説明

ネガ型レジスト組成物、レジストパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法

【課題】塩基性水溶液で現像して、実用可能な感度を有していて膨潤のない微細パターンを形成できるレジスト組成物を提供すること。
【解決手段】式(I)〜式(XIII)で表されるオキセタン構造保有のアルカリ可溶性樹脂と、溶剤と、結像用放射線を吸収して分解するとアルカリ可溶性樹脂中のオキセタン構造が反応を起こしめる酸を発生可能な光酸発生剤とを含んでなり、自体塩基性水溶液に可溶であり、露光後は露光部がアルカリ不溶となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微細加工技術に関し、さらに詳しく述べると、膨潤を伴うことなく塩基性水溶液によって現像可能なネガ型レジスト組成物と、それを使用して微細なレジストパターンを形成する方法及び半導体装置を製造する方法に関する。本発明に従うと、短波長での光の吸収がより少なく、感度が良好でかつ高いドライエッチング耐性を合わせ持つレジスト材料が提供されるので、VLSI、ULSI等の半導体集積回路や、その他の微細加工が求められているデバイス、例えば磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)などを有利に製造することができる。
【背景技術】
【0002】
米国IBM社のH.Itoらによって提示された化学増幅型レジストの出現によって、フッ化クリプトンエキシマレーザ(波長248nm、以下KrFと略す)を用いたフォトリソグラフィが量産の主役になりつつある。例えば、非特許文献1〜4及び特許文献1を参照されたい。
【0003】
さらに近年、ギガビットクラスのDRAM等の一層集積度の高いデバイスのっ作製に対して、より波長の短いArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザ(波長193nm)を用いたリソグラフィの研究も盛んになってきている。また、このような短波長では、従来のフェノール系樹脂では光の吸収が強いので、基材樹脂そのものから変更することが必須である。そこで、このような短波長で適用可能なレジストの開発が急務となってきている。
【0004】
ArFの波長において適用可能な化学増幅型レジストとしては、従来よりポジ型の開発が盛んに行われていたが(例えば、非特許文献5〜9及び特許文献2を参照されたい)、単層ネガ型化学増幅型レジストの報告は少なく、また多くが架橋型レジストであった。例えば非特許文献10〜12及び特許文献3及び4などに記載されるように、架橋型レジストは、露光部の架橋反応を利用して分子量を増大させることによって、現像液への未露光部との溶解度差を生じさせパターニングを行うものである。このため、パターンの膨潤による微細加工の限界が避けられない。
【0005】
最近では、ヒドロキシカルボン酸構造を利用した分子内ラクトン化による極性変化(例えば、非特許文献13を参照されたい)や、ピナコール転移(例えば、非特許文献14を参照されたい)を用いる単層ネガ型化学増幅型レジストも報告されている。しかしながら、分子内ラクトン化を用いる場合では、極性変化の割合が比較的小さく、高コントラストが得られにくいという問題があり、また、ピナコール転移の場合では、フッ素を含有することから基板密着性の問題や無水マレイン酸を含むことによる保存安定性の問題などがあり、未だ万全ではない。また、本発明者らも以前分子間保護反応による極性変化を用いる単層ネガ型化学増幅型レジストを開発しているが(特許文献5及び6)、分子間反応であることから十分な反応性が得られにくいという問題点があった。
【0006】
ネガ型レジストは、ポジ型ではマスクの作成が困難な場合や、トランジスタのゲートに代表される露光面積の少ない場合には、未露光部が溶解するため有利に使用できると同時に、露光波長以下の解像性を得る手法として有望な超解像技術の一つである位相シフトマスクやレベンソン型マスクと呼ばれる光学像を強調するマスクを用いる場合にも有用であり、ArF露光でもネガレジストに対する要望は強い。これらのマスクは、ArFを光源とする場合は130nm以下の解像性が必要な場合に適用されると目されており、このような微細なパターンを膨潤無く解像できるレジストの開発が急務となっている。
【0007】
さらに、近年、半導体装置の高集積化に伴い、配線の微細化及び多層化も進行している。これに呼応する形で、リソグラフィ工程で使用されるレジスト材料への要求も厳しくなっており、解像性の他に、エッチング後の寸法精度が非常に重要な特性として、注目されてきている。今後、露光光源が短波長化にシフトすれば、レジスト自体の透過率の維持は難しくなるため、レジスト膜厚の薄膜化傾向が進み、その結果として、エッチングの問題はより重要性を増すことは明らかである。また、配線の微細化に伴うフォトマスクの高集積化、更には近年、急速に高密度化が進行している磁気抵抗効果ヘッドの製造でも、半導体製造と同様なリソグラフィ技術が利用されており、レジスト材料への要求は共通した課題を有する。
【0008】
ところで、上記したような問題に有効な技術として、サーフェスイメージングが提案されており、その中でも、ケイ素含有樹脂を含むレジスト組成物を用いた二層レジスト法が検討されている。二層レジスト法は、有機樹脂を0.5μm程度の膜厚に塗布して下層レジスト膜を形成した後、その上に、0.1μm程度の膜厚の上層レジスト膜を形成し、次いで、先ず上層レジスト膜の露光、現像により上層をパターニングし、得られた上層パターンをマスクとして下層をエッチングし、高アスペクト比のレジストパターンを形成するものである。この二層レジスト法に利用されるレジスト材料に求められる性能とし、酸素反応性イオンエッチング(O2 −RIE)耐性の他、解像度、保存安定性、及び近年では単層レジスト法で一般的に使用されている塩基性水溶液を使用可能であること、換言すると、アルカリ現像が使用可能であることが強く要求されている。しかし、現在商業的に入手可能なレジスト材料では、これらの要求のすべてを同時に満たすことが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,491,628号明細書
【特許文献2】特開平9−90637号公報
【特許文献3】特開2000−122288号公報
【特許文献4】特開2000−147769号公報
【特許文献5】特開平11−311860号公報
【特許文献6】特開平11−305436号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J.M.J. Frechet et al., Proc. Microcircuit Eng., 260 (1982)
【非特許文献2】H. Ito et al., Digest of Technical Papers of 1982 Symposium on VLSI Technology, 86 (1983)
【非特許文献3】H. Ito et al.,“Polymers in Electronics", ACS Symposium Series 242
【非特許文献4】T. Davidson, ed., ACS, 11 (1984)
【非特許文献5】K. Nozaki et al, Chem. Mater., 6, 1492 (1994)
【非特許文献6】K. Nakano et al., Proc. SPIE, 2195, 194 (1994)
【非特許文献7】R.D. Allen et al., Proc. SPIE, 2438, 474 (1994)
【非特許文献8】K. Nozaki et al., Jpn. J. Appl. Phys., 35, L528 (1996)
【非特許文献9】K. Nozaki et al., J.Photopolym. Sci. Technol., 10 (4), 545-550 (1997)
【非特許文献10】A. Katsuyama et al., Abstracted Papers of Third International Symposium on 193 nm Lithography, 51 (1997)
【非特許文献11】前田他、第58回応用物理学会講演予稿集No. 2, 647 (3a-SC-17) (1997)
【非特許文献12】T. Naito et al., Proc. SPIE, 3333, 503 (1998)
【非特許文献13】Y. Yokoyama et al., J. Photopolym. Sci. Technol., 13 (4), 579 (2000)
【非特許文献14】S. Cho et al., Proc. SPIE, 3999, 62 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、現像液として塩基性水溶液を使用することができ、実用可能な感度を有していて膨潤のない微細パターンを形成することが出来る新規なネガ型レジスト組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、また、KrFあるいはArFエキシマレーザ等に代表される深紫外領域の露光光源にも対応可能で、ドライエッチング耐性にも優れた新規なレジスト組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、露光部と未露光部の極性の差を大きくして、高感度、高コントラスト及び高解像度を兼ね備える微細なパターンが形成可能な新規なレジスト組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のさらにもう一つの目的は、O2 −RIE耐性が高く、塩基性水溶液での現像により微細なレジストパターンが得られ、かつ露光感度が高いので、特に多層レジスト法で上層レジスト膜の形成に有用な新規なレジスト組成物を提供することにある。
【0015】
また、本発明のもう一つの目的は、このようなレジスト組成物を使用してレジストパターンを形成する方法を提供することにある。
【0016】
さらに、本発明のもう一つの目的は、このようなレジスト組成物をパターン形成材料として使用して半導体装置を製造する方法を提供することにある。
【0017】
本発明の上記した目的や、その他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究の結果、化学増幅レジスト組成物において、基材樹脂として、アルカリ可溶性基を有し、塩基性水溶液に可溶な皮膜形成性の重合体を使用するとともに、そのアルカリ可溶性の重合体に対して、もしくはそのアルカリ可溶性の重合体と組み合わせて使用される化合物に対して、オキセタン構造を導入することが有効であるという知見を得、本発明を完成するに至った。
【0019】
本発明は、その1つの面において、アルカリ可溶性樹脂を基材樹脂として含むネガ型レジスト組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂の構造中もしくは前記アルカリ可溶性樹脂に併用される化合物の構造中に、次式(1)で表されるオキセタン構造:
【0020】
【化1】

