説明

ナビゲーション装置

【課題】バッテリの寿命を長くすることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】バッテリ状態検出手段2は、バッテリ1の充電率を検出する。経路算出手段7は、バッテリ状態検出手段2が検出したバッテリ1の充電率に応じて、目的地までの経路を算出する。このような構成で経路を算出し、バッテリの使用領域の容量を一定範囲に保つことで、バッテリの劣化が少なくなり、バッテリの寿命を長くするナビゲーション装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド車両、アイドリングストップ車両、電気自動車に取り付けられたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境に対する関心の高まりや原油価格の高騰などの影響により、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車両への関心が高まっている。この車両は、例えば、二次電池を動力源とする車両駆動用のモーターと、このバッテリを発電するための発電機と、発電機を駆動するエンジンとを搭載しており、バッテリの電力によってモーターを駆動して車両を走行させる。バッテリは、エンジンで駆動される発電機からの発電電力、あるいは減速時や制動時には回生エネルギーにより、充電できるようになっている。これらの車両に搭載されるバッテリは、車両の走行ができるように十分な電気量が残っている必要があり、また、減速時や制動時の回生エネルギーの回収をできるだけ効率よく行えるようにバッテリに対して充電の余地を残しておくことも重要である。このためバッテリの充電率(SOC:State Of Charge)は、通常、バッテリの充放電により所定のSOCの範囲に収まるように制御されている。
【0003】
ハイブリッド車両に搭載されたナビゲーション装置では、目的地までの燃料消費量が最小となるように経路探索を行うものが知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、従来のナビゲーション装置として、経路探索した結果を応用し、前方に下り坂が存在する場合その手前に達するまでにモーター駆動によりバッテリを放電させ、下り坂での回生エネルギーを最大にする制御を行うものが知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−249588号公報
【特許文献2】特開2008−290610号公報
【特許文献3】特許第3904388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のナビゲーション装置での経路探索では、経路探索開始時のバッテリの充電率(SOC(State of Charge))を考慮せずに、燃費が最小になるように経路探索している。このために、走行経路によっては、すぐにバッテリが満充電になり過充電してしまったり、すぐにバッテリが少なくなり過放電してしまい、バッテリが劣化してしまうという問題があった。バッテリの劣化を抑えるためには、過充電・過放電しないようにする必要があり、このため、走行途中でバッテリの充放電を行い、バッテリの使用領域の容量を一定範囲に保つ制御を行う必要があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、バッテリの寿命を長くすることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、バッテリの充電率を算出するバッテリ状態検出手段と
、前記バッテリ状態検出手段が検出した前記バッテリの充電率に応じて、目的地までの経路を算出する経路算出手段とを有する構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、バッテリの充電率を算出するバッテリ状態検出手段と、バッテリ状態検出手段が検出したバッテリの充電率に応じて目的地までの経路を算出する経路算出手段とを設けることにより、バッテリの使用領域の容量を一定範囲に保つことで、バッテリの劣化が少なくなり、バッテリの寿命を長くすることができるという効果を有するナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置のブロック図
【図2】同実施の形態における充電率(SOC)の説明図
【図3】同実施の形態におけるナビゲーション装置の動作説明のフロー図
【図4】同実施の形態におけるナビゲーション装置の動作説明図
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるナビゲーション装置のブロック図
【図6】同実施の形態におけるナビゲーション装置の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1のナビゲーション装置について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1のナビゲーション装置のブロック図である。
【0013】
