説明

ファクシミリ装置、およびファクシミリ装置の印刷方法

【課題】ファクシミリ印刷におけるインク吐出不良を防ぎ、好適な画像出力を得ることができるファクシミリ装置、およびファクシミリ装置の印刷方法を提供すること。
【解決手段】ファクシミリデータを受信して、ファクシミリデータの印刷解像度が高解像度の場合(ステップS130:Yes)、ファクシミリデータのカラー設定がカラー印刷の場合(ステップS140:Yes)、ファクシミリデータの送信元がノズルクリーニングの対象であった場合(ステップS150:Yes)については、ノズルクリーニングを行ってから(ステップS170)、ファクシミリ受信画像を印刷する(ステップS180)。これにより、インク吐出不良による画質低下が許容され難い場面に応じてノズルクリーニングを適宜行って、ファクシミリ印刷の好適な画像出力を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェット方式によるファクシミリ印刷を行うファクシミリ装置、およびファクシミリ装置の印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリデータを受信すると、用紙に対してインクを吐出するようにしてインクジェット方式の印刷を行うことにより受信画像を出力するファクシミリ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、インクジェット方式の印刷ヘッドにはインク吐出用の多数のノズルが配列され、カラー印刷に対応するために、ブラックのインクを吐出するためのノズル、CMY各色のインクを吐出するためのノズルをそれぞれ複数個備えた構造になっている。
【0004】
このようなインクジェット装置には、ノズルのインク吐出不良を防ぐためのクリーニング機構が設けられている。好適な画像出力が得られない場合などにユーザからノズルクリーニングの指示を受けると、クリーニング機構は、ワイピング部材により印刷ヘッドのノズル面を払拭したり、インクのフラッシング吐出を行うようにしてノズルクリーニングを行い、インクを良好に吐出できる状態に回復させる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−245078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のファクシミリ装置では、受信したファクシミリデータの画像を適切に印刷することができない場合がある。すなわち、ヘッドのノズルがインク吐出不良のときにファクシミリデータを受信することがあり、この場合、印刷中にインクが適切に吐出されず、受信画像を正確に印刷することができなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、ファクシミリ印刷におけるインク吐出不良を防ぎ、好適な画像出力を得ることができるファクシミリ装置、およびファクシミリ装置の印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のファクシミリ装置は、ファクシミリデータを受信する受信部と、ノズルからインクを吐出して、画像を印刷する印刷ヘッドと、印刷ヘッドのノズルをクリーニングするためのクリーニングユニットと、印刷ヘッド及びクリーニングユニットを制御する制御部とを備え、制御部は、受信したファクシミリデータに応じてクリーニングユニットにクリーニングを行わせてから、受信したファクシミリデータに基づくファクシミリ印刷を印刷ヘッドに行わせることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、受信したファクシミリデータに応じて印刷ヘッドのクリーニング実施後にファクシミリ印刷が行われるので、ファクシミリ印刷におけるインク吐出不良を適宜防ぎ、好適な画像出力を得ることができる。受信したファクシミリデータに応じてクリーニングを行うとしたことにより、例えば、インク吐出不良を許容し難い内容のファクシミリデータのファクシミリ印刷において、ユーザの指示を受けることなく、インク吐出不良が防がれるようになるので、ユーザにとっての使い勝手に優れる。
【0010】
また、本発明のファクシミリ装置において、制御部は、受信したファクシミリデータの印刷解像度に応じて、クリーニングユニットにクリーニングを行わせることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、受信したファクシミリデータの印刷解像度に応じて印刷ヘッドのクリーニングが行われるので、印刷解像度に応じて好適な画像出力を得ることができる。
【0012】
