説明

ビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸

本発明は、式(I)(式中、R、R、R、R、m、n、pおよびsは、明細書および特許請求の範囲に規定される如くである)の化合物、およびその製薬上許容しうる塩、ならびにその医薬組成物に関する。化合物は、糖尿病のようなグリコーゲンシンターゼ酵素の活性化に関連する疾患の治療および/または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸およびそれらの製薬上許容しうる塩、それらの製造法、ならびに薬剤としてのビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸およびそれらの製薬上許容しうる塩の使用に関し、より具体的に言えば、糖尿病、特に2型糖尿病の処置または予防のための薬剤としてのビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸およびそれらの製薬上許容しうる塩の使用に関する。更に、本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0002】
詳細に言えば、本発明は、式(I)
【化11】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
pは、0、1または2であり;及び
sは、0、1または2であり;
ただし、
a)Arがフラニルであるときには、pおよびsはゼロであり、そして化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、そして
c)Arがチオフェニルであるときには、化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない)
の新規なビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸、又はそれらの製薬上許容しうる塩化合物に関する。
【0003】
式Iの化合物は、糖尿病、特に2型糖尿病の治療および予防に有用であることが分かった。
【0004】
糖尿病は、ありふれた重い疾患であり、米国では1千万人の人達を冒して(Harris,M.I.Diabetes Care 1998 21 (3S) Supplement,11C)、彼らを発作、心臓病、腎臓障害、失明、切断の危険の増大した状態にさらしている。糖尿病は、インスリン分泌の減少および/またはインスリンに応答する抹消組織の能力の低下によって特徴づけられ、血漿グルコース濃度の上昇をもたらす。糖尿病の発生率は増加しており、その増加は肥満症や座りきりの生活が増えていることに関連している。インスリン依存性および非インスリン依存性の2つの型の糖尿病があり、そして糖尿病患者の大半は2型糖尿病または非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)として知られる非インスリン依存型の疾患をかかえている。深刻な事態のために、糖尿病をコントロールすることが緊急に要望されている。
【0005】
NIDDMの治療は、一般的には、体重の減少、健康的な食事療法、および運動プログラムから開始する。しかしながら、これらの因子は、疾患をコントロールすることができない場合が多く、そしてインスリン、メトホルミン、スルホニル尿素、アカルボ−ス(acarbose)、チアゾリジンジオンを含む多数の薬剤治療が利用可能である。これらの治療の各々は欠点を有しており、糖尿病を治療するための新規な薬剤が絶えず要望されている。
【0006】
メトホルミンは、空腹時血漿グルコース濃度を低下させ、かつ、主としてグリコーゲン合成の増加によって抹消組織のインスリン感性を増進させる有効な薬剤である[De Fronzo,R.A.Drugs 1999,58 Suppl.1,29]。また、メトホルミンは、LDLコレステロールおよびトリグリセリドのレベルの低下をもたらす[Inzucchi,S.E.JAMA 2002,287,360]。しかし、それは、数年間にわたるとその有効性を失う[Turner,R.C.etal.JAMA 1999,281,2005]。
【0007】
チアゾリジンジオンは、核レセプターペルオキシソーム−プロリフェレーター活性化レセプター−ガンマの活性剤である。それらは血糖濃度を下げるのに有効であり、そしてそれらの効能は主に骨格筋におけるインスリン耐性の低下によりものとされてきた[Tadayyon,M.and Smith,S.A.Expert Opin. Investig.Drugs 2003,12,307]。チアゾリジンジオンの使用に関連する1つの欠点は体重の増加である。
【0008】
スルホニル尿素は、膵臓ベータ細胞のスルホニル尿素レセプターに結合し、インスリン分泌を刺激し、その結果として血糖濃度を下げる。また、スルホニル尿素の使用にも体重の増加が伴い[Inzucchi,S.E.JAMA 2002,287,360]そしてメトホルミンと同様に、それらは時間の経過と共に効能を失う[Turner,R.C.etal.JAMA 1999,281,2005]。スルホニル尿素で治療した患者がしばしば遭遇する更なる問題は低血糖である[Salas,M. and Caro,J.J.Adv.Drug React.Tox.Rev.2002,21,205-217]。
【0009】
アカルボースは、腸内においてニ糖類および複雑な炭水化物を分解する酵素α−グルコシダーゼの抑制薬である。それはメトホルミンまたはスルホニル尿素よりも低い効能を有し、そしてそれは腸内の不快や下痢を引き起こし、その使用の中止に至る場合がしばしばある[Inzucchi,S.E.JAMA 2002,287,360]。
【0010】
これらの治療のどれも、重い副作用を引き起こさずに長期間にわたって有効のものではないので、2型糖尿病の治療のための新規な薬剤が要望されている。
【0011】
骨格筋および肝臓には、2つの主なグルコースの利用経路、すなわち、グルコースがピルビル酸塩に酸化される糖分解または酸化的代謝;と、グルコースが重合体形態のグリコーゲンに蓄積されるグリコーゲン合成またはグルコース蓄積とが存在する。グリコーゲンの合成におけるキーの工程は、成長するグリコーゲン鎖へのグルコース誘導体UDP−グルコースの付加であり、そしてこの工程は酵素グリコーゲンシンターゼによって触媒作用を受ける[Cid,E.etal.J.Biol.Chem.2000,275,33614]。肝臓[Bai,G.et al.J.Biol.Chem.1999,265,7843]や筋肉を含む他の抹消組織[Browner,M.F. et al.Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.1989,86,1443]には2つのグリコーゲンシンターゼのアイソフォームが存在する。2型糖尿病にはグリコーゲンシンターゼと関係がある臨床的および遺伝学的な証拠が存在する。糖尿病患者からの筋肉細胞では基礎およびインスリン刺激グリコーゲンシンシターゼ活性の両方が、細身の非糖尿病患者からの細胞におけるよりも有意に低かった[Henry,R.R.et al.J.Clin.Invest.1996,98,1231-1236;Nikoulina,S.E.et al.J.Clin.Enocrinol.Metab.2001,86,4307-4314]。更に、いくつかの研究では、グリコーゲン濃度が、糖尿病患者においては対照患者におけるよりも低いことが示されてきた[Eriksson,J.et al.N.Engl.Med.1989,331,337; Schulman,R.G.et al. N.Engl.J.Med.1990,332,223; Thorburn,A.W.et al. J.Clin.Invest.1991,87,489]。加えて、遺伝子研究では、2型糖尿病と、グリコーゲンシンターゼの筋アイソフォームを記号化するGYSI遺伝子の突然変異との間の幾つかの個体群における関連が示された[Orhu-Melander,M.et al.Diabetes 1999,48,918]。
【0012】
グリコーゲンシンターゼは、少なくとも9つの部位において燐酸化を伴う複雑な調節を受けやすい[Lawrence,J.C.Jr. and Roach,P.J.Diabetes 1997,46,541]。脱燐酸型の酵素が活性である。グリコーゲンシンターゼは多数の酵素によって燐酸化され、多数の酵素の中でグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)が最良であると理解され[Tadayyon,M. and Smith,S.A.Expert Opin.Investig.Drugs 2003,12,307]、そしてグリコーゲンシンターゼはプロテインホスファターゼタイプI(PPI)およびプロテインホスファターゼタイプ2A(PP2A)によって脱燐酸化される。加えて、グリコーゲンシンターゼは、酵素の配坐の変化(これは、それをプロテインホスファターゼによる酵素の活性形態への脱燐酸化をより受け易くする)を引き起こすことによってグリコーゲンシンターゼの活性をアロステリックとして刺激する内生的配位子のグルコース−6−ホスフェートによって調節される[Gomis,R.R.et al.J.Biol.Chem.2002,277,23246]。
【0013】
血糖値を低下させる際のインスリンの効果について幾つかのメカニズムが提案されており、これらの各々はグルコースをグリコーゲンとして蓄積する際の増加をもたらしている。第一に、グルコース摂取は、グルコース輸送体GLUT4の漸増によって増大されて原形質膜になる[Holman,G.D. and Kasuga,M.Diabetologia 1997,40,991]。第二に、グリコーゲンシンターゼのアロステリック活性剤であるグルコース−6−ホスフェートの濃度が増大する[Villar-Palasi,C.and Guinovart,J.J.FASEB J.1997,11,544]。第三に、インスリン受容体のチロシンキナーゼ活性から始まるキナーゼカスケードが、GSK3βの燐酸化および不活性化を生じ、これによってグリコーゲンシンターゼの失活を防止する[Cohen,P.Biochem.Soc.Trans.1993,21,555; Yeaman,S.J. Biochem.Soc.Trans.1993,29,537]。
【0014】
糖尿病患者ではグリコーゲンシンターゼの活性の有意の低下が見られたので、かつ、グルコース利用でのその重要な役割のために、酵素グリコーゲンシンターゼの活性化は、2型糖尿病の治療のための治療上の見込みを支えている。酵素の唯一の公知のアロステリック的活性剤は、グルコース−6−ホスフェート[Leloir,L.F.et al.Arch,Biochem.Biophys.1959,81,508]、およびグルコサミン−6−ホスフェート[Virkamaki,A.and Yki-Jarvinen,H.Diabetes 1999,48,1101]である。
【0015】
簡単に言えば、本明細書中に記載する通りのビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸は、グリコーゲンシンターゼ活性剤であることが分かった。従って、本発明の化合物は、2型糖尿病および/または障害を受けた糖耐性、ならびにグリコーゲンシンターゼ酵素の活性化が治療上の利点を与えるその他の症状の治療および/または予防のために有用である。
【0016】
幾つかのビアリールオキシメチルアレーンカルボン酸が当技術分野において公知である。しかし、これらの公知化合物のどれも、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患の治療に、またはグリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患の治療のための医薬組成物に関連づけられてきていない。WO9740017(Andersen,H.S. et al.)は、SH2抑制薬の合成における中間体として3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸への構造および合成経路を開示している。DE2842243(Winkelmann,E.et al.,)は、血中脂肪低下薬としての5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸を開示している。DE4142514(Mueller,T.et al.)は、殺カビ剤としての2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸を開示している。
【0017】
次の化合物は、カリフォルニア州サンディゴのChemBridge Corporation、またはカリフォルニア州サンディゴのChwmDiV,Inc.から市販されている。それらは、使用効果を報告していない。
【0018】
【表1】

