説明

ナビゲーション装置

【課題】車両の後退時に、運転者が即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができ、かつ、車両の位置および進行方向を把握することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】後退検知手段4が車両が後退していることまたは車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、表示手段5に表示される周辺地図画像が平面地図画像である場合には、周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、表示手段5に表示される周辺地図画像が車両の後方から車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、周辺地図画像を車両の前方から車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をする画像処理手段8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、詳細には、表示される周辺地図画像に対して変換処理を行うナビゲーション装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を目的地まで誘導するために、車両の位置および進行方向を含む周辺地図画像をモニタに表示するナビゲーション装置が知られている。
【0003】
このようなナビゲーション装置としては、例えば、車両の位置(自車位置を示すシンボル)がモニタの略中央に表示されており、車両が進行(前進)する場合には周辺地図がモニタの上方から下方へ向けてスクロールされ、車両が後退する場合には周辺地図がモニタの下方から上方へ向けてスクロールされることにより、車両の走行状況を表示するものがある。
【0004】
また、他のナビゲーション装置に関連する技術としては、車両が進行する場合には周辺地図画像をモニタに表示し、車両が後退する場合には車両後方に設けられたカメラにより撮像された車両後方の撮像画像をモニタに表示して、後方の死角を補う後方監視装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−327313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のナビゲーション装置によれば、運転者が前方を見ていることを前提としており、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時においては、運転者が後方を見た場合の視界としての左右方向とモニタに表示される周辺地図画像の左右方向とが逆向きとなるため、表示されている周辺地図画像を参考にしながら即座に後方視界における進行方向の左右を判断することが困難であった。
【0007】
また、上記特許文献1に提案されている後方監視装置によれば、車両の後退時にモニタに表示される撮像画像には、周辺地図画像と異なり車両の位置や進行方向が含まれていないため、車両の後退時に、運転者が車両の位置や導くべき進行方向等を把握することができない虞があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、車両の後退時に、運転者が即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができ、かつ、車両の位置および進行方向を把握することができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1のナビゲーション装置は、車両が後退していることまたは車両が後退可能な状態である場合に、表示手段に表示される周辺地図画像が平面地図画像である場合には、周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、表示手段に表示される周辺地図画像が車両の後方から車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、周辺地図画像を車両の前方から車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をすることにより、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、運転者が即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができ、かつ、車両の位置および進行方向を把握することができるものである。
【0010】
すなわち、本発明に係る第1のナビゲーション装置は、車両の位置および進行方向を含む前記車両の周辺地図画像を表示する表示手段と、前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知する後退検知手段と、前記後退検知手段が前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が平面地図画像である場合には、前記周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が前記車両の後方から前記車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、前記周辺地図画像を前記車両の前方から前記車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をする画像処理手段と、を有していることを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明に係る第1のナビゲーション装置によれば、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、後退検知手段が車両の後退(または後退可能な状態であること)を検知し、この結果、画像処理手段が表示手段に表示される周辺地図画像に対して変換する処理または切り換える処理をすることで、表示手段に表示された周辺地図画像の左右方向が運転者が車両の後方を見た場合の視界としての左右方向に一致するため、運転者がこの周辺地図画像を参考にしながら即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができる。
