説明

ナビゲーションシステムおよび地点の選択方法

【課題】電子ペンなどの携帯入力装置と地図の印刷物とを好適に用いることで、ユーザが所望する施設を、ユーザがその施設の詳しい位置や正確な名称などを知らなくとも容易に、ナビゲーション本体において指定すること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、印刷物5に印刷された地図11中の範囲を指定する携帯入力装置4と、ナビゲーション本体2と、を有するものである。そして、ナビゲーション本体2は、携帯入力装置4により指定された範囲内に関連付けられている施設を表示する表示手段56と、表示手段56に表示された施設の内から、所望の地点を選択する選択手段68と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよび地点の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ナビゲーションシステムを開示する。このナビゲーションシステムの位置情報読取手段は、シート状の地図表示手段中において、位置情報指示手段により指示された位置の位置情報を読み取る。経路誘導装置は、この位置情報を用いて経路を誘導する。
【0003】
特許文献2は、ナビゲーション装置を開示する。このナビゲーション装置は、ディスプレイに地図を表示する。また、このナビゲーション装置は、表示地図においてタッチパネルにより指定された検索希望範囲内の、音声キーワードにより指定された施設の位置情報をディスプレイに表示する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−287432号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】特開2002−350151号公報(要約、図2、発明の詳細な説明など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、経路探索に用いる目的地などの地点を、印刷された地図上で電子ペンなどを用いて指定することで、ユーザによる目的地の設定が容易となるように思える。ユーザは、たとえば、ナビゲーション装置に施設名などを入力することで目的地を設定する場合に比べて、正確な施設名などを知らなくとも、所望の施設を容易に目的地に設定することができるように思える。この他にもたとえば、ユーザは、ナビゲーション装置の階層化された施設データベース内を探し回る煩雑な操作をしたり、特許文献2のように所定の地域を表示するための煩雑な地図の切り替え操作をしたりすることなく、所望の施設を容易に目的地に設定することができるように思える。ユーザは、施設の大まかな位置などを知っていれば、所望の施設を容易に目的地に設定することができるように思える。
【0006】
しかしながら、ユーザがナビゲーション装置の目的地として設定可能な施設は、多数存在する。特に、市街地や観光地などの地域にあっては、多数の施設が1つの場所に密集して存在している。このような事情があるため、ユーザが電子ペンを用いて地図上で指定した範囲内には、通常、複数の施設が含まれてしまうことになる。ユーザは、電子ペンを用いて、印刷された地図上でラフな指定をするだけでは、実際には、所望の施設を、目的地などとして特定することができない。
【0007】
もしも、特許文献1のように、印刷された地図上において所望の地点を電子ペンによる指定により目的地などとして指定可能とするためには、地図は、たとえば隣接する2つの施設が区別して指定可能となるものでなければならない。地図は、小さい縮尺のものとならざるを得ない。特に、地図上に各施設をマークにより表す場合には、それらのマーク同士が地図上で重ならないようにする必要がある。そのため、地図は、さらに小さい縮尺のものとする必要が生じる可能性がある。このような小さい縮尺の地図を用いたとき、地図帳は、たとえば町単位で異なる紙面に分けられた分厚いものとなる。ユーザは、町単位で異なる紙面に分けられた分厚い地図帳において所望の施設を探し、目的地などとして指定しなければならなくなる。結局のところ、ユーザは、施設の位置などに関して、事前に、詳しい情報を知っている必要がある。
【0008】
本発明は、電子ペンなどの携帯入力装置と地図の印刷物とを好適に用いることで、ユーザが所望する施設を、ユーザがその施設の詳しい位置や正確な名称などを知らなくとも容易に、ナビゲーション本体において指定することができるナビゲーションシステムおよび地点の選択方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るナビゲーションシステムは、印刷物に印刷された地図中の範囲を指定する携帯入力装置と、ナビゲーション本体と、を有するものである。そして、ナビゲーション本体は、携帯入力装置により指定された範囲内に関連付けられている施設を表示する表示手段と、表示手段に表示された施設の内から、所望の地点を選択する選択手段と、を有する。
【0010】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、地図が印刷される印刷物には、携帯入力装置が読み取ることで座標値へ変換可能な座標パターンが印刷される。また、ナビゲーション本体は、印刷物に印刷される座標パターンの座標値と対応付けて複数の施設の表示情報を記憶するデータベースから、携帯入力装置により指定された範囲内の座標値に対応付けられている施設の表示情報を抽出する抽出手段を有する。更に、表示手段は、抽出手段により抽出された施設の表示情報を、選択手段により選択可能に表示する。
【0011】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、印刷物の地図中には、座標パターンと重ねて、その地域の名称あるいは所定のマークが印刷される。また、データベースでは、所定のマークあるいは地域の名称と重なる座標パターンの座標値と対応付けて、その地域に存在する施設の表示情報が対応付けられている。