【0021】
が含まれることを特徴とするネガ型レジスト組成物にある。
【0022】
本発明のレジスト組成物は、好ましくは化学増幅型レジストの形で提供される。すなわち、本発明のレジスト組成物は、パターニング目的で使用される結像用放射線を吸収して分解するとオキセタン構造が反応を起こし得る酸を発生可能な光酸発生剤(PAG)をさらに含み、よって、レジスト組成物自体は塩基性水溶液に可溶であるが、結像用放射線による露光後は、露光部がアルカリ不溶となり、塩基性水溶液で現像可能である。ここで、光酸発生剤の含有量は、それが露光光源に曝されたあと発生する酸の強さに依存するが、通常、0.1〜50重量%(ポリマ重量に対する百分率)の範囲であるのが好ましく、より好ましくは1〜15重量%の範囲である。
【0023】
基材樹脂として使用するアルカリ可溶性重合体は、所望とするレベルのアルカリ可溶性を得るため、好ましくは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、N−ヒドロキシアミド基、オキシム基、イミド基、次式(2)の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロカルビノール基:
【0024】
【化2】

【0025】
及びスルホン酸基からなる群から選ばれた少なくとも1種類の置換基を含む重合体である。
【0026】
また、アルカリ可溶性重合体は、好ましくは、それを構成するモノマ単位の少なくとも一つが、(メタ)アクリレート系モノマ単位、すなわちアクリレート系及びメタアクリレート系モノマ単位、ビニルフェノール系モノマ単位、N−置換マレイミド系モノマ単位、スチレン系モノマ単位、またはノルボルネンに代表される複数の環式構造からなる多環性脂環式炭化水素部分を有するモノマ単位であるものである。その多環性脂環式炭化水素部分にアダマンチル基、ノルボルニル基等に代表される構造を有しているモノマ単位であるものがさらに好ましい。
【0027】
前記したアルカリ可溶性重合体が共重合体の形態をとる場合、アルカリ可溶性基を有するモノマ単位の重合相手モノマ単位は、重合体が現像液に対し適切なアルカリ可溶性を保持できる限りどのような構造を有していてもよい。さらに、前記したアルカリ可溶性重合体が3元共重合体の形態であっても、前記と同様に重合体がアルカリ可溶性を保持している限り自由であり、そのような組み合わせも好ましい。また、この場合、アルカリ可溶性基を有する第一のモノマ単位に加えて、弱いアルカリ可溶性基を有する第2のモノマ単位を含んでいてもよく、かつそのような組み合わせも好ましい。
【0028】
本発明で使用されるアルカリ可溶性重合体において、アルカリ可溶性基を有するモノマユニットの占める割合は、樹脂自体が適切なアルカリ可溶性を示す限りにおいては問われないが、ネガレジストとして実現可能と考えられる適切なアルカリ溶解速度(2.38%TMAH現像液での溶解速度が100Å/s〜10000Å/s程度)を得ることを考慮すると、例えば2成分以上のモノマからなる重合体の場合、アルカリ可溶性基を有するモノマユニットの含有率は5〜95モル%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜70モル%の範囲である。このモノマユニットの含有率が5モル%を下回ると、カルボン酸より酸性度の弱いアルカリ可溶性基の場合は、アルカリ溶解性が不十分なため満足のいくパターニングが不可能になる。また逆に95モル%を上回ると、カルボン酸よりも酸性度の強いアルカリ可溶性基の場合は、アルカリ可溶性が強すぎるため塩基性水溶液への溶解速度が速すぎてしまい、パターニングは困難になる。従って、使用するアルカリ可溶性基の酸性度によって適切に、かかるモノマユニットの含有率を制御することが望ましい。
【0029】
本発明のレジスト組成物では、1つの面において、アルカリ可溶性重合体自体がその構造中にオキセタン構造を有することが好ましい。そのような場合に、オキセタン構造を有するモノマユニットの占める割合は、樹脂自体が適切なアルカリ可溶性を示し、十分なパターニングが行える限りにおいては問われないが、露光後PEB(ポストエクスポージャー・ベーキング)を行った後の2.38%TMAH現像液での露光部における溶解速度が0〜40Å/s程度に収まるように反応しうる含有率に制御することが望ましい。例えば2成分以上のモノマからなる重合体の場合、オキセタン構造を有するモノマユニットの含有率は5〜95モル%であるのが好ましく、より好ましくは30〜70モル%の範囲である。
【0030】
また、本発明の別の面によれば、オキセタン構造を構造中に有する化合物をレジスト組成物のアルカリ可溶性重合体に併用することも好ましい。このような場合には、重合体のアルカリ溶解速度に大きく依存するが、前記した適切なアルカリ溶解速度を有する重合体に対しては、1〜80重量%(ポリマ重量に対する百分率)の含有量が推奨される。より好ましくは、10〜40重量%の含有量が推奨される。
【0031】
本発明のレジスト組成物において、基材樹脂として使用されるアルカリ可溶性樹脂は、本発明を別の面から見ると、好ましくは、ケイ素含有樹脂である。また、かかるケイ素含有樹脂は、好ましくは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、前式(2)のヘキサフルオロカルビノールなどの置換基を、少なくとも1個含有する。
【0032】
ケイ素含有樹脂は、好ましくは、その構造中にオキセタン構造を含有する。基材樹脂として好適なオキセタン構造含有のケイ素含有樹脂は、好ましくは、次式(3)又は(4)で表されるケイ素含有重合体である:
【0033】
【化3】

【0034】
【化4】

【0035】
(上式において、p、q及びrは、それぞれ、正の整数である)。
【0036】
さらに別の面において、基材樹脂として使用されるアルカリ可溶性樹脂は、オキセタン構造を有する化合物を併用してもよい。オキセタン構造含有化合物は、好ましくは、次式(5)で表わされるケイ素含有樹脂である:
【0037】
【化5】