【0012】
さらに、車両の位置および進行方向を含む周辺地図画像に対して、画像処理手段が上記のような変換する処理または切り換える処理を行うため、車両の後退時にカメラによって撮像された車両後方の撮像画像をモニタに表示する後方監視装置と異なり、車両の後退時に車両の位置および進行方向を把握することができる。
【0013】
また、本発明に係る第2のナビゲーション装置は、車両が後退している場合または車両が後退可能な状態である場合であり、かつ、表示手段が特定の状態に設置されている場合に、表示手段に表示される周辺地図画像が平面地図画像である場合には、周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、表示手段に表示される周辺地図画像が車両の後方から車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、周辺地図画像を車両の前方から車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をすることにより、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、運転者が即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができ、かつ、車両の位置および進行方向を把握することができることに加え、不必要な変換処理を抑制することができる。
【0014】
すなわち、本発明に係る第2のナビゲーション装置においては、車両の位置および進行方向を含む前記車両の周辺地図画像を表示する、設置状態が可変とされている表示手段と、前記設置状態を検知する設置状態検知手段と、前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知する後退検知手段と、前記設置状態検知手段によって検知された設置状態が特定の状態であり、かつ、前記後退検知手段が前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が平面地図画像である場合には、前記周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が前記車両の後方から前記車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、前記周辺地図画像を前記車両の前方から前記車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をする画像処理手段と、を有していることを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明に係る第2のナビゲーション装置によれば、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、設置状態検知手段が表示手段が特定の状態に設置されていることを検知し、かつ、後退検知手段が車両の後退(または後退可能な状態であること)を検知し、この結果、画像処理手段が表示手段に表示される周辺地図画像に対して変換する処理または切り換える処理をすることで、表示手段に表示された周辺地図画像の左右方向が運転者が車両の後方を見た場合の視界としての左右方向に一致するため、運転者がこの周辺地図画像を参考にしながら即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができる。
【0016】
さらに、車両の位置および進行方向を含む周辺地図画像に対して、画像処理手段が上記のような変換する処理または切り換える処理を行うため、車両の後退時にカメラによって撮像された車両後方の撮像画像をモニタに表示する後方監視装置と異なり、車両の後退時に車両の位置および進行方向を把握することができる。
【0017】
また、設置状態検知手段が表示手段の設置状態を検知し、表示手段の設置状態が特定の状態である場合にのみ周辺地図画像の変換処理が行われるため、不必要な変換処理を抑制することができる。
【0018】
また、本発明に係る第1または第2のナビゲーション装置は、前記表示手段が、前記車両の後部座席者が前方を向いて視認でき、かつ、前記運転者が後方を向いて視認できる位置に回動可能に設置されるものである場合には、前記特定の状態が、前記表示手段が前記運転者が視認できる向きに回動された状態であることが好ましい。
【0019】
このように構成された本発明に係る第1または第2のナビゲーション装置によれば、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、表示手段が、運転者が後方を向いて視認できる向きに回動された状態である場合に、変換処理された周辺地図画像が表示手段に表示されるため、車両の後方および表示手段に表示された、変換処理された周辺地図画像の双方を、運転者が視線を大きく動かすことなく見ることができる。
【0020】
さらに、本発明に係る第1または第2のナビゲーション装置は、前記表示手段が、前記運転者が後方を向いて視認できる位置に設置されたスタンドに対して着脱可能である場合には、前記特定の状態が、前記表示手段が前記スタンドに取り付けられた状態であることが好ましい。
【0021】
