説明

パワーアシスト装置及びその制御方法

【課題】ワークを目標に合わせる場合は、ブレを補正して目標軌道に沿いやすくするとともに、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをスムーズに移動できるように制御するパワーアシスト装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】操作ハンドル6と、操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きθhを検出する力センサ7と、ロボットアーム3と、アクチュエータ11と、を備えるパワーアシスト装置50の制御方法であって、操作力の向きθhが、予め定めた操作ハンドル6の進行方向に対して所定の角度範囲内であると検出された場合には、操作ハンドル6を、操作力の進行方向成分のみを採用して、進行方向Aに沿って進行させるようにアクチュエータ11を駆動し、操作力の向きθhが、前記所定の角度範囲外であると検出された場合には、操作ハンドル6を、操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きで進行させるようにアクチュエータ11を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーアシスト装置の技術に関し、より詳しくは、ワークを搬送する際に進行方向をガイドするパワーアシスト装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造現場等では、作業者の労力軽減や作業性向上のためにパワーアシスト装置と呼ばれるロボットが用いられている。そして、パワーアシスト装置に関する技術としては、例えばワークを搬送する際に、あらかじめ設定された設定エリアからはみ出した場合には、インビジブルウォールと呼ばれる仮想の壁から受ける戻し力を作業者に与えるように、ワークを支持するアームのモータを駆動するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、製造現場におけるパワーアシスト装置の使用例として、アシストを行うロボットアームの先に人が操作する操作子を具備し、人の操作をアシストする力をロボットアームに発生させるパワーアシスト装置が、ウィンドウガラスを自動車のボディにはめ込むなどの、高精度のワーク位置決めと、はめ込む時の進行方向の精度が求められる作業に用いられている。
【特許文献1】特開2005−28492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載の技術は搬送を行う際の基準となる軌道の変更・修正を容易に行うことができないために、この技術を例えば上述したような自動車のボディにウィンドウガラスをはめ込む作業に適用した場合を考えると、ボディとウィンドウガラスがわずかでもずれていると、まず、そのまま適用した場合は、(1)ウィンドウガラス側のアップストッパがボディの係合穴にうまく入らず、ボディにぶつける。(2)トランクとボディの隙間にウィンドウガラスを差し込む際に、トランクやボディにガラスがぶつかる、などの問題点が考えられる。
また、ティーチング設定エリアを変える場合は、設定エリアを変更するのに時間がかかるといった問題点が考えられる。
【0005】
さらに、特許文献1記載の技術の適用についてより具体的な課題を上げると、そのまま適用した場合は、(1)ウィンドウガラスに接着剤のウレタン(図4の符号12)が塗布されているので、付着しないように離れた高さで位置合わせをしてから、その位置を維持したまま下げていく動作が必要がある。(2)トランクとボディの隙間や、ストッパをボディの穴に差し込む向きがワークの構造上決まっているため、搬送方向の精度が要求される。(3)操作ハンドルに力を加えて動かす際に、動かしたくない向きにも力がかかってしまい、その向きにも動いてしまい、位置ズレと挿入向きのズレが生じる。(4)ボディの位置が毎回ばらつくため、設定したティーチ位置を変える必要あり、さらに、ティーチング設定エリアを変える場合は、搬送モードと設定エリアを変えるモードを切り替える必要がある、等の実施上の多くの課題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術を適用せず、自動車のボディにウィンドウガラスをはめ込む作業を行う場合は、すなわち、図10に示すようにウィンドウガラス2を従来のパワーアシスト装置で搬送しながら操作者の操作によりボディ100にはめ込む作業を行う場合は、操作者は操作子によりアシストを行うロボットアームの操作を行う際には、ロボットアームをどの方向にも同様に動かすことが可能であり、そのような状態で自動車のボディ100上空でウィンドウガラス2の前後位置を合わせても、図10の点線矢印の方向に降ろして行く途中で前後にずれることがあるため、アッパーの位置を合わせたままで真下に安定して降ろすような手段が望まれていた。
そこで本発明では、このような課題を鑑み、ワークを目標に合わせる場合は、ブレを補正して目標軌道に沿いやすくするとともに、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをスムーズに移動できるように制御するパワーアシスト装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、
