説明

プラズマコーティングチャンバ用吸引装置

【課題】本発明は、プラズマ−エンハンスドコーティングプロセスをサポートする装置(8)に関する。
【解決手段】該装置は、プラズマ及び/又はコートされる基板及び/又はプラズマ生成のために設けられた電極の近傍に配置可能であり、プラズマ領域の側部又は面、又は基板又は基板を運搬する運搬要素を配置できる面、又は電極の1つ又はその一部を少なくとも部分的に囲む、又は制限するフレームが設けられていて、ガス状媒体を吸引可能な1つ又はいくつかの吸引開口部10のあるキャビティ又は吸引チャネル13が含まれている。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プラズマ−エンハンスドコーティングプロセスをサポートする装置及び対応のプラズマ又はコーティングチャンバに関する。
【0002】
(先行技術)
PECVD(プラズマエンハンスド化学蒸着)方法又は反応性陰極線スパッタリング(反応性スパッタリング)の形態のプラズマ−エンハンスドコーティングプロセスは、コーティングの目的で業界で広く使われている。例えば、窒化ケイ素、ケイ素又は酸化ケイ素の薄膜の堆積のためのPECVD方法は、薄膜トランジスタ、超小型電子コンポーネント又は太陽電池の製造に用いられている。PECVD方法では、ガス状コーティング材料を、気相から、コートされる基板上に堆積し、気相にある層形成半製品を反応させて、最終的にコーティング材料となるものを形成している。これは、プラズマを与えることによって促進することができる。
【0003】
上述した方法においては、対応のガス状コーティング材料を、コーティングチャンバ又はプラズマが点火されるプラズマチャンバへ導入してから、余剰のプロセスガスをチャンバから除去する必要がある。
【0004】
これは、通常、コーティングチャンバの中心に設けられた排出開口部によってなされる。この中央排出開口部には、例えば、ポンピングラインが取り付けられ、余剰のプロセスガスが、対応のポンプにより吸引できるようになっている。
【0005】
均質な層形成のためには、コートされる基板の全表面にわたって均一な層堆積パラメータが必要である。このため、コーティングチャンバ壁の中央吸引点だと問題がある。余剰のプロセスガスの中央吸引だと、コーティングチャンバにおけるガスフロー条件が好ましいものとならない恐れがあるためである。
【0006】
この問題を解決するために、ドイツ特許DE第197 27 857 C1号には、ガス分配チャンバとガス吸引チャンバを備えた電極を有するプラズマリアクタが提案されている。しかしながら、かかる電極は、ガスの供給とガスの除去を同時に行うため、設計が非常に複雑で、堆積の効率に関して問題がある。
【0007】
いわゆるプラズマボックス(ユナクシス(Unaxis)という会社の商品名)には、ガスフローを均一に制御しようとする他の可能性である。この解決策における真空又はプラズマチャンバには、真空又はプラズマチャンバ内側の追加のボックスという特徴があって、このボックスは、コーティング及びプラズマ領域に完全に囲まれていて、真空チャンバとプラズマボックスの2段階排気が可能となっている。このように、例えば、コーティング中、囲んでいる真空チャンバをプラズマボックスよりも低圧に設定して、汚染物質がプラズマボックスに入らないようにすることができる。更に、囲んでいる真空チャンバに対して、対応の周囲開口部を配置することによって、プラズマボックスが、プラズマボックスからの均一なガスの除去を促す。プラズマボックスの説明は、ジェロームぺラン(Jerome Perrin)、ジャックシュミット(Jaques Schmitt)、クリストフホーレンシュタイン(Christoph Hollenstein)、アランハウリング(Alan Howling)及びローレントサンソネン(Laurent Sansonnens)の文献、大面積コーティングのためのプラズマ−エンハンスド化学蒸着の物理学:フラットパネルディスプレイ及び太陽電池への工業的応用(The Physics of Plasama−Enhanced Chemical Vapour Deposition for Large−Area Coating:Industrial Application to Flat Panel Displays and Solar Cells,Plasma Phys.Control.Fusion42(2000)B353〜B363、ホーレンシュタイン(Hollenstein)、ハウリング(Howling)、クルテーユ(Courteille)、ドリエ(Dorier)、サンソネン(Sansonnens)、マーニ(Magni)及びミューラー(Mueller)、ケイ素及び酸化ケイ素フィルムのRFプラズマ堆積におけるダスト粒子診断法(Dust Particle Diagnostics in RF Plasam Deposition of Silicon and Silicon Oxide Films)、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.507(1998)材料学会(Materials Research Society)にある。
