説明

フォーカシング制御装置および非接触測定装置

【課題】測定面からの反射光の光量に影響されることなく、安定したオートフォーカスができるフォーカシング制御装置を提供する。
【解決手段】フォーカスエラー信号Sは、ピンホール方式で生成される。信号生成部9からの出力がフォーカスエラー信号Sか否かの判断では、初めにデフォルトのしきい値として第1しきい値N1および第2しきい値N2が用いられる。この判断でフォーカスエラー信号Sと判断されない場合は、第1しきい値N1を第3しきい値N3に、第2しきい値N2を第4しきい値N4に補正して再度フォーカスエラー信号Sの判断をする前に、信号生成部9からの出力の波形を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカシング制御装置およびそれを用いた非接触測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォーカシング制御装置が組み込まれた非接触の光学式変位計が知られている。フォーカシング制御装置は、レーザ光をワークの測定面に照射し、そこで反射された光を用いてフォーカスエラー信号を生成し、このフォーカスエラー信号を基にして対物レンズの焦点位置を測定面に合わせるものである。
【0003】
フォーカスエラー信号は、いわゆるS字曲線信号とも呼ばれ、合焦位置でゼロクロスする。この位置はゼロクロスポイントと呼ばれている。フォーカスエラー信号か否かの判断は、あらかじめ設定されたしきい値と比較してなされる。ワークの測定面が粗い場合や測定面の反射率が低い場合などが原因で測定面からの反射光の光量が少なくなると、しきい値を補正してフォーカスエラー信号か否かの判断をする技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−162375号公報(段落0022〜0023,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ワークの表面性状や物性の違いや、測定面からの反射光の光量などに影響されることなく、安定したオートフォーカスができるフォーカシング制御装置およびそれを用いた非接触測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるフォーカシング制御装置は、測定面に照射する光ビームを発生する光ビーム発生手段と、前記測定面に光ビームが照射されることにより前記測定面で反射された反射光が入射する対物レンズと、前記対物レンズを通った反射光を二つの分割光に分割すると共に、前記対物レンズの移動に伴って前記分割光の光量を増減させる光学系と、前記分割光を光電変換しこれを基にして生成されたフォーカスエラー信号が出力される信号生成手段と、前記信号生成手段からの出力の最小値および最大値が記憶される記憶手段と、フォーカスエラー信号の判断において、(1)前記信号生成手段からの出力の最小値が第1しきい値より小さくかつ第2しきい値より大きい条件を満たす場合、または(2)前記信号生成手段からの出力の最小値が前記第1しきい値を補正した第3しきい値より小さくかつ最大値が前記第2しきい値を補正した第4しきい値より大きい条件を満たす場合、これらの出力をフォーカスエラー信号と判断するサーチ手段と、前記サーチ手段によってフォーカスエラー信号と判断されない場合に、前記記憶手段に記憶されている出力の最小値より大きい前記第3しきい値およびこの出力の最大値より小さい前記第4しきい値を設定して前記サーチ手段に再度フォーカスエラー信号の判断を命令する再判断決定手段と、前記測定面が前記対物レンズの焦点に位置するように前記対物レンズをその光軸に沿って移動させる制御を、フォーカスエラー信号と判断されたことに基づいて実行する移動制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかるフォーカシング制御装置によれば、生成されるフォーカスエラー信号の判断で、信号生成手段からの出力がフォーカスエラー信号と判断されない場合、しきい値を補正して再度フォーカスエラー信号の判断をする前に、信号生成手段からの出力の波形を評価している。これにより、フォーカスエラー信号のサーチ処理の精度が向上するので、ワークの表面性状や物性の違いや、測定面からの反射光の光量などに影響されることなく、安定したオートフォーカスを実現することができる。
【0008】
本発明にかかるフォーカシング制御装置においては、前記再判断決定手段は、前記信号生成手段からの出力の最小値および最大値に基づくフォーカスエラー信号の振幅中心値を算出するとともにこの振幅中心値の基準電圧値からのオフセット量を算出し、オフセット量がある場合はこのオフセット量をそれぞれ前記第1しきい値および第2しきい値に加えて前記第3しきい値および第4しきい値を設定するようにすることができる。これによれば、測定面が焦点検出範囲の中心から外れているワークに対しても焦点検出することが可能となる。
【0009】
また、本発明にかかるフォーカシング制御装置においては、前記サーチ手段は、再度フォーカスエラー信号の判断がなされた場合、前記第1しきい値の大きさを前記第3しきい値の大きさと同じになるように変更し、かつ前記第2しきい値の大きさを前記第4しきい値の大きさと同じになるように変更し、それ以降の判断においては変更した第1しきい値および第2しきい値を用いるようにすることができる。これによれば、サーチ手段での処理ループを減らすことができる。
【0010】
本発明にかかる非接触測定装置は、測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段と、前記入力手段を用いて入力された前記測定ポイントとの距離を変位量として非接触に検出する、上記本発明にかかるフォーカシング制御装置を含む光学式変位計とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワークの表面性状や物性の違いや、測定面からの反射光の光量などに影響されることなく、安定したオートフォーカスを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明にかかるフォーカシング制御装置およびそれを用いた非接触測定装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
