説明

ナビゲーション装置、方法及びプログラム

【課題】誘導経路を逸脱することなく、走行している期間に、運転者が円滑に誘導経路を別のものへ変更できるようにする。
【解決手段】誘導経路からの逸脱時に(S39)、現在地から目的地への複数の経路を探索して(S42)、その1つを誘導経路として運転者に選択させる。ユーザの選択により誘導経路が決まると(S44)、誘導経路に基づき目的地への案内を開始する(S47)。誘導経路を逸脱することなく走行中、タッチスクリーン式の表示部27の画面には、地図上に誘導経路の探索経路と共に、その他の探索経路、さらに、経路選択ボタンが表示される(S48)。各選択ボタンには、対応する経路についての所要距離及び所要時間等の情報が表示されている。運転者が選択ボタンを押すと(S49)、その経路へ誘導経路が変更されてから、経路案内(S47)へ戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路の変更を円滑化するナビゲーション装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に搭載されて該車両を誘導経路に基づき目的地へ誘導するナビゲーション装置を開示する(特許文献1の段落0027)。該ナビゲーション装置によれば、ユーザの車両が誘導経路から逸脱すると、「誘導経路へ戻る経路」以外に、例えば、「次の高速道路入り口を使用する経路」や、「一般道を優先する経路」を探索して、それらを地図画面に表示し、ユーザが、誘導経路へ戻る経路とは別に、「次の高速道路入り口を使用する経路」や、「一般道を優先する経路」を選択できるようにしている(特許文献1の段落0030及び図5→図6)。これにより、ユーザは、誘導経路を間違って逸脱したのではなく、意図的に逸脱した場合にも、自分の意図に適う経路へ誘導経路を切替えることができる(特許文献1の段落0050)。
【0003】
図8は従来のカーナビゲーション装置110の概略ブロック図、図9は図8のカーナビゲーション装置110の処理制御部118の各ブロックの機能により処理が実行されるカーナビゲーション方法135のフローチャートである。カーナビゲーション装置110のブロックにおいて、本発明の後述の実施例のカーナビゲーション装置10(図1)のブロックと同一のものついてはカーナビゲーション装置10のブロックと同一の符号で指示する。また、カーナビゲーション方法135のステップにおいて、本発明の後述の実施例のカーナビゲーション方法35(図2)のステップと同一のものついてはカーナビゲーション方法35のステップと同一の符号で指示する。カーナビゲーション装置110では、カーナビゲーション装置10の時間記憶部24が省略されている。カーナビゲーション方法135では、カーナビゲーション方法35のS48,S49が省略されている。
【0004】
図8のカーナビゲーション装置110の処理制御部118内の各ブロックは、ソフトウェアにより実現され、図9のカーナビゲーション方法135対応のステップの処理に対応する機能を備える。処理制御部118の各ブロックとカーナビゲーション方法135のステップとの対応関係については、後述の図1の処理制御部18のブロックと図2のカーナビゲーション方法35のステップとの対応関係において説明する。ただし、カーナビゲーション方法135では、カーナビゲーション方法35のS48,S49の処理が省略されているので、カーナビゲーション装置110のブロックは、それと符号が同一であるカーナビゲーション方法35のブロックに対して、省略されたステップの処理は実施しない。
【0005】
カーナビゲーション方法135の主要点について説明する。カーナビゲーション方法135では、S39で車両が誘導経路から逸脱したと判定されると、S42で、逸脱経路上の現在地から目的地への複数経路が再探索された後、S43でそれら複数経路が表示部27に表示される。この時の画面を図10に示す。該画面では、現在地から目的地への複数経路A,B.Cが異なる線種で地図上に表示される。また、経路A,B.Cを選択する選択ボタンが画面の隅に表示されている。表示部27はタッチスクリーンから構成され、運転者は、画面上の選択ボタンA,B,Cのいずれかを指で押すことにより経路A,B,Cの中から所望の1つを選択する。
【0006】
図9に戻って、S44で、運転者がそれら複数経路の中から1つを誘導経路として選択しだい、S47へ進む。これに伴い、表示部27の画面からは、誘導経路を残して、他の経路は消去される。例えば、図10の画面から経路Aが選択されると、経路B,Cは該画面から消去される。また、選択ボタンA〜Cも該画面から一斉に消去される。