【0012】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、印刷物の地図中には、座標パターンと重ねて、施設の種類を表す複数の施設マークが並べて印刷される。また、データベースでは、各施設マークと重なる座標パターンの座標値と対応付けて、その種類の施設の表示情報が対応付けられている。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、データベースは、各施設の表示情報に、ナビゲーション本体で利用可能な、その施設の緯度経度を示す緯度経度情報が対応付けられている。また、ナビゲーション本体は、選択手段により選択された施設の、データベースにおける緯度経度情報を用いて案内経路を生成する案内経路生成手段を有する。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、データベースは、ナビゲーション本体と着脱可能な携帯記録媒体に記憶されており、印刷物と対応付けてユーザへ提供されるものである。
【0015】
本発明に係る地点の選択方法は、印刷物に印刷された地図中の範囲が携帯入力装置により指定されることで生成される範囲データを取得するステップと、取得した範囲データにより特定される範囲内に関連付けられている施設を表示するステップと、表示した施設の内から、所望の地点を選択するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、電子ペンなどの携帯入力装置と地図の印刷物とが、所望の地点を指定するために好適に用いられる。そのため、ユーザは、所望する施設を、その施設の詳しい位置や正確な名称などを知らなくとも容易に、ナビゲーション本体において指定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムおよび地点の選択方法を、図面に基づいて説明する。ナビゲーションシステムは、カーナビゲーションシステムを例に説明する。地点の選択方法は、カーナビゲーションシステムの動作の一部として説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示す構成図である。カーナビゲーションシステム1は、自動車に設置されるナビゲーション装置としてのナビゲーション本体2と、ナビゲーション本体2とUSB(Universal Serial Bus)ケーブル3により接続可能な携帯入力装置としての電子ペン4と、地図の印刷物としての地図帳5と、地図帳5の付録としてユーザへ提供される携帯記録媒体としての付録メモリカード6と、を有する。USBケーブル3は、通信ケーブルの一種である。
【0019】
図2は、図1中の地図帳5中の1枚の地図シート10である。地図シート10には、赤外線を透過するインクにより、地図11が印刷される。地図11中には、観光地である××高原の位置に、「××高原」の文字列12と、所定のマークの一種としてのホテルマーク(四角付きのH)13と、所定のマークの一種としてのレストランマーク(四角付きのR)14と、が印刷されている。また、地図シート10の下部には、地図11の印刷範囲外に、決定マーク15と、図中の施設マークの説明文16と、が印刷されている。
【0020】
地図シート10には、さらに、赤外線を吸収するインクにより、複数のドット21が印刷される。なお、地図シート10は、赤外線を反射する。
【0021】
図3は、地図シート10に印刷される1つの座標パターン22を示す紙面の拡大図である。赤外線を吸収するインクにより紙面に印刷される各ドット21は、図3に示すように、所定の一定間隔毎の縦基準線と横基準線との交点の位置を基準として、上下左右のいずれかつの方向(すなわち、4つの方向の中の1つの方向)へ少しずれた位置に印刷される。そして、各座標パターン22における36個のドット21のずれ方向の組合せは、少なくとも地図帳5に印刷されるすべての座標パターン22の中で唯一なものとされる。地図帳5に印刷される複数のドット21の中から任意の6×6個のドット21を選んだとき、その36個のドット21によるドット21のずれ方向の組合せは、地図帳5に印刷される他のすべてのドット21の組合せにおけるドット21のずれ方向の組合せと異なるものとなる。
【0022】
図4は、電子ペン4に内蔵される電子回路などを示すブロック図である。電子ペン4は、図1に示すように、ボールペンやシャープペンシルなどと同様なペン形状のハウジング31を有する。このペン形状のハウジング31内に、図4の電子回路が内蔵される。電子ペン4は、たとえば特表2005−510791号に開示される電子ペン4、あるいはそれと同等の電子ペン4によるなぞり位置の座標値を生成する機能を有するものである。
【0023】
電子ペン4に内蔵される電子回路は、赤外線LED32、筆圧センサ33、CMOSカメラ34、USBI/F(Interface)35、タイマ36、不揮発性メモリ37、マイクロコンピュータ38などを有する。
【0024】
図4に示すように、電子ペン4の赤外線LED32は、ボールペン軸39の先端およびその周囲へ赤外線を照射する。CMOSカメラ34は、地図シート10により反射される赤外線を受光する。CMOSカメラ34は、受光した赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38へ出力する。なお、電子ペン4は、ボールペン軸39の代わりに、書き込みができないスタイラスペン軸を有するものであってもよい。
【0025】
マイクロコンピュータ38には、図示外の制御プログラムを図示外のCPU(Central Processing Unit)が実行することで、読取データ生成部41と、読取データ送信部42と、が実現される。
【0026】
読取データ生成部41は、CMOSカメラ34から供給される赤外線画像(赤外線の強度分布パターンを有する画像)に含まれる6×6のドット21の像を特定し、その特定した6×6のドット21の組合せに1対1に対応する座標値、すなわち読み取った座標パターン22に1対1に対応する座標値を演算する。一例として、読取データ生成部41は、図2の地図シート10の左上隅を基準とする座標値を演算する。なお、読取データ生成部41は、地図帳5のすべてのページを仮想的な1枚のシート状に並べ、そのシートの所定の位置(たとえば左上隅)などを基準とする座標値を演算するようにしてもよい。
