説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地点の設定時の利用者の負担を軽減し、経路探索を容易に行なえるようにする。
【解決手段】カメラ14a付きの携帯電話機14で撮影した画像データをナビゲーション装置100に送信すると、制御回路8は、通信ユニット13または送受信装置16を経由して画像データを受信して画像認識を行ない、画像認識結果データに基づいて目的地点の設定を行なう。これにより、利用者は、簡単な操作で目的地点の設定を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に関し、特に出発地点から目的地点までの経路探索を行なう経路探索機能を備えるナビゲーション装置に関する。なお、目的地点には、中継地点を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置では、経路探索のために目的地点を設定するに際して、利用者から目的地点の地点名が設定された場合、例えばCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory),HDD(Hard Disk Drive)等のデータ記録媒体に格納されている地点名データベースを利用して、その地点名に対応する地点の緯度データおよび経度データを検索し、目的地点の設定が行なわれていた(例えば、特許文献1,特許文献2等参照)。
【0003】
このような目的地点の設定に際しては、従来から各種の方式が採用されており、例えば地点名を広域側から狭域側に順にリスト化したデータを予めデータ記録媒体に記憶しておき、利用者は通常の住所表示と同じ方式で都道府県から順に入力することによりその地点を特定し、対応する地図上の位置データをデータ記録媒体から検索し、これを目的地点として設定する住所直接入力方式が用いられていた。
【0004】
また、上記のような地点名を広域側から狭域側に順にリスト化したデータを用いるには、表示装置に、例えば都道府県等の広域側の地点名を表示し、その1つを利用者が選択したときにはその地点に展開されている狭域側の地点名を表示する、という操作を繰り返すことにより、利用者は表示された地点名リストに基づいて順に地点名を選択し、最終的に目的地点を設定するようにした住所リスト表示選択方式も用いられていた。
【0005】
さらに、例えば画面上に最初広域の地図を表示し、利用者はこの地図上でその地点の存在する部分を指定し、その部分を拡大表示させ、これを繰り返し、またその際適宜の縮尺の地図上でこれをスクロールして、所望の地点を探し、さらに拡大表示する等により最終的に所望の地点をカーソルで指示し、目的地点の設定を行なう地図スクロール方式も用いられていた。
【0006】
さらにまた、レストランやブティック等の店舗施設,駅や市役所等の公共施設,交差点やインターチェンジ等の道路施設,ランドマーク的な建物や名所等の観光施設等を含む種々の地点名データをデータ記録媒体に記録しておき、利用者がこれらの施設名を入力することによりその施設等の存在する地点を目的地点として設定する施設名検索方式も用いられていた。さらに、その施設を画面表示した後、その近辺をスクロールして本来の所望の地点を探し、目的地点の設定を行なう地図スクロール方式と組み合わせることもあった。
【0007】
加えて、近年では、DVD−ROM,HDD等の大容量のデータ記録媒体の普及により莫大なデータも記録することができるようになったため、全国の電話番号に対応した地点データを記憶させ、電話番号を入力することにより特定の家やビルを目的地点として設定する電話番号入力式も採用されるようにもなっている。
【特許文献1】特開2001−255160
【特許文献2】特開2002−107167
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のナビゲーション装置では、新聞,雑誌,パンフレット,ポスター等の印刷物で見つけた記事で紹介されている店舗施設,公共施設,道路施設,観光施設等を目的地点として設定する場合には、既述したいずれの方式であっても、当該施設の施設名,郵便番号,住所,電話番号等を利用者が目的地点の地点名,郵便番号,住所,電話番号等として入力しなければならなかったので、目的地点の設定が面倒であるという問題点があった。特に、印刷物が利用者の所有物でない等の理由から車内に持ち込めない場合は、当該施設の施設名,郵便番号,住所,電話番号等を利用者自身が覚えておいて入力する必要があり、目的地点の設定がさらに面倒になっていた。
【0009】
