プラズマ反応装置
【課題】コイルに印加される電力を下げることなく、当該コイルに印加される電圧を、従来に比べてより低減することができるプラズマ反応装置を提供する。
【解決手段】被処理対象物Kを収容する容器2,6と、被処理対象物Kが載置される支持台11と、支持台11より上方位置で、容器6の周囲に、これを巻回するように配設された、無端環状のコイル15と、コイル15に高周波電力を供給する電力供給手段20と、容器6に接続され、処理ガスを容器6内に供給するガス供給手段30とを備える。電力供給手段20は、少なくともコイル15に接続される第1及び第2の2つの接続端子24,25を備える。第1及び第2の接続端子24,25は、コイル15の全長を2等分する位置a,bにそれぞれ接続され、第1の接続端子24とアース(接地端子26)との間と、第2の接続端子25とアース(接地端子26)との間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧が印加される。
【解決手段】被処理対象物Kを収容する容器2,6と、被処理対象物Kが載置される支持台11と、支持台11より上方位置で、容器6の周囲に、これを巻回するように配設された、無端環状のコイル15と、コイル15に高周波電力を供給する電力供給手段20と、容器6に接続され、処理ガスを容器6内に供給するガス供給手段30とを備える。電力供給手段20は、少なくともコイル15に接続される第1及び第2の2つの接続端子24,25を備える。第1及び第2の接続端子24,25は、コイル15の全長を2等分する位置a,bにそれぞれ接続され、第1の接続端子24とアース(接地端子26)との間と、第2の接続端子25とアース(接地端子26)との間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧が印加される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ガスをプラズマ化し、例えば、シリコン基板やガラス基板などの被処理物の表面に対して、エッチング,アッシング,改質,デポジションなどの処理を行うプラズマ反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したプラズマ反応装置として、従来、被処理対象物を収容する容器と、この容器内に配設され、被処理対象物が載置される支持台と、この支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを巻回するように配設された環状若しくは螺旋状のコイルと、このコイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、前記コイルより上方位置で前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備えた構成のプラズマ反応装置が知られている。
【0003】
このプラズマ反応装置では、前記コイルに高周波電力を印加することで容器内部に高周波磁界が誘起され、コイルに流れる電流が時間的に変化すると発生磁界も変化して、容器内にファラディの電磁誘導の法則に伴う誘導電界が生じる。
【0004】
そして、生じた誘導電界中に処理ガスが投じられると、処理ガス中の電子が誘導電界により駆動,加速され、電離衝突を起こしてプラズマが生成されるとともに、このプラズマ中でラジカルやイオンといった反応種が生成され、生成された反応種によって被処理物表面が処理される。
【0005】
ところで、効率的且つ安定した処理を行うには、上記プラズマ密度を高密度にする必要があり、このため、従来、高密度のプラズマを得るべく、でき得るだけ高い高周波電力を前記コイルに印加するようにしていた。
【0006】
ところが、その反面、高い電力をコイルに印加すると、言い換えれば、高い電圧をコイルに印加すると、この電圧によって生じる電界により荷電粒子が加速されて容器内壁に衝突し、この衝突によって容器内壁が削り取られ(スパッタされ)て、当該容器内壁が損傷するといった問題や、削り取られた部分がパーティクルとなってプラズマ中に混在し、このパーティクルによって被処理物表面が汚染されるといった問題があった。
【0007】
そこで、このような問題を解決すべく、米国特許第5,401,318号に開示されるようなプラズマ反応装置が提案されている。図9に示すように、この装置101では、プラズマ生成部を構成するプラズマコンテナ106の周囲に、これを巻回するように無端環状の1つのコイル108が配置されており、図10にも示すように、このコイル108の全長を2等分する位置には、導線112と導線113とが接続され、導線113はインピーダンス整合回路を構成する可変コンデンサ115,116を介して高周波電力供給源114に接続され、導線112はフレーム117を介して接地されている。斯くして、これら導線112,113間に、高周波電力供給源114からの高周波電力が印加される。
【0008】
尚、図9中、符号103は容器、符号102は容器103内を減圧するポンプユニット、符号105は基板、符号125は基板105を保持する基板保持台である。
【0009】
いま、米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置より以前の従来のプラズマ装置における、図11に示すような、開環された環状のコイル151の両端に、高周波電力供給源152から高周波電力を印加するように構成されたプラズマ生成回路を例にとると、この回路では、高周波電力をP、コイル151の両端の電圧をV、コイル151に流れる電流をI、コイル151のインピーダンスをZとすると、これらの間に、以下の2つの数式で表される関係が成立する。
【0010】
(数1)
I=V/Z
【0011】
(数2)
P=V・I・cosψ
=V2cosψ/Z
但し、cosψはコイル151及びプラズマの力率である。
【0012】
一方、図10に示した回路では、導線113を流れる電流が左回りと右回りとに2分されてそれぞれ導線112に向けてコイル108を流れる。導線113と112との間に印加される高周波電力をP、電圧をV1とし、コイル108に流れる左回り及び右回りの電流をI1とし、コイル108全体のインピーダンスをZとすると、半分のコイル108のインピーダンスはZ/2であるから、この回路では、以下の数式で表される関係が成立する。
【0013】
(数3)
I1=V1/Z/2=2・V1/Z
【0014】
(数4)
P=2・V1・I1・cosψ
=4・V12・cosψ/Z
但し、cosψはコイル108及びプラズマの力率である。
【0015】
いま、図11に示した回路に印加される高周波電力と同じ大きさの高周波電力が図10に示した回路に印加されるとすると、コイル151のインピーダンスと、コイル108全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとき、上式数式2と数式4との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0016】
(数5)
P=V2cosψ/Z=4・V12・cosψ/Z
V1=V/2
【0017】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、図10に示した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの半分となる。
【0018】
このように、米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置によれば、コイル108に印加される電圧を従来のものに比べて半分に低減することができ、上述した容器内壁のスパッタリングに関する問題を低減することができる。
