説明

ナビゲーション装置

【課題】CPUの再起動後、より短い時間でルート誘導を開始することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両電源30のメイン電源32にCPU11を接続するとともに、車両電源30のバックアップ電源31に情報処理部15及び車両移動検出部20を接続し、メイン電源32からの電源供給が中止されているCPU11の休止状態中は、車両移動検出部20からのデータを情報処理部15の記憶部16に記憶し、メイン電源32からの電源供給が再開された際に、記憶部16に記憶されたデータに基づいて車両の現在位置を算出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPSと、車両に取り付けたセンサと、を用いて自車の現在位置を算出するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両が停止状態である、或いは、ユーザがナビゲーション装置を操作していない場合には、ナビゲーション装置への電力供給を中止する等、車両の動作状態に連動してナビゲーション装置への電力の供給の中止や再開を行うことで、ナビゲーション装置の消費電力を低減させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−90674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでナビゲーション装置では、GPS衛星から受信した信号と、車両に取り付けられた車速センサ及び方位センサからのセンサーデータと、を用いて自車の現在位置をより正確に算出している。しかしながら、消費電力を低減するためにナビゲーション装置への電力供給を中止した場合、ナビゲーション装置のCPUは休止状態となってしまう。そのため、ナビゲーション装置への電力供給再開後、CPUを再起動させて、GPS衛星、及び、各種センサから信号(データ)を取得し、自車の現在位置を算出するのには時間がかかり、使い勝手が悪かった。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、CPUの再起動後、より短い時間でルート誘導を開始することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、車両電源のメイン電源にCPUを接続するとともに、車両電源のバックアップ電源に情報処理部及び車両移動検出部を接続し、前記メイン電源からの電源供給が中止されている前記CPUの休止状態中は、前記車両移動検出部からのデータを前記情報処理部の記憶部に記憶し、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて前記車両の現在位置を算出することを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記CPUは、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて、前記CPUが休止状態中の前記車両の移動の軌跡を積算し、当該軌跡を地図データにマッチングすることで前記車両の自車位置を算出する構成としても良い。また、前記情報処理部は、前記CPUの休止状態中に前記車両移動検出部から入力されるデータに基づいて前記車両の移動の軌跡を積算して前記記憶部に記憶し、前記CPUは、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に、前記記憶部に記憶された前記車両の移動の軌跡を取得して、当該軌跡を地図データにマッチングすることで前記車両の自車位置を算出する構成としても良い。また、前記情報処理部は、切替自在なスイッチを内蔵し、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に前記スイッチを切り替えて、前記記憶部に記憶したデータを前記CPUに入力する構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、CPUが休止状態中は、車両移動検出部からのセンサーデータを、バックアップ電源から電源の供給を受ける情報処理部の記憶部に記憶し、CPUが再起動された際には、記憶部に記憶したセンサーデータに基づいて車両の現在位置を算出することができるため、CPUの再起動後、より短い時間でルート誘導を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置の第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】ナビゲーション装置の第3実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、自動車等の車両に搭載され、車両電源(車両に搭載されたバッテリー)30から電源が供給されて駆動する。
