説明

フィルムおよび画像表示装置

【課題】高温での各種機能層を設置できる優れた耐熱性と光学特性とを併有するポリベンズアゾールフィルムを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンズアゾール。
一般式(1)
【化1】


(一般式(1)中、Aは、O、SまたはNHを表す。Lは2価の連結基を表す。X1およびX2はそれぞれハロゲン原子を表す。mおよびnはそれぞれ1〜3の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性および耐熱性に優れたポリベンズアゾールを用いたフィルム、ならびに、該フィルムに、ガスバリア層および/または透明導電層が積層されたフィルムに関するものであり、各種画像表示装置(例えば、液晶ディスプレー、有機ELディスプレー、電子ペーパー、特にフレキシブル有機ELディスプレー)の基板に有用なフィルムに関するものである。
【技術背景】
【0002】
近年、液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置として、特に要望が高い。
このプラスチック基板には導電性を必要とするため、プラスチックフイルム上に、酸化インジウム、酸化錫、または錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を表示素子の電極基板として用いることが検討されている。
この目的に使用されるプラスチックとしては耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)等に透明導電層および/またはガスバリア層を積層したものが知られている。
しかしながら、本発明者が検討したところ、このような耐熱性プラスチックを用いてもプラスチック基板として十分な耐熱性が得られなかった。すなわちこれら耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板に導電層を形成させた後、配向膜などの付与のため150℃以上の温度にさらすと導電性、ガスバリア性が大きく低下するという問題があることが分かった。また、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、更なる耐熱性が要求される。
【0003】
一方、特許文献4には、脂肪族テトラカルボン酸無水物から誘導されるポリイミドを用いた透明導電性基板について開示されている。該公報の実施例に記載のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度(Tg)315℃、全光線透過率82%と耐熱性、透明性に優れるが、ポリイミドは分子内に高分極性イミド基を高濃度に含有しているため、吸水率が高いことが知られており、湿度による基板の寸法変化がポリマーの一次構造に由来する本質的な問題として懸念される。
【0004】
耐熱性や吸湿による寸度安定性に優れる樹脂としてベンズオキサゾール、ベンゾチアゾールが知られており、例えば、高耐熱・高強度な繊維や、耐熱性絶縁膜などの電子部品用材料(例えば、特許文献5)、光導波路材料(例えば、特許文献6)として検討されているが、可視域の透明性に関する記載はなく、ガスバリアフィルムおよび透明導電性フィルムに関する記載はない。
【0005】
一方、特許文献7には透明なベンズオキサゾールに関して開示されているが、ガスバリアフィルムおよび透明導電性フィルムに関する記載はない。
【0006】
【特許文献1】特開2000−227603号公報
【特許文献2】特開2000−284717号公報
【特許文献3】特開2001−150584号公報
【特許文献4】特開2003−168800号公報
【特許文献5】特開2000−128985号公報
【特許文献6】特開2004−18594号公報
【特許文献7】特開平11−322929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高温での各種機能層を設置できる優れた耐熱性と光学特性とを併有するポリベンズアゾールフィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、前記ポリベンズアゾールフィルムにガスバリア層および/または透明電極層が積層されたフィルムを提供することにもある。
さらに、本発明の目的は、前記のフィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために、ポリベンズアゾールの構造を鋭意検討した結果、所定の構造を有するポリベンズアゾールであれば、耐熱性と光学特性との両立が可能なフィルムを形成できることを見出した。さらにこのポリベンズアゾールフィルムならびに該フィルムにガスバリア層および/または透明電極層が積層されたフィルムを画像表示装置に使用可能なことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
(1)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンズアゾール。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、Aは、O、SまたはNHを表す。Lは2価の連結基を表す。X1およびX2はそれぞれハロゲン原子を表す。mおよびnはそれぞれ1〜3の整数を表す。)
(2)ガラス転移温度が250℃以上である、(1)に記載のポリベンズアゾール。
(3)(1)または(2)に記載のポリベンズアゾールを含むフィルム。
(4)膜厚を20μmとしたときの400nmにおける透過率が60%以上である、(3)に記載のフィルム。
(5)前記フィルムの少なくとも片面にガスバリア層が積層された、(3)または(4)に記載のフィルム。
(6)前記フィルムの少なくとも片面に透明導電層が積層された、(3)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7)(3)〜(6)のいずれかに記載のフィルムを用いた画像表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリベンズアゾールフィルムは、優れた耐熱性を有すると共に、優れた光学特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
尚、本明細書において、ポリベンズアゾールを含むフィルムのことを、ポリベンズアゾールフィルムということがある。また、該ポリベンズアゾールフィルムにガスバリア層または透明電極層等を積層したものを機能性フィルムと呼ぶことがある。
【0012】
[ポリベンズアゾール]
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンズアゾールについて説明する。
一般式(1)
【化2】

一般式(1)中、Aは、O、SまたはNHを表し、OまたはSが好ましく、Oがより好ましい。
1およびX2は、それぞれ、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としてはF、Cl、またはBrが好ましく、Cl、Brがより好ましく、Clがさらに好ましい。X1およびX2は、同一であることが好ましい。
mおよびnは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2である。
Lは2価の連結基を表す。Lは芳香族基および/または脂肪族基が好ましい。Lの炭素数は、3〜40が好ましく、6〜25がより好ましい。さらに、Lは、一般式(2)または一般式(4)で表される2価の連結基が好ましい。
一般式(2)
【化3】

