ファイバーを基にした電界放射型ディスプレイ
電界放射デバイスの形成方法、及び得られた、ファイバーセグメントによって形成されたエミッタを有するデバイス。相当小さな半径を有するチップは、チップを反応液にある期間さらすことによってファイバーセグメント上に形成される。チップは、低い仕事関数を有する伝導性材料でコーティングされてエミッタを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、共有されている2004年1月8日に出願したシリアル番号10/754,365の出願の一部継続出願である。その先願は、すべての目的のために参照によって本願に組込まれる。
【0002】
本発明は、主に電界放射デバイスに関し、より具体的には、導体でコーティングされ、電子を放出するファイバーチップを備える電界放射デバイスを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電界放射デバイスは、一般に、平面パネルディスプレー(FPD)、イオン銃、電子線リソグラフィー、高エネルギー加速器、自由電子レーザー、電子顕微鏡、及びその他同類の様々な適用に見出される。典型的な電界放射デバイスは、カソード及び複数の電界エミッタチップ、並びにエミッタチップに近接して配置されるグリッド及びカソードからさらに離れて配置されるアノードを備える。電圧は、チップからの電子がグリッドを通してアノードへ放出するのを引き起こす。
【0004】
図1は、電子を放出するエミッタ102、エミッタ102から生成された電子の量をコントロールするゲート電極104、及びゲート電極104上に位置するアノード106を有する従来の三極管タイプの電界放射デバイス100の概略構成を示す図である。トランジスターのゲート電極110に印加された電圧に依存する電流は、ソース電極108からエミッタ102に選択的に印加される。エミッタ102からの電子を放出するための高電圧はゲート電極104に印加される。
【0005】
カソード材料の特性はパフォーマンスの予測において重要である。カソード材料は、典型的にMo及びその他同類の金属、或いはSi及びその他同類の半導体である。金属及び半導体材料の場合、放射に必要な制御電圧は比較的高い。高い制御電圧は、カソードチップ上のイオン衝撃及び表面拡散により損害を増大させ、また必要な放出電流密度を生成するのに高出力密度を必要とする。このため、今まで均一な尖ったチップの製造は、特に大きな領域上では、困難で、煩雑、且つ高価であった。
【0006】
ナノスケールコンダクタとして知られている別のタイプのエミッタが、将来的に有用な電子電界エミッタとして最近浮上してきた。ナノスケールコンダクタは、伝導性の微細ナノチューブ(中空)あるいは微細ナノワイヤ(中空でない)である。典型的には、ナノスケールコンダクタは、向きがランダムの、針状あるいはスパゲッティ状のパウダの形をして成長し、容易に或いは都合よく電界エミッタデバイスに組み込まれることができない。このランダムの構成により、電子放出特性は完全には利用されなく、あるいは最適化されていない。多くのナノスケールコンダクタチップは塊の中に埋め込まれているであろう。
【0007】
従って、電界放射デバイスに使用されるエミッタを形成する方法を改善する必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電界放射デバイス用のエミッタを製造する方法、及び、この方法によって製造された、平面パネルディスプレー並びにその他同種のものに使用される電界放射デバイスを提供する。
【0009】
本発明の一側面によれば、エミッタを有するデバイスを形成する方法が提供される。このデバイスの形成は、共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成するステップを含む。導電性材料、通常は仕事関数の低い材料が前記チップアレイ上に成長させられる。誘電体層が前記コーティングされた前記チップアレイ上に成長させられ、前記誘電体層上にはパターン化された電極が形成される。前記誘電体層の一部が除去されて、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、カソードプレート及びアノードプレートを備える電界放射デバイスが提供される。カソードプレートは、共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成し、前記チップアレイ上に導電性材料を成長させ、コーティングされた前記チップアレイ上に誘電体層を成長させ、前記誘電体層上にゲート電極を形成し、前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させることによって形成される。
【0011】
前記アノードプレートは、上に透明な導電性材料が成長した透明な基板を提供し、前記透明な基板上に誘電性スペーサーを形成し、前記誘電性スペーサーの選択的な領域をエッチングして、着色蛍光体を収容するチャンバーを形成することによって形成される。前記アノードプレート及び前記カソードプレートは、エッチングされた前記選択的な領域を、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、エミッタセルを形成するように、共に結合される。
【0012】
前記エミッタセルは真空となるように排気され、そしてシーリングされることができる。得られた電界放射デバイスは周知のコントロール用電子機器と共に使用されて、電界放射デバイスを基にした平面パネルディスプレーを形成することができる。
【0013】
本発明に係る電界エミッタを製造するプロセスは、単純で、複雑でないので、典型的なエミッタ製造プロセスより容易である。本発明のプロセスは、エミッタの形成のために如何なる構造の個別的なパターニングを要求しない。
【0014】
さらに、本発明に係るエミッタを製造するプロセスは、よりよいチップコントロールを提供する。有益なことに、チップは、1μm未満のチップ半径を有するように製作されることができる。本発明の方法を使用して形成されることができる相当小さな半径のチップは、従来の製造法を使用する場合よりもより低い動作電圧で電子が放射されることを可能にする。
【0015】
製造過程において、クリーンルームあるいは他の専門の設備は必要ではない。さらに、本発明のプロセスは、特に大きな単独ピース、70インチ×70インチ級、あるいはさらに大きなサイズの電界エミッタの製造に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図2は、本発明の一実施の形態に係るエミッタアレイのカソードプレート部分を形成するプロセス200を示すフローチャートである。プロセス200は、ガラス(SiO2)、プラスチック及びその他同種のもので作られた、円筒状のロッドあるいはファイバーのような円筒状の部材の束を形成し、又は提供するステップ(S202)を含む。円筒状の部材の束は、それぞれ第1面及び第2面を有する、円筒状部材セグメントのシートにカットされ、又はスライスされる(S204)。
【0017】
各シートの個々の円筒状部材セグメントは研摩されて滑らかな端部を形成することができる(S206)。一実施の形態では、プロセス200はさらにシートの一面あるいは両面を少々変えて、フラットな表面から、より丸い、あるいは曲がった表面に変化する面にシートの表面を形成する。
【0018】