操作者により操作される操作部位と、
前記操作部位に加えられた操作力とその向きを検出する操作力検出手段と、
前記操作部位を支持するロボットアームと、
前記ロボットアームを駆動する駆動手段と、
を備えるパワーアシスト装置の制御方法であって、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
予め定めた操作部位の進行方向に対する所定の角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記所定の角度範囲外である場合には、
前記操作部位を加えられた操作力の向きへ進行させるように前記駆動手段を駆動するものである。
【0009】
請求項2においては、
前記所定の角度範囲を、内側の第一角度範囲と、該第一角度範囲の両外側に位置する第二角度範囲とに分割設定し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第一角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第二角度範囲内である場合には、
前記操作部位を、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向成分と、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向に対する垂直方向成分よりも小さくなるように補正した補正後垂直方向成分とで決定される方向へ進行させるように前記駆動手段を駆動するものである。
【0010】
請求項3においては、
前記第二角度範囲を、複数の角度範囲に分割設定し、
前記複数の角度範囲の外側に行くに従って、前記補正後垂直方向成分を徐々に大きくするものである。
【0011】
請求項4においては、
操作者により操作される操作部位と、
前記操作部位に加えられた操作力とその向きを検出する操作力検出手段と、
前記操作部位を支持するロボットアームと、
前記ロボットアームを駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御装置と、
を備えるパワーアシスト装置であって、
前記制御装置は、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
予め定めた操作部位の進行方向に対する所定の角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記所定の角度範囲外である場合には、
前記操作部位を加えられた操作力の向きへ進行させるように前記駆動手段を駆動するものである。
【0012】
請求項5においては、
前記制御装置には、前記所定の角度範囲が、内側の第一角度範囲と、該第一角度範囲の両外側に位置する第二角度範囲とに分割設定され、
前記制御装置は、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第一角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第二角度範囲内である場合には、
前記操作部位を、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向成分と、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向に対する垂直方向成分よりも小さくなるように補正した補正後垂直方向成分とで決定される方向へ進行させるように前記駆動手段を駆動するものである。
【0013】
請求項6においては、
前記第二角度範囲は、複数の角度範囲に分割設定され、
前記複数の角度範囲の外側に行くに従って、前記補正後垂直方向成分が徐々に大きくなるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、ワークを目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをスムーズに移動できる。
【0016】
請求項2においては、ワークを目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをより違和感なくスムーズに移動できる。
【0017】
請求項3においては、ワークを目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをより違和感なくスムーズに移動できる。
【0018】
請求項4においては、ワークを目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをスムーズに移動できる。
【0019】
請求項5においては、ワークを目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをより違和感なくスムーズに移動できる。
【0020】