[フォーカシング制御装置]
(フォーカシング制御装置の主な特徴)
図1は、本発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置1の機能ブロック図である。フォーカシング制御装置1は、光ビーム発生部3、対物レンズ5、光学系7および信号生成部9を備える。光ビーム発生部3で発生した光ビームL1は、対物レンズ5を介してワークの測定面Mに照射される。測定面Mで反射された反射光L2は対物レンズ5に入射して、光学系7に導かれる。反射光L2は、光学系7で二つの分割光L3に分けられる。
【0014】
光学系7には、例えば一方および他方の分割光L3が通過可能なピンホール(図示せず)が設けられている。これらのピンホールは、それぞれ一方の分割光L3の結像点の前と他方の分割光L3の結像点の後とに位置している。これらのピンホールを通過した一方および他方の分割光L3は、信号生成部9で受光されて光電変換される。これにより、信号生成部9からフォーカスエラー信号Sが出力される。
【0015】
このフォーカスエラー信号Sの波形図を図2に示す。測定面Mの位置が対物レンズ5の焦点位置Fと一致する場合、フォーカスエラー信号Sはゼロとなる。換言すれば、フォーカスエラー信号Sは合焦位置でゼロクロスしている。フォーカスエラー信号Sの負のピーク値がフォーカスエラー信号Sの最小値MINであり、フォーカスエラー信号Sの正のピーク値がフォーカスエラー信号Sの最大値MAXである。
【0016】
この図2に示すフォーカスエラー信号Sは、ピンホール方式で生成された場合の波形を示している。これに対して、ナイフエッジ方式で生成された場合のフォーカスエラー信号の波形は図3に示すようになる。これら図2と図3とを比較すれば分かるように、ピンホール方式ではフォーカスエラー信号Sのカーブ波形のピーク値が大きくかつS/N比も大きいので、ノイズを小さくできる。したがって、ピンホール方式によればナイフエッジ方式に比べて、良好なフォーカスエラー信号Sを得ることができる。
【0017】
フォーカシング制御装置1は、さらに、記憶部11、サーチ部13、移動制御部15および再判断決定部17を備える。記憶部11には、図2に示すように、フォーカスエラー信号Sの最小値MINと比較される第1しきい値およびこの信号Sの最大値MAXと比較される第2しきい値があらかじめ記憶されている。また、この記憶部11には、信号生成部9からの出力の最小値および最大値が記憶される。
【0018】
ここで、サーチ処理起動の手順について説明する。図4は、サーチ処理起動の手順の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、サーチ部13において、サーチ処理するための各種処理をする(ステップS100)。ここでは、例えばサーチ処理をするに際してエラーとなっている場合はそのエラーを解除する処理をしたり、起動時のウォームアップ処理をしたりする。
【0019】
次に、サーチ部13は、カウンタICなどでカウントしたサーチ繰り返しループ回数をチェックし、例えばサーチ繰り返しループ回数が256回以上であるか否かを判断する(ステップS101)。ループ回数が256回以上であると判断された場合(ステップS101のY)は、処理を終了する。
【0020】
ループ回数が256回未満であると判断された場合(ステップS101のN)は、移動制御部15により、例えばアクチュエータを駆動制御して対物レンズ5をサーチ上限値および下限値の範囲内で上下に振動させる(ステップS102)。なお、このステップS102における処理が初回である場合は、サーチ上限値および下限値にはあらかじめ設定されているデフォルト値を用いる。
【0021】
そして、信号発生部9からの出力波形ピークから、出力の最大値MAXと最小値MINを得てこれらを記憶部11に記憶する(ステップS103)。こうして出力の最大値MAXおよび最小値MINを記憶したら、信号判断処理を行う(ステップS104)。この信号判断処理では、例えば記憶部11からしきい値の初期値として、あらかじめ設定されている第1しきい値N1および第2しきい値N2を読み出し、これらと信号生成部9からの出力とを比較する。
【0022】
具体的には、例えば出力の最小値MINが第1しきい値N1より大きいか、および/または最大値MAXが第2しきい値N2より小さいか否かを判断する。これらいずれの条件も満たさない場合、すなわち、図5(a)に示すように、出力の最小値MINが第1しきい値より小さくかつ最大値MAXが第2しきい値より大きい場合は、この出力をフォーカスエラー信号Sと判断し、サーチ処理が正常終了したと判断して(ステップS105のY)、一連の処理を終了する。
【0023】
フォーカスエラー信号Sと判断された場合、サーチ処理が終了して合焦処理が実行される。具体的には、移動制御部15は、フォーカスエラー信号Sを基にして、測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに位置するように、対物レンズ5をその光軸に沿って図1中矢印Aで示す方向およびこれとは逆の矢印Bで示す方向に移動させる制御を実行する。
【0024】
一方、上記いずれかの条件を満たす場合は、サーチ処理が正常終了していないと判断し(ステップS105のN)、フォーカスエラー信号Sのオフセット量を算出する(ステップS106)。例えば、上記いずれの条件も満たす場合(すなわち、最小値MIN>第1しきい値N1、かつ最大値MAX<第2しきい値N2の場合)は、フォーカスエラー信号Sの波形は、図5(b)に示すようなものとなる。
【0025】
