説明

ナビゲーション装置

【課題】外部システムから取得した経路情報における出発地点と現在位置とが異なるシーンであっても、適切な経路情報を提示する。
【解決手段】経路情報における出発地点と現在位置との間の距離に基づいて、経路情報における出発地点の変更が必要となる変更条件を具備すると判定された場合、経路情報における出発地点をキャンセルし、現在位置を起点として経路情報に規定される経路を最適化する最適化処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両周辺の道路情報を表示したり、出発地点から目的地点までの経路情報を表示して経路誘導を行ったりするナビゲーション装置が知られている。
【0003】
ところで、この類のナビゲーション装置において、実際に車両に乗り込んでから、出発地点および目的地点、さらには経由地点といった経路情報の設定を行うことは煩雑な作業となる。そこで、例えば、特許文献1には、ユーザがコンピュータ等により作成した経路情報をサーバよりダウンロードし、この情報をナビゲーション装置で再現して利用することにより、煩雑な設定作業を軽減させる手法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−143358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、事前に作成された経路情報における出発地点と、経路案内を実際に開始する地点(車両の現在位置)とがずれている場合に、ナビゲーション装置で再現される経路情報が不適当な情報となる虞がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部システムから取得した経路情報における出発地点と現在位置とが異なるシーンであっても、適切な経路情報を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、ナビゲーション装置において、経路情報における出発地点と現在位置との間の距離に基づいて、経路情報における出発地点の変更が必要となる変更条件を具備すると判定された場合、経路情報における出発地点をキャンセルし、現在位置を起点として経路情報に規定される経路を最適化する最適化処理が行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、適切な経路情報をユーザに提示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置を含む経路配信システムを模式的に示すブロック図である。本実施形態にかかる経路配信システムは、ユーザ側に設けられるユーザ側コンピュータ10(以下「ユーザ側PC」という)と、経路情報の配信者側に設けられる配信者側システム20と、移動体(本実施形態では、車両)に搭載されてユーザによって利用されるナビゲーション装置30とを主体に構成されている。この経路配信システムにおいて、ユーザ側PC10と配信者側システム20とは、インターネット等のネットワーク15を介して相互に情報通信可能に構成されており、配信者側システム20とナビゲーション装置30とは、無線通信を行う基地局25を介して相互に情報通信可能に構成されている。
【0009】
ユーザ側PC10は、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の汎用の情報処理装置により構成されている。このユーザ側PC10は、ネットワーク15を介して配信者側システム20に経路情報の作成を依頼したり、自己の依頼した経路情報を閲覧またはダウンロードしたりすることができる。経路情報の作成を依頼する場合、ユーザは、ユーザ側PC10を介して経路候補情報を配信者側システム20に送信する。ここで、経路候補情報は、配信者側システム20が経路情報を作成するために必要となる情報であり、少なくとも出発地点と目的地点とを含む。また、この経路候補情報は、出発地点および目的地地点以外に、一つ以上の経由地点を含むこともできる。
【0010】
配信者側システム20は、ユーザからの依頼に応じて経路情報を作成する。配信者側システム20は、経路探索装置21と、地図データベース22と、ゲートウェイサーバ23と、データ保存サーバ24とを主体に構成されている。
【0011】
経路探索装置21は、ユーザ側PC10からの経路候補情報に基づいて、出発地点から到着地点へと至る一連の経路、または、出発地点から経由地点を経由して到着地点へと至る一連の経路を探索し、この探索結果を経路情報として作成する。経路探索装置21において作成される経路情報は、地図データベース22に記憶される地図データを参照して作成される。
【0012】
