説明

プラズマトーチを使用する粒子の処理方法

本発明は、プラズマトーチを使用する粒子の処理方法およびその方法で得ることができる粒子に関する。この粒子の処理方法は、(A)(a)基体および(b)基体上の少なくとも1層を含む粒子;または粒子、特に小板状の粒子を用意し、(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;(D)その粒子を冷却し;ついで(E)その粒子を回収する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマトーチを使用する粒子の処理方法およびその方法で得ることができる粒子に関する。より詳細には、本発明は、向上した(長期の)抗菌効能をもたらす、有機もしくは無機の抗菌性化合物または組成物を含む抗菌性多孔性粒子、特に多孔性の、非小板状のSiO粒子であって、ただしその多孔性粒子は多孔性のSiOフレーク(0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0)ではないものに関する。
【0002】
したがって、本発明は、粒子の処理方法であって、
(A)(a)基体および
(b)基体上の少なくとも1層
を含む粒子;または
粒子、特に小板状の粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却し;ついで
(E)その粒子を回収する
工程を含む方法に関する。
【0003】
処理は、例えば、均一な結晶性および/またはコーティングの緻密化を促進する。ある種の粒子を迅速に融解および固化すると、金属酸化物コーティングに付随する特性、例えばバリヤー特性、結合特性、および結晶性表面の生成の向上をもたらすことができる。反応ゾーンでの短い滞留時間は、迅速な処理を可能にする。さらに、粒子の表面および近表面で選択的に融解および再固化および結晶化するように、加工条件を調整することができる。また、表面レベリングを達成することができ、これにより最少の欠陥を有する均一な表面がもたらされる。表面のこのレベリングは、顔料フレークまたは顔料粒子の重要な性質である粒子の反射特性に影響する。不均一な表面への投射光は、散乱することになる。本発明の方法によるより均一な表面により、散乱は減少し、したがって、反射特性は改善される。
【0004】
処理された粒子の表面の実際の化学官能性、例えばヒドロキシル基も変化して、光および他の環境因子への安定性が改善される。
【0005】
この効果は、メチレンブルー試験により測定することができる。メチレンブルーはカチオン性であり、ヒドロキシルプロトンとイオン交換することによりTiO表面に結合することができる。その後、フレーク表面に結合したメチレンブルーの光分解を測定して、フレーク表面に露出した有機物質に対するフレークの効果を決定する。
【0006】
メチレンブルー試験は、フレークの表面上のヒドロキシル基濃度の尺度を与えるので、その試験はまた、表面領域およびコーティングされたフレーク上のコーティング密度の間接的な尺度である。例えば、メチレンブルーによる高いメチレンブルー吸収値(または高いヒドロキシル基濃度)は、コーティングされたフレークのコーティングが大きな細孔容積、したがって低い密度を有することを示している。低い吸収値は、より少ない細孔とより高いコーティング密度を有する平滑な表面を意味する。このことは、表面電子顕微鏡(SEM)により確認される。
【0007】
他の事柄の中でも、このことは、粒子の凝集を回避するのに役立つことができる。
【0008】
粒子は、原則として、任意の形状を有することができる。好ましい基体は、任意の高アスペクト比材料、例えば小板状物(フレーク)、ロッド状の材料および繊維である。アスペクト比は、少なくとも10〜1である。用語「アスペクト比」は、粒子の最大寸法と最小寸法の比を意味する。
【0009】
基材として使用することができる好適な基体として、例えば、球状、ロッド状、または小板状の基体が挙げられ、特に好ましいものは、天然のマイカ様酸化鉄(例えば、WO99/48634中のもの)、合成のおよびドープしたマイカ様酸化鉄(例えば、EP−A−0068311中のもの)、マイカ(ムスコバイト、金雲母、フルオロ金雲母、合成フルオロ金雲母、タルク、カオリン)、塩基性炭酸鉛、フレーク状硫酸バリウム、SiO、Al、TiO、ガラス、ZnO、ZrO、SnO、BiOCl、酸化クロム、BN、MgOフレーク、Si、グラファイト、真珠光沢顔料(流動床条件下で反応して、窒化物、オキシ窒化物になるもの、または還元して亜酸化物になるものを含む)(例えば、EP−A−9739066、EP−A−0948571、WO99/61529、EP−A−1028146、EP−A−0763573、US−A−5,858,078、WO98/53012、WO97/43348、US−B−6,165,260、DE−A−1519116、WO97/46624、EP−A−0509352)、真珠光沢多層顔料(例えば、EP−A−0948572、EP−A−0882099、US−A−5,958,125、6,139,613)、コーティングされたまたはコーティングされていないSiO球状物(例えば、EP−A−0803550、EP−A−1063265、JP−A−11322324)、EP−A−0803550、EP−A−1063265、JP−A−11322324)が挙げられる。特に好ましいものは、マイカ、SiOフレーク、Alフレーク、TiOフレーク、Feフレーク、BiOClおよびガラスフレークである。
【0010】
本発明のためのガラスフレークは、公知のグレード、例えばA−ガラス、E−ガラス(高い抵抗率は、E−ガラスを電気的積層物に好適なものとする)、C−ガラス、およびECR−ガラス(腐食グレードのガラス)材料のいずれをも挙げることができる。
【0011】
プラズマトーチは、好ましくは誘導プラズマトーチである。本発明の方法で使用される好ましい誘導プラズマトーチは、Tekna Plasma Systems, Inc.(カナダ、ケベック、Sherbrooke)から入手される。プラズマ誘導トーチの構築および操作に関する教示に関するBoulosらのUS−A−5,200,595を、参照として本明細書に組み入れる。
【0012】
その方法で使用される誘導プラズマトーチは、プラズマ誘導トーチに輸送するための気体の上方または下方への流れに粒子を随伴させることにより操作する粉末フィーダーを備えている。さらに、粒子をスラリー(例えば、水性、有機溶媒、例えばC1−4アルコール、ケトン、およびジ−C1−2アルキルエーテル)としてプラズマ反応器に注入することも可能である。このスラリーは、注入プローブの先端で霧化される。
【0013】
本発明の好ましい実施態様において、輸送気体は、不活性であり、すなわち、粒子の外表面と反応しない。典型的には、流動化用の気体状媒体は、粒子と相容性であるように選択され、すなわち、粒子の品質に実質的に悪影響を与えないものである。そのような輸送気体の例は、アルゴン、窒素、ヘリウム、酸素、または乾燥空気もしくはアルゴン/水素およびアルゴン/酸素等の混合物である。一般に、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム等のような気体を使用することができ、粒子の不都合な酸化反応が実質的に生じない、空気が最適な気体である。
【0014】
不活性気体の使用は、外表面の熱的な変性を排除しない。本発明の方法は、例えば、コアと、60〜95重量%の炭素および5〜25重量%の窒素を有し、100%までの残余は水素、酸素および硫黄よりなる群の元素から選択される化合物から実質的になる少なくとも1つのコーティング層とを含む(小板状の)粒子を製造するために使用することができる。例えば、ポリアクリロニトリル(PAM)を、粒子上にコーティングすることができる。本発明の方法で処理された場合、PAMは、炭素層に変換される。追加の金属酸化物層を、湿式化学により炭素層の最上部に形成することができる。
【0015】
その粒子は、
(A)
(a)コアと、
(b)フレークの表面に、窒素原子と炭素原子を含むポリマーコーティング
を含む(小板状の)粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却し;ついで
(E)小板状のマイカ粒子を回収する
工程を含む方法により製造することができる。
【0016】
(a)コアと(b)フレークの表面に、窒素原子および炭素原子を含むポリマーコーティングとを含む小板状の粒子は、EP−A−0982376に記載されているようにして製造することができる:
(a)液体中に小板状の材料を懸濁し;
(b)適切ならば、表面改質剤および/または重合触媒を添加し;
(c)工程(b)の前または後に、窒素原子と炭素原子とを含む1以上のポリマーまたはそのようなポリマーを生成することができる1以上のモノマーを添加し;
(d)小板状の材料の表面にポリマーコーティングを形成し;
(e)小板状の材料を単離する。
単離した小板状の材料は、空気流または噴霧乾燥機中で乾燥することができる。
【0017】
ポリマーは、ポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴム、またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、好ましくはポリアクリロニトリルであり、またはモノマーは、ピロール誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはクロトンアミド、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはクロトノニトリル、最も好ましくはアクリロニトリルである。
【0018】
化合物の炭素含量は、好ましくは70〜90重量%である。水素含量は、好ましくは0.5〜5重量%である。窒素含量は、好ましくは13〜22重量%である。硫黄含量は、好ましくは1重量%未満、最も好ましくは零である。
【0019】
好適なコア基体は、透明、部分的に反射性、または反射性のものである。その例は、平たい金属もしくはシリカの粒子、グラファイト、Fe、MoS、タルクまたはガラスフレーク、およびβ−フタロシアニン、フルオロルビン、赤色ペリレンまたはジケトピロロピロールの小板状の結晶である。シリカ粒子が好ましく、特に、薄く着色したもしくは白色のマイカ、例えばセリサイト、カオリナイト、ムスコバイト、黒雲母、金雲母、または関連するバーミキュライト、または任意の合成マイカが好ましい。
【0020】
他の好ましい実施態様は、平たい金属粒子をコアとして使用することである。好適な金属粒子の例としては、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Fe、Ge、Mo、Ni、Pt、Pd、Si、Sn、Ti、またはそれらの合金、例えば真鍮もしくは鋼のフレーク、好ましくはAlフレークである。他の有用な反射性材料としては、遷移金属とランタニド金属およびそれらの組み合わせ;ならびに金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、それらの組み合わせ、または金属と1以上のこれらの材料との混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。材料によっては、天然の光学的に非干渉性の酸化物層を、金属粒子の表面に形成することができる。部分的に反射するコアは、好ましくは、表面に垂直に降り注ぐ380〜800nmの範囲の光の少なくとも35%を反射する。
【0021】
反射層の厚さは、約40nm〜約150nmの範囲とすることができる。例えば、約40nmの下限値は、アルミニウムが透過性ではないので、アルミニウム反射層に対して選択するのが好ましい。他の反射材料は、非透過性の厚さを得るために、より高いかより低い最小厚さに調整することができる。
【0022】
インスタント顔料は、また、好ましくは、コアと窒素をドープした炭素コーティングとの間に中間コーティングを含み、この中間コーティングは、例えば、金属または混合金属酸化物または酸化物水和物の1以上の層を含むことができる。
【0023】
シリカのコア粒子上で、中間層は、好ましくは、金属酸化物、酸化物水和物、またはハロゲン化物、例えばチタン、ジルコニウム、スズ、鉄、クロム、もしくは亜鉛酸化物、オキシ塩化ビスマス、またはそれらの混合物からなり、その最上部には、安定性を増大させるために、場合によって保護層を塗布することが好ましく、例えば、プラズマ処理後のシリコン酸化物またはアルミニウム酸化物のような金属酸化物の層である。特に重要なものは、マイカであり、これは、反射性が高い無色の金属酸化物または酸化物水和物でコーティングされる。特に好ましいものは、二酸化ジルコニウムまたは二酸化チタンの中間コーティングであり;非常に特に好ましいものは、二酸化チタンのコーティングである。とりわけ興味深いものは、厚さが0.03〜0.3μmの絶縁性コーティング層を有するマイカである。
【0024】
金属フレーク上で、中間層は、好ましくは、金属酸化物、水和酸化物、またはハロゲン化物、例えばチタン、ジルコニウム、スズ、鉄、クロム、もしくは亜鉛酸化物、オキシ塩化ビスマス、またはそれらの混合物からなる。特に好ましいものは、二酸化シリコンのコーティングである。
【0025】
