説明

ハイブリッド自動車

【課題】内燃機関によって駆動されて電動機を含む冷却対象に冷却液体を供給する機械式オイルポンプを備えるものにおいて、電動機の過度の温度上昇を抑制すると共に車両全体としてのエネルギ効率の低下を抑制する。
【解決手段】エンジンを間欠運転してよいときに値0が設定されると共にエンジンの運転停止を禁止すべきときに値1が設定される運転停止禁止フラグFが値0のときには(S310)、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上に至ったときに運転停止禁止フラグFに値1を設定する(S330)。そして、設定した運転停止禁止フラグFが値0のときには、エンジンを間欠運転しながら走行するようエンジンと二つのモータを制御し、運転停止禁止フラグFが値1のときには、エンジンを継続して運転しながら走行するようエンジンと二つのモータとを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、第1の車軸に動力を出力可能な内燃機関と、第1の車軸または第1の車軸とは異なる第2の車軸に動力を出力可能な電動機と、電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、内燃機関によって駆動されて電動機を含む冷却対象に冷却液体を供給する機械式オイルポンプと、を備えるハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンからの動力とモータからの動力とを用いて走行可能なものにおいて、モータのロック(回転停止)を検出したときに、エンジンを自動停止しないものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】INSIGHT サービスマニュアル 構造編(7−8)、本田技研工業株式会社、平成21年2月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたハイブリッド自動車において、エンジンにより駆動される機械式オイルポンプによって冷却オイルをモータに供給してモータの冷却を行なうものでは、モータのロックを検出したときに、エンジンを自動停止せずに継続して運転すれば、冷却オイルがモータに継続して供給されることにより、モータの特定の相にだけ電流が流れ続けることに起因するモータの温度上昇を抑制することができる。しかしながら、モータのロックを検出したときでも、モータの温度が低いときなどモータを冷却オイルによって冷却する必要がないときには、エンジンを無駄に運転することになる場合があり、この場合、車両全体としてのエネルギ効率が悪化することになる。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車は、内燃機関によって駆動されて電動機を含む冷却対象に冷却液体を供給する機械式オイルポンプを備えるものにおいて、電動機の過度の温度上昇を抑制すると共に車両全体としてのエネルギ効率の低下を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
第1の車軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記第1の車軸または該第1の車軸とは異なる第2の車軸に動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、前記内燃機関によって駆動されて前記電動機を含む冷却対象に冷却液体を供給する機械式オイルポンプと、を備えるハイブリッド自動車であって、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の温度が該電動機の温度上昇を抑制すべき温度範囲の下限として定められた所定温度未満のときには、前記内燃機関が間欠運転されながら前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御し、前記電動機の温度が前記所定温度以上のときには、前記内燃機関が継続して運転されながら前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、電動機の温度が電動機の温度上昇を抑制すべき温度範囲の下限として定められた所定温度未満のときには、内燃機関が間欠運転されながら走行に要求される要求駆動力によって走行するよう内燃機関と電動機とを制御し、電動機の温度が所定温度以上のときには、内燃機関が継続して運転されながら要求駆動力によって走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。したがって、電動機の温度が所定温度以上のときには、内燃機関を継続して運転することにより、電動機の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、電動機の温度が低いときには、内燃機関を間欠運転することにより、内燃機関の運転を継続するものに比して燃料消費を抑制することができ、車両全体としてのエネルギ効率が低下するのを抑制することができる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記内燃機関を運転停止している状態で前記電動機の温度が前記所定温度以上になったときには、前記内燃機関を始動する手段である、ものとすることもできる。
【0010】
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記電動機から駆動力が出力されていて該電動機の回転子が回転停止しているときに前記電動機の温度が前記所定温度以上のとき、前記内燃機関が継続して運転されるよう制御する手段である、ものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、登坂路で前記電動機から駆動力が出力されていて該電動機の回転子が回転停止しているときに前記電動機の温度が前記所定温度以上のとき、前記内燃機関が継続して運転されるよう制御する手段である、ものとすることもできる。
【0011】
さらに、本発明のハイブリッド自動車において、動力を入出力可能な発電機と、前記第1の車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、ものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】モータ運転モードで走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。
【図5】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。
【図6】エンジン運転モードで走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。
【図7】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される運転停止禁止フラグ設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図9】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図10】変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関として構成されたエンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して複数のピニオンギヤ33を連結したキャリア34が接続されると共に駆動輪63a,63bにデファレンシャルギヤ62とギヤ機構60とを介して連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aにリングギヤ32が接続されて遊星歯車機構として構成された3軸式の動力分配統合機構30と、例えば永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する周知の同期発電電動機として構成されて動力分配統合機構30のサンギヤ31に回転子が接続されたモータMG1と、例えば永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する周知の同期発電電動機として構成されて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して回転子が接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力のやりとりを行なうバッテリ50と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。
【0015】
