説明

ブレーキ装置

【課題】パーキングブレーキにおけるケーブルの摩擦特性を取得する。
【解決手段】ドラムブレーキが、パーキングブレーキとサービスブレーキとで共通のものとされている。ケーブルが引っ張られてパーキングブレーキが作用状態にある場合において、サービスブレーキのブレーキシリンダの液圧が増加させられると、インナケーブルのブレーキ側張力が減少させられる(期間TF)。インナケーブルのブレーキ側張力は、ブレーキシリンダの液圧の増加に伴って減少させられるが、液圧の増加量とブレーキ側張力の減少量との関係は既知である。また、ケーブルの摩擦により、ブレーキ側張力が変化しても、その変化に遅れて張力センサによる検出値が変化する。以上の事情から、液圧の増加が開始されてから張力センサによる検出値が減少するまでの間の、増圧量(Pc−P0)に基づけば、ケーブルの摩擦力を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1押付装置と第2押付装置とを備えたブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動パーキングブレーキシステムにおいては、目標張力と車両の環境との関係が予め記憶されており、車両の環境に基づいて目標張力が取得され、張力センサによる検出値が目標張力となるように電動モータが制御される。また、電動パーキングブレーキの作用中に、車両の移動が検出された場合には、張力が大きくされる一方、関係が補正される。
【特許文献1】特開2006−131151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、インナケーブルとアウタチューブとを含むケーブルにおける摩擦特性を取得することである。ケーブルにおける摩擦特性に基づけば、例えば、張力センサによる検出値からブレーキの実際の押付力を取得したり、ブレーキにおける実際の押付力が目標値に近づくように制御したりすることが可能となる。
【課題を解決するための手段および効果】
【0004】
請求項1に記載のブレーキ装置は、車両の車輪に設けられ、摩擦部材を、前記車輪と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより、前記車輪の回転を抑制するブレーキを備えたブレーキ装置であって、(i)(a)電動モータを駆動源とする第1駆動装置と、(b)その第1駆動装置の出力軸に一端部において連結され、他端部において前記ブレーキのブレーキ作動部材に連結されたインナケーブルと、そのインナケーブルを案内するアウタチューブとを有するブレーキケーブルとを含み、前記第1駆動装置により前記インナケーブルに加えられた張力に基づく押付力である第1押付力で、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第1押付装置と、(ii)前記インナケーブルの前記アウタチューブから前記第1駆動装置側へ突出した部分の張力を検出する張力センサと、(iii)第2駆動装置を含み、その第2駆動装置の駆動力に基づく押付力である第2押付力で、前記ブレーキケーブルを介することなく、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第2押付装置と、(iv)前記インナケーブルから加えられる力に起因する前記電動モータの作動を阻止する阻止機構と、(v)前記第1押付装置の第1押付力により前記摩擦部材が前記ブレーキ回転体に押し付けられており、かつ、前記電動モータが停止させられている状態における、前記第2押付力の変化状態と、前記張力センサによる検出値の変化状態とに基づいて、前記インナーケーブルとアウタチューブとの間の摩擦特性を取得する摩擦特性取得装置とを含むものとされる。
本ブレーキ装置において、車輪のブレーキには、第1押付装置と第2押付装置との両方が設けられる。第1押付装置と第2押付装置との両方の作動状態において、第1押付装置の第1押付力と第2押付装置の第2押付力との両方が、同じブレーキの摩擦部材に加えられ、同じブレーキ回転体に押し付けられる。例えば、第1押付装置を電動パーキングブレーキ機構の構成要素とし、第2押付装置をサービスブレーキ機構の構成要素とすることができる。
第1押付装置は、電動モータを有する第1駆動装置を含み、第1駆動装置によりインナケーブルを引っ張り、それにより、ブレーキ作動部材を作動させて、摩擦部材をブレーキ回転体にインナケーブルの張力に基づく第1押付力(ブレーキ作動部材に加えられる力に対応する)で押し付ける。インナケーブルは第1駆動装置により引っ張られたり緩められたりするのであるが、その場合に、インナケーブルに加えられる移動力により、アウタチューブとの間に摩擦力が発生する。この摩擦力により、インナケーブルに第1駆動装置によって加えられた張力のブレーキ作動部材への伝達が遅れる。また、摩擦抵抗に基づく損失だけ、第1駆動装置によってインナケーブルに加えられた張力とインナケーブルのブレーキ作動部材に連結された部分の張力との間に差が生じる。以下、インナケーブルの第1駆動装置に連結された部分(インナケーブルの第1駆動装置側にアウタチューブから突出した部分)の張力は、張力センサによって検出可能であるためセンサ張力と称し、ブレーキ作動部材に連結された部分(インナケーブルのブレーキ側にアウタチューブから突出した部分)の張力をブレーキ側張力と称する。
第2押付装置は、第2駆動装置を含み、第2駆動装置の駆動力に応じた第2押付力で摩擦部材をブレーキ回転体に押し付ける。第2押付力は、第2駆動装置の制御により制御される。第2駆動装置は、例えば、電動モータ等の電磁駆動源を含むものとしたり、ブレーキシリンダおよび液圧制御アクチュエータを含むものとしたりすることができ、電磁駆動源への供給電流の制御、液圧制御ユニットに含まれるポンプ装置、電磁制御弁等の制御により、第2押付力が制御される。また、インナケーブルおよびアウタチューブを有するブレーキケーブルを介することなく、摩擦部材がブレーキ回転体に押し付けられるため、インナケーブルとアウタチューブとの間の摩擦力を考慮する必要はない。したがって、実際に第2押付装置の駆動力を検出すれば、その検出された駆動力に基づいて実際に摩擦部材に加えられた第2押付力を検出することができる。また、第2押付装置に実際に出力された制御指令に基づいて、実際に加えられた第2押付力を取得することができる。第2押付力は、摩擦特性を取得するために制御されたり、第2押付装置がサービスブレーキ機構に含まれるものである場合には、サービスブレーキ操作部材の操作に応じて制御されたりする。
ブレーキにおいて、(i)第1押付力と第2押付力との両方が摩擦部材に加えられており、かつ、電動モータに電流が供給されていない状態において第2押付力が変化させられた場合、あるいは、(ii)第1押付力が加えられており、かつ、電動モータに電流が供給されていない状態において第2押付力が新たに加えられた場合には、インナケーブルのブレーキ側の部分の張力が変化させられるが、この変化に起因してインナケーブルに移動力が加えられ、インナケーブルとアウタチューブとの間に摩擦力が生じる。この摩擦力により、ケーブルのブレーキ側張力の変化の伝達が遅れ、張力センサの検出値は遅れて変化する。一方、第2押付力の変化量とケーブルのブレーキ側張力の変化量との関係は、ブレーキの構造等によって決まり、予め取得しておくことができる。例えば、ドラムブレーキにおいて、摩擦部材において第1押付力が作用する位置、第2押付力が作用する位置および支点の位置の間の相対位置関係等によって決まり、ディスクブレーキにおいて、ブレーキ作動部材に加えられる第1押付力を摩擦部材に伝達する伝達機構における摩擦損失等によって決まる。
このように、インナケーブルとアウタチューブとの間の摩擦力により、インナケーブルの両端部のいずれか一方の端部において生じた張力の変化は、他方の端部に遅れて伝達されるのであるが、本項に記載のブレーキ装置においては、上述の第2押付力の変化に起因して、ケーブルのブレーキ側張力が変化する状態において、センサ張力の変化状態が取得されて、ケーブルの摩擦特性が取得される。
前述のように、摩擦部材に加えられる第2押付力が変化させられた場合(新たに加えられた場合も含む)には、それに伴ってブレーキ側張力が変化するが、このブレーキ側張力の変化の遅れは非常に小さいと考えられる。また、第2押付力の変化量と、既知である第2押付力の変化量とブレーキ側張力の変化量との関係とから、ブレーキ側張力の変化量を取得することができる。さらに、電動モータには電流が供給されておらず、かつ、阻止機構が設けられているため、インナケーブルが電動モータによって引っ張られたり、緩められたりすることがない。そのため、張力センサによって、第2押付力の変化に起因する張力変化を検出することが可能となる。したがって、第2押付力の実際の変化状態と張力センサによる検出値の変化状態とに基づけば、インナケーブルとアウタチューブとの間の摩擦特性を取得することができるのである。
摩擦特性とは、広く、インナケーブルとアウタチューブとの間に生じる摩擦に関連する特性をいう。例えば、摩擦力自体の大きさ、ブレーキ側張力とセンサ張力との関係(摩擦力で決まる関係であり、ヒステリシス特性がその一例である)、これら摩擦力等のケーブルの劣化状態に応じた変化等が該当する。
なお、ブレーキは、ドラムブレーキであっても、ディスクブレーキであってもよい。
【特許請求可能な発明】
【0005】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0006】
(1)車両の車輪に設けられ、摩擦部材を、前記車輪と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより、前記車輪の回転を抑制するブレーキを備えたブレーキ装置であって、
