説明

プリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板

【課題】本発明は、ドリル加工性と熱伝導率を両立したプリント配線板を作製できるプリプレグを提供することを目的とする。
【解決手段】無機フィラを含有する樹脂組成物をガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させたプリプレグにおいて、前記無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上70vol%以下とし、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を前記無機フィラ中60vol%以上含んでいることを特徴とするプリプレグとすることで、ドリル加工性と熱伝導性とを両立したプリント配線板を作製できるプリプレグを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱する電子部品を実装するプリント配線板・金属基板及び、その絶縁層として用いられるプリプレグ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、機器の小型化・高性能化に伴う電子部品(高機能系半導体、パワー系半導体、トランス等)の発熱が課題となっており、ヒートシンクや、ファン、ヒートパイプといった熱対策が施されている。そのような発熱する電子部品を実装するプリント配線板は、高機能な半導体を搭載し、高密度実装に対応するために多層板構成になっており、ガラスエポキシ樹脂からなるプリプレグと銅箔とからなる部材を、複数枚積層し、硬化したものが用いられている場合と、金属の放熱板と銅箔を接着する接着剤層で構成される金属基板がある。
【0003】
金属基板においては、電子部品の熱を放熱板に伝えるために、熱伝導率を向上させる取組がなされており、熱伝導率の高い無機フィラの充填量を増やしている。従って接着剤層として用いられる樹脂組成物には、無機フィラを高密度に添加する取組(特許文献参照)が多くなされている。しかし、このような樹脂組成物は多層板構成にしない金属基板においては、ドリル加工を行わないため、ドリル加工性に関しては考慮されておらず、アルミナ等の硬い無機フィラ(熱伝導率が高いため)を用いている。また、熱伝導率の向上のため充填率も多くドリル加工時にドリル刃が著しく摩耗する。
【0004】
多層板においては放熱板もなく、プリプレグの熱伝導性が低いため、現状では熱対策として考慮されているわけではなく、基板の強度や、熱膨張率、難燃性を得るために、シリカや水酸化アルミニウムを少量(20vol%程度)含んでいるのが現状である。ドリル加工性においては多層のプリント配線板として、ドリル加工がほぼ必須の工程であるため、ドリル加工精度を改善する目的として特許文献1の様にモース硬度の低い無機フィラを充填する提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−117733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリント配線板は、これまで熱対策としてあまり考慮されていなかったが、実装された電子部品が直接接触しており、熱を効果的に伝搬できるため、基板自体が放熱板の硬化を果たす新たな熱対策として用いることができる可能性があることがわかった。多層板構成である従来のプリント配線板の場合、熱伝導率だけではなくドリル加工性との両立が必須であるが、現行の熱伝導率の高い金属基板用途の材料ではドリル刃の摩耗が激しくなる課題があった。また、ドリル加工性の悪化はスルーホールのドリル穴形状や穴径も劣化するため、メッキ接続の信頼性も低下してしまう。
【0007】
そこで本発明は熱伝導率だけではなくドリル刃の耐摩耗性を考慮したプリント配線板及び、そのプリプレグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、無機フィラを含有する樹脂組成物をガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させたプリプレグにおいて、前記無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上70vol%以下とし、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を60vol%以上とすることを特徴とするプリプレグとするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリプレグ及び、その製造方法とこれを用いたプリント配線板によれば、熱伝導率が9W/mK以上と高い無機フィラを60vol%以上含んでおり、無機フィラの充填率をプリプレグに対して30vol%以上70vol%以下とすることでプリプレグ及び成形後のプリント配線板の熱伝導率を向上させることができる。かつ無機フィラのモース硬度を6以下とすることで、無機フィラの高い充填率においても高いドリル加工性を実現できる。加えて、無機フィラの熱伝導率が高いことで、ドリル加工時の熱を効果的に分散させることで、温度上昇に伴う樹脂の溶融を低減することができドリル刃の溝の埋まり等による加工性の低下を抑制できる。