【0027】
また、読取データ生成部41は、演算した座標値と、筆圧センサ33により検出されるそのときの筆圧値(ボールペン軸39に作用するそのときの筆圧値)と、タイマ36により計測されるそのときの時刻とを、不揮発性メモリ37へ供給する。
【0028】
図5は、不揮発性メモリ37に記録される読取データ43のデータ構造を示す説明図である。図5において、各行は、読取データ43の1つのレコードに対応する。不揮発性メモリ37は、読取データ生成部41から上述したデータが供給されると、それらを1つのレコードとして読取データ43に追加する。読取データ43の各レコードは、電子ペン4が読み取った座標パターン22に対応する座標値を有する読取座標情報46と、筆圧センサ33により検出されたそのときの筆圧値を有するペン圧情報47と、タイマ36によるそのときの計測時刻を有する読取時刻情報48と、を有する。なお、図5の読取データ43は、図2の地図11中のホテルマーク13の周囲を円でなぞった筆跡データである。筆跡データは、複数のレコードで構成される。
【0029】
読取データ送信部42は、USBケーブル3により、電子ペン4のUSBI/F35と、他の機器(図1では、ナビゲーション本体2)の後述するUSBI/F58とが接続されると、不揮発性メモリ37に記録される読取データ43を、他の機器へ送信する。なお、電子ペン4やナビゲーション本体2は、USBI/F35,58の代わりに、たとえばブルートゥースなどの無線通信I/Fを備えるものであってもよい。この変形例の場合、読取データ送信部42は、無線通信I/F同士が互いを認識すると、不揮発性メモリ37に記録される読取データ43を、他の機器へ送信すればよい。
【0030】
図6は、図1中のナビゲーション本体2の構成を示すブロック図である。ナビゲーション本体2は、ジャイロセンサ51、GPS(Global Positioning System)受信機52、HDD(ハードディスクドライブ)53、キーデバイス54、タッチパネル55、表示手段としての液晶デバイス56、一時メモリ57、USBI/F58、メモリカードI/F59、マイクロコンピュータ60などを有する。また、図6中には、地図帳5の付録として提供される付録メモリカード6が、ナビゲーション本体2に挿入された状態で記述されている。
【0031】
図1に示すように、ナビゲーション本体2のフロントパネルには、液晶デバイス56と、キーデバイス54の複数の入力ボタン61とが配設される。また、液晶デバイス56の表示部の前面には、タッチパネル55が配設される。フロントパネルの裏側には、図示外のメモリカード挿入口と、USBI/F58と、が配設される。このUSBI/F58には、電子ペン4のUSBI/F35に接続されたUSBケーブル3が接続可能である。
【0032】
ジャイロセンサ51は、そのX軸,Y軸およびZ軸の軸方向での加速度を検出する。つまり、ジャイロセンサ51は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の軸方向での加速度を検出する。
【0033】
GPS受信機52は、GPS衛星が送信するGPS電波を受信し、緯度経度データを生成する。つまり、GPS受信機52は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の緯度経度データを生成する。
【0034】
HDD53は、ナビゲーション本体2が単独で経路探索および経路案内を実行するために必要となるデータを記録する。このようなデータとしては、たとえば、ナビゲーションデータ65、目的地設定に基づいて生成した案内経路データ66などがある。
【0035】
ナビゲーションデータ65は、たとえば表示地図データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数の施設データなどを有する。
【0036】
ナビゲーションデータ65中の表示地図データは、液晶デバイス56に道路地図を表示するためデータであり、たとえば所定の縮尺での日本全国の道路地図をデータ化したものである。ナビゲーションデータ65中の表示地図データは、たとえば所定のメッシュサイズでの複数のテクスチャデータにより構成される。各テクスチャデータには、そのテクスチャデータの位置を示す緯度経度データなどが対応付けられている。
【0037】
ナビゲーションデータ65中のノードデータは、表示地図データが網羅する地域中の自動車が通過可能な道路の交差点や曲がり角のデータである。ノードデータは、固有のノード名や、それが対応する交差点や曲がり角の緯度経度データなどを有する。また、ノードデータには、対応する交差点などの交差点名などが属性情報として対応付けられている。
【0038】
ナビゲーションデータ65中のリンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータである。リンクデータは、固有のリンク名や、それが接続される複数のノードのノード名などが対応付けられる。また、ノードデータおよびリンクデータには、対応する道路の道路名(たとえば国道○○号線、県道△△号線など)などが属性情報として対応付けられている。
【0039】
ナビゲーションデータ65中の施設データは、表示地図データが網羅する地域中の施設や場所、たとえばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行などの金融機関、学校、神社などに対応付けられるデータである。施設データは、たとえば対応する施設の名称、種類、緯度経度などの属性情報を有する。
【0040】
メモリカードI/F59は、ナビゲーション本体2に挿入された付録メモリカード6からデータを読み込む。ナビゲーション本体2に挿入される付録メモリカード6は、たとえば地図帳5とともに、たとえばカーナビゲーションシステム1の提供元や出版社などから供給されるものである。付録メモリカード6は、たとえばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリや、そのメモリへのデータI/Fなどを有する。そして、この付録メモリカード6は、施設データベース71を記録する。
【0041】