【0013】
一般式(2)中、Zは―CH2―、―C24―または―CH=CH―を表す。L1は、単結合または一般式(3)で表される2価の連結基を表す。立体異性が存在する場合は、その存在比に特に制限はない。
一般式(3)
【化4】

【0014】
一般式(2)で表される2価の連結基は置換基を有していてもよく、置換基に特に制限はないが、例えば、後述する一般式(1)で表される繰返し単位を有するポリマーの置換基として挙げたものが好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびトリフルオロメチル基がより好ましい。
一般式(4)
【化5】

【0015】
一般式(4)中、R1およびR2は、それぞれ、置換基を表す。置換基に特に制限はないが、例えば、後述する一般式(1)で表される繰返し単位のLの置換基として挙げたものが好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基がより好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびトリフルオロメチル基がさらに好ましい。pまたはqが2以上の場合、複数個のR1およびR2は、それぞれ、同一であってもよいし異なっていてもよい。
pおよびqは、それぞれ、0〜3の整数であり、0または1であることが好ましい。
rは0〜4の整数を表し、0〜2がより好ましく、0〜1がさらに好ましい。rが2以上の場合、複数個のL2、R2およびqは、それぞれ、同じであっても異なっていてもよい。
2は、単結合または一般式(5)で表される2価の連結基を表す。立体異性が存在する場合は、その存在比に特に制限はない。
一般式(5)
【化6】

【0016】
さらに、一般式(4)で表される2価の連結基は置換基を有していてもよい。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位中のベンズアゾール環同士の結合位置は、ベンズアゾール環の窒素原子のメタ位またはパラ位であることが好ましい。
【0017】
一般式(1)で表される繰返し単位を有するポリマーは、上述で述べた以外の置換基を有してもいてもよい。置換基としては特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、炭素数2〜11のアルケニル基、炭素数2〜11のアルキニル基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基)、炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、炭素数0〜20のカルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基(例えば、アセチル基)、炭素数7〜15のアリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基)、ニトロ基、炭素数2〜11のアシルアミノ基(例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基)、炭素数2〜11のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ基)、炭素数2〜11のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、炭素数1〜10のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基)、炭素数4〜16のイミド基(例えば、スクシンイミド基、フタルイミド基)、炭素数2〜15のイミノ基(例えば、ベンジリデンアミノ基)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、炭素数6〜14のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、炭素数2〜11のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、炭素数1〜10のアルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニリオキシ基)、炭素数6〜14のアリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基)、スルホ基、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基)、炭素数1〜10のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)、炭素数6〜14のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、炭素数6〜14のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)、ヘテロ環類などを挙げることができる。置換基が複数ある場合、各置換基は同一でも異なってもよい。
また、置換基はさらに置換されていてもよく、置換基が複数ある場合、各置換基は同一でも異なってもよい。また、置換基は、ポリマー主鎖構造および/または他の置換基と縮合環を形成していてもよい。置換基としてより好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜11のアルケニル基、炭素数2〜11のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基および炭素数6〜14のアリールオキシ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基および炭素数1〜6のアルコキシ基であり、最も好ましくは、ハロゲン原子および炭素数1〜6のアルキル基である。
【0018】
一般式(1)で表される繰返し単位を有するポリベンゾアゾールは、下記一般式(6)で表される化合物(アミン成分)またはその誘導体と、一般式(7)で表される化合物(カルボン酸成分)またはその誘導体を重縮合反応させることで得られる。重縮合反応は好ましくは、重合溶媒および/または縮合剤の存在下で、より好ましくは、縮合剤の存在下で行う。
本発明で採用する重合溶媒および縮合剤については、特に制限がなく、例えば、米国特許第4,931,532号明細書に記載のように塩素化炭化水素溶媒に、五酸化ニ燐、オキシ塩化燐、五塩化燐、トリフルオロ酢酸無水物−ピリジン、塩化チオニルおよびトリメチルシリルホスフェート等の縮合剤を添加してもよい。また、高分子学会編 新高分子実験学第3巻 高分子の合成・反応(2)p178−179(1996 共立出版)に記載のポリ燐酸または五酸化燐−メタンスルホン酸のように縮合剤と重合溶媒を兼ねたものがより好ましい。
一般式(6)
【化7】

(一般式(6)中、A、X1、X2、mおよびnは一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同義である。R3およびR4は、それぞれ、水素原子または保護基を表す。)
一般式(7)
【化8】

(一般式(7)中、Lは一般式(1)中のLと同義であり、好ましい範囲も同義である。)
【0019】
本発明に係るポリベンズアゾールは、その前駆体、即ち一般式(8)で表される化合物またはその誘導体を経由して、熱および/または縮合剤により閉環して合成することも可能である。
一般式(8)
【化9】