請求項6においては、ワークを目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ワークをより違和感なくスムーズに移動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るパワーアシスト装置の全体構成を示す模式図、図2はパワーアシスト装置の制御系の構成を示すブロック図、図3はパワーアシスト装置におけるロボットアームの別実施例を示す斜視図、図4はウィンドウガラスをボディに取付けた状態におけるウィンドウガラスの上端部を拡大して示す模式図、図5は所定の角度範囲と操作力の向きとの関係を示す図、図6は所定の角度範囲と操作力の向きとの関係を示す図、図7は所定の角度範囲と操作力の向きとの関係を示す図、図8はガイド方向と角度の実現形態を示す説明図、図9は操作力補正のベクトル線図、図10は従来のパワーアシスト装置によるウィンドウガラスの取付動作を示す模式図である。
なお、本実施形態では、理解に供しやすくするため、搬送対象物であるワークを、図1に示すXYZ座標系のXY平面内で移動する作業を例とする。XY平面は鉛直面である。
また、以下の説明においては、説明の便宜上、図1に示す矢印Xの方向を前方とする。
また、本実施形態において、操作者1が行う主な作業は、ワークであるウィンドウガラス2(以下、ウィンドウ2という)を、図1に示す自動車のボディ100の窓枠100a上方から、窓枠100aのウィンドウ2取付位置へ移動して取り付ける作業である。
【0022】
まず、本発明に係るパワーアシスト装置の全体構成について説明する。
パワーアシスト装置50は、図1に示すように、主としてロボットの一例であるロボットアーム3と、ジョイント4と、該ジョイント4を介してロボットアーム3に支持されるウィンドウ2の保持手段である吸着治具5と、該吸着治具5に設けられた操作者1により操作される操作部位である操作ハンドル6と、前記操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きを検出する操作力検出手段である力センサ7と、前記ロボットアーム3を駆動するアクチュエータ11と、該アクチュエータ11を駆動制御する制御装置8(図2に図示)によって構成されている。
【0023】
ロボットアーム3は、図1に示すように側面視パンタグラフ状の閉ループリンク機構に構成されており、複数の関節3a(本実施例では4箇所)を介して各リンク3b・3b・3b・3bが連結されている。該ロボットアーム3の先端である手先3cがジョイント4を介してウィンドウ2を吸着する吸着治具5に繋がっている。前記ジョイント4は前記吸着治具5に吸着されているウィンドウ2の姿勢を3次元的に揺動可能である。また、前記各関節3a、ジョイント4及び各リンク3b・3b・3b・3bによりリンク機構を構成しており、該リンク機構にはアクチュエータ11(図2に図示)が取り付けられており、該アクチュエータ11を駆動することによりリンク機構を駆動し、ロボットアーム3の手先3cが3次元的に揺動可能となっている。これにより、前記ロボットアーム3にジョイント4を介して連結される吸着治具5は、該ロボットアーム3に対して3次元的に揺動可能となっている。
また、ロボットアーム3は、通常の搬送の場合は、操作者1がウィンドウ2を操作ハンドル6によりヨー軸、ロール軸回りに回転させたときにそれぞれ横方向(図1の左右方向)、縦方向(図1の上下方向)にロボットアーム3の手先3cを動かしウィンドウ2を移動させることが可能である。つまり、操作者1が操作ハンドル6を把持して吸着治具5を傾けた方向に、ウィンドウ2を移動させることが可能である。
なお、本実施形態においては、図1に示すように側面視パンタグラフ状のロボットアーム3を具備したパワーアシスト装置50について説明したが、特に限定するものではなく、ロボットアームとして、図3に示すような、マニュピュレータ型の多関節型ロボットであるロボットアーム30であってもかまわない。図3に示したロボットアーム30おいては、前述したロボットアーム3と同様の部材及び機能を有する箇所には同符号を付している。
【0024】
また、ロボットアーム3の各関節3a・3a・3a・3a及びジョイント4には、各リンク3b・3b・3b・3bの位置を角度として検出する角度検出手段であるエンコーダ10(図2に図示)が配置されている。該エンコーダ10による検出値は制御装置8へ送られる。制御装置8は、送られたエンコーダ10の検出値から、ウィンドウ2の位置及びウィンドウ2の姿勢を求めることができる。
【0025】
吸着治具5は、該吸着治具5の枠組みであるフレーム5aと、該フレーム5aの左右両側(ライン進行方向である矢印Xに対して両側)にそれぞれ張り出した操作者1が把持して吸着治具5を操作するための操作ハンドル6・6を備えている。また、吸着治具5は、ロボットアーム3の手先3cにジョイント4を介して吊られており、ウィンドウ2を吸着保持可能となっている。具体的には、フレーム5aの下端には、ウィンドウ2の表面(つまり、ウィンドウ2をボディ100に取り付けたときにボディ100の外側になる面)に吸い付く複数の吸盤9が取り付けられている(本実施例では4箇所)。吸着治具5にウィンドウ2を保持させる場合、吸盤9をウィンドウ2表面に密着させ、図示しないポンプによって吸盤9内の空気を吸引する。これにより、ウィンドウ2は吸盤9に吸着され、吸着治具5に保持される。
一方、吸着治具5からウィンドウ2を開放する場合には、ポンプによる空気の吸引を停止し、吸盤9とウィンドウ2との間に空気を注入することで、吸盤9へのウィンドウ2の吸着を停止する。これにより、ウィンドウ2は吸着治具5から開放される。
【0026】