そして、最大値MAXが第2しきい値N2より大きい場合は、フォーカスエラー信号Sの波形は図6(a)に示すようなものとなり、最小値MINが第1しきい値N1より小さい場合は、フォーカスエラー信号Sの波形は図6(b)に示すようなものとなる。このような場合(つまり、フォーカスエラー信号Sと判断されない場合)は、例えばフォーカシング制御装置1に備えられる再判断決定部17にて再度フォーカスエラー信号の判断をするための決定処理が実行される。
【0026】
この決定処理に際しては、まず、フォーカスエラー信号Sのオフセット量の算出が行われる(ステップS106)。すなわち、記憶部11に記憶した出力の最小値MINおよび最大値MAXに基づいて、出力波形の振幅中心値(すなわち、フォーカスエラー信号Sの平均値である中心位置)を導き出す。
【0027】
そして、この振幅中心値が基準電圧値(例えば、0V)からオフセットして(離れて)いるか否かを判断し、オフセットしている場合はその量を算出して記憶部11に記憶する。オフセットしていない場合(すなわち、振幅中心値と基準電圧値が合致する場合)は、例えば次のように決定処理が行われる。
【0028】
具体的には、例えばワークの測定面Mに金属の箇所とセラミックスの箇所が存在する場合、金属の箇所に比べてセラミックスの箇所では光の反射率が低くなる。このため、セラミックスの箇所では反射光L2の光量が減少し、フォーカスエラー信号Sの強度が低くなる(フォーカスエラー信号Sのピーク値が下がる)。図5(a)は金属の箇所におけるフォーカスエラー信号Sの波形であり、図5(b)はセラミックスの箇所におけるそれである。測定面Mが粗い場合も、測定面上の箇所によって反射光L2の光量が減少する問題が生じる。
【0029】
そして、反射光L2の光量が少ない箇所において、フォーカスエラー信号Sの判断に上記第1しきい値N1および第2しきい値N2を用いると、図5(b)に示すように、この出力はフォーカスエラー信号Sと判断されずにノイズと判断される。このような場合、光ビーム発生部3の出力を大きくすれば反射光L2の光量が少ない箇所でも、第1しきい値N1および第2しきい値N2を用いてフォーカスエラー信号Sの判断をすることは可能である。しかし、光ビーム発生部3の出力を大きくすると、反射光L2の光量が多い箇所ノイズがフォーカスエラー信号Sと判断されてしまうおそれがある。
【0030】
ところで、図5(a)および(b)に示すように、ピンホール方式で生成されたフォーカスエラー信号Sは強度が小さくなっても波形の崩れはほとんどなく、波形の山谷が明確に表れる特性を有している。そこで、この特性を生かし、フォーカスエラー信号Sの振幅中心値と基準電圧値が合致してオフセットしていない場合は、例えば次に説明する最小値評価範囲と最大値評価範囲とを用いて、信号生成部9からの出力の波形の確認処理をする。
【0031】
すなわち、図7に示すように、基準電圧値である0Vに対して対称であり、上限ULと下限LLで規定される最小値評価範囲Rminと最大値評価範囲Rmaxとをあらかじめ設定しておき、記憶部11に格納しておく。そして、信号生成部9からの出力の最小値MINが第1しきい値N1よりも大きいが最小値評価範囲Rmin内にあり、かつ最大値MAXが第2しきい値N2よりも小さいが最大値評価範囲Rmax内にある場合は、その出力はフォーカスエラー信号Sと推定できる。なお、これら上限UL、下限LL、第1しきい値N1および第2しきい値N2などは、半導体メモリ等にあらかじめ記憶されている。
【0032】
そこで、信号生成部9からの出力がこのような場合は、記憶部11に記憶されている信号生成部9の出力の最小値MINより大きい第3しきい値N3およびこの出力の最大値MAXより小さい第4しきい値N4を設定して設定変更を行い(ステップS107)、サーチ部13に再度フォーカスエラー信号の判断を命令して、上記ステップS101に移行する。
【0033】
これにより、フォーカスエラー信号Sの振幅中心値と基準電圧値が合致する場合においては、反射光L2の光量が少ない箇所でもフォーカスエラー信号Sの判断が可能となり、サーチ部13でフォーカスエラー信号Sの再度の判断が実行される。具体的には、信号生成部9からの出力の最小値MINが第1しきい値N1を補正した第3しきい値N3より小さく、かつ最大値MAXが第2しきい値N2を補正した第4しきい値N4より大きい条件を満たせば、この出力をフォーカスエラー信号Sと判断する。その後は、この判断を基にして、合焦位置にて移動制御部15によって測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに位置するように、対物レンズ5をその光軸に沿って移動させる。
【0034】
一方、フォーカスエラー信号Sの振幅中心値が基準電圧値からオフセットしている場合は、次のように決定処理が行われる。ここでは、図6(a)に示した信号生成部9からの出力の最大値MAXが第2しきい値N2よりも大きい場合を例にして説明する。オフセットしている場合は、記憶部11に記憶した最小値MIN、最大値MAXおよびオフセット量を参照して、ステップS107の設定変更処理にて次のような変更が行われる。
【0035】
まず、例えば第1しきい値N1と第2しきい値N2とに、記憶部11に記憶した最小値MINおよび最大値MAXを参照した値をそれぞれ代入し、各第1および第2しきい値を変更した後に、上記ステップS101に移行して処理を繰り返す。これにより、最小値MINおよび最大値MAXにて定められる各しきい値を用いたサーチが可能となる。なお、設定したしきい値が、例えばあらかじめ設定されている限度値(例えば、±0.2Vなど)となった後にもサーチが失敗するようであれば、ステップS101の判断を待たずして一連の処理を終了するようにしてもよい。
【0036】
また、焦点検出範囲を定めるサーチ上限値と下限値とに、記憶部11に記憶した最大値MAXおよび最小値MINを参照した値をそれぞれ代入し、サーチ上限値および下限値を変更した後に、上記ステップS101に移行して処理を繰り返す。これにより、最大値MAXおよび最小値MINにて定められる焦点検出範囲でもサーチが可能となる。これらの変更処理は、個々に行っても併用してもよい。
【0037】
