ヒンジを有するマイクロミラー
【課題】ヒンジを有するマイクロミラーデバイスを提供すること。
【解決手段】マイクロミラーデバイスであって、基板によって支持されているヒンジと、ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートとを備え、ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、マイクロミラーデバイス。
【解決手段】マイクロミラーデバイスであって、基板によって支持されているヒンジと、ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートとを備え、ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、マイクロミラーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロミラーの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
空間的光変調器(SLM)は、反射面を有する傾斜可能なミラープレートのアレイを用いて作られ得る。各ミラープレートは、静電気力を用いることによって「オン」位置および「オフ」位置に傾斜され得る。静電気力は、ミラープレートとミラープレートの下の1つ以上の電極との間の電位差によって生成され得る。「オン」位置において、マイクロミラープレートは、表示画像の中に画像ピクセルを形成するように入射光を反射し得る。「オフ」位置において、マイクロミラープレートは、入射光を表示画像から離れるように向ける。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと、ヒンジに対して傾斜可能なミラープレートとを含んでいる。ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択された材料を含み得る。
【0004】
別の一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板上のヒンジ支持柱と;ヒンジ支持柱に接続されたヒンジと;ヒンジに接続されヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートとを含んでいる。ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択された材料を含み得る。
【0005】
別の一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと、ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと、ヒンジ以外の基板上の任意の構造にミラープレートを接触させることなしに、基板の表面に対して2度以上の傾斜の向きにミラープレートを保持するように、電気信号を生成し得るように構成されたコントローラとを含んでいる。ヒンジは、傾斜の向きから、基板に実質的に平行になるように、ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている。
【0006】
別の一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと;ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートであって、ヒンジは、ミラープレートが傾けられたときに、ミラープレートに弾性復元力を生成するように構成されている、ミラープレートと;コントローラであって、該コントローラは、静電気力を生成することにより、弾性復元力を克服し、無傾斜位置から「オン」位置または「オフ」位置にミラープレートを傾斜させ得る、コントローラとを含んでいる。静電気力は、弾性復元力に対抗することによって、ミラープレートを「オン」位置または「オフ」位置に保持するように構成されている。
【0007】
別の一般的な局面において、本発明は、ミラープレートの傾斜運動を制御する方法に関する。該方法は、基板によって支持されているヒンジを中心として傾斜可能なミラープレート上に静電気力を生成することを含んでいる。該ヒンジは、ミラープレートが傾斜されたときに、ミラープレート上に弾性復元力を生成し得る。該方法はまた、弾性復元力を克服し、無傾斜位置から「オン」位置または「オフ」位置にミラープレートを傾斜させることと、弾性復元力と均衡して、ミラープレートを「オン」位置または「オフ」位置に保持することとを含んでいる。
【0008】
システムの実装は、以下の1つ以上を含み得る。傾斜の向きは、基板の表面に対して3度以上の向きであり得、ヒンジは、傾斜の向きから、基板に実質的に平行になるように、ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている。傾斜の向きは、基板の表面に対して4度以上の向きであり得、ヒンジは、傾斜の向きから、基板に実質的に平行になるように、ミラープレートを弾性的に復元し得る。ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムからなるグループから選択された合金を含み得る。ヒンジは、窒化チタンアルミニウムを含み得る。窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有し得る。窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間であり得る。ヒンジは、チタンニッケル合金を含み得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、チタンアルミニウム合金を含み得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。
【0009】
システムの実装は、以下の1つ以上を含み得る。ヒンジは、窒化チタンアルミニウムを含み得る。窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有し得る。窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間であり得る。ヒンジは、チタンニッケル合金を含み得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、チタンアルミニウム合金を含み得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、基板の表面に対して2度、3度、または4度以上の第1の向きから、基板に対して実質的に平行な第2の向きまで、ミラープレートを弾性的に復元し得る。マイクロミラーデバイスは、コントローラをさらに含み得、該コントローラは、基板の表面に対して2度、3度、または4度以上の向きにミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されている。マイクロミラーデバイスは、基板上の機械的な停止部をさらに含み得、該機械的な停止部は、ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、ミラープレートに接触するように構成されている。ヒンジは、アルミニウム銅合金を含み得る。
【0010】
実装は、以下の1つ以上の利点を含み得る。本明細書は、接触マイクロミラーまたは非接触マイクロミラーに適切なヒンジ材料を開示している。接触マイクロミラーに対して選択されるヒンジ材料は、比較的低い弾性定数を有する。ミラープレートを傾斜させる静電気力は、ヒンジの弾性復元力を容易に克服し得るので、ミラープレートは、機械的な停止部に接触するように容易に傾斜され得る。非接触マイクロミラーに対して選択されるヒンジ材料は、比較的高い弾性定数を有する。これにより、弾性復元力が静電気力と均衡し、「オン」または「オフ」の位置を定義する傾斜角でマイクロミラーを保つことが可能になる。弾性復元力はまた、静電気力が減少または除去された後に、傾いたミラープレートを無傾斜位置に戻し得る。
【0011】
本明細書はまた、基板上の傾斜可能なミラープレートに対する単純化された構造と、該傾斜可能なミラープレートを駆動する方法とを提供する。傾斜可能なミラープレートは、コントローラによって提供された電気信号に応答して、所定の角度に傾斜および保持され得る。傾斜されたミラープレートを停止させ、ミラープレートの傾斜角を定義するための機械的な停止部は、基板上またはミラープレート上には何も必要ではない。機械的な停止部をなくすことは、機械的な停止部を有する従来の一部のマイクロミラーデバイスと比較すると、マイクロミラーデバイスを簡素化し得る。ミラープレートと基板との間の機械的な接触、例えば、基板上の機械的な停止部が無いことはまた、従来のミラーデバイスにおいてミラープレートと機械的な停止部との間に存在することが公知の静止摩擦(stiction)の問題を除去する。本明細書中に記述のミラープレートデバイスは、従来のデバイス中のミラープレートよりも、より狭い角度に傾斜し得る。より少ないミラープレートの傾斜は、ミラープレートが回転するヒンジに対して、より少ない歪みで済み得る。そのようなデバイスは、機械的な故障をする可能性は、より少なくあり得る。従って、デバイスの実用的な寿命は、より長くあり得る。さらに、ヒンジは、従来のデバイスほど回転することを要求されないので、ヒンジの形成に対して、遥かに多様な材料が選択され得る。その上に、ミラープレートは、より小さな角度の偏向を受けるので、より高い周波数で動作し得る。
【0012】
本発明は、特に複数の実施形態を参照しながら表示および記述されたが、形式および詳細における様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることを、当業者は、認識されたい。
【0013】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0014】
(項目1)
マイクロミラーデバイスであって、
基板によって支持されているヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【0015】
(項目2)
上記ヒンジは、上記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有している、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0016】
(項目3)
上記ヒンジは、上記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0017】
(項目4)
上記ヒンジは、上記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0018】
(項目5)
上記ヒンジは、上記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0019】
(項目6)
上記ヒンジは、上記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0020】
(項目7)
上記ヒンジは、上記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0021】
(項目8)
上記ヒンジは、上記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0022】
(項目9)
上記ヒンジは、上記基板の上記表面に対して4度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目8に記載のマイクロミラーデバイス。
【0023】
(項目10)
上記基板の上記表面に対して2度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0024】
(項目11)
上記基板の上記表面に対して4度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0025】
(項目12)
上記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、上記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0026】
(項目13)
上記ヒンジは、上記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
項目12に記載のマイクロミラーデバイス。