図7は、図6中の施設データベース71のデータ構造を示す説明図である。施設データベース71は、地図帳5に印刷される座標パターン22の座標値と対応付けて複数の施設の表示情報を記憶するものである。すなわち、施設データベース71は、表示情報として、地図帳5に印刷される地域内の複数の施設の施設名情報72を有する。また、複数の施設名情報72には、それぞれの施設の緯度経度値を示す緯度経度情報73が1対1に対応付けられている。この緯度経度値は、ナビゲーション本体2に記録されるナビゲーションデータ65と整合する座標系によるものである。
【0042】
また、複数の施設名情報72は、施設の地域情報74および施設の種類(ジャンル)情報75により分類され、その分類毎に座標情報76が対応付けられる。図7においてたとえば、「ペンションA」の施設と「民宿B」の施設などは、「××高原」の宿泊施設74,75に分類され、同じ座標情報76に対応付けられている。この座標情報76は、地図11中に印刷されたホテルマーク13と重なる座標パターン22の座標値を有する。また、「寿司A」の施設は、「××高原」のレストラン74,75に分類され、「ペンションA」の施設の施設とは異なる座標情報76に対応付けられている。この座標情報76は、地図11中に印刷されたレストランマーク14と重なる座標パターン22の座標値を有する。レストランマーク14と重なる座標パターン22の座標値は、ホテルマーク13と重なる座標パターン22の座標値と異なる。
【0043】
図6中の一時メモリ57は、たとえばフラッシュメモリなどの半導体メモリなどにより構成される。一時メモリ57は、取得読取データ63、抽出施設リスト64などを記録する。
【0044】
取得読取データ63は、電子ペン4から受信した読取データ43である。図2の地図11中のホテルマーク13の周囲を電子ペン4で円になぞった場合、取得読取データ63は、図5の読取データ43と同じデータを有する。
【0045】
図8は、図6中の抽出施設リスト64の一例を示す図である。抽出施設リスト64は、取得読取データ63に基づいて抽出された施設情報を有する。図8の抽出施設リスト64は、抽出された施設情報として、施設毎の施設名情報72、施設の緯度経度情報73、地域情報74および種類情報75を有する。これらの施設情報は、施設データベース71における同名の情報と同じ内容のものである。図8の例の抽出施設リスト64は、図7中の××高原の宿泊施設の施設情報72〜75と一致している。
【0046】
ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ60は、図示外のメモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、ジャイロセンサ51、GPS受信機52、HDD53、キーデバイス54、タッチパネル55、液晶デバイス56、一時メモリ57、USBI/F58、メモリカードI/F59などが接続される。ナビゲーション本体2のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ60には、現在位置データ生成部67と、 選択手段および案内経路生成手段としてのUI(User Interface)部68と、データ取得部69と、抽出手段としてのデータ処理部70と、が実現される。
【0047】
なお、このナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ60が実行する制御プログラムは、ナビゲーション本体2の出荷前に、マイクロコンピュータ60のメモリなどに記録されたものであっても、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ60のメモリなどに記録されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ60のメモリなどに記録されたものであってもよい。ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ60のメモリなどに記録される制御プログラムは、たとえばメモリカードやCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。上述した電子ペン4のマイクロコンピュータ38が実行する制御プログラムについても、同様である。
【0048】
現在位置データ生成部67は、GPS受信機52が生成する緯度経度データや、ジャイロセンサ51が生成する加速度データに基づいて、ナビゲーション本体2が設置される自動車の現在位置データを生成する。現在位置データは、現在位置の緯度経度情報を有する。
【0049】
データ取得部69は、ナビゲーション本体2のUSBI/F58を用いて、電子ペン4がUSBI/F58へ送信する読取データ43を取得する。データ取得部69は、USBI/F58が受信した読取データ43を取得し、一時メモリ57に記録させる。一時メモリ57は、これを取得読取データ63として記録する。
【0050】
データ処理部70は、電子ペン4により指定された範囲内の座標値に対応付けられている施設情報を抽出する抽出手段である。すなわち、データ処理部70は、一時メモリ57に記録される取得読取データ63に基づいて、施設データベース71から施設情報72〜75を抽出し、抽出した施設情報72〜75を、抽出施設リスト64として一時メモリ57に記録させる。
【0051】
UI部68は、案内経路データ66を生成したり、液晶デバイス56の表示を制御したりする。具体的にはたとえば、UI部68は、抽出施設リスト64を液晶デバイス56に表示させる。UI部68は、キーデバイス54やタッチパネル55からの操作データに基づいて、液晶デバイス56に表示した抽出施設リスト64の中から目的地などを選択する。また、UI部68は、選択した目的地などを用いて案内経路を生成し、生成した案内経路を液晶デバイス56に表示させる。
【0052】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。以下の動作説明は、ユーザが、電子ペン4により図2の地図11中のホテルマーク13の周囲をなぞり、さらにナビゲーション本体2において「ペンションA」を経路探索の目的地として選択する場合を例に説明する。