【0038】
(上式において、nは、正の整数である)。
【0039】
本発明のレジスト組成物で基材樹脂として使用される上述のようなアルカリ可溶性重合体は、レジスト組成物の組成や所望とする効果などに応じて広い範囲で変更し得るというものの、通常、2000〜100万の重量平均分子量を有することが好ましく、より好ましくは3000〜50000の範囲である。
【0040】
本発明のレジスト組成物は、好ましくは乳酸エチル、メチルアミルケトン、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、またはそれらの混合物からなる群から選ばれた溶媒に溶解した溶液の形で提供される。またこのレジスト溶液は、必要に応じて、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、およびその混合物からなる群から選ばれた溶媒を補助溶媒としてさらに含んでいてもよい。レジスト溶液に加える補助溶媒は、溶質の溶解性によっては必要ないが、溶解度の低い溶質を用いた場合、通常、主溶媒に対して1〜30重量%の範囲で加えられるが、より好ましくは10〜20重量%の範囲である。
【0041】
また、本発明のレジスト組成物は、露光光源の波長(157〜300nm)における吸光度が、1.75以下であることが十分なパターニング特性を得る上で望ましい。
【0042】
本発明は、そのもう1つの面において、本発明のレジスト組成物を使用してネガ型のレジストパターンを形成する方法にある。本発明のレジスト組成物は、このレジストパターンの形成方法において、単層レジスト法で使用してもよく、多層レジスト法、例えば二層レジスト法や三層レジスト法で使用してもよい。
【0043】
本発明のレジストパターンの形成方法は、下記の工程:
被加工基板上に、本発明のレジスト組成物を被覆してレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜を結像用放射線に選択的に露光し、
露光後のレジスト膜を塩基性水溶液で現像してネガ型のレジストパターンを形成すること
を含んでなることを特徴とする。
【0044】
また、多層レジスト法を実施する場合には、本発明のレジストパターンの形成方法は、下記の工程:
被加工基板上に、第1のレジスト組成物を被覆して下層レジスト膜を形成し、
前記下層レジスト膜の上に、本発明のレジスト組成物を被覆して上層レジスト膜を形成し、
前記上層レジスト膜を結像用放射線に選択的に露光し、
露光後の上層レジスト膜を塩基性水溶液で現像してレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして下地の下層レジスト膜をエッチングし、前記下層レジスト膜とその上の前記上層レジスト膜とからなるネガ型のレジストパターンを形成すること
を含んでなることを特徴とする。
【0045】
本発明のレジストパターンの形成方法において、被処理基板上に形成されたレジスト膜は、それを選択的露光工程に供する前とその後、加熱処理に供することが好ましい。すなわち、本発明方法では、レジスト膜をその露光前にプリベーク処理に供するとともに、露光の後であって現像を行う前、先にPEBとして説明したところのポストベーク処理に供することが好ましい。これらの加熱処理は、常法に従って実施することができる。
【0046】
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、結像用放射線としては、レジスト組成物中に含まれる光酸発生剤の分解を誘起しうる放射線を使用する。
さらに、現像液として使用される塩基性水溶液は、好ましくは、水酸化カリウム等に代表される周期律表のI族及びII族に属する金属水酸化物の水溶液や、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液であり、より好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液である。これらの塩基性水溶液には、現像効果の向上のため、界面活性剤のような添加物を加えてもよい。
【0047】
本発明は、そのもう1つの面において、上述のようなレジストパターン形成方法を実施する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法にある。
【発明の効果】
【0048】
本発明によるレジスト組成物を使用すると、実用可能な感度で膨潤のない微細なネガティブレジストパターンを形成できる。
【0049】
また、このレジスト組成物のアルカリ可溶性重合体を3元共重合体の形とし、その第1のモノマ単位に強いアルカリ可溶性基と、第2のモノマ単位に弱いアルカリ可溶性基を含ませた場合、アルカリ可溶性の制御が容易であり、これにオキセタン構造を含むことにより、分子間あるいは分子内の反応が採用できるため、従来の架橋型に併せて極性変化によってパターンが形成出来、高いコントラストと解像性を容易に得ることができる。
【0050】
さらに、本発明のレジスト組成物は、単層レジスト法だけでなく二層レジスト法やその他の多層レジスト法でも使用可能であり、半導体装置に課されている、配線の微細加工技術における短波長域での高感度、エッチング耐性の要求をも満たすことができる。
【0051】
さらにまた、本発明のレジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法では、半導体装置の高集積化を実現することができるばかりでなく、近年高密度化が進行しているMRヘッドなどの製造も容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるレジスト組成物を用いた二層レジスト法における、O2 −RIE耐性の結果を示すグラフである。
【図2】本発明によるレジスト組成物を利用した配線パターン形成方法を順を追って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明のネガ型レジスト組成物は、基材樹脂として使用されるアルカリ可溶性樹脂の構造中か、さもなければ、アルカリ可溶性樹脂に併用される化合物の構造中に、前式(1)で表されるオキセタン構造が含まれることを特徴とする。ここで、オキセタン構造を有する化合物は、単独で光硬化型のコーティング材として使用し得ることが知られているが(特開平6−16804号公報を参照)、本発明は、このオキセタン構造を、アルカリ可溶性でかつドライエッチング耐性に優れる樹脂に側鎖として導入するか、あるいはオキセタン構造含有化合物として添加して用いることを特徴としている。今まで発見することができなかったが、オキセタン構造をこのような形で使用することを通じて、特に微細加工に好適なレジスト材料を提供することが可能となった。
【0054】
本発明のレジスト組成物におけるオキセタンの挙動について説明すると、オキセタンは、ある条件下で開環し、水酸基やカルボン酸などのアルカリ可溶性基と反応する。反応後はアルカリ可溶性基が消失するため、レジスト膜の露光部はアルカリ不溶となり、従って塩基性水溶液で現像後ネガティブパターンが形成できる。また、オキセタンはある条件下で開環重合し、樹脂の架橋反応による分子量増大による溶解性の低下も起こる。さらに、その反応によってプロトン酸を再生する増幅型のため高感度を達成できる。なお、本発明では主に重合体において生じる極性変化を用いてパターン形成を行っているため、膨潤のないパターンが得られる。
【0055】
また、本発明のレジスト組成物において基材樹脂として用いられるアルカリ可溶性重合体には、それが特に3元共重合体の形態をとる場合において、その第一のモノマ単位にカルボン酸に代表される強いアルカリ可溶性基を有し、その第2のモノマ単位に例えばラクトン環構造、酸無水物、イミド環構造などを有する弱いアルカリ可溶性基を用いることができる。このような場合には、強いアルカリ可溶性基と弱いアルカリ可溶性基の含有量をコントロールすることによって、基材樹脂のアルカリ溶解速度を好ましい値に調整することが容易になる。また、第3のモノマユニットにはエッチング耐性を有する官能基を有するものを用いることも可能であり、それはレジストとして非常に好ましい。
【0056】
本発明のレジスト組成物において基材樹脂として用いられるアルカリ可溶性重合体の構造は、上記したような条件、特に適切なアルカリ溶解速度を有すると言う条件を満たす限りにおいて、特に限定されるものではないけれども、ノボラックレジスト並みのドライエッチング耐性を得ることを考慮に入れた場合、多環性脂環式炭化水素系化合物をエステル基に有するアクリレート系モノマー単位やメタアクリレート系モノマー単位との重合体、ビニルフェノール系重合体、N−置換マレイミド系重合体、スチレン系重合体、ノルボルネン系重合体などを使用することが推奨される。特に、アクリレート系、メタクリレート系重合体、ノルボルネン系重合体は、露光光源として深紫外線、特に250nm以下の波長を持つ光源を使用する場合に、その波長の光の吸収が小さい点において重要である。換言すると、深紫外線を露光光源とする場合には、一般的に深紫外領域の光を大きく吸収する芳香族環や、共役二重結合等のモル吸光係数の大きい発色団を含まないような構造を有する重合体を使用することが望ましい。
【0057】
ArFエキシマレーザのような短波長領域の露光波長を光源として用いる場合には、ドライエッチング耐性とともにその露光波長(193nm)における透明性が必要となるため、上記したようにドライエッチング耐性の高いアダマンチル基、ノルボルニル基等に代表されるような多環性脂環式炭化水素構造を含有するエステル基を有する重合体、とりわけアクリレート系、メタクリレート系重合体、あるいはノルボルネン系重合体の使用が推奨される。
【0058】
さらに、F2 レーザ(波長157nm)のような真空紫外光を光源として用いる倍には、透明性を確保することがさらに厳しいため、フッ素化ノルボルネン系重合体やビニルフルオリド系重合体などに代表される含フッ素系樹脂と組み合わせたり、オキセタン構造を含フッ素単位の側鎖として用いることが推奨される。
【0059】
上記したような重合体、及びその他のアルカリ可溶性重合体の分子量(重量平均分子量、Mw)は、広い範囲で変更可能であるが、好ましくは2,000〜100万の範囲であり、より好ましくは3,000〜50,000である。
【0060】
本発明の実施において有利に使用することができるアルカリ可溶性重合体は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、次のような重合体を包含する。なお、式中のl,m,nは、それぞれ、上記した重量平均分子量を得るのに必要なモノマ単位(繰り返し単位)の数であり、R1 〜R3 は、それぞれ、特に断りのない限り、任意の置換基、例えば、水素原子、ハロゲン原子(塩素、臭素等)、低級アルキル基(メチル基、エチル基等)、シアノ基、フッ素化低級アルキル基、その他であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0061】
(1)アクリレート又はメタクリレート系重合体
【0062】
【化6】

