説明

プラスチック予備成形品を容器に変形させる装置およびその方法

【課題】ブロー成形機の洗浄を単純化し、自動化されたブロー金型の洗浄方法を提供する。
【解決手段】内部でプラスチック予備成形品を容器に変形させることが可能であるキャビティを形成する少なくとも1つのブロー金型2と、前記プラスチック予備成形品に媒体を加えて、前記キャビティを区切る前記ブロー金型2の内壁8に対して前記プラスチック予備成形品を伸張させる加圧デバイス(ブローノズル)と、前記プラスチック予備成形品をその長手方向に延伸させる延伸ロッド12と、前記ブロー金型2の領域を洗浄する洗浄デバイスとを備え、該洗浄デバイスは前記ブロー金型2を洗浄する洗浄媒体の吐出口14を少なくとも1つ備え、該吐出口14は少なくとも一時的にブロー金型中に配置されて、金型を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック予備成形品をプラスチック容器に変形させる装置に関し、特に、洗浄システムを備えるブロー成形機に関する。このようなブロー成形機は、従来技術にて長く知られている。ブロー成形機は通常、その内部でプラスチック予備成形品が加圧により伸張されてプラスチック容器が形成されるブロー金型を備える。このプラスチック容器の延伸ブロー成形の最中には、いわゆるオリゴマー、すなわち、短鎖分子または異物が、プラスチック予備成形品のプラスチックからブロー金型に排出される。このため、ブロー金型の表面がくすんでしまい、極端な場合には、汚れにより表面が粗くなる。このように、くすんだブロー金型によりボトルの外観が曇ってしまうか、あるいは、その粗度のために金型表面の冷却性が低下するという問題が生じ得るため、ボトルの品質に悪影響を与えることとなる。
【背景技術】
【0002】
これらの問題はともに容認できるものではないため、ブロー金型を洗浄しなければならず、通常は、定期的に研磨されている。高温の金型ではより速く汚染される。高温の状態の金型の洗浄は火傷の危険性による安全性リスクを負わなければ実施できないため、プロセス的な理由(例えばホットフィルプロセスの場合)により高い金型温度を伴う作業の場合に、オリゴマーによる特に高度の汚染が生じる。ブロー成形機および充填ブロックを備えるいわゆるホットフィル設備の場合、特に、金型の洗浄は度々きわめて悪い状態となる。ブロー金型の洗浄についての他の問題点は、いわゆる低温金型(例えば100℃未満)の場合であっても、衛生面である。特に影響を受け易い製品の瓶詰めの場合、充填領域における、ボトルの外壁での病原菌または胞子のいかなる拡散もまた、可能な限り防ぐことが重要である。ブロー金型の定期的で良好な洗浄が衛生面の保障を補助することとなる。そのため、洗浄は常に病原菌および胞子の低減をも意味する。
【0003】
容器製造装置および成形体の製造方法が、特許文献1から公知である。この場合、放射線デバイスがブロー成形機に、または、ブロー成形機上に配置されており、放射線がブロー成形機の少なくとも一領域に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/125216号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このようなブロー成形機の洗浄を単純化することを目的とする。本発明はまた、自動化されたブロー金型の洗浄方法を提供することを目的とする。これらの課題は、本発明の独立請求項の構成によって達成されている。好ましい実施形態およびさらなる変更例の記載により、従属請求項の構成の実施例を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プラスチック予備成形品を容器に変形させる本発明に係る装置は、内部でプラスチック予備成形品を容器に変形させることが可能であるキャビティを形成する少なくとも1つのブロー金型を備える。上記装置はまた、キャビティを区切っているブロー金型の内壁に対してプラスチック予備成形品を伸張させるためにプラスチック予備成形品に媒体を加えるための加圧デバイスを備える。また、プラスチック予備成形品をその長手方向に延伸させるための延伸ロッドが設けられていることが好ましく、上記装置は、ブロー金型の領域を洗浄するための洗浄デバイスを備えていることとしてもよい。
【0007】
本発明によれば、洗浄デバイスは、ブロー金型を洗浄するための洗浄媒体用の少なくとも1つの吐出口を備えており、この吐出口は、少なくとも一時的にブロー金型中に配置されている。
【0008】
これにより、装置の操作を洗浄目的のために比較的長い時間停止させる必要性がなく、特に進行中の操作の最中のブロー金型の洗浄が可能である。よって、ブロー金型に洗浄媒体を定期的に適用することが可能である。さらに、この吐出口の配置により、閉じた状態でのブロー金型の洗浄が可能となる。