【特許文献1】特開2006−3328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のカーナビゲーション装置では、カーナビゲーション装置110と同様に、誘導経路逸脱後、複数経路が、再探索され、画面に表示されるが、運転者が誘導経路を選択すると、選択されなかった再探索経路は直ちに画面から消去される(特許文献1の段落0033)。特許文献1のカーナビゲーション装置では、また、運転者が、明示的に誘導経路を選択しなかった場合には、その後の車両進路から逸れた再探索経路は速やかに画面から消失させている(特許文献1の段落0035)。
【0008】
運転者は、最初に選択した誘導経路による目的地への誘導期間において、適宜、誘導経路を別のものへ変更したくなることがある。特許文献1のカーナビゲーション装置やカーナビゲーション装置110等の従来のナビゲーション装置では、誘導経路走行中は誘導経路以外の他の探索経路は表示されず、また、経路の探索は、誘導経路を再度、逸脱させるか、再探索を指示するかしなければ、実施されない。したがって、運転者は、誘導経路を逸脱することなく、誘導経路を走行している期間に、該誘導経路とは別に自分の好みに合う経路の存否が分からず、また、該経路へ誘導経路を適宜、切替えるということは困難であった。
【0009】
本発明の目的は、ユーザが、誘導経路を逸脱することなく移動中も、誘導経路を別のものを円滑に変更できるようにしたナビゲーション装置、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、現在地から目的地への複数の候補経路を探索して、その中からユーザが選択した候補経路を誘導経路として、該誘導経路を移動中、選択していない他の候補経路も誘導経路の候補経路と共に誘導画面に表示する。他の候補経路は、誘導経路の移動中、現在地の更新に伴い更新される。
【0011】
本発明によれば、誘導経路を移動中、ユーザが誘導経路を他の候補経路へ新規選択すると、誘導経路は新規選択の候補経路へ更新されて、更新後の誘導経路に基づき誘導経路の候補経路とその他の候補経路とを表示する誘導画面が更新される。
【0012】
本発明のナビゲーション装置は次のものを備えている。
現在地から目的地への複数の候補経路を探索する経路探索手段、
ユーザが前記複数の候補経路の中から選択した候補経路を誘導経路に設定する誘導経路設定手段、
誘導経路を移動中、誘導地図上に該誘導経路としての候補経路と共にその他の候補経路を表示する画面を生成する画面生成手段、及び
誘導経路を移動中、前記経路探索手段を作動させて前記その他の候補経路を更新させるとともに、更新したその他の候補経路に基づく更新処理を前記画面生成手段に実施させる更新制御手段。
【0013】
本発明のナビゲーション方法は次のステップを備えている。
現在地から目的地への複数の候補経路を探索する経路探索ステップ、
ユーザが前記複数の候補経路の中から選択した候補経路を誘導経路に設定する誘導経路設定ステップ、
誘導経路を移動中、誘導地図上に該誘導経路としての候補経路と共にその他の候補経路を表示する画面を生成する画面生成ステップ、及び
現在地の更新に伴い、更新した現在地に基づきその他の候補経路を更新して、前記誘導経路設定ステップへ戻る更新制御ステップ。
【0014】
本発明のプログラムは、前述のナビゲーション装置の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、誘導経路を移動中、誘導経路の候補経路と共にその他の候補経路も誘導画面に表示され、その他の候補経路は現在地の更新に伴い更新されるようになっているので、ユーザは、誘導経路を逸脱することなく、移動している期間も、好みの候補経路の存在を把握することができる。
【0016】
本発明によれば、誘導経路を逸脱しなくても、誘導経路を移動中に、ユーザがその他の候補経路を新規選択すれば、該新規選択した候補経路へ誘導経路を変更することができる。また、その他の候補経路は現在地の更新に伴い更新されたものに維持されているので、誘導経路が不適切なものになることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1はカーナビゲーション装置10の概略ブロック図である。GPS受信部11は、アンテナ12において受信したGPS電波に基づき現在地を測位し、測位信号を処理制御部18へ出力する。操作部13は、ユーザがカーナビゲーション装置10に対して指示を出す際に操作されるものであり、ユーザ操作に係る信号を処理制御部18へ出力する。ハードディスク装置14は処理制御部18により適宜読み出される地図データを記憶する。
【0018】