また、当該施設の施設名,郵便番号,住所,電話番号等を入力しても、当該施設自体がナビゲーション装置のデータ記録媒体に登録されていない場合などもあり、容易に目的地点を検索できないことが生じるという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、印刷物に掲載された記事や同記事に添えられている施設までの経路を表す簡易地図をカメラ撮影し、撮影された画像データまたはその画像認識結果データをナビゲーション装置に送信するだけで目的地点の設定を行なえるようにしたナビゲーション装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、印刷物に掲載された記事にある二次元コードをカメラ撮影し、撮影された画像データまたはその画像認識結果データをナビゲーション装置に送信するだけで目的地点の設定を行なえるようにしたナビゲーション装置を提供することにある。なお、二次元コードとは、例えばQRコード(株式会社デンソーウェーブの登録商標)のように、縦横二方向に情報を持つことで、記録できる情報量を、一次元コードであるバーコードに比べて飛躍的に増加させたコードである。
【0012】
さらに、本発明の第3の目的は、移動体通信機器として、多くの利用者が所有しているカメラ付きの携帯電話機を使用することにより、より手軽な操作で目的地点の設定を容易に行なえるようにしたナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
請求項1記載のナビゲーション装置は、出発地点から目的地点までの経路探索を行なう経路探索機能を備えるナビゲーション装置において、移動体通信機器から送信された画像認識結果データを受信する受信手段と、該受信手段により受信された画像認識結果データに基づいて目的地点を設定する目的地点設定手段とを有することを特徴とする。請求項1記載のナビゲーション装置によれば、移動体通信機器から受信された画像認識結果データに基づいて目的地点を設定できるようにしたことにより、目的地点の設定がきわめて容易になり、利用者の負担を軽減することができる。
【0014】
請求項2記載のナビゲーション装置は、出発地点から目的地点までの経路探索を行なう経路探索機能を備えるナビゲーション装置において、移動体通信機器から送信された画像データを受信する受信手段と、該受信手段により受信された画像データを画像認識する画像認識手段と、該画像認識手段による画像認識結果データに基づいて目的地点を設定する目的地点設定手段とを有することを特徴とする。請求項2記載のナビゲーション装置によれば、移動体通信機器から受信された画像データに基づいて目的地点を設定できるようにしたことにより、目的地点の設定がきわめて容易になり、利用者の負担を軽減することができる。
【0015】
請求項3記載のナビゲーション装置は、請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記移動体通信機器が、カメラを備え、該カメラで撮影した画像データまたはその画像認識結果データを送信することを特徴とする。請求項3記載のナビゲーション装置によれば、移動体通信機器がカメラを備えるので、利用者は画像データまたはその画像認識結果データを容易に送信することが可能になる。
【0016】
請求項4記載のナビゲーション装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記移動体通信機器が、カメラ付き携帯電話機でなることを特徴とする。請求項4記載のナビゲーション装置によれば、移動体通信機器がカメラ付き携帯電話機という一般に広く普及している機器であるので、誰でも簡単に操作することができ、汎用性が高まるという利点がある。
【0017】
請求項5記載のナビゲーション装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記移動体通信機器が、前記受信手段との通信に、有線通信,赤外線通信,近距離無線通信または電子メールのいずれか1つを使用することを特徴とする。請求項5記載のナビゲーション装置によれば、移動体通信機器とナビゲーション装置との間の通信を利用者が選択することが可能になる。有線通信の場合には、高速かつ確実に画像データまたはその画像認識結果データを送受信することができるという利点がある。一方、赤外線通信機能やブルーツゥース,無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信機能の場合には、ケーブル等で接続する等の面倒なしに、画像データを容易に送信することができる。また、移動体通信機器が赤外線通信機能や近距離無線通信機能を有しているか有していないかにかかわらず、画像データまたはその画像認識結果データを電子メールに添付してナビゲーション装置に送信することができる。
【0018】