【0009】
そのため、ブロー金型はまた、閉じた状態から開いた状態へ移行することが可能な構成であることとしてもよい。
【0010】
延伸ロッドは、プラスチック予備成形品またはそのスレッドと相対的に、プラスチック予備成形品の長手方向に移動可能であることとしてもよい。
【0011】
加圧デバイスは、気体状の媒体および特に空気をその口部分を介して容器に適用するブローノズルであることとしてもよい。
【0012】
上述の課題を解決するために、自動洗浄プロセスの使用を提供することが提示されている。よって、洗浄デバイスは、容器の洗浄が自動的に実施可能なことが好ましい。洗浄デバイスを既存の機械にレトロフィットすることも可能である。さらに、上記手法により、ブロー金型または金型キャリア全体を殺菌の最中に閉じたままに維持しておくことが可能であり、よって、殺菌媒体が、グリースが塗られたカムベアリングを含むブロー成形機全体に塗布されることとなるリスクが伴わない。そのため、腐食損傷を防ぐことが可能である。
【0013】
上記装置は、殺菌媒体用のリザーバおよび回転ディストリビュータを有することとしてもよい。周期的に充填可能である専用の殺菌媒体用のリザーバを、ブローステーションの各々に設けることとしてもよい。
【0014】
好適な洗浄剤は、飲料瓶詰産業における機械および設備機器の外側および内側の洗浄(CIP洗浄)に用いられることができる物質である。このような洗浄剤の例は、水酸化ナトリウム(NaOH)、リン酸ベースの酸性洗浄剤、硝酸ベースの酸性洗浄剤、酢酸ベースの殺菌剤、オゾン、過酸化水素、クロルアルカリ洗浄剤、熱水または水蒸気が挙げられる。加えて、二酸化塩素を洗浄剤として用いられることも可能である。
【0015】
好ましい一実施形態において、吐出口は、洗浄媒体用のノズルとして設計されている。内壁の広い面積、または、内壁全体に噴霧可能、または、いくつかの他の方法で濡らすことが可能なように、複数のノズルが設けられていることとしてもよい。
【0016】
さらなる好ましい実施形態において、ブロー金型は、回転して互いに離間することが可能であると共に閉じた状態でその内部にキャビティを形成する2つの側部部品を有する。操作の最中、予備成形品は、移動して離間した状態の半割り金型中のブロー金型に置かれ、次いで、半割り金型が閉じられて、最終的に、プラスチック予備成形品が伸張されて容器が形成される。
【0017】
さらなる好ましい実施形態において、ブロー金型は底部を有する。この底部は、側部部品とは個別であり、ブロー金型を下向き方向に閉じることとしてもよい。
【0018】
好ましい一実施形態において、少なくとも1つの吐出口は、延伸ロッド、ブロー金型の底部および/または加圧デバイスに配置されている。これにより、洗浄媒体は、延伸ロッド、ブロー金型の底部、あるいは、例えばブローノズルなどの加圧デバイスを介して導入可能とされる。
【0019】
しかしながら、複数の吐出口もしくはノズルが底金型に配置されていること、または、複数の吐出口が加圧デバイスの延伸ロッドにも配置されていることとしてもよい。吐出口はまた、底部および延伸ロッドの両方、または、延伸ロッドおよび加圧デバイスの両方、または、底部および加圧デバイスの両方に設けられていることとしてもよい。
【0020】
さらなる好ましい実施形態において、延伸ロッドは、容器の底に向いている先端部分を有していると共に、吐出口は、この先端部分に配置されている。この先端部分は、延伸プロセスの最中にプラスチック予備成形品の底まで突出する延伸ロッドの部分である。
【0021】
さらなる好ましい実施形態において、延伸ロッドは、分布されている、特に周方向において均等に分布されている複数の吐出口を有する。これらの吐出口は、媒体が傾斜によりこれらの吐出口から出てくるよう、角度をもって配向されていることとしてもよい。このように、周方向におけるブロー金型の壁全体に洗浄媒体を使用することが可能である。延伸ロッドを、洗浄モードでは回転可能であるよう構成することとしてもよい。
【0022】
さらなる好ましい実施形態において、吐出口は、ブロー金型の底部の中央領域に配置されている。この場合、底部は、例えば、この中央領域に隆起した領域を有していてもよく、ここで、容器のいわゆる噴射点はまた、ブロープロセスの最中に、この中央領域に位置されていることとしてもよい。
【0023】
さらなる好ましい実施形態において、ブロー金型は、洗浄媒体を排出するための排出口を有している。この場合、洗浄剤は、閉じた状態にあるブロー金型の内壁に使用され、次いで、前記排出口を介して排出されることとしてもよい。
【0024】