【0027】
(項目14)
マイクロミラーデバイスであって、
基板上のヒンジ支持柱と、
該ヒンジ支持柱に接続されたヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【0028】
(項目15)
上記ミラープレートは、上記ヒンジを含むヒンジ層を備えており、
該ヒンジ層は、該ヒンジと実質的に同じ材料を含んでいる、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0029】
(項目16)
上記ヒンジは、上記ミラープレートの下表面における空洞の中に少なくとも部分的に延びている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0030】
(項目17)
上記ヒンジは、上記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
アルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有しており、
窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0031】
(項目18)
上記ヒンジは、上記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0032】
(項目19)
上記チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目18に記載のマイクロミラーデバイス。
【0033】
(項目20)
上記ヒンジは、上記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0034】
(項目21)
上記チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目20に記載のマイクロミラーデバイス。
【0035】
(項目22)
上記ヒンジは、上記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0036】
(項目23)
上記ヒンジは、上記基板の上記表面に対して3度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目22に記載のマイクロミラーデバイス。
【0037】
(項目24)
上記基板の上記表面に対して2度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0038】
(項目25)
上記基板の上記表面に対して3度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0039】
(項目26)
上記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、上記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0040】
(項目27)
上記ヒンジは、上記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
項目26に記載のマイクロミラーデバイス。
【0041】
(摘要)
マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートとを含む。該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および0%〜約15%の範囲の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される合金を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
明細書中に組み入れられ、その一部を形成する添付の図面は、記述とともに本発明の実施形態を例示し、本発明の原理を説明する。
【0043】
図1〜図3を参照すると、マイクロミラー100は、基板300上にミラープレート110を含み得る。ミラープレート110は、反射層111、スペーサー層113およびヒンジ層114を含み得る。一部の実施形態において、スペーサー層113は、一対の開口部108aおよび108bを含む。一部の実施形態において、ヒンジ層114は、2つのヒンジ構成要素120aおよび120bを含む。ヒンジ構成要素120aおよび120bは、細長いヒンジ163aおよび163bによってそれぞれヒンジ層114の主要部分に接続される。細長いヒンジ163aおよび163bは、細長いヒンジ163aまたは163bの2つの側面上のギャップによって、ヒンジ層114の主要部分から分離される。外力が何もミラープレート110に適用されていないときには、該ミラープレート110は、無傾斜位置にある。無傾斜位置は、実質的には基板の上部面と平行であり得る。ミラープレート110は、2つのヒンジ構成要素120aおよび120bによって定義された軸を中心として傾斜され得る。1つのヒンジ構成要素120a(または120b)は、基板300上のヒンジ支柱121a(または121b)に接続される。ヒンジ支柱121aは、一体の部材として形成され得るか、2つまたは3つの部分を含み得る。例えば、ヒンジ支柱121aは、別個の堆積ステップで形成され得る、上部分123a、中間部分123bおよび下部分123cを含み得る。
【0044】
マイクロミラー100は、ヒンジ支柱121aおよび121bの一方の側に下部分130aおよび上部分131aを有する二部型電極(two−part)と、ヒンジ支柱121aおよび121bの他方の側に下部分130bおよび上部分131bを有する別の二部型電極とをさらに含み得る。電極の下部分130aおよび131bは、1つの導電層から形成され得る。電極の上部分131aおよび131bは、電極の下部分130aおよび130bの上の別の導電層から形成され得る。ヒンジ支柱121aおよび121bは、制御ライン311に接続され、二部型電極130aまたは131aは、制御ライン312に接続され、二部型電極130bまたは131bは、制御ライン313に接続される。制御ライン311、312および313の電位は、コントローラ350によって提供された外部電気信号によって別個に制御され得る。ミラープレート110と二部型電極130a、131aまたは二部型電極130b、131bとの間の電位差は、ミラープレート110を傾斜させ得る静電トルクを生成し得る。適切なマイクロミラーデバイスは、米国特許第2005−0128564号、「High Contrast Spatial Light Modulator and Method」(2004年10月26日出願)、ならびに米国特許出願第11/470,568号、「Spatial Light Modulator Multi−layer Mirror Plate」(2006年9月6日出願)にさらに記載されており、これらは、あらゆる目的のために、本明細書に参考のために援用される。
【0045】
図3および図4Aを参照すると、コントローラ350は、静電気力を生成することによって、ねじれた細長いヒンジ163aまたは163bによって生成される弾性復元力を征服して無傾斜位置から「オン」位置または「オフ」位置にミラーを傾斜させ得る。静電気力は、弾性復元力に対抗することによって、ミラープレートを「オン」位置または「オフ」位置に保持し得る。無傾斜位置は、「オン」位置および「オフ」位置とは異なり得る。一部の実施形態において、無傾斜位置は、「オン」位置または「オフ」位置と同一でもあり得る。ミラープレート110は、無傾斜位置から基板300に対する傾斜角θonまで一方向に傾斜し得る。ミラープレート110は、入射光330を反射することによって、「オン」方向に移動する反射光340を形成し得、その結果として、反射光340は、表示区域に到達し表示画像を形成し得る。「オン」方向は、典型的には基板300に垂直であり得る。入射角(すなわち、入射光330とミラーの法線方向との間の角度)と反射角(すなわち、反射光340とミラーの法線方向との間の角度)とは同一であるので、入射光330および反射光340は、角度2θonを形成し、該角度は、ミラープレート110の傾斜角θonの2倍である。
【0046】
図4Bを参照すると、ミラープレート110は、基板300に対しても傾斜角θonの向きまで反対方向に、対称的に傾斜し得る。ミラープレート110は、入射光330を反射することによって、「オフ」方向に移動する反射光345を形成し得る。反射光345は、アパーチャ(図5〜7において530)によってブロックされ、光吸収器によって吸収され得る。入射光330に対する入射角は、3θonなので、反射角もまた、3θonであるべきである。従って、「オン」方向の反射光340と「オフ」方向の反射光345との間の角度は、4θonであり、ミラープレート110の傾斜角θonの4倍である。
【0047】
入射光330は、異なる光源、例えばそれぞれが図5および図6に示されるように、レーザー500または発光ダイオード(LED)510によって供給され得る。レーザー500によって発光される入射光は、コヒーレントであり、ミラープレート110による反射の後に、平行なままであり得る。アパーチャ530、レーザー500およびミラープレート110は、「オン」方向に傾斜されたときにミラープレート110によって反射された殆ど全ての反射光340が、アパーチャ530における開口部535を通過するように配列され得る。LED510から発光された入射光330は、通常は非コヒーレントであり、距離が長くなるにつれて発散する傾向にある。アパーチャ530、LED510およびミラープレート110は、「オン」位置のミラープレート110によって反射された光の大部分が、アパーチャ530における開口部535を通過するように配列され得る。例えば、反射光340は、開口部535を介して進み得、一方で、反射光340aおよび340bは、反射光340から離れるように発散し、アパーチャ530によってブロックされる。
【0048】
マイクロミラー100のアレイに基づいた例示的な画像投射システム700が、図7に示される。赤レーザー500a、緑レーザー500bおよび青レーザー500cが、それぞれ赤色レーザービーム330a、緑色レーザービーム330bおよび青色レーザービーム330cを発光する。赤色光330a、緑色光330bおよび青色光330cは、拡散器710a、710bおよび710cを通過することによって、有色光331a、331bおよび331cを形成し得る。拡散器710a、710bおよび710cは、レーザービーム330a、330bおよび330cの大きさを変更し得(例えば、拡張)、かつレーザービーム330a、330bおよび330cをマイクロミラー100のアレイと互換性のある断面形状に形づくり得る。例えば、有色光331a、331bおよび331cは、マイクロミラー100のアレイの形状とより互換性のあり得る、長方形になるように形づくられ得る。有色光331a、331bおよび331cは、次いで(ビーム結合器として機能する)ビーム分割器720a、720bおよび720cによって反射され得、カラーの入射光330へと併合される。カラーの入射光330は、内部全反射(TIR)プリズム740によって反射されることによって、支持部材730上のマイクロミラー100を照明し得る。「オン」位置のミラープレート110によって偏向された反射光340は、TIRプリズム740およびアパーチャ530の開口部535を通過し得、投影システム750によって投影されることによって、表示画像を形成し得る。
【0049】
アパーチャ530、TIRプリズム740およびマイクロミラー100の相対位置は、「オン」方向における殆ど全ての反射光340が開口部535を通過し、「オフ」方向における全ての反射光345がアパーチャ530によってブロックされ得るように、配列され得る。アパーチャ530によってブロックされた反射光340の任意の部分は、表示の輝度における損失である。開口部535を通過する逸脱した任意の反射光535は、表示画像のコントラストを減少させる。反射光340と反射光345との間の角度の広がりが大きいほど、反射光340と反射光345とを分離させて、表示画像における最大の輝度およびコントラストを達成することが容易になる。言い換えると、表示システム700における傾斜角θon(またはθoff)が大きいほど、実質的に全ての反射光345がブロックされ、かつ実質的に全ての反射光340が表示面に到達することによって表示画像を形成するように、反射光340と反射光345とを分離することをが、より容易になる。
【0050】
