説明

バラクタ、およびバラクタを製造する方法

バラクタは、次の各構成要素を含んでおり、すなわち、抵抗に関して正の温度係数を有する第1のPTC領域(4)と、コンデンサ領域(3)とを含んでおり、該コンデンサ領域は、第1の電極(2)と、第2の電極(2’)と、第1の電極(2)と第2の電極(2’)との間に配置された第1の誘電性層(1)とを含んでおり、
第1のPTC層(4)とコンデンサ領域(3)は熱伝導式に相互に結合されており、コンデンサ領域(3)のキャパシタンスは、第1のPTC領域(4)、コンデンサ領域(3)、または第1のPTC領域(4)およびコンデンサ領域(3)へのバイアス電圧の印加によって変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
請求項1に基づくバラクタが記載される。
バラクタの広く知られた問題の1つは、誘電性の観点から良好な同調可能性を実現することにある。
【0002】
バラクタは、キャパシタンスが印加される電圧に依存して決まる、ないしは印加する電圧を変えることによってキャパシタンスを変更することができる、電圧同調可能なコンデンサである。たとえばバラクタは、たとえばフィルタや移相器のように電気的な同調が行われる高周波回路で適用されている。バラクタは、たとえば電気的に同調することができる、無線周波数のための周波数フィルタとして利用することができる。半導体ダイオードバラクタは、低いQ値、低い耐久性、限られたキャパシタンス範囲しか有していない。それに対して、たとえばバイアス電圧の変更により強誘電性材料の誘電率を変えることによってキャパシタンスが同調される強誘電バラクタは、高いQ率、高い耐久性と同時に、広いキャパシタンス範囲を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態の課題は、コンデンサ領域のキャパシタンスをさまざまに異なる仕方で変更することができるバラクタを提供することにある。
【0004】
この課題は、請求項1に記載のバラクタによって解決される。バラクタのその他の実施形態、およびこれを製造する方法は、その他の従属請求項の対象となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態はバラクタに関するものであり、次の各構成要素すなわち、
−抵抗に関して正の温度係数を有する第1のPTC領域と、
−コンデンサ領域とを含んでおり、該コンデンサ領域は、
−−第1の電極と、
−−第2の電極と、
−−第1の電極と第2の電極との間に配置された第1の誘電性層とを含んでおり、
第1のPTC層とコンデンサ領域は熱伝導式に相互に結合されており、コンデンサ領域のキャパシタンスは、
−第1のPTC領域、
−コンデンサ領域、
−第1のPTC領域およびコンデンサ領域、
へのバイアス電圧の印加によって変更可能である。
【0006】
このような本発明によるバラクタでは、コンデンサ領域のキャパシタンスをさまざまに異なる仕方で変更することが可能である。このとき従来式のバラクタの場合と同じく、バイアス電圧をコンデンサ領域へ印加することができる。本発明の実施形態ではこれに加えて、PTC領域へのバイアス電圧の印加によっても、コンデンサ領域のキャパシタンスを変更することが可能である。さらには、PTC領域とコンデンサ領域の両方へそれぞれ独立した電圧を同時に印加することによって、コンデンサのキャパシタンスを変更することも可能である。このように、コンデンサ領域のキャパシタンスを変えるための3通りの選択肢が得られる。
【0007】
PTC領域へバイアス電圧を印加することで、当該領域の温度を制御することができる。PTC領域がコンデンサ領域と熱伝導式に結合されており、そのようにして第1の誘電性層とも熱伝導式に結合されていることにより、PTC領域でバイアス電圧により生成される熱が第1の誘電性層へと伝達される。第1の誘電性層の温度変化によって、たとえば第1の誘電性層の誘電率を変えることができ、このことは、コンデンサ領域のキャパシタンスの変化を帰結として伴う。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、第1のPTC領域は電圧の印加によって、第1の誘電性層が誘電性の観点から最大の同調可能性を有する温度に合わせて調整可能である。
【0009】
ここで同調可能性nとは、たとえば0Vである最小のバイアス電圧(εUmin)と、最大のバイアス電圧(εUmax)との間の誘電率εの差異を意味している。すなわち、バイアス電圧の印加によって第1の誘電性層の誘電率εに強い影響を及ぼすことができるほど、誘電性の観点からの同調可能性nは高くなる。このとき尽力する価値があるのは、できるだけ高い同調可能性を実現することである。本発明によるバラクタでは、第3の選択肢と組み合わせることができる、コンデンサ領域のキャパシタンスを変更する2つの別個の選択肢があることによって、バラクタを非常に広い範囲にわたって同調することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域は電圧の印加によって、コンデンサ領域の誘電損を調整可能である温度に合わせて調整可能である。
【0011】
