説明

パーティクル除去方法、微小ピンセット装置、原子間力顕微鏡および荷電粒子ビーム装置

【課題】微小ピンセットに付着したパーティクルが試料に再付着するのを防止する。
【解決手段】開閉自在な一対のアームを有するナノピンセット1を試料表面に近接させ、該試料表面に付着したパーティクルPを把持し、パーティクルPを把持したナノピンセット1を粘着部材3上まで移動し、パーティクルPを粘着部材3に接触させ、その後、ナノピンセット1を開いた状態で粘着部材3から遠ざけることにより、パーティクル除去を確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティクル除去方法、微小ピンセット装置、原子間力顕微鏡および荷電粒子ビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程における微粒子(パーティクル)の付着は、半導体デバイスの歩留まりや品質に影響を与える。またフォトマスク上のパーティクルは、露光時後欠陥となる。そのようなパーティクルを除去する方法として、微小なピンセットでパーティクルをピックアップして除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−84582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非常に微小なパーティクルは重量が非常に小さく、ピンセットを開いても静電気や粘着力などによってピンセットに付着しやすくなる。その結果、パーティクルが所定の場所で脱離しなくなり、付着したままのピンセットを再度使用すると、パーティクルを除去すべき対象に近づけた際に、付着したパーティクルが除去対象側に再付着してしまうという不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるパーティクル除去方法は、開閉自在な一対のアームを有する微小ピンセットを試料表面に近接させて、該試料表面に付着したパーティクルをアームの試料把持部で把持し、パーティクルを把持した微小ピンセットを粘着部材上まで移動して、パーティクルを粘着部材に接触させ、その後、微小ピンセットを開いてパーティクルを開放して粘着部材から遠ざけることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のパーティクル除去方法において、微小ピンセットの試料把持部を試料表面から所定距離上方に位置決めしてパーティクルを把持し、パーティクルを粘着部材に接触させる際に、微小ピンセットの試料把持部で把持されたパーティクルの下部を粘着部材に押圧し、パーティクルのみを粘着部材に付着させるようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のパーティクル除去方法において、アームの先端で試料表面を走査して原子間力顕微鏡観察を行い、その画像情報より該試料表面に付着したパーティクルの試料表面上の位置と試料表面からの高さとを検出し、検出された位置に微小ピンセットの位置合わせを行い、パーティクルの高さに応じて試料表面からの試料把持部の高さを制御して該パーティクルを把持するようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーティクル除去方法において、微小ピンセットで試料表面に付着したパーティクルを把持する前に、微小ピンセットの試料把持部を粘着部材に押圧して、該試料把持部に付着した微細な塵を除去するようにしたものである。
請求項5の発明による微小ピンセット装置は、開閉自在な一対のアームを有する微小ピンセットと、一対のアームの少なくとも一方を駆動して微小ピンセットを開閉する開閉駆動部と、パーティクルを付着して回収する粘着部材を載置する載置台と、試料と載置台に載置された粘着部材との間で微小ピンセットを移動する移動機構とを備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載の微小ピンセット装置において、粘着部材を、粘着層が形成された粘着シートとしたものである。
請求項7の発明による原子間力顕微鏡は、請求項5,6に記載の微小ピンセット装置を備えたことを特徴とする。
請求項8の発明による荷電粒子ビーム装置は、請求項5,6に記載の微小ピンセット装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、除去したパーティクルを微小ピンセットから粘着部材へと確実に受け渡すことができ、微小ピンセットを介してパーティクルが試料に再付着するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明の実施するための最良の形態について説明する。図1は本実施の形態におけるパーティクル除去方法の概念を説明する図である。本実施の形態では、マイクロメートルオーダーやナノメートルオーダーの微小な対象を把持することができる微小ピンセット(以下、ナノピンセットと称する)を用いて、試料表面に付着したパーティクルの除去を行う。なお、ナノピンセットを用いたパーティクル除去作業は、クリーンルーム内にて行われる。図1は、一例としてCCD基板2上のパーティクルPの除去方法を示す。CCD基板2には、各画素毎にオンチップマイクロレンズ200が形成されている。従来は、洗浄液を用いてパーティクルPの除去を行っているが、マイクロレンズ200のように表面に凹凸があると、図1に示すように凹んだ部分にパーティクルPが残りやすい。