エンジン22のクランクシャフト26には、機械式オイルポンプ23が取り付けられている。この機械式オイルポンプ23は、エンジン22により駆動され、車両下部のオイルパンに貯留されている冷却オイル(オートマチックトランスミッションフルード:ATF)を動力分配統合機構30やモータMG1,MG2などの冷却対象に供給する。なお、冷却対象に供給された冷却オイルは、重力によってオイルパンに戻る。
【0016】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により吸入空気量調節制御や燃料噴射制御,点火制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどが入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための種々の制御信号、例えば、スロットルバルブや燃料噴射弁,点火プラグ,可変バルブタイミング機構への駆動制御信号などが出力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
【0017】
モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
【0018】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧やバッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてバッテリ50に蓄えられている蓄電量の全容量(蓄電容量)に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
【0019】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、モータMG2の温度を検出する温度センサ48からのモータ温度Tmoやイグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0020】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードおよび充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであるから、両者を合わせてエンジン運転モードとして考えることができる。
【0021】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22を始動するときを除いて所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
【0022】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,エンジン22を間欠運転してよいときに値0が設定されると共にエンジン22の運転停止を禁止すべき(エンジン22の運転を継続すべき)ときに値1が設定される運転停止禁止フラグFなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、運転停止禁止フラグFは、後述の運転停止禁止フラグ設定ルーチンにより設定されたものを読み込んで入力するものとした。
【0023】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と車両に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めたりすることができる。
【0024】
続いて、運転停止禁止フラグFの値を調べる(ステップS120)。以下、まず、運転停止禁止フラグFが値0のとき即ちエンジン22を間欠運転してよいときについて説明し、その後、運転停止禁止フラグFが値1のとき即ちエンジン22の運転停止を禁止すべきときについて説明する。運転停止禁止フラグFが値0のときには、エンジン22が運転中であるか運転停止中であるかを判定し(ステップS130)、エンジン22が運転停止中であるときには、要求パワーPe*を、エンジン22を効率よく運転するためにエンジン22を始動した方がよい要求パワーPe*の範囲の下限として定められた閾値Pstartと比較し(ステップS140)、要求パワーPe*が閾値Pstart未満のときには、エンジン22の運転停止を継続した方がよいと判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に(ステップS150)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し(ステップS160)、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。こうした制御により、モータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。モータ運転モードで走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図4に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。
【0025】
ステップS140で要求パワーPe*が閾値Pstart以上のときには、エンジン22を始動した方がよいと判断し、エンジン22を始動する(ステップS180)。ここで、エンジン22の始動は、モータMG1からトルクを出力すると共にこのトルクの出力に伴って駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクをキャンセルするためのトルクをモータMG2から出力することによりエンジン22をクランキングし、エンジン22の回転数Neが所定回転数(例えば1000rpm)に至ったときに燃料噴射制御や点火制御などを開始することにより行なわれる。なお、このエンジン22の始動の最中も要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2の駆動制御が行なわれる。即ち、モータMG2から出力すべきトルクは、要求トルクTr*をリングギヤ軸32aに出力するためのトルクと、モータMG1によってエンジン22をクランキングする際にリングギヤ軸32aに作用するトルクをキャンセルするためのトルクと、の和のトルクとなる。
【0026】
エンジン22を始動すると、要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し(ステップS200)、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とエンジン22の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(2)によりモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*を計算する(ステップS210)。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図5に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン運転モードで走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図6に示す。図中、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
【0027】
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
【0028】
そして、要求トルクTr*にトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*を次式(3)により計算し(ステップS220)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量調節制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。こうした制御により、エンジン22から要求パワーPe*を効率よく出力して、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。ここで、式(3)は、図6の共線図から容易に導くことができる。
【0029】
Tm2*=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (3)
【0030】