ナビゲーション装置1は、装置本体10を備え、装置本体10は、CPU11、GPS受信部12、地図データ格納部13、ユーザーインターフェース14、及び、情報処理部15を内蔵する。ナビゲーション装置1は、地図データ格納部13に格納された地図データや検索データ等のナビゲーション用データを読み込んで、ユーザーによってユーザーインターフェース14を介して入力される目的地までのルート誘導を行うものである。
【0010】
CPU11は、ナビゲーション装置1の各部の制御を実行するものであり、記憶手段としてのROMやRAM、及び、その他の周辺回路等も備えている。ROMには、CPU11に実行される基本制御プログラムがコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶されている。RAMには、CPU11に実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等が一時的に記憶される。CPU11は、不図示の車両のキースイッチを介して車両電源(車載バッテリー)30に接続されている。つまりCPU11には、車両電源30のメイン電源(ACC電源)32から電源が供給される。
【0011】
GPS受信部12は、GPSアンテナ18を備え、GPSアンテナ18を介してGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、自車の現在位置を示す位置座標(経度、及び、緯度)を算出する。GPS受信部12は、算出した自車の現在の位置座標をCPU11に入力する。
【0012】
地図データ格納部13には、地図データ及び検索データ等のナビゲーション用データが格納され、CPU11の制御の下、必要に応じて任意のデータが読み出される。地図データ格納部13は、例えば、装置本体10に内蔵されたハードディスク、不図示のディスク再生部に投入されたCD−ROMやDVD−ROM等のディスク状記憶媒体、或いは、装置本体10に着脱自在に挿入されたメモリーカードやUSBメモリーである。
【0013】
ユーザーインターフェース14は、操作キーやタッチパネル等の入力手段14Aと、表示パネル14Bやスピーカー14Cなどの出力手段とを備え、入力手段(入力部)14Aを介して入力されるユーザー操作をCPU11に入力すると共に、ユーザー操作に応じてCPU11から出力される演算結果を出力手段14B,14Cを介して出力する。表示パネル14Bは、液晶ディスプレイ装置やEL(Electro Luminescence)ディスプレイ装置等を用いて構成されている。
【0014】
例えば、ユーザーにより任意の出発地から目的地までのナビゲーションを実行する操作が行われると、CPU11は、GPS受信部12、地図データ格納部13、及び、ユーザーインターフェース14を制御すると共に、後述する車両移動検出部20から入力されるセンサーデータに基づいて、自車の現在位置と、現在位置から目的地までのルートと、を算出し、周辺地図、及び/或いは、ルート誘導図を表示パネル14Bに表示すると共に、スピーカー14Cを介して音声によるルート誘導を開始する。
【0015】
ところで、ナビゲーション装置1では、GPS受信部12で得られた絶対座標のみに基づいて経路案内を行った場合、トンネル内やビルの谷間を走行しているとき、或いは、高速で走行しているときには、自車の現在位置が把握できなくなる等、認識性能に問題があった。ナビゲーション装置1は、装置本体10に接続される車両移動検出部20を備え、車両移動検出部20で一定時間間隔毎に検出される車両の移動(方位と移動量)に基づいて車両の移動の軌跡を積算し、地図データ格納部13に格納された地図データを用いてマップマッチングを実行することで自立航法可能に構成されている。つまり、ナビゲーション装置1は、車両移動検出部20で検出される車両の移動に基づいて車両の相対座標を算出し、GPS受信部12で得られた絶対座標と、相対座標とを相互に補完してより正確に自車の現在位置を算出して、的確にルート誘導を行うことができる。
【0016】
車両移動検出部20は、車速を検出する車速検出部21と、車両の進行方向を検出する方位検出部22と、を備える。ナビゲーション装置1は、車速検出部21と方位検出部22で検出されるセンサーデータに基づいて、所定時間間隔で車両の相対位置であるシェープポイントを算出する。ナビゲーション装置1は、シェープポイントの集合から車両の移動方向と、移動量とを積算し、車両の移動の軌跡を求めるデッドレコニングを行う。デッドレコニングによって求められた車両の移動の軌跡と、GPS受信部12で算出される車両の絶対座標と、に基づいてCPU11で車両の位置を地図上の位置に合わせ込むマップマッチング処理を行うことにより、地図上の現在位置を特定する。これにより、高い精度で自車の現在位置を算出し、車両の位置を周辺地図と共に表示したり、現在地から目的地への経路検索や目的地への経路案内を行ったりすることが可能になる。