また、本発明のファクシミリ装置において、制御部は、印刷ヘッドを制御することにより、少なくとも高解像度の印刷解像度を含む複数の印刷解像度の印刷に対応し、受信したファクシミリデータの印刷解像度が高解像度の印刷解像度である場合に、クリーニングユニットにクリーニングを行わせることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、高解像度のファクシミリ印刷はクリーニング実施後に行われるようになるので、高解像度のファクシミリ印刷について好適な画像出力を得ることができる。
【0014】
また、本発明のファクシミリ装置において、制御部は、受信したファクシミリデータのカラー設定がカラー印刷の場合に、クリーニングユニットにクリーニングを行わせることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、受信したファクシミリデータのカラー設定に応じて印刷ヘッドのクリーニングが行われるので、カラー設定に応じて好適な画像出力を得ることができる。
【0016】
また、本発明のファクシミリ装置において、制御部は、受信したファクシミリデータのカラー設定がカラー印刷の場合に、クリーニングユニットにクリーニングを行わせることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、カラー印刷のファクシミリ印刷については、クリーニング実施後に行われるようになるので、カラー印刷のファクシミリ印刷について好適な画像出力を得ることができる。
【0018】
また、本発明のファクシミリ装置において、印刷ヘッドは、カラー印刷用のノズルとモノクロ印刷用のノズルとを含み、制御部は、受信したファクシミリデータのカラー設定がモノクロ印刷の場合に、クリーニングユニットにモノクロ印刷用のノズルへのクリーニングを行わせることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、モノクロ印刷のファクシミリ印刷については、モノクロ印刷用のノズルへのクリーニング実施後に行われるようになるので、モノクロ印刷のファクシミリ印刷について好適な画像出力を得ることができる。
【0020】
また、本発明のファクシミリ装置において、電話番号と、電話番号が示す送信元からのファクシミリデータに対して印刷ヘッドのクリーニングを行うか否かを示す情報とを対応付けた設定データを記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、受信したファクシミリデータの送信元の電話番号と記憶部から読み出した設定データとを比較して、クリーニングユニットにクリーニングを行わせるか否かを決定することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、クリーニングを行うと設定された電話番号からのファクシミリデータについては、クリーニング実施後にファクシミリ印刷が行われるようになるので、好適な画像出力を得ることができる。例えば、好適な画像出力を要する送信元の電話番号に対してクリーニングを行うと設定しておけば、必要に応じて、好適な画像出力が適宜行われるようになる。
【0022】
また、本発明のファクシミリ装置において、制御部は、印刷ヘッドのクリーニングを前回実施してからの経過時間が所定の時間を超えていた場合に、クリーニングユニットに印刷ヘッドのクリーニングを行わせることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、所定の時間ごとにクリーニングが実行されるので、ファクシミリデータの受信タイミングに関わらずに、好適な画像出力を得やすくなる。
【0024】
また、本発明は、方法の発明とすることもできる。すなわち、本発明は、ノズルからインクを吐出して、画像を印刷する印刷ヘッドを備えるファクシミリ装置の印刷方法であって、ファクシミリデータを受信した場合に、受信したファクシミリデータに応じて印刷ヘッドのノズルにクリーニングを行うステップと、クリーニング後に、受信したファクシミリデータに基づくファクシミリ印刷を行うステップとを備えることを特徴とする。
【0025】
この場合、受信したファクシミリデータに応じて印刷ヘッドのクリーニング実施後にファクシミリ印刷が行われるので、ファクシミリ印刷におけるインク吐出不良を適宜防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(実施例1)