最大の同調可能性と並ぶさらに別の目的は、コンデンサ領域の誘電損δも調整できるようにすることにある。このとき誘電損δは、できるだけ小さい値になるように調整されるのがよい。
【0012】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域は電圧の印加によって、バラクタができるだけ高いQ値を有する温度に合わせて調整可能である。
【0013】
Q−Factorとも呼ばれるQ値Kは、たとえば振動性回路のように振動する系の特定の特性を表す目安である。Q値は、特に、誘電損に対する同調可能性の比率を表している:K=(1−n)/[(n・tanδ(Umax)・tanδ(Umin)]ここで、nは、n = εUmin/εUmaxにより得られる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域は第1の電極の上に配置されている。
「上に配置されている」とは、本発明との関連においては、これら両方の層/領域の間にさらに別の層/領域があってよいことを意味している。このとき第1のPTC領域でバイアス電圧の印加によって生成される熱は、たとえば非常に高い熱伝導性を有する材料で製作された第1の電極を介して、第1の誘電性層に伝達することができる。第1の電極は、そのためにたとえば金属を含むことができる。
【0015】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域は、抵抗に関して正の温度係数を有するセラミック材料で成り立っており、すなわち、第1のPTC領域全体がセラミック材料によって構成されている。
【0016】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域はドーピング物質を有している。
このドーピング物質はたとえばPb、Ca、Sn、Zr、Sr、Bi、Hf、またはこれらのイオンの組み合わせであってよい。PTC領域にこのような元素をドーピングすることで、バイアス電圧の印加により実現することができる温度範囲を変えることができる。そのようにして、たとえばドーピングによって温度範囲を引き上げることができ、それにより、コンデンサ領域ないし第1の誘電性層へ伝達することができる熱を、いっそう多く生成することができる。
【0017】
ドーピング物質は、たとえばSi、Al、B、Cu、Zn、およびこれらの元素の組み合わせであってもよい。このような元素をドーピングすることで、たとえば収縮挙動や熱膨張係数といった焼結挙動に影響を及ぼすことができる。このとき第1のPTC領域の焼結挙動は、コンデンサ領域の焼結挙動に合わせて調整されるのが好ましい。
【0018】
さらに第1のPTC領域は、遷移金属/遷移金属酸化物または希土類金属/希土類金属酸化物およびこれらの組み合わせでドーピングされていてもよい。
【0019】
本発明の別の実施形態では、バラクタは、第1のPTC領域と第1の電極との間に配置され、ドーピング物質に対してほぼ不透過性である第1の中間層を追加的に含んでいる。
【0020】
第1の中間層は、ドーピング物質に対して完全に不透過性であるのが好ましい。中間層が第1のPTC領域のドーピング物質に対してほぼ、ないしは完全に不透過性であることにより、焼結プロセス中にもバラクタの作動中にも、ドーピング物質が第1のPTC領域からコンデンサ領域に入れないことが第1の中間層によって保証される。このようにして、コンデンサ領域の機能性が第1のPTC領域のドーピング物質によって損なわれることがない。このとき第1の中間層は、たとえば2A族に属する元素を含むことができる。このような元素は、たとえば酸化物として存在していてよい。第1の中間層は遷移金属でドーピングされていてよい。遷移金属は同じく酸化物として存在していてよい。2A族に族する元素および遷移金属は、受容体の特性を有する化合物を形成するのが好ましい。
【0021】
本発明の別の実施形態では、バラクタは、第1の中間層と第1の電極との間に配置された第2の誘電性層を追加的に含んでいる。
【0022】
第2の誘電性層により、コンデンサ領域と第1の中間層との間でいっそう広い空間的分離が行われる。それによって特に、PTC領域と中間層がコンデンサ領域に対して有害な影響を及ぼさないことを保証することができる。第2の誘電性層は、良好な熱伝導性を有しているのが好ましい。第2の誘電性層については、たとえば第1の誘電性層と同じ材料を用いることができる。第2の誘電性層は、第1の誘電性層と類似する焼結挙動を有しているのが好ましい。
【0023】
本発明の別の実施形態では、バラクタは、コンデンサ領域と熱伝導式に結合された第2のPTC領域を含んでいる。
【0024】
以上および以下において、第1のPTC領域についてたとえば材料の観点から、あるいはまた空間的配置の観点から説明する利点は、第2のPTC領域についてもこれに準じて同様に当てはまる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、バラクタは、第2のPTC領域と第2の電極との間に配置された第2の中間層を追加的に含んでいる。この第2の中間層は、第2のPTC領域のドーピング物質に対して相応にほぼ不透過性である。
【0026】
