ピストンポンプ及びCPU水冷装置
【課題】CPU冷却装置において、遠心ポンプに不可欠なリザーブタンクを不要とし、モータ部発熱が冷却水に伝達されない、低入力、高圧力の薄型ポンプを提供すると共に、水冷ジャケットの熱伝達効率を高め、低騒音で信頼性の高いCPU水冷装置を提供する。
【解決手段】ポンプは容積型の扁平形状ピストンポンプ1とし、非磁性体パイプ8内に永久磁石からなるピストン9,又は16とし、非磁性体パイプの外周に磁性体または永久磁石の駆動体4を設け、更に、その駆動体をリードスクリュー3付きのステッピングモータ2で駆動した。また、ピストンポンプの逆止弁11,13を流体ダイオード17とし、更に又、その流体ダイオードを水冷ジャケット24中に形成しCPU水冷装置とした。
【解決手段】ポンプは容積型の扁平形状ピストンポンプ1とし、非磁性体パイプ8内に永久磁石からなるピストン9,又は16とし、非磁性体パイプの外周に磁性体または永久磁石の駆動体4を設け、更に、その駆動体をリードスクリュー3付きのステッピングモータ2で駆動した。また、ピストンポンプの逆止弁11,13を流体ダイオード17とし、更に又、その流体ダイオードを水冷ジャケット24中に形成しCPU水冷装置とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にパーソナルコンピュータ(以下パソコン)用CPU(中央処理装置)などの冷却に用いるための小型扁平形状としたピストンポンプ、及びそのピストンポンプを用いたCPU水冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水のような液体によりパソコンのCPUを冷却する装置は、一般に、図11に示すように、CPU内で発生する熱を水冷ジャケット101内で液体に伝達し、遠心ポンプ102によりラジエータ103に循環させ、冷却ファン104で空冷させた後、リザーブタンク105に集めた後、再び、遠心ポンプによって水冷ジャケット内に輸送するものであった。このような液体(水)冷却システムでは、大きなスペースを必要とするリザーブタンクを設けることが不可欠なものとなってしまっていた。そのため、ノートブック型パソコン用として利用できる程に薄型化することが困難であった。リザーブタンクが不要で小型化、薄型化が可能な高圧力の得られるポンプには、例えば、
【特許文献1】特開平11−062817に開示されているようなピストンホンプがある。このポンプは、図12に示すように、シリンダ106内でピストン107が吸入弁108と吐出弁109に連動して往復運動して一定容積の液体を送るものであり、リザーブタンクを不要にすることができる。しかしながら、このピストンポンプではクランクシャフト110と駆動モータが大きくなり、薄型化する為には、駆動手段の改善が不可欠であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パソコンのCPUから液体への冷却効果を高めるために、流路抵抗の大きな細い流路を水冷ジャケット内に形成して、熱伝達率を高めるのが良い。しかし、その場合、前述の通り遠心ポンプではリザーブタンクが必要となり、小型化すると圧力を高くすることが難しく、扁平形状の高圧ポンプを得る上で障害の1つとなっていた。遠心ポンプで高圧を出すためには、ポンプの容量を大きくして、効率が低い動作点で使用しなければならないことになって、無駄な電力を消費してしまう欠点があった。さらに、ポンプを回転させる為のモータ自身の発熱が水に伝わり、冷却用循環液の温度を上昇させて、冷却効率の向上を図る点で問題となっていた。又、パソコンでは信頼性の高いより静かなポンプが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記した遠心ポンプの持つ、リザーブタンクが必要で、パソコンのような非常に薄い筐体への組込みが困難であるという欠点を解決するためになされたものであり、その課題とする所は、小容量であっても大きな圧力の出せる容積型の薄型のピストンポンプを提供するものである。また、駆動モータとポンプ部を分離した構造のポンプとすることで、より扁平形状としたポンプを提供するものである。これにより、パソコンへの組込みを容易にすると共に、前記したポンプ駆動モータの発熱が冷却用液体に伝達されることのない構造とすることが出来る。さらに、ポンプの逆止弁に液体ダイオードを採用して、静音、且つ、長寿命で信頼性の高い冷却装置とすることを目的とする。
【0005】
このため、請求項1記載の発明は、シリンダー内のピストンを駆動して、液体を圧送するピストンポンプにおいて、前記シリンダーを非磁性体パイプとなし、該非磁性体パイプの内周に嵌合して摺動する磁性体、又は永久磁石からなるピストンと、外周に嵌合して摺動する永久磁石、又は磁性体からなる駆動体とを具備する如くしたことにある。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記磁性体ピストンは、軸方向に磁化した永久磁石とし、前記駆動体を軟磁性体としたことにある。また、請求項3記載の発明は、前記駆動体の軟磁性体を鉄系の焼結合金としたことにある。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、出力軸に螺旋状の溝を有するステッピングモータもしくはDCモータを、前記非磁性体パイプと平行に配置し、前記駆動体の往動手段として設けた請求項1,2及び3のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0008】
請求項5記載の発明は、前記ピストン体の永久磁石を複数個に分けて設けたことを特徴とする請求項1,2,3及び4のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0009】
