説明

ナノワイヤの配列方法および堆積方法

【課題】本発明は、ナノワイヤを堆積および配列するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】電圧を与える(例えば交流電場)ことによって、ナノワイヤを電極に配列および関連付ける。電圧供給を調節することによって、ナノワイヤを電極対に結合させ、これによってナノワイヤは、次の洗浄工程および乾燥工程の間も、その場で維持される。本発明はまた、様々なデバイス基板を形成するために、ナノワイヤを1つの基板から別の基板に転写する方法を提供する。本発明はまた、所定の電極対に堆積させたナノワイヤの数を監視する方法および制御する方法、並びに、溶液中のナノワイヤを動かす方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノワイヤに関し、さらに詳細には、ナノワイヤの堆積および配列に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ構造、および、特にナノワイヤは、全く新規の次世代電子デバイスを実現する可能性を有している。この、ナノ構造に基づいた次世代電子デバイスの出現を妨げているものは、主として、様々な基板上にナノワイヤを効果的に配列して堆積させる能力である。懸濁液中に懸濁されたナノワイヤを配列させることは、電場によって可能であるが、現状の技術では、広面積の基板に拡張することについては、厳しく制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ナノ構造を使用可能なデバイスを大きなアレイ状に製造することに適した、高性能のナノワイヤ堆積を実現するシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本発明は、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法を提供する。好適な実施形態では、これら方法は、1つまたは複数のナノワイヤを1つの電極対の近傍に供給する工程と、その後該電極対に電圧を与える工程とを含み、これによって、ナノワイヤを電極対に関連付ける。その後、電極対の間において電圧供給を調節し、これによって、ナノワイヤを電極対の上に結合させる。典型的な実施形態では、ナノワイヤは懸濁液中に供給されている。好適な実施形態では、上記電圧を与える工程は、電極対の間にAC電場を生成する工程を含む。このAC電場の生成は、従来技術においてよく知られている任意の方法を用いて、例えば、電気的直接接続を用いて電極対に信号を供給することによって、または、電極対に電磁波を供給することによって行われ得る。典型的な実施形態では、約10Hzから約5kHz、および、約0.5Vから約3VのAC電場が生成される。AC電場を調節する工程は、AC電場の周波数を調整することおよびAC電場の振幅を調整することのいずれか1つ、または、これら両方を適宜含み、好適な実施形態では、AC電場の周波数を約1kHzから約500kHzに増大させる工程、AC電場の振幅を約2Vから約20Vに増大させる工程、および/または、AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzに増大させて、その後、AC電場の振幅を約1Vから約4Vに増大させる工程を含む。電磁波を用いて電場を供給する実施形態では、約1GHzから約5GHzの周波数を用いることが適切である。電極対の電極同士は、例えば、ナノワイヤの長軸の長さよりも短い間隔、または、ナノワイヤの長軸の長さと同じ間隔で離間されていてよい。
【0005】
本発明の方法はまた、結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを、例えば結合されていないナノワイヤを洗い流すことによって、電極対から除去する工程をさらに含むことが可能であると共に、結合された1つまたは複数のナノワイヤを乾燥させる工程をさらに含むことが可能である。さらなる実施形態では、これら方法は、該方法の関連付け段階および調節段階を繰り返す工程を含む。本発明の方法は、複数の実施形態において、結合された1つまたは複数のナノワイヤを基板上に転写する工程、および/または、電極対を除去する工程をさらに含む。
【0006】
本発明の方法に従って配置され得るナノワイヤは、半導体核(例えばSi)と、該核の周囲に配置された1つまたは複数の殻層、例えば、TaAINまたはWNといった金属殻層とを備えるナノワイヤを含む。
【0007】
さらなる一実施形態において、本発明は、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に配置する方法を提供する。好適な実施形態では、これら方法は、懸濁液中の1つまたは複数のナノワイヤを転写基板上の電極対の近傍に供給する工程と、その後該電極対に電圧を与える工程とを含み、これによって、ナノワイヤを電極対に関連付ける。その後、電極対の間において電圧供給を調節し、これによって、ナノワイヤを電極対の上に結合させる。その後、結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去した後、結合されたナノワイヤを転写基板から基板上に転写させる。好適な実施形態では、この電圧供給工程は、電極対の間に交流(AC)電場を生成する工程を含む。
【0008】
本発明はまた、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法を提供する。このような方法では、1つまたは複数のナノワイヤは、電極対の近傍に供給される。その後、この電極対に電圧を与え、これによってナノワイヤを電極対に関連付ける。ここでは、上記電極対の両電極間に1つまたは複数の金属要素を配置して、関連付けされた隣接ナノワイヤ間のナノワイヤ間隔どうしの差が標準偏差の約50%未満になるようにする。さらなる実施形態では、これら方法は、電極対の間において電圧供給を調節する工程をさらに含み、これによって、ナノワイヤを電極対の上に結合させる。ここでは、上記電極対の両電極間に1つまたは複数の金属要素を配置して、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔どうしの差が標準偏差の約50%未満になるようにする。
【0009】
本発明はまた、少なくとも1つの第1の電極対と、該第1の電極対の間で結合された少なくとも4本のナノワイヤとを含む基板を提供する。ここでは、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔どうしの差は、標準偏差の約50%未満である。好適な実施形態では、上記基板は、第1の電極対の両電極間に配置された3つまたはそれ以上の金属要素をさらに含む。
【0010】
本発明はまた、本発明の方法に従って配置された1つまたは複数のナノワイヤを含む1つまたは複数の電極対と、本発明の方法に従って配置された1つまたは複数のナノワイヤを含む基板とを提供する。
【0011】
さらなる一実施形態において、本発明は、電極対上に配置されたナノワイヤの本数を制御する方法を提供する。好適な実施形態では、本発明の方法に従って1つまたは複数のナノワイヤを配置する工程と、その後電極対に信号を与える工程とを含む。この信号を電極対において監視した後、該信号がプリセット値に達すると上記配置工程を停止させる(例えば、電極対の間の電場を低減させることによって、ナノワイヤを電極対の上に配置する工程を停止させる)。監視され得る典型的な信号には、インピーダンス、電圧、静電容量、電流などが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0012】
本発明はまた、所定の本数のナノワイヤが配置された電極対を含む基板を提供する。このナノワイヤの本数は、本発明の方法に従って制御されるものである。例えば、本発明は、少なくとも4つの電極対と、各電極対上に配置された少なくとも4本のナノワイヤとを含む基板を提供する。ここでは、各電極対は、ほぼ同じ数のナノワイヤを含んでいる。好適な実施形態では、各電極対上に配置されたナノワイヤの本数の偏差は、30%未満、20%未満、または、10%未満である。
【0013】
本発明はまた、ナノワイヤを基板上に配置する装置およびシステムを提供する。好適な実施形態では、上記装置およびシステムは、複数のナノワイヤを含む懸濁液と、1つまたは複数の電極対を含む基板とを備えている。上記装置およびシステムはまた、電極対の間に交流(AC)電場を生成させるための供給源、例えば、AC電場を調節するためにも用いられる信号発生器を適切に含む。さらなる実施形態では、上記システムおよび装置は、このナノワイヤ懸濁液を少なくとも1つの電極対の上に流す手段(例えば、基板の下面に結合されるように適切に構成された流量制御システム)、ナノワイヤを可視化する光学的画像システム、および、基板上のナノワイヤを動かすための1つまたは複数の電場電極をさらに含む。上記システムおよび装置はまた、上記1つまたは複数の電極対において信号を測定する信号監視装置、および、上記信号がプリセット値に達した時にAC電場を停止させる手段をさらに含むことが可能である。
【0014】
本発明はまた、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に堆積させる方法を提供する。これは、ナノワイヤを加熱して、ナノワイヤを基板上に堆積させるものである。典型的な実施形態では、ナノワイヤを、Hガス(フォーミングガス)の存在下で約200℃まで加熱して、該ナノワイヤを基板上に堆積させる。
【0015】
さらなる一実施形態では、ナノワイヤを動かすためのシステムを提供する。このようなシステムは、1つまたは複数の電極セットを含み、各電極セットは、第1の極性を有する第1の電極と、第2の極性を有する第2の電極とを備えている。このシステムはまた、上記第1の電極と上記第2の電極との間に、交流(AC)電場を生成する信号発生器を含む。このようなシステムを利用した、ナノワイヤを動かす方法も提供する。例えば、1つの電極セットに電圧を与えて、その後好適に電源を切り、その一方で隣接した電極セットに電圧を与える。これによって、ナノワイヤを、電圧を与える方向に動かす誘電泳動力が形成される。さらなる実施形態では除去電極が利用される。この除去電極とは、電圧を与えるとナノワイヤを除去電極の方向に動かす電極であり、これによって、関連付けアプリケーション/結合アプリケーションにおいて用いられた電極対から、ナノワイヤを除去することが可能である。DC電場およびAC電場の両方を用いて、ナノワイヤを動かすことも可能である。
【0016】
本発明はまた、導電性ナノワイヤと半導電性ナノワイヤとの混合物から、1つまたは複数の導電性ナノワイヤを分離する方法を提供する。導電性ナノワイヤおよび半導電性ナノワイヤのどちらのナノワイヤも電極対に関連付けられ得るが、導電性ナノワイヤは、半導電性ナノワイヤの結合に必要とされる振幅よりも一般的に低い振幅において結合されるため、導電性ナノワイヤを溶液から選択的に除去することが可能である。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明の基板上にナノワイヤを配置するシステムはまた、1つまたは複数のナノワイヤ付着領域を上記基板上にさらに含んでいてよい。このようなシステムを、1つまたは複数のナノワイヤを配置する様々な方法において、例えば、結合されていないナノワイヤを、ナノワイヤ付着領域に付着させることによって、結合されていないナノワイヤを除去する方法において、用いることが可能である。
【0018】
以下に、本発明のさらなる実施形態、特徴、および、利点、並びに、本発明の様々な実施形態の構造および動作について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面では、同様の参照番号は、同一または機能的に類似の構成要素を示すものである。ある構成要素が最初に示される図面に対応する参照番号を最左の桁に示すことで、その構成要素が最初に示される図面を示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】図1Aは、単結晶の半導体ナノワイヤを示す図である。
【図1B】図1Bは、核−殻(CS)構造に従ってドープされたナノワイヤを示す図である。
【図1C】図1Cは、核−殻−殻(CSS)構造に従ってドープされたナノワイヤを示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤを配列および堆積させる装置を示す図である。
【図3】図3は、ナノワイヤにおいて、電場が電荷分離に与える影響を概略的に示す図である。
【図4】図4は、ナノワイヤ上に加えられる回転トルクを概略的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの電極対への配列および関連付けを概略的に示す図である。
【図6】図6は、ナノワイヤの長さが、ナノワイヤの、周波数の関数としての分極関数に与える影響を示すプロットである。
【図7】図7は、ナノワイヤの組成が、ナノワイヤの、周波数の関数としての分極関数に与える影響を示すプロットである。
【図8A】図8Aは、ナノワイヤの電極対への配列および関連付けを示す一顕微鏡写真である。
【図8B】図8Bは、ナノワイヤの電極対上への結合を示す一顕微鏡写真である。
【図8C】図8Cは、結合されていないナノワイヤの電極対からの除去を示す一顕微鏡写真である。
【図8D】図8Dは、乾燥工程の後の、電極対に結合されたナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【図9A】図9Aは、配列されると共に結合されたナノワイヤを含む11個の電極対を示す一顕微鏡写真である。
【図9B】図9Bは、配列される共に結合された、高密度のナノワイヤを含む10個の電極対を示す一顕微鏡写真である。
【図10A】図10Aは、調節配列段階の前の、関連付けされたナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【図10B】図10Bは、調節配列段階の後の、図10Aと同一のナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【図10C】図10Cは、結合段階の後の、図10Bと同一のナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの電極対上への結合を概略的に示す図である。
【図12】図12は、x平面およびy平面の両方において結合されたナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に従って、電極間に配置された金属要素によって配列されたナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【図14A】図14Aは、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの配列および堆積方法を示す一フローチャートである。
【図14B】図14Bは、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの配列および堆積の一シーケンスを示す図である。
【図14C】図14Cは、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤ配列および堆積のさらなる一シーケンスを示す図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤを転写させる装置および方法を概略的に示す図である。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態に係る、非測定物上へのナノワイヤの堆積を監視する一装置を概略的に示す図である。
【図16B】図16Bは、本発明の一実施形態に係る、非測定物上へのナノワイヤの堆積を監視するさらなる一装置を概略的に示す図である。
【図17A】本発明の一実施形態に係る、それ以前の電場に配列されたナノワイヤを示す図である。
【図17B】本発明の一実施形態に係る、その後の電場に配列されたナノワイヤの熱堆積を示す図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に係る、溶液中のナノワイヤを動かすシステムを概略的に示す図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤを動かす方法を示すフローチャートである。
【図20】図20は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤを除去するシステムを概略的に示す図である。
【図21A】本発明の一実施形態に係る、DC電場およびAC電場の印加がナノワイヤに与える影響を示す図である。
【図21B】本発明の一実施形態に係る、DC電場およびAC電場の印加がナノワイヤに与える影響を示す図である。
【図21C】本発明の一実施形態に係る、DC電場およびAC電場の印加がナノワイヤに与える影響を示す図である。
【図22A】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付け、および、ナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真の図である。
【図22B】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付け、および、ナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図22C】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付け、および、ナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図22D】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付け、および、ナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図22E】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付け、および、ナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図22F】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付け、および、ナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図23】図23は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤを配置するシステムを概略的に示す図である。
【図24】図24は、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤを配置する方法を示す一フローチャートである。
【図25A】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付けおよびナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図25B】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付けおよびナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【図25C】本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの関連付けおよびナノワイヤの除去を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[発明の詳細な説明]
ここに示すと共に説明する特定の形態は、本発明の例であって、本発明の範囲を多少なりとも限定することを意図するものではないことは明らかであろう。簡潔にするために、実際には、従来の電子機器、製造方法、半導体デバイス、および、ナノワイヤ(NW)技術、ナノロッド技術、ナノチューブ技術、および、ナノリボン技術、および、このシステムの他の機能的な態様(および該システムの個々の操作部材である部材)については、ここでは詳細に説明していない。簡潔にするために、ここではさらに、本発明をナノワイヤに関連して記載している場合が多い。
【0022】
ナノワイヤについて頻繁に言及しているが、ここに記載する技術は、ナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボン、および/または、これらを組み合わせたものといった他のナノ構造にも適用可能であることは明らかであろう。さらに、本明細書に記載した製造技術を用いて、任意の種類の半導体デバイス、および、他の種類の電子部品を形成可能であることも明らかである。さらにこの技術は、電気システム、光学的システム、家庭用電化製品、産業電子機器、ワイヤレスシステムにおけるアプリケーション、宇宙応用、または、他の任意のアプリケーションにも好適であろう。
【0023】
ここで用いるように、「アスペクト比」とは、ナノ構造の第1の軸の長さを、ナノ構造の第2の軸の長さと第3の軸の長さとの平均で割ったものであり、これら第2の軸および第3の軸は、互いにほぼ同一な2つの軸である。例えば、完全なロッドのアスペクト比は、その長軸の長さを、該長軸に垂直である(該長軸の法線)断面の直径で割ったものである。
【0024】
「ヘテロ構造」という用語は、ナノ構造に関して用いられる場合には、少なくとも2つの異なる、および/または、区別可能な材料の種類によって特徴付けられるナノ構造を指す。典型的には、ナノ構造の1つの領域は第1の材料の種類を含むが、ナノ構造の第2の領域は第2の材料の種類を含む。特定の実施形態では、ナノ構造は、第1の材料から成る核と、第2の(または、第3、第4、第5など)の材料から成る少なくとも1つの殻とを含んでいる。ここで、この異なる材料の種類は、例えば、ナノワイヤの長軸の周り、分枝状のナノ結晶のアームの長軸の周り、または、ナノ結晶の中心の周りに放射状に分散されている。1つの殻が、殻と見なされる隣接する材料、または、ヘテロ構造と見なされるナノ構造を完全に覆っている必要はない。例えば、1つの材料の核を第2の材料が小島状に覆っていることによって特徴付けられるナノ結晶は、ヘテロ構造である。他の実施形態では、異なる材料の種類が、ナノ構造内の異なる位置において分散されている。例えば、ナノワイヤの主軸(長軸)に沿って、または、分かれしたナノ結晶のアームの長軸に沿って、複数の材料の種類が分散されていてよい。ヘテロ構造内の様々な領域は、完全に異なる材料を含んでいてもよいし、または、この様々な領域が1つの基材を含んでいてもよい。
【0025】
ここで用いるように、「ナノ構造」とは、約500nm未満の寸法、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または、さらに約20nm未満の寸法を有する、少なくとも1つの領域または特徴的な寸法を有する構造である。典型的には、この領域または特徴的な寸法は、ナノ構造の最も小さい軸に沿うようになっている。このような構造の例には、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分枝状のナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分枝状のテトラポッド(例えば、無機デンドリマー)等が含まれる。ナノ構造は、材料特性においてほぼ均一であるか、または、特定の実施形態においては異質であり得る(例えば、ヘテロ構造)。ナノ構造は、例えば、ほぼ結晶質、ほぼ単結晶質、多結晶質、アモルファスであるか、または、これらを組み合わせたものであり得る。一態様では、ナノ構造の3つの寸法は、それぞれ、約500nm未満の寸法、例えば、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または、さらに約20nm未満の寸法を有している。
【0026】
本明細書に用いるように、「ナノワイヤ」という用語は、該して、少なくとも1つの断面の寸法が500nm未満、好ましくは、約100nmであるか、または、これ未満であると共に、アスペクト比(長さ:幅)が10よりも大きい、好ましくは50よりも大きい、および、より好ましくは100よりも大きい、任意の細長い導電性または半導電性の材料(または、本明細書に記載する他の材料)を指すものである。本発明の方法およびシステムの実施に際して用いられる典型的なナノワイヤは、長さが10桁のミクロン(例えば、約10、20、30、40、50ミクロンなど)であり、直径は約100nmである。
【0027】
本発明のナノワイヤは、材料特性において、ほぼ均一であるか、または、特定の実施形態では、異質(例えばナノワイヤヘテロ構造)であってもよい。このナノワイヤは、基本的に、任意の好都合な1つの材料または複数の材料から製造されていることが可能であり、例えば、ほぼ結晶質、ほぼ単結晶質、多結晶質、または、アモルファスであってよい。ナノワイヤは、可変の直径を有していてもよいし、または、ほぼ均一な直径を有していてもよい。これはつまり、直径の差異は、最も変動が大きい領域では、少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも20nm、または、少なくとも50nm)の線寸法に亘って、約20%未満(例えば、約10%未満、約5%未満、または、約1%未満)を示すということである。典型的には、この直径は、ナノワイヤの端部から算出されたものである(例えば、ナノワイヤの中心の20%、40%、50%、または、80%に亘って)。ナノワイヤは、その長軸の全ての長さ、または、一部に亘って、直線状であってもよいし、または、例えば曲線状または湾曲していてもよい。特定の実施形態では、ナノワイヤまたは該ナノワイヤの一部は、二次元または三次元の量子閉じ込めを示すことが可能である。本発明に係るナノワイヤには、明らかに、カーボンナノチューブは含まれてはおらず、特定の実施形態では、「ウィスカー」または「ナノウィスカー」、特に100nmよりも大きな直径、または、約200nmよりも大きな直径を有するウィスカーも除外される。
【0028】
このようなナノワイヤの例には、国際特許出願公開第WO02/17362、WO02/48701、および、WO01/03208号に記載された半導体ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、および、同様の寸法の他の細長い導電性または半導電性の構造が含まれる。これらを本願に引用して援用する。
【0029】
ここで用いるように、「ナノロッド」という用語は、該して、ナノワイヤに似た任意の細長い導電性または半導電性の材料(または本明細書に記載する他の材料)に関するが、アスペクト比(長さ:幅)についてはナノワイヤのアスペクト比よりも少ない。2つまたはそれ以上のナノロッドを、これらの縦軸に沿って連結させて、この結合されたナノロッドが、電極の間を最初から最後まで伸びているようにしてもよいことに留意されたい。あるいは、2つまたはそれ以上のナノロッドを、実質的にこれらの縦軸に沿って並べるが連結せず、これら2つまたはそれ以上のナノロッドの端部間に小さな隙間が存在するようにしてもよい。この場合、電子は、1つのナノロッドから別のナノロッドまでホッピングして上記小さな隙間を横断することによって、1つのナノロッドから別のナノロッドまで流れることが可能である。実質的には、この2つまたはそれ以上のナノロッドが通路を形成するように、該ナノロッドを配列することができる。この通路によって、電子は電極間を移動可能である。
【0030】
ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、および、ナノリボンには、広範囲の種類の材料を用いることが可能である。該材料には、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−SnおよびGe−Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSeg、eS、GeSeg、eTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN、CaCN、ZnGeP、CdSnAs、ZnSnSb、CuGeP、CuSi、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、および、2つまたはそれ以上のこのような半導体を好適に組み合わせたものから選択された半導体材料が含まれる。
【0031】
このナノワイヤはまた、金、ニッケル、パラジウム、イリジウム、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、スズ等といった金属、合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミックス、および/または、これらを組み合わせたもののような他の材料から形成されていてもよい。現在公知のまたは後に開発された、他の導電性材料または半導体材料を用いてもよい。
【0032】
特定の態様では、半導体は、周期表の第III族元素からのp型ドーパント;周期表の第V族元素からのn型ドーパント;B、Al、および、Inから構成される群から選択されたp型ドーパント;P、As、および、Sbから構成される群から選択されたn型ドーパント;周期表の第2族元素からのp型ドーパント;Mg、Zn、Cd、および、Hgから構成される群から選択されたp型ドーパント;周期表の第IV族元素からのp型ドーパント;CおよびSiから構成される群から選択されたp型ドーパント;、または、Si、Ge、Sn、S、Se、および、Teから構成される群から選択されたn型ドーパントから構成される群から選択された1つのドーパントを含んでよい。現在公知のまたは後に開発された、他のドーパント材料を用いてもよい。
【0033】
さらに、ナノワイヤまたはナノリボンは、導電性または半導電性の有機ポリマー材料(例えばペンタセンおよび遷移金属酸化物)から形成された、カーボンナノチューブまたはナノチューブを含んでもよい。
【0034】
従って、「ナノワイヤ」という用語を、説明のために、本明細書の全体に亘って用いているが、この表現には、ナノチューブ(例えば、内部に軸方向に形成された中空管を備えるナノワイヤに似た構造)の使用も含まれることを意図するものである。ナノチューブを、ここに記載するように、ナノワイヤのために複数のナノチューブだけを組み合わせて/薄膜状に形成するか、または、ナノワイヤと組み合わせて形成して、ここに記載する特性および利点を提供することが可能である。
【0035】
当然ながら、ここに記載する空間描写(例えば、「〜の上方」、「〜の下方」、「上に」、「下に」、「上部」、「下部」等)は、専ら説明のためであって、本発明のデバイスは、空間的に任意の方向または任意の形態に配置可能である。
【0036】
図1Aは、単結晶の半導体ナノワイヤ核(以下「ナノワイヤ」と呼ぶ)100を示す図である。図1Aは、均一にドープされた単結晶のナノワイヤであるナノワイヤ100を示す。このような単結晶のナノワイヤを、p型半導体またはn型半導体中に、正しく制御してドープすることが可能である。ナノワイヤ100のようなドープされたナノワイヤは、改善された電子物性を示す。例えば、このようなナノワイヤをドープすると、単結晶バルク材に相当するレベルのキャリア移動度を有することが可能である。
【0037】
図1Bは、核−殻構造に従ってドープされたナノワイヤ110を示す図である。図1Bに示すように、ナノワイヤ110は、厚さのレベルが変動し得る、ドープされた表面層112を備えており、この表面層がナノワイヤ110の表面上の唯一の分子単層であってもよい。
【0038】
図1Cは、核-殻-殻構造に従ってドープされたナノワイヤ114を示す図である。図1Cに示すように、ナノワイヤ114は、ドープされた表面層112および外殻層116を備えている。この表面層112は、厚さのレベルが変動し得ると共に、ナノワイヤ114の表面上の唯一の分子単層であってもよい。外殻層116として使用するための典型的な材料には、TaAlNおよびWNが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0039】
絶縁殻の価電子帯が、p型ドープされたワイヤ用の核の価電子帯よりも低くてもよいし、または、上記殻の伝導帯が、n型ドープされたワイヤ用の核の伝導帯よりも高くてもよい。一般的に、この核のナノ構造は、任意の金属材料または半導体材料から構成されていることが可能であり、上記殻は、同一の材料または異なる材料から構成されていることが可能である。例えば、第1の核材料は、第II〜VI族の半導体、第III〜V族の半導体、第IV族の半導体、および、それらの合金から構成される群から選択された、第1の半導体を含むことが可能である。同様に、上記殻の第2の材料は、上記第1の半導体と同一または異なる、第2の半導体を含むことが可能である。この第2の半導体は、例えば、第II〜VI族の半導体、第III〜V族の半導体、第IV族の半導体、および、それらの合金から構成される群から選択されたものである。半導体の例には、CdSe、CdTe、InP、InAs、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTeg、aN、GaP、GaAs、GaSb、InSb、Si、Ge、AlAs、AlSb、PbSe、PbS、および、PbTeが含まれるが、これらに限定されることはない。上述のように、金、クロム、スズ、ニッケル、アルミニウム等といった金属材料、および、それらの合金を、核材料として用いることが可能であり、この金属核は、二酸化シリコンまたは他の絶縁材のような適切な殻材料で上塗りされていてよい。
【0040】
様々な材料に適用可能な多数の好都合な方法のうちのいずれかによって、ナノ構造を製造すると共にそのサイズを制御することが可能である。例えば、以下の文献には、様々な組成のナノ結晶の合成について記載されている。Peng et al.の「Shape Control of CdSe Nanocrystals」Nature 404,59-61(2000年)、Puntes et al.の「Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of cobalt」Science 291,2115-2117(2001年)、「Process for forming shaped group III-V semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するAlivisatos et al.のUS特許第6,306,736号(2001年10月23日)、「Process for forming shaped group II-VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するAlivisatos et al.のUS特許第 6,225,198(2001年5月1日)、「Preparation of III-V semiconductor nanocrystals」と題するAlivisatos et al.のUS特許第 5,505,928(1996年4月9日)、「semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self-assembled monolayers」と題するAlivisatos et al.のUS特許第 5,751,018(1998年5月12日)、「Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same」と題するGallagher et al.のUS特許第 6,048,616(2000年4月11日)、および、「Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes」と題するWeiss et al.のUS特許第 5,990,479(1999年11月23日)。
【0041】
様々なアスペクト比を有するナノワイヤの成長については、例えば次の文献に記載されている。このナノワイヤには、制御された直径を有するナノワイヤも含まれる。Gudiksen et al.の「Diameter-selective synthesis of semiconductor nanowires」J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802(2000年)、Cui et al.の「Diameter-controlled synthesis of single-crystal silicon nanowires」Appl. Phvs. Lett. 78, 2214-2216(2001年)、Gudiksen et al.の(2001年)「Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires」J. Phvs. Chem. B 105,4062-4064、Morales et al.の「A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires」Science 279, 208-211(1998年)、Duan et al.の「General synthesis of compound semiconductor nanowires」Adv. Mater. 12, 298-302(2000年)、Cui et al.の「Doping and electrical transport in silicon nanowires」J. Phvs. Chem. B 104, 5213-5216(2000年)、Peng et al.の「Shape control of CdSe nanocrystals」Nature 404, 59-61(2000年)、Puntes et al.の「Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of コバルト」Science 291, 2115-2117(2001年)、「Process for forming shaped group III- V semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するAlivisatos et al.のUS特許第6,306,736号(2001年10月23日)、「Process for forming shaped group II-VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するAlivisatos et al.のUS特許第6,225,198号(2001年5月1日)、「Method of producing metal oxide nanorods」と題するLieber et al.のUS特許第6,036,774号(2000年3月14日)、「Metal oxide nanorods」と題するLieber et al.のUS特許第5,897,945号(1999年4月27日)、Lieber et al.のUS特許第5,997,832号「Preparation of carbide nanorods」(1999年12月7日)、Urbau et al.の「Synthesis of single-crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate」J. Am. Chem. Soc., 124, 1186(2002年)、および、Yun et al.の「Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy」Nanoletters 2, 447(2002年)。
【0042】
分枝状のナノワイヤの成長(例えば、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、および、分枝状のテトラポッド)については、例えば次の文献に記載されている。Jun et al.の「Controlled synthesis of multi-armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system」J. Am. Chem. Soc. 123, 5150-5151(2001年)、および、Manna et al.の「Synthesis of Soluble and Processable Rod-,Arrow-, Teardrop-, and テトラポッドhaped CdSe Nanocrvstals」J. Am. Chem. Soc. 122, 12700-12706(2000年)。
【0043】
ナノ粒子の合成については、例えば次の文献に記載されている。「Method for producing semiconductor particles」と題するClark Jr. et al.のUS特許第5,690,807号(1997年11月25日)、「ナノ粒子s of silicon oxide alloys」と題するEl-Shall, et al.のUS特許第 6,136,156号(2000年10月24日)、「Synthesis of nanometer-sized particles by reverse micelle mediated techniques」と題するYing et al.のUS特許第6,413,489号(2002年7月2日)、および、Liu et al.の「Sol-Gel Synthesis of Free-Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate nanoparticles」J. Am. Chem. Soc. 123, 4344(2001年)。ナノ結晶、ナノワイヤ、および、分枝状のナノワイヤの成長に関する上記の引例には、ナノ粒子の合成も記載されており、ここで、結果として生じるナノ構造は、約1.5未満のアスペクト比を有したものである。
【0044】
核−殻ナノ構造のヘテロ構造の合成、つまりナノ結晶およびナノワイヤ(例えば、ナノロッド)の核−殻ヘテロ構造の合成については、例えば次の文献に記載されている。Peng et al.の「Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility」J. Am. Chem. Soc. 119, 7019-7029(1997)、Dabbousi et al.の「(CdSe)ZnS core-shell- quantum dots: Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites」J. Phvs. Chem. B 101, 9463- 9475(1997年)、Manna et al.の「Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods」J. Am. Chem. Soc. 124, 7136-7145(2002年)、および、Cao et al.の「Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores」J. Am. Chem. Soc. 122, 9692-9702(2000年)。同様の方法を適用して、他の核−殻ナノ構造を成長させることも可能である。
【0045】
ナノワイヤの長軸に沿って、異なる位置に異なる材料を分散させる、ナノワイヤヘテロ構造の成長については、例えば次の文献に記載されている。Gudiksen et al.の「Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics」Nature 415, 617-620(2002年)、Bjork et al.の「One-dimensional steeplechase for electrons realized」Nano Letters 2, 86-90(2002年)、Wu et al.の「Block-by-block growth of single-crystalline Si/SiGe superlattice nanowires」Nano Letters 2, 83-86(2002年)、および、「Nanowire heterostructures for encoding information」と題するEmpedoclesのUS特許出願第60/370,095号(2002年4月2日)。同様の方法を適用して、他のヘテロ構造を成長させることも可能である。
[電場配列および堆積]
[概要]
一実施形態において、本発明は、電磁場の存在下において、ナノワイヤを、懸濁した状態から、電極がパターン加工された基板上に配列および堆積させる方法、並びに、このような配列および堆積を実行する装置およびシステム(図2参照)を提供する。基板およびナノワイヤの界面化学によって、基板およびナノワイヤの両方に正味電荷が提供される。電極パターンを適切に選択することによって、ナノワイヤには電磁場勾配が生じ、該電磁場勾配によって正味の力がナノワイヤ上に加えられる。この正味の力によって、(例えば懸濁液中の)ナノワイヤを基板上の特定の位置に制御しながら動かすことが可能になる。上記電極はまた、ナノワイヤを分極させる交流(AC)電場を生成し、結果的に正味双極子モーメントが生じる。続いて上記AC電場がこの双極子にトルクをかけ、上記電場の方向に対して平行な角度配列が可能となる。電気的パラメータ、例えば周波数および振幅を適切に選択することによって、ナノワイヤは配列および捕獲され、電極の上にナノワイヤ(NW)の「ピン止め」または「関連付け」が行われる。関連付けされた状態では、ナノワイヤは、好適には電場に平行に配列されているが、電極の縁に沿って十分に移動可能であり、ナノワイヤを凝集させることなく、配列および関連付け動作の時間シーケンスに対応可能である。本発明はまた、ナノワイヤを電極上に「固定」または「結合」させる方法を提供する。結合された状態では、ナノワイヤは、それ以前の関連付けされた状態と同様に、配列された状態に維持されるが、電極の縁に沿った横方向の移動性は失われる。本発明はまた、望ましくない/結合されていない/配列していないナノワイヤを電極から「洗い流す」ための流量の制御を適切に選択することを提供する。乾燥プロセスによって溶媒を除去して、表面のNW同士を静電気的に「粘着」させることが可能である。
[理論的考察]
電場配列の背後にある理論に関するさらなるいくつかの背景を提供するために、以下の章を記載する。当然ながら、本発明は、ここに記載する理論を抑制または制限するものではなく、当業者は、ここに記載する理論だけでなく他の理論も、本発明に適用可能であることを容易に認識するであろう。
【0046】
図3に概略的に示したように、外部電場
【0047】
【数1】