【0017】
また、装置本体10には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成される情報処理部15が内蔵される。情報処理部15は、FIFO、或いは、バッファ等のメモリーより構成される記憶部16を内蔵する。また、情報処理部15は、車速検出部21、及び、方位検出部22から、CPU11へのデータの入力ライン上に接続されたスイッチ17を備える。スイッチ17は、車速検出部21、及び、方位検出部22からのセンサーデータを、情報処理部15が備える記憶部16に入力するか、或いは、記憶部16をバイパスして、CPU11へ入力するかを切替自在に構成されている。この構成によれば、車速検出部21、及び、方位検出部22からのセンサーデータを、記憶部16に入力する必要がない場合には、記憶部16をバイパスさせて、直接CPU11に入力することができる。
【0018】
車速検出部21は、ホイールセンサ、メカ式スピードセンサ、加速度センサ等の車速センサである構成でも良いし、或いは、車両のマイコンから車速信号を取得する構成でも良い。ナビゲーション装置1は、車速検出部21の検出値に基づいて、車両の移動量(移動距離)を算出する。
方位検出部22は、例えば振動ジャイロ等のジャイロセンサであり、車両の旋回角度、或いは、絶対方位を検出する。ナビゲーション装置1は、車速検出部21の検出値に基づいて、車両の移動方向を算出する。
情報処理部15、車速検出部21、及び、方位検出部22は、車両のキースイッチを介さず、直接車両電源30に接続される。つまり、情報処理部15、車速検出部21、及び、方位検出部22には、車両電源30のバックアップ電源31から電源が供給される。
【0019】
ナビゲーション装置1は、車両のキースイッチをオン(ACC)、つまり車両のエンジンをかけることで電源がオンになり、車両のキースイッチをオフ、つまり車両のエンジンを停止することで電源がオフになるように構成されている。車両のキースイッチがオンになり、ナビゲーション装置1の電源がオンになると、ナビゲーション装置1は、GPS受信部12、及び、車両移動検出部20の働きにより自車の現在位置を算出し、ユーザーインターフェース14の表示パネル14Bに自車の現在位置と周辺地図とを表示する。
ユーザーによって目的地が設定された場合には、ナビゲーション装置1は、自車の現在位置から目的地までのルートを算出し、周辺地図、及び/或いは、ルート誘導図を表示パネル14B表示すると共に、スピーカー14Cを介して音声によるルート誘導を開始する。
【0020】
ナビゲーション装置1は、ユーザーによって目的地が設定されていない場合等、ルート誘導を行っていないときには、メイン電源32からCPU11への電源の供給を停止してCPU11を休止状態にし、低消費電力化を図る低消費電力モードに自動的に移行するように構成されている。ナビゲーション装置1は、低消費電力モード時には、CPU11とともに、GPS受信部12が休止状態となり、さらに表示パネル14Bのバックライトも消灯されて、表示パネル14Bの表示が休止される。ナビゲーション装置1は、メイン電源32からCPU11への電源の供給を停止してCPU11を休止状態にしている間も、バックアップ電源31から電源が供給される情報処理部15、及び、車両移動検出部20への通電は継続する。この構成によれば、メイン電源32にCPU11を接続し、情報処理部15及び車両移動検出部20をバックアップ電源31に接続して、CPU11と、情報処理部15及び、車両移動検出部20と、を別電源系統で車両電源30に接続したため、ナビゲーション装置1は、メイン電源32からの電源供給を中止し、CPU11を休止状態としている間も、車両移動検出部20の検出値を情報処理部15に入力して、記憶部16に溜めておくことができる。
【0021】
低消費電力モードへの移行は、例えば、ナビゲーション装置1の電源がオンになってから所定時間たってもユーザーによって目的地が設定されない場合に自動的に行われる。