以下、本発明に係る実施の形態の一実施例について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施例に係るマルチファンクションプリンタ(以下、「MFP」という)の外観斜視図である。ファクシミリ装置としてのMFP1は、原稿台に載置された原稿を複写する複写機能、ホストコンピュータやデジタルカメラの外部機器からの制御により印刷を行う印刷機能、ファクシミリ通信を行うファクシミリ機能、メモリカードに記憶された画像を印刷するメモリカード印刷機能を有した、いわゆる複合機である。図1に示すように、MFP1は、装置本体2の原稿台に被さる原稿カバー3と、原稿カバー3に取り付けられた原稿トレイ4および原稿排紙トレイ5と、メモリカードなどのリムーバブルメモリが装着されるメモリスロット6と、給紙トレイ(載置部)7と、排紙トレイ8とを備えている。原稿カバー3は、ユーザが原稿台に原稿をセットできるように装置本体2側の原稿台に対して開閉自在に取り付けられている。給紙トレイ7については、L版サイズの写真用紙やA4普通紙など、用紙サイズや紙種が異なる複数種類の原稿がセット可能である。
【0028】
また、MFP1の装置本体2には操作ユニット70が取り付けられている。
【0029】
次に、MFP1の内部構成について説明する。図2に示すように、MFP1は、ファクシミリ送受信部(受信部)10と、外部インターフェイス20と、メモリインターフェイス30と、紙搬送機構40と、スキャナユニット50と、印刷エンジン60と、操作ユニット70と、これらの各構成を制御するコントローラ(制御部)80とを有している。
【0030】
ファクシミリ送受信部10は、公衆電話回線を介して他のファクシミリ100と接続され、公衆電話網と接続するためのNCU(Network Control Unit)、および送受信データの変復調を行うモデムとしての機能を有している。ファクシミリ送受信部10は、リング信号の検出、ITU−T勧告に従うプロトコル制御などを行って、他のファクシミリ100とファクシミリデータの送受信を行う。
【0031】
外部インターフェイス20は、外部機器と通信可能に接続するためのインターフェイス部分である。図2に示すように、外部インターフェイス20にはパーソナルコンピュータ200やデジタルカメラ300などの外部機器が接続されている。
【0032】
メモリインターフェイス30は、メモリスロット6に挿入されたリムーバブルメモリ31とのインターフェイス部分である。リムーバブルメモリ31はフラッシュメモリなどの脱着可能な不揮発性の記憶媒体であり、印刷の対象とする画像データが記憶されている。
【0033】
紙搬送機構40は、MFP1内部で用紙を搬送する機構であり、複数の搬送ローラや駆動モータなどで構成される。具体的には、紙搬送機構40は、原稿トレイ4にセットされた用紙をMFP1内部に取り込んで給紙し、給紙された用紙をスキャナユニット50の読取面に搬送したり、給紙トレイ7にセットされた用紙を印刷エンジン60に供給する紙搬送を行う。また、紙搬送機構40は、スキャナユニット50による読み取り後の用紙を原稿排紙トレイ5に排出する紙搬送、および印刷エンジン60による印刷後の用紙を排紙トレイ8に排出する紙搬送も行う。
【0034】
スキャナユニット50は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る部分であり、蛍光管ランプなどの照明部、CCDやCMOSなどのイメージセンサ、アナログ信号処理などを行うAFE(Analog Front End)、イメージセンサを原稿面に沿って走査させる機構を備える。照明部は、スキャナユニット50に供給された用紙を照明し、イメージセンサは原稿面に沿って走査されながら原稿の反射光を取り込んで画像信号を生成する。生成された画像信号は、AFEにより信号の増幅、ノイズ除去、A/D変換などの処理が施されて、ディジタル画像データに変換される。
【0035】
印刷エンジン60は、紙搬送機構40により供給された用紙に対して印刷を行う部分である。図3は印刷エンジン60の構成を示した模式図である。図3に示すように、印刷エンジン60は、インクジェット方式で用紙に画像を形成する印刷ヘッド61と、インクカートリッジ62と、印刷ヘッド61およびインクカートリッジ62を載置したキャリッジ63とを有している。
【0036】
印刷ヘッド61は、インク吐出用の複数のノズルを配列したノズル列や、インク流路、圧力発生室、圧電振動子を有する。インク流路、圧力発生室および圧電振動子は、CMYK各色のノズルのそれぞれに対して設けられている。インクカートリッジ62は内部にインクタンクを有しており、インクカートリッジ62がキャリッジ63に装着されると、印刷ヘッド61のインク流路にカートリッジのインクタンクが連通して、印刷ヘッド61のインク流路を通じて圧力発生室にインクが充填される。
【0037】