請求項6記載のナビゲーション装置は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記画像認識手段が、前記画像データが印刷物に掲載された記事である場合、当該記事中の文字を画像認識してテキストデータに変換し、該テキストデータから施設名,郵便番号,住所および電話番号のいずれか1つ以上を抽出することを特徴とする。請求項6記載のナビゲーション装置によれば、画像データからテキストデータに変換するために、すでに広く用いられているOCR(Optical Character Recognition)技術を利用することができ、容易に実装することができるという利点がある。
【0019】
請求項7記載のナビゲーション装置は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記画像認識手段が、前記画像データが印刷物に掲載された簡易地図である場合、当該簡易地図中の文字を画像認識してテキストデータに変換し、該テキストデータから施設名,道路名および交差点名のいずれか1つ以上を抽出するとともに、各線およびその交点を道路および交差点として抽出してそれらの相互関係を認識することを特徴とする。請求項7記載のナビゲーション装置によれば、簡易地図からテキストデータばかりか、道路および交差点ならびにそれらの相互関係が得られるので、パターンマッチングを用いて地点を特定することが可能になる。
【0020】
請求項8記載のナビゲーション装置は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記画像認識手段が、前記画像データが印刷物に掲載された二次元コードである場合、当該画像データ中の二次元コードを画像認識してテキストデータに変換し、該テキストデータから施設名,郵便番号,住所および電話番号のいずれか1つ以上を抽出することを特徴とする。請求項8記載のナビゲーション装置によれば、二次元コードの画像認識は記事や簡易地図の画像認識に比べて少ないハードウェア量で行なえ、施設名,郵便番号,住所および電話番号等の抽出がきわめて容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
画像データまたはその画像認識結果データを移動体通信機器からナビゲーション装置に送信するだけで目的地点の設定を可能とすることにより、目的地点の設定がきわめて容易になり、利用者の負担を軽減することができた。
【0022】
以下、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1に係るナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。本実施例1に係るナビゲーション装置100は、ナビゲーション動作を制御する機能を有した制御回路8に、位置検出器1と、地図データ入力器6と、操作スイッチ群7と、外部記憶装置9と、表示装置10と、リモートコントロール端末(以下、リモコン端末と略称する)12からの信号を検出するリモートコントロールセンサ(以下、リモコンセンサと略称する)11と、携帯電話機14(移動体通信機器に相当)と通信する通信ユニット(受信手段に相当)13と、携帯電話機14との間で外部ネットワーク15を経由して電子メールを送受信したり、インターネットに接続したり、専用の情報センタに接続したりする送受信装置16とが接続されて構成されている。
【0024】
ナビゲーション装置100は、リモコン端末12によりリモコンセンサ11を経由して、あるいは操作スイッチ群7により目的地点を設定すると、出発地点からその目的地点までの最適な経路を自動的に探索して案内経路を表示する、いわゆる経路案内機能を備えている。このような自動的に最適な経路を探索する手法としては、ダイクストラ法等が知られている。
【0025】
位置検出器1は、絶対方位を検出するための地磁気センサ2と、ヨー角速度(ヨーレート)を検出するためのジャイロスコープ3と、車両の走行距離を検出するための距離センサ4と、GPS(Global Positioning System)用人工衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5とから構成されており、ナビゲーション装置100が搭載されている車両の現在地点を算出する部分である。位置検出器1は、これらのセンサ等2,3,4,5の各々が性質の異なる誤差を持っているため、互いに検出誤差を補間しながら精度の高い位置検出を行なうようになっている。ただし、要求される検出精度で現在地点を算出可能であれば前述したうちの一部のセンサで構成してもよい。また、ステアリングホイールの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪速度センサなどを組み合わせて位置検出器1を構成してもよい。
【0026】