図1において、バッテリ1は、鉛バッテリ、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリなどの二次電池である。バッテリ状態検出手段1は、バッテリ1に接続され、バッテリ1の充電率(SOC(State of Charge))を検出する手段である。入力手段3は目的地などを入力し、経路算出手段7へそのデータを出力する。現在位置算出手段4は現在位置を算出し、経路算出手段7へそのデータを出力する。地図データ格納手段5は高度情報を含む地図データを格納し、経路算出手段7へそのデータを出力する。交通情報取得手段6は交通情報を取得し、経路算出手段7へそのデータを出力する。経路算出手段7は、バッテリ状態検出手段2、入力手段3、現在位置算出手段4、地図データ格納手段5、交通情報取得手段6と接続され、現在位置から入力手段3で入力された目的地まで、交通情報を考慮して地図データを用いて経路探索を行う。表示手段8は、経路算出手段7で算出した経路やメッセージを表示する。音声出力手段9は、経路算出手段7で算出した経路の音声や音楽を出力する。
【0014】
バッテリ1のSOCは図2のように、通常、0〜100[%]で表される。0[%]はバッテリの放電状態であり、100[%]はバッテリの満充電状態である。バッテリは、通常0[%]より大きいα[%]から100[%]より小さいβ[%]までの範囲で使われる。α[%]よりSOCが小さくなるとバッテリが過放電で劣化しやすく、またβ[%]より充電すると過充電で劣化しやすい。TH_High[%] は充電率の上限閾値、TH_Low[%]は充電率の下限閾値であり、後述するバッテリの長寿命化を図るための経路探索(図4、図6)で使用される。α、β、TH_High、TH_Lowには、下記の式の関係がある。
【0015】
α < TH_Low < TH_High < β
入力手段3は目的地などを入力する入力手段で、押しボタン、音声入力、タッチ入力等のデバイスである。現在位置算出手段4は、衛星航法システム(GPS)や慣性航法システムになどにより車両の現在位置を検出するものである。地図データ格納手段5には主要道路が記憶され、各道路毎に高速道路、都市圏自動車専用道路、市街地路、郊外路、山岳路な
どの種別に分類されている。経路探索を行うために、道路のノードやリンクにコストが付けられたデータが格納されている。また、道路データには、各リンクのノードごとに高さ情報が格納されている。交通情報取得手段6は、VICS(Vehicle Information and Communication System)やATIS(Advanced Traffic Information Service)や携帯電話などの通信モジュールなどのサービスによりリアルタイムに交通情報を取得する。例えばVICSにおいて交通情報は、FM多重放送、光ビーコン、電波ビーコンによって送信されてくる。交通情報に含まれる渋滞情報は、渋滞無し、混雑、渋滞などに分類されている。経路算出手段7は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を算出するものであり、その手法としてはダイクストラ法が用いられることが多い。ダイクストラ法は、出発地から目的地までのリンクのノード間のコストの総和が最小となる経路を算出する手法である。表示手段8は、算出された走行経路やメッセージなどを表示するディスプレイである。音声出力手段9は、算出された走行経路の音声や音楽を出力するスピーカーである。
【0016】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、図3を用いてその動作を説明する。
【0017】
まず、ステップ11において、ユーザーが入力手段3を用いて目的地を設定する。
【0018】
次に、ステップ12において、ユーザーが目的地までの時間の短い経路探索、あるいは走行距離の短い経路探索、あるいは通行料金の安い経路探索といったような、通常の経路探索を行うか、バッテリの長寿命化を図るための経路探索を選択したかが判定される。ステップ12において、ユーザーが目的地を入力すると、表示手段8に「バッテリを長持ちさせる経路探索をしますか。それとも通常の経路探索をしますか。」というメッセージを表示、または、音声出力手段9で同様の内容のメッセージを音声で発声し、探索のモードを確認する。ここで、ユーザーが入力手段3を用いて通常の経路探索を選択した場合、ステップ20に進んで、通常の経路探索および経路案内が実行される。従って、現在位置と目的地に基づいてダイクストラ法による経路探索およびその経路案内を開始する。
【0019】
ステップ12において、ユーザーがバッテリの長寿命化を図るための経路探索を選択した場合、ステップ13において、バッテリ状態検出手段2がバッテリ1の充電率(SOC)を検出する。次にステップ14において、経路算出手段7がダイクストラ法を用いた経路探索を行い、経路の候補を複数算出する。次に、ステップ15において、再度経路算出手段7は、現在位置(出発地)でのバッテリの充電率SOCに応じてリンクのコストを変更して、バッテリの長寿命化を図るための経路探索を実行する。ここで、ステップ14の経路探索とステップ15におけるバッテリの長寿命化を図るための経路探索について、図4を用いて詳細に説明する。