【0019】
本発明の1つの面によれば、式(I)
【0020】
【化12】

【0021】
(式中、R、R、R、R、n、m、pおよびsは下に規定される如くである)の化合物が提供される。
【0022】
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩と、製薬上許容しうる担体および/または補助剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0023】
本発明の更なる態様によれば、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化に関連する疾患を治療または予防する方法であって、その治療を必要とする患者に対して治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0024】
本発明のこれらのおよび他の特徴、面および利点は、以下の説明および請求の範囲を参照すると更によく理解されるものと思う。
【0025】
他の方法で示さない場合には、次の定義は、本明細書中で本発明を説明するのに使用される種々の用語の意味および範囲を例示し規定するのに記載される。
【0026】
本明細書では、用語「低級」は、1〜7個好ましくは1〜4個の炭素原子よりなる基を意味するのに使用される。
【0027】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を言い、好ましくはフッ素および塩素を言う。
【0028】
用語「アルキル」は、単独でまたは他の基と組み合わせて、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜16、より好ましくは炭素原子数1〜10の分枝鎖または直鎖の1価飽和脂肪族炭化水素基を言う。
【0029】
アルキル基は、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、NH、N(H、低級アルキル)および/またはN(低級アルキル)で置換されることができる。非置換アルキル基が好ましい。
【0030】
用語「低級アルキル」は、単独でまたは他の基と組み合わせて、炭素原子数1〜7、好ましくは炭素原子数1〜4の分枝鎖または直鎖の1価アルキル基を言う。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどのような基によって更に例示される。低級アルキル基は、場合により、用語「アルキル」に関連して先に記載したような置換関係を有してもよい。非置換低級アルキル基が好ましい。
【0031】
用語「アルコキシ」は、基R’−O−(ここで、R’はアルキルである)を言う。用語「低級アルコキシ」は、基R’−O−(ここで、R’は低級アルキルである)を言う。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシおよびヘキシルオキシである。アルコキシおよび低級アルコキシ基は、場合により、用語「アルキル」に関連して先に記載したような置換関係を有してもよい。非置換アルコキシおよび低級アルコキシ基が好ましい。
【0032】
用語「アミノ酸」は、天然アミノ酸、それらのエナンチオマー、および非天然アミノ酸の両方を言う。天然アミノ酸としては、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リシン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、およびバリン(Val)が挙げられる。非天然アミノ酸としては、アゼチジンカルボン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノイソ酪酸、2,2’−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、およびピペコリン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
用語「アリール」は、好ましくは5〜6個の炭素原子を有する芳香族炭素環式または複素環式環あるいは環系を言う。アリール基の例としては、フェニル、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、チアゾリル、およびオキサゾリルが挙げられ、これらは、場合により、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、CN、CF、ヒドロキシ、NO、NH、N(H、低級アルキル)および/またはN(H、低級アルキル)によって一−または多置換されることができる。好ましい置換基は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、および/またはNOである。
【0034】
用語「複素環」は、窒素、酸素および/または硫黄から選ばれる1、2または3個の原子を含むことができる5−または6−員環を指し、例えば、テトラヒドロピリジン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、フリル、ピロリル、ピリジル、1,2−、1,3−および1,4−ジアジニル、チエニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはイミダゾリルを言う。複素環基は、場合により、アリール基で置換されてもよく、または、用語「アリール」に関連して先に記載したような置換関係を有してもよい。
【0035】
用語「製薬上許容しうる塩」は、式(I)の化合物と、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、燐酸、ホスホン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような無機または有機酸との塩であって、生きている生物に対して無毒性のものを包含する。酸との好ましい塩は、ギ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、およびメタンスルホン酸塩である。
【0036】
また、この用語は、アルカリおよびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム);アンモニウム;または、有機陽イオン、例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアンモニウムなどのような有機および無機陽イオンを有するカルボン酸塩も包含する。上記の用語によって包含される他の陽イオンとしては、プロカイン、キニンおよびN−メチルグルコサミンのプロトン化形態、ならびにグリシン、オルニシン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リシンおよびアルギニンのような塩基性アミノ酸のプロトン化形態が挙げられる。
【0037】
用語「脱離基」は、反応中に離脱または置換される基を言う。脱離基の例は、ハロゲン、メシレートおよびトシラートである。
【0038】
詳細に言えば、本発明は、式(I)
【0039】
【化13】

【0040】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
pは、0、1または2であり;
sは、0、1または2であり;
ただし、
a)Arがフラニルであるときには、pおよびsはゼロであり、そして本化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、本化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、
c)Arがチオフェニルであるときには、本化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない)
の化合物、またはその製薬上許容しうる塩に関する。
【0041】
別の態様では、本発明は、式(Ia)
【0042】
【化14】

【0043】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2であり;
ただし、
a)Arがフラニルであるときには、pはゼロであり、そして本化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、本化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、
c)Arがチオフェニルであるときには、本化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない)
の化合物、またはその製薬上許容しうる塩に関する。
【0044】
好ましい態様では、本発明は、式(I)または式(Ia)において、R、RおよびRが水素原子である化合物に関する。
【0045】
別の好ましい態様では、本発明は、先に規定した式(I)または式(Ia)において、R4がヒドロキシル基である化合物に関する。
【0046】
加えて、先に規定した式(I)または式(Ia)において、R4が窒素原子を介して結合したプロリンである化合物は、本発明の別の好ましい態様を表す。
【0047】
式(I)または式(Ia)において、Arがアリール、好ましくはフェニル基である化合物は、本発明の別の好ましい態様を表す。
【0048】
本発明の別の好ましい態様は、先に規定した式(I)または式(Ia)において、Arがフラニルである化合物に関する。
【0049】
本発明の更に別の好ましい態様は、先に規定した式(I)または式(Ia)において、Arがチオフェニルである化合物に関する。
【0050】
本発明のなお更に別の好ましい態様は、先に規定した式(I)または式(Ia)において、Arがチアゾリルである化合物に関する。
【0051】
式(I)または式(Ia)の化合物は、本発明の好ましい態様を表し、そして式(I)または式(Ia)の化合物の製薬上許容しうる塩も個々に本発明の好ましい態様を表す。
【0052】
一般式(I)または式(Ia)の好ましい化合物は、
3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸;
6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;
4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸;
(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸;および
1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸、
からなる群より選ばれるものである。
【0053】
本発明における一般式(I)または式(Ia)の化合物は、in vivoで親化合物に転化して戻すことができる誘導体を提供するための官能基で誘導体化しうることが認められよう。
【0054】
一般式(I)または式(Ia)の化合物は、以下に挙げる方法によって、実施例に挙げる方法によって、または同様の方法によって製造することができる。個々の反応工程に適切な反応条件は、当業者には知られている。出発原料は市販されているか、または以下もしくは実施例に挙げる方法に類似した方法によって、あるいは当技術分野に知られた方法によって製造することができる。
【0055】
1つの態様では、本発明は、式I(または式Ia)の化合物の製造法であって、式(II)
【0056】
【化15】

【0057】
(式中、R、R、mおよびnは先に規定される如くである)
の化合物を、塩基の存在下に式(III)
【0058】
【化16】

【0059】
(式中、Ar、R3、pおよびsは先に規定される如くであり、LGはクロロ、ブロモまたはヨードのような脱離基を表し、R5は保護基を表す)の化合物と反応させ、その後に保護基を開裂して式(I)
【0060】
【化17】

【0061】
(式中、Rはヒドロキシを表し、Ar、R〜R3、m、n、pおよびsは先に規定される如くである)を化合物を得、そして
場合により、この化合物をEDCおよびDMAPの存在下にアミノ酸のエステルと反応させ、その後にエステル基を開裂して式I(式中、Rはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸である)の化合物を得ることを含む製造法に関する。
【0062】
別の態様では、本発明は、次の化合物、
S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2カルボン酸、
3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、
2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸、および
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸、
を製造しないことを条件とする上記の方法に関する。
【0063】
先に記載したように、本発明の式(I)または式(Ia)の化合物は、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患の治療および/または予防のために医薬として使用することができる。好ましくは、本発明の化合物は2型糖尿病を治療するのに使用することができる。
【0064】
従って、本発明は、先に規定した化合物と、製薬上許容しうる担体および/または補助剤とを含む医薬組成物にも関する。
【0065】
1つの態様では、本発明は、式(I)
【0066】
【化18】

【0067】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩と、製薬上許容しうる担体および/または補助剤とを含む医薬組成物に関する。
【0068】
好ましい態様では、本発明は、式(Ia)
【0069】
【化19】

【0070】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩と、製薬上許容しうる担体および/または補助剤とを含む医薬組成物に関する。
【0071】
別の好ましい態様では、本発明は、式(I)
【0072】
【化20】

【0073】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2であり;
ただし、
a)Arがフラニルであるときには、pはゼロであり、そして本化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、本化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、
c)Arがチオフェニルであるときには、本化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない)
の化合物、またはその製薬上許容しうる塩を含む医薬組成物に関する。
【0074】
更に好ましい態様では、本発明は、式(I)において、
Arが芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRが水素原子であり;
4が、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nが0、1、2、3、4または5であり;
mが0、1、2、3または4であり;及び
pが0、1または2である、
化合物、またはその製薬上許容しうる塩と、製薬上許容しうる担体および/または補助剤とを含む医薬組成物に関する。
【0075】
別の好ましい態様では、本発明は、上記の式(I)において、nが1であり、Rがメチル基、メトキシ基、ハロゲンおよびニトロ基からなる群より選ばれる化合物を含む医薬組成物に関する。
【0076】
特に好ましいものは、上記の式(I)において、nが1であり、Rが塩素または臭素である化合物を含む医薬組成物である。
【0077】
別の好ましい態様では、本発明は、上記の式(I)において、mが1であり、R2が塩素原子である化合物を含む医薬組成物を指向する。
【0078】
更に好ましい態様では、本発明は、上記の式(I)において、pが0である化合物を含む医薬組成物を指向する。
【0079】
別の好ましい態様では、本発明は、上記の式(I)において、Arがフェニル、フラニル、チオフェニル、ピリジニルおよびチアゾリルからなる群より選ばれる化合物を含む医薬組成物を指向する。
【0080】
なお別の好ましい態様では、本発明は、上記の式(I)において、Rがヒドロキシル基である化合物を含む医薬組成物を指向する。
【0081】
更に好ましい態様では、本発明は、上記の式(I)において、Rが窒素原子を介して化合物に結合したプロリンである化合物を含む医薬組成物を指向する。
【0082】
特に好ましい態様では、本発明は、上記式(I)の化合物において該化合物が、
3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸;
6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;
4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−L−ピロリジン−2−カルボン酸;
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸;
(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸;および
1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸、
からなる群より選ばれるものを含む医薬組成物を指向する。
【0083】
更に、1つの態様では、本発明は、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防する方法であって、その治療を必要とする患者に対して、治療上有効量の次の式(I)
【0084】
【化21】