キャリッジ63は、駆動プーリ64、従動プーリ65間に掛け渡されたタイミングベルト66と結合されている。駆動プーリ64には駆動モータ67が取り付けられている。コントローラ80からの制御に従って駆動モータ67が駆動するとプーリ64,65が回動し、タイミングベルト66と共にキャリッジ63が移動する。
【0038】
また、印刷エンジン60の内部には、紙搬送機構40として、用紙を搬送するための紙送りローラ41と、用紙を挟み込むように配置された複数の従動ローラ42と、紙送りローラ41を回転させるための駆動モータ43とが備えられている。コントローラ80からの制御に従って駆動モータ43が駆動すると、紙送りローラ41が回転して、従動ローラ42とで挟み込んだ用紙をキャリッジ63の移動方向と垂直な方向に搬送する。
【0039】
印刷エンジン60は、コントローラ80からの制御に従って、用紙搬送方向に直交する方向にキャリッジ63を移動させながら圧電振動子を駆動させ、圧力発生室に充填されたインクをノズルから吐出させることにより用紙表面にドットを形成させて、画像を印刷する。
【0040】
また、印刷エンジン60は、印刷ヘッド61のクリーニングを行うためのクリーニングユニット68を有している。クリーニングユニット68は、キャップ680と、印刷ヘッド61のノズル面に対してキャップ680を往復移動させるためのリニアソレノイド681、キャップ680からノズル面のインクを吸い出すチューブポンプ682、吸い出されたインクを吸収する吸収体683、ワイピング部材684を備えている。コントローラ80からノズルクリーニングの指示を受けると、コントローラ80の制御の下、印刷ヘッド61のノズル面にワイピング部材684を軽く当接させた状態で、ワイピング部材684に対してキャリッジ63を往復移動させて、印刷ヘッド61のノズル面を払拭するワイピングや、ノズルの乾燥を防ぐため、キャップ680に備えられたインク吸収体に向けてインクを吐出させるフラッシングが適宜行われる。こうして、クリーニングユニット68によるノズルクリーニングが行われる。
【0041】
操作ユニット70は、MFP1に対するユーザからの指示を受けるためのユーザインターフェイス部分である。図4は操作ユニット70の拡大図である。図4に示すように、操作ユニット70は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネル71と、電源スイッチ72、動作モード選択スイッチ73、カーソルスイッチ74、選択スイッチ75、テンキー76、印刷可スイッチ77、印刷中止スイッチ78、一時停止スイッチ79などの各種スイッチ群とを有している。
【0042】
コントローラ80はMFP1の動作を制御する部分であり、CPU81と、RAM82と、ROM(記憶部)83と、タイマ84と、画像処理部85とを有している。ROM83は、フラッシュメモリやEEPROMなどの不揮発性のメモリであり、制御プログラムや電話帳、後述する設定データなどが予め記録されている。RAM82は、入出力バッファやワーキングメモリなどとして用いられる汎用のメモリである。CPU81はMFP1の主制御装置であり、ROM83に記憶された制御プログラムを実行することにより、MFP1の各構成の動作を制御する。
【0043】
タイマ84は、水晶発振器とカウンタ回路とを有し、水晶発振器が発する一定周期のパルスを基準にしてパルス数をカウントすることにより計時を行う。画像処理部85は、スキャナユニット50から出力された画像データに対し、ガンマ補正、シェーディング補正、JPEG形式のエンコード等の画像処理を施す処理や、印刷エンジン60に出力する画像データに対して、JPEG形式のディジタル画像のデコード、解像度変換、アンシャープ処理、階調補正、ハーフトーン処理、分版処理などの画像処理をCPU81と協働して実行するDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェアである。
【0044】
ここで、ROM83にはノズルクリーニング実施条件の設定を示す設定データが記録されている。この設定データは、印刷解像度、カラー設定、電話帳に登録された各電話番号について、印刷ヘッド61のクリーニングを行うか否かを示したデータである。
【0045】
ユーザは、操作ユニット70を介して設定データの内容確認、あるいは設定の変更をすることができる。例えば、ユーザが印刷解像度に関する設定を確認する所定の操作を操作ユニット70に対して行うと、図5に例として示すノズルクリーニング設定画面SG1が表示パネル71に表示される。図5に示すように、「ノーマル」、「ファイン」、「スーパーファイン」の3つの印刷解像度のうち、高解像度である「スーパーファイン」および「ファイン」についてノズルクリーニングを行う設定、「ノーマル」についてはノズルクリーニングを行わない設定になっている。
【0046】
