説明

ナビゲーション装置

【課題】 特別な設定をすることなく、往路と別の経路を通過する復路を作成することができるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】 ナビゲーション装置100は、現在地から目的地への経路を計算する際、現在地の施設が火葬場である場合には、その現在地に到達するまでに走行した走行経路の道路を含まない経路を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、往路を記憶させ、記憶させた経路を逆順に並べ替えて復路を作成するナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されているナビゲーション装置によれば、例えば、往路を通るときに使用者が通りたくないと思った道を除外して復路を計算する。
【特許文献1】特開2004−125416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、日本の慣習として、「火葬場に行った帰り道は必ず別の道を通る」というものがあるが、上述した、従来のナビゲーション装置では、基本的に往路と同じ道路を通る復路を作成するため、火葬場への往路と同じ道を通る復路を作成してしまう問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、特別な設定をすることなく、往路と別の経路を通過する復路を作成することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のナビゲーション装置は、車両の走行した走行経路を記憶する走行経路記憶手段と、
車両の現在地の施設が特定種別の施設であるか否かを判定する施設種別判定手段と、
現在地から目的地までの経路を計算する際、施設種別判定手段が現在地の施設が特定種別の施設であると判定した場合、現在地に到達するまでに走行した走行経路の道路を含まない現在地から目的地への経路を計算する経路計算手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このように、現在地から目的地への経路を計算する際、現在地の施設が特定種別の施設である場合には、その現在地に到達するまでに走行した走行経路の道路を含まない経路を計算する。これにより、特別な設定をすることなく、往路とは別の道路を通過する目的地への経路を作成することができる。
【0007】
請求項2に記載のナビゲーション装置は、特定種別の施設は火葬場であることを特徴とする。これにより、経路計算手段は、火葬場に到達するまでに走行した道路を火葬場から目的地への経路に含まないように計算することができる。
【0008】
請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、経路計算手段は、
道路を構成するリンクに付与されるコストが最小となる経路を算出するものであって、
施設種別判定手段が特定種別の施設であると判定した場合、走行経路を構成するリンクのコストを大きいコストに変更するリンクコスト変更手段を備え、
リンクコスト変更手段によって変更された後のリンクのコストを用いて、現在地から目的地への経路を計算することを特徴とする。
【0009】
これにより、火葬場に到達するまでに走行した道路を構成するリンクのコストが大きいコストに変更できるため、火葬場に到達するまでに走行した道路を火葬場から目的地までの経路に含まないようにすることができる。
【0010】
請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、経路計算手段によって計算された目的地への経路を案内する経路案内手段を備えることを特徴とする。これにより、火葬場へ到達するまでに走行した道路を通過することのない、火葬場から目的地への経路を案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置に関して、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係わるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態のナビゲーション装置100は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、音声認識ユニット8、外部メモリ9、表示装置10、スピーカ11、リモコンセンサ12、及びこれらと接続するナビECU14によって構成される。
【0012】
ナビECU14は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、ナビゲーション装置100が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0013】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の現在地を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器1を上述した内の一部で構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0014】
地図データ入力器6は、マップマッチングに用いられるマップマッチングデータ、道路データ、索引データ、描画データ等によって構成される地図データを入力するための装置であり、ナビECU14からの要請により各種データを送信する。これら各種データを記憶する記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等の書き込み可能な記憶媒体を採用してもよい。ここで、道路データを構成するリンクデータとノードデータ、索引データ、描画データについて説明する。
【0015】
先ず、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割し、それぞれのノード間をリンクとして規定されるものであり、リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別(高速道路、有料道路、国道、都道府県道等)、道路幅員、リンク所要時間(徒歩や自動車での移動時間)等の各データから構成されている。
【0016】
一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差・分岐・合流するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標(緯度・経度)、ノードに接続する全てのリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、分岐地点、合流地点、及び交差点の何れの地点に該当するかを示す地点属性等の各データから構成されている。
【0017】
索引データは、施設等の検索に用いられるデータであり、施設、道路、道路の分岐・合流・交差する地点等の名称、施設種別、住所、電話番号、位置(緯度・経度)等の情報で構成されている。
【0018】
描画データは、地図表示に用いられるデータであり、海(湖、池等も含む)や山等の地形、施設、道路、道路の分岐地点、道路の合流地点、道路の交差点等の表示文字、表示位置(緯度・経度)、ポリゴン、目印(ランドマーク等)の情報で構成されている。
【0019】
