説明

ネガ型感放射線性組成物、硬化パターン形成方法及び硬化パターン

【課題】比誘電率の低い層間絶縁膜の形成が可能であり、反射率1.0%以上の高反射性の下地基板上においても、定在波の少ない良好なパターンを形成することができるネガ型感放射線性組成物、硬化パターン及びその形成方法を提供する。
【解決手段】本発明は、一般式RSi(OR4−a〔Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基又はアルキルカルボニルオキシ基、Rは、1価の有機基、aは1〜3の整数〕で表される加水分解性シラン化合物、及び、一般式Si(OR〔Rは、1価の有機基〕で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を加水分解縮合させて得られる重合体と、感放射線性酸発生剤と、酸増殖剤と、溶剤とを含有するネガ型感放射線性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感放射線性組成物、硬化パターン形成方法及び硬化パターンに関する。更に詳しくは、本発明は、低比誘電率の硬化パターンを形成できるネガ型感放射線性組成物、及びそれを用いた硬化パターン形成方法、並びに、該硬化パターン形成方法により得られる硬化パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等における層間絶縁膜として、CVD法等の真空プロセスにより形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。
そして、近年、より均一な膜厚を有する層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、半導体素子等の高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜の開発も行なわれている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
しかしながら、半導体素子等の更なる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、それに伴いより低比誘電率な層間絶縁膜が求められるようになっている。
【0004】
また、層間絶縁膜の加工は、通常、パターン転写処理の繰り返しによって行われる。一般的には、まず、層間絶縁膜層の上に多くの異なるマスク材料層を形成し、その最上部に感光性樹脂組成物を塗膜する。次いで、縮小投影露光、現像により所望の回路パターンを感光性樹脂組成物に形成した後、順次積層されたマスク材料層にパターンが転写される。そして、最後にマスク材料層から層間絶縁膜層にパターンが転写された後、マスク材料層が除去されて層間絶縁膜の加工が行われる(例えば、特許文献4参照)。
このように、一般に行われている層間絶縁膜の加工は非常に手間がかかり、非常に効率の悪いプロセスとなっているため、改善方法が求められている。また、特許文献4記載の発明では、パターン形成が可能な低比誘電率な層間絶縁膜について記載されているが、パターン形状やパターン変形の点において、未だ十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−36684号公報
【特許文献2】特開2003−3120号公報
【特許文献3】特開2005−213492号公報
【特許文献4】特開2004−212983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、感放射線性の性質を有してパターニング可能であり、良好な解像度を有し、且つ、半導体素子等の更なる高集積化や多層化に伴い要求されている、比誘電率の低い層間絶縁膜を構成する硬化パターンの形成に好適であり、且つ、反射率1.0%以上の高反射性の下地基板(例えば、bare−Si、SiC、SiON等)上においても、定在波の少ない矩形のパターンを提供するネガ型感放射線性組成物、それを用いた硬化パターン形成方法及びこの硬化パターン形成方法により得られた硬化パターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
1.(A)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体と、
(B)感放射線性酸発生剤と、
(C)酸増殖剤と、
(D)溶剤と、
を含有することを特徴とするネガ型感放射線性組成物。
Si(OR4−a (1)
〔式中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基又はアルキルカルボニルオキシ基であり、Rは、1価の有機基であり、aは1〜3の整数である。〕
Si(OR (2)
〔式中、Rは、1価の有機基である。〕
2.上記酸増殖剤(C)は、炭素環骨格を形成する炭素原子に直接又は2価の有機基を介して、下記一般式(C−1)で表されるスルホナート基が結合されている化合物である上記1に記載のネガ型感放射線性組成物。
―OSO―R (C−1)
〔式中、Rは、1価の有機基である。〕
3.上記重合体(A)のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が4,000未満である上記1又は2に記載のネガ型感放射線性組成物。
4.上記一般式(1)におけるRがメチル基である上記1乃至3のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
5.上記感放射線性酸発生剤(B)の含有量が、上記重合体(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部である上記1乃至4のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
6.更に、(E)酸拡散抑制剤を含有する上記1乃至5のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
7.上記ネガ型感放射線性組成物が、放射線によりパターン形成可能な低誘電率膜形成用組成物である上記1乃至6のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
8.(1)上記1乃至7のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程と、
(2)得られた被膜をベークする工程と、
(3)ベークされた被膜を露光する工程と、
(4)露光された被膜をベークする工程と、
(5)得られた被膜を現像液で現像し、ネガ型パターンを形成する工程と、
(6)得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程と、を備えていることを特徴とする硬化パターン形成方法。
9.上記8に記載の硬化パターン形成方法によって得られることを特徴とする硬化パターン。
10.硬化パターンを構成する被膜の比誘電率が1.5〜3である上記9に記載の硬化パターン。
【発明の効果】
【0008】
本発明のネガ型感放射線性組成物は、感放射線性の性質を有しており、パターニングが可能であるとともに、硬化処理によるパターン変形がなく、パターン形状に優れると共に、低比誘電率な硬化パターンを容易に形成することができる。そのため、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の微細加工用材料として用いることができるだけでなく、層間絶縁膜用材料としても優れており、特に、銅ダマシンプロセスを含む半導体素子に有用である。
また、本発明の硬化パターン形成方法は、低比誘電率材料な層間絶縁膜を必要とする加工プロセス等において好適に用いることができ、従来の層間絶縁膜を用いた加工プロセスの効率を大幅に改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パターンの断面形状を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。また、本明細書における「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0011】
1.ネガ型感放射線性組成物