(一般式(8)中、A、X1、X2、mおよびnは一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同義である。R3およびR4は、一般式(6)と同義であり、好ましい範囲も同義である。Lは、一般式(7)と同義であり、好ましい範囲も同義である。)
【0020】
一般式(8)で表されるポリアミドまたはその誘導体は、一般式(6)で表される化合物(アミン成分)またはその誘導体と、一般式(7)で表される化合物(カルボン酸成分)またはその誘導体の重縮合反応により得られる。例えば、高分子学会編 新高分子実験学第3巻 高分子の合成・反応(2)p413−414(1996 共立出版)に記載のように、まず、アミン成分をN−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性有機溶媒中、シリル化試薬を用いてテトラシリル化体とした後、これとジカルボン酸ジクロリドを等モル重縮合反応せしめて、高重合体を得ることが可能である。
【0021】
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーは、一般式(1)で表される繰り返し単位を複数種有していてもよい。また、透明性と耐熱性を損なわない範囲で種々公知のアミン成分モノマーおよびその誘導体、カルボン酸成分モノマーおよびその誘導体を共重合してもよい。
共重合可能なアミン成分としては例えば以下のものが挙げられる。
【0022】
4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ジメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−ジメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−ジメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−ジメチルビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ジメチルビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−6,6'−ジメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ジフルオロビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−ジフルオロビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−ジフルオロビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−ジフルオロビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ジフルオロビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−6,6'−ジフルオロビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ジクロロビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−ジクロロビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−ジクロロビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−ジクロロビフェニル、3,4'−ジアミノ−4,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ジクロロビフェニル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ケトン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,4'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,4'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,3'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、3,3'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ

)オクタフルオロビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1,2−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジフルオロベンゼン、1−メチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、1−メチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1−メチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1−メチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1,4−ジメチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,4−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1−トリフルオロメチル−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシフルオロベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)−2,5−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシジクロロベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジクロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジヒドロキシジクロロベンゼン、1,2−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシジクロロベンゼン、2,7−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシナフタレン、1−メチル−3,6−ジアミノ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジメチル−3,7−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、1−メチル−3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、1−トリフルオロメチル−3,6−ジアミノ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,7−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、1−トリフルオロメチル−3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシテトラフルオロナフタレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、1,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシテトラクロロナフタレン、−3,6−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラフクロロベンゼン、1,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、9,9−ビス−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェニル)フルオレン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらのアミン成分モノマーは単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明に用いることができる共重合可能なカルボン酸成分モノマーとしては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−メチルイソフタル酸、3−メチルフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2,4,5,6−テトラメチルイソフタル酸、3,4,5,6−テトラメチルフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、3−フルオロフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、3,4,5,6−テトラフルオロフタル酸、2−トリフルオロメチルイソフタル酸、3−トリフルオロメチルフタル酸、2−トリフルオロメチルテレフタル酸、2,4,5,6−トリフルオロメチルイソフタル酸、3,4,5,6−トリフルオロメチルフタル酸、2−クロロイソフタル酸、3−クロロフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラクロロイソフタル酸、3,4,5,6−テトラクロロフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、テトラフルオロコハク酸、ヘキサフルオログルタル酸、オクタフルオロアジピン酸、パーフルオロピメリン酸、パーフルオロスベリン酸、パーフルオロアゼライン酸、パーフルオロセバシン酸、1,9−パーフルオロノナンジカルボン酸、パーフルオロドデカン二酸、パーフルオロトリデカン二酸、1,12−パーフルオロドデカンジカルボン酸、テトラクロロコハク酸、ヘキサクロログルタル酸、オクタクロロアジピン酸、パークロロピメリン酸、パークロロスベリン酸、パークロロアゼライン酸、パークロロセバシン酸、1,9−パークロロノナンジカルボン酸、パークロロドデカン二酸、パークロロトリデカン二酸、1,12−パークロロドデカンジカルボン酸、1,4−パーフルオロシクロヘキサンジカルボン酸、1,3−パーフルオロシクロヘキサンジカルボン酸、1,2−パーフルオロシクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−パークロロシクロヘキサンジカルボン酸、1,3−パークロロシクロヘキサンジカルボン酸、1,2−パークロロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ジカルボキシビフェニル、3,3'−ジカルボキシビフェニル、3,4'−ジカルボキシビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−5,5'−ジメチルビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−5,5'−ジメチルビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−6,6'−ジメチルビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−6,6'−ジメチルビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−5,5'−ジメチルビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−6,6'−ジメチルビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−5,5'−ジフルオロビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−5,5'−ジフルオロビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−6,6'−ジフルオロビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−6,6'−ジフルオロビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−5,5'−ジフルオロビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−6,6'−ジフルオロビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−5,5'−ジクロロビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−5,5'−ジクロロビフェニル、4,4'−ジカルボキシ−6,6'−ジクロロビフェニル、3,3'−ジカルボキシ−6,6'−ジクロロビフェニル、3,4'−ジカルボキシ−5,5'−ジクロロビフェニル、4,4'−オキシビス安息香酸、3,3'−オキシビス安息香酸、3,4'−オキシビス安息香酸、2,4'−オキシビス安息香酸、3,4'−オキシビス安息香酸、2,3'−オキシビス安息香酸、4,4'−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、3,3'−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、3,4'−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、2,4'−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、3,4'−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、2,3'−オキシビスオクタフルオロ安息香酸、4,4'−オキシビスオクタクロロ安息香酸、3,3'−オキシビスオクタクロロ安息香酸、3,4'−オキシビスオクタクロロ安息香酸、2,4'−オキシビスオクタクロロ安息香酸、3,4'−オキシビスオクタクロロ安息香酸、2,3'−オキシビスオクタクロロ安息香酸、ビス(4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルフィド、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルフィド、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルフィド、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルフィド、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルフィド、ビス(4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−スルホン、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルホン、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−スルホン、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルホン、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ケトン、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ケトン、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ケトン、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−ケトン、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−ケトン、ビス(4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−メタン、ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−メタン、ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−メタン、ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−メタン、ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−メタン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3

−カルボキシオクタフルオロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−メチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−メチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−トリフルオロメチル−4−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(6−トリフルオロメチル−3−カルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタフルオロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシオクタクロロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシオクタクロロフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、3,3'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、4,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、3,3'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)オクタクロロビフェニル、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,5−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,5−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,6−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,7−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,8−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、2,6−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、2,7−ジカルボキシヘキサフルオロナフタレン、1,4−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,5−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,6−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,7−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,8−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、2,6−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、2,7−ジカルボキシヘキサクロロナフタレン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,2−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラフェニルジシロキサン、α,ω−ビス(3−カルボキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−カルボキシプロピル)ポリジフェニルシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのカルボン酸モノマーは単独、または複数を組み合わせて使用することができる。
【0024】
本発明のポリベンズアゾールは、重量平均分子量が、好ましくは1万〜50万であり、より好ましくは2万〜30万であり、さらに好ましくは3万〜20万である。分子量を1万以上とすることにより、ポリベンズアゾールフィルムとして成形しやすくなり、より良好な力学特性が得られる。分子量は、固有粘度を目安にすることもできる。0.5重量%のポリマー溶液をオストワルド粘度計を用いて30℃で測定したときの固有粘度が0.4dL/g以上であることが好ましく、0.5dL/g以上であることがより好ましい。
【0025】
本発明のポリベンズアゾールのカルボキシル価は、300μmol/g以下であることが好ましく、30μmol/g以下であることがより好ましく、10μmol/g以下であることがさらに好ましい。カルボキシル価を300μmmol/g以下にすることにより、耐アーク放電性や誘電率などの電気特性や溶剤に溶解して調製したポリマー溶液の保存安定性により優れ、溶液キャスト法により得られるキャストフィルムの表面特性により優れる。なお、カルボキシル価は、電位差滴定装置を利用した中和滴定など公知の方法で測定することができる。
【0026】
本発明のポリベンズアゾール中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。残留アルカリ金属量およびハロゲン量を50ppm以下とすることにより、電気特性が低下するのをより効果的に抑止し、さらに、フィルム状としたときにより良好な表面特性が得られる。また導電膜および半導体膜等を形成した機能性フィルムを作製した場合により良好な性能が得られる。本発明のポリベンズアゾール中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法およびプラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0027】
本発明のポリベンズアゾール中に残留するアミン成分モノマーおよびカルボン酸成分モノマー量は3000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、100ppmであることがさらに好ましい。残留するアミン成分モノマーおよびカルボン酸成分モノマー量を3000ppm以下とすることにより、上述した良好な電気特性が得られる。また、フィルム状としたときの表面特性がより良好となる。さらに、導電膜または半導体膜等を設けた機能性フィルムを作製した場合により良好な性能が得られる。より具体的には、例えば、ポリベンズアゾールフィルム上に透明導電膜を形成する際に、製膜時の加熱やプラズマの影響等が原因で、残留するモノマー等のガスを発生させたり、熱分解等が生じることにより、透明導電膜中に結晶粒塊が生じたり、また「抜け」と呼ばれるようなコーティングされない部分が生じ、透明導電膜の低抵抗化が阻害されるなどの悪影響を及ぼすが、本発明では残留するアミン成分モノマーおよびカルボン酸成分モノマー量を3000ppm以下とすることにより、そのような問題点が起こるのをより効果的に抑止できる。
ポリマーおよびそのフィルム中に残留するアミン成分モノマーおよびカルボン酸成分モノマー量は、HPLCや核磁気共鳴法など公知の方法で分析できる。
【0028】
以下、本発明のポリベンズアゾールの好ましい例をホモポリマーで示すが、コポリマーでもよく、また、本発明はこれらに制限を受けるものではない。
【0029】
【化10】

