説明

ブランクマスク、フォトマスク及びその製造方法

【課題】 ブランクマスク、フォトマスク及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 透明基板、金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜が順次に積層されてなるブランクマスク。ここで、金属膜及びハードマスク膜のうち少なくとも一つは、膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を持つ。これにより、既存の深さ方向に元素の組成比が均一な薄膜と比較する時、光学密度の均一性、反射率の均一性、表面粗度、耐化学性、耐露光性などを向上させ、成長性欠陥と残留応力の問題を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体リソグラフィー工程で高精密度の最小線間幅(Critical Dimension:CD)の具現が可能なブランクマスク、フォトマスク及びその製造方法に係り、特に、65nm級以下の最小線間幅を具現できるArF(波長:193nm)リソグラフィー、ArF液浸(Immersion)リソグラフィーに適用できるブランクマスク、フォトマスク及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大規模集積回路の高集積化による回路パターンの微細化要求に対応するために、高度な半導体微細工程技術が非常に重要な要素になっている。高集積回路の場合、低電力及び高速動作のために回路配線が微細化しており、層間連結のためのコンタクトホールパターン及び集積化による回路構成配置などへの技術的要求が益々高まりつつある。したがって、このような要求を満たすためには、回路パターンの原本が記録されるフォトマスクを製造するに当っても微細化が可能であり、かつ精密な回路パターンを記録できる技術が必要である。
【0003】
特に、65nm以下の超精密回路パターンを形成するために、近来には、既存のレジスト膜をエッチングマスクとして使用せず、無機物のハードマスク膜をエッチングマスクとして、最終パターンを形成する金属膜をエッチングするブランクマスク構造が開発されている。ハードマスク用ブランクマスクにおいてハードマスク膜は、既存の厚いレジスト膜に代え、このようなハードマスク膜により下部金属膜のアスペクト比及び選択比を向上させることができる。したがって、金属膜のドライエッチング時にローディング効果が低減して、優秀なCD MTT(Mean to Target)、CD線形性、CD均一度などを得ることができる。
【0004】
一方、従来のハードマスク用ブランクマスクは、一般的に6025サイズの合成石英ガラス基板上に組成比が深さ方向に均一な遮光膜、金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜が順次に形成された構造を持つ。この時、金属膜は反射防止膜を備えることができ、ハードマスク膜はエッチングマスクとして機能する。この時、薄膜の組成比が深さ方向に均一であるというのは、薄膜形成時にスパッタ・ターゲット、工程時間、パワー、圧力、反応性ガス及び不活性ガスの種類と投入量などの全般的な工程条件及び工程環境が同じ状態で形成されたことを意味する。
【0005】
組成比が深さ方向に均一かつ段階的に形成される薄膜工程は、工程変化が各段階でのみ変わるため、各層は、独立してその役割を行えるという長所を持つ。例えば、遮光膜は特定の波長を持つ露光光を遮光する機能を、そして反射防止膜は、露光光に対する表面反射率を低減させる機能を中心に単に2段階の工程条件のみ必要であり、これを通じて2層膜の金属膜が形成されるという長所がある。
【0006】
一方、具現しようとする回路パターンが65nm以下、特に45nm以下のようにさらに微細化することによって、露光光に対する遮光機能及び反射防止機能以外にも薄膜の均一度、耐化学性特性、表面粗度、残留応力、成長性欠陥、CD均一度及び欠陥などの問題点に対する要求事項がさらに厳しくなっている。これは、65nm以上のパターン具現時には前記のような問題が、具現しようとするCDと比較する時にその影響が微小であり、365nmのi−line、248nmのKrFのように露光光の波長が相対的に長波長であるため、大きい問題が発生していない。しかし、65nm以下のCD具現のための193nmのArFのような短波長を利用した超精密パターンの形成時には、具現しようとするCDが微細になることによって、段階的に形成された既存の薄膜の残留応力、薄膜の均一度、薄膜密度により発生する欠陥がさらに大きい問題になっている。
【0007】
しかし、段階的に形成される薄膜を利用して前記のような複合的な問題を解決する場合、根本的に薄膜の界面で発生する急激な組成比の変化、薄膜密度の変化、残留応力の変化で前記問題を解決し難く、光学密度の均一度、反射率の均一度、耐化学性、表面粗度、成長性欠陥特性を満たすためには、さらに他の薄膜を追加して蒸着せねばならない複雑な製造工程が発生する。このような複雑な工程は、パーチクルのような欠陥を発生させる原因として作用するだけでなく、全体的な薄膜の厚さの増大をもたらし、ローディング効果を高めて解像度、CD MTT、CD均一度が低下するという問題点が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、反射率の均一度、光学密度の均一度、薄膜間の接着性、残留応力、成長性欠陥、耐化学性、耐露光性及び表面粗度のような薄膜の特性に優れたArFリソグラフィー及びArF液浸露光リソグラフィーに使われるバイナリーブランクマスク、位相反転ブランクマスク及びハードマスク用ブランクマスクを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するための、本発明によるブランクマスクの望ましい実施形態は、透明基板、金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜が順次に積層され、前記金属膜及び前記ハードマスク膜のうち少なくとも一つは、膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を備える。
【0010】
