パワー半導体モジュール及びその製造方法
【課題】金属−絶縁層接合基板上に電力変換回路が構成され金属ベース側に液冷式冷却装置が構成されるパワー半導体モジュールを製造するにあたり、放熱突起の形状や配置に依存することなく、電力変換回路部の熱処理を伴う組立工程を経ても当該基板に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成し、もって冷却性能の向上を図る。
【解決手段】パワー半導体モジュールの回路基板として、アルミ製の金属ベース10の片面にセラミック絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板1を用いる。金属ベースは絶縁層が接合する板状のベース部10aと、該ベース部の絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起10bと、該ベース部に立設され放熱突起を囲む周壁部10cとが一体成形により構成されてなる。これにより基板の剛性を高めて熱応力に耐える。
【解決手段】パワー半導体モジュールの回路基板として、アルミ製の金属ベース10の片面にセラミック絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板1を用いる。金属ベースは絶縁層が接合する板状のベース部10aと、該ベース部の絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起10bと、該ベース部に立設され放熱突起を囲む周壁部10cとが一体成形により構成されてなる。これにより基板の剛性を高めて熱応力に耐える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等からなる電力変換回路に液冷式冷却装置が付随した構成を有するパワー半導体モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気モータの駆動、各種電力変換のためにIGBT等の半導体素子を利用したパワー半導体モジュールが使用されている。
近年、産業用途向けのパワー半導体モジュールは、燃料電池車等の電気自動車の開発を背景に、ますます高出力化が求められている。そのため定格の電流容量・電圧ともに拡大化が進められてきており、また従って、その基本構造の設計はもとより、運転時にモジュール内部で発生する損失による熱の放熱対策がより深刻な問題となってきている。
【0003】
特許文献1記載の発明にあっては、パワー半導体モジュールが搭載される放熱ベースのフィンが付設された底面に冷却液路を形成して当該パワー半導体モジュールを冷却する冷却装置を構成する。
かかる冷却装置にあっては、フィンが放熱ベースの長手方向に沿って形成され、冷却液路の流入口と流出口とが、長手方向の相対する両端部にそれぞれ設けられ、流入口の中心軸が長手方向に沿っており、冷却液路の上面に形成された開口が放熱ベースの底面で被われてフィンが冷却液路内に配置される。この放熱ベースはアルミニウム製で、表面上にセラミックス絶縁層が接合しており、セラミックス絶縁層上に形成された導体パターン上に半導体素子等が実装されて回路が構成される。
【0004】
特許文献1等で利用される金属ベースに絶縁層が接合し、この絶縁層を電気回路の絶縁ベースとして電気回路を構成する金属−絶縁層接合基板にあっては、薄板状の絶縁層が金属ベースに被着接合して形成されるから、電気回路で発生する熱を金属ベースに効率的に伝導でき、電気回路に冷却装置を付随させるには好個に用いられる。
従来、金属−絶縁層接合基板としては、特許文献2記載の技術等によりアルミニウム−セラミックス接合体が提供され利用可能となっている。特許文献2記載の技術によれば、アルミニウム−セラミックス接合体においては、セラミック板をカーボン製の鋳型にセットし、炉内に挿入した後炉内を窒素雰囲気で酸素濃度100ppm以下にし、この状態で750℃まで加熱する。純度4Nの溶融状態のアルミニウムをカーボン製シリンダで圧力をかけることで酸化被膜を取り除き、前記鋳型に流し込むことにより、セラミックス基板の一方の面に電子部品搭載用導体を接合し、他方の面にアルミニウムまたはアルミニウム合金の放熱フィンや水冷ジャケットを直接接合せしめる。
【0005】
一方、特許文献3には、空冷式の排熱管体であって、両端に出入り口のある排熱管体の内壁に複数の柱状の乱流ブロックを構成し、送風又は排気ファンを付設して、この乱流ブロックに伝導された高温により形成される乱流熱気を排出するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−263137号公報
【特許文献2】特開2004−115337号公報
【特許文献3】特開2005−159146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記金属−絶縁層接合基板を利用したパワー半導体モジュールにあっては、組立製造する際に加えられる熱、特に半導体素子を半田ボンディングする半導体素子ボンディング工程において加えられる熱は著しいものがある。
金属ベースと絶縁層とでは材料が異なり、その熱膨張係数差に基づく熱応力が当該基板に対する曲げ、捩り等の応力となり、当該基板に反り、歪み等の変形を生じさせるという問題があるが、半導体素子ボンディング工程においてその問題が大きく懸念される。
半導体素子ボンディング工程等を経て、冷却装置を構成するために金属ベースと、冷却液室を構成する他の部品とを合わせなければならないが、半導体素子ボンディング工程等が終了した金属−絶縁層接合基板に変形が残っていると、金属ベースが冷却液室を構成する他の部品と合わなくなり、隙間を生じさせて、冷却液を流す冷却液室に必要とされる密閉性を達成できないという問題がある。
特許文献1に記載の発明のように、金属ベースに一体成形される放熱フィンが金属ベースの長手方向に沿って形成されていれば、長手方向に関して曲げ剛性が高くなり、反りの発生を防止し易くなる。しかし、回路が大型化し、さらなる冷却性能を追求するために、特許文献2に記載されているような柱状突起を採用する場合には曲げ剛性は低下するから、半導体素子ボンディング工程における許容できない反り等の変形が懸念される。
【0008】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板を用いて、当該導体パターン上に電力変換用半導体素子が搭載されて電力変換回路が構成され、当該金属ベース側に液冷式冷却装置が構成されるパワー半導体モジュールを製造するにあたり、当該冷却装置の冷却液室内に配置される放熱突起の形状や配置に依存することなく、電力変換回路部の熱処理を伴う組立工程を経ても当該基板に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成し、その結果、当該放熱突起の形状や配置の自由度を向上し、もって冷却性能の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板と、
前記導体パターン上に半田ボンディングされた電力変換用の半導体素子とを備え、
前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなり、
さらに前記周壁部の開口端を覆う蓋体を備え、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能にされてなるパワー半導体モジュールである。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部が設けられることにより、前記空間に冷却液が流通可能にされてなる請求項1に記載のパワー半導体モジュールである。
