説明

パターンの検査装置、およびパターンの検査方法

【課題】
半導体装置製造プロセスで形成されるパターンの検査前に実行されるプリチャージの最適な条件を簡易に設定できるようにし、プリチャージの良否を自動判定し、その後の動作にフィードバックするようにして、検査結果の信頼性の低下を防ぎ、常に安定した検査ができるようにする。
【解決手段】
電子ビームを照射する前に、電子ビームを発生させる電子源とは別の第二の電子源から電子を発生させて基板の表面に帯電を形成させる帯電形成手段と、該帯電形成手段により基板の表面に帯電が形成された状態で、基板に流れる電流の値を計測する電流計測手段と、該電流計測手段により計測された電流の値が予め定められた目標値になるように帯電形成手段により形成される帯電を調整する調整手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置やフォトマスク等の製造過程途中に微細なパターンを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象の試料として、半導体ウエハの検査を一例として説明する。半導体装置は、半導体ウエハ上にフォトマスクに形成されたパターンをリソグラフィー処理およびエッチング処理により転写する工程を繰り返すことにより製造される。半導体装置の製造過程において、リソグラフィー処理やエッチング処理、その他各種加工処理の良否,異物発生等は、半導体装置の製造歩留まりに大きく影響を及ぼす。したがって、製造過程の半導体ウエハ上のパターンの検査を行い、異常や不良発生を早期にあるいは事前に検知して製造プロセスへフィードバックすることが重要である。
【0003】
半導体ウエハ上のパターンに存在する欠陥を検査する方法としては、光学式顕微鏡や電子顕微鏡を応用した装置を用いて画像を取得し、欠陥のない画像と比較して欠陥が存在する画像を抽出する比較検査方法が用いられている。
【0004】
電子顕微鏡を応用した検査装置は、光学式よりも分解能を高くできるが、半導体ウエハへ電子ビームを照射することで、半導体ウエハのパターンの材質に依存する帯電現象が発生する。半導体ウエハ表面の電位の差が二次電子放出効率に反映されて電位コントラストが生じるので、これを利用して、表面や下層で発生した回路パターンの導通,非導通,配線やトランジスタのショート等の電気的欠陥を検出することが可能になる。しかし、画像全体が黒くあるいは白くなってしまうことがあるため、帯電量を適正に制御する必要がある。また、欠陥とその周囲の画像コントラストを向上させたり、表面電位を安定にして画像の明るさを均一にするために、検査画像を取得する前に半導体ウエハに電子を照射するプリチャージについても、プリチャージの結果が所望の帯電量になっているかどうかを知る必要がある。
【0005】
画像を取得し、目視でプリチャージ条件が適切かどうかをオペレータが判断し、これを繰り返すことで所望の画像が得られるとしても、プリチャージ条件の最終設定までに時間がかかる欠点がある。また、同じ箇所に何度も電子ビームを照射すると帯電状態が変化してしまうことから、照射した後に帯電が緩和されるのを待ってから照射することを繰り返すことになるので、プリチャージ条件設定にますます時間がかかってしまう。また、半導体ウエハの裏面の絶縁膜や側壁の絶縁膜が厚い場合にプリチャージを行うことで、画像が白く飽和し、この状態の画像と同じような状態の画像とを比較検査した場合、欠陥があったとしても階調差が抽出できないため、欠陥がないと判定されてしまう。このように、検査装置は、半導体製造ラインで欠陥有無をモニタする役割をになっているが、プリチャージが適切でないと、検査の信頼性が低下してしまう。
【0006】
したがって、検査に先立って、半導体ウエハの帯電状態を知ることがたいへん重要であり、様々な方法が提案されている。例えば、あらかじめ標準試料の画像と帯電量との関係を求めておき、取得した画像と比較することで帯電量を推定する方法(例えば、特許文献1参照),半導体ウエハの抵抗値と電位コントラスト像と帯電電圧との関係を求めておき、抵抗値を測定して電位コントラスト像から帯電電圧を決める方法(例えば、特許文献2参照),半導体ウエハの表面に設けられた電極で電位を測定する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。しかし、画像と帯電状況との関係を予め求めておき、検査に先立って得られた画像から帯電量を推定する方法は、本当にその帯電状態であるのかどうか疑わしい。なんとなれば、試料の形状や材質,電子ビームの照射条件等の違いで帯電状態は微妙に変化するものであるからである。また、表面に設けられた電極で電位を測定する方法は、試料から離れた位置の電位を測定するものなので、試料そのものの帯電状態を測定しているわけではない。
【0007】
【特許文献1】特開2007−053035号公報
【特許文献2】特開2003−100823号公報
【特許文献3】特開2002−216698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
検査の信頼性を低下させないために、試料表面の帯電状態を正確に求めることが求められているが、従来の方法では、帯電状態を推定するに過ぎなかったため、検査の信頼性が保たれたとはいいきれない問題があった。
【0009】
本発明の目的は、パターンに対するプリチャージの最適な条件を簡易に設定できるようにし、欠陥検出の感度を低下させないようにするとともに、プリチャージの良否を自動判定し、その後の動作にフィードバックするようにして、検査結果の信頼性の低下を防ぎ、常に安定した検査ができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の実施態様は、パターンが形成された基板の表面に電子ビームを照射する照射手段と、該基板から発生する信号を検出する検出手段と、該検出手段により検出された信号を画像化する画像化手段と、該画像化手段により画像化された画像同士を比較して基板を検査する比較手段とを備えたパターンの検査装置であって、電子ビームを照射する前に、電子ビームを発生させる電子源とは別の第二の電子源から電子を発生させて基板の表面に帯電を形成させる帯電形成手段と、該帯電形成手段により基板の表面に帯電が形成された状態で、基板に流れる電流の値を計測する電流計測手段と、該電流計測手段により計測された電流の値が予め定められた目標値になるように帯電形成手段により形成される帯電を調整する調整手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