排出口は、ブロー金型の底部に設けられることとしてもよい。このように、洗浄液は、洗浄プロセスの後に底領域に溜まると共に、好ましくは底部の低位領域に配置されている前記排出口を介して排出されることが可能である。
【0025】
さらなる好ましい実施形態において、ブロー金型は、移動可能に位置されている。この場合、ブロー金型は、キャリアホイール上の別のブロー金型の隣に配置されることとしてもよい。
【0026】
本発明はまた、プラスチック予備成形品をプラスチック容器および特に飲料容器に変形させるための設備に関し、ここで、この設備は、上述のタイプの複数の装置を備えていると共に、ここで、これらの装置は、汎用の搬送デバイスに配設されている。
【0027】
上記設備は、好ましくは回転設備であって、上記デバイスの搬送は、連続的にまたは周期的に実施されることとしてもよい。
【0028】
本発明はまた、プラスチック予備成形品をプラスチック容器に変形させる方法に関し、プラスチック予備成形品は、媒体が添加されることでキャビティの内部に伸張されてプラスチック予備成形品を形成し、このキャビティはブロー金型の少なくとも1つの内壁によって形成されており、ブロー金型は開いた状態から閉じた状態に移行することが可能であって、プラスチック容器がブロー金型の内部に収容されておらず、ブロー金型の少なくとも1つの領域が洗浄媒体の使用によって洗浄される洗浄工程を実施する洗浄モードが設定されている。本発明によれば、媒体の使用は、ブロー金型を閉じた状態で実施することが可能である。
【0029】
上記方法においては、洗浄媒体は、ブロー金型の底領域、延伸ロッドおよび/またはブローノズルを通ってキャビティ内に導入されることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の斜視図を示す図である。
【図2】図1に示されている装置の詳細な図を示す図である。
【図3】図1に示されている装置のさらに詳細な図を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る装置のブロー金型の詳細な図を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る装置のブロー金型のさらに詳細な図を示す図である。
【図6】延伸ロッドを示す図である。
【図7】図6の延伸ロッドの断面図を示す図である。
【図8】図6の延伸ロッドのさらなる断面図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るブロー金型配置の概略図を示す図である。
【図10】底部の斜視図を示す図である。
【図11】図10に示されている底部の断面図を示す図である。
【図12】底部の下面図を示す図である。
【図13】底部の側面図を示す図である。
【図14】クリーンチャンバに配置されたブロー金型を示す図である。
【図15】延伸ロッドを介したブロー金型の洗浄を例示するための図である。
【図16A】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
【図16B】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
【図17A】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
【図17B】本発明のさらなる実施形態を示す図である。
【図18】図17A図17Bに示されている実施形態を例示するための更なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
さらに好ましい実施形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0032】
図1は、プラスチック予備成形品(図示せず)をプラスチック容器(図示せず)に変形させるための本発明の一実施形態に係る装置を示す。この装置は、ブロー金型キャリア3中のブロー金型2が配置されているメインキャリア11を備えている(各構成について部分的に図示されている。)。
【0033】
圧縮空気によりプラスチック予備成形品が伸張されて内部でプラスチック容器が形成されるキャビティ4が、ブロー金型2の内側に形成されている。さらに、上記装置は、キャビティ4内で長手方向Lに移動可能である、プラスチック予備成形品を延伸するための延伸ロッド12を備えている。符号22は第1の半割りブロー金型を表すと共に、符号24は第2の半割りブロー金型を表す。加えて、ブロー金型はまた底26または底部を有し、これが、操作中にキャビティ4を下向き方向に閉鎖する。符号14は、プラスチック予備成形品に圧縮空気を送る加圧デバイスまたはブローノズルを表す。
【0034】