ところで、ナビゲーション装置1は、CPU11を休止状態から再起動し、低消費電力モードから、ルート誘導モードへ移行した後、GPS受信部12でGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、自車の現在位置を示す位置座標を算出するためには、数分以上の時間がかかってしまう。本願の構成では、CPU11が休止状態となる低消費電力モード時には、ナビゲーション装置1は、車両移動検出部20で検出される車速と、旋回角度、或いは、絶対方位と、を情報処理部15に入力して、これらのデータを記憶部16に記憶しておく。CPU11が再起動され、ルート誘導モードへ移行した際には、詳細については後述するが、ナビゲーション装置1は、情報処理部15の記憶部16に記憶された車両移動検出部20からのデータをCPU11に入力し、これらのデータに基づいて自立航法により自車現在位置を算出し、ルート誘導を開始する。
【0022】
次に、低消費電力モード時のナビゲーション装置1の動作について図2に示したフローチャートを用いて説明する。
ナビゲーション装置1は、CPU11が休止状態となる低消費電力モード時には(ステップS1:Yes)、車両移動検出部20の車速検出部21及び方位検出部22で検出されたセンサーデータ(検出値)を情報処理部15に内蔵された記憶部16に格納する(ステップS2)。なお、車両移動検出部20での検出は、一定時間間隔毎に行われ、CPU11は、休止状態になる直前に車両移動検出部20で検出されたセンサーデータ、及び/或いは、GPS受信部12で算出された位置座標に基づいて算出した車両の自車位置情報をRAMに記憶する。
ナビゲーション装置1は、所定時間間隔毎にCPUが再起動したか否かを判定し(ステップS3)、CPUが休止状態である間は(ステップS3:No)、車速検出部21及び方位検出部22で検出されたセンサーデータを情報処理部15に内蔵された記憶部16に格納する。これにより、記憶部16には、CPUが休止状態の間の車速検出部21及び方位検出部22の一定時間間隔毎のセンサーデータが溜められる。
【0023】
ナビゲーション装置1は、CPU11が再起動した際には(ステップS3:Yes)、情報処理部15のスイッチ17を、記憶部側17Aに切り替えて(ステップS4)、CPU11が休止状態の間に記憶部16に溜まった車速検出部21及び方位検出部22からのセンサーデータをCPU11に入力する(ステップS5)。CPU11が休止状態の間に記憶部16に溜まったデータをCPU11に入力した後に、ナビゲーション装置1は、情報処理部15のスイッチ17を、車両移動検出部20からのセンサーデータが記憶部16をバイパスして直接CPU11に入力されるように直接入力側17Bに切り替える(ステップS6)。また、情報処理部15は、記憶部16に溜まったセンサーデータをCPU11に入力した後に、記憶部16を初期化し、再びCPU11が休止状態となった際には、CPU11が休止状態となってからのセンサーデータが新たに記憶部16に記憶される。
【0024】
CPU11は、情報処理部15から入力された、CPU11が休止状態の間の車両移動検出部20からのセンサーデータに基づいて、デットレコニング行う。CPU11は、このデッドレコニングによって積算された車両の移動の軌跡と、地図データ格納部13に格納された地図データと、休止状態になる直前にRAMに記憶した位置情報と、を用いマップマッチングを行って自車の現在位置を算出する(ステップS7)。CPU11は、ステップS7で算出された自車の現在位置から、ユーザーによって設定された目的地までのルート誘導を開始する(ステップS8)。ルート誘導開始後は、CPU11は、GPS受信部12で算出される位置座標と、車両移動検出部20から直接入力されるセンサーデータとに基づいて刻々と自車の現在位置を更新しながらルート誘導を継続する。
【0025】
この構成によれば、CPU11が休止状態となる低消費電力モードからCPU11が再起動された後、GPS受信部12がGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて自車の現在位置を算出するまでの時間(数分間)を待たずに、記憶部16に記憶したCPU11が休止状態の間の車両移動検出部20からのセンサーデータに基づいて自車の現在位置を算出することができる。そのため、ナビゲーション装置1は、CPU11への電源の供給を停止する低消費電力モードからの再起動後、短い時間でルート誘導を開始することができる。
【0026】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の低消費電力モード時のナビゲーション装置1の動作について図3に示したフローチャートを用いて説明する。
第1の実施形態のナビゲーション装置1では、CPU11が休止状態の間、車両移動検出部20からのセンサーデータを記憶部16に溜めて、CPU11が再起動した際にこれらのデータをCPU11に入力して、CPU11でデッドレコニングを行う構成としたが、この第2実施形態は、デッドレコニングをASICで構成される情報処理部15で行う構成である。
