説明

ナビゲーション装置

【課題】右左折する際における通行可能性に影響を与える要因を考慮して通行不可能と判断した地点を通過しない経路を探索することによって、車両が確実に通行することのできる道路のみを含む経路を案内することができ、ユーザが安心して利用することができ、経路探索の結果に信頼をおくことができるようにする。
【解決手段】道路データ及び交差点データを含む探索データを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された探索データを用いて、設定部により設定された目的地までの経路を探索する経路探索部と、通行可能性に影響を与える車両及び道路の要因に基づいて、探索された経路上の右左折地点であって右左折が不可能な地点を検索する右左折不可能地点検索部とを有し、右左折不可能地点検索部により右左折が不可能な地点が検索された場合、地点を通過する場合の探索コストを増加して、設定された目的地までの経路を再度探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置においては、道路地図データに基づいて、設定された出発地から目的地までの最適な経路を探索して、表示手段に表示するようになっている。この場合、前記出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を設定したり、所要時間が最短となるように経路を設定するようになっている。
【0003】
また、車両の車高、車幅、車重等と道路の特徴とを比較して、通行不可能な道路を経路として設定しない、すなわち、車両が通行可能な道路のみを経路として設定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−93212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、道路の右左折の角度、車両の車長等のように、道路を右左折する際における通行可能性に影響を与える要因について考慮されていない。そのため、比較的幅員の狭い道路であっても、幅員が車幅に対して一定以上の寸法であれば、実際には右左折が不可能な程に急な角度で曲がる交差点等を含む道路でも、通行可能な道路と判断して、経路として設定してしまう。この場合、設定された経路に沿って車両を走行させると、前記交差点等に到達したときに通行不可能であることが明らかになるので、車両の運転者は困惑してしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、右左折する際における通行可能性に影響を与える要因を考慮して通行不可能と判断した地点を通過しない経路を探索することによって、車両が確実に通行することのできる道路のみを含む経路を案内することができ、ユーザが安心して利用することができ、経路探索の結果に信頼をおくことができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のナビゲーション装置においては、目的地を設定する設定部と、道路データ及び交差点データを含む探索データを記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された探索データを用いて、前記設定部により設定された目的地までの経路を探索する経路探索部と、通行可能性に影響を与える車両及び道路の要因に基づいて、探索された経路上の右左折地点であって右左折が不可能な地点を検索する右左折不可能地点検索部とを有し、前記経路探索部は、前記右左折不可能地点検索部により右左折が不可能な地点が検索された場合、該地点を通過する場合の探索コストを増加して、設定された目的地までの経路を再度探索する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、右左折する際における通行可能性に影響を与える要因を考慮して通行不可能と判断した地点を通過しない経路を探索するようになっている。そのため、車両が確実に通行することのできる道路のみを含む経路を案内することができ、ユーザが安心して利用することができ、経路探索の結果に信頼をおくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【0010】
図において、15は乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載されたナビゲーション装置としての車両用ナビゲーション装置であり、一種のコンピュータである。前記車両用ナビゲーション装置15は、現在位置を検出する現在位置検出処理部18、道路データ、探索データ等を含む地図情報を記憶する記憶部としてのデータ記憶部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38を有し、前記ナビゲーション処理部17に車速センサ41が接続される。
【0011】
そして、前記現在位置検出処理部18は、GPS(Global Positioning System)センサ21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、図示されない高度計等から成る。なお、前記GPSセンサ21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、高度計等の中のいくつかは、製造コスト等の観点から、適宜省略することもできる。
【0012】
そして、前記GPSセンサ21は、人工衛星(GPS衛星)から送信された電波を受信することによって地球上における現在位置を検出し、前記地磁気センサ22は、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサ23は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。前記距離センサ23としては、例えば、図示されない車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を2回積分して距離を検出するもの等を使用することができる。