上記の中間層でコーティングされた粒子およびエフェクト顔料としてのそれらの使用は、例えばDE1467468、EP0045851、DE3237264、DE3617430、EP0298604、EP0388932、およびEP0402943から、一般的にそれ自体公知である。金属酸化物でコーティングされたマイカ小板状物はまた、Iriodin(登録商標)(E. Merck, Darmstadt)、Flonac(登録商標)(Kemira Oy, Finland)、Mearlin(登録商標)(Mearl Corporation, New York/USA)、およびInfinite Color(登録商標)(Shisheido, Japan)の名称で市販されている。コーティングされた金属フレークはまた、Chroma Flair(登録商標)(Flex Products, Inc, Santa Rosa, California/USA)およびPaliochrom(登録商標)(BASF, Germany)の名称で市販されている。コア粒子の大きさは、それ自体決定的なものではなく、特定の用途に適応させることができる。一般的には、粒子は、約1〜200μm、特に約5〜100μmの長さ、および約0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、特に約0.5μmの厚さを有している。小板状の形状を有する粒子は、長さと厚さのアスペクト比が約2:1〜約1000:1で、長さと幅の比が約3:1〜1:1の、2つの実質的に平らで平行する表面を有するようなものとして理解される。
【0026】
窒素をドープした炭素コーティングは、例えば、1nm〜1μm、好ましくは1nm〜300nm、最も好ましくは10〜150nmの厚さを有する。
【0027】
本発明の他の好ましい実施態様において、輸送気体は、反応性気体(反応気体)であるか、または反応性気体を含むものであり、すなわち、粒子の外表面を変性させるために用いられる。
【0028】
粒子の外表面を変性させるために用いられる気体は、例えば還元性気体、例えば、アンモニア、水素、メタン、一酸化炭素、他の炭化水素、例えばメタン、プロパンおよびブタン、ならびにそれらの混合物である。
【0029】
TiOコーティングが還元されたチタニウム種(チタニウムの酸化状態:<4〜2)を含むか完全にそれに変換された還元チタニアコーティング光沢顔料は、青〜黒の色相範囲の「暗真珠光沢顔料」として、例えば米国特許第5,624,487号中で、長い間知られていた。
【0030】
これらの青みがかった黒色顔料は、プラズマチャンバー中で非酸化雰囲気中、二酸化チタンでコーティングされた粒子またはフレークを上記の還元性気体のいずれかで処理し、コーティングされた二酸化チタンおよび亜酸化チタンを含む粒子またはフレークを得ることにより、本発明の方法で作製することができる。
【0031】
プラズマチャンバー中で、二酸化チタンでコーティングされた粒子またはフレークを、金属粉末、金属合金、金属ホウ化物、金属炭化物、または金属ケイ化物の形態の固体還元剤で処理することも可能である。
【0032】
還元反応は、ハロゲン化物、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化鉄、または塩化クロムの存在下で加速することができる。
【0033】
その実施態様において、輸送気体は、例えば、約80〜90%のアルゴンと残余の水素の混合物である。そのようなアルゴンと水素の混合物を輸送気体として用いることにより、例えば、二酸化チタン層を、少なくとも部分的に、亜酸化チタン層に変換することが可能である。
【0034】
反応性輸送気体の他の例は、アンモニアである。アンモニアを用いることにより、金属窒化物/オキシ窒化物でコーティングされた基体を製造することができる。
【0035】
粒子の表面に特定の効果をもたらすために気体をプラズマチャンバーに導入する具体的な方法において、いくつかのポイントがある。例えば、気体は、キャリヤーガス流、分散気体流、またはクエンチガス流で導入することができる。
【0036】
新規顔料の合成は、2つの工程に分かれる。第一工程は、前駆体の合成であり、第二工程は、本発明の方法を用いて実施される変換プロセスである。
【0037】
前駆体は、好ましくは、例えばUS−A−3,087,828、3,087,829、DE−A−1959998、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602、DE−A−3235107、WO93/08237、およびEP−A−0763573に記載されているような水性析出法で製造される。ハロゲン化物、炭酸塩、シュウ酸塩、塩化物、オキシ塩化物、またはアルコラート溶液が、基体上に酸化物、混合酸化物を各々析出させるのに使用される。温度、pH、撹拌速度、および反応器の構造のような反応パラメーターは、不溶性酸化物および/または水酸化物の平らな連続層を基体上に生成するために最適化される。混合酸化物は、類似の方法に従って、基体上に共沈される。
【0038】
広い範囲の前駆体を、同様に、酸化物か水酸化物層の各々に共沈されるドーパントイオン、例えばシリコン、バナジウム、クロム、アルミニウム、セリウム、ネオジウム、プラセオジウム、硫黄、セレン、コバルト、ニッケル、亜鉛、およびリン酸のイオンを用いて合成することができる。ドーパントは、(希土類、バナジウム、またはコバルトのイオンのように)色効果を生み出すために、ならびに反応性気体、例えばアンモニアとのその後の反応中に(SiOまたは酸化アルミニウムのような)粒子の成長を調節するために使用することができる。
【0039】
第二工程において、上記の第一工程で得られた前駆体を、窒化物/オキシ窒化物に変換する。気体の好適な混合物は、少なくとも1種の不活性気体と1種の反応気体よりなる。有用な反応気体の例は、N、またはN/Hであるが、好ましくはアンモニアである。好適な不活性気体は、Ar、H/CO/Nである。気体組成は、不活性気体中、>0〜100容積%、好ましくは20〜80容積%の反応気体である。
【0040】
例えば、TiOでコーティングされた前駆体は、プラズマトーチ中で、Ar/N気体の好適な混合物中、部分的にTiNに変性することができる。ほんの少量のTiOが表面上でTiNに変換されると、TiNは半透明のコーティングとして作用し、そこで、3層構造の干渉スペクトルと組み合わせたときに、新規な色を与える。
【0041】
さらに、TiO副層上の2〜3ナノミクロンのTiN層は、TiO副層の色を改善し、光活性度を減少させることにより、前駆体の表面を改善することができる。TiOでコーティングされた前駆体を、TiNの相対的に厚い層(>10nm)を形成するのに十分に還元すると、明るい金色が可能である。
【0042】
酸化物/混合酸化物から窒化物/オキシ窒化物への変換は、異なるパラメーター、例えば気体の流速、反応時間、または温度プロフィールに依存して行われる。反応時間が長いほど、窒化物対オキシ窒化物の比は大きくなる。したがって、反応時間は、化合物の得られる構造を決定する。
【0043】
基材として使用できる好適な基体として、例えば、球状のまたは小板状の基体が挙げられ、特に好ましいものは、天然のマイカ様酸化鉄(WO99/48634)、合成のおよびドープしたマイカ様酸化鉄(EP−A−0068311)、マイカ(ムスコバイト、金雲母、フルオロ金雲母、合成フルオロ金雲母、タルク、カオリン)、塩基性炭酸鉛、フレーク状硫酸バリウム、SiO、Al、TiO、ガラス、ZnO、ZrO、SnO、BiOCl、酸化クロム、BN、MgOフレーク、Si、グラファイト、真珠光沢顔料(流動床条件下で反応して、窒化物、オキシ窒化物になるもの、または還元して亜酸化物になるもの)(EP−A−9739066、EP−A−0948571、WO99/61529、EP−A−1028146、EP−A−0763573、US−A−5,858,078、WO98/53012、WO97/43348、US−B−6,165,260、DE−A−1519116、WO97/46624、EP−A−0509352)、真珠光沢多層顔料(例えば、EP−A−0948572、EP−A−0882099、US−A−5,958,125、6,139,613)、コーティングされたまたはコーティングされていないSiO球状物(例えば、EP−A−0803550、EP−A−1063265、JP−A−11322324)EP−A−0803550、EP−A−1063265、JP−A−11322324)が挙げられる。特に好ましいものは、マイカ、SiOフレーク、Alフレーク、TiOフレーク、Feフレーク、BiOCl、およびガラスフレークである。
【0044】
いかにして基体が作製されたかは問題とはならない。例えば、Al基体は、生成するAlが高アスペクト比のフレークである、米国特許第5,702,519号に記載の方法に従って作製することができる。米国特許第6,203,768号、第6,503,475号または欧州出願第1,611,057号には、また、粒子の作製方法が議論されており、そこでは、粒子は多相で機械的に粉状にされ、粒子の大きさおよび分布が調節されるとされている。
【0045】
基体上に析出され、次いで変換される層は、例えば、以下の窒化物および/またはオキシ窒化物をもたらす:
【0046】
−窒化物の場合:
1)次式の二元窒化物
(A=Ta、Ti、Zr、Si、Al、V、Nb、Cr、Mn、W、Mo、Fe、Li、Mg、Ca、Sr、Zn、Ga、P)、特に、Ta、Zr、Si、FeN、GaN、CrN)
0<x、0<y
【0047】
2)次式の三元窒化物
、例えば、NaPN、NaGe、MgSiN、BeSiN、MgSiN、MnSiN、MgGeN、MnGeN、ZnGeN、LiSi、NaGe、MgPN、MnPN、ZnPN、LaSi、CrYN、CrScN、CrLaN、
0<x、0<y、0<z
Li2n−3n−1(金属Mの酸化状態nは、2〜6の範囲である)、例えば、LiMgN、LiZnN、LiAlN、LiGaN、LiSiN、LiVN、LiMnN、LiCrN、LiZrN、LiCeN、CaZnN
【0048】
−オキシ窒化物の場合:
1)一金属に基づくオキシ窒化物
(A=Ta、Ti、Al、Zr、Nb、Si、P、Hf)、特に、Zr、ZrON、Zr11、HFON、AlN、Ga1−x/3N1−x(0<x<1)
0<x、0<y、0<z
【0049】
2)二金属に基づくオキシ窒化物
ABON(A=ランタニド、B=Si)、特に:LaSiO
ABON(A=Ca、SrまたはBa、B=TaまたはNb)、特に:CaTaON、SrTaON、SrNbON、BaTaON、BaNbO
ABON(A=ランタニド、B=Ta、Nb)、特に:LaTaON
ABON(A=アルカリ、B=GeまたはSi)、特に:NaGeON、KGeON、LiSiON、NaSiON
BON(A=Ca、Sr、Ba、B=Ta、Nb)
ABO3−x(A=Li、Na、K、Rb、Cs、Ba2+、Sr2+、Pb2+、Ln3+(=希土類)、Bi3+、Y3+、B=W6+、Re6+、Mo5+、Ta5+、Nb5+、Mo5+、W5+、Zr4+、Sn4+、Ge4+、Nb4+、Ta4+、Al3+、Ga3+、Ln3+(=希土類)、Fe3+、Cr3+およびx=1、2、または3で、Aの電荷aとBのbは、a+b=6+xであることが確認され;a≧x)およびこれらの化合物の固溶体
ABON(A=KまたはCs、B=Os)、特に:KOsON、RbOsON、CsOsO
BON(A=Srまたはランタニド、B=Ta)、特に:SrTaO
2Li1+xGe2−x3x3−3x
(0<x<1)
LnWO3−x(Ln=LaおよびNd、0.6<x<0.8)
LnWON(Ln=Nd、Sm、Gd、Dy)
Ln2.671.333.82.8、Ln1433−3x2xおよびLn12−3x2x(0<x、Ln=Ho、La、Nd、Sm、Y、Yb)ならびにA6.6Δ1.4およびA7.33〜6.85Δ0.67〜1.15(ここで、A=希土類およびタングステンのようなカチオン、X=アニオンとしての酸素および窒素、Δ=欠陥)の構造を有する他の同様の欠陥化合物
LnAlON(Ln=La、Nd、Sm)
Ln10Si24(Ln=La、Ce、Nd、Sm、Gd、およびY)
LnSi(Ln=La〜YbおよびY)
Zr(x)Ta(3−x)(x)(5−x)(0≦x≦0.66)
Ta(1−x)Zr(x)(1−x)(1+x)(0≦x≦0.28)
【0050】
3)三金属に基づくオキシ窒化物
AZrTa1−x2+x1−x(A=Ca、Sr、Ba、0<x<1)
LiNaPON、ReWV2+x12−3x2x(0<x)
LnCrSi4N[Ln=La〜Dy(すなわち、周期表でLaとDyの間の元素(それぞれを含む)]
LnIVSi22(Ln=La〜DyおよびMIV=TiまたはGe)
LnEuIISiON(Ln=La、Nd、Sm)
LnSi(Ln=Nd−Yb[すなわち、周期表でNdとYbの間の元素(それぞれを含む)およびY]
パイロクロア(Pyrochlore)構造:AA’2−x5+x2−xまたはA’2−yB’5+y2−y
A=Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+
A’=Ln3+(=希土類)、Bi3+、Al3+、Fe3+
B=V5+、Nb5+、Ta5+、Mo5+、W5+
B’=Zr4+、Hf4+、Sn4+、Ge4+、Si4+、Nb4+、Ta4+
0≦x、y<2(LnTaOを除く)
スピネル構造:CD2−mD’4−mまたはC1−nC’4−n
C=Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+