地図データベース22は、道路や地形等の地理的な情報であるナビゲーション用の地図情報に関する地図データを記憶している。地図データは、道路および交差点に位置情報が関連付けて構成されており、特定地点を表すノードと、特定地点間の接続を表す道路リンクとで構成される道路データが含まれている。地図データにおいて、地図情報上の各道路は交差・分岐・合流地点等に対応する複数のノードによって分割されており、それぞれのノード間の道路は道路リンクとして規定される。そのため、各道路リンクをノード毎に接続することにより、連続する道路に関する情報が構成される。
【0013】
道路リンクは、そのリンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端および終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路幅員等の各データから構成される。ノードは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続する全ての道路リンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類(一時停止規制の有無等)、信号機の設置位置、停止線の位置、交差点の環境条件などの各データから構成されている。
【0014】
ゲートウェイサーバ(以下「GWサーバ」という)23は、ネットワーク15に接続している。GWサーバ23は、ユーザ側PC10からネットワーク15を介して送信される情報を経路探索装置21に伝送するとともに、経路探索装置21から配信された情報をネットワーク15を介してユーザ側PC10に伝送する。
【0015】
データ保存サーバ24は、経路探索装置21によって作成された経路情報を保存する。データ保存サーバ24は、図2に示すように、経路情報の作成を依頼したユーザ毎に、当該ユーザを一意に識別するためのユーザIDと、ユーザによって依頼された経路情報とを対応付けて保存している。
【0016】
この配信者側システム20は、ナビゲーション装置30から無線で送信された情報を基地局25で受信し、その情報が基地局25から有線送信されることにより、ナビゲーション装置30からの情報を受信することができる。また、配信者側システム20は、自己の情報を基地局25へ有線送信し、その情報を基地局25がナビゲーション装置30に無線で送信することにより、ナビゲーション装置30へ情報を送信することができる。
【0017】
ナビゲーション装置30は、車両周辺の地図情報および経路情報を提示(例えば、表示)する装置であり、コントロールユニット31と、地図データベース(記憶手段)32と、表示装置33と、GPS受信機34と、通信アダプタ35とを主体に構成されている。
【0018】
コントロールユニット31は、ナビゲーションに係わる処理を実行する。コントロールユニット31としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。コントロールユニット31は、これを機能的に捉えた場合、最適化部(処理手段)31a、経路再現部(再現手段)31b、位置検出部(検出手段)31cおよび経路探索部(処理手段)31dを有している。
【0019】
最適化部31aは、配信者側システム20から取得(ダウンロード)した経路情報を処理対象として、当該情報を最適化する最適化処理を行う。なお、最適化部31aによって実行される最適化処理の詳細については、後述する。経路再現部31bは、配信者側システム20から取得した経路情報に基づいて、この経路情報に規定される経路を地図情報に再現する。経路再現部31bは経路情報を地図情報に再現するにあたり、地図データベース32に記憶される地図データを参照して行う。位置検出部31cは、全地球測位システム(GPS)受信機34から得られる座標情報に基づいて、現在の車両位置を特定する。経路探索部31dは、異なる2地点間における一連の経路情報、または、異なる2地点間において経由地点を経由する一連の経路情報を探索する。経路探索部31dは、経路探索において、地図データベース22に記憶される地図データを参照して行う。
【0020】
地図データベース32は、道路や地形等の地理的な情報であるナビゲーション用の地図情報に関する地図データを記憶している。この地図データベース32の構成は、配信者側システム20における地図データベース22と同様である。表示装置33は、コントロールユニット31に制御されて、地図情報および経路情報を表示する。表示装置33としては、液晶などの各種の表示装置を利用することができる。GPS受信機34は、GPS衛星のうち、上空にある数個の衛星からの信号を受信する。受信した情報は、コントロールユニット31に対して出力される。通信アダプタ35は、携帯電話などの通信機器36が接続される。この通信アダプタ35および通信機器36は、後述するように、経路情報を外部システム(本実施形態では、配信者側システム20)から取得する取得手段として機能する。