本発明の別の実施形態では、バラクタは、第2の中間層と第2の電極との間に配置された第3の誘電性層を追加的に含んでいる。
【0027】
第3の誘電性層については、第2の誘電性層との関連で説明したことに準ずる好ましい構成が当てはまる。
【0028】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域、第2のPTC領域、およびコンデンサ領域は積層を形成しており、第1のPTC領域と第2のPTC領域はコンデンサ領域の互いに向き合う側に配置されている。この積層は相上下して位置するセラミックフィルムを含んでいるのが好ましく、一番上および一番下のフィルムは第1および第2のコンデンサ領域の構成要素である。
【0029】
それにより、コンデンサ領域に向かい合う2つの側から熱を供給することが可能である。そのようにして、コンデンサ領域をいっそう均等に加熱することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域は電気接触部を有している。
ここで電気接触部とは、コンデンサ領域の第1の電極を意味するのではない。たとえば外部電極である電気接触部を介して、コンデンサ領域に電圧を印加することなく、第1のPTC領域に電圧を印加することができる。それにより、コンデンサ領域から独立して第1のPTC領域に電圧を供給することができる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、第2のPTC領域は電気接触部を有している。
これについては、第1のPTC領域およびその接触部との関連で上に説明したのと同様のことが当てはまるが、この接触部は、第1のPTC領域の接触部とは別個に成形されていてよい。
【0032】
別の実施形態では、第1の誘電性層は第1および第2の電極に加えて追加の電気接触部を有している。
【0033】
これはたとえば外部電極であってよい。これを介して、コンデンサ領域の動作電圧から独立した電圧を第1の誘電性層に印加することができる。このような電気接触部を介して電圧を印加することで、たとえば第1の誘電性層の誘電性を同調させることができる。
【0034】
本発明の別の実施形態では、第1のPTC領域はBa1−xSrTi1−yZrを含んでおり、このとき0<x<1;0≦y<1が成り立つ。
【0035】
上の説明に準じて、第1のPTC領域は追加的にドーピング物質を有することができる。
【0036】
別の実施形態では、第2のPTC領域はBa1−xSrTi1−yZrを含んでおり、このとき0<x<1;0≦y<1が成り立つ。
【0037】
第2のPTC領域のドーピング物質についても、上に第1のPTC領域に関して説明したのと同様のことが当てはまる。
【0038】
別の実施形態では、第1の誘電性層はBaSrTiZrを含んでおり、このとき0<x<1;0≦y<1が成り立つ。
【0039】
チタン酸バリウムないし相応にドーピングされたその派生物は、強誘電体であってよい。強誘電体と呼ばれるのは、外部の印加磁界がなくても分極を有している種類の材料である。強誘電体の特性は、特徴的な温度すなわちキュリー温度を上回ると消滅する。このような遷移のことを相転移と呼ぶ。この温度を超えると分極が消滅し、このときの物質を常誘電性と呼ぶ。強誘電性の状態にあるとき、正と負の電荷の中心は、たとえばアニオンとカチオンは、互いに相対的にシフトしている。たとえばチタン酸バリウムの場合、Ti4+は酸素イオンO2−に対して相対的にシフトしている。120℃を上回るとチタン酸バリウムの強誘電性が消滅し、常誘電性の誘電体と同じように振るまう。
【0040】
チタン酸バリウムストロンチウム(BST)では、三角面体の強誘電相から立方体の状誘電相への相転移がキュリー温度Tの領域で起こる。このとき厳密なキュリー温度Tは、チタン酸バリウムストロンチウムの厳密な組成すなわちドーピングに依存して決まる。
【0041】
本発明の別の実施形態では、第1の誘電性層は次のイオンのうちの1つまたはこれらの組み合わせを含んでいる:Pb,Ca,Sn,Zr,Sr,Bi,Hf。
【0042】
第1の誘電性層のドーピングにより、相転移が起こるキュリー温度Tをシフトさせることができる。それにより、PTC領域からの熱供給によって第1の誘電性層で達せられる温度領域へとキュリー温度Tをシフトさせることができる。このようにPTC領域への電圧の印加によって、およびその結果として生じて第1の誘電性層へ伝えられる熱によって、第1の誘電性層で相転移を引き起こすことができる。相転移を通じて、たとえば第1の誘電性層の誘電率εなどの強誘電特性ないし常誘電特性を変化させることができる。
【0043】
本発明の別の実施形態では、第1の誘電性層は次のドーピング物質のうちの1つないしこれらの組み合わせを含んでいる:Ni,Al,Mg,Fe,Cr,Mn。
【0044】
このようなドーピング物質を第1の誘電性層にドーピングすることで、コンデンサ領域の誘電損を低減することができる。
【0045】
本発明の別の実施形態では、第1の誘電性層は次のドーピング物質のうちの1つないしこれらの組み合わせを含んでいる:Si,Al,B,Cu,Zn。
【0046】
このようなドーピング物質を第1の誘電性層にドーピングすることで、たとえば第1の誘電性層の収縮挙動や熱膨張係数のような焼結挙動に影響を及ぼすことができる。バラクタのすべての誘電性層が、同等の焼結挙動を有しているのが好ましい。
