説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザビリティを向上できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーションユニット2は、現在のナビゲーションユニット2の状態を検出するCPU10と、地図データMを記憶する地図データ記憶部15とを備える。CPU10は、外部から取得した差分データD1と地図データMとを用いて、書替用データD2を生成する。また、CPU10は、所定の表示画面を表示している状態で、新しい地図データMへの切り替えが選択された際に、書替用データD2によって地図データMを書き替える。CPU10は、操作履歴データ27に基づき、地図データMの書き替えが行われる直前にディスプレイ25に表示されていた画面とその画面に至るまでの操作履歴を判断する。そして、必要であれば、新しい地図データMを用いて、表示されていた画面に至るまでの操作に対応する処理を行い、その処理に対応する画面を復帰画面として表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、高速データ通信の発展に伴い、車両に搭載されたナビゲーションシステムに更新地図データを配信する配信システムが開発されている。この配信システムでは、例えば、予め登録されたナビゲーションシステムが、そのシステムの有する地図データ等のバージョンを配信サーバに通信にて送信すると、配信サーバは、そのバージョンと最新のバージョンとを比較して、データ更新の要否を判断する。更新が必要であると判断すると、ナビゲーションシステムが送信した旧バージョンと最新のバージョンとの差分データを、ナビゲーションシステムに通信にて送信する。これによれば、ほぼ自動的に最新の地図データを入手できる。
【0003】
このようなシステムとして、特許文献1には、配信サーバ(配信センタ)から送信された表示用データに基づき、ナビゲーション装置が更新部分をナビゲーション装置の画面に表示するシステムが記載されている。ユーザはディスプレイに表示された更新部分を確認して、地図データの更新をするか否かを決定する。そして、配信サーバは、ナビゲーションシステムからデータ送信要求を受信すると、最新の地図データをナビゲーションシステムに送信する。ナビゲーションシステムは、地図データを受信してデータ更新処理を行い、さらに探索した推奨経路に基づいて経路案内が行われている場合には、最新の地図データに基づいて、目的地までの経路を自動的に再探索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2004−125510号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ユーザの入力操作による目的地設定、目的地検索等の処理を行っている際に地図データの書替処理が割り込むと、ユーザの入力操作、又は入力操作に応じた処理が中断、又は取り消されることがあった。実行中の処理が中断されると、ユーザはその書替処理が完了するまで待機しなければならず、ユーザにストレスを与えてしまう。また、入力操作が取り消されると、ユーザは、入力操作を初めからやり直さなければならないため、ユーザの労力が多大になる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザビリティを向上できるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、地図データを用いて案内を行うナビゲーション装置において、前記地図データを記憶する地図データ記憶手段と、外部から更新データを取得するデータ取得手段と、前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データと前記更新データとを用いて、新地図データを生成する加工手段と、前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データを、前記加工手段によって生成された前記新地図データに切り替える切替手段と、前記ナビゲーション装置が所定の表示画面を表示手段に表示しているか否かを判断する判断手段と、前記所定の表示画面に至るまでのナビゲーション装置に対するユーザの入力操作の履歴を、操作履歴データとして記憶する操作履歴記憶手段と、前記判断手段が所定の表示画面を表示手段に表示していると判断した状態で、前記切替手段による前記新地図データへの切り替えが行われた場合に、前記新地図データに基づいて前記操作履歴データに応じた処理を行い、該処理に対応する新たな画面を、表示されていた所定の表示画面に代わる復帰画面として表示させる復帰手段とを備えることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記所定の表示画面は、ユーザの検索操作によって検索された施設を表示した施設リスト画面であり、前記復帰手段は、前記新地図データを用いて前記施設を検索した場合の新たな施設リスト画面を復帰画面として表示させることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記所定の表示画面は、ユーザのスクロール操作によって現在位置とは異なる位置を中心座標とした地図画面であり、前記操作履歴記憶手段は、前記地図画面の中心座標を前記操作履歴データとして記憶し、前記復帰手段は、前記中心座標を中心とする前記新地図データに基づく新たな地図画面を復帰画面として表示させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