【0008】
まず、本実施の形態における、ナノピンセット1(詳細は後述する)を用いたパーティクルPの除去動作についてその概略を説明する。ナノピンセット1をパーティクルPの位置へ移動する。次いで、ナノピンセット1の高さ調整をした後に、ナノピンセット1を閉駆動してパーティクルPを把持する。パーティクルPを把持したナノピンセット1を、パーティクルPの移送先である粘着部材3の位置へと空中移動する。そして、ナノピンセット1を粘着部材3へと接近させ、パーティクル1を粘着部材3に付着させる。その後、ナノピンセット1を開駆動した後に、粘着部材3から遠ざける。このような一連の動作により、パーティクルPは、粘着力により粘着部材3に付着したまま取り残されることになる。
【0009】
前述したように、ナノピンセット1を用いてパーティクルPを把持する方法は従来から提示されているが、無機物や有機物から成るパーティクルPをナノピンセット1で把持すると、その後ナノピンセット1を開いた場合に、静電力や粘着力などによってパーティクルPがナノピンセット1に付着したままになりやすい。特に、パーティクルPが有機物であった場合には、粘着性があるためにナノピンセット表面に付着しやすい。そのため、他のパーティクルPを除去するために、パーティクルPが付着した状態のナノピンセット1をマイクロレンズ200に近づけると、ナノピンセット1に付着していたパーティクルPが再びマイクロレンズ200に再付着してしまうという不都合があった。
【0010】
そこで、本実施の形態では、ナノピンセット1で把持したパーティクルPを、別に用意した粘着部材に付着させることで、パーティクルPのマイクロレンズ200への再付着を防止するようにした。また、除去されたパーティクルPは粘着部材3の粘着力によって粘着部材表面にしっかりと付着するので、パーティクルPが粘着部材3から脱落して装置内に漂い、マイクロレンズ200に再付着するというようなことを防止することができる。粘着部材3としては、例えば、粘着層が形成された粘着シートを基板に貼り付けたものが用いられる。粘着層としては剥離性に優れ、試料に粘着材が残りにくいポリウレタン樹脂やアクリル溶剤型粘着剤、もしくはシリコーン樹脂等が用いられる。
【0011】
図2,3はパーティクル除去に用いられるナノピンセット1の一例を示す図であり、図2は平面図、図3はナノピンセット1の裏面側を示す斜視図である。ナノピンセット1は、支持体25に一体に形成された固定アーム10および可動アーム20を有し、フォトリソグラフィー技術を利用してSOI基板を加工することにより形成される。このナノピンセット1は試料を把持するピンセットとして機能するだけでなく、固定アーム10が試料をAFM(原子間力顕微鏡)観察するためのカンチレバーとしても機能する。
【0012】
固定アーム10は、レバー10Aと、レバー10Aの先端に設けられた探針部10Bとを有している。ナノピンセット1を用いてAFM観察を行う際には、この固定アーム10を観察プローブとして使用する。可動アーム20は、レバー20Aと、レバー20Aの先端に設けられた把持部20Bとを有している。ほぼ平行に配置された探針部10Bと把持部20Bとは、所定間隔を隔てて設けられている。
【0013】
可動アーム20は、櫛歯型の静電アクチュエータ6により開閉駆動される。静電アクチュエータ6は、支持体25上に固定された櫛歯形状の固定電極60と、可動アーム20に連結される櫛歯形状の可動電極61とを有している。固定電極60と可動電極61との間には、駆動回路9により直流のアーム開閉電圧が印加される。
【0014】
可動電極61は、弾性支持部62によって支持体25上に支持されている。弾性支持部62は、連結部材63によって可動アーム20に連結されている。そのため、アーム開閉電圧を制御して可動電極61をx方向に駆動すると、可動アーム20はナノピンセット1を閉じる方向に駆動される。その結果、探針部10Bと把持部20Bとの間に試料を把持することができる。探針部10Bおよび把持部20Bは、y方向の長さ、x方向の幅、z方向の高さのすべてが等しく設定されており、それらの形状は、−z方向に先細りとなったウェッジ型形状をしている。
【0015】
探針部10Bおよび把持部20Bの断面形状は直角三角形になっており、裏面側が尖っている。探針部10Bおよび把持部20Bの互いに対向する把持面は垂直な平行面となっているので、試料を容易に把持することができる。また、探針部10Bの先端が尖っているので、AFM観察がし易い。
【0016】
図4は、ナノピンセット1を用いてパーティクルの除去を行う場合の、装置の全体構成を示す図である。CCD基板2および粘着部材3は3次元ステージ8上に載置され、ナノピンセット1に対してx、yおよびz方向に一体に駆動される。固定アーム10の上面にはレーザ光源12のレーザ光が照射され、その反射光がフォトダイオード13によって検出される。