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ,道路の接続を表した道路データ,目印データ等を含む各種データをデータ記録媒体18から入力するための装置である。なお、マップマッチングには、GPSや自律航法による測位には誤差が生じることがあるため、現在地点が道路以外(例えば川の中)になることがあり、このようなとき、「車は道路上を走るもの」と考え、現在地点を近くの道路上に修正する機能を含む。
【0027】
操作スイッチ群7は、表示装置10の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置10のカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチなどからなり、各種のデータや設定事項などの操作入力を制御回路8に与えるために設けられている。タッチスイッチは、抵抗膜方式,静電容量方式,電磁誘導方式,超音波表面弾性波方式等のものを使用することができる。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群7およびリモコン端末12によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0028】
制御装置8は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU(Centrall Processing Unit)81,ROM(Read Only Memory)82,RAM(Random Access Memory)83,I/O(Input/Output)84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82およびRAM83に記憶されたプログラムおよびデータにより制御を行なう。ROM82は、プログラム格納領域82aとデータ記憶領域82bとを有している。プログラム格納領域82aには、ナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと略称する)82pが格納される。データ記憶領域82bには、ナビプログラム82pの動作に必要なプログラム実行時の処理データや地図データ入力器6から取得した道路データなどが一時的に格納される。また、ナビプログラム82pは、RAM83上にてナビプログラム用ワークメモリ83wを作業領域とする形で作動する。なお、地図データ入力器6にHDDを用いる場合は、ROM82およびRAM83の機能をHDDによって実施してもよい。
【0029】
制御回路8は、現在地点を地図上に位置付けるマップマッチング処理を実行するという基本的な機能の他に、操作スイッチ群7やリモコン端末12を通じて目的地点や経由地点などの地点データが入力されたときに、その地点データに基づいて現在地点から目的地点までの経路探索処理を、例えばダイクストラ法を用いて行ない、その経路探索結果に基づいて設定された案内経路を地図画面上に表示するという経路計算機能(いわゆる経路探索機能も含む)や、この機能により得られた案内経路に基づいて音声や表示などにより種々のガイドを行なう経路案内機能などの、周知の支援機能を備えている。制御回路8には、この他にも、周知の電話番号検索機能,郵便番号検索機能,固有コードを利用した検索機能,50音検索機能,ジャンル別検索機能,最寄り道路検索機能,目的地点登録機能,観光エリアや推奨ドライブコースなどを表示するための情報表示機能,地点登録機能などの、多種多様な支援機能が設定されている。
【0030】
加えて、制御回路8は、画像データを受信したときに、同画像データ中の、施設名,住所,地理名(川等),道路番号,道路名,交差点名の文字を画像認識する。また、制御回路8は、画像データ中の道路形状を画像認識する。認識対象となるものが画像認識できれば、制御回路8は、画像認識結果データを用いてデータ記録媒体18から読み出されデータ記憶領域82bにロードされている地図データベースを検索することにより地点を特定する。その際、候補地点が複数あった場合には、利用者にその旨を通知し、1地点を選択させる。
【0031】
外部記憶装置9は、フラッシュメモリカードなどの不揮発性メモリにより構成されたもので、ナビゲーション装置100の動作に必要なプログラムおよびデータが記憶されている。なお、外部記憶装置9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0032】
表示装置10は、例えばカラー液晶ディスプレイを含んで構成されており、地図画面を表示するために車両の運転席近傍に設置される。表示装置10の画面には、位置検出器1から入力された車両現在地点マークと、地図データ入力器6から入力された地図データと、さらに地図上に表示する案内経路等の付加データとを重ね合わせて表示するとともに、本画面に経路案内の設定および経路案内中の案内や画面の切り換え操作を行なうためのメニューアイコンが表示される。