【0021】
ナビゲーション装置30は、通信アダプタ35に接続される通信機器36を用いて、基地局25に対して無線通信にて情報を送信したり、基地局25から無線通信にて送信される情報を受信することができる。このような無線通信を通じ、ナビゲーション装置30は、基地局25を介して配信者側システム20との間で情報通信を行うことができる。
【0022】
このようなシステム構成を前提として、以下、本実施形態にかかるナビゲーション装置30によって実行される経路情報の最適化処理について説明する。ここで、図3は、本実施形態にかかる経路情報の最適化処理の手順を示すフローチャートである。同図に示す最適化処理は、例えば、配信者側システム20へ依頼した経路情報の利用を希望するユーザによる所定の操作を通じて、ナビゲーション装置30のコントロールユニット31に対してトリガー信号が入力されることを条件として、コントロールユニット31によって実行される。
【0023】
ここで、ナビゲーション装置30によって実行される最適化処理の前提として、ユーザは、経路情報の作成依頼を配信者側システム20に対して行っているものとする。具体的には、ユーザは、ユーザ側PC10を介して経路候補情報を配信者側システム20(経路探索装置21)に送信することにより、経路情報の作成を依頼する。この際、ユーザは、経路候補情報における出発地点を、ユーザの自宅といったように住所等の所在が明確な地点を指定することが一般である。
【0024】
配信者側システム20(経路探索装置21)は、経路情報の作成の依頼を受け付けると、地図データベース22の地図データを参照した上で、経路候補情報に基づいて、出発地点から到着地点へと至る一連の経路(経由地点が含まれている場合には、出発地点から経由地点を経由して到着地点へと至る一連の経路)を探索し、この探索結果を経路情報として作成する。そして、配信者側システム20(経路探索装置21)は、作成した経路情報に、この経路情報を作成したユーザに割り当てられたユーザIDを対応付けた上で、この情報をデータ保存サーバ24に保存する。
【0025】
図3に示すように、まず、ステップ1(S1)において、経路再現部31bは、通信機器36および通信アダプタ35を介して、配信者側システム20に対してユーザIDを送信することにより、経路情報のダウンロード要求を行う。配信者側システム20では、ダウンロード要求を取得すると、経路探索装置21が、送信されたユーザIDをキーとしてデータ保存サーバ24を検索することにより、ユーザIDに対応する経路情報を特定する。経路情報を特定した配信者側システム20は、そのダウンロード要求を行ったナビゲーション装置30に対して、特定した経路情報を送信する。これにより、経路再現部31bは、通信機器36および通信アダプタ35を介して、経路情報を取得する。
【0026】
ステップ2(S2)において、経路再現部31bは、配信者側システム20からダウンロードした経路情報を、地図情報に再現する。この再現により、ダウンロードした経路情報、すなわち、出発地点から到着地点へと至る一連の経路(または、出発地点から経由地点を経由して到着地点へと至る一連の経路)が、図4において破線で示すように、地図情報上に規定される。
【0027】
ステップ3(S3)において、位置検出部31cは、現在位置を検出する。例えば、車両が自宅から離れた駐車場に駐車されている場合には、駐車場の位置が現在位置として検出される。
【0028】
ステップ4(S4)において、最適化部31aは、経路情報における出発地点から現在位置までの距離に基づいて、経路情報における出発地点の変更が必要となる変更条件(第1の変更条件)を具備するか判定する。具体的には、最適化部31aは、第1の変更条件として、現在位置が、経路情報における出発地点を中心とする最適化範囲A1内に存在するか否かを判断する(図5参照)。この最適化範囲A1は、経路情報における出発地点を変更せずに、ユーザが意図的に遠回りする経路を希望するか否かを判断するために設定される範囲(経路情報における出発地点を中心とする距離)であり、実験やシミュレーションを通じてその最適値が予め設定されている。例えば、最適化範囲A1は、出発地点を中心とした半径1km(第2の距離)の範囲に設定されるといった如くである。
【0029】
ステップ4において肯定判定された場合、すなわち、経路情報における出発地点から現在位置までの距離が最適化範囲A1内である場合には、ステップ5(S5)に進む。一方、ステップ4において否定判定された場合、すなわち、経路情報における出発地点から現在位置までの距離が最適化範囲A1よりも大きい場合には、後述するステップ10(S10)に進む。
【0030】