本発明のネガ型感放射線性組成物は、特定の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体(以下、「重合体(A)」という。)と、感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(B)」という。)と、酸増殖剤(以下、「酸増殖剤(C)」という。)と、溶剤(以下、「溶剤(D)」という。)とを含有する。
【0012】
1−1.重合体(A)
この重合体(A)は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(1)」という。)、及び下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体である。
Si(OR4−a (1)
〔式中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基又はアルキルカルボニルオキシ基であり、Rは、1価の有機基であり、aは1〜3の整数である。〕
Si(OR (2)
〔式中、Rは、1価の有機基である。〕
【0013】
上記化合物(1)を表す一般式(1)において、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基又はアルキルカルボニルオキシ基である。Rが、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
また、Rが、シアノアルキル基である場合、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。
更に、Rが、アルキルカルボニルオキシ基である場合、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ビニルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
尚、上記化合物(1)が、Rを複数有する場合、即ち、上記一般式(1)においてaが2又は3である場合、複数のRは、全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0014】
また、上記一般式(1)において、Rは、1価の有機基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらのうち、アルキル基及びアリール基が好ましい。
上記アルキル基は、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖状及び若しくは分岐状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
上記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基が好ましい。
上記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0015】
上記化合物(1)としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、
【0016】
sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルイソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−フェノキシシラン、
【0017】
ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−フェノキシシラン等が挙げられる。
【0018】
これらのうち、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が好ましい。
尚、上記重合体(A)の調製に際して、化合物(1)は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
上記化合物(2)を表す一般式(2)において、Rは、1価の有機基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらの官能基は、上記一般式(1)におけるRが示す1価の有機基の例示及びその説明をそのまま適用することができる。
【0020】
上記化合物(2)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。
これらのうち、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
尚、上記重合体(A)の調製に際して、化合物(2)は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
上記重合体(A)の調製に際して、化合物(1)及び(2)に加えて、他の加水分解性シラン化合物(以下、「他の化合物(3)」ともいう。)を併用してもよい。
他の化合物(3)としては、下記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
(RO)3−xSi−(R−Si(OR3−y (3)
〔式中、R〜Rは、同一又は異なって、1価の有機基であり、x及びyは、同一又は異なって、0〜2の整数であり、Rは、酸素原子、フェニレン基又は−(CH−で表される基(nは1〜6の整数である)であり、zは、0又は1である。〕
【0022】
上記他の化合物(3)を表す一般式(3)において、R〜Rは、1価の有機基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらの官能基は、上記化合物(1)を表す一般式(1)におけるRが示す1価の有機基の例示及びその説明をそのまま適用することができる。
【0023】
上記一般式(3)において、z=0である場合の化合物としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、
【0024】
1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等が挙げられる。
【0025】
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等が好ましい。
【0026】
上記一般式(3)において、z=1である場合の化合物としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、
【0027】
ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。
【0028】
これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等が好ましい。
尚、上記重合体(A)の調製に際して、他の化合物は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記重合体(A)における、上記化合物(1)由来の構成単位の含有割合は、重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%である。この含有割合が30〜100モル%である場合には、硬化処理時のプロセスマージンと硬化膜の膜物性のバランスが良好となる。
また、上記化合物(2)由来の構成単位の含有割合は、重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは0〜70モル%であり、より好ましくは0〜40モル%、更に好ましくは0〜30モル%である。この含有割合が0〜70モル%である場合には、硬化処理時のプロセスマージンと硬化膜の膜物性のバランスが良好となる。
更に、上記化合物(1)由来の構成単位、及び、上記化合物(2)由来の構成単位の合計は、重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは100モル%以下であり、より好ましくは30〜100モル%、更に好ましくは60〜100モル%である。この含有割合の合計が30〜100モル%である場合には、パターン形成に対する重合体(A)中の上記化合物(1)や化合物(2)に由来する構成単位の効果を得ることができる。