【0013】
また、前記ステアリングセンサ24は、舵(だ)角を検出し、前記ステアリングセンサ24としては、例えば、図示されないステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0014】
そして、前記ビーコンセンサ25は、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出する。前記ジャイロセンサ26は、車両の回転角速度、すなわち、旋回角を検出し、前記ジャイロセンサ26としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。そして、前記ジャイロセンサ26によって検出された旋回角を積分することによって、車両が向いている方位を検出することができる。
【0015】
なお、前記GPSセンサ21及びビーコンセンサ25は、それぞれ、単独で現在位置を検出することができる。そして、距離センサ23によって検出された距離と、地磁気センサ22及びジャイロセンサ26によって検出された方位とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。また、距離センサ23によって検出された距離と、ステアリングセンサ24によって検出された舵角とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。
【0016】
そして、前記データ記憶部16は、探索データ等を含む地図情報を記憶する。すなわち、前記データ記憶部16は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、前記表示部35の画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、地図データ、施設データ等の各種のデータを記録する。なお、前記データ記憶部16には、所定の情報を音声出力部37によって音声出力するための各種のデータも記録される。
【0017】
ここで、前記探索データには、交差点データ、ノードデータ、道路データ、交通規制データ及び経路表示データが含まれる。そして、前記交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。さらに、それぞれの前記交差点データには、該当する交差点に接続する道路、すなわち、接続道路の数に加え、それぞれの接続道路を識別するための番号が付与されて格納されている。また、前記ノードデータは、前記地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード、及び、各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノードは、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0018】
また、前記道路データには、データが格納されている道路の数に加え、それぞれの道路に関するデータが道路データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。そして、それぞれの前記道路データには、道路種別、それぞれの道路の長さとしての距離、それぞれの道路を走行するのに要する時間としての旅行時間等が格納されている。さらに、前記道路種別には、国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性が含まれる。
【0019】
なお、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾(こう)配、カント、高度、バンク、路面の状態、中央分離帯があるか否か、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれることが望ましい。そして、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、2条化道路として処理される。例えば、片側2車線以上の幹線道路の場合、2条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線は、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。さらに、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれることが望ましい。また、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路等の道路属性が含まれていてもよい。
【0020】
また、前記ナビゲーション処理部17は、車両用ナビゲーション装置15全体の制御を行うCPU、MPU等の演算手段としてのプロセッサ31、該プロセッサ31が各種の演算処理を行うに当たりワーキングメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)32、及び、制御プログラムの他、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等を行うための各種のプログラムが記録された記憶媒体としてのROM(Read Only Memory)33から成る。そして、前記ナビゲーション処理部17には、前記入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。そして、経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等の各種処理を実行する。なお、前記音声入力部36、音声出力部37等は、製造コスト等の観点から、適宜省略することもできる。