この概念の欠点は、同じく、プラズマボックスの非常に高い費用である。
【発明の開示】
【0008】
(発明の目的)
従って、本発明の目的は、プラズマ又はコーティングチャンバ、対応のプラズマ又はコーティングチャンバのための装置を使用可能として、大面積の基板であっても均一且つ均質なコーティングが得られるようプラズマ−エンハンスドコーティングプロセスを改善することである。更に、対応の装置及びプラズマ又はコーティングチャンバは、単純な設計で、操作が容易、且つ、多用途のものでなければならない。
【0009】
(技術的解決)
本目的は、請求項1記載の特徴を有する装置と、請求項3記載の特徴を有するコーティングチャンバにより達成される。有利な実施形態は、従属請求項によるものである。
【0010】
本発明は、煩雑なプラズマボックスの代わりに、真空コーティングチャンバ又はプラズマチャンバにおけるガスフローを、いわゆる吸引フレーム(以降、吸引装置と呼ぶ)により十分に改善することを実現することに着手するものである。吸引フレームは、フレーム及び/又は余剰のプロセスガスを吸引するための開口部を備えた吸引チャネルを有している。フレームとは、ここでは、好ましくは、吸引チャネルを含むプレート−、格子−又はボックス状の構造を意味する。しかしながら、フレームは、立方形又はその他キャビティのようなチャネル状の構造とは異なる吸引容積(キャビティ)を囲んでいてもよい。或いは、十分な剛性を有する吸引チャネルにより、純粋なチャネル構造を実現して、追加の構造要素を省いてもよい。
【0011】
吸引装置を設計して、それをプラズマ又はコーティング領域近傍に配置できるようにして、フレーム及び/又は吸引チャネルが、コーティング領域の少なくとも一部を囲む、又は制限して、余剰のプロセスガスの吸引を、プラズマ及び/又はコーティング領域の近傍で直接行えるようにすることができる。
【0012】
ここで、プラズマ領域とは、プラズマ又はコーティングチャンバ内のプラズマが操作中に存在する領域のことを意味する。コーティング領域とは、コーティング材料の相当の堆積がなされる領域、即ち、実質的に、コーティング中に基板が配置される領域のことを意味する。プラズマ領域とコーティング領域は、このように、少なくとも部分的に同一となり得る。
【0013】
特に、吸引装置は、プラズマ又はコーティング領域の少なくとも部分的な側部又は環状限界とみなすことができる。吸引装置はまた、コーティング中に基板が配置される、又は基板を運搬する運搬要素(キャリア)が提供される面に、少なくとも部分的に提供された境界として実現することもできる。従って、吸引装置は、少なくとも部分的に電極又はその一部を囲むこともできる。
【0014】
1つ以上の吸引開口部を有する吸引装置は、プラズマ及び/又はコーティング領域近傍にあるのが有利である。
【0015】
吸引装置は、プラズマ又はコーティングチャンバに交換可能に提供できる別の装置として、又はコーティングチャンバにおいて永続的に一体化されたコンポーネントとして実現することができる。従って、本発明は、一方で、吸引装置(吸引フレーム)そのものに関わり、他方で、対応してこれを備えたプラズマ又はコーティングチャンバに関する。
【0016】
吸引装置の吸引チャネルは、周囲が無限ループの形態にある閉環として形成することができ、これによって、広い領域に分配されたいくつかの吸引点により均一な吸引が促される。同様に、フレームの吸引開口部は、環状構成で配置してもよい。
【0017】
フレーム及び/又はチャネルの基本形状は、矩形、正方形、六角形や八角形等の、一般に、多角形、丸や楕円、又は異なるループ形状であってよい。このように、フレーム及び/又は吸引チャネルは、異なる要件に適合させることができる。
【0018】
フレーム及び/又は吸引チャネルは、実質的に平坦な形状を有することができ、装置は、長手方向及び幅方向に対して、非常に薄くしか膨張しないため、フレーム及び/又は吸引チャネルを備えた吸引装置は、実質的に1つの面に形成される。これによって、吸引装置の構造を非常に単純なものにすることができる。
【0019】
吸引チャネルがフレームに提供され、特に、吸引装置が、同時に吸引チャネルを形成する中空断面、例えば、角管又は円筒管、から形成されるという事実によっても、構造は単純化させることができる。
【0020】
余剰のプロセスガスをフレーム及び/又は吸引チャネルに流す吸引開口部は、フレーム及び/又は吸引チャネルの1つ以上の側部、特に、吸引装置の2つの反対の側又は全ての側部に設けることができる。
【0021】
フレーム及び/又は吸引チャネルの吸引開口部は、吸引装置が広がる面に対して垂直と、この面に対して平行の両方で配向でき、吸引開口部は、装置の中心か、外側かのいずれかに向けることができる。同様に、吸引開口部は、装置レベルに対して垂直に配向した場合は、プラズマ及び/又は反対の電極配置に向けて、又はその反対の方向に配置することができる。
【0022】