シート内の各部材セグメントの端部はエッチングされてチップを形成する(S208)。円筒状部材セグメントの各シートの1面は、液体浴あるいは液体スプレーの形で反応的な液体にさらされる。一実施の形態では、円筒状部材セグメントのシートは、エッチング液を含む液体槽に少なくとも部分的に浸される。別の実施の形態では、適切なエッチング液は円筒状部材セグメントのシート上にスプレーされる。以下で詳しく説明されるように、エッチング液は各部材セグメント上にチップを形成することを可能にする。さらに、チップが形成された部材セグメントのアレイは、統合電界放出(FE)チップを有するカソード電極を形成するように、金属/導電層でコーティングされることができる(S210)。
【0019】
以下でより詳しく説明されるように、FEチップは、誘電材料の保護膜で覆われることができる(S212)。その後、ゲート電極は誘電体層上に成長させられてパターン化されることができる(S214)。そして、FEチップの一部は、ゲート電極をエッチングマスクとして使用して(即ち、自己整合エッチング)、選択された領域で露出される(S216)。それらの露出されたFEチップは本発明に係るエミッタである。
【0020】
図3は、本発明の一実施の形態に係る円筒状部材302の束300の概略構成を示す図である。一実施の形態では、各円筒状部材302はそれぞれ、ロッド、シリンダー、ファイバーあるいは他の類似の形に作られた部材でありえる。代替的に、円筒状部材は非円形の断面、例えば正方形や、他の多角形の断面を有することができる。
【0021】
複数の円筒状部材302は、各部材の長手軸に沿って共に束ねられる。一実施の形態では、円筒状部材302の束の断面は、ハチの巣のような構成を有することができる。他の実施の形態では、ファイバーの束の断面は正方形か、長方形か、或いは他の適切な断面の構成を有しうる。
【0022】
一実施の形態では、円筒状部材302は、紫外線硬化可能な接着剤及びその他同種の任意の適切な接着剤を使用して束ねられて、束300を形成することができる。有益なことに、円筒状部材302の束300を形成するために、紫外線硬化可能な接着剤を使用する場合、接着剤が硬化される前に、各部材間に存在しうるギャップは接着剤で充填される。束300を構成する個々の円筒状部材302の直径及び長さは、適用によって決定される。
【0023】
図3に示しているように、適切な厚さを保証するために、束300は、一枚または複数枚のシート300aにカットされて、厚さtを有する円筒状部材セグメント302のアレイを形成することができる。発明を制限する意図はないが、一実施の形態では、円筒状部材セグメント302の各シート300aの厚さが、約100μmと数ミリメートルとの間にあり得る。束300は、ダイシングソー及び切断ホイールのような従来の切断技術を使用して、シート300aにカットされることができる。
【0024】
一実施の形態では、シート300a内の個々の円筒状部材セグメント302の直径dは、約9μmのコアサイズ及び約125μmの外径を有する標準のシングルモードファイバーでありえる。一般に、個々の円筒状部材302の直径は、適用に応じて約1mm未満から数ミリメートルの間にある。別の実施の形態では、円筒状部材セグメント302はマルチモードファイバーでありえる。
【0025】
図4A及び図4Bに示すように、円筒状部材セグメント302のシート300aの端部、即ち面304は、本発明の一実施の形態に係るエッチングプロセスを使用して変更されうる。図4Aに示すように、一実施の形態では、変更は、液体槽406を備える液体槽コンテナ400に、シート300aの端部304を入れることにより遂行されることができる。液体槽406は、ファイバーのエッチングに適した任意の所望の化学薬品の配合を含むことができる。一実施の形態では、液体槽406はHF酸408を含むことができる。液体槽406に薄いオイル層が、加えられて、HF酸408の表面に油膜410を形成する。HF酸408の表面上の油膜410の追加は、酸の表面上にバリアを生成してエッチングの深さをコントロールする。一般に、エッチングの深さは端部304の液浸の深さによってコントロールされるが、HF酸は一部の状況ではHF酸に液浸された部分を超えて部材セグメントを「上り」、その結果液浸されていない部分の好ましくないエッチングを引き起こしてしまう。油膜410は、HF酸が油膜を越えて上るのを防ぐことができる。
【0026】
シート300aの端部304は、所望の量のエッチングを行うほどの、特定の持続時間だけ液体槽406に置かれる。望ましいエッチング時間は、シート300aの各部材セグメント302の材質、液体槽406の成分構成及びその濃度の関数である。
【0027】
図5に示すように、一実施の形態では、シート300aの各部材セグメント302(単一の部材セグメント302が明瞭さのために示されている)はそれぞれ、コア領域A1、及びコア領域A1を囲む周辺領域A2を含む。動作中、周辺領域A2がHF酸408と直接にコンタクトし、且つ、HF酸408に対してより多くの露出表面面積を有するため、液体槽406は、コア領域A1に影響する前に周辺領域A2にまず影響する。これは特にコーナー領域506においてその通りである。それは、コーナー領域の上面及び側面が同時に露出されているためである。部材セグメントを形成するのに使用されているファイバーのタイプも、エッチングされる領域が如何に形成されるかを影響する。一部のファイバーのコア領域A1は周辺領域A2よりももっと高純度に作られており、したがって、比較的低純度の領域はエッチング液の影響を受けやすい。円筒状部材セグメント302が液体槽406中に保持される時間は長いほど、エッチングされた領域の傾斜Sが急であり、チップ502が鋭い。
【0028】
チップ502の長さは、油膜410下のHF酸408での、部材セグメント302の液浸の深さによってコントロールされる。しかしながら、チップ502の端部チップ504の鋭さ或いは半径は、部材セグメント302が液体槽406中に保持される時間の長さにコントロールされる。
【0029】
例えば、一実施の形態では、約9μmのコア直径及び125μmの外径を有する部材セグメント302からなるシート300aは、油膜410を有する純粋なHF酸408を含む液体槽406に約10mmの深さで約2時間置かれる。得られたエミッタ構造402は、1μmを大きく下回る半径を有する端部チップ504を有することができる。有益なことに、本発明のエッチングプロセスは製作者が絶えずエッチングプロセスの進行具合をチェックすることができるほど十分に遅いプロセスであり、また所望のサイズの端部チップ504が形成された任意の時点でエッチング槽からシート300aを取り出すことができる。
【0030】
図4Bに示すように、エッチングプロセスを通じて得られた構造はエミッタ402のアレイ404である。アレイ404のサイズは、元々提供されたファイバーの束のサイズにのみ制約されるので、アレイ404は実質的に任意のアレイサイズに設計されることができる。
【0031】
図6A及び図6Bに示しているように、得られたエミッタアレイ404は、蒸着、スパッタリング及びその他同類の周知の成膜技術によって、各エミッタチップ502上に伝導性コーティング604を形成されることができる。
【0032】