前記操作ハンドル6は、図2に示すように平面視略U字状であり、吸着治具5の両端部に配置されている。また、操作ハンドル6の一端(操作者1がハンドルを把持する側)の幅方向中央部近傍には前記力センサ7が配設されている。操作ハンドル6は、ボディ100の窓枠100aにウィンドウ2を取り付ける際に操作者1によって把持される。操作者1がハンドル6を把持することで、吸着治具5が安定し、操作者1は窓枠100aに対するウィンドウ2の位置調整を行うことができる。
【0027】
前記力センサ7は、ハンドル6と吸着治具5のフレーム5aとの間に配置されて、ハンドル6にかかる操作力と、操作力の向きを検出するセンサである。つまり、パワーアシスト装置50と協調作業する操作者1がウィンドウ2に加える操作力およびトルクを検出するセンサである。
また、前記力センサ7によって検出された操作者1の操作力と操作力の向きは、後述する制御装置8へ送られる。
なお、本実施形態では力センサ7はハンドル6の一方にのみに配設したものであるが特に限定するものではなく、両方のハンドル6近傍に配設してもかまわない。
【0028】
制御装置8には、図2に示すように上述した力センサ7、エンコーダ10及びロボットアーム3を駆動させるアクチュエータ11が接続されている。パワーアシスト装置50の各部の動作は制御装置8によって制御される。前記力センサ7で検出された操作力と操作力の向き、前記エンコーダ10に基づく吸着治具5(ウィンドウ2)の位置情報等に基づいて操作者1の意図(本実施形態ではウィンドウ2を取り付けるために下方に動かしたい意図)をリアルタイムで推定する。そして、制御装置8は、アクチュエータ11を駆動してロボットアーム3を制御し、後述する操作者1に加えられた操作力の向きに応じて決定されるアシスト力を発生させる。
【0029】
また、制御装置8は、図示しない中央演算処理装置(CPU)や記憶装置(ハードディスク装置、RAMやROM)やインターフェース等からなり、記憶装置に後述する操作力とその向きθhと目標軌道Aとの関係からアクチュエータ11をどのような条件で駆動制御するかを判断するための各種情報が記憶されている。
また、制御装置8は、図示しない指令値算出装置・指令値出力装置を有する。
【0030】
次に、本発明に係るパワーアシスト装置の制御方法について図4から図7を用いて説明する。
まず、制御装置8に操作ハンドル6もしくはロボットアーム3の手先3cの進行方向(本実施形態では操作ハンドル6の進行方向)を予め設定しておく。また、予め設定された操作ハンドル6の進行方向Aは、操作ハンドル6の目標軌道Aとなる。本実施形態においては、図4に示すウィンドウ2の上端部にある鍵状のアップストッパ2aが、ボディ100の所定位置に設けられたアップストッパ2aの係合穴と係合するように鉛直下方(図4の矢印A方向)を操作ハンドル6の進行方向Aとして制御装置8に予め設定しておく。そして、図5に示すように、前記進行方向A(目標軌道A)を基準として所定の角度範囲の条件設定を行う。
ここで、図5の点線矢印で示す進行方向Aに対して、角度範囲の境界がなす角をθ1、θ2とする(本実施形態ではθ1=20°、θ2=30°)。このθ1で表される角度範囲は、操作ハンドル6に加えられる操作力の向きθhが、この角度範囲内である条件(θ1≧θh)において、進行方向Aに対して操作ハンドル6が斜めに全く動かないように制御を行う角度範囲である。
さらに、この斜めに全く動かない角度範囲よりもさらに両外側に位置するθ2の角度範囲からθ1の角度範囲を除いたエリアである角度範囲は、操作ハンドル6に加えられる操作力の向きθhが、この角度範囲内である条件(θ1<θh≦θ2)において、進行方向Aに対して操作ハンドル6が斜めに動きにくくなるように制御を行う角度範囲である。
【0031】
また、斜めに動きにくい角度範囲の外側となる角度範囲は、操作ハンドル6に加えられる操作力の向きθhが、この角度範囲内にある条件(θ2<θh)において、操作ハンドル6に加えられる操作力と操作力の向きθhで、操作ハンドル6が進行するように制御を行う角度範囲である。
こうして、それぞれの角度範囲とその角度範囲内に操作力の向きが対応した場合のそれぞれの制御の流れについて制御装置8内に記憶させておき、力センサ7により操作者1により加えられた操作力とその向きθhを検出して、制御装置8が、検出された操作力とその向きθhと、上述した角度範囲との関係に基づいてアクチュエータ11の駆動制御を行うものである。
なお、上述したように操作ハンドル6の進行方向Aを制御装置8に記憶させているが、特に限定するものではなく、ロボットアーム3の手先3cの進行方向(手先3cの目標軌道)やワークであるウィンドウ2の進行方向(ワークの目標軌道)を記憶させておき、それらの進行方向を操作力の向きθhを測るための基準方向として採用することも可能である。
【0032】
図5に示すように、力センサ7により操作力の向きθhが、操作ハンドル6が進行方向Aに対して斜めに動きにくい角度範囲外(θ2の外側の角度範囲。θ2<θh)であると検出された場合は、操作力の向きθhが操作ハンドル6の進行方向Dとなる。具体的には、制御装置8が、操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きθhをそのまま採用して、操作ハンドル6を進行させるようにアクチュエータ11を駆動させる。つまり、θ2の外側となる角度範囲に入る操作力の向きθhは、操作ハンドル6が自由に動ける向きである。
【0033】