【0017】
フォトダイオード13には2分割または4分割フォトダイオードが用いられ、フォトダイオード13からの検出信号は装置全体の制御を行う制御部4に入力される。レーザ光源12およびフォトダイオード13は固定アーム10の撓みを検出する光テコ検出系を構成しており、例えば、固定アーム10が基板等に接触してz方向に撓むと、その撓みがフォトダイオード13からの検出信号に基づいて算出される。
【0018】
なお、マイクロレンズ200上のパーティクルPの位置は予め計測され、その位置情報は記憶部5に入力される。制御部4は、記憶部5に記憶されたパーティクル位置情報に基づいて3次元ステージ8および駆動回路部9を制御し、ナノピンセット1によるパーティクル除去動作を行う。
【0019】
図5は、パーティクル除去動作の手順を示すフローチャートである。ステップS100では、マイクロレンズ200上のパーティクルPの位置を周知の方法で計測する。例えば、ウェーハ表面のパーティクル計測として、レーザ光をウェーハ表面に斜入射で照射してパーティクルからの散乱光を検出する、レーザ散乱光検出法が知られている。ステップS102では、ステップS100で取得された全てのパーティクル位置情報を記憶部5に記憶する。ステップS104では、制御部4は、計測されたパーティクル位置情報に基づいて、各パーティクルに対して搬送順番、および搬送の際のステージ8およびナノピンセット1の駆動手順をそれぞれ算出し、その結果を記憶する。
【0020】
なお、レーザ光を用いたパーティクル位置計測に加えて、AFMによる画像取得により全パーティクルの位置および高さをより正確に求めるようにしても良いし、AFMのみにより全パーティクルの位置および高さを事前に計測するようにしても良い。いずれにしても、計測結果から全てのパーティクルに関する最適な駆動手順を予め算出しておき、パーティクル除去動作時にはその駆動手順に基づいて、算出により決められた順に各パーティクルを除去する。
【0021】
ステップS106では、ステップS104で算出された搬送手順に従ってステージ8を駆動し、ナノピンセット1をパーティクルの位置へ移動する。例えば、ステージ8をx、y方向に駆動してナノピンセット1をパーティクルの真上に移動し、その後、ステージ8をz方向に駆動してナノピンセット1がマイクロレンズ200の表面に接触するまで降下させる。なお、この際に、接触による固定アーム10の撓みを上述した光テコ検出系で検出し、接触後、撓みがゼロとなる位置までナノピンセット1を上昇させる。
【0022】
さらに、ステップS107において、試料面から所定距離だけナノピンセット1を引き上げる。所定距離としては、例えば、パーティクルの試料面からの高さの1/2以下に設定する。
【0023】
その後、ステップS108において可動アーム20を閉じ、ナノピンセット1によりパーティクルを把持する。ステップS110では、ステージ8を駆動して、パーティクルを把持したナノピンセット1を粘着部材3の所定搬送位置の真上に移動する。ここで、所定搬送位置とは、ステップS104で各パーティクルに対応して決められた搬送位置である。例えば、粘着部材3の粘着領域を格子状に分割して、各分割領域に1つのパーティクルを付着させるようにする。
【0024】
ステップS112では、ナノピンセット1を粘着部材3方向へ降下させ、把持したパーティクルの下部を粘着部材3に付着させる。ここでは、パーティクルの粘着部材3への付着を確実なものとするために、パーティクル下部が粘着部材3の表面に接触して固定アーム10の撓みが検出されるまで、すなわち押圧されるまでナノピンセット1を降下させる。その後、可動アーム20を開駆動してナノピンセット1を開き、ナノピンセット1を粘着部材表面から上昇させる。その結果、粘着によりパーティクルだけが粘着部材3に取り残されることになる。この動作により、アーム先端の把持部が、粘着部材3に接触することは軽減され、粘着材のアーム先端把持部への付着が軽減される。
【0025】
なお、ここでは、ナノピンセット1を閉じた状態で粘着部材方向に降下させたが、ナノピンセット1を開いてから降下させても良い。この場合、ナノピンセット1を開いた際にパーティクルが粘着部材3上に落下する場合もあるが、アーム部に付着したままとなっている場合もある。この場合、ナノピンセット1のアーム部先端を粘着部材3の表面に押圧挿入させることで、粘着力をさらに高めることでパーティクルを脱離させる。
【0026】
または、粘着部材3の直上において、ナノピンセット1を圧電素子等を用いて上下方向に振動させて、レバー10Aおよび探針部10Bが形成された固定アーム10を振幅が100nm以上の大振幅で共振振動させたり、レバー20A、把持部20Bが形成された可動アーム20を静電アクチュエータ6により開閉したりして、アーム10,20に付着したパーティクルを粘着材3の上方で脱離させても良い。
【0027】