【0063】
この構造式において、R4 は、例えばラクトン環に代表されるような弱いアルカリ可溶性基を示すが、これを含むモノマユニットは、アルカリ溶解速度がネガレジストの基材樹脂として適切な値を示す限り、必須のユニットではない。R5 は、オキセタン構造を有するユニットを示す。
【0064】
この他、次式に示すようにアルカリ可溶性基であるカルボン酸を有するエステル基に含有する構造のものでももちろんよい。
【0065】
【化7】

【0066】
この構造式において、R4 は、前式と同じ定義である。R6 ,R7 はともにHまたはオキセタン構造を有するユニットを示すが、同時に同じ構造(H同士やオキセタン同士)を取ることはできない。Rx は、任意の構造を取ることができるが、多環性脂環族の構造を取ることが好ましい。
【0067】
(2)以下に示すようなスチレン系ユニットをアルカリ可溶性基として含む重合体
【0068】
【化8】

【0069】
【化9】

【0070】
【化10】

【0071】
【化11】

【0072】
【化12】

【0073】
【化13】

【0074】
これらの構造式において、Ry は、任意の置換基を示す。Rx は、前記と同様に選択することが好ましい。
【0075】
(3)以下に示すようなフマル酸系ユニットを含む重合体
【0076】
【化14】

【0077】
(4)以下に示すようなビニル安息香酸系ユニットを含む重合体
【0078】
【化15】

【0079】
【化16】

【0080】
【化17】

【0081】
(5)以下に示すようなノルボル系ユニットやその誘導体を含む重合体
【0082】
【化18】

【0083】
【化19】

【0084】
【化20】

【0085】
【化21】

【0086】
【化22】

【0087】
これらの構造式において、p及びqは、それぞれ、0または1〜4の整数であり、同じでも異なっていてもよい。
【0088】
(6)以下に示すようなイタコン酸系ユニットを含む重合体
【0089】
【化23】

【0090】
(7)以下に示すようなマレイン酸系ユニットを含む重合体
【0091】
【化24】

【0092】
(8)以下に示すようなビニルフェノール系ユニットを含む重合体
【0093】
【化25】

【0094】
【化26】

【0095】
【化27】

【0096】
(9)以下に示すようなテトラシクロドデカニル系ユニットを含む重合体
【0097】
【化28】

【0098】
【化29】

【0099】
【化30】

【0100】
【化31】

【0101】
【化32】

【0102】
なお、これらの重合体は、先にも説明したように、その他の適当なモノマー単位と組み合わせて任意の共重合体(3成分以上のものも含む)を構成していてもよい。
【0103】
本発明の実施において有利に使用することのできるアルカリ可溶性重合体は、さらに詳しく説明すると、例えば、以下に示すものである。
【0104】
【化33】

【0105】
【化34】

【0106】
【化35】

【0107】
【化36】

【0108】
【化37】

【0109】
【化38】

【0110】
上式において、RRは、例えば、以下に示すような置換基を表す。
【0111】
【化39】

【0112】
以上に列挙した具体例は、あくまでも一例であって、これらの構造に限定されるものではない。また、上式において、Ry ,R5 は前記した通りである。
【0113】
上記の構造式において、R5 として有利に使用できる官能基には、例えば、以下に挙げる構造のものが含まれる。
【0114】
【化40】

【0115】
上式で示されるオキセタン類において、gは、0または1〜4の整数であり、また、Xは、水素原子(H)か炭素数8までのアルキル基であり、直鎖、分岐鎖、環状等構造は問わない。
【0116】
【化41】

【0117】
上式で示されるオキセタン類において、Rx ,Xの定義は前記したとおりである。
【0118】
上述のようなアルカリ可溶性重合体は、高分子化学において一般的に用いられている重合法を使用して調製することができる。例えば、所定のモノマー成分を、フリーラジカル開始剤としてのAIBN(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル)等の存在下、加熱することによって有利に調製することができる。また、メタクリレート系重合体以外のアルカリ可溶性重合体も、同様に常法に従って有利に調製することができる。
【0119】
また、深紫外領域で高い透明性を有する樹脂、あるいは添加するオキセタン化合物の構造において、150〜250nmの波長範囲でモル吸光係数の大きな発色団を含まない構造を適宜選択すれば、適量のPAGと組み合わせて、深紫外線を用いた露光にも有利に対応できる高感度なレジストとなるであろう。
【0120】
すでに説明したように、オキセタンは、ある条件下で開環し、水酸基やカルボキシル基などのアルカリ可溶性基と反応する。つまり、アルカリ可溶性樹脂との共存下では、樹脂の架橋剤として働き、アルカリ可溶性樹脂の分子量増大による樹脂の不溶化を引き起こす。このことから、本発明者らは、これらの成分を含む組成物はネガ型レジストとなることを着想した。また、オキセタンは、ある条件下でカチオン重合する。したがって、オキセタン構造を有する化合物がアルカリ可溶性を示す場合、カチオン重合によりアルカリ可溶性を失うために、露光部のみが不溶化する。このことから、本発明者らは、これらの組成物がネガ型レジストとなることも着想した。
【0121】
本発明のレジスト組成物において、アルカリ可溶性樹脂は、上記したように、アルカリ可溶性基を有していれば、特に構造は制限されない。単層レジスト組成物に基材樹脂として一般的に用いられるフェノール系樹脂やアクリル酸系樹脂、及びこれらの共重合体、さらには、カルボン酸、フェノール性水酸基やヘキサフルオロカルビノールを有するケイ素含有樹脂などを用いることができる。好ましくは、前式(4)又は(5)で表わされるケイ素含有樹脂を用いることができる。
【0122】
前式(1)のオキセタン構造を有する化合物については、特に限定されない。なお、これらのアルカリ可溶性樹脂及びオキセタン構造を有する化合物は、上記条件を満たすものであれば、それぞれ複数種が同時に存在していてもよい。
【0123】
本発明のレジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂を主剤とし、必要に応じて用いられるオキセタン構造含有化合物を架橋剤とし、かつこれに酸発生剤を添加することで、化学増幅型ネガ型レジスト組成物となる。
【0124】
本発明の化学増幅型レジストにおいて、上記したような酸感応性重合体と組み合わせて用いられる光酸発生剤(PAG)は、レジストの化学において一般的に用いられているPAG、すなわち紫外線、遠紫外線、真空紫外線、電子線、軟X線、X線等の放射線の照射によりプロトン酸を生じる物質を用いることができる。本発明において使用できるPAGは、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、次のような化合物を包含する。
【0125】
(1)オニウム塩類:
【0126】
【化42】

【0127】
上式において、R″は置換もしくは非置換の芳香族環または脂環式基を表し、XはBF4 ,PF6 ,AsF6 ,SbF6 ,CF3 SO3 ,ClO4 などを表す。
【0128】
(2)スルホン酸エステル類:
【0129】
【化43】