(a)電動モータを駆動源とする第1駆動装置と、(b)その第1駆動装置の出力軸に一端部において連結され、他端部において前記ブレーキのブレーキ作動部材に連結されたインナケーブルと、そのインナケーブルを案内するアウタチューブとを有するブレーキケーブルとを含み、前記第1駆動装置により前記インナケーブルに加えられた張力に基づく押付力である第1押付力で、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第1押付装置と、
前記インナケーブルの前記アウタチューブから前記第1駆動装置側へ突出した部分の張力を検出する張力センサと、
第2駆動装置を含み、その第2駆動装置の駆動力に基づく押付力である第2押付力で、前記ブレーキケーブルを介することなく、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第2押付装置と、
前記インナケーブルから加えられる力に起因する前記電動モータの作動を阻止する阻止機構と、
前記第1押付装置の第1押付力により前記摩擦部材が前記ブレーキ回転体に押し付けられており、かつ、前記電動モータに電流が供給されていない状態における、前記第2押付力の変化状態と、前記張力センサによる検出値の変化状態とに基づいて、前記インナーケーブルと前記アウタチューブとの間の摩擦特性を取得する摩擦特性取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項1)。
(2)前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力を検出する第2押付力検出部を含む(1)項に記載のブレーキ装置。
第2押付力が検出されれば、第2押付力の変化状態を取得することができる。
(3)前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力の変化が開始されてから、前記張力センサによる検出値が予め定められた設定値以上変化するまでの間の、前記第2押付力の変化量に基づいて、前記インナケーブルとアウタチューブとの間の摩擦力を取得する摩擦力取得部を含む(1)項または(2)項に記載のブレーキ装置(請求項2)。
第2押付力の変化に伴ってブレーキ側張力が変化し、それに遅れて、センサ張力が変化する。センサ張力の遅れは、インナケーブルとアウタチューブとの間の摩擦力が大きい場合は小さい場合より大きくなる。そのため、第2押付力の変化が開始されてからセンサ張力が変化するまでの第2押付力の変化量に基づけば、センサ張力が変化するまでの間のブレーキ側張力の変化量を取得することができ、インナケーブルとアウタケーブルとの間の摩擦力を取得することができる。設定値は、張力センサによる検出値が、信号のバラツキ、誤差等に起因するのではなく、確実に変化したとみなし得る大きさとされる。
なお、第2押付力が予め定められた設定勾配で変化させられる場合には、変化開始から検出値が設定値以上変化するまでの時間に基づいて摩擦力を取得することができる。
(4)前記摩擦特性取得装置が、前記摩擦特性を取得する際に、前記第2押付力が予め定められたパターンに従って変化させられる状態で、前記第2駆動装置を制御するパターン対応第2押付力制御部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
摩擦特性を取得する際の第2押付力の制御には、張力センサの検出値を取得する際の制御と摩擦特性を取得する場合に摩擦特性が効果的に取得可能な状態とするための制御との少なくとも一方が含まれる。第2押付力が、サービスブレーキ操作部材の操作状態の変化に伴って変化させられる状態において、摩擦特性を取得することも可能であるが、パターンに従って変化させられる状態における方が、摩擦特性を正確に取得することが可能となる。
(5)前記摩擦特性取得装置が、前記第2駆動装置を制御して、前記第2押付力の時間に対する変化勾配を一定とする第2押付力制御部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項3)。
摩擦特性を取得する際に、第2押付力の時間に対する変化勾配が一定とされれば、例えば、センサ張力が変化する時点の第2押付力を正確に取得することができ、摩擦特性を正確に取得することが可能である。
(6)前記摩擦特性取得装置が、前記電動モータによって前記インナケーブルが引っ張られた後に、前記電動モータへの電流の供給を停止して、前記第2押付力を変化させ、その後に、前記摩擦特性を取得する第2押付力プレ制御部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
〔実施例〕において詳述するように、センサ張力の変化状態とブレーキ側張力の変化状態との関係が、第1駆動装置の作動による場合と、第2押付力の変化による場合とで異なるが、例えば、第1駆動装置の作動に起因する変化から第2押付力の変化に起因する変化に移行した場合には、摩擦特性が検出し難くなることがある。それに対して、本項に記載のブレーキ装置においては、第2押付力プレ制御が行われ、摩擦特性を検出し難い状態で摩擦特性が取得されることが回避される。
(7)前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力が増加させられる場合と、減少させられる場合とのそれぞれにおいて、前記第2押付力が同じ場合における、前記張力センサによる検出値の差に基づいて、前記第1押付装置におけるヒステリシス特性を摩擦特性として取得するヒステリシス特性取得部を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項4)。
本項に記載のブレーキ装置においては、第2押付力が増加、減少させられる場合における第2押付力が同じ場合にはブレーキ側張力も同じであると推定される。そのため、第2押付力が減少してブレーキ側の張力が増加する場合と、第2押付力が増加してブレーキ側の張力が減少する場合とで、第2押付力が同じ場合のセンサ張力の差は、ブレーキ側張力が同じ場合のセンサ張力の差に対応すると推定される。したがって、第2押付力が同じ場合のセンサ張力の差を、ヒステリシス幅として推定することができる。
(8)前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力を予め定められた設定勾配で変化させる設定勾配変化部と、その設定勾配変化部によって前記第2押付力が前記設定勾配で変化させられた場合における、前記張力センサによる検出値の変化状態に基づいて、前記インナケーブルの劣化の程度を取得する劣化状態取得部とを含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項5)。
インナケーブルが標準的なものである場合には、第2押付力が設定勾配で変化させられた場合の張力センサによる検出値も規格通りの(標準的な)遅れで、規格通り(標準的な)勾配で変化させられると考えられる。それに対して、インナケーブルが劣化している場合には、遅れが大きくなったり、勾配が小さくなったりする。そのため、第2押付力が設定勾配で変化させられた場合の張力センサによる変化状態に基づけば、インナケーブルの劣化の程度を取得することができる。
例えば、遅れが大きい場合は小さい場合より、勾配の絶対値が小さい場合は大きい場合より劣化がより進んでいると考えることができる。また、ケーブルの劣化の程度は、張力センサによる検出値の遅れに基づいて取得しても、変化勾配の絶対値に基づいて取得しても、これらの両方に基づいて取得してもよい。
(9)前記摩擦特性取得装置が、前記劣化状態取得部によって前記インナケーブルの劣化の程度が取得された場合に、その劣化の程度に応じて異なる勾配で、前記第2押付力を変化させる劣化状態対応制御部を含む(8)項に記載のブレーキ装置。
例えば、劣化が進んでいる場合には進んでいない場合より、摩擦特性を取得する際の第2押付力の変化勾配の絶対値を大きくすることが望ましい。それによって、劣化が進んでいる場合であっても、それに起因する張力センサの変化の遅れを小さくすることができ、摩擦特性の取得を速やかに行うことが可能となる。
(10)前記第1押付装置および第2押付装置が、前記車両の2つの車輪のブレーキにそれぞれ設けられ、それら2つの第1押付装置のインナケーブルが互いにイコライザーを介して連結されるとともに、前記張力センサが、前記2つのインナケーブルに対して共通に設けられ、前記摩擦特性取得装置が、(a)それら2つの車輪のブレーキの第2押付装置をそれぞれ制御する個別制御部と、(b)その個別制御部によって、前記2つの第2押付装置のうちの一方が作動させられないで他方が作動させられている状態における前記張力センサによる検出値の変化状態と、前記他方が作動させられないで前記一方が作動させられている状態における前記張力センサによる検出値の変化状態とに基づいて、前記2つの車輪のブレーキの各々について、前記インナケーブルと前記アウタチューブとの間の摩擦特性をそれぞれ取得する個別特性取得部とを含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項6)。
本項のブレーキ装置においては、2つの車輪のブレーキの各々についてのインナケーブルとアウタチューブとの間の摩擦特性を、1つの張力センサで取得することができる。
(11)前記摩擦特性取得装置によって取得された前記摩擦特性と前記張力センサによる検出値とに基づいて、前記電動モータを制御することにより、前記第1押付力を制御するモータ制御装置を含む(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項7)。
摩擦特性と張力センサによる検出値とに基づけば、摩擦特性に基づかない場合に比較して、ブレーキ側張力を所望の大きさに近づけることができ、第1押付力を所望の大きさに近づけることができる。
モータ制御装置によって、張力センサによる検出値が目標張力に近づくように電動モータが制御される場合において、摩擦特性に基づいて目標張力が決定されるようにしても、検出値が補正されるようにしてもよい。
(12)車両の車輪に設けられ、摩擦部材を、前記車輪と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより、前記車輪の回転を抑制するブレーキを備えたブレーキ装置であって、