上記構成により、パターンに対するプリチャージの最適な条件を簡易に設定できるので、欠陥検出の感度が低下せず、プリチャージの良否を自動判定し、その後の動作にフィードバックするようにして、検査結果の信頼性の低下を防ぎ、常に安定した検査ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本発明の実施態様の検査装置は、回路パターンが形成された基板表面に電子ビームを照射する手段と、該基板から発生する信号を検出する手段と、検出手段により検出された信号を画像化する手段から成る回路パターンの検査装置であって、検査の前処理として別の電子源により帯電を形成させる手段と、帯電量を調整する手段と、帯電量を測る手段と、帯電調整量を検査条件として登録する手段と、該登録条件と測定帯電量を比較する手段と、該比較により帯電量が所望の値になっているかどうかを判定する手段と、判定結果に基づき、検査を実行する,帯電を追加する,やり直しする、あるいは中断する等の次の処理を決定する手段とを備える。
【0014】
また、プリチャージ帯電量を調整する手段は、電子ビームが照射される際のステージ連続移動方向,照射領域,連続移動照射時のピッチや重なり,電子源のエミッション電流,照射時間,照射回数,ウエハ上部の電極電位のいずれかあるいは複数の組み合わせを選択する機能を有する。これにより、多様な半導体ウエハの表面材料や構造にあわせて適切な帯電になるよう調整することが可能になる。
【0015】
プリチャージ帯電量を測定する手段は、プリチャージ実行時に被検査ウエハを介してホルダに流れる電流(以下、吸収電流と呼ぶ)の極性と電流量,プリチャージ終了後に電子顕微鏡像を取得し、焦点を合わせた際の合焦点条件、すなわち、焦点合わせ用レンズの電流値,表面電位計による電位の測定値のいずれかあるいは複数の組み合わせを選択できる構成を有する。これにより、プリチャージ実施後、半導体ウエハ表面の電位が所望の値になったかどうかを即座に判断することができるようになる。
【0016】
本発明の実施態様によれば、半導体ウエハに形成されたパターンに対するプリチャージの最適な条件を簡易に設定できるようになるため、欠陥検出の感度を向上させることができる。また、プリチャージの良否を自動判定し、その後の動作にフィードバックできるため、検査結果の信頼性,安定性が向上する。その結果、半導体装置の不良対策のTAT(Turn Around Time)を短縮することができる。
【0017】
下記の実施例では、半導体ウエハ上に形成された半導体装置の回路パターンの検査装置であって、電子ビームを用いて欠陥の有無を検査する検査装置の場合を一例として説明する。試料に電子ビームを照射して得られる画像が、帯電の影響を受ける装置についても、課題と構成は本実施例と同様である。
【0018】
図1は、本実施例における回路パターン検査装置の構成図である。主要な構成のみ縦断面を示し、真空容器,真空排気装置,真空容器と大気の間に設けられる真空予備室,ステージの駆動装置,制御電源等は省略している。
【0019】
電子源1から引き出し電極2により引き出された電子ビーム3は、コンデンサレンズ4で集束される。電子源1から発生する電子の量は、エミッション電流を測定することにより求めることができる。また、エミッション電流の量は、引き出し電極2の電圧を調整することにより制御することができる。
【0020】
コンデンサレンズ4で集束された電子ビーム3は、絞り5で周囲のランダムなエネルギ成分を削除され、対物レンズ6で細く絞られてウエハ7へ照射される。電子ビーム3のスポット径が小さいので、ウエハ7の画像を取得するために、偏向器8でウエハ7の表面を走査される。この走査に同期して検出器9で二次電子10を検出し、画像化する。二次電子10を電子ビーム3の軌道からはずして検出器9の方向へ向けるために、電子ビーム3の軌道には影響を与えない偏向器11が設けられる。二次電子10は、電子ビーム3と比較してエネルギが小さいので、対物レンズ6の近傍に電極12を設けて、二次電子10を対物レンズ6の上方へ引上げる。
【0021】
ウエハ7はホルダ13に載せられ、ベース14上のXステージ15でX方向に、Yステージ16でY方向に移動される。高速の検査のためには、電子ビーム3のエネルギを高くすればよいが、ウエハ7が破壊されてしまう場合があるので、この対策として、ウエハ7に負の電圧を印加して、電子源1の電位との差を小さくし、電子ビーム3をウエハ7に対して減速させ、破壊を防止するリターディングという方法が有効である。ホルダ13にリターディング電源17によって、リターディング電圧が印加され、ウエハ7はホルダ13と同電位になる。
【0022】
また、電子ビーム3を、ウエハ7の直前で減速させるのではなく、ウエハ7の表面の空間に一定の電位の空間を作り、その空間内での電子ビーム3の加速度をなくするために、電極18が設けられている。電極18には、ホルダ13と同じ電圧が印加される。ウエハ7の帯電状態を制御するために、電極19が設けられ、さらに、画像取得の前に電子を照射してウエハ7を帯電させるためのプリチャージユニット20が設けられている。
【0023】
ウエハ7の表面の高さの変化をモニタリングするために、高さセンサ21が設けられている。高さの変化は、焦点のずれに影響するため、高さセンサ21で計測されたウエハ7の表面の高さに焦点を合わせるように、対物レンズ6の励磁強度を変えて焦点距離を調整する。
【0024】
二次電子10を検出器9が検出すると、二次電子の検出で発生した電気信号がプリアンプ22で増幅され、AD変換器23でアナログ信号からディジタル信号へ変換され、光ファイバーケーブル等の伝送路24を通って画像処理ユニット25へ送られる。
【0025】