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,401,318号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところが、近年では、例えば、基板上に形成される回路は極めて微細且つ複雑なものとなっており、処理雰囲気中に僅かなパーティクルが存在しても、これが原因となって正常な回路を基板上に形成することができなくなる。
【0021】
このため、従来に増して、清浄な雰囲気下で表面処理を行うことができるプラズマ反応装置の提供が求められている。
【0022】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたもので、コイルに印加される電力を下げることなく、当該コイルに印加される電圧を、従来に比べてより低減することができるプラズマ反応装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するための本発明は、被処理対象物を収容する容器と、前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを巻回するように配設された、無端環状のコイルと、前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1及び第2の接続端子は、各々によって前記コイルの全長を2等分する位置にそれぞれ接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されたプラズマ反応装置に係る。
【0024】
尚、前記コイルはその複数個が上下に並設され、前記電力供給手段の第1及び第2の接続端子が、それぞれ前記複数のコイルに接続された構成のものでも良い。
【0025】
また、本発明は、被処理対象物を収容する容器と、前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを整数周回巻回するように配設された螺旋状のコイルと、前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1の接続端子は前記コイルの始端及び終端、並びに該始端と終端とを結ぶ垂線と交差する部分に接続され、前記第2の接続端子は前記コイルの中心軸を中心として前記垂線に対し線対称の位置に設定した仮想の垂線と前記コイルとが交差する部分に接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されたプラズマ反応装置に係る。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るプラズマ反応装置では、印加される高周波電力が同じ値で、コイルのインピーダンスが同じ値である場合には、当該コイルに印加される電圧は、理論上、図10に示した米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置のコイル108に印加される電圧V1の半分以下となり、また、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4分の1以下となる。尚、この原理については、後ほど詳しく説明する。
【0027】
したがって、本発明に係るプラズマ反応装置によれば、米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置に比べても、コイルに印加される電圧を低減することができ、処理効率を下げることなく、上述した容器内壁のスパッタリングに関する問題をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面に基き説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ反応装置を示した正断面図であり、図2及び図3は高周波電力を供給する回路を説明するための説明図である。
【0029】
図1に示すように、本例のプラズマ反応装置1は、被処理対象物たる基板Kを収容するための下部容器2と、この下部容器2上に設けられた上部容器6と、この上部容器6を巻回するようにその周囲に設けられた無端環状の1つのコイル15と、前記下部容器2内に設けられた基台10と、この基台10上に昇降可能に設けられた上下2部材(下部材12及び上部材13)からなり、基板Kが載置される載置台11と、載置台11を昇降させるシリンダ14と、前記コイル15に高周波電力を供給する電力供給装置20と、上部容器6内に処理ガスを供給する処理ガス供給装置30と、下部容器2及び上部容器6内の圧力を減圧する排気装置35とからなる。
【0030】
前記下部容器2は底板3,側板4及び天板5からなる。側板4には、基板Kを出し入れするための開口部4a及び内部の気体を排気するための排気口4bが形成されており、排気装置35はこの排気口4bに接続して、当該排気口4bから下部容器2内の気体を排気して減圧する。また、開口部4aはシャッタ40によって開閉され、シャッタが閉じることによって当該開口部4aが密閉されるようになっている。また、前記天板5には開口部5aが形成され、この開口部5aを介して下部容器2内と上部容器内とが連通された状態となっている。
【0031】
上部容器6は、セラミックなどの絶縁体から構成される円筒状をした胴部7と、この胴部7の上部開口部を閉じる天板8とからなり、天板8の中央部に接続する供給管31を介して、処理ガス供給装置30から上部容器6内に処理ガスが供給される。
【0032】
図1,図2及び図3に示すように、前記電力供給装置20は、高周波電源21、インピーダンス整合回路(マッチング回路)22及びプッシュプル回路23からなり、高周波電源21及びマッチング回路22はそれぞれ接地されている。
【0033】
プッシュプル回路23は、コイル15に接続される第1の接続端子24及び第2の接続端子25の2つの接続端子と、接地された1つの接地端子26とを備える。第1の接続端子24及び第2の接続端子25は、各々によって前記コイル15の全長を2等分する位置a,bに、言い換えれば、コイル15の半径中心を挟んで相互に対向する位置a,bにそれぞれ接続され、第1の接続端子24と接地端子26との間、第2の接続端子25と接地端子26との間に、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加する。
【0034】
また、特に図示しないが、載置台11にはシリンダ14を介してバイアス電位が印加されている。
【0035】
以上のように構成された本例のプラズマ反応装置1によれば、電力供給装置20によりコイル15に高周波電力を印加すると、上部容器6内に高周波磁界が誘起され、コイル15に流れる電流が時間的に変化することで発生磁界も変化して、上部容器6内にファラディの電磁誘導の法則に伴う誘導電界が生じる。
【0036】
そして、供給管31を介して、処理ガス供給装置30から上部容器6内に処理ガスが供給され、この処理ガスが上記誘導電界中に投じられると、処理ガス中の電子が誘導電界により駆動,加速され、電離衝突を起こしてプラズマが生成され、このプラズマ中でラジカルやイオンといった反応種が生成される。
【0037】
上記のように、載置台11にはバイアス電位が印加されており、このバイアス電位によって、プラズマ中のイオンが載置台11上の基板K表面に向けて導かれ、また、排気装置35により下部容器2及び上部容器6内が排気,減圧されることによって、プラズマ中のラジカルが載置台11上の基板K表面に向けて導かれ、かかる反応種によって基板Kの表面が処理される。