D=Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、V3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ni3+
D’=Zr4+、Hf4+、Sn4+、Ge4+、Si4+、Nb4+、Ta4+
C’=Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、V3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ni3+
0<m<2、0<n≦1
エルパソライト構造:A’QBO5−z、N1+z
Z=0 Q=C(二価の金属イオン)A’CBO
Z=1 Q=A”(三価の金属イオン)A’A”BO
Z=2 Q=D”(四価の金属イオン)
A’D”BO
A’、B、CおよびDは上で定義されたとおりであり、
A”は、Ln3+(=希土類)またはBi3+を表し、
D”は、四価の金属イオンを意味する
ペロブスカイト構造:A1−uA’BO2−u1+uまたはA’B1−wB’1+w2−w
A=Mg2+、Ca2+、Si2+、Ba2+
A’=Ln3+(=希土類)、Bi3+、Al3+、Fe3+
B=V5+、Nb5+、Ta5+
B’=Zr4+、Hf4+、Sn4+、Ge4+
0≦u<1;0<w≦1(LnTaONを除く)
【0051】
窒化物とオキシ窒化物のそれぞれの層の厚さは、例えば、5〜500nmの間で変化することができ、薄い厚さではわずかな濃淡と平らな角色効果を、また厚い厚さでは顕著な隠蔽性をもたらす。最適の干渉効果のためには、好ましい厚さは、50〜350nm、特に好ましくは80〜200nmである。
【0052】
本発明の好ましい真珠光沢顔料を以下に示す:
基体+窒化チタン、基体+オキシ窒化チタン、基体+TiO、基体+TiO亜酸化物、基体+Ta、好ましくはTaON(x=y=z=1)、基体+Zr、好ましくはZrONまたはZr、基体+VをドープしたZr、好ましくはVをドープしたZrONまたはZr、基体+LaTaON、基体+PrをドープしたZr、好ましくはPrをドープしたZrONまたはZr、基体+CaTaON、基体+SrTaON基体+ZrON、基体+Zr、基体+Ta、基体+TaON、基体+ZrV、基体+ZrPr10、基体+TiON+Ta、基体+TiO+TiN、基体+TiO+TiON、基体+TiO+TiO亜酸化物、基体+Ta+TiO、基体+TiO+SiO+Ta、基体+ZrON+TiO、基体+TiON+ZrON、基体+TiO+ZrON
【0053】
記号TiO亜酸化物は、亜酸化チタン(<4〜2の酸化状態に部分的に還元されたTiO2およびより低い酸化物、例えばTi、TiからTiOまで)を意味する。
【0054】
特に好ましい顔料を以下に示す:
マイカ+窒化チタン、マイカ+オキシ窒化チタン、マイカ+TiO、マイカ+TiO亜酸化物、マイカ+Ta、マイカ+Zr、マイカ+VをドープしたZr、マイカ+LaTaON、マイカ+PrをドープしたZr、マイカ+CaTaON、マイカ+SrTaON、マイカ+ZrON、マイカ+Zr、マイカ+Ta、マイカ+TaON、マイカ+ZrV、マイカ+ZrPrO10、マイカ+TiON+Ta、マイカ+TiO+TiO亜酸化物、マイカ+Ta+TiO、マイカ+TiO+SiO+Ta、マイカ+ZrON+TiO、マイカ+TiON+ZrON、マイカ+TiO+ZrON
【0055】
SiOフレーク+窒化チタン、SiOフレーク+TiO亜酸化物、SiOフレーク+オキシ窒化チタン、SiOフレーク+Ta、SiOフレーク+Zr、SiOフレーク+VをドープしたZr、SiOフレーク+LaTaON、SiOフレーク+PrをドープしたZr、SiOフレーク+CaTaON、SiOフレーク+SrTaON、SiOフレーク+ZrON、SiOフレーク+Zr、SiOフレーク+Ta、SiOフレーク+TaON、SiOフレーク+ZrV、SiOフレーク+ZrPr10、SiOフレーク+TiO+TiN、SiOフレーク+TiO+TiO亜酸化物、SiOフレーク+TiON+Ta、SiOフレーク+Ta+TiO、SiOフレーク+TiO+SiO+Ta、SiOフレーク+ZrON+TiO、SiOフレーク+TiON+ZrON、SiOフレーク+TiO+ZrON
Alフレーク+窒化チタン、Alフレーク+オキシ窒化チタン、Alフレーク+TiO、Alフレーク+TiO亜酸化物、Alフレーク+Ta、Alフレーク+Zr、Alフレーク+VをドープしたZr、Alフレーク+LaTaON、Alフレーク+PrをドープしたZr、Alフレーク+CaTaON、Alフレーク+SrTaON、Alフレーク+ZrON、Alフレーク+Zr、Alフレーク+Ta、Alフレーク+TaON、Alフレーク+ZrV、Alフレーク+ZrPr10、Alフレーク+TiON+Ta、Alフレーク+TiO+TiN、Alフレーク+TiO+TiO亜酸化物、Alフレーク+Ta+TiO、Alフレーク+TiO+SiO+Ta、Alフレーク+ZrON+TiO、Alフレーク+TiON+ZrON、Alフレーク+TiO+ZrON
TiOフレーク+窒化チタン、TiOフレーク+オキシ窒化チタン、TiOフレーク+TiO亜酸化物、TiOフレーク+Ta、TiOフレーク+Zr、TiOフレーク+VをドープしたZr、TiOフレーク+LaTaON、TiOフレーク+PrをドープしたZr、TiOフレーク+CaTaON、TiOフレーク+SrTaON、TiOフレーク+ZrON、TiOフレーク+Zr、TiOフレーク+Ta、TiOフレーク+TaON、TiOフレーク+ZrV、TiOフレーク+ZrPr10、TiOフレーク+TiON+Ta、TiOフレーク+Ta+TiO、TiOフレーク+TiO+SiO+Ta、TiOフレーク+ZrON+TiO、TiOフレーク+TiON+ZrON、TiOフレーク+TiO+ZrON
Feフレーク+窒化チタン、Feフレーク+オキシ窒化チタン、Feフレーク+Ta、Feフレーク+TiO、Feフレーク+TiO亜酸化物、Feフレーク+Zr、Feフレーク+VをドープしたZr、Feフレーク+LaTaON、Feフレーク+PrをドープしたZr、Feフレーク+CaTaON、Feフレーク+SrTaON、Feフレーク+ZrON、Feフレーク+Zr、Feフレーク+Ta、Feフレーク+TaON、Feフレーク+ZrV、Feフレーク+ZrPr10、Feフレーク+TiON+Ta、Feフレーク+Ta+TiO、Feフレーク+TiO+SiO+Ta、Feフレーク+ZrON+TiO、Feフレーク+TiON+ZrON、Feフレーク+TiO+ZrON、Feフレーク+TiO+TiN、Feフレーク+TiO+TiO亜酸化物
BiOClフレーク+窒化チタン、BiOClフレーク+オキシ窒化チタン、BiOCl+Ta、BiOCl+Zr、BiOCl+VをドープしたZr、BiOCl+LaTaON、BiOCl+PrをドープしたZr、BiOCl+CaTaON、BiOCl+SrTaON、BiOCl+ZrON、BiOCl+Zr、BiOCl+Ta、BiOCl+TaON、BiOCl+ZrV、BiOCl+ZrPr10、BiOCl+TiON+Ta、BiOCl+Ta+TiO、BiOCl+TiO+SiO+Ta、BiOCl+ZrON+TiO、BiOCl+TiON+ZrON、BiOCl+TiO+ZrON、BiOCl+TiO+TiN、
マイカ+TiO+窒化チタン、マイカ+TiO+オキシ窒化チタン、マイカ+TiO+Ta、マイカ+TiO+Zr、マイカ+TiO+VをドープしたZr、マイカ+TiO+LaTaON、マイカ+TiO+PrをドープしたZr、マイカ+TiO+CaTaON、マイカ+TiO+SrTaON、マイカ+TiO+ZrON、マイカ+TiO+Zr、マイカ+TiO+Ta、マイカ+TiO+TaON、マイカ+TiO+ZrV、マイカ+TiO+ZrPr10、マイカ+TiO+TiON+Ta、マイカ+TiO+Ta+TiO、マイカ+TiO+TiO+SiO+Ta、マイカ+TiO+ZrON+SiO+TiO、マイカ+TiO+TiON+ZrON、マイカ+TiO+TiO+ZrON、マイカ+TiO+SiO+TiO+Ta、マイカ+TiO+SiO+SiO+TiO+Zr、マイカ+TiO+SiO+TiO+VをドープしたZr、マイカ+TiO+SiO+TiO+LaTaON、マイカ+TiO+SiO+TiO+PrをドープしたZr、マイカ+TiO+SiO+TiO+CaTaON、マイカ+TiO+SiO+TiO+SrTaON、マイカ+TiO+SiO+TiO+ZrON、マイカ+TiO+SiO+TiO+Zr、マイカ+TiO+SiO+TiO+Ta、マイカ+TiO+SiO+TiO+TaON、マイカ+TiO+SiO+TiO+ZrV、マイカ+TiO+SiO+TiO+ZrPr10、マイカ+TiO+SiO+TiO+TiON+Ta、マイカ+TiO+SiO+TiO+Ta+TiO、マイカ+TiO+SiO+TiO+TiO+SiO+Ta、マイカ+TiO+SiO+TiO+ZrON+TiO、マイカ+TiO+SiO+TiO+TiON+ZrON、マイカ+TiO+SiO+TiO+TiO+ZrON
【0056】
窒化チタンでコーティングされた基体は、導電性顔料として使用することができる。
【0057】
金属酸化物と炭素含有化合物でコーティングされた基体を、Oフリー条件下で気体状および固体の炭化水素と反応させて、その金属酸化物を還元させ、また炭素を析出させる。還元された金属酸化物は、例えば、Fe、SnO、SnO、AgO、CuO、Ce、CeO、TiO亜酸化物、またはそれらの混合物であってもよい。還元雰囲気下での炭素含有化合物の直接分解は、非常に細かく分散された炭素粒子を所望量沈積させて、特別な色効果を生み出すこと、または極めて耐摩耗性のコーティングを製造することを可能とする(例えば、米国特許第5,271,771号参照)。
【0058】
気体の流速は、典型的には、流動化および粉末への電荷移動が得られるように選択される。細かい粉末は、同等の沈積に対して、より少ない気体流を要する。少量の水蒸気が電荷移動を向上することが見出されている。
【0059】
粒子を接触させる時間は、一般的には、基体嵩密度、厚さ、粉末の大きさ、および気体流速の関数である。特に、基体の幾何学的構造は、例えば、球状物、フレーク、短繊維、および他の同様の粒子である。
【0060】
誘導プラズマトーチは、随伴された粒子が通過する反応ゾーンを含む。反応ゾーンの温度は、好ましくは、粒子の外側層の最も高い融解成分の融点より十分に高い温度であり、好ましくはその層の最も低い気化成分の気化点より低い温度であり、比較的短時間の滞留を可能にする。粒子が反応ゾーンを通過するにつれて、粒子の外表面は、少なくとも一部融解する。好ましくは、フレークは、粒子間の接触および融合を最小化する流速でトーチを通過する。
【0061】
粒子の外表面は気体中に随伴されている間に融解されるので、得られた粒子は、平滑な外表面を有する。融解後、粒子は、冷却され、固体表面と接触するまたはお互いに接触する前に少なくとも部分的に固化するのに十分な距離を降下する。いくつかの方法のいずれもが、この結果を達成するのに使用することができるが、融解表面を有する粒子を輸送気体中に随伴されたままで、気体状の雰囲気を含有する液体冷却チャンバーに供給することが好都合であることが見出された。
【0062】
種々のコーティング方法を、コーティング層を生成する際に利用することができる。コーティング層を生成する好適な方法として、真空蒸着、ゾル−ゲル加水分解、流動床中でのCVD(US−A−5,364,467およびUS−A−5,763,086)、および電気化学的沈着が挙げられる。他の沈着方法は、化学種がプラズマにより活性化されるプラズマ助長化学蒸着(PECVD)である。このような方法は、WO02/31058に、詳細に開示されている。好ましいものは、例えば、DE−A−1467468、DE−A−1959988、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2215191、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602、およびDE−A−3235017、DE1959988、WO93/08237、ならびにWO98/53001に記載されている真珠光沢顔料の製造用に開発された湿式化学コーティング方法ならびに、例えば、WO2004111298およびWO2004113455に記載されているマイクロ波放射を用いる湿式化学コーティング方法である。
【0063】
粒子が(a)基体および(b)基体上の少なくとも1層を含む場合;層(b)は、好ましくは湿式化学方法により沈着される。
【0064】
基本的に、粒子は任意の形状を有するが、好ましい基体は、任意の高アスペクト比材料、例えば小板状(フレーク)、ロッド状の材料および繊維である。アスペクト比は、少なくとも10〜1である。用語「アスペクト比」は、粒子の最大寸法と最小寸法の比を意味する。
【0065】
板状の粒子(フレーク、平行な構造)は、一般に、1μm〜5mmの長さ、1μm〜2mmの幅、および20nm〜2μmの厚さ、および少なくとも2:1の長さと厚さの比を有し、粒子は2つの実質的に平行な面を有し、その間の距離はコアの最短軸である。
【0066】
本発明のフレークは、均一な形状ではない。それにもかかわらず、簡潔のために、フレークは、「直径」を有するものとして称される。フレークは、20〜2000nm、特に50〜1000nmの厚さを有する。現在、フレークの直径は、約1〜60μmの好ましい範囲、約5〜40μmのより好ましい範囲にある。そこで、本発明のフレークのアスペクト比は、約2.5〜625の好ましい範囲にある。