【0085】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩を投与することを含む方法に関する。
【0086】
好ましい態様では、疾患は糖尿病である。
【0087】
別の態様では、本発明は、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防する方法であって、その治療を必要とする患者に対して、治療上有効量の次の式(Ia)
【0088】
【化22】

【0089】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩を投与することを含む方法に関する。
【0090】
好ましい態様では、本発明は、糖尿病を治療または予防する方法であって、その治療を必要とする患者に対して、治療上有効量の次の式(Ia)
【0091】
【化23】

【0092】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩を投与することを含む方法に関する。
【0093】
別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための、式(I)
【0094】
【化24】

【0095】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩に関する。
【0096】
好ましい態様では、本発明は、薬剤として使用するための、式(Ia)
【0097】
【化25】

【0098】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩に関する。
【0099】
更なる態様では、本発明は、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防するための薬剤の調製のための、式(I)
【0100】
【化26】

【0101】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩の使用に関する。
【0102】
好ましい態様では、本発明は、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防するための薬剤の調製のための、式(Ia)
【0103】
【化27】

【0104】
(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩の使用に関する。
【0105】
より好ましくは、本発明は、グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防するための薬剤の調製のための、
3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸;
6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;
4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−L−ピロリジン−2−カルボン酸;
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸;
(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸;および
1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸、
からなる群より選ばれる化合物の使用に関する。
【0106】
好ましい態様では、本発明は、糖尿病を治療または予防するための薬剤の調製のための式(I)の化合物の使用を指向する。
【0107】
式(I)または式(Ia)の化合物、および/またはそれらの製薬上許容しうる塩は、薬剤として、例えば、経腸、腸管外または局所投与のための医薬製剤の形態で使用することができる。それらは、例えば、経口的に、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、ハードおよびソフトゼラチンカプセル、液剤、乳状液または懸濁液の形態で、直腸経由で、例えば坐剤の形態で、腸管外で、例えば注射液または輸液剤の形態で、または、局所的に、例えば軟膏剤、クリームまたはオイルの形態で投与することができる。口径投与が好ましい。
【0108】
医薬製剤の製造は、当業者に精通した態様で、式(I)または式(Ia)の上記化合物、および/またはそれらの製薬上許容しうる塩を、場合により、他の治療上有効な物質と組み合わせて、適当な無毒性で不活性な治療上適合し得る固体または液体担体物質、そして所望ならば通常の製薬補助剤と一緒に生薬投与形態にすることによって行うことができる。
【0109】
適した担体物質は、無機担体物質のみならず、また有機担体物質である。従って、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、ハードおよびソフトゼラチンカプセル用の担体物質として、ラクトース、トウモロコシでんぷんまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を使用することができる。ソフトゼラチンカプセル用の適した担体物質は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、ならびに半固体および液体ポリオールである(しかし、有効成分の性状に依存して、ソフトゼラチンカプセルの場合には担体が必要とされない場合がある)。液剤やシロップの製造に適した担体物質は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖などである。注射液に適した担体物質は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロールおよび植物油である。坐剤用に適した担体物質は、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪、および半液状または液状ポリオールである。局所製剤用の適した担体物質は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、水素化油、液体ワックス、液体パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコールおよびセルロース誘導体である。
【0110】
通常の安定剤、保存剤、湿潤剤、乳化剤、稠度改善剤、風味改善剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤物質、可溶化剤、着色剤、マスキング剤および酸化防止剤が製薬補助剤として考慮される。
【0111】
式(I)または式(Ia)の化合物の服用量は、コントロールしようとする疾患、患者の年齢や個々の症状、ならびに投与の方法に依存して広い範囲内で変えることができ、そしてもちろん、各々の特定の場合における個々の要求量に適合される。成人の患者について言えば、約1〜1000mg、特に約1〜100mgの一日あたりの服用量が考慮される。疾患の重さや正確な薬物動態学プロフィールに依存して、本化合物は、1日または数日あたりの服用量単位で、例えば1〜4回の服用量単位で投与することができる。
【0112】
医薬製剤は、便宜上、式(I)または式(Ia)の化合物を約1〜500mg、好ましくは1〜100mg含有する。
【0113】
次の実施例は、本発明をより詳細に例示するためのものである。しかしながら、それらは、その範囲をいささかも限定することを意図するものではない。
【0114】
本発明の化合物は、任意の慣用手段によって製造することができる。これらの化合物を合成するための好適な方法を実施例に提供する。一般的には、式(I)または式(Ia)の化合物は、以下に記載する合成経路のうちの1つ、すなわち、求核置換またはスズキカップリングによって製造することができる。これらの反応のための出発原料の源を以下に記載する。
【0115】
求核置換
反応工程式1に示されるように、本発明の化合物は、式5の化合物から式4のヒドロキシビアリールによって離脱基LGの求核置換をして式6(式中、Rはカルボン酸の保護に一般に使用される保護基を表す)の化合物を形成することによって製造することができる。次いで、保護基は開裂されて、式IにおいてRがヒドロキシである本発明の化合物を生成する。
【0116】
多くの保護基が、有機合成分野の当業者に知られている。例えば、幾つかの好適な保護基は、“Protective Groups in Organic Synthesis”[Greene,T.W. and Wuts,P.G.M.,2nd Edition,John Wiley & Sons,N.Y.1991]に列挙されている。好ましい保護基は、本発明の化合物を製造するのに使用される反応条件に適合し得るものである。このような保護基の例は、低級直鎖もしくは分枝鎖エステル(例えば、メチル(R=CH)、エチル(R=CH2CH)、またはt−ブチル(R=C(CH)エステル)、またはベンジルエステル(R=CH25)である。
【0117】
【化28】

【0118】
化合物5における離脱基LGの求核置換は、任意の慣用手段によって行うことができる。例えば、LGが塩素、臭素またはヨウ素の脱離基を表す場合には、反応は、不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中においてほぼ室温から約100度の温度でアルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)またはアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム)のような塩基の存在下に化合物5を化合物4で処理することによって簡便に実施することができる。
【0119】
カルボン酸保護基の脱保護によって化合物6(ここで、Rはカルボン酸の保護のために一般的に使用される保護基を表す)を化合物1に転化することは、有機合成の分野に周知の反応条件を使用して実施され、そしてそれらの多くは、“Protective Groups in Organic Synthesis”[Greene,T.W. and Wuts,P.G.M.,2nd Edition,John Wiley & Sons,N.Y.1991]に概要が記載されている。例えば、Rがメチルまたはエチルである場合には、反応は、テトラヒドロフランとメタノールと水との混液のような適した溶媒中で化合物を水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム好ましくは水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物1当量で処理することによって簡便に実施することができる。反応は、ほぼ0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で実施することができる。別の例として、Rがt−ブチル基のように酸性条件下で開裂されうる基である場合には、エステルを、強い無機酸、例えば、塩化水素または臭化水素のようなハロゲン化水素酸、あるいは強い有機酸、例えば、トリフルオル酢酸などのようなハロゲン化アルカンカルボン酸で処理することができる。反応は、不活性有機溶媒(ジクロロメタンのような)の存在下に約0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で簡便に実施される。最後の例(しかし、限定するものではないが)として、Rが接触水素化によって開裂されうる基である場合には、そして分子の残部がこのような条件に安定であるという更なる条件で、反応は、不活性溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)の存在下でパラジウム担持炭素のような貴金属触媒の存在下にほぼ室温において及び大気圧下に水素化することによって実施することができる。
【0120】
スズキカップリング
反応工程式2に示されるように、本発明の化合物は、式7(ここで、Xは、スズキ反応またはスチレ(Stille)反応のような貴金属接触カップリング反応で脱離基として作用することができる基を表す)の化合物によって式5の化合物から脱離基LGを求核置換することから出発して式9(ここでRは、カルボン酸の保護のために一般的に使用される保護基を表す)の化合物を形成することによって製造することができる。次いで、式9の化合物を、貴金属触媒の存在下に式10の有機金属試薬(例えば、ボロン酸または有機スズ試薬)と反応させて式6のビアリール化合物を得ることができる。保護基は、次いで、開裂されて式IにおいてR4がヒドロキシである本発明の化合物を生成する。
【0121】
多くの保護基Rが有機合成分野の当業者に知られている。例えば、幾つかの好適な保護基は、“Protective Groups in Organic Synthesis”[Greene,T.W. and Wuts,P.G.M.,2nd Edition,John Wiley & Sons,N.Y.1991]に列挙されている。好ましい保護基は、本発明の化合物を製造するのに使用される反応条件と適合し得るものである。このような保護基の例は、低級直鎖もしくは分枝鎖エステル(例えば、メチル(R=CH)、エチル(R=CH2CH)、またはt−ブチル(R=C(CH)エステル)、またはベンジルエステル(R=CH25)である。
【0122】
【化29】

【0123】
化合物5における離脱基LGの求核置換は、任意の慣用手段によって行うことができる。例えば、LGが塩素、臭素またはヨウ素の脱離基を表す場合には、反応は、不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中においてほぼ室温から約100度の温度でアルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)またはアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム)のような塩基の存在下に化合物5を化合物7で処理することによって簡便に実施することができる。
【0124】
式6の化合物を得るために、式9(ここで、Xはヨウ素、臭素またはトリフラートのような脱離基を表す)の化合物と式10(ここで、Yはボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ、またはトリ−n−スズを表す)の化合物との反応は、当技術分野において平均的な技術者に周知のスズキまたはスチレカップリング条件を使用して実施することができる。例えば、反応は、極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)またはエーテル(例えば、ジオキサン)または水のような都合のよい不活性溶媒中において、触媒量のパラジウム(0)錯体(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))またはパラジウム(0)(例えば、酢酸パラジウム(II)またはビス(トリフェニルホスフィン)−塩化パラジウム(II))を得るように現場で還元させることができる化合物の存在下に、触媒量のホスフィン配位子、例えば、トリ−o−トリルホスフィンまたはトリ−t−ブチルホスフィンの場合による追加的存在下に、また、無機塩基、例えば、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩または燐酸塩(例えば、燐酸カリウムまたは炭酸ナトリウム)の存在下に、ほぼ室温から約100度の温度で、好ましくはほぼ室温から約50度の温度で、式9(ここで、Xはヨウ素を表す)の化合物を式10(ここで、YはB(OH)を表す)の化合物と反応させることによって簡便に実施することができる。
【0125】
カルボン酸保護基の脱保護によって化合物6(ここで、Rはカルボン酸の保護のために一般的に使用される保護基を表す)を化合物1に転化することは、有機合成の分野に周知の反応条件を使用して実施され、そしてそれらの多くは、“Protective Groups in Organic Synthesis”[Greene,T.W. and Wuts,P.G.M.,2nd Edition,John Wiley & Sons,N.Y.1991]に概要が記載されている。例えば、R1がメチルまたはエチルである場合には、反応は、テトラヒドロフランとメタノールと水との混液のような適当な溶媒中で化合物を水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム、好ましくは水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物1当量で処理することによって簡便に実施することができる。反応は、約0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で実施することができる。別の例として、Rがt−ブチル基のように酸性条件下で開裂されうる基である場合には、エステルを、強い無機酸、例えば、塩化水素または臭化水素のようなハロゲン化水素酸、または強い有機酸、例えば、トリフルオル酢酸などのようなハロゲン化アルカンカルボン酸で処理することができる。反応は、不活性有機溶媒(ジクロロメタンのような)の存在下にほぼ0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で簡便に実施される。反応は、不活性有機溶媒(ジクロロメタンのような)の存在下に約0度からほぼ室温の温度で好ましくはほぼ室温で都合よく実施される。最後の例(しかし、限定するものではないが)として、Rが接触水素化によって開裂されうる基である場合には、そして分子の残部がこのような条件に安定であるという更なる条件で、反応は、不活性溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)の存在下でパラジウム担持炭素のような貴金属触媒の存在下にほぼ室温において及び大気圧下に水素化することによって実施することができる。
【0126】
出発原料:式4の化合物
式4の多くの化合物は公知の化合物であり、そして文献の手順に従って合成することができる。幾つかの例を次の表に載せる。
【0127】
【表2】