このように構成された本発明に係る第1または第2のナビゲーション装置によれば、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、表示手段が、運転者が後方を向いて視認できる位置に設置されたスタンドに取り付けられた場合に、変換処理された周辺地図画像が表示手段に表示されるため、車両の後方および表示手段に表示された、変換処理された周辺地図画像の双方を、運転者が視線を大きく動かすことなく見ることができる。
【0022】
さらに、本発明に係る第1または第2のナビゲーション装置は、前記後退検知手段が前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、前記画像処理手段は、さらに前記周辺地図画像を拡大することが好ましい。
【0023】
このように構成された本発明に係る第1または第2のナビゲーション装置によれば、車両が後退している場合または後退可能な状態である場合に、画像処理手段が、周辺地図画像を予め設定したスケールに拡大するため、運転者がマニュアルでスケールを変更する必要がなく、手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、車両が後退する場合または車両が後退可能な状態である場合に、運転者が即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができ、かつ、車両の位置および進行方向を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1のナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置100による周辺地図画像の変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置100を備えた車両が幹線道路を走行し、後退により目的地へ向かう状況を示す模式図である。
【図4】図3の車両が後退しながら地点Bを走行中に、運転者が車両後方を見た場合の視界を示す図である。
【図5】表示手段5に表示される周辺地図画像が2D画像である場合に、画像処理手段8が変換処理を行うことによる周辺地図画像の変化を示す図である。
【図6】表示手段5に表示される周辺地図画像が3D画像である場合に、画像処理手段8が変換処理を行うことによる周辺地図画像の変化を示す図である。
【図7】実施例2のナビゲーション装置200の構成を示すブロック図である。
【図8】図7の表示手段25の回動機構を示す表示手段25の正面図である。
【図9】図7の表示手段25の変形例を示す表示手段25の正面図である。
【図10】ナビゲーション装置200による周辺地図画像の変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】表示手段35およびスタンド40の車室内での設置位置を示す模式図である。
【図12】ナビゲーション装置300による周辺地図画像の変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1に基づいて本発明の最良の実施形態としての実施例1のナビゲーション装置100について説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、実施例1のナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【0028】
ナビゲーション装置100は、図1に示すように、車両の位置を検出する車両位置検出手段1と、地図情報が収録されている地図データ格納手段2と、各種制御等の情報処理を行う制御部3と、車両が後退していることまたは後退可能な状態であることを検知する後退検知手段4と、液晶パネルのモニタなどに画像を表示する表示手段5と、制御部3と表示手段5とを介したユーザインターフェース(User I/F)6と、が設けられている。
【0029】
車両位置検出手段1は、GPS受信機を用いて測位した絶対位置情報や、ジャイロセンサおよび車速検出器を用いた相対位置情報等に基づき車両の位置を検出する。
【0030】
地図データ格納手段2は、例えば、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどであり、俯瞰画像の地図データ(2D画像表示の地図データ)や、建物等を立体的に表した地図データ(3D画像表示の地図データ)が格納されている。
【0031】
制御部3は、位置決定手段7と、画像処理手段8と、が設けられている。位置決定手段7は、車両位置検出手段1により検出された車両の位置と地図データ格納手段2に格納された地図情報とを総合的に勘案し、地図上における車両の位置を決定する。また、画像処理手段8は、位置決定手段7により決定された地図上における車両の位置を示すシンボルおよび入力された目的地まで車両を導きべく進行方向を含む周辺地図画像を作成する。
【0032】
後退検知手段4は、ギアがバック(R)にセットされていることや車両が後退するようにタイヤが回転していることを示す信号等(これらを、以下「後退信号」という)を検知することにより、車両が後退していることまたは車両が後退可能な状態であることを検知する。
【0033】
ここで、後退可能な状態とは、ギアがバック(R)にセットされているが、フットブレーキが踏まれていたり、パーキングブレーキ(ハンドブレーキ、サイドブレーキ)が作動されているなどして、車両自体が後方に動いていない状態であり、フットブレーキを離したり、パーキングブレーキを解除することによってすぐに後方へ進みだす状態を意味する。
【0034】
表示手段5は、画像処理手段8により作成された周辺地図画像を、ユーザインターフェース6を介して取得し、液晶パネルのモニタなどに表示する。
【0035】
次に、ナビゲーション装置100による周辺地図画像の変換処理の流れを、[変換処理全体の流れ]と[変換処理の具体的手法]とに分けて説明する。
[変換処理全体の流れ]
図2は、ナビゲーション装置100による周辺地図画像の変換処理の流れを説明するフローチャートであり、図3は、ナビゲーション装置100を備えた車両が幹線道路を走行し、後退により目的地へ向かう状況を示す模式図であり、図4は、図3の車両が後退しながら地点Bを走行中に、運転者が車両後方を見た場合の視界を示す図である。