【0067】
フレークを本発明の方法で処理すると、いくつかの球状粒子を生成することができる。これらは、所望ならば、簡単な沈殿法で除去することができる。
【0068】
好ましい実施態様において、本発明の方法は、(a)基体および(b)異なる種類の元素をドープした酸化金属、0.1〜30重量%、好ましくは3〜15重量%のアンチモン、リン、またはフッ素をドープした酸化スズ、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%のテルルをドープした酸化スズ、酸化インジウム系のもの、例えば0.1〜20重量%のスズをドープした酸化インジウム、CdSnO、CdSnO、InTeO、CdIn、CdIn(2−x)Sn(式中、x=0.001〜0.2)、CdSn(1−y)Sb(式中、y=0.001〜0.1)、およびInTe0.98Re0.02、を含む導電性層を含む粒子の処理に使用される。
【0069】
好適な基体は、高アスペクト比の材料、例えば小板状物、フレーク、ロッド状の材料および繊維(例えば、ガラスフレーク、小板状の層状シリケート、無機質またはセラミック繊維)である。アスペクト比は少なくとも10〜1である。
【0070】
好ましいものは、導電性層(b)を有する透明な小板状基体、例えば、マイカもしくはガラス(EP−A−139557)または、小板状の金属酸化物または1以上の金属酸化物でコーティングされた小板状の材料が、小板状の基体として存在し、場合により水和された二酸化ケイ素層または他の不溶性シリケートの層が、場合により金属酸化物層と導電層(b)との間に配置されている、小板状基体が電気導電層(b)でコーティングされている小板状の顔料(EP−A−373575)である。
【0071】
基本的に、すべての小板状のエフェクト顔料、例えば、小板状の酸化鉄、オキシ塩化ビスマス、または有色もしくは無色の金属酸化物でコーティングされた小板状の材料、例えば天然もしくは合成マイカ、タルク、カオリンもしくはセリサイトのような他の積層シリケートまたはガラス小板状物を、小板状の基体として使用することができる。例えば、US−A−3,087,828および3,087,829に開示されているような金属酸化物でコーティングされたマイカフレークが、基体として特に好ましい。金属酸化物は、無色の、高度に反射性の金属酸化物、例えば、特に、二酸化チタンおよび/または二酸化ジルコニウム、ならびに有色金属酸化物、例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、および、特に酸化鉄、例えば、Fe、もしくはFe、またはそのような金属酸化物の混合物の双方である。そのような金属酸化物/マイカ顔料は、商品名Afflair(登録商標)およびIriodin(登録商標)として市販されている。EP−A−373575に従って、これらの基体は、場合により水和されたシリカ層または他の不溶性シリケート、例えばケイ酸アルミニウムの層でコーティングされている。
【0072】
導電層(b)の適用は、それ自体公知の方法、例えば、EP−A−139,557およびEP−A−373575に記載の湿式化学法に準じて達成される。すべての従来の導電性金属酸化物または金属酸化物の混合物は、この適用に使用することができる。そのような材料の選択は、EP−A−139,557の5頁5〜19行に記載されている。しかしながら、アンチモンをドープした二酸化スズの導電層が好ましく、それは、小板状の基体に、ラメラ状の基体に対して約25〜100重量%の量、特に50〜75重量%の量で適用される。約2:1〜20:1、好ましくは約5:1〜約10:1のスズ/アンチモン比が、コーティング中に維持されることが好ましい。リンまたはフッ化物をもドーパントとして使用することができる。
【0073】
他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、エフェクト顔料の処理に使用される。エフェクト顔料は、金属もしくは非金属の、無機小板状の粒子または顔料(特に、金属エフェクト顔料または干渉顔料)、すなわち、適用媒体に色を付与する以外に、付加的な特性、例えば色の角度依存性(フロップ)、光沢(表面光沢ではない)、または風合いを付与する顔料である。金属エフェクト顔料上で、実質的に配向した反射が、方向が配向された顔料粒子で生じる。干渉顔料の場合には、色付与効果は、薄い高度に反射性の層中での光の干渉現象によるものである。
【0074】
基材として使用することができる好適な基体として、例えば、小板状の基体、特に好ましいものは、天然のマイカ様酸化鉄(例えば、WO99/48634中のもの)、合成およびドープしたマイカ様酸化鉄(例えば、EP−A−0068311中のもの)、マイカ(ムスコバイト、金雲母、フルオロ金雲母、合成フルオロ金雲母、タルク、カオリン)、塩基性炭酸鉛、フレーク状硫酸バリウム、SiO、Al、TiO、ガラス、ZnO、ZrO、SnO、BiOCl、酸化クロム、BN、MgOフレーク、Si、グラファイト、真珠光沢顔料(流動床条件下で反応して、窒化物、オキシ窒化物になるもの、または還元して亜酸化物になるもの)、真珠光沢の多層顔料(例えば、EP−A−0948572、EP−A−0882099、US−A−5,958,125、6,139,613)、コーティングされたまたはコーティングされていないSiO球状物(例えば、EP−A−0803550、EP−A−1063265、JP−A−11322324)EP−A−0803550、EP−A−1063265、JP−A−11322324)が挙げられる。特に好ましいものは、マイカ、SiOフレーク、Alフレーク、TiOフレーク、Feフレーク、およびガラスフレークである。
【0075】
本発明のその態様において、粒子は、
(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス(A、C、EおよびBとラベルされたいくつかのタイプのガラスがあり;各々は、ある特定量のSiO、Al、CaO、MgO、B、Na+KO、ZnOおよびFeO/Feを含み;好ましいガラスは、種々の成分の相対的な濃度を変更する必要がある場合においても、軟化点>600℃であるもの)、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、および
(b)基体上の高屈折率の金属酸化物、例えば、ZrO、Fe、またはTiOの層;および場合によりさらなる層、または
(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、および
(b)反射層、特に、反射性金属層もしくは半透明層、特に半透明金属層、および場合によりさらなる層、
を含む、フレークである。
【0076】
顔料フレークの色合いは、様々な被覆量またはそれからもたらされる層の厚さを選択することにより、広い範囲で変化させることができる。ある色合いへの微調整は、目視調節または測定技術での調節下に、所望の色に近づくことにより、量の純粋な選択を超えて、達成することができる。
【0077】
種々のコーティング方法を、プラズマ処理の前および/または後に、コーティング層を生成する際に利用することができる。コーティング層を生成する好適な方法として、真空蒸着、ゾル−ゲル加水分解、流動床中でのCVD(US−A−5,364,467およびUS−A−5,763,086)、および電気化学的沈着が挙げられる。他の沈着方法は、化学種がプラズマにより活性化されるプラズマ助長化学蒸着(PECVD)である。このような方法は、WO02/31058に、詳細に開示されている。好ましいものは、例えば、DE−A−1467468、DE−A−1959988、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2215191、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602、およびDE−A−3235017、DE1959988、WO93/08237、ならびにWO98/53001に記載されている真珠光沢顔料の製造用に開発された湿式化学コーティング方法ならびに、例えば、WO2004111298およびWO2004113455に記載されているマイクロ波放射を用いる湿式化学コーティング方法である。
【0078】
基本的に、面平行顔料は、基体に加えて、本明細書で約1.65以下の屈折率として定義される「低」屈折率を有する材料を含むことができ、あるいは本明細書で約1.65より大きい屈折率として定義される「高」屈折率を有する材料を含むことができる。利用できる種々の(絶縁性)材料としては、無機材料、例えば金属酸化物、金属フッ化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物、それらの組み合わせ等、ならびに有機絶縁性材料が挙げられる。これらの材料は、容易に入手でき、物理的または化学的蒸着法、特に湿式化学法により容易に適用される。
【0079】
使用できる好適な低屈折率絶縁性材料の非限定な例として、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、および金属フッ化物、例えばフッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セシウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えば、NaAlFまたはNal314)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)、それらの組み合わせ、または約1.65以下の屈折率を有する任意の他の低屈折率材料が挙げられる。例えば、有機モノマーおよびポリマーは、低屈折率材料として利用することができ、アクリレート(例えば、メタクリレート)のようなジエンまたはアルケン、パーフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン(parylene)、p−キシレン、それらの組み合わせ等が挙げられる。さらに、前述の材料としては、蒸発し、凝縮し、架橋した透明なアクリレート層が挙げられ、米国特許第5,877,895号に記載の方法により沈着することができる。好適な絶縁性材料の非限定な例を以下に示す。
【0080】
半透明金属層に好適な金属は、例えば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、またはNiである。好ましい顔料は、以下の層構造を有している:透明基体+金属+SiO+高屈折率を有する金属酸化物。
【0081】
特に好ましい実施態様において、透明基体に基づく顔料は、基体の全表面に適用される、「高」屈折率を有する、すなわち約1.65より大きい、好ましくは約2.0より大きい、最も好ましくは約2.2より大きい屈折率の絶縁性材料のさらなる層を含む。そのような絶縁性材料の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、酸化インジウム(In)、酸化スズインジウム(ITO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化鉄、例えば酸化鉄(II)/鉄(III)(Fe)および酸化鉄(III)(Fe)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジウム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)、またはそれらの組み合わせである。絶縁性材料は、好ましくは金属酸化物であり、金属酸化物は、吸収特性を有するか有しない、単一の酸化物または酸化物の混合物、例えば、TiO、ZrO、Fe、Fe、CrまたはZnOであることが可能であり、TiOが特に好ましい。
【0082】
TiO層の上に低屈折率の金属酸化物、例えばSiO、Al、AlOOH、Bまたはそれらの混合物、好ましくはSiOを適用し、さらに後者の層の上にTiO層を適用することにより、色がより強くまたより透明である顔料を得ることが可能である(EP−A−892832、EP−A−753545、WO93/08237、WO98/53011、WO9812266、WO9838254、WO99/20695、WO00/42111、およびEP−A−1213330)。
【0083】
以下の層構造を有するフレークが特に好ましい:
【0084】
【表1】

【0085】
ここで、TRASUBは、低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)であり、
STLは、半透明層、例えば、Cu、Ag、Cr、もしくはSnの半透明金属層、または半透明炭素、またはTiO亜酸化物もしくはSiO亜酸化物層である。
SiO亜酸化物は、<4のSiの酸化状態を意味する。
【0086】
顔料が多層構造を有する場合、顔料は、すべての層の沈着後に、一度、本発明の方法に従って処理することが好ましい。
【0087】