各請求項に記載の発明によれば、ナビゲーション装置におけるデータ更新時のユーザビリティを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の配信システムの概略図。
【図2】ナビゲーションシステムのブロック図。
【図3】経路データの説明図。
【図4】地図描画データの説明図。
【図5】操作履歴データの説明図。
【図6】配信サーバのブロック図。
【図7】本実施形態の処理手順の説明図。
【図8】(a)はメニュー画面、(b)は検索画面、(c)はジャンル選択画面の説明図。
【図9】スクロール操作を行った地図画面の説明図。
【図10】交差点拡大画面の説明図。
【図11】書替選択画面の説明図。
【図12】変更部分が表示された地図画面の説明図。
【図13】本実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12に従って説明する。図1は、本実施形態における配信システムSYの説明図である。
【0013】
図1に示すように、配信システムSYは、配信サーバSv及び車両Cに搭載されたナビゲーションシステム1から構成されている。配信サーバSvは、インターネット、衛星回線等のネットワークNWを介して、各種データを送受信可能にナビゲーションシステム1と接続されている。
【0014】
図2に示すように、ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置としてのナビゲーションユニット2を備えている。ナビゲーションユニット2は、状態検出手段、データ取得手段、判断手段、画面出力手段、切替手段及び復帰手段としてのCPU10、不揮発性のメインメモリ11、経路案内プログラム、地図更新プログラムを格納したROM12、GPS受信部13を備えている。CPU10は、経路探索プログラムに従って経路を探索し、経路案内プログラムに基づいて経路を案内する。
【0015】
CPU10は、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS受信部13が受
信した、緯度・経度等の座標を示す位置検出信号を入力して、電波航法により自車両の絶対位置を算出する。また、CPU10は、ナビゲーションユニット2が備える車両側I/F部14を介して、自車に設けられた車速センサ30及びジャイロ31から車速パルス、角速度をそれぞれ入力する。そして、CPU10は、車速パルス及び角速度を用いる自律航法により、基準位置からの相対位置を算出し、電波航法で算出した絶対位置と組み合わせて自車位置を特定する。
【0016】
また、ナビゲーションユニット2は、地図データMを記憶する地図データ記憶手段及び新地図データ記憶手段としての地図データ記憶部15を備えている。地図データ記憶部15は、書込可能且つ不揮発性のメモリであって、EPROM、又はフラッシュメモリ等からなる。地図データMは、目的地までの経路を探索するための各経路ネットワークデータ(以下、経路データ16という)と、地図描画処理を行うための各地図描画データ17とを有する。また地図データ記憶部15には、地図を実際に画像として表示するためのビットマップデータ等の画像データ18が格納されている。
【0017】
経路データ16は、経路計算用のデータであって、全国を区画したメッシュ毎の道路ネットワークを示している。この経路データ16は、道路の種別毎に複数に階層化され、上位レベルになるに従って、道路ネットワークが概略化されている。上位レベルの経路データ16は、主要国道、高速道路等の主要な道路のデータである。それよりも下位レベルの経路データ16は、県道、一般道路等のネットワークを示している。
【0018】
次に、経路データ16のデータ構成について説明する。図3に示すように、経路データ16は、各メッシュを識別するためのメッシュID16aと、メッシュ毎に付与されたバージョン16bとを有している。また、メッシュID16aには、複数のリンク個別データ16cが紐付けられている。リンク個別データ16cは、そのメッシュに含まれる、交差点や道路の端点を示す各ノードと、各ノード間を接続する各リンクとに関するデータであって、リンクID16d、リンクコスト16e、ノードデータ16f、上位レベル対応データ16g、通行データ16h、道路属性データ16iを有している。
【0019】