【0021】
また、前記プログラムや、探索データ、道路データ等を記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、半導体メモリだけでなく、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−R/W、MD、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等、あらゆる形態の記憶媒体を含むものである。
【0022】
なお、前記データ記憶部16及びROM33は、図示されない磁気コア、半導体メモリ等によって構成される。また、前記データ記憶部16及びROM33として、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−R/W、MD、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等の各種の記憶媒体を使用することもできる。該記憶媒体は、車両用ナビゲーション装置15にあらかじめ据え付けられたものであってもよく、ユーザによって適宜交換可能なものであってもよい。
【0023】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムが記憶され、前記データ記憶部16に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム及びデータを同じように外部記憶媒体に記憶することもできる。この場合、例えば、前記ナビゲーション処理部17に図示されないフラッシュメモリ等の記憶媒体を配設し、前記外部記憶媒体から前記プログラム及びデータを読み出して前記記憶媒体に書き込むこともできる。したがって、外部記憶媒体を交換することによって前記プログラム及びデータを更新することができる。このように、各種の記憶媒体に記憶されたプログラムを起動し、データに基づいて各種の処理を行うことができる。なお、前記外部記憶媒体は、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−R/W、MD、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等いかなる種類のものであってもよい。
【0024】
さらに、前記通信部38は、FM送信装置、電話回線網、インターネット、携帯電話回線網、無線LAN(Local Area Network)等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、VICS(R)(道路交通情報通信システム:Vehicle Information & Communication System)等によって提供される道路交通情報、図示されない情報センサ等によって受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPSセンサ21の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。
【0025】
また、本発明の機能を実現するためのプログラム、車両用ナビゲーション装置15を作動させるためのその他のプログラム、データ等を、情報センタ(インターネットサーバ、ナビゲーション用サーバ等)から複数の基地局(インターネットのプロバイダ端末、前記通信部38と電話回線網、通信回線網等を介して接続された通信局等)に送信し、さらに、各基地局から通信部38に送信することもできる。このようなシステムを使用する場合、各基地局から送信された前記プログラム及びデータの少なくとも一部が受信されると、前記プロセッサ31は、読み書き可能なメモリ、例えば、RAM32、フラッシュメモリ、ハードディスク等の記憶媒体にダウンロードし、前記プログラムを起動し、データに基づいて各種の処理を行うことができる。
【0026】
この場合、例えば、プログラム及びデータを異なる記憶媒体に記憶したり、同じ記憶媒体に記憶したりすることもできる。
【0027】
また、家庭用のパーソナルコンピュータを使用し、前記情報センタから送信されたプログラム、データ等をパーソナルコンピュータに対して取り外し可能なメモリカード、CD−R等の記憶媒体にダウンロードし、前記プログラムを起動し、データに基づいて各種の処理を行うこともできる。
【0028】
そして、前記入力部34は、走行開始時の位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、前記車両用ナビゲーション装置15本体に配設された操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー等から成るものであるが、リモートコントローラであってもよい。なお、表示部35がタッチパネルである場合には、前記表示部35の画面に表示された操作キー、操作メニュー等の操作スイッチから成るものであることが望ましい。この場合、通常のタッチパネルのように前記操作スイッチを押す、すなわち、タッチすることによって、入力を行うことができる。
【0029】
そして、前記表示部35の画面には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等が表示される。前記表示部35としては、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0030】