【0128】
加えて、式4の多くの化合物は、次のものを含んで、市販されている:
【0129】
【表3】

【0130】
文献で知られていない式4の化合物は、それ自体知られた反応を使用して製造することができる。例えば、それらは、反応工程式3に従って簡便に製造することができる。
【0131】
【化30】

【0132】
式6の化合物を得るために、式7(ここで、Xはヨウ素、臭素またはトリフラートのような脱離基を表す)の化合物と式10(ここで、Yはボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズ、またはトリ−n−スズを表す)の化合物との反応は、当技術分野において平均的な技術者に周知のスズキまたはスチレカップリング条件を使用して実施することができる。例えば、反応は、極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)またはエーテル(例えば、ジオキサン)または水のような都合のよい不活性溶媒中において、触媒的量のパラジウム(0)錯体(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))またはパラジウム(0)(例えば、酢酸パラジウム(II)またはビス(トリフェニルホスフィン)−塩化パラジウム(II)を得るように現場で還元させることができる化合物の存在下に、触媒量のホスフィン配位子、例えば、トリ−o−トリルホスフィンまたはトリ−t−ブチルホスフィンの場合による追加的存在下に、また、無機塩基、例えば、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩または燐酸塩(例えば、燐酸カリウムまたは炭酸ナトリウム)の存在下に、ほぼ室温から約100度の温度で、好ましくはほぼ室温から約50度の温度で、式7(ここで、Xはヨウ素を表す)の化合物を式10(ここで、YはB(OH)を表す)の化合物と反応させることによって簡便に実施することができる。更なる例として、反応は、Sakurai,H.et al.J.Org.Chem.2002,67,2721の条件に従って実施することができ、または、反応は、Revell,J.D. and Ganesan,A.Org.Lett.2002,4,3071の条件を使用して固相で実施することができる。
【0133】
出発原料:式5の化合物
式5においてRがカルボン酸の保護のために一般的に使用される保護基を表す多くの化合物は公知の化合物であり、そして文献の手順に従って合成することができる。幾つかの例を次の表に載せる。
【0134】
【表4】









【0135】
加えて、式5の幾つかの化合物は、次のものを含み、市販されている:
【0136】
【表5】

【0137】
文献で知られず市販もされていない式5の化合物は、有機合成の分野に周知の反応によって簡便に製造することができるが、これらの反応は、一般的には反応工程式4におけるように表すことができる。
【0138】
【化31】

【0139】
反応工程式4によって表される反応の3つの例を以下に説明する。当技術分野の平均的な技術者には明らかであるように、式5のすべての化合物を製造するのに、すべての反応を使用することができるわけではなく、式5の特定の化合物の製造に適当な反応は有機合成の化学者には明らかであろう。
【0140】
例えば、式5においてLGが塩素を表す化合物は、式12においてBが水素を表す化合物から求電子的芳香族置換反応によって製造することができ、置換反応は、適した不活性溶媒、例えばハロゲン化アルカン(塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのような)中において、ルイス酸触媒、好ましくは塩化亜鉛の存在下にほぼ室温から溶媒の沸点の温度、好ましくは約35℃で、式12においてBが水素を表す化合物をホルムアルデヒドおよび塩化水素で処理することによって実施される。明らかに、この反応は、式12の化合物が所望の結合点で求電子的芳香族置換を受けやすい場合に、更に、式5の化合物が鉱酸およびルイス酸に対して安定である場合に限定される。これらの基準を満たす式5の化合物の例は、当技術分野における平均的な技術者に知られている。このような反応の例は、Moldenhauer,O. et al.Justus Liebigs Ann.Chem.1953,580,176に見い出すことができる。
【0141】
式5においてLGが臭素を表す化合物は、ハロゲン化アルカン(例えば、四塩化炭素)またはアセトニトリルのような不活性溶媒中において、アゾビス(イソブチロニトリル)またはベンゾイルぺルオキシドのような触媒の場合による追加の存在下に適した温度で、簡便には溶媒の沸点で、光源の場合による追加的な存在下に、式12においてBがCHを表す化合物をN−ブロモスクシンイミドまたは3,3−ジメチル−N,N’−ジブロモヒダントインで処理することによって;あるいは、水と芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)またはハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム)との混合物のような不活性溶媒中で、白熱光による照射下に式12においてBがCHを表す化合物を臭素で処理することによって製造することができる。式5においてLGが塩素を表す化合物は、ハロゲン化アルカン(例えば、四塩化炭素)またはアセトニトリルのような不活性溶媒中において、アゾビス(イソブチロニトリル)またはベンゾイルぺルオキシドのような触媒の場合による追加的な存在下に適した温度で簡便には溶媒の沸点で、及び光源の場合による追加的な存在下に、式12においてBがCHを表す化合物をN−クロロスクシンイミドまたは塩化スルフリルで処理することによって、または、水と芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)もしくはハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム、四塩化炭素)との混合物のような不活性溶媒中で、白熱光による照射下に式12においてBがCHを表す化合物を塩素で処理することによって製造することができる。
【0142】
式5においてLGが臭素を表す化合物は、ハロゲン化アルカン(例えば、塩化メチレンまたは四塩化炭素)のような不活性溶媒中において、約0度から溶媒の沸点の温度で、簡便には約0度で、式12においてBがCHOHを表す化合物を三臭化燐、またはN−ブロモスクシンイミドとトリフェニルホスフィンとの混合物で処理することによって製造することができる。式5においてLGが塩素を表す化合物は、ハロゲン化アルカン(例えば、塩化メチレンまたは四塩化炭素)のような不活性溶媒中において、約0度から溶媒の沸点の温度で、簡便には約0度で、式12においてBがCHOHを表す化合物を塩化チオニル、またはN−クロロスクシンイミドとトリフェニルホスフィンとの混合物で処理することによって製造することができる。式5においてLGがOSOEを表し、Eが低級アルキルまたはアリールを表す化合物は、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン)のような不活性溶媒中において、第三アミン(例えば、トリエチルアミンまたはジエチルイソプロピルアミン)のような塩基の存在下に約0度からほぼ室温の温度で、好ましくは約0度で、式12においてBがCHOHを表す化合物を塩化フルホニルESOCl(例えば、メタンスルホニルクロリドまたはp−トルエンスルホニルクロリド)で処理することによって製造することができる。式5においてLGがヨウ素を表す化合物は、ケトン(例えば、アセトンまたはメチルエチルケトン)のような不活性溶媒中において、約50度〜約80度の温度で、簡便には溶媒のほぼ沸点で、式5においてLGが塩素、臭素またはOSOEを表しEが低級アルキルまたはアリールを表す化合物をアルカリ金属ヨウ化物(例えば、ヨウ化ナトリウム)で処理することによって製造することができる。
【0143】
出発原料:式7の化合物
式7においてXが塩素、ヨウ素、臭素またはトリフラートのような脱離基を表す多くの化合物は、公知の化合物であり、そして文献の手順に従って合成することができる。幾つかの例を次の表に載せる。
【0144】
【表6】



【0145】
加えて、式7の多くの化合物は、次のものを含み、市販されている:
【0146】
【表7】

【0147】
文献で知られていないか、または市販もされていない式7の化合物は、反応工程式5に示されるように有機合成の分野に周知の反応によって簡便に製造することができる。
【0148】
【化32】