以下、かかるナビゲーション装置1の動作について説明する。
【0027】
図3は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。
なお、本実施形態において、ナビゲーション装置1の構成は、図1で示した第1実施形態のナビゲーション装置1と同一であり、その説明を省略する。
ナビゲーション装置1は、CPU11が休止状態となる低消費電力モード時には(ステップS11:Yes)、車両移動検出部20の車速検出部21及び方位検出部22で検出されたセンサーデータを情報処理部15に入力する。なお、車両移動検出部20での検出は、一定時間間隔毎に行われ、CPU11は、休止状態になる直前に車両移動検出部20で検出されたセンサーデータ、及び/或いは、GPS受信部12で算出された位置座標に基づいて算出した車両の自車位置情報をRAMに記憶する。
【0028】
情報処理部15は、所定時間間隔で車両移動検出部20から入力される車速検出部21及び方位検出部22のセンサーデータに基づいて、シェープポイントを算出してデッドレコニングを行う(ステップS12)。情報処理部15は、デッドレコニングを行うことで、CPU11が休止状態となった地点からの車両の移動距離と移動方向とを積算して得られる車両の移動の軌跡を記憶部16に格納する(ステップS13)。
ナビゲーション装置1は、所定時間間隔毎にCPU11が再起動したか否かを判定し(ステップS14)、CPU11が休止状態である間は(ステップS14:No)、ステップS12、及び、ステップS13を繰り返し、CPU11が休止状態の間の車両の移動の軌跡を記憶部16に格納する。
【0029】
ナビゲーション装置1は、CPU11が再起動した際には(ステップS14:Yes)、情報処理部15のスイッチ17を、記憶部側17Aに切り替えて(ステップS15)、記憶部16に溜まった、CPU11が休止状態の間の車両の移動の軌跡をCPU11に入力する(ステップS16)。なお、情報処理部15は、記憶部16に溜まったデータをCPU11に入力した後に、記憶部16を初期化し、再びCPU11が休止状態となった際には、CPU11が休止状態となってからのデータが新たに記憶部16に記憶される。
続いて、ナビゲーション装置1は、情報処理部15のスイッチ17を、車両移動検出部20からのセンサーデータが記憶部16をバイパスして直接CPU11に入力されるように直接入力側17Bに切り替える(ステップS17)。
【0030】
CPU11は、情報処理部15から入力された、CPU11が休止状態の間の車両の移動の軌跡と、RAMに記憶したCPU11が休止状態になる直前の車両の位置と、地図データ格納部13に格納された地図データと、を用いてマップマッチングを行って、自車の現在位置を算出する(ステップS18)。CPU11は、ステップS18で算出された自車の現在位置から、ユーザーによって設定された目的地までのルート誘導を開始する(ステップS19)。ルート誘導開始後は、CPU11は、GPS受信部12で算出される位置座標と、車両移動検出部20から直接入力されるセンサーデータとに基づいて刻々と自車の現在位置を更新しながらルート誘導を継続する。
【0031】
この構成によれば、CPU11が休止状態の間の車両の移動の軌跡は、情報処理部15で刻々と積算され、CPU11が再起動した際には、この積算された車両の移動の軌跡がCPU11に入力されるため、CPU11は、再起動後、より短い時間で自車の現在位置を算出することが可能となる。そのため、ナビゲーション装置1は、CPU11への電源の供給を停止する低消費電力モードからの再起動後、より短い時間でルート誘導を開始することができる。
【0032】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の低消費電力モード時のナビゲーション装置1の動作について図4に示したフローチャートを用いて説明する。
第1の実施形態のナビゲーション装置1では、CPU11が休止状態の間、車両移動検出部20からのセンサーデータを記憶部16に溜めて、CPU11が再起動した際にこれらのデータをCPU11に入力して、CPU11でデッドレコニングを行う構成としたが、この第3実施形態は、CPU11が休止状態となってから所定時間、例えば1時間、が経過してもCPU11の休止状態が継続している場合には、CPU11を数分間、例えば5分間、だけ再起動させて記憶部16に溜めたデータに基づいて、マップマッチングを行いCPU11が記憶する自車位置の情報を更新する構成である。
以下、かかるナビゲーション装置1の動作について説明する。
【0033】
図4は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。