また、音声入力部36は、図示されない音声認識用のマイクロホン、音声認識装置等を備え、音声によって必要な情報を入力することができる。これにより、操作者としてのユーザは、入力部34の操作スイッチ等を操作することなく、音声によって目的地等を入力したり、経路探索等を行わせることができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声情報、例えば、音声合成装置によって合成された音声から成る案内情報、変速情報等をスピーカから出力し、ユーザに知らせる。なお、音声合成装置によって合成された音声の他に、各種の音、あらかじめテープ、メモリ等に録音された各種の案内情報をスピーカから出力することもできる。
【0031】
本実施の形態において、車両用ナビゲーション装置15は、機能の観点から、目的地を設定する設定部、道路データ及び交差点データを含む探索データを記憶する記憶部、設定された目的地までの経路を探索する経路探索部、車幅、車長等の通行可能性に影響を与える車両の要因を取得する車両要因取得部、探索データに含まれる道路データ及び交差点データに基づいて道路の幅員、各交差点の進入路と退出路のなす角度等の通行可能性に影響を与える道路の要因を取得する道路要因取得部、並びに、通行可能性に影響を与える車両及び道路の要因、又は、障害物に基づいて、探索された経路上において右左折が不可能な地点を検索する右左折不可能地点検索部を有する。
【0032】
ここで、前記設定部は、通常のナビゲーション装置と同様に、ユーザによって入力された目的地を設定する。また、前記経路探索部は、通常のナビゲーション装置と同様に、出発地から目的地までの経路を探索する。なお、出発地は、通常、車両の現在位置が自動的に入力されるが、操作者が任意の地点を出発地として入力することもできる。そして、前記経路探索部は、データ記憶部16に格納されたデータベースにアクセスして、出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するが、VICS(R)情報等の道路交通情報を参照して経路を探索してもよい。また、右左折が不可能な地点が検索された場合に該地点を通過する場合の探索コストを増加して、設定された目的地までの経路を再度探索することによって、前記地点を通過しない経路を探索する。なお、該経路が案内の対象としての経路、すなわち、案内経路として設定されると、前記表示部35の画面に前記案内経路や該案内経路に沿った案内情報が表示されたり、音声出力部37から案内情報が音声出力されることによって、経路案内が行われる。
【0033】
また、前記車両要因取得部は、あらかじめ記憶手段に記憶された、又は、ユーザによって入力された車両の車幅、車高、車長等の通行可能性に影響を与える車両の要因を取得する。さらに、前記道路要因取得部は、道路データ、交差点データ等に含まれている道路の幅員、各交差点の進入路と退出路のなす角度等の通行可能性に影響を与える道路の要因や、塀、壁、電信柱等の通行可能性に影響を与える障害物を取得する。
【0034】
さらに、前記右左折不可能地点検索部は、探索された経路に細街路が含まれる場合に、該細街路の途中に含まれる右左折する必要がある地点を対象として右左折が不可能な地点を検索する。なお、前記記憶手段には、通行可能性に影響を与える車両及び道路の要因又は障害物に基づいて作成された右左折が不可能であるか否かを判断するためのテーブルが格納されており、前記右左折不可能地点検索部は前記テーブルに従って、前記右左折する必要がある地点において右左折が不可能であるか否かを判断する。
【0035】
次に、右左折する際に通行可能性に影響を与える要因について説明する。
【0036】
図1は本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が車長である例を示す図、図3は本発明の実施の形態における幅員が十分に広い道路の例を示す図、図4は本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が車幅である例を示す図、図5は本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が道路の幅員である例を示す図、図6は本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が道路の曲がり角度である例を示す図、図7は本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が障害物である例を示す図である。
【0037】
本実施の形態においては、細街路を対象として車両が右左折する際に通行可能か否かを判定する。これは、細街路でない通常の道路の場合、幅員の正確な数値が道路データに含まれており、また、図3に示されるように、幅員が十分に広いので右左折する際に通行が不可能となることがないと考えられるからである。なお、図3において、11は二次元的に表現した車両の外形であって、交差点の進入路において右左折する前の外形を示し、11aは交差点内において右左折している車両の外形を示し、11bは交差点の退出路において右左折が終了した外形を示している。そして、図3に示される道路は、交差点の進入路及び退出路ともに、センターラインによって上り方向の車線と下り方向の車線とに分離されているような幅員が十分に広い道路である。このように幅員が十分に広い道路では、右左折する際に通行が不可能となることがない。
【0038】
一方、細街路の場合、幅員が狭いので、車両の車幅、車長等の寸法、すなわち、外形寸法が大きいときや、交差点の進入路と退出路のなす角度が小さい、すなわち、道路の曲がり角度が急であるときには、右左折する際に通行が不可能となることがある。しかも、細街路の場合、幅員のデータとして正確な数値が道路データに含まれていないので、幅員のデータからだけでは、右左折する際に通行可能か否かを判定することができない。すなわち、細街路の幅員については、例えば、5〜3〔m〕及び3〔m〕以下、の2種類のデータしか道路データに含まれていない。そのため、右左折する際の通行可能性に影響を与える要因として、道路の幅員の他に、車両の車幅や車長、交差点の進入路と退出路のなす角度、すなわち、曲がり角度等を考慮する必要がある。