操作スイッチ群7は、例えば、表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、表示装置10の画面に表示される地図のスクロール操作や文字入力等の各種入力に使用される。
【0020】
音声認識ユニット8は、図示しないマイクを備えており、このマイクの入力した音声からユーザの発話内容を認識して、ナビゲーション装置100の各種入力に用いられる。外部メモリ9は、ナビゲーション装置100が前回起動してから停止するまでに車両が走行した走行経路の道路を構成するリンクをリンクIDで記憶(格納)するものである。このリンクIDは、マップマッチングデータを参照することで得られるものである。
【0021】
表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。スピーカ11は、ナビECU14によって生成された合成音声や喚起音を出力する。
【0022】
また、本実施形態のナビゲーション装置100は、操作スイッチ群7やリモートコントローラ(リモコン)13等から目的地を指定すると、現在地を出発地とする目的地までの最適な経路を自動的に計算して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を計算する手法は、例えば、周知のダイクストラ法によるコスト計算、すなわち、リンクのリンク長、車線数、道路幅員等を考慮してリンク毎に付されるコストを用いて、最小のコストで目的地に到達する経路を計算する方法が採用される。
【0023】
これらの機能は、主にナビECU14によって各種の演算処理がなされることによって実行される。すなわち、ナビECU14は目的地が指定されると、地図データ入力器6の地図データを用いて経路を計算し、その経路を表示装置10へ表示させるとともに、分岐地点や右左折すべき交差点において地図の拡大や音声案内を行う。
【0024】
次に、本実施形態のナビゲーション装置100の起動時における処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。ナビゲーション装置100に電源が投入されて起動すると、図3に示すステップ(以下、Sと記す)10では、車両の現在地を検出する。
【0025】
S20では、上述した索引データを参照して、現在地の施設種別が火葬場であるか否かを判定する。ここで、肯定判定される場合にはS30にて出発地火葬場フラグをセットしてS40へ処理を進め、否定判定される場合にはS60にて出発地火葬場フラグをクリアしてS70へ処理を移行する。
【0026】
S40では、外部メモリ9に格納した現在地までの走行経路を構成するリンク列(往路リンク列)に対応する復路リンク列を計算する。すなわち、往路リンク列のリンクIDを逆順に並び替えることで復路リンク列を得る。なお、ここでの注意点は、往路に上下線分離属性のリンクが含まれている場合には、そのリンクに対する反対方向のリンクを復路リンク列として設定する。S50では、この復路リンク列を外部メモリ9に格納する。
【0027】
S70では、外部メモリ9に格納した往路リンク列をクリアする。S80では、マップマッチングデータを参照して現在地のリンクIDを取得し、これを往路リンク列に含めて外部メモリ8に格納する。S90では、ナビゲーション装置100のシステムが終了するか否かを判定する。ここで、肯定判定される場合には本処理を終了し、否定判定される場合にはS80を繰り返し実行する。
【0028】
そして、ナビゲーション装置100は、経路案内機能において目的地が設定された場合、図4に示す経路計算処理を実行する。図4に示すS100では、出発地火葬場フラグがセット状態であるか否かを判定する。ここで、否定判定される場合にはS120へ処理を進める。
【0029】
一方、否定判定される場合には、S110において、リンクに付与されるコストのうち、外部メモリ9に格納される復路リンク列のリンクのコストを大きいコストに変更する。すなわち、図2に示すように、現在地を火葬場とする目的地までの経路を構成する復路リンク列(4→5→6→1)のコストを大きくする。これにより、火葬場に到達するまでに通過した道路を構成するリンクのコストが大きいコストに変更できる。
【0030】
そして、S120において、上述したダイクストラ法によるコスト計算を行って、最小のコストで目的地に到達する経路を計算する。これにより、火葬場に到達するまでに走行した道路を火葬場から目的地までの経路に含まないように計算することができる。
【0031】
この経路計算処理が終了すると、計算された目的地までの経路案内を行う。これにより、火葬場へ到達するまでに走行した道路を通過することのない、火葬場から目的地への経路を案内することができる。
【0032】
このように、本実施形態におけるナビゲーション装置100は、現在地から目的地への経路を計算する際、現在地(現在地付近を含めてもよい)の施設が火葬場である場合には、その現在地に到達するまでに走行した走行経路の道路を含まない経路を計算する。これにより、特別な設定をすることなく、往路とは別の道路を通過する目的地への経路を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】往路と復路のリンクのコストを説明するための図である。
【図3】ナビゲーション装置100の起動時における処理を示すフローチャートである。
【図4】経路計算処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1 位置検出器
6 地図データ入力器
7 操作スイッチ群
8 音声認識ユニット
9 外部メモリ
10 表示装置
11 スピーカ
12 リモコンセンサ
13 リモコン
14 ナビECU
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行した走行経路を記憶する走行経路記憶手段と、
前記車両の現在地の施設が特定種別の施設であるか否かを判定する施設種別判定手段と、
前記現在地から目的地までの経路を計算する際、前記施設種別判定手段が前記現在地の施設が特定種別の施設であると判定した場合、前記現在地に到達するまでに走行した走行経路の道路を含まない前記現在地から前記目的地への経路を計算する経路計算手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特定種別の施設は火葬場であることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路計算手段は、
道路を構成するリンクに付与されるコストが最小となる経路を算出するものであって、
前記施設種別判定手段が特定種別の施設であると判定した場合、前記走行経路を構成するリンクのコストを大きいコストに変更するリンクコスト変更手段を備え、
前記リンクコスト変更手段によって変更された後のリンクのコストを用いて、前記現在地から前記目的地への経路を計算することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路計算手段によって計算された目的地への経路を案内する経路案内手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−194640(P2006−194640A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4445(P2005−4445)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】