また、請求項6記載の発明は、前記スクリューシャフト付きモータを複数個設けたことを特徴とする、請求項1,2,3,4及び5のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0010】
請求項7記載の発明は、前記非磁性体パイプと連結される吸入弁及び吐出弁を、流体ダイオードとしたことを特徴とする、前記請求項1,2,3,4,6及び6のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1つ記載のピストンポンプと、CPUの上部に接触して設けられた水冷ジャケットと、水を冷却する放熱器とによってパソコン用CPU水冷装置を構成したことにある。
【0012】
請求項9記載の発明は、前記流体ダイオードを、前記水冷ジャケット内に設けてなるパソコン用CPU水冷装置としたことにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明は、シリンダを非磁性体の薄肉パイプとなし、またピストンを磁性体又は永久磁石からなるピストンとし、更に、外周に嵌合して摺動する永久磁石又は磁性体の駆動部としたので、パソコンへの組み込みが容易な扁平形状の容積型ポンプが得られ、熱伝達効率を高めるため、大きな管路抵抗を持つ水冷ジャケットに、最小の電力消費によって冷却水を循環させることが出来るポンプとする効果がある。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のピストンポンプにおいて、駆動体を軟磁性体としたので、円筒駆動体の肉厚を小さくすることができ、より扁平形状のポンプとすることができる効果がある。更に、外周部への漏洩磁束を小さくすることができるので、周囲への磁界の影響を無くすことが出来る効果がある。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のピストンポンプにおいて、外周部への漏洩磁束を小さくすることができると共に、駆動体と非磁性体パイプ間に別の摺動部材を設ける必要がなくなり、より扁平構造とすることができ、安価となる効果がある。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記載のピストンポンプにおいて、駆動モータを前記非磁性体パイプと平行に配置し、前記駆動体の往動手段としたので、比磁性体パイプの直径が最大にでき、流量を増加させることのできる効果が得られる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至5記載のピストンポンプにおいて、ピストン体を複数個設けるものとしたので、ポンプの高さを増加させることなく、ポンプ出力を増加させる効果が得られる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至6記載のピストンポンプにおいて、駆動モータを非磁性体パイプと並行させて複数個設けるので、個々のモータ外径を小さくすることができ、パイプ直径を大きく超えることなく、ポンプ出力即ち流量と圧力を増加させることができる効果が得られる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6記載のピストンポンプにおいて、吸入弁と吐出弁を流体ダイオードとしたので、弁の開閉音を無くすことができ、磨耗や破損の恐れがなく、効率が向上し、長寿命で信頼性の高いポンプとする効果が得られる。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7記載のピストンポンプにおいて、該ピストンポンプと、CPUの熱を吸収する水冷ジャケットと、熱水を冷却する放熱器を備えているので、最小の電力消費でノートパソコンのような薄い筐体中に組み込むことができ、最も省スペースで熱交換効率の高いCPU水冷装置が得られると言う効果がある。
【0021】
請求項9記載の発明は、CPU水冷装置に、前記水冷ジャケット内に流体ダイオードを組み込むようにしたので、別に流体ダイオードを設けるスペースが節約され、水冷ジャケット内での熱伝達率を高めることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明ピストンポンプ1Aの一部断面を含むポンプ平面図である。図2は該ピストンポンプ1Aのパイプ側側面を示す前方側面図である。また図3はモータ取り付け面側を示す該ピストンポンプ1Aの左側面図である。図4は該ピストンポンプ1Aの動力伝達部を示す断面図である。図1において、非磁性体パイプ8は、薄肉のステンレスまたは樹脂からなる、液体を吸排出するシリンダとして働くパイプで、その内部に、円筒状の永久磁石9が非磁性体パイプ8の内周に緩やかに嵌合して摺動するように設けられている。また、前記円筒状磁性体9の一端には、逆止弁11が逆支弁ストッパー10と共に設けられている。さらに、吐出管12の入口部にも別の逆止弁13が設けられている。尚、前記円筒状の永久磁石9は、図示していないが、樹脂などにより覆われた防水構造とされているものである。
【0024】
前記非磁性体パイプ8の外周には軟磁性体(または永久磁石)のヨーク5が、樹脂製の駆動体4と一体化されて取り付けられ、前記非磁性体パイプ8と摺動可能な状態で取り付けられている。駆動体4には、図4に示されるような突起台座4aが一体的に設けられており、その平面中央部に設けられた凸部が、図2及び3に示すコの字状フレーム7に、前記非磁性体パイプ8と平行に取り付けられたステッピングモータ又はDCモータ2のスクリューシャフト3の溝とかみ合って、抑えバネ14とネジ15によって保持され、モータ軸の回転により左右に移動するようになされている。尚、この部分の機構はネジを用いるなどの他の方法としても良いものである。また、前記駆動体4はラック、ピニオン機構や、プーリ、ベルト機構などの別の手段によって駆動することも可能である。
【0025】