【0011】
請求項3記載の発明は、金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板であって、前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなる金属−絶縁層接合基板を得て、
前記導体パターン上に電力変換用の半導体素子を半田ボンディングし、
その後、前記周壁部の開口端を蓋体で覆い、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能となるように構成するパワー半導体モジュールの製造方法である。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部を設け、該蓋体で前記周壁部の開口端を覆うことにより、前記空間に冷却液が流通可能となるように構成する請求項3に記載のパワー半導体モジュールの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属−絶縁層接合基板の金属ベースは、ベース部及び放熱突起のみならず、冷却液室の周壁となる周壁部を当該金属ベースの一部として一体成形により有している。したがって、放熱突起の形状や配置によらず、周壁部が一体成形により金属ベースに含まれることによって金属−絶縁層接合基板の剛性が確実に向上しており、半導体素子ボンディング工程等の電力変換回路部の熱処理を伴う組立工程を経ることにより、金属ベースと絶縁層との間の熱膨張係数差に基づく熱応力が当該基板に発生しても、当該基板に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成し、その結果、放熱突起の形状や配置の自由度が向上し、冷却性能の高い放熱突起形態を追及することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアルミニウム−セラミックス接合基板の裏面側斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るアルミニウム−セラミックス接合基板の表面側斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る端子付樹脂ケースの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールに構成される電力変換回路の回路図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの組立工程の前半を示すフローチャート(a)及び各工程における斜視図(b1)〜(b3)である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの組立工程の後半を示すフローチャート(a)及び各工程における斜視図(b1)〜(b3)である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの分解斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの表面側斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの裏面側斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールの分解斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールの冷却液室のレイアウト図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュール(下蓋無し)の裏面側斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュールの冷却液室のレイアウト図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールの裏面側斜視図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールの冷却液室のレイアウト図である。
【図16】他の形態の端子付樹脂ケースを適用した本発明の一実施形態に係るパワー半導体モジュール(下蓋無し)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0016】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態につき、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態に係るパワー半導体モジュールには、図1及び図2に示すアルミニウム−セラミックス層接合基板1が用いられる。
接合基板1は、特許文献2等に記載のアルミニウム−セラミックス接合体の技術により提供される。
接合基板1は、金属ベース10と、セラミックス層11と、導体パターン12とからなる。
【0017】
金属ベース10の表面にセラミックス層11が接合する。セラミックス層11上に導体パターン12が接合している。導体パターン12上に電力変換用の半導体素子等の電子部品が半田ボンディングされる。
金属ベース10及び導体パターン12は、特許文献2にも記載されるように、セラミックス層11を構成するセラミック板がセットされた鋳型に溶融アルミニウムを流し込むことによって、セラミックス板の各一面に接合して成形される。
その結果、金属ベース10は、セラミックス層11が表面に接合する板状のベース部10aと、ベース部10aの裏面から突出する放熱突起10bと、ベース部10aの裏面に立設され放熱突起10bを囲む周壁部10cとが一体成形により構成されてなる。
本実施形態の接合基板1によれば、周壁部10cを別部品とする構成に比較して、高い剛性が得られる。また本実施形態の接合基板1によれば、ベース部10aと周壁部10cとが一体成形されているので、周壁部10cを別部品とし、後で締結する場合に比較しても高い剛性が得られる。
【0018】
また、本実施形態に係るパワー半導体モジュールには、図3に示す端子付樹脂ケース2が用いられる。4は樹脂製の上蓋である。
端子付樹脂ケース2は、枠状の樹脂部に各電極導出端子が埋没保持されている。パワー半導体モジュールに構成される電力変換回路は、3相ブリッジ型のインバータであり、3相モータを駆動する電力を生成するものである。
この3相ブリッジ型のインバータは、図4の回路図に示すように、IGBTとフライホィールダイオード(FWD)が逆並列に接続された構成を1単位として、陽極(P1,P2,P3)と陰極(N1,N2,N3)との間において、U,V,Wの3相に対応した出力電極(U,V,W)の上位及び下位に、各1単位が接続されて、U,V,Wの3相分のアーム部が構成されてなる。さらに、各IGBTのスイッチング制御電極(G1U,E1U,・・・G3L,E3L)が取り出される。
U,V,Wの3相分のアーム部及びそれらの温度を検出するためのサーミスタ(TM)が、それぞれ図2に示す3つ独立したセラミックス層11,11,11に配設される。
図4に示した各電極に対応する電極導出端子を同一符号で図3中に示した。
各電極導出端子の内端部及び外端部は、それぞれ樹脂部から露出されており、内部接続部及び外部接続部を構成する。
【0019】