【0036】
図3に示すように、ナビゲーション装置100を備えた車両が幹線道路を前進し、その後、地点Aから路地入りの目的地へ向かって後退する場合を例として説明する。
【0037】
運転者が地点Aにおいて、車両を前進から後退へ切換えた場合、後退検知手段4は後退信号を検知し、ナビゲーション装置100は、車両が後退しているまたは後退可能な状態であると判断してステップ2に移行する(ステップS1)。
【0038】
そして、画像処理手段8は、車両の位置を示す表示を180度回転して描画し、さらに、180度回転して描画された車両の位置を示す表示を基準として、表示手段5に表示される周辺地図画像における車両の後方が、表示手段5において上方となるように、周辺地図画像を描画するように、作成した周辺地図画像に対して変換処理を行う(ステップS2)。
【0039】
さらに、画像処理手段8は、変換処理した後の周辺地図画像のスケールが予め設定した後退時用のスケールとなるように、周辺地図画像を拡大し(ステップS3)、その後、再びステップS1に戻る(図2に示す「RETURN」は、ステップS1に戻ることを意味する)。
【0040】
このような車両の後退時においては、比較的低速度で走行することが多く、また、広域範囲の地図を表示することよりも車両近傍の詳細な地図を表示することの方が必要とされることが多い。
【0041】
このため、「予め設定した後退時用のスケール」とは、例えば、最大に拡大したスケールであることが好ましい。
【0042】
一方、ステップS1において、後退検知手段4が後退信号を検知しない場合には、ナビゲーション装置100は、車両が前進しているまたは前進可能な状態であると判断してステップS4に移行する。
【0043】
そして、表示手段5は、画像処理手段8により作成された、変換処理が行われていない周辺地図画像を表示する(この表示を、実施例1においては「通常表示」という)(ステップS4)。
【0044】
この「通常表示」により、表示手段5に表示された周辺地図画像は、その左右方向が、運転者が車両の前方を見た場合の視界としての左右方向に一致する。
【0045】
さらに、画像処理手段8は、表示された周辺地図画像のスケールが、前進時の最後に設定したスケールであるか否かの判断を行う(ステップS5)。これは、ステップS3において後退時用のスケールに設定されたままの状態である場合には、前進時の最後に設定したスケールと異なるためである。
【0046】
そして、画像処理手段8は、前進時の最後に設定したスケールではないと判断した場合には、周辺地図画像のスケールを、前進時の最後に設定したスケールに再設定する(ステップS6)。
【0047】
一方、表示手段5に表示された周辺地図画像のスケールが前進時の最後に設定したスケールであると画像処理手段8により判断された場合には、スケールの再設定は行わず(ステップS6には移行せず)、再びステップS1に戻る。
[変換処理の具体的手法]
図5は、表示手段5に表示される周辺地図画像が2D画像である場合に、画像処理手段8が変換処理を行うことによる周辺地図画像の変化を示す図である。
【0048】
上述のように、図2のステップS2においては、画像処理手段8が周辺地図画像に対して変換処理を行う。このとき、表示手段5に表示される周辺地図画像が俯瞰画像(2D画像)である場合には、画像処理手段8は、この周辺地図画像を上下方向および左右方向にそれぞれ反転させた画像に変換する変換処理を行う。
【0049】
すなわち、例えば、従来のナビゲーション装置によれば、車両が後退しながら図3の地点Bを走行中には、図5(a)に示すような周辺地図画像が表示されるのに対し、本発明に係るナビゲーション装置100によれば、図5(b)に示すように、周辺地図画像を上下方向および左右方向にそれぞれ反転させた(すなわち、実質的には、画像の略中央に表示された車両の位置を示すシンボルを中心として180°回転させた)周辺地図画像が表示手段5に表示される。
【0050】
また、図6は、表示手段5に表示される周辺地図画像が3D画像である場合に、画像処理手段8が変換処理を行うことによる周辺地図画像の変化を示す図である。
【0051】
表示手段5に表示される周辺地図画像が、車両の後方から車両の前方を斜めに見下ろした3D画像である場合には、画像処理手段8は、この周辺地図画像を車両の前方から車両の後方を斜めに見下ろした画像に変換する変換処理を行う。
【0052】
すなわち、例えば、従来のナビゲーション装置によれば、車両が後退しながら図3の地点Bを走行中には、図6(a)に示すような周辺地図画像が表示されるのに対し、本発明に係るナビゲーション装置100によれば、図6(b)に示すように、車両の前方から車両の後方を斜めに見下ろした周辺地図画像が表示手段5に表示される。
【0053】
次に、実施例1に係るナビゲーション装置100による効果を説明する。
【0054】
このように構成された本発明に係る第1のナビゲーション装置100によれば、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、後退検知手段4が後退信号を検知することにより車両の後退(または後退可能な状態であること)を検知し、この結果、画像処理手段8が表示手段5に表示される周辺地図画像に対して変換処理することで、表示手段5に表示された周辺地図画像の左右方向が運転者が車両の後方を見た場合の視界としての左右方向に一致するため、運転者がこの周辺地図画像を参考にしながら即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができる。
【0055】
さらに、車両の位置および進行方向を含む周辺地図画像に対して、画像処理手段8が上記のような変換処理を行うため、車両の後退時にカメラによって撮像された車両後方の撮像画像をモニタに表示する後方監視装置と異なり、車両の後退時に車両の位置および進行方向を把握することができる。
【0056】