【0010】
また、略多面体形状特に略立方体や略直方体形状の無機フィラを用いることで、熱のパーコレーションがよくなり、ドリル加工性の劣化を抑制できる比較的少ない充填量でも熱伝導率を向上させることができる。
【0011】
本発明のプリプレグを用いて作製したプリント配線板を用いることで、電子部品の熱を基板に拡散し放熱性を向上することで、電子部品の温度低減が可能となり、電子部品の高密度実装化、高機能化、ハイパワー化、機器の小型、高機能化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】酸化アルミニウム配合の場合のHit数とドリル残存率の関係を示す図
【図2】酸化マグネシウム配合の場合のHit数とドリル残存率の関係を示す図
【図3】炭酸マグネシウム配合の場合のHit数とドリル残存率の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1として、プリプレグについて説明する。
【0014】
本発明のプリプレグに用いられる樹脂は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂系及びこれら樹脂の変性系樹脂を用いることができる。また、前記各種樹脂を2種類以上の混合の他、必要に応じて各種硬化剤、硬化促進剤を使用しても良い。例えば、エポキシ樹脂を用いた場合、耐熱性や強度、接着性等の特性が基板に適している。またポリイミド樹脂を用いた場合は耐熱性や屈曲性をプリント配線板に付加することができる。樹脂に、硬化剤を使用する場合には、例えばエポキシ樹脂に用いる場合には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、及び、フェノールノボラックやクレゾールノボラック等の多官能性フェノール等を用いることができる。前記硬化剤は、単独で使用しても、複数種を併用することも可能であり、その種類及び量は、限定されるものではなく、適宜決められる。樹脂に、促進剤を使用する場合には、前述した硬化剤と同様に、種々使用することができ、具体的には、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、アミン及びアンモニウム塩等が用いられ、2種以上を併用しても良い。また、ゴムや熱可塑樹脂を添加してもよい。
【0015】
ガラス織布/不織布はプリプレグにおける構造体として、プリプレグの強度を上げる効果が得られ、硬化後の熱膨張率の制御、寸法安定性、機械強度を高める効果が得られる。ガラス織布/不織布は10〜300μm程度のものが望ましい。ガラス織布/不織布の厚みが10μm未満の場合、プリプレグあるいはプリプレグを硬化してなるプリント配線板の機械強度(例えば引張り強度等)に影響を与える可能性がある。ガラス織布/不織布の厚みが300μmを越えた場合、プリプレグの作製時における乾燥工程への影響が大きくなってしまう。
【0016】
前記樹脂に充填する無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつ、モース硬度6以下の無機フィラが60vol%以上であり、例えば、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等を用いることができる。熱伝導率を9W/mK以上とすることで、プリプレグを成形・硬化した後のプリント配線板の熱伝導率を0.8W/mK以上とすることができ発熱する電子部品の熱を効果的に分散し、電子部品の温度を低減することができる。また、ドリル加工時に発生する熱も分散することができ、樹脂の温度上昇に伴う例えばドリル刃溝の埋設といったドリル加工性の低下を抑制できる。また、熱伝導率9W/mK以上の無機フィラが30vol%以下になると、プリント配線板の熱伝導率が低下する。
【0017】
ドリル加工に用いられるドリル刃の硬度は、クロムメッキのモース硬度が9であり、モース硬度10のダイヤモンドコーティングしたドリル刃もあるが、コストや加工性を考えると、無機フィラのモース硬度は少なくともドリル刃以下である必要があり、望ましくは6以下である。モース硬度が4以下になるとさらにドリル加工性を向上させることができる。
【0018】