画像処理ユニット25内の遅延バッファメモリ26でひとつの画像が生成され、第一の画像メモリ27へ読み込まれるとともに、次の画像が第二の画像メモリ28へ読み込まれる。比較演算部29では、第一の画像メモリ27に読み込まれた画像と第二の画像メモリ28に読み込まれた画像が比較され、信号の大きさの差を演算する。演算により求められた差の信号だけの差画像が欠陥判定部30へ送られ、信号の大きさが予め定められた閾値を超えた画素を欠陥の座標と判定する。パターンの画像あるいは差画像は、画像表示ユニット31へ表示させることができる。
【0026】
図2は、図1のホルダ13の部分を拡大した構成図である。ホルダ13にウエハ7が載っており、ピン32により移動しないように固定されている。なお、ピン32を使わないでウエハ7を固定する静電チャックをホルダ13のかわりに用いてもよい。ウエハ7にはホルダ13を介してリターディング電源17から電圧が供給されるため、電流が流れる。本発明の実施例では、さらに、プリチャージ電源33から電圧が供給されるように構成され、プリチャージ電源33には電流計34が接続されて、ホルダ13に流れる電流を測定する。プリチャージ電源33とリターディング電源17は、切り替えユニット35で切り替えられるようになっている。ウエハ7の上方には、電極18,19が配置されており、ホルダ13に印加される電圧と電極18,19に印加される電圧の関係により、ウエハ7の表面の帯電極性を制御することができる。ウエハ7に照射された電子は、ウエハ7の裏面から、あるいは側面と接触する部材、本実施例ではピン32を介して、ホルダ13に流れる。ホルダ13に流れる照射電子により生じる電流は、電流計34により測定することができる。検査時にはリターディング電源17からウエハ7へリターディング電圧が印加されるが、検査の前にプリチャージが必要な場合は、切り替えユニット35によりリターディング電源17からプリチャージ電源33へ切り替えられて、任意の値の電圧がウエハ7に供給される。
【0027】
プリチャージユニット20には、プリチャージユニット用電源36が接続され、プリチャージユニット20から照射される電子の量を制御することができる。制御部37は、電流計34で計測された電流値に応じてプリチャージユニット用電源36からプリチャージユニット20へ供給される電圧を制御する。プリチャージユニット20にはシャッター38が設けられ、プリチャージユニット用電源36から供給される電圧をゼロにしなくても、プリチャージユニット20から照射される電子を止めることができる。シャッター38は、例えば、円盤に電子を通過させる開口部を設けた構造で、円盤を回転させて電子が開口部を通過させたり遮断したりすることができる。
【0028】
図3,図4は、検査対象である半導体ウエハの一部分の縦断面図である。図3は、シリコン基板301の上に形成された絶縁材料の膜302に複数個のコンタクトホール303,304,305がエッチング等で開口される製造プロセスにおいて、コンタクトホール304の底がシリコン基板301まで達していないような開口不良306が発生している例を示している。図4は、図3と同様な絶縁材料の膜401に開口された複数個のコンタクトホール402,403,404のうち、コンタクトホール403の開口不良405により、シリコン基板406の上に形成された導電性材料のプラグ407に開口が達していない例を示している。
【0029】
図5,図6は、検査対象である半導体ウエハの一部分の縦断面図と、その一部分を撮像して得られた画像を示す画面図である。図5(a)において、シリコン基板501の上に形成された絶縁材料の膜502に開口されたコンタクトホール503,504,505のうち、コンタクトホール504の底に絶縁材料の膜が残っている場合、何らかの要因により表面が正に帯電していると、図5(b)に示す電子ビーム画像では、正に帯電している絶縁材料の膜の表面が黒く映り、コンタクトホール503,505が白く映り、底が正に帯電しているコンタクトホール504が黒く映る。したがって、電子ビーム画像により、コンタクトホールの開口不良がわかり、また、正常な画像と比較すると、コンタクトホールの開口不良の部分の光量に差があるので、欠陥として抽出できる。図6(a)は、図5(a)と同じ構造の開口不良であるが、表面が負に帯電している場合を示す。したがって、図6(b)に示す電子ビーム画像では、絶縁材料の膜602の表面が負に帯電しているので白く映り、開口してシリコン基板601に導通しているコンタクトホール603,605は黒く映り、開口不良の底は負帯電しているので、コンタクトホール604は白く映る。したがって、電子ビーム画像により、コンタクトホールの開口不良がわかり、また、正常な画像と比較すると、コンタクトホールの開口不良の部分の光量に差があるので、欠陥として抽出できる。
【0030】
図2に戻って、プリチャージユニット20から照射される電子の束のウエハ7の上での直径は、数ミリメートルから数十ミリメートルである。プリチャージユニット20によるウエハ7の帯電量は、以下のパラメータの少なくとも一つあるいは複数の組み合わせで調整することができる。(1)プリチャージユニット20の電子源エミッション電流、(2)プリチャージユニット20の電子を引き出すときの引き出し電圧、(3)ウエハ7の上方に設けられた電極18の電位、(4)照射領域、(5)プリチャージ中のステージ移動速度と方向、(6)往復照射時のピッチ、(7)照射回数である。
【0031】
電子源エミッション電流は、ウエハ7に照射される電子の量を調整するパラメータである。予めHigh,Middle,Lowのように、複数の基準エミッション電流を初期値として設定しておく。そして、オペレータが使用するときに、基準エミッション電流から出発し、変更されて所望の電流が得られるようにしておく。ユーザが所望の段階の条件を画面より選択することにより対応するエミッション電流を設定することができる。プリチャージユニット20の引き出し電圧は、制御部37で決められた値に設定される。ウエハ7の上方に設けられた電極18の極性を切り替えて、ウエハ7の表面を正帯電にするか、負帯電にするかを切り替えることができる。また、この電極18の電位は、予備帯電のために照射した電子から二次的に発生する電子の量と極性を制御できるため、ホルダ13に流れる吸収電流の量を調整することができる。以上のプリチャージユニット20の電子源エミッション電流,引き出し電圧,電極18の極性は、プリチャージ時にホルダ13に流れる吸収電流量を調整するパラメータである。