なお、本実施形態において、ナビゲーション装置1の構成は、図1で示した第1実施形態のナビゲーション装置1と同一であり、その説明を省略する。
【0034】
ナビゲーション装置1は、CPU11が休止状態となる低消費電力モード時には(ステップS21:Yes)、車両移動検出部20の車速検出部21及び方位検出部22で検出されたセンサーデータを情報処理部15に内蔵された記憶部16に格納する(ステップS22)。なお、車両移動検出部20での検出は、一定時間間隔毎に行われ、CPU11は、休止状態になる直前に車両移動検出部20で検出されたセンサーデータ、及び/或いは、GPS受信部12で算出された位置座標に基づいて算出した車両の自車位置情報をRAMに記憶する。
【0035】
ナビゲーション装置1は、所定時間間隔毎にCPU11が再起動したか否かを判定し(ステップS23)、CPU11が休止状態である場合には(ステップS23:Yes)、次に、CPU11が休止状態になってから所定時間、例えば1時間、が経過したか否かを判定する(ステップS24)。CPU11が休止状態になってから所定時間が経過していない場合には(ステップS24:No)、ナビゲーション装置1は、ステップS22に戻り、車速検出部21及び方位検出部22で検出されたセンサーデータを情報処理部15に内蔵された記憶部16に格納する。これにより、記憶部16には、CPU11が休止状態のままで、所定時間経過するまでの間の車速検出部21及び方位検出部22からの一定時間間隔毎のセンサーデータが溜められる。
【0036】
CPU11が休止状態になってから所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS24:Yes)、ナビゲーション装置1は、メイン電源32からの電源供給を復帰させ(ステップS25)、CPU11を再起動する。ナビゲーション装置1は、続いて、情報処理部15のスイッチ17を記憶部側17Aに切り替えて(ステップS26)、CPU11が休止状態の所定時間の間に記憶部16に溜まった、一定時間間隔毎の車速検出部21及び方位検出部22のセンサーデータをCPU11に入力する(ステップS27)。情報処理部15は、記憶部16に溜まったセンサーデータをCPU11に入力した後に、記憶部16を初期化し、再びCPU11が休止状態となった際には、CPU11が休止状態となってからのセンサーデータが新たに記憶部16に記憶される。
【0037】
CPU11は、記憶部16から入力されたセンサーデータに基づいてデッドレコニングを行い、CPU11が休止状態の所定時間の間の車両の移動の軌跡を算出する。また、CPU11は、GPS受信部12を制御し、GPS受信部12で算出された現在の車両の位置座標をCPU11に入力させる(ステップS28)。
CPU11は、記憶部16から入力されたセンサーデータに基づいてデッドレコニングを行って算出したCPU11が休止状態の所定時間の間の車両の移動の軌跡と、GPS受信部12から入力された現在の車両の位置座標と、地図データ格納部13に格納された地図データと、を用いてマップマッチングを行って、自車の現在位置を算出する。
CPU11は、RAMに記憶された車両の位置情報を、算出した自車位置に基づいて更新し、ナビゲーション装置1は、CPU11へのメイン電源32からの電源供給を再び停止して、CPU11を休止状態にする(ステップS30)。
【0038】
ステップS23において、ナビゲーション装置1が、CPU11が再起動したと判定した場合には、ナビゲーション装置1は、情報処理部15のスイッチ17を記憶部側17Aに切り替えて(ステップS31)、CPU11が休止状態の間に記憶部16に溜まった車速検出部21及び方位検出部22のセンサーデータをCPU11に入力する(ステップS32)。ナビゲーション装置1は、情報処理部15のスイッチ17を、車両移動検出部20からのセンサーデータが記憶部16をバイパスして直接CPU11に入力されるように直接入力側17Bに切り替える(ステップS33)。
【0039】
CPU11は、情報処理部15から入力された、CPU11が休止状態の間の車両移動検出部20からのセンサーデータに基づいて、デットレコニング行う。CPU11は、このデッドレコニングによって積算された車両の移動の軌跡と、地図データ格納部13に格納された地図データと、休止状態になる直前にRAMに記憶した位置情報と、を用いマップマッチングを行って自車の現在位置を算出する(ステップS34)。CPU11は、ステップS34で算出された自車の現在位置から、ユーザーによって設定された目的地までのルート誘導を開始する(ステップS35)。ルート誘導開始後は、CPU11は、GPS受信部12で算出される位置座標と、車両移動検出部20から直接入力されるセンサーデータとに基づいて刻々と自車の現在位置を更新しながらルート誘導を継続する。