処理制御部18は、マイクロコンピュータから構成され、判定部19、再探索部20、道路選択部21、誘導部22、経路記憶部23及び時間記憶部24を備えている。判定部19、再探索部20、道路選択部21、誘導部22、経路記憶部23及び時間記憶部24は、それぞれ後述のカーナビゲーション方法35(図2)の所定ステップに対応する処理を実施する。具体的な対応関係については後述する。
【0019】
表示部27は、タッチスクリーンから構成され、操作部13の一部を兼ねる。表示部27は、処理制御部18から画面データを供給され、該画面データに基づき誘導画面等の画面を表示する。音声発生部29は、スピーカから構成され、経路案内等に係る音声信号を処理制御部18から供給され、音声へ変換して、出力する。
【0020】
図2はカーナビゲーション方法35のフローチャートである。S36は、今回の運転の出発地で実施され、ここでは、出発地としての自車位置をGPS受信部11の検出信号から取得する。S37では、現在地から目的地への経路を探索する。S37において探索する、出発点からの探索経路は、運転者が予め1つの探索条件(例:最短時間、最短距離、小道回避又は有料道路回避の条件)を設定しておき、その探索条件に基づき1だけ探索してもよいが、複数探索して、運転者に提示することもできる。前者の場合には、1つだけ探索した経路がそのまま誘導経路となり、後者の場合には、複数の経路の中から運転者が選択した1つが誘導経路となる。
【0021】
S38では、誘導経路について経路案内を開始する。S39では、当該車両、すなわち運転者の車両が誘導経路から逸脱したか否かを判定する。そして、判定が正であれば、S42へ進み、否であれば、S48へ進む。S42では、逸脱経路上の現在地から目的地への複数の経路を再度、探索する。S43では、S42で探索した複数の経路を表示部27の画面に常時表示状態にする。
【0022】
S43で表示される画面例を図3に示す。現在地−目的地間の3つの候補経路A〜Cが、異なる線種で地図画面上に重ねて表示されている。また、右端部には、3つの選択ボタンが、表示され、それぞれ候補経路A〜Cに対応する。各選択ボタンには、それらに対応する経路の識別子"A"〜"C"と共に、該経路を走行して目的地へ到達する場合の所要時間及び所要距離が表示される。運転者は、経路の背景にある地図、及び選択ボタン内の所要時間等の情報を参考にして、どれを誘導経路にするかを決める。
【0023】
運転者は、図3の画面に対して、気に入った候補経路に対応する選択ボタンを指で押す。これにより、該選択ボタンに係る候補経路に誘導経路が更新される。図3の画面では、目的地が現在地と同時に表示されているが、目的地が現在地から遠く、かつ画面上の地図の縮尺が大きい場合には(※例えば縮尺1/1000は縮尺1/10000より大と定義する。)、目的地は現在地と同一の地図画面には収まらず、現在地とその近傍の各経路部分のみとなる。
【0024】
図2のフローチャートへ戻って、S44では、運転者が候補経路のどれかを誘導経路として選択したか否かを判定し、判定が正であれば、S47へ進み、否であれば、S43へ戻る。S47では、誘導経路についての経路案内を開始する。
【0025】
S48では、複数経路を常時表示する。すなわち、運転者がS44で誘導経路として選択した候補経路はもちろん、選択から漏れた候補経路も同時に表示する。ただし、この表示では、誘導経路の候補経路は現在地が変化しても変更しないものの、その他の候補経路は、現在地の変化に伴い、変化後の現在地に基づき再探索されたものとなる。さらに、複数経路の選択ボタンも画面への表示を維持する。したがって、S43で表示された図3の画面が、S44で運転者による経路選択が終了した後のS48でも、すなわち誘導経路を逸脱することなく、走行している期間でも、維持される。なお、選択ボタンにおける所要時間等の情報は、対応する経路が誘導経路として選択したものであるか否かに関係なく、現在地の変化に伴い、更新される。
【0026】
図4はS48における画面の変化を例示している。図4では、運転者は図3の画面において候補経路Aを選択したことを想定している。また、説明の便宜上、図3の現在地を地点Oとしている。運転者の車両は、図4(a)→図4(b)のように、地点Oから候補経路Aに沿って目的地の方へ誘導される。図4(a),(b)のように、現在地が地点Oがさほど離れていない場合には、候補経路B,Cは、なお、図3の画面のものを維持しており、現在地からOまで戻ってからそれら候補経路へ進むようになっている。
【0027】