また、上記重合体(A)が、他の化合物(3)に由来する構成単位を含む場合、その含有割合は、重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは0〜40モル%、更に好ましくは0〜30モル%である。この含有量が50モル%以下である場合には、パターン形成に対する重合体(A)中の上記化合物(1)に由来する構造単位、化合物(2)に由来する構造単位の効果を甚大に阻害せず、パターン形成に対する化合物(A3)に由来する構造単位の効果を得ることができる
【0030】
上記重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは4,000未満であり、より好ましくは1,000〜4,000、更に好ましくは1,000〜3,000である。このMwが4,000を超えると、bare−Si、SiC、SiON等の高反射率の基板に硬化パターンを形成した場合に、定在波が生じやすくなる傾向がある。一方、Mwが小さすぎると、組成物の塗布性及び保存安定性が低下する傾向がある。尚、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されたポリスチレン換算値である。
【0031】
上記重合体(A)は、加水分解性シラン化合物、即ち、上記化合物(1)〜(3)を出発原料として、この出発原料を有機溶媒に溶解し、この溶液中に水を断続的にあるいは連続的に添加して、加水分解縮合反応させることにより製造することができる。このとき、触媒を用いてもよい。この触媒は、予め、有機溶媒に溶解又は分散させておいてもよく、添加される水に溶解又は分散させておいてもよい。また、加水分解縮合反応を行うための温度は、通常、0℃〜100℃である。
尚、重合体(A)を製造する場合、上記化合物(1)、(2)及び(3)の混合物を加水分解縮合反応させてもよいし、各化合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方や、選択された化合物の混合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方を用いて、加水分解縮合反応又は縮合反応させてもよい。
【0032】
上記加水分解縮合反応を行うための水としては、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましい。また、上記水は、用いられる加水分解性シラン化合物のアルコキシル基1モル当たり0.25〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モルとなる量で用いられる。上述の範囲の量で水を用いることにより、形成される塗膜の均一性が低下するおそれがなく、且つ、組成物の保存安定性が低下するおそれが少ない。
【0033】
上記有機溶媒は、特に限定されず、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
【0034】
上記触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸等が挙げられる。
【0035】
上記金属キレート化合物としては、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。具体的には、特開2000−356854号公報等に記載されている化合物等を用いることができる。
上記有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
上記無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等が挙げられる。
【0036】
上記触媒としては、金属キレート化合物、有機酸及び無機酸が好ましい。上記触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記触媒の使用量は、上記加水分解性シラン化合物100質量部に対して、通常、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜10質量部である。
【0037】
また、加水分解縮合反応を行った後には、メタノール、エタノール等の低級アルコール類等の反応副生成物の除去処理を行うことが好ましい。これにより、基板に対して優れた塗布性を有し、しかも、良好な保存安定性を有する組成物を得ることができる。
反応副生成物の除去処理の方法としては、加水分解物及び/又はその縮合物の反応が進行しない方法であれば、特に限定されず、例えば、反応副生成物の沸点が上記有機溶媒の沸点より低いものである場合には、減圧によって留去することができる。
【0038】
また、上記重合体(A)は、重合体溶液から単離して用いてもよいし、重合体溶液のまま用いてもよい。尚、重合体溶液として用いる場合、必要に応じて、後述の溶媒(D)に溶剤置換されたものであってもよい。
【0039】
本発明のネガ型感放射線性組成物において、上記重合体(A)は、単独で含まれてよいし、2種以上の組合せで含まれてもよい。
【0040】
1−2.酸発生剤(B)
この酸発生剤(B)は、本発明の組成物を用いて得られた被膜を露光した際に、酸を発生するものである。そして、露光により発生した酸の作用によって、重合体(A)が架橋し、その結果、レジスト被膜における露光部がアルカリ現像液に難溶性となり、ネガ型のレジストパターンを形成せしめるものである。
【0041】
上記酸発生剤(B)としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0042】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0043】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0044】
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート等のトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物;
【0045】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0046】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0047】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0048】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0049】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド等のスクシンイミド類化合物;
【0050】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等が挙げられる。
【0051】
これらのうち、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート等が好ましい。
尚、これらの酸発生剤(B)は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
本発明の組成物に含まれる上記酸発生剤(B)の含有量は、レジストとしての感度及び解像性を確保する観点から、上記重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.1〜15質量部である。この酸発生剤の含有量が0.1質量部未満の場合、感度及び解像性が低下する傾向がある。一方、30質量部を超える場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0053】
1−3.酸増殖剤(C)
この酸増殖剤(C)は、酸の不存在下では安定であるが、本発明の組成物を用いて得られた被膜を露光した際に、好ましくは、酸(通常、酸発生剤(B)に由来する酸)の存在下、非可逆的に分解されて酸を増殖生成する成分である。即ち、酸増殖剤(C)は、酸触媒反応によって分解して、酸(R−SOH等)を発生し、1分子の分解反応で、1つの酸が増えて、連鎖的に分解反応が進行する。