前記他の技術的課題を解決するための、本発明によるブランクマスクの望ましい実施形態は、透明基板、金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜が順次に積層され、前記金属膜及び前記ハードマスク膜のうち少なくとも一つは、膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を備えるブランクマスクをパターニング及びエッチングして製造される。
【0011】
前記さらに他の技術的課題を解決するための、本発明によるブランクマスクの製造方法の望ましい第1実施形態は、(a)第1蒸着時間中に同じ工程条件を維持しつつ、前記透明基板上に金属膜を蒸着する工程と、(b)プラズマがついている状態で、第2蒸着時間中に適用される工程条件を構成する複数の工程条件のうち少なくとも一つを段階的または連続的に変更して、前記金属膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が、膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を形成する工程と、を持ち、前記(a)工程及び前記(b)工程は、順序を変更して行われるか、または交替に行われる。
【0012】
前記さらに他の技術的課題を解決するための、本発明によるブランクマスクの製造方法の望ましい第2実施形態は、(a)第1蒸着時間中に前記透明基板上に金属膜を蒸着する工程と、(b)プラズマがついている状態で、第2蒸着時間中に適用される工程条件を構成する複数の工程条件のうち少なくとも一つを段階的または連続的に変更して、前記ハードマスク膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が、膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を形成する工程と、を持つ。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるブランクマスク、フォトマスク及びその製造方法によれば、ブランクマスクの製造時、薄膜を構成する少なくとも一つ以上の元素含有量に対して選択的に薄膜の深さ方向に連続的に変わるようにして、薄膜の接着力、反射率の均一度、耐化学性、残留応力特性を改善できる。また本発明により優秀な特性を持つブランクマスクの製造が可能であり、これを通じて優秀な性能を持つフォトマスクの製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるハードマスク用ブランクマスクについての望ましい実施形態の断面図である。
【図2】本発明によるハードマスク用ブランクマスクの製造方法についての望ましい実施形態の実行過程を図示したフローチャートである。
【図3】本発明によるハードマスク用ブランクマスクの製造に使われるロング・スルー・スパッタリング装備の概略図である。
【図4】本発明によるハードマスク用ブランクの実施形態による薄膜の組成比分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明によるブランクマスク、フォトマスク及びその製造方法についての望ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明によるハードマスク用ブランクマスクの断面図である。図1を参照するに、本発明によるハードマスク用ブランクマスク100は、透明基板110、金属膜120、ハードマスク膜130及びレジスト膜140を備える。透明基板110、金属膜120、ハードマスク膜130及びレジスト膜140は、順次に積層されて形成される。この時、金属膜120とハードマスク膜130のうち少なくとも一つは、膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が1ないし50at%範囲以内で、膜の深さ方向に連続的に変わる区間(以下、‘成分変化区間’という)を含む。
【0017】
そして、膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が、膜の深さ方向に連続的に変わる区間が形成されるというのは、それぞれの薄膜の特性制御のための工程条件が、プラズマを消していない状態で連続的にまたは段階的に変わる区間を一つ以上含めて蒸着されるということを意味する。すなわち、膜の深さ方向に連続的に変わる区間が形成されるためには、基板に対する薄膜のスパッタリング中に、工程条件に連続的または段階的な変化を持つことを意味する。
【0018】
透明基板110は、基板母材に対して複数のラッピング工程とポリシング工程とを行って形成される。透明基板110の素材は、合成石英、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ素ドーピング石英のうち一つになりうる。透明基板110のサイズは6025であり、193nmでの複屈折率が2nm/6.35mm以下であることが望ましい。この時、基板母材は純度99.9999%以上の酸化ケイ素(SiO)からなり、合成石英インゴットをスライシング及びエッジ・グラインディング加工を通じて製造して152×152±0.2mmサイズ及び6.3mm以上の厚さを持つ。
【0019】
透明基板110は、基板母材に対して複数回のラッピング工程及び複数回のポリシング工程を行って製造される。まず、152×152±0.2mmサイズ及び6.3mm以上の厚さを持つ基板母材に対して、まず複数回のラッピング工程を行う。一回のラッピング工程を行う場合には、工程の効率性を考慮して相対的に大きいサイズの研磨粒子を使用して、高い圧力下でラッピング工程を進める。この場合、目標厚さ減少量は容易に達成できるが、基板表面で深さ方向に生成されるクラックを含む損傷が発生する。このように基板母材に内部的に発生したクラックは、後工程で欠陥として見つけられる。また粗い研磨粒子の影響で目標厚さ正確度を達成し難くなる。したがって、本発明に使われる透明基板110は、基板母材に対して欠陥減少及び目標厚さ正確度を達成するために、複数回のラッピング工程を行って製造されることが望ましい。基板母材のラッピング工程で適用される研磨粒子は、シリコンカーバイド(SiC)、ダイアモンド(C)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)のうち選択された1種以上の研磨粒子であって、これを複数のラッピング工程に適用する。また、ラッピング工程に適用される研磨粒子のサイズは4ないし20μmであることが望ましい。研磨粒子のサイズが4μm以下ならば、目標厚さ正確度は容易に達成できるが、工程時間が長くなって生産性が低下する。そして、研磨粒子のサイズが20μm以上ならば、目標厚さ正確度を達成し難く、欠陥レベルが低下する。
