説明

ナビゲーション装置

【目的】希望時間以上滞在できなかったために選択できなかった優先順位の高い施設を、到着予定時刻が早まったとき、立ち寄り施設あるいは目的施設として再設定できるようにする「ナビゲーション装置」を提供することである。
【構成】同一方面の複数の施設を候補施設として検索し、該検索された施設への到着予定時刻を計算し、施設のクローズ時刻と到着予定時刻より求まる滞在可能時間が滞在希望時間以上の候補施設のうち、優先順位が最高の候補施設を目的施設あるいは立ち寄り施設として決定する。そして、目的施設あるいは立ち寄り施設への経路誘導と並行して、到着予定時刻が所定時間以上早まったか監視し、早まれば、現目的施設あるいは立ち寄り施設より優先順位が高い候補施設における滞在可能時間が滞在希望時間より大きくなったか調べ、大きければその旨を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に関わり、特に、所望の施設を目的施設あるいは立ち寄り施設として設定し、該施設までの経路を探索するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置、例えば車載ナビゲーション装置は自車周辺の地図を表示し、該地図上に自車位置を示す車両マークを表示すると共に、目的地までの経路を探索し、該探索した経路(誘導経路)を地図上に強調表示し、車両を目的地に向けて誘導する。
かかる車載ナビゲーション装置には、経由点案内機能があり、目的地への途中で立ち寄りたい地点(経由点)を設定すれば、該地点を経由する経路を探索して表示する。例えば、目的地へ行く途中で日帰り客が利用できる温泉ホテルなどの施設で休んでから目的地へ行きたい場合、立ち寄り施設(温泉ホテル)を経由地点として設定すれば該地点を経由する経路を探索して表示する。かかる場合、立ち寄り施設(温泉ホテル)を決定する決め手の一つは希望時間以上、該施設に滞在できることである。すなわち、到着予想時間と施設のクローズ時間(日帰り最終帰宅時刻)とから定まる滞在可能時間が希望滞在時間より長いことである。このため、行きたい優先順位が高い施設であっても希望時間以上滞在できないと予想される施設は、立ち寄り施設から除外し、優先順位は低いが希望時間以上滞在できる施設を立ち寄り施設として決定し、該施設に立ち寄るようにしている。なお、目的地への到着希望時間を考慮して滞在可能時間を推定する場合も、優先順位は低いが希望時間以上滞在できる施設を立ち寄り施設として決定し、該施設に立ち寄るようにしている。
【0003】
以上では、立ち寄り施設を決定する場合であるが、目的施設を決定する場合も同じである。すなわち、目的施設(例えば日帰り温泉ホテル)を決定する場合、該目的施設を決定する決め手の一つは希望時間以上、該施設に滞在できることである。このため、行きたい優先順位が高い施設であっても希望時間以上滞在できないと予想される施設は、目的施設から除外し、優先順位は低いが希望時間以上滞在できる施設を目的施設として決定する。
ところで、実際の走行に際して、立ち寄り施設あるいは目的施設への到着時間が相当短縮する場合が頻繁に発生する。これは、走行前の到着予想時刻を標準速度で走行するものとして計算するが、走行時の到着予想時刻は実際の走行速度で計算するからであり、かつ、実際の走行速度が標準速度より高速になることが多いからである。
このように到着予想時刻が早くなっても従来は一度設定した立ち寄り施設あるいは目的施設は変更されず、行きたい優先順位が低い施設へ立ち寄り、あるいは行くことになる問題があった。
【0004】
従来技術として、到着時刻を設定し、該到着時刻における自車位置を推定し、該推定位置周辺の所定施設(例えばレストラン)を周辺検索して表示し、混雑等により該到着時刻における自車位置が推定位置から所定距離以上ずれる場合には、再度、前記設定到着定時刻における自車位置を推定し、該推定位置周辺の所定施設(例えばレストラン)を周辺地検索して表示する技術がある (特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−317173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に開示されている従来技術は、設定到着時刻における推定自車位置が当初の推定位置から相当距離ずれる毎に周辺検索を最初から繰り返し、該検索された施設の中より所望の施設をユーザが再度選択する必要があり、操作性が悪い問題がある。
また、従来技術は最初の検索結果を再利用できず、はじめから周辺検索をやり直す必要がある。