【0130】
(3)ハロゲン化物類:
【0131】
【化44】

【0132】
これらのPAGは、本発明のレジスト組成物中においていろいろな量で使用することができる。PAGの使用量は、0.1〜50重量%(ポリマ重量に対する百分率)の範囲が好ましく、より好ましくは1〜15重量%の範囲である。本発明のレジスト組成物では、特に、露光波長における吸光度が1.75以下になるように、重合体並びにPAGの構造およびPAGの使用量を考慮することが好ましい。
【0133】
本発明のレジスト組成物は、通常、上記したアルカリ可溶性重合体、及びPAGを適当な有機溶媒に溶解して、レジスト溶液の形で有利に使用することができる。レジスト溶液の調製に有用な有機溶媒は、乳酸エチル、メチルアミルケトン、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどであるが、これらに限定はされない。また、これらの溶媒は、単独で使用してもよいが、必要に応じて、2種類以上の溶媒を混合して使用してもよい。さらに、これらの溶媒の使用量は、特に限定されないが、スピン塗布等の塗布に適当な粘度及び所望のレジスト膜厚を得るのに十分な量で使用するのが好ましい。
【0134】
また、本発明のレジスト溶液には、必要に応じて、上記したような溶媒(主溶媒)に加えて補助溶媒を使用してもよい。補助溶媒は、溶質の溶解性並びに溶液の塗布均一性によっては必要ないが、溶解度の低い溶質を用いた場合や塗布均一性が所望の状態でない場合に、通常主溶媒に対して1〜30重量%の範囲で添加するのが好ましく、より好ましくは10〜20重量%の範囲である。有用な補助溶媒の例は、以下に限定されるものではないが、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル等を包含する。
【0135】
本発明は、また、上記したようなレジスト組成物を使用して、被処理基板上にレジストパターン、特にネガティブなレジストパターンを形成する方法も提供する。本発明のネガティブレジストパターンの形成は、通常、次のようにして実施することができる。
【0136】
まず、被処理基板上に本発明のレジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成する。被処理基板は、半導体装置や、その他の装置、例えばMRヘッドなどにおいて通常用いられている基板であることができ、そのいくつかの例として、シリコン基板、ガラス基板、非磁性セラミックス基板などを挙げることができる。また、これらの基板の上方には、必要に応じて、追加の層、例えばシリコン酸化膜層、配線用金属層、層間絶縁膜層、磁性膜などが存在していてもよく、また、各種の配線、回路等が作り込まれていてもよい。さらにこれらの基板は、それに対するレジスト膜の密着性を高めるため、常法に従って疎水化処理されていても良い。適当な疎水化処理剤としては、例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等を挙げることができる。
【0137】
レジスト組成物の塗布は、上記したように、それをレジスト溶液として被処理基板上に塗布することができる。レジスト溶液の塗布は、スピン塗布、ロール塗布、ディップ塗布などの常用の技法があるが、特にスピン塗布が有用である。レジスト膜の膜厚は、約0.01〜200μmの範囲が推奨されるが、KrF,ArF,F2 などのエキシマレーザでの露光の場合は、0.05〜5μmの範囲が推奨される。なお、形成されるレジスト膜の膜厚は、その使途などの要因に応じて広く変更することができる。
【0138】
基板上に塗布したレジスト膜は、それを結像用放射線で選択的に露光する前に、約60〜180℃の温度で約30〜120秒間に渡ってプリベークすることが好ましい。このプリベークは、レジストプロセスでの常用の加熱手段を用いて実施することができる。適当な加熱手段として、例えばホットプレート、赤外線加熱オーブン、マイクロ波加熱オーブンなどを挙げることができる。
【0139】
次いで、プリベーク後のレジスト膜を常用の露光装置で結像用の放射線で選択的に露光する。適当な露光装置は、市販の紫外線(遠紫外線、深紫外線、真空紫外線)露光装置、X線露光装置、電子ビーム露光装置、その他である。露光条件はその都度適当な条件を選択することができるが、特に本発明では先にも述べたようにエキシマレーザ(波長248nmのKrFレーザ、波長193nmのArFレーザおよび波長157nmのF2 レーザ)を露光光源として有利に使用することができる。付言すると、本願明細書では、“放射線”なる語を用いた場合、これらのいかなる光源からの放射線をも意味するものとする。
【0140】
選択露光工程に引き続いて、露光後のレジスト膜をPEBすることによって、酸を触媒としたアルカリ可溶性基の保護反応を生じさせる。この露光後ベークは保護反応が十分に起こる範囲であれば、先のプリベークと同様にして行うことができる。例えば、PEBは、約60〜180℃の温度で約30〜120秒間にわたって行うことができるが、所望のパターンサイズ、形状などによって調節することが好ましい。
【0141】
PEBの後、レジスト膜を現像液としての塩基性水溶液で現像する。この現像には、スピンデベロッパ、ディップデベロッパ、スプレーデベロッパ等の常用の現像装置を使用することができる。ここで現像液として使用される塩基性水溶液は、水酸化カリウム等に代表される周期律表のI族及びII族に属する金属水酸化物の水溶液や、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられるが、より好ましくは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液であり、現像効果の向上のため界面活性剤のような添加物を加えてもよい。現像の結果として、レジスト膜の未露光量域が溶解除去せしめられ、露光量域のみがネガティブレジストパターンとして基板上に残留する。
【0142】
本発明のレジストパターンの形成方法は、上記した単層レジスト法ばかりでなく、多層レジスト法でも有利に実施することができる。すなわち、本発明のレジスト組成物を最上層のレジスト膜の形成に使用して、アスペクト比の大きなネガティブなレジストパターンを被処理基板上に形成することができる。
【0143】
例えば、二層レジスト法によるネガティブレジストパターンの形成は、通常、次のような手順で実施することができる。
【0144】
被加工基板上に、第1のレジスト組成物を被覆して下層レジスト膜を形成し、
前記下層レジスト膜の上に、本発明のレジスト組成物を被覆して上層レジスト膜を形成し、
前記上層レジスト膜を結像用放射線に選択的に露光し、
露光後の上層レジスト膜を塩基性水溶液で現像してレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして下地の下層レジスト膜をエッチングする。
【0145】
上層のレジストパターンが、下層レジスト膜に転写されて、下層レジスト膜とその上の上層レジスト膜とからなるアスペクト比の大きなレジストパターンが得られる。
【0146】
さらに具体的に説明すると、下層用のレジスト組成物としては、従来一般的に使用されている有機材料を用いることができる。例えば、ノボラック樹脂、ビニルフェノール樹脂よりなる市販のレジスト材料、又はポリアニリン系やポリチオフェン系の導電性材料を用いることが好ましい。下層レジスト膜は、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜1.0μmの膜厚に形成する。
【0147】
本発明のレジスト組成物を塗布して上層レジスト膜を形成する際には、上記したように、必要に応じて溶媒を使用する。使用し得る溶媒や、レジスト組成物の塗布は、前記した通りである。このレジスト組成物の塗布膜厚は、0.03〜1.0μmが好ましく、これより薄いとエッチング時の寸法変動が大きくなり、厚いと解像性が低下する。より好ましい膜厚は、0.05〜0.2μmである。
【0148】
露光工程、現像工程なども、上記したような手法で実施することができる。
【0149】
また、下層レジスト膜のエッチングには、酸素を含むガスのプラズマエッチングを用いることができ、特に酸素と二酸化硫黄の混合ガスによるエッチングが好ましい。さらに、プラズマエッチング装置としては、高密度プラズマエッチング装置などを用いることが好ましい。
【実施例】
【0150】
下記の実施例は、本発明で使用されるアルカリ可溶性重合体の合成、レジスト組成物の調製、レジストパターンの形成、そして半導体装置の製造に関して説明したものである。なお、下記の実施例は一例であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0151】
実施例1
2−オキセタンプロピルメタクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0152】
【化45】