なお、この設定変更処理において、第1および第2しきい値N1,N2にオフセット量を反映すると、図8に示すようになる。すなわち、図8(a)に示すように、算出したフォーカスエラー信号Sのオフセット量OFを用いて、図8(b)に示すように、第1しきい値N1と第2しきい値N2とに、それぞれこのオフセット量OFを加えて第3しきい値N3と第4しきい値N4とを設定する。
【0038】
このようにすれば、ワークのポジションが焦点検出範囲の中心からずれていても、しきい値をオフセットすることができるので、しきい値判定においてサーチ処理が正常終了し、合焦処理を実行することが可能となる。また、アクチュエータによる振動範囲を狭め(最適化し)、タクトを短縮することができる。なお、信号生成部9からの出力の最小値MINが第1しきい値N1よりも小さい場合(図6(b)で示す場合)についても、同様にオフセット量OFを加えることでサーチ処理を正常終了することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態では、ピンホール方式で生成されるフォーカスエラー信号Sの判断で、信号生成部9からの出力がフォーカスエラー信号Sと判断されない場合、しきい値を補正して再度フォーカスエラー信号Sの判断をする前に、信号生成部9からの出力の波形の確認処理やこの波形に基づく設定変更処理をしている。これにより、フォーカスエラー信号Sのサーチ処理の精度を向上させることができる。
【0040】
したがって、従来ではオートフォーカスができない表面性状や物性を有するワークや測定面(粗い、反射率が低いなど)でも、本実施形態によれば安定したオートフォーカスが可能となる。このように、本実施形態にかかるフォーカシング制御装置1によれば、ワークの表面性状や物性の違いや、測定面からの反射光の光量などに影響されることなく、安定したオートフォーカスを実現することができる。
【0041】
また、再度のフォーカスエラー信号Sの判断に用いる第3しきい値N3や第4しきい値N4をあらかじめ設定しておくのではなく、信号生成部9からの出力に基づいてリアルタイムに設定したり設定を変更したりするので、フォーカスエラー信号Sの強度がいかに小さくても、振幅中心値が焦点検出範囲の中心から外れていても、理論的にはオートフォーカスが可能となる。
【0042】
ところで、上記ステップS104での信号判断処理にて、しきい値の初期値として設定される第1しきい値N1および第2しきい値N2の大きさをデフォルト値のまま変更しないで信号判断をする場合を説明したが、変更するようにしてもよい。具体的に説明すると、金属のような光反射率が高い測定面を想定して第1しきい値N1および第2しきい値N2をあらかじめ設定し、この値を変更しない場合を考える。
【0043】
測定面の全面がセラミックスのような光反射率の低い材料の場合、このような測定面を繰り返して測定すると、再度のフォーカスエラー信号の判断がそのたびに実行され、処理ループが増加する。そこで、再度のフォーカスエラー信号の判断が実行された場合、第1しきい値N1の大きさを第3しきい値N3の大きさと同じになるように変更し、かつ第2しきい値N2の大きさを第4しきい値N4の大きさと同じになるように変更して、それ以降の判断においては変更された第1しきい値N1および第2しきい値N2を用いるようにしてもよい。このようにすれば、処理ループを減らすことができる。
【0044】
なお、基準電圧値を0Vとして説明しているが、これに限らずプラス側でもマイナス側でもよい。また、フォーカスエラー信号Sと判断されない場合、再判断決定部17で再度の判断の決定処理が実行されるが、その前にフォーカスエラー信号Sをノイズと区別するための処理を追加してもよい。
【0045】
すなわち、フォーカスエラー信号Sの強度があらかじめ設定された値より小さい場合、ノイズと判断し、再度の判断の決定処理を省略する。具体的には、図7に示すように、信号生成部9からの出力の最小値MINが第5しきい値N5より大きい場合および出力の最大値MAXが第6しきい値N6より小さい場合のうち、少なくともいずれかの場合に該当すれば、その出力をノイズと判断してその後の処理を進める。
【0046】
(フォーカシング制御装置の構造)
本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な構成について、光学式変位計を例にして説明する。図9は、この光学式変位計21のブロック図である。光学式変位計21は、対物レンズ5およびこの光軸方向(すなわち、上方向である図9中矢印Aで示す方向、下方向である図9中矢印Bで示す方向)に対物レンズ5を移動させるアクチュエータ23を備える。アクチュエータ23には、リニアエンコーダ25が設けられている。リニアエンコーダ25は、アクチュエータ23の駆動により対物レンズ5の移動に伴って移動されるスケール27と、このスケール27を読み取る検出器29とを備える。
【0047】
光学式変位計21は、さらに、半導体レーザ31、偏光ビームスプリッタ33および集光レンズ35を備える。半導体レーザ31は、光ビーム発生手段の一例である。半導体レーザ31で発生した光ビームL1は、偏光ビームスプリッタ33、集光レンズ35および対物レンズ5を介してワークの測定面Mに照射される。測定面Mで反射された反射光L2は、対物レンズ5に入射した後、集光レンズ35で集光されて偏光ビームスプリッタ33に導かれる。
【0048】
光学式変位計21は、例えば偏光ビームスプリッタ33で反射された反射光L2を二つの分割光L3に分けるビームスプリッタ37を備える。一方の分割光L3の結像点Pの前には、ピンホール39を有する板41が配置されている。また、他方の分割光L3の結像点Qの後には、ピンホール43を有する板45が配置されている。集光レンズ35、偏光ビームスプリッタ33、ビームスプリッタ37、ピンホール39,43を有する板41,45により光学系の一例が構成される。
【0049】
ピンホール39,43を通った分割光L3は、それぞれフォトダイオード47,49で受光され光電変換されて電流電圧変換器51,53で電圧に変換される。これら変換された信号は、オペアンプなどの差演算器55および和演算器57に入力する。差演算器55は、フォトダイオード47,49の出力の差(A−B)を演算する。和演算器57は、フォトダイオード47,49の出力の和(A+B)を演算する。