(a)電動モータを駆動源とする第1駆動装置と、(b)その第1駆動装置の出力軸に一端部において連結され、他端部において前記ブレーキのブレーキ作動部材に連結されたインナケーブルと、そのインナケーブルを案内するアウタチューブとを有するブレーキケーブルとを含み、前記第1駆動装置により前記インナケーブルに加えられた張力に基づく押付力である第1押付力で、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第1押付装置と、
前記インナケーブルの前記アウタチューブから前記第1駆動装置側へ突出した部分の張力を検出する張力センサと、
第2駆動装置を含み、その第2駆動装置の駆動力に基づく押付力である第2押付力で、前記ブレーキケーブルを介することなく、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第2押付装置と、
前記インナケーブルから加えられる力に起因する前記電動モータの作動を阻止する阻止機構と、
前記第1押付装置の第1押付力により前記摩擦部材が前記ブレーキ回転体に押し付けられており、かつ、前記電動モータに電流が供給されていない状態における、前記第2押付力と、前記張力センサによる検出値とに基づいて、前記インナーケーブルと前記アウタチューブとの間の摩擦特性を取得する摩擦特性取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。
第2押付力の大きさとブレーキ側張力の大きさとの関係が一義的に決まれば、第1押付力と張力センサの検出値とに基づいて、定常的な状態における、インナケーブルとアウタチューブとの間の、摩擦抵抗に応じた張力差を取得することができる。
本項に記載のブレーキ装置には、(1)項ないし(11)項に記載の技術的特徴を採用することができる。
【実施例】
【0007】
本発明の一実施例であるブレーキ装置を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、符号14,16は左右後輪を示し、符号18,20は車輪14,16にそれぞれ設けられたドラムブレーキを示す。
ドラムブレーキ18,20は、互いに同じ構造を為したものであり、図4に示すように、それぞれ、図示しない車体に取り付けられた非回転体としてのバッキングプレート30と、内周面に摩擦面32を備えて車輪14,16と一体的に回転可能なブレーキ回転体としてのドラム34とを含む。
バッキングプレート30の一直径方向に隔たった位置には、アンカ部材36とブレーキシリンダ38とが設けられている。アンカ部材36はバッキングプレート30に固定されており、それらアンカ部材36とブレーキシリンダ38との間には、各々円弧状を成す一対のブレーキシュー40a,40bがドラム34の内周面32に対面するように取り付けられている。一対のブレーキシュー40a,40bは、シューホールドダウン装置42a,42bによってバッキングプレート30にそれの面に沿って移動可能に取り付けられている。なお、バッキングプレート30の中央に設けられた貫通穴は、図示しないアクスルシャフトの貫通を許容するためのものである。
一対のブレーキシュー40a,40bは、一端部がブレーキシリンダ38により作動的に連結される一方、各他端部がアンカ部材36と当接して回動可能に支持されるようになっている。一対のブレーキシュー40a,40bの一端部同士は、リターンスプリング44により互いに接近する向きに付勢されている。また、ブレーキシュー40a,40bの間には、ストラット46が設けられている。
また、ドラムブレーキ18,20には、それぞれ、オートアジャスタ50が設けられ、ブレーキシュー40a,40bとドラム内周面32との間のクリアランスが自動で調整される。
【0008】
また、ブレーキ作動部材としてのブレーキレバー52が、一端部においてブレーキシュー40aに保持され、他端部においてブレーキケーブル60,62(図1,5参照:以下、単にケーブルと称する)のインナケーブル64が連結された状態で設けられる。インナケーブル64が引っ張られると、ブレーキレバー52が回動させられ、それによって、ブレーキシュー40a、40bが拡開させられ、ブレーキライニング66a,66bがドラム内周面32に押し付けられ、パーキングブレーキとしてのドラムブレーキ18,20が作動させられる。ブレーキライニング66a,66bの押付力(第1押付力)は、インナケーブル64の引張力に応じた大きさとなる。
一方、ブレーキシリンダ38に液圧が供給されると、それによって、一対のブレーキシュー40a,40bが拡開させられ、ブレーキライニング66a,66bがドラム内周面32に押し付けられ、サービスブレーキとしてのドラムブレーキ18,20が作動させられる。ブレーキライニング66a,66bの押付力(第2押付力)は、ブレーキシリンダ38の液圧に応じた大きさとなる。
このように、本実施例においては、左右後輪14,16にサービスブレーキとパーキングブレーキとの両方が設けられているのであり、ドラムブレーキ18,20がパーキングブレーキとサービスブレーキとで共通のものとされる。摩擦材(ブレーキシュー40a,40b、ブレーキライニング66a,66b)およびブレーキ回転体としてのドラム34がパーキングブレーキとサービスブレーキとで共通なのである。
以下、ドラムブレーキ18,20を、パーキングブレーキ18,20と称したり、サービスブレーキ18,20と称したりすることがある。
【0009】
ケーブル60,62は、図5(a)に示すように、それぞれ、インナケーブル64と、インナケーブル64を案内するアウタチューブ68とを含み、アウタチューブ68は、両端部において、固定部材に長手方向に移動不能に保持される。インナケーブル64は、それの一端部のアウタチューブ68からブレーキ側に突出した部分において前記ブレーキレバー52に連結されるとともに、他端部のアウタチューブ68から突出した部分において電動モータ70およびクラッチ付き運動変換機構72を含む第1駆動装置74に連結される。
クラッチ付き運動変換機構72は、図2に示すように、ギヤ列80,阻止機構としてのクラッチ82,ねじ機構84等を含む。
ギヤ列80は、複数のギヤ86,88,90から成る。電動モータ70の出力軸92にはギヤ86が噛合され、ギヤ86の回転が、ギヤ88を経てギヤ90に伝達される。ギヤ90の電動モータ70とは反対側の端面には、軸線方向と平行に突出する駆動伝達部94が設けられている。
クラッチ82は、一方向クラッチであり、図3に示すように、ハウジング100と、そのハウジング100の内周側に設けられたコイルスプリング102と、クラッチ82の出力軸104と一体的に回転可能なロータ106とを含む。コイルスプリング102は、巻径が弾性的に僅かに収縮させられた状態でハウジング100に嵌合されており、それの外周面がハウジング100の内周面に密着し、素線の端部108,110が、それぞれ、内周側に向かって突出させられた状態で設けられている。また、ギヤ90の駆動伝達部94が2つの端部108,110で挟まれた2つの空間の一方に位置し、ロータ106が他方に位置する。
【0010】
電動モータ70の回転に伴ってギヤ90が回転すると、駆動伝達部94が端部108,110のいずれか一方に当接し、コイルスプリング102が巻き締められてハウジング100の内周面とスプリング102の外周面との間の摩擦力が小さくなる。それによって、コイルスプリング102,ロータ106が回転可能となり、出力軸104を回転させる。出力軸104はギヤ90と一体的に回転させられるのであり、クラッチ82によって、電動モータ50の回転が出力軸104に伝達されることになる。
電動モータ70に電流が供給されない状態において、出力軸104にトルクが加わると、ロータ106が端部108,110のいずれか一方に当接し、それによって、コイルスプリング102が拡径させられる。コイルスプリング102の外周面とハウジング100の内周面との間の摩擦力が大きくなり、コイルスプリング102の回転は阻止される。クラッチ82によって、出力軸104のトルクのギヤ90への伝達が阻止され、電動モータ70に電流が供給されない状態において、出力軸104に加えられるトルクによって電動モータ70が回転させられることはないのである。
【0011】
ねじ機構84は、ハウジング120と、軸線Lと平行な方向に延びた雄ねじ部材122と、雄ねじ部材122に螺合させられた図示しないナットと、ナットにM軸線回りに相対回動可能に取り付けられたイコライザ124とを含む。雄ねじ部材122は、一対のラジアルベアリング125(他方は図示は省略する)、ニードルスラストベアリング126を介して、ハウジング120に相対回転可能に支持される。イコライザ124の両アームには、それぞれ、ケーブル60,62のインナケーブル64が連結されている。イコライザ124の本体には係合突部128が設けられ、図示は省略するが、ハウジング120に、軸線Lと平行な方向に設けられたガイドに係合させられる。その結果、イコライザ124は、ハウジング120に、軸線Lを中心とした相対回転不能、軸線Lと平行な方向に相対移動可能、かつ、係合突部128の回り(軸線Mの回り)に相対回動可能となっている。
【0012】
イコライザ124は、図2に実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間で、ハウジング120に対して相対移動可能とされており、イコライザ124の相対移動に伴ってケーブル60,62のインナケーブル64が引っ張られたり、緩められたりする。また、イコライザ124は、2つのケーブル60,62のインナケーブル64に加えられる張力(以下、単にケーブル60,62の張力という場合がある)が同じになるように、係合突部128の回り(軸線Mの回り)に回動させられる。
なお、ハウジング120の内部には、ケーブル62のインナケーブル64の張力を検出する張力センサ130が設けられている。イコライザ124により、ケーブル60,62に加えられる張力は同じ大きさとされるため、張力センサ130によって検出されたケーブル62の張力は、ケーブル60の張力でもある。