こうしてエンジン22からの動力を用いた走行を開始すると、次回に本ルーチンが実行されたときに、ステップS120で運転停止禁止フラグFが値0のときには、ステップS130でエンジン22は運転中であると判定され、要求パワーPe*を、エンジン22を効率よく運転するためにエンジン22を運転停止した方がよい要求パワーPe*の上限として定められた閾値Pstopと比較し(ステップS190)、要求パワーPe*が閾値Pstopより大きいときには、エンジン22の運転を継続した方がよいと判断し、上述したステップS200〜S230の処理により、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して、本ルーチンを終了し、要求パワーPe*が閾値Pstop以下のときには、エンジン22を運転停止した方がよいと判断し、エンジン22の運転を停止し(ステップS240)、上述したステップS150〜S170の処理により、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信して、本ルーチンを終了する。なお、閾値Pstopとしては、閾値Pstartより若干小さな値が用いられる。
【0031】
ステップS120で運転停止禁止フラグFが値1のとき即ちエンジン22の運転停止を禁止すべきときには、エンジン22が運転中であるか運転停止中であるかを判定し(ステップS250)、エンジン22が運転停止中であるときには、上述したステップS180の処理と同様にエンジン22を始動する(ステップS260)。エンジン22の始動については前述した。
【0032】
エンジン22を始動すると、または、ステップS250でエンジン22が運転中であると判定されると、要求パワーPe*を閾値Pstopと比較し(ステップS270)、要求パワーPe*が閾値Pstopより大きいときには、上述したステップS200〜S230の処理により、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して、本ルーチンを終了し、要求パワーPe*が閾値Pstop以下のときには、エンジン22が自立運転されるようエンジン22の目標回転数Ne*にアイドル回転数Nidlを設定すると共にエンジン22の目標トルクTe*に値0を設定し(ステップS280)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS290)、モータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS220)、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。
【0033】
以上、駆動制御について説明した。次に、この駆動制御で用いる運転停止禁止フラグFを設定する処理について説明する。図7は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される運転停止禁止フラグ設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図2の駆動制御ルーチンと並行して、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0034】
運転停止禁止フラグ設定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、温度センサ48からモータMG2の温度であるモータ温度Tmoを入力し(ステップS300)、運転停止禁止フラグFの値を調べ(ステップS310)、運転停止禁止フラグFが値0のときには、モータ温度Tmoを許容温度Tmomaxより低い温度範囲の下限として定められた所定温度Tmorefと比較する(ステップS320)。ここで、所定温度Tmorefは、モータ温度Tmoが許容温度Tmomaxを超えないようにするためにモータMG2の温度上昇を抑制すべき温度範囲の下限として定められ、例えば、許容温度Tmomaxが220℃や230℃,240℃などのときに180℃や190℃や200℃などを用いることができる。モータ温度Tmoが所定温度Tmoref未満のときにはそのまま本ルーチンを終了し、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上のときには運転停止禁止フラグFに値1を設定して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。こうして運転停止禁止フラグFに値1が設定されると、上述したように、要求パワーPe*に拘わらずエンジン22が継続して運転されるから、機械式オイルポンプ23が駆動されて動力分配統合機構30やモータMG1,MG2などの冷却対象に冷却オイルが供給される。これにより、モータ温度Tmoの過度の温度上昇を抑制することができる。
【0035】
ステップS310で運転停止禁止フラグFが値1のときには、モータ温度Tmoを所定温度Tmorefよりマージンα(例えば、5℃や10℃,15℃など)だけ低い温度と比較し(ステップS340)、モータ温度Tmoが温度(Tmoref−α)以上のときにはそのまま本ルーチンを終了し、モータ温度Tmoが温度(Tmoref−α)未満のときには、運転停止禁止フラグFに値0を設定して(ステップS350)、本ルーチンを終了する。運転停止禁止フラグFが頻繁に切り替わると、要求パワーPe*が閾値Pstart,閾値Pstop近傍のときにエンジン22の始動停止の頻度が多くなりやすい。マージンαは、運転停止禁止フラグFの値が頻繁に切り替わらないようにするために、ヒステリシスを持たせるためのものである。
【0036】
いま、登坂路でアクセルペダル83が踏み込まれて保持されていて車両が停止しているときなど、登坂路でモータMG2からある程度のトルクが出力されていてモータMG2の回転子が回転停止しているときを考える。このときには、モータMG2の固定子に巻回された三相コイルの特定の相にだけ大きな電流が流れることによってモータ温度Tmoが上昇しやすい。このため、モータMG2が回転停止しているときにエンジン22を継続して運転するものとすれば、機械式オイルポンプ23によってモータMG2などに冷却オイルが継続して供給され、モータ温度Tmoの上昇を抑制することができる。しかしながら、このとき、モータ温度Tmoに拘わらずにエンジン22を継続して運転するものとすると、モータ温度Tmoが低く要求パワーPe*も小さいとき、即ち、モータMG2を冷却する必要がなく且つエンジン22を運転停止してもよいときに、エンジンを無駄に運転することになり、車両全体としてのエネルギ効率が悪化することになる。したがって、実施例では、モータMG2が回転停止しているか否かではなく、モータ温度Tmoを用いて、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上に至ったときにはエンジン22の運転停止を禁止し(エンジン22の運転を継続し)、その後に、モータ温度Tmoが温度(Tmoref−α)未満に至ったときにはエンジン22の間欠運転を許容するものとした。これにより、モータ温度Tmoの過度の上昇を抑制すると共に車両全体としてのエネルギ効率の低下を抑制することができる。なお、本発明は、登坂路でモータMG2からある程度のトルクが出力されていてモータMG2の回転子が回転停止しているときについて説明したが、登坂路や、モータMG2からある程度のトルクが出力されていてモータMG2の回転子が回転停止しているときに限定されるものではなく、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上のときにエンジン22を継続して運転するものであればよい。
【0037】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref未満のときには、要求パワーPe*に応じてエンジン22を間欠運転しながら要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上に上昇したときには、要求パワーPe*に拘わらずエンジン22を継続して運転しながら要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するから、モータ温度Tmoの過度の上昇を抑制すると共に車両全体としてのエネルギ効率の低下を抑制することができる。
【0038】
実施例のハイブリッド自動車20では、運転停止禁止フラグFの値を値0から値1に切り替えるときと値1から値0に切り替えるときとでモータ温度Tmoに対してヒステリシスを持たせるものとしたが、こうしたヒステリシスを持たせないものとしてもよい。