【0048】
によって、ナノワイヤ208内には電荷分離が生じる。この電荷分離は、(例えば導体内の)可動性の電荷、または、(例えば誘電体内の)双極子モーメントが原因となって生じ得るものである。この分離された電荷は、ナノワイヤの内部に誘導電場
【0049】
【数2】

【0050】
を形成する。この誘導電場は、上記外部電場の反対の方向にあり、次の式によって定められる規模を有している。
【0051】
【数3】

【0052】
関数f(ε)は、ナノワイヤの分極率の尺度であり、材料の誘電率εによって決定されるものである。f(ε)の値の上限および下限は、外部電場を完全に補償する材料と補償する誘導電場を有していない材料との両極端な場合にそれぞれ相当する。可動性の電荷(例えば金属)または双極子モーメント(例えば誘電体)を含有する材料では、この誘導電場は、外部電場を補償して、結果的に0になるか、または、内部電場を低減させる。外部からは、電荷分離または双極子モーメントの方向が、誘導双極子モーメントを生じさせる。ナノワイヤの誘導双極子モーメント
【0053】
【数4】

【0054】
(本明細書全体を通して用いるように、太字の下線を付した記号はベクトルを示し、方程式内のこれらの記号に相当する)は、外部の電場の方向に沿って方向付けられており、その規模は、ナノワイヤの分極率κ(ω)、ナノワイヤの容積V、および、電場(E−field)の強さEに比例している。
【0055】
【数5】

【0056】
均一な電場が、次の式によって定められる誘導双極子モーメントに、回転トルク
【0057】
【数6】

【0058】
を与える。
【0059】
【数7】

【0060】
図4に示すように、このトルクは、結果的に、電場の方向に平行に配列されるナノワイヤ208の方向をエネルギー的に安定させる。非均一な電場が、次の式によって定められる誘導双極子モーメントに並進力
【0061】
【数8】

【0062】
(誘電泳動性の)を与える。
【0063】
【数9】

【0064】
方程式(1.2)と(1.4)とを組み合わせて、誘電泳動力を次のように表すことができる。
【0065】
【数10】

【0066】
ナノワイヤ208(図5参照)上の誘電泳動力は、二次電場規模の勾配、電場周波数ω、ナノワイヤ伝導率σNW、ナノワイヤ誘電率εNW、溶媒誘電率ε、および、ナノワイヤの形状(半径rおよび長さL)によって決定される。分極関数の実数部は、次の式によって定められる。
【0067】
【数11】

【0068】
上記分極関数の周波数依存により、2つの異なる周波数範囲(低周波数限界および高周波数限界)が生じる。これらの範囲内では、誘電泳動力がNWの2つの異なる特性(伝導率および誘電率)に結び付く。これら2つの範囲の間の遮断周波数は、溶媒特性または媒質特性によって定められる。
【0069】
【数12】

【0070】
f<<fの場合、上記分極関数の低周波数限界は、次の式によって定められる。
【0071】
【数13】

【0072】
この周波数範囲においては、誘電泳動力は、溶媒伝導率に規格化されたNWの伝導率に比例している。f>>fの場合、上記分極関数の高周波数限界は、次の式によって定められる。
【0073】
【数14】