また、図6に示すように、操作力の向きθhが、力センサ7により操作ハンドル6が進行方向Aに対して斜めに全く動かない角度範囲内(θ1≧θh)であると検出された場合は(図6の操作ハンドル6の操作力の向きθhが、θ1≧θhの条件下にある場合)、予め定めた進行方向Aに対して操作力の垂直成分(図6の矢印Bx)は無視(キャンセル)されゼロとなり、進行方向Aと平行である上下方向の成分(図6の矢印By)のみを有効とし、操作ハンドル6を進行方向Aに沿って進行させる。すなわち、制御装置8が、操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きθhの進行方向A成分のみを採用して、操作ハンドル6を進行させるようにアクチュエータ11を駆動させる。
このように、本発明に係るパワーアシスト装置50の制御方法を適用することで、操作ハンドル6を進行方向Aに沿ってガイドアシストする制御が可能となり、ワークであるウィンドウ2を所定の位置にスムーズに搬送することができる。
【0034】
従来の問題点であったウィンドウ2のアップストッパ2aのボディ100へのはめ込み作業においても、図7に示すように、アップストッパ2aと係合穴との位置合わせを行った後、アップストッパ2aの鉛直下方となる進行方向Aを予め設定しておけば、そのまま進行方向Aが操作ハンドル6をズレないように規制する向きとなる。すなわち、進行方向A(目標軌道A)に対して所定角度範囲内(ここでは、斜めに全く動かない角度範囲θ1内)で操作力の向きθhが加わると、強制的に規制される向き(本実施例では鉛直下方となる進行方向A)に補正され、規制された向きにしか動かないように制御装置8により操作ハンドル6が制御される。
また、上述したように操作ハンドル6が規制されて、進行方向Aに沿って移動している途中であっても、操作者1が意図して斜めに動きにくい角度範囲外(θ2の両外側の角度範囲)となるべく操作ハンドル6に操作力の向きθhの操作力を与えると、進行方向Aの向きに規制されることなく、目標軌道Aから離れて自由に動けるようになる。
このようにして、ウィンドウ2をボディ100にはめ込む前に位置合わせをしたウィンドウ2の上端部の位置をブレることなく進行方向にガイドしてウィンドウ2を下降させることが可能となり、ウィンドウ2を所望の向きに進めて係合穴にはめ込むことができるので、位置決め精度と、進行方向精度が向上し、作業時間も短縮される。
【0035】
なお、本実施例においては本発明を理解に供しやすくするために、鉛直下方を予め定める進行方向Aとする例を挙げているが、製造現場においてはあらゆる方向に対応する必要があり、制御すべき方向を特に限定するものではなく、適宜状況に応じて進行方向(目標軌道)を制御装置8に設定可能である。
また、予め定める進行方向A(目標軌道A)は、直線状、ジグザグ状もしくは曲線状等で二次元平面上だけでなく三次元空間内において自在に設定可能であり、複雑に入り組んだ進行方向であっても制御装置8にて容易に設定可能である。
【0036】
また、上述した角度範囲の設定については、特に限定されるものではなく、例えば、操作力の向きθhが進行方向Aに対して所定の角度範囲内である場合は、操作力の進行方向成分のみを採用し、操作力の向きθhが所定の角度範囲外にある場合は、加えられた操作力とその向きを採用して制御することも可能である。つまり、本発明に係るパワーアシスト装置50の制御方法は、進行方向A(目標軌道A)に対して操作力の向きθhが所定角度以内であれば、目標軌道Aに沿った形でワークであるウィンドウ2が進むように軌道を規制する手段を有し、目標軌道Aが所定角度を超えた場合は、前記規制する手段による規制を行わないものである。
【0037】
さらに、前記所定の角度範囲を、内側の第一角度範囲と、該第一角度範囲の両外側に位置する第二角度範囲とに分割して、操作力の向きθhが第一角度範囲内にある場合は、操作力の進行方向成分のみを採用し、操作力の向きθhが第二角度範囲内にある場合は、上述したように操作ハンドル6が斜めに動きにくくなるように制御を行う角度範囲とする。具体的には、斜めに動きにくくするためには、操作ハンドル6に加えられた操作力の進行方向成分と、操作ハンドル6に加えられた操作力の進行方向に対する垂直方向成分よりも小さくなるように補正した垂直方向成分と、を採用してアクチュエータ11を駆動制御するものである。つまり、前記制御装置8により、操作ハンドル6に加えられた操作力の進行方向成分と、前記補正した垂直方向成分とで決定される方向へ操作ハンドル6を進行させるように、前記アクチュエータ11を駆動する。
【0038】
さらに、前述した第二角度範囲内(斜めに動きにくい角度範囲内)を、さらに複数の角度範囲に分割設定して、角度範囲が外側になっていくに従って、徐々に図6に示す矢印Bxの操作力のキャンセル量を緩和(少なくしていく)していくように構成することも可能である。すなわち、前記複数の角度範囲の外側に行くに従って、垂直方向成分の補正後の操作力が徐々に大きくなるように構成するものである。
このように構成すると、操作者1が前記第一角度範囲(斜めに動かない角度範囲)と前記第二角度範囲(斜めに動きにくい角度範囲)との境界を出入しても、その境界を感じることがない。つまり、スムーズに目標軌道Aからの離脱もしくは目標軌道Aに復帰することができる。
【0039】
次に、上述した本発明に係るパワーアシスト装置の制御方法に係る演算方法を、数式を用いて詳しく説明する。