有利な実施形態において、吸引開口部は、特に、フェースプレート開口部を備えた交換可能なフェースプレートによりカバーして、フェースプレート中のフェースプレート開口部の形状及び数によって、ガスフローを決めることができる。フェースプレートを用いることによって、第1に、吸引チャネルに、粗いガスフローにつながるだけの大きな開口部を設けることが可能になる。第2に、フェースプレートの交換の場合には、フェースプレート開口部の形態、形状及び数を、異なるコーティングプロセスの異なる要件に対して、簡単に調節することができる。吸引開口部及び/又はフェースプレート開口部は、特に、円形の穴、スリット又はその他設計により実現することができる。
【0023】
コーティング材料の過剰の堆積が、吸引装置で生じるのを防ぐため、且つ/又は熱永動現象による装置領域における汚染を排除するために、吸引装置の対応するコンポーネントを加熱し、吸引装置の対応のコールドスポットを排除する目的で、吸引装置に加熱手段を設けることができる。
【0024】
本発明の吸引装置は、PECVDコーティングチャンバで特に用いることができ、そこで用いる場合、電極、特に、シャワーヘッド電極の反対又は周囲に吸引装置を設けると有利である。これによって、プラズマ及び/又はコーティング領域において、特に好ましいガスフローが得られる。
【0025】
保護が独立して請求される更なる態様によれば、電極及び/又は基板及び/又は基板が配置される運搬要素(キャリア)のうち少なくとも1つを面で並べることによって、ストップ要素が設けられる。電極及び/又は基板の電極として用いられることが多いキャリア及び/又は基板を、ストップ要素に対して適当な強さで押すと、これらの要素の不均一なコーティングとなる恐れのある湾曲やねじれが相殺される。均一なコーティングは、プラズマ生成に用いられる電極間の電磁場の均一な形成に特に依存しているため、均一なコーティングのためには、電極の面に平行に並べることが特に重要である。これは、例えば、コーティングチャンバ(キャリア)に出し入れしたり、通すために基板が配置された電極と並んだストップ要素を用いることにより、非常に簡単に達成できる。特に、ストップ要素は、吸引装置のフレーム及び/又は吸引チャネルと一体化させたり、装置と組み合わせて用いることができる。吸引装置は、中空断面で形成されているために、非常に高いねじれ剛性を既に有していることから、対応のストップ要素は、非常に簡単なやり方で実現することができる。
吸引装置及びストップ要素の別の実施形態において、要素は、互いに近接配置させると有利である。
【0026】
ストップ要素は、ストップ面を有しており、これは、基板、キャリア及び/又は電極が、ストップ面に対して押されると、基板、キャリア及び/又は電極等の対応の要素が、まさに平らな表面、特に、対向電極と面で平行に並ぶ。ストップ面は、例えば、吸引装置の周辺又は十字状又は格子状バーとして、配置することができる。
【0027】
ストップ要素は、電極ギャップを調節するために、調節可能な、特に、可動又はスライド可能な設計とすることができる。
吸引装置のストップ要素の一体化配置における電極ギャップも変更できるようにするためには、吸引装置も、好ましくは、反対又は対向する電極に対して、調節可能に配置、特に、可動とする。
【実施形態】
【0028】
図1は、プラズマ−エンハンスド化学蒸着相堆積を実施するためのPECVD(プラズマエンハンスド化学蒸着堆積)コーティングチャンバ1の概略図である。
【0029】
これには、2つの電極2及び3があって、基板4は電極3の1つに配置されている。電極3は、このように、基板4の運搬要素として形成されており、キャリアとも呼ばれるこの運搬要素は、コーティング設備を通した搬送全般にわたって、基板4を運搬することができる。運搬要素又はキャリアの形態の電極3は、コーティング中は電極として用いられるだけである。従って、このコンポーネントは、以降、電極、そして運搬要素及び/又はキャリアの両方として設定されている。電極2、3は、垂直か、水平か、のいずれかに配置することができる。
【0030】
電極2と3の間のプラズマ6は、電圧源5により点火できる。該プラズマは、ガス状形態で導入されたコーティング材料の化学反応を起こすことと、一般に、コーティングを促進することの両方を行う。基板4の対応の化学反応後、その最中又はその前に、ガス状コーティング材料を堆積して、そこにコーティングを形成する。
【0031】
ガス状コーティング材料を、プラズマ領域6に均一に導入するために、図示した実施形態では、中空のいわゆるシャワーヘッド電極2を用いている。ガス状コーティング材料を、電極2のキャビティを通しフィード7を介して、電極表面にある電極開口部16まで搬送するためであり、そこでは、ガス状コーティング材料が、プラズマ領域6に均一に流れる。
【0032】
電極2と3の間の矢印により図1に示される、ガス状コーティング材料の均一且つ均質なフローを得るために、電極またはキャリア3の背後にある吸引装置8が、キャリア3及びその上に配置された基板4の側部に突き出ていて、余剰のプロセスガスがそこで吸引される。
【0033】
このため、吸引装置8は、吸引チャネル13を有しており、中空断面、特に、角管又は円筒管の形状の吸引装置8の形成により、吸引装置8に一体形成されている。