また、実施例1に係るナビゲーション装置100によれば、表示手段5に表示される周辺地図画像が俯瞰画像であり、後退検知手段4が車両が後退していることまたは車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、画像処理手段8が、周辺地図画像を上下方向および左右方向にそれぞれ反転させることにより変換処理を行うため、複雑な変換処理を用いることなく、周辺地図画像の左右方向を運転者が車両の後方を見た場合の視界としての左右方向に一致させることができる。
【0057】
さらに、実施例1に係るナビゲーション装置100によれば、表示手段5に表示される周辺地図画像が車両の後方から車両の前方を斜めに見下ろした画像であり、後退検知手段4が車両が後退していることまたは車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、画像処理手段8が、車両の前方から車両の後方を斜めに見下ろした画像へ変換処理するため、運転者が車両の後方を視認した場合の視界と特に近似した画像である周辺地図画像を表示手段5に表示させることができる。
【0058】
そして、実施例1に係るナビゲーション装置100によれば、後退検知手段4が車両が後退していることまたは車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、画像処理手段8が、周辺地図画像を予め設定したスケールに拡大するため、運転者がマニュアルでスケールを変更する必要がなく、手間を省くことができる。
【実施例2】
【0059】
次に、本発明の最良の実施形態としての実施例2のナビゲーション装置200について説明する。
【0060】
実施例2のナビゲーション装置200は、後部座席者が前方を向いて視認でき、かつ、運転者が後方を向いて視認できる位置に回動可能に設置される表示手段25を備えているものである。
【0061】
図7は、実施例2のナビゲーション装置200の構成を示すブロック図であり、図8は、図7の表示手段25の回動機構を示す表示手段25の正面図であり、図9は、図7の表示手段25の変形例を示す表示手段25の正面図である。
【0062】
実施例2のナビゲーション装置200は、図7に示すように、車両位置検出手段21と、地図データ格納手段22と、制御部23と、後退検知手段24と、表示手段25と、ユーザインターフェース(User I/F)26と、設置状態検知手段29と、が設けられている。
【0063】
さらに、制御部23は、位置決定手段27と、画像処理手段28と、が設けられている。
【0064】
表示手段25は、車両の後部座席者が前方を向いて視認でき、かつ、運転者が後方を向いて視認できる位置、すなわち、後部座席者と運転者との間の位置に、車両天井から吊り下げられている。
【0065】
そして、この表示手段25は、図8に示すように、表示面が前方または後方を向くように、横方向に回動可能に構成されている。
【0066】
なお、この表示手段25の回動機構は図8に示すような形態に限定されず、例えば、図9に示すように、表示面が前方または後方を向くように、縦方向に回動可能に構成されたものもよい。
【0067】
また、設置状態検知手段29は、表示手段25の設置状態(表示面の向き)を検知するものである。
【0068】
なお、他の構成は、実施例1のナビゲーション装置100と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0069】
次に、ナビゲーション装置200による周辺地図画像の変換処理の流れを説明する。
【0070】
図10は、ナビゲーション装置200による周辺地図画像の変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【0071】
図10に示すように、運転者が車両を前進から後退へ切換えることにより、後退検知手段24が後退信号を検知した場合、ナビゲーション装置200は、車両が後退しているまたは後退可能な状態であると判断してステップ22に移行する(ステップS21)。
【0072】
さらに、表示手段25の表示面が運転者が視認できる向きに回動された状態(すなわち、表示面が前方を向いた状態)である場合、設置状態検知手段29は表示手段25が特定の設置状態であると判断してステップS23に移行する(ステップS22)。
【0073】
そして、画像処理手段28は、表示手段25の表示をナビ表示に切換える(ステップS23)。この「ナビ表示に切換える」とは、例えば、表示手段25に、受信したテレビ放送番組やDVDに基づく映像等が表示されている場合には、これらの映像から周辺地図画像に表示を切換えることを意味する。
【0074】
さらに、画像処理手段28は、車両の位置を示す表示を180度回転して描画し、さらに、180度回転して描画された車両の位置を示す表示を基準として、表示手段25に表示される周辺地図画像における車両の後方が、表示手段25において上方となるように、周辺地図画像を描画するように、実施例1のステップS2と同様に、作成された周辺地図画像に対して変換処理を行う(ステップS24)。そして、その後、再びステップS21に戻る(図10に示す「RETURN」は、ステップS21に戻ることを意味する)。
【0075】
一方、ステップS21において、後退検知手段24が後退信号を検知しない場合や、ステップS22において、設置状態検知手段29により表示手段25の設置状態が特定の状態であることが検知されない場合には、ステップS25に移行する。
【0076】
そして、表示手段25に、受信したテレビ放送番組やDVDに基づく映像等が表示されている場合には、表示手段25は、これら映像等をそのまま表示し、周辺地図画像が表示されている場合には、表示手段25は、変換処理が行われていない、この周辺地図画像をそのまま表示する(この表示を、実施例2においては「通常表示」という)(ステップS25)。
【0077】