また、ユーザがカラー設定に関する設定を確認する所定の操作を操作ユニット70に対して行うと、図6に例として示すノズルクリーニング設定画面SG2が表示パネル71に表示される。図6に示すように、カラー設定に関しては、カラー印刷についてノズルクリーニングを行い、モノクロ印刷についてはノズルクリーニングを行わない設定になっている。
【0047】
ユーザが、電話帳に登録された電話番号に関する設定を確認する所定の操作を操作ユニット70に対して行うと、図7に例として示すノズルクリーニング設定画面SG3が表示パネル71に表示される。ノズルクリーニング設定画面SG3では、電話帳に登録された各電話番号に対してノズルクリーニングの有無の設定が表示される。また、電話帳に登録された電話番号の各々に対する設定は、操作ユニット70の各種スイッチへの操作により変更可能になっており、ユーザは、所望の電話番号からのファクシミリ印刷についてノズルクリーニングを行ってから印刷を行うように設定することができる。
【0048】
このように、印刷解像度、カラー設定、電話番号について、ファクシミリ印刷前にノズルクリーニングを行うか否かが予め設定されるようになっている。
【0049】
次に、MFP1が、ファクシミリデータを受信してファクシミリ印刷を行うときの処理について、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0050】
処理を開始して、CPU81は、公衆電話回線を通じてリンガが到来したか否かを判断する(ステップS100)。ここでは、CPU81はファクシミリ送受信部10にリング信号を検出したかを問い合わせ、リング信号を検出していなければ(ステップS100:No)、所定の時間経過後に再びステップS100に戻るようにして、リング信号の検出を待ち続ける。ファクシミリ送受信部10がリング信号を検出すると(ステップS100:Yes)、CPU81は、ファクシミリ送受信部10に、リング信号の送信先のファクシミリ100との回線を捕捉させる(ステップS110)。
【0051】
次に、CPU81は、ファクシミリ送受信部10に、捕捉した回線を通じてファクシミリ100とのファクシミリ通信を行わせる(ステップS120)。ファクシミリ送受信部10はファクシミリ100からファクシミリデータを受信し、受信したデータをRAM82の入力バッファに転送する。
【0052】
次に、CPU81は、受信したファクシミリデータの設定が高解像度になっているか否かを判断する(ステップS130)。高解像度、すなわち印刷解像度が「スーパーファイン」または「ファイン」に設定されていれば(ステップS130:Yes)、ステップS170に進む。高解像度に設定されていない、すなわち印刷解像度が「ノーマル」に設定されていれば(ステップS130:No)、ステップS140に進む。
【0053】
ステップS140に処理が進むと、CPU81は、受信したファクシミリデータの設定がカラー印刷になっているか否かを判断する。カラー印刷に設定されていれば(ステップS140:Yes)、ステップS170に進む。カラー印刷に設定されていなければ(ステップS140:No)、ステップS150に進む。
【0054】
ステップS150に処理が進むと、CPU81は、ファクシミリデータの送信元がノズルクリーニングの対象になっているか否かを判断する。ここでは、CPU81は、ROM83に記憶された設定データを参照して、ファクシミリデータの送信元の電話番号と対比することにより判断を行う。ノズルクリーニングの対象であると判断すると(ステップS150:Yes)、ステップS170に進む。ノズルクリーニングの対象外と判断すると(ステップS150:No)、ステップS160に進む。なお、設定データに未登録の電話番号についてはノズルクリーニングの対象外と判断するとよい。
【0055】
ステップS160に処理が進むと、CPU81は、前回のノズルクリーニングから所定時間が経過したか否かを判断する。ここでは、CPU81は、タイマ84を参照して前回クリーニングからの経過時間を算出し、予め設定された所定時間を超えているかを判断する。所定時間を超えていれば(ステップS160:Yes)、ステップS170に進む。所定時間を超えていなければ(ステップS160:No)、ステップS180に進む。
【0056】
ステップS170に処理が進むと、CPU81は、印刷エンジン60のクリーニングユニット68にノズルクリーニングを行わせる。ノズルクリーニングにより印刷ヘッド61がクリーニングされると、ステップS180に進む。
【0057】
ステップS180に処理が進むと、CPU81は、受信したファクシミリデータの受信画像を印刷エンジン60に印刷させて、図8の処理を終了する。
【0058】