更に、従来技術は周辺検索に関するものであり、滞在可能時間が希望滞在時間より長い所定ジャンルの同一方面の施設を検索して(方面施設検索)、立ち寄り施設あるいは目的施設を決定する場合に適用できない。
以上から本発明の目的は、希望時間以上滞在できなかったために選択できなかった優先順位の高い施設を、到着予定時刻が早まったとき、立ち寄り施設あるいは目的施設として再設定できるようにすることである。
本発明の別の目的は、方面施設検索を最初からやり直す必要がなく、最初の方面施設検索結果の中から優先順位の高い施設を立ち寄り施設あるいは目的施設として再設定できるようにすることである。
本発明の別の目的は、方面施設検索を最初からやり直す必要がなく、操作性能を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
・第1発明のナビゲーション装置
本発明の第1は、所望の施設を目的施設あるいは立ち寄り施設として設定し、該施設までの経路を探索するナビゲーション装置である。
第1発明のナビゲーション装置は、同一方面の複数の施設を候補施設として検索する施設検索手段、前記検索された施設への到着予定時刻を計算する到着予定時刻計算手段、前記検索された候補施設に行きたい順に優先順位が設定されたとき、施設のクローズ時刻と到着予定時刻より求まる滞在可能時間が滞在希望時間以上の候補施設のうち、優先順位が最高の施設を目的施設あるいは立ち寄り施設として決定する施設決定手段、前記目的施設あるいは立ち寄り施設への経路誘導と並行して、到着予定時刻が所定時間以上早まったか監視する監視手段を備え、早まれば、前記施設決定手段は、現目的施設あるいは立ち寄り施設より優先順位が高い候補施設における滞在可能時間が前記滞在希望時間より大きくなったか調べ、大きければその旨を出力する。
前記施設検索手段は、目的施設を設定するために、行きたい方面あるいは地域、該目的施設のジャンル、滞在希望時間が入力されたとき、該方面あるいは地域に所在する前記ジャンルの施設を前記候補施設として検索する。また、立ち寄り施設を設定するために、該立ち寄り施設のジャンル、滞在希望時間が入力されたとき、目的地への誘導経路の近くに所在する前記ジャンルの施設を前記候補施設として検索する。
・第2発明のナビゲーション装置
本発明の第2は、所望の施設を目的地への途中で立ち寄る施設として設定し、該立ち寄り施設までの経路を探索するナビゲーション装置である。
第2発明のナビゲーション装置は、目的地への到着希望時刻、立ち寄り施設のジャンル、滞在希望時間が入力されたとき、目的地への誘導経路の近くに所在する前記ジャンルの施設を候補施設として検索する施設検索手段、前記検索された候補施設への到着予定時刻、立ち寄り施設から目的地までの所要時間を計算する計算手段、前記目的地への到着希望時刻から前記所要時間前の時刻を施設出発時刻として計算すると共に、該施設出発時刻と前記到着予定時刻との時間差を滞在可能時間として計算する時間計算部、前記検索された候補施設に行きたい順に優先順位が設定されたとき、前記滞在可能時間が前記滞在希望時間以上の施設のうち、優先順位が最高の候補施設を立ち寄り施設として決定する立ち寄り決定手段、前記立ち寄り施設への経路誘導と並行して、到着予定時刻が所定時間以上早まったか監視する監視手段、を備え、到着予定時刻が所定時間以上早まれば、前記立ち寄り決定手段は、現立ち寄り施設より優先順位が高い候補施設における前記滞在可能時間が前記滞在希望時間より大きくなったか調べ、大きければその旨を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、到着予定時刻が所定時間以上早まれば、現目的施設あるいは立ち寄り施設より優先順位が高い施設における滞在可能時間が滞在希望時間より大きくなったか調べ、大きければ該優先順位が高い施設を、目的施設あるいは立ち寄り施設として設定できるようにしたから、当初、希望時間以上滞在できないという理由で選択できなかった優先順位の高い施設を、到着予定時刻が早まったとき、立ち寄り施設あるいは目的施設として再設定することができる。
また、本発明によれば、方面施設検索を最初からやり直す必要がなく、最初の方面施設検索結果の中から優先順位の高い施設を立ち寄り施設あるいは目的施設として再設定できるため、処理時間を短縮でき、しかも、再設定を簡単に行なえ、操作性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の車載ナビゲーション装置の構成図である。
【図2】施設データベースに記憶されている施設情報の説明図である。
【図3】施設決定ソフトPOISにより検索した施設リストPLSTや施設の詳細情報PDTLの表示例である。
【図4】立ち寄り施設決定処理フローである。
【図5】立ち寄り施設決定処理フローである。