なお、ステップS24において、画像処理手段28が、実施例1のステップS3と同様に、変換処理した後の周辺地図画像のスケールが予め設定した後退時用のスケールとなるように、周辺地図画像を拡大するように構成してもよい。
【0078】
このように、周辺地図画像を拡大する場合には、ステップS25において通常表示が行われ、表示手段25に変換処理が行われていない周辺地図画像が表示されている場合には、実施例1のステップS5、S6と同様に、画像処理手段28が、周辺地図画像のスケールが前進時の最後に設定したスケールであるか否かの判断を行い、前進時の最後に設定したスケールである場合には、スケールの再設定は行わずに再びステップS21に戻り、一方、後退時用のスケールに設定されたままの状態である場合には、前進時の最後に設定したスケールに再設定を行った後に再びステップS21に戻るように構成することが好ましい。
【0079】
次に、実施例2に係るナビゲーション装置200による効果を説明する。
【0080】
このように構成された実施例2に係るナビゲーション装置200によれば、実施例1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0081】
運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、設置状態検知手段29が表示手段25が特定の状態に設置されていることを検知し、かつ、後退検知手段24が車両の後退(または後退可能な状態であること)を検知し、この結果、画像処理手段28が表示手段25に表示される周辺地図画像に対して変換処理することで、表示手段25に表示された周辺地図画像の左右方向が運転者が車両の後方を見た場合の視界としての左右方向に一致するため、運転者がこの周辺地図画像を参考にしながら即座に後方視界における進行方向の左右を判断することができる。
【0082】
さらに、車両の位置および進行方向を含む周辺地図画像に対して、画像処理手段28が上記のような変換処理を行うため、車両の後退時にカメラによって撮像された車両後方の撮像画像をモニタに表示する後方監視装置と異なり、車両の後退時に車両の位置および進行方向を把握することができる。
【0083】
また、設置状態検知手段29が表示手段25の設置状態を検知し、表示手段25の設置状態が特定の状態である場合にのみ周辺地図画像の変換処理が行われるため、不必要な変換処理を抑制することができる。
【0084】
また、実施例2に係るナビゲーション装置200によれば、運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、表示手段25が、運転者が後方を向いて視認できる向きに回動された状態である場合に、変換処理された周辺地図画像が表示手段25に表示されるため、車両の後方および表示手段25に表示された、変換処理された周辺地図画像の双方を、運転者が視線を大きく動かすことなく見ることができる。
【実施例3】
【0085】
次に、本発明の最良の実施形態としての実施例3のナビゲーション装置300について説明する。
【0086】
図11は、表示手段35およびスタンド40の車室内での設置位置を示す模式図であり、実施例3のナビゲーション装置300は、図11に示すように、運転者が後方を向いて視認できる位置に設置されたスタンド40に対して着脱可能な表示手段35を備えているものである。
【0087】
実施例3のナビゲーション装置300は、図7に示す実施例2のナビゲーション装置200と同様の構成を有し、車両位置検出手段31と、地図データ格納手段32と、制御部33と、後退検知手段34と、表示手段35と、ユーザインターフェース(User I/F)36と、設置状態検知手段39と、が設けられている。
【0088】
また、制御部33は、位置決定手段37と、画像処理手段38と、が設けられている。
【0089】
表示手段35は、図11に示すように、運転者が後方を向いて視認できる位置、すなわち、運転者が後方を見たときに視界に入る、センタコンソール後部位置等に設置されたスタンド40に対して着脱可能に構成されている。
【0090】
また、設置状態検知手段39は、表示手段35の設置状態が特定の状態(スタンド40に取り付けられた状態)であるか否かを検知するものである。
【0091】
なお、他の構成は、実施例1のナビゲーション装置100および実施例2のナビゲーション装置200と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0092】
次に、ナビゲーション装置300による周辺地図画像の変換処理の流れを説明する。
【0093】
図12は、ナビゲーション装置300による周辺地図画像の変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【0094】
後退検知手段34が後退信号を検知した場合、ナビゲーション装置300は、車両が後退しているまたは後退可能な状態であると判断してステップ32に移行する(ステップS31)。
【0095】
さらに、表示手段35がスタンド40に取り付けられた場合、設置状態検知手段39は表示手段35が特定の設置状態であると判断してステップS33に移行する(ステップS32)。
【0096】
そして、画像処理手段38は、車両の位置を示す表示を180度回転して描画し、さらに、180度回転して描画された車両の位置を示す表示を基準として、表示手段35に表示される周辺地図画像における車両の後方が、表示手段35において上方となるように、周辺地図画像を描画するように、実施例1のステップS2と同様に、作成された周辺地図画像に対して変換処理を行う(ステップS33)。そして、その後、再びステップS31に戻る(図12に示す「RETURN」は、ステップS31に戻ることを意味する)。
【0097】
一方、ステップS31において、後退検知手段34が後退信号を検知しない場合や、ステップS32において、設置状態検知手段39により表示手段35の設置状態が特定の状態であることが検知されない場合には、ステップS34に移行する。
【0098】