次に、図1に示す本発明ピストンポンプのポンプ作用について説明する。今、ステッピングモータ又はDCモータ2が所定の回転数で所定時間時計方向に回転すると、そのスクリューシャフト3に係合された前記駆動体台座4aは、左方向に推力を受け、軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5が左方に移動する。またこのとき、モータのスクリューシャフト3は右方向への反力を受けるが、フレーム7に設けられたスラスト受け6によって、その移動が規制されている。前記軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5が移動すると、対向して中心軸方向に磁化されている永久磁石9は、軟磁性体スリーブ5と同方向の力を受け、左方に動くので、逆止弁11は閉じて、永久磁石9と逆止弁11がピストンとなり、非磁性体パイプ8内の左側の液体は排出パイプ12側に圧縮され排出される。
【0026】
次ぎに、ステッピングモータ又はDCモータ2が所定の回転数で所定時間反時計方向に回転すると、そのスクリューシャフト3に係合された前記駆動体台座4aは、右方向に推力を受け、軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5は右方向に移動する。またこのとき、モータのスクリューシャフト3は左方向への反力を受けるが、モータ内のスラスト受けによって移動が規制され、前記軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5と対向して中心軸方向に磁化されている永久磁石9は、軟磁性体スリーブ5と同方向の力を受け、右方向に動くことになる。この時、逆止弁11が開き、同時に前記排出管12内の逆止弁13は閉じて、排出された液体が逆流することなく、また、非磁性体パイプ8内の右側の液体は圧縮されることなく、非磁性体パイプ8内の前記永久磁石9の左側に移動することができる。このとき、永久磁石9には液体の圧縮力が加わらないため、その反力も小さく、モータ内の端部スラスト受けで寿命上の問題を生じることなく、軸移動を規制することができる。
【実施例2】
【0027】
本発明の実施例2を図5の別のピストンポンプ1Bにより説明する。前記非磁性体パイプ8の内周に嵌合して摺動する永久磁石9−1と9−2が、非磁性体スペーサ30を介して一体化されて設けられている。該永久磁石9−1及び9−2夫々に対向する位置に軟磁性体ヨーク5−1及び5−2が、駆動体4と一体に設けられている。本図では永久磁石と軟磁性体ヨーク5−1,5−2との対数が2個の場合を示しているが、更にその数を増すことが可能で、パイプの直径を大きくせずに永久磁石9−1,9−2への動力伝達力を増加することができ、ポンプ圧力を高めることができる。
【実施例3】
【0028】
本発明の実施例3を図6の別のピストンポンプ1Cにより説明する。フレーム7には前記非磁性体パイプ8と平行にステッピングモータ2−1及び2−2が取り付けられている。前記駆動体4に一体に設けられた突起台座4a−1及び4a−2によって、ステッピングモータ2−1及び2−2の出力トルクが前記駆動体4に伝達され、ピストンポンプ1C全体の高さを前記非磁性体パイプ8に近似した最小高さにすることができ、高さを増加させることなく、ポンプの圧力及び流量を最大とすることができる。本ポンプの駆動モータはステッピングモータとしているため、極めて容易に同一パルスレートで駆動させることができ、一方のモータが他方のモータの負荷になることなく同一速度の運転をすることができる。
【実施例4】
【0029】
本発明の実施例4を図7の別のピストンポンプ1D及び図8の液体ダイオード付水冷ジャケットにより説明する。本ピストンポンプ1Dでは、逆止弁を機械的機構を用いずに、流体ダイオード17−1,17−2を利用し、さらに前記非磁性体パイプ8内には円柱状の永久磁石16をピストンとして使用するようにしたものである。
【0030】
図8は、CPUに接触してその熱を吸収するCPU水冷ジャケット23の内部に形成する流路の一例を示している断面図であるが、その流路中に流体ダイオードを設けたものである。以下、該流体ダイオードの働きについて説明する。図8(a)において、吸入口23aに水圧を与えると実線矢印で示すような流路22−4から22−3,22−2,22−1を通り排出口23bに低抵抗の流れが出来る。同時に21−4,21−3,21−2,21−1の細い流路には、極僅かな点線で示される流れが生じる。従って、吸入口23aから排出工23b間の流路抵抗は最小の状態となっている。一方、図8(b)に示すように、排出口23bから吸入口23a方向に水圧がかかると、排出口23bから流れ込もうとする点線で示す流れは、先ず直進して流路21−1の点線で示すように流れ、主流路の22−1の点線で示す流れと衝突して大きな抵抗となり、同様の衝突を流路21−2と22−2、及び21−3と22−3、及び21−4と22−4の各箇所で起すことになり、排出口23bから吸入口23a方向の流れは阻止されるものである。また、このような分岐流路により、金属から水への熱伝達効率を高め、単位流量あたりの吸熱量を増加させる効果が得られる。
【0031】
上に説明した原理の逆止弁となる流体ダイオード17−1を、非磁性体パイプ8の吸入口8a及び排出口8b間に設け、さらに、前記非磁性体パイプ8の吸入口8aには別の流体ダイオード17−2が設けられている。今、ステッピングモータまたはDCモータ2が一定周期で正逆回転すると、駆動体4が左右に駆動され、永久磁石16も左右に運動して、非磁性体パイプ内の液体は、吸入・排出を繰り返して、図の実線で示す方向のポンプとして作用する。ここで、前記流体ダイオード17−1の入り口部には調圧室18が設けられており、低圧の圧縮空気20が封入された後、キャップ19によって封止されている。これにより。永久磁石ピストン16が圧縮方向を変えるときに発生する衝撃圧力を吸収し、衝撃音の発生を防止している。
【実施例5】
【0032】
