説明

バイパスを備えた分注デバイス

複数の成分を分注するためのデバイスが、少なくとも1つの貯蔵容器16及び第2の貯蔵容器17を含むシリンジ・ハウジング15を含む。貯蔵容器16は、少なくとも2つのチャンバ9、10に分割され、バイパス構成部を有する。第2の貯蔵容器17は、バイパス構成部を備えていることもあり、備えていないこともある。シリンジ・ハウジングは、ダブル・プランジャと、共通の出口とを有するダブル・シリンジ又はダブル・カートリッジの一部として実現される。バイパス構成部18、18Aは、少なくとも2つのへこみ部18B、18Cを含む。そのようなデバイスは、製造が簡単であり、成分、特に粉体及び流体の混合を改善する。そして、分注の衛生条件を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の成分を分注するためのデバイスに関するものである。そのデバイスは、少なくとも1つの貯蔵容器を含み、貯蔵容器は、少なくとも2つのチャンバに分割され、バイパス構成部を備えており、ダブル・シリンジのシリンジ・ハウジングの一部を形成する。
【背景技術】
【0002】
医療において、二成分材料として、粘着剤、骨セメント、又はゲルを、ダブル・シリンジ又はダブル・カートリッジに貯蔵することは周知である。これらを適用するために、材料は、静的ミキサ又は噴霧システムなどによって混合され、分注される。
【0003】
主に医療において、3つ又は4つの成分から構成される材料がますます使用されている。これらは個々のレセプタクルに別個に貯蔵され、先行技術によれば、第3又は第4の成分は、それぞれ対応する液体と一緒にされる。そして、必要であれば、混合され、又は溶解され、次いでダブル・シリンジの中に入れられる。そして、分注する操作の間に、引き続いて混合される。とりわけ、衛生法規への遵守が要求されることを考慮すると、概して、これは複雑な手順である。
【0004】
前述のデバイスは、欧州特許第0210160B2号によって知られている。この文献においては、各貯蔵容器が、バイパス構成部としての1つのへこみ部を内壁面にそれぞれ備えている。へこみ部は、壁の外側面においては突出部として見える。へこみ部はそれぞれ1つしかないことから、各容器の対応する突出部は、その寸法を比較的大きくしなければならず、これが生産の問題をもたらすことがある。更に、貯蔵容器は異なる直径を有する。各容器は、前方ピストンと、浮動する後方ピストンとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0210160B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
異種の物質の場合、とりわけ、それらがそれぞれ粉体形状及び液体の場合、素早く、完全な混合することが、それらの効果的な適用において決定的に重要である。この先行技術を背景にして、本発明の目的は、製造するのに比較的簡単且つ安価であり、異なる物質を素早く、効果的に混合することを確実にするデバイスを提供することである。この目的は、請求項1によるデバイスによって達成される。更なる例示的な実施例及び効果は、従属請求項において定義される。
【0007】
以下において、例示的な実施例の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるデバイスの第1の例示的な実施例を示す縦部分断面図である。
【図2】二つの成分を混合し、続いて三つの成分の混合物を分注する間の、3つの異なるステップを示す図である。
【図3】二つの成分を混合し、続いて三つの成分の混合物を分注する間の、3つの異なるステップを示す図である。
【図4】二つの成分を混合し、続いて三つの成分の混合物を分注する間の、3つの異なるステップを示す図である。
【図5】図1のデバイスのバイパス構成部の変形例を示す図である。
【図6】図5の詳細を示す拡大図である。
【図7】図9のデバイスのバイパス構成部の変形例を示す図である。
【図8】図7の詳細を示す拡大図である。
【図9】本発明によるデバイスの第2の実施例を、空の状態で示す図である。
【図10】図9のデバイスを、満たされた状態で示す縦断面図である。
【実施例】
【0009】
図1の部分断面図は、貯蔵容器16及び17を有するシリンジ・ハウジング15、並びに、ミキサ14及びダブル・プランジャ7を備えたデバイス1を示す。貯蔵容器16は、バイパス構成部18、並びに、2つのピストン2及び3を有する。本発明の第1の実施例によると、バイパス構成部18は、一方の容器の中に少なくとも2つのへこみ部18B及び18Cを含む。先行技術の単一のへこみ部よりもそれぞれ小さい寸法であることから、対応する突出部はない。もう一方の貯蔵容器17は、1つのピストン4を有する。シリンジ・ハウジングの出口フランジ19は、結合手段20を備える。ここでは、バイヨネット結合手段の形態である。このバイヨネット結合手段20は、ミキサ14上でバイヨネット結合手段21と協働する。また、本発明の目的のために、他の結合手段が備えられてもよい。ミキサの代わりに、当技術分野でそれ自体は周知の噴霧システム、又は他の付属物が備えられてもよい。
【0010】
輸送の間、満たされたシリンジは、閉鎖キャップ13で閉じられている。ピストンが貯蔵容器をそれぞれのチャンバに分割している。それにより、出口に対して、前方チャンバ8及び後方チャンバ9が貯蔵容器16の中に形成され、チャンバ12が貯蔵容器17の中に形成されている。
【0011】
図2から図4を参照すると、それぞれを混合する操作、溶解する操作、及び全ての成分を一緒に分注する操作がより詳細に説明されている。図2では、前方チャンバ8が、粉体22によって満たされている。後方チャンバ9が、液体23で満たされている。チャンバ12が、別の液体、ゲル、又はペースト24によって満たされている。図2は、開始位置を図示している。この位置では、前方ピストン2がバイパス構成部の後方に位置しており、したがって、液体が出て行くことはできない。この位置では、閉鎖キャップがダブル・シリンジに取り付けられている。
【0012】
図3の位置では、閉鎖キャップ13が取り外されて、ミキサ14が取り付けられている。ダブル・プランジャ7が、出口に向けて動かされている。それにより、後方ピストン3を前方に押し進め、したがって、前方ピストン2も前方に押し進め、前方ピストン2がバイパス構成部18の高さに位置付けられている。この位置では、液体23が粉体22の中へと前方に流れ始めて、粉体22を溶解する。