制御装置8の図示しない演算部においては、操作者1によって操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きθhを力センサ7により検出した検出値に基づいて、目標軌道Aに対する修正軌道を演算するものである。
【0040】
本発明者等は、まず操作者1が目標軌道Aに沿ってロボットアーム3の手先3cを移動させるときの操作力のブレ角度を調べた。その結果として、おおむね±10[deg]以内であった。個人差も考慮して、±20[deg]以内のときは操作者1が目標軌道Aに沿って操作しようとしていると本実施形態においては想定し、制御装置8に設定する。また、操作者1が、それ以上の方向(20[deg]以上)に操作しているときには、軌道を変更・修正しようとしていると考えているものとして制御装置8に条件設定する。
なお、前記ブレ角度は、特に限定するものではなく、状況に応じて適宜設定変更が可能である。
【0041】
具体的には、目標の方向および補正角度範囲に応じて、図8のような実現形態が考えられる。(a)はx軸の正負方向を目標の方向としている。(b)は(a)に対してθdだけ傾けた状態である。(c)はx軸の正方向には補正をかけるが、負方向には補正をかけないフリー状態である。(d)は(c)を角度θdだけ傾けた状態である。
【0042】
(操作力の修正方法)
図8(a)のように、手ブレ補正により進みやすくする方向をx軸とする。操作力の向きθhがx軸に対して±θ1の範囲では、手ブレを押さえ込むために、操作力のy軸成分をキャンセルさせる。また、x軸に対して±θ2を超える範囲では、そのままの操作力を用いる。操作力の向きθhがθ1とθ2の間である場合は、y軸成分のキャンセル具合を補間するようにする。
もともとの操作力Fh=(Fhx,Fhy)のy軸成分に対して、以下のような修正を加えて新たな操作力(数1)を得る。
【0043】
【数1】


ただし、この場合、θhは次式(数2)により表わされる。
【0044】
【数2】

これで次式(数3)にて表わされる補正後の操作力が得られる。
【0045】
【数3】

【0046】
図8(b)のように、傾いている場合は、回転行列で座標変換することで、上記と同様の計算ができる。
操作力Fhの目標方向成分とその垂直成分は、次式(数4)のように回転行列をかけることにより求まる。
【0047】
【数4】

ここで、R(θ)は角度θだけ回転させる行列であり、例えば2次元では次式(数5)で表される。
【0048】
【数5】

補正の計算は、次式(数6)のようになる。
【0049】
【数6】

ただし、この場合、θ’hは次式(数7)により表わされる。
【0050】
【数7】

【0051】
こうして、次式(数8)にて表わされる、補正計算により得られた新たな操作力を、次式(数9)に示すように、再度回転行列R(θd)で元の座標系に戻す。
【0052】
【数8】

【0053】
【数9】

このように操作力情報を補正した後で、通常のインピーダンス制御計算を行い、パワーアシスト装置50をインピーダンス制御すればよい。
【0054】
例えば、速度vで移動している物体に、操作力Fhが作用したときのベクトル線図を図9に示す(Tはサンプリング時間、Mは質量である)。ただし、x軸方向に進めたい場合である。
図9に示すように、ロボットアーム3がベクトルvの方向に移動している場合を考える。操作力がFhというベクトルで表されるとすると、1サンプリング後の加速度分は図9に示すFhT/Mというベクトルになる。ここで、x軸方向を目標軌道A(進行方向A)としているので、補正後の操作力はバーFhT/Mのベクトルのようにy方向成分がキャンセルされ、最終的に次のサンプリングにおける速度ベクトルはバーvとなる。この例では、最初の移動方向vが目標軌道Aからずれている場合を取り上げているが、前記の計算は非常に短時間のサンプリングにおける計算であり、このような計算を繰り返し行うことにより、移動速度ベクトルは目標軌道A(進行方向A)に沿うこととなり、ロボットアーム3は目標軌道A(進行方向A)に沿って移動する。また、最初の移動方向が目標軌道Aからずれていない場合は、その後の移動も目標軌道Aからずれることなく、目標軌道A(進行方向A)に沿って移動する。
なお、本実施形態においては移動速度に依存した補正を加えていないが、移動速度に応じて補正量を可変にすることも可能である。
また、前記補正量だけでなく前述した第一角度範囲と第二角度範囲とをそれぞれ可変したり、操作力の大きさに応じて補正量を可変にしたりすることも可能である。
【0055】
次に、上記構成のパワーアシスト装置50に上述した制御方法を適用して、ロボットと作業者が協調してウィンドウ2をボディ100の窓枠100aにはめ込む作業及びパワーアシスト装置50の動作について説明する。
【0056】
図1に示すように、ロボットアーム3の先端となる手先3cにジョイント4を介して吊られた吸着治具5があり、ウィンドウ2をボディ100の窓枠100aに取り付けるために、前記吸着治具5によりウィンドウ2が吸着されている。操作者1はウィンドウ2の位置と姿勢を調整しながらロボットアーム3を誘導することで、ウィンドウはめ込み位置である窓枠100a上方までウィンドウ2を搬送する。
図7に示すように、ウィンドウ2は、窓枠100aに対してやや上空に位置している。そして、操作者1はウィンドウ2の上端部に設けられているアップストッパ2aを、アップストッパ2aを係合する係合穴の鉛直上方に位置させておく。このとき、操作者1がこの位置で操作ハンドル6を持って、ウィンドウ2を目標位置である窓枠100aに近づける方向に、すなわち、ウィンドウ2を吸着した吸着治具5の操作ハンドル6に操作力を加えると、その操作力に応じて、図7に示すように操作ハンドル6が進行方向Aに動く。