【0033】
リモコンセンサ11およびリモコン端末12は、赤外線等を用いて通信を行ない、ナビゲーション装置100の制御を行なう。リモコンセンサ11は、操作入力手段として設けられたもので、リモコン端末12からの操作入力を受信して制御回路8に与えるようになっている。
【0034】
通信ユニット13は、携帯電話機14との間で、有線通信,赤外線通信,ブルーツゥース,無線LAN等の近距離無線通信または電子メール等を使用してデータ通信や音声通信を行なうための装置であり、携帯電話機14から受け取った画像データまたはその画像認識結果データを制御回路8に渡す。有線通信の場合には、高速かつ確実に画像データまたはその画像認識結果データを送受信することができる。一方、赤外線通信機能や近距離無線通信機能の場合には、ケーブル等で接続する等の面倒なしに、画像データまたはその画像認識結果データを容易に送信することができる。
【0035】
携帯電話機14は、カメラ14aを搭載している移動体通信機器であり、カメラ14aで撮影した画像データを通信ユニット13を経由してナビゲーション装置100に送信する。また、携帯電話機14は、赤外線通信機能や近距離無線通信機能を有しているか有していないかにかかわらず、画像データまたはその画像認識結果データを電子メールに添付して外部ネットワーク15および送受信装置16を経由してナビゲーション装置100に送信することができる。
【0036】
送受信装置16は、携帯電話機14との間で音声通信や、電子メールの送受信等のデータ通信を行なう装置である。
【0037】
データ記録媒体18としては、そのデータ量からCD−ROM,DVD−ROM,HDDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他のデータ記録媒体を用いてもよい。この場合、データ記録媒体18には、地図表示のための地図データと、マップマッチング,経路探索,経路案内などの種々の処理に必要な道路データと、交差点の詳細データからなる交差点データと、背景レイヤのための背景データと、地点名などを表示するための地点名データと、道路名を例えば50音順に並べた道路名データと、道路のレーン構成を記憶するレーンデータとなど、多様なデータが記憶されている。特に、道路データは、表示可能な地図についての全部の交差点(ノード)および道路(リンク)についてのデータ(ノード位置,ノード属性など)を網羅した状態となっている。
【0038】
図2は、本発明の実施例1に係るナビゲーション装置100の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、携帯電話機14からナビゲーション装置100に画像データが送信されてきた場合の動作を示す。
【0039】
次に、このように構成された実施例1に係るナビゲーション装置100の動作について、図3ないし図6の画像データ例を参照しながら説明する。なお、ここでは、携帯電話機14からナビゲーション装置100に画像データが送信されてきた場合の動作について説明する。
【0040】
ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム82pが起動された後、利用者が操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12を操作して、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。すなわち、利用者が表示装置10上の地図に基づいて目的地点を入力すると、GPS受信機5から得られる衛星データに基づき車両の現在地点が求められ、現在地点から目的地点までの最適な経路を求める処理が行なわれる。そして、表示装置10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、利用者に適切な経路を案内する。また、表示装置10によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの送出を行なう。
【0041】
利用者が携帯電話機14に搭載されたカメラ14aで、新聞,雑誌,パンフレット,ポスター等の印刷物に掲載された簡易地図を撮影し、画像データをナビゲーション装置100に送信する。携帯電話機14が赤外線通信機能やブルーツゥース,無線LAN等の近距離無線通信機能を有する場合には、利用者は、画像データを携帯電話機14から通信ユニット13を経由してナビゲーション装置100に送信する。また、携帯電話機14が赤外線通信機能や近距離無線通信機能を有しているか有していないかにかかわらず、画像データを電子メールに添付して外部ネットワーク15および送受信装置16を経由してナビゲーション装置100に送信することができる。なお、携帯電話機14と通信ユニット13とをケーブルで接続して、有線通信機能を利用して画像データをナビゲーション装置100に送信してもよい。