正の駆動電圧パルス801および負の駆動電圧パルスは、図8において、示されている。ゼロ傾斜角は、水平方向に相当し、該水平方向において、ミラープレート110は、基板300の表面に平行である。正の駆動電圧パルス801は、駆動電圧Vonを含み、図3、図4A,図5、および図6に示されているように、ミラープレート110を「オン」位置に制御するために用いられる。正の電圧パルス801は、ミラープレート110を、図において反時計回りの方向である「オン」方向に、基板の300上部面に対して傾斜角θonまで傾斜させる、静電気力を作り得る。ミラープレート110は、無傾斜状態において弾性復元力は何も受けない。ミラープレート110が傾斜する際に、ミラープレート110は、弾性復元力を受け、該弾性復元力は、細長いヒンジ163aまたは163bのねじれの変形によって作られ、ミラープレート110に時計回りの方向の力を加える。傾斜角が増加する際に、静電気力は幾分か増加するが、弾性復元力は、傾斜角の関数として、静電気力よりもより急速に増加する。弾性復元力が、静電気力と等しくなるときに、ミラープレート110は、最終的には傾斜角θonで、停止する。言い換えると、ミラープレート110は、静電気力とミラープレート110に反対方向に力を加える弾性復元力との間の均衡によって、傾斜角θonで保持される。ミラープレート110は、最初に領域811において平均的な傾斜角θon周辺で振動し、次いで傾斜角θonにおいて一定に留まり得る。
【0051】
同様に、図4Bに示されているように、負の駆動電圧パルス802は、ミラープレート110を「オフ」位置に制御するために用いられる。電圧パルス802は、駆動電圧Voffを含む。電圧パルス802は、静電気力を作ることによって、例えば時計回りの方向に基板300の上部面に対して傾斜角θoffに向かって、ミラープレート110を「オフ」位置に傾斜させ得る。再び、ミラープレートは、無傾斜位置において弾性復元力は何も受けない。傾斜角が増加する際に、弾性復元力は、細長いヒンジ163aまたは163bのねじれの変形によって作られ、反時計回りの方向の力を加える。弾性復元力は、傾斜角の関数として、静電気力よりも急速に増加する。弾性復元力が、静電気力と等しくなるときに、ミラープレート110は、最終的に傾斜角θoffで停止する。ミラープレート110は、負の電圧パルス802によって作られた静電気力と歪んだ細長いヒンジ163aおよび163bによる弾性復元力との間の均衡によって、傾斜角θoffで保持される。ミラープレート110は、最初に領域821において平均的な傾斜角θoff周辺で振動し、次いで傾斜角θoffにおいて一定に留まり得る。図4Aおよび図4Bに示されている構成において、傾斜角θonおよび傾斜角θoffは、等しい大きさを有し得る。負の駆動電圧パルス802が除去された後に、ミラープレート110は、細長いヒンジ163aおよび163bによってゼロ傾斜角(すなわち、水平方向)に弾性的に引き戻され得る。
【0052】
図9および図10を参照すると、接触モードにおける動作に適切なミラープレート1100は、基板300上に機械的な停止部1360aおよび1360bを有している。機械的な停止部1360aおよび1360bは、傾斜したミラープレート1100と接触し、時計回り方向または反時計回り方向の傾斜運動を停止させ得る。ミラープレート110の「オン」位置および「オフ」位置は、ミラープレート110が機械的な停止部1360aおよび1360bと接触するときに定義される。「オン」位置におけるミラープレート110の方向は、反射光340の方向を決定する。マイクロミラー1100はまた、非接触型のマイクロミラー100と同じ多数のコンポーネントを含み得る。一部の実施形態において、機械的な停止部1360aおよび1360bは、導電性であり得る。機械的な停止部1360aおよび1360bは、制御ライン311(図10には図示されず)に接続され得、その結果、機械的な停止部1360aおよび1360bは、コントローラ350からの電気信号によって、ミラープレート110のヒンジ層114と同じ電位に保たれ得る。機械的な停止部1360aおよび1360bとヒンジ層114との等しい電位は、ヒンジ層114と機械的な停止部1360aおよび1360bとの間の中間領域にわたってそれらが接触しているときに電流が流れることを防止し得る。ミラープレート110の電位ならびにミラープレート110に加えられる静電気力は、機械的な停止部1360aおよび1360bとの接触によって妨げられない。
【0053】
本明細書において、マイクロミラー100は、「無接触」マイクロミラーと呼ばれる。マイクロミラー1100は、「接触」マイクロミラーと呼ばれる。「接触」マイクロミラーにおけるミラープレートの傾斜運動は、機械的な停止部によって停止され得る。ミラープレートの「オン」位置および「オフ」位置は、ミラープレートが機械的な停止部と接触しているときのミラープレートの向きによって定義される。対照的に、無接触マイクロミラー100は、ミラープレートの傾斜運動を制限し得る機械的な停止部を含まない。むしろ、ミラープレートの「オン」位置および「オフ」位置は、ミラープレート100および二部型電極130a、131a、130b、131bに加えられた駆動電圧によって制御される。
【0054】
駆動電圧の関数としての、ミラープレートの傾斜角の応答曲線が、図11において示される。ミラープレートの傾斜角は、最初に、駆動電圧の関数として曲線905に沿って徐々に増加する。駆動電圧が増加する際に、傾斜角は、次いで曲線910に沿って急速に増加し、最終的にミラープレートが、スナッピング電圧Vsnapで「スナップ」するが、Vsnapにおいて、傾斜角が増加する際に、弾性復元力は、増加を停止する。傾斜角が増加する際に、静電気力は、増加し続ける。より強力な静電気力と一定な可塑性の復元力との不均衡(図12を参照)は、傾斜角をθmaxまで急激に増加させ、θmaxにおいて、ミラープレートの傾斜運動は、基板上300の機械的な停止部1160aおよび1160bによって停止される(図10を参照)。本明細書において、用語「スナップ」は、ミラープレートに関する不均衡なミラープレートの不安定な状態を指し、ミラープレートは、急速に傾斜し、最終的に固定された別の物体によって停止される。
【0055】
ミラープレートの「スナッピング」は、マイクロミラーの中のヒンジの機械的特性の現れである。図12を参照すると、ミラープレート上の応力は、例えば、ミラープレートと基板上の電極との間の静電気力によって引き起こされ得る。ヒンジの変形は、低い応力の範囲において、曲線1000に沿って応力を増加させる。曲線1000は、応力に対するヒンジの弾性応答を表す。一例示的なマイクロミラーにおいて、ヒンジは、変形D1でスナップする。言い換えると、傾斜角が、D1に対応する傾斜角より上に増加する際に、弾性復元力は、増加を止める。曲線1010は、ヒンジ材料の可塑性領域を表す。曲線1010に対応するヒンジ材料は、図9および図10に示されている接触タイプのマイクロミラー1100に用いられるのに適している。
【0056】
図7に関連して先述したように、非接触マイクロミラーは、表示画像における最適な輝度およびコントラストのために、好適には、例えば約2度、約3度、約4度、約5度またはより大きな傾斜角を有する。大きな「オン」または「オフ」の傾斜角もまた、ミラープレートが傾斜され、次いでヒンジによって弾性的に無傾斜位置に復元され得る幅広い角度の範囲を必要とする。図12は、D2>D1の変形において弾性応答曲線1000から可塑性応答曲線1020に移行する、別の例示的なマイクロミラーを示す。マイクロミラーは、弾性的なヒンジの変形に対してより幅広い範囲を有し、従って、非接触ミラープレート100の適用により適している。D2とD1との間の違いは、(図14に示される)ミラープレート110および1100の材料の構成の違いに起因し得る。対照的に、接触マイクロミラー1100は、弾性的なヒンジの変形に対して狭い範囲を有し得、その結果として、比較的に小さな駆動電圧が、ミラープレートをスナップさせ得ることによって、該プレートを機械的な停止部に接触させる。可塑性の曲線1010に対応するマイクロミラーは、従って、接触マイクロミラーにより適している。マイクロミラー100の中の「非接触」マイクロミラーに対して適しているヒンジ材料の一例は、窒化チタンアルミニウムであり、これは、約0〜15%の範囲、または0〜10%の範囲、ならびにアルミニウムおよびチタンに対する組成とほぼ等しい範囲の窒素の組成を有する。窒化チタンアルミニウムの組成物から作られたヒンジ材料に対する一例は、Al48%Ti48%N4%である。アルミニウム銅合金は、接触マイクロミラー1100に対するヒンジ材料により適切である。例示されたアルミニウム銅合金は、90%の銅と10%のアルミニウムとを含み得る。
【0057】
図11に戻って参照すると、マイクロミラー1100におけるマイクロミラープレート110が傾斜角θmaxでスナップした後に、駆動電圧が減少する際に、ミラープレートは、最初に、ライン915によって示される駆動電圧の範囲内で機械的な停止部1160aおよび1160bと接触したままでいる。ヒンジが弾性領域に戻り、弾性を復元し、機械的な停止部1160aまたは1160bでの静止摩擦を越えた後に、ミラープレート1100は、駆動電圧が、ライン920と交差するとき、最終的に応答曲線905に沿って元の方向に傾斜する。曲線905、910およびライン915、920によって表された履歴現象は、接触マイクロミラー100の共通の特性である。非接触マイクロミラー100に対する動作可能な窓は、ミラープレートの弾性領域における曲線905に沿っている。ミラープレートは、駆動電圧Vonによって傾斜角θonまたはθoffにおいて傾斜または保持され得る。静電気力が除去された後に、ミラープレート110は、同一の応答曲線905に沿って、ヒンジ163aおよび163bによって元の位置に弾性的に復元され得る。本明細書中に開示された非接触マイクロミラー100と関連した実質的な履歴現象は、何もない。
【0058】
図13は、異なる材料組成物を有するヒンジに対する駆動電圧の関数としての、ミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示する。正規化された駆動電圧は、単にミラースナッピング電圧によって分割された駆動電圧である。異なる材料組成物を有するヒンジに対するミラープレート傾斜角は、正規化した駆動電圧の関数として、異なる曲線1105に沿って上昇し得る。傾斜角は、AlCuから作られたヒンジに対するものよりも、TiNi合金、AlTiN化合物、およびAlTi合金から作られたヒンジに対して、より高い。非接触マイクロミラーに対して適切な上述のヒンジ材料は、以下の例示的な組成物を含み得る。すなわち、TiNi合金に対するTi50%Ni50%、AlTiN化合物に対するAl48%Ti48%N4%、AlTi合金に対するAl50%Ti50%である。AlCu合金は、接触マイクロミラーにより適切である。AlCu合金は、約70%〜95%のアルミニウム、または90%のアルミニウムと10%の銅とを含み得る。
【0059】
上述のように、複数のミラープレートは、曲線1105によって定義された角度範囲に傾斜され得、それぞれの無傾斜位置へと弾性的に復元される。曲線1105に対して利用可能な傾斜角の範囲は、その中で非接触マイクロミラーが動作するのだが、図示された3つの材料の組成物に対して異なる。図13に図示された特定の実施例において、TiNi合金で作られたヒンジは、非接触ミラープレートが、他の2つのヒンジの材料組成物よりもより幅広い角度範囲において傾斜かつ弾性的に復元することを可能にする。AlCuで作られたヒンジは、接触ミラープレートが弾性復元力を克服し、機械的な停止部に素早く戻ることを可能にする。
【0060】
マイクロミラーと互換性のあるヒンジ材料は、例えばチタン、金、銀、ニッケル、鉄、コバルト、銅、アルミニウム、窒素、および酸素のような様々な材料を含み得る。ヒンジは、TiNiによって作られ得、ここでは、チタンの組成は、約30%〜70%の間、または約40%〜60%の間、または約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、AlTiから作られ得、ここでは、チタンの組成は、約30%〜70%の間、または約40%〜60%の間、または約45%〜55%の間であり得る。「非接触」マイクロミラーに対する適当なヒンジ材料は、窒化チタンアルミニウムを含み得、これは、約0〜10%の間、または0〜15%の間の窒素の組成を有し、アルミニウムおよびチタンに対する組成とほぼ等しい窒素の組成を有する。窒化チタンアルミニウムから成るヒンジ構成要素は、他の素子は実質的に含んでおらず(この文脈において、実質的に含んでいないとは、他の素子が、製造工程で一定の痕跡量として存在し得ることを意味する)、特に、酸素は実質的に含み得ない。