また、符号132は異常時解除装置を示す。異常時解除装置132は、電動モータ70の異常時等に、パーキングブレーキ18,20を解除するための装置である。
本実施例においては、第1駆動装置74(電動モータ70およびクラッチ付き運動変換機構72)、ケーブル60,62、ブレーキレバー52等により第1押付装置138が構成される。
【0013】
ブレーキシリンダ38には、図4に示すように、制御通路140を介して第2駆動装置としてのブレーキ液圧制御アクチュエータ(ブレーキ液圧制御ユニット)142が接続されている。ブレーキ液圧制御アクチュエータ142は、動力液圧源としてのポンプ装置150,複数の電磁制御弁152,154等を含む。ポンプ装置150は、ポンプ156およびポンプモータ158を含み、ポンプ156によりリザーバ160の作動液が汲み上げられて吐出されて、アキュムレータ162に加圧した状態で蓄えられる。
また、電磁制御弁152はポンプ装置150とブレーキシリンダ38との間に設けられ、電磁制御弁154はブレーキシリンダ38とリザーバ160との間に設けられる。電磁制御弁152、154は、常閉弁であり、ソレノイドに電流が供給されない間閉状態にあり、電流が供給されると開状態とされる。電磁制御弁152,154は、電磁開閉弁であっても、ソレノイドへの供給電流量に応じた開度で開状態とされるリニア弁であってもよい。
ブレーキシリンダ38には、また、マスタ通路170を介してマスタシリンダ172が接続される。マスタシリンダ172には、サービスブレーキ操作部材174が踏み込まれると、その踏み込み力に応じた液圧が発生させられる。マスタ通路170には、常開の電磁開閉弁であるマスタ遮断弁176が設けられる。
本実施例においては、ブレーキシリンダ38,ブレーキ液圧制御アクチュエータ142(ポンプ装置150,電磁制御弁152,154)等により第2押付装置180が構成される。
【0014】
電動モータ70は、図1に示すように、電動パーキングブレーキECU(PKBECU)200の指令に基づいて制御される。電動パーキングブレーキECU200は、コンピュータを主体とするものであり、入出力部202,実行部204,記憶部206等を含む。入出力部202には、パーキングブレーキスイッチ(以下、単に、パーキングスイッチと略称する)210,張力センサ130が接続されるとともに、駆動回路212を介して電動モータ70が接続される。
ブレーキ液圧制御アクチュエータ(液圧ユニット)142は、サービスブレーキECU(VSCECU:ビークルスタビリティコントロール)220の指令に基づいて制御される。サービスブレーキECU220も、コンピュータを主体とするものであり、入出力部222,実行部224,記憶部226等を含む。入出力部222には、サービスブレーキ操作部材174の操作力を検出する操作力センサ230,ドラムブレーキ18,20のブレーキシリンダ38の液圧をそれぞれ検出する液圧センサ232、前後Gセンサ234等が接続される。
電動パーキングブレーキECU200とサービスブレーキECU220とは、CAN(Car Area Network)240を介して接続されている。
【0015】
パーキングスイッチ210は、パーキングブレーキ18,20の作動(以下、パーキングブレーキ18,20の作動をロックと称することがある)を指令する場合、解除(以下、パーキングブレーキ18,20の解除をリリースと称することがある)を指令する場合に、操作されるスイッチであり、例えば、ロック側操作部とリリース側操作部とを有するものとすることができる。ロック側操作部が操作された場合(以下、ロック指令操作が行われた場合と略称する)にはロック要求があるとされ、リリース側操作部が操作された場合(以下、リリース指令操作が行われた場合と略称する)にはリリース要求があるとされる。
【0016】
以上のように構成されたブレーキ装置における作動を説明する。
パーキングスイッチ210のロック指示操作が行われると、電動モータ70が作動させられ、ケーブル60,62が引っ張られ、それによって、パーキングブレーキ18,20が作動させられる。リリース指示操作が行われると、電動モータ70が逆向きに回転させられ、ケーブル60,62が緩められる。パーキングブレーキ18,20において、リターンスプリング44により、一対のブレーキシュー40a,40bが縮径させられ、ブレーキが解除される。また、パーキングブレーキ18,20の作用中に、電動モータ70に電流が供給されなくなっても、クラッチ82により摩擦材押付力が保持される。
サービスブレーキ操作部材174が操作されると、マスタシリンダ172に液圧が発生させられる。マスタシリンダ172の液圧がブレーキシリンダ38に供給されるとサービスブレーキ18,20が作動させられる。また、ブレーキ操作部材174の操作により、マスタ遮断弁176が閉状態に切り換えられると、ブレーキシリンダ38の液圧が、ブレーキ操作力に応じた大きさとなるように、電磁制御弁152,154が制御される。ポンプ装置150から供給される液圧により、ブレーキシリンダ38の液圧が制御される。ブレーキシリンダ38の液圧は、電磁制御弁152を開状態とすることにより増加させられ、電磁制御弁154を開状態とすることにより減少させられる。
本実施例において、ブレーキシリンダ38の液圧は、ケーブル60,62の摩擦特性を取得する際にも制御される。
【0017】
図15のフローチャートは、パーキングブレーキ制御プログラムを表す。パーキングブレーキ制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ロック要求があるか否かが判定され、S2において、リリース要求があるか否かが判定される。パーキングスイッチ210のロック側操作部、リリース側操作部が操作されたか否かが判定されるのである。
ロック要求が検出された場合には、S1の判定がYESとなり、S3〜6において、目標張力が求められ、張力センサ130による検出値が目標張力となるように、電動モータ70への供給電流が制御される。目標張力は、車両の停止状態において、その車両に加えられる移動力に基づいて決められる。例えば、前後Gセンサ234による検出値等に基づいて路面勾配等が取得され、その坂道において車両を停止状態に保持し得る大きさとされる。パーキングブレーキ18,20は、第1押付力(ケーブル60,62の張力に応じた押付力)で作動させられる。
それに対して、リリース要求が検出された場合には、S2の判定がYESとなり、S7において、電動モータ70への供給電流の制御により、ケーブル60,62が緩められ、パーキングブレーキ18,20が解除される。
【0018】
図5(a)に示すように、ケーブル60,62において、インナケーブル64が電動モータ70により引っ張られたり、緩められたりすると、インナケーブル64には移動力が加えられ、インナケーブル64とアウタチューブ68との間に摩擦力が生じる。移動力が摩擦力より大きくなると、インナケーブル64はアウタチューブ68に案内されつつ移動させられる(インナケーブル64上の1点がアウタケーブル68内を移動させられる)。このインナケーブル64とアウタチューブ68との間の摩擦力により、電動モータ70によって加えられた張力のブレーキレバー52への伝達が遅れる。
以下、インナケーブル64の両端部のアウタチューブ68から突出した部分のうち、第1駆動装置74側の端部の張力は張力センサ130によって検出されるためセンサ張力と称し、パーキングブレーキ18,20側の端部の張力をブレーキ側張力と称する。パーキングブレーキ18,20において、ブレーキレバー52には、ブレーキ側張力が作用するため、ブレーキ18,20はこのブレーキ側張力により作動させられる。本実施例において、インナケーブル64のブレーキ側の端部には張力センサが設けられていないため、ブレーキ側張力は推定値である。
【0019】
図6(a)に示すように、電動モータ70の駆動力の増加に伴ってセンサ張力が増加し、電動モータ70の駆動力の減少に伴ってセンサ張力は減少する。張力センサ130は、イコライザ124の近傍に設けられているため、電動モータ70の駆動力の変化に伴って(殆ど遅れることなく)変化させられる。それに対して、ブレーキ側張力は、インナケーブル64とアウタチューブ68との間の摩擦力に起因して、電動モータ70の駆動力の変化に遅れて変化させられる。また、電動モータ70の作動が停止させられている状態、すなわち、保持状態においては、摩擦抵抗分(損失分)だけ差が生じる。
このことに起因して、パーキングブレーキ機構においては、図6(b)に示すようなヒステリシス特性を有することがわかる。電動モータ70の駆動力が増加させられる状態においては、センサ張力の方がブレーキ側張力より大きくなるが、駆動力が減少させられる状態においては、センサ張力の方が小さくなる。
【0020】
また、図7に示すように、ドラムブレーキ18,20において、(i)パーキングブレーキとサービスブレーキとの両方が作用しており、かつ、電動モータ70に電流が供給されていない状態(クラッチ82の作動により、ケーブル60,62の張力により電動モータ70が作動しない状態、電動モータ70によってケーブル60,62が引っ張られたり、緩められたりしない状態。以下、同じ)において、ブレーキシリンダ38の液圧が変化させられた場合、あるいは、(ii)サービスブレーキが非作用状態で、パーキングブレーキが作用状態にあり、かつ、電動モータ70に電流が供給されていない状態においてブレーキシリンダ38に液圧が新たに加えられた場合には、液圧の変化に伴ってインナケーブル64のブレーキレバー52に連結された部分の張力が変化させられる。ブレーキ側張力の変化は、液圧の変化に遅れることなく、あるいは、非常に小さい遅れで生じる。