【0032】
図7,図8は、ホルダ13に載せられたウエハ7の平面図であり、プリチャージの照射手順を示している。図7は、検査対象領域701に対して、ウエハ7の全面をプリチャージする場合、図8は、検査対象領域801よりやや大きい領域のみをプリチャージする場合である。図7や図8において、プリチャージユニット20で照射する方向が、検査用画像を取得するステージの移動方向と同じにするか、直角方向にするかをオペレータは選ぶことができる。例えば、図8に示す例において、実線で示したプリチャージの軌道の折り返しのときに、ステージの移動方向が直角方向へ変わるために一旦停止する。したがって、ステージが連続移動している個所よりもプリチャージの電子がより多く照射される。この対策として、検査時のステージの移動方向と直角方向にプリチャージを行い、折り返し部分の帯電のむらが検査時の取得画像へ影響するのを防止することができる。
【0033】
プリチャージの手順は、次のように行われる。図7において、左右方向をX方向、手前から先への方向をY方向と仮定する。はじめに、ホルダ13に設けられた条件設定部702に、プリチャージユニット20で電子を一定時間だけ照射し、電流値を確認する。また、ウエハ7の上の一定面積については、ステージの移動速度が速いと照射される電子の量が少なくなり、遅いと電子の量が多くなり、その結果、帯電量が変わるので、予めステージのX方向への移動速度を設定しておく。次に、開始点703から終了点704まで、図に示すX方向にステージを往復移動させて、ウエハ7に電子を照射する。図中の太い線の部分は、ウエハ7が存在しない部分であり、電子の照射を止める方法と止めない方法とを選択できる。プリチャージの往復のY方向のピッチは、プリチャージユニット20から照射される電子の束の直径を基準として、大きければ電子密度が低くなり、小さければ電子密度が多くなるため、帯電量を制御することができる。また、図には、開始点703から終了点704までを1回照射する例を示しているが、終了点704に到達したら終了点704から開始点703まで再度電子を照射する、あるいは、終了点704から開始点703へステージを移動させて、開始点703から終了点704まで再度電子を照射して、照射する電子の量を増やしてもよい。あるいは、このような再度の照射を複数回繰り返して、さらに照射する電子の量を増やしてもよい。
【0034】
図8は、検査対象領域801よりやや広い面積だけに電子を照射する場合である。この方法は、ウエハ7の面積に対して、検査対象領域801が非常に小さい場合に、検査画像に影響がない領域への電子の照射を防止できるので、時間の節約に有効である。図8において、はじめに、ホルダ13に設けられた条件設定部802に、プリチャージユニット20で電子を一定時間だけ照射し、電流値を確認する。また、ウエハ7の上の一定面積については、ステージの移動速度が速いと照射される電子の量が少なくなり、遅いと電子の量が多くなり、その結果、帯電量が変わるので、予めステージの移動速度を設定しておく。次に、開始点803から終了点804まで、例えば図に示すY方向にステージを往復移動させて、ウエハ7に電子を照射する。プリチャージの往復のX方向のピッチは、プリチャージユニット20から照射される電子の束の直径を基準として、大きければ電子密度が低くなり、小さければ電子密度が多くなるため、帯電量を制御することができる。また、図には、開始点803から終了点804までを1回照射する例を示しているが、終了点804に到達したら終了点804から開始点803まで再度電子を照射する、あるいは、終了点804から開始点803へステージを移動させて、開始点803から終了点804まで再度電子を照射して、照射する電子の量を増やしてもよい。あるいは、このような再度の照射を複数回繰り返して、さらに照射する電子の量を増やしてもよい。
【0035】
図9は、吸収電流の特性を示すグラフである。帯電量が所望の量であるかどうかを判断するパラメータの一つに、プリチャージ時にホルダ13に流れる吸収電流量がある。吸収電流の極性により、プリチャージによって正に帯電されているか、負に帯電されているかを判断することができる。例えば、電流量がプラスの数値の場合には正帯電になり、マイナスの数値の場合には負帯電になる。同じ極性で、吸収電流の絶対値が大きいと、より強い帯電が形成されていることになる。
【0036】
ウエハ7を検査したり検査条件を設定する前に、事前にプリチャージユニット20の電子源のエミッション電流量と、ウエハ7の上方に設けられた電極の電圧と、各条件でプリチャージを実施した際の極性を含む吸収電流量の関係を求めて、装置特性パラメータとして登録しておくことができる。この一例を、図9に示す。このとき、シリコンベアウエハ、あるいはホルダ13の直上で、電極に印加される電圧をパラメータとして吸収電流を測定する。ウエハ7とホルダ13起因、あるいはウエハ7とピン32起因の接触抵抗の影響を受けない状態で、吸収電流の特性を求めることができる。この特性を記憶しておき、検査前のプリチャージのときに、エミッション電流,電極への印加電圧を入力すると、吸収電流の目標値が自動的に計算される。そして、吸収電流がこの目標値になるようにエミッション電流,電極への印加電圧を調整することで、正帯電や負帯電を含む所望の帯電状態をウエハ7の表面に形成することができる。
【0037】