【0061】
図14を参照すると、3つの異なる材料である、材料1、材料2および材料3から作られたヒンジを有するミラープレートの傾斜角は、最初に同一の曲線1205に沿って徐々に上昇し得る。ヒンジの材料1、材料2および材料3に対するスナップ電圧のVsnap1、Vsnap2およびVsnap3は、異なり、Vsnap1<Vsnap2<Vsnap3となり得る。ヒンジの3つの材料に対応する非接触の傾斜角θon1、θon2およびθon3に対する動作可能な窓もまた異なり、θon1<θon2<θon3である。図14に図示された実施例において、材料3は、非接触マイクロミラーのためのヒンジ材料としてより好まれる。なぜなら、ミラープレートの傾斜および無傾斜位置への復元に対して最も大きな角度範囲を提供し得るからである。例えば、材料3で作られたヒンジは、無傾斜位置に対して2度、3度または4度の第1の向きからミラープレートを弾性的に復元し得る。材料1は、図9および図10に示されているマイクロミラー1100のような接触マイクロミラーにより適切である。
【0062】
上述の方法は、接触マイクロミラーおよび非接触マイクロミラーに適切なヒンジ材料を選択するために用いられ得る。比較的低い弾性定数を有するヒンジ材料は、接触マイクロミラーに対して選択され得る。ミラープレートを傾ける静電気力は、ヒンジの弾性復元力を容易に克服し得るので、ミラープレートは、機械的な停止部に接触するように容易に傾けられ得、「オン」および「オフ」のミラー位置が、定義され得る。比較的高い弾性定数を有するヒンジ材料は、非接触マイクロミラーに対して選択され得、弾性復元力が静電気力と均衡し、「オン」および「オフ」のミラー位置を定義する傾斜角でマイクロミラーを保つことが可能になる。弾性復元力はまた、静電気力が減少または除去された後に、傾いたミラープレートを無傾斜位置に戻し得る。
【0063】
上述のマイクロミラーは、基板上の傾斜可能なミラープレートの簡素化された構造および傾斜可能なミラープレートを駆動するための方法を提供する。傾斜可能なミラープレートは、コントローラによって提供された電気信号に応答して、所定の角度に傾斜および保持され得る。傾斜したミラープレートを停止させ、ミラープレートの傾斜角を定義するための機械的な停止部は、基板上またはミラープレート上には何も必要ではない。機械的な停止部をなくすことは、マイクロミラーデバイスを簡素化するだけではなく、従来のミラーデバイスにおいてミラープレートと機械的な停止部との間に存在することが公知の静止摩擦を除去する。本明細書中に記述のミラープレートデバイスは、従来のデバイス中のミラープレートよりも、より狭い角度に傾斜し得る。より少ないミラープレートの傾斜は、ミラープレートが回転するヒンジに対して、より少ない歪みで済み得る。そのようなデバイスは、機械的な故障をする可能性は、より少なくあり得る。従って、デバイスの実用的な寿命は、より長くあり得る。さらに、ヒンジは、従来のデバイスほど回転することを要求されないので、ヒンジの構成に対して、遥かに多様な材料が選択され得る。その上に、ミラープレートは、より小さな角度の偏向を受けるので、より高い周波数で動作し得る。
【0064】
開示の方法は、マイクロミラーの他の構成と互換性があることが理解される。上述されたものとは異なる材料が、ミラープレートの様々な層、ヒンジ接続柱、ヒンジ支持柱、電極および電気的な停止部を形成するために用いられ得る。電極は、図において示されるように、いくつかのステップを含み得、または導電材料の単一層を含み得る。ミラープレートは、異なる形状、例えば、長方形、六角形、ひし形または八角形などであり得る。駆動電圧パルスは、異なる波長および極性を含み得る。表示システムは、本発明の精神から逸脱することなく、光路のための異なる構成および設計を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、非接触モードにおける動作に適切なマイクロミラーの斜視図である。
【図2】図2は、図1のマイクロミラーの分解図である。
【図3】図3は、図1のマイクロミラーの側面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、「オン」方向および「オフ」方向のそれぞれにおける、傾斜したミラープレートによる入射光の反射を例示する。
【図5】図5は、傾斜したミラープレートによる、レーザーによって発光された入射光の反射を例示する。
【図6】図6は、傾斜したミラープレートによる、発光ダイオードによって発光された入射光の反射を例示する。
【図7】図7は、マイクロミラーを含む画像投影システムの配列を例示する。
【図8】図8は、駆動電圧パルスの時間のプロファイルおよびミラープレートにおける結果の傾斜角を例示する。
【図9】図9は、接触モードにおける動作に適切なマイクロミラーの斜視図である。
【図10】図10は、図9のマイクロミラーの側面図である。
【図11】図11は、接触および非接触マイクロミラーに対する駆動電圧の関数としてミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示するグラフである。
【図12】図12は、応力と伸びのプロット図で非接触および接触マイクロミラーの動作領域を例示するグラフである。
【図13】図13は、異なる材料の組成物を有するヒンジの構成要素に対する正規化された駆動電圧の関数として、ミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示するグラフである。
【図14】図14は、異なる材料の組成物を有するヒンジの構成要素に対する駆動電圧の関数として、ミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示するグラフである。
【符号の説明】
【0066】
100 マイクロミラー
110 ミラープレート
120a、120b ヒンジ構成要素
121a、121b ヒンジ支柱
300 基板
350 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロミラーの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
空間的光変調器(SLM)は、反射面を有する傾斜可能なミラープレートのアレイを用いて作られ得る。各ミラープレートは、静電気力を用いることによって「オン」位置および「オフ」位置に傾斜され得る。静電気力は、ミラープレートとミラープレートの下の1つ以上の電極との間の電位差によって生成され得る。「オン」位置において、マイクロミラープレートは、表示画像の中に画像ピクセルを形成するように入射光を反射し得る。「オフ」位置において、マイクロミラープレートは、入射光を表示画像から離れるように向ける。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと、ヒンジに対して傾斜可能なミラープレートとを含んでいる。ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択された材料を含み得る。
【0004】
別の一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板上のヒンジ支持柱と;ヒンジ支持柱に接続されたヒンジと;ヒンジに接続されヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートとを含んでいる。ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択された材料を含み得る。
【0005】
別の一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと、ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと、ヒンジ以外の基板上の任意の構造にミラープレートを接触させることなしに、基板の表面に対して2度以上の傾斜の向きにミラープレートを保持するように、電気信号を生成し得るように構成されたコントローラとを含んでいる。ヒンジは、傾斜の向きから、基板に実質的に平行になるように、ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている。
【0006】
別の一般的な局面において、本発明は、マイクロミラーデバイスに関し、該マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと;ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートであって、ヒンジは、ミラープレートが傾けられたときに、ミラープレートに弾性復元力を生成するように構成されている、ミラープレートと;コントローラであって、該コントローラは、静電気力を生成することにより、弾性復元力を克服し、無傾斜位置から「オン」位置または「オフ」位置にミラープレートを傾斜させ得る、コントローラとを含んでいる。静電気力は、弾性復元力に対抗することによって、ミラープレートを「オン」位置または「オフ」位置に保持するように構成されている。
【0007】
別の一般的な局面において、本発明は、ミラープレートの傾斜運動を制御する方法に関する。該方法は、基板によって支持されているヒンジを中心として傾斜可能なミラープレート上に静電気力を生成することを含んでいる。該ヒンジは、ミラープレートが傾斜されたときに、ミラープレート上に弾性復元力を生成し得る。該方法はまた、弾性復元力を克服し、無傾斜位置から「オン」位置または「オフ」位置にミラープレートを傾斜させることと、弾性復元力と均衡して、ミラープレートを「オン」位置または「オフ」位置に保持することとを含んでいる。
【0008】
システムの実装は、以下の1つ以上を含み得る。傾斜の向きは、基板の表面に対して3度以上の向きであり得、ヒンジは、傾斜の向きから、基板に実質的に平行になるように、ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている。傾斜の向きは、基板の表面に対して4度以上の向きであり得、ヒンジは、傾斜の向きから、基板に実質的に平行になるように、ミラープレートを弾性的に復元し得る。ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムからなるグループから選択された合金を含み得る。ヒンジは、窒化チタンアルミニウムを含み得る。窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有し得る。窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間であり得る。ヒンジは、チタンニッケル合金を含み得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、チタンアルミニウム合金を含み得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。
【0009】
システムの実装は、以下の1つ以上を含み得る。ヒンジは、窒化チタンアルミニウムを含み得る。窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有し得る。窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間であり得る。ヒンジは、チタンニッケル合金を含み得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、チタンアルミニウム合金を含み得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間であり得る。チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、基板の表面に対して2度、3度、または4度以上の第1の向きから、基板に対して実質的に平行な第2の向きまで、ミラープレートを弾性的に復元し得る。マイクロミラーデバイスは、コントローラをさらに含み得、該コントローラは、基板の表面に対して2度、3度、または4度以上の向きにミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されている。マイクロミラーデバイスは、基板上の機械的な停止部をさらに含み得、該機械的な停止部は、ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、ミラープレートに接触するように構成されている。ヒンジは、アルミニウム銅合金を含み得る。