伝導性コーティング604は、特定用途に必要な機能性を提供する任意の適切なコーティングでありえる。一実施の形態では、チップ502は、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質炭素及びその他同類の仕事関数の低い金属/導体コーティング604でコーティングされる。仕事関数の低いコーティング604の使用は、低い電圧バイアスでも伝導性の端部チップ504から電子を引き出すことができることを意味する。低い仕事関数のコーティングと鋭いチップとの組み合わせは、電子を放出するための低コスト及びエネルギー効率の可能性を提供する。
【0033】
図7A〜図7Dは、カソードプレート700の形成を完成するプロセスを説明するための図である。エミッタアレイ404をコーティングした後に、誘電体層702はエミッタアレイ404上で形成される。誘電体層702は、重合体、スピン−オン−ガラス(SOG)、SiO2、Si3N4及びその他同類の任意の適切な誘電材料でありえる。誘電体層702は、周知の蒸着、スピン−オン或いはスプレー技術を使用して、コーティングされたエミッタチップ502間のスペースを充填して、エミッタアレイ404上に形成されることができる。
【0034】
図7Bに示しているように、ゲート電極704は誘電体層702上に形成される。そして、ゲート電極704はパターン化されエッチングされる。一実施の形態では、ゲート電極704は、ゲート電極が各エミッタチップ502の周りに形成されるように誘電体層702上にパターン化され、これにより、エミッタセル710内に位置する単列のエミッタを形成する。
【0035】
図7Cに示すように、代替の一実施の形態では、ゲート電極704は誘電体702上に形成され、パターン化され、エッチングされる。この代替の実施の形態では、ゲート電極704は、ゲート電極704が複数のエミッタチップ502の周りに形成されるように誘電体層702上にパターン化され、よって、セル712内に複数列のエミッタを位置させることを可能にする。セル712内に位置するエミッタ402の数は任意な数であり得、所望の適用によってのみ制約される。
【0036】
一実施の形態では、ゲート電極704は自己整合エッチングマスクを提供して、露出領域716を形成するための誘電材料702の除去を可能にする。露出領域716は、所望のエミッタチップ502が誘電材料の下から露出されることを可能にする。露出領域716における材料除去の深さは、少なくとも端部チップ504が誘電材料によってカバーされないような深さである。
【0037】
図8は、本発明の一実施の形態に係るアノードプレートの形成を説明するための図である。アノードプレートの形成は清潔なガラス基板802を提供することを含む。望まれる場合、ガラス基板802上にインジウムスズ酸化物(ITO)及びその他同類の透明伝導性材料804が成長させられパターン化される。次に、SiO2、SOG、重合体及びその他同類の適切な誘電性スペーサー806は、透明伝導性材料804上に成膜される。誘電性スペーサー806は、蒸着、スパッタリング、CVD及びその他の同種の様々な成膜技術を使用して形成されることができる。
【0038】
その後、結果として得られた構造808は、例えばオプティカルリソグラフィ技術あるいは他の類似のパターンニング技術を使用してパターン化されることができる。一実施の形態では、パターンは、例えば図7Dに示しているように形成されたセル712内のFEチップ502のアレイのパターンと一致するように形成される。
【0039】
誘電性スペーサー806における選択的な領域はエッチバックされてチャンバー810を形成する。その後、各チャンバー810はそれぞれ着色蛍光体812で充填されることができる。蛍光体812は赤、緑及び青(RGB)色の蛍光体を含む。その後、得られたアノードプレート814は、以下に説明されるようにカソードプレートと結合されることができる。
【0040】
図9は、本発明の一実施の形態に係る電界放射デバイス(FED)900の構成を示す図である。一旦カソードプレート700及びアノードプレート814を形成すると、2枚のプレートはアライン(align)されることができる。誘電性スペーサー806のエッチングされなかった残り部分は、アノードプレート814上の蛍光体を格納する各チャンバー810がそれぞれ、カソードプレート700上の露出領域716と対応するようにゲート電極704上に位置され、これにより、エミッタセル902を形成する。カソード接点904は、エミッタチップ502のコーティング604とコンタクトし、コーティングされたエミッタチップ502全体が電気的にコンタクトするのをもたらすように、形成され位置される。
【0041】
シールまたはガスケット906は、エミッタセル902をシーリングすることができるように、アノードプレート814とカソードプレート700との間に位置される。その後、エミッタセル902は排気されて真空になりシーリングされる。
【0042】
この構成では、露出されているエミッタチップ502から放出された電子は、加速されてチャンバー810内のRGB蛍光体にぶつかり、着色光の放射を提供することができる。
【0043】
図10は、FED900を採用した実質的に完全なディスプレイシステムの概略構成を示すブロック図である。例えば、レシーバ/アンテナ1002、ビデオコントロール1004、オーディオコントロール1006、デジタルカラー情報1008、スピーカーシステム1010、スキャンニングコントロール1012、チューニングコントロール1014、及び駆動回路1016のような様々なコントロール用電子機器がFED900に加えられ、共にFEDを基にした平面パネルディスプレー装置1000を形成することができる。
【0044】
上記で説明された実施の形態は本発明を例示するが、制限しない。また、当然のことながら、本発明の原理に従って多数の修正及び変更が可能である。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ決められる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】典型的な電界放射デバイスの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るエミッタアレイを形成するプロセスを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る円筒状部材シートの概略構成を示す図である。
【図4A】本発明の一実施の形態に係るエッチング浴の概略図である。
【図4B】本発明の一実施の形態に係るエミッタアレイの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る個別部材セグメントのエッチングプロセスの前後の構成を示す図である。
【図6A】本発明の一実施の形態に係る、コーティングされたエミッタ及びコーティングされたエミッタアレイの概略構成を示す図である。
【図6B】本発明の一実施の形態に係る、コーティングされたエミッタ及びコーティングされたエミッタアレイの概略構成を示す図である。
【図7A】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図7B】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図7C】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図7D】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る、リソグラフィパターニングによって形成された、RGB着色蛍光体を収容するために形成されたチャンバーを有するアノード構造の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る、電界放射デバイスの概略構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る、図9のFEDを使用したシステムの構成を示すブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、共有されている2004年1月8日に出願したシリアル番号10/754,365の出願の一部継続出願である。その先願は、すべての目的のために参照によって本願に組込まれる。