ステップ5において、最適化部31aは、経路情報における出発地点から現在位置までの距離に基づいて、経路情報における出発地点の変更が必要となる変更条件(第2の変更条件)を具備するか判定する。具体的には、最適化部31aは、第2の変更条件として、現在位置が、経路情報における出発地点を中心とする同一判定範囲A2内に存在するか否かを判断する(図5参照)。この同一判定範囲A2は、経路情報における出発地点と現在位置とが同一地点と見なせるか否かを判断するために設定される範囲(経路情報における出発地点を中心とする距離)であり、実験やシミュレーションを通じてその最適値が予め設定されている。例えば、同一判定範囲A2は、例えば、出発地点を中心とした半径10m(第1の距離)の範囲に設定されるといった如くである。
【0031】
ステップ5において否定判定された場合、すなわち、経路情報における出発地点から現在位置までの距離が同一判定範囲A2よりも大きい場合には、ステップ6(S6)に進む。一方、ステップ5において肯定判定された場合、すなわち、経路情報における出発地点から現在位置までの距離が同一判定範囲A2内である場合には、ステップ12(S12)に進む。
【0032】
ステップ6において、最適化部31aは、n次出発地点候補を設定する。具体的には、最適化部31aは、経路情報における出発地点をキャンセルし、経路情報に規定される経路上において新たな出発地点候補を設定する。まず、最適化部31aは、図6に示すように、最適化範囲A1と、経路情報に規定される経路との交点を一次出発地点候補として設定する。
【0033】
ただし、この一次出発地点候補を経由することが必ずしも最適な経路になるとは限らず、道路形状によっては遠回りをしてしまう可能性もある。そこで、最適化部31aは、図7に示すように、一次出発地候補から所定距離(例えば、3km)だけ離れた地点を二次出発地点候補、また、一次出発地候補から所定距離(例えば、5km)だけ離れた地点を三次出発地点候補として設定する。
【0034】
ステップS7において、最適化部31aは、n次出発地点候補(本実施形態では、一次から三次出発地点候補)の中から、最適出発地点を決定する。具体的には、最適化部31aは、現在地点から各出発地点候補までの経路探索を経路探索部31dに依頼する。最適化部31aは、経路探索部31dの検索結果に基づいて、目的地点までの距離が全体として最も短くなるn次出発地点候補を最適出発地点として決定する。
【0035】
ステップ8(S8)において、経路フラグFrootが「2」にセットされる。
【0036】
一方、ステップ4における否定判定に続くステップ10では、経路探索部31dにおいて、現在位置から、ダウンロードした経路情報における出発地点までの経路が検索される。検索された経路情報は、最適化部31aに対して出力される。ステップ10に続くステップ11(S11)において、経路フラグFrootが「1」に設定される。
【0037】
これに対して、ステップ5における肯定判定に続くステップ12(S12)において、経路フラグFrootが「0」に設定される。
【0038】
ステップ9(S9)において、最適化部31aは、最終的な経路情報(最終経路情報)を確定する。最終経路情報は、経路フラグFrootの値に応じて、次の通りに確定される。まず、経路フラグFrootが「2」にセットされている場合、最適化部31aは、現在地点から最適出発地点までの経路と、ダウンロードした経路情報において最適出発地点から目的地点までの経路とを結合し、これを最終経路情報として確定する(図8参照)。一方、経路フラグFrootが「0」にセットされている場合、最適化部31aは、ダウンロードした経路情報を最終経路情報として確定する(図9参照)。これに対して、経路フラグFrootが「1」にセットされている場合、最適化部31aは、現在位置から経路情報における出発地点までの経路と、ダウンロードした経路情報とを結合し、これを最終経路情報として確定する。
【0039】
以上の一連の処理により確定された経路情報は、地図情報とともに表示装置33に表示され、これにより、ユーザの経路を案内するナビゲーション情報として機能する。
【0040】
このように本実施形態において、ナビゲーション装置30は、経路情報における出発地点と現在位置との間の距離に基づいて、経路情報における出発地点の変更が必要となる変更条件を具備するか判定する。そして、この変更条件を具備すると判定された場合には、経路情報における出発地点をキャンセルし、現在位置を起点として経路情報に規定される経路を最適化する最適化処理を行う。
【0041】
例えば、図10に示すように、経路情報における出発地点(自宅)と、経路案内を実際に開始する車両の現在位置(駐車場)とが位置的にずれているケースでは、駐車場から自宅までの経路が、経路情報に付加されてしまうため、遠回りな経路が提示されてしまう可能性がある。また、この遠回りの経路を無視し、駐車場の近くの経路から走行を開始した場合には、出発地点の通過判定がなされないため、何度もリルートが発生してしまう。そのため、ユーザはわざわざ出発地点(経由地点)を消去する操作を行わなければならず、ユーザに煩雑な操作を要求することになりかねない。