本端子付樹脂ケース2の陽極(P1,P2,P3)、陰極(N1,N2,N3)及び出力電極(U,V,W)の外部接続部は、図3に示すように外側面に立設される。これらの外部接続部が上端面に敷設された図16に示す端子付樹脂ケース2aを用いても良い。
【0020】
次に、図5、図6を参照して本パワー半導体モジュールの組立工程を説明する。
まず、図5(b1)に示すように、接合基板1に付属した導体パターン12上の各チップ搭載部に半田を印刷等により付設し、その半田を介して各チップ搭載部にIGBT及びFWDのチップ(さらにはサーミスタのチップ)を搭載する(工程S1)。半田の付設は方法を問わない。印刷でもよいし、クリーム半田をディスペンサー(吐出機)によりチップ搭載部に吐出塗布してもよい。
【0021】
次に、上記半田をリフローし、各チップを導体パターン12に半田ボンディングする(工程S2、図5(b2))。このとき、半田リフローのために、250〜270℃の熱が加えられる。
加熱に伴い金属ベース10とセラミックス層11の熱膨張係数差に基づく熱応力が発生するが、上述のように周壁部10cが一体成形により金属ベース10に含まれることによって接合基板1の剛性が確実に向上しており、接合基板1の変形は抑えられる。
半田中にはフラックスが含有されているので、リフロー中に溶融部付近に発生したフラックスの残渣を、超音波洗浄等を併用した適宜の有機溶剤(槽)中で(常温)洗浄し、その後、赤外ランプ下で乾燥する。
【0022】
次に、端子付樹脂ケース2を接合基板1に取り付ける(工程S3、図5(b3))。
接合基板1のベース部10aの周縁に端子付樹脂ケース2下端の縁を接着剤を介して外嵌めし、接着剤の硬化のため150℃で加熱処理する。このときも、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられる。
【0023】
次に、導体パターン12上に設けられたワイヤボンディングエリアや、チップ上の電極パッド、各電極導出端子の内部接続部との間を適宜ワイヤボンディングして、図4に示した回路の各電極を端子付樹脂ケース2の外部に露出する外部接続部に取り出す(工程S4)。ワイヤボンディング用に用いるワイヤ径は、超音波エネルギー(振動)を加えた状態で、通常250〜500(φ)μmのものが用いられる。なお、ワイヤとしては求められる電流容量の定格に応じて、例えばリボンワイヤのような(断面形状が平たく大きな断面積を有する)ものを用いても良い。
【0024】
次に、端子付樹脂ケース2内側の接合基板1上にゲルゴム3を注入して、チップ、ワイヤ及び電極導出端子の内部接続部を含む回路をゲルゴム3で覆って封止し、ゲルゴム3をキュアするため150℃で熱処理する(工程S5、図6(b1))。なお、必要に応じて真空装置中でゲルゴム3を脱泡処理することにより封止効果が高められる。
【0025】
次に、端子付樹脂ケース2の上端開口に上蓋4を取り付けて蓋をする(工程S6、図6(b2))。このとき上蓋4を端子付樹脂ケース2に接着する場合は、接着剤の硬化のため150℃で加熱処理する。このときも、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられる。もちろん、上蓋4の端子付樹脂ケース2への固定に、弾性爪、螺子等を適用する場合は、熱処理工程は生じない。
【0026】
次に、特性検査(工程S7)を経た後、接合基板1の下端開口に下蓋5を取り付けて蓋をする(工程S8、図6(b3))。
下蓋5は、金属ベース10と同じ材料のアルミニウム製である。
金属ベース10に上下貫通孔10d(図1,図2参照)が、端子付樹脂ケース2に上下貫通孔2d(図3参照)が、下蓋5に上下貫通孔5d(図7参照)が組立てた際の同位置に設けられており、図7に示すようにボルト6によって締結して下蓋5を接合基板1の下端に固定する。この締結の際、下蓋5と接合基板1の周壁部10cとの間はO−リング7によりシールされる。下蓋5には保持溝5cが形成されており、保持溝5cにO−リング7が入れられて保持される。ボルト6によって下蓋5と接合基板1とが締結されることによって両者が固定されるとともに、O−リング7が下蓋5と周壁部10cの間に挟まれて圧され、周壁部10cの下端開口の周りで下蓋5と周壁部10cとの間がシールされる。
以上のO−リング7を介した組立構造より、冷却液室の密閉性が保持され、耐漏液圧が向上する。
以上の組立工程における熱履歴に拘わらず、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられているので、接合基板1に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成することができ、密閉性が確保される。
【0027】
図7に示すように周壁部10cの開口端を覆う下蓋5には、保持溝5cより内側の冷却液室に露出する領域に冷却液の入出用の2つの孔部5a、5bが設けられており、これにより、周壁部10cに囲まれ放熱突起10bが存する空間、すなわち冷却液室に冷却液が流通可能にされる。2つの孔部5a、5bには、それぞれニップル8a,8bが嵌入して取り付けられ、冷却液の配管が接続可能にされる。2つの孔部5a、5bのいずれか一方が冷却液の流入口とされ、他方が流出口とされる。
【0028】
以上の工程を経て、図8及び図9に示すパワー半導体モジュールが完成する。
図8及び図9に示すように、下蓋5は接合基板1よりも外形が大きく、本パワー半導体モジュールの外周にフランジを形成する。このフランジを利用して電気自動車のシャーシ等に本パワー半導体モジュールを固定することができる。これに拘わらす、下蓋5の外形を接合基板1の外形と同じにしてフランジを形成しなくても良い。その場合は、例えば、接合基板1及び下蓋5(さらには端子付樹脂ケース2)を貫通する孔に通したボルトによってシャーシに固定すればよい。
【0029】
さて、以上のように周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられるので、同じく金属ベース10に一体に設けられる放熱突起10bに関しては、金属ベース10の剛性を高める部位としての役割を優先することなく、冷却性能の向上を優先してその形状や配置を自由に選択することができる。
本実施形態においては、図1に示すように先細り柱状の放熱突起10bを冷却液室のほぼ全面に均等配置した構成を採用した。金属ベース10の剛性を高める目的をも持たせる場合は、特許文献1のように放熱突起を平板状にして複数の放熱突起を金属ベース10の長手方向に沿って縞状に並設する構成が好ましいが、本実施形態のように柱状の放熱突起10bを採用しても、周壁部10cが金属ベース10に一体成形されているので、組立工程上の熱応力による接合基板1の変形を懸念することはない。
本実施形態によれば、下蓋5の流入口(5a又は5b)から導入された冷却液が、多数の柱状放熱突起10bに当たり、平板状の放熱突起を並設した構成に比較しても、乱流化が促されて冷却性能が向上する。
【0030】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態につき、図10及び図11を参照して説明する。
上述したように本発明によれば、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられるので、同じく金属ベース10に一体に設けられる放熱突起10bに関しては、金属ベース10の剛性を高める部位としての役割を優先することなく、冷却性能の向上を優先してその形状や配置を自由に選択することができる。