尚、発生した酸自体による酸増殖剤(C)の自己分解を誘起させるために、ここで発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)を指標として、好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。pKaが3を超える弱い酸が発生した場合、自己分解が進行しにくい傾向にある。発生する酸として、好ましくは、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、2−チオフェンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0054】
上記酸増殖剤(C)は、好ましくは、炭素環骨格を形成する炭素原子に直接又は2価の有機基を介して、下記一般式(C−1)で表されるスルホナート基が結合されている化合物である。
−OSO−R (C−1)
〔式中、Rは、1価の有機基である。〕
【0055】
上記一般式(C−1)において、Rは1価の有機基であり、鎖状の有機基であってよいし、環状構造を有する有機基であってもよい。
【0056】
鎖状の有機基は、炭素数が好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8の有機基であり、例えば、非置換のアルキル基、少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、アミノ基、置換アミノ基等に置換されてなる置換アルキル基、非置換のアルケニル基、少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、アミノ基、置換アミノ基等に置換されてなる置換アルケニル基等が挙げられる。
非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
置換のアルキル基としては、アシル基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
また、非置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0057】
一方、環状構造を有する有機基は、脂環構造(架橋炭素環状を含む)、芳香環及び複素環から選ばれた少なくとも1種を含む有機基である。いずれも、1つの有機基に、同じ種類の環状構造を複数含んでもよい。即ち、例えば、芳香環を2つ含む有機基であってもよい。また、これらの有機基は、少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子、炭化水素オキシ基、アミノ基、置換アミノ基等に置換されてなる置換有機基であってもよい。
脂環構造を含む有機基としては、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ炭化水素基、トリシクロ炭化水素基及びこれらの置換体等が挙げられる。
芳香環は、単環及び/又は多環を含む有機基であってよく、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基、フェネチル基等のアラルキル基;ベンジル基、ナフチルメチル基等のアリールアルキル基;及びこれらの置換体等が挙げられる。
複素環は、単環及び/又は多環を含む有機基であってよく、従来、公知の複素環化合物から誘導される1価の基とすることができる。例えば、フラン、ピロール、ベンゾフラン、インドール、カルバゾール等の、ヘテロ原子を1つ含む五員環化合物及びその縮合環化合物;オキサゾール、ピラゾール等の、ヘテロ原子を2つ含む五員環化合物及びその縮合環化合物;ピラン、ピロン、クマリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン等の、ヘテロ原子を1つ含む六員環化合物及びその縮合環化合物;ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタルジン等の、ヘテロ原子を2つ含む六員環化合物及びその縮合環化合物、等から誘導された1価の有機基等が挙げられる。
【0058】
上記一般式(C−1)で表されるスルホナート基を有する化合物は、下記一般式(1−1)〜(1−6)に示される。
【化1】

〔式中、Rは、上記一般式(C−1)におけるそれと同じ意味であり、R11は、水素原子、1価の、鎖状の有機基、脂環構造を有する有機基、又は、芳香環を有する有機基であり、R12は、1価の、フッ素原子を含んでもよいアルキル基、脂環構造を有する有機基、又は、芳香環を有する有機基であり、Yは、単結合又は2価の有機基であり、Meは、メチル基である。〕
【0059】
上記一般式(1−2)、(1−3)及び(1−4)において、R11は、水素原子、1価の、鎖状の有機基、脂環構造を有する有機基、又は、芳香環を有する有機基である。鎖状の有機基、脂環構造を有する有機基、及び、芳香環を有する有機基は、上記一般式(C−1)におけるRが示す、1価の、鎖状の有機基、脂環構造を有する有機基、及び、芳香環を有する有機基の例示及びその説明をそのまま適用することができる。好ましいR11は、鎖状の有機基、脂環構造を有する有機基、及び、芳香環を有する有機基である。
【0060】
上記一般式(1−5)において、R12は、1価の、フッ素原子を含んでもよいアルキル基、脂環構造を有する有機基、又は、芳香環を有する有機基である。
フッ素原子を含んでもよいアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12の、非置換のアルキル基、又は、フッ化アルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
脂環構造を有する有機基、及び、芳香環を有する有機基は、上記一般式(C−1)におけるRが示す、1価の、脂環構造を有する有機基、及び、芳香環を有する有機基の例示及びその説明をそのまま適用することができる。
【0061】
また、上記一般式(1−5)において、Yは、単結合又は2価の有機基である。2価の有機基としては、下記式(1−5−1)で表される基が好ましい。
【化2】

【0062】
上記一般式(1−1)で表されるビシクロ化合物(デカリン誘導体)は、その1,6位に架橋結合を有し、一般式(1−2)で表されるビシクロ化合物は、その1,3位に架橋結合を有し、一般式(1−3)及び一般式(1−4)で表されるビシクロ化合物は、いずれも、その1,4位に架橋結合を有する。従って、これらのビシクロ化合物において、そのシクロヘキサン環のコンホーメーション変化は、高度に抑制され、その環構造は剛直性を示す。
【0063】
上記酸増殖剤(C)の具体例を以下に示す。
【化3】

【化4】

【0064】
上記酸増殖剤(C)は、例えば、対応するジオール化合物に、対応するスルホン酸のハロゲン化物を作用させることによって、容易に合成することができる。このジオール化合物には、シス型及びトランス型の2つの異性体が存在するが、シス体の方が熱的により安定であり、好適に用いられる。上記酸増殖剤(C)は、酸が共存しない限り、安定に保存できる。
【0065】
本発明の組成物に含まれる上記酸増殖剤(C)の含有量は、感度及び定在波改良効果の観点から、上記重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。この酸増殖剤(C)の含有量が1質量部未満の場合、定在波改良効果が十分に得られないことがあり、また感度が低下する傾向がある。一方、20質量部を超える場合、パターン形状、耐熱性等が低下する傾向がある。
【0066】
1−4.溶剤(D)
上記溶剤[C]は、通常、有機溶剤であり、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤、含ハロゲン溶剤等が挙げられる。
本発明の組成物においては、上記重合体(A)、酸発生剤(B)、酸増殖剤(C)等の成分が、この溶剤(D)に溶解又は分散されて含まれている。
【0067】
上記アルコール系溶剤としては、モノアルコール系溶剤、多価アルコール系溶剤、多価アルコール部分エーテル系溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
モノアルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