【0057】
このとき、力センサ7により操作力の向きθhが予め定めた進行方向A(目標軌道A、本実施例では下方方向)に対して所定の角度範囲内(θ1≧θh)にあると検出した場合、検出した操作力の進行方向成分で操作ハンドル6を目標軌道Aに沿って進行させる。そうして、アップストッパ2aを係合穴に係合する。また、進行方向Aに沿って操作ハンドル6を進行させている途中に、アップストッパ2aの係合穴への係合を取り止めたい場合は、操作者1が意図的に所定の角度範囲外(θ2<θh)となる方向に操作力の向きθhを操作ハンドル6に与えて、進行方向Aから外れて自由に移動させることも可能である。
【0058】
つまり、操作者1がウィンドウ2を予め設定された目標軌道Aに沿って移動させようと操作ハンドル6に働きかけた場合は、操作者1の手先のブレを補正して目標軌道Aに沿って移動させることが可能であり、所定の角度範囲から外れた操作力の向きθhを与えた場合は、操作力と同じ向きに操作ハンドル6を動かすことが可能となる。
【0059】
なお、操作者1は、操作ハンドル6に加える操作力について、その方向を厳密に意識しているわけではないので、操作力の方向はXY平面と平行にならない場合もある。しかし力センサ7は、操作力のXY平面と平行であるヨー軸回り方向成分のみを検出するため、操作者1が加える操作力はXY平面と平行でなくてもよい。
【0060】
このように、操作者1により操作される操作部位である操作ハンドル6と、前記操作ハンドル6に加えられた操作力とその向きθhを検出する操作力検出手段である力センサ7と、前記操作ハンドル6を支持するロボットアーム3と、前記ロボットアーム3を駆動する駆動手段であるアクチュエータ11と、を備えるパワーアシスト装置50の制御方法であって、前記力センサ7により検出された前記操作ハンドル6に加えられた操作力の向きθhが、予め定めた操作ハンドル6の進行方向Aに対する所定の角度範囲内である場合には、前記操作ハンドル6を前記進行方向Aに沿って進行させるように前記アクチュエータ11を駆動し、前記力センサ7により検出された前記操作ハンドル6に加えられた操作力の向きθhが、前記所定の角度範囲外である場合には、前記操作ハンドル6を、加えられた操作力の向きθhへ進行させるように前記アクチュエータ11を駆動するというパワーアシスト装置50の制御方法を適用することにより、ワークであるウィンドウ2を目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ウィンドウ2をスムーズに移動できる。
【0061】
また、前記所定の角度範囲を、内側の第一角度範囲と、該第一角度範囲の両外側に位置する第二角度範囲とに分割設定し、前記力センサ7により検出された前記操作ハンドル6に加えられた操作力の向きθhが、前記第一角度範囲内である場合には、前記操作ハンドル6を前記進行方向Aに沿って進行させるように前記アクチュエータ11を駆動し、前記力センサ7により検出された前記操作ハンドル6に加えられた操作力の向きθhが、前記第二角度範囲内である場合には、前記操作ハンドル6を、前記操作ハンドル6に加えられた操作力の進行方向成分と、前記操作ハンドル6に加えられた操作力の進行方向Aに対する垂直方向成分よりも小さくなるように補正した補正後垂直方向成分とで決定される方向へ進行させるように前記アクチュエータ11を駆動するパワーアシスト装置50の制御方法を適用することにより、ワークであるウィンドウ2を目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ウィンドウ2をより違和感なくスムーズに移動できる。
【0062】
また、前記第二角度範囲を、複数の角度範囲に分割設定し、前記複数の角度範囲の外側に行くに従って、前記補正後垂直方向成分を徐々に大きくするパワーアシスト装置50の制御方法を適用することにより、ワークであるウィンドウ2を目標に合わせて搬送する場合は、ブレを補正でき、軌道の変更・修正を行う場合は、ウィンドウ2をより違和感なくスムーズに移動できる。さらに、分割する角度範囲を細かく設定すれば、よりスムーズに操作感が得られる。
【0063】
本発明のパワーアシスト装置50の制御方法を適用することにより、操作者1の操作力にブレが生じても、あらかじめ設定した進行させたい向きに対してガイドされるので、ずれることなく、一定の向きに操作部位である操作ハンドル6が進行する。これにより、進行方向精度が向上するので、ウィンドウ2等をボディ100にはめ込む前に位置合わせをした位置を保ったまま、ウィンドウ2を所望の向きに進めてはめ込むことができ、位置がずれにくくなり、位置決め精度が向上する。
また、位置調整時など、あらかじめ設定した進行方向以外の向きに動かしたい場合には、このガイドは働かないので、人の自由な操作を邪魔しないので、作業時間が短縮される。
【0064】
なお、本実施形態ではウィンドウ2の取付作業を例に上げたが、特に限定するものではなく、本発明はロボットを使用して対象物(ワーク)を所定位置に組み付ける作業に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るパワーアシスト装置の全体構成を示す模式図。