図1に示される実施形態において、洗浄媒体は、供給ライン42,44を介して供給されることが可能である。この目的のために、装置はまた、洗浄媒体の供給を制御するバルブブロック46を有する。洗浄媒体が一方の供給ラインから供給されると共に、例えば水などのすすぎ媒体が他方の供給ラインを介して供給されることもまた可能である。
【0035】
図2は、図1に示されている装置の詳細な図を示す。特に、バルブブロック46が長手方向に移動しても接続の維持が可能であるよう可撓的に構成されている供給ライン42,44もまた設けられている。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態に係るブロー金型2の詳細な図を示す。延伸ロッド12は断面図で示されている。この実施形態において、洗浄媒体は、ブロー金型2またはキャビティ4中にこの延伸ロッド12を介して導入される。この場合、延伸ロッド12は、特別な洗浄モードの最中に長手方向Lに移動可能であると共に、この間に、洗浄媒体をブロー金型の内壁8に塗布することが可能である。符号10は、洗浄デバイスの全体を表す。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に係るブロー金型のさらなる図を示す。延伸ロッド12内に、チャネル18、また、媒体が通過して延伸ロッド12から出ることが可能である吐出口14が配設されていることを見ることが可能である。ここで、符号32は、底部26に配置されているさらなる開口を表す。加えて、排出口として機能するさらなる開口が、底部26に設けられていてもよい。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態に係るブロー金型のさらなる図を示す。この場合、延伸ロッド12が最大限にブロー金型2側に移動されているために、供給ライン42が湾曲する位置にあることがわかる。
【0039】
図6は、延伸ロッド12の斜視図を示す。ここで、この延伸ロッド12は、洗浄媒体が延伸ロッドから出ることが可能である複数の吐出口14を有している。ここでは、これらの開口は、本実施形態の場合は球状の形状を有している先端部分36に形成されている。しかも、吐出口は、各実施形態において、傾斜して配置されているので、洗浄媒体は吐出口から傾斜により流出することが可能である。
【0040】
図7は、延伸ロッド12の部分断面図を示す。ここでもまた、チャネル18、また、チャネル18を吐出口14に接続するサブチャネル19を見ることが可能である。延伸ロッド12のさらなる領域にも吐出口を設けることも可能である。加えて、チャネルはまた、さらなる開口が設けられたとしても、各実施形態において、延伸ロッド12から洗浄媒体が同一の圧力で出るよう、例えば、頂部から底に向かってテーパー状に構成されていることとしてもよい。
【0041】
図8は、延伸ロッドのさらなる図を示す。ここでもまた、先端部36および吐出口14が確認できる。
【0042】
図9は、2つの半割りブロー金型22,24を備える、本発明の一実施形態に係るブロー金型のさらなる概略図を示す。符号Sは、洗浄液がブロー金型の内壁8に衝突する吐出方向を表す。ここでは、対応する吐出口または洗浄ノズルが符号25によって表されている。符号37は、洗浄媒体が供給されるチャネルを表す。符号38および39は、底部26用の温度制御媒体のための送り経路および戻し経路を表す。
【0043】
図10は、底部26の斜視図を示す。ここでは、底部の壁27に配置されている開口29が確認できる。これらの開口は、洗浄媒体を排出する役目を果たす。底部26の比較的低い領域に配置されていることが好ましい。符号23は、洗浄液が排出されるチャネルを表す。
【0044】
図11は、図10に示されている底部の断面図を示す。ここでも、洗浄媒体を排出するためのチャネル23を再度見ることが可能である。供給チャネル29aが、開口29からチャネル23に向けて延在していることが確認できる。このように、洗浄媒体を複数の開口29から排出することが可能である。
【0045】
洗浄モードの最中に、底部26を通して洗浄剤を導入することとしてもよい。ブロー金型がコーティング剤用の少なくとも1つの入口を有する装置が西独国実用新案出願公開第20023423号明細書に記載されている。ここで、上記文献に開示されているあらゆる構成について、本発明の構成を参照する際に援用することができる。西独国実用新案出願公開第20023423号明細書ではコーティング剤を供給することが提案されていたが、本実施形態では、洗浄剤の供給が提案されている。
【0046】
図12は、本発明の一実施形態に係る底金型の下面図を示す。特に、ここでは、加熱用途のためのラビリンス領域が設けられている。
【0047】
図13は、底部26のさらなる側面図を示す。チャネル23より高い位置に配置されている、同様に洗浄媒体を排出するためのチャネル21が確認できる。