【0040】
この構成によれば、CPU11が休止状態になっている間でも所定時間毎にCPU11を再起動し、休止状態中に記憶部16に記憶されたセンサーデータに基づいてデッドレコニングを行って積算した車両の移動の軌跡を、地図データ格納部13に記憶した地図データにマップマッチングをしてズレを修正することができるため、センサーデータに基づいてデッドレコニングを行って積算した車両の移動の軌跡が、実際の道路より大幅にずれることがない。これにより、長時間にわたってCPU11が休止状態になる場合であっても、ルート誘導を再開した際には、より正確に車両の現在位置を短時間で算出することができるようになる。
【0041】
本実施形態では、CPU11が休止状態の間の車両移動検出部20からのセンサーデータを記憶部16に溜めて、CPU11が再起動した際にこれらのデータをCPU11に入力して、CPU11でデッドレコニングを行う構成としたが、これに限らず、CPU11が休止状態の間は、車両移動検出部20からのセンサーデータに基づいて、情報処理部15デッドレコニングを行い、CPU11が休止状態の間の車両の移動の軌跡を記憶部16に記憶する構成であっても良い。
【0042】
以上、説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、ナビゲーション装置1は、メイン電源32からの電源供給が中止されている間、つまり、CPU11が休止状態の間は、車両移動検出部20からのセンサーデータを、バックアップ電源31から電源の供給を受ける情報処理部15の記憶部16に記憶するため、CPU11が再起動された際に、GPS受信部12でGPS衛星からGPS信号を受信し、自車の位置座標を算出するのに数分以上を待つことなく、記憶部16に記憶したセンサーデータに基づいて自車の現在位置を算出することができ、CPU11への電源の供給を停止する低消費電力モードからの再起動後、より短い時間でルート誘導を開始することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ナビゲーション装置
10 装置本体
11 CPU
12 GPS受信部
13 地図データ格納部
15 情報処理部
16 記憶部
17 スイッチ
20 車両移動検出部
30 車両電源
31 バックアップ電源
32 メイン電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両電源のメイン電源にCPUを接続するとともに、車両電源のバックアップ電源に情報処理部及び車両移動検出部を接続し、
前記メイン電源からの電源供給が中止されている前記CPUの休止状態中は、前記車両移動検出部からのデータを前記情報処理部の記憶部に記憶し、
前記メイン電源からの電源供給が再開された際に、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて前記車両の現在位置を算出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記CPUは、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて、前記CPUが休止状態中の前記車両の移動の軌跡を積算し、当該軌跡を地図データにマッチングすることで前記車両の自車位置を算出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、前記CPUの休止状態中に前記車両移動検出部から入力されるデータに基づいて前記車両の移動の軌跡を積算して前記記憶部に記憶し、
前記CPUは、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に、前記記憶部に記憶された前記車両の移動の軌跡を取得して、当該軌跡を地図データにマッチングすることで前記車両の自車位置を算出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、切替自在なスイッチを内蔵し、前記メイン電源からの電源供給が再開された際に前記スイッチを切り替えて、前記記憶部に記憶したデータを前記CPUに入力することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−15470(P2013−15470A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149686(P2011−149686)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】