他の態様において、粒子は、二酸化チタン含有顔料である。このような顔料は、小板状の二酸化チタンのコア上に、他の金属酸化物または水和金属酸化物の層が続く、多層構造を有する。二酸化チタンに適用される他の金属酸化物または水和金属酸化物の例は、Fe、Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiO、およびアンチモンをドープした、フッ素をドープしたもしくはインジウムをドープした酸化スズである。新規な顔料の特定の実施態様において、他の金属酸化物または水和金属酸化物の第1層上に、さらなる金属酸化物または水和金属酸化物の第2層がさらに存在する。このさらなる金属酸化物または水和金属酸化物は、酸化アルミニウムまたは水和酸化アルミニウム、二酸化ケイ素または水和二酸化ケイ素、Fe、Fe、FeOOH、TiO、ZrO、Cr、およびアンチモンをドープした、フッ素をドープしたまたはインジウムをドープした酸化スズであり、第1層の金属酸化物は第2層のそれとは異なる。
【0088】
これらの二酸化チタン小板状物は、10nm〜500nmの間、好ましくは40〜150nmの間の厚さを有する。2つの他の大きさの程度は、2〜200μmの間、特に5〜50μmの間である。
二酸化チタン小板状物に適用される他の金属酸化物の層は、5〜300nm、好ましくは5〜150nmの厚さを有する。
【0089】
二酸化チタン小板状物は、例えば、WO98/53010、WO2004113455およびWO2004111298に記載の方法に従って入手される。
【0090】
他の態様において、エフェクト顔料は、
(b)屈折率nが1.8以下の無色のコーティング、および
(c)屈折率が2.0以上の無色のコーティング
を含む、少なくとも1層のパケットを含む多層にコーティングされた酸化鉄小板状物に基づくものである。
【0091】
酸化鉄小板状物の大きさは、それ自体決定的なものではなく、特定の用途に適応させることができる。一般的には、小板状物は、約1〜50μm、好ましくは約5〜20μmの平均最大直径を有する。小板状物の厚さは、一般に、10〜500nmの範囲内である。
【0092】
無色の低屈折率コーティング(b)は、屈折率n≦1.8、好ましくはn≦1.6を有する。このような材料の例は、上に示されている。特に好適な材料として、例えば、金属酸化物および水和金属酸化物、例えば酸化ケイ素、水和酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水和酸化アルミニウム、およびそれらの混合物が挙げられ、酸化ケイ素(水和物)が好ましい。
【0093】
コーティング(b)の幾何学的な層の厚さは、一般に、50〜800nmの範囲、好ましくは100〜600nmの範囲内である。層(b)は、基本的に顔料の干渉色を決定するため、唯一つの層パケット(b)+(c)を有し、特に顕著な色プレイを示すため同じく好ましい光沢顔料に関して、層(b)は約200nmの最小の層厚さを有する。複数(例えば、2、3または4)の層パケット(b)+(c)が存在する場合、(b)の層厚さは、好ましくは、50〜200nmの範囲内である。
【0094】
無色の高屈折率コーティング(c)は、屈折率n≧2.0、特にn≧2.4を有する。このような材料の例は、上に示されている。特に好適な層材料(b)として、金属硫化物、例えば硫化亜鉛のみならず、特に金属酸化物および水和金属酸化物、例えば二酸化チタン、水和酸化チタン、二酸化ジルコニウム、水和酸化ジルコニウム、二酸化スズ、水和酸化スズ、酸化亜鉛、水和酸化亜鉛、およびそれらの混合物が挙げられ、二酸化チタンおよび水和酸化チタンならびに約5重量%までの他の金属酸化物、特に二酸化スズとのそれらの混合物が好ましい。
【0095】
コーティング(c)は、好ましくは、コーティング(b)よりも小さい層厚さを有する。コーティング(c)の幾何学的な層の厚さは、5〜50nmの範囲、特に10〜40nmの範囲である。
【0096】
本発明に係る好ましいコーティング(c)は、本質的に二酸化チタンよりなる。
【0097】
本発明の方法により処理することができるさらなるエフェクト顔料は、
(a)金属の小板状の基体、例えばチタン、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、ゲルマニウム、モリブデン、タンタル、またはニッケル、および
(b)基体上の、低屈折率の金属酸化物、例えばSiO、SiO(ここで、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0)、もしくはAlまたは高屈折率のもの、例えばZrO、TiO亜酸化物、もしくはTiOの層
を含む。
【0098】
金属のコアを有するフレークには、金属酸化物の層および半透明コーティングが続く:
【0099】
【表2】

【0100】
METALは、任意の反射性層、好ましくは金属反射性層、例えばチタン、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、ゲルマニウム、モリブデン、タンタル、またはニッケルである。最も好ましくは、フレークはアルミニウムである。
【0101】
好ましいものは、WO04/052999に記載の方法により入手できるSiOでコーティングされたアルミニウムフレークまたはWO04/052999に記載の方法により得られるSiOでコーティングされたアルミニウムフレークに基づく顔料である。このような顔料は、好ましくは以下の層構造を有する:C/X/Al/X/C、Al/X/Al/X/Al、C(5〜40nm)/X(100〜600nm)/Al(50〜100nm)/X(100〜600nm)/C(5〜40nm)、MoS/X/Al/X/MoS、Fe/X/Al/X/Fe(ここで、XはSiOまたはSiOであり、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0)。
【0102】
同様に好ましいものは、SiOまたはTiOでコーティングされたアルミニウムフレークに基づく顔料である。このような顔料は、好ましくは、C/X/AL/X/Cの以下の層構造を有する。Cは、任意の半透明(または半不透明)の材料、例えば、クロム、TiO亜酸化物、またはSiOである(ここで、XはSiOまたはTiOであり、0.70≦z≦2.0、好ましくは1.0≦z≦2.0、最も好ましくは1.4≦z≦2.0)。
【0103】
例えば、他のC/X/Al/X/Cエフェクト顔料は、TiO亜酸化物/SiO/Al/SiO/TiO亜酸化物、SiO亜酸化物/SiO/Al/SiO/SiO亜酸化物、TiO亜酸化物/TiO/SiO/Al/SiO/TiO/TiO亜酸化物である。
【0104】
さらに、本発明の方法は、アナターゼ型TiOをルチル型TiOに変換するために使用することができる。その方法は、少量のSnOを添加することにより触媒作用を及ぼすことができる。例えば、WO93/08237に記載のように、二酸化スズは、二酸化チタンの析出前に沈積させることができる。少量のFeおよび1以上のZn、CaおよびMgイオンを、水和二酸化チタンの析出が始まる前にコーティングに導入すると、同じ効果が得られる(US−B−6,056,815およびUS−B−5,433,779)。
【0105】
適用されたか焼温度にかかわらず、裸のマイカ上のTiOコーティングは、アナターゼ結晶相を示すことが周知である。アナターゼは、その低屈折率(アナターゼ=2.3、ルチル=2.7)および増大した光触媒活性の故に、エフェクト顔料には好ましい結晶形態ではない。結晶化をルチル相に誘導するための一般的なアプローチは、湿式化学を介して、酸化スズの薄い層をマイカ基体にまず沈着することである。酸化スズは、ルチル相ときわめて類似の錫石構造を有している。酸化スズ層の上にTiOを続いて沈着させることは、アナターゼよりもむしろルチル相の成長を誘導する。
【0106】
驚くことに、本発明者は、プラズマトーチ中でアナターゼがコーティングされた前駆体を処理することにより、酸化スズのテンプレート層なしで速度論的に安定なアナターゼ相を熱力学的に安定なルチル型に変換することが可能であることを見出した。
【0107】
このように、本発明の方法は、スズフリーでルチルがコーティングされたフレークを提供する。
【0108】
酸化スズフリーでルチルがコーティングされたフレークは、日本のような特定の国で酸化スズを含むことが望まれない化粧品やパーソナルケア用途のような用途において特に有利である。
【0109】
また、様々なプラズマ条件(還元または酸化)は、基本的に酸素化学量論を制御することによりTiO顔料の色合いを変化させることが発見された。得られた顔料は、銀または金の金属様効果を示す。
【0110】
したがって、本発明は、また、
(A)(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、
(b)基体上のアナターゼ変性の酸化チタンの層、および(c)場合により、基体(a)と層(b)との間の酸化スズ層;または場合により酸化スズを含むアナターゼ変性の小板状の酸化チタン、
を含む小板状の粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却して固体粒子を形成し;ついで
(E)(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、
(b)基体上のルチル変性の酸化チタンの層、および場合により、
(c)基体(a)と層(b)との間の酸化スズ層;場合により酸化スズを含むルチル変性の小板状の酸化チタン、
を含む小板状の粒子を回収する、
工程を含む、粒子の処理方法に関する。
【0111】
上記のルチル変性の小板状の粒子は、続いてTiOのコーティングで沈積することにより、さらに変性することができる。例えば、TiOの第二のコーティングを、湿式化学沈積により、ルチル変性層の上に沈積させることができる。か焼すると、第2のTiOコーティングは、ルチル相に変換する。この続いてのコーティングは、すべて、酸化スズでのテンプレートなしで、種々の厚さのルチルコーティングを与えることができる。
【0112】
その方法は、好ましくは、以下の層構造:TRASUB/(SnO)TiO(式中、TRASUBは透明な基体であり、SnOは任意のものである)を有する上述のフレーク用に使用される。透明な基体は、特に、500nmより小さい、特に350nmより小さい厚さおよび平均厚さの30%程度の厚さのばらつきの標準偏差を有するガラスフレークであり、その製造は、WO2004/056717に記載されている。
【0113】
表面コーティング組成物中に顔料成分として存在する二酸化チタン粒子は、紫外線および湿気に暴露すると、白化として知られているポリマーの酸化的分解を引き起こすことが公知である。
【0114】
二酸化チタンのこの作用を抑制するために、粒子、特にフレークは、
(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、
(b)二酸化チタン層、
(c)水和酸化アルミニウムの層、水和酸化ジルコニウムの層、次亜リン酸塩の存在下に加水分解により得られる水和酸化ジルコニウムおよび水和金属酸化物または水和セリウムおよびアルミニウム酸化物の組み合わせを含む最上層、(本発明の方法により処理される)、ポリシロキサンおよび希土類金属化合物を含む層(トップコート)、
を含む。
【0115】
金属酸化物でコーティングされたマイカ顔料を水和酸化アルミニウムでコーティングすることは、公知である。
それは、例えば、US−A−5,091,011に記載されており、その開示を、参照としてここに組み入れる。簡潔には、顔料を撹拌して水に分散し、次いで、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムカリウムのようなアルミニウム化合物および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアまたは尿素のような中和剤を同時に水溶液として加える。生じる加水分解により、水和酸化物は基体上に沈着される。アルミニウム化合物は、平滑で、連続的な層を小板状物上に生成させるために十分にゆっくりと加える必要があり、その速度は、約0.03〜0.1mgAl/分/g顔料、好ましくは約0.005〜0.07mgAl/分/g顔料の範囲内である必要がある。アルミニウム化合物溶液の量は、顔料の全重量に対して、約0.05〜1.2%のアルミニウム、好ましくは約0.1〜0.8%のアルミニウムを含む水和酸化アルミニウムを生成するように使用される。コーティングの沈着後、生成物を濾過し、水洗し、乾燥する。
【0116】
二酸化チタンまたは酸化鉄でコーティングされたマイカ真珠光沢顔料を水和セリウムおよび酸化アルミニウムの組み合わせより実質的になるコーティングでコーティングすることもまた、それ自体公知である。例えば、US−A−5,423,912に記載されており、その開示を、参照としてここに組み入れる。
【0117】
アルミニウムまたはアルミニウム−セリウムで処理した金属酸化物でコーティングされたマイカ真珠光沢顔料は、場合により、加水分解されたシランカップリング剤またはそのような試剤の混合物で処理することができる。これらは、知られているように、有機材料と無機材料の間の界面として作用して、それら2つの間の親和性を向上させる化合物である。このように、シランカップリング剤は、一般に、ケイ素に直接的にまたは間接的に結合した有機官能性基とケイ素官能性基の双方を有する。
【0118】