【0039】
図1は通行可能性に影響を与える要因が車長である例を示している。ここで、図1(a)は、車長が短いので、車両が右左折する際に通行可能な場合を示し、図1(b)は、車長が長いので、車両が右左折する際に通行不可能な場合を示している。なお、図1に示される道路は、交差点の進入路及び退出路ともに細街路である。
【0040】
また、図4は通行可能性に影響を与える要因が車幅である例を示している。ここで、図4(a)は、車幅が狭いので、車両が右左折する際に通行可能な場合を示し、図4(b)は、車幅が広いので、車両が右左折する際に通行不可能な場合を示している。なお、図4に示される道路は、交差点の進入路及び退出路ともに細街路である。
【0041】
さらに、図5は通行可能性に影響を与える要因が道路の幅員である例を示している。ここで、図5(a)は、幅員が広いので、車両が右左折する際に通行可能な場合を示し、図5(b)は、幅員が狭いので、車両が右左折する際に通行不可能な場合を示している。なお、図5に示される道路は、交差点の進入路及び退出路ともに細街路である。
【0042】
さらに、図6は通行可能性に影響を与える要因が道路の曲がり角度である例を示している。ここで、図6(a)は、曲がり角度が緩いので、車両が右左折する際に通行可能な場合を示し、図6(b)は、曲がり角度が急なので、車両が右左折する際に通行不可能な場合を示している。なお、図6に示される道路は、交差点の進入路及び退出路ともに細街路である。
【0043】
さらに、図7は通行可能性に影響を与える要因が障害物である例を示している。ここで、図7(a)は、塀、壁等の障害物がないので、車両が右左折する際に通行可能な場合を示し、図7(b)は、塀、壁等の障害物があるので、車両が右左折する際に通行不可能な場合を示している。なお、図7に示される道路は、交差点の進入路及び退出路ともに細街路である。
【0044】
次に、前記構成の車両用ナビゲーション装置15の動作について説明する。
【0045】
図8は本発明の実施の形態における車両の外形寸法に基づく車形パターンのテーブルを示す図、図9は本発明の実施の形態における通行可能性を判断するためのテーブルの例を示す図、図10は本発明の実施の形態における通行可能性を判断するためのテーブルの他の例を示す図、図11は本発明の実施の形態における車両用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャート、図12は本発明の実施の形態における右左折不可能地点検索処理の動作のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0046】
ここでは、ユーザによって目的地が設定され、経路探索部が出発地から目的地までの経路を探索し、探索された経路を案内経路として経路案内が行われる場合について説明する。まず、車両用ナビゲーション装置15の操作者としのてユーザが入力部34を操作して、所望の目的地を入力して設定し、設定された目的地までの経路を探索するように入力して経路探索指示を行う。すると、前記車両用ナビゲーション装置15は、車幅・車高・車長条件読み込みを行い、データ記憶部16にあらかじめ記憶されている車両の車幅、車高、車長等のような通行可能性に影響を与える車両の要因を取得する。なお、車両の車幅、車高、車長等の数値は、経路探索指示の際に、ユーザが入力部34を操作して入力するようにしてもよい。
【0047】
続いて、前記車両用ナビゲーション装置15は、車幅・車高条件により通行不可能道路を除外して経路探索を行う。すなわち、前記車両用ナビゲーション装置15は、取得した通行可能性に影響を与える車両の要因のうちの車幅及び車高に基づいて、車両が通行不可能な道路の区間を判定し、判定された通行不可能な区間を通らないような経路を探索する。この場合、通行不可能な区間とは、橋、トンネル等のように車幅規制又は高さ規制が行われている区間であって車両の車幅又は車高が規制値以上である区間、幅員が車両の車幅以下の区間等である。
【0048】
続いて、前記車両用ナビゲーション装置15は、細街路に右左折箇所があるか否かを判断する。すなわち、前記車両用ナビゲーション装置15は、探索された経路に細街路が含まれている場合には、該細街路から成る経路中に右左折する必要がある交差点が含まれているか否かを判断する。そして、細街路に右左折箇所がない場合には処理を終了する。なお、探索された経路に細街路が含まれていない場合も処理を終了する。
【0049】
また、該細街路に右左折箇所がある場合、前記車両用ナビゲーション装置15は、右左折不可能地点検索処理を実行する。この場合、まず、自車形状データ読み込みを行う。すなわち、前記車両の要因の中から、車幅及び車長を取得して、車幅が大小いずれの分類に該当し、車長が長短いずれの分類に該当するかを判断する。本実施の形態においては、車両の外形寸法に基づいて車両の車形パターンがあらかじめ分類されている。例えば、図8に示されるようなテーブルがあらかじめ作成されてROM33又はデータ記憶部16に格納されている。図8に示される例においては、車幅の大小及び車長の長短に基づいて、A〜Dの4つの車形パターンに分類されている。なお、車幅及び車長を各々より細かく、例えば、3以上の区分に分類され、5以上の車形パターンを備えるテーブルを使用することもできるが、ここでは、図8に示されるように、大小及び長短のように各々2つの区分に分類され、それに基づいて4つの車形パターンに分類される例についてのみ説明する。そして、図8に示されるような車形パターンのテーブルに従って、自車形状、すなわち、前記車両の形状に対応する車形パターンがA〜Dのいずれであるかを判断して、その結果を取得する。
【0050】