本発明の実施例5を図9の半波型水冷ジャケット式水冷装置により説明する。図9において、非磁性体パイプ8内の永久磁石ピストン16は、ここに図示していない前記モータにより駆動され、RとL方向の往復ピストン運動をしている。今ピストン16がR方向に動かされると、ポンプ排出口25aから注入される水は、水冷ジャケット24a内に設けられた流体ダイオード24a−1のため、非磁性体パイプ8内のLサイドに戻ろうとする流れが阻止されるので、水冷ジャケット排出口27aから送り出され、ラジエータ29通って、水冷ジャケット吸入口28aに戻され、別の流体ダイオード24a−2を通って、非磁性体パイプ8内のLサイドに戻る。また、ピストン16がL方向に動かされると、ポンプ排出口26aから注入される水は、水冷ジャケット24a内に設けられた流体ダイオード24a−2のため、水冷ジャケット排出口28aからラジエータ29方向への流れは阻止され、流体ダイオード24a−1を通って、非磁性体パイプ8内のRサイドに戻る。この動作の反復によって水冷ジャケットで吸収された熱は、水に伝達され、反サイクルごとにラジエータ29に送られて、放熱冷却される。
【実施例6】
【0033】
次に、本発明の実施例6を図10の全波型水冷ジャケット式水冷装置により説明する。図10において、非磁性体パイプ8内の永久磁石ピストン16は、ここに図示していない前記モータにより駆動され、RとL方向の往復ピストン運動をしている。今ピストン16がR方向に動かされると、ポンプ排出口25bから注入される水は、水冷ジャケット24b内に設けられた4個の流体ダイオードのため、水冷ジャケット吐出口27bから送り出され、ラジエータ29通って、水冷ジャケット吸入口28bに戻され、非磁性体パイプ8内のLサイドに戻る。また、ピストン16がL方向に動かされると、ポンプ排出口26bから注入される水は、水冷ジャケット24b内に設けられた流体ダイオードのため、水冷ジャケット吐出口27bからラジエータ29方向への流れ、非磁性体パイプ8内のRサイドに戻る。この動作の反復によって水冷ジャケットで吸収された熱は、水に伝達され、フルサイクルでラジエータ29に送られて、放熱冷却される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の活用例として、小型燃料電池の燃料や冷却水の循環、薬品類の定量吐出装置に利用すると極めて有効である。特にステッピングモータは定量吐出に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明におけるピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図2】本発明におけるピストンポンプのパイプ側側面を示す前方側面図である。
【図3】本発明におけるピストンポンプのモータ取り付け面側を示す左側面図である。
【図4】本発明におけるピストンポンプの動力伝達部を示す断面図である
【図5】第2実施例のピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図6】第3実施例のピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図7】第4実施例のピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図8】液体ダイオード付水冷ジャケットの断面図。
【図9】本発明における半波型水冷ジャケット式水冷装置の説明図
【図10】本発明における全波型水冷ジャケット式水冷装置の説明図
【図11】従来のパーソナルコンピュータのCPU冷却装置
【図12】従来のピストンポンプ説明図
【符号の説明】
【0036】
1A,1B,1C,1D ピストンポンプ
2 モータ
3 スクリューシャフト
4 駆動体
5 磁性体(軟磁性体又は永久磁石)
6 スラスト受け
7 フレーム
8 非磁性体パイプ
9 永久磁石ピストン
10 弁ストッパ
11,13 逆止弁
16 永久磁石ピストン
17−1,17−2 流体ダイオード
23,24a,24b 水冷ジャケット
29 ラジエータ
101 水冷ジャケット
102 遠心ポンプ
103 ラジエータヒートシンク
104 冷却ファン
105 リザーブタンク
106 シリンダ
107 ピストン
108 吸入弁
109 排出弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にパーソナルコンピュータ(以下パソコン)用CPU(中央処理装置)などの冷却に用いるための小型扁平形状としたピストンポンプ、及びそのピストンポンプを用いたCPU水冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水のような液体によりパソコンのCPUを冷却する装置は、一般に、図11に示すように、CPU内で発生する熱を水冷ジャケット101内で液体に伝達し、遠心ポンプ102によりラジエータ103に循環させ、冷却ファン104で空冷させた後、リザーブタンク105に集めた後、再び、遠心ポンプによって水冷ジャケット内に輸送するものであった。このような液体(水)冷却システムでは、大きなスペースを必要とするリザーブタンクを設けることが不可欠なものとなってしまっていた。そのため、ノートブック型パソコン用として利用できる程に薄型化することが困難であった。リザーブタンクが不要で小型化、薄型化が可能な高圧力の得られるポンプには、例えば、