【0013】
図4の位置では、液体の全てが粉体に移されて、その中で溶体22/23を形成している。一方で、バイパス構成部18はピストン2によって再び閉じられている。したがって、材料が逆流することはない。図4の位置では、ダブル・プランジャ7がピストン4も動かし始める。それにより、両方の媒体が同時にミキサ14に達して、ミキサ14の中で混合され、引き続いて分注される。
【0014】
図5及び図6では、バイパス構成部18の好ましい実施例の変形例が図示されている。図1から図4による第1の例示的な実施例では、バイパス構成部18は、容器の内壁における2つのへこみ部18B及び18Cの形態である。それに対して、図5及び図6による好ましい実施例の変形例では、バイパス構成部18は、複数の細長い凹部25の形態である。これらの凹部25は、シリンジ・ハウジング26の貯蔵シリンダ27の内側に位置付けられている。貯蔵容器28は、前述の実施例と同じでよい。残りの要素は、前述の実施例と同じである。2つのピストン2及び3、又は単一のピストン4も、それぞれ前述の実施例と同じである。
【0015】
複数の細長い凹部の形態のバイパス構成部の設計によって、様々な効果が得られる。これにより、一方では、チャンバ9の中の液体、及びチャンバ8の中の粉体の混合が実質的に改善する。さらに、先行技術において説明した通り、製造技術に関しては、いくつかの小さな凹部を作ることは、より大きなへこみ部及び突出部を作るよりも簡単である。これは、小さな内径を有するシリンジの場合に特に当てはまる。凹部の数は、使用目的に応じて異なってもよい。
【0016】
図7及び図8では、第2の実施例の変形例が図示されている。ここでは、シリンジ・ハウジング31の貯蔵容器29及び30の両方が、それぞれバイパス構成部18及び18Aを有している。それぞれのバイパス構成部は、いくつかの凹部25から構成される。製造技術の観点からは、2つのバイパス構成部、すなわちバイパスの個々の凹部を、両方の貯蔵容器において同じ寸法に設計することが推奨される。しかし、このことは絶対に必要であるというわけではない。これらはまた、混合される物質の種類に応じて、容器ごとに異なってもよい。更に、凹部の長さ及び位置の両方が、容器の間で、及び凹部自体の間で異なってよい。
【0017】
図9及び図10は、例示的な実施例を図示している。ここでは、デバイス36のシリンジ・ハウジング37の貯蔵容器34及び35の両方が、それぞれのバイパス構成部18及び18Aを備え、へこみ部18B、18C;18D、18Eを備えている。この例示的な実施例では、貯蔵容器34は、前述の実施例の貯蔵容器16と同じであり、同じチャンバ8及び9、並びに、ピストン2及び3を有している。ダブル・プランジャ7もまた前述の実施例と同じである。同様に、もう一方の貯蔵容器35は、前方チャンバ10及び後方チャンバ11、並びに、2つのピストン5及び6を有する。図10を見ると、両方の貯蔵容器は満たされている。後方チャンバは、それぞれ液体23を含み、前方チャンバは、粉体24、液体、ゲル、又はペーストを含んでいる。このダブル・シリンジの操作は、前述の実施例において説明と同じである。へこみ部18B及び18Cの代わりに、いくつかの凹部25をバイパス構成部として選択することもできる。
【0018】
シリンジ又はカートリッジの容器は、同じ直径、又は、例えば1:10までの比率で異なる直径を有してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成分を分注するためのデバイスであって、前記デバイスは、少なくとも1つの貯蔵容器(16)を含み、前記貯蔵容器(16)は、少なくとも2つのチャンバ(8、9)に分割され、バイパス構成部(18、18A)を備えており、ダブル・プランジャ(7)と、共通の出口フランジ(19)とを有するダブル・シリンジ(1、31、36)又はダブル・カートリッジのシリンジ・ハウジング(15、31、37)の一部を形成する、複数の成分を分注するためのデバイスにおいて、前記バイパス構成部(18、18A)は、少なくとも2つのへこみ部(18B〜18E)、又は凹部(25)を有することを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
バイパス構成部(18、18A)及び2つのピストン(2、3)を含む1つの貯蔵容器(16、27)と、1つのピストン(4)を含む1つの貯蔵容器(17、28)とを備えるシリンジ・ハウジング(15、26)を有することを特徴とする請求項1に記載されたデバイス。
【請求項3】
バイパス構成部(18、18A)と、2つのピストン(2、3;5、6)とをそれぞれ含む2つの貯蔵容器(29、30;34、35)を備えるシリンジ・ハウジング(37)を有することを特徴とする請求項1に記載されたデバイス。
【請求項4】
前記デバイスの共通の出口が、ミキサ(14)、噴霧システム、又は別の付属物を備えることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載されたデバイス。
【請求項5】
前記シリンジ・ハウジング(15、31、37)の前記フランジ(19)は、バイヨネット結合、プッシュ・オン結合、又はスナップ結合の手段(20)を有することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載されたデバイス。
【請求項6】
各貯蔵容器(16、27;29、30;34、35)の前記バイパス構成部(18、18A)の前記凹部(25)は、異なる長さ及び/又は位置を有することを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載されたデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−517585(P2011−517585A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501076(P2011−501076)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000099
【国際公開番号】WO2009/117838
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(507123729)メッドミックス システムズ アーゲー (24)
【Fターム(参考)】