【0048】
本発明の一実施形態に係る装置はまた、ブロー金型2の内壁8の洗浄状態を監視するセンサデバイスを備えていてもよい。例えば、画像記録装置で開いた状態の内壁8を光学的に検査することが可能となる。加えて、開いた状態の内壁を機械的に洗浄するための、例えばブラシなどの洗浄デバイスをさらに設けることとしてもよい。このようなブラシデバイスは、長手方向Lに装置に導入されることもまた可能である。また、複数の洗浄媒体を順次内壁に使用することとしてもよい。
【0049】
また、ここで述べた通例の液体洗浄媒体の代わりに、気体状または蒸気の洗浄媒体を用いることとしてもよい。液体洗浄媒体に追加して、例えば内壁を消毒するためのUVエミッタまたは電子エミッタなどのさらなる殺菌ユニットを備えることとしてもよい。
【0050】
また、追加のノズルまたは開口を設けることとしてもよい。これにより、例えば蒸留水などのすすぎ液をブロー金型2の内壁8に適用させることが可能である。従って、洗浄液を用いる実際の洗浄モードの後、ブロー金型2をすすぐためのすすぎモードを設けることも可能である。このようなすすぎ工程は、ブロー金型が閉じた状態で実施されることが可能である。これに代えて、ブロー金型2が先ず開けられて、次いで、開いた状態で内壁8をすすぐことも可能である。
【0051】
最後に、洗浄ノズルが例えば内壁8の反対側の領域に噴霧するよう、内壁自体に洗浄ノズルを配置することもまた可能である。
【0052】
さらに、ブロー金型に適用される洗浄媒体の量を測定する液体計量デバイスが設けられていてもよい。これにより、確実に所定の量の洗浄液のみを各洗浄プロセスに適用することができる。
【0053】
図14は、本発明の一実施例に係るブロー成形機のさらなる実施形態を示す。この配置においては、変形プロセスは、個別のブロー金型が内部を移送される無菌チャンバ60中で行われる。この場合、この無菌チャンバは複数の壁62,64によって区切られており、ここで、外壁62は固定的に配置されていると共に、内壁64は、個別のブロー金型またはブロー金型キャリアに沿って移動する。この場合、延伸ロッド12は、無菌チャンバ60の壁を貫通して動かされる。ここで密閉効果を達成するために、例えばベローズが用いられ得る。符号66は、相対的に移動することが可能である無菌チャンバ60の壁62,64を相互にシールするためのシーリングデバイスを表す。このシーリングデバイス60は、例えばいわゆるウォーターロックであることとしてもよい。
【0054】
符号90は、洗浄プロセスの最中にブローノズルをシールするために用いられることが可能であるカバーデバイスを表す。この場合、このシーリングデバイスとしては、この無菌チャンバ60の外に位置されている磁性部材92をブローノズルに適用することができる。これに代えて、サーボモータ、空気圧または油圧駆動装置などの他の部材によりカバーデバイスを移動させることもまた可能である。
【0055】
符号52はキャリアを表しており、キャリッジ56により延伸ロッド12を移動させるための駆動デバイス54がキャリア上に配置されている。
【0056】
図15は、ブローノズル80の洗浄またはCIP(定置洗浄)のための洗浄プロセスを例示する。この目的のために、洗浄媒体または殺菌媒体が延伸ロッド12のチャネル18に連続的に導入されることとしてもよい。そして、洗浄プロセスの最中はカバーデバイス90(いわゆるCIPキャップ)によってカバーされているブローノズル80を洗浄するために、洗浄媒体または殺菌媒体が、チャネル18からブローノズル80まで通過することとしてもよい。符号98は、ブローノズルがカバーされた状態におけるブローノズルとカバーデバイスとの間の領域をシールするためのシーリングデバイスを表す。
【0057】
次いで、洗浄媒体が戻しライン82,74を介して戻される。加えて、洗浄プロセスの最中に洗浄媒体を送り出すために、容器を伸張させる操作モードにおいて用いられる圧縮空気を用いることとしてもよい。
【0058】
加えて、ブローノズルの洗浄という作業としては、ブローエアのプラスチック予備成形品への供給を制御するバルブブロックの洗浄を実施することとしてもよい。この洗浄プロセスをも実施するために、カバーデバイス90がブローノズルを支えていてもよい。機械の操作モードの最中に、戻しライン82,74はプラスチック予備成形品を伸張させるためのブローエアを供給するものであってもよい。
【0059】
