説明

ファクシミリサーバ

【課題】配信先ディレクトリが登録されていない場合やクライアントパソコンが稼働していないときでも、受信画像データを配信することができるファクシミリサーバを提供する。
【解決手段】FAXを受信した場合、受信画像データを画像メモリに蓄積した(ステップ202)後、受信情報が配信管理テーブルに登録されているか否かを判定する(ステップ203)。受信情報が配信管理テーブルに登録されていない場合には、受信画像データを電子メールにより宛先情報に含まれている宛先に送信する(ステップ204)。一方、受信情報が登録されている場合には、現在時刻がその配信時間帯内であり、配信先のPCが稼働している場合にのみ、画像メモリに蓄積されている画像データを登録された画像ファイル形式に変換した(ステップ208)後、登録された配信先ホストの指定されたフォルダに配信する(ステップ209)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LAN等の通信ネットワークに接続可能なファクシミリサーバに関し、特にファクシミリ受信画像をクライアントその他の端末のディレクトリへ配信する機能を備えたファクシミリサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、オフィスなどにおいて、ファクシミリスステムが普及してきており、データ通信上有益な役割を果たしている。このようなシステムは、例えば、LANなどの通信ネットワークにより、ファクシミリサーバや端末装置いわゆるクライアントパソコンなどを接続して構成されており、ファクシミリサーバは、ファクシミリ受信したデータをクライアントパソコンに転送したり、クライアントパソコンから転送先を指定したデータを受信すると、受信したデータを指定された転送先に送信するようになっている。
【0003】
このようなファクシミリサーバにおいて、ファクシミリ通信により受信した画像データは、ファクシミリの宛先情報に基づいてクライアントパソコンへ直接的に伝送されるか、または、自機の記憶部に記憶しておき、クライアントからの要求に応じて対応する画像データを伝送するようになっている。
【0004】
ところが、ファクシミリ受信した画像データをメールによりクライアントパソコンに転送する場合、ユーザが画像データを自機パソコンのフォルダに所望の形式で保存したいと思ったときには、ユーザがメールを開き、添付ファイルを開いた後、所望のファイル形式に変換してフォルダに保存しなければならず、手間がかかっていた。
【0005】
また、ファクシミリサーバが所定の格納場所に画像データを一時的に記憶し、ユーザがファクシミリサーバの格納場所にアクセスして画像データを取り込む場合には、ユーザがアクセスするまで画像データをファクシミリサーバに保存しなければならず、受信原稿の数量が多いような場合には、大容量の記憶部を必要とし、装置全体が大型化するという、問題があった。
【0006】
このため、発信者情報や宛先情報等の受信情報に基づいて画像データをLANに接続されたクライアントパソコンなどの指定ディレクトリに配信することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−151889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来のファクシミリサーバでは、受信画像データをLANに接続されたクライアントパソコンなどの指定ディレクトリに配信するようにしているが、クライアントパソコンが稼働していない場合は、ファクシミリサーバが何度も配信を繰り返し、ファクシミリサーバに大きな負荷がかかるという問題があった。
【0008】
また、ファクシミリサーバの配信先テーブルに登録されていない宛先に対するファクシミリを受信した場合には、受信した画像データを配信することができないので、ファクシミリサーバに画像データが蓄積され、場合によっては他のファクシミリを受信できなくなる、という問題もあった。
【0009】
さらに、配信先の管理テーブルにファクシミリ送信元情報や配信先としてのクライアントパソコンのフォルダ名等を登録する場合には、ファクシミリサーバの表示・操作部の小さな操作画面でユーザがいちいちフォルダ名等を入力しなければならず、登録に手間がかかるという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、配信先ディレクトリが登録されていない場合やクライアントパソコンが稼働していないときでも、受信画像データを配信することができるとともに、配信先を容易に登録することができるファクシミリサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明のファクシミリサーバは、受信情報、配信先ディレクトリが登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、受信画像配信時に、上記制御手段が、上記配信先が稼働状態か否かを判定し、配信先が稼働状態のときのみ、受信画像を配信することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明のファクシミリサーバは、受信情報、配信先ディレクトリ、配信時間帯が登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、受信画像配信時に、上記制御手段が、現在時刻が上記配信情報記憶手段に登