【0030】
【化11】

【0031】
本発明のポリベンズアゾールは、有機溶媒可溶な場合には、この溶液をシリコーン、銅、ガラス等の基板上に流延し、乾燥することで、強靭なポリベンズアゾールフィルムを得ることができる。乾燥条件は、温風乾燥器中、例えば、50〜150℃範囲で10分〜10時間乾燥する。乾燥したポリベンズアゾールフィルムを好ましくは150〜300℃、より好ましくは180℃〜250℃で熱処理する。着色を抑制するためには、熱処理は真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましいが、あまり高温にしないかぎり空気中で行ってもよい。
【0032】
また、本発明のポリベンズアゾールフィルムは、前駆体のポリアミドまたはその誘導体の有機溶媒溶液をシリコーン、銅、ガラス等の基板上に流延し、乾燥してポリベンズアゾールフィルムとした後、熱閉環させることで強靭なフィルムを得ることができる。ポリベンズアゾールフィルムの乾燥条件は、温風乾燥器中、例えば、50〜150℃範囲で10分〜10時間乾燥する。乾燥したフィルムを好ましくは150〜400℃、より好ましくは180℃〜350℃で熱処理することで閉環し好ましいポリベンズアゾールフィルムを得ることができる。着色を抑制するためには、熱処理は真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましいが、あまり高温にしないかぎり空気中で行ってもよい。
【0033】
また、ポリリン酸などの酸性媒体中でポリベンズアゾールを合成したドープを、熱プレスした後、水洗浄および乾燥することでもポリベンズアゾールフィルムを得ることができる。
【0034】
ポリベンズアゾール、または、その前駆体のポリアミド若しくは誘導体の有機溶媒溶液を得る際に用いる有機溶媒としては特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テロラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の非プロトン性溶媒および、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のプロトン性溶媒が使用可能であり、非プロトン性溶媒が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テロラヒドロフラン、ジクロロメタンがより好ましい。またこれらの溶媒は単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0035】
本発明でいうガラス転移温度(Tg)とは示差走査熱量測定(DSC測定)によって求められたものをいう。本発明のポリベンズアゾールフィルムの好ましいTgは250℃以上であり、より好ましくは270℃以上であり、さらに好ましくは300℃以上であり、最も好ましくは350℃以上である。
【0036】
また、本発明のポリベンズアゾールフィルムは、400nmでの透過率(フィルム厚:20μm)が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
【0037】
本発明におけるポリベンズアゾールフィルムの吸水率とは、50℃で24時間真空乾燥したポリベンズアゾールフィルム(フィルム厚:20μm)を25℃の水に24時間浸漬した後、余分な水分を拭き取ったものの、重量増加分から求められる吸水率(%)をいう。
本発明におけるポリベンズアゾールフィルムの吸水率は、低い方が好ましい傾向にあり、例えば、1%以下(より好ましくは、0.5%以下)とすると、液晶ディスプレー用基板および有機EL用基板により好適に用いられる。
【0038】
本発明におけるポリベンズアゾールフィルムの線熱膨張係数(CTE)とは、熱機械分析により、荷重0.5g/厚さ1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値として求められた線熱膨張係数をいう。本発明におけるポリベンズアゾールフィルムの線熱膨張係数は、好ましくは80ppm/K以下、より好ましくは70ppm/K以下である。
【0039】
本発明における5%重量減少温度とは、昇温速度10℃/minにおいて、窒素中(Td5N2)または、空気中(Td5 Air)で重量が5%減少する温度をいう。本発明における、Td5 N2は、できるだけ高い方が好ましいが、好ましくは450℃以上、より好ましくは470℃以上である。本発明における、Td5 Airは、できるだけ高い方が好ましいが、好ましくは350℃以上、より好ましくは380℃以上である。
【0040】
本発明のポリベンズアゾールフィルム中に残留する溶媒量は2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましい。フィルム中に残留する溶媒量を2000ppm以下とすることにより、ポリベンズアゾールフィルム表面の特性が悪化し、表面処理等に悪影響を及ぼしたりすることをより効果的の抑制し、導電膜または半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能がより向上する。
本発明のポリベンズアゾールフィルム中に残留する溶媒量は、ガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0041】
本発明のポリベンズアゾールフィルムは、回転ドラムまたはバンド上への溶液流延、剥ぎ取り、乾燥を連続的に行い、ロール状に巻取ることにより製造することが好ましい。このように、本発明のポリベンズアゾールフィルムを機械的に搬送する場合など、フィルムの力学強度が高いことが好ましい。好ましい力学強度は、搬送装置に依存するため一概にいえないが、目安としてフィルムの引張試験から得られる破断応力または破断伸度を用いることができる。好ましい破断応力は50MPa以上、より好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上である。破断伸度はサンプル作製条件などによっても変動するが、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。
【0042】
本発明のポリベンズアゾールフィルムは延伸されていてもよい。延伸により耐折強度など機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下ORSと略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。なお、ORSは延伸フィルムに内在する、延伸により生じた内部応力である。
【0043】
延伸には、公知の方法が使用できるが、本発明のポリベンズアゾールフィルムが250℃以上のTgを有する場合、単なる加熱のみでの延伸は難しいため、溶媒を含んだ状態で延伸することが好ましい。この場合、乾燥途中過程で延伸を行うことが好ましく、例えば溶媒を含んだ状態のTgより10℃高い温度から50℃高い温度までの間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は好ましくは1.1〜3.5倍、より好ましくは1.1〜2.0倍である。
【0044】
本発明のポリベンズアゾールは1種類だけであっても2種類以上が混合されていてもよい。また本発明の効果を損なわない範囲(好ましくは、50〜1質量%、より好ましくは20〜1質量%)でポリベンズアゾール以外のポリマーを含んでいてもよいのは上述のとおりである。また、耐溶剤性、耐熱性または力学強度等の観点から架橋樹脂を添加してもよい。
【0045】
架橋樹脂は、熱硬化性樹脂および放射線硬化性樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂およびシアネート樹脂等が挙げられる。また架橋方法は、共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する方法も特に制限なく使用できる。但し、このような方法は、製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。
【0046】
また、1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、そのために市販されているブロックタイプ硬化剤を用いることができる。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
【0047】
【化12】

