説明

フードラッチリリースレバーの取付構造

【課題】インストルメントパネルに設ける収容部の配置を工夫することにより、簡易な形状のブラケットでフードラッチリリースレバーの取付部分の剛性を向上させる構造を提供すること。
【解決手段】インストルメントパネルの内部には、ステアリングサポートメンバが設けられ、インストルメントパネルの下方には、フードラッチリリースレバーが設けられ、メンバとレバーとが、ブラケットを介して連結されているフードラッチリリースレバーの取付構造において、インストルメントパネルには、車両前方側に向かって凹形状に形成され、且つフードラッチリリースレバーとステアリングサポートメンバとの間に配置されている収容部が設けられており、インストルメントパネルの裏側には、一端がステアリングサポートメンバに固定され、且つ他端がフードラッチリリースレバーに固定されているブラケットが設けられ、ブラケットの中間部が、収容部の裏面に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネルの下方に配置されているフードラッチリリースレバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車の前部にはエンジンルームが配設されており、該エンジンルームはボンネットによって覆われ、車両走行中などに開かないようにロックされている。このボンネットのロックを解除するためのフードラッチリリースレバーは、運転者の手が届くように車室内のインストルメントパネルに配置されることが多い。
【0003】
また、このフードラッチリリースレバーは、使用頻度があまり多くないため、運転手から目に付かないようなインストルメントパネルの下方に設けられる場合が多い(特許文献1及び特許文献2)。このようにインストルメントパネルの下方にフードラッチリリースレバーを配置する場合においては、インストルメントパネルの内部に設けられているステアリングサポートメンバにブラケットを固定し、該ブラケットにフードラッチリリースレバーを取付ける手段が用いられている。
【特許文献1】特開2005−178498号公報
【特許文献2】特開2000−95149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成の場合、フードラッチリリースレバーとステアリングサポートメンバとを連結するブラケットの長さが長くなってしまい、ブラケットとフードラッチリリースレバーとの取付部分の剛性を持たせることが難しい。
また、フードラッチリリースレバーは、ケーブルを含むようなインナーケーブル方式で構成されているため、レバーを使用した場合にケーブルに負担がかからないように、ブラケットとの取付部分は剛性を持たせる必要がある。したがって、従来では、ブラケットの強度を確保するために、板厚を厚くしたり、大型のブラケットを用いる必要があった。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、インストルメントパネルに設ける収容部の配置を工夫することにより、簡易な形状のブラケットでフードラッチリリースレバーの取付部分の剛性を向上させる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明では、インストルメントパネルの内部には、ステアリングサポートメンバが設けられ、前記インストルメントパネルの下方には、フードラッチリリースレバーが設けられ、前記ステアリングサポートメンバと前記フードラッチリリースレバーとが、ブラケットを介して連結されているフードラッチリリースレバーの取付構造において、前記インストルメントパネルには、車両前方側に向かって凹形状に形成され、且つ前記フードラッチリリースレバーと前記ステアリングサポートメンバとの間に配置されている収容部が設けられており、前記インストルメントパネルの裏側には、一端が前記ステアリングサポートメンバに固定され、且つ他端が前記フードラッチリリースレバーに固定されているブラケットが設けられ、該ブラケットの中間部が、前記収容部の裏面に固定されている。
【0007】
請求項2の本発明では、前記収容部の裏面には、ボスが一体的に設けられ、該ボスに締付部材を取付けることにより、前記ブラケットが前記収容部の裏面に固定されている。
【0008】
請求項3の本発明では、前記ボスには、孔が設けられており、前記ボスに前記締付部材を車両前方側から車両後方側に向かって挿入することにより、前記ブラケットが前記収容部の裏面に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