録された配信時間帯内であるか否かを判定し、現在時刻が配信時間帯内であるときのみ、受信画像を配信することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に係る発明のファクシミリサーバは、請求項1または請求項2に記載のファクシミリサーバにおいて、上記配信情報記憶手段に転送先が登録され、上記受信情報に対応した配信先が稼働状態でないとき、あるいは、現在時刻が配信時間帯内でないとき、上記制御手段が受信画像を上記配信情報記憶手段に登録された転送先に受信情報を転送することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明のファクシミリサーバは、受信情報、配信先ディレクトリが登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が、受信したファクシミリの受信情報が上記配信情報記憶手段に登録されているか否かを判定し、登録されていないとき、所定の配信先に受信画像を配信することを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項5に係る発明のファクシミリサーバは、受信情報、配信先ディレクトリが登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、操作・表示手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、上記配信先ディレクトリの登録時に、上記制御手段がネットワーク上のホスト名、共有フォルダ名を上記操作・表示手段に表示することを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項6に係る発明のファクシミリサーバは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のファクシミリサーバにおいて、上記配信情報記憶手段に受信画像の配信時のファイル形式が登録され、受信画像配信時に、上記制御手段が受信画像を上記配信情報記憶手段に登録されたファイル形式に変換して配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明のファクシミリサーバによれば、受信画像配信時に、上記配信先が稼働状態か否かが判定され、配信先が稼働状態のときのみ、受信画像が配信されるので、ファクシミリサーバが何度も配信を繰り返すことがなくなるので、ファクシミリサーバの負荷を減少させることができる。
【0018】
また、請求項2に係る発明のファクシミリサーバによれば、受信画像配信時に、現在時刻が配信時間帯内であるか否かが判定され、現在時刻が配信時間帯内であるときのみ、受信画像が配信されるので、配信先ディレクトリのクライアントパソコンが通常稼働している時間帯のみを配信時間帯と設定しておくことにより、無用な配信動作を排除することができ、ファクシミリサーバの負荷をさらに低減することができる。
【0019】
さらに、請求項3に係る発明のファクシミリサーバによれば、受信情報に対応した配信先が稼働状態でないとき、あるいは、現在時刻が配信時間帯内でないとき、受信画像が配信情報記憶手段に登録された転送先に転送され、ファクシミリサーバに画像データが蓄積されないので、画像データの蓄積メモリを大きくすることなく、蓄積メモリのオーバーフローを防止することができる。
【0020】
また、請求項4に係る発明のファクシミリサーバによれば、受信したファクシミリの受信情報が配信情報記憶手段に登録されていないとき、所定の配信先、例えば、管理者サーバのディレクトリに受信画像が配信されるので、ファクシミリサーバの配信先テーブルに登録されていない宛先に対するファクシミリを受信した場合でも、受信した画像データを配信することが可能となる。
【0021】
さらに、請求項5に係る発明のファクシミリサーバによれば、配信先ディレクトリの登録時に、ネットワーク上のホスト名、共有フォルダ名が操作・表示手段に表示されるので、その中からいずれかをユーザが選択・指示するのみで、配信先ディレクトリを登録することができ、配信情報記憶手段への登録を容易に行うことが可能となる。
【0022】
また、請求項6に係る発明のファクシミリサーバによれば、受信画像の配信時に、受信画像が配信情報記憶手段に登録されたファイル形式に変換されて配信されるので、ユーザは受信した画像データを所望のファイル形式に変換してフォルダ毎に保存することができ、画像データの管理を容易に行うことができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明のファクシミリサーバをファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能を備えた複合機に適用した場合の実施例について、図面を用いて説明する。
図1はファクシミリサーバを備えたシステムのネットワーク構成例を示す図であり、図2はファクシミリサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すネットワーク構成図において、1はファクシミリサーバ(以下、FAXサーバという)、2、3、4・・・はクライアントパソコン(以下、PCという)、5は公衆交換電話網(PSTN)、6はLAN(Local Area Network)、7はインターネット網である。FAXサーバ1はMR、MMR方式等により符号化した画像データを送受信するファクシミリ機能、及びTIFF方式等により符号化され、電子メールに添付された画像データを送受信するインターネットファクシミリ機能を備え、PSTN5、LAN6を介して他の装置と画像データの送受信を行うことができる。