【0038】
ところで、図3に示すように、コイル15の接続点a,bに、大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧−V2,V2が印加されると、接続点aから右回り及び左回りに等分された電流I2がそれぞれ流れ、これとともに接続点bからも同様に右回り及び左回りに等分された電流I2がそれぞれ流れ、接続点a,b間の2つの中間点c,dにおいてそれぞれが打ち消しあった状態となり、この2つの中間点c,dが仮想上の接地点を構成する。
【0039】
そして、同図3に示すように、コイル15の全体のインピーダンスをZとすると、接続点aと中間点cとの間、接続点aと中間点dとの間、接続点bと中間点cとの間、接続点bと中間点dとの間の各コイル15のインピーダンスZ2はそれぞれZ/4となるが、このコイル15に印加される高周波電力をPとすると、これら高周波電力P,電圧V2,電流I2,インピーダンスZ2との間の関係は、以下の数式によって表される。
【0040】
(数6)
I2=V2/Z2=4・V2/Z
【0041】
(数7)
P=4・V2・I2・cosψ
=16・V22cosψ/Z
但し、cosψはコイル15及びプラズマの力率である。
【0042】
いま、図11に示した従来の回路におけるコイル151に印加される高周波電力と、本例のコイル15に印加される高周波電力の値が同じ値Pであるとし、また、従来のコイル151のインピーダンスと、本例のコイル15全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとすると、上式数式2と数式7との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0043】
(数8)
P=V2cosψ/Z=16・V22・cosψ/Z
V2=V/4
【0044】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、本例のコイル15に印加される電圧V2は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4分の1となる。また、上述した数式5から容易に理解できるように、電圧V2は、上述した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1の半分である。
【0045】
このように、本例のプラズマ反応装置1によれば、同じ電力を供給しても、コイル15に印加される電圧を従来のものに比べて4分の1に低減することができ、また、米国特許第5,401,318号に開示のものに比べても半分に低減することができる。したがって、プラズマ処理の効率を低下させること無く、上述した容器内壁(容器6の内壁)のスパッタリングに関する問題をより軽減することができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0047】
例えば、上記の装置では、1つのコイル15を設けた構成としたが、図4に示すように、その複数個を上下に並設した構成としてもよい。この場合、プッシュプル回路23の第1の接続端子24と第2の接続端子25とは、各コイル15の全長を2等分する位置a1,a2・・・、b1,b2・・・に接続され、第1の接続端子24と接地端子26との間、第2の接続端子25と接地端子26との間に、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧−V3,V3が印加される。
【0048】
そして、図5に示すように、n個のコイル15が設けられ、このn個のコイル15の総インピーダンスがZであるとすると、各コイルの15のインピーダンスはZ/nとなる。いま、仮に、1つのコイル15について見ると、接続点a1と中間点c1との間、接続点a1と中間点d1との間、接続点b1と中間点c1との間、接続点b1と中間点d1との間のコイル15のインピーダンスZ3はそれぞれZ/(4・n)となり、このコイル15に印加される高周波電力をP11とすると、これら高周波電力P11,電圧V3,電流I3,インピーダンスZ3との間の関係は、以下の数式よって表される。
【0049】
(数9)
I3=V3/Z3=4・n・V3/Z
【0050】
(数10)
P11=4・V3・I3・cosψ=P12=P13=・・・=P1n
=16・n・V32cosψ/Z
但し、cosψはコイル15及びプラズマの力率である。
【0051】
したがって、n個のコイル15に印加される全体の高周波電力Pは、次式によって求められる。
【0052】
(数11)
P=P11+P12+・・・+P1n
=n・P11
=16・n2・V32cosψ/Z
【0053】
いま、図11に示した従来の回路におけるコイル151に印加される高周波電力と、図4及び図5に示したn個のコイル15に印加される全体の高周波電力の値が同じ値Pであるとし、また、従来のコイル151のインピーダンスと、n個のコイル15全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとすると、上式数式2と数式11との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0054】
(数12)
P=V2cosψ/Z=16・n2・V32・cosψ/Z
V3=V/(4・n)
【0055】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、図4及び図5に示したコイル15に印加される電圧V3は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4・n分の1となる。また、上述した数式5から容易に理解できるように、電圧V3は、上述した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1の2・n分の1となる。
【0056】
このように、図4及び図5に示した構成のプラズマ反応装置1であっても、コイル15に印加される電圧を従来のものに比べて低減することができ、プラズマ処理の効率を低下させること無く、上述した容器内壁(容器6の内壁)のスパッタリングに関する問題をより軽減することができる。
【0057】
また、本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置を図6乃至図8に示す。図示するように、このプラズマ反応装置50は、図1乃至図3に示したプラズマ反応装置1の構成と比べて、コイル51の構成と、プッシュプル回路23の第1の接続端子24及び第2の接続端子25がコイル51に接続されるその接続関係が異なるのみであり、他の構成は、当該プラズマ反応装置1の構成と同じである。したがって、プラズマ反応装置1の構成と同じ構成部分については、図6乃至図8において同じ符号を付すとともに、以下の説明では、その詳しい説明を省略する。
【0058】
同図6及び図7に示すように、本例のコイル51は、上部容器6の周囲をn周回(但し、nは任意の整数)巻回するように螺旋状に形成されている。尚、図7では、一例として、3周回させた状態を実線で示している。
【0059】
そして、プッシュプル回路23の第1の接続端子24は、コイル51の始端e1及び終端e4、並びにこの始端e1と終端e4とを結ぶ垂線gと交差する部分e2,e3に接続され、第2の接続端子25はコイル51の中心軸hを中心として垂線gに対し線対称の位置に設定した仮想の垂線iとコイル51とが交差する部分f1,f2,f3に接続される。そして、第1の接続端子24(即ち、接続点e1,e2,e3,e4)と接地端子26との間と、第2の接続端子25(即ち、接続点f1,f2,f3)と接地端子26との間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧−V4,V4が印加される。