【0149】
式7の化合物は、有機合成の分野に周知の反応を使用して、式13(ここにおいて、GおよびXは、塩素、臭素およびヨウ素の中から選択される同じ置換基を表し、Yはメチルを表す)の化合物から製造することができる。これらの方法のうちの幾つかは、“Protective Groups in Organic Synthesis”[Greene,T.W. and Wuts,P.G.M.,2nd Edition,John Wiley & Sons,N.Y.1991]に概要が記載されている。例えば、式7の化合物は、式13(ここにおいて、GおよびXは、塩素、臭素およびヨウ素の中から選択される同じ置換基を表し、Yはメチルを表す)の化合物をヨウ化トリメチルシリルで処理することによって形成することができる。反応は、ハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルム)またはアセトニトリルのような不活性溶媒中で、ほぼ室温から溶媒の沸点の温度で、好ましくは約50度で簡便に実施される。別法として、式7の化合物は、酢酸または水中において、式13(ここにおいて、GおよびXは、塩素、臭素およびヨウ素の中から選択される同じ置換基を表し、Yはメチルを表す)の化合物を臭化水素と共に還流で加熱することによって形成することができる。第三の別法として、式7の化合物は、ハロゲン化アルカン(例えば、クロロホルムまたは塩化メチレン)のような不活性溶媒中において、ほぼ0度から約40度の温度で、簡便にはほぼ室温で、式13(ここにおいて、GおよびXは、塩素、臭素およびヨウ素の中から選択される同じ置換基を表し、Yはメチルを表す)の化合物を三臭化ホウ素で処理することによって形成することができる。
【0150】
式7においてXが塩素を表しXの結合位置がヒドロキシ基に対してパラである化合物は、エーテルまたはハロゲン化炭化水素(例えば、クロロホルム)のような不活性溶媒中において、約0度から約35度の温度で、好ましくはほぼ室温で、式13においてGが水素を表しYが水素を表す化合物を塩化スルフリルで処理することによって製造することができる。式7においてXが臭素を表し、Xの結合位置がヒドロキシ基に対してパラである化合物は、水、四塩化炭素または酢酸のような不活性溶媒中において、約0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で、式13においてGが水素を表しYが水素を表す化合物を臭素で処理することによって製造することができる。別法として、式7においてXが臭素を表しXの結合位置がヒドロキシ基に対してパラである同じ化合物は、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレンまたはクロロホルム)のような不活性溶媒中において、約0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で、式13においてGが水素を表しYが水素を表す化合物を三臭化物塩(例えば、テトラブチルアンモニウムトリブロミドまたはベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド)で処理することによって製造することができる。式7においてXがヨウ素を表し、Xの結合位置がヒドロキシ基に対してパラである化合物は、水のような不活性溶媒中で、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)またはアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)のような無機塩基の存在下に、約0度からほぼ室温の温度で、好ましくはほぼ室温で、式13においてGが水素を表しYが水素を表す化合物をヨウ素または一塩化ヨウ素で処理することによって製造することができる。式7においてXがヨウ素を表し、Xの結合位置がヒドロキシ基に対してパラである同じ化合物は、水とアルコール(例えば、メタノール)との混合物のような不活性溶媒中において、0度に近い温度で、式13においてGが水素を表しYが水素を表す化合物をヨウ化ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムで処理することによって製造することができる。この最後の反応および幾つかの別法は、Edgar,K.J and Falling,S.N.J.Org.Chem.1990,55,5287-5291に記載されている。
【0151】
式7においてXが塩素、臭素またはヨウ素を表す化合物は、有機合成の技術分野で周知のサンドマイヤー反応を使用して、式13においてGがNHを表し、Yが水素を表す化合物を処理することによって製造することができる。この反応の詳細は、Hodgson,H.H.Chew.Rev.1947,40,251-277に、また、Nonhebel,D.C.,Copper-catalyzed Single-electron Oxidation and Reductions,Special Publication−Chemical Society(London)1970,24,409-437 ISSN:0577-618Xにも見い出すことができる。例えば、式13においてGがNHを表し、Yが水素を表す化合物は、水中において鉱酸(例えば、塩酸または硫酸)の存在下に、約−10度〜約10度の温度、好ましくは約ゼロ度で亜硝酸ナトリウムでの処理によって、式13においてGがNHを表し、Yが水素を表すジアゾニウム中間体に転化することができる。単離することなく、このジアゾニウム中間体は、次いで、塩化銅(I)を用いた処理によって式7でXが塩素を表す化合物に、臭化銅(I)を用いた処理によって式7でXが臭素を表す化合物に、または、ヨウ化カリウムを用いた処理によって式7でXがヨウ素を表す化合物に転化することができる。
【0152】
出発原料:式10の化合物
式10においてXがボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズまたはトリ−n−ブチル−スズを表す多くの化合物は、公知の化合物であり、そして文献の手順に従って合成することができる。幾つかの例を次の表に載せる。
【0153】
【表8】





【0154】
加えて、式10においてXがボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズまたはトリ−n−ブチル−スズを表す多くの化合物は、次のものを含み、市販されている:
【0155】
【表9】





【0156】
文献で知られず市販もされていない、式10においてYがボロン酸、ボロン酸エステル、トリメチルスズまたはトリ−n−ブチル−スズを表す化合物は、有機合成の当業者に周知の手順によって合成することができる。例えば、このタイプの化合物は、反応工程式6に従って、エーテル(テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルのような)のような適した不活性溶媒中で、反応について適当な温度で(例えば、アルキルリチウムとの反応について約−78℃で、またはマグネシウムとの反応についてほぼ室温で)、アルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウム)またはマグネシウム(グリニヤール試薬を形成するために)で処理し、次いでホウ酸トリアルキルまたは塩化トリアルキルスズで処理して式10でYがB(OH)またはトリアルキルスズを表す化合物をそれぞれ形成することによって、式11でXが臭素またはヨウ素を表す化合物から簡便に合成することができる。
【0157】
【化33】

【0158】
加えて、反応は、貴金属触媒の作用下に実施することができる。この経路に従えば、式11の化合物は、貴金属触媒(好ましくは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)または塩化パラジウム(II)または酢酸パラジウム(II)のようなパラジウム触媒)の存在下に、触媒量のホスフィン配位子、例えば、トリ−o−トリルホスフィンまたはトリ−t−ブチルホスフィンの場合による追加的な存在下に、ヘキサ−アルキル−ジスタナン(ヘキサメチル−ジスタナンまたはヘキサ−n−ブチルジスタナンのような)、または4,4,5,5−テトラメチル−[1.3.2]ジオキサボロラン、または4,4,5,5,4’,4’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル]と簡便に反応される。ヘキサ−アルキル−スタナンとの反応の場合には、反応は、場合により、有機塩基、例えば、第三アミン(例えば、トリエチルアミン)の存在下に実施され、これに対して、ジオキサボロランとの反応の場合には、その反応は、無機塩基(例えば、フッ化セリウムまたは酢酸カリウム、好ましくは酢酸カリウム)の存在下に実施される。反応は、極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはアセトニトリル)または芳香族炭化水素(例えば、トルエン)のような適当な不活性溶媒中で、ほぼ室温〜約100度の温度、好ましくはほぼ室温〜約50度の温度で簡便に実施される。追加の例として、次の刊行物に使用される特定の反応条件に従うことができる:Baudoin,O.et al.Org.Chem.Soc.2000,65,9268-9271;Ishiyama,T.etal.Tetrahedron Lett.1997,38,3447-3450;Hylarides,M.D.J.Organomet.Chem.1989,367,259-265;Read,M.W.et al.Org.Lett.2000,2,3201-3204;Ishiyama,T.etal.Tetrahedron Lett.1997,57,9813-9816;Fuersterr,A.et al.Org.Lett.2002,4,541-544。
【0159】
sが2を表す本発明の化合物の製造
本発明の化合物の製造について先に記載した方法の他に、反応工程式7に示されるように、式1においてsが2を表す化合物の製造には追加の方法が利用可能である。この方法に従えば、式5Bの化合物は、直接に式4の化合物による求核置換によるか、または中間体9Bを経るスズキカップリングアプローチに従うことによって、式15の化合物に転化される。求核置換およびスズキカップリング反応は先に記載したものと類似している。
【0160】
【化34】

【0161】
式15の化合物は、貴金属触媒を使用する水素化によって式6Bの化合物に転化することができる。この反応は、不活性溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)の存在下に、かつパラジウム担持炭素のような貴金属触媒の存在下に、ほぼ室温で及び大気圧下に、式15の化合物を水素ガスで処理することによって実施することができる。
【0162】
式6Bの化合物は、保護基Rの開裂によって、式1でsが2を表す化合物に転化することができる。この反応を実施するのに好適な条件は、式1の化合物への式6の化合物の転化について上に記載されている。
【0163】
出発原料:式5Bの化合物
式5Bの幾つかの化合物は、公知の化合物であり、そして文献の手順に従って合成することができる。例を次の表に載せる。
【0164】
【表10】

【0165】
文献で知られていない式5Bの化合物は、任意の慣用手段によって製造することができる。例えば、それらは、反応工程式8に従って、式16のアリールカルボキサアルデヒド、または式17のハロ芳香族から出発して好都合に製造することができる。
【0166】
【化35】

【0167】
式16の化合物は、ウィッチヒ反応において燐イリドとの、またはホルナー・ワズワース・エモンス反応でホスホン酸エステルとの反応によって式18の化合物に転化することができる。これらの反応の両方とも、当技術分野の平均的な技術者には周知であり、そして更なる情報は、例えば、“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparatins”[R.C.Larock,VCH Publishers,Inc.,N.Y.1989,Pages 173-184]に、また、“Advanced Organic Chemistry”[J.March,3rd Edition,Wiley Interscience,NY,1985]に見い出すことができる。例えば、式16の化合物は、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランまたはベンゼンのような不活性溶媒中で、ほぼ室温の温度で、メチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートのようなアルキル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートで処理して式18の化合物を得ることができる。更なる例として、式16の化合物は、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジオキサンまたはテトラヒドロフランのような不活性溶媒中で、水素化ナトリウムまたは炭酸セシウムまたは炭酸カリウムまたはナトリウムエトキシドのような塩基の存在下に、ほぼ室温の温度で、トリエチルホスホンアセテートのようなホスホノアセテートエステルで処理して式18の化合物を得ることができる。
【0168】
式17においてXがヘック反応のような貴金属触媒カップリング反応において脱離基として作用することができる基を表す化合物は、貴金属触媒の作用下にアクリレートエステルとの反応によって式18の化合物に転化することができる。例えば、反応は、不活性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドまたはアセトニトリル)中で、酢酸パラジウム(II)のようなパラジウム(0)の源の存在下に、有機塩基(例えば、トリエチルアミン)または無機塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸タリウム(I)または酢酸銀)であってよい塩基の存在下に、トリフェニルホスフィンまたはトリ−オルト−トリルホスフィン、好ましくはトリ−オルト−トリルホスフィンのようなホスフィンの場合による存在下に、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドのような相転移触媒の場合による追加的な存在下に、ほぼ室温から約110度の温度で、好ましくは約100度で、構造17の化合物をアクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのようなアクリル酸エステルで処理することによって実施することができる。
【0169】
式18の化合物は、ハロゲン化炭化水素または四塩化炭素のようなハロカーボンのような不活性溶媒中で、触媒量のベンゾイルペルオキシドまたはアゾビスイソブトロニトリル(AIBN)の存在下に、N−ブロモスクシンイミドのようなハロゲン化剤で処理することによって式5bの化合物に転化することができる。反応は、溶媒の沸点付近の温度または約80度のどちらか低いほうの温度で都合よく実施される。
【0170】
本発明の化合物によるグリコーゲンシンターゼのin vitro活性化は、次の試験によって実証することができる。
【0171】
ポリスチレン384−ウエルアッセイプレート(BDバイオサイエンセズ)に、30mMのグリシルグリシン(pH7.3緩衝液)中にグリコーゲン(4.32mg/ml)、21.6mMのUDP−グルコース、21.6mMのホスホノ(エノール)ピルベートおよび2.7mMのNADHを含有する12μl/ウエルの基質溶液を加える。そのアッセイプレート(カラム5〜24)に、30mMのグリシルグリシン(pH7.3)中で種々の濃度(0〜57μM)の化合物溶液(8μl/ウエル)、40mMのKCl、20mMのMgCl+9.2%のDMSOを加える。アッセイプレート(カラム3〜24)に、50mMのTris−HCl(pH8.0)、27mMのDTTおよびボビンセラムアルブミン(BSA、0.2mg/ml)中にグリコーゲンシンターゼ(16.88μg/ml)、ピルベートキナーゼ(0.27mg/ml)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(0.27mg/ml)を含有する酵素溶液(12μl/ウエル)を加える。ブランク対照として、カラム1−2のウエルの上部半分に、グリコーゲンシンターゼを含まない酵素溶液を加える。カラム1−2のウエルの下部半分に、酵素溶液に加えて、既知活性剤であるグルコース6−ホスフェート(18.9mM)を加える。反応混合物を37℃で培養する。次いで、Tecan Ultra読取機でアッセイプレートの吸光度を340nmにおいて3分毎に合計30分まで読み取る。
【0172】
酵素活性度(化合物を含むまたは含まない)を、反応速度によって計算し、そして1分当りの光学濃度変化(△OD)によって表す。種々の濃度における化合物によるグリコーゲンシンターゼ活性の刺激度%を次の式:
刺激度%=100/R
(式中、Rは化合物の存在下における酵素の反応速度であり、Rは化合物の非存在下における酵素の反応速度である)によって計算する。
【0173】
SC2.0は、酵素活性度の200%を刺激するのに必要とされる化合物濃度と定義される。本発明の好ましい化合物は、0.1〜100μMの範囲、好ましくは0.1〜20μMの範囲のSC2.0値を示す。
【0174】
上記の試験で試験化合物として式Iの代表的な化合物を使用して得られた結果を次の表にまとめる。
【0175】
【表11】