【0002】
本発明は、主に電界放射デバイスに関し、より具体的には、導体でコーティングされ、電子を放出するファイバーチップを備える電界放射デバイスを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電界放射デバイスは、一般に、平面パネルディスプレー(FPD)、イオン銃、電子線リソグラフィー、高エネルギー加速器、自由電子レーザー、電子顕微鏡、及びその他同類の様々な適用に見出される。典型的な電界放射デバイスは、カソード及び複数の電界エミッタチップ、並びにエミッタチップに近接して配置されるグリッド及びカソードからさらに離れて配置されるアノードを備える。電圧は、チップからの電子がグリッドを通してアノードへ放出するのを引き起こす。
【0004】
図1は、電子を放出するエミッタ102、エミッタ102から生成された電子の量をコントロールするゲート電極104、及びゲート電極104上に位置するアノード106を有する従来の三極管タイプの電界放射デバイス100の概略構成を示す図である。トランジスターのゲート電極110に印加された電圧に依存する電流は、ソース電極108からエミッタ102に選択的に印加される。エミッタ102からの電子を放出するための高電圧はゲート電極104に印加される。
【0005】
カソード材料の特性はパフォーマンスの予測において重要である。カソード材料は、典型的にMo及びその他同類の金属、或いはSi及びその他同類の半導体である。金属及び半導体材料の場合、放射に必要な制御電圧は比較的高い。高い制御電圧は、カソードチップ上のイオン衝撃及び表面拡散により損害を増大させ、また必要な放出電流密度を生成するのに高出力密度を必要とする。このため、今まで均一な尖ったチップの製造は、特に大きな領域上では、困難で、煩雑、且つ高価であった。
【0006】
ナノスケールコンダクタとして知られている別のタイプのエミッタが、将来的に有用な電子電界エミッタとして最近浮上してきた。ナノスケールコンダクタは、伝導性の微細ナノチューブ(中空)あるいは微細ナノワイヤ(中空でない)である。典型的には、ナノスケールコンダクタは、向きがランダムの、針状あるいはスパゲッティ状のパウダの形をして成長し、容易に或いは都合よく電界エミッタデバイスに組み込まれることができない。このランダムの構成により、電子放出特性は完全には利用されなく、あるいは最適化されていない。多くのナノスケールコンダクタチップは塊の中に埋め込まれているであろう。
【0007】
従って、電界放射デバイスに使用されるエミッタを形成する方法を改善する必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電界放射デバイス用のエミッタを製造する方法、及び、この方法によって製造された、平面パネルディスプレー並びにその他同種のものに使用される電界放射デバイスを提供する。
【0009】
本発明の一側面によれば、エミッタを有するデバイスを形成する方法が提供される。このデバイスの形成は、共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成するステップを含む。導電性材料、通常は仕事関数の低い材料が前記チップアレイ上に成長させられる。誘電体層が前記コーティングされた前記チップアレイ上に成長させられ、前記誘電体層上にはパターン化された電極が形成される。前記誘電体層の一部が除去されて、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、カソードプレート及びアノードプレートを備える電界放射デバイスが提供される。カソードプレートは、共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成し、前記チップアレイ上に導電性材料を成長させ、コーティングされた前記チップアレイ上に誘電体層を成長させ、前記誘電体層上にゲート電極を形成し、前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させることによって形成される。
【0011】
前記アノードプレートは、上に透明な導電性材料が成長した透明な基板を提供し、前記透明な基板上に誘電性スペーサーを形成し、前記誘電性スペーサーの選択的な領域をエッチングして、着色蛍光体を収容するチャンバーを形成することによって形成される。前記アノードプレート及び前記カソードプレートは、エッチングされた前記選択的な領域を、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、エミッタセルを形成するように、共に結合される。
【0012】
前記エミッタセルは真空となるように排気され、そしてシーリングされることができる。得られた電界放射デバイスは周知のコントロール用電子機器と共に使用されて、電界放射デバイスを基にした平面パネルディスプレーを形成することができる。
【0013】
本発明に係る電界エミッタを製造するプロセスは、単純で、複雑でないので、典型的なエミッタ製造プロセスより容易である。本発明のプロセスは、エミッタの形成のために如何なる構造の個別的なパターニングを要求しない。
【0014】
さらに、本発明に係るエミッタを製造するプロセスは、よりよいチップコントロールを提供する。有益なことに、チップは、1μm未満のチップ半径を有するように製作されることができる。本発明の方法を使用して形成されることができる相当小さな半径のチップは、従来の製造法を使用する場合よりもより低い動作電圧で電子が放射されることを可能にする。
【0015】
製造過程において、クリーンルームあるいは他の専門の設備は必要ではない。さらに、本発明のプロセスは、特に大きな単独ピース、70インチ×70インチ級、あるいはさらに大きなサイズの電界エミッタの製造に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図2は、本発明の一実施の形態に係るエミッタアレイのカソードプレート部分を形成するプロセス200を示すフローチャートである。プロセス200は、ガラス(SiO2)、プラスチック及びその他同種のもので作られた、円筒状のロッドあるいはファイバーのような円筒状の部材の束を形成し、又は提供するステップ(S202)を含む。円筒状の部材の束は、それぞれ第1面及び第2面を有する、円筒状部材セグメントのシートにカットされ、又はスライスされる(S204)。
【0017】
各シートの個々の円筒状部材セグメントは研摩されて滑らかな端部を形成することができる(S206)。一実施の形態では、プロセス200はさらにシートの一面あるいは両面を少々変えて、フラットな表面から、より丸い、あるいは曲がった表面に変化する面にシートの表面を形成する。
【0018】