【0010】
実装は、以下の1つ以上の利点を含み得る。本明細書は、接触マイクロミラーまたは非接触マイクロミラーに適切なヒンジ材料を開示している。接触マイクロミラーに対して選択されるヒンジ材料は、比較的低い弾性定数を有する。ミラープレートを傾斜させる静電気力は、ヒンジの弾性復元力を容易に克服し得るので、ミラープレートは、機械的な停止部に接触するように容易に傾斜され得る。非接触マイクロミラーに対して選択されるヒンジ材料は、比較的高い弾性定数を有する。これにより、弾性復元力が静電気力と均衡し、「オン」または「オフ」の位置を定義する傾斜角でマイクロミラーを保つことが可能になる。弾性復元力はまた、静電気力が減少または除去された後に、傾いたミラープレートを無傾斜位置に戻し得る。
【0011】
本明細書はまた、基板上の傾斜可能なミラープレートに対する単純化された構造と、該傾斜可能なミラープレートを駆動する方法とを提供する。傾斜可能なミラープレートは、コントローラによって提供された電気信号に応答して、所定の角度に傾斜および保持され得る。傾斜されたミラープレートを停止させ、ミラープレートの傾斜角を定義するための機械的な停止部は、基板上またはミラープレート上には何も必要ではない。機械的な停止部をなくすことは、機械的な停止部を有する従来の一部のマイクロミラーデバイスと比較すると、マイクロミラーデバイスを簡素化し得る。ミラープレートと基板との間の機械的な接触、例えば、基板上の機械的な停止部が無いことはまた、従来のミラーデバイスにおいてミラープレートと機械的な停止部との間に存在することが公知の静止摩擦(stiction)の問題を除去する。本明細書中に記述のミラープレートデバイスは、従来のデバイス中のミラープレートよりも、より狭い角度に傾斜し得る。より少ないミラープレートの傾斜は、ミラープレートが回転するヒンジに対して、より少ない歪みで済み得る。そのようなデバイスは、機械的な故障をする可能性は、より少なくあり得る。従って、デバイスの実用的な寿命は、より長くあり得る。さらに、ヒンジは、従来のデバイスほど回転することを要求されないので、ヒンジの形成に対して、遥かに多様な材料が選択され得る。その上に、ミラープレートは、より小さな角度の偏向を受けるので、より高い周波数で動作し得る。
【0012】
本発明は、特に複数の実施形態を参照しながら表示および記述されたが、形式および詳細における様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることを、当業者は、認識されたい。
【0013】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0014】
(項目1)
マイクロミラーデバイスであって、
基板によって支持されているヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【0015】
(項目2)
上記ヒンジは、上記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有している、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0016】
(項目3)
上記ヒンジは、上記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0017】
(項目4)
上記ヒンジは、上記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0018】
(項目5)
上記ヒンジは、上記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0019】
(項目6)
上記ヒンジは、上記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0020】
(項目7)
上記ヒンジは、上記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0021】
(項目8)
上記ヒンジは、上記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0022】
(項目9)
上記ヒンジは、上記基板の上記表面に対して4度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目8に記載のマイクロミラーデバイス。
【0023】
(項目10)
上記基板の上記表面に対して2度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0024】
(項目11)
上記基板の上記表面に対して4度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0025】
(項目12)
上記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、上記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
項目1に記載のマイクロミラーデバイス。
【0026】
(項目13)
上記ヒンジは、上記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
項目12に記載のマイクロミラーデバイス。
【0027】
(項目14)
マイクロミラーデバイスであって、
基板上のヒンジ支持柱と、
該ヒンジ支持柱に接続されたヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【0028】
(項目15)
上記ミラープレートは、上記ヒンジを含むヒンジ層を備えており、
該ヒンジ層は、該ヒンジと実質的に同じ材料を含んでいる、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0029】
(項目16)
上記ヒンジは、上記ミラープレートの下表面における空洞の中に少なくとも部分的に延びている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0030】
(項目17)
上記ヒンジは、上記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
アルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有しており、
窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0031】
(項目18)
上記ヒンジは、上記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0032】
(項目19)
上記チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目18に記載のマイクロミラーデバイス。
【0033】
(項目20)
上記ヒンジは、上記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0034】
(項目21)
上記チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
項目20に記載のマイクロミラーデバイス。
【0035】
(項目22)
上記ヒンジは、上記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0036】
(項目23)
上記ヒンジは、上記基板の上記表面に対して3度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、上記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、項目22に記載のマイクロミラーデバイス。
【0037】
(項目24)
上記基板の上記表面に対して2度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0038】
(項目25)
上記基板の上記表面に対して3度以上の向きに上記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0039】
(項目26)
上記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、上記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
項目14に記載のマイクロミラーデバイス。
【0040】
(項目27)
上記ヒンジは、上記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
項目26に記載のマイクロミラーデバイス。
【0041】
(摘要)
マイクロミラーデバイスは、基板によって支持されたヒンジと該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートとを含む。該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および0%〜約15%の範囲の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される合金を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
明細書中に組み入れられ、その一部を形成する添付の図面は、記述とともに本発明の実施形態を例示し、本発明の原理を説明する。
【0043】
図1〜図3を参照すると、マイクロミラー100は、基板300上にミラープレート110を含み得る。ミラープレート110は、反射層111、スペーサー層113およびヒンジ層114を含み得る。一部の実施形態において、スペーサー層113は、一対の開口部108aおよび108bを含む。一部の実施形態において、ヒンジ層114は、2つのヒンジ構成要素120aおよび120bを含む。ヒンジ構成要素120aおよび120bは、細長いヒンジ163aおよび163bによってそれぞれヒンジ層114の主要部分に接続される。細長いヒンジ163aおよび163bは、細長いヒンジ163aまたは163bの2つの側面上のギャップによって、ヒンジ層114の主要部分から分離される。外力が何もミラープレート110に適用されていないときには、該ミラープレート110は、無傾斜位置にある。無傾斜位置は、実質的には基板の上部面と平行であり得る。ミラープレート110は、2つのヒンジ構成要素120aおよび120bによって定義された軸を中心として傾斜され得る。1つのヒンジ構成要素120a(または120b)は、基板300上のヒンジ支柱121a(または121b)に接続される。ヒンジ支柱121aは、一体の部材として形成され得るか、2つまたは3つの部分を含み得る。例えば、ヒンジ支柱121aは、別個の堆積ステップで形成され得る、上部分123a、中間部分123bおよび下部分123cを含み得る。
【0044】
マイクロミラー100は、ヒンジ支柱121aおよび121bの一方の側に下部分130aおよび上部分131aを有する二部型電極(two−part)と、ヒンジ支柱121aおよび121bの他方の側に下部分130bおよび上部分131bを有する別の二部型電極とをさらに含み得る。電極の下部分130aおよび131bは、1つの導電層から形成され得る。電極の上部分131aおよび131bは、電極の下部分130aおよび130bの上の別の導電層から形成され得る。ヒンジ支柱121aおよび121bは、制御ライン311に接続され、二部型電極130aまたは131aは、制御ライン312に接続され、二部型電極130bまたは131bは、制御ライン313に接続される。制御ライン311、312および313の電位は、コントローラ350によって提供された外部電気信号によって別個に制御され得る。ミラープレート110と二部型電極130a、131aまたは二部型電極130b、131bとの間の電位差は、ミラープレート110を傾斜させ得る静電トルクを生成し得る。適切なマイクロミラーデバイスは、米国特許第2005−0128564号、「High Contrast Spatial Light Modulator and Method」(2004年10月26日出願)、ならびに米国特許出願第11/470,568号、「Spatial Light Modulator Multi−layer Mirror Plate」(2006年9月6日出願)にさらに記載されており、これらは、あらゆる目的のために、本明細書に参考のために援用される。