【0074】
この周波数範囲においては、誘電泳動力は、溶媒伝導率に規格化されたNWの伝導率に比例している。図6には、長さが異なるNWの2つの場合についての、分極関数の一般的な周波数依存が示されている。NWの伝導率が適切である低周波数範囲では、分極関数はNWの長さに依存していないが、高周波数範囲では、分極関数は、そのNW誘電率に依存しているため、〜1/Lとなっている。図7には、NWの長さは一定であるが、伝導率が異なる2つNW(核−殻(CS)(Si)対核−殻−殻(CSS)(Si−TaAlN))の場合についての、分極関数の一般的な周波数依存が示されている。低周波数範囲では、分極関数は、〜σNWであり、高周波数範囲でも、分極は、NW誘電率に依存しているため、同じく〜σNWである。
[好適な実施形態]
一実施形態において、本発明は、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法を提供する。好適な実施形態では、これら方法は、1つまたは複数のナノワイヤを1つの電極対の近傍に供給する工程を含む。その後、この電極対に電圧を与え、これによってナノワイヤを該電極対に関連付ける。その後、電極対への電圧供給を調節し、これによって、ナノワイヤを電極対の上に結合させる。
【0075】
明細書全体を通して用いる「配置する」という用語は、ナノワイヤを基板上に、例えば1つの電極対に、配列および関連付けること、および、堆積または結合させることを指す。この配置することには、配列されたナノワイヤおよび配列されていないナノワイヤの両方が含まれる。明細書全体を通して用いる「配列」という用語は、互いにほぼ平行なナノワイヤ、または、互いに同一の方向またはほぼ同一の方向に方向付けられたナノワイヤ(つまり、複数のナノワイヤが同じ方向に配列されているか、または、互いに約45°以内に配列されている)に関する。好適には、本発明のナノワイヤは、全てが互いにほぼ平行、且つ、電極対の各電極にほぼ垂直であるように配列される(さらなる実施形態では、複数のナノワイヤは1つの電極に平行に配列され得るが)。ナノワイヤを1つの電極対上に配置することは、好適には、ナノワイヤが電極対にかかるようにナノワイヤを配置すること、つまり、これら2つの電極の間では、ナノワイヤの長さが実質的に余った状態で、該ワイヤが電極対の両電極に接触するように(該ワイヤが、1つの電極だけに接触するようにしてもよいが)ナノワイヤを配置することを含む。ナノワイヤのほうが、電極対の2つの電極を分離している間隔よりも長い実施形態では、ナノワイヤは、これら電極を越えて伸びていてよい。
【0076】
本発明の方法およびシステムにおいて用いるためのナノワイヤを供給する方法は、従来技術において公知である。好適には、ナノワイヤは懸濁液中に供給されており、これはつまり、液体(つまりナノワイヤ「インク」)中に懸濁された1つまたは複数のナノワイヤ、好適には複数のナノワイヤを含むナノワイヤの懸濁液である。好適には、この液体は、水または水の溶液、イオン(塩を含む)、および、例えば界面活性剤のような他の成分といった水媒体である。ナノワイヤ懸濁液の調合に適した液体のさらなる例には、有機溶媒、無機溶媒、アルコール(例えばイソプロピルアルコール)(IPA)等が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0077】
ここで用いるように、ナノワイヤを供給することに関する「電極対の近傍」という表現は、電極対において生成された電場がナノワイヤに作用することが可能なように、ナノワイヤを供給するまたは配置することを意味している。好適には、これは、ナノワイヤが電極に関連付けされると共に結合されることが可能な、電極対からの距離のことである。より具体的な実施形態では、ナノワイヤが電極対から約100μm未満離れているように、ナノワイヤを供給する。例えば、ナノワイヤが電極対から約100μm未満、約100μm未満、約50μm未満、約10μm未満、または、約1μm未満にあるように、ナノワイヤを供給する。
【0078】
好適な実施形態において、本発明は、ナノワイヤを配列および堆積させるシステムまたは装置を提供する。典型的な装置200を図2に示す。装置200は、好適には、1つまたは複数の電極が配置された(例えばパターン加工された)表面を有する基板202を、好適には、陽極204および陰極205が電極対207を形成する構成において備えている。基板202は、任意の好適な材料、例えば半導体ウェハまたは誘電体を含む。好適な基板材料の例には、Si、SiO、GaAs、InP、および、ここに記載する他の半導体材料が含まれるが、これらに限定されることはない。陽極204および陰極205として使用するための典型的な材料には、Al、Mo(モリブデン電極)、Cu、Fe、Au、Ag、Pt、Cr/Au等が含まれるが、これらに限定されることはない。本発明の実施において使用するための電極は、その表面に、酸化物被膜または酸化物層をさらに含んでもよい。
【0079】
本発明の方法に従って、任意の材料のナノワイヤを配列および堆積させることが可能である。好適には、ナノワイヤは、半導体核と該核の周囲に配置された1つまたは複数の殻層とを含む(つまり上記殻層が上記核を包囲している)。好適な半導体材料および殻材料の例には、明細書全体を通して説明する材料が含まれる。好適な実施形態では、上記核は、Siおよび少なくとも1つの殻層を含み、好適には、最外の殻層(つまり、外部環境に接触している殻層)は、TaAlNまたはWNといった金属を含んでいる。金属殻層のさらなる例には、明細書全体を通して説明する材料が含まれる。本発明の実施において使用するための典型的なナノワイヤは、核:殻(CS)ナノワイヤ(例えばSiO)、核:殻:殻(CSS)ナノワイヤ(例えばSiO:金属)、および、核:非酸化物殻:金属殻ナノワイヤ(CNOS)(例えばSi:金属)を含む。さらなる実施形態では、さらなる殻(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ等の殻)を、例えば核:殻:殻:殻(CSSS)ナノワイヤを生成するナノワイヤに加えてもよい。好適な実施形態では、外殻を加えて、ナノワイヤのゼータ電位を改善する。一般的には、負のゼータ電位(一般的には規模が大きい)が望ましく(正のゼータ電位を用いてもよいが)、従って、このようなゼータ電位を生成するために、最後の殻層を加えることが可能である。例えば酸化物層を、このナノワイヤの最後の殻層として加えてもよい。好適な実施形態では、最後から2番目の外殻は、窒化タングステンまたは窒化タンタルといった金属窒化物であってよい。その後、この殻を酸化させて、ナノワイヤ上に最終の金属酸化物外殻または金属酸窒化物外殻を形成する。さらなる実施形態では、ポリシリコンまたはポリシリコンの酸化物を、最終の殻層として加えて、ナノワイヤのゼータ電位の制御に役立てることが可能である。
【0080】
図2に示すように、好適な実施形態では、複数の電極対207は、これらが基板に付着または固定されるように、基板202上にパターン加工されている。他の実施形態では、電極対207を、基板202上に積層するだけで、実際には表面に付着しないようにしてもよい。電極対207を好適に配向してもよいし、または、電極対207を好適にパターン加工してもよい。図2に示すように、装置200はまた、流路206(例えば(透視図に示した)2つの側面および1つの上面)を形成する複数のさらなる材料をさらに含むことが可能である。流路206は、ナノワイヤの懸濁液が装置に加えられた時の、流体の量および位置を制御する機構を提供するものである。しかしながら、本発明の配列および堆積方法を実施するために必ずしも流路が必要であるわけではないことを留意されたい。流路206は、任意の好適な材料、例えば半導体または誘電体を用いて形成されていてよく、好適な実施形態では、流路206は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から形成されている。
【0081】
上述のように、好適には、ナノワイヤの懸濁液(例えば、ナノワイヤ「インク」)を装置200に供給または導入することによって、1つまたは複数のナノワイヤ208を供給する。図2に示すように、好適には、ナノワイヤ懸濁液は、ナノワイヤ208を基板表面202および電極対207の上に流す(矢印は流れの典型的な方向(他の方向も用いられるが)を示すものである)ことによって、および/または、加圧式流路充填技術を利用することによって供給される。この供給段階の間は、ナノワイヤ懸濁液は流路206の中で保持される。ナノワイヤを供給する時に、懸濁液が流路206を介しておよび電極対207の上を流れることによって、ナノワイヤの配列、好適には流れの方向(例えば図2に示した矢印)における配列が助長される。好適な実施形態では、流路206を逆にして、重力の作用を制限または排除することが可能である(つまり電極は、流路の底部ではなく上部にあり、従ってナノワイヤは重力によって電極に定着することはない)。ナノワイヤを電極対に供給するさらなる方法は従来技術において公知であり、該方法には、スプレーコータ、吹き付けコータ、メニスカスコータ、浸漬コータ、バーコータ、グラビアコータ、マイヤーロッド、ドクターブレード、押し出し、マイクログラビア、ウェブコータ、ドクターブレードコータ、インライン印刷機またはインクジェット印刷機(例えばUS特許第6,936,761号および第6,358,643号参照されたい。これら各特許の開示内容を、本願に引用して援用する)が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0082】
ナノワイヤを(例えばナノワイヤの懸濁液を流路206に導入することによって)電極対に供給する時に、電極対に電圧を与えて、電極対の間に電場を生成することによってナノワイヤを電極対に関連付ける。この電場は、ナノワイヤ生成/導入の期間の前、後、または、該期間の最中に生成されるものであることに留意されたい。ここで用いるように、「電場」および「電磁場」という用語は、交換可能に用いられ、電荷の近傍における荷電された対象物に加えられる力のことを指す。ここで用いるように、「電極対に電圧を与える」または「電圧を与える」という用語は、電流を電極に供給して、電極対の両電極間に電場を生成させる任意の好適な機構またはシステムに関する。
【0083】
好適には、電極対に電圧を与えて電場を生成することは、配列および堆積プロセスの一部の工程の間、または、全工程の間に、交流(AC)電場を生成させること(直流(DC)電場を用いてもよいが)によって行う。本発明の好ましい実施形態では、電流を電極に印加することによって、電極対(つまり2つの電極)の間に電場を生成する。例えば、陰極205は、直接電気的接続(つまりワイヤまたは他の接続)を介して陰端子210に接続されていることが可能である。この陰端子には、電源の陰極が取り付けられている。同様に陽極204は、直接電気的接続(つまりワイヤまたは他の接続)を介して陽端子212に接続されていることが可能である。この陽端子には、電極源の陽極が取り付けられている。電流がオン状態になると、陰端子および陽端子は、電荷を基板上に配置されている電極まで移動させ、これによって、電極対207間に電場が生成される。さらなる実施形態では、電場は、パルス状の電場、例えばパルス状のAC電場であってよい。
【0084】
電極対に電圧を与えて電場を生成することは、電極対207に電磁波を供給することによっても可能である。従来技術において公知であるように、様々な寸法および様々な構成(例えば、円筒型、長方形)の導波管を適切に用いて、電磁波を導くと共に供給することが可能である(例えば、Guru, B. S. et al.の「Electromagnetic Field Theory Fundamentals」10章,PWS Publishing Company,ボストン,MA(1998年)参照)。本発明の実施に際して用いるための導波管の使用周波数は、当業者によって容易に決定され、好ましくは、約100MHzから10GHzの範囲内、より好適には約1GHz〜5GHz、約2〜3GHz、約2.5GHz、または、約2.45GHzである。
【0085】
ナノワイヤが、様々な電極対の間において生成されたAC電場に接触すると、場の勾配が生じる。これについては上記し図3および5に示す通りである。ナノワイヤの中には正味の双極子モーメントが形成され、該双極子にはAC電場によってトルクがかけられ、結果的にナノワイヤは、電場の方向に平行に配列する(図3)。一実施形態では、その後、本発明は、1つまたは複数の電極対の上にナノワイヤを配列する方法を提供する。本発明の配列および堆積方法は、CS、CSS、および、CNOSを含む任意のナノワイヤの組成に利用可能であることに留意されたい。
【0086】
好適な実施形態では、電極対の2つの電極は、ナノワイヤの長軸の長さよりも短い間隔、または、該長軸の長さと同一の間隔によって分離されている。任意の長さのナノワイヤを、本発明の方法を用いて配列および配置させることが可能である。好適には、電極対の電極間の間隔は、ナノワイヤがこの電極の第1のエッジをちょうど超える程度に伸びた長さである。つまり、電極間の間隔は、堆積されたナノワイヤの長さとほぼ同一であり、好ましくはそれよりも短い。図8a〜8d、9a〜9b、および、10a〜10cに示すように、ナノワイヤは、好適には、上記第1のエッジをちょうど超える程度、且つ、電極の中心まで伸びており、ナノワイヤの先端では、数十ナノメータから数ミクロンだけ電極材料に重なり合っている。電極間の間隔よりも短いナノワイヤは、電極対の一方の電極だけに結合することが可能であり(仮にこれらが結合するとしても)、好適には、次の除去段階の間に除去される(なぜなら、電極とナノワイヤとの間には1つの接点しか存在しないからである)。同様に、電極対の電極間の間隔よりも実質的に長いナノワイヤは、1つまたは複数の電極を越えて突き出ており、好適には、次の除去段階の間に除去される(露出表面積がより大きい)。従って、本発明の方法はまた、一連のサイズのナノワイヤの懸濁液から特定の長さのナノワイヤを優先的に選択して、これらを電極対上に配列および堆積させる手段を提供する。
【0087】
本発明の方法は、折れ曲がったりまたは湾曲したナノワイヤではなく、「まっすぐ」なナノワイヤを優先的に関連付けると共に結合させることも確認された。従って、本発明はまた、好ましくない折れ曲がったりまたは湾曲したナノワイヤでなく、好ましくはまっすぐなナノワイヤを堆積させることに付加利益を提供するものである。
【0088】
さらなる実施形態では、本発明の様々な実施形態において用いられる複数の電極は、異なるサイズおよび形状であってよく、異なる方向に方向付けられていてもよい。例えば、電極対207の第1の電極(例えば204)は、電極対207の第2の電極(例えば205)よりも大きなナノワイヤ接触表面積を含んでいてもよい。ここで用いるように、「大きなナノワイヤ接触表面積」とは、電極対の一方の電極が電極対の他方の電極よりも大きな表面積を有しており、従って、電極対に関連付け/結合されたナノワイヤは、より大きな第1の電極の表面積に接触していることを意味している。より大きなナノワイヤ接触表面積を有する電極を用いることによって、電極間の間隔よりも長いナノワイヤ、および、電極対の電極間の間隔とほぼ同一のナノワイヤは、互いにほぼ平行に並ぶことが可能になる。従って、電極対の一方の電極よりも大きなナノワイヤ接触表面積を有する電極を利用することによって、通常は整列していないか、または、交差しているナノワイヤをほぼ平行に配列することが可能であり、これによって、様々な長さを有する全てのナノワイヤの関連付けおよび結合が可能になる。
【0089】
ナノワイヤをAC電場に平行に配列することに加えて、電場の勾配がナノワイヤに誘電泳動力をかけて、該ナノワイヤを電極対に引き付ける。図5に概略的に示したように、この勾配は電極対において最も高くなり、電極に引き付ける力は増大する。電極対の各電極の表面には、電気的ニ重層が形成されており、そのため、電極には逆帯電したイオンが存在している。電場の存在下で、このイオンは、電極から移動して、まず上方に浮かんでいるナノワイヤに向かう。逆帯電したナノワイヤにイオンが接近すると、イオンは、同種の電荷によって退けられて電極に差し戻され、結果的にイオンの循環パターンを生じさせる。そこに在る液体(つまりナノワイヤ懸濁液)も循環して、電気浸透力を生成する。この電気浸透力は、ナノワイヤを電極に引き付ける誘電泳動力に対立する力である。これら2つの力が均衡(または比較的均衡)に達すると、ナノワイヤは所定の位置に保持され、該ナノワイヤは電極対に関連付けられる。ここで用いるように、「関連付けられる」および「ピン止めされる」という用語は、電気浸透力および誘電泳動力が均衡な状態におけるナノワイヤを示すものであり、この状態では、ナノワイヤは、電極対から(つまり基板および電極対に対して垂直またはほぼ垂直に)基本的に動かないか、または、ほとんど動かない。これを、明細書全体を通して「関連付け段階」とも呼ぶ。
【0090】
関連付けられた、または、ピン止めされた状態では、ナノワイヤは、好適には電場に対して平行に配列されるが、電極の縁(換言すれば、電極の表面よりもわずかに上方の平面)に沿って、十分移動可能である。例えば図8aは、1つのセットである4つの電極対(204および205)を示し、各電極対は、電極に関連付けられた、または、固定された複数のナノワイヤ208を含んでいる。図8aには、電場の方向が示されている(電場は任意の方向に存在することが可能であるが、一般的には、電極にほぼ垂直の方向に存在している)。図8aに示すように、大部分のナノワイヤは、電場に対して平行方向(つまり電極を横切る方向または電極に対して垂直)に配列されている。ナノワイヤの液体懸濁液を基板および電極に供給する実施形態では、流体の流れの方向もナノワイヤの配列に有用である。好適な実施形態では、流体の流れの方向は、電場の方向と同一であるか、または、ほぼ同一である(この流体の流れおよび電場は反対の方向であり得るが、それでもナノワイヤを電場に対して、平行および異なる方向に配列することに有用である)。
【0091】
関連付けされたまたは固定された状態では、ナノワイヤは、自由に、再配置、移動、および/または、電極の長さに沿って配列される。既に電場と揃って配列されているナノワイヤは、最も近い隣接物に接触するまで、および/または、最も近い隣接物によって退けられるまで、電極対に沿って移動する傾向にある。実質的に配列されていないナノワイヤは、最も隣接したナノワイヤに接触するか、または、最も隣接したナノワイヤによって退けられるか、もしくはその両方によって並ぶように移動する傾向にあり、ナノワイヤ上に作用する様々な力の間に均衡が得られる。ナノワイヤが横方向(つまり電極対に沿って、電場方向に垂直)に移動することによって、ナノワイヤは、凝集することなく、配列および関連付けイベントの時間シーケンスに対応することが可能になる。すなわち、ナノワイヤが(懸濁液から)電極対に連続的に供給されると、既に関連付けられているナノワイヤは、邪魔にならないよう自由に移動して、さらなるワイヤを調整するので、さらなるナノワイヤが電極に関連付けられることが可能である。
【0092】
図9aは、一連の11個の電極対を示す図である。これら各電極対は、電極にかかっている少なくとも10個のナノワイヤを含んでいる。通常、これらのナノワイヤは、ほぼ同一の方向に配列され、全てのナノワイヤは、所定の1つの電極対に、あるとすればほんの少しのほぼ同一の分離間隔で離間されているか、または、重なり合っているか、または、凝集し合っている。図9bは、一連の10個の電極対を示す図であり、これら各電極対におけるナノワイヤの密度は著しく高い(各電極対に少なくとも約20〜30個のナノワイヤ)。関連付けられて、最終的に電極に結合され得るナノワイヤの密度は、供給されたナノワイヤの本数(例えば懸濁液中のナノワイヤの密度)、電極の寸法、および、電極対の数によって決定される。典型的なナノワイヤの密度は、0.5μm毎に約1本のナノワイヤから、100μm毎に約1本のナノワイヤまでであり、好適な密度範囲は、1本のナノワイヤ毎に約1〜5μmである。
【0093】