リンクコスト16eは、推奨経路を算出するためのパラメータであって、リンクの長さ、その道路の走行しやすさ、通過料金等を示す。ナビゲーションユニット2のCPU10は、このリンクコスト16dと各種条件を用いて、コスト値の総計が最小になる経路を推奨経路として検出する。このとき用いる条件を変更することにより、料金が最小となる経路、距離が最短になる経路等の各種推奨経路が検出される。
【0020】
ノードデータ16fは、リンクID16dが示すリンクの始点となるノードの座標と、終点となるノードの座標とを有している。上位レベル対応データ16gは、そのリンクと対応関係にある上位レベルのリンクを示している。通行データ16hは、その道路の通行規制を示すデータである。道路属性データ16iは、幅員数、道路幅等、道路の属性を示すデータを有している。
【0021】
また、地図描画データ17は、広域エリアを概略的に表示する地図描画データ17や、狭域エリアを詳細に示す地図描画データ17等、各階層毎に分かれている。図4に示すように、地図描画データ17は、メッシュID17aと、メッシュ毎に付与されたバージョン17bを有している。また、各メッシュID17aには、道路データ17d、背景データ17e、名称データ17f、誘導データ17g等を有している。
【0022】
道路データ17dは、そのメッシュID17aが示すメッシュ内の道路ネットワークと、道路の形状を示す形状補間点とに関するデータである。背景データ17eは、各エリアの背景種別等を記憶している。名称データ17fは、道路の名称、交差点の名称等、文字列データである。誘導データ17gは、交差点や施設の名称、方面名称、方向ガイド、注意地点、交差点詳細データ等が記憶されている。さらに、誘導データ17gは、そのメッシュID17a内のゴルフ場や駐車場等、各施設の名称や座標に関する検索データを有している。CPU10は、ユーザによる入力操作に従ってこのデータを用いて、各施設を検索する。また、地図データ記憶部15に記憶された画像データ18は、地図を表示するためのビットマップデータ等である。
【0023】
図2に示すナビゲーションユニット2の画像出力手段、切替手段としての画像プロセッサ20は、地図描画データ17を用いて、表示対象エリアの道路形状、背景等を判断する。そして、画像データ18を用いて、その道路形状や背景に合わせた地図を出力用のデータを生成する。生成した出力用のデータは、VRAM21に一時記憶する。さらに、出力用データに基づく映像信号を表示手段としてのディスプレイ25に出力し、例えば図2に示すような地図画面25aを表示する。また、画像プロセッサ20は、この地図画面25aに、自車位置を示す指標25bと、目的地までの経路を示す経路指標25cとを表示する。
【0024】
また、図2に示すように、ナビゲーションユニット2は、通信装置19を備えている。通信装置19は、アンテナを内蔵しており、ネットワークNWを介して配信サーバSvに、地図データM(経路データ16及び地図描画データ17)のバージョン16b、17bを送信する。また、通信装置19は、配信サーバSvから送信された、更新データとしての差分データD1等、各種データを受信する。配信サーバSvから差分データD1を受信すると、CPU10は、その差分データD1を、ナビゲーションユニット2の更新用データ記憶部28に記憶する。また、差分データD1の受信が全て完了すると、その差分データD1と地図データMとを用いて、フォーマット変換処理等、地図データ記憶部15の地図データMを書き替えるための加工処理を行う。そして、加工処理によって生成したデータを、新地図データとしての書替用データD2として更新用データ記憶部28に記憶する。
【0025】
そして、ユーザの入力操作によって書替要求がCPU10に出力されると、CPU10は、その時点で地図データ記憶部15に記憶されている旧い地図データMの一部を、書替用データD2に書き替える。
【0026】
また、図2に示すように、ナビゲーションユニット2は、履歴記憶手段としての操作履歴記憶部26を備えている。操作履歴記憶部26には、履歴としての操作履歴データ27が記憶されている。操作履歴データ27は、図5に示すように、現在状態27a、入力操作27b、遷移先画面27c、日時27d等を有する。現在状態27aは、その時点でディスプレイ25に表示されている画面を示す。入力操作27bは、その画面で行われた操作を示し、画面の「選択部○○」が選択された際には「選択部○○」が記憶される。遷移先画面27cは、その入力操作27bにより、遷移した画面を示す。現在の画面又は遷移先の画面が、地図画面25aである場合には、その地図画面25aの中心座標が現在状態27a又は遷移先画面27cの一部としてそれぞれ記憶される。日時27dは、その入力操作を行った日にち及び時間を示す。この操作履歴データ27は、画面を単に表示した場合や、ユーザの入力操作待ちである場合には、現在状態27aにその画面の識別データのみを記憶した状態になっている。また、操作履歴データ27は、イグニッションがOFFされると消去される。
【0027】