【図6】優先順の候補施設説明図である。
【図7】目的施設を決定する場合の処理フローである。
【図8】目的施設を決定する場合の処理フローである。
【図9】目的地への到着希望時間が設定された場合の立ち寄り施設決定処理フローである。
【図10】目的地への到着希望時間が設定された場合の立ち寄り施設決定処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)本発明の車載ナビゲーション装置
図1は本発明の車載ナビゲーション装置の構成図である。
ナビゲーション制御部10のバスBUSには、各種ナビゲーション制御を行うCPU(プロセッサ)11、地図データを記憶する地図データ記憶部12、施設データベース13、自車位置周辺の地図画像を発生する画像描画部14、交差点進行方向や道路渋滞を音声で案内する音声案内制御部15、自律航法センサーおよびGPSからの検出情報に基づいて自車位置を計算する位置計算部16、通信インターフェース制御を行う通信IF部17、各種設定、指示を入力する操作部20が接続されている。
CPU 11は、ROM 11aに記憶されている施設決定ソフトPOISによる目的施設/立ち寄り施設決定処理や経路探索ソフトRSSによる経路探索処理、経路誘導ソフトRGSによる経路誘導処理などを行う。なお、CPU 11はRAM 11bに目的施設/立ち寄り施設決定処理結果や探索経路などの処理結果を記憶する。
【0011】
地図データ記憶部12は地図データを記憶する。地図データは、誘導経路作成やマップマッチング処理用の道路レイヤ情報、地図の背景画像発生用の背景レイヤ情報、背景文字を発生する文字レイヤ情報等を含んでいる。施設データベース13には、全施設の詳細情報が、ジャンル別、地域別などにより分類されて保存されている。図2は施設データベース13に記憶されている施設情報例であり、施設名、ジャンル、位置(経緯度)、電話番号、住所、利用時間帯、料金等が含まれている。
【0012】
画像描画部14は、自車位置周辺の地図データを地図データ記憶部13から読み出して車両周辺の地図画像を発生すると共に、該地図画像とCPU12が経路誘導ソフトにより発生した誘導経路と車両位置マークなどを合成してモニター30に表示する。また、画像描画部14は、後述するようにCPU(プロセッサ)11からの指示により検索した施設リストや施設の詳細情報を表示する。モニター30はタッチパネルを備え、スクリーンに表示したソフトキーが押下されたとき該キーに応じたコマンドをCPU 11に入力し、あるいは所定の項目を選択して入力するようになっている。
図3は、施設決定ソフトPOISにより検索した施設リストPLSTや施設の詳細情報PDTLの表示例である。施設リストPLSTには、同一方面の所定条件を満足する複数の候補施設がスクロール可能に表示されている。各候補施設の施設名(施設A〜施設D)に対応させて、滞在可能時間が希望時間より長いか否かを示す滞在可能情報(可/不可)と、優先順位が表示されるようになっている。施設リストのスクロール及び施設の選択はソフトキーであるアップキーSCU、ダウンキーSCDを操作することにより行い、図では施設Aが選択されており、該施設の詳細情報が表示されている。決定キーDETは選択した施設を決定するものであり、実施例では該決定キーDETで決定した順番が行きたい施設の優先順位であるとする。ただし、優先順位のつけ方は種々の方法が考えられる。
【0013】
音声案内制御部15は、車両が交差点に接近したときの交差点案内や渋滞情報、事故発生情報を音声でユーザに知らせるための制御を行い、音声合成部40は音声案内制御部15からの指示により所定のメッセージのディジタル音声データを出力し、DAC41でアナログ信号に変換してスピーカ42より出力する。
通信IF部17には自律航法センサーであるジャイロ51、車速パルス発生器52が接続され、ジャイロ51の検出信号や車速パルス発生器52が発生する車速パルスは通信IF部17を介して位置計算部16に入力される。GPS受信機18はGPSアンテナ19から入力された受信信号に所定の処理を施してGPS受信データを位置計算部16に入力する。位置計算部16は、車両の現在位置が不明になるとGPS位置を現在位置として採用し、以後、自立航法センサー(ジャイロ51、車速パルス発生器52)の出力信号を用いて現在位置を推定して出力すると共に、マップマッチング処理を行って該推定された現在位置を道路リンク上に修正する。
【0014】
(B)立ち寄り施設決定処理
図4、図5は立ち寄り施設決定処理フローであり、CPU 11は、施設決定ソフトPOISにしたがって立ち寄り施設を決定する。