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様に先細り柱状の放熱突起10bを採用するが、冷却液室での乱流化を促進して更なる冷却性能を向上するため、上記第1実施形態と異なる放熱突起10bの配置領域を設定した。
図10及び図11に示すように、周壁部10cの内側に形成される冷却液室は、冷却液の流入口(図11で孔部5b)から流出口(図11で孔部5a)へ向かう方向に沿って長尺な長方形状に形成される。なお、本実施形態においては、孔部5bを流入口、孔部5aを流出口として図示する。
そして、冷却液室の各角部(計4つの角部)の三角形領域を除く領域を、放熱突起10bの配置領域とし、当該各角部(計4つの角部)には、何らの突起を形成せずフラットな領域に形成した。図11に示すように、孔部5a、5bに対向するよう領域には放熱突起10bが配置される。しかし、孔部5a、5bの側方には、何らの突起も形成されないフラット領域が存在する。
【0031】
以上の構造の冷却液室を有する本実施形態のパワー半導体モジュールによれば、孔部5bから流入した冷却液は、図11の矢印で示すような経路で冷却液室の全域を進行して、孔部5aに至り、冷却液室内で乱流化が促進されて冷却性能が向上する。
すなわち、孔部5bから流入した冷却液の一部は、一旦、液圧の低い側方の角部のフラット領域に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って今度は放熱突起10bが密集した領域に突入して放熱突起群10b,10b,10b・・・の中でさらに乱流を形成しながら進行して流出口となる孔部5a方向へ向かう。
孔部5a方向へ向かう冷却液の一部は、一旦、液圧の低い側方の角部のフラット領域に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に再び当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って孔部5aから流出する。
以上のように本実施形態によれば、冷却液室の各角部(計4つの角部)にあえて放熱突起を配置しないことにより、冷却液を流入直後及び流出直前に両側方の角部側壁に当てて乱流化を促し、冷却液室の全域を効果的に使用して乱流性を高めることができる。その結果、高い冷却性能を得ることができるという効果がある。
【0032】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態につき、図12及び図13を参照して説明する。
上述したように本発明によれば、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられるので、同じく金属ベース10に一体に設けられる放熱突起10bに関しては、金属ベース10の剛性を高める部位としての役割を優先することなく、冷却性能の向上を優先してその形状や配置を自由に選択することができる。
本実施形態においては、上記第1実施形態とは異なり板状の放熱突起(放熱フィン10e)を採用し、冷却液室での乱流化を促進して更なる冷却性能を向上するため、上記第1実施形態と異なる放熱突起の配置領域を設定した。
上記実施形態と同様に、周壁部10cの内側に形成される冷却液室は、冷却液の流入口(図11で孔部5b)から流出口(図11で孔部5a)へ向かう方向に沿って長尺な長方形状に形成される。
そして、冷却液室の長手方向に沿って延在する放熱フィン10eを複数並べて配置する。但し、冷却液室の流入口側端部及び流出側端部は、何らの突起を形成せずフラットな領域に形成した。図13に示すように、孔部5a、5bに対向するよう領域及びその側方領域には何らの放熱突起も形成されないフラット領域が存在する。
【0033】
以上の構造の冷却液室を有する本実施形態のパワー半導体モジュールによれば、孔部5bから流入した冷却液は、流入口側端部及び流出側端部においては上記第2実施形態とほぼ同様の挙動で図13の矢印で示すような経路で冷却液室の全域を進行して、孔部5aに至り、冷却液室内、特に流入口側端部及び流出側端部において乱流化が促進されて冷却性能が向上する。
以上のように本実施形態によれば、冷却液室の流入口側端部及び流出側端部にあえて放熱突起を配置しないことにより、冷却液を流入直後及び流出直前に両側方の角部側壁に当てて乱流化を促し、冷却液室の全域を効果的に使用して乱流性を高めることができる。その結果、高い冷却性能を得ることができるという効果がある。
【0034】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態につき、図14及び図15を参照して説明する。
本実施形態においては、上記第1〜3実施形態とは異なり流入口(図15で孔部5b)及び流出口(図15で孔部5a)を、長方形状の冷却液室において対角線上の相対する位置に配置し、その他は上記第3実施形態と同じである。
【0035】
以上の構造の冷却液室を有する本実施形態のパワー半導体モジュールによれば、孔部5bから流入した冷却液は、図15の矢印で示すような経路で冷却液室の全域を進行して、孔部5aに至り、冷却液室内、特に流入口側端部及び流出側端部において乱流化が促進されて冷却性能が向上する。
すなわち、孔部5bから流入した冷却液の一部は、一旦、液圧の低い逆側方に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って放熱フィン10eが配置された領域に進行して流出口となる孔部5aが設置された流入口側端部へ向かう。
流入口側端部へ向かい、放熱フィン10eが配置された領域から出る冷却液の一部は、一旦、流入口と逆側方の液圧の低い角部に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に再び当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って孔部5aから流出する。
【符号の説明】
【0036】
1 アルミニウム−セラミックス層接合基板
2 端子付樹脂ケース
2a 他の形態の端子付樹脂ケース
3 ゲルゴム
4 上蓋
5 下蓋
5a 孔部
5b 孔部
6 ボルト
10 金属ベース
10a ベース部
10b 放熱突起
10c 周壁部
10e 放熱フィン
11 セラミックス層
12 導体パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等からなる電力変換回路に液冷式冷却装置が付随した構成を有するパワー半導体モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気モータの駆動、各種電力変換のためにIGBT等の半導体素子を利用したパワー半導体モジュールが使用されている。
近年、産業用途向けのパワー半導体モジュールは、燃料電池車等の電気自動車の開発を背景に、ますます高出力化が求められている。そのため定格の電流容量・電圧ともに拡大化が進められてきており、また従って、その基本構造の設計はもとより、運転時にモジュール内部で発生する損失による熱の放熱対策がより深刻な問題となってきている。
【0003】
特許文献1記載の発明にあっては、パワー半導体モジュールが搭載される放熱ベースのフィンが付設された底面に冷却液路を形成して当該パワー半導体モジュールを冷却する冷却装置を構成する。
かかる冷却装置にあっては、フィンが放熱ベースの長手方向に沿って形成され、冷却液路の流入口と流出口とが、長手方向の相対する両端部にそれぞれ設けられ、流入口の中心軸が長手方向に沿っており、冷却液路の上面に形成された開口が放熱ベースの底面で被われてフィンが冷却液路内に配置される。この放熱ベースはアルミニウム製で、表面上にセラミックス絶縁層が接合しており、セラミックス絶縁層上に形成された導体パターン上に半導体素子等が実装されて回路が構成される。