【0053】
ユーザが電子ペン4により図2の地図11中のホテルマーク13の周囲をなぞるとき、電子ペン4のCMOSカメラ34は、地図シート10により反射される赤外線を受光し、複数の強度分布データを順番に、マイクロコンピュータ38へ出力する。読取データ生成部41は、各強度分布データにより6×6のドット21の像を特定し、電子ペン4によりなぞった位置の座標値を演算する。不揮発性メモリ37には、この読取データ生成部41が強度分布データ毎に生成する複数の座標値が、読取データ43として蓄積される。すなわち、不揮発性メモリ37には、図5に示すように、地図11中のホテルマーク13の周囲の複数の座標値が、読取データ43として蓄積される。その後、たとえば図2の地図シート10中の決定マーク15がなぞられると、読取データ生成部41は、読取データ43の更新処理を終了する。不揮発性メモリ37には、確定した読取データ43が格納される。なお、ここでは、ホテルマーク13をなぞる動作について説明したが、なぞる以外にホテルマーク13をペン先でタッチすることにより、ホテルマーク13に対応している座標を読取データ43として蓄積するような処理としてもよい。
【0054】
電子ペン4による読取作業を終えると、ユーザは、USBケーブル3を用いて、その電子ペン4をナビゲーション本体2に接続する。これにより、電子ペン4のUSBI/F35およびナビゲーション本体2のUSBI/F58は、たとえばUSBマスストレージクラスなどにより、データの送受信が可能な状態となる。電子ペン4の読取データ送信部42は、不揮発性メモリ37から読取データ43を読込み、ナビゲーション本体2へ送信する。読取データ送信部42が送信した読取データ43は、電子ペン4のUSBI/F35およびUSBケーブル3を介して、ナビゲーション本体2のUSBI/F58へ送信される。ナビゲーション本体2のデータ取得部69は、USBI/F58が受信した読取データ43を取得し、取得読取データ63として一時メモリ57に記録させる。これにより、ナビゲーション本体2の一時メモリ57には、電子ペン4の読取データ生成部41が生成した読取データ43と同じデータが保存される。なお、電子ペン4は、予めナビゲーション本体2に接続され、電子ペン4の読取り中に、読取データ43は、読取データ送信部42により逐次送信され、ナビゲーション本体2の一時メモリ57にされるようにしてもよい。
【0055】
図9は、図6のナビゲーション本体2が新たな取得読取データ63を受信した場合に実行する一連の処理の流れを示すフローチャートである。一時メモリ57に、新たな未処理の取得読取データ63が保存されると(ステップST1でYesとなると)、ナビゲーション本体2のデータ処理部70は、抽出施設リスト64の生成処理を開始する(ステップST2)。
【0056】
抽出施設リスト64の生成処理(ステップST2)において、データ処理部70は、まず、電子ペン4により指定された範囲を特定する。具体的にはたとえば、データ処理部70は、取得読取データ63の複数の座標値を読み込み、その複数の座標値により囲まれた所定の形状の座標値範囲(たとえば筆跡に内接する四角形の範囲)を特定する。なお、データ処理部70は、取得読取データ63の複数の座標値を含む所定の形状の座標値範囲(たとえば筆跡に外接する四角形の範囲)を特定するようにしてもよい。
【0057】
電子ペン4により指定された座標値範囲を特定した後、データ処理部70は、施設データベース71から座標情報76を読み込み、特定した座標値範囲内の座標値を有する座標情報76を特定する。具体的にはたとえば、データ処理部70は、メモリカードI/F59に、付録メモリカード6に記録される施設データベース71の座標情報76を順次取得させ、その取得された座標情報76と、特定した座標値範囲とを比較する。
【0058】
そして、メモリカードI/F59に取得させた座標情報76が座標値範囲内である場合、データ処理部70は、さらにメモリカードI/F59にその座標情報76と対応付けられている施設情報を取得させる。メモリカードI/F59は、付録メモリカード6に記録される施設データベース71から、その座標情報76に対応付けられているすべての施設の施設情報、たとえば施設の地域情報74、種類情報75、施設名情報72および緯度経度情報73を読み込む。データ処理部70は、メモリカードI/F59が読み込んだすべての施設の施設情報72〜75を、抽出施設リスト64に追加する。
【0059】
また、データ処理部70は、この座標情報76による判断処理を、施設データベース71のすべての座標情報76について実行する。これにより、一時メモリ57中の抽出施設リスト64には、特定した座標値範囲内の座標情報76に対応付けられたすべての施設の施設情報72〜75が抽出されて格納される。抽出施設リスト64には、抽出された各施設の地域情報74、種類情報75、施設名情報72および緯度経度情報73が格納される。
【0060】
なお、たとえば施設データベース71において、複数の座標情報76が地図帳5のページ単位で分類されている場合、データ処理部70は、特定した座標値範囲に対応するページを特定し、そのページ内の座標値を有する座標情報76についてのみ、特定した座標値範囲との対比判断を実行するようにしてもよい。これにより、抽出施設リスト64の生成処理にかかる時間を短縮することができる。
【0061】
データ処理部70による抽出施設リスト64の生成処理(ステップST2)が終わると、抽出施設リスト64には、電子ペン4により指定された座標値範囲内の座標情報76に対応付けられたすべての施設の施設情報72〜75が格納される。たとえば図2の地図11中のホテルマーク13の周囲を電子ペン4で円になぞった場合、抽出施設リスト64には、図8に示すように、××高原の宿泊施設の施設情報72〜75が格納される。UI部68は、抽出施設リスト64に格納されている複数の施設名情報72を読み込み、液晶デバイス56に表示させる(ステップST3)。
【0062】