多価アルコール系溶剤としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
多価アルコール部分エーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
上記ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
上記アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
上記エーテル系溶剤としては、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
上記エステル系溶剤としては、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
上記脂肪族炭化水素系溶剤としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、イソプロピルベンセン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記含ハロゲン溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
上記溶剤(D)としては、本発明の組成物を用いて硬化パターンを形成する際に、塗膜をベーク(PB)した後、膜内残存溶剤量を低減させる観点から、沸点が150℃未満の有機溶剤を使用することが好ましい。特に、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
尚、上記溶剤(D)は、上記重合体(A)の合成時に、反応溶媒として用いた有機溶剤と同じものであってもよい。また、重合体(A)の合成が終了した後に、溶剤を所望の有機溶剤に置換することもできる。
【0077】
1−5.添加剤
本発明のネガ型感放射線性組成物には、上記必須成分に加えて、有機ポリマー、酸拡散制御剤、界面活性剤等の添加剤を含有することができる。
1−5−1.有機ポリマー
上記有機ポリマーは、高エネルギー線照射や加熱により分解し、硬化パターン中に気孔を形成するために用いられる成分であり、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体等が挙げられる。これらの重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
上記ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造等を有する重合体を用いることができる。具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合物;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエーテルエステル型化合物等が挙げられる。
【0079】
尚、上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のブロック構造を有する重合体を用いることができる。
−(X’)−(Y’)
−(X’)−(Y’)−(X’)
〔式中、X’は、−CHCHO−であり、Y’は、−CHCH(CH)O−であり、lは1〜90の整数であり、mは10〜99の整数であり、nは0〜90の整数である。〕
【0080】
上記有機ポリマーのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテル型化合物が好ましい。
【0081】
本発明の組成物が、有機ポリマーを含有する場合、その含有量は、上記重合体(A)100質量部に対して、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
【0082】
1−5−2.酸拡散制御剤
この酸拡散制御剤は、本発明の組成物を用いて得られた被膜を露光した際に、酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非照射領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、レジストとしての解像度が更に向上するとともに、照射から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
【0083】
上記酸拡散制御剤としては、レジストパターンを形成するために行われる露光や加熱処理により、塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
上記含窒素有機化合物としては、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
上記3級アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、ジエタノールアニリン等のアルカノールアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0085】
上記アミド基含有化合物としては、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−モルフォリン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0086】
上記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
上記含窒素複素環化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルフォリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0087】
上記酸拡散制御剤のうち、3級アミン化合物、アミド基含有化合物及び含窒素複素環化合物が好ましい。また、アミド基含有化合物のなかでは、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、含窒素複素環化合物のなかでは、イミダゾール類が好ましい。
【0088】
本発明の組成物が、酸拡散制御剤を含有する場合、その含有量は、上記重合体(A)100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。この含有量が15質量部を超える場合、レジストとしての感度及び露光部の現像性が低下する傾向がある。一方、0.001質量部未満である場合、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0089】
1−5−3.界面活性剤
この界面活性剤は、本発明の組成物の塗布性、ストリエーション、露光後の現像性等を改良する作用を有する成分である。この界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等が挙げられる。
また、市販品としては、以下、商品名で、「SH8400 FLUID」(東レ・ダウコーニング社製)、「KP341」(信越化学工業社製)、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.95」(以上、共栄社化学社製)、「エフトップEF301」、「エフトップEF303」、「エフトップEF352」(以上、トーケムプロダクツ社製)、「メガファックスF171」、「メガファックスF173」(以上、大日本インキ化学工業社製)、「フロラードFC430」、「フロラードFC431」(以上、住友スリーエム社製)、「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「サーフロンSC−101」、「サーフロンSC−102」、「サーフロンSC−103」、「サーフロンSC−104」、「サーフロンSC−105」、「サーフロンSC−106」(以上、旭硝子社製)等が挙げられる。 上記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0091】
本発明の組成物が、界面活性剤を含有する場合、その含有量は、上記重合体(A)100質量部に対して、通常、0.00001〜1質量部である。
【0092】
1−6.ネガ型感放射線性組成物の製造方法