【0004】
特許文献1等で利用される金属ベースに絶縁層が接合し、この絶縁層を電気回路の絶縁ベースとして電気回路を構成する金属−絶縁層接合基板にあっては、薄板状の絶縁層が金属ベースに被着接合して形成されるから、電気回路で発生する熱を金属ベースに効率的に伝導でき、電気回路に冷却装置を付随させるには好個に用いられる。
従来、金属−絶縁層接合基板としては、特許文献2記載の技術等によりアルミニウム−セラミックス接合体が提供され利用可能となっている。特許文献2記載の技術によれば、アルミニウム−セラミックス接合体においては、セラミック板をカーボン製の鋳型にセットし、炉内に挿入した後炉内を窒素雰囲気で酸素濃度100ppm以下にし、この状態で750℃まで加熱する。純度4Nの溶融状態のアルミニウムをカーボン製シリンダで圧力をかけることで酸化被膜を取り除き、前記鋳型に流し込むことにより、セラミックス基板の一方の面に電子部品搭載用導体を接合し、他方の面にアルミニウムまたはアルミニウム合金の放熱フィンや水冷ジャケットを直接接合せしめる。
【0005】
一方、特許文献3には、空冷式の排熱管体であって、両端に出入り口のある排熱管体の内壁に複数の柱状の乱流ブロックを構成し、送風又は排気ファンを付設して、この乱流ブロックに伝導された高温により形成される乱流熱気を排出するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−263137号公報
【特許文献2】特開2004−115337号公報
【特許文献3】特開2005−159146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記金属−絶縁層接合基板を利用したパワー半導体モジュールにあっては、組立製造する際に加えられる熱、特に半導体素子を半田ボンディングする半導体素子ボンディング工程において加えられる熱は著しいものがある。
金属ベースと絶縁層とでは材料が異なり、その熱膨張係数差に基づく熱応力が当該基板に対する曲げ、捩り等の応力となり、当該基板に反り、歪み等の変形を生じさせるという問題があるが、半導体素子ボンディング工程においてその問題が大きく懸念される。
半導体素子ボンディング工程等を経て、冷却装置を構成するために金属ベースと、冷却液室を構成する他の部品とを合わせなければならないが、半導体素子ボンディング工程等が終了した金属−絶縁層接合基板に変形が残っていると、金属ベースが冷却液室を構成する他の部品と合わなくなり、隙間を生じさせて、冷却液を流す冷却液室に必要とされる密閉性を達成できないという問題がある。
特許文献1に記載の発明のように、金属ベースに一体成形される放熱フィンが金属ベースの長手方向に沿って形成されていれば、長手方向に関して曲げ剛性が高くなり、反りの発生を防止し易くなる。しかし、回路が大型化し、さらなる冷却性能を追求するために、特許文献2に記載されているような柱状突起を採用する場合には曲げ剛性は低下するから、半導体素子ボンディング工程における許容できない反り等の変形が懸念される。
【0008】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板を用いて、当該導体パターン上に電力変換用半導体素子が搭載されて電力変換回路が構成され、当該金属ベース側に液冷式冷却装置が構成されるパワー半導体モジュールを製造するにあたり、当該冷却装置の冷却液室内に配置される放熱突起の形状や配置に依存することなく、電力変換回路部の熱処理を伴う組立工程を経ても当該基板に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成し、その結果、当該放熱突起の形状や配置の自由度を向上し、もって冷却性能の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板と、
前記導体パターン上に半田ボンディングされた電力変換用の半導体素子とを備え、
前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなり、
さらに前記周壁部の開口端を覆う蓋体を備え、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能にされてなるパワー半導体モジュールである。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部が設けられることにより、前記空間に冷却液が流通可能にされてなる請求項1に記載のパワー半導体モジュールである。
【0011】
請求項3記載の発明は、金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板であって、前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなる金属−絶縁層接合基板を得て、
前記導体パターン上に電力変換用の半導体素子を半田ボンディングし、
その後、前記周壁部の開口端を蓋体で覆い、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能となるように構成するパワー半導体モジュールの製造方法である。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部を設け、該蓋体で前記周壁部の開口端を覆うことにより、前記空間に冷却液が流通可能となるように構成する請求項3に記載のパワー半導体モジュールの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属−絶縁層接合基板の金属ベースは、ベース部及び放熱突起のみならず、冷却液室の周壁となる周壁部を当該金属ベースの一部として一体成形により有している。したがって、放熱突起の形状や配置によらず、周壁部が一体成形により金属ベースに含まれることによって金属−絶縁層接合基板の剛性が確実に向上しており、半導体素子ボンディング工程等の電力変換回路部の熱処理を伴う組立工程を経ることにより、金属ベースと絶縁層との間の熱膨張係数差に基づく熱応力が当該基板に発生しても、当該基板に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成し、その結果、放熱突起の形状や配置の自由度が向上し、冷却性能の高い放熱突起形態を追及することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアルミニウム−セラミックス接合基板の裏面側斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るアルミニウム−セラミックス接合基板の表面側斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る端子付樹脂ケースの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールに構成される電力変換回路の回路図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの組立工程の前半を示すフローチャート(a)及び各工程における斜視図(b1)〜(b3)である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの組立工程の後半を示すフローチャート(a)及び各工程における斜視図(b1)〜(b3)である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの分解斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの表面側斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの裏面側斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールの分解斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールの冷却液室のレイアウト図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュール(下蓋無し)の裏面側斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュールの冷却液室のレイアウト図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールの裏面側斜視図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールの冷却液室のレイアウト図である。
【図16】他の形態の端子付樹脂ケースを適用した本発明の一実施形態に係るパワー半導体モジュール(下蓋無し)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0016】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態につき、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態に係るパワー半導体モジュールには、図1及び図2に示すアルミニウム−セラミックス層接合基板1が用いられる。
接合基板1は、特許文献2等に記載のアルミニウム−セラミックス接合体の技術により提供される。
接合基板1は、金属ベース10と、セラミックス層11と、導体パターン12とからなる。
【0017】
金属ベース10の表面にセラミックス層11が接合する。セラミックス層11上に導体パターン12が接合している。導体パターン12上に電力変換用の半導体素子等の電子部品が半田ボンディングされる。
金属ベース10及び導体パターン12は、特許文献2にも記載されるように、セラミックス層11を構成するセラミック板がセットされた鋳型に溶融アルミニウムを流し込むことによって、セラミックス板の各一面に接合して成形される。
その結果、金属ベース10は、セラミックス層11が表面に接合する板状のベース部10aと、ベース部10aの裏面から突出する放熱突起10bと、ベース部10aの裏面に立設され放熱突起10bを囲む周壁部10cとが一体成形により構成されてなる。
本実施形態の接合基板1によれば、周壁部10cを別部品とする構成に比較して、高い剛性が得られる。また本実施形態の接合基板1によれば、ベース部10aと周壁部10cとが一体成形されているので、周壁部10cを別部品とし、後で締結する場合に比較しても高い剛性が得られる。
【0018】
また、本実施形態に係るパワー半導体モジュールには、図3に示す端子付樹脂ケース2が用いられる。4は樹脂製の上蓋である。
端子付樹脂ケース2は、枠状の樹脂部に各電極導出端子が埋没保持されている。パワー半導体モジュールに構成される電力変換回路は、3相ブリッジ型のインバータであり、3相モータを駆動する電力を生成するものである。
この3相ブリッジ型のインバータは、図4の回路図に示すように、IGBTとフライホィールダイオード(FWD)が逆並列に接続された構成を1単位として、陽極(P1,P2,P3)と陰極(N1,N2,N3)との間において、U,V,Wの3相に対応した出力電極(U,V,W)の上位及び下位に、各1単位が接続されて、U,V,Wの3相分のアーム部が構成されてなる。さらに、各IGBTのスイッチング制御電極(G1U,E1U,・・・G3L,E3L)が取り出される。
U,V,Wの3相分のアーム部及びそれらの温度を検出するためのサーミスタ(TM)が、それぞれ図2に示す3つ独立したセラミックス層11,11,11に配設される。
図4に示した各電極に対応する電極導出端子を同一符号で図3中に示した。
各電極導出端子の内端部及び外端部は、それぞれ樹脂部から露出されており、内部接続部及び外部接続部を構成する。
【0019】
本端子付樹脂ケース2の陽極(P1,P2,P3)、陰極(N1,N2,N3)及び出力電極(U,V,W)の外部接続部は、図3に示すように外側面に立設される。これらの外部接続部が上端面に敷設された図16に示す端子付樹脂ケース2aを用いても良い。
【0020】
次に、図5、図6を参照して本パワー半導体モジュールの組立工程を説明する。
まず、図5(b1)に示すように、接合基板1に付属した導体パターン12上の各チップ搭載部に半田を印刷等により付設し、その半田を介して各チップ搭載部にIGBT及びFWDのチップ(さらにはサーミスタのチップ)を搭載する(工程S1)。半田の付設は方法を問わない。印刷でもよいし、クリーム半田をディスペンサー(吐出機)によりチップ搭載部に吐出塗布してもよい。
【0021】
次に、上記半田をリフローし、各チップを導体パターン12に半田ボンディングする(工程S2、図5(b2))。このとき、半田リフローのために、250〜270℃の熱が加えられる。
加熱に伴い金属ベース10とセラミックス層11の熱膨張係数差に基づく熱応力が発生するが、上述のように周壁部10cが一体成形により金属ベース10に含まれることによって接合基板1の剛性が確実に向上しており、接合基板1の変形は抑えられる。
半田中にはフラックスが含有されているので、リフロー中に溶融部付近に発生したフラックスの残渣を、超音波洗浄等を併用した適宜の有機溶剤(槽)中で(常温)洗浄し、その後、赤外ランプ下で乾燥する。
【0022】
次に、端子付樹脂ケース2を接合基板1に取り付ける(工程S3、図5(b3))。
接合基板1のベース部10aの周縁に端子付樹脂ケース2下端の縁を接着剤を介して外嵌めし、接着剤の硬化のため150℃で加熱処理する。このときも、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられる。
【0023】
次に、導体パターン12上に設けられたワイヤボンディングエリアや、チップ上の電極パッド、各電極導出端子の内部接続部との間を適宜ワイヤボンディングして、図4に示した回路の各電極を端子付樹脂ケース2の外部に露出する外部接続部に取り出す(工程S4)。ワイヤボンディング用に用いるワイヤ径は、超音波エネルギー(振動)を加えた状態で、通常250〜500(φ)μmのものが用いられる。なお、ワイヤとしては求められる電流容量の定格に応じて、例えばリボンワイヤのような(断面形状が平たく大きな断面積を有する)ものを用いても良い。
【0024】
次に、端子付樹脂ケース2内側の接合基板1上にゲルゴム3を注入して、チップ、ワイヤ及び電極導出端子の内部接続部を含む回路をゲルゴム3で覆って封止し、ゲルゴム3をキュアするため150℃で熱処理する(工程S5、図6(b1))。なお、必要に応じて真空装置中でゲルゴム3を脱泡処理することにより封止効果が高められる。
【0025】