【0025】
PC2、3、4・・・はLAN6における通信機能を備え、LAN6を介して他の装置との通信が可能なほか、FAXサーバ1、PSTN5を介してLAN6の外部に設けられた一般的なファクシミリ装置(FAX)8とのファクシミリ通信も可能となっている。このFAX8からは、FAXサーバ1に割り当てられたファクシミリ番号によりFAXサーバ1に発呼し、各PCに割り当てられたサブアドレスを指定することによっていずれかのPCを宛先に指定して原稿を送信することができる。また、LAN6はインターネット網7にも接続されており、FAXサーバ1はこのインターネット網7を介してメールの送受信を行うことも可能である。
【0026】
図2はFAXサーバ1の制御系の構成を示す概略ブロック図であり、図に示すように、FAXサーバ1はCPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、表示・操作部14、読取部15、画像メモリ16、記録部17、コーデック18、モデム19、ネットワーク制御ユニットNCU20及びLANインターフェース(I/F)21、タイマ22から構成され、各部がバス23を介して接続されている。
【0027】
CPU11はバス23を介してFAXサーバ1のハードウェア各部を制御するとともに、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行し、ROM12はFAXサーバ1の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ等を予め記憶している。また、RAM13はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶するとともに、受信情報、配信先ディレクトリ等が登録される配信情報記憶手段としての配信管理テーブル記憶領域24を有している。
【0028】
表示・操作部14は、FAXサーバ1の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、FAXサーバ1を操作するための複数のキーよりなり、図3に示すように、表示部を構成するLCD表示部31と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部31には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部31に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。また、操作キーとして、テンキー32、スタートキー33、リセットキー34、ストップキー35、複数のワンタッチダイヤルキー36、十字キー37、リターンキー38、セットキー39、FAX切替キー40、コピー切替キー41、スキャナ切替キー42等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部31によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0029】
読取部15はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、白黒2値に変換したドットイメージデータを出力する。また、画像メモリ16は、DRAM等を用いて構成され、送信すべきイメージデータまたは受信したイメージデータあるいは読取部15で読み取ったイメージデータを記憶し、記録部17は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータ、コピー原稿データあるいは外部のパソコンから送信されたプリントデータをプリントアウトする。
【0030】
コーデック18は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号する。また、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。モデム19はバス23に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム19は同様にバス23に接続されたNCU20と接続されている。NCU20はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム19をPSTN5に接続する。
【0031】
また、LANインターフェース21はLAN6に接続され、外部のPC2等からのデータあるいはインターネット網7からの信号をLAN6を介して受信する一方、LAN6に対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。さらに、タイマ22は現在時刻を計時する。
【0032】
FAXサーバ1は上記のような構成を備えており、電子メールにより受信した画像データをファクシミリ送信する場合には、受信した電子メールの添付ファイル、例えばTIFF方式等の画像ファイルをコーデック18において復号し、さらにMR形式等に従って符号化し、PSTN5を介してファクシミリ送信にてG3FAX8等に転送する。
【0033】