【0020】
次いで、複数回のラッピング工程が行われた基板母材に対して複数回のポリシング工程を行う。このような複数回のポリシング工程で使われるスラリーは、酸化セリウム(CeO)、コロイダルシリカ(SiO)研磨粒子、過酸化水素(H)を含有し、硝酸(HNO)または水酸化カルシウム(KOH)でpHを調節する。ポリシング工程で、研磨スラリーの全体的なpHは6ないし12に調節されることが望ましい。特に、水酸化カルシウム(KOH)のような無機アルカリは、基板母材のエッチング効果を持ってシナジー効果を奏する長所を持つ。一方、ポリシング工程で、研磨粒子は物理的に基板母材を除去する役割を行う。この時、研磨粒子のサイズが5μm以上ならば、目標厚さ減少量を達成しやすいが、良好な表面粗度を確保し難い結果をもたらしうる。また研磨粒子のサイズが0.5μm以下ならば、ラッピング工程を経た基板母材の厚さ減少量が小さくて、長い工程時間を必要として工程の効率性を低下させる。したがって、ポリシング工程で、酸化セリウム研磨粒子のサイズは0.5ないし5μmであることが望ましい。また、複数回のポリシング工程に使われるコロイダルシリカ研磨粒子のサイズは、20ないし200nmであることが望ましい。この時、コロイダルシリカ研磨粒子のサイズが20nm以下ならば、ポリシング工程の効率性が低下し、200nm以上ならば、ポリシング工程で獲得せねばならない表面粗度を満たすことができない。
【0021】
ポリシング工程は表面粗度を向上させる工程であるため、ポリシング工程を行う度に順次に小さな研磨粒子を利用することが望ましい。1次ポリシング工程では、ラッピング工程により相対的に粗い表面状態を持つので、2次及び3次ポリシング工程より多くの基板母材を除去せねばならない。したがって、1次ポリシング工程では、硬度が高くて圧縮率の低い多孔性セリウムパッドを研磨パッドとして使用し、2次ポリシング工程では、軟質パッドであるSUBA#400ないし800を使用することが望ましい。この時、研磨パッドの種類によって、基板母材の除去量と表面状態を決定する。#400以下の研磨パッドを使用すれば、相対的に高い圧縮率と弾性回復率及び低い硬度特性のために工程時間が延びて、研磨効率性が低下する結果をもたらす。そして、#800以上の研磨パッドを使用すれば、低い圧縮率と弾性回復率及び高い硬度特性のため、目標表面粗度を達成し難い。また2次ポリシング工程に使われる軟質パッドの圧縮率は3%以上、弾性回復率は65%以上であることが望ましい。3%以上の圧縮率を持つ研磨パッドは、研磨圧力がシリカ粒子に加えられる時、粒子を取り囲むナップ層が弾性的に変形されることによって、研磨圧力を分散及び吸収して基板表面に発生しうる凹状の欠点形成を抑制する。一方、65%以上の高い弾性回復率を持つ研磨パッドは、ナップ層を容易に圧縮及び回復させることができて、大きいシリカ粒子がナップ層に残らないようにして、凹状欠点を抑制させることができる長所がある。そして、3次ポリシング工程では、超軟質パッドであるスウェード(Suede)パッドを研磨パッドとして使用する。3次ポリシング工程は、表面粗度及びパーチクル特性を最大限改善する工程であるため、硬度が低くて弾性回復率及び圧縮率が相対的に大きい超軟質の研磨パッドを使用する。3次ポリシング工程に使われる超軟質研磨パッドの圧縮率は6%以上、弾性回復率は72%以上であることが望ましい。3次ポリシング工程では、欠陥をさらに厳しく管理せねばならないため、2次研磨パッドより大きい圧縮率及び弾性回復率を持つ研磨パッドを使用せねばならない。
【0022】
一方、ポリシング工程に使われる研磨パッドに存在する溝は多様な形態を持つことができる。一例として、ピッチ25mm、幅4mm、深さ0.5mm形態の溝を持つ研磨パッドを使用できる。研磨パッドの溝は、ポリシング工程時に透明基板110に十分量のスラリーを供給することによって、透明基板110の研磨効率性を高める役割を行う。この時、溝が形成されていない研磨パッドの使用もできる。溝のサイズは研磨工程によって変更され、溝が形成されている研磨パッドの使用如何も研磨工程によって選択的に決定されうる。さらに、ポリシング工程に使われる研磨パッドが2層以上の構造で構成された場合に、正逆方向から2層に該当する研磨パッドのナップ層の厚さは200ないし600μmであることが望ましい。ナップ層の厚さが200μm以下ならば、研磨パッドの弾性回復率が落ちて表面粗度を確保し難く、パーチクルを含む欠陥の側面でも悪影響を与える恐れがある。そして、ナップ層が600μm以上ならば、表面粗度の確保のための研磨の効率性が落ちる。
【0023】
金属膜120は、透明基板110上に形成され、単層または複数層で形成され、前記単層または複数層のいずれか1層以上は、一つ以上の元素組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間を含めて形成される。この時、前記膜の深さ方向に連続的に変わる区間は、少なくとも一つ以上の元素成分の比率が1ないし50at%範囲以内で変わり、前記膜の深さ方向に連続的に変わる区間の厚さは、5nmより大きいか、または同じであることが望ましい。本明細書でいう金属膜120は、最終パターンが形成される表面から透明基板110に至るまで積層されている薄膜であって、エッチング阻止膜、応力低減膜、遮光膜及び反射防止膜のような最終パターン以下部分のあらゆる薄膜を包括して称する。また透明基板110と金属膜120との間に位相反転膜が選択的に形成されうる。このように位相反転膜が形成されているブランクマスクは、ハーフトーン型位相反転ブランクマスクと呼ばれる。
【0024】