【0048】
放射線硬化性樹脂は、ラジカル硬化性樹脂およびカチオン硬化性樹脂に大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては、分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。
【0049】
ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法および紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
【0050】
本発明のポリベンズアゾールフィルムにおいて、上記の熱硬化性樹脂および/または放射線硬化性樹脂の複数種を、それぞれ、用いてもよい。また、架橋性樹脂と架橋性基を有さないポリマーと混合して用いてもよい。
【0051】
さらに本発明のポリベンズアゾールフィルムに用いる本発明のポリベンズアゾールに架橋性基を導入することも可能であり、この場合、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、上記で挙げた汎用の架橋性樹脂を併用せずに架橋することができる。
【0052】
本発明のポリベンズアゾールフィルムには、金属の酸化物および/または金属の複合酸化物、およびゾルゲル反応により得た金属酸化物を含有することができる。この場合、上記で挙げた架橋樹脂と同様に耐熱性および耐溶剤性を付与できる。さらに必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、末端封止剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、有機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤および潤滑剤等の樹脂改質剤を添加してもよい。
【0053】
本発明のポリベンズアゾールフィルムの厚みは、特に規定されないが20〜700μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましく、40〜150μmであることがさらに好ましい。
【0054】
本発明のポリベンズアゾールフィルムには、ガス透過性を抑制するために、ガスバリア層を設けることも好ましい。ガスバリア層は、ポリベンズアゾールフィルムの表面に直接積層してもよいし、他の層を介して設けてもよい。また、ガスバリア層は、1層のみを設けてもよいし、2層以上を設けてもよい。さらに、ガスバリア層は、ポリベンズアゾールフィルムの片面にのみ設けてもよいし、両面に設けてもよい。
【0055】
ガスバリア層としては、無機化合物からなるガスバリア層が好ましく、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウムおよびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分(例えば、全体の80%以上の金属が該金属であるもの)とする金属酸化物、並びに/または、珪素、アルミニウムおよびホウ素からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分の金属窒化物からなるガスバリア層がより好ましい。中でもガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力およびコスト等の点から、珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0である珪素酸化物を主成分とする金属酸化物層、珪素原子数に対する窒素原子数の割合が1.0〜1.5である珪素窒化物を主成分とする金属窒化物層が好ましい。
【0056】
このような無機化合物からなるガスバリア層は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られる観点から、スパッタリング法を用いることが好ましい。またガスバリア層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
【0057】
上記の方法で得られたガスバリア層の膜厚は10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
【0058】
ガスバリア層を有するポリベンズアゾールフィルムのガスバリア性は、40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が5g/m2・day以下であることが好ましく、1g/m2・day以下であることがより好ましく、0.5g/m2・day以下であることがさらに好ましい。また、40℃、相対湿度90%で測定した酸素透過度は1ml/m2・day・atm以下であることが好ましく、0.7ml/m2・day・atm以下であることがより好ましく、0.5ml/m2・day・atm以下であることがさらに好ましい。ガスバリア性能が上記範囲内であれば、例えば有機EL素子や液晶表示素子に用いた場合、水蒸気および酸素によるEL素子の劣化を実質的になくすことができるため好ましい。
【0059】
ガスバリア性能を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を形成することが好ましい。欠陥補償層としては、例えば、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層、(2)米国特許第6413645号明細書、第64163645号明細書に記載の有機物層等を用いることができる。これらの欠陥補償層の作製には、真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、または塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させる方法が採用できる。欠陥補償層を塗布方式で作製する場合には、従来の種々の塗布方法、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法等の方法を用いることができる。
【0060】
本発明のポリベンズアゾールフィルムの表面には、用途に応じて他の層を形成したり、部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上に、ケン化、コロナ処理、火炎処理およびグロー放電処理等の処理を行ったりすることができる。さらに、ポリベンズアゾールフィルム表面に接着層および/またはアンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層およびフィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層等の公知の機能性層を付与することもできる。
【0061】
本発明のポリベンズアゾールフィルムには、透明導電層を形成することができる。透明導電層としては、公知の金属膜および金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性および機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛およびゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛および酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性および導電性に優れており、好ましく用いられる。
【0062】
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法が適しており、例えば、特許登録第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号の各公報に記載の方法で製膜することができる。中でも、特に優れた導電性および透明性が得られるという観点から、スパッタリング法を用いることが好ましい。
【0063】
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法またはプラズマCVD法の真空度は、好ましくは0.133mPa〜6.65Pa、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)およびコロナ処理のような表面処理を、ポリベンズアゾールフィルムに加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温しても良い。
【0064】
上記の方法で得られた透明導電層の膜厚は20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
【0065】
また、上記の方法で得られた透明導電層の25℃、相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、0.1〜100Ω/□であることがより好ましく、0.5〜60Ω/□であることがさらに好ましい。また透明導電層の光透過性は80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
【0066】
透明導電層はガスバリア層と同じ側または反対側のいずれに設けてもよい。
【0067】
[画像表示装置]
本発明のポリベンズアゾールフィルムは必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置としては特に限定されず、従来知られているものに広く用いることができる。また、本発明のポリベンズアゾールフィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管および発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明のポリベンズアゾールフィルムは、太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号の公報等に記載のものに応用できる。
【0068】
また、本発明のポリベンズアゾールフィルムは、薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として好ましく用いることができる。TFTアレイの作製方法は、例えば、特表平10−512104号公報に記載された方法等を用いることができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
【0069】
本発明のポリベンズアゾールフィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために本発明のポリベンズアゾールは非晶性であることが好ましい。また、そのような用途に使用する場合は、本発明のポリベンズアゾールフィルムの複屈折が小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。
【0070】
本発明のポリベンズアゾールのみを用いて複屈折の小さいポリベンズアゾールフィルムを得るためには、溶液流延時の溶媒および乾燥条件を適宜調節することが有効である。また、必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)およびその波長分散を制御する目的で固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。また、本発明のポリベンズアゾールフィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
【0071】