好適には、約5Hzから約5kHzの周波数、好適には約10Hzから約5kHz、約10Hzから約2kHz、約10Hzから約1kHz、約100Hz、約200Hz、約300Hz、約400Hz、約500Hz、約600Hz、約700Hz、約800Hz、または、約900Hzの周波数において(他の周波数を用いることも可能であるが)、交流が生成されると、ナノワイヤの電極対への関連付けが行われる。好適には、ナノワイヤを電極対に関連付けるために生成されるAC電場の振幅は、約0.1Vから約5V、好適には約0.5Vから約3V、約0.5Vから約2V、約0.6V、約0.7V、約0.8V、約0.9V、約1.0V、約1.1V、約1.2V、約1.3V、約1.4V、約1.5V、約1.6V、約1.7V、約1.8V、または、約1.9Vである。本明細書を通して電場の振幅の値について言及する時は、電圧値(V)は、ピークツーピーク電圧(Vp−P)を示すものである。組成がCSSおよび/またはCNOSであるナノワイヤを関連付ける時には、この範囲を用いることが好適である。
【0094】
ナノワイヤを電極対に関連付けた後、電極対への電圧供給を調節する工程を用いて、ナノワイヤを電極対の上に結合させる。この電極対を調節する工程は、好適には、電極対の間のAC電場を調節することを含む。ここで用いるように、「調節する」または「調節」という用語は、電圧供給を変更または調整することを意味している。例えば、電磁波の周波数、または、振幅、または、周波数および振幅、電場、若しくは、電気信号を調節することが可能である。「変更」および「調節」という用語は、電圧供給(例えば電場または信号)を増大および減少させることを含む。例えば、AC電場の調節は、周波数調節、振幅調節、および、これらを組み合わせたもの(異なる時間に行われようとも、同時に行われようとも)を含むことが可能である。調節には、周波数と振幅とを増大させること、周波数を増大させて振幅を低減させること、および、周波数を低減させて振幅を増大させること、および、振幅と周波数とを低減させることが含まれる。これら増大および/または低減のタイミングは、同時に発生してもよいし、異なる時間に発生してもよい。
【0095】
好適には、電極対間への電圧供給(例えばAC電場)を調節することによって、ナノワイヤを、電極対上に結合または「固定」する。ここで用いるように「結合」または「固定」という用語は、ナノワイヤが電極に強力に引き付けられているので、周波数を連続的に調節している間またはフロー条件下(通常は穏やかな流れ)において、ナノワイヤが連続的に移動またはシフトせず、その配列された状態で維持されている状態を指す。次の論理と結びつけることは望ましくないが、AC電場を調節するとすぐに、図11に示した対向し合う力(誘電泳動力および電気浸透力)間の均衡はシフトされ、誘電泳動力は、電気浸透力よりも大きくなり、従って、ナノワイヤは、上述の「関連付け段階」の場合よりも、電極により近くなると推定される。ナノワイヤが電極からの臨界距離に達すると、ファンデルワールス力のような局部的な力は、ナノワイヤを電極に結合させるのに十分な程度に強力になる。図11に示すように、電極対(204、205)に結合または固定されたナノワイヤ208はほぼ動かない。図8bは、AC電場の調節(関連付け段階から結合段階への変化)の後の、図8aに示した電極対と同一の4つの電極対の顕微鏡写真である。AC電場をナノワイヤの結合が生じる周波数および/または振幅に調節した直後に、ナノワイヤは電極に引き付けられ、その後、実質的に動かなくなる。図8bに示すように、顕微鏡写真の中では、電極の表面に接触すると共にファンデルワールスの引力(または他の力)によって電極に結合されたワイヤの端部は、白熱しているように見える(図8bの矢印)。このプロセスのビデオはワイヤが移動、再配置、配列することはもう不可能であるか、または、そうでなければ図8aの関連付け段階のようには動くことが出来ないことを示している。
【0096】
電極対への電圧供給を調節すること、好適にはAC電場の周波数を調節することは、電場の周波数を(上述の関連付け段階の周波数から)約1kHzから約500kHzの範囲、好適には約1kHzから約400kHz、約1kHzから約300kHz、約1kHzから約200kHz、約1kHzから約100kHz、約10kHzから約100kHz、約20kHzから約100kHz、約30kHzから約100kHz、約40kHzから約100kHz、約50kHzから約100kHz、約60kHzから約100kHz、約70kHzから約100kHz、約80kHzから約100kHz、約90kHzから約100kHz、または、約100kHzに増大させることを含む。同然ながら、ここに記載した範囲よりも上の他の周波数範囲を利用してもよい。周波数の調節はまた、AC電場の周波数を低減させること、例えば、該周波数を約1Hzから約10Hzに低減させることを含む。
【0097】
AC電場の振幅を調節することはまた、電場の振幅を(上述の関連付け段階の電場の振幅から)、約2Vから約20Vの範囲に、好適には約2Vから約10V、約3V、約4V、約5V、約6V、約7V、約8V、または、約9Vに増大させることを含む。当然ながら、ここに記載した範囲よりも上の他の振幅の範囲を利用してもよい。振幅を調節することはまた、AC電場の振幅を低減させること、例えば、振幅を約0.01から0.1Vに低減させることを含む。
【0098】
本発明の好適な実施形態では、AC電場の周波数および振幅を、同時に、または、ほぼ同時に(例えば、互いに数分のうちに)調節する。例えば、周波数および振幅を、関連付け段階中に用いた値から増大させることによって、ナノワイヤを電極上に結合させることが可能である。例えば、関連付け段階で用いた周波数および振幅の範囲は、例えば、約10Hzと約1kHzとの間、および、約0.5Vと2Vとの間であるが、これらを、ナノワイヤが電極上に結合する範囲、例えば、約1kHzと約100kHzとの間、および、約2Vと約10Vとの間まで増大させてもよい。好適な実施形態では、関連付け段階中に利用された周波数値および振幅値、例えば約500Hzおよび1Vを、約10kHzまたは約100kHz、および、約4Vに調節する。
【0099】
本発明のさらなる実施形態では、周波数および振幅を別々に調節することが可能である。つまり、例えば最初に、電場の周波数を関連付け段階中に利用した値からより高い周波数に増大させて、その少し後に電場の振幅を増大させることが可能である(または周波数の前に振幅を調節してもよい)。例えば、周波数を増大させてから約数秒後、約数分後、または、約何分か後(例えば、5分、10分、20分、30分、40分後)に、振幅を増大させてもよい。好適には、関連付け段階で用いた周波数および振幅の範囲、例えば、約10Hzと約1kHzとの間、および、約0.5Vと2Vとの間の範囲を、ナノワイヤが電極上に結合する範囲、例えば、約1kHzと約100kHzとの間、および、約2Vと約10Vとの間まで増大させてもよい。
【0100】
本発明のさらなる一実施形態では、振幅を調節する前に周波数を調節する工程を用いて、ナノワイヤが最終的に電極上に結合する前に該ナノワイヤをさらに配列させることが可能である。例えば、周波数だけを例えば約10kHzから約100kHzまで増大させて、その一方で、振幅を関連付け段階のレベル、例えば約0.5Vと2Vとの間、好適には約1Vで維持することによって、関連付け段階で用いた周波数および振幅の範囲、例えば約10Hzと約1kHzとの間の範囲を最初に調節することが可能である。電場の振幅を比較的低い振幅(例えば、1Vピークツーピーク)に維持して、その後、周波数を約500Hzから最大約100kHzまで変化させることによって、電極に関連付けられるナノワイヤが移動および再配置され、その結果、これらが関連付け段階よりも良好な配列を得る場合がある(つまり互いに平行でないワイヤが交差したり、または、角度を成している場合が少なくなる)ことが確認された。
【0101】
このようにして周波数を調節する(例えば増大させる)ことによって、関連付け段階において交差していたり、または、互いに接触し合っているナノワイヤの交差が元に戻ったり、または、もつれが解かれたりすることについては既に言及した。電極の表面に、十分な空間が存在すると仮定すると(つまり密度はそれほど高くない)、ナノワイヤの交差は元に戻り、多数のナノワイヤは、調節の前よりも調節の後に平行になるように再配置され得る。例えば、図10aおよび10bに示すように、図10a(矢印)において最初は交差していたナノワイヤは、調節配列段階の間に移動および再配置されることが可能であり、図10bでは交差が解かれた状態になる。この段階のことを、明細書全体を通して「調節配列」と呼ぶ。この段階は、関連付け段階中に行われる配列とは別の一配列段階である。この調節配列段階は、本発明の実施に際しては重要ではなく、省略して、本発明の方法を、直接、関連付け段階から結合段階まで進めてもよいことに留意されたい。
【0102】
調節配列段階(もし用いるならば)の間にナノワイヤが十分に配列された後、振幅を調節して、ワイヤを電極上に結合させる(図10c参照。ナノワイヤが電極上に結合されたナノワイヤの先端は、強烈に明るいことに留意されたい)。調節配列段階の後には、さらなる周波数調節を行う必要はないが、ナノワイヤを電極上に結合させるために、さらなる周波数調節を用いてもよいことに留意されたい。好適な実施形態では、電場の振幅を、関連付け段階(および調節配列段階)の間に用いられた範囲から、例えば最初は約0.5Vと約2Vとの間から、ナノワイヤの結合に利用される振幅範囲まで、例えば約2Vから約10Vまで、好ましくは約4Vに増大させる。
【0103】
上述の周波数および振幅の調節を、任意のナノワイヤ組成/構造に適用してもよいが、好適には、組成が核:殻:殻(CSS)および/または核:非酸化物:殻(CNOS)であるナノワイヤを配置する場合に、これら調節を行う。CSSおよび/またはCNOSのナノワイヤを利用する場合には、最外の殻層は、好適には、(正の電荷または負の電荷を帯びた)表面電荷を有する金属または他の材料である。溶液において、外殻(金属殻)は、逆帯電したイオンを引き付ける。該イオンは、ナノワイヤの表面に電気二重層を形成するものである。ナノワイヤ上の表面電荷の存在が、上述の理論の章において説明したような関連付けおよび結合を助長する。ナノワイヤ上に形成されるこの電荷層はまた、ナノワイヤの交差および/または凝集を低減、制限、または、排除する。これは、ナノワイヤが近傍に接近し合うと、互いに退け合うためである。ナノワイヤが電極に関連付け/配列されているときには、ナノワイヤの横方向の移動が、はねかえす表面電荷と共に、十分な動きを提供し、交差したナノワイヤの交差を解き、該ナノワイヤを電極に沿って分配することが可能である(例えば図10aおよび10bを参照)。
【0104】
核:殻(CS)構造(例えばSiO)を含むナノワイヤを配置する場合には、ナノワイヤを電極上に関連付けて結合させるために、より高い周波数および/または振幅のAC電場が必要とされ得る。例えば、ナノワイヤの関連付けには、約1kHzから約50kHz、より好適には約5kHzから約20kHz、または、約10kHzの周波数と、約1Vから約10V、好適には約2Vから約5V、または、約2Vの振幅とを有するAC電場を生成することが必要である。CSナノワイヤのナノワイヤ結合は、AC電場を、約50kHzから約500kHz、好適には約75kHzから約200kHz、または、約100kHzの周波数に変化させると共に、振幅を約3Vから約10V、好適には約3Vから約5V、または、約4Vに変化させる必要がある。外殻(金属)層、従って荷電外層を含まないナノワイヤは、通常、関連付けおよび/または結合を実現するために、外殻金属層(つまりCSS)を含むナノワイヤよりも、高い周波数および/または振幅の生成を必要とする。
【0105】
従って、好適な実施形態において、本発明は、導電性および半導電性(例えばCS半導電性)のナノワイヤの混合物から、1つまたは複数の導電性ナノワイヤ(例えばCSS導電性ナノワイヤ)を分離させる方法を提供する。上述のように、CSSナノワイヤは、好適には、外殻または金属から成る外殻を含み、従ってこれらのワイヤを導電性にしている。従って、好適な実施形態では、1つまたは複数の導電性ナノワイヤ、および、1つまたは複数の半導電性ナノワイヤを含む溶液を、電極対の近傍に供給する。電極対に電圧を与えて、これによって、導電性ナノワイヤおよび半導電性ナノワイヤを電極対に関連付ける。その後、電圧供給を調節し、これによって、導電性ナノワイヤを電極対上に結合させる。その後、半導電性ナノワイヤを除去する。
【0106】
電極対の間にAC電場を生成する好適な方法を、明細書全体を通して記載する。この方法は、直接電気的接続および電磁波を含む。関連付け段階において有効な典型的なAC電場は、約10Hzから約5kHzの周波数、および、約0.5Vから約3Vの振幅を有するAC電場を含む。この周波数を約1kHzから約500kHzに増大させ、AC電場の振幅はそのままに維持するか、または、約1Vから約4Vに増大させることによって、AC電場の調節は、導電性ナノワイヤ(例えばCSSナノワイヤ)を優先的にピン止めまたは固定するが、半導電性ナノワイヤは結合(固定)させない。その後に結合されていない半導電性ナノワイヤを除去することは、懸濁液から導電性ナノワイヤを選択的に除去することである。従って、電極に結合された導電性ナノワイヤは、様々な用途において利用可能であり、同様に、溶液中に残った半導電性ナノワイヤも(ここでは、導電性ナノワイヤはほぼ存在しない)、さらなる用途において利用可能である。
【0107】
さらなる実施形態では、一端がn型ドープされていると共に他端がp型ドープされたナノワイヤを用いて、配列、関連付け、および、結合を行うことが可能である。異なる2つのドーピングを用いることによって、結果的にナノワイヤは、電場が印加されると、誘導された2つの双極子を有する。電子はp型ドープされた材料よりも、n型ドープされた材料においてより可動性を有するので、ナノワイヤのn型ドープされた「端部」は、p型ドープされた「端部」よりも強い双極子を有する。結果的に、ナノワイヤのドーピングの違いによって、所定の方向における配列および堆積が可能になる。例えば、1組の電極を用いてもよく(例えば3つまたは4つの電極、しかしこれよりも多い数の電極を用いてもよい)、ここでは、1つの電極対に別の電極対よりも高レベルで電圧が与えられる。好適には、1つの電極セットのうちの複数の電極対は、1つの電極対が、他の電極対と同一平面状にあるように、例えば互いに隣り合って、または、1つの電極対がもう1つの電極対の上に重なって配置される(例えば基板上に互いに一列に配置される)。明細書全体を通して説明するように、ナノワイヤは電極セットの方に近づく。しかし、2つの電極間のより高い電場によって、ナノワイヤのn型ドープされた端部は、これらの電極に関連付けられると共に結合される傾向にあるが、ナノワイヤのp型ドープされた端部は、より低い電場対に関連付けられると共に結合される。このようにして、その後ナノワイヤを所定の方向に配列させて、ほぼ全てのナノワイヤ(例えば、50%よりも多いナノワイヤ、60%よりも多いナノワイヤ、70%よりも多いナノワイヤ、80%よりも多いナノワイヤ、90%よりも多いナノワイヤ、および、好適には約100%のナノワイヤ)を同一の方角および方向に配列する(つまりn型ドープされた端部は全て同一の方向を指している)ことが可能である。このようにして行われた配列および堆積は、特に、ナノワイヤのアレイを形成する場合に有効である。このナノワイヤのアレイは、例えば、ナノワイヤの全てのn型ドープされた端部が1つの電極セットの一端に一緒に配置されているダイオードに用いるためのものである。
【0108】
導波管または類似の器具を用いて電場を生成する実施形態では、ナノワイヤの配列、関連付け、および、結合を、単一のステップにおいて行うことが可能である。つまり、ナノワイヤの結合を実現するために、周波数および/または振幅を調節する必要はない(調節してもよいが)。例えば、導波管を利用する場合、約1GHzから約5GHz程度の周波数を用いて電場を生成する。好適には、この周波数は約2GHzから約3GHz、または、約2.3GHzから約2.5GHz、例えば約2.45GHzである。導波管によって生成される電場の振幅は、好適には、約1Vから約10V程度である。この大きさの周波数で電場を生成することによって、ナノワイヤの配列、関連付け、および、結合をほぼ同時に行うことが可能である。導波管を用いて電場を生成させるとすぐに、ナノワイヤは、好適にはほぼ連続的なステップまたは動作において、電極対上に配列、関連付け、および、結合される。従って、ナノワイヤを電極上に結合させるために、周波数および/または振幅を別々に調節する必要はない(調節してもよいが)。
【0109】
さらなる実施形態では、電極対207の上に、ナノワイヤ懸濁液を流すことなく単に載せ、従ってナノワイヤは、配列および堆積前に、静止した懸濁液中に存在していることになる。電場を印加するとすぐに、ナノワイヤは、明細書全体を通して説明しているように関連付けられると共に結合する。しかしながら、流体の流れが存在しないため、堆積の前には、ナノワイヤは事前配列されていない。このため、互いに法線の方向(つまり、x方向およびy方向)におけるナノワイヤの堆積が可能となる。例えば、図12に示すように、電極対を所望の方向に供給するだけで、ナノワイヤを互いに垂直な方向に配列および堆積させることが可能である。x方向およびy方向に堆積させることに加えて、任意の方向および方角にもナノワイヤを堆積させることができる。これら実施形態は、互いに垂直な方向を含む、異なるいくつかの方向にワイヤを有することが望ましい場合が多い電気デバイス構成に特に有効である。
【0110】
さらなる一実施形態では、電極対の間に1つまたは複数の金属要素を配置することを用いて、ナノワイヤの配列および堆積を促進または助長する。例えば図13に示すように、1つまたは複数の金属要素1302、例えば金属片を、1つの電極対の電極204と電極205との間に堆積または配置することによって、ナノワイヤ208を電極上に配列することを助長する。本発明の方法では、例えば、Al、Cu、Fe、Au、Ag等、または、これらの組み合わせのような任意の好適な金属を用いることが可能である。図13は、ほぼ直線状、および、一列に並んだ状態で配列されると共に堆積されているナノワイヤを示す図であり、各ナノワイヤは、一対の金属素子間に堆積されている。金属要素1302のサイズおよび方向を選択することによってナノワイヤ間の空間を制御して、ほぼ均一に離間され、且つ平行に配列されたナノワイヤの関連付けおよび結合を実現することができる。
【0111】
本発明はまた、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法を提供する。この方法では、1つまたは複数のナノワイヤを1つの電極対の近傍に供給する。その後、この電極対に電圧を与え、これによってナノワイヤを電極対に関連付ける。ここで、この電極対の電極間に1つまたは複数の金属要素を配置して、隣接し合う関連付けられたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差が標準偏差の約50%未満になるようにする。さらなる実施形態において、本方法はまた、電極対の間における電圧供給を調節する工程を含み、これによって、ナノワイヤを電極対上に結合させると共に、電極対の電極間に1つまたは複数の金属要素を配置して、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差が標準偏差の約50%未満になるようにする。例えば図13を参照されたい。従って本発明は、隣接し合うナノワイヤ間のナノワイヤ間隔が、標準偏差の約50%未満だけ該間隔の平均値から異なる程度に制御可能なようにナノワイヤを配置する方法を提供する。ここで用いるように、隣接し合うナノワイヤとは、互いに隣り合って配置されると共にこれらナノワイヤ間には他のナノワイヤが存在しない、関連付けられたおよび/または結合されたナノワイヤを指す。ここで用いるように、ナノワイヤ間隔とは、隣接し合うナノワイヤ間の間隔を指す。ナノワイヤ間隔に関連してここに説明するように、標準偏差とは、ナノワイヤ間隔の平均値の標準偏差を示す。ナノワイヤ間隔の平均値の標準偏差は、まずナノワイヤ間隔の平均値を算出することによって容易に算出可能である(ナノワイヤ間隔/間隔の数の合計)。その後この平均値(σ)の標準偏差を、次のように算出する。
【0112】
【数15】