【図2】パワーアシスト装置の制御系の構成を示すブロック図。
【図3】パワーアシスト装置におけるロボットアームの別実施例を示す斜視図。
【図4】ウィンドウガラスをボディに取付けた状態におけるウィンドウガラスの上端部を拡大して示す模式図。
【図5】所定の角度範囲と操作力の向きとの関係を示す図。
【図6】所定の角度範囲と操作力の向きとの関係を示す図。
【図7】所定の角度範囲と操作力の向きとの関係を示す図。
【図8】ガイド方向と角度の実現形態を示す説明図。
【図9】操作力補正のベクトル線図。
【図10】従来のパワーアシスト装置によるウィンドウガラスの取付動作を示す模式図。
【符号の説明】
【0066】
1 操作者
3 ロボットアーム
6 操作ハンドル
7 力センサ
8 制御装置
11 アクチュエータ
50 パワーアシスト装置
θh 操作力の向き
A 進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者により操作される操作部位と、
前記操作部位に加えられた操作力とその向きを検出する操作力検出手段と、
前記操作部位を支持するロボットアームと、
前記ロボットアームを駆動する駆動手段と、
を備えるパワーアシスト装置の制御方法であって、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
予め定めた操作部位の進行方向に対する所定の角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記所定の角度範囲外である場合には、
前記操作部位を加えられた操作力の向きへ進行させるように前記駆動手段を駆動する、
ことを特徴とするパワーアシスト装置の制御方法。
【請求項2】
前記所定の角度範囲を、内側の第一角度範囲と、該第一角度範囲の両外側に位置する第二角度範囲とに分割設定し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第一角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第二角度範囲内である場合には、
前記操作部位を、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向成分と、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向に対する垂直方向成分よりも小さくなるように補正した補正後垂直方向成分とで決定される方向へ進行させるように前記駆動手段を駆動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト装置の制御方法。
【請求項3】
前記第二角度範囲を、複数の角度範囲に分割設定し、
前記複数の角度範囲の外側に行くに従って、前記補正後垂直方向成分を徐々に大きくすることを特徴とする請求項2に記載のパワーアシスト装置の制御方法。
【請求項4】
操作者により操作される操作部位と、
前記操作部位に加えられた操作力とその向きを検出する操作力検出手段と、
前記操作部位を支持するロボットアームと、
前記ロボットアームを駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御装置と、
を備えるパワーアシスト装置であって、
前記制御装置は、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
予め定めた操作部位の進行方向に対する所定の角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記所定の角度範囲外である場合には、
前記操作部位を加えられた操作力の向きへ進行させるように前記駆動手段を駆動する、
ことを特徴とするパワーアシスト装置。
【請求項5】
前記制御装置には、前記所定の角度範囲が、内側の第一角度範囲と、該第一角度範囲の両外側に位置する第二角度範囲とに分割設定され、
前記制御装置は、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第一角度範囲内である場合には、
前記操作部位を前記進行方向に沿って進行させるように前記駆動手段を駆動し、
前記操作力検出手段により検出された前記操作部位に加えられた操作力の向きが、
前記第二角度範囲内である場合には、
前記操作部位を、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向成分と、前記操作部位に加えられた操作力の進行方向に対する垂直方向成分よりも小さくなるように補正した補正後垂直方向成分とで決定される方向へ進行させるように前記駆動手段を駆動する、
ことを特徴とする請求項4に記載のパワーアシスト装置。
【請求項6】
前記第二角度範囲は、複数の角度範囲に分割設定され、
前記複数の角度範囲の外側に行くに従って、前記補正後垂直方向成分が徐々に大きくなることを特徴とする請求項5に記載のパワーアシスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−202280(P2009−202280A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46857(P2008−46857)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】