半導体製造プロセス途中のウエハ7は、その側面や裏面に絶縁膜が付着している場合があり、絶縁膜を介してホルダ13と接触するとウエハ7がフローティング状態となり、プリチャージを実施した際に所望の帯電にならない場合がある。その良否は、図9に示すような事前に測定された吸収電流特性と、プリチャージを実施したときの吸収電流量との間の偏差から判定することができる。ウエハ7を検査する前に所望の帯電量を形成するために必要な吸収電流が自動的に計算され、画像表示ユニット31の画面に表示されるので、この吸収電流の目標値になるように、プリチャージユニット20のエミッション電流や電極への印加電位を設定する。さらに必要に応じてステージ速度やプリチャージ回数を設定する。プロセスウエハの吸収電流の設定の許容値は、製品や工程により許容範囲が異なるため、レシピパラメータに許容範囲を設定できるようにしておく。例えば、プロセスウエハにおける平均的な偏差を考慮すると、目標値に対してプラスマイナス10%の範囲が考えられる。通常、目標値に対してプロセスウエハの方が吸収電流が流れにくいため、目標値に対してマイナス分の偏差のみを管理しても良いし、プラス側とマイナス側で許容値の大きさを変えても良い。さらに、上記許容範囲外の吸収電流になった場合の処理の内容を、予め選択して設定しておくようにするとよい。例えば、検査を実施して許容範囲よりも吸収電流が少ない場合には、(1)プリチャージを追加する、(2)ウエハ7の上部電極あるいはホルダ13に印加する電圧を変えてプリチャージを追加する、(3)一旦ウエハ7をアンロードし、再度ロード,プリチャージ処理からやり直す、(4)プリチャージ条件と逆の極性になるよう電子を照射してから一旦ウエハ7をアンロードし、再度ロード,プリチャージ処理からやり直す、(5)上記(1)から(4)の処理を実施しても吸収電流が設定範囲外の場合には検査中断等の、いずれかの処理を選択できるようにしておく。ここで、(4)のプリチャージ条件と逆の極性になるよう電子を照射することを、ディスチャージと呼ぶ。
【0038】
図10は、プリチャージ条件設定を組み込んだ検査レシピを設定する手順を示すフローチャートである。また、図11は、プリチャージ条件を設定する画面の一例を示す画面図である。図1に示した画像表示ユニット31のスクリーンに、図11に示す画面が表示される。表示はタブ形式となっており、図11は、タブ1101に示されるように、プリチャージの設定画面である。画面の左側の領域にはウエハマップ1102が表示され、右側の領域にはプリチャージ条件の設定領域1103,吸収電流の表示領域1104,プリチャージの予想時間の表示領域1105が表示されている。
【0039】
図10において、検査対象のウエハ7を回路パターン検査装置へロードし(ステップ1001)、プリチャージの条件を設定する(ステップ1002)。検査対象のウエハ7の製造プロセス工程の内容によって、プリチャージ有無,検査条件が正帯電か負帯電かを予め決めておく。例えば、メモリ製品でプロセス初期のコンタクトホールでは、パターン密度が高く穴径が小さく、最表面に窒化シリコン膜が形成されている場合が多い。このようなウエハにおいては、図6に示したような負帯電のプリチャージを実施し、負帯電の条件で検査を実施する。
【0040】
レシピ作成においては、例えば、負の数マイクロアンペア程度の吸収電流が流れる条件で検査を設定する。このような吸収電流値になるように、図11に示したプリチャージ条件の設定領域1103で、オペレータは、プリチャージユニット20の3つの予め設定されたエミッション電流値の中から適切と思われる条件を選び、プリチャージユニット20へ印加される電圧を設定し、ウエハ上部の電極19に印加される電位の値を設定する。そうすると、図9に示したような予め装置に登録されている吸収電流の特性のグラフから、吸収電流の目標値が演算されて、吸収電流の表示領域1104に表示される。オペレータは、許容範囲と、判定後の処置を選択する。判定後の処置として、例えば、吸収電流が設定された許容範囲外だった場合には、自動的にウエハ7をアンロードし、再ロードしてプリチャージを実施するようにし、これを3回続けても許容範囲外の場合にはエラーを表示して終了するという処理が考えられる。
【0041】
次に、オペレータは、プリチャージ条件の設定領域1103で、例えば、ステージ速度が高速か低速か、プリチャージの方向はX方向かY方向か、プリチャージは1回だけか複数回かを設定する。プリチャージの回数は1回から任意の回数を設定できる。プリチャージ時にウエハ7へプリチャージ電源33から印加される電圧は、本実施例では固定値としているが、指定可能とする場合は、図11に示す画面等に指定する領域を設けるとよい。
【0042】
条件の入力が完了すると、プリチャージの予想時間の表示領域1105にプリチャージに要する予想時間が表示される。この時間を確認した後に、オペレータがスタートボタンを押すことにより、プリチャージが開始される。プリチャージが開始されると、ウエハ7に電子が照射されているときにホルダ13に流れる吸収電流の実測値が、吸収電流の表示領域1104に表示される。オペレータは、表示された吸収電流の実測値を確認し、プリチャージ条件がOKか否かの判定を入力する。否の場合は、設定された判定後の処置の内容が実行される。
【0043】
プリチャージの条件が決まると、次に検査条件が設定され、試し検査で条件が確認され、両方の条件が決まると検査レシピとして図示しない記憶装置へ保存される。検査条件は、はじめに照射条件が設定される(ステップ1003)。照射条件には、例えば、電子ビーム3の照射エネルギとビーム電流,電極18に印加される電圧,走査速度,ステージの移動速度,画像生成のための信号積算回数を選択または設定する。プリチャージによって、電子ビーム3の焦点がウエハ7の表面から上下にずれる場合がある。したがって、ウエハ7の高さを高さセンサ21で測定するとともに、プリチャージ実施後に電子ビーム3の照射による画像を取得しながら焦点を変更したレンズの条件を記録し、合焦点位置と高さセンサ21による測定値とのずれに基づいて補正値を求め記憶させる。これにより、プリチャージによる焦点ずれを補正することができる。
【0044】
次に、ウエハ7の回路パターンのレイアウトデータの識別符号を設定する(ステップ1004)。このレイアウト設定は、新規の製品について設定するものであり、既に同じレイアウトの製品データが設定されている場合には、該製品データを選択すれば自動的にレイアウトデータが呼び出されるようにしておく。
【0045】
次に、ウエハ7の検査領域の設定の前に、座標原点を決めるために、ウエハ7のアライメントマークの画像を取得し、アライメントを実施する(ステップ1005)。そして、検査領域を設定する(ステップ1006)。ウエハ7に形成された回路パターンには、大きな面積の繰り返し図形の単位であるダイと、ダイの中に含まれる小さな面積の繰り返し図形の単位であるセルとがあり、繰り返し図形同士の比較検査ができるように、それぞれについて検査対象とする領域を画面上で既知の方法で設定する。
【0046】