図16Aおよび図16Bは本発明のさらなる実施形態を示すが、この場合、プラスチック予備成形品を加熱するための加熱デバイスのための用途におけるものである。例えば、いわゆるCIPキャップなどのカバーデバイス90が本実施形態でも設けられており、保持部材84の下に配置されている。本実施形態において、このカバーデバイスは、保持部材84に対して相対的に枢動することが可能であるよう配置されている。このため、これらのカバーデバイス90は、回転可能に載置されていると共に、一連の炉(図示せず)に沿って移動することが可能であるように設置されていることとしてもよい。CIPキャップ90は保持部材84の各々に割り当てられているのではなく、周期的に保持部材84の洗浄が可能となるように固定的に配置されていることとしてもよい。CIPキャップ90が、保持部材84を一時的に伴っていることとしてもよい。このように、付随する経路に沿った連続的な洗浄プロセスも可能である。
【0060】
従って、カバーデバイス90は、少なくとも1つの保持部材84に配置されており、ここで、洗浄液は、このカバーデバイス90の少なくともいくつかのセクションを通過することとしてもよい。
【0061】
図16B中の符号112は、固定的に配置されたガイドカムを表し、これにより、カバーデバイス90に配置されたローラ92は、カバーデバイス(図16Bにおける紙面上で)を回転させるために移動できる。この場合、このガイドカムは、ここでは空気圧シリンダ114などの駆動デバイスによって、さらに、回転または伸長可能である。この場合、ガイドカム112を調節するために、第1のカムセグメント112aとは相対的に第2のカムセグメント112cが変位可能である。符号112bは変移部分を表す。図16Bに概略的に示されているカム112の適用することにより、カバーデバイスを回転するプロセスが可能となる。また、カムセグメント112a、112bおよび112cを同時に作動させることまたは移動させることも可能である。
【0062】
図16A中の符号94は、カバーデバイス90がこれについて回転可能であるピボットシャフトなどの関節部を表す。符号98は、保持部材(特にすすぎプロセスの最中に)をシールするためのシーリングデバイスを表す。
【0063】
洗浄目的のために、洗浄媒体または殺菌媒体は、炉中の回転ディストリビュータを介して、加熱マンドレルおよび/またはシールドプレートを通って流れる(好ましくは連続的に)と共に、戻しライン(図示せず)を介してCIPキャップに再度戻される。キャップのサーボ作動も予想可能であろう。
【0064】
加熱マンドレルは、このように、回転炉(例えばSTIR(選択的変換赤外線)またはマイクロ波)で殺菌されることとしてもよい。この場合には、より簡単に回転式の分配が可能となる。しかしながら、1つ以上の予備成形品に割り当てられた、例えば共振器または加熱ポケットといった加熱キャビティをこのように洗浄および/または殺菌することも可能である。
【0065】
図17Aおよび図17Bは本発明のさらなる実施形態を示す。ここでは、いわゆる加熱ホルダー120または加熱ポケットが設けられており、ここで、プラスチック予備成形品が操作モードの最中に加熱される。これらの加熱ホルダーは、プラスチック予備成形品と一緒に移動する。従って、これらの加熱ホルダー120は、予成形品を囲う照射チャンバとして機能する。この場合、これらの加熱ホルダーは、カルーセル式に配置され得る。符号122は、保持空間124内に配置されたプラスチック予備成形品を加熱する赤外線エミッタを表す。
【0066】
この場合、加熱ホルダー120の内壁は、セラミック赤外線エミッタとして構成されていてもよい。加えて、ロッド形状の赤外線エミッタ(図示せず)を、プラスチック予備成形品を加熱するために内部に導入することが可能である。この場合、プラスチック予備成形品は、加熱ホルダーの内部にその全体が配置(好ましくはその口部分から離れて)されていることが好ましい。また、保持部材84または加熱マンドレルは、それら自体がIRエミッタとして構成されている必要はなく、単に反射性であるか、または、プラスチック予備成形品を保持していればよい。符号126は、IRエミッタ用の保護スクリーンを表す。
【0067】
図17Bは、洗浄モード中の加熱ホルダー120を示す。ここで、この加熱ホルダーは、殺菌媒体130で満たされることにより殺菌される。より具体的には、ここでは、加熱エミッタ122および反射体もまた洗浄されることが可能である。符号132は、この場合、殺菌媒体130の出口をも形成する加熱ホルダーの底を表す。当該底は、開くことができるように、回転軸134まわりに回転可能である。図17aでは、殺菌媒体を戻すための戻しチャネル118を確認できる。加熱ホルダー120へは、保持部材84自体を通して充填されることとしてもよい。それ故、マンドレル84専用のカバーデバイス90は必須ではない。このように、外表面を洗浄または殺菌するための保持部材84を浸漬することができる。つまり、加熱ホルダー120は、このように、カバーデバイス90の機能を発揮することが可能である。
【0068】