また金属膜120を構成する構成元素の元素組成比のうち、窒素及び/またはシリコンの組成比は必須で連続的な変化を持ち、その変化する厚さは1nm以上であることが望ましい。窒素は、薄膜の透過率及び反射率のような光学的特性だけでなく、耐化学成及び耐露光性に影響を及ぼす要因として作用する。例えば、窒素の含有量が高ければ、薄膜の光学的特性の側面からみれば、薄膜表面での反射率が低く形成され、一方、窒素の含有量が低ければ、薄膜表面での反射率が高く形成される。また、窒素は耐化学性特性にも影響を及ぼすが、窒素の含有量が高くなることによって、薄膜表面でSC−1及び硫酸に対する耐化学性特性が悪くなり、窒素の含有量が低くなることによって、薄膜表面でSC−1及び硫酸に対する耐化学性特性が優秀になる特性を表す。したがって、これらの特性を考慮するために、金属膜120を形成する時、窒素の含有量が膜内部でも深さ方向によってそれぞれ異なる分布度を持つように設計することが望ましい。この時、変化厚さが1nm以下ならば、前述したような薄膜の特性に対する意味のある変更結果を得難いため、窒素の含有量が連続的に変化する区間の厚さが1nm以上の区間が一つ以上存在することが望ましい。
【0025】
一方、シリコンを必須で含む金属膜120において、シリコンの元素組成比の連続的な変化区間の厚さが5nm以上の区間が少なくとも一つ存在することが望ましい。またハードマスク用ブランクマスクにおいて、ローディング効果を低減させるために金属膜120の厚さを減少させ、耐化学性特性の優秀な物質を選別することが重要である。この時、金属膜120に対するシリコンの含有量は光学特性及び耐化学性特性に影響を及ぼし、シリコン組成比の比率が高いほど透過率は高くなり、耐化学性特性が優秀になる。この時、耐化学性は、金属膜120表面での化学薬品に対する特性を評価して得られるため、表面でのシリコン含有量が高くなければならない。一方、同一厚さの薄膜と比較する時、シリコン含有量が高ければ透過率が高くなって、結局には薄膜の厚さが増大する。したがって、前記条件に対する特性を優秀に満たすために、シリコン組成比の含有量が膜の深さ方向に連続的に変わる区間が必須で必要であり、金属膜120の深さ方向に連続的に変わる区間の厚さは5nm以上(さらに望ましくは10nm以上)であることが望ましい。
【0026】
さらに金属膜120は、広さ方向に組成比分布が均一であり、特に、金属膜120の広さ方向に組成比均一度は10%以下であり、金属膜120で薄膜の深さ方向への密度変化が0.2ないし2.0g/cm3であることが望ましい。この時、組成比均一度は次の数式で計算でき、測定位置は、広さ方向に最小5箇所以上である。そして、薄膜の組成比はAES、XPS、RBSなどの方法を通じて分析できる。
【0027】
組成比均一度=
(最大組成比−最小組成比)/(最大組成比+最小組成比)×100 (1)
一方、薄膜の深さ方向への密度変化が0.2g/cm3より小さな場合には、薄膜の密度が変わっていない状態と類似になって効果が微小であり、2.0g/cm3より大きい場合には、薄膜内部の応力が互いに大きく変わるという問題がある。また金属膜120は、膜の深さ方向に相異なる残留応力を持ち、残留応力の差が10MPa以上の区間を含むことが望ましい。この時、金属膜120は、少なくとも一つ以上の元素組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間を含み、特に、薄膜内部の残留応力を低減させるために、選択的に炭素を含めることが望ましい。
【0028】
さらに、金属膜120の表面部分に元素組成比が変わる成分変化区間を含めることによって、表面粗度を1.0nmRa以下に制御できる。金属膜120の表面粗度は、基板の表面粗度状態、スパッタリングされる原子の種類、反応性ガス及びその他の工程条件により決定される。この時、プラズマがついている状態で、反応性ガスの種類、蒸着パワー、チャンバー内の圧力及びチャンバーへ導入されるガスの流量のうち少なくとも一つを連続的または段階的に変更して、金属膜120の表面または内部に、金属膜120を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる成分変化区間を形成することによって、表面粗度を制御できる。また金属膜120の表面部分で、相対的に深さ対比窒素原子の比率が高いことが望ましい。さらに、金属膜120は、表面から深さ方向に5nmの厚さ範囲以内で窒素の元素比が酸素元素比より高いことが望ましい。この場合に、特に最外郭表面の窒素含有量を深さ方向に対して相対的に高く分布させて、193nmでの反射率の均一度を1%以内にすることが望ましい。
【0029】
また金属膜120が、相異なる元素のうち一つ以上が変わる複数層膜構造を持つ場合に、金属膜120を構成する各薄膜のうち互いに接する薄膜に含まれている同じ元素の一つ以上が、互いに接する薄膜の界面で5nm以上の厚さに、1at%ないし50at%の組成比変化を持って連続的に形成されることが望ましい。ハードマスク用ブランクマスクにおいて、金属膜120は、最終的なパターニング後に表面に露出される膜である。この時、元素の組成比が均一な金属膜の場合、光を遮光する遮光膜と、光の反射を低減させる反射防止膜とを少なくとも備えるため、遮光膜を成膜した後、反射防止膜の成膜による元素組成比の急激な変化によって、界面で残留応力が大きく発生する。また、段階的に形成される薄膜の界面(遮光膜と反射防止膜)の元素組成が互いに異なれば、薄膜密度の変化が発生し、ドライエッチング時にエッチング比が急激に変わることによってネッキング問題が発生する。このようなネッキングは、65nm以上のCDでは、具現しようとするパターンCDと比較する時、ネッキングにより発生するCD誤差が微小でウェーハの露光時に問題にならなかったが、65nm以下のCDの具現時には、これによって欠陥などの問題点が現れる。
【0030】
本発明では、薄膜の表面または内部に成分変化区間を形成することによって、薄膜の界面による急な組成比の変化及び薄膜密度の変化により発生する問題点を低減させることができる。この時、既存の段階的に形成された薄膜と比較する時、薄膜を形成する元素の変化比率が1at%以内ならば、薄膜応力及びドライエッチング比の変化が少なくなる。一方、薄膜を形成する元素の変化比率が50at%以上ならば、物質間の残留応力が急変して、段階的に形成した薄膜と同じ問題点が発生する。したがって、金属膜120の内部に、金属膜120を構成する元素のうち一つ以上の元素成分の変化率が1at%ないし50at%以内(さらに望ましくは、3at%ないし30at%以内)の連続膜を少なくとも一層形成することが望ましい。