【0042】
制御回路8は、携帯電話機14からの画像データを受信すると(ステップS101)、画像データから領域の切り出しを行なう(ステップS102)。例えば、画像データが図3に示すような簡易地図の場合、制御回路8は、図形データの領域として切り出す。また、画像データが図4に示すような文字列群の場合、制御回路8は、文字データの領域として切り出す。さらに、画像データが図5に示すように簡易地図と文字列群との複合データである場合、制御回路8は、図形データの領域および文字データの領域として切り出す。
【0043】
次に、制御回路8は、切り出した領域がないか、あるいは未処理の領域が終了したかを判定する(ステップS103)。
【0044】
ステップS103で未処理の領域があれば、制御回路8は、未処理の領域群のうちの、ある1つの領域が図形データの領域であるかどうかを判定する(ステップS104)。
【0045】
ステップS104で図形データの領域であれば、制御回路8は、図形データの領域の画像データからパターンを画像認識する(ステップS105)。詳しくは、画像データが図3に示すような簡易地図の場合、簡易地図の各線およびその交点をリンク(道路)およびノード(交差点)として抽出して、各リンク,各ノード,およびそれらの相互関係等をグラフ(ネットワーク)として認識する。
【0046】
次に、制御回路8は、画像認識により認識されたグラフと、データ記録媒体18から読み出されデータ記憶領域82bにロードされている道路データとのパターンマッチングより、地点を特定する処理を行ない(ステップS106)、ステップS103に制御を戻す。詳しくは、道路データは、表示可能な地図についての全部の交差点(ノード)および道路(リンク)のデータ(ノード位置,ノード属性など)を網羅した状態となっているので、同一のグラフ(ネットワーク)を検索し、該当するパターンの地点の施設名,郵便番号,住所,電話番号等を得、得られた施設名,郵便番号,住所,電話番号等をキーとして施設名データベース,郵便番号データベース,住所データベース,電話番号データベース等を検索することにより、同地点の位置情報(緯度データ,経度データ)を特定する。
【0047】
ステップS104で図形データの領域でなければ、制御回路8は、前記ある1つの領域が文字データの領域であるかどうかを判定する(ステップS107)。
【0048】
ステップS107で文字データの領域であれば、制御回路8は、文字データの領域の画像データから文字を画像認識する(ステップS108)。例えば、文字データの領域が図4に示すような住所表示の場合、制御回路8は、文字データの領域の文字を周知のOCR技術によりテキストデータ化する。画像データをテキストデータに変換する処理が完了すると、制御回路8は、得られたテキストデータ中に含まれる施設名,郵便番号,住所,電話番号等の文字列を抽出する。
【0049】
次に、制御回路8は、画像認識により認識された施設名,郵便番号,住所,電話番号等をキーとして、データ記録媒体18から読み出されデータ記憶領域82bにロードされている施設名データベース,郵便番号データベース,住所データベース,電話番号データベース等を検索して地点を特定する処理を行ない(ステップS109)、ステップS103に制御を戻す。詳しくは、施設名,郵便番号,住所,電話番号等をキーとして施設名データベース,郵便番号データベース,住所データベース,電話番号データベース等を検索することにより、同地点の位置情報(緯度データ,経度データ)を特定する。
【0050】
なお、画像データが図5に示すような簡易地図と住所表示との混合する画像データの場合、制御回路8は、文字データの領域と図形データの領域とを切り出し、文字データの領域の文字をテキストデータ化し、図形データの領域の各線およびその交点をリンク(道路)およびノード(交差点)として抽出して各リンク,各ノード,およびそれらの相互関係等を認識する。
【0051】
ステップS107で文字データの領域でなければ、制御回路8は、前記ある1つの領域が二次元コードの領域であるかどうかを判定する(ステップS110)。
【0052】
ステップS110で二次元コードの領域であれば、制御回路8は、二次元コードの領域の画像データから二次元コードを解析した文字列を画像認識し(ステップS111)、ステップS109に制御を移す。例えば、二次元コードの領域が図6に示すような二次元コードの場合、制御回路8は、二次元コードを画像認識してテキストデータに変換する。二次元コードをテキストデータに変換する処理が完了すると、制御回路8は、得られたテキストデータ中に含まれる施設名,郵便番号,住所,電話番号等の文字列を抽出する。
【0053】