図18は、殺菌プロセスを例示するためのさらなる図を示す。洗浄媒体は、カバーデバイス90によって形成された受容空間140にチャネル104を介して案内される。ここから、洗浄媒体は、戻しチャネル118を通って上方(矢印P2)に流れて戻る。この目的のために、カバーデバイス90は止め部材152に対して押圧され、ここで、設備機器の操作モードにおけるこの止め部材は、プラスチック予備成形品のための止め部材としても機能することが可能である。
【0069】
符号142は、プラスチック予備成形品を保持するための把持用顎部を表す。これらの把持用顎部142も同時に洗浄することができる。この目的のために、保持部材は、把持用顎部142の後ろをすすぐためのサブチャネル154を有する。符号98は、再度、すすぎプロセスの最中に保持部材に対してカバーデバイス90をシールするためのシーリングデバイスを表す。バネデバイス146(これに代えて、弾性Oリングであってもよい)により、把持用顎部142は外方に付勢される。符号144は、把持用顎部142を保持するための保持空間を表す。これにより、保持部材84は、内側および外側の両方から洗浄または殺菌されることとなる。
【0070】
図16Aから図18に示されているカバー部材90は、装置の通常の操作の最中に、放射線を、特に予成形品に反射するために、少なくとも部分的に反射材から形成されていることとしてもよい。
【0071】
洗浄液もしくは殺菌液はまた、通常の操作の最中において加熱マンドレルなどの個別の部材を冷却するために用いることとしてもよい。
【0072】
本発明の別の実施形態としては、プラスチック予備成形品をその周方向において不均一に加熱(選択的な加熱)する機械に用いられることとしてもよい。このような装置は、例えば、未だ公開されていない独国特許出願第102009021792号明細書において提示されている。ここで、上記文献のあらゆる開示内容を参照することにより、本願の開示内容に援用される。
【0073】
この場合、例えば、プラスチック予備成形品に接触し、これにより、不均一な温度分布による加熱を上記予備成形品に対して行うためのクランプを洗浄することも可能となる。この場合、洗浄は、ブラシまたはCIPモードで行うことができる。
【0074】
さらに、国際公開第2010/020530号に記載されているとおり、殺菌モジュールの洗浄を実施することも可能である。これにより、上記文献のあらゆる開示内容を参照することにより、本願の開示内容に援用される。
【0075】
この場合、保持部材84は、プラスチック予備成形品が加熱デバイス中を移送されている間に、これを保持するためのものである。例示の実施形態において、保持部材は、移送されるプラスチック予備成形品の口部分を把持している。
【0076】
さらに、プラスチック予備成形品をその周方向において不均一に加熱(選択的な加熱)するこのような加熱モジュールを、ここに提示されているものと同様に処理することも可能である。例えば、洗浄剤は、自動機械により外部から差込可能なロッド等を介して導入されることとしてもよい。容器を殺菌するための殺菌モジュールもまた、このように洗浄することが可能である。すなわち、洗浄剤は自動機械により外部から差込可能なロッド等を介して導入することが可能である。
【0077】
さらに、個別の図中に示されている機構を相互に組み合わせること、例えば、図16Aから図18に示されている加熱デバイスに関連する機構をブロー成形機にも適用すること、または、その逆も可能である。
【0078】
本出願人は、本出願書面に開示されている構成であって、単独または従来技術と組み合わせて新規であるすべての構成については、本発明に必須であると主張する権利を留保する。
【0079】
1 装置
2 ブロー金型
3 ブロー金型キャリア
4 キャビティ
8 内壁
10 洗浄デバイス
11 メインキャリア
12 延伸ロッド
14 吐出口
16 加圧デバイス、ブローノズル
18 チャネル
19 サブチャネル
21 チャネル
22,24 半割りブロー金型、回転可能な側部部品
23 チャネル
25 吐出口、洗浄ノズル
26 底部
27 壁
29 開口
29a 供給ライン
32 排出口
36 先端部
37 チャネル
38 送り経路
39 戻し経路
42,44 供給ライン
46 バルブブロック
52 キャリア
54 駆動デバイス
56 キャリッジ
60 無菌チャンバ
62 壁
64 壁
74 戻しライン
80 ブローノズル
82 戻しライン
84 保持部材
86 リザーバ
87 戻し経路
88 ノズル
89 送り経路
90 カバーデバイス
92 ローラ
94 関節部
98 シーリングデバイス
102 ベアリングブロック
104 チャネル
106 チャネル
108 ローラ
112 ガイドカム
112a,112b,112c ガイドカムセグメント