【0045】
図3および図4Aを参照すると、コントローラ350は、静電気力を生成することによって、ねじれた細長いヒンジ163aまたは163bによって生成される弾性復元力を征服して無傾斜位置から「オン」位置または「オフ」位置にミラーを傾斜させ得る。静電気力は、弾性復元力に対抗することによって、ミラープレートを「オン」位置または「オフ」位置に保持し得る。無傾斜位置は、「オン」位置および「オフ」位置とは異なり得る。一部の実施形態において、無傾斜位置は、「オン」位置または「オフ」位置と同一でもあり得る。ミラープレート110は、無傾斜位置から基板300に対する傾斜角θonまで一方向に傾斜し得る。ミラープレート110は、入射光330を反射することによって、「オン」方向に移動する反射光340を形成し得、その結果として、反射光340は、表示区域に到達し表示画像を形成し得る。「オン」方向は、典型的には基板300に垂直であり得る。入射角(すなわち、入射光330とミラーの法線方向との間の角度)と反射角(すなわち、反射光340とミラーの法線方向との間の角度)とは同一であるので、入射光330および反射光340は、角度2θonを形成し、該角度は、ミラープレート110の傾斜角θonの2倍である。
【0046】
図4Bを参照すると、ミラープレート110は、基板300に対しても傾斜角θonの向きまで反対方向に、対称的に傾斜し得る。ミラープレート110は、入射光330を反射することによって、「オフ」方向に移動する反射光345を形成し得る。反射光345は、アパーチャ(図5〜7において530)によってブロックされ、光吸収器によって吸収され得る。入射光330に対する入射角は、3θonなので、反射角もまた、3θonであるべきである。従って、「オン」方向の反射光340と「オフ」方向の反射光345との間の角度は、4θonであり、ミラープレート110の傾斜角θonの4倍である。
【0047】
入射光330は、異なる光源、例えばそれぞれが図5および図6に示されるように、レーザー500または発光ダイオード(LED)510によって供給され得る。レーザー500によって発光される入射光は、コヒーレントであり、ミラープレート110による反射の後に、平行なままであり得る。アパーチャ530、レーザー500およびミラープレート110は、「オン」方向に傾斜されたときにミラープレート110によって反射された殆ど全ての反射光340が、アパーチャ530における開口部535を通過するように配列され得る。LED510から発光された入射光330は、通常は非コヒーレントであり、距離が長くなるにつれて発散する傾向にある。アパーチャ530、LED510およびミラープレート110は、「オン」位置のミラープレート110によって反射された光の大部分が、アパーチャ530における開口部535を通過するように配列され得る。例えば、反射光340は、開口部535を介して進み得、一方で、反射光340aおよび340bは、反射光340から離れるように発散し、アパーチャ530によってブロックされる。
【0048】
マイクロミラー100のアレイに基づいた例示的な画像投射システム700が、図7に示される。赤レーザー500a、緑レーザー500bおよび青レーザー500cが、それぞれ赤色レーザービーム330a、緑色レーザービーム330bおよび青色レーザービーム330cを発光する。赤色光330a、緑色光330bおよび青色光330cは、拡散器710a、710bおよび710cを通過することによって、有色光331a、331bおよび331cを形成し得る。拡散器710a、710bおよび710cは、レーザービーム330a、330bおよび330cの大きさを変更し得(例えば、拡張)、かつレーザービーム330a、330bおよび330cをマイクロミラー100のアレイと互換性のある断面形状に形づくり得る。例えば、有色光331a、331bおよび331cは、マイクロミラー100のアレイの形状とより互換性のあり得る、長方形になるように形づくられ得る。有色光331a、331bおよび331cは、次いで(ビーム結合器として機能する)ビーム分割器720a、720bおよび720cによって反射され得、カラーの入射光330へと併合される。カラーの入射光330は、内部全反射(TIR)プリズム740によって反射されることによって、支持部材730上のマイクロミラー100を照明し得る。「オン」位置のミラープレート110によって偏向された反射光340は、TIRプリズム740およびアパーチャ530の開口部535を通過し得、投影システム750によって投影されることによって、表示画像を形成し得る。
【0049】
アパーチャ530、TIRプリズム740およびマイクロミラー100の相対位置は、「オン」方向における殆ど全ての反射光340が開口部535を通過し、「オフ」方向における全ての反射光345がアパーチャ530によってブロックされ得るように、配列され得る。アパーチャ530によってブロックされた反射光340の任意の部分は、表示の輝度における損失である。開口部535を通過する逸脱した任意の反射光535は、表示画像のコントラストを減少させる。反射光340と反射光345との間の角度の広がりが大きいほど、反射光340と反射光345とを分離させて、表示画像における最大の輝度およびコントラストを達成することが容易になる。言い換えると、表示システム700における傾斜角θon(またはθoff)が大きいほど、実質的に全ての反射光345がブロックされ、かつ実質的に全ての反射光340が表示面に到達することによって表示画像を形成するように、反射光340と反射光345とを分離することをが、より容易になる。
【0050】
正の駆動電圧パルス801および負の駆動電圧パルスは、図8において、示されている。ゼロ傾斜角は、水平方向に相当し、該水平方向において、ミラープレート110は、基板300の表面に平行である。正の駆動電圧パルス801は、駆動電圧Vonを含み、図3、図4A,図5、および図6に示されているように、ミラープレート110を「オン」位置に制御するために用いられる。正の電圧パルス801は、ミラープレート110を、図において反時計回りの方向である「オン」方向に、基板の300上部面に対して傾斜角θonまで傾斜させる、静電気力を作り得る。ミラープレート110は、無傾斜状態において弾性復元力は何も受けない。ミラープレート110が傾斜する際に、ミラープレート110は、弾性復元力を受け、該弾性復元力は、細長いヒンジ163aまたは163bのねじれの変形によって作られ、ミラープレート110に時計回りの方向の力を加える。傾斜角が増加する際に、静電気力は幾分か増加するが、弾性復元力は、傾斜角の関数として、静電気力よりもより急速に増加する。弾性復元力が、静電気力と等しくなるときに、ミラープレート110は、最終的には傾斜角θonで、停止する。言い換えると、ミラープレート110は、静電気力とミラープレート110に反対方向に力を加える弾性復元力との間の均衡によって、傾斜角θonで保持される。ミラープレート110は、最初に領域811において平均的な傾斜角θon周辺で振動し、次いで傾斜角θonにおいて一定に留まり得る。
【0051】
同様に、図4Bに示されているように、負の駆動電圧パルス802は、ミラープレート110を「オフ」位置に制御するために用いられる。電圧パルス802は、駆動電圧Voffを含む。電圧パルス802は、静電気力を作ることによって、例えば時計回りの方向に基板300の上部面に対して傾斜角θoffに向かって、ミラープレート110を「オフ」位置に傾斜させ得る。再び、ミラープレートは、無傾斜位置において弾性復元力は何も受けない。傾斜角が増加する際に、弾性復元力は、細長いヒンジ163aまたは163bのねじれの変形によって作られ、反時計回りの方向の力を加える。弾性復元力は、傾斜角の関数として、静電気力よりも急速に増加する。弾性復元力が、静電気力と等しくなるときに、ミラープレート110は、最終的に傾斜角θoffで停止する。ミラープレート110は、負の電圧パルス802によって作られた静電気力と歪んだ細長いヒンジ163aおよび163bによる弾性復元力との間の均衡によって、傾斜角θoffで保持される。ミラープレート110は、最初に領域821において平均的な傾斜角θoff周辺で振動し、次いで傾斜角θoffにおいて一定に留まり得る。図4Aおよび図4Bに示されている構成において、傾斜角θonおよび傾斜角θoffは、等しい大きさを有し得る。負の駆動電圧パルス802が除去された後に、ミラープレート110は、細長いヒンジ163aおよび163bによってゼロ傾斜角(すなわち、水平方向)に弾性的に引き戻され得る。
【0052】
図9および図10を参照すると、接触モードにおける動作に適切なミラープレート1100は、基板300上に機械的な停止部1360aおよび1360bを有している。機械的な停止部1360aおよび1360bは、傾斜したミラープレート1100と接触し、時計回り方向または反時計回り方向の傾斜運動を停止させ得る。ミラープレート110の「オン」位置および「オフ」位置は、ミラープレート110が機械的な停止部1360aおよび1360bと接触するときに定義される。「オン」位置におけるミラープレート110の方向は、反射光340の方向を決定する。マイクロミラー1100はまた、非接触型のマイクロミラー100と同じ多数のコンポーネントを含み得る。一部の実施形態において、機械的な停止部1360aおよび1360bは、導電性であり得る。機械的な停止部1360aおよび1360bは、制御ライン311(図10には図示されず)に接続され得、その結果、機械的な停止部1360aおよび1360bは、コントローラ350からの電気信号によって、ミラープレート110のヒンジ層114と同じ電位に保たれ得る。機械的な停止部1360aおよび1360bとヒンジ層114との等しい電位は、ヒンジ層114と機械的な停止部1360aおよび1360bとの間の中間領域にわたってそれらが接触しているときに電流が流れることを防止し得る。ミラープレート110の電位ならびにミラープレート110に加えられる静電気力は、機械的な停止部1360aおよび1360bとの接触によって妨げられない。
【0053】
本明細書において、マイクロミラー100は、「無接触」マイクロミラーと呼ばれる。マイクロミラー1100は、「接触」マイクロミラーと呼ばれる。「接触」マイクロミラーにおけるミラープレートの傾斜運動は、機械的な停止部によって停止され得る。ミラープレートの「オン」位置および「オフ」位置は、ミラープレートが機械的な停止部と接触しているときのミラープレートの向きによって定義される。対照的に、無接触マイクロミラー100は、ミラープレートの傾斜運動を制限し得る機械的な停止部を含まない。むしろ、ミラープレートの「オン」位置および「オフ」位置は、ミラープレート100および二部型電極130a、131a、130b、131bに加えられた駆動電圧によって制御される。
【0054】
駆動電圧の関数としての、ミラープレートの傾斜角の応答曲線が、図11において示される。ミラープレートの傾斜角は、最初に、駆動電圧の関数として曲線905に沿って徐々に増加する。駆動電圧が増加する際に、傾斜角は、次いで曲線910に沿って急速に増加し、最終的にミラープレートが、スナッピング電圧Vsnapで「スナップ」するが、Vsnapにおいて、傾斜角が増加する際に、弾性復元力は、増加を停止する。傾斜角が増加する際に、静電気力は、増加し続ける。より強力な静電気力と一定な可塑性の復元力との不均衡(図12を参照)は、傾斜角をθmaxまで急激に増加させ、θmaxにおいて、ミラープレートの傾斜運動は、基板上300の機械的な停止部1160aおよび1160bによって停止される(図10を参照)。本明細書において、用語「スナップ」は、ミラープレートに関する不均衡なミラープレートの不安定な状態を指し、ミラープレートは、急速に傾斜し、最終的に固定された別の物体によって停止される。
【0055】
ミラープレートの「スナッピング」は、マイクロミラーの中のヒンジの機械的特性の現れである。図12を参照すると、ミラープレート上の応力は、例えば、ミラープレートと基板上の電極との間の静電気力によって引き起こされ得る。ヒンジの変形は、低い応力の範囲において、曲線1000に沿って応力を増加させる。曲線1000は、応力に対するヒンジの弾性応答を表す。一例示的なマイクロミラーにおいて、ヒンジは、変形D1でスナップする。言い換えると、傾斜角が、D1に対応する傾斜角より上に増加する際に、弾性復元力は、増加を止める。曲線1010は、ヒンジ材料の可塑性領域を表す。曲線1010に対応するヒンジ材料は、図9および図10に示されている接触タイプのマイクロミラー1100に用いられるのに適している。
【0056】