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなるのが一般的である。このうち本発明のポリベンズアゾールフィルムは、光学特性の調節によりλ/4板および偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板として利用することも好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0072】
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなるのが一般的である。このうち本発明のポリベンズアゾールフィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板として利用することも好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0073】
液晶層(液晶セル)の種類として、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およぴ、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードによるものが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のポリベンズアゾールフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効に用いることができる。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効に用いることができる。
【0074】
これの液晶表示装置については、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers (予稿集)30(1999)206、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational`99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号公報、特許登録第3022477号公報、および国際公開WO00/65384号公報等に記載されている。
【0075】
本発明のガスバリア層が積層されたポリベンズアゾールフィルムは、必要に応じてTFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用できる。
有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0076】
本発明のポリベンズアゾールフィルムまたは機能性フィルムを使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流電圧または直流電流を印加することにより、発光が得られる。直流電圧は通常2ボルト〜40ボルトであり、必要に応じて交流成分を含んでも良い。
【0077】
上記の発光素子の駆動については、例えば、特開平2−148687号、特開平6−301355号、特開平5−29080号、特開平7−134558号、特開平8−234685号および特開平8−241047号の各公報、米国特許5828429および同6023308号の各明細書、特許登録第2784615号公報等に記載された方法を利用することができる。
【実施例】
【0078】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0079】
[合成例1] P−6の合成
(モノマー合成)
4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル(東京化成製)21.6g(0.1mol)と無水ヘキサン酸2.4当量をN,N−ジメチルアセトアミド中で反応させ、水に添加することで、アミド化された固体を得た。この固体を乾燥後、酢酸中で、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン1.1当量を触媒量のp−トルエンスルホン酸存在下で反応させクロロ化した。反応液を水に添加し、酢酸エチルで抽出・水洗した後、有機層を塩化マグネシウムで乾燥し濃縮した。生じた固体をクロロホルムで再結晶しクロロ化された白色の固体を得た。この白色固体は、酢酸中で過剰の塩酸と加熱還流した反応の進行に従って溶解し、再び白色の固体が生成した。反応液を室温まで冷却し、生じた白色固体を濾取した。酢酸エチルで洗浄、乾燥し、4,4'−ジアミノ−6,6'−ジクロロ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル2塩酸塩の白色固体を得た。
(ポリマー合成)
4,4'−ジアミノ−6,6'−ジクロロ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル2塩酸塩3.58g(10mmol)をN−メチル−2−ピロリドン35mlに溶解し、リチウムクロライド0.35gを添加し溶解させた。この溶液にトリメチルシリルクロライド5.54mlを添加し、1時間攪拌後、ピリジンを5.66ml添加し、さらに1時間攪拌し、4,4'−ジアミノ−6,6'−ジクロロ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルをシリル化した。この溶液を−10℃以下に冷却した後、2,2−ビス(4−クロロカルボニルフェニル)−ヘキサフルオロプロパン4.29g(10mmol)を徐々に添加し、室温で5時間攪拌することで、ポリベンズオキサゾール前駆体溶液を得た。この溶液をガラス基板上に流延し、100℃で1時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、大量の水で洗浄し、乾燥した。このポリベンズオキサゾール前駆体フィルムをガラス板上にカプトンテープで固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間加熱することで熱的に閉環させ、P−6の可撓性フィルムを得た。このフィルム物性は、ガラス転移温度357℃、5%重量減少温度(昇温速度10℃/min)は、窒素中(Td52)で>500℃、線熱膨張係数(CTE)50.9ppm/K、膜厚20μm換算の400nmにおける透過率は62%であり良好な透明性であった。
【0080】
[合成例2] P−10の合成
(モノマー合成)
氷150gに濃硫酸150mlを添加し、攪拌しながら0℃以下で、23gの2,6−ジクロロ−4−メトキシアニリンを150mlのアセトニトリルに溶解した溶液を20分以上かけて滴下した。ここに、15gの亜硝酸ソーダを水120mlに溶解した溶液を0℃以下で、20分以上かけて滴下した。この反応液を、ヨウ化カリウム70gを水200mlに溶解した溶液を激しく攪拌しながら、該溶液に滴下した。1時間攪拌した後、生じた沈殿を濾取し水洗した。この沈殿を酢酸エチルに溶解し、ハイドロサルファイトソーダおよび重曹を含む水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後濃縮した所、3,5−ジクロロ−4−ヨードアニソールの白色固体を得た。
得られた3,5−ジクロロ−4−ヨードアニソールの白色固体を、過剰の銅粉存在下、N,N−ジメチルホルムアミド中で、5時間加熱還流した。濾液を酢酸エチルで抽出、水洗し、有機層を濃縮して得られた固体をアセトン/メタノール混合溶媒で再結晶することで2,2',6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジメトキシビフェニルの白色固体を得た。
この2,2',6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジメトキシビフェニルの白色固体を塩化メチレン中で、2.2当量の三臭化ホウ素で処理し、2,2',6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルの白色固体を得た。
この2,2',6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルの白色固体を塩化メチレン中で2.4当量の60%硝酸と反応させ、2,2',6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキ−3,3'−ジニトロビフェニルの淡黄色固体を得た。
2,2',6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシ−3,3'−ジニトロビフェニルの淡黄色固体をエタノール中で触媒量の5%のパラジウムチャコール存在下、接触水素添加した。触媒を濾別した後、水に添加し、白色固体を得た。この固体をメタノールで再結晶し、3,3’−ジアミノ−2,2’,6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルの白色結晶を得た。
【0081】
(ポリマー合成)
3,3’−ジアミノ−2,2’,6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル3.54g(10mmol)をN−メチル−2−ピロリドン35mlに溶解し、リチウムクロライド0.35gを添加し溶解させた。この溶液にトリメチルシリルクロライド5.54mlを添加し、1時間攪拌後、ピリジンを5.66ml添加し、さらに1時間攪拌し、4,4'−ジアミノ−6,6'−ジクロロ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルをシリル化した。この溶液を−10℃以下に冷却した後、4,4'−オキシビス安息香酸クロライド2.95g(10mmol)を徐々に添加し、室温で5時間攪拌することで、ポリベンズオキサゾール前駆体溶液を得た。この溶液をガラス基板上に流延し、100℃で1時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、大量の水で洗浄し、乾燥した。このポリベンズオキサゾール前駆体フィルムをガラス板上にカプトンテープで固定し、窒素雰囲気下、350℃、1時間加熱することで熱的に閉環させ、P−10の可撓性フィルムを得た。このフィルム物性は、ガラス転移温度350℃、5%重量減少温度(昇温速度10℃/min)は、窒素中(Td52)で>500℃、線熱膨張係数(CTE)51.2ppm/K、膜厚20μm換算の400nmにおける透過率は68%であり良好な透明性であった。
【0082】
[比較ポリマー1の合成]
窒素気流下、攪拌装置を備えた反応容器中で、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル(東京化成製)2.16g(10mmol)をN−メチル−2−ピロリドン35mlに溶解し、リチウムクロライド0.35gを添加し溶解させた。この溶液にトリメチルシリルクロライド5.54mlを添加し、1時間攪拌後、ピリジンを5.66ml添加し、さらに1時間攪拌し、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルをシリル化した。この溶液を−10℃以下に冷却した後、2,2−ビス(4−クロロカルボニルフェニル)−ヘキサフルオロプロパン4.29g(10mmol)を徐々に添加し、室温で5時間攪拌することで、ポリベンズオキサゾール前駆体溶液を得た。この溶液をガラス基板上に流延し、100℃で1時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、大量の水で洗浄し、乾燥した。このポリベンズオキサゾール前駆体フィルムをガラス板上にカプトンテープで固定し、窒素雰囲気下、350℃で、1時間加熱することにより熱的に閉環させ、比較ポリマー1の強靭なフィルムを得た。このフィルム物性は、ガラス転移温度346℃、5%重量減少温度(昇温速度10℃/min)は、窒素中(Td52)で>500℃、線熱膨張係数(CTE)52.6ppm/K、膜厚20μm換算の400nmにおける透過率は7%であり劣悪な透明性であった。
【0083】
比較ポリマー1
【化13】