【0176】
実施例
次の実施例は、本発明の化合物及び配合物の好ましい合成法を例示するものである。
中間体1:2−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル
【0177】
【化36】

【0178】
四塩化炭素(250mL)中のo−トルイル酸メチル(13.5g、89.9mmol)とNBS(17.6g、98.9mmol)とベンゾイルペルオキシド(50mg、0.2mmol)との混合物を還流で週末にわたって加熱した。反応混合物を冷却させ、次いで、それをろ過した。溶媒を減圧下に蒸発させ、そして残留物をクロマトグラフィーによって3%酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、2−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(7.7g、37%)を白色の固体として得た。
【0179】
【表12】

【0180】
中間体2:6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
【0181】
【化37】

【0182】
工程1:6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
メタノール(300mL)中の6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸(10g、72.9mmol)と濃硫酸(3.5mL)との混合物を還流で一晩中加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下に濃縮した。残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機層を乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、そして蒸発して6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(6.5g、59%)を無色の油として得た。
【0183】
【表13】

【0184】
工程2:6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
Wells,G.J.et al(WO94/11398)に従って6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを製造した:四塩化炭素(250mL)中の6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(6.5g、43.0mmol)とベンゾイルペルオキシド(25mg、0.1mmol)とNBS(8.5g、47.8mmol)との混合物を還流で一晩中加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ろ過し、蒸発し、そしてフラッシュシリカゲルでのクロマトグラフィーによって15%酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(2.0g、20%)を白色の固体として得た。
【0185】
【表14】

【0186】
中間体3:2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【0187】
【化38】

【0188】
Kindon,N et al.(US6,162,808)に従って、2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルを製造した:四塩化炭素(250mL)中の2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸(Maybridge plc,UKから入手可能;9.8g、57.2mmol)とベンゾイルペルオキシド(40mg、0.165mmol)とNBS(10.6g、60.0mmol)との混合物を還流で週末にわたって加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下に蒸発した。その粗製物質を酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発し、そしてフラッシュシリカゲルでのクロマトグラフィーによって20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(4.4g、31%)をオレンジ色の油として得た。
【0189】
【表15】

【0190】
中間体4:4−クロロメチル−チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【0191】
【化39】

【0192】
Summers,J.B.Jr.et al.(US5,486,525)に従って4−クロロメチル−チアゾール−2−カルボン酸エチルエステルを製造した:エタノール(300mL)中のエチルチオオキサメート(7.0g、52.6mmol)と1,3−ジクロロアセトン(7.0g、55.1mmol)との混合物を還流で一晩中加熱した。溶媒を減圧下に蒸発し、そしてその粗製物質を塩化メチレンと炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発し、そしてフラッシュシリカゲルでのクロマトグラフィーによって15%酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、4−クロロメチル−チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル(4.0g、37%)をオレンジ色の油として得た。
【0193】
【表16】

【0194】
中間体5:4’−メチル−ビフェニル−4−オール
【0195】
【化40】

【0196】
4−ヨードフェノール(5.00g、22.7mmol)と4−メチル−フェニル−ボロン酸(3.4g、25.0mmol)と水酸化ナトリウム(3.6g、90mmol)と水(9mL)との混合物に、酢酸パラジウム(II)(52mg.23mmol)を加えた。混合物を水(9mL)で二回希釈して撹拌を容易にした。発熱が起こり、そして15分後に内部温度は50℃であった。反応混合物を室温に冷却し、一晩中撹拌させ、そして固体をろ別し、水洗し、酢酸エチルに溶解した。有機層を水洗し、1MのNaOHで3回洗浄し、次いで洗液が中性になるまで再び水洗した。次いで、溶液を乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発して、4’−メチル−ビフェニル−4−オール(2g、48%)を得た。
【0197】
中間体6:5−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル
【0198】
【化41】

【0199】
水素化ナトリウム(60%、1.65g、41.2mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)懸濁液を氷浴で冷却し、それに4−ヨードフェノール(10.08g、45.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)溶液を加えた。氷浴を取り去り、混合物を1時間撹拌した。混合物を再び〜5℃に冷却し、そして5−(クロロメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル(4.00g、22.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(60mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で一晩中撹拌し、次いで溶媒を減圧下に蒸発し、水を加えた。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、そして一緒にした有機層を1M NaOHで2回、水およびブラインでそれぞれ1回洗浄した。有機溶液を乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発し、そしてBiotage65L精製系を使用して3%塩化メチレン/トルエンで溶離して精製して、5−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル(2.3g、28%)を白色の固体として、いくらかの混合画分と一緒に得た。
【0200】
中間体7:5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
【0201】
【化42】

【0202】
工程1.5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
メタノール(40mL)の0℃溶液に塩化アセチル(5mL)を加え、その溶液を室温に温めさせた。5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(Lancaster;1.58g、11.1mmol)を加え、その溶液を室温で週末にわたって撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発し、酢酸エチルを加えた。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出し、水性層を酢酸エチルで逆抽出した。一緒にした有機層を乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発して、5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1.40g、81%)を黄色の油として得た。
【0203】
工程2.5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1.40g、9.0mmol)のクロロホルム(15mL)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(Aldrich;1.70g、9.6mmol)および触媒量のベンゾイルペルオキシドを加えた。反応混合物をアルゴン下に還流(〜60℃)で3時間撹拌し、次いで商品名「Celite」によってろ過し、減圧下に蒸発して、5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを黄色の油として得、これを更に精製せずに次の工程において直接使用した。
【0204】
中間体8:5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0205】
【化43】

【0206】
工程1:5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル
ヘキサンで予め洗浄した水素化ナトリウム(60%分散液、〜16g、0.4mol)にN,N−ジメチルホルムアミド(400mL)を加えた。混合物を〜5℃に冷却し、次いで4−フェニルフェノール(73.12g、0.43mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(150mL)溶液を加えた。混合物を室温で2.5時間撹拌させ、次いで5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(25g、0.14mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)溶液を加えた。反応混合物を〜105℃で2時間加熱し、次いでそれを冷却し、減圧下に蒸発し、そして水を加えた。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、そして一緒にした有機層を飽和ブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発し、そしてBiotage75L精製系を使用して、0〜10%塩化メチレン/トルエンで溶離して精製し、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル(20.5g、46%)を得た。
【0207】
工程2:5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル(15.00g、48.6mmol)のテトラヒドロフラン(450mL)溶液に、水素化リチウム一水和物(5.10g、121.5mmol)の水(50mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で72時間撹拌した。溶媒を蒸発し、水を加えた。混合物をエーテルで3回抽出した。不溶性の白色固体をろ別した。水溶液のpHを3に調整し、得られた混合物を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。一緒にした有機層を50%飽和ブラインで洗浄し、次いで減圧下に蒸発して5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸(12.0、84%)を白色の固体として得た。
【0208】
ビアリールオキシメチルアレーン−カルボン酸の製造のための一般的手順A
フェノール(0.30mmol)のDMF(0.7mL)溶液に、炭酸カリウム(150mg、1.09mmol)を加え、混合物を15分間撹拌した。ヨウ化カリウム(4.5g、0.093mmol)と、クロロ−またはブロモメチルアレーンカルボン酸エステル(0.41mmol)のDMF(0.7mL)溶液とを加えた。得られた混合物を80℃で2日間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(15mL)と水酸化カリウム水溶液(1M、15mL)との間で分配した。有機層を硫酸マグネシウムのパッドに通し、そして真空で乾燥して低級アルキルエステルを得た。
【0209】
低級アルキルエステルをテトラヒドロフラン:水に溶解した(3:1:1)。水酸化リチウム一水和物(4当量)を加えた。得られた混合物を75℃で2日間撹拌し、次いで減圧下に蒸発し、そして残留物をエチルエーテル(15mL)と水酸化カリウム水溶液(0.5M、15mL)との間で分配した。水性層を分離し、1M HClの添加によって酸性にしてpH1にし、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムのパッドに通し、そして真空で乾燥した。
【0210】
ビアリールオキシメチルアレーン−カルボン酸の製造のための一般的手順B
フェノール(0.30mmol)のDMF(0.7mL)溶液に炭酸カリウム(150mg、1.09mmol)を加え、混合物を15分間撹拌した。ヨウ化カリウム(4.5mg、0.093mmol)と、クロロ−またはブロモメチルアレーンカルボン酸エステル(0.41mmol)のDMF(0.7mL)溶液とを加えた。得られた混合物を80℃で2日間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(15mL)と水酸化カリウム水溶液(1M、15mL)との間で分配した。有機層を硫酸マグネシウムのパッドに通し、そして真空で乾燥して低級アルキルエステルを得た。
【0211】
低級アルキルエステルをテトラヒドロフラン:メタノール:水に溶解した(3:1:1)。水酸化リチウム一水和物(4当量)を加えた。得られた混合物を75℃で2時間撹拌し、次いで、エチルエーテル(15mL)と水酸化カリウム水溶液(0.5M、15mL)との間で分配した。水性層を分離し、1M HClの添加によってpH1に酸性にし、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムのパッドに通し、真空で乾燥した。
【0212】
実施例1:3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0213】
【化44】