【0050】
差演算器55および和演算器57には除算器59が接続されている。除算器59は、差演算器55の出力電圧を和演算器57の出力電圧で割って((A−B)/(A+B))、フォーカスエラー信号Sを出力する。フォトダイオード47,49、電流電圧変換器51,53、差演算器55、和演算器57および除算器59により、信号生成手段の一例が構成される。
【0051】
フォーカスエラー信号Sは、図2に示すように、ワークのポジションが焦点検出範囲の中心と合致していることを前提に、測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fと一致する場合には0となり、測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに対して近い場合には正の値をとる。これに対して、測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fから遠い場合には負の値をとる。このように、フォーカスエラー信号Sは、ほぼS字曲線状の信号波形を有する。
【0052】
光学式変位計21は、除算器59の出力(信号生成手段からの出力)が入力するPID制御回路61と、これとスイッチ63を介して接続されているアクチュエータドライバ65とを備える。アクチュエータドライバ65は、アクチュエータ23の駆動を制御する。
【0053】
光学式変位計21は、さらに、CPU67、A/D(アナログ/デジタル)変換器69、D/A(デジタル/アナログ)変換器71、カウンタIC73およびI/O(入出力ポート)75を備える。これら各部は、データバス77により互いに接続されている。後述する「(フォーカシング制御装置の動作)」の欄での説明からも分かるように、CPU67は記憶手段、サーチ手段および再判断決定手段として機能する。
【0054】
A/D変換器69は、除算器59に接続され、フォーカスエラー信号Sをデジタル信号に変換する。D/A変換器71は、スイッチ63を介してアクチュエータドライバ65に接続されている。カウンタIC73は、リニアエンコーダ25の検出器29に接続されている。カウンタIC73は、検出器29から出力される二相信号に基づいて計数する。I/O(入出力ポート)75は、スイッチ63の切り替え操作部と接続されている。CPU67からの信号に基づき、スイッチ63の切り替え制御が実行される。
【0055】
アクチュエータドライバ65は、CPU67からの信号に基づいて対物レンズ5が光軸に沿った方向に振動する状態にアクチュエータ23を駆動制御(加振制御)する。そして、フォーカスエラー信号Sが得られた場合、焦点位置Fを認識する処理が実行される。すなわち、図10および図11に示すように、例えばカウンタIC73にて検出器29(図6参照)からの二相信号(リニアスケールA相信号、B相信号)に基づいて対物レンズ5の位置を認識する。
【0056】
また、CPU67は、フォーカスエラー信号Sの最小値MINおよび最大値MAX、振幅中心値およびフォーカスエラー信号Sを認識した対物レンズ5との位置関係を認識する。さらに、CPU67は、例えば対物レンズ5を認識した位置からサーチの上限値および下限値で定められる焦点検出範囲内において、図12および図13に示す位置補償制御により逐次対物レンズ5を移動させる制御をする。
【0057】
すなわち、CPU67は、例えばソフトウェアによる制御偏差に比例した信号を発生する一対のP1動作部81およびP2動作部83の動作をする。また、CPU67は、例えばソフトウェアによる制御偏差の積分値に比例した信号を発生するI動作部85と、微分値に比例した信号を発生するD動作部87との動作をする。
【0058】
そして、P1動作部81、I動作部85およびD動作部87は、平行して処理される。また、P1動作部81、I動作部85およびD動作部87の3つの動作を組み合わせる加算部89の動作をする。さらに、加算部89で組み合わせた後にP2動作部83の動作をする。
【0059】
また、P2動作部83の動作の後、再びP1動作部81、I動作部85およびD動作部87の動作、すなわち制御偏差に比例して発生した信号をフィードバック信号として発生させる。このフィードバック信号は、例えば以下に示す数1により発生させることができる。
【0060】
【数1】

【0061】
また、CPU67は、図13に示す位置補償制御を、例えば以下に示す式に基づいて制御する。
W=今回のX値−前回のY値
Wi=Wの積分
今回のY=Wi×係数4(1/T1)
WK=W×係数5(T2/T1)
V=WK+Y×係数6(1/S→(ΣW)T)
【0062】
このようにして、CPU67では、PID制御するとともに位置補償制御し、対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させるようにアクチュエータドライバ65を制御し、アクチュエータ23を駆動させてフォーカシング、すなわち焦点合わせを行う。
【0063】
図10〜図13に示す構成、図9のアクチュエータドライバ65、アクチュエータ23およびリニアエンコーダ25は、測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに位置するように対物レンズ5をその光軸に沿って移動させる制御を、フォーカスエラー信号Sと判断されたことに基づいて実行する移動制御手段の一例を構成する。
【0064】
図9に示すように、除算器59にはPID制御回路61が接続されている。PID制御回路61は、例えば移動させるワークの表面である測定面Mがワークの移動により変動することによって焦点が合わなくなった場合、PID制御により対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させるようにアクチュエータドライバ65を制御し、アクチュエータ23を駆動させる。
【0065】