【特許文献1】特開平11−062817に開示されているようなピストンホンプがある。このポンプは、図12に示すように、シリンダ106内でピストン107が吸入弁108と吐出弁109に連動して往復運動して一定容積の液体を送るものであり、リザーブタンクを不要にすることができる。しかしながら、このピストンポンプではクランクシャフト110と駆動モータが大きくなり、薄型化する為には、駆動手段の改善が不可欠であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パソコンのCPUから液体への冷却効果を高めるために、流路抵抗の大きな細い流路を水冷ジャケット内に形成して、熱伝達率を高めるのが良い。しかし、その場合、前述の通り遠心ポンプではリザーブタンクが必要となり、小型化すると圧力を高くすることが難しく、扁平形状の高圧ポンプを得る上で障害の1つとなっていた。遠心ポンプで高圧を出すためには、ポンプの容量を大きくして、効率が低い動作点で使用しなければならないことになって、無駄な電力を消費してしまう欠点があった。さらに、ポンプを回転させる為のモータ自身の発熱が水に伝わり、冷却用循環液の温度を上昇させて、冷却効率の向上を図る点で問題となっていた。又、パソコンでは信頼性の高いより静かなポンプが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記した遠心ポンプの持つ、リザーブタンクが必要で、パソコンのような非常に薄い筐体への組込みが困難であるという欠点を解決するためになされたものであり、その課題とする所は、小容量であっても大きな圧力の出せる容積型の薄型のピストンポンプを提供するものである。また、駆動モータとポンプ部を分離した構造のポンプとすることで、より扁平形状としたポンプを提供するものである。これにより、パソコンへの組込みを容易にすると共に、前記したポンプ駆動モータの発熱が冷却用液体に伝達されることのない構造とすることが出来る。さらに、ポンプの逆止弁に液体ダイオードを採用して、静音、且つ、長寿命で信頼性の高い冷却装置とすることを目的とする。
【0005】
このため、請求項1記載の発明は、シリンダー内のピストンを駆動して、液体を圧送するピストンポンプにおいて、前記シリンダーを非磁性体パイプとなし、該非磁性体パイプの内周に嵌合して摺動する磁性体、又は永久磁石からなるピストンと、外周に嵌合して摺動する永久磁石、又は磁性体からなる駆動体とを具備する如くしたことにある。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記磁性体ピストンは、軸方向に磁化した永久磁石とし、前記駆動体を軟磁性体としたことにある。また、請求項3記載の発明は、前記駆動体の軟磁性体を鉄系の焼結合金としたことにある。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、出力軸に螺旋状の溝を有するステッピングモータもしくはDCモータを、前記非磁性体パイプと平行に配置し、前記駆動体の往動手段として設けた請求項1,2及び3のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0008】
請求項5記載の発明は、前記ピストン体の永久磁石を複数個に分けて設けたことを特徴とする請求項1,2,3及び4のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0009】
また、請求項6記載の発明は、前記スクリューシャフト付きモータを複数個設けたことを特徴とする、請求項1,2,3,4及び5のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0010】
請求項7記載の発明は、前記非磁性体パイプと連結される吸入弁及び吐出弁を、流体ダイオードとしたことを特徴とする、前記請求項1,2,3,4,6及び6のいずれか1つ記載のピストンポンプとしたことにある。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1つ記載のピストンポンプと、CPUの上部に接触して設けられた水冷ジャケットと、水を冷却する放熱器とによってパソコン用CPU水冷装置を構成したことにある。
【0012】
請求項9記載の発明は、前記流体ダイオードを、前記水冷ジャケット内に設けてなるパソコン用CPU水冷装置としたことにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明は、シリンダを非磁性体の薄肉パイプとなし、またピストンを磁性体又は永久磁石からなるピストンとし、更に、外周に嵌合して摺動する永久磁石又は磁性体の駆動部としたので、パソコンへの組み込みが容易な扁平形状の容積型ポンプが得られ、熱伝達効率を高めるため、大きな管路抵抗を持つ水冷ジャケットに、最小の電力消費によって冷却水を循環させることが出来るポンプとする効果がある。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のピストンポンプにおいて、駆動体を軟磁性体としたので、円筒駆動体の肉厚を小さくすることができ、より扁平形状のポンプとすることができる効果がある。更に、外周部への漏洩磁束を小さくすることができるので、周囲への磁界の影響を無くすことが出来る効果がある。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のピストンポンプにおいて、外周部への漏洩磁束を小さくすることができると共に、駆動体と非磁性体パイプ間に別の摺動部材を設ける必要がなくなり、より扁平構造とすることができ、安価となる効果がある。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記載のピストンポンプにおいて、駆動モータを前記非磁性体パイプと平行に配置し、前記駆動体の往動手段としたので、比磁性体パイプの直径が最大にでき、流量を増加させることのできる効果が得られる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至5記載のピストンポンプにおいて、ピストン体を複数個設けるものとしたので、ポンプの高さを増加させることなく、ポンプ出力を増加させる効果が得られる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至6記載のピストンポンプにおいて、駆動モータを非磁性体パイプと並行させて複数個設けるので、個々のモータ外径を小さくすることができ、パイプ直径を大きく超えることなく、ポンプ出力即ち流量と圧力を増加させることができる効果が得られる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6記載のピストンポンプにおいて、吸入弁と吐出弁を流体ダイオードとしたので、弁の開閉音を無くすことができ、磨耗や破損の恐れがなく、効率が向上し、長寿命で信頼性の高いポンプとする効果が得られる。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7記載のピストンポンプにおいて、該ピストンポンプと、CPUの熱を吸収する水冷ジャケットと、熱水を冷却する放熱器を備えているので、最小の電力消費でノートパソコンのような薄い筐体中に組み込むことができ、最も省スペースで熱交換効率の高いCPU水冷装置が得られると言う効果がある。