次に、端子付樹脂ケース2の上端開口に上蓋4を取り付けて蓋をする(工程S6、図6(b2))。このとき上蓋4を端子付樹脂ケース2に接着する場合は、接着剤の硬化のため150℃で加熱処理する。このときも、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられる。もちろん、上蓋4の端子付樹脂ケース2への固定に、弾性爪、螺子等を適用する場合は、熱処理工程は生じない。
【0026】
次に、特性検査(工程S7)を経た後、接合基板1の下端開口に下蓋5を取り付けて蓋をする(工程S8、図6(b3))。
下蓋5は、金属ベース10と同じ材料のアルミニウム製である。
金属ベース10に上下貫通孔10d(図1,図2参照)が、端子付樹脂ケース2に上下貫通孔2d(図3参照)が、下蓋5に上下貫通孔5d(図7参照)が組立てた際の同位置に設けられており、図7に示すようにボルト6によって締結して下蓋5を接合基板1の下端に固定する。この締結の際、下蓋5と接合基板1の周壁部10cとの間はO−リング7によりシールされる。下蓋5には保持溝5cが形成されており、保持溝5cにO−リング7が入れられて保持される。ボルト6によって下蓋5と接合基板1とが締結されることによって両者が固定されるとともに、O−リング7が下蓋5と周壁部10cの間に挟まれて圧され、周壁部10cの下端開口の周りで下蓋5と周壁部10cとの間がシールされる。
以上のO−リング7を介した組立構造より、冷却液室の密閉性が保持され、耐漏液圧が向上する。
以上の組立工程における熱履歴に拘わらず、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられているので、接合基板1に不都合な変形を生じさせることなく精度よく冷却液室を構成することができ、密閉性が確保される。
【0027】
図7に示すように周壁部10cの開口端を覆う下蓋5には、保持溝5cより内側の冷却液室に露出する領域に冷却液の入出用の2つの孔部5a、5bが設けられており、これにより、周壁部10cに囲まれ放熱突起10bが存する空間、すなわち冷却液室に冷却液が流通可能にされる。2つの孔部5a、5bには、それぞれニップル8a,8bが嵌入して取り付けられ、冷却液の配管が接続可能にされる。2つの孔部5a、5bのいずれか一方が冷却液の流入口とされ、他方が流出口とされる。
【0028】
以上の工程を経て、図8及び図9に示すパワー半導体モジュールが完成する。
図8及び図9に示すように、下蓋5は接合基板1よりも外形が大きく、本パワー半導体モジュールの外周にフランジを形成する。このフランジを利用して電気自動車のシャーシ等に本パワー半導体モジュールを固定することができる。これに拘わらす、下蓋5の外形を接合基板1の外形と同じにしてフランジを形成しなくても良い。その場合は、例えば、接合基板1及び下蓋5(さらには端子付樹脂ケース2)を貫通する孔に通したボルトによってシャーシに固定すればよい。
【0029】
さて、以上のように周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられるので、同じく金属ベース10に一体に設けられる放熱突起10bに関しては、金属ベース10の剛性を高める部位としての役割を優先することなく、冷却性能の向上を優先してその形状や配置を自由に選択することができる。
本実施形態においては、図1に示すように先細り柱状の放熱突起10bを冷却液室のほぼ全面に均等配置した構成を採用した。金属ベース10の剛性を高める目的をも持たせる場合は、特許文献1のように放熱突起を平板状にして複数の放熱突起を金属ベース10の長手方向に沿って縞状に並設する構成が好ましいが、本実施形態のように柱状の放熱突起10bを採用しても、周壁部10cが金属ベース10に一体成形されているので、組立工程上の熱応力による接合基板1の変形を懸念することはない。
本実施形態によれば、下蓋5の流入口(5a又は5b)から導入された冷却液が、多数の柱状放熱突起10bに当たり、平板状の放熱突起を並設した構成に比較しても、乱流化が促されて冷却性能が向上する。
【0030】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態につき、図10及び図11を参照して説明する。
上述したように本発明によれば、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられるので、同じく金属ベース10に一体に設けられる放熱突起10bに関しては、金属ベース10の剛性を高める部位としての役割を優先することなく、冷却性能の向上を優先してその形状や配置を自由に選択することができる。
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様に先細り柱状の放熱突起10bを採用するが、冷却液室での乱流化を促進して更なる冷却性能を向上するため、上記第1実施形態と異なる放熱突起10bの配置領域を設定した。
図10及び図11に示すように、周壁部10cの内側に形成される冷却液室は、冷却液の流入口(図11で孔部5b)から流出口(図11で孔部5a)へ向かう方向に沿って長尺な長方形状に形成される。なお、本実施形態においては、孔部5bを流入口、孔部5aを流出口として図示する。
そして、冷却液室の各角部(計4つの角部)の三角形領域を除く領域を、放熱突起10bの配置領域とし、当該各角部(計4つの角部)には、何らの突起を形成せずフラットな領域に形成した。図11に示すように、孔部5a、5bに対向するよう領域には放熱突起10bが配置される。しかし、孔部5a、5bの側方には、何らの突起も形成されないフラット領域が存在する。
【0031】
以上の構造の冷却液室を有する本実施形態のパワー半導体モジュールによれば、孔部5bから流入した冷却液は、図11の矢印で示すような経路で冷却液室の全域を進行して、孔部5aに至り、冷却液室内で乱流化が促進されて冷却性能が向上する。
すなわち、孔部5bから流入した冷却液の一部は、一旦、液圧の低い側方の角部のフラット領域に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って今度は放熱突起10bが密集した領域に突入して放熱突起群10b,10b,10b・・・の中でさらに乱流を形成しながら進行して流出口となる孔部5a方向へ向かう。
孔部5a方向へ向かう冷却液の一部は、一旦、液圧の低い側方の角部のフラット領域に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に再び当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って孔部5aから流出する。
以上のように本実施形態によれば、冷却液室の各角部(計4つの角部)にあえて放熱突起を配置しないことにより、冷却液を流入直後及び流出直前に両側方の角部側壁に当てて乱流化を促し、冷却液室の全域を効果的に使用して乱流性を高めることができる。その結果、高い冷却性能を得ることができるという効果がある。
【0032】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態につき、図12及び図13を参照して説明する。
上述したように本発明によれば、周壁部10cが一体化した金属ベース10の剛性により接合基板1の変形は抑えられるので、同じく金属ベース10に一体に設けられる放熱突起10bに関しては、金属ベース10の剛性を高める部位としての役割を優先することなく、冷却性能の向上を優先してその形状や配置を自由に選択することができる。
本実施形態においては、上記第1実施形態とは異なり板状の放熱突起(放熱フィン10e)を採用し、冷却液室での乱流化を促進して更なる冷却性能を向上するため、上記第1実施形態と異なる放熱突起の配置領域を設定した。