すなわち、フォーカシングが終了した後に、スイッチ63をD/A変換器71側からPID制御回路61側に切り替え、ワークの移動によるワーク表面である測定面MにPID制御回路61にて焦点合わせすることにより、ワークの表面の粗さなどが測定される。このようなフォーカシングが終了した後はフォーカスエラー信号Sが大きく変化しないので、PID制御回路61によるPID制御にて焦点位置Fとなるように追従処理する。
【0066】
(フォーカシング制御装置の動作)
本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な動作について、図9の光学式変位計21を例にして説明する。まず、CPU67によって、カウンタIC73にて計数されたサーチ繰り返しループ回数が、例えば256回未満であるかが確認され、256回未満である場合はCPU67からの所定の信号が、データバス77およびD/A変換器71を介してアクチュエータドライバ65に送られる。
【0067】
アクチュエータドライバ65は、この信号に基づいて対物レンズ5が光軸に沿った方向に振動した状態となるように、アクチュエータ23を駆動制御して対物レンズ5をサーチ上限値および下限値の範囲内で移動させる。この振動の際に、初回のサーチである場合はサーチ上限値および下限値にあらかじめ設定されている値が用いられる。
【0068】
このように対物レンズ5を振動させて、A/D変換器69およびデータバス77を介して除算器59からの出力がCPU67に入力される。CPU67は、この出力の最小値MINおよび最大値MAXを記憶し、上述した信号判断処理を行う。この信号判断処理によりサーチ処理が起動した場合、フォーカスエラー信号Sのサーチ処理の動作に移る。
【0069】
すなわち、スイッチ63をD/A変換器71側に切り替えた状態を保持したまま、図14および図15に示すフローに基づいてサーチ処理を実行する。なお、図14はメインの処理フローであり、ここでは、サーチ処理でサーチに失敗した場合にしきい値再設定をして改めてサーチを行う点がポイントである。サーチ処理ステップS110の具体的なフローは図15のようになっている。
【0070】
まず、フォーカスエラー信号Sに対して、最小値MINと最大値MAXとをそれぞれ検知するためのアクチュエータ23の振動範囲を定めるサーチ上限値および下限値として、あらかじめ設定されたデフォルト値が用いられ、サーチ処理が行われる(ステップS110)。
【0071】
このサーチ処理は、図15に示すように、サーボ制御をオフにした状態で、例えば対物レンズ5を設定されたサーチ上限値の位置へ持っていき(ステップS120)、それから下方に移動させることにより行われる(ステップS121)。このときフォーカスエラー信号Sを最小値minとして(ステップS122)、順次得られるフォーカスエラー信号Sが最小値minより小さければ(ステップS125のY)、そのフォーカスエラー信号Sを最小値として順次更新される最小値minを記憶保持する。
【0072】
そして、フォーカスエラー信号Sが第1しきい値N1より小さくなったか否かを判定し(ステップS123)、第1しきい値N1に達することなく(ステップS123のN)、対物レンズ5が設定されたサーチ下限値の位置に達した場合(ステップS124のY)には、異常終了とする。なお、対物レンズ5がそのサーチ範囲の下限値の位置に達したか否かの判定、および上限値の位置に達したか否かの判定は、リニアエンコーダ25の検出器29の出力をモニタすることにより可能である。
【0073】
フォーカスエラー信号Sが第1しきい値N1以下になったことを確認したら(ステップS123のY)、さらに対物レンズ5の移動を続け、次にフォーカスエラー信号Sが第2しきい値N2を超えたか否かを判定する(ステップS126)。第2しきい値N2を超えることなく(ステップS126のN)、対物レンズ5が設定されたサーチ下限値の位置に達した場合(ステップS127のY)は、異常終了とする。
【0074】
フォーカスエラー信号Sが第2しきい値N2を超えたことが確認されたら(ステップS126のY)、対物レンズ5の移動方向を反転して上方移動を開始し(ステップS128)、例えばフォーカスエラー信号Sがゼロ付近になったか否かを判定して(ステップS129)、ゼロ付近になった(ステップS129のY)ときに対物レンズ5の移動を停止してサーチ動作を終了する。これにより、対物レンズ5は焦点検出範囲にサーチされたことになる。
【0075】
フォーカスエラー信号Sがゼロになることなく(ステップS129のN)、対物レンズ5が設定されたサーチ上限値の位置まで達した場合(ステップS130のY)は、何らかの異常が発生したことを意味するから異常終了とする。このように、初期設定された第1しきい値N1および第2しきい値N2を用いたサーチ処理(ステップS110)でサーチ動作が成功したら、CPU67は、フォーカスエラー信号Sの最大値MAXおよび最小値MINを記憶領域に格納して保存し(ステップS111)、予備調整終了として正常終了したと判断し(ステップS112のY)、サーボ制御をオンにしてサーボ状態に遷移する。
【0076】
上述したようなサーチ動作が正常終了しなかった場合(ステップS112のN)は、CPU67は、例えばサーチ動作の失敗要因がしきい値にあるか否かを判断し(ステップS113)、失敗要因がしきい値にない場合(ステップS113のN)は、サーチできないとして終了する。
【0077】
失敗要因がしきい値にある場合(ステップS113のY)は、例えば保存したフォーカスエラー信号Sの最大値MAXおよび最小値MINに基づいて振幅中心値を算出し、図8(a)に示すように、焦点検出範囲の中心である基準電圧値(例えば、0V)からのオフセット量OFを算出する。
【0078】
そして、算出したオフセット量OFを第1しきい値N1および第2しきい値N2にそれぞれ加えて、図8(b)に示すように、第3しきい値N3(N1+OF)および第4しきい値N4(N2+OF)をしきい値として再設定し(ステップS114)、上述したサーチ処理(ステップS110)を再度実行する。なお、上記異常終了の際には、別途エラーメッセージ等を表示あるいは発音して報知するようにしてもよい。
【0079】