ステップS114では、検出された全てのパーティクルについて粘着部材3への搬送が完了したか否かを判定する。ステップS114において完了していないと判定されると、ステップS106へ戻りナノピンセット1を次のパーティクル位置へと移動する。そして、ステップS106からS112までの処理を行い、2番目のパーティクルを2番目の搬送位置へと付着させる。ステップS106からステップS112までの処理を繰り返し行うことにより、検出された全てのパーティクルが粘着部材3へ移送されると、ステップS114において移送完了と判定され、搬送動作に関する一連の処理を終了する。
【0028】
また、上記のパーティクル除去プロセスは、ナノピンセット装置を備えた走査電子顕微鏡や集束イオンビーム装置などの荷電粒子ビーム装置でも実施できる。
図8は、ナノピンセット装置を備えた集束イオンビーム装置である。真空チェンバー86に接続された集束イオンビーム鏡筒81から集束イオンビーム82を、試料台84上に載置された試料83に走査照射する。それにより試料83の表面で二次電子が発生する。発生した二次電子は二次電子検出器85で検出される。検出された二次電子信号より試料83表面の二次電子像を取得することができる。試料近傍でナノピンセット87を操作する場合、その様子を二次電子像で観察することができ、より正確にナノピンセット87を操作することができる。
【0029】
[第2の実施形態]
上述した実施の形態では、基板上のパーティクルの位置を予め計測装置で計測し、その計測結果に基づいてナノピンセット1の移動を行うようにした。ところで、固定アーム10の探針部10Bと基板表面とを近接させると、探針部10Bと基板表面との間に働く力により固定アーム10が基板方向に撓む。図4に示す装置では、光テコ検出系により固定アーム10の撓み変形を検出することができるので、検出されるこの撓みが一定となるようにZサーボ系(図7参照)を動作させながら、探針部10Bで基板表面をXY走査することで、基板表面の凹凸形状を検出することができる。
【0030】
なお、図7に示すZサーボ系では、フォトダイオード13の検出信号に基づくZ軸制御信号(Vc)をコンパレータCOMPに入力して、既定のセットポイント値と比較する。その後、PID制御器および高圧電源を介して、ピエゾ素子によりナノピンセット1をz軸方向に駆動する。
【0031】
そこで、第2の実施形態においては、固定アーム10を探針プローブとして用いてパーティクルを検出する。例えば、計測装置の検出精度が粗くてパーティクルの大まかな位置しか分からない場合には、計測装置で検出された位置を含む所定領域を固定アーム10の探針部10Bで走査し、パーティクルの正確な位置を求めるようにしても良い。
【0032】
図6はパーティクルPの検出から把持での動作を示す図である。図6(a)では、固定アーム10の探針部10Bが基板2の表面に接触するまでナノピンセット1を降下させる。上述した実施の形態と同様に、固定アーム10の撓みを光テコ検出系で検出することで接触を検出する
【0033】
その後、図6(b)に示すように、固定アーム10の撓みが一定となるように探針部10Bにより基板表面を走査する。走査の途中にパーティクルPが存在すると、探針部10Bの先端の軌跡は破線Lで示すような形状となる。この走査結果からパーティクルPの位置を求め、図6(c)に示すようにナノピンセット1を移動し、ナノピンセットの固定アーム10Bの撓みが再び一定となるように接触させる。その後探針部10Bが試料表面から所定距離(h/2)となるようにナノピンセット1を上昇させ、Zサーボ系を固定し、パーティクルPを把持する。
【0034】
なお、ここでは光テコ検出系で固定アーム10の撓みを検出したが、固定アーム10に圧電素子を設けて、圧電素子に発生する電圧に基づいて撓みを検出するようにしても良い。また、上述した例ではコンタクトモードにより表面形状を計測したが、圧電素子で固定アーム10を共振振動させて共振の振動状態(振幅、周波数、位相)の変化が一定になるように前記Zサーボ系を制御しながら試料表面をXY走査し、表面形状を観察するダイナミックフォースモードにより形状計測を行っても良い。
【0035】
上述した実施の形態によれば、把持したパーティクルを粘着部材3に付着させるようにしたので、ナノピンセット1にパーティクルが付着したままになるのを防止することができる。その結果、ナノピンセット1から基板2へのパーティクルの再付着を防止でき、基板2に付着したパーティクルの除去を効率良く、かつ、確実に行うことができる。
【0036】
上述した実施の形態では、固定アーム10の撓みを光テコ検出系等により検出することで、固定アーム10が基板面や粘着部材表面に接触したことを検出して、ナノピンセット1のz方向の移動を制御した。このような制御方法とは別に、例えば、予め顕微鏡などで観察しながらz位置基準面に対するナノピンセット1のz位置を位置合わせしておき、z位置基準面に対する相対位置に基づいてz方向の移動を制御するようにしても良い。なお、ナノピンセット1の一方のアーム20を開閉駆動し、パーティクル検出に用いられるアーム10を固定状態としたが、両方のアーム10,20を開閉駆動するようなナノピンセットにも本発明は適用することができる。
【0037】