【0031】
さらに、ネッキング及び応力は、具現しようとするパターンサイズが微細化することによって、さらに大きく発生する。したがって、このような問題を解決するために、金属膜120の形成時に成分変化区間を形成することによって、ネッキングと応力による欠陥問題を緩和できる。さらに、耐化学性、応力、薄膜密度のような特性を変更でき、これにより、薄膜特性の優秀なブランクマスクの製造が可能になる。
【0032】
一方、金属膜120は、深さ方向へのエッチング率の変化が、少なくても一つ以上の区間で表面部分と比較する時に速いことが望ましい。金属膜120のドライエッチング時に発生するローディング効果を低減させるためには、薄膜の深さ方向にエッチング比が増大することが望ましい。これは、薄膜の厚さが深さ方向に存在して、ラジカルイオンとエッチングされる金属膜とが、深さ方向へ行くほど反応性が低くなるためである。したがって、垂直なパターン形成のためには、深さ方向へ行くほどエッチング比が増大することが望ましい。このようなエッチング比の制御のために、連続膜の形成時に窒素(N)、酸素(O)及び炭素(C)の元素比率を制御することで、エッチング比を速くまたは遅く制御できる。
【0033】
前述したような連続膜を備える金属膜120の厚さ、表面での光学密度、耐化学性、残留応力、平坦度などの光学的、物理的、化学的特性は次の表に記載されている。
【0034】
【表1】

一方、本発明によるブランクマスク100の金属膜120は、スパッタリングにより形成されうる。この時、金属膜120を形成するために使われるスパッタ・ターゲットは、モリブデンシリサイド(MoSi)、モリブデンタンタルシリサイド(MoTaSi)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)から選択される1種以上の元素からなる。そして、モリブデンシリサイド(MoSi)ターゲットを使用する場合に、Mo:Si=20at%:80at%、Mo:Si=10at%:90at%などの組成比を持つターゲットを使用できる。また金属膜120が連続膜区間を含んで段階的に形成される時、基板と隣接した金属膜120部分を成膜するためのMoSiスパッタ・ターゲットには、10ないし30at%のMoが含まれていており、金属膜120の表面を形成するためのMoSiスパッタ・ターゲットには10at%以下のMoが含まれることが望ましい。さらに、金属膜120は、DC反応性マグネトロンスパッタリング、RF反応性マグネトロンスパッタリング、ロング・スルー・スパッタリング(LTS)、イオンビームスパッタリング法を利用して蒸着されうる。このようなスパッタリング時、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)及びキセノン(Xe)からなる群から選択された1種またはこれらの混合物が不活性ガスとして使われうる。そして、反応性ガスとしては、酸素(O)、窒素(N)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)及びメタン(CH)からなる群から選択された1種またはこれらの混合物が使われうる。
【0035】
また金属膜120をスパッタリング工程により形成する時、0.1ないし0.15Pa範囲の工程圧力下で、基板とターゲット間の距離を100mm以上維持した状態で工程を進めることが望ましい。そして、スパッタリング工程の電力密度は0.6ないし13W/mmに設定し、基板加熱温度は50ないし300℃に設定することが望ましい。スパッタリング工程時に基板温度は、スパッタリングされた原子が基板に衝突するときに接着力に影響を与える。したがって、スパッタリング前に基板を加熱することによって基板と原子間の接着力を強化でき、複数層の場合、薄膜と薄膜間の接着力も増大する。しかし、加熱温度が50度未満ならば、その温度が低くて基板と薄膜、薄膜と薄膜間の接着力効果が微小であり、300℃以上である場合、薄膜の成膜途中及び成膜後に高い残留応力を表して平坦度が悪くなるという問題点を持つ。したがって、基板は50℃ないし300℃の範囲に加熱されることが望ましく、さらに望ましくは100℃ないし300℃に維持される。
【0036】
ハードマスク膜130は単層または複数層で形成され、成分変化区間を備える。この時、ハードマスク膜130の厚さは50ないし150Åであり、面抵抗は1kΩ/□以下であることが望ましい。また、ハードマスク膜130が複数層膜で形成される場合に、互いに隣接した薄膜の同じ元素の一つ以上が、隣接した薄膜の界面で5nm以上の厚さに1at%ないし50at%の組成比変化を持って連続的に形成されることが望ましい。そして、ハードマスク膜130は、5nm以上の厚さを持つ窒素の含有量が連続的に変化する区間を少なくとも一つ備え、薄膜の深さ方向への密度変化が0.2ないし2。0g/cm3であることが望ましい。またハードマスク膜130は、深さ方向へのエッチング率の変化が、少なくても一つ以上の区間で表面部分と比較する時に速いことが望ましい。またフッ素系または塩素系のドライエッチング時、ハードマスク膜130の下部に位置した金属膜120との選択比が5以上であることが望ましい。
【0037】
一方、ハードマスク膜130を形成するために使われるスパッタ・ターゲットは、モリブデンシリサイド(MoSi)、モリブデンタンタルシリサイド(MoTaSi)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)のうちから選択される1種以上の元素からなる。またハードマスク膜130は、DC反応性マグネトロンスパッタリング法を通じて形成され、この時、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)及びキセノン(Xe)からなる群から選択された1種またはこれらの混合物が不活性ガスとして使われ、酸素(O)、窒素(N)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)及びメタン(CH)からなる群から選択された1種またはこれらの混合物が反応性ガスとして使われうる。
【0038】