図7に関連して先述したように、非接触マイクロミラーは、表示画像における最適な輝度およびコントラストのために、好適には、例えば約2度、約3度、約4度、約5度またはより大きな傾斜角を有する。大きな「オン」または「オフ」の傾斜角もまた、ミラープレートが傾斜され、次いでヒンジによって弾性的に無傾斜位置に復元され得る幅広い角度の範囲を必要とする。図12は、D2>D1の変形において弾性応答曲線1000から可塑性応答曲線1020に移行する、別の例示的なマイクロミラーを示す。マイクロミラーは、弾性的なヒンジの変形に対してより幅広い範囲を有し、従って、非接触ミラープレート100の適用により適している。D2とD1との間の違いは、(図14に示される)ミラープレート110および1100の材料の構成の違いに起因し得る。対照的に、接触マイクロミラー1100は、弾性的なヒンジの変形に対して狭い範囲を有し得、その結果として、比較的に小さな駆動電圧が、ミラープレートをスナップさせ得ることによって、該プレートを機械的な停止部に接触させる。可塑性の曲線1010に対応するマイクロミラーは、従って、接触マイクロミラーにより適している。マイクロミラー100の中の「非接触」マイクロミラーに対して適しているヒンジ材料の一例は、窒化チタンアルミニウムであり、これは、約0〜15%の範囲、または0〜10%の範囲、ならびにアルミニウムおよびチタンに対する組成とほぼ等しい範囲の窒素の組成を有する。窒化チタンアルミニウムの組成物から作られたヒンジ材料に対する一例は、Al48%Ti48%N4%である。アルミニウム銅合金は、接触マイクロミラー1100に対するヒンジ材料により適切である。例示されたアルミニウム銅合金は、90%の銅と10%のアルミニウムとを含み得る。
【0057】
図11に戻って参照すると、マイクロミラー1100におけるマイクロミラープレート110が傾斜角θmaxでスナップした後に、駆動電圧が減少する際に、ミラープレートは、最初に、ライン915によって示される駆動電圧の範囲内で機械的な停止部1160aおよび1160bと接触したままでいる。ヒンジが弾性領域に戻り、弾性を復元し、機械的な停止部1160aまたは1160bでの静止摩擦を越えた後に、ミラープレート1100は、駆動電圧が、ライン920と交差するとき、最終的に応答曲線905に沿って元の方向に傾斜する。曲線905、910およびライン915、920によって表された履歴現象は、接触マイクロミラー100の共通の特性である。非接触マイクロミラー100に対する動作可能な窓は、ミラープレートの弾性領域における曲線905に沿っている。ミラープレートは、駆動電圧Vonによって傾斜角θonまたはθoffにおいて傾斜または保持され得る。静電気力が除去された後に、ミラープレート110は、同一の応答曲線905に沿って、ヒンジ163aおよび163bによって元の位置に弾性的に復元され得る。本明細書中に開示された非接触マイクロミラー100と関連した実質的な履歴現象は、何もない。
【0058】
図13は、異なる材料組成物を有するヒンジに対する駆動電圧の関数としての、ミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示する。正規化された駆動電圧は、単にミラースナッピング電圧によって分割された駆動電圧である。異なる材料組成物を有するヒンジに対するミラープレート傾斜角は、正規化した駆動電圧の関数として、異なる曲線1105に沿って上昇し得る。傾斜角は、AlCuから作られたヒンジに対するものよりも、TiNi合金、AlTiN化合物、およびAlTi合金から作られたヒンジに対して、より高い。非接触マイクロミラーに対して適切な上述のヒンジ材料は、以下の例示的な組成物を含み得る。すなわち、TiNi合金に対するTi50%Ni50%、AlTiN化合物に対するAl48%Ti48%N4%、AlTi合金に対するAl50%Ti50%である。AlCu合金は、接触マイクロミラーにより適切である。AlCu合金は、約70%〜95%のアルミニウム、または90%のアルミニウムと10%の銅とを含み得る。
【0059】
上述のように、複数のミラープレートは、曲線1105によって定義された角度範囲に傾斜され得、それぞれの無傾斜位置へと弾性的に復元される。曲線1105に対して利用可能な傾斜角の範囲は、その中で非接触マイクロミラーが動作するのだが、図示された3つの材料の組成物に対して異なる。図13に図示された特定の実施例において、TiNi合金で作られたヒンジは、非接触ミラープレートが、他の2つのヒンジの材料組成物よりもより幅広い角度範囲において傾斜かつ弾性的に復元することを可能にする。AlCuで作られたヒンジは、接触ミラープレートが弾性復元力を克服し、機械的な停止部に素早く戻ることを可能にする。
【0060】
マイクロミラーと互換性のあるヒンジ材料は、例えばチタン、金、銀、ニッケル、鉄、コバルト、銅、アルミニウム、窒素、および酸素のような様々な材料を含み得る。ヒンジは、TiNiによって作られ得、ここでは、チタンの組成は、約30%〜70%の間、または約40%〜60%の間、または約45%〜55%の間であり得る。ヒンジは、AlTiから作られ得、ここでは、チタンの組成は、約30%〜70%の間、または約40%〜60%の間、または約45%〜55%の間であり得る。「非接触」マイクロミラーに対する適当なヒンジ材料は、窒化チタンアルミニウムを含み得、これは、約0〜10%の間、または0〜15%の間の窒素の組成を有し、アルミニウムおよびチタンに対する組成とほぼ等しい窒素の組成を有する。窒化チタンアルミニウムから成るヒンジ構成要素は、他の素子は実質的に含んでおらず(この文脈において、実質的に含んでいないとは、他の素子が、製造工程で一定の痕跡量として存在し得ることを意味する)、特に、酸素は実質的に含み得ない。
【0061】
図14を参照すると、3つの異なる材料である、材料1、材料2および材料3から作られたヒンジを有するミラープレートの傾斜角は、最初に同一の曲線1205に沿って徐々に上昇し得る。ヒンジの材料1、材料2および材料3に対するスナップ電圧のVsnap1、Vsnap2およびVsnap3は、異なり、Vsnap1<Vsnap2<Vsnap3となり得る。ヒンジの3つの材料に対応する非接触の傾斜角θon1、θon2およびθon3に対する動作可能な窓もまた異なり、θon1<θon2<θon3である。図14に図示された実施例において、材料3は、非接触マイクロミラーのためのヒンジ材料としてより好まれる。なぜなら、ミラープレートの傾斜および無傾斜位置への復元に対して最も大きな角度範囲を提供し得るからである。例えば、材料3で作られたヒンジは、無傾斜位置に対して2度、3度または4度の第1の向きからミラープレートを弾性的に復元し得る。材料1は、図9および図10に示されているマイクロミラー1100のような接触マイクロミラーにより適切である。
【0062】
上述の方法は、接触マイクロミラーおよび非接触マイクロミラーに適切なヒンジ材料を選択するために用いられ得る。比較的低い弾性定数を有するヒンジ材料は、接触マイクロミラーに対して選択され得る。ミラープレートを傾ける静電気力は、ヒンジの弾性復元力を容易に克服し得るので、ミラープレートは、機械的な停止部に接触するように容易に傾けられ得、「オン」および「オフ」のミラー位置が、定義され得る。比較的高い弾性定数を有するヒンジ材料は、非接触マイクロミラーに対して選択され得、弾性復元力が静電気力と均衡し、「オン」および「オフ」のミラー位置を定義する傾斜角でマイクロミラーを保つことが可能になる。弾性復元力はまた、静電気力が減少または除去された後に、傾いたミラープレートを無傾斜位置に戻し得る。
【0063】
上述のマイクロミラーは、基板上の傾斜可能なミラープレートの簡素化された構造および傾斜可能なミラープレートを駆動するための方法を提供する。傾斜可能なミラープレートは、コントローラによって提供された電気信号に応答して、所定の角度に傾斜および保持され得る。傾斜したミラープレートを停止させ、ミラープレートの傾斜角を定義するための機械的な停止部は、基板上またはミラープレート上には何も必要ではない。機械的な停止部をなくすことは、マイクロミラーデバイスを簡素化するだけではなく、従来のミラーデバイスにおいてミラープレートと機械的な停止部との間に存在することが公知の静止摩擦を除去する。本明細書中に記述のミラープレートデバイスは、従来のデバイス中のミラープレートよりも、より狭い角度に傾斜し得る。より少ないミラープレートの傾斜は、ミラープレートが回転するヒンジに対して、より少ない歪みで済み得る。そのようなデバイスは、機械的な故障をする可能性は、より少なくあり得る。従って、デバイスの実用的な寿命は、より長くあり得る。さらに、ヒンジは、従来のデバイスほど回転することを要求されないので、ヒンジの構成に対して、遥かに多様な材料が選択され得る。その上に、ミラープレートは、より小さな角度の偏向を受けるので、より高い周波数で動作し得る。
【0064】
開示の方法は、マイクロミラーの他の構成と互換性があることが理解される。上述されたものとは異なる材料が、ミラープレートの様々な層、ヒンジ接続柱、ヒンジ支持柱、電極および電気的な停止部を形成するために用いられ得る。電極は、図において示されるように、いくつかのステップを含み得、または導電材料の単一層を含み得る。ミラープレートは、異なる形状、例えば、長方形、六角形、ひし形または八角形などであり得る。駆動電圧パルスは、異なる波長および極性を含み得る。表示システムは、本発明の精神から逸脱することなく、光路のための異なる構成および設計を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、非接触モードにおける動作に適切なマイクロミラーの斜視図である。
【図2】図2は、図1のマイクロミラーの分解図である。
【図3】図3は、図1のマイクロミラーの側面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、「オン」方向および「オフ」方向のそれぞれにおける、傾斜したミラープレートによる入射光の反射を例示する。
【図5】図5は、傾斜したミラープレートによる、レーザーによって発光された入射光の反射を例示する。
【図6】図6は、傾斜したミラープレートによる、発光ダイオードによって発光された入射光の反射を例示する。
【図7】図7は、マイクロミラーを含む画像投影システムの配列を例示する。
【図8】図8は、駆動電圧パルスの時間のプロファイルおよびミラープレートにおける結果の傾斜角を例示する。
【図9】図9は、接触モードにおける動作に適切なマイクロミラーの斜視図である。
【図10】図10は、図9のマイクロミラーの側面図である。
【図11】図11は、接触および非接触マイクロミラーに対する駆動電圧の関数としてミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示するグラフである。
【図12】図12は、応力と伸びのプロット図で非接触および接触マイクロミラーの動作領域を例示するグラフである。
【図13】図13は、異なる材料の組成物を有するヒンジの構成要素に対する正規化された駆動電圧の関数として、ミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示するグラフである。
【図14】図14は、異なる材料の組成物を有するヒンジの構成要素に対する駆動電圧の関数として、ミラープレートの傾斜角の応答曲線を例示するグラフである。
【符号の説明】
【0066】
100 マイクロミラー
110 ミラープレート
120a、120b ヒンジ構成要素
121a、121b ヒンジ支柱
300 基板
350 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロミラーデバイスであって、
基板によって支持されているヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【請求項2】
前記ヒンジは、前記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有している、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項3】
前記ヒンジは、前記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項4】
前記ヒンジは、前記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項5】
前記ヒンジは、前記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項6】