シランカップリング剤の例は、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、塩化オクタデシルジメチル−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]アンモニウム、γ−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチル−ジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等である。
【0119】
二酸化チタンベースの顔料上に水和酸化ジルコニウムコーティングを有する真珠光沢顔料は、EP−A−0268918に記載されており、このコーティングは、ジ亜リン酸塩の存在下にジルコニウム塩を加水分解することにより得られる。
【0120】
ジ亜リン酸塩の存在下に加水分解することにより得られる水和酸化ジルコニウムおよび水和金属酸化物を含む最上層を二酸化チタンベースの顔料上に有する真珠光沢顔料は、EP−A−0342533に記載されている。その金属酸化物は、酸化コバルト、酸化マンガン、または酸化セリウムであることができる。
【0121】
金属酸化物のコートの上部に、顔料がポリシロキサンと希土類金属化合物を含むトップコートを有することを特徴とする、金属酸化物でコーティングされたマイカフレークは、US−A−4544415に記載されている。希土類金属は、好ましくは、セリウムである。さらに、その層は、相容性の亜鉛もしくはアルミニウムまたは双方、あるいはシリケートを含むことができる。
【0122】
上記の層は、特に、二酸化チタンでコーティングされたマイカ小板状物に安定性を与えるために使用される。
【0123】
さらなる態様において、本発明の方法は、小板状のマイカ粒子を変性するために使用される。したがって、本発明は、
(A)層状のシリケートフレーク、特に小板状のマイカ粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却して固体粒子を形成し;ついで
(E)層状のシリケートフレーク、特に小板状のマイカ粒子を回収する
工程を含む、粒子の処理方法を提供する。
【0124】
本発明の方法は、出発原料よりもより小さい平均厚さおよび/またはより平滑な表面を有する層状のシリケートフレーク、特に小板状のマイカ粒子を提供することができる。層状シリケートフレークの例は、例えば、マイカ、モンモリロナイト、サポナイト等である。
【0125】
その態様は、小板状のマイカ粒子についてより詳細に説明されるが、それに限定されない。
【0126】
小板状のマイカ粒子は、好ましくは、(例えば、水性の)スラリーとしてプラズマ反応器に注入される。このスラリーは、注入プローブの先端で、霧状化される。
【0127】
小板状のマイカ粒子は、天然または合成起源のものであることができる。天然または合成のものの双方が好ましく、入手性に依存する。
【0128】
本発明で使用される合成マイカは、以下の一般式:
0.52−310(FOH) (1)
(式中、Xは、配位数12を占める層間イオンであり、K、Na、Li、Rb、Cs、Tl、Ca2+、Sr2+、およびBa2+を表す。
Yは、配位数6を占める八面体イオンであり、Mg2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Li、Ti2+、Zn2+、Cu2+、Al3+、Ti3+、Cr3+、Fe3+、およびMn3+を表す。
Zは、配位数4を占める四面体イオンであり、Si4+、Al3+、B3+、Fe3+、Mn3+、Be2+、Zn2+、およびGe4+を表す)
で表される。
【0129】
本発明で使用される合成マイカとして、フッ素マイカ、例えばフルオロ金雲母、フルオロ四ケイ酸マイカ、フルオロテニオライト(taeniolite)、およびこれらの物質の同形置換体を好ましく使用することができる。上記の合成マイカのうち、Ti、Zn、Na、B、Li、Ca、Ge、Sr、およびZrから選択される少なくとも1種を0.01〜5%含有する合成マイカを使用することができる。
【0130】
3〜100μmの平面方向の直径および0.05〜1μmの厚さを有するフレーク状(合成)マイカ粒子を、本発明において出発原料として使用することが好ましい。本発明で使用される合成マイカは、1.58以下の屈折率を有する。合成マイカのアスペクト比は、60以上であることが好ましい。本発明の方法を使用することにより、厚さの標準偏差が平均厚さの40%未満であり、平滑な表面を有する、5〜200μmの平面方向の直径および250nm以下の平均厚さを有するフレーク状(合成)マイカ粒子を得ることが可能である。合成マイカのアスペクト比は、60以上であることが好ましい。
【0131】
本発明の方法により処理されたこの合成マイカを使用すると、真珠光沢顔料の輝度を増大させ、シャープで明るい色をもたらし、不鮮明な補色を排除することが可能となる。
【0132】
本発明の方法は、新規な生成物を提供する。したがって、本発明は、また、本発明の方法により得ることができる生成物に関する。
【0133】
本発明の一つの特別な実施態様として、本発明の方法により得ることができる生成物は、顔料に関する。本発明の方法により特別な色および他の特別な効果を得ることが可能であるので、得ることができる顔料は、コーティング、プラスチック、印刷インク、化粧品、およびパーソナルケア製品に組み入れることができる。
【0134】
プラズマ処理された粒子は、高分子量材料の着色に極めて好適であり、その材料はさらに、繊維、流延品および成型品またはコーティング組成物、例えば溶媒もしくは水ベースのコーティングに加工され、これらは、例えば、自動車産業で従来から使用されている。
【0135】
このように、高分子量有機材料は、好ましくは、工業用塗料、自動車用塗料、または成型品である。
【0136】
好適な高分子量有機材料として、熱可塑性プラスチックス、熱硬化性プラスチックスまたはエラストマー、天然樹脂またはカゼイン、例えばセルロースエーテル;セルロースエステル、例えばエチルセルロース;直鎖状または架橋ポリウレタン;直鎖状、架橋または不飽和ポリエステル;ポリカーボネート;ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、またはポリ−4−メチルペンタ−1−エン;ポリスチレン;ポリスルホン;ポリアミド;ポリシクロアミド;ポリイミド;ポリエーテル;ポリエーテルケトン、例えばポリフェニレンオキシド;およびまた、ポリ−p−キシレン;ポリハロゲン化ビニル、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、またはポリテトラフルオロエチレン;アクリルポリマー、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリアクリロニトリル;ゴム;シリコーンポリマー;フェノール/ホルムアルデヒド樹脂;メラミン/ホルムアルデヒド樹脂;尿素/ホルムアルデヒド樹脂;エポキシ樹脂;スチレンブタジエンゴム;アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはクロロプレンゴム;単独でまたは混合物で挙げられる。
【0137】
本発明の目的での高分子量は、約10〜約10g/モルの平均分子量を意味する。
【0138】
本発明の方法により得られるこのようなコーティング、プラスチック、塗料、印刷インク、セラミック、またはガラスに組み込まれる粒子およびその使用は、本発明により具体化される。
【0139】
プラズマ処理された粒子は、また、単一の成分としてまたは他の化合物との混合物に組み入れられる。特に、皮膚ケア製品、浴用およびシャワー製品、芳香剤および芳しい物質を含有する調製物、毛髪ケア製品、脱臭および発汗抑制調製物、装飾調製物、光保護調合物および活性成分を含有する調製物ならびにそれらの使用が考えられる。
【0140】
皮膚ケア製品は、特に、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、シェービング調製物、例えばシェービングフォームまたはジェル、スキンパウダー、例えばベビーパウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、再活性化ボディスプレー、セルライトジェル、およびピーリング調製物である。
【0141】
好適な浴用およびシャワー製品は、シャワージェル、バスソルト、入浴剤、および石鹸である。
【0142】
芳香剤および芳しい物質を含有する調製物は、特に、香料、香水、化粧水、およびシェービングローション(アフターシェーブ調製物)である。
【0143】
好適な毛髪ケア製品は、例えば、人間および動物、特にイヌ用のシャンプー、ヘアーコンディショナー、整髪および毛髪処理用の製品、パーマ剤、ヘアースプレーおよびラッカー、ヘアージェル、ヘアー固定剤、染髪剤または毛髪漂白剤である。
【0144】
好適な装飾調製物は、特に、口紅、マニキュア液、アイシャドウ、マスカラ、乾燥および湿潤メークアップ、紅(ルージュ)、パウダー、脱毛剤、および日焼け止めローションである。
【0145】
好適な活性成分を含有する化粧調合物は、特に、ホルモン調製物、ビタミン調製物、および植物抽出調製物である。
【0146】
上述のボディケア製品は、クリーム、軟膏、ペースト、フォーム、ジェル、ローション、パウダー、メークアップ、スプレー、スティック、またはエアゾールであることができる。
【0147】
したがって、本発明は、また、本発明の方法で得ることができる少なくとも1種のプラズマ処理された粒子を含むボディケア製品に関する。
【0148】
処理された粒子は、ボディケアおよび家庭用製品中に、全調合物に対して、約0.0001%〜約25%、好ましくは約0.001%〜約15%、最も好ましくは約0.05%〜約10%の濃度で存在する。
【0149】
本発明の顔料は、特に、化粧用およびボディケア製品、特に:
−皮膚ケア調製物、例えば錠剤形態のまたは液体石鹸の形態の皮膚洗浄用およびクレンジング用調製物、無石鹸洗浄剤、または洗浄ペースト、
−浴用調製物、例えば液体(フォームバス、乳液、シャワー調製物)または固体浴用調製物、例えば浴用キューブおよび浴用塩;
−皮膚ケア製品、例えば皮膚エマルジョン、マルチエマルジョン、またはスキンオイル;ボディオイル、ボディローション、ボディジェル;皮膚保護軟膏;
−化粧用個人用ケア調製物、例えばデイクリームまたはパウダークリームの形態の顔用メークアップ、顔用パウダー(ルーズまたは固形)、紅またはクリームメークアップ、アイケア調製物、例えばアイシャドウ調製物、マスカラ、アイライナー、アイクリーム、または眼固定クリーム;唇ケア調製物、例えば口紅、唇光沢剤、唇輪郭鉛筆、爪ケア調製物、例えばマニキュア液、マニキュア除去剤、爪硬化剤、またはあま皮除去剤;
−足ケア調製物、例えば足浴剤、足パウダー、足クリーム、または足バルサム、特殊脱臭剤および発汗抑制剤、またはたこ除去用調製物;
−光保護調製物、例えばサンミルク、ローション、クリームもしくはオイル、日光ブロックもしくはトロピカル、日焼け前用の調製物、または日焼け後用の調製物;
−皮膚日焼け調製物、例えば自己日焼けクリーム;
−脱色調製物、例えば皮膚漂白用調製物または皮膚明化調製物;
−虫よけ、例えば虫よけオイル、ローション、スプレー、またはスティク;
−脱臭剤、例えば脱臭スプレー、ポンプ連射式スプレー、脱臭ジェル、スティック、またはロールオン;
−発汗抑制剤、例えば発汗抑制スティック、クリーム、またはロールオン;
−汚れた皮膚の洗浄および手入れ用調製物、例えば合成洗剤(固形または液状)、引き剥がしもしくは擦り洗い用調製物、または引き剥がしマスク;
−化学品形態の脱毛用調製物(脱毛剤)、例えば脱毛パウダー、液体脱毛調製物、クリームもしくはペースト状の脱毛調製物、ゲル状のまたはエアゾールフォームの脱毛調製物;
−シェービング調製物、例えばシェービング石鹸、発泡シェービングクリーム、非発泡シェービングクリーム、フォームおよびジェル、乾燥シェービング用の髭剃り前調製物、アフターシェーブ、またはアフターシェーブローション;
−芳香剤調製物、例えば調製物を含む芳香剤および芳しい物質(香水、オーデコロン、オードトワレ、オーデパルファム、パルファムドトワレ、香料)、香油、または芳香クリーム;
−化粧用毛髪処理調製物、例えばシャンプーおよびコンディショナーの形態の染髪調製物、ヘアケア調製物、例えば前処理調製物、ヘアートニック、整髪クリーム、整髪ジェル、ポマード、ヘアーリンス、トリートメントパック、集中ヘアートリートメント、毛髪構造化調製物、例えばパーマネントウエーブのための毛髪ウエーブ用調製物(ホットウエーブ、マイルドウエーブ、コールドウエーブ)、毛髪ストレート化調製物、液体毛髪セット用調製物、ヘアーフォーム、ヘアースプレー、漂白用調製物、例えば過酸化水素液、明化シャンプー、漂白クリーム、漂白パウダー、漂白ペーストもしくはオイル、一時的、半永久的もしくは永久毛髪着色剤、自己酸化染料を含む調製物、または天然毛髪着色剤、例えばヘンナもしくはカモミール;
−装飾調製物、特に口紅、マニキュア液、アイシャドウ、マスカラ、乾燥および湿潤メークアップ、紅、パウダー、脱毛剤、および日焼け止めローション
−活性成分を含有する化粧調合物、特に、ホルモン調製物、ビタミン調製物、植物抽出調製物、および抗菌調製物。
【0150】
列挙した最終調合物は、広範な提示形態、例えば:
−W/O、O/W、O/W/O、W/O/WまたはPITエマルジョンとしての液体調製物およびすべての種類のミクロエマルジョンの形態、
−ジェルの形態、
−オイル、クリーム、乳液、またはローションの形態、
−スティックの形態、