無機フィラはプリプレグに対して充填率が30vol%以上70vol%以下になるようにする必要がある。ここでvol%により規定しているのは密度の異なる無機フィラに変更しても、熱伝導率・ドリル加工性への効果を一定にするためであり、材料を複数定義した場合wt%で記載することは本質的に成立していない。また、基板に成形したときの熱伝導率は、ガラス織布/不織布も含めてプリプレグ全体に対して熱伝導率の高い無機フィラの充填率を定義することで所望の値を得ることができる。無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上とすることで、プリプレグの熱伝導率を0.8W/mK以上とすることができる。無機フィラ/プリプレグの値を大きくするためにはガラスクロスに含浸する樹脂組成物において無機フィラ/樹脂組成物の割合を増やすことと、プリプレグにおける樹脂分比率/プリプレグを増やすことが有効である(ガラス織布/不織布は熱伝導率が低い)。それぞれ、樹脂組成物/プリプレグの充填率を50vol%以上とすることで、無機フィラ/プリプレグの充填率を30vol%以上にすることができる。同様に無機フィラ/樹脂組成物の充填率を40vol%以上とすることで、無機フィラ/プリプレグの充填率を30vol%以上にすることができる。
【0019】
また、無機フィラのプリプレグに対する充填率が70vol%以上になると、プリプレグの溶融粘度の上昇、銅箔とプリプレグの接着力低下など、基板成形が難しくなる場合がある。
【0020】
また樹脂組成物/プリプレグの充填率が95vol%以上になると、構造体となっているガラス織布/不織布の割合の低下による強度不足等の課題が生じる場合がある。
【0021】
また、無機フィラ/樹脂組成物の充填率が90vol%以上になると、樹脂と無機フィラと溶剤の混合体(ワニス)の粘度が上がってしまい、プリプレグ作製時の含浸工程が難しくなる。また樹脂不足よりプリプレグの溶融粘度も上昇してしまい、多層基板成形時のフロー性が著しく低下し信頼性の高いプリント配線板が提供できなくなる場合がある。
【0022】
ドリル加工性の悪化はスルーホールの穴形状や穴径に影響をあたえ、スルーホールのメッキ接続の信頼性が低下するが、無機フィラ/プリプレグの充填率を増やすことで、プリプレグを硬化したあとの熱膨張係数(特に厚み方向)を小さくすることができる。これによりZ軸方向の熱膨張係数を小さくすることでスルーホールの信頼性が向上する。スルーホールはドリル加工後にメッキすることで形成されるため、メッキ部分は金属材料(一般的には銅)の熱膨張係数を有しており、Z軸方向の熱膨張係数を下げることで、熱膨張差が小さくなり、発生する応力が低下する。45ppm/℃以下の熱膨張係数にすると信頼性も高く、熱衝撃や熱サイクルに対しても耐久性が向上し望ましい。更に35ppm/℃以下にすることで、より信頼性も向上する。
【0023】
無機フィラは略多面体形状が望ましく、更に略立方体形状及び/または略直方体形状が好ましい。熱伝導率を向上させるためには無機フィラの充填率を増加させる必要がある。そのため、球状に近づけた無機フィラが用いられていることが多いが無機フィラの増加はドリル加工性の低減にもつながってしまう。同じ充填率で考えると、無機フィラの平面同士の接触が熱のパーコレーション的に望ましく、略多面体形状の無機フィラを用いることで熱伝導率を向上させることができる。ここでの略多面体形状は平面部分を有する立体という意味であり、曲面部分を全く持たないという意味ではない。中でも、略立方体や略直方体形状は接触面積を高めることができる。ただし、アスペクト比が3以上の板状や針状の無機フィラは混練性が悪く溶融粘度が上昇してしまう。アスペクト比は2.5以下の形状が、溶融粘度の悪化を防ぎつつ熱伝導率を向上できる点で望ましい。
【0024】
フィラは不純物が少なく、結晶化度が高い方が、熱伝導率も高くなりやすい。また、結晶化度が向上することにより、表面が平滑になりBET値や給油量が減少する。また、形状も結晶系に応じた形になりやすい。したがって、混練性の向上や溶融粘度を低減することができる。また、表面の平滑性はパーコレーション向上にもつながる。立方晶または、正方晶の結晶構造をもつフィラは、略立方体や略直方体形状に成長しやすいため無機フィラとして望ましい。結晶化度は例えば、X線回折でのピークの半値幅等で簡易的に計測することができる。Cu−Kα線を用いた粉末X線回折法において立方晶のフィラの場合(200)面のピークの半値幅が0.3度以下が望ましい。また、(111)面、(220)面のピークの半値幅も小さい方がよく、望ましくは0.3度以下である。
【0025】