しかし、図4(c)のように、現在地から地点Oから適当に遠ざかり、再探索の結果、図3の候補経路B,Cに代えて、新たに有望な候補経路が探索により見付かると、画面に表示する候補経路B,Cは新しく見付かったものに置き換えられる。図4(c)では、選択ボタンB,C内の所要時間、所要距離等の情報も、新しい候補経路B,Cに係るものに全面的に変更されている。また、誘導経路として候補経路Aは、その道筋は維持されつつ、選択ボタンB,C内の所要時間、所要距離等の情報は現在地の変化に合わせて更新されている。なお、再探索は、例えば一定時間の経過ごと、一定距離の走行ごと、又は地図データに係るノード通過ごとに実施される。
【0028】
S49では、運転者が誘導経路を現在のものから別の経路を変更したか否かを判定する。そして、判定が正であれば、誘導経路を該別の経路へ更新して、S47へ戻り、判定が否であれば、現在の誘導経路を維持して、S51へ進む。S51では、車両が目的地へ到着したか否かを判定し、判定が正であれば、カーナビゲーション方法35を終了し、否であれば、S38へ戻る。
【0029】
ここで、処理制御部18の判定部19、再探索部20、道路選択部21、誘導部22、経路記憶部23及び時間記憶部24がカーナビゲーション方法35のどのステップの処理を実施しているかの対応関係について述べる。判定部19は、S39,S44,S49,S51の判定処理を実施する。再探索部20はS42の処理を実施する。道路選択部21は、S43で表示している図3の画面内の選択ボタンA〜Cに対する運転者の選択情報を把握する。誘導部22は、S38,S47における経路案内や、S43で表示している図3の画面中、地図上の現在地及び誘導経路の表示の処理を行う。経路記憶部23は、S42で再探索した複数経路を記憶する。時間記憶部24は、S42で再探索した複数経路の各々についての目的地への所要時間(図3の各選択ボタンの中に表示されている時間)を記憶する。
【0030】
図5は図3の画面にさらに経路情報を付加した画面を示す。現在地から目的地への経路探索については、種々の探索条件を設定することができる。運転者は、道幅について、状況に応じて(a)狭くてもいいから最短時間若しくは最短距離となる道を希望したり、(b)ほどほどの幅の道を希望したり、(c)多少時間がかかっても、幅広の経路を希望したりする。図5の画面において、経路A〜Cは、それぞれ(a)〜(c)の探索条件に適う経路となっており、選択ボタンA〜Cには、図3の場合の所要時間及び所用距離の他に、各探索条件(a)〜(c)に対応して「細い道」、「推奨の道」及び「太い道」の道幅についての情報が付加される。ユーザは、各経路A〜Cについて、所要時間及び所用距離だけでなく道幅も考慮して、自分に合った経路を選択する。
【0031】
図6はナビゲーション装置60のブロック図である。前述のカーナビゲーション装置10はナビゲーション装置60の一例である。ナビゲーション装置60は、車載に限定されず、ユーザが携帯するナビゲーション装置であってもよい。ナビゲーション装置60は、経路探索手段61、誘導経路設定手段62、画面生成手段63及び更新制御手段64を備えている。
【0032】
経路探索手段61は、現在地から目的地への複数の候補経路を探索する。誘導経路設定手段62は、ユーザが複数の候補経路の中から選択した候補経路を誘導経路に設定する。画面生成手段63は、誘導経路を移動中、誘導地図上に該誘導経路としての候補経路と共にその他の候補経路を表示する画面を生成する。更新制御手段64は、誘導経路を移動中、経路探索手段61を作動させて、その他の候補経路を更新させるとともに、更新したその他の候補経路に基づく更新処理を画面生成手段63に実施させる。
【0033】
経路探索手段61が探索する複数の候補経路は、例えば探索条件がそれぞれ異なる候補経路である。探索条件とは、例えば、目的地まで最短距離の経路、目的地まで最短時間の経路、狭い道を回避した経路、又は有料道路を回避した経路である。ユーザによる誘導経路としての候補経路の選択は、例えば、画面を表示する表示器がタッチスクリーンである場合には、前述の図3及び図5で説明したように、画面上のボタンをユーザが指で押すことにより行うことかできる。
【0034】
こうして、ナビゲーション装置60では、誘導経路から逸脱することなく、誘導経路を移動中、画面の誘導地図上に誘導経路の候補経路と共にその他の候補経路も表示される。これにより、ユーザは、誘導経路の候補経路以外の候補経路の情報を把握しながら誘導経路を移動することができる。
【0035】
典型的には、誘導経路設定手段62は、誘導経路を移動中、ユーザがその他の候補経路を新規選択した場合には、誘導経路を新規選択の候補経路に更新するとともに、新規選択前の誘導経路の候補経路をその他の候補経路へ変更する。そして、更新制御手段64は、誘導経路の候補経路及びその他の候補経路の更新があった場合には、経路探索手段61及び画面生成手段63に誘導経路の候補経路及びその他の候補経路の更新に基づく更新処理を実施させる。