【0214】
一般的手順Aを使用して、2−クロロ−4−フェニルフェノール(TCI America,Portland,ORから入手可能)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から、3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:76mg、質量スペクトルMH+=339。
【0215】
実施例2:3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸
【0216】
【化45】

【0217】
一般的手順Aを使用して、3−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から、3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:76mg、質量スペクトル(ES)MH+=305。
【0218】
実施例3:3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0219】
【化46】

【0220】
一般的手順Aを使用して、4’−メチル−ビフェニル−4−オール(Maybridge plc,Tintagel,Cornwall,UKから購入、または中間体5から)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:66mg、質量スペクトル(ES)MH+=319。
【0221】
実施例4:3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0222】
【化47】

【0223】
一般的手順Aを使用して、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から、3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:91mg、質量スペクトル(ES)MH+=383。
【0224】
実施例5:3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0225】
【化48】

【0226】
一般的手順Aを使用して、4−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:80mg、質量スペクトル(ES)MH+=339。
【0227】
実施例6:3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0228】
【化49】

【0229】
一般的手順Aを使用して、4−ヒドロキシ−2’−ニトロビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から、3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:82mg、質量スペクトル(ES)MH+=350。
【0230】
実施例7:3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0231】
【化50】

【0232】
一般的手順Aを使用して、4−ヒドロキシ−4’−メトキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および3−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(Lancaster Synthesis Ltd.,Morcambe,Lancashire,UKから入手可能)から、3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:73mg、質量スペクトル(ES)MH+=335。
【0233】
実施例8:5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0234】
【化51】

【0235】
一般的手順Aを使用して、2−クロロ−4−フェニルフェノール(TCI America,Portland,ORから入手可能)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge plc,Tintagel,UKから入手可能)から、5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:66mg、質量スペクトル(ES)MH+=329。
【0236】
実施例9:5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0237】
【化52】

【0238】
一般的手順Aを使用して、3−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WI から入手可能)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge,plc,Tintagel,UKから入手可能)から、5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:67mg、質量スペクトル(ES)MH+=295。
【0239】
実施例10:5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
方法1.4’−メチル−ビフェニル−4−オールおよび5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステルから
【0240】
【化53】

【0241】
一般的手順Aを使用して、4’−メチル−ビフェニル−4−オール(Maybridge plc,Tintagel,Cornwall,UK から購入、または中間体5から)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge plc,Tintagel,UKから入手可能)から、5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:47mg、質量スペクトル(ES)MH+=309。
【0242】
方法2.
【0243】
【化54】

【0244】
工程1:5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸エチルエステル
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)懸濁液中の水素化ナトリウム(60%懸濁液;384mg、9.6mmol)に、4’−メチル−ビフェニル−4−オール(中間体5;2.0g、10.9mmol)を加え、混合物を−5℃で20分間撹拌した。5−(クロロ−メチル)−フラン−2−カルボン酸エチルエステル(1.6g、8.5mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(60mL)溶液を加え、反応混合物を室温で一晩中撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発し、残留物を水と酢酸エチルとの間で分配した。水性層を酢酸エチルで2回抽出し、そして一緒にした有機層を水およびブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、蒸発し,クロマトグラフにかけて0〜50%の塩化メチレン/ヘキサンで溶離して5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸エチルエステル(2.4g、84%)を得た。
【0245】
工程2:5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
水酸化リチウム一水和物(0.476g、11.3mmol)の水(15mL)溶液に、5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸エチルエステル(2.00g、5.9mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)およびメタノール(10mL)中に溶解させた溶液を加えた。メタノール(5mL)およびテトラヒドロフラン(10mL)を加え、反応混合物を室温で一晩中撹拌した。溶媒を蒸発し、残留物を水中に懸濁させ、1M HClでpH2.5に酸性にした。得られた白色固体をろ別し、酢酸エチル中に2回懸濁し、蒸発して5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸(1.6g、88%)を白色の固体として得た。
【0246】
方法3.5−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フラン−2−カルボン酸エチルエステルおよび4−メチル−フェニル−ボロン酸から
【0247】
【化55】

【0248】
5−(4−ヨード−フェノキシメチル)−フラン−2−カルボン酸メチルエステル(中間体6;100mg、0.28mmol)と、4−メチル−フェニル−ボロン酸(42mg、0.31mmol)と、水酸化ナトリウム(45mg、1.13mmol)と、酢酸パラジウム(II)(2mg、0.01mmol)と、水(10mL)との混合物を〜50℃で一晩中加熱した。混合物をろ過し、そして残留物を水、酢酸エチル、塩化メチレン、およびメタノールで洗浄した。水性層を酸性にし、酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機層を水および飽和ブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、ろ過し、蒸発して5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸(80mg、84%)を白色の固体として得た。
【0249】
実施例11:5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0250】
【化56】

【0251】
一般的手順Aを使用して、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge plc,Tintagel,UKから入手可能)から、5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:86mg、質量スペクトル(ES)MH+=373。
【0252】
実施例12:5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0253】
【化57】

【0254】
一般的手順Aを使用して、4−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge plc,Tintagel,UKから入手可能)から、5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:72mg、質量スペクトル(ES)MH+=329。
【0255】
実施例13:5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0256】
【化58】

【0257】
一般的手順Aを使用して、4−ヒドロキシ−2’−ニトロビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge plc,Tintagel,UKから入手可能)から、5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:82mg、質量スペクトル(ES)MH+=340。
【0258】
実施例14:5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸
【0259】
【化59】

【0260】
一般的手順Aを使用して、4−ヒドロキシ−4’−ニトロビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸メチルエステル(Aldrich,Milwaukee,WIから、またはMaybridge plc,Tintagel,UKから入手可能)から5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸を製造した。収量:40mg、質量スペクトル(ES)MH+=340。
【0261】
実施例15:2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0262】
【化60】

【0263】
一般的手順Aを使用して、2−クロロ−4−フェニルフェノール(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(中間体1)から、2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:45mg、質量スペクトル(ES)MH+=339。
【0264】
実施例16:2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0265】
【化61】

【0266】
一般的手順Aを使用して、4’−メチル−ビフェニル−4−オール(Maybridge plc,Tintagel,UKから購入、または中間体5から)および2−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(中間体1)から、2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:54mg、質量スペクトル(ES)MH+=319。
【0267】
実施例17:2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0268】
【化62】

【0269】
一般的手順Aを使用して、4’−ヒドロキシ−2−ニトロビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(中間体1)から、2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:69mg、質量スペクトル(ES)MH+=350。
【0270】
実施例18:2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸
【0271】
【化63】

【0272】
一般的手順Aを使用して、4−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)および2−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(中間体1)から、2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸を製造した。収量:50mg、質量スペクトル(ES)MH+=305。
【0273】
実施例19:5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸
【0274】
【化64】

【0275】
一般的手順Aを使用して、4−ヒドロキシ−2’−ニトロビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(中間体7)から、5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸を製造した。収量:80mg、質量スペクトル(ES)MH+=356。
【0276】
実施例20:6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸
【0277】
【化65】

【0278】
一般的手順Bを使用して、4−ヒドロキシ−2’−ニトロビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(中間体2)から、6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸を製造した。収量:62mg、質量スペクトル(ES)MH+=351。
【0279】
実施例21:6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸
【0280】
【化66】

【0281】
一般的手順Bを使用して、4−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)および6−ブロモメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(中間体2)から、6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸を製造した。収量:68mg、質量スペクトル(ES)MH+=306。
【0282】
実施例22:2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0283】
【化67】

【0284】
一般的手順Bを使用して、2−クロロ−4−フェニルフェノール(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:82mg、質量スペクトル(ES)MH+=346。
【0285】
実施例23:2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0286】
【化68】

【0287】
一般的手順Bを使用して、3−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:65mg、質量スペクトル(ES)MH+=312。
【0288】
実施例24:2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0289】
【化69】

【0290】
一般的手順Bを使用して、4’−メチル−ビフェニル−4−オール(Maybridge plc,Tintagel,Cornwall,UKから購入、または中間体5から)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:70mg、質量スペクトル(ES)MH+=326。
【0291】
実施例25:2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0292】
【化70】

【0293】
一般的手順Bを使用して、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:82mg、質量スペクトル(ES)MH+=390。
【0294】
実施例26:2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0295】
【化71】

【0296】
一般的手順Bを使用して、4−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:82mg、質量スペクトル(ES)MH+=346。
【0297】
実施例27:2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0298】
【化72】

【0299】
一般的手順Bを使用して、4−ヒドロキシ−4’−メトキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:82mg、質量スペクトル(ES)MH+=357。
【0300】
実施例28:2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0301】
【化73】

【0302】
一般的手順Bを使用して、4−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:60mg、質量スペクトル(ES)MH+=342。
【0303】
実施例29:2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸
【0304】
【化74】

【0305】
一般的手順Bを使用して、4−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)および2−ブロモメチル−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体3)から、2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸を製造した。収量:56mg、質量スペクトル(ES)MH+=312。
【0306】
実施例30:4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸
【0307】
【化75】

【0308】
一般的手順Bを使用して、4−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル(TCI America,Portland,ORから入手可能)および4−クロロメチル−チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル(中間体4)から、4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸を製造した。収量:71mg、質量スペクトル(ES)MH+=346。
【0309】
実施例31:4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸
【0310】
【化76】

【0311】
一般的手順Bを使用して、4−フェニルフェノール(Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)および4−クロロメチル−チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル(中間体4)から、4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸を製造した。収量:54mg、質量スペクトル(ES)M−OH=294。
【0312】
実施例32:1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸
【0313】
【化77】

【0314】
工程1:1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステル
テトラヒドロフラン(10mL)中に、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸(中間体8;0.134g、0.46mmol)、D−プロリンt−ブチルエステルヒドロクロリド(Bachem;0.22g、1.1mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(Avocado;0.18g、0.95mmol)およびN,N,−ジメチルアミノピリジン(0.166g、1.36mmol)を溶解した溶液を、室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発し、そして水および酢酸エチルを加えた。水性相を酢酸エチルで3回抽出し、一緒にした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、蒸発し、そしてBiotage Flash40精製系を使用して9:1塩化メチレン/アセトンで溶離して精製し、[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸t−ブチルエステルを白色の固体(0.115g、56%)として得た。
【0315】
工程2:1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸
[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸カルボン酸t−ブチルエステル(0.115g、0.26mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液に、トリフルオル酢酸(1mL)を0℃で加えた。溶液を室温に温めさせ、一晩中撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発し、酢酸エチルを加えた。炭酸水素ナトリウム水溶液を注意深く加え、層を分離し、有機層を捨てた。水性層を1M HClでpH2に酸性にし、得られた混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を一緒にし、乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、そして蒸発した。残留物をエーテルで粉砕し、そして固体をろ過して[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸カルボン(64mg、64%)を白色の固体として得た。
【0316】
実施例33:(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸
【0317】
【化78】