操作部20より、立ち寄り施設のジャンル、滞在希望時間THPを入力する(ステップ101)。これらが入力されるとCPU 11は、目的地までの誘導経路から所定距離内の前記ジャンルの施設(例えば温泉ホテル)を検索してRAM11bに保存する(ステップ102)。ついで、CPUは経路探索ソフトRSSにより前記検索された施設までの経路を探索すると共に、該施設への到着予定時刻TARVを計算し(ステップ103)、該施設のクローズ時刻(日帰り帰宅時刻)TCLOと到着予定時刻TARVより次式
TSTY=TCLO−TARV (1)
により滞在可能時間TSTYを計算する(ステップ104)。しかる後、THPを滞在希望時間、ΔTを検索範囲設定時間とすれば、
TSTY>THP−ΔT (2)
を満足するかチェックし、満足すれば候補施設としてRAMに記憶するとともに、該施設に滞在希望時間THPより長く滞在できるか否かを記憶する(ステップ105)。なお、ΔTを例えば1時間とすれば、滞在可能時間TSTYが希望滞在時刻THPより1時間短くても候補施設としてRAMに記憶する。
ついで、ステップ102で検索された全施設についてステップ103〜105の処理が終了したかチェックし(ステップ106)、終了してなければ次の施設についてステップ103以降の処理を繰り返す。以上により、(2)式を満足する施設が候補施設としてRAMに記憶される。
【0015】
候補施設の検索が完了すれば、CPUは図3に示すように候補施設リストを表示する(ステップ107)。この施設リストが表示されている状態で、ユーザは施設リストの各候補施設に、行きたい順に優先順位をつける(ステップ108)。優先順位が付けられるとCPUはRAM 11bに図6に示すように優先順に施設名、希望時間滞在可否フラグを記憶する。
ついで、CPU 11は滞在希望時間THPより長く滞在でき(TSTY>THP)、かつ、優先順位が最高の施設を立ち寄り施設として決定する(ステップ109)。図6の例では施設Aが立ち寄り施設として決定される。
以後、CPU 11は経路誘導ソフトウェアRGSにより、ステップ103で探索済みの誘導経路に沿って該立ち寄り施設への経路案内を実行する(ステップ110)。
CPU 11は走行中において立ち寄り施設に到着したか監視し(ステップ111,112)、到着すれば処理を終了し、以後、立ち寄り施設から目的地までの誘導経路を探索し、該誘導経路に沿って経路誘導する。
【0016】
一方、ステップ112において、立ち寄り施設に到着してなければ、立ち寄り施設への到着予定時刻が設定時間TSHT(例えば10分)以上早まったかチェックし(ステップ113早まっていなければステップ111以降の処理を繰り返す。
しかし、到着予定時刻が設定時間以上早まっていれば、現立ち寄り施設より優先順の高い候補施設が存在するかを図6の候補施設情報を参照して調べ(ステップ114)、存在しなければステップ111以降の処理を繰り返す。
しかし、現立ち寄り施設より優先順の高い候補施設が存在すれば(図6の例では施設C)、該施設のへの到着予定時刻を再計算し、(1)式により滞在可能時間TSTYを計算し、該滞在可能時間TSTYが希望滞在時間T HP以上になったか調べ(ステップ115)、希望滞在時間THP以上にならなければ、設定時間TSHTを10分増加し(TSHT+10=TSHT、ステップ115)、ステップ111以降の処理を繰り返す。
【0017】
しかし、滞在可能時間TSTYが希望滞在時間THP以上になっていれば、優先順位の高い施設において滞在可能時間が希望滞在時間以上になったことをモニター30に表示する(ステップ116)。
ついで、ユーザが立ち寄り施設を優先順位の高い施設に変更する指示をしたかチェックし、該指示があれば立ち寄り施設を優先順位の高い施設に変更し、ステップ103で探索済みの誘導経路に沿って経路案内を開始し(ステップ118)、処理を終了する。一方、ステップ117で立ち寄り施設の変更が指示されなければ設定時間TSHTを10分増加し(ステップ119)、ステップ111に戻る。
なお、以上では、現立ち寄り施設より優先順の高い候補施設が1つだけ存在する場合を説明したが、処理フローに若干の修正を加えて優先順の高い候補施設が複数存在する場合にも対処することができる。
【0018】
・変形例
以上は、立ち寄り施設を決定する処理であったが、目的地としての施設(目的施設)を決定する場合にも立ち寄り施設の場合とほぼ同様に決定することができる。
図7、図8は目的施設を決定する場合の処理フローであり、同一処理ステップには同一ステップ番号を付している。異なる点は、1)ステップ112−114,117において立ち寄り施設を目的施設としている点、2) ステップ101′において、操作部20より、目的施設のジャンル、滞在希望時間と共に、行きたい方面(例えば高速道路名)または地域(県名)を入力する点、3) ステップ102′において、CPU 11が、行きたい方面また地域からも前記ジャンルの施設(例えば温泉ホテル)を検索してRAM 11bに保存し、(2)式を満足する候補施設を求めてRAM 11bに記憶する点である。