ステップS103で未処理の領域がなくなると、設定された候補地点があるかないかに基づいて目的地点の特定が可能であるかどうかを判定する(ステップS112)。
【0054】
目的地点の特定が可能であれば、制御回路8は、複数の候補地点があるかどうかを判定する(ステップS113)。
【0055】
複数の候補地点があれば、制御回路8は、複数の候補地点を表示装置10に表示して、利用者に複数の候補地点からの目的地点の選択を促す(ステップS114)。
【0056】
ステップS113で候補地点が1地点であるか、ステップS114で利用者により操作スイッチ群7またはリモコン端末12を使用して複数の候補地点から1地点が目的地点として選択されると、制御回路8は、出発地点を現在地点、選択された候補地点を目的地点として設定する経路探索処理を行なう(ステップS115)。詳しくは、制御回路8は、設定された目的地点により、データ記録媒体18から読み出されデータ記憶領域82bにロードされた地図データベースを用いて、ダイクストラ法等を用いて経路を計算する。
【0057】
経路探索処理後、制御回路8は、経路案内を開始する(ステップS116)。制御回路8は、計算された経路(案内経路)と、位置検出器1からの位置データおよびデータ記録媒体18から読み出されデータ記憶領域82bにロードされた各種データに基づいて算出した車両の位置により、表示する地図の向きを決定し、表示装置10に表示する。
【0058】
ここで、テキストデータ中に含まれる施設名,郵便番号,住所,電話番号等の文字列を抽出する方法について具体的に説明する。
【0059】
まず、施設名については、店舗施設名(レストラン名,ブティック名等を含む),公共施設名(駅名,市役所名等を含む),道路施設名(道路名,交差点名等を含む),観光施設名(建物名,名所名等を含む)等の種々の地点名データをデータ記録媒体18に記録しておき、利用者がこれらの施設名を表すと推認される文字列を抽出し、抽出された文字列をキーとしてデータ記録媒体18から読み込まれた施設名データベースを検索して該当する施設名があれば、施設名が抽出されたものとする。
【0060】
また、郵便番号については、「郵便番号」という文字から始まって、3桁または4桁の数字,ハイフン,4桁の数字の順に並んでいる文字列、または、「郵便マーク(〒)」から始まって、3桁または4桁の数字,ハイフン,4桁の数字の順に並んでいる文字列、または、3桁または4桁の数字,ハイフン,4桁の数字の順に並んでいる文字列、のいずれかに当てはまる文字列を検索し、該当する文字列が得られた場合にこれを郵便番号であると判断する。なお、郵便番号の体系が変更された場合には、許容される郵便番号の桁数に一致する数字列を抽出することにより、同様の郵便番号の抽出処理を行なうことができる。
【0061】
さらに、住所については、都道府県名,市町村名(あるいは区名),丁目,番地,区分の順に住所検索を行なう。丁目,番地,区分については、「○丁目×番地□」という表記と「○−×−□」という表記の2パターンが考えられるが、いずれの場合にも対応できるものとする。また、丁目,番地等の詳細な住所を特定できなかった場合には、例えば、市町村名などの検索可能なところまで検索して処理を終了する。
【0062】
さらにまた、電話番号については、文字データ中において数字,ハイフン,カッコ等の文字が連続している部分を検索し、この部分に含まれる数字のみを順に抽出する。そして、抽出された数字が10個もしくは11個、すなわち10桁あるいは11桁の数字列である場合に、抽出された数字列が電話番号を示していると判断する。なお、電話番号の体系が変更された場合には、許容される電話番号の桁数に一致する数字列を抽出することにより、同様の電話番号検索を行なうことができることは、上述した郵便番号の場合と同じである。
【0063】
なお、施設名,郵便番号,住所,電話番号等のそれぞれを検索するために必要な各データベース(施設名データベース,郵便番号データベース,住所データベース,電話番号データベース)については、データ記録媒体18から読み出されてワークメモリ83wにロードされており、制御回路8は、これらのデータベースを使って住所等の検索を行なうものとする。また、住所検索に必要な処理時間を短縮するために、実際の住所データベースにおいては、都道府県名や市町村名等のデータに対して、例えば、人口の多い順,過去に訪れたことのある回数の多い順,現在地点から近い順等の所定の優先順位を付加しておき、この優先順位に基づいた住所検索を行なうことが望ましい。
【0064】
ところで、本実施例1では、移動体通信機器として携帯電話機14を用いる構成としたが、PHS(Personal Handyphone System),無線LAN端末等の他の移動体通信機器でもよく、また、専用の移動体通信機器を設ける構成とすることも可能である。
【0065】