【0060】
図8には、1周回分のコイル51を示しているが、同図に示すように、コイル51の接続点e1,e2と接続点f1とに、それぞれ電圧−V4,V4が印加されると、接続点e1から接続点f1に向けて電流I4が流れ、一方、接続点f1からも接続点e1に向けて同じ大きさの電流I4が流れ、接続点e1と接続点f1との中間点j1において、それぞれの電流I4が打ち消しあった状態となり、この中間点j1が仮想上の接地点となる。また、同様に、接続点e2から接続点f1に向けて電流I4が流れ、一方、接続点f1からも接続点e2に向けて同じ大きさの電流I4が流れ、接続点e2と接続点f1との中間点k1において、それぞれの電流I4が打ち消しあった状態となり、この中間点k1が仮想上の接地点となる。
【0061】
そして、コイル51がn周回分巻回されているとし、コイル51全体のインピーダンスをZとすると、図8に示すような1周回分のコイル51のインピーダンスはZ/nとなる。いま、仮に、図8に示すような1周回分のコイル51について見ると、接続点e1と中間点j1との間、接続点f1と中間点j1との間、接続点f1と中間点k1との間、接続点e2と中間点k1との間のコイル51のインピーダンスZ4はそれぞれZ/(4・n)となり、この1周回分のコイル51に印加される高周波電力をP21とすると、これら高周波電力P21,電圧V4,電流I4,インピーダンスZ4との間の関係は、以下の数式よって表される。
【0062】
(数13)
I4=V4/Z4=4・n・V4/Z
【0063】
(数14)
P21=4・V4・I4・cosψ=P22=P23=・・・=P2n
=16・n・V42cosψ/Z
但し、cosψはコイル51及びプラズマの力率である。
【0064】
したがって、n周回分のコイル51に印加される全体の高周波電力Pは、次式によって求められる。
【0065】
(数15)
P=P21+P22+・・・+P2n
=n・P21
=16・n2・V42cosψ/Z
【0066】
いま、図11に示した従来の回路におけるコイル151に印加される高周波電力と、図6及び図7に示したn周回分のコイル51に印加される全体の高周波電力の値が同じ値Pであるとし、また、従来のコイル151のインピーダンスと、n周回分のコイル51全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとすると、上式数式2と数式15との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0067】
(数16)
P=V2cosψ/Z=16・n2・V42・cosψ/Z
V4=V/(4・n)
【0068】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、図6及び図7に示したコイル51に印加される電圧V4は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4・n分の1となる。また、上述した数式5から容易に理解できるように、電圧V4は、上述した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1の2・n分の1となる。
【0069】
このように、図6及び図7に示した構成のプラズマ反応装置1であっても、コイル51に印加される電圧を従来のものに比べて低減することができ、プラズマ処理の効率を低下させること無く、上述した容器内壁(容器6の内壁)のスパッタリングに関する問題をより軽減することができる。
【0070】
尚、上記の図1乃至図8に示した例では、電力供給装置として、コイル15,51に接続される2つの接続端子24,25の他に、外部に接地された接地端子26を有する構成のものを用いたが、これに限られるものではなく、内部的に設けられた仮想の接地点(アース)を有する構成のものでも良く、このアースと第1の接続端子24との間と、アースと第2の接続端子25との間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されたものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明に係るプラズマ反応装置は、処理ガスをプラズマ化して、例えば、シリコン基板やガラス基板などの被処理物の表面に対して行う、エッチング,アッシング,改質,デポジションといった各種処理に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ反応装置を示した正断面図である。
【図2】高周波電力を供給する回路を説明するための説明図である。
【図3】高周波電力を供給する回路を説明するための説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置を示した正断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図9】米国特許第5,401,318号に開示されたプラズマ処理装置を示した正断面図である。
【図10】米国特許第5,401,318号に開示されたプラズマ処理装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図11】従来のプラズマ処理装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 プラズマ反応装置
2 下部容器
6 上部容器
11 載置台
15 コイル
20 電力供給装置
30 処理ガス供給装置
35 排気装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ガスをプラズマ化し、例えば、シリコン基板やガラス基板などの被処理物の表面に対して、エッチング,アッシング,改質,デポジションなどの処理を行うプラズマ反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したプラズマ反応装置として、従来、被処理対象物を収容する容器と、この容器内に配設され、被処理対象物が載置される支持台と、この支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを巻回するように配設された環状若しくは螺旋状のコイルと、このコイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、前記コイルより上方位置で前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備えた構成のプラズマ反応装置が知られている。
【0003】
このプラズマ反応装置では、前記コイルに高周波電力を印加することで容器内部に高周波磁界が誘起され、コイルに流れる電流が時間的に変化すると発生磁界も変化して、容器内にファラディの電磁誘導の法則に伴う誘導電界が生じる。
【0004】
そして、生じた誘導電界中に処理ガスが投じられると、処理ガス中の電子が誘導電界により駆動,加速され、電離衝突を起こしてプラズマが生成されるとともに、このプラズマ中でラジカルやイオンといった反応種が生成され、生成された反応種によって被処理物表面が処理される。
【0005】
ところで、効率的且つ安定した処理を行うには、上記プラズマ密度を高密度にする必要があり、このため、従来、高密度のプラズマを得るべく、でき得るだけ高い高周波電力を前記コイルに印加するようにしていた。