【0019】
(C)立ち寄り施設決定処理
図9、図10は目的地への到着希望時間が設定された場合の立ち寄り施設決定処理フローである。到着希望時間が設定された場合には、滞在可能時間TSTYが滞在希望時間THPより長く、かつ、到着希望時間TDARに目的地に到着していなければならない。
操作部20より、立ち寄り施設のジャンル、滞在希望時間THP、目的地への到着希望時刻TDARを入力する(ステップ201)。これらが入力されるとCPU 11は、目的地への探索済み誘導経路から所定距離内の前記ジャンルの施設(例えば温泉ホテル)を検索してRAM 11bに保存する(ステップ202)。ついで、CPU11は経路探索ソフトRSSにより前記検索された施設までの経路を探索すると共に、該施設への到着予定時刻TARVを計算し、更に、該施設より目的地までの経路を探索し、該施設より目的地までの所要時間TRQを計算する(ステップ203)。
【0020】
ついで、CPU11は、目的地への到着希望時刻TDARから前記所要時間TRQ前の時刻(TDAR−TRQ)を施設出発時刻TSTとして計算し(TST=TDAR−TRQ)、該施設出発時刻TSTが施設のクローズ時刻(日帰り帰宅時刻)TCLOより前かチェックする(ステップ204)。施設出発時刻TSTが施設のクローズ時刻後であれば、ステップ202で検索した全施設について、ステップ203以降の処理が終了したかチェックし(ステップ207)、「NO」であれば次の施設についてステップ203以降の処理を繰り返す。
一方、施設出発時刻TSTが施設のクローズ時刻前であれば、該施設出発時刻TSTと施設到着予定時刻TARVより次式
TSTY=TST−TARV (3)
により滞在可能時間TSTYを計算する(ステップ205)。しかる後、THPを滞在希望時間、ΔTを検索範囲設定時間とすれば、
TSTY>THP−ΔT (4)
を満足するかチェックし、満足すれば候補施設としてRAM 11bに記憶するとともに、該施設に滞在希望時間THPより長く滞在できるか否かを記憶する(ステップ206)。
なお、ΔTを例えば1時間とすれば、滞在可能時間TSTYが希望滞在時刻より1時間短くても候補施設としてRAM 11bに記憶する。
ついで、ステップ202で検索された全施設について処理が終了したかチェックし(ステップ207)、終了してなければ次の施設についてステップ203以降の処理を繰り返す。以上により、(3)式を満足する施設が候補施設としてRAM11bに記憶される。
【0021】
候補施設の検索が完了すれば、CPU11は図3に示すように候補施設リストを表示する(ステップ208)。この施設リストが表示されている状態で、ユーザは施設リストの各候補施設に、行きたい順に優先順位をつける(ステップ209)。優先順位が付けられるとRAM 11bには図6に示すように優先順に施設名、希望時間滞在可否フラグが記憶される。
ついで、CPU 11は滞在希望時間THPより長く滞在でき(TSTY>THP)、かつ、優先順位が最高の施設を立ち寄り施設として決定する(ステップ210)。
以後、CPU 11は経路誘導ソフトウェアRGSにより、ステップ203で探索済みの誘導経路に沿って該立ち寄り施設への経路案内を実行する(ステップ211)。
CPU11は走行中において立ち寄り施設に到着したか監視し(ステップ212,213)、到着すれば処理を終了し、以後、立ち寄り施設から目的地まで経路誘導する。
【0022】
一方、ステップ213において、立ち寄り施設に到着してなければ、立ち寄り施設への到着予定時刻が設定時間TSHT(例えば10分)以上早まったかチェックし(ステップ214)、早まっていなければステップ212以降の処理を繰り返す。
しかし、到着予定時刻が設定時間以上早まっていれば、現立ち寄り施設より優先順の高い候補施設が存在するかを図6の候補施設情報を参照して調べ(ステップ215)、存在しなければ、ステップ212以降の処理を繰り返す。
しかし、現立ち寄り施設より優先順の高い候補施設が存在すれば(図6の例では施設C)、該施設のへの到着予定時刻を再計算し、(3)式により滞在可能時間TSTYを計算し、該滞在可能時間TSTYが希望滞在時間T HP以上になったか調べ(ステップ216)、希望滞在時間THP以上にならなければ、設定時間TSHTを10分増加し(ステップ220)、ステップ212以降の処理を繰り返す。
【0023】