−スプレー(噴射気体入りスプレーまたはポンプ連射式スプレー)またはエアゾールの形態、
−フォームの形態、
−ペーストの形態、
で存在することができる。
【0151】
本発明のボディケア製品の例を、以下の表に列挙する:
【0152】
【表3】

【0153】
一見して、本発明は、以下の態様に関する:
【0154】
第1の態様において、本発明は、粒子の処理方法であって、
(A)(a)基体および
(b)基体上の少なくとも1層
を含む粒子;または
粒子、特に小板状の粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却し;ついで
(E)その粒子を回収する
工程を含む方法に関する。
【0155】
好ましくは、層(b)は、湿式化学法により沈着される。
【0156】
好ましくは、プラズマトーチは、誘導プラズマトーチである。
【0157】
好ましい実施態様において、上述の粒子の処理方法は、層(b)が、異なる粒子の元素をドープした金属酸化物、例えば0.1〜30重量%、好ましくは3〜15重量%のアンチモン、リン、またはフッ素をドープした酸化スズ、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%のテルルをドープした酸化スズ、酸化インジウム系のもの、例えば0.1〜20重量%のスズをドープした酸化インジウム、CdSnO、CdSnO、InTeO、CdIn、CdIn(2−x)Sn(x=0.001〜0.2)、CdSn(1−y)Sb(y=0.001〜0.1)、およびInTe0.98Re0.02を含む導電性層であることを特徴とする。
【0158】
上述の粒子の処理方法の他の好ましい実施態様は、粒子が、
(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、および
(b)基体上の高屈折率の金属酸化物、例えば、ZrO、Fe、またはTiO;または
(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、および
(b)反射層、特に、反射性金属層もしくは半透明層、特に半透明金属層;または
(a)小板状の形状の二酸化チタン基体、
(b)Fe、Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiO、およびアンチモンをドープした、フッ素をドープした、もしくはインジウムをドープした酸化スズの層;または
(a)小板状の形状の酸化鉄基体、
(b)屈折率nが1.8以下の無色のコーティング、および
(c)屈折率が2.0以上の無色のコーティング
を含むフレークであることを特徴とする。
【0159】
好ましくは、粒子は、以下の層構造を有するフレークである:
【0160】
【表4】

【0161】
ここで、TRASUBは、低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)であり、
STLは、半透明層、例えば、Cu、Ag、Cr、もしくはSnの半透明金属層、または半透明SiO亜酸化物、TIO亜酸化物もしくは炭素層である。
【0162】
粒子の処理方法のさらに他の好ましい実施態様は、
(A)(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、
(b)基体上のアナターゼ変性の酸化チタンの層、および(c)場合により、基体(a)と層(b)との間に酸化スズ層;
を含む小板状の粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却して固体粒子を形成し;ついで
(E)(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、
(b)基体上のルチル変性の酸化チタンの層、および場合により、
(c)基体(a)と層(b)との間に酸化スズ層、
を含む小板状の粒子を回収する、
工程を含む。
【0163】
好ましくは、粒子は、
(a)金属の小板状の基体、例えばチタン、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、ゲルマニウム、モリブデン、タンタル、またはニッケル、および
(b)基体上の、低屈折率の金属酸化物、例えばSiO、もしくはAlまたは高屈折率のもの、例えばZrOもしくはTiOの層、
(c)半透明金属酸化物、例えばSiO、SiO/SiO、TiO亜酸化物、TiO/TiO亜酸化物(0.70≦z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0)を含む場合による層、
を含むフレークである。
【0164】
好ましくは、粒子は、
(a)低屈折率を有する透明基体、特に、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、
(b)二酸化チタン層、
(c)水和酸化アルミニウムの層、水和酸化ジルコニウムの層、次亜リン酸塩の存在下に加水分解により得られる水和酸化ジルコニウムおよび水和金属酸化物または水和セリウムおよびアルミニウム酸化物の組み合わせを含む最上層、(本発明の方法により処理される)、ポリシロキサンおよび希土類金属化合物を含む層(トップコート)、
を含むフレークである。
【0165】
本発明の粒子の処理方法のさらに他の実施態様は:
(A)小板状のマイカ粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却して固体粒子を形成し;ついで
(E)小板状のマイカ粒子を回収する
工程を含む。
【0166】
好ましくは、本発明の方法は、工程(A)で用意される粒子が、
(a)コアと、
(b)フレークの表面に、窒素原子と炭素原子を含むポリマーコーティング
を含む小板状の粒子であることを特徴とする。
【0167】
好ましくは、本発明の方法は、工程(E)で回収される粒子が、
(a)基体と、
(b)金属窒化物/オキシ窒化物、TiO亜酸化物SiOまたはSiO/SiO(ここで、0.70≦z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0)の層、
を含むことを特徴とする。
【0168】
第2の態様において、本発明は、また、本発明の粒子の処理方法の上記の実施態様のいずれかにより得ることができる生成物に関する。
【0169】
第3の態様において、本発明は、また、本発明の粒子の処理方法の上記の実施態様のいずれかにより得ることができるコーティング、プラスチック、塗料、印刷インク、セラミックもしくはガラス、またはパーソナルケア製品に組み入れられる粒子に関する。
【0170】
好ましくは、上記のパーソナルケア製品は、皮膚およびその付属器用のボディケア製品である。より好ましくは、皮膚およびその付属器用のそのボディケア製品は、皮膚ケア製品、浴用およびシャワー製品、芳香剤および芳しい物質を含有する調製物、毛髪ケア製品、および装飾調製物よりなる群から選択される。好ましくは、皮膚およびその付属器用のそのボディケア製品は、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、シェービング調製物、およびスキンパウダーよりなる群から選択される。さらに好ましいものは、その製品が、口紅、マニキュア液、アイシャドウ、マスカラ、乾燥および湿潤メークアップ、紅、パウダー、脱毛剤、および日焼け止めローションよりなる群から選択される装飾調製物であることを特徴とする、皮膚およびその付属器用のボディケア製品である。
【0171】
同じく好ましいものは、その製品が、香水、香料、化粧水、およびシェービングローションよりなる群から選択される、芳香剤および芳しい物質を含有する調製物であることを特徴とするパーソナルケア製品である。
【0172】
同様に好ましいものは、その製品が、シャンプー、ヘアーコンディショナー、整髪および毛髪処理用の製品、パーマ剤、ヘアースプレーおよびラッカー、ヘアージェル、ヘアー固定剤、染髪剤または毛髪漂白剤よりなる群から選択される、毛髪ケア製品であることを特徴とするパーソナルケア製品である。
【0173】
第4の態様において、本発明は、また、以下のものとしての、本発明の粒子の処理方法の上記の実施態様のいずれかにより得ることができる生成物の使用に関する:
【0174】
(i)皮膚ケア製品、浴用およびシャワー製品、芳香剤および芳しい物質を含有する調製物、毛髪ケア製品、装飾調製物、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、シェービング調製物、およびスキンパウダーから選択される皮膚およびその付属器用のボディケア製品;
【0175】
(ii)香水、香料、化粧水、およびシェービングローションよりなる群から選択される、芳香剤および芳しい物質を含有する調製物;
【0176】
(iii)シャンプー、ヘアーコンディショナー、整髪および毛髪処理用の製品、パーマ剤、ヘアースプレーおよびラッカー、ヘアージェル、ヘアー固定剤、染髪剤または毛髪漂白剤よりなる群から選択される、毛髪ケア製品;または
【0177】
(iv)口紅、マニキュア液、アイシャドウ、マスカラ、乾燥および湿潤メークアップ、紅、パウダー、脱毛剤、および日焼け止めローションよりなる群から選択される、ボディケア製品の装飾調製物。
【0178】
本発明の種々の特徴および態様を、引き続く実施例においてさらに説明する。以下の実施例および明細書および特許請求の範囲のいずれかの場所で特に明記しない限り、すべての部およびパーセントは重量によるものであり、温度は摂氏であり、圧力は、ほぼ大気圧である。
【0179】
実施例1
SbをドープしたSnOでコーティングされたマイカフレークの試料を、一定のpH1.6で、塩酸中のSnClとSbClをマイカフレークの水溶液に加えることにより調製した。得られた材料を、水洗し、乾燥した。これらのコーティングされたフレークを、アルゴン気流中で流動化し、40g/分の速度で、65kWのパワーで運転されているTeknaPL−70プラズマトーチを有するプラズマ反応器に供給した。シース(鞘)気体は、166slpm[分あたりの標準リットル;slpmの計算用の標準条件は、Tn 0℃(32°F)、Pn=1.01bara(14.72psia)として定義される]のアルゴンと酸素の混合物であり、また中心気体は、40slpmのアルゴンである。運転圧力は、360torrに維持した。反応器中の温度は、フレークの構造を固体に維持し、コーティングの外表面のみを加熱するように調節した。処理されたフレークは、熱交換ゾーンを通過したのちに、回収した。回収したコーティングされたフレークは、改善された電気伝導度を示した。
【0180】
実施例2
アナターゼ相を有し、ルチルテンプレート層(つまり、酸化スズ)を有しない、TiOの層でコーティングされたマイカフレークの試料を、標準的な湿式化学法により調製した。得られた材料を、アルゴン気流中で流動化し、2.6kg/時間の速度で、30kWのパワーで運転されているTeknaPL−70プラズマトーチを有するプラズマ反応器に供給した。シース気体は、150slpmのアルゴンと10slpmの水素の混合物[slpm=分あたりの標準リットル;slpmの計算用の標準条件は、Tn 0℃(32°F)、Pn=1.01bara(14.72psia)として定義される]であり、また中心気体は、40slpmのアルゴンである。運転圧力は、大気圧よりやや低い圧力に維持した。TiOでコーティングされたマイカフレークが受ける温度は、フレークの構造を固体に維持しながら、コーティングの外表面のみを加熱するために最適化した。処理されたフレークは、熱交換ゾーンを通過したのちに、回収した。回収したコーティングされたフレークは、粉末XRDおよびラマン分光法により特徴付けられるようなルチル結晶変性を有するTiO層を示した。図1参照。
【0181】
実施例3
TiO材料のアナターゼ層でコーティングされた、市販の完全にか焼されたマイカの試料を、同じく、プラズマ反応器中で上記と同じ条件に付した。回収したコーティングされたフレークもまた、粉末XRDおよびラマン分光法により特徴付けられるようなルチル結晶変性を有するTiO層を示した。
【0182】
実施例4
酸化スズ層材料の最上部にTiOのルチル層でコーティングされた、市販の完全にか焼されたマイカの試料を、同じく、プラズマ反応器中で上記(実施例3)と同じ条件に付した。フレークは、粉末XRDおよびラマン分光法により特徴付けられるようなルチル結晶を有するTiO層を保持していた。TiOはまた、実施例3と同様に、TlOの相変換を誘起する必要がない酸化条件下に処理することができる。しかしながら、プラズマ条件を変えることにより、顔料の色合いを、酸素の化学量論を調節することで本質的に変化させることができる。
【0183】
実施例5 PVC中の処理されたフレークの適用
酸化スズとTiO層状顔料組成物でコーティングされ、実施例4と同様に処理されたマイカ0.800gを、ポリ塩化ビニル(PVC Evipol(登録商標)SH7020、EVC GmbH、フランクフルトa.M)26.6gおよび:
92.21重量%のフタル酸ジイソデシル(Vestinol(登録商標)、Huels Chemie)
3.60重量%の炭酸バリウム亜鉛に基づく熱安定剤(Irgastab(登録商標)BZ561、Ciba Specialty Chemicals Inc.)および
4.19%のエポキシ化大豆油(Rheoplast(登録商標)39、Ciba Specialty Chemicals Inc.)