【0006】
ところが、その反面、高い電力をコイルに印加すると、言い換えれば、高い電圧をコイルに印加すると、この電圧によって生じる電界により荷電粒子が加速されて容器内壁に衝突し、この衝突によって容器内壁が削り取られ(スパッタされ)て、当該容器内壁が損傷するといった問題や、削り取られた部分がパーティクルとなってプラズマ中に混在し、このパーティクルによって被処理物表面が汚染されるといった問題があった。
【0007】
そこで、このような問題を解決すべく、米国特許第5,401,318号に開示されるようなプラズマ反応装置が提案されている。図9に示すように、この装置101では、プラズマ生成部を構成するプラズマコンテナ106の周囲に、これを巻回するように無端環状の1つのコイル108が配置されており、図10にも示すように、このコイル108の全長を2等分する位置には、導線112と導線113とが接続され、導線113はインピーダンス整合回路を構成する可変コンデンサ115,116を介して高周波電力供給源114に接続され、導線112はフレーム117を介して接地されている。斯くして、これら導線112,113間に、高周波電力供給源114からの高周波電力が印加される。
【0008】
尚、図9中、符号103は容器、符号102は容器103内を減圧するポンプユニット、符号105は基板、符号125は基板105を保持する基板保持台である。
【0009】
いま、米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置より以前の従来のプラズマ装置における、図11に示すような、開環された環状のコイル151の両端に、高周波電力供給源152から高周波電力を印加するように構成されたプラズマ生成回路を例にとると、この回路では、高周波電力をP、コイル151の両端の電圧をV、コイル151に流れる電流をI、コイル151のインピーダンスをZとすると、これらの間に、以下の2つの数式で表される関係が成立する。
【0010】
(数1)
I=V/Z
【0011】
(数2)
P=V・I・cosψ
=V2cosψ/Z
但し、cosψはコイル151及びプラズマの力率である。
【0012】
一方、図10に示した回路では、導線113を流れる電流が左回りと右回りとに2分されてそれぞれ導線112に向けてコイル108を流れる。導線113と112との間に印加される高周波電力をP、電圧をV1とし、コイル108に流れる左回り及び右回りの電流をI1とし、コイル108全体のインピーダンスをZとすると、半分のコイル108のインピーダンスはZ/2であるから、この回路では、以下の数式で表される関係が成立する。
【0013】
(数3)
I1=V1/Z/2=2・V1/Z
【0014】
(数4)
P=2・V1・I1・cosψ
=4・V12・cosψ/Z
但し、cosψはコイル108及びプラズマの力率である。
【0015】
いま、図11に示した回路に印加される高周波電力と同じ大きさの高周波電力が図10に示した回路に印加されるとすると、コイル151のインピーダンスと、コイル108全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとき、上式数式2と数式4との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0016】
(数5)
P=V2cosψ/Z=4・V12・cosψ/Z
V1=V/2
【0017】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、図10に示した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの半分となる。
【0018】
このように、米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置によれば、コイル108に印加される電圧を従来のものに比べて半分に低減することができ、上述した容器内壁のスパッタリングに関する問題を低減することができる。
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,401,318号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところが、近年では、例えば、基板上に形成される回路は極めて微細且つ複雑なものとなっており、処理雰囲気中に僅かなパーティクルが存在しても、これが原因となって正常な回路を基板上に形成することができなくなる。
【0021】
このため、従来に増して、清浄な雰囲気下で表面処理を行うことができるプラズマ反応装置の提供が求められている。
【0022】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたもので、コイルに印加される電力を下げることなく、当該コイルに印加される電圧を、従来に比べてより低減することができるプラズマ反応装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するための本発明は、被処理対象物を収容する容器と、前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを巻回するように配設された、無端環状のコイルと、前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1及び第2の接続端子は、各々によって前記コイルの全長を2等分する位置にそれぞれ接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されたプラズマ反応装置に係る。
【0024】
尚、前記コイルはその複数個が上下に並設され、前記電力供給手段の第1及び第2の接続端子が、それぞれ前記複数のコイルに接続された構成のものでも良い。
【0025】
また、本発明は、被処理対象物を収容する容器と、前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを整数周回巻回するように配設された螺旋状のコイルと、前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1の接続端子は前記コイルの始端及び終端、並びに該始端と終端とを結ぶ垂線と交差する部分に接続され、前記第2の接続端子は前記コイルの中心軸を中心として前記垂線に対し線対称の位置に設定した仮想の垂線と前記コイルとが交差する部分に接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されたプラズマ反応装置に係る。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るプラズマ反応装置では、印加される高周波電力が同じ値で、コイルのインピーダンスが同じ値である場合には、当該コイルに印加される電圧は、理論上、図10に示した米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置のコイル108に印加される電圧V1の半分以下となり、また、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4分の1以下となる。尚、この原理については、後ほど詳しく説明する。
【0027】