上記実施形態と同様に、周壁部10cの内側に形成される冷却液室は、冷却液の流入口(図11で孔部5b)から流出口(図11で孔部5a)へ向かう方向に沿って長尺な長方形状に形成される。
そして、冷却液室の長手方向に沿って延在する放熱フィン10eを複数並べて配置する。但し、冷却液室の流入口側端部及び流出側端部は、何らの突起を形成せずフラットな領域に形成した。図13に示すように、孔部5a、5bに対向するよう領域及びその側方領域には何らの放熱突起も形成されないフラット領域が存在する。
【0033】
以上の構造の冷却液室を有する本実施形態のパワー半導体モジュールによれば、孔部5bから流入した冷却液は、流入口側端部及び流出側端部においては上記第2実施形態とほぼ同様の挙動で図13の矢印で示すような経路で冷却液室の全域を進行して、孔部5aに至り、冷却液室内、特に流入口側端部及び流出側端部において乱流化が促進されて冷却性能が向上する。
以上のように本実施形態によれば、冷却液室の流入口側端部及び流出側端部にあえて放熱突起を配置しないことにより、冷却液を流入直後及び流出直前に両側方の角部側壁に当てて乱流化を促し、冷却液室の全域を効果的に使用して乱流性を高めることができる。その結果、高い冷却性能を得ることができるという効果がある。
【0034】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態につき、図14及び図15を参照して説明する。
本実施形態においては、上記第1〜3実施形態とは異なり流入口(図15で孔部5b)及び流出口(図15で孔部5a)を、長方形状の冷却液室において対角線上の相対する位置に配置し、その他は上記第3実施形態と同じである。
【0035】
以上の構造の冷却液室を有する本実施形態のパワー半導体モジュールによれば、孔部5bから流入した冷却液は、図15の矢印で示すような経路で冷却液室の全域を進行して、孔部5aに至り、冷却液室内、特に流入口側端部及び流出側端部において乱流化が促進されて冷却性能が向上する。
すなわち、孔部5bから流入した冷却液の一部は、一旦、液圧の低い逆側方に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って放熱フィン10eが配置された領域に進行して流出口となる孔部5aが設置された流入口側端部へ向かう。
流入口側端部へ向かい、放熱フィン10eが配置された領域から出る冷却液の一部は、一旦、流入口と逆側方の液圧の低い角部に逃げいき、その先にある壁面(周壁部10cにより形成される内壁面)に再び当たり、乱流性をより増大させながら、跳ね返って孔部5aから流出する。
【符号の説明】
【0036】
1 アルミニウム−セラミックス層接合基板
2 端子付樹脂ケース
2a 他の形態の端子付樹脂ケース
3 ゲルゴム
4 上蓋
5 下蓋
5a 孔部
5b 孔部
6 ボルト
10 金属ベース
10a ベース部
10b 放熱突起
10c 周壁部
10e 放熱フィン
11 セラミックス層
12 導体パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板と、
前記導体パターン上に半田ボンディングされた電力変換用の半導体素子とを備え、
前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなり、
さらに前記周壁部の開口端を覆う蓋体を備え、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能にされてなるパワー半導体モジュール。
【請求項2】
前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部が設けられることにより、前記空間に冷却液が流通可能にされてなる請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項3】
金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板であって、前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなる金属−絶縁層接合基板を得て、
前記導体パターン上に電力変換用の半導体素子を半田ボンディングし、
その後、前記周壁部の開口端を蓋体で覆い、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能となるように構成するパワー半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部を設け、該蓋体で前記周壁部の開口端を覆うことにより、前記空間に冷却液が流通可能となるように構成する請求項3に記載のパワー半導体モジュールの製造方法。
【請求項1】
金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板と、
前記導体パターン上に半田ボンディングされた電力変換用の半導体素子とを備え、
前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなり、
さらに前記周壁部の開口端を覆う蓋体を備え、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能にされてなるパワー半導体モジュール。
【請求項2】
前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部が設けられることにより、前記空間に冷却液が流通可能にされてなる請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項3】
金属ベースの片面に絶縁層が接合し該絶縁層上に導体パターンが接合してなる金属−絶縁層接合基板であって、前記金属ベースは、前記絶縁層が接合する板状のベース部と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面から突出する放熱突起と、該ベース部の前記絶縁層が接合する面と反対の面に立設され前記放熱突起を囲む周壁部とが一体成形により構成されてなる金属−絶縁層接合基板を得て、
前記導体パターン上に電力変換用の半導体素子を半田ボンディングし、
その後、前記周壁部の開口端を蓋体で覆い、前記周壁部に囲まれ前記放熱突起が存する空間に冷却液が流通可能となるように構成するパワー半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記蓋体に冷却液の入出用の2つの孔部を設け、該蓋体で前記周壁部の開口端を覆うことにより、前記空間に冷却液が流通可能となるように構成する請求項3に記載のパワー半導体モジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−103369(P2011−103369A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257649(P2009−257649)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000227928)日本インター株式会社 (67)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000227928)日本インター株式会社 (67)
【Fターム(参考)】
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