【0047】
誘電性層は異なるセラミック相の混合物で成り立っていてもよく、すなわち、たとえばペロブスカイト相と誘電率の低い別の誘電性セラミック、たとえばジルコン酸塩、ケイ酸塩、チタン酸塩、アルミン酸塩、スズ酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、または希土類金族酸化物で成り立っていてよい。さらに第1の誘電性層は、1Aおよび2Aの族に属する元素を含むことができる。第1の誘電性層は、次の元素ないしその酸化物を含むこともできる:Ti,V,Cr,Mn,Zr,Nb,Mo,Hf,TaおよびW。第1の誘電性層は希土類金属の元素または酸化物、たとえばSc,Y,La,Ce,PrおよびNb、ならびにこれらの混合物を含むことができる。
【0048】
第1の誘電性層との関連で焼結挙動に関して行った説明は、バラクタのそれ以外の誘電性層にもこれに準ずる仕方で該当する。
【0049】
別の実施形態では、第2および/または第3の誘電性層はBa1−xSrTi1−yZrを含んでおり、このとき0<x<1;0≦y<1が成り立つ。
【0050】
第1の誘電性層との関連でドーピングに関して上に行った説明は、第2ないし第3の誘電性層にもこれに準ずる仕方で該当する。
【0051】
本発明の別の実施形態では、バラクタは第1の誘電性層に関して対称の構造を有している。
【0052】
このことは特に、第1の電極に後続するすべての層が、相応の順序で第2の電極に後続することを意味している。対応する各層は、相応の等しい層厚と、等しい外側寸法とをそれぞれ有しているのが好ましい。対応する各層は、同じ組成をそれぞれ有しているのが好ましい。このようにして、第1の誘電性層を通って延びる対称平面に関して、第1の誘電性層の一方の側にあるすべての層が、これと向かい合う他方の側に対応している。第1の側に関して述べた利点は、これと向かい合う側についても相応に当てはまる。
【0053】
バラクタの対称の構造により、第1の誘電性層が両方の側から等しく、すなわち印加される面全体にわたって同じ強さと同じ熱分布で、加熱されることを保証することができる。したがって、第1の誘電性層で一方の電極から他方の電極への温度勾配が回避され、そのようにして、第1の誘電性層の加熱により発生する同調効果も、その層の中で対称に発生する。
【0054】
本発明の別の実施形態では、バラクタは表面実装デバイス(SMD)として成形されている。
【0055】
本発明の別の実施形態では、バラクタは周囲に対して熱的に絶縁されている。このことは、たとえば低い熱伝導性を有する材料を用いて行うことができる。バラクタは、たとえばこのような材料で外装されていてよい。それにより、バイアス電圧の印加によって第1のPTC領域で生成される熱が、主としてコンデンサ領域へとさらに伝わり、周囲へはわずかな割合でしか伝わらないことが保証される。
【0056】
1つの実施形態では、第1の電極と第2の電極の間に配置された第1の誘電性層の層厚は14.5μmである。
【0057】
1つの実施形態では、第1の電極と第2の電極はそれぞれPdでできている。
バラクタに加えて、バラクタを製造する方法も権利申請される。
【0058】
上に説明したバラクタを製造する方法の1つの態様では、この方法は次の各方法ステップを含んでいる:
A)少なくとも次の各層を含んでいる積層を成形し:
−第1のPTC領域
−第1の電極
−第1の誘電性層
−第2の電極
B)A)の積層を焼結し、それにより、第1のPTC領域、コンデンサ領域、または第1のPTC領域とコンデンサ領域へのバイアス電圧の印加によってコンデンサ領域のキャパシタンスを変更することができるバラクタが形成される。
【0059】
このような方法を通じて、たとえば上に説明したようなバラクタを製造することができる。相応の層/領域について、バラクタとの関連で上に説明した材料を適用することができる。
【0060】
本方法の別の態様では、方法ステップA)でドーピング物質を含む第1のPCT領域が生成され、第1のPTC領域と第1の電極の間に配置された、ドーピング物質に対してほぼ不透過性である第1の中間層が成形される。
【0061】
第1の中間層は、イオンに対して完全に不透過性であるのが好ましい。方法ステップA)でこのような中間層を形成することで、次の方法ステップB)でも焼結のときにも、およびバラクタの作動時にも、たとえばPTC領域から第1の誘電性層へのドーピング物質の移転を防止することができる。それにより、たとえばドーピング物質がコンデンサ領域に入り、そこでコンデンサ領域の機能性を損なうことが回避される。
【0062】
方法ステップA)の積層は、すでに挙げた層に加えて、バラクタとの関連で上に説明したいずれの層でも追加的に含むことができる。
【0063】
セラミック層には、焼結温度を引き下げるために、たとえばガラス相のような焼結補助剤を添加することができる。それにより、低い温度ですでに焼結することができ、たとえば融点の低い電極とともに焼結することもできる、複雑なセラミック系を構成することができる。このようなセラミック系は、LTCC(low temperature co−fired ceramic低温同時焼成セラミック)とも呼ばれる。