したがって、本発明に係るプラズマ反応装置によれば、米国特許第5,401,318号に開示されるプラズマ反応装置に比べても、コイルに印加される電圧を低減することができ、処理効率を下げることなく、上述した容器内壁のスパッタリングに関する問題をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面に基き説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ反応装置を示した正断面図であり、図2及び図3は高周波電力を供給する回路を説明するための説明図である。
【0029】
図1に示すように、本例のプラズマ反応装置1は、被処理対象物たる基板Kを収容するための下部容器2と、この下部容器2上に設けられた上部容器6と、この上部容器6を巻回するようにその周囲に設けられた無端環状の1つのコイル15と、前記下部容器2内に設けられた基台10と、この基台10上に昇降可能に設けられた上下2部材(下部材12及び上部材13)からなり、基板Kが載置される載置台11と、載置台11を昇降させるシリンダ14と、前記コイル15に高周波電力を供給する電力供給装置20と、上部容器6内に処理ガスを供給する処理ガス供給装置30と、下部容器2及び上部容器6内の圧力を減圧する排気装置35とからなる。
【0030】
前記下部容器2は底板3,側板4及び天板5からなる。側板4には、基板Kを出し入れするための開口部4a及び内部の気体を排気するための排気口4bが形成されており、排気装置35はこの排気口4bに接続して、当該排気口4bから下部容器2内の気体を排気して減圧する。また、開口部4aはシャッタ40によって開閉され、シャッタが閉じることによって当該開口部4aが密閉されるようになっている。また、前記天板5には開口部5aが形成され、この開口部5aを介して下部容器2内と上部容器内とが連通された状態となっている。
【0031】
上部容器6は、セラミックなどの絶縁体から構成される円筒状をした胴部7と、この胴部7の上部開口部を閉じる天板8とからなり、天板8の中央部に接続する供給管31を介して、処理ガス供給装置30から上部容器6内に処理ガスが供給される。
【0032】
図1,図2及び図3に示すように、前記電力供給装置20は、高周波電源21、インピーダンス整合回路(マッチング回路)22及びプッシュプル回路23からなり、高周波電源21及びマッチング回路22はそれぞれ接地されている。
【0033】
プッシュプル回路23は、コイル15に接続される第1の接続端子24及び第2の接続端子25の2つの接続端子と、接地された1つの接地端子26とを備える。第1の接続端子24及び第2の接続端子25は、各々によって前記コイル15の全長を2等分する位置a,bに、言い換えれば、コイル15の半径中心を挟んで相互に対向する位置a,bにそれぞれ接続され、第1の接続端子24と接地端子26との間、第2の接続端子25と接地端子26との間に、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加する。
【0034】
また、特に図示しないが、載置台11にはシリンダ14を介してバイアス電位が印加されている。
【0035】
以上のように構成された本例のプラズマ反応装置1によれば、電力供給装置20によりコイル15に高周波電力を印加すると、上部容器6内に高周波磁界が誘起され、コイル15に流れる電流が時間的に変化することで発生磁界も変化して、上部容器6内にファラディの電磁誘導の法則に伴う誘導電界が生じる。
【0036】
そして、供給管31を介して、処理ガス供給装置30から上部容器6内に処理ガスが供給され、この処理ガスが上記誘導電界中に投じられると、処理ガス中の電子が誘導電界により駆動,加速され、電離衝突を起こしてプラズマが生成され、このプラズマ中でラジカルやイオンといった反応種が生成される。
【0037】
上記のように、載置台11にはバイアス電位が印加されており、このバイアス電位によって、プラズマ中のイオンが載置台11上の基板K表面に向けて導かれ、また、排気装置35により下部容器2及び上部容器6内が排気,減圧されることによって、プラズマ中のラジカルが載置台11上の基板K表面に向けて導かれ、かかる反応種によって基板Kの表面が処理される。
【0038】
ところで、図3に示すように、コイル15の接続点a,bに、大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧−V2,V2が印加されると、接続点aから右回り及び左回りに等分された電流I2がそれぞれ流れ、これとともに接続点bからも同様に右回り及び左回りに等分された電流I2がそれぞれ流れ、接続点a,b間の2つの中間点c,dにおいてそれぞれが打ち消しあった状態となり、この2つの中間点c,dが仮想上の接地点を構成する。
【0039】
そして、同図3に示すように、コイル15の全体のインピーダンスをZとすると、接続点aと中間点cとの間、接続点aと中間点dとの間、接続点bと中間点cとの間、接続点bと中間点dとの間の各コイル15のインピーダンスZ2はそれぞれZ/4となるが、このコイル15に印加される高周波電力をPとすると、これら高周波電力P,電圧V2,電流I2,インピーダンスZ2との間の関係は、以下の数式によって表される。
【0040】
(数6)
I2=V2/Z2=4・V2/Z
【0041】
(数7)
P=4・V2・I2・cosψ
=16・V22cosψ/Z
但し、cosψはコイル15及びプラズマの力率である。
【0042】
いま、図11に示した従来の回路におけるコイル151に印加される高周波電力と、本例のコイル15に印加される高周波電力の値が同じ値Pであるとし、また、従来のコイル151のインピーダンスと、本例のコイル15全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとすると、上式数式2と数式7との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0043】
(数8)
P=V2cosψ/Z=16・V22・cosψ/Z
V2=V/4
【0044】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、本例のコイル15に印加される電圧V2は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4分の1となる。また、上述した数式5から容易に理解できるように、電圧V2は、上述した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1の半分である。
【0045】
このように、本例のプラズマ反応装置1によれば、同じ電力を供給しても、コイル15に印加される電圧を従来のものに比べて4分の1に低減することができ、また、米国特許第5,401,318号に開示のものに比べても半分に低減することができる。したがって、プラズマ処理の効率を低下させること無く、上述した容器内壁(容器6の内壁)のスパッタリングに関する問題をより軽減することができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0047】
例えば、上記の装置では、1つのコイル15を設けた構成としたが、図4に示すように、その複数個を上下に並設した構成としてもよい。この場合、プッシュプル回路23の第1の接続端子24と第2の接続端子25とは、各コイル15の全長を2等分する位置a1,a2・・・、b1,b2・・・に接続され、第1の接続端子24と接地端子26との間、第2の接続端子25と接地端子26との間に、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧−V3,V3が印加される。
【0048】