次に、画像の明るさやコントラストのキャリブレーションを行う(ステップ1007)。これは、図1に示す画像処理ユニット25に画像を入力し、図示しない調整画面を見ながら行うものである。そして、画像を比較するときの位置合わせや信号階調値の補正等の画像処理条件や、信号の差分から欠陥を判定するときの閾値を設定する(ステップ1008)。次に、設定された条件で、ウエハ7の検査対象領域のうちの小領域の画像を取得して比較検査を実行する小領域の試し検査を行う(ステップ1009)。小領域は、ウエハ7のエッジ付近や検査対象領域の中央付近の数点を、数分程度で取得できる画像の枚数で行われ、設定された条件が所望の結果より大きくはずれていないかどうかが確認される。小領域の試し検査で、欠陥と判定された座標に対応する画像に欠陥があるかどうかをオペレータが確認し(ステップ1010)、欠陥の誤検出があればステップ1008に戻って条件を設定し直し、再度欠陥検出を行う。欠陥の誤検出がなければ、検査対象領域の試し検査を実行するかどうかが判定され(ステップ1011)、試し検査を実行し(ステップ1012)、設定された検査レシピを保存する(ステップ1013)。試し検査を実行しなくても、小領域の試し検査だけで十分な場合は、ステップ1013で、設定された検査レシピを保存する。
【0047】
図12は、検査の手順を示すフローチャート、図13,図14は、検査実行時の画面表示の例を示す画面図である。検査実行時に、同じ仕様のウエハでも吸収電流の値が異なる場合がある。ここでは、簡単化のために3枚のウエハを検査する手順を例にとり、説明する。検査では、はじめに検査レシピを読み出して検査条件を入力する。新規に入力する内容として、ウエハの収納カセットあるいはフープ内のスロットの指定,ウエハのロット番号,ウエハの番号,必要に応じコメントがある。あらかじめ入力されていて表示されたものから選択、あるいは書き換えるものとして、製品名,プロセス名あるいは識別符号,レシピ名あるいは識別符号がある。また、設定された検査対象領域を確認し、必要に応じて変更する。また、検査結果の出力内容、すなわち出力データの項目の確認や変更,検出画像をレビューすることができるようにする画像保管内容の指示の確認や変更を行う。
【0048】
オペレータは、検査条件の確認あるいは指示が終わったら、検査のスタートを指示し(ステップ1201)、1枚目のウエハがロードされる(ステップ1202)。そして、設定された検査レシピの条件でプリチャージが行われ(ステップ1203)、プリチャージの状況が図13に示されるような画面に表示される。
【0049】
図13に示す画面の上部の領域1301には、検査中の工程が他と区別されて表示される。図13は、プリチャージの工程が他の工程と色分け表示されている例を示している。画面の左側に表示されたウエハマップ1302には、ウエハ全体が横方向、すなわちX方向にステージが移動してプリチャージされることが、線で表示されている。プリチャージ時の吸収電流表示領域1303に、実測値「−△マイクロアンペア」が表示されている。目標値「−○マイクロアンペア」の許容範囲「±10%」以内である場合には、判定に「OK」と表示され、追認のために「OK」をマウスポインタのクリック等で指定すると(ステップ1204)、判定後の処置「No.1」のビーム校正の手順へすすんで、電子ビーム3の焦点合わせが行われ(ステップ1205)、次に、ウエハの座標原点を定めるアライメントが行われ(ステップ1206)、画像の明るさやコントラストの調整が行われ(ステップ1207)、検査レシピに設定された許容値の範囲内かどうかが判定され(ステップ1208)、許容範囲内であれば、比較検査が実行される(ステップ1209)。指定された検査領域の検査が終了したら、検査結果が出力されるとともに、検査画像や比較検査前の画像が保存される(ステップ1210)。また、欠陥と判定された座標に対応する画像を画像表示ユニット31に表示させ、真の欠陥かどうかをレビューすることも可能である。以上で1枚目のウエハの検査が終了し、アンロードされる(ステップ1211)。
【0050】
続いて、2枚目のウエハがロードされる(ステップ1202)。1枚目のウエハと同じ条件でプリチャージが実行され(ステップ1203)、図14に示すように、プリチャージ時の吸収電流の実測結果は「−□マイクロアンペア」であり、目標値「−○マイクロアンペア」の許容値「±10%」を超え、ゼロに近い値であったので、ステップ1204での判定は「NG」となり、ウエハがアンロードされた後、ステップ1202の検査スタート指示に戻り、ステップ1202とステップ1203が実行される。再び、プリチャージ時の吸収電流が実測され、その結果が、図示していないが、目標値「−○マイクロアンペア」の許容値「±10%」以内であったので、ステップ1204での判定は「OK」となり、ステップ1205から以降、1枚目のウエハと同様に検査が行われる。
【0051】
ステップ1204での判定は、2回まではステップ1201に戻る。例えば、3枚目のウエハで説明すると、はじめに3枚目のウエハがロードされ(ステップ1202)、1枚目のウエハと同じ条件でプリチャージが実行され(ステップ1203)、プリチャージ時の吸収電流の実測結果が許容値を超えていたため、アンロードされる(ステップ1204)。再びロードされ(ステップ1202)、プリチャージが行われ(ステップ1203)、吸収電流が実測され、実測結果が許容値を超えていたため、2回目のアンロードが行われ(ステップ1204)、再びロードされ(ステップ1202)、プリチャージが行われ(ステップ1203)、吸収電流が実測される。実測結果が許容値を超えていたため、3回目のアンロードになるので、ステップ1201には戻らず、ステップ1211でアンロードされ、検査されることなく終了する。このとき、プリチャージが正常に終了しなかったことを伝えるエラーメッセージを操作画面に表示するようにする。
【0052】
上述したような手順で設定された検査レシピのプリチャージ条件に対して、異なる条件の方が有効な場合がある。例えば、負帯電を形成して検査しようとする被検査ウエハにおいて、事前に別の装置等で帯電の影響を受けていることが懸念される場合には、ウエハをロードし、正帯電の極性で吸収電流が比較的小さい条件でプリチャージし、その後、負帯電の極性で所望の吸収電流になるようにする。
【0053】