さらに、ナビゲーションシステム1のディスプレイ25には、操作スイッチ29が隣設されている。また、ディスプレイ25は、タッチパネルとなっている。操作スイッチ29やタッチパネルが入力操作されると、ナビゲーションユニット2が備える外部入力I/F部22は、操作スイッチ29の入力操作に応じた信号をCPU10に出力する。
【0028】
さらに、ナビゲーションユニット2の音声プロセッサ23は、CPU10の制御に従って、図示しない音声ファイルデータベースから音声データを読出す。そして、音声データをD/A変換して経路を案内するための音声信号等をスピーカ24に出力する。
【0029】
次に、配信サーバSvの構成について、図6に従って説明する。配信サーバSvは、CPU40、RAM41、ROM42、通信I/F43、更新データ記憶部45を有している。CPU40は、通信I/F43を介して、ナビゲーションシステム1と各種データを送受信する。また、更新データ記憶部45には、最新バージョンの更新用経路データ46、更新用地図描画データ47が記憶されている。CPU40は、ナビゲーションシステム1から、ナビゲーションシステム1の地図データMのメッシュ毎の各バージョン16b,17bを受信し、それらの各バージョン16b,17bと、配信サーバSvの更新用経路データ46及び更新用地図描画データ47の各バージョン(以下、サーバ側バージョンという)とを比較する。そして、受信した各バージョン16b、17bのうち、サーバ側バージョンよりも旧いバージョン16b,17bを有するメッシュがある場合には、配信サーバSvのCPU40は、そのメッシュの最新バージョンのデータを更新データ記憶部45から読出し、差分データD1としてナビゲーションシステム1に送信する。
【0030】
次に、本実施形態の処理手順について、図7に従って説明する。ナビゲーションユニット2のCPU10は、ナビゲーションユニット2が起動されると、例えば、目的地までの経路案内や、自車位置周辺の案内等、地図データを利用した処理を行う(ステップS1)。また、CPU10は、ユーザの入力操作の履歴を、操作履歴データ27として、操作履歴記憶部26に記憶する(ステップS2)。例えば、図8(a)に示す検索用画面としてのメニュー画面50において「検索」の選択部50aが選択されると、操作履歴データ27の現在状態27aには「メニュー画面」が記憶され、入力操作27bには「選択50a」が記憶される。また、選択部50aの押釦により、図8(b)に示す検索用画面としての検索画面51に遷移すると、操作履歴データ27の遷移先画面27cには「検索画面」が記憶される。
【0031】
また、CPU10は、配信サーバSvに対し、経路データ16又は地図描画データ17の更新があるか否かの問い合わせを行う(ステップS3)。このとき、CPU10は、地図データMの各メッシュのメッシュID16a,17aと、各メッシュの各バージョン16b,17bとを配信サーバSvに送信する。
【0032】
配信サーバSvのCPU40は、メッシュID16a,17aと、バージョン16b,17bとを受信すると、更新用経路データ46及び更新用地図描画データ47の各メッシュにそれぞれ付与された各サーバ側バージョンと比較する。そして、サーバ側バージョンの方が新しいメッシュがある場合には、ナビゲーションシステム1に「更新あり」を示すデータを送信する。更新が行われていない場合には、「更新無し」を示すデータを送信する。
【0033】
ナビゲーションシステム1のCPU10は、配信サーバSvから受信したデータに基づき、更新の有無を判断する(ステップS4)。更新がない場合(ステップS4においてNO)、ステップS1に戻り、上記した処理を繰り返す。そして、更新があると判断した場合には(ステップS4においてYES)、配信サーバSvに対し、差分データD1の送信要求を送信する。
【0034】
配信サーバSvは、送信要求を受信すると、更新用経路データ46又は更新用地図描画データ47のうち、送信要求の対象になっているデータを読み出し、差分データD1として分割してナビゲーションシステム1に送信する。ナビゲーションシステム1のCPU10は、配信サーバSvから送信された差分データD1を受信する(ステップS5)。受信した差分データD1は、更新用データ記憶部28に記憶する。
【0035】
そして、CPU10は、取得した差分データD1と、地図データ記憶部15に記憶された経路データ16又は地図描画データ17とを用いて加工処理を行い、書替用データD2を生成する(ステップS6)。また、CPU10は、生成した書替用データD2を、更新用データ記憶部28に記憶して、書替可能な状態にする。
【0036】
CPU10は、加工処理が終了したか否かを判断し(ステップS7)、加工処理が終了したと判断した場合には(ステップS7においてYES)、ナビゲーションシステム1の状態を検出する(ステップS8)。このとき、CPU10は、操作履歴データ27に基づき、その時点でディスプレイ25に表示されている画面を判断する。また、操作履歴データ27の入力操作27bと日時27dとに基づき、タッチパネルの操作部が操作された時間を判断する。
【0037】