そして、図5に示すように、n個のコイル15が設けられ、このn個のコイル15の総インピーダンスがZであるとすると、各コイルの15のインピーダンスはZ/nとなる。いま、仮に、1つのコイル15について見ると、接続点a1と中間点c1との間、接続点a1と中間点d1との間、接続点b1と中間点c1との間、接続点b1と中間点d1との間のコイル15のインピーダンスZ3はそれぞれZ/(4・n)となり、このコイル15に印加される高周波電力をP11とすると、これら高周波電力P11,電圧V3,電流I3,インピーダンスZ3との間の関係は、以下の数式よって表される。
【0049】
(数9)
I3=V3/Z3=4・n・V3/Z
【0050】
(数10)
P11=4・V3・I3・cosψ=P12=P13=・・・=P1n
=16・n・V32cosψ/Z
但し、cosψはコイル15及びプラズマの力率である。
【0051】
したがって、n個のコイル15に印加される全体の高周波電力Pは、次式によって求められる。
【0052】
(数11)
P=P11+P12+・・・+P1n
=n・P11
=16・n2・V32cosψ/Z
【0053】
いま、図11に示した従来の回路におけるコイル151に印加される高周波電力と、図4及び図5に示したn個のコイル15に印加される全体の高周波電力の値が同じ値Pであるとし、また、従来のコイル151のインピーダンスと、n個のコイル15全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとすると、上式数式2と数式11との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0054】
(数12)
P=V2cosψ/Z=16・n2・V32・cosψ/Z
V3=V/(4・n)
【0055】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、図4及び図5に示したコイル15に印加される電圧V3は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4・n分の1となる。また、上述した数式5から容易に理解できるように、電圧V3は、上述した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1の2・n分の1となる。
【0056】
このように、図4及び図5に示した構成のプラズマ反応装置1であっても、コイル15に印加される電圧を従来のものに比べて低減することができ、プラズマ処理の効率を低下させること無く、上述した容器内壁(容器6の内壁)のスパッタリングに関する問題をより軽減することができる。
【0057】
また、本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置を図6乃至図8に示す。図示するように、このプラズマ反応装置50は、図1乃至図3に示したプラズマ反応装置1の構成と比べて、コイル51の構成と、プッシュプル回路23の第1の接続端子24及び第2の接続端子25がコイル51に接続されるその接続関係が異なるのみであり、他の構成は、当該プラズマ反応装置1の構成と同じである。したがって、プラズマ反応装置1の構成と同じ構成部分については、図6乃至図8において同じ符号を付すとともに、以下の説明では、その詳しい説明を省略する。
【0058】
同図6及び図7に示すように、本例のコイル51は、上部容器6の周囲をn周回(但し、nは任意の整数)巻回するように螺旋状に形成されている。尚、図7では、一例として、3周回させた状態を実線で示している。
【0059】
そして、プッシュプル回路23の第1の接続端子24は、コイル51の始端e1及び終端e4、並びにこの始端e1と終端e4とを結ぶ垂線gと交差する部分e2,e3に接続され、第2の接続端子25はコイル51の中心軸hを中心として垂線gに対し線対称の位置に設定した仮想の垂線iとコイル51とが交差する部分f1,f2,f3に接続される。そして、第1の接続端子24(即ち、接続点e1,e2,e3,e4)と接地端子26との間と、第2の接続端子25(即ち、接続点f1,f2,f3)と接地端子26との間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧−V4,V4が印加される。
【0060】
図8には、1周回分のコイル51を示しているが、同図に示すように、コイル51の接続点e1,e2と接続点f1とに、それぞれ電圧−V4,V4が印加されると、接続点e1から接続点f1に向けて電流I4が流れ、一方、接続点f1からも接続点e1に向けて同じ大きさの電流I4が流れ、接続点e1と接続点f1との中間点j1において、それぞれの電流I4が打ち消しあった状態となり、この中間点j1が仮想上の接地点となる。また、同様に、接続点e2から接続点f1に向けて電流I4が流れ、一方、接続点f1からも接続点e2に向けて同じ大きさの電流I4が流れ、接続点e2と接続点f1との中間点k1において、それぞれの電流I4が打ち消しあった状態となり、この中間点k1が仮想上の接地点となる。
【0061】
そして、コイル51がn周回分巻回されているとし、コイル51全体のインピーダンスをZとすると、図8に示すような1周回分のコイル51のインピーダンスはZ/nとなる。いま、仮に、図8に示すような1周回分のコイル51について見ると、接続点e1と中間点j1との間、接続点f1と中間点j1との間、接続点f1と中間点k1との間、接続点e2と中間点k1との間のコイル51のインピーダンスZ4はそれぞれZ/(4・n)となり、この1周回分のコイル51に印加される高周波電力をP21とすると、これら高周波電力P21,電圧V4,電流I4,インピーダンスZ4との間の関係は、以下の数式よって表される。
【0062】
(数13)
I4=V4/Z4=4・n・V4/Z
【0063】
(数14)
P21=4・V4・I4・cosψ=P22=P23=・・・=P2n
=16・n・V42cosψ/Z
但し、cosψはコイル51及びプラズマの力率である。
【0064】
したがって、n周回分のコイル51に印加される全体の高周波電力Pは、次式によって求められる。
【0065】
(数15)
P=P21+P22+・・・+P2n
=n・P21
=16・n2・V42cosψ/Z
【0066】
いま、図11に示した従来の回路におけるコイル151に印加される高周波電力と、図6及び図7に示したn周回分のコイル51に印加される全体の高周波電力の値が同じ値Pであるとし、また、従来のコイル151のインピーダンスと、n周回分のコイル51全体のインピーダンスとが同じ値Zであるとすると、上式数式2と数式15との関係から、次式の関係が成り立つ。
【0067】
(数16)
P=V2cosψ/Z=16・n2・V42・cosψ/Z
V4=V/(4・n)
【0068】
したがって、印加される高周波電力が同じ値Pで、コイルのインピーダンスが同じ値Zである場合には、図6及び図7に示したコイル51に印加される電圧V4は、図11に示した従来の回路においてコイル151に印加される電圧Vの4・n分の1となる。また、上述した数式5から容易に理解できるように、電圧V4は、上述した米国特許第5,401,318号に開示のコイル108に印加される電圧V1の2・n分の1となる。
【0069】
このように、図6及び図7に示した構成のプラズマ反応装置1であっても、コイル51に印加される電圧を従来のものに比べて低減することができ、プラズマ処理の効率を低下させること無く、上述した容器内壁(容器6の内壁)のスパッタリングに関する問題をより軽減することができる。
【0070】