【0064】
本方法の1つの態様では、焼結温度は800℃から1600℃の範囲内にある。
本方法の別の態様では、追加の方法ステップで電気接触部が第1のPTC領域に塗布される。
【0065】
本方法の別の態様では、方法ステップA)の積層は第2のPTC領域を追加的に含んでいる。
【0066】
本方法の別の態様では、追加の方法ステップで電気接触部が第2のPTC領域に塗布される。
【0067】
電気接触部の塗布は、たとえばスパッタリングやスクリーン印刷によって、あるいはその他の析出技術によって行うことができる。
【0068】
第1の電極および第2の電極については、たとえばPdを用いることができる。
製造方法の別の態様では、個々の層/領域は、それらが互いに接合されて積層になる前に焼結される。互いの接合はたとえば付着剤を用いて行うことができる。付着剤はたとえばエポキシを含むことができる。
【0069】
次に、図面と実施例を参照しながら本発明の態様について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図面の簡単な説明
【図1】本発明によるバラクタの第1の実施形態を示す模式的な断面図である。
【図2】第1の誘電性層に関して対称の構造を有する、本発明によるバラクタの実施形態を示す模式的な断面図である。
【図3】両方のPTC領域にそれぞれ電気接触部を有する、本発明によるバラクタの実施形態を示す模式的な断面図である。
【図4】第1の誘電性層が電気接触部を追加的に有する、本発明によるバラクタの実施形態を示す模式的な断面図である。
【図5】PTC領域に印加されるバイアス電圧に依存する誘電率εと誘電損tanδの推移である。
【図6】PTC領域に印加されるさまざまなバイアス電圧に依存する、第1の誘電性層のバイアス電圧に対してプロットしたキャパシタンスと誘電率εの推移である。
【図7】PTC領域のさまざまなバイアス電圧について、第1の誘電性層のバイアス電圧に対してプロットした同調可能性である。
【図8】PTC領域のバイアス電圧に対してプロットしたQ値Kである。
【図9】PTC領域のさまざまなバイアス電圧について、第1の誘電性層のバイアス電圧に対してプロットしたQ値Kである。
【図10】さまざまな温度についてバイアス電圧に対してプロットした同調可能性である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、本発明によるバラクタの一実施例を模式的な断面図で示している。このバラクタは、第1の誘電性層1を含み、その上面に第1の電極2が配置されるとともに、その下面に第2の第2の電極2’が配置されたコンデンサ領域3を含んでいる。第1の電極2の上には、第1のPTC領域4が配置されている。第1のPTC領域4にバイアス電圧を印加することで、この領域で熱が生成され、この熱が第1の電極2を介して第1の誘電性層1へさらに伝えられる。第1の誘電性層1への熱供給により、コンデンサ領域3のキャパシタンスを変更することができる。
【0072】
図2は、第1の誘電性層1に関して対称の構造を有する、バラクタの別の実施例を模式的な断面図で示している。このバラクタは次の層/領域を含んでいる:第2のPTC領域9、第2の中間層8、第3の誘電性層7、第2の電極2’、第1の誘電性層1、第1の電極2、第2の誘電性層5、第1の中間層6、および第1のPTC領域4。このとき第1の誘電性層1と、第1の電極2と、第2の電極2’とがコンデンサ領域3を形成する。第1のPTC領域4と第2のPTC領域9に、それぞれバイアス電圧を印加することができ、それによって、これら両方のPTC領域から第1の誘電性層1の方向へ、それぞれ熱が放出される。第1の中間層6ないし第2の中間層8は、隣接するPTC領域からドーピング物質が第2の誘電性層5ないし第3の誘電性層7の方向へ移動するのをそれぞれ防止する。それにより、ドーピング物質がコンデンサ領域3に入ってコンデンサ領域3の機能性を引き下げることがないことが保証される。第1の誘電性層1に関するバラクタの対称の構造により、第1の誘電性層1を上面からの下面からも同じ程度に加熱できることが保証される。
【0073】
次に、第1の具体的な実施例について詳しく説明する。この実施例は、図2に模式的に示すものと同様の構造を有している。第1のPTC領域4と第2のPTC領域9は、Ba75Sr25TiO(BST)からなる25個の層でそれぞれ構成されている。ここでBSTは、0.3原子%のNbと0.05原子%のMnでドーピングされている。第1の中間層6と第2の中間層8は、1重量%のTiOでドーピングされた層MgOでそれぞれ構成されており、それによってチタン酸マグネシウム(MT)が存在している。第2の誘電性層5ならびに第3の誘電性層7は、Ba75Sr25TiOの23個の層でそれぞれ構成されている。コンデンサ領域3は、2つの層Ba75Sr25TiOを含んでおり、第1の層の上面ないし第2の層の下面はPd電極を備えており、これらが第1の電極2ないし第2の電極2’を形成する。このとき、ドーピングされていないBSTの層は20μmの層厚保を有しており、ドーピングされたBST層は35μmの層厚を有している。中間層はそれぞれ200μmの層厚を有している。個々の層/領域は、10×10cmの底面積をそれぞれ有している。