シート内の各部材セグメントの端部はエッチングされてチップを形成する(S208)。円筒状部材セグメントの各シートの1面は、液体浴あるいは液体スプレーの形で反応的な液体にさらされる。一実施の形態では、円筒状部材セグメントのシートは、エッチング液を含む液体槽に少なくとも部分的に浸される。別の実施の形態では、適切なエッチング液は円筒状部材セグメントのシート上にスプレーされる。以下で詳しく説明されるように、エッチング液は各部材セグメント上にチップを形成することを可能にする。さらに、チップが形成された部材セグメントのアレイは、統合電界放出(FE)チップを有するカソード電極を形成するように、金属/導電層でコーティングされることができる(S210)。
【0019】
以下でより詳しく説明されるように、FEチップは、誘電材料の保護膜で覆われることができる(S212)。その後、ゲート電極は誘電体層上に成長させられてパターン化されることができる(S214)。そして、FEチップの一部は、ゲート電極をエッチングマスクとして使用して(即ち、自己整合エッチング)、選択された領域で露出される(S216)。それらの露出されたFEチップは本発明に係るエミッタである。
【0020】
図3は、本発明の一実施の形態に係る円筒状部材302の束300の概略構成を示す図である。一実施の形態では、各円筒状部材302はそれぞれ、ロッド、シリンダー、ファイバーあるいは他の類似の形に作られた部材でありえる。代替的に、円筒状部材は非円形の断面、例えば正方形や、他の多角形の断面を有することができる。
【0021】
複数の円筒状部材302は、各部材の長手軸に沿って共に束ねられる。一実施の形態では、円筒状部材302の束の断面は、ハチの巣のような構成を有することができる。他の実施の形態では、ファイバーの束の断面は正方形か、長方形か、或いは他の適切な断面の構成を有しうる。
【0022】
一実施の形態では、円筒状部材302は、紫外線硬化可能な接着剤及びその他同種の任意の適切な接着剤を使用して束ねられて、束300を形成することができる。有益なことに、円筒状部材302の束300を形成するために、紫外線硬化可能な接着剤を使用する場合、接着剤が硬化される前に、各部材間に存在しうるギャップは接着剤で充填される。束300を構成する個々の円筒状部材302の直径及び長さは、適用によって決定される。
【0023】
図3に示しているように、適切な厚さを保証するために、束300は、一枚または複数枚のシート300aにカットされて、厚さtを有する円筒状部材セグメント302のアレイを形成することができる。発明を制限する意図はないが、一実施の形態では、円筒状部材セグメント302の各シート300aの厚さが、約100μmと数ミリメートルとの間にあり得る。束300は、ダイシングソー及び切断ホイールのような従来の切断技術を使用して、シート300aにカットされることができる。
【0024】
一実施の形態では、シート300a内の個々の円筒状部材セグメント302の直径dは、約9μmのコアサイズ及び約125μmの外径を有する標準のシングルモードファイバーでありえる。一般に、個々の円筒状部材302の直径は、適用に応じて約1mm未満から数ミリメートルの間にある。別の実施の形態では、円筒状部材セグメント302はマルチモードファイバーでありえる。
【0025】
図4A及び図4Bに示すように、円筒状部材セグメント302のシート300aの端部、即ち面304は、本発明の一実施の形態に係るエッチングプロセスを使用して変更されうる。図4Aに示すように、一実施の形態では、変更は、液体槽406を備える液体槽コンテナ400に、シート300aの端部304を入れることにより遂行されることができる。液体槽406は、ファイバーのエッチングに適した任意の所望の化学薬品の配合を含むことができる。一実施の形態では、液体槽406はHF酸408を含むことができる。液体槽406に薄いオイル層が、加えられて、HF酸408の表面に油膜410を形成する。HF酸408の表面上の油膜410の追加は、酸の表面上にバリアを生成してエッチングの深さをコントロールする。一般に、エッチングの深さは端部304の液浸の深さによってコントロールされるが、HF酸は一部の状況ではHF酸に液浸された部分を超えて部材セグメントを「上り」、その結果液浸されていない部分の好ましくないエッチングを引き起こしてしまう。油膜410は、HF酸が油膜を越えて上るのを防ぐことができる。
【0026】
シート300aの端部304は、所望の量のエッチングを行うほどの、特定の持続時間だけ液体槽406に置かれる。望ましいエッチング時間は、シート300aの各部材セグメント302の材質、液体槽406の成分構成及びその濃度の関数である。
【0027】
図5に示すように、一実施の形態では、シート300aの各部材セグメント302(単一の部材セグメント302が明瞭さのために示されている)はそれぞれ、コア領域A1、及びコア領域A1を囲む周辺領域A2を含む。動作中、周辺領域A2がHF酸408と直接にコンタクトし、且つ、HF酸408に対してより多くの露出表面面積を有するため、液体槽406は、コア領域A1に影響する前に周辺領域A2にまず影響する。これは特にコーナー領域506においてその通りである。それは、コーナー領域の上面及び側面が同時に露出されているためである。部材セグメントを形成するのに使用されているファイバーのタイプも、エッチングされる領域が如何に形成されるかを影響する。一部のファイバーのコア領域A1は周辺領域A2よりももっと高純度に作られており、したがって、比較的低純度の領域はエッチング液の影響を受けやすい。円筒状部材セグメント302が液体槽406中に保持される時間は長いほど、エッチングされた領域の傾斜Sが急であり、チップ502が鋭い。
【0028】
チップ502の長さは、油膜410下のHF酸408での、部材セグメント302の液浸の深さによってコントロールされる。しかしながら、チップ502の端部チップ504の鋭さ或いは半径は、部材セグメント302が液体槽406中に保持される時間の長さにコントロールされる。
【0029】
例えば、一実施の形態では、約9μmのコア直径及び125μmの外径を有する部材セグメント302からなるシート300aは、油膜410を有する純粋なHF酸408を含む液体槽406に約10mmの深さで約2時間置かれる。得られたエミッタ構造402は、1μmを大きく下回る半径を有する端部チップ504を有することができる。有益なことに、本発明のエッチングプロセスは製作者が絶えずエッチングプロセスの進行具合をチェックすることができるほど十分に遅いプロセスであり、また所望のサイズの端部チップ504が形成された任意の時点でエッチング槽からシート300aを取り出すことができる。
【0030】
図4Bに示すように、エッチングプロセスを通じて得られた構造はエミッタ402のアレイ404である。アレイ404のサイズは、元々提供されたファイバーの束のサイズにのみ制約されるので、アレイ404は実質的に任意のアレイサイズに設計されることができる。
【0031】
図6A及び図6Bに示しているように、得られたエミッタアレイ404は、蒸着、スパッタリング及びその他同類の周知の成膜技術によって、各エミッタチップ502上に伝導性コーティング604を形成されることができる。
【0032】
伝導性コーティング604は、特定用途に必要な機能性を提供する任意の適切なコーティングでありえる。一実施の形態では、チップ502は、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質炭素及びその他同類の仕事関数の低い金属/導体コーティング604でコーティングされる。仕事関数の低いコーティング604の使用は、低い電圧バイアスでも伝導性の端部チップ504から電子を引き出すことができることを意味する。低い仕事関数のコーティングと鋭いチップとの組み合わせは、電子を放出するための低コスト及びエネルギー効率の可能性を提供する。
【0033】
図7A〜図7Dは、カソードプレート700の形成を完成するプロセスを説明するための図である。エミッタアレイ404をコーティングした後に、誘電体層702はエミッタアレイ404上で形成される。誘電体層702は、重合体、スピン−オン−ガラス(SOG)、SiO2、Si3N4及びその他同類の任意の適切な誘電材料でありえる。誘電体層702は、周知の蒸着、スピン−オン或いはスプレー技術を使用して、コーティングされたエミッタチップ502間のスペースを充填して、エミッタアレイ404上に形成されることができる。
【0034】
図7Bに示しているように、ゲート電極704は誘電体層702上に形成される。そして、ゲート電極704はパターン化されエッチングされる。一実施の形態では、ゲート電極704は、ゲート電極が各エミッタチップ502の周りに形成されるように誘電体層702上にパターン化され、これにより、エミッタセル710内に位置する単列のエミッタを形成する。
【0035】
図7Cに示すように、代替の一実施の形態では、ゲート電極704は誘電体702上に形成され、パターン化され、エッチングされる。この代替の実施の形態では、ゲート電極704は、ゲート電極704が複数のエミッタチップ502の周りに形成されるように誘電体層702上にパターン化され、よって、セル712内に複数列のエミッタを位置させることを可能にする。セル712内に位置するエミッタ402の数は任意な数であり得、所望の適用によってのみ制約される。
【0036】
一実施の形態では、ゲート電極704は自己整合エッチングマスクを提供して、露出領域716を形成するための誘電材料702の除去を可能にする。露出領域716は、所望のエミッタチップ502が誘電材料の下から露出されることを可能にする。露出領域716における材料除去の深さは、少なくとも端部チップ504が誘電材料によってカバーされないような深さである。
【0037】
図8は、本発明の一実施の形態に係るアノードプレートの形成を説明するための図である。アノードプレートの形成は清潔なガラス基板802を提供することを含む。望まれる場合、ガラス基板802上にインジウムスズ酸化物(ITO)及びその他同類の透明伝導性材料804が成長させられパターン化される。次に、SiO2、SOG、重合体及びその他同類の適切な誘電性スペーサー806は、透明伝導性材料804上に成膜される。誘電性スペーサー806は、蒸着、スパッタリング、CVD及びその他の同種の様々な成膜技術を使用して形成されることができる。
【0038】
その後、結果として得られた構造808は、例えばオプティカルリソグラフィ技術あるいは他の類似のパターンニング技術を使用してパターン化されることができる。一実施の形態では、パターンは、例えば図7Dに示しているように形成されたセル712内のFEチップ502のアレイのパターンと一致するように形成される。
【0039】
誘電性スペーサー806における選択的な領域はエッチバックされてチャンバー810を形成する。その後、各チャンバー810はそれぞれ着色蛍光体812で充填されることができる。蛍光体812は赤、緑及び青(RGB)色の蛍光体を含む。その後、得られたアノードプレート814は、以下に説明されるようにカソードプレートと結合されることができる。
【0040】
図9は、本発明の一実施の形態に係る電界放射デバイス(FED)900の構成を示す図である。一旦カソードプレート700及びアノードプレート814を形成すると、2枚のプレートはアライン(align)されることができる。誘電性スペーサー806のエッチングされなかった残り部分は、アノードプレート814上の蛍光体を格納する各チャンバー810がそれぞれ、カソードプレート700上の露出領域716と対応するようにゲート電極704上に位置され、これにより、エミッタセル902を形成する。カソード接点904は、エミッタチップ502のコーティング604とコンタクトし、コーティングされたエミッタチップ502全体が電気的にコンタクトするのをもたらすように、形成され位置される。
【0041】
シールまたはガスケット906は、エミッタセル902をシーリングすることができるように、アノードプレート814とカソードプレート700との間に位置される。その後、エミッタセル902は排気されて真空になりシーリングされる。
【0042】
この構成では、露出されているエミッタチップ502から放出された電子は、加速されてチャンバー810内のRGB蛍光体にぶつかり、着色光の放射を提供することができる。
【0043】
図10は、FED900を採用した実質的に完全なディスプレイシステムの概略構成を示すブロック図である。例えば、レシーバ/アンテナ1002、ビデオコントロール1004、オーディオコントロール1006、デジタルカラー情報1008、スピーカーシステム1010、スキャンニングコントロール1012、チューニングコントロール1014、及び駆動回路1016のような様々なコントロール用電子機器がFED900に加えられ、共にFEDを基にした平面パネルディスプレー装置1000を形成することができる。
【0044】
上記で説明された実施の形態は本発明を例示するが、制限しない。また、当然のことながら、本発明の原理に従って多数の修正及び変更が可能である。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ決められる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】典型的な電界放射デバイスの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るエミッタアレイを形成するプロセスを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る円筒状部材シートの概略構成を示す図である。
【図4A】本発明の一実施の形態に係るエッチング浴の概略図である。
【図4B】本発明の一実施の形態に係るエミッタアレイの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る個別部材セグメントのエッチングプロセスの前後の構成を示す図である。
【図6A】本発明の一実施の形態に係る、コーティングされたエミッタ及びコーティングされたエミッタアレイの概略構成を示す図である。
【図6B】本発明の一実施の形態に係る、コーティングされたエミッタ及びコーティングされたエミッタアレイの概略構成を示す図である。
【図7A】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図7B】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図7C】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図7D】本発明の一実施の形態に係るカソードプレートを形成するプロセスを概略的に説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る、リソグラフィパターニングによって形成された、RGB着色蛍光体を収容するために形成されたチャンバーを有するアノード構造の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る、電界放射デバイスの概略構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る、図9のFEDを使用したシステムの構成を示すブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成するステップと、