例えば、ブレーキシュー40a,40bがドラム34に押し付けられている状態において、ブレーキシリンダ38の液圧が変化させられる(新たに加えられる場合も含む)と、ブレーキシュー40a,40bがストラット46の回りに回動させられ、それによって、ブレーキレバー52が回動させられ、インナケーブル64が引っ張られたり、緩められたりする。このインナケーブル64の張力変化は、ブレーキシリンダ38の液圧の変化(ブレーキ側の都合)に起因して生じるのであり、電動モータ70の作動に起因して生じるのではない。ブレーキシリンダ38の液圧変化に伴ってブレーキ側張力が変化するが、インナケーブル64とアウタチューブ68との間の摩擦力によって張力センサ130に遅れて伝達される。そして、図5(b)、図7(a)に示すように、ブレーキシリンダ38の液圧が増加し、ブレーキ側張力が減少する場合には、摩擦力に起因する伝達遅れにより、センサ張力の方が大きくなり、液圧が減少して、ブレーキ側張力が増加する場合には、センサ張力の方が小さくなる。それに起因するヒステリシス特性を図7(b)に示す。
図6(b)、図7(b)のヒステリシス特性同士を比較すると、センサ張力とブレーキ側張力との大小の関係が逆になることがわかる。すなわち、ブレーキ側張力とセンサ張力とでは、摩擦力分だけ異なる大きさとなるが、電動モータ70の作動による場合と、液圧変化による場合とで、遅れの特性(摩擦特性)が異なるのである。
【0021】
一方、第2押付力(ブレーキシリンダ38の液圧に対応)の変化量とケーブル60,62のブレーキ側張力の変化量との関係は、ドラムブレーキ18,20の構造等によって決まり、予め取得しておくことができる。例えば、ドラムブレーキ18,20において、ブレーキシュー40a,40bにおけるブレーキレバー52の保持位置、ブレーキシリンダ38の液圧が加えられる位置、ブレーキレバー52のインナケーブル64の連結位置、ストラット46が設けられている位置等の間の相対的な関係等によって決まる。
そこで、本実施例においては、ブレーキシリンダ38の液圧の変化に起因して、ケーブル60,62のブレーキ側張力が変化する状態において、液圧の変化状態と張力センサ130の検出値の変化状態とに基づいて、図7(b)に示すような、ケーブル60,62の摩擦特性が取得される。
前述のように、ブレーキ側張力は、ブレーキシリンダ38の液圧変化に伴って殆ど遅れることなく変化すると考えられる。また、ブレーキシリンダ38の液圧は液圧センサ232によって検出されるため、この液圧の実際の変化量と、既知である液圧の変化量とブレーキ側張力の変化量との関係とから、ブレーキ側張力の変化量を取得することができる。さらに、電動モータ70に電流が供給されていないため、インナケーブル64が電動モータ70によって引っ張られたり、緩められたりすることがなく、張力センサ130による検出値は、液圧の変化に起因する張力変化によって変化し、電動モータ70の作動の影響を受けない。したがって、液圧の実際の変化状態と張力センサ130による検出値の変化状態とに基づけば、インナケーブル64とアウタチューブ68との間の摩擦特性を取得することができるのである。
【0022】
図8には、サービスブレーキの非作用状態において、電動モータ70の作動によりパーキングブレーキを作動させ、その後、サービスブレーキのブレーキシリンダ38の液圧を新たに加え、変化させ、最後に、電動モータ70の作動によりブレーキが解除された場合の張力変化の状態を示す。図8の張力変化は、図6,図7の張力変化から取得される。
前述の図6に示す場合と同様に、電動モータ70の作動によりブレーキレバー52が作動させられて、パーキングブレーキ18,20が作動させられる場合には、ブレーキ側張力が遅れて増加させられるため、ブレーキ側張力の方が小さくなる(期間T0、TA)。
その後、ブレーキシリンダ38の液圧が増加させられると、それに伴って(遅れることなく)ブレーキ側張力が減少させられるが、この場合には、センサ張力が遅れることなく減少する(期間TB)。図6(b)の実線で表す変化の次に、図7(b)の一点鎖線で表す変化が起きるからである。
液圧が一定に保持された後(期間TC)、減圧させられると、前述の図7に示すように、減圧に伴ってブレーキ側張力が増加するが、センサ張力は遅れて増加する(期間TD)。同様に、液圧が増加、減少させられると、それに応じて、ブレーキ側張力が減少、増加させられ、それに遅れてセンサ張力が減少、増加させられる(期間TF、TH)。
最後に、電動モータ70の作動によりケーブル張力が緩められる場合には、ブレーキ側張力は、センサ張力に遅れることなく減少する(期間TZ)。図7(b)の実線で表す変化の次に、図6(b)の一点鎖線で表す変化が起きるからである。
図9には、サービスブレーキの作用状態(ブレーキシリンダ38に液圧が加えられている状態)において、電動モータ70の作動によりパーキングブレーキが作動させられ、その後、ブレーキシリンダ38の液圧が減少させられる場合の張力変化を示す。
ブレーキシリンダ38の液圧の減少に伴ってブレーキ側張力が増加するが、張力センサ130による検出値は遅れて増加する(期間TJ)。図示は省略するが、その後、ブレーキシリンダ38の液圧を増加、減少させれば、図8の期間TF〜THと同様に変化する。
【0023】
本実施例においては、図8の期間TD、TF,TH、図9の期間TJにおいて摩擦特性が取得される。
摩擦特性は、車両が停止状態にあり、かつ、パーキングブレーキ18,20が作用状態にある場合に、取得可能であるが、頻繁に取得する必要性は低い。そこで、本実施例においては、パーキングブレーキ18,20の作動回数が予め定められた設定回数に達する毎、あるいは、前回摩擦特性が取得されてから予め定められた設定時間が経過した後のパーキングブレーキ18,20(車両が停止状態にある場合)が最初に作動させられた場合等、摩擦特性を取得する必要がある場合(摩擦特性取得条件が満たされた場合)に行われるようにした。また、摩擦特性を取得する場合には、ブレーキシリンダ38の液圧が、予め定められた設定勾配で変化させられる。車両が停止状態にあり、パーキングブレーキ18,20が作用状態にあり、かつ、ブレーキシリンダ38の液圧が、サービスブレーキ操作部材174の操作状態の変化に伴って変化させられる場合に、取得されるようにすることもできるが、ブレーキシリンダ38の液圧は、摩擦特性を取得するために適した勾配で変化させられるようにすることが望ましいからである。さらに、摩擦特性が新たに取得されると、前回の摩擦特性が消されて、新たに取得された摩擦特性が採用される。
【0024】
図16のフローチャートは、摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムを表す。摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
S21,22において、増加要求、減少要求があるか否かが判定される。増加要求、減少要求(増加指令、減少指令)は、後述するように、電動パーキングブレーキECU200から供給される。サービスブレーキECU220において、電動パーキングブレーキECU200から増加指令(増圧指令)、減少指令(減圧指令)が供給されると、マスタ遮断弁176が閉状態とされて、ポンプ装置150,電磁制御弁152,154がそれに応じて制御され、ブレーキシリンダ38の液圧が予め定められた設定勾配で増加・減少させられる。
増加要求がある場合(増加指令が受信された場合)には、S23において、目標液圧が設定量だけ増加させられ、液圧センサ232によって検出された実際のブレーキシリンダ38の液圧が目標液圧に近づくように、電磁制御弁152が制御される。S24において、目標液圧が上限液圧Prefupに達したか否かが判定され、上限液圧Prefupに達すると、増加制御が終了させられ、S25において、電磁制御弁152が閉状態とされる。上限液圧Prefupは、その都度決まるようにしても(電動パーキングブレーキECU200から供給されるようにしても)、予め決められた値としてもよい。
減少要求がある場合(減少指令が受信された場合)には、S26,27において、目標液圧が設定量だけ減少させられ、実際の液圧が目標液圧に近づくように、電磁制御弁154が制御される。そして、目標液圧が下限液圧値Prefdownに達すると、減圧制御が終了させられ、S28において、電磁制御弁154が閉状態とされる。
増圧要求も減圧要求もない場合には、摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムにおいては、その液圧が保持される。
【0025】
摩擦特性の一態様として、インナケーブル64とアウタチューブ68との間の摩擦力が取得される場合について説明する。
本実施例においては、図8の期間TDあるいは図9の期間TJにおいて取得される。
図8の期間TDは、電動モータ70の作動によりパーキングブレーキ18,20が作動させられた後、ブレーキシリンダ38の液圧が増加させられた後、減少させられる期間であり、液圧の減少に遅れてセンサ張力が増加させられる。ブレーキシリンダ38の液圧の減少開始から、センサ張力が変化するまでの間の液圧の減少量が取得され、その減少量に基づいて摩擦力が取得される。液圧の減少量が大きい場合は小さい場合より、摩擦力が大きいことがわかる。本実施例においては、センサ張力の変化量が設定値以上になった場合に、センサ張力が変化したとされる。なお、図8から明らかなように、期間TCにおいて、ブレーキ側張力の方がセンサ張力より小さいため、センサ張力が変化する場合の液圧減少量から決まるブレーキ側張力の変化量は、摩擦力の2倍に対応する量となる。したがって、検出された液圧減少量(減圧量)を2で割った値に基づいて摩擦力が取得されることになる。
また、図9の期間TJは、サービスブレーキとパーキングブレーキとの両方が加えられている場合において、ブレーキシリンダ38の液圧が減少させられる期間である。液圧の減少に伴って、ブレーキ側張力が増加させられるが、センサ張力は遅れて増加する。そのため、ブレーキシリンダ液圧の減少開始からセンサ張力が増加するまでの間の、液圧の減少量に応じて摩擦力が取得される。