本発明のネガ型放射線性組成物は、上記重合体(A)と、上記酸発生剤(B)と、上記酸増殖剤(C)と、上記溶剤(D)と、必要に応じて用いられる上記添加剤と、を混合することにより得られる。
また、本発明のネガ型放射線性組成物の固形分濃度は、目的、用途等に応じて、適宜、選択されるが、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。この固形分濃度が1〜50質量%である場合には、後述する硬化パターンの形成に好適な塗膜の膜厚を得ることができる。
【0093】
2.硬化パターン及びその形成方法
本発明の硬化パターン形成方法は、上記本発明のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程(以下、「工程(1)」という。)と、得られた被膜をベークする工程(以下、「工程(2)」という。)と、ベークされた被膜を露光する工程(以下、「工程(3)」という。)と、露光された被膜をベークする工程(以下、「工程(4)」という。)と、得られた被膜を現像液で現像し、ネガ型パターンを形成する工程(以下、「工程(5)」という。)と、得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程(以下、「工程(6)」という。)と、を備える。
【0094】
上記工程(1)では、基板にネガ型感放射線性組成物が塗布され、被膜が形成される。
ネガ型感放射線性組成物を塗布する方法としては、回転塗布法、流延塗布法、ロール塗布法等が挙げられる。この際、得られる被膜が所定の膜厚となるように、塗布方法、組成物の固形分濃度、粘度等を考慮の上、塗布条件が選択される。
上記基板としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層で被覆されたウェハ等が挙げられる。尚、ネガ型感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系或いは無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。
【0095】
上記工程(2)は、被膜をベーク(以下、「PB」という。)する工程であり、この工程により、被膜中の溶剤を揮発させる。
このPBの加熱条件は、組成物の配合組成によって、適宜、選択されるが、加熱温度は、好ましくは60℃〜150℃、より好ましくは70℃〜120℃である。
【0096】
上記工程(3)は、上記工程(2)により得られた被膜(乾燥被膜)を露光する工程である。この工程においては、通常、所望のパターンを形成するためのマスクパターンを有するフォトマスクを介して、下記に例示する放射線が、被膜に照射、即ち、露光される。これにより、放射線は、フォトマスクの開口部を通過し、更に露光用のレンズを通過して、被膜に達する。被膜における未露光部は、工程(5)により除去される。
【0097】
上記工程(3)において、使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等が挙げられる。これらのうち、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線及び電子線が好ましい。尚、露光条件は、被膜の組成(酸発生剤、添加剤の種類等)、厚さ等により、適宜、選択される。
【0098】
上記工程(4)は、露光された被膜をベーク(以下、「PEB」という。)する工程である。この工程により、露光部に含まれる重合体(A)等の架橋反応を円滑に進めることができる。
このPEBの加熱条件は、組成物の組成によって、適宜、選択されるが、加熱温度は、好ましくは30℃〜200℃であり、より好ましくは50℃〜170℃である。
【0099】
上記工程(5)は、上記工程(4)により得られた被膜を現像液で現像する工程である。即ち、上記工程(3)における被膜の未露光部を除去し、露光部を残存させて、上記フォトマスクの開口部のパターンを反映したネガ型パターンが形成される。
上記現像液としては、通常、アルカリ性化合物を水に溶解させてなるアルカリ性水溶液が用いられる。このアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記化合物のうち、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。上記アルカリ性化合物の濃度は、通常、10質量%以下である。この濃度が高すぎると、露光部も現像液に溶解する場合がある。
【0100】
上記現像液は、上記アルカリ性化合物のみを含む溶液であってよいし、有機溶剤、界面活性剤等を含む組成物であってもよい。
上記有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;フェノール、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。上記有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記現像液が有機溶剤を含む場合、その含有量は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、好ましくは100体積部以下である。この有機溶剤の含有量が多すぎる場合、現像性が低下して、上記工程(3)における未露光部の現像残りが多くなる場合がある。
【0101】
上記工程(5)において、上記現像液で現像した後、通常、水洗及び乾燥が行われる。
【0102】
次に、上記工程(6)は、上記工程(5)により得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程である。
上記工程(6)において、高エネルギー線照射により硬化処理を行う場合、電子線や紫外線等が用いられる。
また、加熱により硬化処理を行う場合、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を使用することができる。加熱条件は、特に限定されないが、雰囲気は、好ましくは不活性ガス又は真空中であり、温度は、好ましくは80℃〜450℃、より好ましくは300℃〜450℃である。尚、上記ネガ型パターンの硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的加熱を適用したり、窒素ガス、空気、酸素ガス、減圧等の雰囲気を選択したりすることができる。
上記硬化処理により、硬化被膜において、配向分極の大きい置換基や分子が低減され、また、膜中のポアの割合が増加するため、膜の比誘電率を低下させることができる。
【0103】
上記本発明の硬化パターン形成方法によって得られた硬化パターンを構成する被膜の比誘電率は、好ましくは1.5〜3.0とすることができ、より好ましくは1.5〜2.8とすることができる。上記比誘電率を有することで、本発明の硬化パターンは、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子を構成する各種膜部、例えば、層間絶縁膜として好適である。特に、銅ダマシンプロセスを含む半導体素子を構成する層間絶縁膜に有用である。
尚、この比誘電率は、重合体(A)を変量させたり、上記工程(6)における硬化処理の条件を選択することにより調節することができる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準である。
尚、下記の合成例により得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記条件によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により測定した。
<SEC測定条件>
測定試料は、濃度10mmol/LのLiBr−HPOの2−メトキシエタノール溶液を溶媒として使用し、重合体(A)0.1gを100mLの10mmol/L LiBr−HPOの2−メトキシエタノール溶液に溶解させたものを用いた。
標準試料:ポリエチレンオキサイド(WAKO社製)
装置:高速GPC装置「HLC−8120GPC」(型式名)、東ソー社製
カラム:長さ15cmの水系・極性有機溶媒系GPCカラム「TSK−GEL SUPER AWM−H」(東ソー社製)を直列に3本連結して使用
測定温度:40℃
流速:0.6ml/min.