また、対物レンズ5を下方へ移動させる制御は、アクチュエータ23を制御するための図10〜図13に示すPID演算および位相進み補正をしてアクチュエータ23を駆動制御し、対物レンズ5を下方へ移動させる。そして、この対物レンズ5の移動の際にカウンタIC73にて対物レンズ5の位置を認識しつつ、除算器59からの出力(フォーカスエラー信号S)を読み取って、両者を関連付けしてPID制御および位置補償制御にてアクチュエータ23を駆動させて対物レンズ5を移動させればよい。
【0080】
サーチ動作の終了後は、上述したようにサーボ状態に遷移するため、スイッチ763をPID制御回路61側に切り替え、ハード的にPID制御しつつ移動するワークの測定面Mとの焦点合わせをし、ピックアップの追従動作が行われる。また、カウンタIC73にて焦点位置Fを認識してワークの測定面Mとの距離を変位量として非接触に検出し、これを基にして測定面Mの粗さなどを測定する。
【0081】
従来の焦点位置Fを認識しつつフィードバック制御にて焦点位置Fに対物レンズ5を移動させた構成では、フォーカスエラー信号Sを読み取ってゼロクロスとなるように徐々に対物レンズ5を移動させる必要があり、対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させる時間が長くなる。
【0082】
一方、本実施形態では、対物レンズ5の位置とフォーカスエラー信号Sとを関連付けして焦点位置Fを認識した後に対物レンズ5を移動させたり、最初のサーチ処理で得たフォーカスエラー信号Sの波形の最小値MINおよび最大値MAXや算出したオフセット値OF等を次のサーチ処理に反映して焦点位置Fの検出をしたりすることができる。これにより、従来に比して容易に対物レンズ5を焦点位置Fまで正確に移動させることができ、従来では焦点検出できなかったワークにも合焦することができ、アクチュエータ23の振動範囲を狭めて最適化することができるので、タクトや時間を短縮でき、作業効率を向上できる。
【0083】
[非接触測定装置]
非接触測定装置は、ワークの測定面Mとの距離を変位量として非接触に検出し、これを基にして各種測定を実行する(例えば、曲面を有する測定面の形状評価や測定面の粗さ評価など)。非接触測定装置で測定されるワークとして、例えば半導体基板に形成される半田バンプがある。
【0084】
この測定において、半田バンプの表面形状を評価する場合、図16に示すように、半田バンプ91の表面(測定面M)の複数の測定ポイント93において上記変位量が検出される。これらの測定ポイント93は、例えばオペレータの入力により特定される。半田バンプ91の表面のように、測定面Mが平面でなく曲面の場合、たとえこの表面の全面が同じ材料で構成されていても、測定ポイント93により反射光L2の光量が異なる。これにより、フォーカスエラー信号Sの強度にも差が生じる。
【0085】
このような場合であっても、上記光学式変位計21を含む本実施形態にかかる非接触測定装置を用いれば、各測定ポイント93で測定を安定して実行できる。各測定ポイント93での測定において、フォーカスエラー信号Sか否かの判断は、最初の判断または1回の再度の判断で終了することになる。なぜなら、最初の判断でフォーカスエラー信号Sと判断されない場合、記憶されている出力の最小値MINおよび最大値MAXに基づいて、第1および第2しきい値N1,N2を第3および第4しきい値N3,N4に補正したり、振幅中心値の基準電圧値からのオフセット量OFに基づいて上記補正をしたりして、しきい値を再設定した後にサーチ手段に再度の判断を命令するからである。
【0086】
次に、本実施形態にかかる非接触測定装置の構成を簡単に説明する。図17は、この非接触測定装置101の全体構成を示す斜視図である。非接触測定装置101は、三次元測定機103と、三次元測定機103を駆動制御するとともに必要なデータ処理を実行するコンピュータシステム105とにより構成される。
【0087】
三次元測定機103は、架台107と、架台107に取り付けられた測定テーブル109とを備える。測定テーブル109には、測定面を有するワークWが載置される。測定テーブル109は図示しないY軸駆動機構によって、図17中矢印Yで示すY軸方向に駆動される。
【0088】
架台107の両側縁中央部には上方に延びる支持アーム111,113が固定されている。支持アーム111,113の両上端部を連結するように、X軸ガイド115が固定されている。X軸ガイド115には、撮像ユニット117が支持されている。撮像ユニット117は、図示しないX軸駆動機構によって、図17中矢印Xで示すX軸方向にX軸ガイド115に沿って駆動される。
【0089】
撮像ユニット117には、本実施形態にかかる光学式変位計21が配置されている。光学式変位計21は、図示しないZ軸駆動機構によって、図17中矢印Zで示すZ軸方向に沿って駆動される。
【0090】
コンピュータシステム105は、測定情報処理および各種制御を司るコンピュータ121と、各種指示情報を入力するキーボード123、ジョイスティックボックス125およびマウス127と、測定画面、指示画面および測定結果を表示するCRT129と、測定結果をプリントアウトするプリンタ131とを備える。キーボード123やマウス127が、測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【図2】ピンホール方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図3】ナイフエッジ方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図4】本実施形態にかかるフォーカシング制御装置のサーチ処理起動の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】光反射率が高い箇所および低い箇所にそれぞれ対応するピンホール方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図6】ピンホール方式で生成された他のフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図7】最小値評価範囲と最大値評価範囲を用いて図5(b)に示すフォーカスエラー信号の波形を評価している状態を示す図である。