なお、図8の期間TFにおいて取得することもできる。期間TFは、パーキングブレーキ18,20が作動させられた後、ブレーキシリンダ38の液圧が、増加、減少させられた後、再度、増加させられる期間である。液圧の増加に伴ってブレーキ側張力が減少させられ、その減少に遅れて、センサ張力が減少させられる。ブレーキシリンダ38の液圧の増加開始から、センサ張力が変化するまでの間の液圧の増加量(増圧量)に基づいて摩擦力が取得される。増加量が大きい場合は小さい場合より、摩擦力が大きいとされる。
【0026】
図17のフローチャートは、摩擦力取得プログラムを表す。摩擦力取得プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
S49において、摩擦特性取得条件が満たされた(車両の停止状態において、パーキングブレーキ18,20の作用状態にあり、かつ、前述の条件が満たされた)か否かが判定される。摩擦特性取得条件が満たされた場合には、S50において、ブレーキシリンダ液圧が設定値以上であるか否かが判定される。サービスブレーキが作用しているか否かが判定されるのである。S50の判定がNOであり、サービスブレーキが非作用状態にある場合(期間TA)には、S51において、サービスブレーキの作用力を増加させる指令(以下、ブレーキシリンダ液圧がブレーキ作用力に対応するため、増圧指令と称する。減圧指令についても同様とする)が出力される。その後、S52において、摩擦力取得条件が満たされるか(期間TCにあるか)否かが判定される。サービスブレーキが作用している場合(期間TI)には、既に摩擦力取得条件が満たされているため、増圧指令が出力されることがない。
期間TCあるいは期間TIにある場合には、サービスブレーキECU220に減圧指令(サービスブレーキの作用力を減少させる減少指令)が出力される。S54において、その時点の液圧(サービスブレーキ力)P0が取得されて、記憶される。そして、S55において、張力センサ130による検出値が読み込まれ、S56において、センサ張力が設定値以上増加したか否かが判定され、S57において、液圧が減少させられてから(S57が最初に実行されてから)設定時間が経過したか否かが判定される。以下、S55〜57が繰り返し実行され、設定時間が経過する以前に、センサ張力が設定値以上増加した場合には、S58において、その時点の液圧Pcが取得されて、S59において、液圧の変化量|Pc−P0|が求められて、2で割った値に応じて、摩擦力が取得される。
それに対して、設定時間が経過するまでの間にセンサ張力が変化しない場合には、ケーブルの異常であるとされる。例えば、ケーブルが切断されていること、劣化が進み、良好に伝達不能な状態にあること等がわかる。
【0027】
次に、摩擦特性としてのヒステリシス特性(ヒステリシス幅)が取得される場合について説明する。
本実施例においては、図8の期間TD、TFにおいて、液圧が同じ場合の張力センサ130の検出値が取得され、それら検出値の差の絶対値がヒステリシス幅として取得される。
図18のフローチャートは、ヒステリシス幅取得プログラムを表す。ヒステリシス幅取得プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
S100において、上記S49における場合と同様に、摩擦特性取得条件が満たされたか否かが判定され、満たされた場合には、S101において、液圧増加指令が出力される。そして、S102において、期間TCにあるか否かが判定されるのであり、ヒステリシス幅取得条件が満たされたか否かが判定される。
ヒステリシス幅取得条件が満たされた場合には、S103において、ブレーキシリンダ38の液圧が設定液圧以下であるか否かが判定される。期間TCにあるか期間TEにあるかが判定されるのである。液圧が設定液圧より大きい場合には、期間TCにあることがわかる。この場合にはS104において減圧指令が出力される。それに対して、液圧が設定液圧以下である場合には、期間TEにあることがわかるため、S105において増圧指令が出力される。
期間TCにある場合には、減圧指令が出力された後、S106〜108において、ブレーキシリンダ38の液圧Pが読み込まれ、設定液圧Psに達したか否かが判定される。設定液圧Psに達すると、その場合のセンサ張力Sdownが読み込まれ、記憶される。液圧が減少してブレーキ側張力が増加する場合の、センサ張力Sdownが取得されるのである。S109において、センサ張力Sdown、Supが記憶されているか否かが判定される。この場合には、両方の値は記憶されていないため、判定がNOとなる。S110において、ブレーキシリンダ液圧が一定になるのが待たれる。減圧指令に応じてブレーキシリンダ液圧が減少させられるが、減圧制御は、実液圧が目標液圧Prefdownに達するまで続けられるからである。この場合には、期間TEに達すると、S110の判定がYESとなり、S103が実行される。
期間TEにあるため、S103の判定がYESとなり、増圧指令が出力された後、S111〜113において、液圧が読み込まれ、設定液圧Psに達したか否かが判定され、設定液圧Psに達した場合には、センサ張力Supが読み込まれて、記憶される。
この場合には、センサ張力Sdown、Supが記憶されているため、S109の判定がYESとなり、S114において、液圧Psである場合のヒステリシス幅がこれらの差として取得される。
このように、液圧が増加させられる場合と減圧させられる場合とのそれぞれにおいて、液圧が、設定液圧Fsである場合の張力センサ130による検出値の差がヒステリシス幅として取得されるのであるが、設定液圧Fsを異なる値とすれば、複数の液圧(ブレーキ側張力)についてのヒステリシス幅を取得することができる。
【0028】
なお、ヒステリシス幅は、図8の期間TF、THにおいて取得することもできる。S101において、パターンに従って液圧が変化させられるように指令(増圧指令、減少指令)が出力される。期間TEにおいては、ブレーキシリンダ液圧が設定値以下であるため、最初にS105,111〜113が実行されることになり、最初にSupが記憶されることになる。
【0029】
次に、ケーブルの劣化の程度が取得される場合について説明する。
本実施例においては、図8の期間TEから液圧が増加させられた場合(期間TF)において取得される。図10に示すように、ブレーキシリンダ38の液圧が予め定められた設定勾配で増加させられた場合に、その液圧の増加開始時から、張力センサ130の検出値が変化するまでに要する時間が取得され、時間がしきい値(標準時間)より長い場合には、ケーブルが劣化していると判定される。また、設定時間より短い場合もあり得るが、それは、ケーブルのバラツキ等により、摩擦力が非常に小さい場合であると想定される。
図19のフローチャートは、ケーブル劣化検出プログラムを表す。ケーブル劣化検出プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
S150において、摩擦特性取得条件が満たされるか否かが判定され、満たされる場合には、S151において、予め決められたパターンで液圧が変化するように制御指令が出力される。図8に示すようにブレーキシリンダ液圧が増加・減少させられるように、制御指令が出力されるのである。そして、S152において、期間TEにあるか否か、すなわち、劣化取得条件を満たすか否かが判定される。劣化取得条件が満たされる場合には、S153において、増圧指令が出力され、S154において、タイマがスタートされる。時間のカウントが開始されるのである。S155において、センサ張力が読み込まれ、S156において、センサ張力が変化したか否かが判定される。センサ張力が設定値以上変化したか否かが判定されるのである。設定値以上変化した場合には、S157において、タイマによる計測値が読み込まれ、S158において、標準時間T0と比較される。
増圧開始から張力センサ130の検出値が変化するまでの時間が標準時間T0より設定値α以上長い場合には、S159において、ケーブル60,62が劣化していると判定される。また、標準時間より設定値β以上短い場合には、S161において、ケーブル60,62の摩擦抵抗が非常に小さいと判定される。それ以外の場合には、S162において、ケーブル60,62は標準的な状態であるとされる。
このように、ケーブルの劣化の程度が取得されると、それに応じて、摩擦特性を取得する際の液圧の変化勾配を決定することができる。図16の摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムにおいては液圧の変化勾配は予め定められた設定勾配とされたが、ケーブル60,62の劣化の程度で決まる勾配とすることができるのである。変化勾配は、図11に示すように、ケーブル60,62の劣化が進んでいる場合は標準的な場合より大きくする。それによって、摩擦特性に要する時間が長くなることを回避することができる。また、ケーブル60,62が標準のものより摩擦力が小さいものである場合に、液圧勾配の絶対値が小さくされれば、液圧の発生に起因する音を小さくすることができ、摩擦特性取得時の音を小さくすることができる。この場合は、非常に稀である。
【0030】
なお、上記実施例においては、液圧が増加させられる場合において、増加開始からセンサ張力が減少するまでに要する時間に基づいて劣化の程度が判定されるようにされていたが、液圧が減少させられる場合において、減少開始からセンサ張力が増加するまでに要する時間に基づいて判定されるようにすることもできる。例えば、図8の期間TCから減圧させられる場合(期間TD)、図9の期間TIから減圧させられる場合(期間TJ)において実行されるようにすることができるのである。
また、ケーブル60,62の劣化の程度は、張力センサ130による検出値の変化勾配に基づいて判定することもできる。液圧が設定勾配で変化させられる場合に、張力センサ130の検出値の変化勾配の絶対値が小さい場合は大きい場合より、劣化の程度がより進んだ状態にあるとすることができる。
さらに、変化遅れ時間と、変化勾配との両方に基づいて判定することもできる。
【0031】
次に、左右のドラムブレーキ18,20の各々において、個別にケーブル60,62の摩擦特性を取得する場合について説明する。