図10は、図6中の液晶デバイス56に表示される抽出施設リスト64の表示画面の一例を示す図である。図10の画面中央には、抽出施設リスト64中の4つの施設の施設名情報72が一覧表示されている。また、画面上部には、抽出した地域を示す「地域名××高原周辺」の文字列と、抽出した施設の種類を示す「ジャンル名 宿泊施設」の文字列とが表示される。UI部68は、抽出施設リスト64の情報を読み込んで、これらの情報を表示する。この表示により、ユーザは、電子ペン4を用いて地図11上で指定した所望の地域の施設が正しく抽出されていることを知ることができる。UI部68は、抽出施設リスト64を表示させた後、入力操作待ち状態となる(ステップST4)。
【0063】
ユーザは、図10の抽出施設リスト64の表示画面が液晶デバイス56に表示されている状態でタッチパネル55を操作する。ユーザは、表示されている複数の施設名情報72の中の1つを選択する操作をした上で、目的地設定ボタンを操作する。ユーザは、たとえば、表示されている「ペンションA」を選択する操作をした上で、目的地設定ボタン81を操作する。
【0064】
UI部68は、タッチパネル55から操作データが入力されると(ステップST4でYesとなると)、その操作内容を判断し、経路探索に用いる地点を特定する。UI部68は、たとえば操作データに基づいて「ペンションA」が選択された上で目的地設定ボタン81が操作されたと判断すると、施設名情報72が「ペンションA」である施設を、経路探索の目的地に選択する(ステップST5)。
【0065】
経路探索に用いる目的地を選択した後、UI部68は、その特定した目的地までの案内経路の生成処理を開始する(ステップST6)。UI部68は、まず、抽出施設リスト64から、選択された施設名情報72に対応付けられている緯度経度情報73を読み込む。次に、UI部68は、ナビゲーションデータ65のノードデータおよびリンクデータなどを使用して、現在位置から、読み込んだ緯度経度情報73の地点まで向かう案内経路を探索する。UI部68は、探索した経路を、HDD53に保存する。これにより、HDD53には、ユーザが抽出施設リスト64から選択した施設名情報72の施設、ここでは「ペンションA」まで向かう案内経路データ66が記録される。
【0066】
案内経路を探索した後、UI部68は、探索した経路を、液晶デバイス56に表示する(ステップST7)。UI部68は、たとえば探索した経路の全体を含む縮尺の地図データを、ナビゲーションデータ65から読み込み、その読み込んだ地図上に経路を割り付けた画面を、液晶デバイス56に表示させる。
【0067】
図11は、現在位置から抽出施設リスト64から選択した目的地までの案内経路を表示する表示画面の一例を示す図である。図11において、現在位置および目的地は、四角形の図形により表示され、案内経路は、太線で表示される。また、目的地の近くには、選択した施設の施設名である「ペンションA」が表示されている。
【0068】
その後、自動車が移動し始めたり、所定の案内開始操作がなされたりすると、UI部68は、その経路による案内を開始する(ステップST8)。UI部68は、液晶デバイス56に、たとえばナビゲーションデータ65に基づく地図上に、現在位置データ生成部67が生成する現在位置を示すマークと、案内経路の一部とを重ねて表示させる。UI部68は、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。また、UI部68は、現在位置データ生成部67が生成する現在位置が案内経路を外れたと判断すると、ナビゲーションデータ65を利用して案内経路を再探索し、案内を続ける。
【0069】
以上のように、この実施の形態のカーナビゲーションシステム1では、電子ペン4は、地図帳5中の所定の施設マーク13,14の周囲をなぞることにより範囲を指定する。また、ナビゲーション本体2の液晶デバイス56は、施設データベース71においてその施設マーク13,14に関連付けられている施設の施設名情報72を表示する。さらに、UI部68は、その表示された施設名情報72の中から目的地を選択する。
【0070】
したがって、ユーザは、地図11中の訪れたい所望の施設の近くにある施設マーク13,14の周囲を電子ペン4でなぞり、さらにナビゲーション本体2に表示される施設名情報72の中から、訪れたい所望の施設を選択することができる。電子ペン4とナビゲーション本体2との連係により、ユーザは、訪れたい所望の施設の詳しい位置や正確な名称などを知らなくとも、電子ペン4によるラフな範囲指定により、その施設を経路探索の目的地として容易に指定することができる。
【0071】
特に、ユーザは、地図シート10において、電子ペン4により所望の施設の範囲を指定することができる。ユーザは、液晶デバイス56の表示画面より広い範囲の地域が印刷された地図シート10において、訪れたい施設が存在する地域を厳密に意識することなく、周囲を俯瞰しながら地域を指定することができる。
【0072】
これに対してたとえば、電子ペン4により地図11中の所望の施設を目的地として選択する場合、ユーザはその施設の所在地を地図11中で特定しなければならない。そのためには、ユーザは、事前に、目的地に設定したい施設の詳しい住所などを知っている必要がある。この他にもたとえば、従来のナビゲーション装置のように液晶デバイス56の表示を切り替えて所望の施設を目的地に設定する場合、ユーザは、その所望の施設を目的地に設定する前に、探し出す必要がある。そのためには、ユーザは、複数の施設データが施設の種類などにより階層化されたナビゲーションデータ65内を探し回る煩雑な操作をしたり、その施設を表示するための煩雑な地図の切り替え操作をしたり、その施設の正確な名称を入力したりする必要がある。これらの操作をする場合でも、ユーザは、事前に、目的地に設定したい施設の所在地などを詳しく知っている必要がある。
【0073】
また、この実施の形態の地図帳5には、座標値へ変換可能な複数の座標パターン22が印刷される。また、施設データベース71において、複数の施設情報には、座標値が対応付けられている。したがって、電子ペン4として、印刷された座標パターン22を座標値へ変換するものを使用することができる。電子ペン4は、ナビゲーションシステム1専用のものとする必要がない。
【0074】