レジスト膜140は、強酸を含むレジスト物質で構成され、厚さは1,000ないし2,000Åに形成される。そして、レジスト膜140の下部に、レジスト膜140より高い濃度を持つ強酸を含む厚さ200Å以下の有機薄膜が形成されることが望ましい。この時、レジスト膜140の下部に位置した有機薄膜は、露光工程の適用如何と関係なく現像液により現像される。そして、ハードマスク膜130の表面にコーティングされるレジスト物質は、化学増幅型レジストである。
【0039】
図2は、本発明によるハードマスク用ブランクマスクの製造過程を図示したフローチャートである。図2を参照するに、6025サイズの透明基板110上に、HIP方式で製造されたMo:Siの組成比が1:9(すなわち、Mo:Si=10at%:90at%)のスパッタ・ターゲットを利用して、図3に示したようなロング・スルー・スパッタリング装備を適用して金属膜120を形成する(S200)。金属膜120の蒸着時、工程条件は次の表に記載された通りである。
【0040】
【表2】

表2に記載されたような工程条件で50秒間金属膜120に対する蒸着工程を行った後、10秒間徐々に窒素の流入量を1.0→1.5→2.0(sccm)のように連続的に変更して、蒸着される金属膜120内に成分変化区間を形成した。またプラズマを消していない状態で5.0→9.0→13.0→9.0→5.0(sccm)のように窒素の流入量を連続的に変更し、パワーは0.7→1.0→1.2→1.5(kW)に順次に増加させることによって、成分変化区間を形成した。このように製造された金属膜120に対して分析装備(n&k社製のAnalyzer 1512RT装備)を利用して、光学密度及び反射率を148mm sq.範囲で49ポイントを測定し、厚さは、GXR装備を利用して中心の1ポイントを測定した。測定結果、平均光学密度は193nm波長の露光光に対して3.0、光学密度の均一度は0.02、平均反射率は18.3%、反射率の均一度は0.52%を表し、厚さは483Åを表して、ハードマスク用ブランクマスクの金属膜として優秀な特性を示した。
【0041】
また、製造された金属膜120に対して、85%の硫酸及び23%のSC−1(過酸化水素水:アンモニア水:超純水=1:1:5)に2時間浸漬させた後、反射率変化を同じ分析装備を利用して評価した。その結果、193nm波長の露光光に対して、硫酸に0.12%、SC−1に0.42%の反射率変化を示し、金属膜として優秀な性能を示した。また、製造された金属膜120に対して、Atomic Force Spectrometer(AFM)装備を利用して1μm×1μm領域の表面粗度を測定した結果、0.53nmRa値を示し、優秀な表面粗度特性を示した。
【0042】
次いで、スパッタ・ターゲットをクロムターゲットに入れ替え、次の表に記載された工程条件により金属膜120の上部にハードマスク膜130を形成する(S210)。
【0043】
【表3】

表3に記載されたような工程条件で10秒間ハードマスク膜130に対する蒸着工程を行った後、プラズマを消していない状態で二酸化窒素ガスの流入量を5.0→3.0→1.0(sccm)のように順次に変更し、パワーは0.4→1.0→1.5(kW)に順次に増大させることによって、成分変化区間を形成した。このように製造されたハードマスク膜130の表面で、4ポイントプローブ装備を利用してハードマスク膜130の面抵抗を測定した結果、324Ω/□を示して優秀な面抵抗特性を持つことが確認できる。またGXR装備でハードマスク膜130の厚さを測定した結果106Åと確認され、以後製造されたハードマスク用ブランクマスクの組成比を分析するために、AES(Auger Electron Spectrometer)装備を利用して測定した。図4は、本発明による望ましい一実施形態のハードマスク膜の組成比分析結果を示したグラフである。図4を参照するに、本発明による望ましい一実施形態のハードマスク膜の組成比分析結果、ハードマスク膜が各原子の組成比が連続的に変わる区間を含んでいることが確認できる。
【0044】
次いで、ハードマスク膜130の表面に強酸を含有する有機薄膜を、スピンコーティングにより100Åの厚さに形成した後、FEP−171ポジティブ化学増幅型レジスト物質を1500Åの厚さにコーティングして、ハードマスク用ブランクマスクを製造する(S220)。このように製造されたハードマスク用ブランクマスクは、フォトマスク工程によりフォトマスクとして製造される。この時、50keVの電子ビームでブランクマスクに対して記録を行い、2.38%のTHMA現像液を利用して現像を行った後、ハードマスク膜130を塩素系ガスでエッチングする。次いで、再びレジスト膜140を除去した後、ハードマスク膜130をエッチングマスクとして金属膜120をエッチングする。ついで、ハードマスク膜130をクロムエッチング液を利用して除去してフォトマスクの製造を完了する。次いで、CD−SEMを利用して最終パターニングされた薄膜に対するCDを測定し、その結果、50nmのCDが現像されたことを確認することができた。
【0045】
以下では、本発明によるハードマスク用ブランクマスクと、従来の段階的成膜技法により製造されたハードマスク用ブランクマスクとについての評価結果を説明する。評価のために下記の工程を行って、従来の段階的成膜技法によりブランクマスクを製作した。まず、6025サイズの透明基板上に、HIP方式で製造されたMo:Siの組成比が1:9(すなわち、Mo:Si=10at%:90at%)であるスパッタ・ターゲットを利用して、反応性DCマグネトロンスパッタリング法を適用して金属膜を形成した。蒸着時に使われたパワーは0.7kW、アルゴン(Ar)ガスの流入量は5sccm、工程圧力は0.05Pa、工程時間は55秒である。次いで、プラズマを消してアルゴンガスを5sccm、窒素ガスを10sccmの状態で1.5kWのパワーで反射防止膜を形成した。このような工程条件により段階的に形成された薄膜に対して、光学密度及び反射率を、同じ測定装備により8mm sq.範囲で49ポイントを測定した。そしてGXR装備を利用して、中心の1ポイントに対して厚さを測定した。測定結果、従来の段階的な成膜技法により製造されたハードマスク用ブランクマスクに成膜された金属膜の平均光学密度は、193nm波長の露光光に対して3.0、光学密度の均一度は0.03、平均反射率は19.8%、反射率の均一度は1.12%を表し、厚さは512Åを表して、ハードマスク用ブランクマスクの金属膜として使用するのに大きい問題点はなかった。