【0020】
図4(a)において、21は出発地(現在位置)、22は目的地であり、平面図を示している。簡略化のために、出発地から目的地までの経路の候補として、ステップ14の経路探索により23のコースAと24のコースBの2つが算出されたとする。
【0021】
図4(b)は、出発地から目的地までの高度を示しており、25はコースAの高度を示しており、経路の前半に上り坂が多く、経路の前半にバッテリが放電しやすいコースである。また26はコースBの高度を示しており、経路の前半に下り坂が多く、経路の前半にバッテリが回生エネルギーにより充電しやすいコースである。ステップ14の経路探索手段7では、ダイクストラ法による経路探索を行い、経路の候補を複数算出する。ここで交通情報取得手段6から取得した渋滞情報を考慮して探索を行っても良い。その後、ステップ15の経路探索手段7では、算出した経路のリンクのノードの高度情報を使い、リンクのコストを変更した後、再度同じ経路を通過するように経路を算出するようにすることで、経路前半に下り道を優先するか、経路前半に登り道が優先するかを変更することができ
る。ここで、算出された複数の経路は、ユーザーに選択可能なように保存しておく。
【0022】
図4(c)は、現在位置(出発地)での充電率SOCが下限閾値TH_Low以下の場合に、経路算出手段7で算出される経路とその経路のSOCを示している。ステップ15の経路探索手段7では、出発地での充電率が下限閾値以下の場合は、ステップ14で算出した候補の経路前半に下り道が優先して含まれるように、経路前半の下り道のリンクのコストを下げて経路算出を行い、経路の前半でバッテリが充電しやすくなる経路を算出するようにする。図4(c)のコースAは、経路の前半に上り坂が含まれるために経路の前半に放電し、28の様に通常使われるバッテリの使用領域αを下回るため、過放電によりバッテリが劣化しやすい。これに対して、図4(c)のコースBは、経路の前半に下り坂が含まれるため、27の様に経路の前半でバッテリが充電でき、コースAを通るのに比べてバッテリの劣化が少なく、バッテリの長寿命化が図れることになる。
【0023】
一方、図4(d)は、現在位置(出発地)での充電率SOCが上限閾値TH_High以上の場合に経路算出手段7で算出される経路とその経路のSOCを示している。ステップ15の経路探索手段7では、出発地での充電率が上限閾値以上の場合は、ステップ14で算出した候補の経路前半に上り道が優先して含まれるように、経路前半の上り道のリンクのコストを下げて経路算出を行い、経路の前半でバッテリを放電しやすくなる経路を算出するようにする。図4(d)のコースBは、経路前半に下り坂が含まれるために、経路の前半に充電し、29の様に通常使われるバッテリの使用領域βを上回るため、過充電によりバッテリが劣化しやすい。これに対して、図4(d)のコースAは、経路前半に登り坂が含まれるため、30の様に経路の前半でバッテリが放電でき、コースBを通るのに比べてバッテリの劣化が少なく、バッテリの長寿命化が図れることになる。
【0024】
ステップ16では、ステップ15で算出されたバッテリの長寿命化が図れる経路を表示手段8に表示する。この際に、「バッテリを長持ちさせる経路が算出されました。この経路で良いですか。」と表示、または、音声出力手段9で同様の内容のメッセージを音声で発声することで、ユーザーはバッテリの寿命が延びたことを確認できる。これに対してユーザーが入力手段3を用いて表示された経路を了解した場合、ステップ18に進んで経路案内を行う。ユーザーが経路を了解しない場合は、保存されている経路のうち、次にバッテリを長持ちさせる経路を表示手段8に表示し、メッセージでの確認または、音声出力手段9での確認を行う。このようにユーザーが走行経路に満足するまで、次々と保存してある経路を表示する。
【0025】
ステップ18では、ステップ19で経路案内が終了するまで、ユーザーが選択した経路を案内する。
【0026】
このような本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置によれば、バッテリの充電率を算出するバッテリ状態検出手段2と、バッテリの充電率に応じて目的地までの経路を算出する経路算出手段7とを備えた構成により、バッテリの使用領域の容量を一定範囲に保つことでバッテリの劣化が少なくなり、バッテリの寿命を長くすることができる。
【0027】
なお、ステップ15において経路前半の上り坂、または下り坂の判定は、ノード毎の高度情報では無く、一定距離以上のノードの高度情報の平均値を使って、概ね上り坂か概ね下り坂かの判断しても構わない。
【0028】
なお、ステップ15において、経路前半の上り坂、または下り坂でリンクのコストを下げたが、下げるコストは一定値では無く、上り坂が急なほどまた長いほど、あるいは下り坂が急なほどまたは長いほど、リンクのコストを大きく下げても構わない。
【0029】
なお、ステップ15において、現在位置(出発地)での充電率SOCが下限閾値TH_Low以下の場合、もしくは現在位置(出発地)での充電率SOCが上限閾値TH_High以上の場合リンクのコストを下げたが、下げるコストは一定値では無く、充電率SOCが下限閾値TH_Lowより大きく下がる場合、または、充電率SOCが上限閾値TH_Highより大きく上がる場合に、リンクのコストを大きく下げても構わない。