続いて、CPU10は、検出したナビゲーションシステム1の状態が、所定の状態であるか否かを判断する(ステップS9)。所定の状態とは、所定の画面が表示された状態であるか、及びユーザが所定の操作を行った状態である。本実施形態では、所定の画面は、図8(a)〜(c)に示すような目的地等を検索するための画面50〜52、図9に示すように、ユーザのスクロール操作により、車両の現在位置が画面外となった地図画面25a、図10に示すような注意喚起画面としての交差点拡大画面54である。交差点拡大画面54では、地図画面25aと、通過予定の交差点を案内する案内画面54aとが表示されている。所定の操作を行った状態とは、タッチパネル、操作スイッチ29が、その時点から遡って所定時間(例えば60秒等)内に押釦操作された状態である。
【0038】
ナビゲーションシステム1の状態が所定の状態であると判断すると(ステップS9においてYES)、CPU10は、画像プロセッサ20を制御して、図11に示す書替選択画面56を表示する(ステップS10)。書替選択画面56には、更新内容表示部56a、更新選択部56b、及び待機選択部56cが表示されている。ユーザは、更新内容表示部56aに表示された更新内容、更新されたリンクの位置等を確認し、その時点ですぐに更新を開始する場合には更新選択部56bを押釦し、その時点では行わず、後に更新を行う場合には待機選択部56cを押釦する。
【0039】
CPU10は、外部入力I/F部22からの入力信号に基づき、書替選択画面56にて、書き替えが選択されたか否かを判断する(ステップS11)。書き替えが選択されたと判断すると(ステップS11においてYES)、地図データ記憶部15に記憶されている旧バージョンの地図データMを書替用データD2によって書き替える(ステップS12)。
【0040】
書替用データD2によって地図データMを書き替えると、CPU10は、操作履歴データ27に基づき画面復帰を行う(ステップS13)。画面復帰について詳述すると、CPU10は、操作履歴データ27に基づき、地図データMの書き替えが行われる直前にディスプレイ25に表示されていた画面とその画面に至るまでの操作履歴を判断する。そして、必要であれば、新しい地図データMを用いて、表示されていた画面に至るまでの操作に対応する処理を行い、その処理に対応する画面を復帰画面として表示する。例えば、図8(c)に示す検索用画面としてのジャンル選択画面52が表示された状態で、データ書き替えを行った場合、CPU10は、画像プロセッサ20を制御して、ジャンル選択画面52をディスプレイ25に表示する。ジャンル選択画面52は、地図データMの書き替えにより書き替えられない画面であるため、地図データMの書き替えが行われる直前にディスプレイ25に表示されていた画面そのものが復帰画面として表示される。また、検索結果画面としてゴルフ場のリスト画面が表示された状態で、データ書き替えを行った場合、CPU10は、新しい地図データMを用いて検索した場合のゴルフ場のリスト画面をディスプレイ25に表示する。地図データMの書き替えにより、追加ゴルフ場、削除されたゴルフ場が存在する場合、新たな地図データMに基づく追加ゴルフ場が含まれるリスト画面、又は削除されたゴルフ場を反映したリスト画面が、復帰画面として表示される。
【0041】
また、ユーザが、現在位置周辺の地図画面25aをスクロール操作して、図9に示すように、車両Cの現在位置周辺とは異なる地図画面25aが表示されている場合、操作履歴データ27の遷移先画面27cには、スクロール操作の結果、表示された地図画面25aの中心座標C1が記憶されている。画像プロセッサ20は、この中心座標C1を中心とした地図描画データ17を読出して、中心座標C1周辺の地図画面25aをディスプレイ25に表示する。このとき、新設道路等が新しい地図データMに反映されている場合には、図12に示すように、新設道路等を、変更部分25dとして強調表示する。
【0042】
一方、ステップS11において、書替選択画面56において、待機選択部56cが押釦操作されると(ステップS11においてNO)、CPU10は、操作履歴データ27に基づき、書替選択画面56を表示する前の状態に画面復帰する(ステップS14)。例えば、操作履歴データ27に基づき、書替選択画面56が表示される前に、図8(c)に示すジャンル選択画面52が表示されていた場合、ディスプレイ25にジャンル選択画面52を表示する。
【0043】
画面復帰を行うと、CPU10は、ナビゲーションシステム1が所定の状態でなくなるまで待機する(ステップS15)。このとき、CPU10は、ROM12に記憶された操作履歴データ27に従って、現在表示されている画面を判断する。そして、各時点のナビゲーションユニット2の状態が、所定の状態に該当しなくなると(ステップS15においてYES)、地図データMの一部を書替用データD2によって書き替える(ステップS16)。
【0044】
データ書き替えを行うと、CPU10は、ステップS1に戻り、ナビゲーションシステム1の主電源がOFFされるか、イグニッションがOFFになるまで上記した処理を繰り返す。