【0046】
次いで、従来の段階的な成膜技法により製造されたハードマスク用ブランクマスクの金属膜に対して、85℃の硫酸及び23℃のSC−1(過酸化水素水:アンモニア水:超純水=1:1:5)に2時間浸漬した後、反射率の変化を測定した。その結果、硫酸に対して0.52%、SC−1に対して0.83%の反射率変化を表して、金属膜として優秀な性能を示したが、本発明によるハードマスク用ブランクマスクの連続膜を備える金属膜と比較する時、耐化学性特性が悪いことが分かった。また、従来の段階的な成膜技法により製造されたハードマスク用ブランクマスクの金属膜に対して、AFM装備を利用して1μm×1μm領域の表面粗度を測定した結果、0.83nmRa値を示した。したがって、本発明による製造方法で製造されたハードマスク膜130と比較する時、表面粗度が低下したことが分かる。
【0047】
次いで、スパッタ・ターゲットをクロムに入れ替え、アルゴンガスの流量を3sccm、メタン(CH)ガスの流量を0.1sccm、そして、二酸化窒素ガスの流量を5sccmに設定し、0.4kWのパワーと0.5Paの圧力下で12秒間、従来の段階的な成膜技法により製造されたハードマスク用ブランクマスクの金属膜上部にハードマスク膜を蒸着した。このように製造された従来のハードマスク用ブランクマスクのハードマスク膜表面で、4ポイントプローブ装備を利用して測定した薄膜の面抵抗は402Ω/□で良好であり、GXRで測定したハードマスク膜の厚さは116Åを表した。
【0048】
以上、本発明の望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は前述した特定の望ましい実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱せず、当業者ならば多様な変形実施が可能であるということを理解でき、かかる変更は特許請求の範囲に記載の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ブランクマスク、フォトマスク関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0050】
100 ハードマスク用ブランクマスク
110 透明基板
120 金属膜
130 ハードマスク膜
140 レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板、金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜を備えるブランクマスクにおいて、
前記金属膜及び前記ハードマスク膜のうち少なくとも一つは、膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を備えることを特徴とするブランクマスク。
【請求項2】
前記成分変化区間で、元素の組成比は1at%ないし50at%範囲で変わることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
前記金属膜または前記ハードマスク膜は、複数の薄膜が積層されている複数層構造を持ち、前記成分変化区間は、複数層構造の薄膜の内部に少なくとも一つ形成されることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項4】
一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間が、前記複数層構造の薄膜構造の薄膜の内部に形成される場合に、前記連続的に変わる区間の厚さは5nmより大きいか、または同一であることを特徴とする請求項3に記載のブランクマスク。
【請求項5】
前記金属膜は、一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間の厚さが、5nmより大きいか、または同一であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項6】
前記金属膜に含まれた一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間の厚さは、1nmより大きいか、または同一であり、組成比が前記金属膜の深さ方向に連続的に変わる元素は、窒素であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項7】
前記金属膜に含まれた一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間の厚さは、5nmより大きいか、または同一であり、組成比が前記金属膜の深さ方向に連続的に変わる元素にはシリコンが含まれることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項8】
前記金属膜の広さ方向に組成比均一度が10%より小さいか、または同一であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項9】
前記金属膜の深さ方向への密度変化は、0.2g/cm3ないし2.0g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項10】
前記金属膜は、膜の深さ方向に相異なる残留応力を持ち、前記残留応力の差が10MPa以上発生する区間を含むことを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項11】
前記金属膜の表面に成分変化区間が含まれ、前記成分変化区間の上面の表面粗度は1.0nmRaより小さいか、または同一であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項12】
前記金属膜は、表面から深さ方向に5nmより小さいか、または同じ範囲で、窒素の元素比が酸素の元素比より高い組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間を備えることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項13】