【0030】
なお、本発明のナビゲーション装置は、ハイブリッド車両だけでなく、アイドリング中にはエンジンを停止してバッテリで電装品を動作させる一方、減速時や制動時には回生エネルギーによりバッテリを充電させるアイドリングストップ車両にも適用できる。またモーターのみで走行する電気自動車にも適用できる。
【0031】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2のナビゲーション装置を図5に示す。本発明の実施の形態2は、実施の形態1と比較して、経路算出手段10の動作が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0032】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、その動作を説明する。本発明の実施の形態2は、実施の形態1と比べて、図3のステップ15の動作が異なる。その他の動作は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0033】
本発明の実施の形態2では、ステップ15において、経路算出手段10が現在位置(出発地)でのバッテリの充電率SOCに応じてリンクのコストを変更する際に、交通情報取得手段6から取得した渋滞情報を考慮して、バッテリの長寿命化を図る経路探索を実行する。ここで、図3のステップ15におけるバッテリの長寿命化を図る経路探索について、図6を用いて説明する。
【0034】
図6(a)において、31は出発地(現在位置)、32は目的地であり、平面図を示している。簡略化のために、出発地から目的地までの経路の候補として、ステップ14の経路探索により33のコースAと34のコースBの2つが算出されたとする。
【0035】
図6(b)は、出発地から目的地までの高度を示しており、35はコースAの高度を示しており、経路の前半に小さな下り坂があり、経路の前半でバッテリが回生エネルギーにより少し充電しやすいコースである。また、36はコースBの高度を示しており、経路の前半に大きな下り坂があり、経路の前半でバッテリが回生エネルギーにより大きく充電しやすいコースである。ステップ14の経路探索手段10では、ダイクストラ法による経路探索を行い、経路の候補を複数算出する。ここで交通情報取得手段6から取得した渋滞情報を考慮して探索を行っても良い。その後、ステップ15の経路探索手段10では、算出した経路のリンクのノードの高度情報を使いリンクのコストを変更し、更に交通情報の渋滞情報によりリンクのコストを変更後、再度同じ経路を通過するように経路算出することで、渋滞が発生した区間は下り道の回生エネルギーが少なくなることを考慮した上で、経路前半に下り道を優先するか、経路前半に登り道を優先するかを変更することができる。ここで、算出された複数の経路は、ユーザーに選択可能なように保存しておく。
【0036】
図6(c)は、現在位置(出発地)での充電率SOCが下限閾値TH_Low以下の場合で渋滞が無い場合に、経路算出手段10で算出される経路とその経路のSOCを示している。ステップ15の経路探索手段10では、出発地での充電率が下限閾値以下の場合は、ステップ14で算出した候補の経路前半に下り道が優先して含まれるように、経路前半の下り道のリンクのコストを下げて経路算出を行い、経路の前半でバッテリが充電しやすくなる経路を算出する。図6(c)のコースAは、経路の前半に小さな下り坂が含まれるために経路の前半に少し充電し、38の様に経路の前半でバッテリが少し充電できる。これに対
して、図6(c)のコースBは、経路の前半に大きな下り坂が含まれるため、37の様に経路の前半でバッテリが大きく充電できる。コースA、コースB共に、バッテリの通常使用領域を使用するため、バッテリの劣化に大きな差は無い。
【0037】
一方、図5(d)は、現在位置(出発地)での充電率SOCが下限閾値TH_Low以下の場合でコースBの経路の前半の下り坂で渋滞が発生した場合に、経路算出手段10で算出される経路とその経路のSOCを示している。ステップ15の経路探索手段10では、出発地での充電率が下限閾値以下の場合は、ステップ14で算出した候補の経路前半に下り道が優先して含まれるように、経路前半の下り道のリンクのコストを下げて経路算出を行い、経路の前半でバッテリが充電しやすくなる経路を算出する。ただし渋滞が発生した区間は、リンクのコストを上げることで、下り道の回生エネルギーが少なくなることを考慮した経路の探索を行う。図6(d)のコースBは、経路の前半に大きな下り坂があるが渋滞しているため、40の様に経路の前半でバッテリの充電ができず、経路の後半で放電し、40の様に通常使われるバッテリの使用領域αを下回るため、過放電によりバッテリが劣化しやすい。これに対して、図5(d)のコースAは、渋滞がなく、経路の前半に下り坂が含まれるために39の様に経路の前半でバッテリが充電でき、コースBを通るのに比べてバッテリの劣化が少なく、バッテリの長寿命化が図れることになる。
【0038】