本実施例においては、左右のドラムブレーキ18,20において、それぞれ、図8の期間TEから、別個に、液圧が増加させられた場合(期間TF)におけるセンサ張力の変化に基づいて、それぞれの摩擦力が取得される。
図12に示すように、右後輪16のドラムブレーキ20において、ブレーキシリンダ38の液圧が増加させられると、それに応じて、ケーブル62のインナケーブル64のブレーキ側張力が減少する。このブレーキ側張力の減少が、電動モータ側まで伝達されると、センサ張力が減少し、イコライザ124が矢印1の向きに回動し、図13に示すように、張力センサ130による検出値が減少する(緩め1)。また、そのイコライザー124の回動に伴って、ケーブル60のセンサ張力が減少する。そのセンサ張力の減少がブレーキ側まで伝達されると、ブレーキ側張力が減少する。
同様に、左後輪14のドラムブレーキ18において、ブレーキシリンダ38の液圧が増加させられると、ケーブル60のブレーキ側張力が減少する。その変化がケーブル60のモータ側まで伝達されると、イコライザ124が矢印2の向きに回動し、張力センサ130による検出値が減少する(緩め2)。それによって、ケーブル62のセンサ張力が減少し、その減少がブレーキ側まで伝達されると、ケーブル62のインナケーブル64のブレーキ側張力が減少する。
このように、右側のブレーキ20,左側のブレーキ18の各々において、ブレーキシリンダ38の液圧を別個に変化させれば、ケーブル62,60の張力変化を別個に検出することができ、摩擦特性を別個に検出することができる。
【0032】
本実施例においては、上述のように、図8の期間TEからブレーキシリンダ液圧が変化させられる場合において、摩擦特性が取得される(図13参照)が、図14に、図8の期間TAからブレーキシリンダ38の液圧を増加させた場合の、張力変化の状態を示す。期間TLにおいては、液圧の増加に応じてセンサ張力が遅れることなく減少させられるため、この間において、摩擦力を取得することができない(緩め1において、ケーブル62の摩擦力を取得することができない)。このように、図8の期間TAから開始されるようにすると、ケーブル60,62の一方の摩擦力を検出することはできるが、他方の摩擦力を検出することができず望ましくない。そこで、本実施例においては、図8の期間TEから開始されるようにした。
【0033】
図20のフローチャートは左右個別摩擦特性取得プログラムを表す。左右個別摩擦特性取得プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
S200〜202において、上記S150〜152における場合と同様に、摩擦特性取得条件が満たされるか否かが判定され、満たされる場合には、ドラムブレーキ18,20の各々に対して、ブレーキシリンダ38の液圧が予め定められたパターンで変化するように、制御指令が出力される。そして、S202において、それぞれ、期間TEにあるか否かが判定され、左右個別摩擦特性取得条件が満たされたか否かが判定される。
左右個別摩擦特性取得条件が満たされた場合には、S203において、右側(ドラムブレーキ20)が選択され、S204において、増圧指令が出力される。そして、S205において、液圧FR0が読み込まれて、記憶される。S206〜208において、設定時間内に張力センサ130による検出値が設定値以上変化したか否かが判定される。設定値以上変化した場合には、S209において、その時点の液圧PRCが読み込まれ、S210において、増圧量が取得され、増圧量に基づいて摩擦力が取得される。
それに対して、設定時間が経過するまでの間に張力センサ130の検出値が変化しない場合には、S211において、ケーブル62が異常であると判定される。
【0034】
次に、S212において、左側(ドラムブレーキ18)が選択されているか否かが判定される。この場合には、右側のドラムブレーキ20が選択されているため、判定がNOとなり、S213,214において、液圧増加制御が終了し(図13の期間TPが経過し)、保持時間(図13の期間TQ)が経過するのが待たれる。
保持時間が経過した場合には、S215において、左側(ブレーキ18)が選択され、その後、S204〜211が同様に実行される。左側のドラムブレーキ18に対して増圧指令が出力され、張力センサ130の検出値が読み込まれ、張力センサ130の検出値が変化するまでの増圧量が取得される。そして、増圧量に基づいてケーブル60の摩擦力が取得される(あるいは、ケーブル60の異常が取得される)。この場合には、左側のドラムブレーキ18が選択されているため、S212の判定がYESとなり、本ルーチンが終了する。
【0035】
このように、ケーブル60,62とで、摩擦特性が異なる場合に、本ルーチンにより、1つの張力センサ130で、それぞれ、摩擦特性を取得することが可能となり、有効である。また、1つの張力センサ130で、ケーブル60,62の異常を別個に検出することが可能となるという利点もある。
また、保持時間TQを設けることは不可欠ではないが、保持時間TQを設けた方が、左右のケーブル60,62の摩擦特性をより正確に取得することができる。保持時間TQを設けない場合には、例えば、ブレーキ20,18においてブレーキシリンダ38の液圧変化勾配を異ならせることができる。
なお、上記実施例においては、液圧が増加させられる場合のセンサ張力の変化に基づいて摩擦力が取得されるようにされていたが、液圧が減少させられる場合のセンサ張力の変化に基づいて取得されるようにすることもできる。例えば、図8の期間TC、図9の期間TIから左右のドラムブレーキ18,20の各々において、ブレーキシリンダ38の液圧を減少させた場合の張力センサ130による検出値に基づいて取得することができるのである。
また、ブレーキ18,20の各々において、個別にブレーキシリンダ液圧を増加、減少させることにより、個別にヒステリシス幅を取得したり、個別にケーブルの劣化の程度を取得したりすることもできる。
【0036】
本実施例においては、取得された摩擦特性としての摩擦力に基づいて、目標張力が補正される。そして、張力センサ130による検出値が補正された目標張力に近づくように電動モータ70が制御されるのである。
図21のフローチャートは、目標張力演算ルーチンを表す。このルーチンは、図15のフローチャートで表されるプログラムのS3の実行に対応する。
S252において、目標張力Frefzが車両に加えられる移動力に基づいて演算により取得され、S253において、摩擦特性(摩擦力)が読み込まれ、S254において、S252において演算された目標張力Frefzと摩擦特性とに基づいて補正値ΔFが取得される。そして、S255において、演算値Frefzに補正値ΔFを加えることにより真の目標張力(最終的な目標張力)Frefが取得される。補正値は正の値である場合と負の値である場合とがある。
このように、摩擦特性に基づいて最終的な目標張力が取得されると、図15のフローチャートで表される電動パーキングブレーキ制御プログラムのS4〜6において、張力センサ130による検出値が最終的な目標張力に近づくように、制御される。その結果、ブレーキ側張力を所望の大きさとすることができる。
なお、目標張力を補正するのではなく、センサ張力を補正することも可能である。いずれにしても、ブレーキ側張力が所望の大きさとなるように制御することが可能となる。また、補正値ΔFは演算値Frefzで決まるのではなく、一定の値とすることもできる。
【0037】
以上のように、本実施例においては、ケーブル60,62の実際の摩擦特性を取得することができる。摩擦特性に基づけば、ケーブル60,62のブレーキ側張力を取得することができ、実際の張力が目標張力に近づくように制御することができる。
それに対して、特許文献1には、電動パーキングブレーキ機構のケーブルの摩擦特性を取得することを示唆する記載も、インナケーブル64のブレーキ側張力を取得することを示唆する記載もない。
一方、特許文献1に記載の電動パーキングブレーキ機構において、ブレーキ力の不足が検出された場合に目標張力が大きくされることと、本実施例において、目標張力をケーブルの摩擦特性に基づいて大きくすることとは、結果的に、摩擦特性に起因する制動力不足が解消される点で同じである。しかし、ケーブル60,62の摩擦特性に基づく場合には、目標張力が大きくなる場合も小さくなる場合もある。したがって、摩擦特性に基づけば、ケーブル60,62のブレーキ側張力を正確に取得することができ、制動力が、目標値に対して、不足したり、過大になったりすることを良好に回避することができ、電動モータ70に供給電流が過大になったり、供給電流が不足したりすることを回避することができる。
【0038】
本実施例においては、電動パーキングブレーキECU200の摩擦特性取得プログラム(図17のフローチャートで表される摩擦力取得プログラム、図18のフローチャートで表されるヒステリシス幅取得プログラム、図19のフローチャートのケーブル劣化検出プログラム、図20のフローチャートの左右個別摩擦特性取得プログラム)を記憶する部分、実行する部分、サービスブレーキECU220の摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により摩擦特性取得装置が構成される。
そのうちの、電動パーキングブレーキECU200の摩擦力取得プログラムを記憶する部分、実行する部分等により摩擦力取得部が構成され、ヒステリシス幅取得プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりヒステリシス幅取得部が構成され、ケーブル劣化検出プログラムを記憶する部分、実行する部分等により劣化状態取得部が構成され、左右個別摩擦特性取得プログラムを記憶する部分、実行する部分等により個別特性取得部が構成される。また、電動パーキングブレーキECU200の図17のフローチャートのS53,図18のフローチャートのS104,105,図19のフローチャートのS153,図20のフローチャートのS204を記憶する部分、実行する部分およびサービスブレーキECU220の摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により第2押付力制御部が構成される。第2押付力制御部は、設定勾配変化部でもある。さらに、電動パーキングブレーキECU200の図15のフローチャートで表される電動パーキングブレーキ制御プログラムを記憶する部分、実行する部分(図21のフローチャートで表される目標張力演算ルーチンを記憶する部分、実行する部分を含む)等によりブレーキ制御装置が構成される。