検出器:RI(上記高速GPC装置に内蔵)
【0105】
1.重合体(A)の製造
合成例1(重合体(A)を含む溶液の製造)
コンデンサーを備える石英製三つ口フラスコ内を、窒素置換した後、フラスコに、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを入れて60℃で攪拌した。次に、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル%)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下して加水分解縮合反応を行った。その後、60℃で攪拌を継続し、上記反応溶液を全量滴下した後の経過時間が0.5時間、1時間及び3時間のときの反応液をそれぞれ取り出した。取り出した反応液を、それぞれ室温まで戻し、減圧下で濃縮し、下記式で表される構造単位を含む重合体(A)を含む溶液110gずつを得た。
これらの重合体(A)を、それぞれ、重合体(A−1)、重合体(A−2)及び重合体(A−3)とし、その溶液(重合体(A)の濃度:25%、溶媒:プロピレングリコールモノエチルエーテル)を、それぞれ、重合体溶液No.1、No.2及びNo.3とした。
尚、上記重合体(A−1)〜(A−3)における構造単位の割合a:bは、いずれも20:80(モル%)であり、Mwは(A−1)が2,000、(A−2)が3,000、(A−3)が7,000であった。
【0106】
【化5】

【0107】
合成例2(重合体(A)を含む溶液の製造)
窒素置換された石英製セパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン101.5g(0.75モル%)、ビス(トリエトキシシリル)エタン134.1g(0.38モル%)及びプロピレングリコールモノエチルエーテル642.3gを入れ、この原料を水浴で60℃に加熱した。その後、攪拌下、20%マレイン酸水溶液2.2g及び超純水120.0gを加えて65℃で加水分解縮合反応を行った。次いで、60℃で撹拌の継続し、上記反応溶液を全量滴下した後の経過時間が0.5時間、1時間及び3時間のときの反応液をそれぞれ取り出した。取り出した反応液を室温まで戻し、減圧下で濃縮し、下記式で表される構造単位を含む重合体(A)を含む溶液360gを、それぞれ、得た。これらの重合体を、それぞれ、重合体(A−4)、重合体(A−5)及び重合体(A−6)とし、その溶液(重合体(A)の濃度:25%、溶媒:プロピレングリコールモノエチルエーテル)を、それぞれ、重合体溶液No.4、No.5及びNo.6とした。
尚、上記重合体(A−4)〜(A−6)における構造単位の割合a:bは、いずれも80:20(モル%)であり、Mwは(A−4)が2,400、(A−5)が3,800、(A−6)が8,200であった。
【0108】
【化6】

【0109】
2.ネガ型感放射線性組成物の製造及び評価
ネガ型感放射線性組成物の製造に際して用いた、酸発生剤(B)、酸増殖剤(C)、酸拡散制御剤(E)及び界面活性剤(F)は、以下のとおりである。
2−1.酸発生剤(B)
B−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
2−2.酸増殖剤(C)
C−1:シス−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ピナノール
C−2:4,4'―イソプロピリデンビスシクロヘキシル・ビス(p−トルエンスルホネート)
C−3:1,4−ビス(3,3,3−トリフルオロエタンスルホニルオキシ)シクロヘキサン
2−3.酸拡散制御剤(E)
E−1:N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール
2−4.界面活性剤(F)
F−1:東レ・ダウコーニング社製「SH8400 FLUID」(商品名)
【0110】
実施例1〜11及び比較例1〜4
表1に示す割合で、上記合成例で得られた重合体溶液(重合体(A)を25%含む溶液)と、酸発生剤(B)と、酸増殖剤(C)と、酸拡散制御剤(E)と、界面活性剤(F)とを混合し、ネガ型感放射線性組成物を調製した。尚、これらの組成物の調製の際には、上記成分(A)、(B)、(C)、(E)及び(F)からなる固形分濃度が17%となるように、溶剤(D)として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加した。
【0111】
【表1】

各組成物について、以下の項目について評価した。これらの結果を表2に示す。
(1)パターン形状及び定在波
露光光として、KrFエキシマレーザー及びArFエキシマレーザーを用いて、以下の要領で、線幅350nmのライン・525nmスペースパターン(1L1.5S)を形成させ、その断面形状を観察した。この際、図1に示す断面形状に基づき、定在波を判定した。断面形状の観察には、走査電子顕微鏡「S−4800」(型式名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
○・・・(a)、(b)、(c)
×・・・(d)、(e)、(f)
【0112】
(1−1)KrF露光
基板として、反射防止膜が形成されていない8インチシリコンウェハと、SiCを蒸着した8インチシリコンウェハを用いた。SiCを蒸着した8インチウエハの反射率は高速分光エリプソメーター「M−2000」(J.A.Woollam社製)より求めた屈折率パラメーター(n)及び消衰係数(k)を元に、シュミレーションソフト「プロリス」(KLA−Tencor社製)から算出し、1.5%であった。半導体製造装置「CLEAN TRACK ACT8」(型式名、東京エレクトロン社製)を用いて、表1の組成物(実施例1及び3〜13並びに及び比較例1、2及び4〜6)を、上記基板にスピンコートした後、表2の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚880nmの被膜を形成した。次いで、この被膜に、KrFエキシマレーザー露光装置「NSR S203B」(型式名、NIKON社製)を用い、NA=0.60、σ=0.55の条件で、マスクパターンを有するフォトマスクを介して露光した。その後、表2に示す条件でPEBを行い、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像した。次いで、水洗及び乾燥して、ネガ型パターンを形成した。その後、窒素雰囲気下、420℃で30分間加熱することにより硬化パターンを得た。
【0113】
(1−2)ArF露光