前記ヒンジは、前記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項7】
前記ヒンジは、前記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項8】
前記ヒンジは、前記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項9】
前記ヒンジは、前記基板の前記表面に対して4度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項8に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項10】
前記基板の前記表面に対して2度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項11】
前記基板の前記表面に対して4度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項12】
前記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、前記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項13】
前記ヒンジは、前記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
請求項12に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項14】
マイクロミラーデバイスであって、
基板上のヒンジ支持柱と、
該ヒンジ支持柱に接続されたヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【請求項15】
前記ミラープレートは、前記ヒンジを含むヒンジ層を備えており、
該ヒンジ層は、該ヒンジと実質的に同じ材料を含んでいる、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項16】
前記ヒンジは、前記ミラープレートの下表面における空洞の中に少なくとも部分的に延びている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項17】
前記ヒンジは、前記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
アルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有しており、
窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項18】
前記ヒンジは、前記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項19】
前記チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項18に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項20】
前記ヒンジは、前記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項21】
前記チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項20に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項22】
前記ヒンジは、前記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項23】
前記ヒンジは、前記基板の前記表面に対して3度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項22に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項24】
前記基板の前記表面に対して2度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項25】
前記基板の前記表面に対して3度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項26】
前記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、前記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項27】
前記ヒンジは、前記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
請求項26に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項1】
マイクロミラーデバイスであって、
基板によって支持されているヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【請求項2】
前記ヒンジは、前記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおけるアルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有している、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項3】
前記ヒンジは、前記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
該窒化チタンアルミニウムにおける窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項4】
前記ヒンジは、前記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項5】
前記ヒンジは、前記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項6】
前記ヒンジは、前記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項7】
前記ヒンジは、前記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項8】
前記ヒンジは、前記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項9】
前記ヒンジは、前記基板の前記表面に対して4度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項8に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項10】
前記基板の前記表面に対して2度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項11】
前記基板の前記表面に対して4度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項12】
前記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、前記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項13】
前記ヒンジは、前記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
請求項12に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項14】
マイクロミラーデバイスであって、
基板上のヒンジ支持柱と、
該ヒンジ支持柱に接続されたヒンジと、
該ヒンジを中心として傾斜可能なミラープレートと
を備え、
該ヒンジは、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンニッケル合金、約30%〜70%の間のチタンの組成を有するチタンアルミニウム合金、約5%〜20%の間の銅の組成を有するアルミニウム銅合金、および約0%〜15%の間の窒素の組成を有する窒化チタンアルミニウムから構成されるグループから選択される材料を含む、
マイクロミラーデバイス。
【請求項15】
前記ミラープレートは、前記ヒンジを含むヒンジ層を備えており、
該ヒンジ層は、該ヒンジと実質的に同じ材料を含んでいる、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項16】
前記ヒンジは、前記ミラープレートの下表面における空洞の中に少なくとも部分的に延びている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項17】
前記ヒンジは、前記窒化チタンアルミニウムを含んでおり、
アルミニウムおよびチタンは、ほぼ等しい組成を有しており、
窒素の組成は、約0%〜10%の間である、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項18】
前記ヒンジは、前記チタンニッケル合金を含んでおり、
該チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項19】
前記チタンニッケル合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項18に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項20】
前記ヒンジは、前記チタンアルミニウム合金を含んでおり、
該チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約40%〜60%の間である、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項21】
前記チタンアルミニウム合金におけるチタンの組成は、約45%〜55%の間である、
請求項20に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項22】
前記ヒンジは、前記基板の表面に対して2度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項23】
前記ヒンジは、前記基板の前記表面に対して3度以上の第1の向きから、該基板と実質的に平行な第2の向きまで、前記ミラープレートを弾性的に復元するように構成されている、請求項22に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項24】
前記基板の前記表面に対して2度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項25】
前記基板の前記表面に対して3度以上の向きに前記ミラープレートを保持するように、電気信号を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項26】
前記基板上の機械的な停止部をさらに備えており、
該機械的な停止部は、前記ミラープレートの傾斜運動を停止させるように、該ミラープレートに接触するように構成されている、
請求項14に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項27】
前記ヒンジは、前記アルミニウム銅合金を含んでおり、
該アルミニウム銅合金におけるアルミニウムの組成は、約70%〜95%の間である、
請求項26に記載のマイクロミラーデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−112169(P2008−112169A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279643(P2007−279643)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(506141557)スペイシャル フォトニックス, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(506141557)スペイシャル フォトニックス, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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