【0039】
なお、ブレーキシリンダ38の液圧とブレーキ側張力の大きさとの関係が一義的に決まれば、定常的な状態における液圧センサ230による検出値と張力センサ130による検出値とに基づいて、インナケーブルとアウタチューブとの間の、摩擦抵抗に応じた張力差を取得することができる。
また、第1押付装置138の構造は、上記実施例におけるそれに限らない。例えば、運動変換機構72は、電動モータ70の出力軸に設けられたギヤに、ケーブル60,62を直接巻き付けた構造を成したものとすることもできる。ケーブル60,62は、ギヤの接線方向に延び、電動モータ70の回転により直線的に移動させられる(引っ張られたり、緩められたりする)ことになる。
さらに、運動変換機構72は、ウォームとウォームホイールとを含むものとすることができる。この場合には、クラッチ82は不要となり、ウォームとウォームホイールとによって阻止機構が構成されることになる。
また、電動モータ70は超音波モータとすることもでき、その場合には、超音波モータが阻止機構を有するものとなる。
さらに、張力センサ130の位置は、上記実施例におけるそれに限らず、イコライザ124より電動モータ側に設けることもできる。
また、上記実施例においては、第2押付装置180が液圧を利用するものであったが、電動モータにより摩擦部材が押し付けられる機構を有する装置とすることもできる。
さらに、上記実施例においては、ドラムブレーキ18,20に適用されたがディスクブレーキに適用することもできる。また、ドラムブレーキ18,20の構造も問わない等本発明は、上述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ装置全体を示す図である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれる電動モータおよび運動変換機構を表す一部断面図である。
【図3】上記運動変換機構のAA断面図(クラッチの断面図)である。
【図4】上記ブレーキ装置に含まれるドラムブレーキの正面図である。
【図5】(a)上記ドラムブレーキの第1押付装置を概念的に示す図である。(b)ケーブルの張力変化の状態を示す図である。
【図6】(a)電動モータの作動に伴う張力変化状態を示す図である。(b)電動モータが作動させられる場合のヒステリシス特性を示す図である。
【図7】(a)液圧変化に伴う張力変化状態を示す図である。(b)液圧が変化させられた場合のヒステリシス特性を示す図である。
【図8】電動モータの作動、液圧変化に伴う張力の変化状態を示す図である。
【図9】図8の場合とは異なる液圧変化に伴う張力変化状態を示す図である。
【図10】ケーブルの劣化の程度の張力変化に及ぼす影響を示す図である。
【図11】ケーブルの劣化の程度と液圧の変化勾配との関係を示す図である。
【図12】左右のブレーキのブレーキシリンダの液圧を別個に変化させた場合のイコライザーの回動の状態を示す図である。
【図13】左右のブレーキのブレーキシリンダの液圧を別個に変化させた場合の、張力の変化状態を示す図である。
【図14】左右のブレーキの液圧を別個に変化させた場合の、図13の場合とは別の張力の変化状態を示す図である。
【図15】上記ブレーキ装置の電動パーキングブレーキECUの記憶部に記憶された電動パーキングブレーキ制御プログラムを表すフローチャートである。
【図16】上記ブレーキ装置のサービスブレーキECUの記憶部に記憶された摩擦特性取得時サービスブレーキ制御プログラムを表すフローチャートである。
【図17】上記電動パーキングブレーキECUの記憶部に記憶された摩擦力取得プログラムを表すフローチャートである。
【図18】上記記憶部に記憶されたヒステリシス取得プログラムを表すフローチャートである。
【図19】上記記憶部に記憶されたケーブル劣化検出プログラムを表すフローチャートである。
【図20】上記記憶部に記憶された左右個別摩擦力取得プログラムを表すフローチャートである。
【図21】上記記憶部に記憶された目標張力演算プログラムを表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
18,20:ドラムブレーキ 32:摩擦面 34:ドラム 36:アンカ部材 40:ブレーキシュー 52:ブレーキレバー 60,62:ケーブル 64:インナケーブル 68:アウタチューブ 70:電動モータ 72:クラッチ付き運動変換機構 124:イコライザ 138:第1押付装置 142:ブレーキ液圧制御アクチュエータ 150:ポンプ装置 152,154:電磁制御弁 180:第2押付装置 200:電動パーキングブレーキECU 210:パーキングブレーキスイッチ 220:サービスブレーキECU 232:液圧センサ 234:前後加速度センサ 240:CAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられ、摩擦部材を、前記車輪と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより、前記車輪の回転を抑制するブレーキを備えたブレーキ装置であって、
(a)電動モータを駆動源とする第1駆動装置と、(b)その第1駆動装置の出力軸に一端部において連結され、他端部において前記ブレーキのブレーキ作動部材に連結されたインナケーブルと、そのインナケーブルを案内するアウタチューブとを有するブレーキケーブルとを含み、前記第1駆動装置により前記インナケーブルに加えられた張力に基づく押付力である第1押付力で、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第1押付装置と、
前記インナケーブルの前記アウタチューブから前記第1駆動装置側へ突出した部分の張力を検出する張力センサと、
第2駆動装置を含み、その第2駆動装置の駆動力に基づく押付力である第2押付力で、前記ブレーキケーブルを介することなく、前記摩擦部材を前記ブレーキ回転体に押し付けて、前記ブレーキを作動させる第2押付装置と、
前記インナケーブルから加えられる力に起因する前記電動モータの作動を阻止する阻止機構と、
前記第1押付装置の第1押付力により前記摩擦部材が前記ブレーキ回転体に押し付けられており、かつ、前記電動モータへ電流が供給されない状態における、前記第2押付力の変化状態と、前記張力センサによる検出値の変化状態とに基づいて、前記インナーケーブルと前記アウタチューブとの間の摩擦特性を取得する摩擦特性取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力の変化が開始されてから、前記張力センサによる検出値が予め定められた設定値以上変化するまでの間の、前記第2押付力の変化量に基づいて、前記インナケーブルと前記アウタチューブとの間の摩擦力を取得する摩擦力取得部を含む請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記摩擦特性取得装置が、前記第2駆動装置を制御して、前記第2押付力の時間に対する変化勾配を一定とする第2押付力制御部を含む請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力が増加させられる場合と、減少させられる場合とのそれぞれにおいて、前記第2押付力が同じ場合における、前記張力センサによる検出値の差に基づいて、前記第1押付装置におけるヒステリシス特性を摩擦特性として取得するヒステリシス特性取得部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記摩擦特性取得装置が、前記第2押付力を予め定められた設定勾配で変化させる設定勾配変化部と、その設定勾配変化部によって、前記第2押付力が前記設定勾配で変化させられた場合における、前記張力センサによる検出値の変化状態に基づいて、前記インナケーブルの劣化の程度を取得する劣化状態取得部とを含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記第1押付装置および第2押付装置が、前記車両の2つの車輪のブレーキにそれぞれ設けられ、それら2つの第1押付装置のインナケーブルが互いにイコライザーを介して連結されるとともに、前記張力センサが、前記2つのインナケーブルに対して共通に設けられ、前記摩擦特性取得装置が、(a)それら2つの車輪のブレーキの第2押付装置をそれぞれ制御する個別制御部と、(b)その個別制御部によって、前記2つの第2押付装置のうちの一方が作動させられないで他方が作動させられている状態における前記張力センサによる検出値の変化状態と、前記他方が作動させられないで前記一方が作動させられている状態における前記張力センサによる検出値の変化状態とに基づいて、前記2つの車輪のブレーキの各々について、前記インナケーブルと前記アウタチューブとの間の摩擦特性をそれぞれ取得する個別特性取得部とを含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記摩擦特性取得装置によって取得された前記摩擦特性と前記張力センサによる検出値とに基づいて、前記電動モータを制御することにより、前記第1押付力を制御するモータ制御装置を含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−213691(P2008−213691A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55052(P2007−55052)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】