【0045】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビゲーションユニット2は、配信サーバSvから新しいバージョンの差分データD1を受信するようにした。また、差分データD1を受信した際に、検索画面51等の入力操作を行う画面、交差点拡大画面54等の注意を喚起する画面をディスプレイ25に表示した状態、或いは所定時間内にタッチパネル操作を行われた状態等、ナビゲーションユニット2が所定の状態にある際に、書替選択画面56をディスプレイ25に表示するようにした。このため、現在実行中の処理の中断により、ユーザの労力が無駄になったり、ユーザにストレスを与える可能性がある際に、強制的に地図データMの書き替えを行わず、書替をその時点で実行するか否かを問い合わせるため、ユーザの要望に沿ったタイミングで書き替えを行うことができる。従って、地図データMの書き替えの際に、ユーザにストレスを与えず、使いやすくして、ナビゲーションユニット2のユーザビリティの向上を図ることができる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図13に従って説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態の処理手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0047】
図13に示すように、このナビゲーションユニット2のCPU10は、地図データMを利用した処理を行い(ステップS1)、更新問い合わせを行う(ステップS3)。そして、更新ありと判断した場合には(ステップS4においてYES)、配信サーバSvから差分データD1を受信する(ステップS5)。差分データD1の取得を完了すると、取得した差分データD1を、書替用データD2に加工処理する(ステップS6)。
【0048】
そして、CPU10は、加工処理が終了するのを待機し(ステップS7)、加工処理が終了したと判断すると(ステップS7においてYES)、ナビゲーションシステム1の状態を検出する(ステップS8)。そして、ナビゲーションシステム1が所定の状態であるか否かを判断する(ステップS9)。
【0049】
ナビゲーションシステム1が所定の状態である場合には(ステップS9においてYES)、CPU10は画像プロセッサ20を制御して、書替選択画面56をディスプレイ25に表示する(ステップS10)。そして、外部入力I/F部22からの入力信号に基づき、その書替選択画面56において書替が選択されたか否かを判断する(ステップS11)。ユーザにより書替が選択されたと判断すると(ステップS11においてYES)、更新用データ記憶部28に記憶された書替用データD2を用いて、地図データMの一部を書き替える(ステップS12)。
【0050】
一方、書替が選択されていないと判断すると(ステップS11においてNO)、ナビゲーションシステム1が所定の状態でなくなるまで待機する(ステップS15)。ナビゲーションシステム1が所定の状態以外の状態になると(ステップS15においてYES)、CPU10は、地図データMの一部を、書替用データD2によって書き替える(ステップS12)。即ち、書き替えを行った後に、操作履歴データ27に基づいた画面復帰を行わないので、ナビゲーションユニット2の処理負担を軽減することができる。
【0051】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(2)第2の実施形態では、ナビゲーションユニット2が、検索画面51を表示した状態や、タッチパネル操作がその時点から遡った所定時間内に行われた場合等、所定の状態であるときのみ、書替選択画面56を表示して、ユーザにより書き替えが選択された場合に地図データMの書き替えを行うようにした。このため、書替選択画面56を表示して、データの書き替えの可否をユーザに問うことができるので、書き替え処理を円滑に行うことができる。
【0052】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、操作履歴データ27は、現在状態27a、入力操作27b、遷移先画面27c、日時27dからなるとしたが、その他のデータ構成でも良い。例えば、そのときナビゲーションユニット2が実行している処理モジュールやアプリケーション等を記憶するようにしてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、操作履歴データ27に基づき、ナビゲーションシステム1の状態を検出し、所定の状態であるか否かを判断するようにした。これ以外に、CPU10が、ROM12に記憶されたタスク管理プログラムに基づき、ユーザの入力操作により開始されるタスクが実行中であるか否か等を判断するようにしてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、書替選択画面56において、待機選択部56cが押釦された場合、ナビゲーションシステム1が所定の状態でなくなるまで待機するようにした。