しかし、滞在可能時間TSTYが希望滞在時間THP以上になっていれば、優先順位の高い施設において滞在可能時間が希望滞在時間以上になったことをモニター30に表示する(ステップ217)。
ついで、ユーザが立ち寄り施設を優先順位の高い施設に変更する指示をしたかチェックし(ステップ218)、該指示があれば立ち寄り施設を優先順位の高い施設に変更し、ステップ203で探索済みの誘導経路に沿って経路案内を開始し(ステップ219)、処理を終了する。一方、ステップ218で立ち寄り施設の変更が指示されなければ設定時間TSHTを10分増加し(ステップ220)、ステップ212に戻る。
なお、以上では、現立ち寄り施設より優先順の高い候補施設が1つだけ存在する場合であるが、処理フローに若干の修正を加えて優先順の高い候補施設が複数存在する場合に対処することができる。
以上、本発明によれば、希望時間以上滞在できないという理由で選択できなかった優先順位の高い施設を、到着予定時刻が早まったとき、立ち寄り施設あるいは目的施設として再設定することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 ナビゲーション制御部
11 CPU(プロセッサ)
12 地図データ記憶部
13 施設データベース
14 画像描画部
15 音声案内制御部
16 位置計算部
20 操作部
POIS 施設決定ソフトに
RSS 経路探索ソフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の施設を目的施設あるいは立ち寄り施設として設定し、該施設までの経路を探索するナビゲーション装置において、
同一方面の複数の施設を候補施設として検索する施設検索手段、
前記検索された施設への到着予定時刻を計算する到着予定時刻計算手段、
前記検索された候補施設に行きたい順に優先順位が設定されたとき、施設のクローズ時刻と到着予定時刻より求まる滞在可能時間が滞在希望時間以上の候補施設のうち、優先順位が最高の施設を目的施設あるいは立ち寄り施設として決定する施設決定手段、
前記目的施設あるいは立ち寄り施設への経路誘導と並行して、到着予定時刻が所定時間以上早まったか監視する監視手段を備え、
早まれば、前記施設決定手段は、現目的施設あるいは立ち寄り施設より優先順位が高い候補施設における滞在可能時間が前記滞在希望時間より大きくなったか調べ、大きければその旨を出力する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設検索手段は、行きたい方面あるいは地域、目的施設のジャンル、滞在希望時間が入力されたとき、該方面あるいは地域に所在する前記ジャンルの施設を前記候補施設として検索する、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記施設検索手段は、立ち寄り施設のジャンル、滞在希望時間が入力されたとき、目的地への誘導経路の近くに所在する前記ジャンルの施設を前記候補施設として検索する、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
所望の施設を目的地への途中で立ち寄る施設として設定し、該立ち寄り施設までの経路を探索するナビゲーション装置において、
目的地への到着希望時刻、立ち寄り施設のジャンル、滞在希望時間が入力されたとき、目的地への誘導経路の近くに所在する前記ジャンルの施設を候補施設として検索する施設検索手段、
前記検索された候補施設への到着予定時刻、立ち寄り施設から目的地までの所要時間を計算する計算手段、
前記目的地への到着希望時刻から前記所要時間前の時刻を施設出発時刻として計算すると共に、該施設出発時刻と前記到着予定時刻との時間差を滞在可能時間として計算する時間計算部、
前記検索された候補施設に行きたい順に優先順位が設定されたとき、前記滞在可能時間が前記滞在希望時間以上の施設のうち、優先順位が最高の候補施設を立ち寄り施設として決定する立ち寄り決定手段、
前記立ち寄り施設への経路誘導と並行して、到着予定時刻が所定時間以上早まったか監視する監視手段、
を備え、到着予定時刻が所定時間以上早まれば、前記立ち寄り決定手段は、現立ち寄り施設より優先順位が高い候補施設における前記滞在可能時間が前記滞在希望時間より大きくなったか調べ、大きければその旨を出力する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−185684(P2010−185684A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28364(P2009−28364)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】