また、この実施の形態の地図帳5には、地図11中にたとえば「××高原」などの地域の名称12と、ホテルマーク13などの施設マーク13,14とが並べて印刷される。また、施設データベース71において、その地域のその施設マーク13,14に対応する施設は、その施設マーク13,14と重ねて印刷される座標パターン22の座標値に対応付けられている。したがって、地図11中には、目的地として選択可能なすべての施設を表示する必要はない。地図11は、図2に示すように、広い地域を表示する大きい縮尺のものとすることができる。このような大きな縮尺の地図11において、ユーザは、所望の施設が存在すると推察される地点の近くにある施設マーク13,14を選択することで、その所望の施設を目的地として設定することができる。
【0075】
また、この実施の形態の地図11中には、施設の種類を表す複数の施設マーク13,14が並べて印刷される。また、施設データベース71において、複数の施設情報72〜75には、その施設マーク13,14毎に異なる座標値に対応付けられている。したがって、ユーザは、その複数の施設マーク13,14全体を囲むように選択することでその地域のすべての施設を選択したり、1つの施設マーク13,14を囲むように選択することでその地域のその種類の施設のみを選択したりすることができる。ユーザは、目的地に設定する施設の種類が予め判っている場合、ナビゲーション本体2に一覧表示される施設の個数を減らすことができる。ユーザは、ナビゲーション本体2に、目的に応じた一覧表示をさせることができる。
【0076】
また、この実施の形態の施設データベース71において、各施設名情報72には、それぞれの施設の緯度経度情報73が対応付けられている。また、ナビゲーション本体2のUI部68は、この緯度経度情報73を用いて案内経路を生成する。したがって、ナビゲーション本体2において、ユーザが選択した目的地の正確な緯度経度情報73が得られないということはない。UI部68は、ユーザが選択した目的地の施設がナビゲーションデータ65に登録されていない場合であっても、必ず、その目的地までの案内経路を生成することができる。
【0077】
また、この実施の形態では、施設データベース71は、ナビゲーション本体2と着脱可能な付録メモリカード6に記録されている。また、この付録メモリカード6は、地図帳5の付録としてユーザへ提供される。したがって、ユーザは、ナビゲーション本体2に記録されていない施設を目的地に設定することができる。ユーザは、たとえばナビゲーション本体2の出荷後にできた観光名所や店舗などの施設を、目的地として設定することができる。
【0078】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0079】
上記実施の形態では、ナビゲーション本体2の読取データ生成部41は、電子ペン4により囲まれた紙面の範囲を特定し、その特定した範囲内の座標値に対応付けられた施設情報72〜75を抽出している。この他にもたとえば、読取データ生成部41は、電子ペン4によりチェックされた部位を含む紙面の範囲を特定し、その特定した範囲内の座標値に対応付けられた施設情報72〜75を抽出するようにしてもよい。
【0080】
上記実施の形態では、UI部68は、液晶デバイス56に表示する複数の施設名情報72の中の1つを目的地として選択している。この他にもたとえば、UI部68は、液晶デバイス56に表示する複数の施設名情報72の中の1つを、経路探索の出発地や経由地などとして選択するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、UI部68は、液晶デバイス56に表示する複数の施設名情報72の中の1つを、施設情報を表示(出力)するための所望の地点として選択するようにしてもよい。
【0081】
上記実施の形態の施設データベース71において、各施設情報72〜75は、それが対応する施設マーク13,14と重ねて印刷される座標パターン22の座標値に対応付けられている。この他にもたとえば、各施設情報72〜75は、施設データベース71において、それが対応する「××高原」などの地域の名称12と重ねて印刷される座標パターン22の座標値に対応付けられていてもよい。また、このように各施設情報72〜75に地域の名称12の座標値を対応付ける場合、地図11中に施設マーク13,14を印刷しなくてもよい。この場合、電子ペン4によって「××高原」などの地域の名称12をなぞることにより、当該地域に関連付けられた施設をナビゲーション本体2の液晶デバイス56に表示させることができる。
【0082】
上記実施の形態の地図11には、施設の分類毎の施設マーク13,14が印刷される。また、施設データベース71において、複数の施設名情報72および緯度経度情報73は、地域毎および施設の種類毎に分類され、分類毎に異なる座標値76に対応付けられている。この他にもたとえば、地図11中あるいは地図11外に、施設のたとえば規模、営業時間などの経営形態毎の施設マークを印刷し、且つ、複数の施設名情報72および緯度経度情報73は、その経営形態毎に分類され、その分類毎に異なる座標値に対応付けられていてもよい。
【0083】
上記実施の形態の液晶デバイス56は、抽出施設リスト64中の複数の施設名情報72を一覧表示する。この他にもたとえば、液晶デバイス56は、抽出施設リスト64中の複数の施設名情報72を、その地域の地図上にそれぞれの緯度経度情報73により分布配置して表示するようにしてもよい。
【0084】
上記実施の形態の施設データベース71は、付録メモリカード6に記録され、ナビゲーション本体2に挿入されて使用される。この他にもたとえば、施設データベース71は、ナビゲーション本体2のHDD53に記録されていても、CD−ROMなどの他の種類のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されていてもよい。さらに他にもたとえば、施設データベース71は、ナビゲーション本体2が無線通信回線やインターネットなどを介してアクセス可能なサーバ上に記録されていてもよい。
【0085】
上記実施の形態の施設データベース71は、各施設の基本的な施設情報として、施設名情報72と緯度経度情報73とを有する。この他にもたとえば、施設データベース71は、各施設の基本的な施設情報として、その施設の営業日、営業時間、施設利用料金、施設の案内や広告などの付属情報を併せて記憶し、UI部68は、その施設が選択された場合に、それらの付属情報を液晶デバイス56に表示させるようにしてもよい。