また、カメラ14aで撮影した画像データを携帯電話機14からナビゲーション装置100に送信するようにしたが、携帯電話機14で画像データを画像認識して、その画像認識結果データをナビゲーション装置100に送信するようにしてもよい。特に、画像データが二次元コードの場合、画像認識処理が軽いので、二次元コードの画像認識を携帯電話機14で行ない、画像認識結果データである施設名,郵便番号,住所または電話番号の文字列をナビゲーション装置100に送信するようにしてもよい。
【0066】
さらに、本発明は、車両用のナビゲーション装置に限らず、個人が携帯する形式のナビゲーション装置にも適用することができる。
【0067】
以上、本発明の実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施例1に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャート。
【図3】画像データが簡易地図である例を示す図。
【図4】画像データが住所等の文字列群である例を示す図。
【図5】画像データが簡易地図と文字列群とを含む例を示す図。
【図6】画像データが二次元コードである例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
1 位置検出器
2 地磁気センサ
3 ジャイロスコープ
4 距離センサ
5 GPS受信機
6 地図データ入力器
7 操作スイッチ群
8 制御回路
9 外部記憶装置
10 表示装置
11 リモコンセンサ
12 リモコン端末
13 通信ユニット(受信手段)
14 携帯電話機(移動体通信機器)
14a カメラ
15 外部ネットワーク
16 送受信装置
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から目的地点までの経路探索を行なう経路探索機能を備えるナビゲーション装置において、
移動体通信機器から送信された画像認識結果データを受信する受信手段と、
該受信手段により受信された画像認識結果データに基づいて目的地点を設定する目的地点設定手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
出発地点から目的地点までの経路探索を行なう経路探索機能を備えるナビゲーション装置において、
移動体通信機器から送信された画像データを受信する受信手段と、
該受信手段により受信された画像データを画像認識する画像認識手段と、
該画像認識手段による画像認識結果データに基づいて目的地点を設定する目的地点設定手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記移動体通信機器が、カメラを備え、該カメラで撮影した画像データまたはその画像認識結果データを送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記移動体通信機器が、カメラ付き携帯電話機でなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記移動体通信機器が、前記受信手段との通信に、有線通信,赤外線通信,近距離無線通信または電子メールのいずれか1つを使用することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記画像認識手段が、前記画像データが印刷物に掲載された記事である場合、当該記事中の文字を画像認識してテキストデータに変換し、該テキストデータから施設名,郵便番号,住所および電話番号のいずれか1つ以上を抽出することを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記画像認識手段が、前記画像データが印刷物に掲載された簡易地図である場合、当該簡易地図中の文字を画像認識してテキストデータに変換し、該テキストデータから施設名,道路名および交差点名のいずれか1つ以上を抽出するとともに、各線およびその交点を道路および交差点として抽出してそれらの相互関係を認識することを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記画像認識手段が、前記画像データが印刷物に掲載された二次元コードである場合、当該画像データ中の二次元コードを画像認識してテキストデータに変換し、該テキストデータから施設名,郵便番号,住所および電話番号のいずれか1つ以上を抽出することを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−64443(P2006−64443A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245097(P2004−245097)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】