このような本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置によれば、現在の交通状況を取得する交通情報取得手段を有し、経路算出手段は、取得した交通情報を用いて渋滞が発生した区間は下り道の回生エネルギーが少なくなることを考慮した経路算出を行う構成としたことにより、渋滞情報に応じて、過放電を減らすことでバッテリの劣化が少なくなり、バッテリの寿命を長くすることができる。
【0039】
なお、図6(c)、(d)は、現在位置(出発地)での充電率SOCが下限閾値TH_Low以下の場合を示し、ステップ15において、渋滞が発生した区間は、リンクのコストを上げることで、下り道の回生エネルギーが少なくなることを考慮した経路の探索を行った。現在位置(出発地)での充電率SOCが上限閾値TH_High以上の場合でも、ステップ15において、渋滞が発生した区間は、リンクのコストを上げることで、下り道の回生エネルギーが少なくなることを考慮した経路の探索を行えば良い。
【0040】
なお、ステップ15において、渋滞が発生した区間は、リンクのコストを上げたが、上げるコストは一定値では無く、混雑より渋滞した区間の方がコストを大きく上げるというように渋滞度合いが大きいほど、コストを大きくしても構わない。
【0041】
なお、ステップ15において経路前半の上り坂、または下り坂の判定は、ノード毎の高度情報では無く、一定距離以上のノードの高度情報の平均値を使って、概ね上り坂か概ね下り坂かの判断しても構わない。
【0042】
なお、ステップ15において、経路前半の上り坂、または下り坂でリンクのコストを下げたが、下げるコストは一定値では無く、上り坂が急なほどまた長いほど、あるいは下り坂が急なほどまたは長いほど、リンクのコストを大きく下げても構わない。
【0043】
なお、ステップ15において、現在位置(出発地)での充電率SOCが下限閾値TH_Low以下の場合、もしくは現在位置(出発地)での充電率SOCが上限閾値TH_High以上の場合リンクのコストを下げたが、下げるコストは一定値では無く、充電率SOCが下限閾値TH_Lowより大きく下がる場合、または、充電率SOCが上限閾値TH_Highより大きく上がる場合に、リンクのコストを大きく下げても構わない。
【0044】
なお、本発明のナビゲーション装置は、ハイブリッド車両だけでなく、アイドリング中
にはエンジンを停止してバッテリで電装品を動作させる一方、減速時や制動時には回生エネルギーによりバッテリを充電させるアイドリングストップ車両にも適用できる。またモーターのみで走行する電気自動車にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、バッテリの充電率を算出するバッテリ状態検出手段と、バッテリの充電率に応じて目的地までの経路を算出する経路算出手段とを設けることにより、バッテリの使用領域の容量を一定範囲に保つことでバッテリの劣化が少なくなり、バッテリの寿命を長くすることができるという効果を有し、ハイブリッド車両、アイドリングストップ車両、電気自動車に取り付けられたナビゲーション装置等として有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 バッテリ
2 バッテリ状態検出手段
5 地図データ格納手段
6 交通情報取得手段
7 経路算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの充電率を検出するバッテリ状態検出手段と、
前記バッテリ状態検出手段が検出した前記バッテリの充電率に応じて、目的地までの経路を算出する経路算出手段とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
高度情報を含む地図データ格納手段を有し、前記経路算出手段は、前記地図データ格納手段の前記高度情報を使用し、充電率が下限閾値以下の場合は、経路前半に下り道が優先して含まれるように経路算出を行い、経路前半でバッテリを充電することで、過放電を減らすようにすることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
高度情報を含む地図データ格納手段を有し、前記経路算出手段は、前記地図データ格納手段の前記高度情報を使用し、充電率が上限閾値以上の場合は、経路前半に登り道が優先して含まれるように経路算出を行い、経路前半でバッテリを放電することで、過充電を減らすようにすることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
現在の交通状況を取得する交通情報取得手段を有し、前記経路算出手段は、前記交通取得手段で取得した交通情報を用いて、渋滞が発生した区間は下り道の回生エネルギーが少なくなることを考慮して経路算出を行うことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−158277(P2011−158277A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18182(P2010−18182)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】