【0042】
しかしながら、本実施形態の構成によれば、経路情報における出発地点と、経路案内を実際に開始する地点(車両の現在位置)とがずれているケースであっても、変更条件を具備すると判定されるため、経路情報における出発地点をキャンセルし、現在位置を起点として経路情報に規定される経路が最適化される。そのため、経路が遠回りとなったり、ユーザに煩雑な操作を要求することなく、適切な経路情報をユーザに提示することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態において、経路情報における出発地点から現在位置までの距離が、同一判定範囲A2(出発地点を中心として第1の距離)から、最適化範囲A1(出発地点を中心として第2の距離)までの範囲内となる場合に、変更条件を具備すると判定がなされる。この場合、第1の距離は、経路情報における出発地点と現在位置とが同一地点と見なせるか否かを判断するために設定される距離であり、第2の距離は、経路情報における出発地点を変更せずに、ユーザが意図的に遠回りする経路を希望するか否かを判断するために設定される距離である。
【0044】
かかる構成によれば、経路情報における出発地点と現在位置とが同一の地点と見なせる場合には、経路情報の最適化を行わないので、不要な処理が実行されるといった事態を抑制することができる。また、経路情報における出発地点と現在位置とが大きく離れている場合には、ユーザが意図的に経由したい地点であると判断する。これにより、ユーザの意図にそった経路情報を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態において、ナビゲーション装置30は、最適化処理において、現在位置から経路情報に規定される経路の途中地点へと接続する新たな経路を作成し、この作成された新たな経路と、経路情報において途中地点から目的地点へと至る経路とを結合することにより、最適経路を確定する。
【0046】
かかる構成によれば、経路が遠回りとなったり、ユーザに煩雑な操作を要求したりすることなく、適切な経路情報をユーザに提示することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態において、ナビゲーション装置30は、経路情報における出発地点から第2の距離だけ離れた地点に出発地点候補を設定し、現在位置から設定された出発地点候補までの経路と、経路情報において出発地点候補から目的地点までの経路とを結合することにより、最適経路を確定する。また、この場合、ナビゲーション装置30は、経路情報における出発地点から第2の距離よりも大きな第3の距離だけ離れた地点に出発地点候補を新たに設定するとともに、現在位置から各出発地点候補までの経路をそれぞれ検索することにより、目的地点までの総体的な距離が最も短くなる出発地点候補を選択し、現在位置から選択された出発地点候補までの経路と、経路情報において出発地点候補から目的地点までの経路とを結合することにより、最適経路を確定することが好ましい。
【0048】
かかる構成によれば、経路が遠回りとなったり、ユーザに煩雑な操作を要求したりすることなく、適切な経路情報をユーザに提示することが可能となる。また、最適な経路の作成において、道路形状によっては遠回りが生じてしまうという不都合の発生を抑制することができる。
【0049】
なお、ナビゲーション装置30は、図11に示すように、現在位置(駐車場)から出発地点(自宅)まで、同じリンクの上下方向を通るUターン経路のような場合は、出発地点をキャンセルして、現在地点からそのまま経路案内を始めてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能である。たとえば、ナビゲーション装置と、配信者側システムとの間の通信は、ネットワーク経由でもよい。また、ナビゲーション装置において、現在位置を検出する手法としては、上述した手法に限らず、複数の基地局から発信される電波を同時に受信し、電波の到達時間から割り出した基地局までの距離に基づいて現在位置を三角測量により特定したり、道路側に設けられた道路側インフラと路車間通信を行うことにより、現在の車両位置を特定したりしてもよい。当然、これらの手法を複合的に用いて、現在位置を特定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ナビゲーション装置を含む経路配信システムを模式的に示すブロック図
【図2】データ保存サーバ24の保存データを示す説明図
【図3】経路情報の最適化処理の手順を示すフローチャート
【図4】地図情報および経路情報を模式的に示す説明図
【図5】同一判定範囲A2および最適化範囲A1を示す説明図
【図6】一次出発地点の説明図