【0036】
この結果、ユーザは、誘導経路を逸脱することなく移動している期間も、その他の候補経路の情報を把握しつつ、誘導経路を適宜、その他の候補経路へ適更することができる。
【0037】
好ましくは、画面生成手段63は、各候補経路についてユーザが誘導経路変更の目安とする情報を含ませた画面を生成する。目安となる情報とは例えば各候補経路の探索の基にした探索条件に係る情報である。該画面の具体例は、前述の図3及び図5のものである。図3及び図5のものでは、目安となる情報は、所要距離、所要時間、及び道幅となっている。候補経路の探索条件には、例えば最短時間、最短距離、小道回避又は有料道路回避が含まれる。
【0038】
経路探索手段61は、例えば、出発点におけるユーザからの探索指示時、又は移動中の誘導経路からの逸脱時に複数の候補経路を探索する。ナビゲーション装置60の具体例に係るカーナビゲーション方法35(図2)では、複数経路の探索(S42)及びその常時表示(S48)は、誘導経路からの最初の逸脱以降であったが、ナビゲーション装置60では、それに加えて、又はそれに代えて、今回の旅の出発開始から目的地からの最初の逸脱時までの期間、及び今回の旅の出発開始から誘導経路を1度も逸脱することなく走行している期間(誘導経路を逸脱することなく、誘導経路を切替えて、更新後の誘導経路もまた逸脱することなく移動している期間も含む。)に、誘導経路の候補経路と共にユーザの選択外のその他の候補経路を表示したり、誘導経路をその他の候補経路へ変更したりすることができる。
【0039】
更新制御手段64は、経路探索手段61による複数の候補経路探索後の誘導経路未設定の移動期間では、現在地の更新に伴って、経路探索手段61に複数の候補経路を再探索させ、かつ再探索した複数の候補経路に基づき画面生成手段63に更新処理を実施させる。ユーザは、自分が誘導経路として選択すべき候補経路を直ちに判断したり、運転操作等が忙しく、直ちに選択できないまま、時間が徒過してしまう場合があり、そのような場合には、選択されないまま現在地が変化して、選択時には候補経路が誘導経路として不適切なものになっていることが起こり得る。候補経路が最新の現在地に基づき更新されることにより、これに対処することができる。
【0040】
図7はナビゲーション方法70のフローチャートである。ナビゲーション方法70はナビゲーション装置60(図6)に適用される。前述のカーナビゲーション方法35(図2)はナビゲーション方法70の一例である。
【0041】
S71では、現在地から目的地への複数の候補経路を探索する。S72では、ユーザが複数の候補経路の中から選択した候補経路を誘導経路に設定する。S73では、誘導経路を移動中、誘導地図上に該誘導経路としての候補経路と共にその他の候補経路を表示する画面を生成する。
【0042】
S74では、現在地が更新されたか否かを判定し、判定が正になりしだい、S75へ進む。S75では、目的地に到達したか否かを判定し、判定が正であれば、ナビゲーション方法70を終了し、否であれば、S76へ進む。S76では、更新した現在地に基づきその他の候補経路を更新して、S72へ戻る。
【0043】
S71〜S73の処理は、ナビゲーション装置60(図6)の経路探索手段61〜画面生成手段63の機能にそれぞれ対応している。S74,S76の処理はナビゲーション装置60の更新制御手段64の機能に対応している。したがって、経路探索手段61〜更新制御手段64の機能について述べた具体的態様は経路探索手段61〜更新制御手段64に対応するステップの処理についての具体的態様としても適用可能である。
【0044】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータをナビゲーション装置60の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、ナビゲーション方法70の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0045】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、当業者の自明の範囲内で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を自明の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】カーナビゲーション装置の概略ブロック図である。