上述の如く、本発明に係るフードラッチリリースレバーの取付構造によれば、インストルメントパネルの内部には、ステアリングサポートメンバが設けられ、前記インストルメントパネルの下方には、フードラッチリリースレバーが設けられ、前記ステアリングサポートメンバと前記フードラッチリリースレバーとが、ブラケットを介して連結されているフードラッチリリースレバーの取付構造において、前記インストルメントパネルには、車両前方側に向かって凹形状に形成され、且つ前記フードラッチリリースレバーと前記ステアリングサポートメンバとの間に配置されている収容部が設けられており、前記インストルメントパネルの裏側には、一端が前記ステアリングサポートメンバに固定され、且つ他端が前記フードラッチリリースレバーに固定されているブラケットが設けられ、該ブラケットの中間部が、前記収容部の裏面に固定されているため、フードラッチリリースレバーを操作する際にかかる荷重がインストルメントパネルの収容部で支持されることになり、ブラケットとステアリングサポートメンバとの取付部分にかかる負担を減らすことができる。
また、車両前方側に向かって凹形状に形成された収容部は、インストルメントパネルをステアリングサポートへ固定するための役割をかねることができる。
【0010】
更に、本発明に係るフードラッチリリースレバーの取付構造は、前記収容部の裏面には、ボスが一体的に設けられ、該ボスに締付部材を取付けることにより、前記ブラケットが前記収容部の裏面に固定されているため、ボスが樹脂等によってインストルメントパネルに一体成型されている場合において、ヒケが生じても運転者から見えにくい位置にあり、外観性が低下することはない。
【0011】
また、本発明に係るフードラッチリリースレバーの取付構造は、前記ボスには、孔が設けられており、前記ボスに前記締付部材を車両前方側から車両後方側に向かって挿入することにより、前記ブラケットが前記収容部の裏面に固定されているため、フードラッチリリースレバーを使用する場合、締結部材の引き抜き方向とは反対の方向に荷重がかかるようになっている。これにより、フードラッチリリースレバーを繰り返し使用した場合においても締結部材が抜ける方向に荷重がかかることがないため、耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るフードラッチリリースレバーの取付構造を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、インストルメントパネル1を示す斜視図であり、インストルメントパネル1に配設されるメーター、オーディオ類、空調、ステアリング等が取り除かれた状態を示している。図2は、図1におけるA−A線断面図である。図3は、図1のインストルメントパネル1を車両前方側から車両後方側へ見た場合の斜視図である。
【0014】
図1及び図2に示す如く、インストルメントパネル1の下方には、フードラッチリリースレバー2が配置されており、このフードラッチリリースレバー2は、車室内からフードラッチが解除できるようにフードラッチリリースケーブル(図示しない)に連結されている。
また、図3に示す如く、インストルメントパネル1の車両前方側(裏側)には、車両幅方向に架け渡されているステアリングサポートメンバ3が設けられている。このステアリングサポートメンバ3は、例えば、パイプ材等により形成されている。
更に、インストルメントパネル1の車両前方側(裏側)には、フードラッチリリースレバー2とステアリングサポートメンバ3とを連結するブラケット4が設けられており、ブラケット4の上端部4aはステアリングサポートメンバ3に固定され、フードラッチリリースレバー2はブラケット4の下端部4bに固定されている。
【0015】
本発明の実施形態では、図2に示す如く、インストルメントパネル1には、車両前方側に向かって凹形状に形成され、且つフードラッチリリースレバー2とステアリングサポートメンバ3との間に配置されている収容部5が設けられている。更に、収容部5の底部5aの裏面側には、ボス6が一体的に設けられており、このボス6には、スクリュー7を挿入するための孔6aが設けられている。また、ブラケット4の中間部4cには、スクリュー7を挿通するための挿通孔4dが設けられている。
そして、本発明の実施形態では、ブラケット4の挿通孔4dにスクリュー7を挿通するとともにボス6の孔6aにスクリュー7を螺入することにより、ブラケット4がボス6を介して収容部5の裏面側に固定されている。
【0016】
このように、本実施形態のフードラッチリリースレバーの取付構造によれば、以下の効果を奏する。
通常、図2に示す如く、車両前方側から車両後方側に向けて(F1方向)フードラッチリリースレバー2を引っ張ると、これにより、ブラケット4の上端部4aを中心に回転する方向(F2方向)の荷重が発生する。フードラッチリリースレバー2がインストルメントパネル1の下方に配置されている場合、フードラッチリリースレバー2とステアリングサポートメンバ3との距離が長くなるため、上記荷重が発生することによって、ブラケット4の上端部4aへの負担が大きくなる。
そこで、本実施形態では、車両前方側に凹形状に形成されるとともにフードラッチリリースレバー2とステアリングサポートメンバ3との間に配置されるような収容部5をインストルメントパネル1に設け、この収容部5の裏面側にブラケット4の中間部4cを固定している。これにより、フードラッチリリースレバー2を操作する際にかかる上記荷重が収容部5で支持されることになり、ブラケット4の剛性を向上させることができる。更に、ブラケット4の上端部4aとステアリングサポートメンバ3との取付部分にかかる負担を軽減することができる。
