と、5〜20重量%の乳化剤と、80〜95重量%の油とを含む皮下投与形態物。
【請求項44】
0.01〜0.1重量%のブロモクリプチンと、5〜10重量%のポリソルベート80と、90〜95重量%のゴマ油とを含む、請求項43に記載の皮下投与形態物。
【請求項45】
有効剤は1種以上のドーパミン作動薬である、請求項31〜33、38、41又は43のいずれかに記載の投与形態物。
【請求項46】
有効剤又はドーパミン作動薬は少なくとも1種の麦角アルカロイド誘導体である、請求項31〜44のいずれかに記載の投与形態物。
【請求項47】
少なくとも1種の麦角アルカロイド誘導体はブロモクリプチンである、請求項46に記載の投与形態物。
【請求項48】
コレステロール低下剤を更に含む、請求項31〜44のいずれかに記載の投与形態物。
【請求項49】
コレステロール低下剤は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、コレスチラミン、シトステロール、エゼチミブ、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ニコチン酸、コレスチポール及びコレセベラムから成る群から選択される、請求項48に記載の錠剤投与形態物。
【請求項50】
抗高血圧剤を更に含む、請求項31〜43のいずれかに記載の錠剤投与形態物。
【請求項51】
抗高血圧剤は、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、クロルタリドン、エピチジド、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、インダパミド、メトラゾン、アミロライド、トリアムテレン、スピロノラクトン、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、ドキサゾシン、フェントラミン、インドラミン、フォノキシベンザミン、プラゾシン、テラゾシン、トラゾリン、ブシンドロール、カルベジロール、ラベタロール、クロニジン、メチルドパ、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドプリル、ベンザプリル、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、スピロノラクトン、ニトロプルシドナトリウム、グアナベンズ、グアネチジン及びレセルピンから成る群から選択される、請求項50に記載の錠剤投与形態物。
【請求項52】
代謝障害又はそのキー要素を治療する方法であって、その治療を必要とする被験体に請求項31〜44のいずれかに記載の投与形態物を投与して前記代謝障害又はそのキー要素を治療することを含む方法。
【請求項53】
前記代謝障害又はそのキー要素は、2型糖尿病、糖尿病前症、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高インスリン血症、心血管疾患、肥満、血漿ノルエピネフリンの増加、心血管関連炎症因子又は血管内皮障害増強物質の増加、高リポ蛋白血症、アテローム性動脈硬化、過食症、高血糖症、高脂血症、高血圧症、血圧上昇、メタボリックシンドローム、血漿ノルエピネフリンの増加、心血管関連炎症因子の増加及び高血圧症から成る群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記キー要素は、空腹時高血糖、耐糖能障害、腹囲の増加、内臓脂肪量の増加、空腹時血漿グルコースの増加、空腹時血漿トリグリセリドの増加、空腹時血漿遊離脂肪酸の増加、空腹時血漿高密度リポタンパク質レベルの低下、収縮期血圧又は拡張期血圧の上昇、食後血漿トリグリセリド又は遊離脂肪酸レベルの上昇、細胞酸化ストレス又はその血漿指標の増加、循環高凝固状態の増加、動脈硬化、冠動脈疾患、末梢血管疾患、うっ血性心不全、腎不全等の腎疾患、脂肪肝及び脳血管疾患から成る群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
被験体は、2型糖尿病、肥満、糖尿病前症、メタボリックシンドローム及び心血管関連炎症因子の増加から選択される少なくとも1種の病態に罹患している、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記非経口投与形態物を投与して心血管関連炎症因子の増加、心血管疾患又は心血管疾患のキー要素を抑制することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
非経口投与形態物の投与においては、前記少なくとも1種のドーパミン作動薬を合計で約0.02〜約50.0mg含む用量を1日1回投与する、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
非経口投与形態物を1日の所定時間に投与する、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記1日の所定時間は、前記被験体と種及び性別が同じ健常な個体の血漿プロラクチンレベルの概日リズムにおける中枢ドーパミン作動性ニューロン活性の概日リズムのほぼ自然1日ピーク時である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
非経口投与形態物は4:00頃〜12:00頃に投与する、請求項59の方法。
【請求項61】
前記投与形態物はブロモクリプチンを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
血漿ノルエピネフリンレベルの上昇を抑制する方法であって、それを必要とする被験体に請求項31〜44のいずれかに記載の非経口投与形態物を投与して前記血漿ノルエピネフリンレベルの上昇を抑制することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−510003(P2011−510003A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543138(P2010−543138)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/000268
【国際公開番号】WO2009/091576
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510193991)ヴェロサイエンス,リミテッド・ライアビリティー・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】