【0113】
ここで、xは個々の各相互ナノワイヤ間隔を示し、xバーは、相互ナノワイヤ間隔の平均値であり、Nは全ての相互ナノワイヤ間隔の数を示すものである。
【0114】
電極間に配置された金属要素を含む本発明の方法を利用することによって、隣接し合うナノワイヤ間のナノワイヤ間隔を、これら間隔の差が、平均値から標準偏差の約50%未満であるように、例えば、平均値から標準偏差の約40%未満、約30%未満、約20%未満、または、約10%未満であるよう制御することが可能である。
【0115】
本発明はまた、少なくとも1つの第1の電極対と、該第1の電極対の間で結合された少なくとも4本のナノワイヤとを含む基板を提供する。ここで、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約50%未満である。好適な実施形態では、基板は、上記第1の電極対の電極間に配置された3つまたはそれ以上の金属要素をさらに含む。例えば図13を参照されたい。好適な実施形態では、基板は、第1の電極対の間で結合された少なくとも4本のナノワイヤを含み、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔は、標準偏差の約50%未満だけ平均値から異なっており、例えば、標準偏差の約40%未満、約30%未満、約20%未満、または、約10%未満だけ平均値から異なっている。
【0116】
さらなる一実施形態では、1つの電極対の一方の電極は、同一平面上に2つまたはそれ以上の電極を含み(つまり分割電極構成)、これら各電極は、独立したAC電場の供給源に接続されている。これらの実施形態では、分割電極構成の両電極と上記電極対の別の電極との間にAC電場が生成される。このAC電場は、分割電極構成の一方の電極では、AC電場が調節されてナノワイヤの関連付けおよび結合が提供されるが、他方の電極は調節されない電場である。このような構成では、分割電極構成の調節された電極と、上記電極対の他方の電極との間で、所望の長さのほぼ直線状のナノワイヤが関連付けおよび結合されるが、調節されていない電極は、はぐれた、望ましくないナノワイヤを引き付けて、これらを配列プロセスから除去する。このようにして、ほぼ平行且つ均一なナノワイヤの堆積を実現することが可能である。
【0117】
ナノワイヤを電極上に結合させた後、結合されていないナノワイヤを電極対から除去して、完全に配列されていない、完全に結合されていない、重なり合った、交差した、あるいはそうでなければ、理想的な状態で電極対に結合されていないナノワイヤを実質的に排除することが可能である。結合段階の後で除去されるナノワイヤを、ここでは「結合されていないナノワイヤ」と呼ぶ。任意の好適な、結合されていないナノワイヤを除去する方法を用いることが可能である。例えば、ピンセット(例えば光ピンセット。例えば、US特許第6,941,033号、第6,897,950号、および、第6,846,084号を参照されたい。これら各特許文献の開示の全体を、本願に引用して援用する)または類似の器具を用いて、または、結合されていないナノワイヤを振り落とすか、または、物理的に取り除くことによって、結合されていないナノワイヤを除去することが可能である。好適には、ナノワイヤを洗い流すことによって、結合されていないナノワイヤを除去する。
【0118】
ここで用いるように、「洗い流す」という用語は、液体(気相または液相)をナノワイヤの上または周りに流して、該ナノワイヤを電極対から徐去するプロセスを含む。洗い流す工程は、電極対を並進または移動させて、ナノワイヤの上に液体の流れを生成する工程を含む。好適な実施形態では、ナノワイヤの上に液体を流して、結合されていないナノワイヤを洗い流す。液体をナノワイヤの上に流す工程は、単に液体をナノワイヤに載せることと、液体を、結合されていないナノワイヤが洗い流されるような速度でナノワイヤの上で動かすこととを含む。結合されていないナノワイヤを洗い流す流速は、従来技術において公知の任意の方法を用いて生成することが可能である。この従来技術において公知の方法には、重力、ノズルまたはスプレー装置、吸引器等が含まれるが、これらに限定されることはない。図8cに示すように、流体の流れの方向は、ナノワイヤに対して平行、従って電極対に対して垂直であることであることが好ましいが、どの方向の流体の流れを用いてもよい。図8cに示すように、完全に電極には結合されていない非結合のナノワイヤ(208)は、この流体の流れにおいて洗い流される。図2の矢印は、装置200を利用する場合の、流体の流れの典型的な方向を示すものである。実際には、全てでなくても大部分の結合されていないナノワイヤを除去するように意図するものの、結合されていないナノワイヤを除去しても、依然、結合されていないナノワイヤが電極対に接触した状態で残ることに留意されたい。当業者には、残りの結合されていないナノワイヤが、結合されたナノワイヤのさらなる使用を妨げることはないことは明らかであろう。例えば、IPA、水、または、他の水性溶媒等といった溶媒のような任意の好適な液体を用いて、結合されていないナノワイヤを洗い流すことが可能である。好適には、この溶媒は、ナノワイヤが本来含有している溶媒と同一の溶媒であるが、懸濁液中に存在する追加的なナノワイヤを含んではいない。ナノワイヤを洗い流すことは、ナノワイヤに対する任意の方向(つまり、平行、垂直、または、他の方向)においても実行可能である。ナノワイヤが電極上に結合されてその場所で固定されると、流れがナノワイヤ配列の平面に対して垂直であっても、流体の流れの状態がこの結合を妨げることはない。
【0119】
電極対から結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去する工程に加え、結合段階の後に、ナノワイヤは適切に乾燥される。一般的には、この乾燥工程は、結合されていないナノワイヤを除去した後に行われるが、乾燥工程の前に、結合されていないナノワイヤを除去する必要はない。ナノワイヤを乾燥させる工程は、従来技術においてよく知られている任意の好適なプロセスによって、例えば、蒸発を可能にする空気乾燥(空気を停滞させたまま、または、移動させて)、炉または他の好適な装置を用いて加熱すること、または、他の機構によって行うことが可能である。図8dは、乾燥プロセスの後の結合されたナノワイヤを示す一顕微鏡写真である。
【0120】
図14aは、本発明の一実施形態に係る、ナノワイヤの配列および堆積方法を示すフローチャート1400である。フローチャート1400のステップ1402では、最初に、通路、例えば図2に示した流路206を、好適な溶媒、例えばIPAで充填する。この最初の通路充填は、必須でないことに留意されたい。その後ステップ1404において、通路を、ナノワイヤ懸濁液、例えばナノワイヤインクで充填する。明細書全体を通して記載するように、必ずしも通路を用いる必要はなく、単に、ナノワイヤ懸濁液を電極対の上に直接設置してもよい。その後ステップ1406において、好適には明細書全体を通して説明する関連付け段階に記載したように、ナノワイヤを電極に関連付ける、または、ピン止めする。好適な実施形態では、その後電場を調節して、ナノワイヤ1408を配列させる。明細書全体を通して記載するように、好適には、配列調節段階は、周波数を約10kHzと約100kHzとの間に増大させて、交差しているまたは最適に並んでいないナノワイヤを移動させると共に電極上に配列させることを可能にする工程を含む。明細書全体を通して説明するように、配列調節段階であるステップ1408は必須でなく、本発明の方法から省いてもよい。
【0121】
配列調節(または、配列調節を用いないならば関連付け)の後、ステップ1410において、ナノワイヤを電極対に結合または固定させる。これは、明細書全体を通して記載するように電場を調節することによって行う。好適には、周波数および振幅の両方を、関連付け段階から増大させることによって電場を調節する。しかしながら、調節配列段階を用いる実施形態では、好適には、電場の振幅だけを増大(周波数も増大させてもよいが)させる(または、必要ならば低減させる)。
【0122】
その後ステップ1412において、ここに記載の任意の方法、そうでなければ従来技術においてよく知られた任意の方法を用いて、結合されていないナノワイヤを電極対から除去または解き放す。好適には、ナノワイヤの上に液体(例えばIPA)を流すことによって、ナノワイヤを電極対から解き放すかまたは除去する。
【0123】
結合されていないナノワイヤを電極対から除去した後、ステップ1414において、決定解析を行う。決定解析とは、本発明の配列および堆積方法(つまりステップ1402〜1412)によって十分な数または十分な密度のナノワイヤが実現されたかどうかを決定することである。この決定解析は、電極対を任意の方法、例えば、目視検査(顕微鏡または好適な装置)で検査することによって、または、電気信号または他の信号を用いて、電極対におけるナノワイヤの本数および/または密度を監視することによって行うことが可能である。「十分な本数のナノワイヤ」とは、予め設定された、あるいは所定の本数のナノワイヤ、堆積の時点で確認される多数のナノワイヤ、または、ワイヤの電気特性または他の特性によって左右される多数のナノワイヤであり得る。例えば、明細書全体を通して説明するように、電極対上に結合されたナノワイヤのインピーダンス、静電容量、抵抗、または、他の特性を測定することによって、「十分な本数のナノワイヤ」を決定することができる。
【0124】
十分な本数のナノワイヤが電極対上に結合されたと決定されたならば、決定解析ステップ1414は、ステップ1416において「イエス」と返答し、その後、好適には最後のナノワイヤ洗い流しステップ1420が開始される。ナノワイヤ洗い流しステップ1420は必須でないことに留意されたい。このナノワイヤを洗い流した後(またはステップ1416における「イエス」決定の後)、ステップ1422においてナノワイヤを乾燥させる。
【0125】
十分な本数のナノワイヤが電極対上に結合されていないと決定されたならば、決定解析ステップ1414は、ステップ1418において「ノー」と返答する。「ノー」という返答は、少なくとも1つの電極対の上には十分な本数のナノワイヤが堆積されていないということを意味している。従って、ナノワイヤをさらに結合させるために、ステップ1406からステップ1412までを繰り返す。例えば、ステップ1404と同様に、ナノワイヤ懸濁液を導入することによって、さらなるナノワイヤを供給してもよいことに留意されたい。さらなるナノワイヤの全てを配列および堆積させた後、第2の決定解析ステップ1414を行う。この決定解析の後には、十分な本数のナノワイヤが堆積されているなら(返答「イエス」)、ステップ1416、1420、および、1422を行うか、または、十分な本数のナノワイヤが堆積されていないならば(返答「ノー」)、ステップ1406〜1412を繰り返す。この種のフィードバックループを、十分な本数または所望の本数のナノワイヤが電極対上に結合されるまで必要なだけ(例えば、2、3、4、5、10、15、20、50、100回等)繰り返してもよい。
【0126】
図14bおよび14cは、本発明の実施形態に係る、典型的なナノワイヤ配列および堆積シーケンスを示す図である。全てのプロットでは、x軸は、例えば、図14aに示したステップ1402〜1422に相当する、典型的な一配列および堆積プロセスにおける一連のステップを示す。ステップ間の間隔が、連続するステップ間の時間を示しているわけではないことに留意されたい。これは、次々にすぐ行われるステップもあるが、長い時間によって分断されているステップもあるからである。図14bでは、上部のプロットが、各プロセスステップにおける、AC電場の電圧および周波数を示している。図14bに示すように、好適には、溶媒および/またはナノワイヤ懸濁液が(例えば図2に示した流路206内の)電極対に加えられる通路充填ステップ(1402および1404、堆積ステップ0および1)中は、電場がオフ状態である(つまり、振幅および周波数は0であるか、または、極めて低い)。
【0127】
ステップ1406と図14bの堆積ステップ2とによって示される関連付け段階が開始されるとすぐに、AC電場の振幅および周波数がオン状態になり/増大して、ナノワイヤの関連付けおよび配列が始まる。関連付け段階中の使用に適した好適な振幅および周波数をここに記載する。例えば、図14bの上部のグラフに示すように、好適には、電場の振幅(電圧V)は、約0.5Vから約2V、例えば約1Vである。図14bの上部のグラフに示す電場の周波数は、好適には、約100Hzから約1kHz、例えば約500Hzである。
【0128】
堆積シーケンスが、ステップ3、つまり図14aのステップ1408に示される調節配列段階に移行すると、AC電場の周波数は調節され、例えば増大する。明細書全体を通して説明するように、好適には、調節配列段階の間は、電場の周波数だけを増大させる(振幅も同様に増大させてもよいが)。好適には、電場の周波数は、約10kHzと約100kHzとの間(例えば、図14bに示すように10kHz)に増大される。一方、振幅は、関連付け段階のレベル、例えば約0.5Vと2Vとの間、好適には約1Vに維持される。
【0129】
堆積ステップ4、つまり(図14aにステップ1410として示す)結合または固定段階に移行すると、AC電場の振幅が調節されて、ナノワイヤは電極上に結合される。明細書全体を通して説明すると共に図14bに示すように、好適には、AC電場の振幅は増大されるが、周波数は以前のレベルに維持される(周波数を増大させることも可能であるが)。好適には、AC電場の振幅を約2Vと約10Vとの間、例えば約4Vに増大させて、ナノワイヤの結合段階を開始する。
【0130】
ナノワイヤの結合後、AC電場を好適に停止させる。例えば、上記電場の周波数および振幅を0、または、実質的に低い値まで低減させる。これによって、結合されていないナノワイヤの除去が可能となる(ステップ1412)。配列および堆積プロセスを繰り返す必要があるかどうかを決定する前に、十分な本数のナノワイヤが堆積されているかどうかの決定を行うことが可能である(ステップ1414)。もし十分な本数のナノワイヤが堆積されていると決定されるならば、ナノワイヤを乾燥させることが可能である。
【0131】
図14bの下部のプロットは、溶媒(例えばIPA)およびナノワイヤ懸濁液(NWインク)の流れを、堆積プロセス中の任意単位で示す図である。x軸に沿った堆積ステップは、図14bの上部のグラフを参照して既に説明したステップと同一のステップである。最初、つまり通路充填ステップ0、ステップ1402の間は、ナノワイヤ懸濁液は導入されず、溶媒だけが、後のステップより速い速度/多くの容積で電極の上に流される。ステップ1においてナノワイヤ懸濁液を導入するとすぐに、ナノワイヤ懸濁液の流れが増大して溶媒の流れは減少し、ステップ2におけるナノワイヤの関連付けが可能になるが、ナノワイヤの配列を助長する流体の流れは維持される。ステップ2の後、ナノワイヤ懸濁液を停止して、ステップ2〜4の関連付け工程(ステップ1406)、調節配列工程(ステップ1408)、および、結合工程(ステップ1410)の間は、溶媒の流れだけをそのまま維持する。結合ステップ5(ステップ1410)が終了した後、溶媒の流れを増大させ、ステップ6(ステップ1412)における結合されていないナノワイヤの除去を促進させる。この増大された流れは、決定解析プロセス(ステップ1414)の間維持され、全てのナノワイヤの配列および堆積工程が終了するとすぐに、ステップ7(ステップ1420)においてさらに増大されて、最終的に、ステップ8(ステップ1422)における乾燥工程の前に電極を洗い流す。
【0132】
図14cは、本発明の一実施形態に係る、さらなる一ナノワイヤ堆積プロセスのシーケンスを示す図である。振幅および周波数調節のシーケンス(上部のグラフ)は、図14bのシーケンスと同一である。しかしながら、溶媒およびナノワイヤ懸濁液の流れは、図14bに示した流れの1つの典型的な代替例を示すものである。図14cの下部のグラフでは、ナノワイヤ懸濁液の流れのシーケンスは、図14bと同一である。しかしながら、溶媒の流れは、ステップ2〜6では、図14cよりも約2因子(流れは任意単位で示されている)だけ増大している。図14cは、単に、溶媒の流れを増大させる本発明のさらなる一実施形態を示すものであることに留意されたい。流れの増大は、およそ2倍でなければならないと解釈されるものではない(それ以上またはそれ未満の流れを用いてもよいが)。
【0133】
さらなる一実施形態では、本発明は、1つまたは複数の電極を提供し、該電極は、ここに記載する方法に従って配置された1つまたは複数のナノワイヤを含む。好適には、上記電極は、複数の電極対を含み、各電極対は、電極に結合またはピン止めされた複数のナノワイヤ(例えば、2個よりも多い、5個よりも多い、10個よりも多い20個よりも多い、50個よりも多い、または、100個よりも多いナノワイヤ等)を含む。明細書全体を通して説明するように、本発明の方法は、ナノワイヤを電極対上に配列および堆積させ、堆積されたほぼ全てのナノワイヤが互いにほぼ平行、且つ、比較的均一に離間されていることを可能にする。本方法は、デバイスにおけるナノワイヤの使用に有用であると共に、ナノワイヤをさらなる基板コンタクトまたはデバイスコンタクトに移動させることを助長させるものである。
【0134】
本発明のさらなる一実施形態では、電極上に結合されたナノワイヤを、基板上に転写することが可能である。好適には、この転写の前に、ナノワイヤを乾燥させる(乾燥されていないナノワイヤを転写してもよいが)。ここで用いるように、「転写」という用語は、ナノワイヤを、転写基板上の電極から受け入れ基板に動かすかまたは再配置することを意味している。本発明の転写方法において用いられ得る受け入れ基板は、任意の好適な材料、例えば、半導体、誘電体等を含む。好適には、転写方法において用いられる受け入れ基板は、1つまたは複数のデバイス電極または他の好適なコンタクト(例えば、ドレイン電極、ゲート電極、または、ソース電極)を含み、その上にナノワイヤが転写される。例えば、図15に示すように、転写基板1508上の電極対(204、205)に既に結合されているナノワイヤ208を、受け入れ基板1502に転写することが可能である。受け入れ基板1502は、その表面にパターン加工されたまたは配置された、さらなるコンタクトまたは電極(1504、1506)を含んでいる。単一のナノワイヤを1つずつ転写してもよいし(例えば図15の破線参照)、または、複数のナノワイヤを電極から基板/コンタクトまで移動させてもよい。
【0135】
好適な実施形態では、本発明の転写方法は、1つまたは複数のコンタクトまたは電極を含む転写基板上に、ナノワイヤを「印刷する」方法を提供する。例えば、1つまたは複数の電極対(204、205)を備える転写基板1508を、一種の「プリント」ヘッドとして実際に用いることが可能であり、この電極対には、1つまたは複数のナノワイヤ208が含まれている。つまり、(例えば明細書全体を通して説明する方法およびプロセスを用いて)転写基板上の電極上に結合された1つまたは複数のナノワイヤを、ナノワイヤが電極対からコンタクトまで移動ことが可能なように転写基板を配置すること(または受け入れ基板を配置することも可能である)だけによって、受け入れ基板1502上の好適な1つのコンタクト(1504、1506)に移動させることが可能である。例えば、転写基板を、1つのコンタクトを備える受け入れ基板の上方に配置して、その後、ワイヤが電極から該コンタクトに移動するように、該コンタクトに相関する位置にナノワイヤを持ってくる。このプロセスを好きなだけ繰り返して、ナノワイヤが受け入れ基板上の異なる様々な位置に移動することが可能なように、転写基板を、受け入れ基板上のコンタクトに対して配配置することが可能である。単一のナノワイヤまたは複数のナノワイヤを電極からコンタクトまで移動させることが可能である。このようにして、本発明の転写方法は、ナノワイヤを電極からコンタクトまで正確に移動させる一種の印刷工程を提供する。
【0136】
本発明はまた、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に配置する方法を提供する。 好適には、上記方法は、1つまたは複数のナノワイヤを懸濁液 (例えば、ナノワイヤインク)に入れ、電極対に電圧を与えることを含み、これにより、ナノワイヤは電極対と関連付けられる(すなわち関連付け段階)。典型的な実施形態では、電極対に電圧を与えることは、転写基板上の電極対の間に交流(AC)電場を発生させることを含む。本発明の転写方法における関連付け段階での使用に特徴的で好適なAC電場について、明細書全体をとおして説明する。電極対への電圧供給を調節し、これによりナノワイヤは電極対と結合する (すなわち、結合段階)。例えば、電極対の間におけるAC電場は調節される。本発明の転写方法における結合段階で使用される好適なAC電場調節について、明細書全体を通して説明する。結合されていないナノワイヤは、電極から除去され、結合されたナノワイヤは基板上に転写され、好適には、受入れ基板上の接触部や電極に転写される。本発明はまた、本発明の方法により配置される1つまたは複数のナノワイヤを含む基板を提供する。明細書を通して説明するように、本発明の方法によれば、ほぼ全てのナノワイヤが互いに平行になるようなナノワイヤの配列および堆積が可能である。これにより、最終的な基板および/またはデバイス接触部へのナノワイヤの転写がより容易に行える。
【0137】
さらなる実施形態において、 電極および結合されたナノワイヤを含む基板はデバイス基板として使用される。例えば、電極そのものは、最終的なデバイス構成において最終的に使用される接触部となり得る。他の実施形態では、 既知の技術において知られる好適なエッチャント(例えば、一般に市販されている弱アルカリ性フェリシアン化物系エッチング製剤)を用いて、上記電極をエッチングにより除去し、配列配向されたナノワイヤを残す。このエッチング処理は、ナノワイヤの転写の前、あるいはナノワイヤを転写基板/接触部へ転写させた後に行い、ナノワイヤのみ残し、電極材料はほとんどか、あるいは全く残らないようにする。
【0138】
さらなる実施形態において、本発明は、電極対に配置されるナノワイヤの本数を制御する方法を提供する。好適な実施形態において、上記方法は、本発明の様々な方法に係る1つまたは複数のナノワイヤを配置することを含む。信号が電極対に印加され、該信号は監視される。電極対におけるナノワイヤの配置は、該信号がプリセット値に達した時に停止される。電極対において電気信号を監視することによって、ナノワイヤの本数が制御することができる。従って、一旦所定の信号を得ると、本発明の堆積プロセスを停止することができる。
【0139】
図16aおよび16bは、本発明の好適な実施形態に係る、ナノワイヤの堆積を監視する装置を表す概略図である。図16aに示す装置1600は、本発明の配列および堆積プロセス/方法に関与した、および/または関与している1つまたは複数の電極対を表す被測定物(DUT)1602を備える。好適には、DUT1602は、本発明の方法を用いて別々に監視することの出来る複数の電極対を備える。
【0140】
装置1600はさらに、DUT1602に電子信号を供給する信号発生器1604を備える。好適には、信号発生器1604は波形発生器であり、明細書を通して説明する、関連付け、調節配列、結合段階において使用されるAC電場用のものと同じ供給源である。例えば、電極対の一つの電極(あるいは複数の電極対のうちのいくつかの電極)に波形を印加することにより、信号発生器1604の発生する信号は、まず、DUT1602に印加される。一つの電極対(あるいは複数の電極対)の対向電極(すなわち、信号発生器 1604に接続されていない電極)は、負荷抵抗(R)1606と直列に接続される。DUTを伝播する信号は、負荷抵抗1606を通過し、信号発生器へ戻る。負荷抵抗1606を通過する信号は、信号を監視するデバイス(例えばオシロスコープ)を有するロックイン分析器1608により監視され、DUTを通過した信号の特徴を判断する。例えば、信号の周波数、振幅、位相シフト等が、例えばオシロスコープを使用することにより監視される。ロックイン分析器1608は好適に、負荷抵抗1606における信号と、信号発生器1604から供給される基準信号を比較する。本発明の装置は、所定の信号がロックイン分析器1608により観察/測定されると、ナノワイヤの成長を停止する機構を有する。該機構は、人の介入により監視することができ、また、電子的あるいは自動的にコンピュータを介して監視することもできるように設定されていて、所定の数値に達した時に堆積を停止する。本発明の実施形態は、所定の信号を用いて配列され堆積されたナノワイヤの本数を制御する方法を提供するが、これらの実施形態は、明細書を通して、「アクティブな」監視および制御として説明する。
【0141】
本発明の好適な実施形態では、DUT(すなわち負荷抵抗1606)において監視される信号は、さらなるナノワイヤが電極対(DUT)上に配列および堆積されるときに変化する信号の一種である。本発明の方法、システム、および装置を用いて監視することのできる好適な信号の種類としては限定されないが、当業者には明らかなように、インピーダンス、電圧、 静電容量、電流、基本的且つ複合的な波形等が挙げられる。
【0142】
さらなる実施形態では、負荷抵抗Rにわたって測定される信号は、アナログ-デジタル変換器に送られ、デジタル信号はコンピュータやデジタルプロセッサ等で増幅される。この信号は、所望の本数のナノワイヤが堆積しているかを判定するのに、上記のように監視される。
【0143】
例えば, 電極対にナノワイヤが堆積/結合されると、電極における信号のインピーダンスは、ナノワイヤが電極に結合されればされるほど変化する。 当業者にとって、ナノワイヤが堆積し、2つの電極が接続されるとき、電極対におけるインピーダンスが変化することは容易に理解できる。それゆえ、インピーダンスの実数部と虚数部を監視することができ、一方の、あるいは他方の(あるいはその両方)(すなわちインピーダンスの実数部か虚数部)の変化により、さらなるナノワイヤが電極対に結合されたことが分かる。より具体的には、例えば, ロックイン分析器1608によって監視される信号は、DUTにおけるインピーダンスの虚数部である。従って、負荷抵抗1606(およびDUT1602)におけるインピーダンスを監視することにより、電極対に堆積するナノワイヤの本数を決定したり制御したりする方法が可能となる。
【0144】
DUTにおける信号を監視する時、あらかじめ設定された、あるいは所定の値(例えば閾値)に達すると、装置1600が所望の本数のナノワイヤが電極に結合された旨の信号あるいはその他のフィードバックを与えるよう、当該閾値が選択できる。例えば、充分な本数のナノワイヤが堆積したときにDUTにおけるインピーダンス値(例えば、インピーダンスの虚部分虚数部)が所定の値に到達、所定の値を超過、あるいは所定の値に近接するように、所定のインピーダンス値を設定することができる。この時、所定の値に到達したら、ロックイン分析器は、当該値を得たことを示す何らかのフィードバックや信号を与える。本発明によれば、一旦所定の値に到達したら、ナノワイヤ堆積プロセスを適宜停止する。ナノワイヤ堆積プロセスの停止は、任意の好適な方法、例えば、電極間の電場を下げて、電極対上のナノワイヤの配置を停止することによって(本発明の方法がナノワイヤの配列および堆積に用いられる実施形態において)行われる。ナノワイヤ堆積を停止する他の好適な方法は、ナノワイヤの供給源 (例えば、ナノワイヤ懸濁液)を除去し、該供給源より電極を除去する(例えば、懸濁液より基板を引き上げる)ことを含む、あるいは用いられている堆積方法に依存する他の好適な方法により、ナノワイヤ堆積を停止する。
【0145】
図16bは、本発明に係るさらなる装置1620を示す。図16bに示す装置1600同様、装置1620も、被測定物(DUT602)(例えば、1つまたは複数の電極あるいは電極対)、信号発生器1604、負荷抵抗1606、およびロックイン増幅器1608を備える。装置1620はさらに、抵抗R1622およびR1626を備える。適切な方向にスイッチ1624を配置することによって、抵抗RはDUT1602と並列に、抵抗Rと直列になるよう好適に配置される。信号は、電極対(DUT1602で示される)のどちらの電極にも送られるように、信号発生器1604によって生成される。
【0146】
図16a同様、負荷抵抗Rにおいて監視される信号は、所望の、あるいは必要な本数のナノワイヤが電極に堆積した時を判定するのに用いられる。 抵抗Rを監視ループに含めることも可能であり、バイパスすることも可能である。例えば, 抵抗Rがループから除去される位置へスイッチ1624を移動させることにより抵抗Rをバイパスすることもできる。図16a同様、ナノワイヤは電極対に堆積/結合され、電極上により多くのナノワイヤが結合されればされるほど、信号のインピーダンス (あるいは信号の他の特徴)が変化する。それゆえ、インピーダンスの実数部と虚数部とを監視することができるので、一方あるいは他方(あるいはそのいずれも)(すなわち、インピーダンスの実数部および虚数部)における変化は、さらなるナノワイヤが電極対に結合したことを示す。好適には、ロックイン分析器1608により監視される信号は、DUTにおけるインピーダンスの虚数部である。従って、負荷抵抗606における(つまりDUT1602における)インピーダンスを監視することにより、電極対に堆積するナノワイヤの本数を判定したり制御したりする方法が可能となる。
【0147】
図16aおよび図16bに示される装置は、明細書を通して、装置の「アクティブな」監視システムと称する。ナノワイヤの堆積を停止あるいは中断するための何らかの反応を行った後、増幅器がロックし、システムが監視を必要とする。これにより、上記システムはアクティブな監視システムとなる。
【0148】
さらなる実施形態において、本発明はまた、「パッシブな」監視システムおよび装置を提供する。パッシブなシステムにおいて、電極における信号をアクティブに監視するために(および/または充分な本数のナノワイヤが堆積したときにアクティブに反応するために)ロックイン増幅器を用いるというよりはむしろ、抵抗がDUTと、例えば図16bに示すRに示すように、並列に位置するように装置が設計されている。ナノワイヤが電極対に結合する時、DUTにおける抵抗は低下し、Rの閾値抵抗値を下回る。DUTにおける電場 (例えば、電極対の間の電場) は、さらなるナノワイヤの関連付けおよび/または結合をするのには不十分である。それゆえ、電極対の間の抵抗と、結合されたナノワイヤの本数を単に関連させることにより、閾値抵抗値を決めることができる。そこで、閾値抵抗値Rを適切に選択することにより、所定本数のナノワイヤが電極に結合され、抵抗値が閾値抵抗値Rを下回り、電場堆積が続かないようにパッシブ監視システムを設定することができる。これにより、パッシブ監視システムが提供される。
【0149】
電極対において堆積するナノワイヤの本数を決める他、本発明の監視方法は、所望するナノワイヤに対して所望しないナノワイヤが堆積したかどうか、および/または(所望する、あるいは所望しない)ナノワイヤが所望の状態で、あるいは所望しない状態で堆積したかどうかを判定するのにも用いることが可能である。
【0150】