【0034】
特に、図2に示される通り、一体吸引チャネル13を備えた吸引装置8は、閉鎖矩形又は周囲環として形成されており、図1〜4の実施形態において、開口部10又は12が、吸引装置8の上下長手方向側にあって、そこを通って、余剰のプロセスガスが吸引される。吸引チャネル13に直接提供された開口部10は、図1〜4に示す実施形態においては、フェースプレート11によりカバーされており、フェースプレート11は複数のフェースプレート開口部12を有しており、そこに通すことにより、余剰のプロセスガスの開口部10への均一なインフローが可能となる。
【0035】
吸引チャネル13に対向する複数の小さなフェースプレート開口部を備えたフェースプレートがあると、フェースプレート11を交換可能に配置できるという利点があり、フェースプレートを、フェースプレート開口部12の数及び形状に関して、異なるフェースプレート開口部を有する他のフェースプレート11に交換することによって、変更した堆積条件及びフロー条件への調節を容易に実現することができる。従って、フェースプレート開口部12の数及び形状のみならず、吸引チャネル13に直接設けられる開口部10も変えることができる。
【0036】
図1〜4に示す実施形態において、フェースプレート又は吸引開口部12、10は、吸引装置8の反対の長手方向側にのみ設けられている。この代わりに、対向のフェースプレート及び/又は吸引開口部10はまた、吸引装置8の両側、又は、吸引装置8の夫々の側に設けることもできる。
【0037】
図5に、吸引開口部の変形配置を示す。吸引装置8‘の変形実施形態において、開口部10‘は、追加のフェースプレートを設けずに、吸引チャネル13‘に直接設けられている。
【0038】
更に、図5の吸引装置8‘の実施形態は、開口部が、反対の電極2に向って、即ち、吸引装置が広がる面に垂直に並んでおらず、むしろ、吸引装置8‘が広がる面に平行な装置の内側にある、という点で、図1〜4の吸引装置8‘とは異なる。従って、吸引装置8‘の実施形態において、フローは、ストップ面14‘又はその上に配置された基板4に設けられた電極3に更に平行に調節される。
【0039】
吸引開口部10により吸引されたプロセスガスは、吸引チャネル13を超えて、例えば、ポンプ(図示せず)に接続できるガス出口9へ搬送される。特に、吸引装置8が、コーティングチャンバ1に脱着可能に収容されたコーティングチャンバ1のモジュール形成においては、対応のライン接続を、コーティングチャンバ壁の吸引ノズルに永続的に提供することができる。
【0040】
基板4に対してプロセスガス又はガス状コーティング材料の均一且つ均質なフローを作成する機能とは別に、図1〜5に示す吸引装置8は、運搬要素又はキャリア3、電極3及び基板4のストップとして機能する追加の機能を有している。コートされる基板表面に対するプロセスガス及び/又はガス状コーティング材料の均一且つ均質な分布とは別に、基板表面及び/又は電極に関する電磁的条件が、同様に、均質且つ均一であるのも均一なコーティングにとっては重要である。従って、電極2及び3の電極表面が、できる限り面に平行であることが必要である。これは、固定電極2では容易に達成可能であるが、更に運搬要素及び/又はキャリアとして機能する可動電極3では、些細な問題ではない。
【0041】
本発明の吸引装置或いは対応してそれを備えたコーティング又はプラズマチャンバにより、電極3又はキャリア3を、面に平行となるように、電極2の反対の基板4に並べることは簡単なことである。これは、運搬要素又はキャリア3を、基板4と共に、その目的で提供されたストップ面14を有する吸引装置8に対してプレスすることによりなされる。
【0042】
図2に示す通り、ストップ面14は、吸引チャネル13で、環及び交差状又は格子状バー17の形態として実現してもよく、これだと、対応の接触圧力を収容することができ、基板4又は電極3を面で並べることができる。
【0043】
ストップ面14に対して適切な接触力を得るためには、対応の駆動又は保持手段15を与えて、例えば、吸引装置8のリセス18を通して、キャリア又は電極3の背面と係合させて、それらを、吸引装置8のストップ面14に近づけることができる。
【0044】
吸引装置8は、双頭矢印により示される通り、コーティングチャンバ1に調節可能又は可動に装着されており、電極2と3の間の電極ギャップが調節可能となっている。このため、対応の駆動コンポーネント21は、例えば、空気圧式又は油圧式シリンダ、電気駆動装置等で提供されている。初期位置を調節可能とする単純な機構のスペーサ(図示せず)も考えられる。このように、電極2と3の間のギャップは、電極3又は基板4に対して、吸引装置8の吸引開口部10の位置を変えることなく、異なるコーティング目的について変えることができる。
【0045】
ここに図示されていない変形実施形態において、互いに組み合わせで提供されるのが好ましい別々のコンポーネントを用いることにより、吸引装置8の機能を、一方では、余剰プロセスガスの吸引、他方では、電極及び/又はキャリア3並びに基板4へのストップ面の提供、に関して分離することもできる。
【0046】