【0021】
請求項9記載の発明は、CPU水冷装置に、前記水冷ジャケット内に流体ダイオードを組み込むようにしたので、別に流体ダイオードを設けるスペースが節約され、水冷ジャケット内での熱伝達率を高めることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明ピストンポンプ1Aの一部断面を含むポンプ平面図である。図2は該ピストンポンプ1Aのパイプ側側面を示す前方側面図である。また図3はモータ取り付け面側を示す該ピストンポンプ1Aの左側面図である。図4は該ピストンポンプ1Aの動力伝達部を示す断面図である。図1において、非磁性体パイプ8は、薄肉のステンレスまたは樹脂からなる、液体を吸排出するシリンダとして働くパイプで、その内部に、円筒状の永久磁石9が非磁性体パイプ8の内周に緩やかに嵌合して摺動するように設けられている。また、前記円筒状磁性体9の一端には、逆止弁11が逆支弁ストッパー10と共に設けられている。さらに、吐出管12の入口部にも別の逆止弁13が設けられている。尚、前記円筒状の永久磁石9は、図示していないが、樹脂などにより覆われた防水構造とされているものである。
【0024】
前記非磁性体パイプ8の外周には軟磁性体(または永久磁石)のヨーク5が、樹脂製の駆動体4と一体化されて取り付けられ、前記非磁性体パイプ8と摺動可能な状態で取り付けられている。駆動体4には、図4に示されるような突起台座4aが一体的に設けられており、その平面中央部に設けられた凸部が、図2及び3に示すコの字状フレーム7に、前記非磁性体パイプ8と平行に取り付けられたステッピングモータ又はDCモータ2のスクリューシャフト3の溝とかみ合って、抑えバネ14とネジ15によって保持され、モータ軸の回転により左右に移動するようになされている。尚、この部分の機構はネジを用いるなどの他の方法としても良いものである。また、前記駆動体4はラック、ピニオン機構や、プーリ、ベルト機構などの別の手段によって駆動することも可能である。
【0025】
次に、図1に示す本発明ピストンポンプのポンプ作用について説明する。今、ステッピングモータ又はDCモータ2が所定の回転数で所定時間時計方向に回転すると、そのスクリューシャフト3に係合された前記駆動体台座4aは、左方向に推力を受け、軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5が左方に移動する。またこのとき、モータのスクリューシャフト3は右方向への反力を受けるが、フレーム7に設けられたスラスト受け6によって、その移動が規制されている。前記軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5が移動すると、対向して中心軸方向に磁化されている永久磁石9は、軟磁性体スリーブ5と同方向の力を受け、左方に動くので、逆止弁11は閉じて、永久磁石9と逆止弁11がピストンとなり、非磁性体パイプ8内の左側の液体は排出パイプ12側に圧縮され排出される。
【0026】
次ぎに、ステッピングモータ又はDCモータ2が所定の回転数で所定時間反時計方向に回転すると、そのスクリューシャフト3に係合された前記駆動体台座4aは、右方向に推力を受け、軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5は右方向に移動する。またこのとき、モータのスクリューシャフト3は左方向への反力を受けるが、モータ内のスラスト受けによって移動が規制され、前記軟磁性体(または永久磁石)スリーブ5と対向して中心軸方向に磁化されている永久磁石9は、軟磁性体スリーブ5と同方向の力を受け、右方向に動くことになる。この時、逆止弁11が開き、同時に前記排出管12内の逆止弁13は閉じて、排出された液体が逆流することなく、また、非磁性体パイプ8内の右側の液体は圧縮されることなく、非磁性体パイプ8内の前記永久磁石9の左側に移動することができる。このとき、永久磁石9には液体の圧縮力が加わらないため、その反力も小さく、モータ内の端部スラスト受けで寿命上の問題を生じることなく、軸移動を規制することができる。
【実施例2】
【0027】
本発明の実施例2を図5の別のピストンポンプ1Bにより説明する。前記非磁性体パイプ8の内周に嵌合して摺動する永久磁石9−1と9−2が、非磁性体スペーサ30を介して一体化されて設けられている。該永久磁石9−1及び9−2夫々に対向する位置に軟磁性体ヨーク5−1及び5−2が、駆動体4と一体に設けられている。本図では永久磁石と軟磁性体ヨーク5−1,5−2との対数が2個の場合を示しているが、更にその数を増すことが可能で、パイプの直径を大きくせずに永久磁石9−1,9−2への動力伝達力を増加することができ、ポンプ圧力を高めることができる。
【実施例3】
【0028】