例えば、所望のナノワイヤが電極上で配列されたときを電気的に判定するため、各電極対を監視することが出来る。明細書を通して説明するように、ナノワイヤの堆積は、核-殻-殻の構造であることが多い。しかしながら、これらのワイヤのいくつかは、不完全な、あるいは傷ついた外殻を有している場合もあり、あるいは他の構造的欠陥を有している場合もあり、従って「所望でない」とみなされることもある。電極の電気的物性(例えば、電流やインピーダンス)の変化を観察することによって、所望のナノワイヤが堆積する場合と異なり、所望しないナノワイヤが堆積したのかを判定するのに、本発明の方法を用いることができる。
【0151】
さらに、明細書を通して説明するように、ナノワイヤは所望したように直線状であったり単一のワイヤであるよりはむしろ、塊状や、破砕状、分枝状であったり交差状で電極上に堆積することが多い。電気信号(例えば、インピーダンス、電流等)で電極対を監視することによって、所望の状態あるいは所望しない状態でナノワイヤが電極対に堆積したかどうかを判定することができる。
【0152】
所望しないナノワイヤが堆積したと判断される場合、あるいは所望しない状態でナノワイヤが堆積したと判断される場合、所望しないナノワイヤが、例えばフラッシングや重力、その他の除去技術により除去することができるように、他の電極には電圧を与えたまま、電極対に対する電圧はそれぞれオフ状態にすることができる(あるいは電圧を下げるか調節することが出来る)。所望しないナノワイヤが除去された後、電極に再度電圧を与え、堆積を継続する。所望のナノワイヤが堆積したと判断されると、上記のように電極対に対する電圧を調節することができ、電極対上に所望のナノワイヤを固定する。これにより、本発明は、各電極対の監視と制御により所望のナノワイヤを配列し、堆積する方法を提供する。
【0153】
さらに他の実施形態において、本発明は、1つまたは複数の電極対を備える基板において、所定の本数のナノワイヤが電極対に配置され、本発明の方法に基づいてナノワイヤの本数を制御する基板を提供する。ここで説明するように、本発明の方法、装置、およびシステムにより、所定本数のナノワイヤが電極に結合し、堆積が停止し、それ以上ナノワイヤが堆積しないように、ナノワイヤの堆積を制御することが可能となる。各電極対を監視し制御することにより、所定本数のナノワイヤを有する複数の電極対を形成することができる。
【0154】
好適な実施形態において、電極対上に所定本数のナノワイヤが結合する時、堆積が停止し(好適には、特定の電極についてのみ堆積が停止し)、他の電極対では堆積が継続するように、基板上の複数の電極対をそれぞれ個々に(複数の電極を同時に監視することもできるが)監視する。本発明の方法の目指すところは、それぞれの電極対がほぼ同じ本数のナノワイヤを有するということである。それゆえ、本発明は、少なくとも2個の電極対、好適には少なくとも4個の電極対 (例えば、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個など)を備え、それぞれの電極対に配置される少なくとも2本のナノワイヤ、好適には少なくとも4本のナノワイヤ(例えば、少なくとも5本、少なくとも10本、少なくとも20本、少なくとも50本、少なくとも100本など)を備えた基板であって、それぞれの電極対はほぼ同じ本数のナノワイヤを有する基板を提供する。ここで用いるように、「ほぼ同じ本数のナノワイヤ」とは、1つの電極対に配置されたナノワイヤの数が、他の電極対に配置されたナノワイヤ(同じ堆積プロセスおよび制御を受けたもの)の本数よりも約70%未満の差があることを意味する。好適には、ナノワイヤの本数の差が、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満となるように、各電極はほぼ同じ本数のナノワイヤを有する。
【0155】
さらに他の実施形態において、本発明は、基板上にナノワイヤを配列および/または配置するシステムであって、複数の ナノワイヤを含む懸濁液 (例えばナノワイヤインク)と、1つまたは複数の電極対を有する基板と、電極対の間に交流(AC)電場を発生し、該交流(AC)電場を調節する信号発生器とを備えるシステムを提供する。好適な、基板と電極に用いる材料を、明細書を通して説明する。電極対の間にAC電場を発生させる供給源の例としては、以下に限られるものではないが、電極対に直接電気的接続を行うものや、導波路等の装置、およびその他同等のAC電場供給源が挙げられる。
【0156】
さらなる実施形態において、本発明のシステムは、少なくとも一つの電極対において、複数のナノワイヤを含む懸濁液を流す手段をさらに備える。懸濁液を流す手段としては、以下に限定されるものではないが、ナノワイヤ懸濁液の流量を制御する流れ制御システム(例えば、ポンプなどの装置)、電極対に対して懸濁液を注ぎかけるのに用いることのできる貯水槽や貯蔵容器などといった単純な装置、その他同様且つ同等の装置が挙げられる。好適には、懸濁液を流す手段は、基板の下側に結合するように調節された取り付け具である。例えば、懸濁液を流す手段は、システムあるいは装置全体が、堆積毎に再使用できるように、基板の下側に永久的に、あるいは脱着可能なように取り付けられる。そのような実施形態において、本発明の装置あるいはシステムは、電極対上にナノワイヤを配列および堆積するのに用いることができ、そしてナノワイヤは、電極から転写したり除去することができ、装置はその後の堆積プロセスにて再び使用することができる。これにより、本発明の装置およびシステムは、消耗してしまうまで、あるいは効果を発揮しなくなるまで、一般的に電極やその他の部品の交換を必要とせずに、繰り返し使用することが可能である。
【0157】
さらなる実施形態において、本発明のシステムは、マイクロスコープ、赤外線あるいはレーザー検知器など、ナノワイヤを可視化する光学的画像システムをさらに備えている。本発明のシステムはまた、基板上で浮遊状態にあるナノワイヤを動かす、1つまたは複数の電場電極をさらに有することができる。上記のように、好適な実施形態において、本発明のシステムは、1つまたは複数の電極対における信号を判定する信号監視デバイス(例えば、オシロスコープ)および該信号がプリセット値に達したときにAC電場を停止する手段をさらに備える。信号がプリセット値に達したときにAC電場を停止する手段は、以下に限定されるものではないが、電極対の間の電場を下げることにより、(ナノワイヤを配列および堆積するのに本発明の方法が用いられる実施形態において)電極対上のナノワイヤの配置を停止し、ナノワイヤの供給源(例えば、ナノワイヤ懸濁液)を除去し、供給源から電極を除去したりする(例えば、懸濁液から基板を引き上げる)、あるいは用いられる堆積方法に依存する他の好適且つ同等の方法によってなされる。
【0158】
さらなる実施形態において、本発明は、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に堆積する方法を含む。1つまたは複数のナノワイヤはまず、基板上に配置され、そしてナノワイヤが基板上にて堆積するようにナノワイヤを加熱する。任意の好適なプロセスを用いて、例えば、電場配列、ラングミュアフィルム配列、あるいは流れ配列を用いて、ナノワイヤを基板上に配置することができる。典型的な実施形態では、ここで述べたように様々な電場配列方法を用いてナノワイヤを基板上に配置するが、ナノワイヤはまず、電極の対に対応させ、そしてここで述べるように電場を調節して好適に電極対に結合させる。例えば、図17Aでは、一対の電極(204、205)に結合されたナノワイヤ208は、基板202(例えば、ガラス基板)上に配置される。
【0159】
ナノワイヤの配置(例えば、電極対への結合)に続いて、ナノワイヤ208は基板202上に堆積するように加熱される。ここで用いるように、「加熱される」あるいは「加熱する」とは、ナノワイヤ(および基板)の温度を上昇させる様々な方法を含み、以下に限定されるものではないが、炉やアニーリングチェンバーにおける加熱、基板そのものの加熱、例えば、オーム加熱や導電性加熱によるもの、あるいは他の好適な方法を含む。
【0160】
一般的に、ナノワイヤは約100℃以上、例えば、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、約200℃、約210℃、約220℃、約230℃、約240℃、約250℃、あるいはそれ以上の温度で加熱される。ここで用いるように、「堆積温度」とは、基板202上に堆積させるためにナノワイヤ208を加熱する温度をいう。ナノワイヤの温度は、結合直後の温度(例えば、室温(約22〜25℃)以上)からナノワイヤが基板上に堆積する温度(例えば、約100℃以上)まで、様々な加熱速度で上昇することができる。例えば、2〜3分から数時間までの時間で温度上昇をさせることができる。例えば、約5分から約30分の時間で、結合直後の温度から堆積温度まで上昇させることができる。
【0161】
一旦、堆積温度に到達すると、ナノワイヤは、2〜3分から数時間までの間、好適にこの温度で維持される。例えば、ナノワイヤは、約5分から約2時間、あるいは約5分から約1時間の間、約5分から約30分の間、約10分から約30分の間、あるいは20分の間、堆積温度に維持することができる。この加熱時間の間、ナノワイヤは、反応性および非反応性の(すなわち非活性の)フォーミングガスを含む、1つまたは複数の気体、例えば、H、N、He、Ne、Ar、Kr、Xe、あるいはRnと好適に接触する。典型的な実施形態では、ナノワイヤは、Hの存在下で、例えばHとNの混合物の存在下で加熱される。理論上だけではなく、加熱中のナノワイヤへのHの付加は、おそらくナノワイヤと基板との間の水素結合により、ナノワイヤ208と基板202との結合/関連付けを強化するようである。本発明はまた、ナノワイヤと基板の間の関連付け/結合を可能にするフォーミングガスを含む、好適にはHといった付加気体の使用も包含する。さらなる実施形態において、ナノワイヤと基板の間の共有結合が、化学反応直後のHO分子の放出により形成されてもよい。
【0162】
ナノワイヤが上昇した温度に維持された後、例えば熱源を除去したり、ナノワイヤが冷却されるまでHガス(例えば、H/Nガス)をさらに供給することにより、該ナノワイヤは室温まで冷却される。
【0163】
典型的な実施形態では、ナノワイヤを堆積温度まで加熱する前に、ナノワイヤに気体を供給し、その後、気体を取り除くという、1つまたは複数の周期にナノワイヤを好適にさらす。例えば,Nガスを、好適には室温で約5から30分(例えば、約10分)ナノワイヤに供給することができる。その後、真空ポンプ(例えば、約5分間、100mTorr以下の圧力まで真空化)を用いて気体を除去する。好適な実施形態において、気体の供給/除去サイクルは、例えば2回から10回繰り返すことができ、好適には、堆積温度までナノワイヤを加熱するのに少なくとも5回の気体供給/除去サイクルが行われる。
【0164】
さらなる実施形態において、本発明は、1つまたは複数のナノワイヤ208を基板202上に堆積させる方法を提供する。例えば、基板上の電極対207(204/205)の近傍の懸濁液中に1つまたは複数のナノワイヤを供給する。その後、電極対に電圧を与え、ナノワイヤが電極対に関連付けられ、電圧はその後調節され、これによりナノワイヤは電極対に結合される(関連付けおよび結合の周波数ならびに振幅の例については明細書を通じて説明する)。そして、気体はナノワイヤに供給され、そして除去される(例えば、真空状態)。この気体供給/除去サイクルは、例えば5回以上といったように、数回繰り返すことができる。そして、ナノワイヤは、好適にはHガス(例えば、H/N)の存在下で、約100℃以上(例えば、約200℃)まで加熱され、これによってナノワイヤは基板上に堆積される。
【0165】
基板202の表面における電極を用いて(例えば、上記のように関連付けおよび結合を行うことによって)ナノワイヤ208を配置する本発明の実施形態において、電極(例えば、204および205)は好適に除去される。図17Bに示すように、電極204および205の除去により、ナノワイヤ208が配列/整列されて基板上に堆積する。電極204および205を除去する例としては、以下に限定されるものではないが、スクラッピングやエッチングといった物理的な除去が挙げられ、エッチングにはドライエッチング、プラズマエッチング、あるいは電子ビームエッチングや、ウェットエッチングのような、例えば窒素酸系化学エッチングのような化学エッチングが含まれる。図17Bに示すように、電極204および205を除去した後、配列/堆積されたナノワイヤ208が基板208上に残される。その後、DI水(あるいは他の溶液)での洗浄と乾燥(例えば、スピンリンスドライヤを使用)を行っても、ナノワイヤ208の基板202上での配列や連結への支障はない。
【0166】
基板202上にナノワイヤ208を堆積させる他の方法は、ナノワイヤを固定するために静電気力を印加すること、ならびに、2つの基板間の共有結合性の(例えば化学的な)反応あるいは非共有結合的な相互作用を促進するためにナノワイヤ208の化学的表面処理を行うことを含む。
【0167】
また、本発明は、溶液(すなわちナノワイヤの懸濁液)中のナノワイヤを動かすシステムを提供するものであり、例えば図18に示されるシステム1800を提供するものである。典型的な実施形態において、システム1800は、1つまたは複数の電極セット(例えば、1802、1808)を有する。各電極セットは、第1の極性を持つ第1の電極と、第2の極性をもつ第2の電極とを有する。図18に示すように、第1の極性(第1の電極)は、第2の極性(第2の電極)と反対の極性である。ここで用いるように、電極の「セット」とは、2つの電極のことをいう。図18に示すように、電極セット1802および1808は、それぞれ単一の電気接続1804および1806と接続することができ、第1の極性の電極が電気接続(1804)につながれ、第2の極性の電極が電気接続(1806)につながれる。他の実施形態において、様々なセットにおける個々の電極は、個々の電気接続につなげることができる。図18に示すように、典型的な実施形態では、第1電極セット1802および第2電極セット1808は、交互に配置される(すなわち、同極性の二つの電極が直接隣り合わせて配置されることはない)。好適には、電極セットは互いに同じ面に位置しうるし、代りの実施形態では、異なる面にも位置しうる。
【0168】
第1および第2の電極(それぞれ第1および第2の極性を有する)の間に交流(AC)電場を発生させるため、信号発生器あるいはその他の好適な装置を電極セットへつなげる。発生させた電場に応じて、溶液中のナノワイヤは、セットにおける電極(+、−)間の交流電流によって極性化され、溶液中で動かされる。以下に示すように、様々な電極セットにおいて電流を交流させたりパルスを発生させたりすることによって、ナノワイヤを流路206において動かすことができる。電極セットの電極間において交流電場を用いることに加え、電極間の誘電泳動あるいは電気浸透性(流体運動)力を発生させるため、直流電場も用いることができる。直流電場を用いる実施形態において、電極セットの電極は一般的に、交流電場を用いる場合よりも大きな距離で互いに隔てられている。これにより、電極間の全距離にわたってナノワイヤを動かすことができ、その結果、ナノワイヤは流路206に沿って移動することができる。
【0169】
さらなる実施形態において、本発明のナノワイヤ操作システム1800はさらに、複数のナノワイヤ208を含む懸濁液と、1つまたは複数の電極対207(例えば、電極204、205)を含む基板202とを備えることができる。該システムは、好適には、電極対の間において交流(AC)電場を発生させ、AC電場を調節する信号発生器あるいは他の装置をさらに備える。一般的に、電極対207を有する基板202は、電極セット(1802、1808)に対向して配置される。例えば、図18に示すように、電極セット1802および1808は基板202の上に配置され、好適には、基板202にほぼ平行に配置されている。しかしながら、電極セットは基板202および電極対207に対して任意の空間配置を行うことができ、例えば、電極セット(1802、1808)を、電極対207の下に配置することもできるし、あるいは電極対207の上に配置することもでき、基板202に平行である必要はない。例えば、電極セット1802および1808は、基板202に対してどのような角度にも配置することが可能である。
【0170】
好適な実施形態において、システム1800はさらに、少なくとも1つの電極対207および電極セット1802、1808上において複数のナノワイヤを含む懸濁液を流す手段を有する。懸濁液を流す手段の例は、明細書を通して説明する。システム1800のさらなる構成要素として、例えば、ナノワイヤを可視化する光学的画像システム、流れ制御システム、および信号監視デバイスを、明細書を通して説明する。
【0171】
本発明はまた、図18のシステム1800を参照し、図19のフローチャートにて示されるように、溶液中のナノワイヤを動かす方法を提供する。図19のステップ1902において、1つまたは複数の電極セット1802、1808が備えられる。各電極セットは、好適には第1の極性を有する第1の電極と第2の極性とを有する第2の電極を備える。図18に示すように、好適な実施形態において、同様の極性を有する電極が互いに直接隣接しないように電極を交互に配置する。図19のステップ1904において、電極セット(1802)に電圧が与えられ、ナノワイヤは電圧が与えられる方向に動かされる。ここで用いるように、「電圧を与える」とは、電極セットの電極に電流を供給する任意の好適なメカニズムやシステムを表す。「電圧を与える」とは、電極セットの電極においてまたは電極セットの電極の間にDC電場および/またはAC電場を発生させることをいう。
【0172】
フローチャート1900のステップ1906において、電圧を与えられた電極(1802)のセットは、その後電圧の供給を遮断される。ここで用いるように、「電圧の供給を遮断」とは、電流を停止する、あるいは電流を電極セットから除去することをいう。そしてステップ1908では、隣接する電極セット(1808)に電圧を与える。ここで用いるように、「隣接する電極セット」とは、ステップ1904にて電圧が与えられ、ステップ1906にて電圧の供給を遮断されたセットのすぐ隣の電極セットを意味する。隣接とは単に、電極セットが互いに空間的に隣り合って配置されることを表したものに過ぎず、電極セットが互いに接触したり、互いに特定の距離を持つことを要求するものではない。
【0173】
フローチャート1900のステップ1910に示すように、ステップ1906および1908は適宜繰り返される。例えば、電圧を与えられた電極セット1808は、電圧の供給を遮断され、図示しないさらに隣接した電極のセットに電圧を与える。ステップ1910は、任意の所望の回数行うことができる(すなわち、隣接する電極セットへの電圧供給および電圧供給の遮断)。電極セットにおけるこのサイクルにより、好適には電圧を与える方向(すなわち、隣接する電極セットが電圧供給されたり電圧供給を遮断されたりする方向)に誘電泳動力を発生させる。明細書を通して説明するように、誘電泳動力は、印加されたAC電場と同じ方向にナノワイヤを動かす。ナノワイヤは、電圧を与えられた電極セットから、隣接する、電圧を与えられた電極セットへと移動し、先に電圧を与えられたセットは電圧供給を遮断される。ナノワイヤの電圧供給および電圧供給の遮断というサイクルにより、ナノワイヤを任意の所望の方向に動かすことができる。
【0174】
例えば、図18に示すように、電圧供給/電圧供給の遮断により、流路206において、図中の大きな矢印の方向に誘電泳動力を発生させる。したがって、電圧が与えられた、および電圧供給を遮断された電極(1802→1808→)の交互のセットにおける「波」や「パルス」に応じて、ナノワイヤ208によって規定される位置に当初配置されていたナノワイヤは、フローチャンネル206を矢印方向に、例えば、ナノワイヤ208→208‘→208“の流れの経路に沿って移動する。さらなる実施形態において、図19に示される電圧供給および電圧供給遮断によって発生する誘電泳動力に加えて、例えばナノワイヤを動かす補助として流体の流れを用いることによって、同一あるいは同様の方向にナノワイヤを流すことができる。流体の流れを調整および規制する方法の例については明細書を通して説明する。
【0175】
好適な実施形態において、電極セットに電圧を与えることには、該セットの電極間にAC電場を発生させることが含まれる。一般的には、例えば電気接続1804および1806を介して、信号発生器あるいは同様の装置が電極セットに接続される。AC電場の例として、好適には、約10Hzから約1kHzの周波数と約1-10V(ピーク間)の振幅が挙げられる。
【0176】
本発明はまた、1つまたは複数のナノワイヤを動かす方法を提供する。明細書を通して説明するように、電極対の間の電場を調節し、1つまたは複数の電極対207にナノワイヤを好適に関連付けおよび結合する。ここで述べるように、また図18に示すように、好適には、第1の極性を有する第1の電極と第2の極性を有する第2の電極とを備えた電極(1802、1808)のセットでナノワイヤ208を動かすことによって、結合されていないナノワイヤが電極対207から除去される。例えば、電極セット1802に電圧を与え、そして隣接する電極セット1808の電圧供給を遮断することにより、誘電泳動力を生成する。その結果、結合されていないナノワイヤ208は、電圧を与える方向に動かされ、電極対207から除去される。例えば、図18に示すように、ナノワイヤ208は、好適には流路206において、図中の大きな矢印の方向に動かされる。除去されたナノワイヤは、単にナノワイヤ「インク」あるいは懸濁液をリサイクルすることによって、その後の関連付け/結合に再利用することができる。
【0177】
ナノワイヤを動かすことに加え、ナノワイヤ関連付けおよび結合に対するAC電場の特徴を含め、その状態の例について説明を行う。さらなる実施形態において、隣接する電極セットに電圧を与えることおよび電圧供給遮断を行って発生させる静電気力を用いた操作に加え、例えば溶液を流すことにより、ナノワイヤを流すことができる。
【0178】
本発明は、1つまたは複数のナノワイヤを配置する、さらなる方法を提供する。ここで述べるように、本発明の方法を用いて、ナノワイヤを電極対207に好適に関連付けおよび結合する。例えば、図20に示すように、1つまたは複数のナノワイヤの懸濁液は、電極対207の近くに供給される。電極対207に電圧が与えられ、ナノワイヤ208は電極対に関連付けられる。電圧供給はその後調節され、ナノワイヤは電極対に結合される。最終的に、1つまたは複数の結合されていないナノワイヤ(結合されていないナノワイヤには、電極に充分結合していない、および/または配列がされなかったり交差したりするナノワイヤが含まれる)が、電極対から除去される。好適な実施形態において、除去電極2002に電圧を与えることを含むプロセスを用いてナノワイヤ208を除去し、結合されていないナノワイヤ208をある方向に、例えば、除去電極2002の方向に動かすことで、電極対207から除去することができる。ここで用いるように、「除去電極」とは、該除去電極に電圧をあたえると、電極対から除去されるナノワイヤが除去電極に向かって、あるいは除去電極の方向に動かされるように、電極対から距離を置いて配置される、1つまたは複数の電極を表す。
【0179】
例えば、図20に示すように、除去電極2002は、基板202に位置する電極対207の「上」に配置することができる。しかしながら、除去電極2002は、任意の好適な配列で、あるいは電極対207から距離をおいて配置することができ、本発明が、単に電極対207の上に除去電極2002を配置することに限定しないことを理解しなければならない。好適な実施形態において、除去電極2002は1つの電極を備えているが、複数の除去電極を用いることも可能である。除去電極2002は一般的に、流路206の内部に備えられるが、その結果、流路と、溶液中で浮遊状態にあるナノワイヤ208と、流動的な伝達が行われる。
【0180】
除去電極2002に電圧を与えることは、除去電極2002においてDC電場やAC電場またはその両方(2004)の生成を指す。例えば、DC電場は、約0.1Vから約10Vの振幅を持つことができる。例えば、AC電場は好適に約100Hzから約100kHzの周波数をもち、約5から150Vの振幅を持つ。DCおよびAC電場2004を生成する信号発生器あるいは他の装置/デバイスについては明細書を通して説明するものであり、当業者にもよく知られている。
【0181】
除去電極2002にDC電場を印加することにより、除去電極2002に向けてナノワイヤ208(結合されていない、あるいは配列されていないナノワイヤ)を動かす。除去電極2002において正の電荷を生成すると、例えば図21Aに示すように、ナノワイヤ208は電極対207の領域から流路206へと移動しやすい。溶液を流路206に流すことによって、電極対領域からナノワイヤ208を除去し、これにより、ナノワイヤ208を次の処理において回収および再利用することが可能となる。さらなる実施形態において、例えば,約-0.1Vから約-10Vといった、負の電荷を除去電極2002において生成することができる。除去電極2002における負の電荷によって、ナノワイヤ除去電極2002からナノワイヤが遠ざかるように動かされやすく、そのため電極対207に向かいやすい。これにより、明細書を通して説明するように、ナノワイヤの関連付け/結合を向上することができる。
【0182】
ナノワイヤを電極に向けて動かすことに加えて、AC電場を除去電極2002に印加することによっても、例えば図21BおよびCに示すように、ナノワイヤ208がAC電場に平行な向きになるよう揃いやすい。従って、ナノワイヤ208を電極対207から遠ざかるように動かすことに加えて、ナノワイヤ208はまた、より多くの表面領域が流体の流れにさらされるように配列される(図21C参照)。流量の最大は、流路206の「高さ」の約1/2に相当する距離(すなわち、除去電極と電極対207の中間)にあると判断される。典型的な実施形態では、流路206の高さは約500μm(基板202上の除去電極2002と電極対207の間の距離)であり、基板202の表面の上、約250μmの距離において最大流量に達する。ナノワイヤ208を流すための流体の流れとともに、AC電場の印加により、結合されていない/配列されていないナノワイヤを除去する非常に効果的な方法を提供し、さらなる流れにおけるナノワイヤインクのリサイクルを可能にする。これにより、材料の浪費やコストの制限が可能となる。
【0183】
さらなる実施形態において、例えば図21Bに示すように、AC電場とDC電場の両方が除去電極2002において生成される。AC電場とDC電場の生成により、ナノワイヤ208が電極対207から遠ざかるように移動し、流体の流れと平行にナノワイヤが配列される。典型的な実施形態では、除去電極2002に三段階で電圧を与えることができ、例えば、まずAC電場を除去電極において生成することができ、そしてDC電場およびAC電場が生成でき、最終的に、AC電場が除去電極2002において生成できる。
【0184】
1つまたは複数の電極対207に加えて除去電極2002を有する本発明のシステム/装置は、広範囲にわたるナノワイヤの配置/堆積を促す。従来の3電極電場操作では、IRの下降が問題となりうる。しかしながら、大面積の除去電極2002を使用すると、この懸念も限られてくる。
【0185】
ナノワイヤを電極対204/205から遠ざけるように動かすさらなる方法は、本発明の実施において用いることができる。例えば、誘電泳動の、あるいは電気浸透性の力によってナノワイヤ208が除去される、あるいは流体の流れによって流されるようにナノワイヤ208を除去したり動かしたりするため、電極対207(と、好適には基板202)を様々な方向に向けることができる。例えば、基板202およびそれにともなって電極対207は「下方に」向けることができるので、ナノワイヤ208を「上方に」移動し、流体の流れに含ませ、流室206から除去することができる。流体の流れで流すことによって、あるいは電気泳動力/電気浸透力によってナノワイヤを除去できるようにナノワイヤを動かすさらなる方法には、以下に限定されるものではないが、結合されていない/配列されていないナノワイヤを除去したり流体の流れに含ませたりする音波や他の振動誘発方法とならんで、超音波や、あるいは電気泳動力/電気浸透力が含まれる。
【0186】
さらに他の実施形態において、例えば図23に示すように、本発明は、基板上にナノワイヤを配置するシステムを提供する。上記のように、このようなシステムは好適には、複数のナノワイヤ208を含む懸濁液を有する。このようなシステムはまた、1つまたは複数の電極対207と、1つまたは複数のナノワイヤ付着領域2302とを有する基板202を備える。好適には、これらのシステムはまた、電極対の間に交流(AC)電場を発生させ、該AC電場を調節する信号発生器を有する。
【0187】
明細書を通して説明するように、一実施形態では、流体の流れを用いてナノワイヤを流すことによって、結合されていないナノワイヤを電極から除去することができる。この流体の流れは、電極対にピン止めおよび/または固定されていないナノワイヤを効果的に除去することができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のナノワイヤ付着領域2302を基板202に配置することが望ましい。ここで用いるように、「ナノワイヤ付着」とは、これらの領域がそれらの表面にナノワイヤを引きつけ、貼り付け、あるいは接合させることを意味する。ナノワイヤ付着領域は、基板202の一部でもよく、あるいはナノワイヤが付着するように構成された、基板202の付加的構造であってもよい。
【0188】
さらなる実施形態において、流体の流れを用いて結合されていないナノワイヤを流すことは必ずしも必要ではない。むしろ、単に結合されていないナノワイヤをナノワイヤの懸濁液から除去するために、ナノワイヤ付着領域を用いることができる。ここで述べるように、これによって、後でナノワイヤが回復し、次の結合反応に用いることができる。
【0189】
好適には、ナノワイヤ付着領域2302が、約10mmから約500cmの距離で、好ましくは、約1cmから約100cm、あるいは約10cm、約20cm、約50cm、約70cmなど、互いに分離されるように配置されている。ナノワイヤ付着領域2302は、電極対207に対して平行か、あるいは垂直に配置することができる。ナノワイヤ付着領域2302は、どのような形やサイズでもよく、例えば、板状、棒状、帯状、あるいは、ナノワイヤが付着できる他の形状でもよい。
【0190】
上記のように、好適な実施形態において、ナノワイヤ208は、外殻が金属などの導電性材料である、核-殻-殻の構造を有するものである。水性あるいはアルコール系溶液において、これらのナノワイヤは一般的に負の表面電荷を有する。従って、ナノワイヤ付着領域は、好適には正の電荷を帯びる。しかしながら、他の環境において、および/または他のナノワイヤ構造について、負に帯電したナノワイヤ付着領域を、好適にはナノワイヤが正に帯電する場合に用いることもできるということに留意しなければならない。適切な電荷を有するものであればどのような材料でも、ナノワイヤ付着領域2302として用いることができる。
【0191】
典型的な実施形態では、ナノワイヤ付着領域2302は好適には、AlOのような酸化物、あるいは窒化物、あるいは、水性あるいはアルコール系溶液において正の表面電荷を得る他の物質を含む。さらなる実施形態において、特定の環境で帯電する基板を用いるより、例えばナノワイヤ付着領域2302に正あるいは負の電圧を印加することにより、当該領域において電荷を生成できる。そして、電圧の極性を切り替えることができ、これによりナノワイヤ208はナノワイヤ付着領域2302から解放され、回復、リサイクルされ、さらに堆積するようになる。従って、ナノワイヤ付着領域2302は、基板202から分離した、あるいは基板202に追加された材料でもよいし、あるいは、ナノワイヤ付着領域を生成するため、例えば電圧を与えることにより改変された基板202の一部であってもよい。