尚、上記の図1乃至図8に示した例では、電力供給装置として、コイル15,51に接続される2つの接続端子24,25の他に、外部に接地された接地端子26を有する構成のものを用いたが、これに限られるものではなく、内部的に設けられた仮想の接地点(アース)を有する構成のものでも良く、このアースと第1の接続端子24との間と、アースと第2の接続端子25との間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されたものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明に係るプラズマ反応装置は、処理ガスをプラズマ化して、例えば、シリコン基板やガラス基板などの被処理物の表面に対して行う、エッチング,アッシング,改質,デポジションといった各種処理に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ反応装置を示した正断面図である。
【図2】高周波電力を供給する回路を説明するための説明図である。
【図3】高周波電力を供給する回路を説明するための説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置を示した正断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係るプラズマ反応装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図9】米国特許第5,401,318号に開示されたプラズマ処理装置を示した正断面図である。
【図10】米国特許第5,401,318号に開示されたプラズマ処理装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【図11】従来のプラズマ処理装置の高周波電力供給回路に関する説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 プラズマ反応装置
2 下部容器
6 上部容器
11 載置台
15 コイル
20 電力供給装置
30 処理ガス供給装置
35 排気装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理対象物を収容する容器と、
前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、
前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを巻回するように配設された、無端環状のコイルと、
前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、
前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、
前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1及び第2の接続端子は、各々によって前記コイルの全長を2等分する位置にそれぞれ接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されてなることを特徴とするプラズマ反応装置。
【請求項2】
前記コイルの複数個が上下に並設されてなり、
前記電力供給手段の第1及び第2の接続端子が、それぞれ前記複数のコイルに接続されてなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ反応装置。
【請求項3】
被処理対象物を収容する容器と、
前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、
前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを整数周回巻回するように配設された螺旋状のコイルと、
前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、
前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、
前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1の接続端子は前記コイルの始端及び終端、並びに該始端と終端とを結ぶ垂線と交差する部分に接続され、前記第2の接続端子は前記コイルの中心軸を中心として前記垂線に対し線対称の位置に設定した仮想の垂線と前記コイルとが交差する部分に接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されてなることを特徴とするプラズマ反応装置。
【請求項1】
被処理対象物を収容する容器と、
前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、
前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを巻回するように配設された、無端環状のコイルと、
前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、
前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、
前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1及び第2の接続端子は、各々によって前記コイルの全長を2等分する位置にそれぞれ接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されてなることを特徴とするプラズマ反応装置。
【請求項2】
前記コイルの複数個が上下に並設されてなり、
前記電力供給手段の第1及び第2の接続端子が、それぞれ前記複数のコイルに接続されてなることを特徴とする請求項1記載のプラズマ反応装置。
【請求項3】
被処理対象物を収容する容器と、
前記容器内に配設され、前記被処理対象物が載置される支持台と、
前記支持台より上方位置で、前記容器の周囲に、これを整数周回巻回するように配設された螺旋状のコイルと、
前記コイルに高周波電力を供給する電力供給手段と、
前記容器に接続して、処理用のガスを該容器内に供給するガス供給手段とを備え、
前記容器内に供給されたガスを、前記コイルに印加された高周波電力によってプラズマ化し、プラズマ化した処理ガスによって、前記支持台上の被処理対象物表面を処理するように構成されたプラズマ反応装置において、
前記電力供給手段は、少なくとも前記コイルに接続される第1及び第2の2つの接続端子を備え、前記第1の接続端子は前記コイルの始端及び終端、並びに該始端と終端とを結ぶ垂線と交差する部分に接続され、前記第2の接続端子は前記コイルの中心軸を中心として前記垂線に対し線対称の位置に設定した仮想の垂線と前記コイルとが交差する部分に接続され、前記第1の接続端子とアースとの間と、前記第2の接続端子とアースとの間とに、それぞれ大きさが等しく、相互に位相が逆となる電圧を印加するように構成されてなることを特徴とするプラズマ反応装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−234273(P2007−234273A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51666(P2006−51666)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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