【図7】n次出発地点の説明図
【図8】地図情報および最終経路情報を模式的に示す説明図
【図9】地図情報および最終経路情報を模式的に示す説明図
【図10】従来手法による地図情報および経路情報を模式的に示す説明図
【図11】地図情報および経路情報を模式的に示す説明図
【符号の説明】
【0052】
10 ユーザ側PC
15 ネットワーク
20 配信者側システム
21 経路探索装置
22 地図データベース
23 GWサーバ
24 データ保存サーバ
25 基地局
30 ナビゲーション装置
31 コントロールユニット
31a 最適化部
31b 経路再現部
31c 位置検出部
31d 経路探索部
32 地図データベース
33 表示装置
34 GPS受信機
35 通信アダプタ
36 通信機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置において、
ナビゲーション用の地図情報に関する地図データを記憶する記憶手段と、
自己の現在位置を検出する検出手段と、
出発地点から目的地点へと至る一連の経路を規定する経路情報を外部システムから取得する取得手段と、
前記取得部によって取得された経路情報に基づいて、当該経路情報に規定される経路を前記地図情報に再現する再現手段と、
前記再現手段の再現結果に基づいて、前記経路情報における出発地点と前記検出手段において検出される現在位置との間の距離を特定するとともに、当該特定された距離に基づいて、前記経路情報における出発地点の変更が必要となる変更条件を具備するかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって変更条件を具備すると判定された場合、前記経路情報における出発地点をキャンセルし、前記現在位置を起点として前記経路情報に規定される経路を最適化する最適化処理を行う処理手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記経路情報における出発地点から前記現在位置までの距離が、第1の距離から、当該第1の距離よりも長い第2の距離までの範囲内となる場合に、前記変更条件を具備すると判定することを特徴とする請求項1に記載されたナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第1の距離は、前記経路情報における出発地点と前記現在位置とが同一地点と見なせるか否かを判断するために設定される距離であり、
前記第2の距離は、前記経路情報における出発地点を変更せずに、ユーザが意図的に遠回りする経路を希望するか否かを判断するために設定される距離であることを特徴とする請求項2に記載されたナビゲーション装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記最適化処理において、前記現在位置から前記経路情報に規定される経路の途中地点へと接続する新たな経路を作成し、当該作成された新たな経路と、前記経路情報において前記途中地点から目的地点へと至る経路とを結合することにより、最適経路を確定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載されたナビゲーション装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記経路情報に規定される経路上において、前記経路情報における出発地点から前記第2の距離だけ離れた地点に出発地点候補を設定し、前記現在位置から前記設定された出発地点候補までの経路と、前記経路情報において当該出発地点候補から目的地点までの経路とを結合することにより、最適経路を確定することを特徴とする請求項2または3に記載されたナビゲーション装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記経路情報に規定される経路上において、前記経路情報における出発地点から前記第2の距離よりも大きな第3の距離だけ離れた地点に出発地点候補を新たに設定するとともに、前記現在位置から各出発地点候補までの経路をそれぞれ検索することにより、前記目的地点までの総体的な距離が最も短くなる出発地点候補を選択し、前記現在位置から前記選択された出発地点候補までの経路と、前記経路情報において当該出発地点候補から目的地点までの経路とを結合することにより、最適経路を確定することを特徴とする請求項5に記載されたナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−204358(P2009−204358A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45036(P2008−45036)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】