【0074】
このようなバラクタは、たとえば相応の未加工部品を1350℃で2時間のあいだ焼結することによって得ることができる。
【0075】
1重量%のTiOでドーピングされたMgO(MT)でそれぞれ構成される第1の中間層と第2の中間層は、複数の好ましい機能を有している。第1に中間層は、ドーピングされた層/領域と、ドーピングされていない誘電性層とを一緒に焼結できることを可能にする。中間層を用いない比較実験では、焼結プロセス中にドーピング物質がPTC領域から誘電性層へ移動することが確認できた。そのために誘電性層は導電性になっており、このことは、バラクタの機能性を明らかに損なっていた。この実施例ではMg2+が受容体として振るまうので、MT層は物理的な拡散バリアとしても化学的なバリアとしても機能する。Mg2+は受容体として、BSTのドーピング物質のドナー効果を補償することができる。本発明により発見されたさらに別の好都合な効果は、焼結プロセス中にMg2+イオンが誘電性層に移動し、そこで同じく受容体効果を有することにある。この受容体効果は、コンデンサ領域の誘電損を低減する。3番目の好都合な効果として、本発明は、Mg2+の存在が焼結プロセス中に酸素空所の数を減らすことを確認している。それによって粒子サイズの成長が制約されるので、粒子サイズが所望の程度を超えることがない。Mg2+を含む中間層のない比較測定が示すところでは、その場合には粒子サイズが100μmの値を超えて増大し、そのために誘電率εが低下するとともに、誘電損δが増加する。
【0076】
図3は、図2のものに対応し、第1のPTC層4と第2のPTC層9の上に電気接触部10/10’を追加的に有する、バラクタの別の実施例を模式的な断面図で示している。電気接触部10および10’は、外部電極として成形されている。電気接触部10を介して第1のPTC領域4に電圧を印加することができ、電気接触部10’を介して、これとは独立した電圧を第2のPTC領域9に印加することができる。
【0077】
図4は、図2のものに対応し、電気接触部11を追加的に含んでいる、バラクタの別の実施例を模式的な断面図で示している。これらの電気接触部は、第1の誘電性層1、第1の電極2、および第2の電極2’に配置されている。このとき電気接触部11は、これら3つの層と導電接続されている。したがって電気接触部11を介して、第1の層1に直接電圧を印加することができるとともに、第1の電極2および第2の電極2’を介して間接的に電圧を印加することができる。電気接触部11を介して、一方では、バラクタが作動する電圧を印加することができ、これはたとえば交流電圧であってよく、また、第1の誘電性層1を同調させることができるバイアス電圧も印加することができ、これはたとえば直流電圧であってよい。
【0078】
第1の電極2と第2の電極2’は側面でそれぞれ外部まで達しており、したがって外面を介して接触することができる。第1の電極2と第2の電極2’は、1つの実施例では、前面と裏面でBST材料を介して外部に対して電気絶縁されている。
【0079】
さらに、本発明によるバラクタの別の実施形態では、コンデンサ領域3の接触のための電気接触部11だけでなく、第1のPTC領域4ないし第2のPTC領域9の接触のための別個の接触部10および10’も存在していることが可能である。
【0080】
次に、第2の具体的な実施例について詳しく説明する。この実施例は、第1の具体的な実施例との関連で説明したのと同じ層列を有している。さらにこの実施例は、Niを含む電気接触部10を第1のPTC領域4に有しており、ならびに、同じくNiを含む電気接触部10’を第2のPTC領域9に有している。電気接触部10および10’はバラクタの前面にも裏面にもある。同じ側に配置された電気接続部10および10’は互いに導電接続されており、それにより、両方の電気接触部10および10’を通じて、第1のPTC領域4と第2のPTC領域9に同じバイアス電圧を印加することができる。バラクタの抵抗は、両方のNi電極の間で<300Ωと計測されている。
【0081】
さらに第2の具体的な実施例は、2つの電気接触部11を有している。この実施例では、第1の電極2と第2の電極2’は側面でのみ外部に向かって突き出している。したがって、この事例ではAgを含んでいる電気接触部11は、第1の誘電性層1とも第1の電極2および第2の電極2’とも導電接続されている。両方の電気接触部11は、それぞれ両方の側面のうちの一方にある。電気接触部11を介して、一方ではバラクタを作動させる電圧を印加することができ、これはたとえば交流電圧であってよく、また、第1の誘電性層1を同調させることができるバイアス電圧も印加することができ、これはたとえば直流電圧であってよい。交流電圧と直流電圧との組み合わせにより、この場合にはコンデンサ領域の動作電圧から独立して、第1の誘電性層1にバイアス電圧を印加することができる。
【0082】
外部電極として成形された電気接触部10および10’は、たとえば引き続き焼成されるNiペーストの印刷によって塗布することができる。電気接触部11は、同じく金属ペーストの印刷とこれに続く燃き入れによって、同じく塗布することができる。
【0083】