別の例では、コンタクトホールの密度が比較的低い被検査ウエハに対して負帯電を形成する際に、負帯電の極性で吸収電流が大きな条件でプリチャージした後に、同じ極性で吸収電流が比較的小さい条件でプリチャージすることにより、表面絶縁膜の過剰な帯電を抑制し且つ安定した良好なコントラストにする効果を得ることができる。
【0054】
上述した本発明の実施態様によれば、エミッション電流,電極電位により照射する電子の量を調整し、ステージ速度や回数等により照射する時間を調整することで、総合的にプリチャージの量を調整することができ、簡易に最適条件を求めることができるようになる。また、電子の量については、ホルダに流れる吸収電流をモニタすることにより、最適条件を判断したり、プリチャージが正常に実施されたかどうかを判断できるようになる。この吸収電流をプリチャージの都度モニタすることにより、帯電状態が正常であるかどうか判断できるため、検査結果が正常であるかどうかを装置が自動判定することが可能になり、再トライあるいは検査中断の処理を自動判定できるようになる。その結果、検査が正常に実施できない場合に、その検査結果が出力されることを防ぎ、検査結果の信頼性を向上させることができる。
【0055】
このように、本発明の実施態様によれば、半導体装置の帯電を活用したパターン、例えば、コンタクトホールを、高感度かつ高精度に検査する技術を提供することができるので、半導体装置の製造過程において重要な配線工程における不良の内容を早期に検知でき、かつ、不良対策を実施するために必要な欠陥位置やサイズの情報を検査と同時に取得でき、対策までのTATが短縮でき、結果として半導体装置の歩留まり向上や生産性を高めることができるという大きな効果をもたらす。
【0056】
以上、本発明の代表的な装置の構成および、検査方法について、具体的な検査のフローおよび各部の作用,検査条件を決定するための操作画面、そして、検査および検査条件設定の操作方法の実施例について説明してきたが、本発明の範囲を逸脱しない範囲で請求項目に掲げた複数の特徴を組み合わせた検査方法および検査装置についても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施例における回路パターン検査装置の構成図。
【図2】図1のホルダの部分を拡大した構成図。
【図3】検査対象である半導体ウエハの一部分の縦断面図。
【図4】検査対象である半導体ウエハの一部分の縦断面図。
【図5】検査対象である半導体ウエハの一部分の縦断面図と、その一部分を撮像して得られた画像を示す画面図。
【図6】検査対象である半導体ウエハの一部分の縦断面図と、その一部分を撮像して得られた画像を示す画面図。
【図7】ホルダに載せられたウエハの平面図。
【図8】ホルダに載せられたウエハの平面図。
【図9】吸収電流の特性を示すグラフ。
【図10】プリチャージ条件設定を組み込んだ検査レシピを設定する手順を示すフローチャート。
【図11】プリチャージ条件を設定する画面の一例を示す画面図。
【図12】検査の手順を示すフローチャート。
【図13】検査実行時の画面表示の例を示す画面図。
【図14】検査実行時の画面表示の例を示す画面図。
【符号の説明】
【0058】
3 電子ビーム
7 ウエハ
13 ホルダ
17 リターディング電源
18,19 電極
20 プリチャージユニット
25 画像処理ユニット
31 画像表示ユニット
32 ピン
33 プリチャージ電源
34 電流計
35 切り替えユニット
36 プリチャージユニット用電源
37 制御部
38 シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板の表面に電子ビームを照射する照射手段と、該基板から発生する信号を検出する検出手段と、該検出手段により検出された信号を画像化する画像化手段と、該画像化手段により画像化された画像同士を比較して前記基板を検査する比較手段とを備えたパターンの検査装置であって、前記電子ビームを照射する前に、前記電子ビームを発生させる電子源とは別の第二の電子源から電子を発生させて前記基板の表面に帯電を形成させる帯電形成手段と、該帯電形成手段により前記基板の表面に帯電が形成された状態で、前記基板に流れる電流の値を計測する電流計測手段と、該電流計測手段により計測された電流の値が予め定められた目標値になるように前記帯電形成手段により形成される帯電を調整する調整手段とを備えたことを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記調整手段は、前記第二の電子源の電子照射のエミッション電流を調整して前記帯電を調整することを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、さらに前記基板の上方に電極を設け、前記調整手段は、該電極に印加される電圧を調整して前記帯電を調整することを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項4】
請求項1の記載において、前記調整手段は、前記基板に流れる電流の値の目標値が正のときは正帯電が、負のときは負帯電が前記基板の表面に形成されるように前記帯電を調整することを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項5】
請求項1の記載において、前記基板の表面に前記電子ビームを照射するときに、前記基板に負の電圧を印加する電源を備えたことを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記電流計測手段により前記基板に流れる電流を計測するときに前記基板へ電圧を印加する第二の電源を設け、該第二の電源と、前記基板に負の電圧を印加する電源とを切り替える切り替え手段を備えたことを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項7】