【0086】
上記実施の形態では、電子ペン4が生成する読取データ43は、自動車に設置されるナビゲーション本体2により利用されている。この他にもたとえば、電子ペン4が生成する読取データ43は、GPS受信機を有する携帯電話端末などの携帯端末により、経路探索に用いる地点を抽出するために利用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、案内経路を生成するナビゲーション本体において、目的地、経由地、出発地などの地点を設定するために好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示す構成図である。
【図2】図2は、図1の地図帳中の1枚の地図シートである。
【図3】図3は、図2の地図シートに印刷される1つの座標パターンを示す紙面の拡大図である。
【図4】図4は、図1中の電子ペンに内蔵される電子回路などを示すブロック図である。
【図5】図5は、図4中の不揮発性メモリに記録される読取データのデータ構造を示す説明図である。
【図6】図6は、図1中のナビゲーション本体の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6中の施設データベースのデータ構造を示す説明図である。
【図8】図8は、図6中の抽出施設リストの一例を示す図である。
【図9】図9は、図6のナビゲーション本体により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、図6中の液晶デバイスに表示される抽出施設リストの表示画面の一例を示す図である。
【図11】図11は、図6中の液晶デバイスに表示される案内経路の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 カーナビゲーションシステム(ナビゲーションシステム)
2 ナビゲーション本体
4 電子ペン(携帯入力装置)
5 地図帳(印刷物)
6 付録メモリカード(携帯記録媒体)
12 「××高原」の文字列(印刷された地域の名称)
13 ホテルマーク(印刷された施設マークの一種)
14 レストランマーク(印刷された施設マークの一種)
22 座標パターン
56 液晶デバイス(表示手段)
68 UI部(選択手段、案内経路生成手段)
70 データ処理部(抽出手段)
71 施設データベース(データベース)
72 施設名情報(施設の表示情報)
73 緯度経度情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物に印刷された地図中の範囲を指定する携帯入力装置と、
上記携帯入力装置により指定された範囲内に関連付けられている施設を表示する表示手段、および、上記表示手段に表示された施設の内から、所望の地点を選択する選択手段を有するナビゲーション本体と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記地図が印刷される前記印刷物には、前記携帯入力装置が読み取ることで座標値へ変換可能な座標パターンが印刷され、
前記ナビゲーション本体は、前記印刷物に印刷される上記座標パターンの座標値と対応付けて複数の施設の表示情報を記憶するデータベースから、前記携帯入力装置により指定された範囲内の座標値に対応付けられている施設の表示情報を抽出する抽出手段を有し、更に、
前記表示手段は、上記抽出手段により抽出された施設の表示情報を、前記選択手段により選択可能に表示すること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記印刷物の前記地図中には、前記座標パターンと重ねて、その地域の名称あるいは所定のマークが印刷され、
前記データベースでは、上記所定のマークあるいは上記地域の名称と重なる前記座標パターンの座標値と対応付けて、その地域に存在する前記施設の表示情報が対応付けられていること、
を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記印刷物の前記地図中には、前記座標パターンと重ねて、施設の種類を表す複数の施設マークが並べて印刷され、
前記データベースでは、上記各施設マークと重なる前記座標パターンの座標値と対応付けて、その種類の前記施設の表示情報が対応付けられていること、
を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記データベースは、前記各施設の表示情報に、前記ナビゲーション本体で利用可能な、その施設の緯度経度を示す緯度経度情報が対応付けられており、
前記ナビゲーション本体は、前記選択手段により選択された施設の、前記データベースにおける上記緯度経度情報を用いて案内経路を生成する案内経路生成手段を有すること、
を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記データベースは、前記ナビゲーション本体と着脱可能な携帯記録媒体に記憶されており、前記印刷物と対応付けてユーザへ提供されるものであることを特徴とする請求項5記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
印刷物に印刷された地図中の範囲が携帯入力装置により指定されることで生成される範囲データを取得するステップと、
取得した上記範囲データにより特定される範囲内に関連付けられている施設を表示するステップと、
表示した施設の内から、所望の地点を選択するステップと、
を有することを特徴とする地点の選択方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−32213(P2010−32213A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318744(P2006−318744)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】