第2の具体的な実施例として説明したこのような実施例を、測定のために援用した。この測定はAgilent 4294A精密抵抗分析器を用いて、1から500kHzの周波数領域で行った。Ba75Sr25TiOの最大の誘電性は50から51℃に及んでいた。この温度範囲は第1の誘電性層1において、PTC領域4および9に10.5から8Vの間のバイアス電圧が印加されることによって実現された。このとき電流は10mAよりも小さかった。誘電性層1について実現することができた温度は、室温の領域で最大200℃を上回っていた。
【0084】
この第2の具体的な実施例を用いて実施した別の測定の結果が、以下の図5から図10に示されている。
【0085】
図5には、誘電率εならびに誘電損tanδが、PTC領域に印加されるバイアス電圧(U−PTC)に対してそれぞれプロットされている。図中の両方の矢印は、両方の曲線のうちどちらの曲線がいずれのy軸に属するかを表している。ここでは誘電率εの曲線は約8Vの領域に最大値を有しており、その後は高いほうの電圧に向かって曲線が急勾配で降下していく。誘電損tanδの曲線は、0から6Vの領域で初めて若干降下してから、6から9Vの領域へと非常に急勾配で降下していく。9V以上の電圧については、この曲線は若干しか降下しなくなり、ないしは、さらに12V以上の値ではもはや降下していないも同然である。
【0086】
図6は、第1の誘電性層におけるバイアス電圧(BV)に対してそれぞれプロットされた、キャパシタンスCないし誘電率εの曲線を示している。測定は、PTC領域におけるそれぞれ異なるバイアス電圧(U−PTC)について実施した。したがって、各々のPTC領域バイアス電圧について曲線が図示されている。0から20Vまで変化するそれぞれのPTC領域バイアス電圧が、各曲線に単位ボルトで表示されている。これら各々のPTC領域バイアス電圧について、第1の誘電性層におけるバイアス電圧(BV)を−40Vから40Vの範囲まで変化させた。最善の結果は、7.8V、7.5V、および8.1Vの値についてのPTC領域バイアス電圧(U−PTC)について得られている。これらのPTC領域バイアス電圧で、最高の誘電率εが測定されている。
【0087】
図7は、第1の誘電性層に印加されたバイアス電圧(BV)に対してプロットされた同調可能性nを示している。ここで同調可能性nは、異なるPTC領域バイアス電圧について測定されている。異なるPTC領域バイアス電圧が、それぞれ曲線について単位ボルトで表示されている。もっとも高い同調可能性nは、7.8Vと7.5VのPTC領域バイアス電圧について得られている。このPTC領域バイアス電圧については、図6に示す一連の測定でも最善の測定結果が得られている。同調可能性nについて実現された最大値は6.02であり、これは83.3%の相対的な同調可能性に相当する。この値は、7.5VのPTC領域バイアス電圧と、第1の誘電性層における−40ないし+40Vのバイアス電圧のときに実現されており、これは2.75V/μmに相当する。
【0088】
図8は、PTC領域バイアス電圧に対してプロットされたQ値Kを示している(U−PTC)。第1の誘電性層におけるバイアス電圧は、この測定では40Vで一定に保たれていた。Q値Kの最大値は、8.1VのPTC領域バイアス電圧について実現された。これは特に図5に示すような、6から8Vの範囲へと著しく降下していく誘電損δの帰結である。
【0089】
図9は、第1の誘電性層におけるバイアス電圧(BV)に対してプロットされたQ値Kを示している。測定は、それぞれの曲線に単位ボルトで表示されている、それぞれ異なるPTC領域バイアス電圧について実施した。最高のQ値Kは8.1VのPTC領域バイアス電圧について実現された。
【0090】
図10では、第1の誘電性層におけるバイアス電圧(BV)に対して同調可能性nがプロットされている。ここではバイアス電圧を破壊(ブレークダウン)まで高めていった。全部で4回の一連の測定を実施しており、そのうち2回は低電界(LV)で実施し、2回は高電界(HV)で実施した。両方の電界において、室温(RT)とキュリー温度(T)の温度領域とで、それぞれ一連の測定を実施した。室温かつ高電界のとき、電圧を約800Vまで高めることができており、これは約55V/μmに相当する。PTC領域へのバイアス電圧の印加により、これに伴う室温(RT)からキュリー温度(T)への温度上昇により、低電界(LV)でも高電界(HV)でも、いっそう高い同調可能性nを実現することができた。たとえばキュリー温度のときの第1の誘電性層における20V/μmのバイアス電圧(BV)については、約17の同調可能性を得ることができている。
【0091】
本発明は、実施例を参照した上の説明によって限定されるものではない。むしろ本発明は、あらゆる新たな構成要件および構成要件のあらゆる組み合わせを含んでおり、このことは特に、特許請求の範囲の構成要件のあらゆる組み合わせを含んでおり、それは、たとえ当該構成要件または当該組み合わせそのものが、明文をもって特許請求の範囲や実施例に記載されていなくても成り立つ。
【符号の説明】
【0092】
1 第1の誘電性層
2 第1の電極
2’ 第2の電極
3 コンデンサ領域
4 第1のPTC領域
5 第2の誘電性層
6 第1の中間層
7 第3の誘電性層