よりなるマスターバッチ14.6mlと混合した。
30分の湿潤時間の後、混合物を、160℃のロール温度で8分間ロールミルで加工して、薄い強靭な金属様フィルムとした。
【0184】
実施例6 プラズマ処理の表面効果/メチレンブルー試験
プラズマ処理したチタニアコーティングされたフレーク対未処理フレーク(双方ともルチル状態)の光触媒活性にアクセスするための試験方法は、プローブ分子としてメチレンブルー(MB)を使用して行った。チタニアでコーティングされたフレーク50mgを、水5gに加えた。H/Ar、100%Arおよび空気/Arプラズマ下に処理された、チタニアでコーティングされたフレークを、プラズマ処理前のフレークと比較した。MB法の第一工程は、暗所で撹拌しながら、水溶液中のMBとチタニアコーティングの表面に吸収されたMBとの間の平衡状態を達成することに依存している。平衡状態を達成すると、プラズマ処理粉末についての1ppmに対して、MBが約15ppm、未処理粉末の表面に吸着した。この効果は、プラズマプロセス中に熱的に脱離されるチタニアコーティング上の表面ヒドロキシル基の減少による。ヒドロキシル基の脱離は、表面電子顕微鏡SEMで観察されるように、チタニアコーティングの表面積と多孔度の全体としての減少と組み合わされて生じると考えられる。3ppmMBの標準溶液に対してすべての試料の溶液中のMB吸光度を正規化するために、合計18ppmのMBをプラズマ前の試料に加え、4ppmをプラズマ処理した試料に加えた(図3a参照)。溶液中のMBの光分解は、UV−可視分光法で、650nmでの吸光度の減少を追うことによりモニターした。
【0185】
優れた光安定性が、すべてのプラズマ処理した試料で観察された。これは、様々な時間間隔でとった試料のUV−可視分析で観察することができた。図3bに示されているように、未処理フレークを2時間暴露すると、MBのほぼ完全な分解が生じたが、プラズマ処理した試料は、処理した顔料を有しない3ppmMB標準と同様のMB濃度を依然として保持していた。
【0186】
実施例7 表面電子顕微鏡(SEM)
TiOでコーティングされたマイカフレークの最表面を比較する、倍率70000倍での表面電子顕微鏡(SEM)画像。左図:空気中で650℃でか焼。中央図:プラズマ処理、100%アルゴン。右図:プラズマ処理、10slpm H/250slpm Ar。左および中央の画像は、アナターゼTiOである。右の画像は、ルチルTiOである。これらの画像は、プラズマ処理されたフレークが、か焼により得られるものに比べて、より緻密で、細孔の少ないTiOコーティングを有することおよび気体組成、滞留時間、およびクエンチ速度のようなプラズマ条件が、粒径および結晶化度の点でTiO表面形態に影響を与えることができることを明示している。
【0187】
プラズマ処理粒子を含有する化粧品およびパーソナルケア製品
ルチルTiOでコーティングされた(酸化スズ層)マイカ顔料を、本発明に従ってプラズマ処理した。この化合物の未処理および処理形態を、パーソナルケアおよび化粧品調合物におけるそれらの特性について試験した。
【0188】
実施例8 マニキュア液
未処理または処理マイカ顔料を、それぞれ5%、非着色ベースマニキュア液に加えた。
得られた着色マニキュア液調合物のドローダウンを、白黒のLenetaドローダウンカード上に調製した。
目視評価により、プラズマ処理製品は、はるかに暗く見え、金属様の銀白色の色合いを示し、一方、未処理TiOマイカでコーティングされた製品は、より白色で、非金属様の色合いを示すことが明らかとなった。
【0189】
実施例9 皮膚への適用
未処理または処理マイカ顔料を、それぞれ、皮膚に直接適用し、粉末組成物(例えば、アイシャドウ)の高い色負荷を模倣した。
皮膚上に残された色効果より、プラズマ処理したTiOはより強力なようであり、より良好な被覆率を示すことが明らかとなった。色合いの印象は、未処理のTiOに比べて、よりシルバーメタリックであった。
【0190】
実施例10 液体ボディ洗浄製品中への適用
処理または未処理化合物を、それぞれ5%、非着色シャンプー調合物に加えた。処理粒子は、白い色合いを示した未処理粒子に比べて、より暗く、より銀灰色となった。
【0191】
実施例11 非油性の口紅の調製
【表5】

【0192】
実施例12 耐移行性の口紅の調製
【表6】

【0193】
実施例13 固形パウダーの調製
【表7】

【0194】
実施例14 ファンデーションクリームの調製
【表8】

【0195】
実施例15 マニキュア液の調製
【表9】

【0196】
実施例16 シャンプーの調製
【表10】

【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】プラズマ処理されたTiOでコーティングされたマイカ(酸化スズ層なし)の粉末XRD。’R’=ルチル相。ラベルされていないピークは、マイカ相によるものである。
【図2】Ar/Hプラズマ処理後のアナターゼのルチルへの変換を示すラマンスペクトロスコピー。アナターゼは、396,514および683cm−1のピークで表わされる。ルチルは、447および611cm−1のピークで表わされる。
【図3a】上のUV−可視スペクトルは、正規化試料について、T=0でとられたのもの(18ppmは未処理フレークおよび4ppmはすべてのプラズマ処理されたフレーク)。下のUV−可視スペクトルはT=2時間でとられたもの。実施例6参照。
【図3b】上のUV−可視スペクトルは、正規化試料について、T=0でとられたのもの(18ppmは未処理フレークおよび4ppmはすべてのプラズマ処理されたフレーク)。下のUV−可視スペクトルはT=2時間でとられたもの。実施例6参照。
【図4】TiOでコーティングされたマイカフレークの最表面を比較する、倍率70000倍での表面電子顕微鏡(SEM)画像。左図:空気中で650℃でか焼。中央図:プラズマ処理、100%アルゴン。右図:プラズマ処理、10slpm H/250slpm Ar。左および中央の画像は、アナターゼTiOである。右の画像は、ルチルTiOである。これらの画像は、プラズマ処理されたフレークが、か焼により得られるものに比べて、より緻密で、細孔の少ないTiOコーティングを有することおよび気体組成、滞留時間、およびクエンチ速度のようなプラズマ条件が、粒径および結晶化度の点でTiO表面形態に影響を与えることができることを明示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の処理方法であって、
(A)(a)基体および
(b)基体上の少なくとも1層
を含む粒子;または
粒子、特に小板状の粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却し;ついで
(E)その粒子を回収する
工程を含む方法。
【請求項2】
層(b)が、湿式化学法により沈着されたものである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
プラズマトーチが、誘導プラズマトーチである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
層(b)が、ドープした金属酸化物、好ましくは0.1〜30重量%のアンチモン、リン、またはフッ素をドープした酸化スズ、0.01〜5重量%のテルルをドープした酸化スズ、0.1〜20重量%のスズをドープした酸化インジウム、CdSnO、CdSnO、InTeO、CdIn、CdIn(2−x)Sn(式中、x=0.001〜0.2)、CdSn(1−y)Sb(式中、y=0.001〜0.1)、またはInTe0.98Re0.02を含む導電性層である、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
粒子が、
(a)透明基体、好ましくは、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO(0.70≦z≦2.0)、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、およびSi/SiO(0.70≦z≦2.0)よりなる群から選択されるもの;および
(b)基体上の高屈折率の金属酸化物、好ましくは、ZrO、Fe、およびTiOよりなる群から選択されるものの層;または
(a)透明基体、好ましくは、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al、SiO(0.70≦z≦2.0)、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、およびSi/SiO(0.70≦z≦2.0)よりなる群から選択されるもの;および
(b)反射層、好ましくは、反射性金属層もしくは半透明層;または
(a)小板状の形状の二酸化チタン基体、
(b)Fe、Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiO、およびアンチモンをドープした、フッ素をドープしたもしくはインジウムをドープした酸化スズよりなる群から選択される層;または
(a)小板状の形状の酸化鉄基体、
(b)屈折率nが1.8以下の無色のコーティング、および
(c)屈折率が2.0以上の無色のコーティング
を含むフレークである、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項6】
(A)小板状のマイカ粒子を用意し、
(B)その粒子をプラズマトーチへ輸送するために気体の流れに随伴させ;
(C)その気体の流れの中でプラズマを発生させて、粒子の外表面を加熱し;
(D)その粒子を冷却して固体粒子を形成し;ついで
(E)小板状のマイカ粒子を回収する
工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
工程(A)で用意される粒子が、
(a)コアと、
(b)フレークの表面に、窒素原子および炭素原子を含むポリマーコーティングと、
を含む小板状の粒子である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの方法により得ることができる生成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかの方法により得ることができる粒子を組み込んでいる、コーティング、プラスチック、塗料、印刷インク、セラミックもしくはガラス、またはパーソナルケア製品。
【請求項10】
コーティング、プラスチック、塗料、印刷インク、セラミックもしくはガラス、またはパーソナルケア製品の製造のための、請求項8記載の生成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−545866(P2008−545866A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515188(P2008−515188)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062758
【国際公開番号】WO2006/131472
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】