また、基板2および粘着部材3を3次元ステージ8上に載置し、それらをナノピンセット1に対してx、y、z方向に移動するようにしたが、ナノピンセット側をステージ8で移動するようにしても良い。しかしながら、パーティクルを把持したナノピンセット1を移動する構成の場合、ステージ8を加速または減速した際に把持しているパーティクルを落とすおそれがあるので、基板2および粘着部材3を3次元ステージ8で移動する方が好ましい。
【0038】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、探針部10Bおよび把持部20Bは試料把持部を、静電アクチュエータ6は開閉駆動部を、3次元ステージ8は移動機構をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまでも一例であり、発明を解釈する際、上記実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態におけるパーティクル除去方法を説明する図である。
【図2】ナノピンセット1の一例を示す平面図である。
【図3】ナノピンセット1の裏面側を示す斜視図である。
【図4】パーティクルの除去を行う装置の概略構成を示す図である。
【図5】パーティクル除去動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】パーティクルPの検出から把持での動作を示す図であり、(a)は降下動作を、(b)は走査動作を、(c)は移動・把持動作をそれぞれ示す。
【図7】Zサーボ系の模式図である。
【図8】ナノピンセット装置を備えた集束イオンビーム装置を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1:ナノピンセット、2:CCD基板、3:粘着部材、4:制御部、5:記憶部、6:静電アクチュエータ、8:3次元ステージ、9:駆動回路、10:固定アーム、10B:探針部、12:レーザ光源、13:フォトダイオード、20:稼働アーム、200:オンチップマイクロレンズ、P:パーティクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な一対のアームを有する微小ピンセットを試料表面に近接させて、該試料表面に付着したパーティクルを前記アームの試料把持部で把持し、
前記パーティクルを把持した微小ピンセットを粘着部材上まで移動して、前記パーティクルを前記粘着部材に接触させ、
その後、前記微小ピンセットを開いて前記パーティクルを開放して前記粘着部材から遠ざけることを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパーティクル除去方法において、
前記微小ピンセットの試料把持部を前記試料表面から所定距離上方に位置決めして前記パーティクルを把持し、
前記パーティクルを前記粘着部材に接触させる際に、前記微小ピンセットの試料把持部で把持されたパーティクルの下部を前記粘着部材に押圧し、前記パーティクルのみを前記粘着部材に付着させることを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパーティクル除去方法において、
前記アームの先端で前記試料表面を走査して原子間力顕微鏡観察を行い、その画像情報より該試料表面に付着したパーティクルの試料表面上の位置と試料表面からの高さとを検出し、
前記検出された位置に前記微小ピンセットの位置合わせを行い、前記パーティクルの高さに応じて前記試料表面からの前記試料把持部の高さを制御して該パーティクルを把持することを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーティクル除去方法において、
前記微小ピンセットで前記試料表面に付着したパーティクルを把持する前に、
前記微小ピンセットの試料把持部を前記粘着部材に押圧して、該試料把持部に付着した微細な塵を除去することを特徴とするパーティクル除去方法。
【請求項5】
開閉自在な一対のアームを有する微小ピンセットと、
前記一対のアームの少なくとも一方を駆動して前記微小ピンセットを開閉する開閉駆動部と、
パーティクルを付着して回収する粘着部材を載置する載置台と、
試料と前記載置台に載置された粘着部材との間で前記微小ピンセットを移動する移動機構とを備えたことを特徴とする微小ピンセット装置。
【請求項6】
請求項5に記載の微小ピンセット装置において、
前記粘着部材は、粘着層が形成された粘着シートであることを特徴とする微小ピンセット装置。
【請求項7】
請求項5,6に記載の微小ピンセット装置を備えたことを特徴とする原子間力顕微鏡。
【請求項8】
請求項5,6に記載の微小ピンセット装置を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−311521(P2008−311521A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159230(P2007−159230)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】