本発明の実施例3を図6の別のピストンポンプ1Cにより説明する。フレーム7には前記非磁性体パイプ8と平行にステッピングモータ2−1及び2−2が取り付けられている。前記駆動体4に一体に設けられた突起台座4a−1及び4a−2によって、ステッピングモータ2−1及び2−2の出力トルクが前記駆動体4に伝達され、ピストンポンプ1C全体の高さを前記非磁性体パイプ8に近似した最小高さにすることができ、高さを増加させることなく、ポンプの圧力及び流量を最大とすることができる。本ポンプの駆動モータはステッピングモータとしているため、極めて容易に同一パルスレートで駆動させることができ、一方のモータが他方のモータの負荷になることなく同一速度の運転をすることができる。
【実施例4】
【0029】
本発明の実施例4を図7の別のピストンポンプ1D及び図8の液体ダイオード付水冷ジャケットにより説明する。本ピストンポンプ1Dでは、逆止弁を機械的機構を用いずに、流体ダイオード17−1,17−2を利用し、さらに前記非磁性体パイプ8内には円柱状の永久磁石16をピストンとして使用するようにしたものである。
【0030】
図8は、CPUに接触してその熱を吸収するCPU水冷ジャケット23の内部に形成する流路の一例を示している断面図であるが、その流路中に流体ダイオードを設けたものである。以下、該流体ダイオードの働きについて説明する。図8(a)において、吸入口23aに水圧を与えると実線矢印で示すような流路22−4から22−3,22−2,22−1を通り排出口23bに低抵抗の流れが出来る。同時に21−4,21−3,21−2,21−1の細い流路には、極僅かな点線で示される流れが生じる。従って、吸入口23aから排出工23b間の流路抵抗は最小の状態となっている。一方、図8(b)に示すように、排出口23bから吸入口23a方向に水圧がかかると、排出口23bから流れ込もうとする点線で示す流れは、先ず直進して流路21−1の点線で示すように流れ、主流路の22−1の点線で示す流れと衝突して大きな抵抗となり、同様の衝突を流路21−2と22−2、及び21−3と22−3、及び21−4と22−4の各箇所で起すことになり、排出口23bから吸入口23a方向の流れは阻止されるものである。また、このような分岐流路により、金属から水への熱伝達効率を高め、単位流量あたりの吸熱量を増加させる効果が得られる。
【0031】
上に説明した原理の逆止弁となる流体ダイオード17−1を、非磁性体パイプ8の吸入口8a及び排出口8b間に設け、さらに、前記非磁性体パイプ8の吸入口8aには別の流体ダイオード17−2が設けられている。今、ステッピングモータまたはDCモータ2が一定周期で正逆回転すると、駆動体4が左右に駆動され、永久磁石16も左右に運動して、非磁性体パイプ内の液体は、吸入・排出を繰り返して、図の実線で示す方向のポンプとして作用する。ここで、前記流体ダイオード17−1の入り口部には調圧室18が設けられており、低圧の圧縮空気20が封入された後、キャップ19によって封止されている。これにより。永久磁石ピストン16が圧縮方向を変えるときに発生する衝撃圧力を吸収し、衝撃音の発生を防止している。
【実施例5】
【0032】
本発明の実施例5を図9の半波型水冷ジャケット式水冷装置により説明する。図9において、非磁性体パイプ8内の永久磁石ピストン16は、ここに図示していない前記モータにより駆動され、RとL方向の往復ピストン運動をしている。今ピストン16がR方向に動かされると、ポンプ排出口25aから注入される水は、水冷ジャケット24a内に設けられた流体ダイオード24a−1のため、非磁性体パイプ8内のLサイドに戻ろうとする流れが阻止されるので、水冷ジャケット排出口27aから送り出され、ラジエータ29通って、水冷ジャケット吸入口28aに戻され、別の流体ダイオード24a−2を通って、非磁性体パイプ8内のLサイドに戻る。また、ピストン16がL方向に動かされると、ポンプ排出口26aから注入される水は、水冷ジャケット24a内に設けられた流体ダイオード24a−2のため、水冷ジャケット排出口28aからラジエータ29方向への流れは阻止され、流体ダイオード24a−1を通って、非磁性体パイプ8内のRサイドに戻る。この動作の反復によって水冷ジャケットで吸収された熱は、水に伝達され、反サイクルごとにラジエータ29に送られて、放熱冷却される。
【実施例6】
【0033】
次に、本発明の実施例6を図10の全波型水冷ジャケット式水冷装置により説明する。図10において、非磁性体パイプ8内の永久磁石ピストン16は、ここに図示していない前記モータにより駆動され、RとL方向の往復ピストン運動をしている。今ピストン16がR方向に動かされると、ポンプ排出口25bから注入される水は、水冷ジャケット24b内に設けられた4個の流体ダイオードのため、水冷ジャケット吐出口27bから送り出され、ラジエータ29通って、水冷ジャケット吸入口28bに戻され、非磁性体パイプ8内のLサイドに戻る。また、ピストン16がL方向に動かされると、ポンプ排出口26bから注入される水は、水冷ジャケット24b内に設けられた流体ダイオードのため、水冷ジャケット吐出口27bからラジエータ29方向への流れ、非磁性体パイプ8内のRサイドに戻る。この動作の反復によって水冷ジャケットで吸収された熱は、水に伝達され、フルサイクルでラジエータ29に送られて、放熱冷却される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の活用例として、小型燃料電池の燃料や冷却水の循環、薬品類の定量吐出装置に利用すると極めて有効である。特にステッピングモータは定量吐出に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明におけるピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図2】本発明におけるピストンポンプのパイプ側側面を示す前方側面図である。
【図3】本発明におけるピストンポンプのモータ取り付け面側を示す左側面図である。
【図4】本発明におけるピストンポンプの動力伝達部を示す断面図である