図2〜4に、図1のコーティングチャンバに用いるような吸引装置8の詳細を示す。具体的には、吸引装置8の主表面の側面図(図2)、上からの長手方向側の平面図(図3)及び90°回転した端面の側面図(図4)である。
図2の詳細によれば、吸引装置8は、矩形吸引チャネル13を有しており、角管のその基本構造は、吸引チャネル13とフレームの基本構造の両方を構成している。上下長手方向側には、フェースプレート11が提供されていて、そこに配置された吸引開口部10をカバーし、複数のフェースプレート開口部12によって、プラズマ領域6又は基板4の直ぐ周囲のコーティング領域において画定されたフローを促進する。
【0047】
吸引装置8内側の吸引チャネル13には、バー17があり、電極3又はキャリア3、そして基板4のためのストップ面14を形成する。このように、キャリア3又は基板4を面で並べ、対向電極2に対して対応する面に平行にすることができる。
【0048】
図3に、コーティングチャンバ1の吸引ノズルに対する接続9を詳細に示す。図示した実施形態は、図4にも示されている通り、吸引チャネル13、特に垂直領域に2つの出口を有しており、該出口は、共通のラインを介して、コーティングチャンバの吸引ノズルへ導くことができる。
【0049】
図4にはまた、吸引装置8の上下長手方向側にある吸引開口部10及びフェースプレート11の側面図を示す。対応するフェースプレートの開口部がそこに設けられている。更に、コーティングチャンバ1の吸引ノズルへの接続9も見られる。
【0050】
更に、図4に、例えば、抵抗ヒータの形態にある加熱要素19を示す。これは、電流又は電圧源20に接続されている。加熱要素19は、吸引装置8を加熱するのに用いて、吸引装置8への堆積物の形成を防ぐことができる。
【0051】
本発明を、添付の図面を用いて、好ましい実施形態に関して詳細に説明してきたが、添付の請求の範囲の保護の範囲を放棄することなしに、特に、記載した別々の特徴の組み合わせの異なる種類、又は、特定の特徴の排除で、修正及び訂正が可能であることは、当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の更なる利点、特徴及び構成は、添付図面を用いた好ましい実施形態の詳細な説明から明らかである。図面は単に概略に過ぎない。
【0053】
【図1】PECVDコーティングチャンバの概略図である。
【図2】図1のPECVDコーティングチャンバに用いるような本発明の吸引装置の側面図である。
【図3】図2の吸引装置の平面図である。
【図4】90°回転した図2の吸引装置の側面図である。
【図5】図2の吸引装置の変形実施形態の上端の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ−エンハンスドコーティングプロセスをサポートする装置であって、プラズマ及び/又はコートされる基板及び/又はプラズマ又はコーティングチャンバにおいてプラズマを生成するための電極近傍に配置することができるように設計された装置において、
フレームが設けられ、これは、前記装置を前記プラズマ又はコーティングチャンバに配置したときに、前記プラズマ領域の側部又は面、前記基板又は前記基板を運搬する運搬要素を配置できる面、又は、電極の1つ又はその一部を少なくとも部分的に囲む、又は制限し、ガス状媒体を吸引できる1つ又はいくつかの吸引開口部(10)を備えたキャビティ又は吸引チャネル(13)を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
コーティング又はプラズマチャンバにおいて、特に脱着可能な配置を提供する手段、及び/又は前記キャビティ又は吸引チャネルを、コーティング又はプラズマチャンバの吸引出口に特に脱着可能に接続するための接続手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
プラズマが生成されるプラズマ領域及び基板がコートされるコーティング領域を備えた、基板のプラズマ−エンハンスドコーティングのためのコーティングチャンバであって、
プラズマ及び/又はコーティング領域に、前記プラズマ及び/又はコーティング領域の少なくとも一部を囲む、又は制限する少なくとも1つのフレームが設けられており、前記フレームが、1つ以上の吸引開口部(10)を有し、ガス状媒体が吸引されるキャビティ又は吸引チャネル(13)を含むことを特徴とするコーティングチャンバ。
【請求項4】
前記フレーム及び/又は吸引チャネル(13)が、閉環として設けられていることを特徴とする請求項1、2記載の装置、又は請求項3記載のコーティングチャンバ。
【請求項5】
前記フレーム及び/又は吸引チャネル(13)が、矩形、多角形、円、楕円又はループ形の基本形状を有していることを特徴とする請求項1、2又は4記載の装置、又は請求項3又は4記載のコーティングチャンバ。
【請求項6】
前記フレーム及び/又は前記吸引チャネル(13)が、広域構造を有していて、前記フレーム及び/又は前記吸引チャネルが、1つの面で実質的に配置されようになっており、特に、長手方向および幅の広がりが、厚さよりも遥かに大きいことを特徴とする請求項1、2又は4〜5のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜5のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項7】