【0192】
さらなる実施形態において、図23に対する図24のフローチャート2400に示すように、本発明は、1つまたは複数のナノワイヤ208を配置する方法を提供する。典型的な実施形態では、ステップ2402において、1つまたは複数のナノワイヤ208の懸濁液が基板202上の電極対207の近くに供給される。ステップ2404において、電極対207に電圧を与え、ナノワイヤ208は電極対に関連付けられる。ステップ2406において、電極対への電圧供給が調節され、ナノワイヤ208が電極対207に結合される。ステップ2408において、1つまたは複数の結合されていないナノワイヤ208が、ここで述べるように結合されていないナノワイヤを流すことによって、電極対から除去される。ステップ2408において、結合されていないナノワイヤが電極対207から流されるとき、該ナノワイヤは基板202上のナノワイヤ付着領域2302に引き寄せられる。上記のように、ナノワイヤ付着領域2302を用いることにより、結合されていないナノワイヤが、すでにピン止め/固定されているナノワイヤを干渉することを制限できるのみならず、ナノワイヤを流すプロセスにおいて、結合されていない/除去されたナノワイヤが移動する距離を縮めることもできる。
【0193】
さらに、ここで述べるように、好適な実施形態において、結合されていないナノワイヤを必ずしも流さなくてもよい。そのかわり、結合されていないナノワイヤは単に、電極対の「下流」にあるナノワイヤ付着領域に付着することができる。ここで用いるように、「下流」とは、流体の流れ(流体の流れが用いられる場合)の方向において電極対の後ろにナノワイヤ付着領域が位置することを表す。このような実施形態において、結合されていないナノワイヤが電極対を越えて通過するとき、該ナノワイヤは、1つまたは複数のナノワイヤ付着領域に付着し、その後の結合反応において回復し、利用することができる。
【0194】
図25AからCは、ナノワイヤ付着領域2302の存在下および不在の場合のナノワイヤ配列および堆積を示す。図25Aは、ナノワイヤ付着領域2302(例えば、SiO)と非付着領域2502(例えば、モリブデン)の間に形成される境界を示し、2つの材料の表面の間に際立ったコントラストを示している。図25Bは、ナノワイヤが付着する領域におけるナノワイヤ配列および堆積を示し、図25Cは、非付着領域におけるナノワイヤ配列および堆積を示す。
【0195】
例示のデバイスおよびアプリケーションにおける、本発明に係る堆積ナノワイヤの使用
多くの電子デバイスおよびシステムは、本発明の方法によって堆積したナノワイヤの薄膜を有する半導体あるいはその他の種類のデバイスを内蔵することができる。本発明のいくつかの応用例を以下あるいはその他の箇所にて説明するが、これに限定されるものではない。ここで説明する応用例には、ナノワイヤの配列あるいは非配列薄膜を含んでもよいし、ナノワイヤの複合あるいは非複合薄膜を含んでもよい。
【0196】
半導体デバイス(あるいは他の種類のデバイス)は、他の電子回路の信号につなぐことができ、および/または他の電子回路と統合させることができる。半導体デバイスは、後で小さい基板に分離あるいは切断することのできる大きな基板上に形成することができる。さらに、大きな基板(すなわち、従来の半導体ウェハよりもほぼ大きい基板)に、その上に形成された半導体デバイスを相互接続することができる。
【0197】
本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤは、1つの半導体デバイスを必要とするアプリケーションおよび複数の半導体デバイスに組み込むことができる。例えば、本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤは、複数の半導体デバイスが設けられた大面積マクロ電子基板に特に応用可能である。このような電子デバイスは、アクティブマトリックス液晶表示装置(LCD)用、有機LED表示装置用、電場放出表示装置用のディスプレイ駆動回路を備えることができる。他のアクティブディスプレイは、ナノワイヤ-ポリマー、量子ドット-ポリマー混合物(該混合物はエミッタとアクティブ駆動マトリックスの両方として機能することができる)から形成することができる。本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤはまた、スマートカード、スマート棚札などを含めた、スマートライブラリ、クレジットカード、大面積アレイセンサ、高周波識別(RFID)票に応用できる。
【0198】
本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤはまた、デジタルおよびアナログ回路アプリケーションに応用が可能である。特に、本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤは、大面積基板上の超大規模組み込みを必要とするアプリケーションに有用である。例えば、本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤの薄膜は、ロジック回路、メモリ回路、プロセッサ、増幅器、および他のデジタルおよびアナログ回路において実施することができる。
【0199】
本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤは、光起電性のアプリケーションに応用できる。このようなアプリケーションにおいて、高導電基板が、特定の光起電性デバイスの光起電性を向上するのに用いられる。例えば、このような高導電基板は、可塑性、大面積の、インジウム酸化錫(ITO)等の代替物として用いることが可能である。基板はナノワイヤの薄膜で被覆されるが、当該薄膜は、吸収性がなく、薄膜上部に設けられる光起電性デバイスの活性化物質に対して調整されたHOMOあるいはLUMOバンドを有するように、バンドギャップが大きい、すなわち、可視光より大きいバンドギャップを有するように形成される。透明導電体は、光起電性デバイスから電流を除去するために、吸収性光起電性材料の2辺に配置することが可能である。2つの異なるナノワイヤ材料を選択することができ、一方は、光起電性材料HOMOバンドに対して調整されたHOMOを有し、もう一方は、光起電性材料のLUMOバンドに対して調整されたLUMOを有する。2つのナノワイヤ材料のバンドギャップは、光起電性材料のバンドギャップよりはるかに大きなものが選択される。この実施形態によれば、基板をほとんど非吸収状態に保ったまま、ナノワイヤの薄膜の抵抗を減少するために、ナノワイヤを軽くドープすることができる。
【0200】
従って、本発明のプロセスおよび方法によって堆積させたナノワイヤは、軍需品から消費物資にいたるまで、幅広い分野に含めることができる。例えば、このような物資には、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、PDAやパームパイロットなどの手持ち式電子デバイス、電話(例えば、携帯電話および固定電話)、ラジオ、テレビ、電子ゲームおよびゲームシステム、ホームセキュリティーシステム、自動車、飛行機、ボート、他の家庭用および商業用電気器具などが含まれる。
【0201】
該当する技術分野の当業者にとって、ここで説明した方法や用途を適宜改変したり調整したりすることは、本発明やその実施形態の範囲を逸脱しない範囲で可能であることは明らかである。本発明を詳細に説明したが、以下の実施例を参照すればより明らかに理解できるであろう。ただし、以下の実施例は説明のためのものであり、本発明を限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0202】
実施例1:ナノワイヤの配置
図2および14aに示すように、流路206に、まず溶媒(IPA)1402を注入し、そして所望の濃度のナノワイヤ(NW)インク1404を注入する。NWインクの均一なフィルムをウェハ表面202上に導入した後、電極(204、205、207)パターンに、電場を印加した。E電場パラメータは、f=約500HzとV=1Vppであった。これらの状況下にあるナノワイヤは、その長軸が電場方向に平行に、懸濁液から電極に捕捉/関連付けされるのが確認される。この関連付けは、ナノワイヤが流体の流れにおいてあらかじめ配列されているか、あるいは静置した懸濁液から配列されずに抜き取られた状態で可能である。ナノワイヤは、互いに隣接して配列され、電極棒に沿って移動性を示すことが確認される。このナノワイヤの捕捉状態を、弱いナノワイヤの「ピン止め」あるいは関連付け1406と称し、図5および図8aに示す。この移動性は、電極幅毎におけるナノワイヤの均一且つ高いパッケージ密度を達成するのに用いられる。典型的なナノワイヤ堆積密度は、1ミクロンにつき、1ナノワイヤというオーダーである(距離は電極長さに沿う)。このナノワイヤピン止めは、引きつける誘電泳同力と、反発する電気浸透性力の間における均衡によってなされるものと思われる(図5参照)。当該プロセス(「ナノワイヤ配列」1408あるいは配列調節と称する)における次のステップには、同じAC振幅のままで、周波数をf=10kHzに増やすことが含まれる。このステップでは、おそらく高い誘電泳動力が、ナノワイヤの誘導された双極性モーメントに影響を及ぼすために、移動性の少ない状態(強いピン止め状態)でナノワイヤを互いに平行に配列する。当該プロセスにおける次のステップには、AC信号振幅を、f=10kHzにおいてV=4Vppに増やすことが含まれる。E電場におけるこの変化は、電極に対するナノワイヤの、いわゆる「固着」あるいは結合1410を示す。固着したナノワイヤの状態を、図11および図8bに示す。この状態において、ナノワイヤは、(おそらくナノワイヤと電極との間においてアクティブなファンデルワールス力により)電極棒に沿って、もしあったとしても、ごくわずかな移動性しか示さない。電極形状に適切に適合させたナノワイヤは、高い流体剪断力に対して強さを示すよう充分に固着される。しかしながら、電極形状に適合していないナノワイヤ(例えば、短いナノワイヤ)、ねじれたナノワイヤ、交差したナノワイヤ、あるいは枝分かれしたナノワイヤは、「ナノワイヤ分離」プロセスステップ1412において電極から分離されることが確認させる。所望のナノワイヤ堆積密度が達成できない場合(ステップ1414にて判断されるように)、「ナノワイヤピン止め」から「ナノワイヤ分離」までのプロセスステップを繰り返す(1406〜1412)。所望のナノワイヤ堆積密度が達成された場合(ステップ1414にて判断されるように)、E電場はオフに切り替え、流路は溶媒(EPA)1420で流す(好適には、数百マイクロリッターから数mLまでの流体が使用される)。最終的に、溶媒1422の揮発により、流路を乾燥することができる。電極パラメータのいくつかの変化により、ナノワイヤ堆積が行われることが確認された。具体的に、振幅調節を用いると、電極全体にわたって高い平衡配列を達成できることが分かった。「ナノワイヤピン止め」ステップにおいて、100%の調節指数(電場振幅比:キャリアの振幅)で、100Hzの調節周波数が用いられた。これらの状態で、ナノワイヤは主に、高ナノワイヤ堆積密度(1マイクロインチ毎に2つのナノワイヤ)までの平行配列で捕捉される傾向にある。さらに、交差ナノワイヤは、不安定であることが分かり、溶媒流速を上げることによって除去できる。典型的に生じるナノワイヤ堆積パターンを図9aおよび図9bに示す。
【0203】
実施例2:CNOSナノワイヤによるナノワイヤ結合
TaAl最外殻を有すCNOS組成(Si核)を含むナノワイヤは、標準成長・取り入れ技術(例えば、Gudiksen et al (2000) 「半導体ナノワイヤの直径選択的合成」J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802; Cui et al. (2001)、「単結晶シリコンナノワイヤの直径制御合成」 Appl. Phys. Lett. 78, 2214-2216;Gudiksen et al. (2001)、および「単結晶半導体ナノワイの直径および長さの合成的制御」 J. Phys. Chem. B 105,4062-4064)を用いることにより生成された。ナノワイヤの長さは約22ミクロンで、直径は約100nm。 ナノワイヤの懸濁液は、中密度のものと、低密度のもの(中密度の懸濁液を10倍希釈したもの)を、イソプロパノール(IPA)中にて調整した。
【0204】
厚さ500ミクロン、直径4インチの石英基板を、それぞれ厚さ約400A、幅約15あるいは30ミクロンの、複数のMoIy(Mo)電極でパターニングした。上記電極は、電極対がそれぞれ約20ミクロン(すなわち、配列および結合しようとしているナノワイヤの長さよりわずかに短い)離れるように配置した。ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる流路には、(流路入り口にナノワイヤ懸濁液の液滴を注入することによって)ナノワイヤ懸濁液が注入される。そして、流路に毛管駆動流体を注入し、そして数秒後に流れ始める。ナノワイヤは概ね、最終的な電場方向に平行な流れで、あらかじめ配列される。
【0205】
約10kHzの周波数と約1Vの振幅を用いて初期AC電場を生成した。ピークAC電場は、約250V/cmだった。この低周波数により、懸濁液から電極対に対しての、ナノワイヤの配列および関連付けを行うことができた。電場の周波数は、約10kHz〜300kHzまで調節し、ナノワイヤが電極対に結合できるようにした。
【0206】
流路は、結合されていないナノワイヤを除去するため、BPAで流した。流路および結合されたナノワイヤをその後乾燥させた。乾燥ステップ中、電極に結合されたナノワイヤを維持するため、電圧を約4Vに上昇した。
【0207】
この実験の結果、ナノワイヤ密度は、約4〜6ミクロンにたいして1ナノワイヤ(低密度溶液)、そして約1〜3ミクロンにたいして1ナノワイヤ(高密度懸濁液)といったナノワイヤ密度が得られた。若干、ナノワイヤの交差や凝集が見られたが、全体的にはワイヤは配列し、相対的に均一な間隔を有していた。さらに、乾燥プロセスの間、若干配列されていなかったり交差していたりするのが確認された。電極対の間のギャップと密接に適合した長さのナノワイヤ(すなわち、長さ約20ミクロンのナノワイヤ)毎に、最高のナノワイヤ堆積が発生することが判明した。
【0208】
実施例3:10x10列ナノワイヤ結合
TaAl最外殻を有すCNOS組成(Si核)を含むナノワイヤは、標準成長・取り入れ技術(例えば、Gudiksen et al (2000) 「半導体ナノワイヤの直径選択的合成」J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802; Cui et al. (2001)、「単結晶シリコンナノワイヤの直径制御合成」 Appl. Phys. Lett. 78 2214-2216;Gudiksen et al. (2001)、および 「単結晶半導体ナノワイの直径および長さの合成的制御」 J. Phys. Chem. B 105,4062-4064)を用いることにより生成された。ナノワイヤの長さは約22ミクロンで、直径は約100nm。 ナノワイヤの懸濁液は、中密度のものと、低密度のもの(中密度の懸濁液を10倍希釈したもの)を、イソプロパノール(EPA)中にて調整した。
【0209】
厚さ500ミクロン、直径4インチの石英基板を、それぞれが厚さ約400Åで、幅約30ミクロンの、10x10個のMoIy(Mo)電極対のアレイ(すなわち全部で100電極対、200電極)でパターニングした。電極を、それぞれの電極対が約20ミクロン分離して(すなわち、配列および結合されるべきナノワイヤの長さよりわずがに短い)配置した。ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる流路に、(流路入り口にナノワイヤ懸濁液の液滴を注入することによって)ナノワイヤ懸濁液で注入した。そして、流路に毛管駆動流体を注入し、そして数秒後に流れ始めた。ナノワイヤは概ね、最終的な電場方向に平行な流れで、あらかじめ配列される。
【0210】
初期AC電場を、約500Hzの周波数と、約1Vの振幅とを用いることによって生成した。ピークAC電場は、約250V/cmであった。この低周波数により、ナノワイヤの、懸濁液から電極対への配列および関連付けを行うことができた。電場の周波数を約10kHzに調節し、振幅を約4Vに調節し、ナノワイヤを電極対に結合することができた。結合されていないナノワイヤを除去するため、流路をPAで流した。そして、流路および結合されたナノワイヤを乾燥した。
【0211】
この実験の結果、10個の電極対の各々に、ナノワイヤの比較的均一な堆積が行われた。低密度ナノワイヤ懸濁液に対して、平均4.75個のナノワイヤが、2.2の分布の標準偏差をともなって、各電極対に堆積する。中密度のナノワイヤ懸濁液に対して、平均10.8個のナノワイヤが、2.5の分布の標準偏差をともなって、各電極対に堆積する。
【0212】
実施例4:複数ナノワイヤ堆積サイクル
上記実施例1および2において説明したプロセスは、66マイクロメータのアレイにおいて配列される電極対に対して、ナノワイヤを生成、関連付け、結合するのに用いられた。初期の関連付けおよび結合段階に引き続き、5ミクロン毎に約1つのナノワイヤという密度が達成された(図9a参照)。
【0213】
上記関連付けおよび結合段階は、より高いナノワイヤ密度を達成するために繰り返された。その結果を図9bに示すが、1.8ミクロン毎に約1つのナノワイヤという密度が達成された。
【0214】
複数堆積サイクルを用いると、低濃度且つ少量のナノワイヤ懸濁液で、高いナノワイヤ密度を実現し、また、かなり均一な電極充填も達成できる。
【0215】
実施例5:導波路生成AC電場を用いるナノワイヤ配列
TaAlN最外殻を有するCNOS組成(Si核)を含むナノワイヤは、標準成長・取り入れ技術(例えば、Gudiksen et al (2000) 「半導体ナノワイヤの直径選択的合成」J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802; Cui et al. (2001)、「単結晶シリコンナノワイヤの直径制御合成」 Appl. Phys. Lett. 78, 2214-2216;Gudiksen et al. (2001)、および 「単結晶半導体ナノワイの直径および長さの合成的制御」 J. Phys. Chem. B 105,4062-4064)を用いることにより生成された。ナノワイヤの長さは約20ミクロンで、直径は約100nm。 ナノワイヤの懸濁液は、高、中、低密度のもの(10倍希釈したもの)を、イソプロパノール(EPA)中にて調整した。
【0216】
厚さ500ミクロン、直径4インチの石英基板を、それぞれ約1500Åの厚みと、約50ミクロンの幅と、鋸歯状のパターンを有する25個のCr/Au電極対で、パターニングを行った。電極は、それぞれの電極対が約20ミクロン分離して(すなわち、配列および結合されるべきナノワイヤの長さよりわずがに短い)配置した。ポリジメチルシロキサン(PDMS)(高さ100ミクロン、幅5mm、水平に対して約1.5°の角度)からなる流路に、(流路入り口にナノワイヤ懸濁液の液滴を注入することによって)ナノワイヤ懸濁液を注入した。そして、流路に毛管駆動流体を注入し、そして数秒後に流れ始めた。ナノワイヤは概ね、最終的な電場方向に平行な流れで、あらかじめ配列される。
【0217】
AC電場は、100Wの初期パワーインプットで、約2.45GHzの導波周波数を用いて生成される。全照射時間は約5分で、4つの異なるアンテナ長を調べた(0.5mm、1mm、2mm、5mm)。
【0218】
この実験結果は、導波路を用いて生成したAC電場を、ナノワイヤを電極対に対して配列および結合するのに用いることができるということを示した。導波路の外側の電極において、ナノワイヤは堆積しなかった。低密度ナノワイヤ懸濁液において、電極幅50ミクロン毎に、約6つのナノワイヤという密度でナノワイヤが堆積した。中程度密度ナノワイヤ懸濁液において、電極幅50ミクロン毎に、約12個のナノワイヤという密度でナノワイヤが堆積した。高密度ナノワイヤ懸濁液において、電極幅50ミクロン毎に、約20〜40個のナノワイヤという密度でナノワイヤが堆積した。
【0219】
実施例6:ナノワイヤの関連付けおよび除去
図22Aから図22Fは、明細書を通して説明する様々な方法を用いてナノワイヤを除去した後の、ナノワイヤの関連付けを示す一連の顕微鏡写真である。図22Aは、基板上に配置された一連の電極対207を示す。該顕微鏡写真は基板/電極対の上から撮られたものである。ナノワイヤが流路に導入され、電極対の上のぼやけた物体として確認できる。流路にはまた、電極対の上の除去電極が存在するが、ナノワイヤを可視化するために用いられている光学的画像システムの可視平面の上にあるときは、ナノワイヤは顕微鏡写真では見えない。図22Aによると、電極対の間、あるいは除去電極において電場は生成されなかった。
【0220】
図22Bによると、約500Hzの周波数と、約500mVのピーク間振幅を有するAC電場が、基板上の様々な電極対の間に生成された。さらに、約-2.5Vの振幅を有するDC電場が、除去電極において生成された。この負極性DC電場により、流路の底における電極対207に向けてナノワイヤ208を動かすことができる。電極対における交流電流によって、電極対に対するナノワイヤの配列および関連付けが開始される。
【0221】
図22Cによると、ナノワイヤは、非常に良く配列された状態で、電極対(207/208)の間で関連付けられるのが確認できる。また、ナノワイヤが、電流を電極対(208')に供給するバスラインに関連付けられるのが確認できる。AC電流およびDC電流の両方が、図22Bに示すように、同じ周波数と振幅で保持される。
【0222】
図22Dによると、AC電流が500mVと500Hzで維持される一方、除去電極におけるDC電流は、約+800mVに切り替えられる。電極対に対して弱く関連付けされる/配列されないナノワイヤと同様に、バスラインに関連付けられるナノワイヤ208は、流路における上方に引っ張られ、基板表面および電極対から遠ざかる。しかしながら、配列し、結合されるナノワイヤは、依然、様々な電極対(207/208)の間に存在している。
【0223】
図22EによるとAC電流は500mVおよび500kHzで維持されるが、DC電流は、除去電極において+2.5Vまで増加される。これにより、除去電極に向けてナノワイヤを上方に延伸しつづけ、また、ナノワイヤを流路の中央近くに維持できる。IPAの溶液を流すことによって、ナノワイヤを流す。図22Eと図22Dとを比べると、たくさんのナノワイヤが流路から除去されたことが分かる。
【0224】
図22Fにおいて、IPAの流れを停止し、DC電極における電流をオフする。電極対におけるAC電流は維持されるが、電極対(207/208)に対して配列および関連付けられた状態を保つ。ほとんどないが、もしあるとすれば、関連付けられていない/配列されていないナノワイヤが図22Fに存在する。好適な実施形態において、ナノワイヤを電極対に対して結合/固定するため、電極対の間における電流をここで説明するように調節する。さらなる実施形態において、AC電場が調節でき、除去電極における正のDC電流の生成前にナノワイヤが電極対に結合される。
【0225】
本発明の典型的な実施形態を説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。これらの例は説明のためのものであり、限定的なものではない。ここに教示するものから、これらの代替物(ここで説明されるものの同等物、延長、変形、変更など)は関連分野の当業者にとって明らかなものであり、そのような代替物は本発明の範囲および精神の範囲に属するものである。
【0226】
本明細書において言及している全ての公報、特許、特許出願は、それぞれが具体的且つ個別に参照されるのと同じように、本明細書においてとりあげている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1つまたは複数のナノワイヤを電極対の近傍に供給するナノワイヤ供給工程と
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法。
【請求項2】
上記ナノワイヤ供給工程は、ナノワイヤの懸濁液を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記AC電場を生成することは、直接電気的接続を用いて、上記電極対に信号を供給することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記AC電場を生成することは、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
上記電圧供給工程、および、上記調節工程は、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記電極対に電磁波を供給することは、上記電極対に約1GHzから約5GHzの電磁波を供給することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を、約1kHzから約500kHzに増大させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を、約2Vから約20Vに増大させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
上記電極対の電極の間に1つまたは複数の金属要素を配置する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(d)上記電極対から、結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去するナノワイヤ除去工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記除去工程は、結合されていないナノワイヤを洗い流すことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
結合された1つまたは複数のナノワイヤを乾燥させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)〜(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
(e)上記結合された1つまたは複数のナノワイヤを基板上に転写するナノワイヤ転写工程をさらに含む、請求項15または17に記載の方法。
【請求項20】
(e)上記電極対を除去する電極対除去工程をさらに含む、請求項15または17に記載の方法。
【請求項21】
上記電極対の電極は、上記ナノワイヤの長軸の長さよりも短い間隔、または、上記長軸と同じ長さの間隔によって分離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
上記1つまたは複数のナノワイヤは、1つの半導体核と上記核の周りに配置された1つまたは複数の殻層とを含む、請求項1に記載の方法
【請求項23】
上記半導体核はSiを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
最外の殻層は金属または酸化物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記金属はTaAlNまたはWNである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(a)懸濁液中の1つまたは複数のナノワイヤを、転写基板上の電極対の近傍に供給するナノワイヤ供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与え、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程と、
(d)結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去するナノワイヤ除去工程と、
(e)結合された1つまたは複数のナノワイヤを、上記転写基板から上記基板上に転写するナノワイヤ転写工程とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に配置する方法。
【請求項27】
上記ナノワイヤ転写工程の前に、上記結合された1つまたは複数のナノワイヤを乾燥させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記電極対の電極は、上記ナノワイヤの長軸の長さよりも短い間隔、または、上記長軸と同じ長さの間隔によって分離されている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
上記電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
上記AC電場を生成することは、直接電気的接続を用いて、上記電極対に信号を供給することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
上記AC電場を生成することは、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
上記AC電場を生成すること、および、上記調節工程は、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
上記電磁波を供給することは、上記電極対に、約1GHzから約5GHzの電磁波を供給することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzのAC電場と、約0.5Vから約3Vの振幅とを生成することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を、約1kHzから約500kHzまで増大することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を、約2Vから約20Vまで増大させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を、約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を、約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
請求項1に記載の方法に従って配置された1つまたは複数のナノワイヤを含む電極対。
【請求項40】
請求項26に記載の方法に従って配置された1つまたは複数のナノワイヤを含む基板。
【請求項41】
(a)請求項1に記載の方法に従って、1つまたは複数のナノワイヤを配置するナノワイヤ配置工程と、
(b)電極対に信号を供給する信号供給工程と、
(c)上記電極対において上記信号を監視する監視工程と、
(d)上記信号がプリセット値に達した時に上記電極対上にナノワイヤを配置する上記工程を停止する停止工程とを含む、電極対上に配置されたナノワイヤの本数を制御する方法。