これ以外に、待機選択部56cが選択された場合に、ナビゲーションユニット2のメインメモリ11に記憶された起動時更新フラグをONにするようにしてもよい。そして、ナビゲーションシステム1の起動時に、メインメモリ11に記憶された起動時更新フラグがONである場合には、起動の時点でデータ書き替えを行うようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、ナビゲーションユニット2が配信サーバSvから差分データD1を受信する場合について説明したが、加工処理が必要な差分データD1又は加工処理済みの書替用データD2が予め記憶された光ディスク等の記憶媒体がナビゲーションユニット2に挿入された際に、上記した処理を行ってもよい。この場合でも、上記のように、ナビゲーションユニット2が所定の状態であるときには、書替選択画面56を表示して、データ書き替えの可否をユーザに問うことができるので、書き替え処理を円滑に行うことができる。
【0056】
・上記実施形態では、ナビゲーション装置を車両Cに搭載したナビゲーションシステム1に具体化したが、ユーザが携帯可能な端末等、その他のナビゲーション装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0057】
2…ナビゲーション装置としてのナビユニット、10…状態検出手段、取得手段、判断手段、画面出力手段、切替手段、復帰手段としてのCPU、15…地図データ記憶手段としての地図データ記憶部、19…取得手段としての通信装置、20…画像出力手段、切替手段としての画像プロセッサ、25…表示手段としてのディスプレイ、26…履歴記憶手段としての操作履歴記憶部、27…履歴としての操作履歴データ、27b…入力操作、50…検索用画面としてのメニュー画面、51…検索用画面としての検索画面、52…検索用画面としてのジャンル選択画面、54…注意喚起画面としての交差点拡大画面、56…選択画面としての書替選択画面、D1…更新データとしての差分データ、D2…新地図データとしての書替用データへの切り替えをユーザに選択させる選択画面、M…地図データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを用いて案内を行うナビゲーション装置において、
前記地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
外部から更新データを取得するデータ取得手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データと前記更新データとを用いて、新地図データを生成する加工手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データを、前記加工手段によって生成された前記新地図データに切り替える切替手段と、
前記ナビゲーション装置が所定の表示画面を表示手段に表示しているか否かを判断する判断手段と、
前記所定の表示画面に至るまでのナビゲーション装置に対するユーザの入力操作の履歴を、操作履歴データとして記憶する操作履歴記憶手段と、
前記判断手段が所定の表示画面を表示手段に表示していると判断した状態で、前記切替手段による前記新地図データへの切り替えが行われた場合に、前記新地図データに基づいて前記操作履歴データに応じた処理を行い、該処理に対応する新たな画面を、表示されていた所定の表示画面に代わる復帰画面として表示させる復帰手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記所定の表示画面は、ユーザの検索操作によって検索された施設を表示した施設リスト画面であり、
前記復帰手段は、前記新地図データを用いて前記施設を検索した場合の新たな施設リスト画面を復帰画面として表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記所定の表示画面は、ユーザのスクロール操作によって現在位置とは異なる位置を中心座標とした地図画面であり、
前記操作履歴記憶手段は、前記地図画面の中心座標を前記操作履歴データとして記憶し、
前記復帰手段は、前記中心座標を中心とする前記新地図データに基づく新たな地図画面を復帰画面として表示させることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−64701(P2011−64701A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276700(P2010−276700)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2006−190804(P2006−190804)の分割
【原出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】