パターンが形成された基板表面に電子ビームを照射して発生する2次信号から画像を生成し、該画像同士を比較演算して前記パターンの欠陥の座標を抽出するパターンの検査装置において、前記基板への前記電子ビームの照射に先立って、電子を照射するためのプリチャージユニットと、少なくとも該プリチャージユニットのエミッション電流,前記基板の上方へ設けられた電極へ印加される電圧,前記基板へ印加される電圧,前記基板の移動速度,前記電子の照射の回数のうちのひとつを設定する制御部と、前記プリチャージユニットによる電子の照射中、前記基板を連続的に移動させるステージと、前記基板へ電圧を供給する第1の電源と、該第1の電源によって前記基板へ電圧を供給したときの電流値を計測する電流計とを備え、前記制御部は、該電流計で計測された電流値に基づいて、前記プリチャージユニットへ供給されるエミッション電流の値を決定し供給することを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記制御部は、前記電流計で計測された電流値が、予め定められた閾値を超えた場合は、前記基板を前記ステージからアンロードし、再度ロードして、前記プリチャージユニットによる電子の照射を再度実行することを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項9】
請求項7の記載において、前記電子ビームを減速させるリターディング電圧を前記基板へ供給する第2の電源と、前記第1の電源と前記第2の電源とを切り替える切り替えユニットとを備え、該切り替えユニットは、前記プリチャージユニットで前記基板へ電子を照射するときは前記第1の電源へ切り替えて前記基板へ電圧を供給し、前記電子ビームで前記基板を照射して画像を取得するときは、前記第2の電源へ切り替えて前記基板へ電圧を供給することを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項10】
請求項7の記載において、前記制御部は、前記基板の上方へ設けられた電極へ印加される電圧の極性を切り替え可能であることを特徴とするパターンの検査装置。
【請求項11】
パターンが形成された基板の表面に電子ビームを照射し、前記基板から発生する信号を検出し、検出された前記信号を画像化し、画像化された画像同士を比較して前記基板を検査するパターンの検査方法であって、前記電子ビームを照射する前に、前記電子ビームを発生させる電子源とは別の第二の電子源から電子を発生させて前記基板の表面に帯電を形成させ、前記第二の電子源により前記基板の表面に帯電が形成された状態で、前記基板に流れる電流の値を計測し、計測された前記電流の値が予め定められた目標値になるように前記第二の電子源により形成される帯電を調整することを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項12】
請求項11の記載において、前記第二の電子源の電子照射のエミッション電流を調整して前記帯電が調整されることを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項13】
請求項11の記載において、さらに前記基板の上方に電極が設けられ、該電極に印加される電圧を調整して前記帯電が調整されることを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項14】
請求項11の記載において、前記基板に流れる電流の値の目標値が正のときは正帯電が、負のときは負帯電が前記基板の表面に形成されるように前記帯電が調整されることを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項15】
請求項11の記載において、前記基板の表面に前記電子ビームを照射するときに、第一の電源から前記基板に負の電圧を印加することを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項16】
請求項15の記載において、前記基板に流れる電流が計測されるときに前記基板へ電圧を印加する第二の電源が設けられ、該第二の電源と、前記基板に負の電圧を印加する前記第一の電源とが切り替えられることを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項17】
パターンが形成された基板表面に電子ビームを照射して発生する2次信号から画像を生成し、該画像同士を比較演算して前記パターンの欠陥の座標を抽出するパターンの検査方法において、前記基板への前記電子ビームの照射に先立って、電子を照射するためのプリチャージユニットを設け、少なくとも該プリチャージユニットのエミッション電流,前記基板の上方へ設けられた電極へ印加される電圧,前記基板へ印加される電圧,前記基板の移動速度,前記電子の照射の回数のうちのひとつを設定し、前記プリチャージユニットによる電子の照射中、前記基板を連続的に移動させるとともに、第1の電源から前記基板へ電圧を供給し、前記基板へ電圧を供給したときの電流値を計測し、該計測された電流値に基づいて、前記プリチャージユニットへ供給されるエミッション電流の値を決定し供給することを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項18】
請求項17の記載において、前記計測された電流値が、予め定められた閾値を超えた場合は、前記基板をアンロードし、再度ロードして、前記プリチャージユニットによる電子の照射を再度実行することを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項19】
請求項17の記載において、第2の電源から前記電子ビームを減速させるリターディング電圧を前記基板へ供給し、前記プリチャージユニットで前記基板へ電子を照射するときは前記第1の電源へ切り替えて前記基板へ電圧を供給し、前記電子ビームで前記基板を照射して画像を取得するときは、前記第2の電源へ切り替えて前記基板へ電圧を供給することを特徴とするパターンの検査方法。
【請求項20】
請求項17の記載において、前記基板の上方へ設けられた電極へ印加される電圧の極性を切り替えることを特徴とするパターンの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−118564(P2010−118564A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291624(P2008−291624)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】