【請求項42】
工程(c)および(d)における信号は、上記電極対におけるインピーダンスである、請求項41に記載に方法。
【請求項43】
工程(c)および(d)における信号は、上記電極対における電圧である、請求項41に記載に方法。
【請求項44】
工程(c)および(d)における信号は、上記電極対における電流である、請求項41に記載に方法。
【請求項45】
上記停止工程は、上記電極対への電圧供給を停止して、上記電極対上にナノワイヤを配置することを停止することを含む、請求項41に記載に方法。
【請求項46】
(e)上記ナノワイヤを基板上に転写するナノワイヤ転写工程をさらに含む、請求項41に記載に方法。
【請求項47】
上記電極対上に所定の本数のナノワイヤが配置されていると共に、ナノワイヤの上記本数は請求項41に記載の方法に従って制御されている、1つの電極対を含む基板。
【請求項48】
請求項46に記載の方法に従って制御された所定の本数のナノワイヤを含む基板。
【請求項49】
上記電極対の電極の間には、1つまたは複数の金属要素が配置されている、請求項47に記載の基板。
【請求項50】
少なくとも4つの電極対と、各上記電極対上に配置された少なくとも4つのナノワイヤとを含む基板であって、各上記電極対は、ほぼ同じ本数のナノワイヤを含む基板。
【請求項51】
各上記電極対上に配置されたナノワイヤの本数の差は30%未満である、請求項50に記載の基板。
【請求項52】
各上記電極対上に配置されたナノワイヤの本数の差は20%未満である、請求項50に記載の基板。
【請求項53】
各上記電極対上に配置されたナノワイヤの本数の差は10%未満である、請求項50に記載の基板。
【請求項54】
(a)複数のナノワイヤを含む懸濁液と、
(b)1つまたは複数の電極対を含む基板と、
(c)上記電極対の間に交流(AC)電場を生成すると共に上記AC電場を調節する信号発生器とを含む、ナノワイヤを基板上に配置するシステム。
【請求項55】
上記複数のナノワイヤを含む懸濁液を、少なくとも1つの上記電極対の上に流す手段をさらに含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
上記ナノワイヤを可視化する光学的画像システムをさらに含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
ナノワイヤの上記懸濁液の流量を制御する流量制御システムをさらに含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
上記流量制御システムは、上記基板の下面に結合されるように構成された取り付け具である、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
懸濁液中の上記ナノワイヤを上記基板上に動かすための1つまたは複数の電場電極をさらに含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項60】
上記ナノワイヤは、1つの核と1つまたは複数の殻層とを含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項61】
上記核は半導体を含み、少なくとも1つの上記殻層は金属を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
上記1つまたは複数の電極対において信号を測定する信号監視デバイスと、上記信号がプリセット値に達した時に上記AC電場を停止させる手段とをさらに含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項63】
上記基板は、上記電極対の電極の間に配置された1つまたは複数の金属要素を含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項64】
1つの電極対の第1の電極は、上記電極対の第2の電極よりも、大きなナノワイヤ接触面を備えている、請求項54に記載のシステム。
【請求項65】
(a)1つまたは複数のナノワイヤを電極対の近傍に供給するナノワイヤ供給工程と
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程とを含み、上記電極対の電極の間に1つまたは複数の金属要素を配置して、隣接し合う関連付けられたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差が標準偏差の約50%になるようにする、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法。
【請求項66】
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程をさらに含み、上記電極対の電極の間に1つまたは複数の金属要素を配置して、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差が標準偏差の約50%になるようにする、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
上記ナノワイヤ供給工程は、ナノワイヤの懸濁液を供給することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
上記電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
上記AC電場を生成することは、直接電気的接続を用いて、上記電極対に信号を供給することを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
上記AC電場を生成することは、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
上記電圧供給工程、および、上記調節工程は、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
上記電磁波を供給することは、上記電極対に約1GHzから約5GHzの電磁波を供給することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項75】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項76】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約1kHzから約500kHzまで増大させることを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を約2Vから約20Vまで増大させることを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
隣接し合う関連付けられたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約40%未満である、請求項65に記載の方法。
【請求項80】
隣接し合う関連付けられたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約30%未満である、請求項65に記載の方法。
【請求項81】
隣接し合う関連付けられたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約20%未満である、請求項65に記載の方法。
【請求項82】
隣接し合う関連付けられたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約10%未満である、請求項65に記載の方法。
【請求項83】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約40%である、請求項66に記載の方法。
【請求項84】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約30%である、請求項66に記載の方法。
【請求項85】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約20%である、請求項66に記載の方法。
【請求項86】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約10%である、請求項66に記載の方法。
【請求項87】
少なくとも1つの第1の電極対と上記第1の電極対の間に結合された少なくとも4つのナノワイヤとを含む基板であって、隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約50%未満である基板。
【請求項88】
上記第1の電極対の電極間に配置された3つまたはそれ以上の金属要素をさらに含む、請求項87に記載の基板。
【請求項89】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約40%未満である、請求項87に記載の基板。
【請求項90】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約30%未満である、請求項87に記載の基板。
【請求項91】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約20%未満である、請求項87に記載の基板。
【請求項92】
隣接し合う結合されたナノワイヤ間のナノワイヤ間隔の差は、標準偏差の約10%未満である、請求項87に記載の基板。
【請求項93】
(a)1つまたは複数のナノワイヤを基板上に配置するナノワイヤ配置工程と、
(b)上記ナノワイヤを加熱して、上記ナノワイヤを上記基板上に堆積させる加熱工程とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に堆積させる方法。
【請求項94】
上記配置工程は、電場配列、ラングミュアフィルム配列、あるいは流れ配列を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
上記加熱工程は、約100℃よりも高い温度まで加熱することを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
上記加熱工程は、Hガスの存在下で、約200℃の温度に加熱することを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
工程(b)の前に、
上記ナノワイヤにガスを供給する工程(i)、および、
上記ナノワイヤから上記ガスを除去する工程(ii)の少なくとも1つのサイクルをさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
工程(i)および(ii)のサイクルを少なくとも5回行うことを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
(a)懸濁液中の1つまたは複数のナノワイヤを基板上の電極対の近傍に供給するナノワイヤ供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対に結合させる調節工程と、
(d)上記ナノワイヤにガスを供給するガス供給工程と、
(e)上記ガスを除去するガス除去工程と、
(f)Hガスの存在下で、上記ナノワイヤを約100℃よりも高い温度まで加熱して、上記ナノワイヤを上記基板上に堆積させる加熱工程(f)とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを基板上に堆積する方法。
【請求項100】
工程(f)を行う前に、工程(d)および(e)のサイクルを少なくとも5回行うことを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
(a)第1の極性を有する第1の電極と、第2の極性を有する第2の電極とをそれぞれ備える、1つまたは複数の電極セットと、
(b)上記第1の電極と上記第2の電極との間に交流(AC)電場を生成する信号発生器とを備える、溶液中のナノワイヤを動かすシステム。
【請求項102】
(c)複数のナノワイヤを含む懸濁液と、
(d)1つまたは複数の電極対を含む基板と、
(e)上記電極の間に交流(AC)電場を生成すると共に上記AC電場を調節する信号発生器とを含み、上記基板は、上記電極セットの反対側に配置されている、ナノワイを基板上に配置するシステムをさらに含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
複数のナノワイヤを含む懸濁液を、少なくとも1つの上記電極対および上記電極セットの上に流す手段をさらに含む、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
上記ナノワイヤを可視化する光学的画像システムをさらに含む、請求項102に記載のシステム。
【請求項105】
上記ナノワイヤ懸濁液の流量を制御する流量制御システムを含む、請求項102に記載のシステム。
【請求項106】
上記流量制御システムは、上記基板の下側に結合されるように構成された取り付け具である、請求項105に記載のシステム。
【請求項107】
上記ナノワイヤは、1つの核と1つまたは複数の殻層とを含む、請求項102に記載のシステム。
【請求項108】
上記核は半導体を含み、少なくとも1つの上記殻層は金属を含む、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
上記1つまたは複数の電極対において信号を測定する信号監視デバイスと、上記信号がプリセット値に達した時に上記AC電場を停止させる手段とをさらに含む、請求項102に記載のシステム。
【請求項110】
上記基板は、上記電極対の電極間に配置された1つまたは複数の金属要素を含む、請求項102に記載のシステム。
【請求項111】
1つの電極対の第1の電極は、上記電極対の第2の電極よりも、大きなナノワイヤ接触面を備えている、請求項102に記載のシステム。
【請求項112】
(a)第1の極性を有する第1の電極と第2の極性を有する第2の電極とをそれぞれ備える、1つまたは複数の電極セットを供給する電極セット供給工程と、
(b)1つの電極セットに電圧を与える電圧供給工程とを含み、上記電圧供給工程に応じてナノワイヤを動かす、溶液中のナノワイヤを動かす方法。
【請求項113】
(c)電圧を与えられた電極セットの電圧供給を停止する電圧供給停止工程と、
(d)隣接する電極セットに電圧を与える電圧供給工程と、
(e)工程(c)〜(d)を繰り返す工程とをさらに含み、上記ナノワイヤを1つの方向に動かす、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
上記ナノワイヤを、電圧を与える方向に洗い流すことをさらに含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
上記電圧供給工程は、上記第1の電極と上記第2の電極との間にAC電場を生成することを含む、請求項112または113に記載の方法。
【請求項116】
上記AC電場を生成することは、約10Hz〜1kHzの周波数と約1〜10Vの振幅とを有するAC電場を生成することを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
(a)1つまたは複数のナノワイヤの懸濁液を、1つの電極対の近傍に供給するナノワイヤ供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程と、
(d)(i)第1の極性を有する第1の電極、および、第2の極性を有する第2の電極を備える1つの電極セットに電圧を与える工程と、(ii)電圧を与えた電極セットへの電圧供給を停止すると共に隣接する電極セットに電圧を与え、結合されていないナノワイヤを1つの方向に動かして、上記電極対から除去する工程とによって、上記電極対から結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去するナノワイヤ除去工程とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法。
【請求項118】
工程(b)の電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項122】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を、約1kHzから約500kHzまで増大させることを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を約2Vから約20Vまで増大させることを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項124】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vに増大させることを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項125】
工程(i)〜(ii)における電圧を与えることは、上記第1の電極と上記第2の電極との間にAC電場を生成することを含む、請求項117に記載の方法。
【請求項126】
上記AC電場を生成することは、約1Hz〜1kHzの周波数と約1〜10Vの振幅とを有するAC電場を生成することを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
工程(d)において、上記ナノワイヤを洗い流すことをさらに含む、請求項117に記載の方法。
【請求項128】
(a)1つまたは複数のナノワイヤの懸濁液を電極対の近傍に供給するナノワイヤ懸濁液供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程と、
(d)除去電極に電圧を与えることによって、上記電極対から結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去する工程であって、上記結合されていないナノワイヤを1つの方向に動かすと共に上記電極対から除去するナノワイヤ除去工程を含む、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法。
【請求項129】
工程(b)の電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項129に記載の方法。
【請求項132】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を、約1kHzから約500kHzまで増大させることを含む、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を約2Vから約20Vまで増大させることを含む、請求項132に記載の方法。
【請求項135】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項132に記載の方法。
【請求項136】
工程(d)における電圧を与えることは、上記除去電極においてDC電場を生成することを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項137】
上記DC電場を生成することは、約0.1Vから約10Vの振幅を有するDC電場を生成することを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
工程(d)における電圧を与えることは、上記除去電極においてAC電場を生成することを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項139】
上記AC電場を生成することは、約100Hzから約100kHzの周波数と約5〜150Vの振幅とを有するAC電場を生成することを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項140】
工程(d)における電圧を与えることは、上記除去電極において、DC電場およびAC電場を生成することを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項141】
上記DC電場を生成することは、約0.1Vから約10Vの振幅を有するDC電場を生成することを含み、上記AC電場を生成することは、約100Hzから約100kHzの周波数と約5〜150Vの振幅とを有するAC電場を生成することを含む、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
工程(d)における電圧を与えることは、
(i)上記除去電極においてAC電場を生成する工程と、
(ii)上記除去電極において、DC電場およびAC電場を生成する工程と、
(iii)上記除去電極においてAC電場を生成する工程とを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項143】
上記DC電場を生成する工程は、約0.1Vから約10Vの振幅を有するDC電場を印加することを含み、上記AC電場を生成する工程は、約100Hzから約100kHzの周波数と約5〜150Vの振幅とを有するAC電場を印加することを含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
工程(d)において、上記ナノワイヤを洗い流すことをさらに含む、請求項128に記載の方法。
【請求項145】
(a)1つまたは複数の導電性ナノワイヤ、および、1つまたは複数の半導電性ナノワイヤを含む溶液を、1つの電極対の近傍に供給する溶液供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記導電性ナノワイヤおよび上記半導電性ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記導電性ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程と、
(d)上記1つまたは複数の半導電性ナノワイヤを除去する半導電性ナノワイヤ除去工程とを含む、導電性ナノワイヤと半導電性ナノワイヤとの混合物から1つまたは複数の導電性ナノワイヤを分離する方法。
【請求項146】
上記電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
上記AC電場を生成することは、直接電気的接続を用いて、上記電極対に信号を供給することを含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
上記AC電場を生成することは、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
上記電圧供給工程および上記調節工程は、上記電極対に電磁波を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項150】
電磁波を供給することは、上記電極対に約1GHzから約5GHzの電磁波を供給することを含む、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項152】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項153】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約1kHzから約500kHzまで増大させることを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項154】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項155】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項156】
(a)複数のナノワイヤを含む懸濁液と、
(b)1つまたは複数の電極対と1つまたは複数のナノワイヤ付着領域とを含む基板と、
(c)電極対の間に交流(AC)電場を生成すると共に上記AC電場を調節する信号発生器とを含む、ナノワイヤを基板上に配置するシステム。
【請求項157】
上記複数のナノワイヤを含む懸濁液を、少なくとも1つの上記電極対と上記1つまたは複数のナノワイヤ付着領域の上とに流す手段をさらに含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項158】
上記ナノワイヤを可視化する光学的画像システムをさらに含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項159】
上記ナノワイヤ懸濁液の流量を制御する流量制御システムを含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項160】
上記流量制御システムは、上記基板の下側に結合されるように構成された取り付け具である、請求項159に記載のシステム。
【請求項161】
懸濁液中の上記ナノワイヤを上記基板上に動かすための1つまたは複数の電場電極をさらに含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項162】
上記ナノワイヤは、1つの核と1つまたは複数の殻層とを含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項163】
上記核は半導体を含み、少なくとも1つの上記殻層は金属を含む、請求項162に記載のシステム。
【請求項164】
上記1つまたは複数の電極対における信号を測定する信号監視デバイスと、上記信号がプリセット値に達した時にAC電場を停止させる手段とをさらに含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項165】
上記基板は、上記電極対の電極間に配置された1つまたは複数の金属要素を含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項166】
1つの電極対の第1の電極は、上記電極対の第2の電極よりも、大きなナノワイヤ接触面を含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項167】
上記ナノワイヤ付着領域は、約1cmと約100cmとの間の間隔によって分離されている、請求項156に記載のシステム。
【請求項168】
上記ナノワイヤ付着領域は正の電荷を帯びている、請求項156に記載のシステム。
【請求項169】
上記ナノワイヤ付着領域はAlまたは窒化物を含む、請求項156に記載のシステム。
【請求項170】
(a)1つまたは複数のナノワイヤの懸濁液を、基板上の1つの電極対の近傍に供給するナノワイヤ懸濁液供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程と、
(d)結合されていないナノワイヤを洗い流すことによって、上記電極対から結合されていない1つまたは複数のナノワイヤを除去して、上記結合されていないナノワイヤを上記基板上のナノワイヤ付着領域に付着させるナノワイヤ除去工程とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法。
【請求項171】
工程(b)における電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項174】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項170に記載の方法。
【請求項175】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約1kHzから約500kHzまで増大させることを含む、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を約2Vから約20Vまで増大させることを含む、請求項174に記載の方法。
【請求項177】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項174に記載の方法。
【請求項178】
(a)1つまたは複数のナノワイヤの懸濁液を、基板上の1つの電極対の近傍に供給するナノワイヤ懸濁液供給工程と、
(b)上記電極対に電圧を与えて、上記ナノワイヤを上記電極対に関連付ける電圧供給工程と、
(c)上記電極対への電圧供給を調節して、上記ナノワイヤを上記電極対上に結合させる調節工程と、
(d)結合されていない1つまたは複数のナノワイヤの懸濁液を除去して、上記結合されていないナノワイヤを上記基板上のナノワイヤ付着領域に付着させるナノワイヤ除去工程とを含む、1つまたは複数のナノワイヤを配置する方法。
【請求項179】
工程(b)における電圧供給工程は、上記電極対の間にAC電場を生成することを含む、請求項178に記載の方法。
【請求項180】
上記AC電場を生成することは、約10Hzから約5kHzの周波数においてAC電場を生成することを含む、請求項179に記載の方法。
【請求項181】
上記AC電場を生成することは、約0.5Vから約3Vの振幅においてAC電場を生成することを含む、請求項179に記載の方法。
【請求項182】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を調節すること、上記AC電場の振幅を調節すること、または、これら両方を含む、請求項178に記載の方法。
【請求項183】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約1kHzから約500kHzまで増大させることを含む、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
上記調節工程は、上記AC電場の振幅を約2Vから約20Vまで増大させることを含む、請求項182に記載の方法。
【請求項185】
上記調節工程は、上記AC電場の周波数を約500Hzから約100kHzまで増大させて、その後、上記AC電場の振幅を約1Vから約4Vまで増大させることを含む、請求項182に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図22F】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【公表番号】特表2010−506744(P2010−506744A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533413(P2009−533413)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/023625
【国際公開番号】WO2008/060455
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(504327085)ナノシス・インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】Nanosys, Inc.
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】