【図2】カーナビゲーション方法のフローチャートである。
【図3】車両が誘導経路から逸脱した時に再探索した複数経路を表示した画面例を示す図である。
【図4】ユーザが図3の画面で所望の候補経路を誘導経路として選択した後の画面の変化を例示する図である。
【図5】図3の画面にさらに経路情報を付加した画面を示す図である。
【図6】ナビゲーション装置のブロック図である。
【図7】ナビゲーション方法のフローチャートである。
【図8】従来のカーナビゲーション装置の概略ブロック図である。
【図9】図8のカーナビゲーション装置の処理制御部の各ブロックの機能により処理が実行されるカーナビゲーション方法のフローチャートである。
【図10】従来のカーナビゲーション装置において車両が誘導経路から逸脱して目的地への複数経路を再探索した時にそれら複数経路の1つを誘導経路として運転者に選択させる画面を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
60:ナビゲーション装置、61:経路探索手段、62:誘導経路設定手段、63:画面生成手段、64:更新制御手段、70:ナビゲーション方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地への複数の候補経路を探索する経路探索手段、
ユーザが前記複数の候補経路の中から選択した候補経路を誘導経路に設定する誘導経路設定手段、
誘導経路を移動中、誘導地図上に該誘導経路としての候補経路と共にその他の候補経路を表示する画面を生成する画面生成手段、及び
誘導経路を移動中、前記経路探索手段を作動させて前記その他の候補経路を更新させるとともに、更新したその他の候補経路に基づく更新処理を前記画面生成手段に実施させる更新制御手段、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記誘導経路設定手段は、誘導経路を移動中、ユーザがその他の候補経路を新規選択した場合には、誘導経路を新規選択の候補経路に更新するとともに、新規選択前の誘導経路の候補経路をその他の候補経路へ変更し、
前記更新制御手段は、誘導経路の候補経路及びその他の候補経路の更新があった場合には、前記経路探索手段及び前記画面生成手段に誘導経路の候補経路及びその他の候補経路の更新に基づく更新処理を実施させることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記画面生成手段は、各候補経路についてユーザが誘導経路変更の目安とする情報を含ませた画面を生成することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記目安となる情報とは、各候補経路の探索を基にした探索条件に係る情報であることを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路探索手段は、出発点におけるユーザからの探索指示時、又は移動中の誘導経路からの逸脱時に複数の候補経路を探索することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記更新制御手段は、前記経路探索手段による複数の候補経路探索後の誘導経路未設定の移動期間では、現在地の更新に伴って、前記経路探索手段に複数の候補経路を再探索させ、かつ再探索した複数の候補経路に基づき前記画面生成手段に更新処理を実施させることを特徴とする請求項5記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
現在地から目的地への複数の候補経路を探索する経路探索ステップ、
ユーザが前記複数の候補経路の中から選択した候補経路を誘導経路に設定する誘導経路設定ステップ、
誘導経路を移動中、誘導地図上に該誘導経路としての候補経路と共にその他の候補経路を表示する画面を生成する画面生成ステップ、及び
現在地の更新に伴い、更新した現在地に基づきその他の候補経路を更新して、前記誘導経路設定ステップへ戻る更新制御ステップ、
を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のナビゲーション装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−236520(P2009−236520A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79741(P2008−79741)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】