【0039】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸が接続された車軸(駆動輪63a,63bに接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0040】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すると共にモータMG2からの動力をリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、駆動輪63a,63bに接続された駆動軸に変速機230を介してモータMGを取り付け、モータMGの回転軸にクラッチ229を介してエンジン22を接続する構成とし、エンジン22からの動力をモータMGの回転軸と変速機230とを介して駆動軸に出力すると共にモータMGからの動力を変速機230を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。また、図10の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22からの動力を変速機330を介して駆動輪63a,63bに接続された車軸に出力すると共にモータMGからの動力を駆動輪63a,63bに接続された車軸とは異なる車軸(図10における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0041】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、機械式オイルポンプ23が「機械式オイルポンプ」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて苦闘軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する図2の駆動制御ルーチンのステップS110の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、モータMG2の温度であるモータ温度Tmoが所定温度Tmoref未満のときには運転停止禁止フラグFに値0を設定し、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上に至ったときにはその後にモータ温度Tmoが所定温度Tmorefよりマージンαだけ低い温度(Tmoref−α)未満に至るまで運転停止禁止フラグFに値1を設定する図7の運転停止禁止フラグ設定ルーチンを実行すると共に、運転停止禁止フラグFが値0のときには、エンジン22を間欠運転しながら要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を必要に応じて設定してエンジンECU24やモータECU40に送信し、運転停止禁止フラグFが値1のときには、要求パワーPe*に拘わらずエンジン22を継続して運転しながら要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図2の駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したときに目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したときにトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
【0042】
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、第1の車軸に動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、第1の車軸または該第1の車軸とは異なる第2の車軸に動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるタイプの二次電池であっても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクTr*を設定するものなど、走行に要求される要求トルクを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、モータMG2の温度であるモータ温度Tmoが所定温度Tmoref未満のときには運転停止禁止フラグFに値0を設定し、モータ温度Tmoが所定温度Tmoref以上に至ったときにはその後にモータ温度Tmoが所定温度Tmorefよりマージンαだけ低い温度(Tmoref−α)未満に至るまで運転停止禁止フラグFに値1を設定し、設定した運転停止禁止フラグFが値0のときには、エンジン22を間欠運転しながら要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を必要に応じて設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、運転停止禁止フラグFが値1のときには、要求パワーPe*に拘わらずエンジン22を継続して運転しながら要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2を設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、電動機の温度が予め定められた所定温度未満のときには、内燃機関が間欠運転されながら要求駆動力によって走行するよう内燃機関と電動機とを制御し、電動機の温度が所定温度以上のときには、内燃機関が継続して運転されながら要求駆動力によって走行するよう内燃機関と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0043】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0044】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 機械式オイルポンプ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 温度センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、229 クラッチ、230,330 変速機、MG,MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記第1の車軸または該第1の車軸とは異なる第2の車軸に動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、前記内燃機関によって駆動されて前記電動機を含む冷却対象に冷却液体を供給する機械式オイルポンプと、を備えるハイブリッド自動車であって、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の温度が該電動機の温度上昇を抑制すべき温度範囲の下限として定められた所定温度未満のときには、前記内燃機関が間欠運転されながら前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御し、前記電動機の温度が前記所定温度以上のときには、前記内燃機関が継続して運転されながら前記設定された要求駆動力によって走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えるハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、前記内燃機関を運転停止している状態で前記電動機の温度が前記所定温度以上になったときには、前記内燃機関を始動する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、前記電動機から駆動力が出力されていて該電動機の回転子が回転停止しているときに前記電動機の温度が前記所定温度以上のとき、前記内燃機関が継続して運転されるよう制御する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項4】
請求項3記載のハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、登坂路で前記電動機から駆動力が出力されていて該電動機の回転子が回転停止しているときに前記電動機の温度が前記所定温度以上のとき、前記内燃機関が継続して運転されるよう制御する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
動力を入出力可能な発電機と、
前記第1の車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、
を備えるハイブリッド自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−96584(P2012−96584A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243859(P2010−243859)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】