一方、上記の配信管理テーブル記憶領域24には、図4に示すように、「受信情報」、「配信先フォルダ」、「配信時間帯」、「形式」、「エラー処理」及び「転送先」の各欄を備えたテーブルが記憶され、LCD表示部31に表示される配信管理テーブル登録画面からユーザが入力することにより、それぞれの設定をRAM13に登録することができる。
【0034】
この場合、「受信情報」欄には、発信元から送信されるTSI(送信端末識別信号)から得られるFAX番号、受信したファクシミリから得られるサブアドレス、受信した電子メールのメールヘッダに示される「from」の後のアドレス等から特定される受信情報が登録される。また、「配信先フォルダ」欄には、画像データを配信する配信先の各PCのフォルダ名よりなるディレクトリが登録され、「配信時間帯」欄にはユーザが設定した配信先ディレクトリに配信する時間帯情報が登録される。また、「形式」欄には、ファクシミリ受信した画像データを配信先ディレクトリに配信する際に画像データを変換するファイル形式が登録され、「エラー処理」欄には、配信先が稼動状態にない場合や、配信中にエラーが発生した場合など、当該配信先に画像データを配信することができなかった場合の処理、例えば、メール転送等の処理が登録され、「転送先」欄にはエラー処理時の転送先が登録される。
【0035】
次に、上記の配信管理テーブルへの登録時の作用について、図5のフローチャートにより説明する。
ユーザがLCD表示部31の操作画面から配信管理テーブル登録機能を指示すると、CPU11は表示部31に図6(a)に示すような配信情報入力画面を表示するので、ユーザは「受信情報」欄に相手方のFAX番号等を入力することにより受信情報を入力する(ステップ101)。なお、この場合、「受信情報」欄の右端の選択ボタンを押下することにより、受信ログが表示されるので、この受信ログの中から受信情報を適宜選択することができる。
【0036】
次に、ユーザは「配信先」欄に配信先のホスト名、共有フォルダ名を入力することにより配信先情報を入力する(ステップ102)。この場合も、「配信先」欄の右端の選択ボタンを押下することにより、図6(b)に示すようにネットワーク上のホスト名、共有フォルダ名が一覧表示されるので、ユーザはその中から所望のファルダ名を押下することにより配信先を選択することができる。このようにすれば、ユーザはテンキーの切り替え操作をしながら小さな表示部に数字やアルファベットを記入する必要がなくなるので、容易に配信先をRAM13の配信管理テーブルに登録することができる。
【0037】
この後、ユーザが「ファイル形式」欄でG3、TIFF、PDF等のファイル形式から任意のものを選択した(ステップ103)後、「OK」欄を押下すると、CPU11はこれらの情報を配信管理テーブルに登録した後、図7に示す配信時間帯入力画面を表示する。この画面で、ユーザが画面に表示されている「常時」を選択するか、「時間帯指定」または「曜日指定」を選択して時間帯あるいは曜日を入力した後、「OK」欄を押下すると、CPU11はこの配信時間帯情報を配信管理テーブルに登録した(ステップ104)後、図8に示すエラー処理入力画面を表示する。
【0038】
このエラー処理入力画面で「メール転送」、「FAX転送」あるいは「管理者サーバに保存」のいずれかを選択し、「OK」欄を押下すると、CPU11はこのエラー処理情報を配信管理テーブルに登録する(ステップ105)。なお、「メール転送」または「FAX転送」を選択した場合には、該当欄にメールアドレスまたはFAX番号を入力することにより、これらの情報が「転送先」として配信管理テーブルに登録される。
【0039】
上記の実施例では、図6の画面で「受信情報」、「配信先」、「ファイル形式」を同時に入力するようにしたが、これらをそれぞれ別々の入力画面で登録するようにすることもでき、また、配信管理テーブルに登録する全ての情報を一つの画面で入力するようにしてもよい。
【0040】
上記のような登録を行うと、ファクシミリ受信した場合に、ファイル共有プロトコルの1つであるSMBのファイルコピー機能を用いることによりFAX情報の自動配信が行われるが、この自動配信が行われる場合のFAXサーバ1の作用を図9のフローチャートにより説明する。なお、SMB共有フォルダは、SMBを採用した、書き込み可能なアクセス権が設定され、ネットワーク上で公開される共有フォルダである。
【0041】
FAXサーバ1のCPU11は、常時、G3FAX、IFAXを受信したか否かを判定しており(ステップ201)、ファクスを受信した場合には、受信画像データをモデム19で復調した後、画像メモリ16に蓄積する(ステップ202)。次に、CPU11はTSI(送信端末情報)情報、CallerID情報等のデータ送信元情報あるいは宛先情報から受信情報を抽出し、その受信情報が記憶領域24に記憶されている配信管理テーブルに登録されているか否かを判定する(ステップ203)。受信情報が配信管理テーブルに登録されていないと判定した場合には、CPU11は画像メモリ16に蓄積されている受信画像データを電子メールに添付可能なファイル形式(例えば、TIFF形式ファイル)に変換して電子メール用の添付ファイルを作成し、作成した添付ファイルを添付したメールを宛先情報に含まれている宛先に送信する(ステップ204)。
【0042】