また、これらの無機フィラは表面処理を施していてもよい。表面処理により耐湿性や接着強度、分散性の向上が図れる。表面処理としては、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤、リン酸エステル、スルホン酸エステル、カルボン酸エステルの他、アルミナやシリカコート、シリコーン系の材料で被覆されていてもよい。なお無機フィラの充填率を増加するために、異なる粒度分布を有する複数種の無機フィラを選び、これらを混合して使用しても良い。
【0026】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2としてプリプレグの製造方法の一例について説明する。
【0027】
所定量配合された樹脂と無機フィラと溶剤からなるワニスを攪拌、混練し、ガラス織布/不織布にワニスを含浸させた後に、加熱乾燥し、溶剤分を除去するとともに樹脂を半硬化状態にすることでプリプレグを作製する。
【0028】
次にプリプレグを用いて、熱伝導性が高くドリル加工性のよいプリント配線基板を作製する方法について説明する。プリプレグを1枚以上重ねて積層体とし、該積層体に銅箔を重ねて加熱加圧することで銅張積層板とすることができる。次に銅張積層板の銅箔を所定形状にパターニングする。なおパターニングは一般的な工程(フォトレジスト形成、露光、現像、エッチング、フォトレジストの除去)を用いることができる。その後、必要に応じて積層工程とパターニング工程を繰り返して多層板が構成できる。次にこの積層体の所定位置にドリル加工やレーザー等で孔を形成し、銅メッキを行うことでスルーホールを形成後、最外層をパターニングする。次にソルダーレジスト等を形成しプリント配線板を完成させる。
【0029】
なお、製造方法は上記記載の方法に限定されるわけではない。また、プリプレグは、プリント配線板の構成材料としてだけではなく、金属基板の銅箔と放熱板間の接着材料としても使用することができる。
【0030】
以上のように、本発明にかかるプリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板を用いることによって、携帯電話、テレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
【0031】
(実験1)
実験1として、発明者らの実験、評価結果の一例について説明する。
【0032】
無機フィラとして酸化アルミニウム(住友化学社製 モース硬度9)、酸化マグネシウム(神島化学工業社製 モース硬度6)、炭酸マグネシウム(神島化学社製 モース硬度3)を用いてドリル加工性を検討した。無機フィラの粒径は全て1〜5μmの範囲である。
【0033】
無機フィラをエポキシ樹脂(ビスフェノールF系+硬化剤)と配合し、MEKを溶剤としてディスパーミルで拡散しワニスを作製した。このワニスをガラス織布(#1080:重量48g/m)に含浸しプリプレグを作製した。無機フィラのプリプレグに対する充填率を10,30,50,70vol%になるように、無機フィラ/樹脂組成物の割合(20vol%以上〜90vol%以下)とプリプレグの厚みを調整した。
【0034】
このプリプレグを6枚積層し、上下の最外層に厚み18μmの銅箔を積層し、熱プレス機で加熱(180℃×1h)・加圧(2MPa)成形することで硬化しサンプル基板を作製した。同じ厚みのR−1566をリファレンスとした。
【0035】
このサンプル基板にドリル加工を行い、1000,2000,3000HIT後のドリル刃径の変化を測定した。ドリル径は初期φ0.5mmの物を用いた。ドリル加工時には、エントリーボード(アルミ:0.12mmt)と、バックアップボード(ベーク板:1.5mmt)の間にサンプル基板を挟んだ形で加工を行った。
【0036】
ドリルの残存刃率を図1〜3に示す。図1に示す酸化アルミニウムを用いた場合、無機フィラ/プリプレグ10vol%の充填率でドリルの磨耗量が8.1%と大きく、30vol%となると11.8%と10%を超えてしまいドリル加工性に課題が生じた。これはモース硬度が高いことによるドリルの摩耗である。図2に示す酸化マグネシウムを用いた場合、70vol%の充填率でドリルの摩耗量は8.2%であり、図3に示す炭酸マグネシウムでは30%の充填率で4.0%であった。リファレンスのR−1566の摩耗率は1.0%であった。
【0037】
(実験2)
実験2として、無機フィラとして複数の酸化マグネシウム(神島化学工業社製、タテホ化学製)を用いて、結晶化度(フィラ形状)と熱伝導率の関係を検討した。無機フィラの粒径は全て1〜5μmの範囲である。
【0038】
サンプルのプリプレグ作製は実施例1と同様であり、無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%とした。無機フィラ/樹脂組成物の割合(20vol%以上90vol%以下)とプリプレグの厚みを調整した。
【0039】