【0153】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンプロピルメタクリレート2.14g(12.57mmol)、3−カルボキシアダマンチルメタクリレート6.15g(23.35mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、24mlのジオキサン、885mg(5.39mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量6.05g(73%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:アダマンチル=64:36と判明した。重量平均分子量13,400、分散度1.43であった。
【0154】
実施例2
2−オキセタンブチルメタクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0155】
【化46】

【0156】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンブチルメタクリレート2.32g(12.57mmol)、3−カルボキシアダマンチルメタクリレート6.15g(23.35mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、24mlのジオキサン、885mg(5.39mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量6.95g(82%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:アダマンチル=65:35と判明した。重量平均分子量15,800、分散度1.48であった。
【0157】
実施例3
メタクリル酸−3−(2′−オキセタンプロピルオキシメチル)アダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0158】
【化47】

【0159】
100mlのナスフラスコにメタクリル酸1.09g(12.57mmol)、3−(2′−オキセタンプロピル)オキシメチルアダマンチルメタクリレート7.81g(23.35mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、15.5mlのジオキサン、885mg(5.39mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量5.79g(65%)。 1H NMRから、共重合比はメタクリル酸:アダマンチル=36:64と判明した。重量平均分子量9,200、分散度1.50であった。
【0160】
実施例4
2−オキセタンプロピルアクリレート−カルボキシテトラシクロドデシルアクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0161】
【化48】

【0162】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンプロピルアクリレート2.08g(13.33mmol)、カルボキシテトラシクロドデシルアクリレート5.05g(20mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、11.1mlのジオキサン、821mg(5mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ600mlのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量4.88g(68.5%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:ドデシル=66:34と判明した。重量平均分子量10,900、分散度1.42であった。
【0163】
実施例5
2−オキセタンブチルメタクリレート−3−メトキシカルボニルアダマンチルメタクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0164】
【化49】

【0165】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンブチルメタクリレート2.95g(16mmol)、3−メトキシカルボニルアダマンチルメタクリレート2.78g(10mmol)、3−カルボキシアダマンチルメタクリレート3.7g(14mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、40mlのジオキサン、1.97g(12mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量7.07g(75%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:メトキシカルボニルアダマンチル:カルボキシアダマンチル=53:13:34と判明した。重量平均分子量19,500、分散度1.52であった。
【0166】
実施例6
2−オキセタンプロピルメタクリレート−5−ノルボルナン−2,6−カルボラクトンメタクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0167】
【化50】

【0168】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンプロピルメタクリレート3.40g(20mmol)、5−ノルボルナン−2,6−カルボラクトンメタクリレート1.33g(6mmol)、3−カルボキシアダマンチルメタクリレート3.7g(14mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、40mlのジオキサン、1.97g(12mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量5.41g(58%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:ノルボニル:アダマンチル=55:11:34と判明した。重量平均分子量18,700、分散度1.49であった。
【0169】
実施例7
3−(2′−オキセタンプロピルオキシ)アダマンチルアクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0170】
【化51】

【0171】
100mlのナスフラスコに3−(2′−オキセタンプロピルオキシ)アダマンチルアクリレート3.06g(10mmol)、3−カルボキシアダマンチルアクリレート1.25g(5mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、10mlのジオキサン、369mg(2.25mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ500mlのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量2.34g(55%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:カルボキシアダマンチル=64:36と判明した。重量平均分子量18,200、分散度1.41であった。
【0172】
実施例8
2−オキセタンプロピルオキシノルボルネン−無水マレイン酸−1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシプロピルノルボルネン共重合体(次式参照)の合成
【0173】
【化52】

【0174】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンプロピルオキシノルボルネン1.92g(10mmol)、無水マレイン酸0.98g(10mmol)、1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシプロピルノルボルネン2.62g(10mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、20mlのジオキサン、493mg(3mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量3.42g(62%)。 1H NMRから、組成比は1:1:1と判明した。重量平均分子量9,400、分散度1.33であった。
【0175】
実施例9
2−オキセタンプロピルメタクリレート−無水マレイン酸−ノルボルネンカルボン酸共重合体(次式参照)の合成
【0176】
【化53】

【0177】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンプロピルメタクリレート1.70g(10mmol)、無水マレイン酸0.98g(10mmol)、ノルボルネンカルボン酸1.38g(10mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、20mlのジオキサン、493mg(3mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量2.35g(58%)。 1H NMRから、組成比は1:1:1と判明した。重量平均分子量9,100、分散度1.44であった。
【0178】
実施例10
2−オキセタンブチルアクリレート−ヒドロキシスチレン共重合体(次式参照)の合成
【0179】
【化54】

【0180】
100mlの2−オキセタンブチルアクリレート410mg(2.41mmol)、アセトキシスチレン4.66g(27.75mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、10mlのジオキサン、743mg(4.5mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのメタノールに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。これを塩基性メタノール溶液で処理して目的の樹脂を得る。収量2.8g。 1H NMRから、組成比はオキセタン:ヒドロキシスチレン=92:8と判明した。重量平均分子量7,800、分散度1.33であった。
【0181】
実施例11
6−メトキシ−2−テトラヒドロピラニルメチルメタクリレート−3,4−カルボラクトンアダマンチルメタクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0182】
【化55】

【0183】
100mlのナスフラスコに2−オキセタンプロピルメタクリレート3.40g(20mmol)、3,4−カルボラクトンアダマンチルメタクリレート1.66g(6mmol)、3−カルボキシアダマンチルメタクリレート3.7g(14mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、40mlのジオキサン、1.97g(12mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量5.26g(60%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:ラクトン:アダマンチル=52:15:33と判明した。重量平均分子量17,100、分散度1.41であった。
【0184】
実施例12
3−(2−オキセタンプロピルオキシ)アダマンチルメタクリレート−3,4−カルボラクトンアダマンチルメタクリレート−3−カルボキシアダマンチルメタクリレート共重合体(次式参照)の合成
【0185】
【化56】

【0186】
100mlのナスフラスコに3−(2−オキセタンプロピルオキシ)アダマンチルメタクリレート6.17g(20mmol)、3,4−カルボラクトンアダマンチルメタクリレート1.66g(6mmol)、3−カルボキシアダマンチルメタクリレート3.7g(14mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、40mlのジオキサン、1.97g(12mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量8.88g(77%)。 1H NMRから、共重合比はオキセタン:ラクトン:アダマンチル=54:12:34と判明した。重量平均分子量21,000、分散度1.47であった。
【0187】
実施例13
3−(2−オキセタンブチルオキシ)アダマンチルメタクリレート−N−ヒドロキシメタクリルアミド−メタクリル酸共重合体(次式参照)の合成
【0188】
【化57】