【図8】オフセット量を用いて図6(a)に示すフォーカスエラー信号の波形を評価している状態を示す図である。
【図9】本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図10】本実施形態にかかるフォーカシング制御装置が有する焦点位置認識機能を実現するハードウェアを示すブロック図である。
【図11】同焦点位置認識機能の制御工程のソフトウェア処理を示すブロック図である。
【図12】同焦点位置認識機能のPID制御のソフトウェア処理を示すブロック図である。
【図13】同焦点位置認識機能のPID制御による位置補償制御のソフトウェア処理を示すブロック図である。
【図14】本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】同フォーカシング制御装置におけるサーチ処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図16】本実施形態にかかる非接触測定装置で測定されるワークの一例である半田バンプを示す図である。
【図17】本実施形態にかかる非接触測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
1…フォーカシング制御装置、3…光ビーム発生部、5…対物レンズ、7…光学系、9…信号生成部、11…記憶部、13…サーチ部、15…移動制御部、17…再判断決定部、21…光学式変位計、23…アクチュエータ、25…リニアエンコーダ、27…スケール、29…検出器、31…半導体レーザ、33…偏光ビームスプリッタ、35…集光レンズ、37…ビームスプリッタ、39…ピンホール、41…板、43…ピンホール、45…板、47,49…フォトダイオード、51,53…電流電圧変換器、55…差演算器、57…和演算器、59…除算器、61…PID制御回路、63…スイッチ、65…アクチュエータドライバ、67…CPU、69…A/D変換器、71…D/A変換器、73…カウンタIC、75…I/O、77…データバス、81…P1動作部、83…P2動作部、85…I動作部、87…D動作部、89…加算部、91…半田バンプ、93…測定ポイント、101…非接触測定装置、103…三次元測定機、105…コンピュータシステム、107…架台、109…測定テーブル、111,113…支持アーム、115…X軸ガイド、117…撮像ユニット、121…コンピュータ、123…キーボード、125…ジョイスティックボックス、127…マウス、129…CRT、131…プリンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定面に照射する光ビームを発生する光ビーム発生手段と、
前記測定面に光ビームが照射されることにより前記測定面で反射された反射光が入射する対物レンズと、
前記対物レンズを通った反射光を二つの分割光に分割すると共に、前記対物レンズの移動に伴って前記分割光の光量を増減させる光学系と、
前記分割光を光電変換しこれを基にして生成されたフォーカスエラー信号が出力される信号生成手段と、
前記信号生成手段からの出力の最小値および最大値が記憶される記憶手段と、
フォーカスエラー信号の判断において、(1)前記信号生成手段からの出力の最小値が第1しきい値より小さくかつ最大値が第2しきい値より大きい条件を満たす場合、または(2)前記信号生成手段からの出力の最小値が前記第1しきい値を補正した第3しきい値より小さくかつ最大値が前記第2しきい値を補正した第4しきい値より大きい条件を満たす場合、これらの出力をフォーカスエラー信号と判断するサーチ手段と、
前記サーチ手段によってフォーカスエラー信号と判断されない場合に、前記記憶手段に記憶されている出力の最小値より大きい前記第3しきい値およびこの出力の最大値より小さい前記第4しきい値を設定して前記サーチ手段に再度フォーカスエラー信号の判断を命令する再判断決定手段と、
前記測定面が前記対物レンズの焦点に位置するように前記対物レンズをその光軸に沿って移動させる制御を、フォーカスエラー信号と判断されたことに基づいて実行する移動制御手段と
を備えたことを特徴とするフォーカシング制御装置。
【請求項2】
前記再判断決定手段は、前記信号生成手段からの出力の最小値および最大値に基づくフォーカスエラー信号の振幅中心値を算出するとともにこの振幅中心値の基準電圧値からのオフセット量を算出し、オフセット量がある場合はこのオフセット量をそれぞれ前記第1しきい値および第2しきい値に加えて前記第3しきい値および第4しきい値を設定する
ことを特徴とする請求項1記載のフォーカシング制御装置。
【請求項3】
前記サーチ手段は、再度フォーカスエラー信号の判断がなされた場合、前記第1しきい値の大きさを前記第3しきい値の大きさと同じになるように変更し、かつ前記第2しきい値の大きさを前記第4しきい値の大きさと同じになるように変更し、それ以降の判断においては変更した第1しきい値および第2しきい値を用いる
ことを特徴とする請求項1または2記載のフォーカシング制御装置。
【請求項4】
測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段と、
前記入力手段を用いて入力された前記測定ポイントとの距離を変位量として非接触に検出する、請求項1〜3のいずれか1項記載のフォーカシング制御装置を含む光学式変位計と
を備えたことを特徴とする非接触測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−151754(P2010−151754A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332892(P2008−332892)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】