【図5】第2実施例のピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図6】第3実施例のピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図7】第4実施例のピストンポンプの一部断面を含むポンプ平面図である。
【図8】液体ダイオード付水冷ジャケットの断面図。
【図9】本発明における半波型水冷ジャケット式水冷装置の説明図
【図10】本発明における全波型水冷ジャケット式水冷装置の説明図
【図11】従来のパーソナルコンピュータのCPU冷却装置
【図12】従来のピストンポンプ説明図
【符号の説明】
【0036】
1A,1B,1C,1D ピストンポンプ
2 モータ
3 スクリューシャフト
4 駆動体
5 磁性体(軟磁性体又は永久磁石)
6 スラスト受け
7 フレーム
8 非磁性体パイプ
9 永久磁石ピストン
10 弁ストッパ
11,13 逆止弁
16 永久磁石ピストン
17−1,17−2 流体ダイオード
23,24a,24b 水冷ジャケット
29 ラジエータ
101 水冷ジャケット
102 遠心ポンプ
103 ラジエータヒートシンク
104 冷却ファン
105 リザーブタンク
106 シリンダ
107 ピストン
108 吸入弁
109 排出弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー内のピストンを駆動して、液体を圧送するピストンポンプにおいて、前記シリンダーを非磁性体パイプとなし、該非磁性体パイプの内周に嵌合して摺動する磁性体又は永久磁石からなるピストンと、外周に嵌合して摺動する永久磁石又は磁性体の駆動体とを具備したことを特徴とするピストンポンプ。
【請求項2】
前記磁性体ピストンは、軸方向に磁化した永久磁石となし、前記駆動体を軟磁性体としてなることを特徴とする請求項1記載のピストンポンプ。
【請求項3】
前記駆動体の軟磁性体は、鉄系の焼結合金としたことを特徴とする請求項2記載のピストンポンプ。
【請求項4】
出力軸に螺旋状の溝を有するステッピングモータまたはDCモータを、前記非磁性体パイプと平行に配置し、前記駆動体の往動手段としたことを特徴とする、請求項1,2及び3のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項5】
前記ピストン体を複数個設けたことを特徴とする請求項2,3及び4のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項6】
前記スクリューシャフト付きモータを複数個設けたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項7】
前記非磁性体パイプへの吸入弁及び吐出弁を、流体ダイオードとしたことを特徴とする、前記請求項1乃至6のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つ記載のピストンポンプと、CPUの上部に接触して設けられた水冷ジャケットと、水を冷却する放熱器を具備して成ることを特徴とするコンピュータ用CPU水冷装置。
【請求項9】
前記水冷ジャケット内に、前記流体ダイオードを設けたことを特徴とするコンピュータ用CPU水冷装置。
【請求項1】
シリンダー内のピストンを駆動して、液体を圧送するピストンポンプにおいて、前記シリンダーを非磁性体パイプとなし、該非磁性体パイプの内周に嵌合して摺動する磁性体又は永久磁石からなるピストンと、外周に嵌合して摺動する永久磁石又は磁性体の駆動体とを具備したことを特徴とするピストンポンプ。
【請求項2】
前記磁性体ピストンは、軸方向に磁化した永久磁石となし、前記駆動体を軟磁性体としてなることを特徴とする請求項1記載のピストンポンプ。
【請求項3】
前記駆動体の軟磁性体は、鉄系の焼結合金としたことを特徴とする請求項2記載のピストンポンプ。
【請求項4】
出力軸に螺旋状の溝を有するステッピングモータまたはDCモータを、前記非磁性体パイプと平行に配置し、前記駆動体の往動手段としたことを特徴とする、請求項1,2及び3のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項5】
前記ピストン体を複数個設けたことを特徴とする請求項2,3及び4のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項6】
前記スクリューシャフト付きモータを複数個設けたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項7】
前記非磁性体パイプへの吸入弁及び吐出弁を、流体ダイオードとしたことを特徴とする、前記請求項1乃至6のいずれか1つ記載のピストンポンプ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つ記載のピストンポンプと、CPUの上部に接触して設けられた水冷ジャケットと、水を冷却する放熱器を具備して成ることを特徴とするコンピュータ用CPU水冷装置。
【請求項9】
前記水冷ジャケット内に、前記流体ダイオードを設けたことを特徴とするコンピュータ用CPU水冷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−46304(P2006−46304A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245968(P2004−245968)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(503214416)
【出願人】(504323331)
【出願人】(504323353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(503214416)
【出願人】(504323331)
【出願人】(504323353)
【Fターム(参考)】
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