【0189】
100mlのナスフラスコに3−(2−オキセタンブチルオキシ)アダマンチルメタクリレート4.82g(16mmol)、N−ヒドロキシメタクリルアミド2.02g(6mmol)、メタクリル酸861mg(10mmol)、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバー、20mlのジオキサン、788mg(4.8mmol)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を入れ、窒素雰囲気下70℃で7時間攪拌する。反応溶液をTHFで薄め、少量のヒドロキノンを含んだ1lのジエチルエーテルに滴下して沈殿させ、ガラスフィルターで濾別し、0.1mmHg、45℃で6時間乾燥させる。得られた白色の粉末を再びTHFに溶解させ、上記の沈殿〜乾燥作業を2度繰り返し、白色の樹脂粉末を得る。収量4.47g(58%)。 1H NMRから、共重合比はアダマンチル:アミド:メタクリル酸=65:5:30と判明した。重量平均分子量9,900、分散度1.52であった。
【0190】
実施例14
実施例1の樹脂をEL(乳酸エチル)に溶解して13wt%溶液とした。なお、この溶液には補助溶媒として10wt%のγ−ブチロラクトンも含ませた。得られた溶液に2wt%のトリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルホネートを加えて十分に溶解させた。得られたレジスト溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)メンブランフィルタで濾過した後、HMDS処理を施したシリコン基板上にスピンコートし、110℃で60秒プリベークを行い、0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。これをKrFエキシマレーザステッパ(NA=0.45)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド(TMAH)現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量17.0mJ/cm2 で0.25μmL/Sが解像した。
【0191】
実施例15
実施例14のレジストを用いて0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量9.0mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0192】
実施例16
実施例2の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量12mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0193】
実施例17
実施例3の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、130℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量11mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0194】
実施例18
実施例4の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量14mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0195】
実施例19
実施例5の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量8mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0196】
実施例20
実施例6の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量9mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0197】
実施例21
実施例7の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量8mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0198】
実施例22
実施例8の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量18mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0199】
実施例23
実施例9の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量14mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0200】
実施例24
実施例10の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。KrFエキシマレーザステッパ(NA=0.68)で露光した後、110℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量13mJ/cm2 で0.18μmL/Sが解像した。
【0201】
実施例25
ポリヒドロキシスチレンに2−オキセタンプロピルメタクリレートホモポリマ(分子量5,600)を10wt%添加し、ELでレジストを調製した。0.4μm厚のレジスト皮膜を形成し、KrFエキシマレーザステッパ(NA=0.68)で露光した後、110℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量15mJ/cm2 で0.22μmL/Sが解像した。
【0202】
実施例26
【0203】
【化58】

【0204】
上記構造式の樹脂(分子量9,500)に2−オキセタンプロピルメタクリレートホモポリマ(分子量5,600)を12wt%添加し、ELでレジストを調製した。0.4μm厚のレジスト皮膜を形成し、ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、110℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量17mJ/cm2 で0.16μmL/Sが解像した。
【0205】
実施例27
実施例11の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量13mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0206】
実施例28
実施例12の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量12mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0207】
実施例29
実施例13の樹脂を用い、実施例14と同様にレジストを調製して0.4μm厚のレジスト皮膜を形成した。ArFエキシマレーザステッパ(NA=0.60)で露光した後、120℃で60秒間ベークし、2.38%のTMAH現像液で現像後、脱イオン水でリンスした。露光量18mJ/cm2 で0.15μmL/Sが解像した。
【0208】
実施例30
前記実施例5,7,8,10,26及び28のレジストでシリコン基板に1μm厚のレジスト膜を形成した。比較のため、市販のノボラックレジストである、PFI−16(住友化学製)及びPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いて、平行平板型RIE装置でPμ=200W、圧力=0.02Torr、CF4 ガス=100sccmの条件下5分間エッチングし、サンプルの減膜量を比較した。下記の第1表に記載のような結果が得られた。
【0209】
【表1】

【0210】
上記第1表に示した結果から、本発明によるレジストのエッチング耐性は、ノボラックレジストに近く、特に実施例7及び実施例28のレジストでは、ArF露光にも対応できる組成を有し、かつノボラックと同等以上の耐性を示した。この実験から、いずれのレジストもPMMAより格段に優れていることが確認できた。また、実施例5,7,8,10,26及び28のレジストパターンでは、膨潤の発生も認められなかった。
【0211】
実施例31
ケイ素含有樹脂(次式参照)の合成
【0212】
【化59】

【0213】
還流管、温度計を取付け、窒素フローした四つ口フラスコに、1,3−ビス(カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン6.9g(0.023モル)、純粋水35ml、酢酸20.6mlを加えて攪拌し、油浴により60℃まで昇温させる。混合物中にテトラエトキシシラン12.48g(0.06モル)を30分で滴下し、1時間にわたって反応させる。次いで、混合物中にテトラエトキシシラン6.24g(0.03モル)を30分で滴下し、3時間反応を行う。室温まで放冷させた後、反応溶液を分液ロートに移し、水100mlとメチルイソブチルケトン(MIBK)100mlを加えて溶媒抽出する。その後、有機層を液層分離濾紙で濾過し、四つ口フラスコに移し、共沸により水抜きして、四官能シロキサン樹脂のMIBK溶液を得る。
【0214】
次に、還流管、温度計を取付け、窒素フローした四つ口フラスコに、約半分に濃縮したMIBK溶液とテトラヒドロフラン100mlを加え、室温で攪拌させながら、次にトリメチルシリルイミダゾール12.0g(0.84モル)を滴下し、2時間反応させる。塩酸18mlを添加して液層分離濾紙にて濾過し、四つ口フラスコに移し、共沸により水抜きする。更に、この溶液を濃縮してヘキサンで沈殿させた成分について、ジオキサンで凍結乾燥する。目的とする分子量6000のケイ素含有樹脂が、85%の収量で得られた。
【0215】
実施例32
実施例31で合成した式(4)で表わされる分子量6000のアルカリ可溶性ケイ素含有樹脂100重量部に対し、次式(3)で表わされるオキセタン構造を有する分子量3000のケイ素含有樹脂(特開平6−16804号公報に記載の合成法により合成):
【0216】
【化60】