前記チップアレイ上に導電性材料を成長させるステップと、
コーティングされた前記チップアレイ上に誘電体層を成長させるステップと、
前記誘電体層上にゲート電極を形成するステップと、
前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させるステップと、を含むエミッタを有するデバイスの形成方法。
【請求項2】
前記反応液が、HF酸の浴を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応液が、HF酸のスプレーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
共に束ねられた前記ファイバーセグメントが、ファイバーセグメントのシートを備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性材料が、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質カーボン、及びこれらの混合物からなる群の中から選択されるいずれか1つの仕事関数の低い導体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記チップが、各々1μm未満のチップ半径を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上に透明な導電性材料が成長した透明な基板を提供するステップと、
前記透明な基板上に誘電性スペーサーを形成するステップと、
前記誘電性スペーサーの選択的な領域をエッチングして、着色蛍光体を収容するチャンバーを形成するステップと、
エッチングされた前記選択的な領域を、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、チップセルアレイ構造を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記透明な導電性材料が、パターン化された透明な導電性材料を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記チップセルアレイ構造を排気して真空にした後に該チップセルアレイ構造をシーリングするステップをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成し、
前記チップアレイ上に導電性材料を成長させ、
コーティングされた前記チップアレイ上に誘電体層を成長させ、
前記誘電体層上にゲート電極を形成し、
前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させることによって形成されたカソードプレートと、
上に透明な導電性材料が成長した透明な基板を提供し、
前記透明な基板上に誘電性スペーサーを形成し、
前記誘電性スペーサーの選択的な領域をエッチングして、着色蛍光体を収容するチャンバーを形成することによって形成されたアノードプレートと、を備え、
前記アノードプレート及び前記カソードプレートは、エッチングされた前記選択的な領域を、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、チップセルアレイ構造を形成するように、一緒に結合される電界放射デバイス。
【請求項11】
前記チップセルアレイ構造が、該チップセルアレイ構造が真空となるように排気されることを可能にするためのシールを備える請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項12】
前記反応液が、HF酸の浴を含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項13】
前記反応液が、HF酸のスプレーを含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項14】
共に束ねられた前記ファイバーセグメントが、ファイバーセグメントのシートを備える請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項15】
前記導電性材料が、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質カーボン、及びこれらの混合物からなる群の中から選択されるいずれか1つの仕事関数の低い導体を含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項16】
前記チップが、各々1μm未満のチップ半径を有する請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項17】
前記透明な導電性材料が、パターン化された透明な導電性材料を含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項18】
1枚の、それぞれ第1の端部を有する複数のファイバーセグメントを提供するステップと、
前記ファイバーセグメントの前記第1の端部を反応液にさらし、該反応液と反応させて、各前記第1の端部にチップを形成するステップと、
前記チップ上に導電性材料を成長させるステップと、
コーティングされた前記チップ上に誘電体層を成長させるステップと、
前記誘電体層上にゲート電極を形成するステップと、
前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップの少なくとも一部を露出させるステップと、
着色蛍光体を収容するチャンバーを有するアノードプレートを提供するステップと、
前記チャンバーを、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、エミッタセルを形成するステップと、を含むエミッタを有するデバイスの製造方法。
【請求項19】
前記反応液が、HF酸の浴を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応液が、HF酸のスプレーを含む請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記導電性材料が、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質カーボン、及びこれらの混合物からなる群の中から選択されるいずれか1つの仕事関数の低い導体を含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記チップが、各々1μm未満のチップ半径を有する請求項18に記載の方法。
【請求項1】
共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成するステップと、
前記チップアレイ上に導電性材料を成長させるステップと、
コーティングされた前記チップアレイ上に誘電体層を成長させるステップと、
前記誘電体層上にゲート電極を形成するステップと、