続いて、前記車両用ナビゲーション装置15は、自車形状テーブル読み込みを行い、前記自車形状に対応する通行可能性を判断するためのテーブルを取得する。本実施の形態においては、車両の車形パターン毎に、通行可能性を判断するためのテーブルがあらかじめ作成されてROM33又はデータ記憶部16に格納されている。通行可能性を判断するためのテーブルは、図9に示されるように、道路の幅員の広狭及び道路の曲がり角度の緩急に基づいて、通行可及び通行不可の2つの区分に分類されている。なお、図9において○は通行可を示し、×は通行不可を示している。そして、図9(a)は車形パターンがAである場合における通行可能性を判断するためのテーブル、図9(b)は車形パターンがBである場合における通行可能性を判断するためのテーブル、図9(c)は車形パターンがCである場合における通行可能性を判断するためのテーブル、図9(d)は車形パターンがDである場合における通行可能性を判断するためのテーブルである。なお、道路の幅員及び道路の曲がり角度を各々より細かく、例えば、3以上の区分に分類されたテーブルを使用することもできるが、ここでは、図9に示されるように、広狭及び緩急のように各々2つの区分に分類される例についてのみ説明する。
【0051】
また、通行可能性に影響を与える他の要因をさらに考慮して通行可能性を判断するためのテーブルを作成することもできる。例えば、図10に示されるように、道路の側縁付近に設置される電信柱、壁等の障害物をさらに考慮したテーブルを作成することができる。図10に示される例においては、道路の幅員の広狭の区分の各々をさらに障害物の有無によって2つの区分に分類されている。なお、図10(a)は車形パターンがCである場合における通行可能性を判断するためのテーブル、図10(b)は車形パターンがDである場合における通行可能性を判断するためのテーブルであり、車形パターンがA及びBである場合における通行可能性を判断するためのテーブルは図示が省略されている。
【0052】
そして、図9又は10に示されるような通行可能性を判断するためのテーブルを取得すると、前記車両用ナビゲーション装置15は、全細街路右左折点についてループを開始する。すなわち、探索された経路に含まれるすべての細街路における右左折する必要がある交差点のすべてを順次対象にして処理のループを開始する。まず、第1番目の交差点について、道幅条件に基づき通行可能であるか否かを判断する。すなわち、道路の幅員の広狭に基づいて通行可能性を判断する。そして、通行可能である場合、前記第1番目の交差点をについて、角度条件に基づき通行可能であるか否かを判断する。すなわち、道路の曲がり角度の緩急に基づいて通行可能性を判断する。そして、通行可能である場合、次の交差点を対象にして処理のループを行う。以降、各交差点を順次対象にして処理のループを行い、探索された経路に含まれるすべての細街路における右左折する必要がある交差点のすべてについての処理のループが行われ、最後の交差点についても通行可能である場合には、ループを終了し、右左折不可能地点なしとして右左折不可能地点検索処理を終了する。
【0053】
なお、いずれかの交差点について、道路の幅員の広狭又は道路の曲がり角度の緩急に基づいて通行可能性を判断した結果が通行不可能である場合には、右左折不可能地点ありとして右左折不可能地点検索処理を終了する。この場合、以降の交差点を対象にした処理のループは行われないこととなる。すなわち、通行不可能な交差点が見つかった場合には、その時点で処理のループを中止し、右左折不可能地点ありとして右左折不可能地点検索処理を終了する。
【0054】
続いて、前記車両用ナビゲーション装置15は、右左折不可能地点検索処理の結果が右左折不可能地点ありか否かを判断し、右左折不可能地点なしの場合には処理を終了する。また、右左折不可能地点ありの場合には、該当地点での右左折コストを増加して経路再探索を行う。すなわち、通行不可能な交差点を右左折するための探索コストを高く設定し直して、目的地までの経路を再び探索する。そして、再び右左折不可能地点検索処理を実行する。
【0055】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 経路探索指示を行う。
ステップS2 車幅・車高・車長条件読み込みを行う。
ステップS3 車幅・車高・車長条件により通行不可能道路を除外して経路探索を行う。
ステップS4 細街路に右左折箇所があるか否かを判断する。細街路に右左折箇所がある場合はステップS5に進み、細街路に右左折箇所ない場合は処理を終了する。
ステップS5 右左折不可能地点検索処理を実行する。
ステップS6 右左折不可能地点があるか否かを判断する。右左折不可能地点がある場合はステップS7に進み、右左折不可能地点がない場合は処理を終了する。
ステップS7 当該地点での右左折コストを増加して経路再探索を行う。
【0056】
次に、ステップS5のサブルーチンを示すフローチャートについて説明する。
ステップS5−1 自車形状データ読み込みを行う。
ステップS5−2 自車形状テーブル読み込みを行う。
ステップS5−3 全細街路右左折点についてループを開始する。
ステップS5−4 道幅条件に基づき通行可能であるか否かを判断する。道幅条件に基づき通行可能である場合はステップS5−5に進み、道幅条件に基づき通行可能でない場合はステップS5−8に進む。
ステップS5−5 角度条件に基づき通行可能であるか否かを判断する。角度条件に基づき通行可能である場合はステップS5−6に進み、角度条件に基づき通行可能でない場合はステップS5−8に進む。
ステップS5−6 ループを終了する。
ステップS5−7 右左折不可能地点なしとして処理を終了する。
ステップS5−8 右左折不可能地点ありとして処理を終了する。
【0057】