【0217】
100重量部と、トリフェニルスルホニウムトリフレート5重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、レジスト溶液を調製した。
【0218】
得られたレジスト溶液をヘキサメチルジシラザン処理したシリコン(Si)基板上に回転塗布し、100℃/60秒でプレベークして、0.14μm厚のレジスト膜を形成した。このレジスト膜をKrFエキシマレーザステッパ(NA=0.45)で露光した後、135℃で60秒間ベークし、2.38%TMAH水溶液で現像を行った。露光量7mJ/cm2 で0.25μmL/Sが解像した。
【0219】
実施例33
実施例31で合成した式(4)で表わされる分子量6000のアルカリ可溶性ケイ素含有樹脂100重量部に対し、前式(3)で表わされる分子量3000のオキセタン構造を有するケイ素含有樹脂70重量部と、トリフェニルスルホニウムトリフレート3重量部とを、メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解し、レジスト溶液を調製した。
【0220】
先ず、Si基板上にノボラック樹脂ベースの溶液を回転塗布し、280℃のオーブン中で3時間ベークして、0.4μm厚の下層レジスト膜を形成した。次いで、上記のようにして調製したレジスト溶液を下層レジスト膜上に回転塗布し、110℃/60秒でプリベークして、0.1μm厚の上層レジスト膜を形成した。得られた二層構造レジスト膜をArFエキシマレーザ露光装置で露光した後、140℃で60秒間ベークし、2.38%TMAH水溶液で現像を行った。露光量10mJ/cm2 で0.17L/Sが解像した。
【0221】
実施例34
実施例33で得られた上層レジストパターンをマスクとして、そのレジストパターンをO2 −RIEで下層レジスト膜に転写した。O2 −RIEの条件は、RFパワー:0.16W/cm2 、酸素流量:10sccm、ガス圧:10mTorrとした。本例のエッチングレートの結果を、図1にプロットして示す。上層レジストは、上記と同じ条件を適用した下層レジストに比べて、約100倍のO2 −RIE耐性を示した。その結果、上層パターニングで得た0.17μmライン&スペースパターンを寸法変動を生じることなく、下層レジストに転写できることが確認できた。
【0222】
実施例35
実施例31で合成した式(4)で表わされる分子量6000のアルカリ可溶性ケイ素含有樹脂100重量部に対し、前式(3)で表わされる分子量3000のオキセタン構造を有するケイ素含有樹脂50重量部と、トリフェニルスルホニウムトリフレート5重量部とを、メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解し、レジスト溶液を調製した。
【0223】
実施例33と同様に、Si基板上に0.4μm厚の下層レジスト膜を形成し、続いて、上記のようにして調製したレジスト溶液を下層レジスト膜上に回転塗布し、110℃/60秒でプリベークして、0.1μm厚の上層レジスト膜を形成した。得られた二層構造レジスト膜を電子線露光装置で露光した後、135℃/60秒間でベークし、2.38%TMAH水溶液で現像を行った。露光量45μC/cm2 で0.125μmL/Sが解像した。
【0224】
実施例36
実施例35で得られた上層レジストパターンをマスクとして、そのレジストパターンをO2 −RIEで下層レジスト膜に転写した。O2 −RIEの条件は、実施例34と同条件であった。本例の場合、上層レジストは、下層レジストに比べて、約90倍のO2 −RIE耐性であった。その結果、上層パターニングで得た0.125μmのライン&スペースパターンを寸法変動を生じることなく、下層レジストに転写できることが確認できた。
【0225】
実施例37
本発明によるレジスト組成物を利用した、具体的なデバイスの製造方法を以下に示す。
【0226】
図2は、高アスペクトが必要なゲートの配線パターンの形成方法を順を追って示したものである。
【0227】
シリコン基板1の上にフィールド酸化によって素子分離されたMOSトランジスタ10を形成する。このMOSトランジスターのゲート電極上に、絶縁層21を形成し、ゲート電極11から配線を引き出すための開口部をリソグラフィを用いて形成する。その後、バリア金属として使用される窒化チタン(TiN)の薄膜31を形成し、更にその上部に配線材料であるAlの薄膜32を堆積する(図2の工程Aを参照)。
【0228】
このAl/TiN膜を配線パターンとして加工するため、Al/TiN積層膜の上にエッチングマスクとなるレジストパターン42を、実施例32に記載の手法に従って形成する。その後、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、そのパターンを酸素プラズマエッチングを用いて下層に転写する(図2の工程Bを参照)。更に、レジストパターン42をフッ素系プラズマエッチングにより除去し、下層レジストによるエッチングマスク41を完成する。
【0229】
このエッチングマスク41を用いて、被エッチング膜であるAl/Ti積層膜を塩素系プラズマを用いてエッチングし、高アスペクト比のゲート配線パターンが完成する(図2の工程Cを参照)。
【0230】
以上、本発明をその実施形態及び実施例を参照して説明した。最後に、本発明のさらなる理解のため、本発明の好ましい態様を、以下に整理して記載する。
【0231】
(付記1) アルカリ可溶性樹脂を基材樹脂として含むネガ型レジスト組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂の構造中もしくは前記アルカリ可溶性樹脂に併用される化合物の構造中に、前式(1)で表されるオキセタン構造が含まれることを特徴とするネガ型レジスト組成物。
【0232】
(付記2) 結像用放射線を吸収して分解すると前記オキセタン構造が反応を起こし得る酸を発生可能な光酸発生剤をさらに含み、自体塩基性水溶液に可溶であるが、前記結像用放射線による露光後は露光部がアルカリ不溶となり、塩基性水溶液で現像可能であることを特徴とする付記1に記載のネガ型レジスト組成物。
【0233】
(付記3) 前記アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基、フェノール性水酸基、N−ヒドロキシアミド基、オキシム基、イミド基、前式(2)の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロカルビノール基及びスルホン酸基からなる群から選ばれた少なくとも1種類の置換基を含む重合体であることを特徴とする付記1又は2に記載のネガ型レジスト組成物。
【0234】
(付記4) 前記アルカリ可溶性樹脂が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、ノルボルネン、ビニルフェノール、スチレン及びこれらの誘導体から誘導された重合体であることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0235】
(付記5) 前記アルカリ可溶性樹脂が、ラクトン環、イミド環及び酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の弱いアルカリ可溶性基を含む重合体であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0236】
(付記6) 前記アルカリ可溶性樹脂が、多環性脂環式炭化水素部分を含む重合体であることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0237】
(付記7) 前記多環性脂環式炭化水素部分が、アダマンチル基、ノルボルニル基及びビシクロ[2.2.2]オクチル基からなる群から選ばれた一員を含むことを特徴とする付記6に記載のネガ型レジスト組成物。
【0238】
(付記8) 前記多環性脂環式炭化水素部分が、少なくとも1個のアルコキシカルボニル基又はケトン基を単独もしくは同時に含むことを特徴とする付記7に記載のネガ型レジスト組成物。
【0239】
(付記9) 前記アルカリ可溶性樹脂が、その構造中に前式(1)で表されるオキセタン構造を有することを特徴とする付記3〜8のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0240】
(付記10) 前記アルカリ可溶性樹脂がケイ素含有樹脂であることを特徴とする付記3〜8のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0241】
(付記11) 前記ケイ素含有樹脂が、その構造中に前式(1)で表されるオキセタン構造を有することを特徴とする付記10に記載のネガ型レジスト組成物。
【0242】
(付記12) 前記ケイ素含有樹脂が、前式(3)又は(4)で表されるケイ素含有重合体であることを特徴とする付記11に記載のネガ型レジスト組成物。
【0243】
(付記13) 前記アルカリ可溶性樹脂に併用される化合物が、前式(5)で表わされるケイ素含有重合体であることを特徴とする付記1〜12のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0244】
(付記14) 露光光源の波長における吸光度が1.75以下であることを特徴とする付記1〜13のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0245】
(付記15) 乳酸エチル、メチルアミルケトン、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート及びプロプレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から選らばれた溶媒を単独もしくは組み合わせて含むことを特徴とする付記1〜14のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【0246】
(付記16) 酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン及びプロピレングリコールメチルエーテルからなる群から選らばれた溶媒を添加溶媒として含むことを特徴とする付記15に記載のネガ型レジスト組成物。
【0247】
(付記17) 被加工基板上に、付記1〜16のいずれか1項に記載のレジスト組成物を被覆してレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜を結像用放射線に選択的に露光し、
露光後のレジスト膜を塩基性水溶液で現像してネガ型のレジストパターンを形成すること
を特徴とするレジストパターンの形成方法。
【0248】
(付記18) 被加工基板上に、第1のレジスト組成物を被覆して下層レジスト膜を形成し、
前記下層レジスト膜の上に、付記1〜16のいずれか1項に記載のレジスト組成物を被覆して上層レジスト膜を形成し、
前記上層レジスト膜を結像用放射線に選択的に露光し、
露光後の上層レジスト膜を塩基性水溶液で現像してレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして下地の下層レジスト膜をエッチングし、前記下層レジスト膜とその上の前記上層レジスト膜とからなるネガ型のレジストパターンを形成すること
を特徴とする付記17に記載のレジストパターンの形成方法。
【0249】
(付記19) 前記結像用放射線として、前記レジスト組成物中に含まれる光酸発生剤の分解を誘起しうる放射線を使用することを特徴とする付記17又は18に記載のレジストパターンの形成方法。
【0250】
(付記20) 付記17〜19のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法を実施する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0251】
1 シリコン基板
10 MOSトランジスタ
11 ゲート電極
12 ゲート酸化膜
21 絶縁層
31 窒化チタン薄膜
32 アルミニウム薄膜
41 エッチングマスク
42 レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)〜式(XIII)で表されるアルカリ可溶性樹脂(式中、l、m及びnは、それぞれ、繰り返し単位の数である)と、
溶剤と、
結像用放射線を吸収して分解すると前記アルカリ可溶性樹脂中のオキセタン構造が反応を起こしめる酸を発生可能な光酸発生剤とを含んでなり、自体塩基性水溶液に可溶であり、露光後は露光部がアルカリ不溶となることを特徴とする、塩基性水溶液で現像可能な化学増幅型のネガ型レジスト組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【請求項2】
請求項1に記載のレジスト組成物を被覆してレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜を結像用放射線に選択的に露光し、
露光後のレジスト膜を塩基性水溶液で現像することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載のレジストパターン形成方法を実施する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−22338(P2012−22338A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221175(P2011−221175)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【分割の表示】特願2001−93727(P2001−93727)の分割
【原出願日】平成13年3月28日(2001.3.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】