前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させるステップと、を含むエミッタを有するデバイスの形成方法。
【請求項2】
前記反応液が、HF酸の浴を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応液が、HF酸のスプレーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
共に束ねられた前記ファイバーセグメントが、ファイバーセグメントのシートを備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性材料が、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質カーボン、及びこれらの混合物からなる群の中から選択されるいずれか1つの仕事関数の低い導体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記チップが、各々1μm未満のチップ半径を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上に透明な導電性材料が成長した透明な基板を提供するステップと、
前記透明な基板上に誘電性スペーサーを形成するステップと、
前記誘電性スペーサーの選択的な領域をエッチングして、着色蛍光体を収容するチャンバーを形成するステップと、
エッチングされた前記選択的な領域を、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、チップセルアレイ構造を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記透明な導電性材料が、パターン化された透明な導電性材料を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記チップセルアレイ構造を排気して真空にした後に該チップセルアレイ構造をシーリングするステップをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
共に束ねられたファイバーセグメントの一端を反応液にさらし、該反応液と反応させて、共に束ねられたチップアレイを形成し、
前記チップアレイ上に導電性材料を成長させ、
コーティングされた前記チップアレイ上に誘電体層を成長させ、
前記誘電体層上にゲート電極を形成し、
前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップアレイからコーティングされたチップの少なくとも一部を露出させることによって形成されたカソードプレートと、
上に透明な導電性材料が成長した透明な基板を提供し、
前記透明な基板上に誘電性スペーサーを形成し、
前記誘電性スペーサーの選択的な領域をエッチングして、着色蛍光体を収容するチャンバーを形成することによって形成されたアノードプレートと、を備え、
前記アノードプレート及び前記カソードプレートは、エッチングされた前記選択的な領域を、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、チップセルアレイ構造を形成するように、一緒に結合される電界放射デバイス。
【請求項11】
前記チップセルアレイ構造が、該チップセルアレイ構造が真空となるように排気されることを可能にするためのシールを備える請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項12】
前記反応液が、HF酸の浴を含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項13】
前記反応液が、HF酸のスプレーを含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項14】
共に束ねられた前記ファイバーセグメントが、ファイバーセグメントのシートを備える請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項15】
前記導電性材料が、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質カーボン、及びこれらの混合物からなる群の中から選択されるいずれか1つの仕事関数の低い導体を含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項16】
前記チップが、各々1μm未満のチップ半径を有する請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項17】
前記透明な導電性材料が、パターン化された透明な導電性材料を含む請求項10に記載の電界放射デバイス。
【請求項18】
1枚の、それぞれ第1の端部を有する複数のファイバーセグメントを提供するステップと、
前記ファイバーセグメントの前記第1の端部を反応液にさらし、該反応液と反応させて、各前記第1の端部にチップを形成するステップと、
前記チップ上に導電性材料を成長させるステップと、
コーティングされた前記チップ上に誘電体層を成長させるステップと、
前記誘電体層上にゲート電極を形成するステップと、
前記誘電体層の一部を除去して、コーティングされた前記チップの少なくとも一部を露出させるステップと、
着色蛍光体を収容するチャンバーを有するアノードプレートを提供するステップと、
前記チャンバーを、露出され、コーティングされた前記チップと整列させて、エミッタセルを形成するステップと、を含むエミッタを有するデバイスの製造方法。
【請求項19】
前記反応液が、HF酸の浴を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応液が、HF酸のスプレーを含む請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記導電性材料が、Mo、Ni、Cr、Cu、Au、Pt、Ir、Pd、Ti、Al、W、非晶質カーボン、及びこれらの混合物からなる群の中から選択されるいずれか1つの仕事関数の低い導体を含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記チップが、各々1μm未満のチップ半径を有する請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−518241(P2007−518241A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549280(P2006−549280)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/041558
【国際公開番号】WO2005/069781
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506207462)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/041558
【国際公開番号】WO2005/069781
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506207462)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]