基板として、反射防止膜の塗布されていない8インチシリコンウェハを用いた。半導体製造装置「CLEAN TRACK ACT8」(型式名、東京エレクトロン社製)を用いて、表1の組成物(実施例2及び比較例3)を、上記基板上にスピンコートした後、表2の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚200nmの被膜を形成した。次いで、この被膜に、ArFエキシマレーザー露光装置「NSR S306C」(型式名、NIKON社製)を用い、NA=0.78、σ=0.90−1/2輪帯照明の条件で、マスクパターンを有するフォトマスクを介して露光した。その後、表2に示す条件でPEBを行い、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像した。次いで、水洗及び乾燥して、ネガ型パターンを形成した。その後、窒素雰囲気下、420℃で30分間加熱することにより硬化パターンを得た。
【0114】
(2)比誘電率測定
基板として、0.1Ω・cm以下の抵抗率を有する8インチのN型シリコンウエハを用いた。半導体製造装置「CLEAN TRACK ACT8」(型式名、東京エレクトロン社製)を用いて、表1の組成物(実施例1〜13及び比較例1〜6)を、上記基板上にスピンコートした後、表2の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚600nmの被膜を形成した。次いで、この被膜に、KrFエキシマレーザー液浸露光装置「NSR S203B」(型式名、NIKON社製)を用い、NA=0.68、σ=0.75の条件でマスクを介さずにウェハ全面を露光した。その後、表2に示す条件でPEBを行い、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像した。次いで、水洗及び乾燥し、窒素雰囲気下、420℃で30分間加熱し、硬化膜を得た。
得られた硬化膜の比誘電率は、アジデント社製の「HP16451B電極」及び「HP4284AプレシジョンLCRメーター」を用い、CV法により測定した。測定条件は、温度が200℃、周波数が100kHzである。尚、測定用のサンプルは、上記硬化膜の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成したものを用いた。
【0115】
【表2】

【0116】
表2から明らかなように、実施例1〜13によって、本発明の組成物が、十分なパターン形成能を有し、反射率が1.0%以上の高反射率基板上においても、定在波のない良好な硬化パターンを形成することが確認された。また、本発明の組成物により形成された硬化膜(硬化パターン)の比誘電率は、いずれも2.8以下であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のネガ型感放射線性組成物によれば、それ自身が感放射線性の性質を有して、所望の形状のパターンを形成することが可能である。そして、得られたレジスト被膜に対して、硬化処理を施すことにより、比誘電率の低い膜が得られることから、半導体素子等の層間絶縁膜として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、及び下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体と、
(B)感放射線性酸発生剤と、
(C)酸増殖剤と、
(D)溶剤と、
を含有することを特徴とするネガ型感放射線性組成物。
Si(OR4−a (1)
〔式中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基又はアルキルカルボニルオキシ基であり、Rは、1価の有機基であり、aは1〜3の整数である。〕
Si(OR (2)
〔式中、Rは、1価の有機基である。〕
【請求項2】
前記酸増殖剤(C)は、炭素環骨格を形成する炭素原子に直接又は2価の有機基を介して、下記一般式(C−1)で表されるスルホナート基が結合されている化合物である請求項1に記載のネガ型感放射線性組成物。
―OSO―R (C−1)
〔式中、Rは、1価の有機基である。〕
【請求項3】
前記重合体(A)のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が4,000未満である請求項1又は2に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるRがメチル基である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項5】
前記感放射線性酸発生剤(B)の含有量が、前記重合体(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項6】
更に、(E)酸拡散抑制剤を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項7】
前記ネガ型感放射線性組成物が、放射線によりパターン形成可能な低誘電率膜形成用組成物である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項8】
(1)請求項1乃至7のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程と、
(2)得られた被膜をベークする工程と、
(3)ベークされた被膜を露光する工程と、
(4)露光された被膜をベークする工程と、
(5)得られた被膜を現像液で現像し、ネガ型パターンを形成する工程と、
(6)得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも一方の硬化処理を施し、硬化パターンを形成する工程と、を備えていることを特徴とする硬化パターン形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の硬化パターン形成方法によって得られることを特徴とする硬化パターン。
【請求項10】
硬化パターンを構成する被膜の比誘電率が1.5〜3である請求項9に記載の硬化パターン。

【図1】
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【公開番号】特開2011−48200(P2011−48200A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197358(P2009−197358)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】