114 空気圧シリンダ
118 戻しチャネル
120 加熱ホルダー
122 赤外線エミッタ
124 保持空間
126 保護スクリーン
130 殺菌媒体
132 加熱ホルダー120の底
134 回転軸
140 受容空間
142 把持用顎部
144 保持空間
146 バネデバイス
152 止め部材
154 サブチャネル
P1 矢印
L 長手方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でプラスチック予備成形品を容器に変形させるためのキャビティを形成する少なくとも1つのブロー金型と、
前記プラスチック予備成形品に媒体を加えて、前記キャビティを区切る前記ブロー金型の内壁に対して前記プラスチック予備成形品を伸張させる加圧デバイスと、
前記プラスチック予備成形品をその長手方向に延伸させる延伸ロッドと、
前記ブロー金型を洗浄する洗浄デバイスと、
を備え、
該洗浄デバイスは、前記ブロー金型を洗浄する洗浄媒体の吐出口を少なくとも1つ備え、
該吐出口は、少なくとも一時的にブロー金型中に配置されることを特徴とするプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項2】
前記吐出口が、前記洗浄媒体のノズルであることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項3】
前記ブロー金型は、閉じた状態でその内部にキャビティを形成する2つの側部部品を有し、
該2つの側部部品は、回転して互いに離間可能に構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項4】
前記ブロー金型が底部を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記吐出口が、前記延伸ロッド、前記ブロー金型の底部および/または前記加圧デバイスに設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項6】
前記延伸ロッドが、容器の底に向いている先端部を有し、
前記吐出口が、前記先端部に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項7】
前記吐出口が、前記ブロー金型の底部の中央領域に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項8】
前記ブロー金型が、前記洗浄媒体を排出するための排出口を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項9】
前記排出口が、前記ブロー金型の底部に設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項10】
前記ブロー金型が、移動可能に配置されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置を複数備えるプラスチック予備成形品を容器に変形させるための設備であって、
前記プラスチック予備成形品を容器に変形させる装置は、汎用の搬送デバイスに配置されていることを特徴とするプラスチック予備成形品を容器に変形させる設備。
【請求項12】
開いた状態から閉じた状態に移行可能に構成されたブロー金型と、
該ブロー金型の少なくとも1つの内壁によって形成されたキャビティとを備えるプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置において、
プラスチック予備成形品に媒体が加えられ、前記キャビティの内部で伸張されて容器が形成される形成工程と、
前記プラスチック容器が前記ブロー金型の内部に収容されていない状態で、前記ブロー金型の少なくとも一部の領域が洗浄媒体を使用して洗浄される洗浄工程とを備え、
前記洗浄工程において、前記ブロー金型が閉じた状態で前記洗浄媒体の使用が可能であることを特徴とするプラスチック予備成形品を容器に変形させる方法。
【請求項13】
前記洗浄媒体は、前記ブロー金型の底領域、延伸ロッドおよび/または前記ブローノズルを通って前記キャビティ内に導入されることを特徴とする、請求項12に記載のプラスチック予備成形品を容器に変形させる装置の洗浄方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−51337(P2011−51337A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−174969(P2010−174969)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】