そして、表示手段35は、画像処理手段38により作成された、変換処理が行われていない周辺地図画像を表示する(この表示を、実施例3においては「通常表示」という)(ステップS34)。
【0099】
なお、ステップS33において、画像処理手段38が、実施例1のステップS3と同様に、変換処理した後の周辺地図画像のスケールが予め設定した後退時用のスケールとなるように、周辺地図画像を拡大するように構成してもよい。
【0100】
このように、周辺地図画像を拡大する場合には、ステップS34において通常表示が行われ、表示手段35に変換処理が行われていない周辺地図画像が表示されている場合には、実施例1のステップS5、S6と同様に、画像処理手段38が、周辺地図画像のスケールが前進時の最後に設定したスケールであるか否かの判断を行い、前進時の最後に設定したスケールである場合には、スケールの再設定は行わずに再びステップS31に戻り、一方、後退時用のスケールに設定されたままの状態である場合には、前進時の最後に設定したスケールに再設定を行った後に再びステップS31に戻るように構成することが好ましい。
【0101】
次に、実施例3に係るナビゲーション装置300による効果を説明する。
【0102】
このように構成された実施例3に係るナビゲーション装置300によれば、実施例1の効果および実施例2の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0103】
運転者が後方を見る姿勢で運転することが多い車両の後退時において、表示手段35が、運転者が後方を向いて視認できる位置に設置されたスタンド40に取り付けられた場合に、変換処理された周辺地図画像が表示手段35に表示されるため、車両の後方および表示手段に表示された、変換処理された周辺地図画像の双方を、運転者が視線を大きく動かすことなく見ることができる。
【0104】
以上、本発明のナビゲーション装置を実施例1、実施例2および実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0105】
1 車両位置検出手段
2 地図データ格納手段
3 制御部
4 後退検知手段
5 表示手段
6 ユーザインターフェース(User I/F)
7 位置決定手段
8 画像処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置および進行方向を含む前記車両の周辺地図画像を表示する表示手段と、
前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知する後退検知手段と、
前記後退検知手段が前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、
前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が平面地図画像である場合には、前記周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が前記車両の後方から前記車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、前記周辺地図画像を前記車両の前方から前記車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をする画像処理手段と、
を有していることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
車両の位置および進行方向を含む前記車両の周辺地図画像を表示する、設置状態が可変とされている表示手段と、
前記設置状態を検知する設置状態検知手段と、
前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知する後退検知手段と、
前記設置状態検知手段によって検知された設置状態が特定の状態であり、かつ、前記後退検知手段が前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、
前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が平面地図画像である場合には、前記周辺地図画像を180度回転させた画像に変換する処理をし、前記表示手段に表示される前記周辺地図画像が前記車両の後方から前記車両の前方を斜めに見下ろした鳥瞰画像である場合には、前記周辺地図画像を前記車両の前方から前記車両の後方を斜めに見下ろした鳥瞰画像に切り換える処理をする画像処理手段と、
を有していることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示手段が、前記車両の後部座席者が前方を向いて視認でき、かつ、前記運転者が後方を向いて視認できる位置に回動可能に設置されるものである場合には、
前記特定の状態が、前記表示手段が前記運転者が視認できる向きに回動された状態であることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示手段が、前記運転者が後方を向いて視認できる位置に設置されたスタンドに対して着脱可能である場合には、
前記特定の状態が、前記表示手段が前記スタンドに取り付けられた状態であることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記後退検知手段が前記車両が後退していることまたは前記車両が後退可能な状態であることを検知した場合に、前記画像処理手段は、さらに前記周辺地図画像を拡大することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−33442(P2011−33442A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178961(P2009−178961)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】