前記金属膜は、一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間を含み、前記金属膜表面の窒素含有量は、前記表面から深さ方向に一定距離ほど離隔した地点の窒素含有量より多いことを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項14】
前記ハードマスク膜は、その厚さが20Åより大きいか、または同じ成分変化区間を備えることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項15】
前記ハードマスク膜は、一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間を含み、前記ハードマスク膜の表面から深さ方向に一定距離ほど離隔した地点のエッチング比の変化が、前記ハードマスク膜の表面のエッチング比の変化より大きいことを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項16】
前記ハードマスク膜に含まれた一つ以上の元素の組成比が膜の深さ方向に連続的に変わる区間の厚さは1nmより大きいか、または同一であり、組成比が前記金属膜の深さ方向に連続的に変わる元素は窒素であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項17】
前記ハードマスク膜の深さ方向への密度変化は、0.2g/cm3ないし2.0g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項18】
前記レジスト膜は強酸を含むレジスト物質からなり、前記レジスト膜の下部には前記レジスト膜よりさらに高い濃度を持つ強酸を含む有機薄膜が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項19】
前記レジスト膜の下部に形成された有機薄膜は、現像液により現像されることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項20】
前記透明基板は、複数回のラッピング工程及び複数回のポリシング工程を通じて製造されることを特徴とする請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項21】
前記複数回のラッピング工程は、シリコンカーバイド(SiC)、ダイアモンド(C)、ジルコニア(ZrO)及びアルミナ(Al)のうち少なくとも一つの物質を含む研磨粒子を利用することを特徴とする請求項20に記載のブランクマスク。
【請求項22】
前記研磨粒子のサイズは、4μmないし20μmであることを特徴とする請求項21に記載のブランクマスク。
【請求項23】
前記複数回のポリシング工程は、酸化セリウム(CeO)、コロイダルシリカ(SiO)及び過酸化水素(H)を含むスラリーを利用して行われることを特徴とする請求項20に記載のブランクマスク。
【請求項24】
前記酸化セリウムの粒径は、0.5μmないし5μmであり、
前記コロイダルシリカの粒径は、20μmないし200μmであることを特徴とする請求項23に記載のブランクマスク。
【請求項25】
前記スラリーの酸性度は、6pHないし12pHであることを特徴とする請求項23に記載のブランクマスク。
【請求項26】
前記複数回のポリシング工程は、硬度、圧縮率及び弾性回復率のうち少なくとも一つが、相異なるパッドを利用して行われる少なくとも3回のポリシング工程を含むことを特徴とする請求項20に記載のブランクマスク。
【請求項27】
請求項1ないし26のうちいずれか一項に記載のブランクマスクをパターニング及びエッチングして製造されたフォトマスク。
【請求項28】
透明基板上に金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜を順次に形成してブランクマスクを製造する方法において、
(a)第1蒸着時間中に同じ工程条件を維持しつつ、前記透明基板上に金属膜を蒸着する工程と、
(b)プラズマがついている状態で、第2蒸着時間中に適用される工程条件を構成する複数の工程条件のうち少なくとも一つを段階的または連続的に変更して、前記金属膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が、膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を形成する工程と、を持ち、
前記(a)工程及び前記(b)工程は、順序を変更して行われるか、または交替に行われることを特徴とするブランクマスクの製造方法。
【請求項29】
前記第1反応性ガスは、窒素であることを特徴とする請求項28に記載のブランクマスクの製造方法。
【請求項30】
前記反応性ガスの流量は連続的に増加していて減少し、前記パワーは、連続的に増加することを特徴とする請求項28に記載のブランクマスクの製造方法。
【請求項31】
透明基板上に金属膜、ハードマスク膜及びレジスト膜を順次に形成してブランクマスクを製造する方法において、
(a)第1蒸着時間中に前記透明基板上に金属膜を蒸着する工程と、
(b)プラズマがついている状態で、第2蒸着時間中に適用される工程条件を構成する複数の工程条件のうち少なくとも一つを段階的または連続的に変更して、前記ハードマスク膜を構成する元素のうち少なくとも一つの元素の組成比が、膜の深さ方向に連続的に変わる区間である成分変化区間を形成する工程と、を含むことを特徴とするブランクマスクの製造方法。
【請求項32】
前記ハードマスク膜上に強酸を含有する有機薄膜を形成する工程と、
前記有機薄膜上にレジスト物質をコーティングしてレジスト膜を形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載のブランクマスクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−232725(P2011−232725A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152266(P2010−152266)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(510184759)株式会社エスアンドエス テック (4)
【Fターム(参考)】