このように、本実施の形態においては、車幅、車長等の通行可能性に影響を与える車両の要因、及び、道路の幅員、交差点の進入路と退出路のなす角度等の通行可能性に影響を与える道路の要因又は障害物に基づいて、道路が通行可能であるか否かを判断し、通行可能と判断した道路のみを対象に経路探索を行うようになっている。そのため、車両が確実に通行することのできる道路のみを含む経路を案内することができるので、ユーザは安心して利用することができ、経路探索の結果に信頼をおくことができる。
【0058】
この場合、目的地までの経路に細街路が含まれており、かつ、細街路において右左折する必要がある交差点が含まれているときに、該交差点が通行可能であるか否かを車幅、車長等の車両の要因及び道路の幅員、交差点の進入路と退出路のなす角度等の道路の要因又は障害物に基づいて判断するようになっている。そのため、幅員のデータとして正確な数値が道路データに含まれていない細街路についても、車両の通行が可能であるか否かを正確に判断することができる。
【0059】
また、細街路における交差点が右左折不可能であると判断した場合には、当該交差点の探索コストを高く設定し直して、経路を再び探索するようになっている。そのため、右左折不可能な交差点以外の交差点で右左折を行う経路を探索することができる。
【0060】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が車長である例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における幅員が十分に広い道路の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が車幅である例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が道路の幅員である例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が道路の曲がり角度である例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における通行可能性に影響を与える要因が障害物である例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における車両の外形寸法に基づく車形パターンのテーブルを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における通行可能性を判断するためのテーブルの例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における通行可能性を判断するためのテーブルの他の例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における車両用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態における右左折不可能地点検索処理の動作のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
15 車両用ナビゲーション装置
16 データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)目的地を設定する設定部と、
(b)道路データ及び交差点データを含む探索データを記憶する記憶部と、
(c)該記憶部に記憶された探索データを用いて、前記設定部により設定された目的地までの経路を探索する経路探索部と、
(d)通行可能性に影響を与える車両及び道路の要因に基づいて、探索された経路上の右左折地点であって右左折が不可能な地点を検索する右左折不可能地点検索部とを有し、
(e)前記経路探索部は、前記右左折不可能地点検索部により右左折が不可能な地点が検索された場合、該地点を通過する場合の探索コストを増加して、設定された目的地までの経路を再度探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記通行可能性に影響を与える車両の要因は車幅及び車長であり、前記通行可能性に影響を与える道路の要因は道路の幅員及び交差点の進入路と退出路のなす角度である請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
(a)目的地を設定する設定部と、
(b)道路データ及び交差点データを含む探索データを記憶する記憶部と、
(c)該記憶部に記憶された探索データを用いて、前記設定部により設定された目的地までの経路を探索する経路探索部と、
(d)通行可能性に影響を与える車両の要因及び障害物に基づいて、探索された経路上の右左折地点であって右左折が不可能な地点を検索する右左折不可能地点検索部とを有し、
(e)前記経路探索部は、前記右左折不可能地点検索部により右左折が不可能な地点が検索された場合、該地点を通過する場合の探索コストを増加して、設定された目的地までの経路を再度探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記右左折不可能地点検索部は、探索された経路に細街路が含まれる場合に、該細街路の途中に含まれる右左折する必要がある地点を対象として右左折が不可能な地点を検索する請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記右左折不可能地点検索部は、通行可能性に影響を与える車両及び道路の要因に基づいて作成されたテーブルに従って、前記細街路の途中に含まれる右左折する必要がある地点が右左折が不可能であるか否かを判断する請求項4に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−177905(P2006−177905A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374146(P2004−374146)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】