このプリプレグを4枚積層し、上下の最外層に厚み18μmの銅箔を積層し、熱プレス機で加熱(180℃×1h)・加圧(2MPa)成形後、銅箔を全てエッチングにより除去し、約φ12.7mmの円板形状に加工し熱伝導率評価サンプルを作製した。また、結晶化度を計測するために粉末X線回折を実施し、解析ソフト(Jade)で(111)面、(200)面、(220)面ピークの検出と、それぞれのピークの半値幅の算出を行った。
【0040】
(200)面の半値幅の値と熱伝導率の関係を[表1]に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
[表1]より、半値幅の小さい試料の方が熱伝導率が高く0.3以下の試料で、熱伝導
率0.8W/mKが達成できている。また、ばらつきも小さい。これは結晶自体の熱伝導率が高いことと、熱的なパーコレーションが向上していることが原因と思われる。
【0043】
なお、製造方法は上記記載の方法に限定されるわけではない。また、プリプレグは、プリント配線板の構成材料としてだけではなく、金属基板の銅箔と放熱板間の接着材料としても使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかるプリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板を用いることによって、携帯電話、テレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化や高性能化、高信頼性化が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機フィラを含有する樹脂組成物をガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させたプリプレグにおいて、前記無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上70vol%以下とし、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を前記無機フィラ中60vol%以上含んでいるプリプレグ。
【請求項2】
略多面体形状の無機フィラを含有する樹脂組成物をガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させたプリプレグにおいて、前記無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上70vol%以下とし、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を前記無機フィラ中60vol%以上含んでいるプリプレグ。
【請求項3】
硬化後の熱伝導率が0.8W/mK以上20.0W/mK以下であることを特徴とする請求項1または2記載のプリプレグ。
【請求項4】
前記無機フィラが 窒化ホウ素、酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムを少なくとも1種類以上含む請求項1または2記載のプリプレグ。
【請求項5】
前記無機フィラが略立方体形状及び/または略直方体形状である請求項2記載のプリプレグ。
【請求項6】
前記無機フィラが立方晶または、正方晶である請求項2記載のプリプレグ。
【請求項7】
前記無機フィラのCu−Kα線を用いた粉末X線回折での(200)面のピークの半値幅が0.3度以下である請求項1または2記載のプリプレグ。
【請求項8】
前記樹脂組成物のプリプレグに対する充填率を50vol%以上95vol%以下とすることを特徴とする請求項1または2記載のプリプレグ。
【請求項9】
前記無機フィラの樹脂組成物に対する充填率を40vol%以上90vol%以下とすることを特徴とする請求項1または2記載のプリプレグ。
【請求項10】
前記プリプレグを硬化した絶縁板の厚み方向の線膨張係数が、前記絶縁板のガラス転移温度Tg以下の範囲で45ppm/℃以下である請求項1または2記載のプリプレグ。
【請求項11】
請求項1及び/または2に記載のプリプレグを1枚以上重ねて積層体となし、該積層体の片面又は両面に金属箔を重ねて加熱加圧成形をしたことを特徴とする金属箔張積層板。
【請求項12】
請求項1及び/または2に記載のプリプレグが構成材の絶縁層として用いられたことを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−163598(P2010−163598A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216644(P2009−216644)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】