8 第2の中間層
9 第2のPTC領域
10 第1のPTC領域の電気接触部
10’ 第2のPTC領域の電気接触部
11 第1の誘電性層の電気接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラクタにおいて、次の各構成要素すなわち
抵抗に関して正の温度係数を有するセラミック材料を含む第1のPTC領域(4)と、
コンデンサ領域(3)とを含んでおり、該コンデンサ領域は、
第1の電極(2)と、
第2の電極(2’)と、
前記第1の電極(2)と前記第2の電極(2’)との間に配置された第1の誘電性層(1)とを含んでおり、
前記第1のPTC層(4)と前記コンデンサ領域(3)は熱伝導式に相互に結合されており、前記コンデンサ領域(3)のキャパシタンスは、
前記第1のPTC領域(4)、
前記コンデンサ領域(3)、
前記1のPTC領域(4)および前記コンデンサ領域(3)
へのバイアス電圧の印加によって変更可能であるバラクタ。
【請求項2】
前記第1のPTC領域(4)は電圧の印加によって、前記第1の誘電性層(1)が誘電性の観点から最大の同調可能性を有する温度に合わせて調整可能である、請求項1に記載のバラクタ。
【請求項3】
前記第1のPTC領域(4)は電圧の印加によって、前記コンデンサ領域(3)の誘電損を調整可能である温度に合わせて調整可能である、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項4】
前記第1のPTC領域(4)は前記第1の電極(2)の上に配置されている、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項5】
前記第1のPTC領域(4)はドーピング物質を有している、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項6】
前記第1のPTC領域(4)と前記第1の電極(2)との間に配置され、前記ドーピング物質に対してほぼ不透過性である第1の中間層(6)を追加的に含んでいる、請求項5に記載のバラクタ。
【請求項7】
前記第1の中間層(6)と前記第1の電極(2)との間に配置された第2の誘電性層(5)を追加的に含んでいる、請求項6に記載のバラクタ。
【請求項8】
前記コンデンサ領域(3)と熱伝導式に結合された第2のPTC領域(9)を追加的に含んでいる、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項9】
前記第1のPTC領域(4)、前記第2のPTC領域(9)、および前記コンデンサ領域(3)は積層を形成しており、前記第1のPTC領域(4)と前記第2のPTC領域(9)は前記コンデンサ領域(3)の互いに向き合う側に配置されている、請求項8に記載のバラクタ。
【請求項10】
前記第1のPTC領域(4)は電気接触部を有している、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項11】
前記第1のPTC領域(4)はBa1−xSrTi1−yZrを含んでおり、このとき0<x<1;0≦y<1が成り立つ、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項12】
前記第1の誘電性層(1)はBa1−xSrTi1−yZrを含んでおり、このとき0<x<1;0≦y<1が成り立つ、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項13】
前記第1の誘電性層(1)に関して対称の構造を有している、先行請求項のうちいずれか1項に記載のバラクタ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のバラクタを製造する方法において、次の各方法ステップを含んでおり、すなわち、
A)少なくとも次の各層を含んでいる積層を成形し:
第1のPTC領域(4)
第1の電極(2)
第1の誘電性層(1)
第2の電極(2’)
B)前記A)の積層を焼結し、それにより、前記第1のPTC領域(4)、前記コンデンサ領域(3)、または前記第1のPTC領域(4)と前記コンデンサ領域(3)へのバイアス電圧の印加によって前記コンデンサ領域(3)のキャパシタンスを変更することができるバラクタが形成される方法。
【請求項15】
前記方法ステップA)でドーピング物質を含む第1のPCT領域(4)が生成され、前記第1のPTC領域(4)と前記第1の電極(2)の間に配置された、前記ドーピング物質に対してほぼ不透過性である第1の中間層(6)が成形される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−515369(P2013−515369A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545306(P2012−545306)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070422
【国際公開番号】WO2011/085931
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】