【0084】
【表1】

【0085】
本発明のポリマーは良好な透明性と良好なガラス転移温度を両立する。比較ポリマー1は高いガラス転移温度を有するが、透明性が悪く画像表示装置用透明フィルムには適さない結果であった。
【0086】
[実施例2] 有機EL素子試料の作製と評価
<ガスバリア層の形成>
実施例1で作製したフィルム試料101、102の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、酸素を導入し、圧力を0.1Paとして出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。ガスバリア層を形成した機能性フィルム試料の40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は0.1g/m2・day以下であり、40℃、相対湿度90%における酸素透過度は0.1ml/m2・day以下であった。
【0087】
<透明導電層の形成>
ガスバリア層を設置した光学フィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとし、DCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設けた。透明導電層を設置した機能性フィルム試料の25℃、相対湿度60%における表面電気抵抗は30Ω/□であった。
【0088】
<加熱処理>
ガスバリア層および透明導電層を形成した機能性フィルム試料に対してTFT設置を想定して250℃で1時間の加熱処理を行った。
【0089】
<有機EL素子の作製>
加熱処理を行った上記機能性フィルム試料の透明電極層より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。透明導電層(電極)の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0090】
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
【0091】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0092】
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産(株)製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を形成し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとした。
【0093】
ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
1−ブタノール: 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
【0094】
【化14】

【0095】
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料201および202を得た。
【0096】
得られた有機EL素子試料201および202をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加したところ、本発明の試料201および202は発光することを確認した。
【0097】
上記実施例より、本発明のガスバリア層積層フィルムは耐熱性、透明性に優れ、透明導電層等の機能層を積層することができ、TFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のガスバリア層を積層したフィルムは、必要に応じて各種機能層を設けた上で、液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどフラットパネルディスプレイなどの画像表示装置に用いることができる。また、本発明のフィルムは、太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリベンズアゾール。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、Aは、O、SまたはNHを表す。Lは2価の連結基を表す。X1およびX2はそれぞれハロゲン原子を表す。mおよびnはそれぞれ1〜3の整数を表す。)
【請求項2】
ガラス転移温度が250℃以上である、請求項1に記載のポリベンズアゾール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリベンズアゾールを含むフィルム。
【請求項4】
膜厚を20μmとしたときの400nmにおける透過率が60%以上である、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
前記フィルムの少なくとも片面にガスバリア層が積層された、請求項3または4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記フィルムの少なくとも片面に透明導電層が積層された、請求項3〜5のいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載のフィルムを用いた画像表示装置。

【公開番号】特開2006−219527(P2006−219527A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31876(P2005−31876)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】