また、インストルメントパネル1も、ブラケット4を介してステアリングサポートメンバ3へ固定されることになり、インストルメントパネル1自体の剛性も向上させることができる。
【0017】
更に、本実施形態のフードラッチリリースレバーの取付構造によれば、凹形状に形成されている収容部5の裏面には、ボス6が一体的に設けられ、ボス6の孔6aにスクリュー7を挿入することにより、ブラケット4が収容部5の裏面側に固定されているため、ボス6が樹脂等で一体成型されても、インストルメントパネル1の意匠面にボス6を設ける場合に比べて、ヒケが運転者から見えにくい位置にあり、外観性が低下することはない。また、ブラケット4への固定場所を収容部5の底部5aとすることにより、一層ヒケ等が見え難くなり、外観を確保する効果を高めることができる。
【0018】
また、本実施形態のフードラッチリリースレバーの取付構造によれば、収容部5が凹形状に形成されているため、インストルメントパネル1は、一般的な意匠面に比べて、高い剛性を備えることができる。これにより、この収容部5は、インストルメントパネル1をステアリングサポート3へ固定するための役割を効果的に果たすことができる。
【0019】
また、本実施形態のフードラッチリリースレバーの取付構造によれば、ボス6の孔6aにスクリュー7を車両前方側から車両後方側に向かって挿入することにより、ブラケット4が収容部5の裏面に固定されているため、フードラッチリリースレバー2を使用する際に、スクリュー7の引き抜き方向とは反対の方向に荷重がかかるようになっている。これにより、フードラッチリリースレバー2を使用した場合において、スクリュー7が抜ける方向に荷重がかかることがなく、耐久性を向上させることができる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0021】
上述の実施形態における収容部5の深さをある程度確保することにより、ブラケット4との位置を近接させることができる。これにより、収容部5の裏面に設けるボス6の長さが短くなり、ブラケット4と収容部6の裏面との固定部分の強度を更に高め、ボス6の根元への負担を軽減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかるフードラッチリリースレバーの取付構造を示している図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図1のインストルメントパネルを車両前方側から車両後方側へ見た場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 インストルメントパネル
2 フードラッチリリースレバー
3 ステアリングサポートメンバ
4 ブラケット
4a,4b ブラケットの端部
4c ブラケットの中間部
4d 挿通孔
5 収容部
5a 収容部の底部
6 ボス
6a 孔
7 スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルの内部には、ステアリングサポートメンバが設けられ、前記インストルメントパネルの下方には、フードラッチリリースレバーが設けられ、前記ステアリングサポートメンバと前記フードラッチリリースレバーとがブラケットを介して連結されているフードラッチリリースレバーの取付構造において、
前記インストルメントパネルには、車両前方側に向かって凹形状に形成され、且つ前記フードラッチリリースレバーと前記ステアリングサポートメンバとの間に配置されている収容部が設けられており、前記インストルメントパネルの裏側には、一端が前記ステアリングサポートメンバに固定され、且つ他端が前記フードラッチリリースレバーに固定されているブラケットが設けられ、該ブラケットの中間部が、前記収容部の裏面に固定されていることを特徴とするフードラッチリリースレバーの取付構造。
【請求項2】
前記収容部の裏面には、ボスが一体的に設けられ、該ボスに締付部材を取付けることにより、前記ブラケットが前記収容部の裏面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のフードラッチリリースレバーの取付構造。
【請求項3】
前記ボスには、孔が設けられており、前記ボスに前記締付部材を車両前方側から車両後方側に向かって挿入することにより、前記ブラケットが前記収容部の裏面に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のフードラッチリリースレバーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−307912(P2008−307912A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154912(P2007−154912)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】