一方、ステップ203において、受信情報が配信管理テーブルに登録されていると判定した場合には、CPU11はその受信情報のテーブルの配信時間帯を抽出し、タイマ22により計時されている現在時刻がその配信時間帯内であるか否かを判定する(ステップ205)。現在時刻が配信時間帯内でない場合には、CPU11はその受信情報のテーブルのエラー処理項目を抽出し、例えば、「メール転送」または「FAX転送」となっている場合には、CPU11は転送先に登録されているメールアドレスまたはFAX番号に対してメール送信またはファクシミリ送信を行う(ステップ206)。
【0043】
メール送信を行う場合は、上記と同様に、CPU11は画像メモリ16に蓄積されている受信画像データを電子メールに添付可能なファイル形式(例えば、TIFF形式ファイル)に変換して電子メール用の添付ファイルを作成し、作成した添付ファイルを電子メールに添付して登録されているメールアドレスに宛てて送信する。
また、ファクシミリ送信する場合は、CPU11は登録されている宛先のダイヤル番号をモデム19、NCU20を制御してPSTN5に送出させ、通信が確立すると、画像メモリ16に蓄積されている受信画像データをモデム19で変調した後、NCU20からPSTN5を通して相手先にファクシミリ送信する。
【0044】
ステップ205で、その受信情報のテーブルの配信時間帯が「常時」に設定されているか、あるいは、現在時刻が配信時間帯内であると判定した場合には、CPU11はNetBIOSのネーム・サービス・プロトコルを用いて配信先のPCが稼働しているか否かを判定する(ステップ207)。配信先のPCが稼働していないと判定した場合には、CPU11はステップ206に移り、上記と同様なエラー処理を実行する。また、配信先のPCが稼働していると判定した場合には、CPU11は画像メモリ16に蓄積されている画像データを、その受信情報のテーブルに設定されている画像ファイル形式、例えば、PDFファイル形式に変換した(ステップ208)後、SMBのファイルコピー機能により、LAN I/F21、LAN6を介して受信情報のテーブルに設定されている配信先ホストの指定された共有フォルダ、例えば、「\\PC1\doc2」に向けて配信する(ステップ209)。
【0045】
これにより、現在時刻が配信時間帯内で、配信先のPCが稼働状態であるときのみ、受信画像が配信されるので、ファクシミリサーバが何度も配信を繰り返すことがなくなるので、ファクシミリサーバの負荷を減少させることができる。また、配信先のPCが稼働状態でないとき、あるいは、現在時刻が配信時間帯内でないとき、受信画像が転送先に転送されるので、ファクシミリサーバに画像データが蓄積されず、画像メモリのオーバーフローを防止することができる。
さらに、受信画像の配信時に、受信画像が配信管理テーブルに登録されたファイル形式に変換されて配信されるので、ユーザは受信した画像データを所望のファイル形式に変換してフォルダ毎に保存することができ、画像データの管理が容易になる。
【0046】
上記の実施例では、受信情報が配信管理テーブルに登録されていないと判定した場合には、受信画像をメール送信するようにしたが、受信情報が配信管理テーブルに登録されていないと判定した場合に、所定の配信先、例えば、管理者サーバのディレクトリに受信画像を配信するようにすることもできる。このように管理者サーバのディレクトリに受信画像を配信する場合のFAXサーバ1の作用を図10のフローチャートにより説明する。
【0047】
FAXサーバ1のCPU11は、上記と同様に、常時、G3FAX、IFAXを受信したか否かを判定しており(ステップ301)、ファクスを受信した場合には、受信画像データをモデム19で復調した後、画像メモリ16に蓄積する(ステップ302)。次に、CPU11はデータ送信元情報あるいは宛先情報から受信情報を抽出し、その受信情報が記憶領域24に記憶されている配信管理テーブルに登録されているか否かを判定する(ステップ303)。受信情報が配信管理テーブルに登録されていないと判定した場合には、CPU11は管理者サーバのディレクトリを配信先として指定する(ステップ304)。なお、この場合、画像ファイル形式として、例えば、「G3」が自動的に指定される。
【0048】
一方、ステップ303において、受信情報が配信管理テーブルに登録されていると判定した場合には、CPU11はその受信情報のテーブルの配信時間帯を抽出し、タイマ22により計時されている現在時刻がその配信時間帯内であるか否かを判定する(ステップ305)。現在時刻がその配信時間帯内でない場合には、CPU11は上記と同様にメール送信またはファクシミリ送信等のエラー処理を行う(ステップ306)。
【0049】
ステップ305で、その受信情報のテーブルの配信時間帯が「常時」に設定されているか、または、現在時刻が配信時間帯内であると判定した場合、あるいはステップ304での配信先指定が完了した場合には、CPU11は配信先のPCが稼働しているか否かを判定する(ステップ307)が、以下の作用は図9のフローチャートの作用と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0050】
このように、受信情報が配信管理テーブルに登録されていない場合に、所定の配信先、例えば、管理者サーバのディレクトリに受信画像を配信するようにすれば、ファクシミリサーバの配信先テーブルに登録されていない宛先に対するファクシミリを受信した場合でも、受信した画像データを配信することが可能となる。
【0051】
なお、以上の実施例では、配信管理テーブルに登録する画像ファイル形式として、TIFF、PDF、G3を例として挙げたが、その他の様々なファイル形式を登録することも可能であり、また、配信管理テーブルに画像ファイル形式を登録せず、所定のファイル形式、例えばTIFF形式に変換して配信することもできる。