【0318】
工程1:(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸エチルエステル
テトラヒドロフラン(10mL)中に、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸(中間体8;0.098g、0.33mmol)、ピペコリン酸エチル(Aldrich;0.139g、0.88mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(Avocado;0.13g、0.68mmol)およびN,N,−ジメチルアミノピリジン(0.083g、0.68mmol)を溶解した溶液を、室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発し、そして水および酢酸エチルを加えた。水性相を酢酸エチルで3回抽出し、一緒にした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、蒸発し、そしてBiotage Flash40精製系を使用して9:1塩化メチレン/アセトンで溶離して精製し、(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸エチルエステルを無色の油(0.085g、59%)として得た。
【0319】
工程2:(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸
テトラヒドロフラン(3mL)およびエタノール(1mL)中に溶解した(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸エチルエステル(0.085g、0.2mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(0.027g、0.64mmol)の水(1mL)溶液を加えた。混合物を室温で一晩中撹拌し、次いで溶媒を減圧下に蒸発した。水および酢酸エチルを加え、混合物を1M HClでpH2に酸性にし、酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、そして蒸発した。残留物をエーテルで粉砕した。エーテルおよび溶存不純物をPasteurピペットによって除去して(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸(66mg、83%)を白色固体として得た。
【0320】
実施例34:1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸
【0321】
【化79】

【0322】
工程1:1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル
メタノールの冷却した溶液(10mL)に、塩化アセチル(1mL)を加え、溶液を室温に温めさせた。シクロロイシン(Aldrich;0.3g、2.3mmol)を加え、その溶液を室温で一晩中撹拌させた。次いで、溶媒を蒸発してシクロロイシンメチルエステルヒドロクロリドをオフホワイトの固体として得、次いで、これをテトラヒドロフラン(5mL)中において5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸(中間体8;0.085g、0.29mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(Avocade;0.128g、0.67mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(0.16g、1.3mmol)と一緒にした。反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発し、水および酢酸エチルを加えた。水性相を酢酸エチルで3回抽出し、一緒にした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、蒸発し、そしてBiotage Flash40精製系を使用して9:1塩化メチレン/アセトンで溶離して精製し、1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸メチルエステルを無色の油(0.085g、59%)として得た。
【0323】
工程2:1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸
1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(0.092g、0.22mmol)をテトラヒドロフラン(3mL)およびメタノール(1mL)中に溶解した溶液に、水酸化リチウム一水和物(0.085g、2.0mmol)の水(1mL)溶液を加えた。混合物を室温で一晩中撹拌し、次いで、溶媒を減圧下に蒸発した。0.5M NaOHを加え、その溶液をエーテルで抽出した。水性層を1M HClで酸性にし、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、そして蒸発して1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸(61mg、69%)を白色の固体として得た。
【0324】
グリコーゲンシンターゼ(GS)効力検定
式(I)の化合物の活性を測定するために次の試験を実施した。
【0325】
ポリスチレン384−ウエルアッセイプレート(BDバイオサイエンセズ)に、30mMのグリシルグリシン(pH7.3緩衝液)中にグリコーゲン(4.32mg/ml)、21.6mMのUDP−グルコース、21.6mMのホスホノ(エノール)ピルベートおよび2.7mMのNADHを含有する12μl/ウエルの基質溶液を加えた。アッセイプレート(カラム5〜24)に、30mMのグリシルグリシン(pH7.3)中で種々の濃度(0〜57μM)の化合物溶液(8μl/ウエル)、40mMのKCl、20mMのMgCl+9.2%のDMSOを加えた。アッセイプレート(カラム3〜24)に、50mMのTris−HCl(pH8.0)、27mMのDTTおよびボビンセラムアルブミン(BSA、0.2mg/ml)中にグリコーゲンシンターゼ(16.88μg/ml)、ピルベートキナーゼ(0.27mg/ml)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(0.27mg/ml)を含有する酵素溶液(12μl/ウエル)を加えた。ブランク対照として、カラム1−2のウエルの上部半分に、グリコーゲンシンターゼを含まない酵素溶液を加えた。カラム1−2のウエルの下部半分に、酵素溶液に加えて、既知活性剤であるグルコース6−ホスフェート(18.9mM)を加えた。反応混合物を37℃で培養した。次いで、Tecan Ultra読取機でアッセイプレートの吸光度を340nmにおいて3分毎に合計30分まで読み取った。
【0326】
酵素活性度(化合物を含むまたは含まない)を反応速度によって計算し、そして1分当りの光学濃度変化(△OD)によって表した。種々の濃度の化合物によるグリコーゲンシンターゼ活性の刺激度%を次の式:
刺激度%=100/R
(式中、Rは化合物の存在下における酵素の反応速度であり、Rは化合物の非存在下における酵素の反応速度である)によって計算した。
【0327】
SC2.0は、酵素活性度の200%を刺激するのに必要とされる化合物濃度と定義される。
【0328】
もちろん、上記の説明は本発明の好ましい態様に関するものであること、および特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更修正をなしうることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩:
【化1】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
pは、0、1または2であり;
sは、0、1または2であり;
ただし、
a)Arがフラニルであるときには、pおよびsはゼロであり、そして化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、本化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、そして
c)Arがチオフェニルであるときには、本化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない)。
【請求項2】
式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩:
【化2】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
pは、0、1または2であり;
ただし、
a)Arがフラニルであるときには、pはゼロであり、そして本化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、本化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、そして
c)Arがチオフェニルであるときには、本化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない)。
【請求項3】
、RおよびRが水素原子である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
nが1であり、そしてRがメチル基、メトキシ基、ハロゲンおよびニトロ基からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項5】
ハロゲンが塩素または臭素である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
mが1であり、R2が塩素原子である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
pが0である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項8】
pが0であり、sが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Arがフェニル、フラニル、チオフェニル、ピリジニルおよびチアゾリルからなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項10】
がヒドロキシル基である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項11】
が、窒素原子を介して本化合物に結合されたプロリンである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項12】
化合物が、
3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;および
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸、
からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項13】
化合物が、
5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;および
5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項14】
化合物が5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、
6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;および
6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項16】
化合物が、
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;および
4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項17】
化合物が、
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸;
(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸;および
1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の式Iの化合物の製造法であって、式(II)
【化3】


(式中、R、R、mおよびnは請求項1に規定される如くである)
の化合物を塩基の存在下に式(III)
【化4】


(式中、Ar、R3、pおよびsは請求項1に規定される如くであり、LGはクロロ、ブロモまたはヨードのような脱離基を表し、R5は保護基を表す)の化合物と反応させ、その後に保護基を開裂して式(I)
【化5】


(式中、Rはヒドロキシを表し、Ar、R〜R3、m、n、pおよびsは請求項1に規定される如くである)の化合物を得、そして
場合により、この化合物をEDCおよびDMAPの存在下にアミノ酸のエステルと反応させ、その後にエステル基を開裂して式I(式中、Rはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸である)の化合物を得ることを含む、製造法。
【請求項19】
請求項18記載の方法によって製造されたときの請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
式(I)
【化6】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩;と、製薬上許容しうるキャリヤおよび/または補助剤とを含む医薬組成物。
【請求項21】
式(Ia)
【化7】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩と、製薬上許容しうるキャリヤおよび/または補助剤とを含む医薬組成物。
【請求項22】
a)Arがフラニルであるときには、pはゼロであり、そして化合物は、S−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボン酸、または5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸のいずれでもなく、
b)Arがフェニルであるときには、化合物は、3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)安息香酸、または2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸のいずれでもなく、
c)Arがチオフェニルであるときには、化合物は、5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸でない、
ことを条件とする請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項23】
、RおよびRが水素原子である、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項24】
nが1であり、Rがメチル基、メトキシ基、ハロゲンおよびニトロ基からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項25】
ハロゲンが塩素または臭素である、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
mが1であり、R2が塩素原子である、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項27】
pが0である、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項28】
Arがフェニル、フラニル、チオフェニル、ピリジニルおよびチアゾリルからなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項29】
がヒドロキシル基である、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項30】
が、窒素原子を介して化合物に結合されたプロリンである、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項31】
化合物が、
3−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
3−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸;および
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−安息香酸、
からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項32】
化合物が、
5−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;
5−(4’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸;および
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項33】
化合物が、
5−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸;および
5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チオフェン−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項34】
化合物が、
6−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸;および
6−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項35】
化合物が、
2−(3−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−3−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−ブロモ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(2’−ニトロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
2−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−4−カルボン酸;
4−(4’−クロロ−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸;および
4−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−チアゾール−2−カルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項36】
化合物が、
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−L−ピロリジン−2−カルボン酸;
1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−D−ピロリジン−2−カルボン酸;
(rac)−1−[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボン酸;および
1−{[5−(ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−シクロペンタンカルボン酸、
からなる群より選ばれる、請求項20または21記載の医薬組成物。
【請求項37】
グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防する方法であって、その治療を必要とする患者に対して、治療上有効量の次の式(I)
【化8】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項38】
疾患が糖尿病である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
薬剤として使用するための、式(I)
【化9】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;及び
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩。
【請求項40】
グリコーゲンシンターゼ酵素の活性化によって媒介される疾患を治療または予防するための薬剤の調製のための、式(I)
【化10】


(式中、
Arは、芳香族炭素環式または複素環式環であり;
、RおよびRは、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオルメチル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノおよびニトロからなる群より選ばれ;
4は、ヒドロキシ、またはアミノ酸の窒素原子を介して結合されたアミノ酸であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
mは、0、1、2、3または4であり;
pは、0、1または2である)の化合物、またはその製薬上許容しうる塩の使用。
【請求項41】
糖尿病を治療または予防するための医薬の調製のための請求項40記載の使用。
【請求項42】
実質的に上に記載した新規な化合物、製法および方法、ならびにかかる化合物の使用。

【公表番号】特表2007−506666(P2007−506666A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515996(P2006−515996)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006611
【国際公開番号】WO2005/000781
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】