前記吸引チャネル(13)が、前記フレームに設けられていることを特徴とする請求項1、2又は4〜6のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜6のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項8】
前記吸引チャネル(13)又はキャビティが、前記フレームの1つ以上の側部、特に、反対の側部、好ましくは前記フレームの2つの反対の側部に、吸引開口部(10)を有しており、特に、前記吸引開口部が、前記長さに沿って、好ましくは等距離離れて、均一に分配されていることを特徴とする請求項1、2又は4〜7のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜7のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項9】
前記吸引開口部が、その吸引方向で、前記装置が広がる前記面に垂直に、且つ/又は前記装置が広がる前記面において前記装置の中心に向って並んでいることを特徴とする請求項1、2又は4〜8のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜8のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項10】
前記吸引開口部(10)が、フェースプレート開口部(12)を備えた交換可能なフェースプレート(11)により特にカバーされていることを特徴とする請求項1、2又は4〜9のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜9のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項11】
前記吸引開口部又はフェースプレート開口部(12)が、穴及び/又はスリット、特に、複数の均一に分配された穴及び/又はスリットにより形成されていることを特徴とする請求項1、2又は4〜10のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜10のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項12】
加熱手段(19)が設けられていて、それによって、前記装置のコンポーネント、特に、前記フレーム及び/又は吸引チャネルを加熱することができることを特徴とする請求項1、2又は4〜11のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜11のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項13】
電極、基板及び/又は基板が提供される運搬要素のためのストップ面(14)が設けられていることを特徴とする請求項1、2又は4〜12のいずれか1項記載の装置、又は請求項3〜12のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項14】
前記装置が、電極(12)、特にガス入口のある電極の反対又は周囲に設けられていることを特徴とする請求項3〜13のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項15】
前記装置が、基板、電極及び/又は前記基板用の運搬要素のための特に調節可能なストップ要素に近接して提供されていることを特徴とする請求項3〜14のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項16】
前記コーティングチャンバ(1)が、プラズマ−エンハンスド化学蒸着用のセットアップであることを特徴とする請求項3〜15のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項17】
前記基板を、コーティング中、前記装置に対して配置して、ガスフローが、前記基板の主表面に向って、その側部に沿って進むようにすることを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。
【請求項18】
前記装置が、調節可能、特に、スライド可能で、好ましくは、反対の電極に向っていることを特徴とする請求項3〜17のいずれか1項記載のコーティングチャンバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−231574(P2008−231574A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−58728(P2008−58728)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】