以上に述べたように、ファクシミリデータを受信すると、ファクシミリ印刷の設定がカラー印刷または高解像度、あるいはクリーニングの実施が指定がされた特定の電話番号からのファクシミリデータであった場合、ノズルクリーニングを行ってからファクシミリ印刷を行うように制御される。
【0059】
以上に説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
【0060】
(1)ファクシミリデータに応じてノズルクリーニング実施後にファクシミリ印刷を行うようにしているので、ユーザからの指示がなくとも、必要に応じてインクの吐出不良を適宜防ぎ、好適な画像を出力することができる。
【0061】
(2)高解像度のファクシミリ印刷は、ノズルクリーニング実施後に行われるので、高解像度のファクシミリ印刷について好適な画像出力を得ることができる。高解像度の印刷では、低解像度の印刷に比べるとインク吐出不良がユーザに許容され難いため、ノズルクリーニングを行って好適な画像出力を得るようにしたことにより、必要に応じてインクの吐出不良が適宜防がれ、ユーザにとっての使い勝手がよい。
【0062】
(3)カラー印刷のファクシミリ印刷は、ノズルクリーニング実施後に行われるので、カラー印刷のファクシミリ印刷について好適な画像出力を得ることができる。カラー印刷では、モノクロ印刷に比べるとインク吐出不良がユーザに許容され難いため、ノズルクリーニングを行って好適な画像出力を得るようにしたことにより、必要に応じてインクの吐出不良が適宜防がれ、ユーザにとっての使い勝手がよい。
【0063】
(4)電話帳にノズルクリーニングを実施する旨を設定された特定の電話番号の送信元からファクシミリデータを受信すると、ノズルクリーニング実施後にファクシミリ印刷が行われるので、特定の送信元から送信されたファクシミリデータについてはユーザからの指示がなくとも好適な画像出力を得ることができ、ユーザにとっての使い勝手がよい。
【0064】
(5)ファクシミリデータに応じて、ユーザにインク吐出不良が許容され難い場合に限ってノズルクリーニングを行うようにしているので、インクの吐出不良を必要に応じて防ぎながら、ノズルクリーニングによるインクの消耗を抑えることができる。
【0065】
(6)ファクシミリデータを受信したとき、前回のノズルクリーニングから所定時間が経過していればノズルクリーニングが実施されるので、インク吐出不良の発生を適宜防ぐことができる。
【0066】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこれに限られることなく、様々な形態とすることもできる。以下、本発明の変形例について説明する。
【0067】
(変形例1)上記実施例では、印刷解像度、カラー設定、電話番号の3つの条件を用いてノズルクリーニングを行うか否かが決定されるようにしたが、3つの条件のうちいずれか1つまたは2つの条件により、ノズルクリーニングを行うか否かを決定するようにしてもよい。
【0068】
(変形例2)上記実施例では、印刷解像度およびカラー設定については、ノズルクリーニングの有無についての設定は図5,6に示したように予め決められたものとして説明したが、高解像度・カラー印刷についても、ユーザが操作ユニット70を操作して、設定を変更できるようにしてもよい。
【0069】
(変形例3)本発明は、マルチファンクションプリンタに限られることなくファクシミリ機能を有する装置であれば、ファクシミリや、ファクシミリ機能を有するプリンタ、ホストコンピュータおよびプリンタを有するファクシミリシステムに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】マルチファンクションプリンタの外観斜視図。
【図2】マルチファンクションプリンタの内部構成図。
【図3】印刷エンジンの構成を示した模式図。
【図4】操作ユニットの拡大図。
【図5】ノズルクリーニング設定画面の一例を示した図。
【図6】ノズルクリーニング設定画面の一例を示した図。
【図7】ノズルクリーニング設定画面の一例を示した図。
【図8】ファクシミリ印刷を行うときの処理の流れを示したフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
1…ファクシミリ装置としてのマルチファンクションプリンタ、2…装置本体、3…原稿カバー、4…原稿トレイ、5…原稿排紙トレイ、6…メモリスロット、7…載置部としての給紙トレイ、8…排紙トレイ、10…受信部としてのファクシミリ送受信部、20…外部インターフェイス、30…メモリインターフェイス、31…リムーバブルメモリ、40…紙搬送機構、41…紙送りローラ、42…従動ローラ、43…駆動モータ、50…スキャナユニット、60…印刷エンジン、61…印刷ヘッド、68…クリーニングユニット、70…操作ユニット、71…表示パネル、80…制御部としてのコントローラ、81…CPU、82…RAM、83…記憶部としてのROM、84…タイマ、85…画像処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリデータを受信する受信部と、
ノズルからインクを吐出して、画像を印刷する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドのノズルをクリーニングするためのクリーニングユニットと、
前記印刷ヘッド及び前記クリーニングユニットを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記受信したファクシミリデータに応じて前記クリーニングユニットにクリーニングを行わせてから、前記受信したファクシミリデータに基づくファクシミリ印刷を前記印刷ヘッドに行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファクシミリ装置において、
前記制御部は、前記受信したファクシミリデータの印刷解像度に応じて、前記クリーニングユニットにクリーニングを行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のファクシミリ装置において、
前記制御部は、前記印刷ヘッドを制御することにより、少なくとも高解像度の印刷解像度を含む複数の印刷解像度の印刷に対応し、
前記受信したファクシミリデータの印刷解像度が前記高解像度の印刷解像度である場合に、前記クリーニングユニットにクリーニングを行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のファクシミリ装置において、
前記制御部は、前記印刷ヘッドを制御することにより、カラー印刷およびモノクロ印刷に対応し、
前記受信したファクシミリデータのカラー設定に応じて、前記クリーニングユニットにクリーニングを行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のファクシミリ装置において、
前記制御部は、前記受信したファクシミリデータのカラー設定がカラー印刷の場合に、 前記クリーニングユニットにクリーニングを行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のファクシミリ装置において、
前記印刷ヘッドは、カラー印刷用のノズルとモノクロ印刷用のノズルとを含み、
前記制御部は、前記受信したファクシミリデータのカラー設定がモノクロ印刷の場合に、前記クリーニングユニットに前記モノクロ印刷用のノズルへのクリーニングを行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のファクシミリ装置において、
電話番号と、前記電話番号が示す送信元からのファクシミリデータに対して前記印刷ヘッドのクリーニングを行うか否かを示す情報とを対応付けた設定データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記受信したファクシミリデータの送信元の電話番号と前記記憶部から読み出した設定データとを比較して、前記クリーニングユニットにクリーニングを行わせるか否かを決定することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のファクシミリ装置において、
前記制御部は、前記印刷ヘッドのクリーニングを前回実施してからの経過時間が所定の時間を超えていた場合に、前記クリーニングユニットに前記印刷ヘッドのクリーニングを行わせることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項9】
ノズルからインクを吐出して、画像を印刷する印刷ヘッドを備えるファクシミリ装置の印刷方法であって、
ファクシミリデータを受信した場合に、前記受信したファクシミリデータに応じて前記印刷ヘッドのノズルにクリーニングを行うステップと、
クリーニング後に、前記受信したファクシミリデータに基づくファクシミリ印刷を行うステップとを備えることを特徴とするファクシミリ装置の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−207417(P2008−207417A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45094(P2007−45094)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】