【0052】
さらに、以上の実施例では、エラー設定として「メール転送」、「FAX転送」あるいは「管理者サーバに保存」のいずれかを選択できるようにしたが、「管理者にメール通知」等の他のエラー処置を選択できるようにすることも可能である。
また、以上の実施例では、本発明をコピー機能やプリンタ機能を備えた複合機に適用した例を説明したが、本発明のファクシミリサーバは記録部や読取部を備えていない単機能のファクシミリサーバにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ファクシミリサーバを備えたシステムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】本発明のファクシミリサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】ファクシミリサーバの操作パネルを示す図である。
【図4】配信管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】配信管理テーブルへの登録時の作用を示すフローチャートである。
【図6】配信情報入力画面の一例を示す図である。
【図7】配信時間帯入力画面の一例を示す図である。
【図8】エラー処理入力画面の一例を示す図である。
【図9】FAX情報の自動配信が行われる場合の作用を示すフローチャートである。
【図10】配信管理テーブルに未登録の宛先に対するファクシミリを受信した場合に、管理者サーバに受信画像を配信する場合の作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 ファクシミリサーバ(FAXサーバ)
2、3、4 クライアントパソコン(PC)
5 PSTN
6 LAN
7 インターネット網
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 表示・操作部
15 読取部
16 画像メモリ
17 記録部
18 コーデック
19 モデム
20 NCU
21 LAN I/F
22 タイマ
23 バス
24 配信管理テーブル記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信情報、配信先ディレクトリが登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、受信画像配信時に、上記制御手段が、上記配信先が稼働状態か否かを判定し、配信先が稼働状態のときのみ、受信画像を配信することを特徴とするファクシミリサーバ。
【請求項2】
受信情報、配信先ディレクトリ、配信時間帯が登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、受信画像配信時に、上記制御手段が、現在時刻が上記配信情報記憶手段に登録された配信時間帯内であるか否かを判定し、現在時刻が配信時間帯内であるときのみ、受信画像を配信することを特徴とするファクシミリサーバ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のファクシミリサーバにおいて、上記配信情報記憶手段に転送先が登録され、上記受信情報に対応した配信先が稼働状態でないとき、あるいは、現在時刻が配信時間帯内でないとき、上記制御手段が受信画像を上記配信情報記憶手段に登録された転送先に受信情報を転送することを特徴とするファクシミリサーバ。
【請求項4】
受信情報、配信先ディレクトリが登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が、受信したファクシミリの受信情報が上記配信情報記憶手段に登録されているか否かを判定し、登録されていないとき、所定の配信先に受信画像を配信することを特徴とするファクシミリサーバ。
【請求項5】
受信情報、配信先ディレクトリが登録される配信情報記憶手段と、ファクシミリ送受信手段と、操作・表示手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、ファクシミリを受信したとき、上記制御手段が受信したファクシミリの受信情報に基づいて上記配信情報記憶手段に登録された配信先ディレクトリに受信画像を配信するファクシミリサーバであって、上記配信先ディレクトリの登録時に、上記制御手段がネットワーク上のホスト名、共有フォルダ名を上記操作・表示手段に表示することを特徴とするファクシミリサーバ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のファクシミリサーバにおいて、上記配信情報記憶手段に受信画像の配信時のファイル形式が登録され、受信画像配信時に、上記制御手段が受信画像を上記配信情報記憶手段に登録されたファイル形式に変換して配信することを特徴とするファクシミリサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−41765(P2006−41765A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216667(P2004−216667)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】